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政府委員(
奧野誠亮君) 根本的には、
地方財政は非常に困難な事態に立ち至っておりますが、いろいろな角度から考えられます案でありまして、この減収となるようなものにつきましては非常に消極的であったわけであります。特に事業税の
課税標準をどういうとろに求めるかということにつきましては、いろいろ意見の出て参っておるとこころでございます。昭和二十二年に
府県の独立税になったわけでありまして、この際から事業税の性格というものが
府県の独立税としての性格を持たなければならないようになったものと考えているわけでありまして、そういう
意味におきましては事業が行われておりますと、
府県としてもその発展のためにいろいろな施設を講ずるわけでございますので、事業はこれらの経費を分担すべきである。損をしておれば一文も分担をしない、もうかったときだけ分担をする、こういうことであっては困るのじゃないのだろうか。こういう
考え方をいたしているわけでありますが、たまたまシャウプ税制使節団が参りましたときに、これは付加価値額を
課税標準にするように改めようと、こういう意見もあったようであります。一度はそれが成文法になったわけでありますけれども、
課税標準を変えるということは、企業の
負担が大きく動いていくことにもなるわけでありまして、まだ基礎が確立していない際に、そういうことは妥当ではないという全体の
考え方から、結局一年延ばしに延ばしながら、二十九年でついに従来の事業税を存続するということに改めたわけであります。御指摘になりますような鉄軌道は、これは公共的な企業でありますので、国が大きく統制をしておるわけであります。料金も
認可制になっておるわけであります。こういうような料金の
認可制をとっておるものにつきましては、国の経済政策等から、料金をかなり強く押えて参りますけれども、そうだからといって、
地方団体の経費は一文も
負担しない、あるいは少ししか
負担しないでもよろしいということにはならないのじゃないか。その際には料金をきめる場合に
府県がどれだけ
負担するかということを計算の基礎に入れてもらう、その代り入れたものはそのまま
府県に支払ってもらう。こういうことから、これらの公共的な企業につきましては、一文も経費を
負担しないのだということは、
府県の独立税としての事業税の本質に合わないという
考え方を私たちは持ち続けてきておるわけであります。たまたま二十九年度に、
バス事業に対する事業税が、この外形
課税から所得
課税に変ったものでありますから、特に鉄軌道についても同様な措置をとるべきだという意見が強くなって参ってきておるというふうに
承知いたしております。その間に、
バス事業の租税
負担というものと、鉄軌道の租税
負担というものとは、必ずしも全部同じ形態ではきていないのじゃないだろうか。パス事業につきましては、
揮発油税とか
地方道路税とかいうふうな
負担があったりするわけでございますので、全面的に必ずしも同じじゃないのだから、事業税の
課税標準だけ必ず合せろというわけにもいかぬのじゃないか、こういうふうにも思っておったわけであります。もう一つは、
運賃計算が片方はキロ制、片方は区間制というような問題があったりいたしまして、形式上の完全転嫁ということになりましょうか、これは
バス事業よりも鉄道事業の方が、料金計算の問題でありますけれども、完全にいくのじゃないか。こういうことがあったりいたしまして、なお存続したわけでありまして、なおこの問題につきましては、衆議院の
地方行政委員会でもいろいろ議論がございまして、なお
研究することが付帯決議となってきております。