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1956-05-23 第24回国会 参議院 大蔵委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十三日(水曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員大矢半次郎君及び松野鶴平君 辞任につき、その補欠として酒井利雄 君及び館哲二君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡崎 真一君    理事            藤野 繁雄君            岡  三郎君            前田 久吉君    委員            植竹 春彦君           大野木秀次郎君            木内 四郎君            菊田 七平君            酒井 利雄君            館  哲二君            西川甚五郎君            野溝  勝君            平林  剛君            土田國太郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君   政府委員    大蔵大臣官房長 石原 周夫君    大蔵省主計局次    長       原  純夫君    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局法    規課長事務代理 中尾 博之君    大蔵省理財局長 河野 通一君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君    大蔵省銀行局長 東條 猛猪君    農林大臣官房長 谷垣 專一君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○租税及び金融等に関する調査の件  (凍霜害対策に関する件)  (印刷事業に関する件) ○会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出) ○連合審査会開会の件   —————————————
  2. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) これより委員会を開きます。  まず租税及び金融等に関する調査を議題とし、凍霜害対策に関する件並びに印刷事業に関する件及び通貨に関する件を問題に供します。  これらの件につきまして岡君に発言を求められておりますので、これを許します。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 国有財産の問題について継続して委員会大臣にお尋ねして参ったわけですが、やはり根本的な問題は、井上局長関東財務局長ですか、財務局長をやめて、あれば二十九年だと思うのですが、三カ月後において自分の部下であった小山内太兵衛、この人は関東財務局目黒出張所長ですが、この人との間において契約をしておることが一番重要だと思うのですが、土地七百三十坪を二百三十三万円で買ったと、この土地渋谷南平台で、私の調査によれば、これは渋谷一等住宅地であるということもわかっております。二十九年の当時の土地価格というものは一体どの程度であるかということも調査しておりますが、大体坪三千円というふうに考えられる。この払い下げ価格ですね、これは私はどこまでも不当だと思うのですが、大臣の見解を聞きたい。
  4. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 土地値段でありますから、むろんそこに一般的な評価もありますが、またいろいろと見方もあると思います。まあ当時としては、私の考えとしましては、当時私は特に立ち会ったわけでもありませんけれども、しかし当時の責任ある者としては、十分諸般の情勢を勘案をして、まあこの辺の値段ということであったというように私は考えておるわけであります。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 この程度値段というと、この三千円程度値段が出時であれば正当であったということを大臣は言明されたわけですか。その点はっきりしてもらいたいと思います。
  6. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) ただ私が申し上げるのは、まあ評価した人の考え方、立場を申し上げたんでありますが、その結果出ておりまするその値段は、先般私もここで申し上げましたように、あとから考えてみてどうも安いんだと、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 その非常に安いということは、これは不当であったというふうに断定してよろしゅうございますか。
  8. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 非常に安いということは、これはむろん適当な価格ではないと申し上げておる次第でございます。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 適当な価格ではないということは、これは不当な価格で払い下げたと、こういうように本員として受け取ってよろしゅうございますか。
  10. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それはまあ先ほどもそれらの点につきまして、私できるだけ当時の事情として、当事者は注意をもって判断したと思うんだが、結局また見方を変え、あるいは時日の推移からあとから考えれば安いんだと、こういうふうにまあなる、かように私は考えておるのでありますが、まあ当、不当ということになると、これは言葉の上のことになりますが、どういうふうな御意味かも判断しかねるのでありますが、私は適当ではないというのが、一番そういう場合に申し上げるのにいい言葉であろう、かように考えております。
  11. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ちょっと補足することをお許し願いたいと思います。ただいま大臣から……。
  12. 岡三郎

    岡三郎君 補足は要らぬのだ。大臣の言っていることが日本語としてあいまいだからただしておきたい。
  13. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ちょっとただいま大臣お答えになりましたお気持に、ただ多少事務的に補足をいたしたいと思いますが、御承知のように先般当委員会におきまして資料の御要求がありましたので、お出しをいたしたのでありますが、この資料の初めの方に、先般の委員会におきましてもお断わりを申し上げましたように、私どもとしては相当保留をいたしておるわけであります。すなわちこの土地につきましても、これは売り払いをいたしましてからすでに二年、その前からこの土地印刷局において借り上げておったというふうなこともございまして、土地状況等につきましても相当変化があったように考えられるのであります。その間の事情につきましては先般もたびたび申し上げましたように、ただいま取調べをいたしております。その資料検察方面相当まだ渡っておりまして、取調べ完結を見ておりません。従いましてこの価格につきましても、先ほども申し上げましたように、それらの変化のこまかい点につきまして、なお調査を要する面があるわけであります。そういう意味から、私どもといたしましては保留をつけて資料をお出しいたしたような次第でございます。また、会計検査院におきましても、別途その評価につきましては、ただいま調査を進められておるわけでありますが、私どもといたしましては、この処分が不当であったということを断定いたしますまでには、今申し上げたような点について十分調べをいたしまして、その上でこれは決定すべきことかと思うのであります。しかしながら、大体において今までの調べからわかりましたところでも、価格相当これは安いという点は、大胆がお答えになりました通り考えまして、先般四月十九日付をもって本契約は解除いたしまして、所有権はすでに国の方に返しておるような次第でございます。すなわち、これを不当処分であると断定いたしますまでにはなお若干の調査をいたしたいという気持をもちまして大臣お答えがなされておるのであります。会計検査院におきましても、また私の方におきましても、行政的にこれを調べておりますのみならず検察方面におきましては、いまだ資料を押収されまして、調べられておるような次第でございます。事一身に非常に関係がありますことだけに、この断定までにまだ調べをいたしておるということだけを、事務当局立場から補足をいたしてお答えをいたす次第でございます。
  14. 岡三郎

    岡三郎君 今、国有財産に返されたというふうに言われたんですが、それは土地のみならず、建物工作物、立木、全部ですか。
  15. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) さようでございます。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 それに対して井上義海氏に幾ら払われたんですか。
  17. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この契約を解除いたしますとすぐ支払金の還付の問題が起るわけでございますが、これにつきましては、大体現実支払いましたものに対しまして、すなわちすでに申し上げましたように、評価額はございますが、このうち最初に一部支払いまして、その後年賦額が払われておりますが、その金が延納利息を含めまして九十万円余りになっておりますが、これに対しまして支払期以後の利息——法定利息をつけて支払うことになるのでありますが、この支払いはいまだ済んでおりません。月下関東財務局におきまして計算をいたし、それらの手続を準備いたしておりますが、現実にはまだ支払いをいたしておりません。しかし契約はすでに行政処分として解除しておる次第でございます。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 それで井上義海氏は、この南平台の四十九番地の住宅からもう退去しておるわけですか。
  19. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 目下本人に対しましてすみやかに立ちのきを要求いたしておりますが、今のところまだ退去いたしておりませんが、これは厳重に督促をいたしております。
  20. 岡三郎

    岡三郎君 まだなかなか、事後処理をお急ぎになっているので、その努力は多としますが、しかし依然としてやはり、こういうふうな契約をした、それが発覚をしたためにそういう措置をとった、とらぬよりもとった方がそれはもちろんいいにきまっておりますが、やはり責任者立場として、こういうふうなことをしたということはなかなか許されないことだと思う。そこで今、大蔵大臣は安過ぎる、適当とは思われない、こういうふうに言われたわけです。それに対してまあ私の方からこれば不当である、払い下げ価格自体不当であるというふうに思っていいかといった御答弁が、まあ安過ぎるという言葉と、適当ではないという言葉になって現われているわけですが、私は何といっても、これはいろいろな事情がありましょう。建物の方については、もちろんその後において修築をして変化せられておるということの事情もわかります。しかし少くとも土地というものは、これを補修するといっても低いところを少し高めるという程度にすぎないので、これは腐るものではない。ですから私はこの前土地についてのみ価格を大体どの程度考えたら適当かというふうに資料を要求したわけです。検察庁の方で現在これを検討しておるといいますが、検察庁検討自体というものは私は別個だと思う。やはりこれは大蔵省自体国有財産を払い下げるときに確固たる資料に基いて計算をして払い下げておるということは、当然過ぎるほど当然なんです。当然そういうふうな関連において、基準によって払い下げた物件というものはほかに幾つもある。そういうものから総合しても、当時の二十九年の価格をその後において騰貴の係数で修正しても、坪三千円というのはこれは不当であるというふうに言い切るのに何ら私は差しつかえないと思うが、これは不当だというふうに解釈するのです。これは言葉をごまかさないで、やはり不当であると言ってくれればそれで済む問題であると思う。いかがですか。
  21. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) これはこういう意見につきまして、いろいろと御意見はあると思う。ただ私どもも必ずしも不当でないといりわけでもないので、今、諸般事情からまだ不当とまで断定する域に達していない。その点について先ほど管財局長からいろいろと具体的に御説明申し上げた通りでありまして、まあ私どもは適当ではない、安過ぎるというふうに、そこがだんだんといろいろの関係から調査を進めて、初めて断定を下していく、かように考えております。
  22. 岡三郎

    岡三郎君 順次検討されておるということもけっこうですが、まあ時間が相当たっているわけです。そんなにこの一つ物件に対して要素が私はあるはずはないと思う。一体どの点を今検討しているか、その検討している点をお教え願いたいと思います。
  23. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) その点につきましてお答え申し上げますが、まあ岡委員も御指摘になりましたように、国有財産処分につきましては、責任当局といたしまして万般の資料に基きまして適正な評価をいたすべきことは当然でございます。従ってその点から私どもとしては、独自にこの評価が適当であったかどうかという点について調査を進めておるわけであります。ただ検察当局と申し上げましたのは、当時の、以後の、この売り払い時前後におきまして、この土地並びにその地上の物件等につきまして変更を加えておるというその関係書類が、ただいまなお押収されて調べられておるということを実は申し上げただけでございまして、私どもといたしましても、それらの資料十分調査対象といたしまして最終的な判断を下したい、こういう意味で申し上げたのであります。決して検察当局調査によって私ども判断をどうこうという意味ではございません。どこまでも行政当局といたしまして責任のある調査をいたしまするが、その資料が今そういう状況になっておるという意味先ほども申し上げたのでございまするから、その点を御了解を賜りたいと思うのであります。  そこでただいまどういう点を調査をしておるかという点でございますが、これは山階宮から買い上げました前後におきまして、相当このがけ地平地との間の、がけ地平地にならされた、すなわち地ならし等の事実があったとか、あるいは防空壕が埋められておるとかいうふうな点が、土地としての形状変化の面になっております。そこで主として変化が多いのはやはり建物でございまするが、土地につきましてもさような点につきまして若干の変化があって、これらの点がただいま取調べ対象にもなっておるわけでございます。私どもとしましては、このがけ地平地、これが当時の評価におきましても、平地の約三分の一ぐらいの価格がけ地評価されております。これは少しその開きが大き過ぎやしないかという疑問も実は持っておりますが、それらの点につきまして、果してどういう状況であるかというふうな点につきましては、これば相当、この山階宮から買い上げをして以来というものは、相当の時間も経過いたしております。それでそれらの土地形状につきましての変化が、これが本人負担において行われたのであるか、あるいは役所の経費においてやったのであるかというふうな点も的確に把握をいたさなければならぬわけであります。これは売買契約を締結しました前及びそのあとと両方につきまして、それらの点につきましても、それぞれ客観的な資料をもちまして経過をあとづけておきまして、そうして最終的に結論を下すべきものと考えまして、ただいまそれらの点をやっておるわけでございます。時間が非常に長くかかりまして申しわけないのでありますが、この点は事重要な一身上の問題にも関係いたしまするので、建物の問題とあわせまして、どの程度にいわゆる有益費本人負担において出されておるかという点を実は中心に調べておる次第であります。これは、しかしながら相当程度土地建物が違うという意味におきまして、土地の点だけは資料を先にお出しをいたしたような次第であります。
  24. 岡三郎

    岡三郎君 私は納得できない点が幾つかあるのですが、そのがけ地がどの程度の価額にあるか、あるいは防空壕ですね、それぞれどの程度補修したのか、そういうふうな程度の問題をいつまでやらなきゃならぬのか、これは私の方としては納得しがたい。的確に判断するといって、いつまで待ったらば的確に判断できるか、現在のところはただ単にそういうふうに答弁をして事態を遷延さしておるだけだというふうに考えざるを得ない。それからもう一点は、この問題は重要な一身上の問題だ、それは重要な一身上の問題でしょう。しかし私は公私を混淆しちゃ困ると思う。そういうふうな態度だから国有財産払い下げ等が問題に私はなってきておると考える。すべていいかげんな売買契約をして、その契約をした当事者指摘されるというと、その人間に対する重要な一身上の問題であるからといって、当局がこれを庇護するがごとき態度を持つならば、いつの日にかこの問題が絶滅できるかということを、私は期待できないと思う。だからそういう点で公私を混淆しては私は困ると思う。あくまでも管財局は、国の財産というものを適正にこれを払い下げるならば払い下げる。そうして国民の指摘を受けないようにこれを保管するということ以外に私はないと思う。それがたまたまこういうふうに不当払い下げによって問題がはっきりしてきたものを、本人の身のためにならぬから、これをしばらく延ばしておくというふうな点は、私は首肯しがたいと思う。そういうふうに私は考えておるわけですが、とにかくこの土地を七百三十坪を二百三十三万円で払い下げたということは、およそこれは不当であると思う。大蔵大臣は適当でないと思う。こんな答弁で私はごまかされませんよ。もしもそういう言葉でお逃げになるというのなら、私は国有財産に対する責任者としての答弁じゃないと思う。坪三千円、二十九年の当時にしても坪三千円で渋谷土地が買えるものかどうか。これは子供だって私はわかると思う。従って私は不当という断定をしているわけですが、大臣はどうなんですか。
  25. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私がここで御意見のように不当だと言わないので、何だか……。
  26. 岡三郎

    岡三郎君 責任回避をしている。
  27. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) はっきりしない、かばっているような、あるいは公私を混淆しておるかのような御印象があるかと思うのですが、決してさようでないのです。私といたしましては、この国有財産処理についてかようなことが起ったことにつきましては、これはもうほんとうに責任を感じております。同時にまたこれをやった者が悪いとなれば、その責任を追及するにいささかも私はちゅうちょするものではありません。ただそうするのには事柄事柄で、特に刑事的な問題にまでなってきておりますから、慎重を期したいというだけのことであります。まあ慎重々々と言って長いではないかという御意見もあるかと思いますが、これはまあ具体的な実際のことで事務当局から先ほど御説明申し上げましたように、いろいろとやっておりますが、私としてはそうういうふうな結果を待って判断を下さないと、これまた一身上関係するから、かように考えておるわけでありまして、決してこれをいつまでも不当でないというのでもありません。資料をそろえて事務当局からもこういうわけであるというような報告があれば、私も十分な判断を加えて、かようなことであるということを申し上げることができるかと思うのですが、事務当局から皆さん方に御説明申し上げた通りに私も説明を受けておるわけでありまして、それでまだ不当というところまで判断を下すところまでなっておりませんのは遺憾と存じております。しかし私はこういう事柄について、みな自分責任について回避するものじゃないことは重ねて申し上げておきます。
  28. 岡三郎

    岡三郎君 責任を回避するものではないと言われたわけですが、まあ不当となった場合にはそういうふうにお考えになっておる。私はそういうことも重要だが、やはりこういうものについてはすみやかに決断をして、そうしてやはり自分の所管している国政に対して疑点のないようにするのが、私は大臣として一番重要だと考えるわけなんです。つまりこういう問題の取扱いがあいまいであればあるほど、時間をかければかけるほどよくなるものだというならば、あいまいになっておるのかいいんだ、これが国家のためになるのたというのならば、私は大臣態度も首肯できると思うのですが、そうでないと思うのです。ですから常識的に考えてもわかり切っていることを、事務当局がまだこういう問題がある、まだこういう問題があるといって漸次日を延ばして、しかももう長期にわたって調査をされておる、こういうふうになっておるので、いつまでも不当という文字を回避しておるというのではないと大臣は言っておりますが、そうするとこれは正示管財局長の方が職務怠慢だということになると思うのです。その点はどうですか。
  29. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) まことに時間がかかっておりますことにつきましては、私も申しわけないと思うのであります。ただ先ほど来申し上げましたように、最終的な私どもとして判断を下しますまでに、調べるべきところは調べ、明らかになっていない部分のないようにいたしたい、これが私どもとして心がけておる点でございます。公私を混淆するようなことのないようにというお言葉はつつしんでちょうだいいたしたのでありますが、もとより私どもとしてさような考えを持っておるわけではございません。はっきりとその点は区別をいたしまして、この処分はどの程度にいわゆる安過ぎるかということを最終的に出しますまでには、一切の材料をよく調べまして、その最終的な結論出したいというだけが私どもの心がけておるところでございます。時間がかかっておるじゃないかというおしかりでございますが、一つ判断を下すに当りまして、なお調査を要すべき点を調査せずしてやることは、これは申しわけないことだと私は思うのでありまして、この点はおしかりを受けましても最終的な結論を下しますまでには、調べるべきところを調べるという態度で臨むべきだというかたい信念を持ってやっております。
  30. 岡三郎

    岡三郎君 かたい信念はよろしゅうございますが、それでは国事が渋滞いたします。それは国に対して官吏としてそのような職務の執行のしぶりというものは許されない。いかに調査するとはいっても、これは人をばかにしておることであって、こうしたような物件について二カ月有余の調査をするということは、これは怠慢ということではなくして、それは仕事を放棄しておるとしか私は考えられぬほど時間がかかっておる。一体直接今担当しておる、調査をしておる人はだれですか。
  31. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 私の方の係もみずから出ておりますし、関東財務局が直接の責任者として調査をいたしております。
  32. 岡三郎

    岡三郎君 そうするともっと直截に聞きますが、いつ終りますか。そのくらいの目安は立っておると思いますが、いつ終りますか。
  33. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは私といたしましては、先ほども申し上げましたように、一切の資料を私どもの方にお渡しをいただきまして、それによって最終的な結論出したいと、かように考えておるわけであります。
  34. 岡三郎

    岡三郎君 そうするというと、検察庁書類が行っておるので、それは検察庁の全部の調査が終ってっから出すということなんですか、こういうふうにしか解釈できないと思いますが。
  35. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答えを申し上げますが、この点につきましては、責任者といたしましてできる限りすみやかに、これは国会におきましてたびたび御質問もいただいておりまするので、資料等差しつかえない限り具していただきたいということはたびたび連絡をとっております。それらの資料につきまして、私ども十分調査を経たという段階におきましては、検察庁結論とは別問題に、私どもの方が調査完結をいたしましたときには最終的な結論出したい、こういう気持でなお努力をいたしておるわけであります。
  36. 岡三郎

    岡三郎君 これは大臣にお聞きしますが、今お聞きになっておる経緯から考えても、事務当局はまことにスローモーションだと思うのです。これではとても数多き国有財産の管理は私はできぬと思う。七百三十坪の土地を、書類がない書類がないと言って、書類なんかなくったって私はできると思うのです。当時の売買書類がどうあろうと、客観的に見て、かりにあとで計数を補正するにしても、不当であると言うくらいは私はできると思うのです。根本的に新しい一つの条件が出てきて、根本的な価格をくつがえすような材料が出てくるならいざ知らず、そういうようなことは私は想定されないと思う。でかい穴がうんとあいて、そうして土を方々から運んでやったとも思われぬし、傾斜しておる土地を全部ならしたというふうにも考えられぬし、かりにそれをしたとしても、坪三千円程度の金でこの土地は費えるものではない。そういうこともわかるはずです。それにまだいろいろな事情調査をするというようなことは、これは一時のがれの言葉にしかすぎぬと私は思う。私は大臣にあらためてお伺いしますが、事務当局を督励していつまでにこの断定を下すのか……。
  37. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 委員長ちょっと……。
  38. 岡三郎

    岡三郎君 いや、大臣にお聞きしておるのです。大臣はいつまでにこの処置をとるつもりか、その点をはっきり一つ……。
  39. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 委員長ちょっと……。
  40. 岡三郎

    岡三郎君 いや、大臣に聞いておる。もう二カ月以上かかっておるのにいつまでにこれに対する断定を下しますか。
  41. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) できるだけ早く……。
  42. 岡三郎

    岡三郎君 できるだけ早くなんて、そんなのはだめですよ。そんなのは私は受け取りませんよ。人をばかにしておる。そんなばかなことはない。
  43. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) まあ今回のこの事件にいろいろ御心配に相なっておるということは私もよくわかりますので、ある意味においてありがたく思っております。これは先ほどからもたびたび申し上げますように、二年前の書類のことでもありますし、またまあデリケートなといいますか、そう簡単に断定を下しがたい。またその断定いかんが……むろん私どもとして独自の見解を持つことは当然であります。それはいいのでありますが、そのまた断定は刑事の方にも関連を持ってくるだろうと思うが、いろいろの関係からやはりそう簡単にともいけない。事務当局が慎重を期して判断しようというのも私はよくわかるのです。ただしかし、どういうふうに、お説のようにまあ限られた現象、また限られた条件下にあるのであります。そう長くまたあれするというのも適当でないと思います。従いまして、一つなお重ねて事務当付から、今日までこれは国税庁ですか……、関東財務局の方でやっている。それで私、場合によっては直接に当って、よく事情を聞きまして、できるだけ早く何らかの結論を私は与え得るような材料を請求するようにいたしておきます。
  44. 岡三郎

    岡三郎君 御存じのように会期は六月の三日です。これはもう大臣御存じのことと思う。そうすると私の方からの要望としては、六月の三日ではこれはおそきに失する。だから少くとも常識的にお考えになって、来週の早々ですね、もう来週で終るわけですから、ですから来週の早々この資料出して、そして判断をつけなきゃいかんと私は思っているわけです。来週早々大臣の方としてはその取調べを完了して報告いただけますか。
  45. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 委員長……。
  46. 岡三郎

    岡三郎君 私は大臣に聞いているので、正示君に聞いているのではない。それはちょっと無理だよ、大臣に……。
  47. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) それはよく事務当局から事情を聞きましてお答えを申し上げます。
  48. 岡三郎

    岡三郎君 私はそれはまことに委員を侮辱していると思うのですよ。それは大臣は今の御答弁の中で、限られたる範囲の条件ですから、至急これをしなければならぬとも思っておるというふうにお答えになっているわけです。至急ということはすみやかということですから、またあした出せと私は無理な注文を出しておらぬのですから、かすのにあと一週間あればいいだろうとか、あと五日あればいいだろうとか、こういうふうな御返答をいただかなければ本員としては納得できないのですよ。その間のことを考え一つ時日を明示してもらいたいと私は思います。(「いいじゃないかわかっていることだから」と呼ぶ者あり)いや、大臣に明示してもらわなければ私はわからんですよ。
  49. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほどからたびたび申し上げますように、できるだけ早く判断をいたすべきであるということはもちろんのことであります。ただするのには客観的な事情調査しなければなりません。このことは実際どうなっているのか、どの程度どうなっているのか、何かそれをとくと事務当局を呼んで、その上でそれならいつごろまで、それならこの辺まで話があれば、事がいっているならこうなるだろう、それをきめてお答えしよう、こういうわけで、今自由にそれならいつまでに返事をしようと言うことはできないことであります。(岡三郎君「そんなことはないと思う」と述ぶ)ないとかあるとか、これは具体的な調査事柄でありますから、私も注意を、いつごろまでしようと言って私一人引き受けてもどうにもならぬ、こういうふうに考えております。
  50. 岡三郎

    岡三郎君 私一人では、どうにもならぬというそういう言葉を伺うのは、私はおそるべきことだと思う。驚くべき言葉ですよ。大臣自分調べてこれはおかしいとお考えになっているわけでしょう。適当でないと思っている。だから適当でないという点については、今まで事務当局の方で調査してきておるわけなんです。ただその書類検察庁云々ということにして事態を遷延しているだけですよ。ですから係官というものが調査しているわけだ。しかもこれが膨大な何十万坪というものだったらこれは別ですよ。七百三十坪なんです。一坪ずつ調査したって幾時間もかかるものじゃないと私は思う。ですから、そういうふうなことを言わずに、やはりすなおに大臣の方からやはりこれは適当でないという言葉があったんだから、これは至急係官を呼びよせて、管財局長の方に時日を明示して、君、これこれまでにやりたまえと、これが大臣としての職権であるし、大臣としての責任であろうと私は思う。管財局長はぬらりくらりと答弁して逃げて、このことをぼやかしておこうというふうに私は判断しているわけですが、それでは私は困ると思うので、大臣に対して、一体何を調査するのかということも大体わかっているはずなんです。だから国会がもう終末期に近づいておるわけですからね、何月何日にそういうことをやりますと言うことは私は当然だと思うのですよ。当然だと思いませんか。この点どうですか。大臣責任として、こういうふうな国有財産の払い下げということはこれは非常に困ったことだ。従ってこれは早く解決して、国民に対する疑問を解消せにゃならぬ。これは大臣としての当然の私は言葉だと思う。そのためにはすでに時日もずいぶんたっておる。だからもう決断をする段階にきておるということを考えて、何月何日までにそういう問題についてお答えいたしますと、こういうふうに言ってくれれば、私は法案の審議その他も非常に進捗すると思うのですがね。それが非常にこの法案審議の渋滞をきたしている根本原因になっていると思う。ナマズ問答をしているつもりは私はありませんから、何月何日までということを一つ責任をもってお答えを願いたい。できないというならば、できないということをもう少し明確に言ってもらいたいと思う。今の大臣の抽象的な言葉では私は納得ができない。これだけ言って、私は明言してもらいたいと思う。
  51. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 私が申し上げるのは、今御要求の何月何日まで、に返事をするというそのことを言うために、一体そういうことを言えるか、どうかを一ぺんとくと相談したその上でと、こう申し上げておるのであります。  なお本件については、先ほど私、適当でない、かように申し上げておきました。適当でないので、先ほど管財局長から御答弁申し上げましたように、この契約も解消いたしまして、できるだけ原状回復といいますか、適当でなかったことを、あとからではありますが、補正もいたし、幸いに今度、これを処分自体が不当であるかどうかというところに質疑が出ておるのであります。それが一つ不当であるかどうかということになれば、またいろいろと問題もありますので、さらにいろいろと調べて、その上で適当なる処置を考えたい、かように考えております。決して私どもが本件について怠慢であるということはあり得ないと思います。できるだけ契約の解消もいたし、不適当なところはなるべく適当になるように、原状に復するように、不当か不当でないか、これはもう一番根本の重要の問題であります。これはいろいろと問題があって、また先ほど申しますように検察庁でもお調べ願い、いろいろのところで調べておる。それで私どもも適当に調べつつ判断をしたい、かように申し上げておるのであります。
  52. 岡三郎

    岡三郎君 まあ適当でないという言葉は、別の言葉で言うと不適当という言葉になると思うのですが、その点大臣はどうですか。適当でないというのは、言葉をかえて言えば不適当である、この物件の払下価格は不適当である、こういうことになると思うのですが、その点はいかがですか。そうでしょう。それは違うとは言えぬと私は思うのです。適当でないということは、不適当であるというふうに言われることは当然だと思うのですが、不適当だということでよろしゅうございますね、大蔵大臣
  53. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 先ほどから言いますように、この不適当という言葉は、まあ適当とか不当とか……、これはいろいろと用語上の解釈があると思うのですが、私が不適当と申し上げましたのは、値段がどうもあとから考えてみると安過ぎる。その点は不適当だと考えるのです。安過ぎる、こういうところ。しかし値段がどうも安過ぎたとあとで感じがするが、それがこの処分行為全体が不当であるかどうかというような点については、いろいろと全体を調査いたしまして、そしてそういう値段もやはり私どもは不適当と思うが、ほんとうに不当であるかどうか、もう少し調べてみたい、かように申し上げておるわけであります。
  54. 岡三郎

    岡三郎君 どうも大蔵大臣の三百代言的な答弁は納得する者がないと思うのですが、不適当である、というところまでおっしゃったわけですね。不出と不適当とは、そのまん中の適という字だけを取ったわけですが、それを取るかどうかということです。不適当であるというところまで言明があったか、あと不適当の適を取れば不当になるのです。不適当と不当との違いというものは、私これからよく研究したいと思うのですが、(笑声)とにかく安過ぎるということも御明言になっておられる。客観的には、この安過ぎるというのをくつがえす材料は今後出てこぬ、これは断言しておく。だから大臣が不適当であるという言葉を不当であるというふうにお直しになる時期はいつかというのです。それはいろいろと調べてみにゃわからぬ、こういうふうにお答えになってきたわけです。しからばもう一ぺん管財局長と相談せられるというのですか。本日中に御相談あって、その返答を次回の委員会までにお聞かせ願いたい、こういうふうにお願いして、次回に適の字をめぐって十分に検討されると思うので、(笑声)この点一つ大臣の方としてはよろしく、善処をしたいという言葉を賜わりたいと思うのですが、大臣の御返答を聞いて、そのいかんによって私は質疑を打ち切ります。
  55. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) なるべくさようにいたしたいと思います。
  56. 岡三郎

    岡三郎君 そのなるべくということでは私は困ると思うのです。これは冗談らに私はやっているのではなく、もう幾回かこの委員会でやってきているわけです。こういう状態では私は審議を十分尽されぬと思うのです。委員長の方で大蔵大臣にもう少しはっきりした答弁をもらっていただきたいと思う。こういう形では審議はできないですよ。なるべくなんという言葉でごまかされたのでは、私は何度質問しても尽されぬと思うのです。(野溝勝君「大臣に言ってもらわぬと困る、次回までにというこちらは寛大な要求をしているのでしょう」と述ぶ)次回までにそれをやってもらえるかどうか、どうなんですか。
  57. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 言葉づかいのことで恐縮します。次回までに返答しろということですが、次回までに返答いたします。
  58. 野溝勝

    ○野溝勝君 簡単に、私は質問というよりはむしろ意見の方が多くなるかもしれませんが、御了承願いたいと思います。特に本日の議案と直接関連してはおらぬようでございますが、財政金融との関係が間接的にあり、且つ緊急の問題でありますので、実は大蔵委員会におきまして委員長の御了解を得て取り上げていただいたわけでございます。  最近問題になりました凍霜害に対する件でございます。北海道を除く全国的な凍霜の被害でございますが、先月二十九日、三十日、さらに五月十六日における追加雪害等が重なりまして、全く昭和二十八年以上の被害をこうむるに至りました。私は素直に申し上げますが、大臣にこの点を一言聞いておきたいと思うのでございます。まず、この被害に対しましては、農林当局を初め、大蔵当局等にも相当に陳情があったと思うのでございます。その点についてはお聞きになっておるかどうかという点を一つこの際お伺いしておきたいと思います。
  59. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大体聞いております。
  60. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこで、その被害が二十八年以来の被害であるということもお聞きになったということでございますから、私は詳しくは申し上げません。特にひどかったのは長野県、群馬県、山梨、埼玉、福島等を中心に大被害があったのでございます。そこで、三十一年度の予算を見ますると、農林予算というものは、昭和二十八年の千六百八十億、三十一年度におきましては八百九十億足らずであるのでございます。その内容を分析すれば、補助政策はほとんど打ち切られております。昨年が豊作だというわけで補助政策から融資政策に転換されております。こういう点では河野君の農林行政に対する見識を非常に疑うものでございます。しかしそのことより、この現実の凍霜害にあった哀れな農民に補助政策を打ち切られ、融資政策と言いましても、大した費目もないのでございます。かようなときに、昭和二十八年以来の大凍霜害にあった農民の真剣なる陳情、要請に対して、特に財政当局でありまする大蔵当局といたしましては、予算的措置をどういうふうにやろうとお考えになっておりますか、その点をお伺いしたいと思うのであります。  さらに、そのお伺いをする刑に、農林当局、特に凍霜害担当の官房長が参られたようでございますが、農林当局は、この霜害、凍害等に対する被害の陳情、要請に対して、一体どういう案を立てて大蔵当局と折衝しておるのか、この際、所見を承わっておきたいと存じます。先に農林当局の方から……。
  61. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 今、御質疑がありましたように、今度の四月末から五月初めにかけました凍霜害はほとんど、北海道を除きます全国的に降霜を見たのでありますが、特に東北の一部、それから北関東、それから東山、いわゆる山梨、長野、岐阜、それから東海の山寄りの地、さらに近畿の諸県におきます特殊作物等の被害は非常に甚大でございます。ことに桑、麦、果樹、バレイショ、茶等、相当に激しい被害を受けております。二十八年と匹敵いたします。ものによりますと二十八年のものよりも被害が大であるというような状況でございます。特に被害が起きました直後に私たちが調べました状況よりも、その後麦の凍害が一週間ほどたちました現在におきまして調査をいたしましたところによりますと、ふえております。そのようなわけで、ほぼ百億をこしまする被害と推定をいたしておりますが、これは二十八年の大凍霜害の当時の被害額と匹敵いたす大被害であると存じます。で、私たちの方といたしましては、この被害が今年度の天気予報その他から考えまして、降霜の心配があることを予知いたしておりましたので、四月の初めくらいから各県にそれぞれ連絡をいたしまして、霜害の予知、予防策、並びに霜害が起きました場合における緊急的な対策というものを指示して参っております。ところがこれらの措置をいたしまして、また農民各位も非常に努力をされたのでありますが、その結果といたしまして、なおかつこれだけの被害が起きておるような現状でございます。農林省の方といたしましてはとりあえず……。
  62. 野溝勝

    ○野溝勝君 大蔵当局との折衝のことを主に答えて下さい。
  63. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) とりあえず放出肥料その他をやりまして、あるいはまた、つなぎ資金等の措置をとったわけでありますが、その後被害額が判明いたしましたので、これに対しまする措置を大蔵当局と協議をいたしておる段階でございます。このたびの被害に対しましての営農融資の方法といたしまして、天災に伴いまする被害農家に対する融資の暫定措置法がございます。これの適用をいたして参りたい、これらにつきましては、二十八年来の災害におきまして、すでに償還期限がきておるけれども、なおかつ十分な、連年災害のためにその償還が不十分である、償還がなかなかできにくいというようなものについては、借りかえ等の措置をとるようにいたしまして、この営農資金の法律を適用いたしたいと考えて、大蔵当局と金額その他の点につきまして折衝をいたしております。
  64. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  65. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記を始めて。
  66. 野溝勝

    ○野溝勝君 これは各党超党派の問題でございまして、先般衆議院の農林委員会におきましても全会一致で決議がされております。    昭和三十一年四月及び五月の凍霜害に対する決議   政府は、このたび北海道を除く全国の各地に発生した凍霜害が、各種の農作物に対し二十八年のそれに劣らない損害を与えた事実に対処し、農家をその窮状より救済し、今後の生産を確保するため、左記各項に基き、速急にこれが対策を樹立実行すべきである。     記  一、被災農家に対しては、「天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法」の適用により、速に経営資金の貸付を行い、併せて利子補給、損失補償等の措置を講ずる。被害の特に著しい農家に対しては、政令による地域指定を行い、貸付利率を三分五厘とする。償還期限は五年の範囲内で出来るだけ、長期とする。    尚、累年災害を受けた農家に対しては、本法により借替資金を貸付ける。  二、被害をうけた開拓農家に対しては、別項による経営資金の融通措置を講ずるほか、生産資金の貸付等特別の措置を講ずる。  三、農林漁業金融公庫から農林漁業資金を借受けているもので今回の凍霜害によりその償還が困難となつたものがあるときは、公庫をして償還の猶予措置を講ぜしめる。  四、再生産確保のため、次の如く予備金より支出する。補助金の使途、交付の方法等については、被害の実体に応じ、弾力的かつ総合的に定め、補助金支出の目的を達成するに努める。  (1) 樹勢回復用肥料代    桑、茶及び果樹に対する肥料所要量の二分の一(開拓地に対しては三分の二)を助成する。    肥料所要量は桑及び茶については、反当平均七〆五百匁(硫安換算)とし、果樹については、これに準ずるものとする。  (2) 病虫害防除用農薬代    桑、茶、麦、馬鈴薯及び果樹に対する農薬所要量の二分の一を助成する。  (3) 蚕種については晩秋蚕掃立卵量の蚕種代の二分の一を助成する。  (4) 稚蚕共同飼育及びその施設(共同桑園を含む)に必要へ経費に対し助成する。  (5) 水稲苗代に対しては追播用種もみ代又は購入苗の輸送費に対し助成する。  (6) 凍霜害予防のため重油等燃料を消費した農家に対しては、特にその経費の一部を補助し奨励措置を講ずる。    尚、そさいについては災害対策用予備貯蔵種子を速かに放出させる。  (7) 森林の被害に対し必要な経費を助成する。  五、技術指導強化に要する経費として次の如く予備金より支出する。  (イ) 蚕業技術員及び農業改良普及員に対し特別指導手当を助成する。  (ロ) 繭の減産により給料の支払の困難となつた組合等に対し蚕業技術員の給料を補助する。  六、統計調査職員及び農業共済団体職員に対し災害調査活動費を予備金中より支出して増額する。  七、農作物及び蚕糸の凍霜害に対する試験研究調査費を予備金中より支出して増額し又は助成する。  八、被害農家に対し速かに共済金の仮払いを行わせるため農業共済基金より農業共済組合連合会に対し仮払資金を融資するに必要な財源措置を講ずるとともに所要の利子補給を行う。尚、春蚕の掃立不能及び九割以上の被害農家に対しては農業共済再保険特別会計より早期に概算払いを行う。  九、政府は、被害農家に対し不足食糧を売渡し、その代金の延納措置を講ずる。  十、凍霜害予防対策として、農業気象通報連絡員の設置及び気象観測器具の購入に必要な経費の補助並びに重油等燃料の燃焼装置、重油予備貯蔵、土地条件の改善整備等に要する経費の助成を行う。  十一、桑、茶、麦等の事業地帯にあつて潰滅的打撃をうけ他に現金収入のとぼしい農家に対しては救農土木事業を実施しこれを救済する。  十二、葉煙草耕作者に対する災害保障を速急に実施する。  十三、災害農家については申請による予定納税額の減額等所得税の減免措置を講ずる。  十四、被害都府県及び市町村の今次災害による税収入の激減と支出増加に対処し、地方特別交付税及び起債の特別措置を講ずる。地方財政再建促進特別措置法による地方公共団体は別途対策を樹立する。  こういうような決議までされて、非常に強く要求されておるのでございますか、今、農林当局の御意見をお伺いしますると、まだ折衝中だという谷垣官房長の答えでございまするが、頼りないと思うのでございます。かような緊急課題に対しましては、もちろん閣議決定によってできるのでございまして、特に農業保険の問題につきましては、もちろんこれは概算払いで出すとか、あるいはこの災害に対しましては、天災による被害農林業者等に対する資金の融資に関する暫定措置をどうするとかいうようなことが具体的に話をされておると思うのでございますが、そういう点について一つこの際、もっと具体的に交渉しておったのかという点を、まだまとまらぬでもよろしゅうございますから、その点についてまた大蔵当局はどんな意向を持っておるかということを、この際お二人の中から御回答願いたいと思います。
  67. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 今回のこの凍霜害につきましては、非常にこの被害が甚大でありまして、まことに御同情を申し上げるわけであります。従いまして大蔵当局、政府といたしましては、やはり迅速に対策を立てて、そうして農家にも不安がないようにというふうな方針でございます。従いまして予算措置を要するようなものにつきましては、予備金を出してすみやかにこの処置をするつもりでおります。大体で申し上げますれば、二十八年のやり方のようになる。が、しかし二十八年度にはこの補助金の使い方等、まあ個別的農家の救済的な点がありますから、会計検査院指摘されたようにいろいろおもしろくない、かつまた個人的経営とか、個人的資産の損失分に対して国家が補償するというようなことは、他の災害との関係でいえば非常に問題も多いのであります。が、しかしまあ当面は私いたし方がないだろうと思う。大体二十八年度でいって、今申しましたようなところは、しかし根本的に今度はまたこういう機会に考えていかなければならぬ、凍霜害と言いますが、それで、これはいかにも災害というように言いますけれども、ずっと見ると、もう累年こう出るような感じで、こういう点はやはり……。これはまあ特に蚕の桑の方の関係で、養蚕などの飼い方が、夏秋蚕に移す方がいいとかいうような問題がありますので、そういうような点を考えて、あるいはまた御指摘の保険制度、農業災害補償制度、これは私はああいう災害があれば、ああいう保険的なものがまず早く出て、そして営農資金とかいろいろな資金を借り入れていって跡の始末をしていくというような、何か私は根本的に一つこの機会に考えてもらうということを一応御了承を願って、当面の処置としてはまあ二十八年度のようなやり方でいく、かように考えております。
  68. 野溝勝

    ○野溝勝君 大蔵大臣といたしましては、日本銀行総裁当時から、蚕糸問題、特に凍霜害等の問題を通じまして非常に心配をされたり、経験もあることなのでございますので、私は詳しいことは省略いたしますが、何としても養蚕問題を中心に麦、果樹、その他一切の農産物の被害、特に今回は、二十八年と違う被害特徴は、谷垣君も御承知のごとく追い打ちを食ったことなんです。十六日の雪害の追い打ちを食ったことは、昭和二十八年当時の霜害よりは悲劇の累績で非常に悪いと思うのでございます。大臣、この点は御了承願っておきたいと思います。そういうようなわけで、全く農業の被害は目も当てられぬと思います。それで特に土地改良その他、開墾開拓事業等に対する従来の融資に対する償還の延期の問題、これが一番当面の問題です。それから農業保険の概算払いの問題、それから租税減免等の問題、現金収入措置の問題、こういう問題については、昭和二十八年当時と同じようなやり方を、政策、施策の上でやるというような御意見でございますけれども、十分折衝されておられるんですか。その点をはっきりしてもらいたい。なお、二十八年といいましても、五月十六日の雪害は二十八年当時と違って、より一そうひどいものでございますから、さらに二十八年当時の施策以上にそういうものを考えられて、今後の対策としてやられるつもりでございますか、その点一つ承わりたいと思います。
  69. 谷垣專一

    政府委員(谷垣專一君) 農林省といたしましては、今の御趣旨のごとく、二十八年に匹敵する、あるいはまたそれ以上に融資等において考えたい、かように考えまして、大蔵当局と折衝しております。
  70. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 大蔵省としても同じに考えております。
  71. 野溝勝

    ○野溝勝君 最後に一つ大臣のおられるところで、私は農村が今回の霜害に打ちのめされた悲劇の文書を読み上げて、特に農村の一断面を御参考に供したいと思います。これは長野県上伊那郡伊那里村の伊東忠嘉さんという農民からきた報告であります。   霜害に打ちのめされた長野県における農村の近況を御報告申し上げまして、これが対策に万全をお願ひいたしたいと念願する次第であります。   去る四月二十九日、三十日の異常気象により農作物は大きな凍霜害をこうむりまして、苗代、保温折衷苗代の除紙の直後にて零下の水温のため凍害を受け、葉は黄色くなり、発育に大きな影響を与へ、植え付けの時期のおくれること以上に稲作の発育を心配すると同時に、今年度の収穫に影響すること大であると予想いたします。   なお桑樹、果樹等発芽いたしたところをやられ、並びに開花の時期をやられ、全く無惨なものです。桑樹は凍害がひどく一たん出た芽はまっ黒になり、再発芽を待ってその成績にのって春蚕種の掃立量を決定しようと待っているわけですが、いまだに再発芽を見ず全然計画が立ちません。樹勢の回復用として速効性肥料を相事量施したれど、凍霜害があまりにもひどかった。水分の多い桑樹は凍り、樹勢が衰へ、そのため根まで弱り、果ては枯死も免れず、夏秋蚕にもはなはだしき減収はもちろん、来年度以降にまで影響いたすことは免れがたいと思います。   右のような、実にあわれなる状態でありまして、農民の生活に一大恐怖をもたらすのであります。この農民の心中御察しの上一刻も早くこれが対策を御願いいたしたく状況報告とあわせて御願い申し上げる次第であります。   ところがまたまた昨夜(十五日)から十六日朝にかけての冷雨とともに雪降りと化し、全農作物は雪をかむり、これこそ打ったりけられたりで、大凶年であることは必然でありまして、そのあわれな作物の姿を見、心痛しながらこの手紙をしたためたわけです。農作物を雪で包まれたこの姿、このあわれな姿を一目なりとも見ていただきたいと思うくらいです。   何とぞよろしく、これが対策に御努力のほどをお願い申し上げます。  以上のような次第でございます。時に今の日本が財政上に非常に窮通な状態であることもよく私どもわかっております。  しかし聞くところによると、最近北洋漁業船団の問題について、三船団が捕獲、漁場に行くことを中止することになりまして、その補償要求を政府に迫らんとすることを聞いております。これは政府の施策の失敗でございます。むしろこの凍霜害なぞと全然ちがってみる。これはほんとうに農民が生産のために全力をあげようとする、全くけなげな気持で生活を守っていこうとしておる人々でございます。いわば天災であります。よって営利会社の事業と異なり、この人々は、もうけのため、あるいは政策の見通しの誤まりとかいうのじゃなくて、国の食糧生産と、かつは生きんがためにやるのでございます。そういう人々が現実にこういう一つの災害にあったのでありまして、この農民の対策施策の方が政府の責任であり重大問題なのでございます。これはいかに政府が財政上に困っているとはいえ、国民の大多数の農民がこういう窮状にあるときには、先ほど大臣の御答弁にもありました通り、私は思い切ってこの際農民の窮乏を救うという気持で、一つ施策の上に現わしていただきたい、これを強く希望いたしまして、私の質問を打ち切る次第でございます。
  72. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 他にそれぞれの件につきまして御質疑がなければ、一応この程度にとどめまして、午前はこれをもって休憩いたします。    午前十一時五十七分休憩    ————・————    午後零時六分開会
  73. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、委員の異動について御報告いたします。  本日付をもって松野君取び大矢君が辞任され、その補欠として館君、酒井君が委員に選任されました。   —————————————
  74. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 会計法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行います。  別に御質疑はございませんか。——質疑もないようでありますが、質疑は終局したものと認めて差しつかえございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いとうございます。
  76. 岡三郎

    岡三郎君 ただいま議題となりました会計法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表して反対をいたします。  本法の改正によって「最低の落札者によっては、工事の投げ出し、竣工遅延等により完全な履行がなされない場合も予想されますので、かかる場合に備え、相手方とすべき者の申し出にかかる価格によってはその者により契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認められるときは、一定の手続を経て予定価格の制限の範囲内で価格の申し出をした他の者のうち最低価格の申し出をした者を当該契約の相手方とすることができることといたしまして、」、こういうふうにまあ書いてあるわけですね。この改正は確かに現状の会計法よりも改善されたと認める点もあります。認めていいと思います。それは従前、決算報告等によってわれわれが判断しても、工事の投げ出し、あるいは疎漏工事、竣工遅延等、幾多の例があるわけです。従って簡単に最低の落札者に落すということだけではどうも工合が悪いというふうな面があったわけです。ただしかし、この改正によりましても、私は契約担当職員あるいは契約審査委員が、土建業者の働きかけによって、ある程度完全なる認定ができるかという点については、心細いものがあるというふうに、従前の事実から思わざるを得ません。従って本員は、先に質問の中においても、最低の落札者に落すという現行法の建前は改めないで、工事を請負う者に対しては保証金なりあるいは担保等を要求する法規の確立をして、まぎらわしくないようにするということが望ましいということを主張して参ったのでありますが、現在においても、そういうふうな方向によらない限り、不正工事というものの絶滅を期しがたいと思うのであります。従いまして、本員といたしましては、今後とも大蔵省は、今までの具体的な事実をさらに検討して、不正工事の起りがちな部面については、多額な保証金なり、あるいはさらに別個の保証をする会社なりを作って、工事の適正を期するような検討をしてもらいたいと思うのでありまするが、そういうふうな面における改善がなされたときに、初めて日本社会党としては賛意を表したい。このように考えております。  確かに現状の改善に一歩資するものと本法の改正は思いまするが、根本的な改善にはなり得ないという見地から、そのような方向に対する施策を推進する意味においても、遺憾ながら本法に反対せざるを得ません。  以上をもって私の討論を終局いたします。
  77. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) それでは終局したものと認めまして、これより採決に入ります。  会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  79. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 多数であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は、先例により委員長に御一任を願いとうございます。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     藤野 繁雄  前田 久吉     植竹 春彦 大野木秀次郎     木内 四郎  菊田 七平     酒井 利雄  館  哲二     西川甚五郎  土田國太郎
  80. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて。商工委員会に対して、繊維工業設備臨時措置法案について連合審査会の申し入れをいたしたいと思いまするが、これに対して御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたします。  これをもって休憩いたします。    午後零時二十二分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕