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1956-02-21 第24回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十一日(火曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————   委員異動 二月十六日委員伊能芳雄君、後藤文夫 君及び岸良一辞任につき、その補欠 として大屋晋三君、片柳眞吉君及び小 林政夫君を議長において指名した。 二月十七日委員大屋晋三君、片柳眞吉 君及び小林政夫辞任につき、その補 欠として伊能芳雄君、後藤文夫君及び 岸良一君を議長において指名した。 本日委員小幡治和辞任につき、その 補欠として堀末治君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松岡 平市君    理事            石村 幸作君            伊能 芳雄君            森下 政一君            小林 武治君    委員            笹森 順造君            佐藤清一郎君            田中 啓一君            堀  末治君            安井  謙君            加瀬  完君            岸  良一君            鈴木  一君   国務大臣    国 務 大 臣 太田 正孝君   政府委員    自治政務次官  早川  崇君    自治庁行政部長 小林與三次君    自治庁財政部長 後藤  博君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選町村職員恩給組合法の一部を改正す  る法律案内閣提出) ○地方公務員法等の一部を改正する法  律案内閣提出) ○入場譲与税法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○奄美群島復興特別措置法の一部を改  正する法律案内閣送付予備審  査) ○地方交付税法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○国有資産等所在市町村交付金及び納  付金に関する法律案内閣送付、予  備審査) ○地方行政の改革に関する調査の件  (地方財政に関する件)   —————————————
  2. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ただいまより委員会を開きます。  速記をとめて。   〔速記中正
  3. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 速記を始めて。  当初に委員異動について御報告申し上げます。一月十六日に委員伊能芳雄君、岸良二君、後藤文夫君は辞任せられました。そうして新たに大屋晋三君、小林政夫君、片柳眞吉君が委員に任命されました。二月十七日に委員大屋普三君、小林政夫君、片柳眞吉君は辞任されました。かわりに伊能芳雄君、岸良一君、後藤文夫君がそれぞれ委員に任命されました。  御報告申し上げます。   —————————————
  4. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に理事補欠互選の件についてお諮りいたします。ただいま委員異動について御報告申し上げましたように、理事であった伊能芳雄君が去る二月十六日に委員辞任されました。理事一名欠員になっておりましたところ十七日再び伊能君が委員に任命せられました。よって理事補欠選挙を行わなければならぬわけでありまするが、私はこの際皆様にお諮り申し上げて、伊能君を再び理事に指名してはどうかと思いまするが、御異議がなければさよういたしたいと思っております。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議ないようでございますからそれでは伊能芳雄君を新しく理事に指名いたします。   —————————————
  6. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 次に本日までに当委員会に付託になりました法律案の状況につきまして御報告申し上げます。  まず本院の先議案といたしましては、町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案地方公務員法等の一部を改正する法律案の二件がございます。予備審査議案といたしましては、入場譲与税法の一部を改正する法律案奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案、これは本日衆議院で可決の予定でございます。地方交付税法の一部を改正する法律案国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案の五件がございます。本日はこれらにつきましてまず政府より提案理由説明を聴取いたしたいと思いますが……。
  7. 小林武治

    小林武治君 私は今の議題に入る前にちょっと緊急なことを質問しておきたいのであります。国体地方持ち回りのことにつきましては先般来当委員会で問題になったことがございますが、その後政府においても種々見解を発表し、閣議等においても取り上げられておる。こういうふうに承わっておりますが、昨日の衆議院地方行政委員会におきましても、この問題が取り上げられ、結論的には、政府持ち回りは当分の間これは見合わせる、こういうふうな決定をされたように承わっておりまするが、きのうの衆議院地方行政委員会お話でも、必ずしもさようでないような新聞報道が出ておるのでありまするが、これについての持ち回りをするのかしないのか、来年度以降どうするのかということについての政府一つはっきりした見解をこの際承わっておきたいのであります。  と申しまするのは、地方においては公共団体においても、また関係団体においてもこれらの問題につきまして去就に迷っておる。このようなことではなはだ迷惑しておる筋があるのでありますから主この際政府一つはっきりした決定自治庁長官から承わっておきたいと思います。
  8. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) ただいま小林委員からの御質問の、国体地方持ち回りの問題でございます。  第一点に申し上げますことは、本問題の中心は申し上げるまでもなく文部省所管でございます。しかしこの仕事が地方へ流れていく意味におきまして、自治庁との関係が起ってくるのでございます。私自身といたしまして、所管である文部省国体をどうするということは、私の言う限りではございませんが、国体の大切なること、地方持ち回りの意義があることは重々承知しております。これに異議を申し込むものではございません。文部省所管であるという意味においてのことを第一に私は申し上げなければなりません。  第二に申し上げますことは、この国体を持ち回るために地方財政にどうひびくかということの問題が、俗に何か自治庁震源地になってこういう問題が起ったということを言われておりますが、その点について申し上げなければなりません。皆様方承知通り地方財政赤字処理及び地方財政健全化につきましては、日本国中といっていいほど心配しております。今回の予算編成方針につきましても、地方財政健全化中心とすということが予算編成方針の、非常な重みを置いた点でございます。同時にその予算編成方針の中に赤字の出ないようにしようということを目的としております。従って閣議におきましても、この予算編成方針閣議において持ち回り問題をどうするかということが三回にわたって論議されたのでございます。私自身のこの取り扱う立場から申しますれば、御審議を願う過程におきまして皆様方に各種の問題が出るのでございます。また財政計画上の問題も出て参りますが、ずいぶん私としては思い切った抜本的な点もあると信じます。たとえば国は百五十億円の減税をするというのに、地方財政においては増税の部分もあるのでございます。しかし切なる地方財政現況からこれも私はがまんしていただきたい。さらに三公社の場合のごとき長い年月の間論議されましたが、鉄道の現在の会計からいうと相当無理なることも承知しております。また電電公社のごときは電話のない村をはずそうとして努力しておるのですが、そういう事情承知しておるにかかわらず、三公社は私どもの要求を入れてくれまして、ここに地方財政財源として納付金制度を新たに作るようになったのです。さらに長い年月の問題でありました停年制もしく、こういう面だけ見ましても、私は地方財政にこういう犠牲を払って初めてやっておる、しかも御批評なさる立場からいうとまだ不満足じゃないか、特に国家財政からして地方財政へ回すところの金が少いじゃないか、交付税の額においてもまだ考えなければならぬじゃないか、こういう御批判もございますが、国家財政健全性を支持する意味においてできた今回の予算編成方針におきまして、地方財政として流してもらう金は私も努力いたしましたが、結果としては交付税も二割五分というところにとどまったのでございます。しかしこれとても国家財政が本年五百数十億円新たにできる財源の中で百五十億円を減税にとってしまう、あと残るのは三、四百億円になります。その中で交付税の前年度に対する割合から言えば二百五十二億という一番大きな金紙になっておることでございます。こういう事情を考えてみますると、地方財政の現状において赤字対策は御批判なされるお方においての峻烈なるお言葉も承わっておりますが、私としては増税までして、この停年制までしいてやっていく現況において国体の方の関係から考えてみまするというと、それをここに賛成するわけにいかない、こういう立場から強く主張いたしまして、閣議において決定された次節でございます。すなわち予算決定閣議において確定したのでございます。持ち回りをやめて中央においてこれをやっていくという方針のもとにきまったのでございます。ただいま関係府県等において、という小林委員のお言葉がございました。これも私は実は非常に重く見て考えたのでございます。本年は兵庫県でやっております。これはもうほとんど準備もできましたので、かれこれ言う段ではない。明年が静岡県になっております。はっきり申し上げまして私は静岡県選出の代議士でございます。しかも自治庁のこの職場をあずかっておりますが、同僚の石橋湛山君も静岡県の出身であります。どうするということは個人的立場を離れても大きな問題であろうと思います。県議会のお方方なども強く主張されたお方があります。あるいは市町村などにおいても反対された方もあります。陳情は両方ございました。けれども根本の問題は地方財政赤字ということを主眼としていたす場合におきまして、国体を続けていくということは閣議の経過におきましてできない、こういうことにきまったわけでございましてきのうの委員会においても私はこの点ははっきり申し上げたところでございます。いろいろ考え合せてみますると徳島県あるいは宮城県のごとき、国体をやった赤字団体が、今にその処理に苦しんでおるという事実も、自治庁としては赤字対策上からも考えなければならぬことは御了解願いたいと思います。大体におきまして体育の問題をどうこうということよりも自治庁地方財政赤字対策という建前から閣議として全般的の問題として予算編成方針のもとにかくのごとくきまった次第でございます。さよう御了承願いたいと思います。
  9. 小林武治

    小林武治君 新聞報道によれば、地方国体をもしやったとした場合に、文部省関係すれば助成金を出すというようなことを財政部長が語ったというようなことが書いてありますが、いかがですか。
  10. 後藤博

    政府委員後藤博君) 文部省補助金は、将来国体地方で開催しないで、東京で開催するような場合にも出るかどうか、こういう御質問であったのであります。これは私どもよくわかりませんが、運営費補助という格好で私は出ておると思っておりますし、関係者もそういうことを申しておりますので、運営費であるならばどこでやろうと、国体中央でやろうと地方でやろうと出る。従って私は運営費そのもの東京でやった場合も出るんじゃないか、かように思う、ということを申し上げたのであります。それを新聞にはちょっと変なふうに出ていたようであります。
  11. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 今の補足を申し上げますが、今年の予算文部省所管で七百万円載っております。それが今財政部長の言われた、設備費でなくて運営費のようでございます。そのことをちょっとつけ加えておきます。
  12. 小林武治

    小林武治君 そうすると今の話は来年度以降の持ち回りには関係がない、こういうことに了承してよろしゅうございますか。
  13. 後藤博

    政府委員後藤博君) 文部省補助運営費で、ということであるならば、地方持ち回りということに関係がない。国体そのものが開催されれば私は運営費は出るべきものである、かように考えておるのであります。
  14. 小林武治

    小林武治君 私は今自治庁長官お話で了解いたしました。要するにきまったことは一つはっきりさせていくと、そうしてこの問題について誤解を招き、また地方でこのためにまごまごしないように、ぜひ一つ御指導願いたい。そういうふうに御注文申し上げておきます。
  15. 松岡平市

    委員長松岡平市君) ただいま小林君の御発言に関連した質疑応答は一応終了したようでございまするが、先ほど申し上げました諸法案について本日政府提案理由説明を聴取するということについては御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御異議がなければさよう取り計らいたいと思いますが、その前に一言御報告申し上げておきます。   ただいま委員異動がございました。委員小幡治和君が辞任せられまして、新たに堀末治君が委員に任命せられました。御報告申し上げておきます。   なお提案理由の御説明を願う前にちょっと御報告申し上げておきますが、ただいま申し上げました七つの法案のうち国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、これはただいま衆議院で審査せられておりますところの公職選挙法の一部を改正する法律案、これは前回国会で本委員会提出した法案でございます、に関連いたしますので、政府から説明を今少し待たれたい旨の要望がございますので、本案の説明は他日に譲りたいと思います。この点御了承を願いたいと思います。  それでは順次政府説明を聴取いたします。
  17. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) ただいま議題に供されました町村職員恩給組合法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由並びに内容概略を申し上げます。  町村職員退職年金及び退職一時金につきましては、昭和十八年来、各都道府県ごとに、地方自治法上の一部事務組合として町村職員恩給組合が組織され、町村職員退職年金及び退職一時金に関する事務を共同処理して参ったのでございますが、昭和二十七年には、町村職員恩給組合法が制定され、恩給組合の法的並びに財政的基礎が確立されました。かくして恩給組合制度は、市町村職員福祉に寄与いたしているのでございますが、さらにその運営合理化をはかるため、組合財務に関する制度整備するとともに、職員福祉を増進するため、組合一定福祉事業を行うことができることとする等の必要を認めまして、本法律案提出した次第でございます。  次に、本法律案内容につきまして、その概略を申し上げます。  第一は、恩給組合の経営の実態を明らかにし、会計の適正を期するために、組合財務につきまして地方自治法財務制度につき特例を設け、企業会計と同様の原則による会計経理制度を採用することとしております。  第二は、恩給組合は、健全な保険数理基礎といたしまして、将来の給付に充てるため相当額責任準備金を積み立てなければならないのでございますが、これが運用の一方法として、職員福祉を増進するため、一定福祉事業を行うことができることとし、福祉事業を行うに当っては、市町村職員共済組合と共同して行う等職員福祉を増進する事業が総合的に行われるように努めなければならないこととしたのでございます。  第三は、恩給組合におきましては、従来監査委員の設置は任意とされているのでありますが、組合財務に関する制度整備と相待ちまして、組合事業運営の適正を期するため、監査委員を必置とすることといたしております。  第四は、恩給組合に属する町村区域の全部または一部が市の区域となった場合における退職年金及び退職一時金に関する事務の引継につきましては、昭和二十八年十二月の町村合併促進法の一部を改正する法律施行の日前にかかわるものは、従来規定が明確を欠いておりましたので、所要の規定整備することといたしたのでございます。  以上本法律案提出いたしました理由並びに本法律案内容概略を申し述べたのでありますが、何とぞよろしく御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。  次に、地方公務員法等の一部を改正する法律案につきまして提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  地方公務員法は、民主的かつ能率的な地方公務員制度を確立し、もって地方自治の本旨の実現に資することを目的として昭和二十五年に制定されたのでございますが、最近における地方公務員制度運用の実績にかんがみますと、その適正かつ合理的な運用をはかりますため、当面解決を要する若干の点が認められますので、これらの点について地方公務員法改正を行うことといたしたく、本法律案提出いたした次第でございます。  次に、本法律案内容概要について御説明申し上げます。  改正の第一点は、市町村公平委員会を廃止いたしまして、その事務都道府県人事委員会処理せしめることとするものでございます。公平委員会制度は、昭和二十六年から実施されたのでございますが、同委員会において処理される事件は、きわめて少く、現にこれらの事務処理都道府県人事委員会に委託している市町村も少くないのでございまして、この際むしろ一般の市町村公平事務は、組織においても、能力においても充実している都道府県人事委員会処理することとする方が、事件処理についても適正円滑を期することができ、また市町村行政機構を実際に即して簡素化するゆえんと考えられるのでございます。  改正の第二点は、地方公共団体において、条例で職員停年制を設けることができる道を開くこととするものでございます。地方公務員法施行前におきましては、地方公共団体にありましては、停年制を設けていた例が多かったのでございますが、現行の地方公務員法のもとでは、停年制を設けることは解釈上疑義があり、その結果各地方公共団体におきましては合理的な職員の新陳代謝が渋滞する傾向があり人事管理合理的運営をはかるために、かねてからその道を開くことが強く要望せられて参ったのでございます。また、地方制度調査会の答申におきましても二次にわたりその旨が述べられておりますので、職員の職の特殊性退職年金制度との関連を考慮して各地方公共団体が自主的に適宜この制度を採用できるようにいたすことが必要であると考えられるのでございます。  改正の第三点は、地方公共団体においては、昭和二十九年以来実施されております臨時待命制度を引き続き当分の間実施することができるものとすることでございます。各地方公共団体におきましては、その行財政運営合理化いたしますために、自主的に行政機構または人員配置合理化を行いつつあるのでございますが、その際定数の改廃予算減少等により廃職または過員となった職員については、当該地方公共団体実情に応じ、一定期間臨時待命を命ずることができるものとすることが、職員の側から申しましても、その利益を保障することとなり、また人員配置合理化を円滑に実施できるゆえんであろうと考えられるのでございます。  その他、現在国家公務員について行われております任用候補者名簿提示方法簡素化及び採用試験受験料の徴収に関し必要な規定を設けるとともに、従業規定整備を欠いておりました退職年金退職一時金及び退職手当の支給に関する異議審査手続整備することといたしたいのでございます。  以上が本改正案提出理由及び内容概要でございますが、何とぞこれまたよろしく御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。  以上に続きまして予備審査をお願いいたしまする法案について御説明申し上げます。  第一は入場譲与税法の一部を改正する法律案につきましてのことでございます。その提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  改正の第一点は、入場譲与税総額改正でございます。入場譲与税は、入場税収入の十分の九に相当する額とされているのでございますが、地方財源を拡充する見地から入場税収入全額に改めるものでございます。この改正によりまする入場譲与税の増額は昭和三十一年度でに十六億円でございます。  改正の第二点は、地方財源調整機能を強化いたしますため、一部の都道府県入場譲与税の額を減額いたしまして、これを他の都道府県に再譲与しようとするものでございます。入場譲与税は、御承知通り人口に按分して譲与されるのでございますが、地方交付税算定基準財政収入額基準財政需要額をこえるいわゆる収入超過団体に対しましては、その超過額一定割合に相当する額だけ入場譲与税の額を減額し、その減額した額を他の都道府県にさらに人口に按分して再譲与するものでございます。その方法を具体的に申し上げますと、  まず減額されることとなる都道府県は、前年度地方交付税算定基礎となる基準財政収入額基準財政需要額をこえる団体でございます。法律の制定または改廃により当該年度基準財政収入額または基準財政需要額が前年度のそれと著しく異なることとなる場合におきましては、実際の状態に近づけるため、その基準財政収入額または基準財政需要額に必要な補正を加えることができることとしております。たとえば、五大市所在府県にあっては警察費の負担が本年度は九カ月分でございましたが、来年度は一年分となりますので、このような場合には基準財政需要額警察費を一年分に増額補正しようとするのでございます。  減額すべき額は、基準財政収入額基準財政需要額をこえる額に政令で定める率を乗じた額でございます。政令で定める率は、二割と予定しております。  この調整措置による昭和三十一年度における変動は、東京都につきましては入場譲与税全額十四億六千万円を減じ、大阪府につきましては、人口按分による額八億四千万円から二億三千三百万円を減じ、神奈川県におきましては、人口按分による額五億三千万円から千六百万円を減ずることとなり、調整額総額は、十七億九百万円となる見込みであります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに本法律案の成立をお願いいたす次第であります。  次は奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案につきまして提案理由並びにその内容概要を御説明申し上げます。  昭和二十八年十二月、終戦八年を経過いたしまして復帰いたしました奄美群島復興を促進いたしますために、同群島特殊事情にかんがみまして奄美群島復興特別措置法が制定され、復興事業が進められて参ったのでありますが、しかるに昨年本群島行政分離中におけるガリオア債権等が、アメリカ合衆国より日本政府に移転されましたので、この債権を出資して、復興事業等に必要な金融措置を円滑に行いますために、同法の一部が改正され、奄美群島復興信用保証協会が設立されたのであります。  同協会は、発足以来その業務の適切な運営に努めてきているのでありますが、先般の名瀬市の大火もあり、資金需要が著しく増大している実情にかんがみまして、必要な保証基金を確保するために、国は、同協会に対して二千五百万円を出資することとし、復興事業に必要な金融円滑化をはかり、復興事業の遂行に遺憾のないよう措置を講ずることといたしたいと思うのであります。  以上この法律案提案理由及びその内容概略について申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを御願い申す次第であります。  次は地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容でございます。  申し上げるまでもなく昭和三十一年度地方財政計画の策定については、今後地方財政赤字の発生をみないよう、その合理化をはかることを根本方針といたしたのでありますが、その前提となる地方行財政制度改正の一環といたしまして、地方交付税の所得税、法人税及び酒税の収入額に対する率を現行の百分の二十二から百分の二十五、すなわち三%の増に当るのでございますが、百分の二十五にすることとしたのであります。これに伴いまして、地方交付税総額の所得税、法人税及び酒税の収入額に対する率を改正する必要がありまするのとともに、教育委員会委員の公選制の廃止等地方行政制度改正昭和三十年度予算における国連補助負担率の改訂、期末手当〇・二五カ月分の増額等に伴いまして単位費用について所要の改訂を行う必要がありますことと、地方債の配分の合理化とも関連いたしまして、道府県について投資的経費の財源を確保いたしますため、新たに道府県の態容に応じて投資的経費を割増しする補正を行うことができるものとするなど地方交付税法に所要の改正を加える必要が生じたのであります。これがこの法律案提出する理由であります。  次に改正内容につきまして、その概略を申し上げます。  第一は、交付税総額に関する事項でありまして、所得税、法人税及び酒税の収入額の百分の二十二を百分の二十五に改めることとしたのであります。この結果明年度における交付税総額昭和二十九年度分の精算額十二億余円を加え一、六二八億余円となるのであります。  第二は、基準財政需要額算定方法に関する事項であります。  その一は、単位費用の改訂でありまして、一つは教育委員会委員の公選制の廃止など、明年度行われる予定の地方行政制度改正、二つには軽油引取税、都市計画税の創設、国庫補助負担金の補助負担率の改訂、使用料単価の改訂等特定財源の増減でございます。三つには(3)期末手当〇・二五カ月分の増額等に伴い、各経費ともそれぞれ積算の基礎に所要の改訂を加えるほか、給与実態調査の結果をも勘案して単位費用積算の基礎となった標準県における職員構成の適正化をはかるなど所要の算定がえを行なって単位費用を改訂したのであります。  その二は、道府県分態容補正につきまして新たに投資的経費にかかわる補正を行うこととしたことであります。御承知通り現在の態容補正は、市町村の都市化の程度によりまして行政の質の薙を測定している補正でありまして、道府県分につきましては、管内市町村の態容の積み上げ方式によっているのでありますが、地方債の配分方法合理化とも関連して財政力の貧弱な道府県につきましては、公共事業費など投資的経費の財源を確保する方途を講ずることが必要と考えられるのであります。このため、従来の態容補正の方法に加えまして、投資的経費にかかわる行政水準の標準化に必要な行政の質及び量の差に基いて新たに道府県の態容による補正を行うことができるものとしたのであります。  第三は、基準財政収入額算定方法に関する事項であります。  その一は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金制度の創設に伴う改正でありまして、普通税の場合と同様に、その収入見込額の都道府県付金及び都道府県納付金に対しましては百分の八十、市町村にあっては原則として百分の七十の額を基準財政収入額に算入するものとし、あわせてその算定方法基礎を定めることとしたのであります。  その二は、入場譲与税の譲与方法改正に伴う改正でありまして、従来入場譲与税基準税額の算定は、人口によっていたのでありますが、今回単純に人口によることができなくなりましたので、入場譲与税法第二条の規定によって算定した額を用いることとしたのであります。  その他端数計算の方法についての規定を設けるなど所要の規定整備を行うことといたしております。  以上がこの法律案内容概略でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決あられんことをお願いする次第であります。  次は国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案提案理由及び内容概略を御説明申し上げます。  この法律案は、国又は地方公共団体が、その所有する固定資産のうち貸付資産、国有林野及び発電施設について国有資産等所在市町村交付金を、また日本専売公社日本国有鉄道及び日本電信電話公社のいわゆる三公社がその所有いたしまする固定資産のうち固定資産税を課せられないものにつきまして、公社有資産所在市町村納付金を、それぞれ当該固定資産所在の市町村に対して交付し、または納付することとする制度を創設しようとするものであります。  御承知のように、現行の地方税制のもとにおきましては、国及び地方公共団体の所有する固定資産に対しては全面的に固定資産税が課せられず、また三公社の所有する固定資産のうちほとんどその大部分を占める直接その本来の事業の用に供するものについては、固定資産税が課せられておらないのでございます。しかしながら、これらの固定費歴といえども当該資産所在の市町村の消防・道路・その他の施設から受益していることは、現に固定資産税の課せられている他の固定資産と同様でございますので、一面には自主財源の増強を必要としている地方財政現況にかんがみまして、他面には、他の同種の固定資産との間に負担の均衡を保持していく必要があることにかんがみまして、これらの資産についても当該資産所在の市町村に対し、相当の負担を求めることといたしますことはやむを得ないところと考えるのでございます。  しかしながら、国や他の地方公共団体市町村との関係を考慮いたしますならば、直ちに固定資産課税の形式をとることもいかがかと思われますので、固定資産税に準じて計算した額を国等から資産所在の市町村に対し交付金として交付することにするのが適当であると考えたのでございます。三公社につきましても、その沿革及び現在の性格等から国の場合に準ずることといたしたのでございますが、多少公租公課のにおいを強くするため、交付金の用語によらないで、納付金と称することといたしたのでございます。  これらの問題につきましては、すでに旧臘地方制度調査会及び臨時税制調査会から国または地方公共団体が所有する固定資産について納付金制度を創設し、あるいは三公社の所有する固定資産に対し全面的に固定資産税を課すべき旨答申されておりますので、その答申の趣旨を尊重し、以上申し述べました考え方に立脚してこの制度を創設することといたしたのでございます。  その理由に続きまして、内容概略説明申し上げます。  この法律案内容は、前にも申しましたように、国または地方公共団体の所有する固定資産にかかわる国有資産等所在市町村交付金及び都道府県付金と、公社が所有する固定資産にかかわる公社有資産所在市町村納付金及び都道府県納付金に大別されているのでございます。  先ず第一に、国有資産等所在市町村交付金は国または地方公共団体が、その所有する固定資産のうち公用または公共用等に供していない資産であって当該国または地方公共団体以外の者に使用させている固定資産、国有林野に係る土地、発電所、変電所または送電施設の用に供する固定資産につきまして、当該固定資産の交付金算定標準額に百分の一・四を乗じて得た額を交付金額として当該固定資産所在の市町村に交付するものでございまして、その収入見込額は昭和三十一年度におきましては十一億二千八百万円であります。  交付金算定の標準額は固定資産の価格によることといたしましてその固定資産の価格は、原則として国有財産台帳または地方公共団体の財産台帳に記載された価格によるものといたしております。しかしこの台帳価格が当該固定資産に類似する固定資産で固定資産税を課されるものにかかわる固定資産税の課税標準の基礎となるべき価格と著しく異なると認めます場合におきましては、当該固定資産を管理する各省各庁の長または地方公共団体の長にあっては、台帳価格と異なる価格を資産所在地の市町村長に交付金算定標準額の基礎とすべき価格として通知することができ、また資産所在地の市町村長にあっては、各省各庁の長または地方公共団体の長に対し台帳価格と異なる価格を交付金算定標準額の基礎とすべき価格として通知すべき旨を申し出ることができることとしているのでございます。  なお、住宅用の土地及び家屋につきましては、住宅建設に対する国の補助政策をも考慮して右の価格の十分の四(政令で定める住宅については十分の二)の額とし、発電所、変電所または送電施設の用に供する固定資産につきましては、固定資産税を課される同種の固定資産との均衡及び公営発電事業における多目的ダムの特殊性等にかんがみまして、固定資産税において設けられている説税標準の特例措置と同様の方法によって算定した額の三分の一の額とすることといたしているのでございます。乗率の百分の一・四は固定資産税の標準税率として定められている率によっております。  なお、国が所有する固定資産のうち他に使用させているものにかかわる昭和三十一年度分及び昭和三十一年度分の交付金額の計算につきましては、これらの国有資産についての再評価がいまだ実施されていない実情等にかんがみまして若干の特例措置を定めておるのでございます。  次に、公社有資産所在市町村納付金は、三公社がそれぞれ所有する固定資産のうち固定資産税を課せられないものにつきまして納付金算定標準額に百分の一・四を乗じて得た額を納付金額として当該固定資産所在の市町村に対して納付するものでございまして、この収入見込額は、昭和三十一年度においては四十六億四千四百万円、平年度においては九十二億八千八百万円でございます。  納付金額の算定基礎となる価格は、固定資産の価格によることといたしておりますが、その固定資産の価格は、自治庁長官が固定資産評価基準に準じて評価を行なって決定した価格を総理府令で定めるところによって関係市町村に配分したものによることといたしております。  納付金算定標準額は、公社がその公共的性格からあえて非採算路線を建設維持している等の事情もありますし、かつ負担の急激な増嵩は緩和する必要もございますので、当該価格の初年度四分の一、平年度二分の一の額をとることとしておるのでございます。  乗率の百分の一・四は交付金の場合と同様に固定資産税の標準税率として定められている率によっているのでございます。  なお、各省各庁の長が管理し、または一の地方公共団体もしくは一の公社が所有する償却資産で地方税法における大規模の償却資産に相当するものにつきましては、固定資産税における大規模の償却資産の特例に準じ、一定限度をこえる額につきましては、当該市町村を包括する都道府県に国有資産等所在都道府県付金を交付し、または都道府県納付金を納付することといたしているのであります。  さらに、交付金の交付方法または納付金の納付方法につきましては、市町村が交付金額または納付金額を算定し、これを記載した交付金交付請求書または納付金納額告知書を各省、各庁の長も若しくは地方公共団体の長に、または、公社に送付して交付金の交付または納付金の納付を求めることといたしております。  以上が国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律案提案理由及び内容概略であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに本法律案の成立をみますようお願いいたす次第であります福。  以上予備審査の分もあわせて御説明申した次第でございます。
  18. 松岡平市

    委員長松岡平市君) すでに提案されました各法律案につきましては、自治庁長官みずから提案理由の御説明をいただきました。それぞれの法案について質疑応答を重ねて、すみやかに審議を完了したいと考えておりまするが、すでに先議の法案が三法案、後議のものが五法案ございまして、このいずれの法案を先に審議するかというような審議の技術的な問題等もございます。これらにつきましては、すみやかに委員長及び理事打合会等をまず開きまして、あらかじめ御相談申し上げ、その結果について各委員にお諮りいたしまして、逐次なるべくすみやかに審議を進めて行きたいと思いまするが、本日は、一応午前中はこの問題につきましては説明だけで、午前中の委員会を一応終りたいと、かように考えております。
  19. 加瀬完

    ○加瀬完君 大臣、次官を初めまた部長さんがお集まりになるということはめったにないことでありまするので、この際ちょっと、直接この問題はあとで審議をするといたしましても、いろいろ聞いておきたいことがございますので、十分ほど時間をいただきたいと思います。
  20. 松岡平市

    委員長松岡平市君) どうぞ。
  21. 加瀬完

    ○加瀬完君 今ちょうど地方予算編成期に当っておりますので、私ども先般委員会から出張を命ぜられまして地方に参りました折にも、あるいはその他私的に地方団体関係者と会いました折にも、いろいろの点で聞かれるわけでございますが、それらの点二、三伺いたいと思うのです。  第一点は、順序不同に申し上げますが、遊興飲食税の積算の基礎がどうも貧弱県と申しますか、などにとりましては、少し何というか、きびしいと申しましょうか、あるいは地方側からみれば適当しておらないと申しますか、こういうことが言われているのでございますが、積算の基礎はどんなような点を標準にしてとられているのでございますか。
  22. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 原則として関係業態につきまして、法人税なり所得税の決定がなされております。この所得決定額を収益率で逆算いたしまして、売上金額というものを想定しておるわけでございます。これを基礎として基準税率を乗じ、遊興飲食税の税額を決定する、こういうことにいたしております。
  23. 加瀬完

    ○加瀬完君 この遊興飲食関係に従事しておる従業員を積算の基礎一つの標準にしておらない……。
  24. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 法人の経営しておりまする部分につきましては、料理店業とかその他の営業とかいうふうな区分がございませんので、やむを得ず従業者数を採用いたしております。
  25. 加瀬完

    ○加瀬完君 飲食税の標準がいろいろ変化をしておりますので、従業員数でやられますと、たとえば免税点以下の商売を主としておる店で免税点以上のものを扱いますと、その従業員の数というものは当然基準の中に入れられて計算をされるということになり、小さい料飲店というものがたくさんある団体、もっと申しますならば、免税点以下の商売をしておる飲食店がたくさんあるところでは、従業員というものをその点を考えてもらわないで、従業員の数だけでやられると非常に過酷になる、こういうことがいわれるのでございますが、これらの点はどんなふうに御考慮いただいておるのでございましょうか。
  26. 奧野誠亮

    政府委員(奧野誠亮君) 従業員数を使ってやりますのは、法人形態のものについてもそういう計算を行なっております。従いまして小県につきましてそれが特に過酷だということにもならないのじゃないだろうかというふうに思っておるわけでございますけれども、なお遊興飲食税の推定につきましては、今も申し上げましたように、国税の面におきまして必ずしも正確な区分が行われておりませんので、非常に困難を感じておるわけでございます。そういうところから毎年いろいろ改訂を加えまして、本年度におきましてはたしか温泉地関係の区分につきまして改訂をいたしました結果、若干府県間において異同が生じておるのでございます。異同が生じましたたびに一応正しいものに近寄ってきておるのではないかというふうに考えておるわけでございますけれども、なお今後いろいろ工夫改善をして行かなければならない点がこの問題につきまして多々あるだろうと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  27. 加瀬完

    ○加瀬完君 大臣に伺いたいのでありますが、直轄河川といいますか、ことに利根川などのような場合に、今まで地方府県に非常に負担金が多かった。これは昭和二十七年度以前の負担金については一応御考慮をいただいたわけでございますが、これの延滞利子と申しますか、これを公債の中に含めてもらいたいという希望が強いのでありますが、この点はどんなふうに御措置をしていただけることになりましょうか。
  28. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 財政部長からお答え申し上げます。
  29. 後藤博

    政府委員後藤博君) 延滞利子の問題は私よく存じないのでございますが、二十七年度以前のものの延滞利子ですか。
  30. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうです。
  31. 後藤博

    政府委員後藤博君) やはり私どもとしては、延滞利子も含めたものを、二十七年以前のものを全部含めて公募債にいたしたいと考えておりますが、私どもそれを含めないか含めるかという議論をしたこともございませんので、できれば含めたいというふうに考えております。
  32. 加瀬完

    ○加瀬完君 含めていただけると了解してよろしいのですね。できればということになりますと、その辺がどうなんですか、できる可能性の方が強いのでございましょうか。
  33. 後藤博

    政府委員後藤博君) 延滞利子だけ納めておるようなこともないと思いますけれども、ありまして不公平になるといけませんので、その辺のところを各府県事情を調べた上で、同じような状況であれば含めて行きたいと、かように考えております。
  34. 加瀬完

    ○加瀬完君 こまかいことばかり申し上げで恐縮ですが、公募債の点で、今までは八分九厘ですか、それが今度は何か七分三厘か六分八厘くらいの程度に変ったわけでございますね。これに対して岐阜県において住友銀行が非常に地方団体に便宜をはかったということで、銀行協会が申し合せをして、特に関東では一応その銀行間で申し合せをしてきめられた利子のほかに、地方団体に便宜をはかることはまかりならぬというふうなことをきめまして、せっかく銀行によりましては地方団体に便宜をはかろうとするところを、むしろ銀行協会という大きな力で押えておる。これは地方団体にとりまして非常に不幸なことなんで、一体大蔵省などはこれに対してどういう見解を持っておるのかということがいわれておるのでありますが、自治庁の長官はこの点について何かお聞きでございましょうか。
  35. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) やはり財政部長から……。
  36. 後藤博

    政府委員後藤博君) 岐阜県の問題につきましては問題は全部解消いたしました。これはお説の通り昨年の秋に銀行協会、それから日銀、大蔵省と話をいたしまして、従来の公募債の利子を下げたのでございます。従来は八分五厘でありました。八分五厘、五年というところで一応協定をいたしております。ところが金利がだんだん安くなって参りましたので、八分以内七年、こういうふうに直したものであります。ところが岐阜は財政力がございまして貯金が大体十億くらい本年はありまするので、預金を担保にいたしまして公募債を新しく三億ばかり住友銀行から七分三厘で借りたのであります。それが他の銀行に影響いたしますると全体の金利の問題まで発展するということで、大蔵省の一部と日本銀行等でいろいろ議論があったのであります。しかし一方また大蔵省の中でも理財局関係はわれわれと同じことでありまして、金利が下る傾向にあるし、財政力のあるところは下げるのが当然ではないか、こういうことでいろいろ折衝いたしました結果、まあ一応話がつきましてそのままになっております。さらに岐阜では本年の公募債以前の公募債、二十六年、二十八年の公募債から全部の公募債につきまして同じ条件でもって全部借りかえを完了いたしたのであります。この際には取引銀行の十六銀行も加わっております。そういう結果から見まして全部問題は解決したとわれわれは考えております。
  37. 加瀬完

    ○加瀬完君 関東地区において各関係の銀行が集まりまして統制をゆるやかにすべきでないという強い申し合せをした、こういう点御存じでございましょうか。
  38. 後藤博

    政府委員後藤博君) かつてそういう動きがありまして、八分の線を維持したいという程度のことはやっておるようです。しかし私どもはもう七分三厘がすでにできたのであるから七分五厘になってもよろしいし、八分以下のものが相当出てもいいのじゃないか、こういうふうに考えております。しかし銀行としてはなるたけ金利を下げないように、従来の公募債はある程度そのままで据え置いてもらうように、こういうふうな希望を持っておるとこりはあるし、またいろいろの会合で申しておることも聞いております。
  39. 加瀬完

    ○加瀬完君 長官は特に岐阜のようにそういう具体的な金利の引き下げができておるのにもかかわらず、特に関東地区あたりで、特に大きな銀行が多いのでございましょうが、強いそういう申し合せをしておる、こういう点について地方赤字の解消の一つのいい理由といいますか、原因にもなるわけでございますので、この金利の引き下げをある程度可能にするようにそういう申し合せは少くとも撤回するように大蔵大臣なり大蔵省関係なりに自治庁長官として御交渉といいますか、申し渡しと申しますか、そういう強い御態度をおとりいただけるお考えはございましょうか。
  40. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 地方債につきましての利子負担の大きいということは私の心痛しておる問題でございまして、ただいま部長から申し上げた事実に基きましても、なるべく公募債関係において利子の償還年限が延びていくことはけっこうと思いますので金利の負担の低下する意味におきまして大蔵省と交渉して実現を期したいと思います。なお公募債以外の政府資金についても同様な方式をもって進めていきたいというのが私の考え方でございます。
  41. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵省に関しましてもう一つ自治庁に強い態度で望んでいただきたいと思いますのは、やはりこの地方における赤字一つ理由になっておりますのが、起債の許可がありましても、結局現金化される期間というのが非常にその間長いのであります。つなぎ融資とかいろいろな金で金を借りなければならないということになるし、財政のやりくりにもむだな費用を要する、この点自治庁の方では非常に地方団体に御便宜をはかってくれていることはよくわかるわけでありますが、地方団体とすれば自治庁に、大蔵省が自治庁と同じ態度で起債関係についての手続を早くしてもらうようにしてもらわなければ結局困るということが強く私ども地方に参りましても陳情されるのでございますが、この点いかがでございましょうか。
  42. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 御趣旨の点はごもっともでございますので、大蔵省によくかけ合って実現を期したいと思います。
  43. 加瀬完

    ○加瀬完君 長くなりましたが、もう一つ最後に。  地方団体を回りますと、再建整備法を適用したいという希望が相当ある。ところが一方またいろいろ新聞紙その他世論でも問題になっておりますように、この整備法を適用した場合に相当地方自治というものに対して制限をされるのじゃないか。その制限の幅というものが一体どういうことになるかという具体的な問題になって参りますと、どうもはっきりしないという不満といいますか、不平といいますか、あるいは心配といいますか、こういうものをたびたび聞かせられるわけでございますが、再建整備法を適用される場合、具体的に地方自治体の運用上どんなようなことを考えておられるか、こういった輪郭でも近いうちに自治庁は御発表なさる御意思がございましょうか。
  44. 後藤博

    政府委員後藤博君) おっしゃいます通り自治体の中にはわれわれが想像する以上に再建計画なるものの内容につきまして、非常に窮屈なことになるという気持を持っているようであります。これは再建計画そのものをごらんになりますとわかりますが、ワクだけをきめる計画なのであります。ワクに従って予算を編成し借りましたところの起債の償還をしていくという計画なんであります。従って私どもは、そういう意味ではワクの中の仕事でありまするから、別にこまかい指示をいたすつもりはありません。大体公共事業はこの程度、単独事業はこの程度、消費的経費は大体この幅でいこう、人件費はこの幅でいく、こういうふうな大ワクをきめるだけであります。従って私どもは別に自治権そのものに触れるとは考えておりません。非常に窮屈になるという感じは、そのワクで何年か縛られていくということ自体にあるのじゃないかと思うのであります。しかし計画を立てる以上は一定方針でもってワクをきめてやはり償還計画を立てていくというのは当然のことである。昔から起債につきましてはそれぞれの償還計画を立てておったのでありますから、そういうものを作りましても、そうおそれたことはないのでありますが、一々こまかいことまで相談しなければならぬというような懸念があって、そういうことをやっているのじゃないかと思うのであります。私ども最近は、個々の団体から再建計画の内容につきまして議会方面から特にいろいろ話を聞きに参りますので、その点を詳しく説明をいたしておるのであります。別にこれはあらためて通達を出すとかなんとかいうことではないので、その辺のことは地方課長や庶務課長に詳しく私どもは申し上げておりますので、だいぶ最近では変ってきているのじゃないか、かように考えております。まあ、最近大体もう説明は終えた段階でありますので、事情によりましては、やはりおっしゃいますように、もっとこまかな説明をしてもいい、かと考えておりますのが、今のところ出す意思はございません。
  45. 加瀬完

    ○加瀬完君 一定のワクというものを抑えて、そのワクの中で計画を進めていかなければならないということはよくわかります。そこで問題はその一定のワクにあるのです。その一定のワクというのは、先日私どもに発表をしていただきました地方財政計画というもののワクというふうに考えてよろしいか、それよりも何パーセントか非常に切り詰めたワクというものを新しくお考えにならなければならないのか、その点はいかがでしょうか。
  46. 後藤博

    政府委員後藤博君) 財政計画そのものと関係は私は持つものでないと考えております、直接。ということは、その団体の財政の規模がございます。財政規模のうちで、財政構造を改善すべき点があるのであります。その財政構造自体の一つ一つを大きく分けまして、そしてたとえば投資的経費と消費的経費に分けて、そうしてそれぞれの大ワクを一応きめまして、そしてこの団体は消費的経費のこの部分を圧縮しなければ再建計画はできないのじゃないかというような指図等をいたしまして、計画そのものを立てるわけであります。従って大きなワクでやるのでありまして、財政計画そのものとは関係が別にあるわけではございません。もちろん歳入等につきましては、財政計画の歳入を基礎にしたものでなければならぬことは当然でございまするが、団体の財政構造によって府県市町村でも非常に違っております。従ってその辺をそれぞれの団体によってやはりあんばいしていくものと考えております。
  47. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは財政計画がそのまま地方におろせないということはわかります。しかし財政計画一つの性格なり、あるいは基準なりというものをおろしていってその地方なりに態容を整えたときに、それが一つのワクになるということにならなければ、私は財政計画を示した意味もないし、あるいは再建整備法を適用する一応の財政規模というものも全然、いわゆる心配しておられる自治体の運営をも事欠くというふうなことであってはならないと思う。ここが地方団体としては必配なんで、たとえば財政計画を示された、それならば給与費なら給与費の単価をとるにしても、あるいは定員の縮小ということを考えられても、その一応総ワクを押えるにしても、財政計画で示されたようなものを単位にしてやっていけばそれで切り詰めたと認めてくれるのか、全国平均よりははるかに低い給与費であるけれども、お前の方は給与費をまだ削らなければ赤字の欠陥を除去することができないからもっと切っていけ、あるいはお前の方は他府県に比べて低いけれども、もっと財政的な立場においては切っていけということになると、これは再建整備の適用を要した県は、あるいは市町村は、他の市町村、他の府県と非常に行政のサービスにおいて差を生ずるということになれば、今度は住民の不平というのも出てくるのじゃないか、そういう点がどうもはっきりわからぬ、こういうのでありますが、その点はどうでしょう。
  48. 後藤博

    政府委員後藤博君) 団体によりまして先ほども申しましたように、財政構造を変える場合に、消費的経費を中心に考えるか、投資的経費を中心に考えるかという問題になってきます。その場合にその団体は消費的経費を中心に考えて、仕事はしばらく休むということであれば、そういうことは再建計画も可能である、かように考えるのであります。しかし投資的経費を多分に要する財政事情があるので、そちらを中心にものを考えていくということであれば、消費的経費を落すということになる。消費的経費を落すとすればどこを落すか、まずそれは物件費から落すのは当然でありますが、物件費も落す余裕がなければ給与費で落していく、こういうふうな格好に順次なっていくのではないか、またそういうふうに指導していくべきではないかと考えております。
  49. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういうふうになって参りますと、これは地方団体というものの行政能率といいますか、行政力といいますか、それが非常に階段がついてくると思う。一応再建団体として出発させるには総合したところの予算というもののワクが、今言ったように消費的経費にしても、投資的経費にしてもこういうふうな基準で、こういうふうにあんばいをすべきだという一つの標準というものが示されていないとこれは相当無理といいますか、打ちころびのある行政形態というものが生じ過ぎてしまうのではないか、それらの点私はもっと具体的な、これは財政計画のときにお伺いしょうと思ったんですが、指導というものがなければ、実際やろうとしても、初め計画したことと、やり始めてからの予算の規模とが違ってしまうというふうに、どうも将来の再建法を適用した場合の形態というものについては、安心が持てないという心配がどうしても残ると思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  50. 後藤博

    政府委員後藤博君) 従来の型に二つあるのでありますが、一つは投資的経費を使い過ぎて足を出した団体と、そうでなくて消費的経費を非常に使って膨大になっておるために赤字を出した団体と二つあります。それぞれを見て少しはニュアンスが違いまするが、しかし従来の歳入で増税をしないでやっていく場合には、やはりどちらかを圧縮しなければならぬということになって参ります。その限りにおいては行政水準が落ちる、行政が落ちるということは考えられるのであります。しからばその行政が落ちないようにするためにはどうしたらいいかということになりますると、やはりその場合には歳入の方を考える以外に方法は私はないと思う。従ってその場合に初めて増税をするかしないかという問題が出てくる。増税もしないで従来の歳入をそのまま踏襲しながら経費を節減していくということになりますると、それは行政力というものは落ちて参る、これは当然ではないか、かように私どもは考えておるのであります。もしも行政の差を、市町村との行政の差をなくしようとするのであれば、赤字団体でありまするから、やはり歳入の増強をはかっていく以外に方法はない、かように考えるのであります。
  51. 松岡平市

    委員長松岡平市君) 御注意申し上げますが、これは重大な問題だと思うのです。私などもそのことについては幾多の疑問を持っております。これは十分論議しなければ、ちょっとここであなたの質疑応答だけで後藤政府委員の答弁を了承した形でしまうわけにはいかないと思う問題でありますから、一つこの問題はもう少し掘り下げる必要もあると思うので、時間も参りましたし、今日は決して政府委員の答弁で満足したのではないということで、一応その程度で次回に譲っていただきたいと思うのであります。  政府側に申し上げておきまするが、ただいまの問題のみならず、先ほどの税務部長に対する質疑応答の問題につきましても、これは他の委員もさようであろうと思うし、私も幾多のなお質疑をして政府の所見をただしたいことがあるわけでございまして、従ってそういう問題は今の段階においては、委員会において了承せられたものだとは考えておらない、かように一つ申し上げておきまして暫時体感をいたします。    午後零時十八分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕    ————・————