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1956-04-06 第24回国会 参議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月六日(金曜日)    午後一時四十二分開会   ―――――――――――――   委員異動 三月三十日委員島津忠彦君、平林太一 君、新谷寅三郎君及び江田三郎辞任 につき、その補欠として青木一男君、 井村徳二君、木内四郎君及び三橋八次 郎君を議長において指名した。 三月三十一日委員三橋八次郎辞任に つき、その補欠として小林孝平君を議 長において指名した。 四月三日委員西川甚五郎辞任につ き、その補欠として植竹春彦君を議長 において指名した。 四月四日委員植竹春彦君及び岡三郎辞任につき、その補欠として西川甚五 郎君及び矢嶋三義君を議長において指 名した。 四月五日委員青柳秀夫君及び矢嶋三義辞任につき、その補欠として長島銀 藏君及び岡三郎君を議長において指名 した。 本日委員長島銀藏辞任につき、その 補欠として青柳秀夫君を議長において 指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     岡崎 真一君    理事            山本 米治君            岡  三郎君            前田 久吉君    委員            青木 一男君            井村 徳二君            木内 四郎君            菊田 七平君            白井  勇君            西川甚五郎君            藤野 繁雄君            野溝  勝君            土田國太郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君   政府委員    大蔵政務次官  山手 滿男君    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局法   規課長事務代理  中尾 博之君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省管財局長 正示啓次郎君    大蔵省銀行局長 東條 猛猪君    文部省管理局長 小林 行雄君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主税局税    関部業務課長  崎谷 武男君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選関税法等の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○物品税法の一部を改正する法律の一  部を改正する法律案内閣送付、予  備審査) ○租税及び金融等に関する調査の件  (金融問題に関する件)   ―――――――――――――
  2. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) これより委員会を開会いたします。  議事に入るに先だって委員異動について御報告いたします。  三月三十日付をもって、委員江田三郎君、島津忠彦君、平林太一君及び新谷寅三郎君が辞任され、その補欠として三橋八次郎君、青木一男君、井村徳二君及び木内四郎君が委員選任され、三十一日付をもって三橋委員辞任小林孝平君が委員選任、四月三日付をもって西川委員辞任植竹春彦君が委員選任、四月四日付をもって岡委員及び植竹委員辞任矢嶋三義君及び西川甚五郎君が委員選任、五日付をもって青柳矢嶋委員辞任、その補欠として長島銀藏君及び岡三郎君が委員選任されました。また本日付をもって長島委員辞任され、青柳秀夫君が委員選任されました。  ただいま御報告申し上げました通り岡理事が一旦委員辞任されました結果、理事に欠員を生じましたので、この際その補欠を互選いたしたいと存じますが、先例により成規手続を省略し、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それでは理事岡委員を御指名申し上げます。   ―――――――――――――
  4. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に関税法等の一部を改正する法律案を議題として事務当局より補足説明を聴取いたします。
  5. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 関税法等の一部を改正する法律案につきまして、お手元に新旧対照表がお配りしてあると思いますので、それに基きまして補足して御説明を申し上げます。  一番最初の第十一条は便宜百三十四条の改正の方で説明申し上げたいと思います。  その次の入出港簡易手続でございます。これは十八条を改正いたしまして、ただいま外国貿易船が入出港いたします場合に、船用品だけを積んでおります場合には簡易な入出港手続規定しております。その船用品以外のものでも、たとえば乗組員携帯品とか郵便物というもの、こういうものだけの積みおろししかしない、こういう場合には簡易手続によっても一向差しつかえないわけでございますので、今度は、船用品のほかに乗組員携帯品郵便物だけを積みおろしをする、こういう場合には簡易な入出港手続で済ませよう、こういうことでこの十八条の改正案を考えたわけであります。  それから第二項は、同様に外国貿易機税関空港に入ります場合に、やはり機用品以外のもので、乗組員携帯品郵便物だけしか積みおろしをしない、こういう場合には簡易な手続でやろうということにいたしたいということでございます。この簡易な入出港手続と申しますのは、積荷目録とか、乗組員氏名表とか、旅客氏名表とか、そういうものの提出を省略するということになります。  それから第十九条でございますが、これは現在執務時間外の貨物の積みおろしをいたします場合の規定をいたしておりますが、これは現在の十九条が「外国貨物を積んでいる船舶」となっておりますので、外国貨物を積んでいない、つまり空船外国貿易船等につきましては、やはり税関といたしましてこの貨物の積みおろしをチェックしなければなりませんので、この現在の条文では疑義があるので、「外国貿易船等その他外国貨物を積んでいる船舶」というように改めようとするものであります。  それから第七十四条でございますが、これは現在刑事訴訟法規定によりまして売却する場合、その貨物を買った者から輸入手続をさせております。これが今まで検察庁あたりも非常に不便をいたしておりますので、関税法では、税関が領置したもの、差し押えましたものを売却する場合には、これは税関領置物件、差し押え物件について公売するものを輸入許可された貨物とみなすとありますが、検察庁刑事訴訟法規定によって売却するものについても、税関が処分する場合と同様に輸入許可した貨物とみなして、手続簡便化をはかると、こういう規定でございます。  それから八十四条でありますが、これは今税関収容しました貨物で廃棄できる場合を限定しておりまして、これは人の生命、財産を害する急迫した危険を生ずる場合にだけ税関長収容された貨物の廃棄をすることがで声る、こういうことになっておりますが、実際問題といたしまして、収容した貨物の中で、非常に腐りまして、あるいは変質したというので、売ろうにも買い手がない。こういう貨物が若干ございます。こういう場合におきまして廃棄できる、税関長収容した貨物の中で、腐敗して、もう買い手がないというような場合には廃棄できる、こういう規定に改めたいということでございます。  それから八十五条でございますが、これは、現在の八十五条の規定では、貨物公売、売却いたしました場合に、その代金をもって公売に要した費用収容課金関税その他の国税に充てたあと残金があります場合には、政令で定めるところにより、公売の際における貨物所有者のために供託する、政令の定めるところにより供託するということになっております。これは現実の問題といたしまして、政令では、供託する前に、その収容のときに、すでに質権留置権を持っていた者がある場合には、その残金所有者に交付するに先立って質権留置権によって担保されていた債権の額に達するまで、質権または留置権を有していた者に金を交付するように実は政令で定めております。これは現在政令でやっていることでございますが、この今の八十五条の規定改正いたしまして、現在政令で定めていることを法律条文でそのまますきり書く、こういうことにいたしたわけでございます。で、もちろん質権者留置権者を保覆したあと、まだ成金がある場合には供託するという規定を次に置いたわけでございます。  それから百三十四条でございますが、それは今まで刑事訴訟法規定によって売却されました貨物は、輸入貨物とみなされませんで、買い受けた者から、輸入手続を経させて関税をとっていたのでありますが、今度の改正によりまして、刑事訴訟法によって売却された貨物につきましては輸入した貨物とみなされますので、この場合に国庫に帰属するというようなことでなく、本人に、所有者貨物を返還しなければならない場合がございます。この場合には関税を徴収することが必要でございますので、その本人に返す場合には、関税を徴収するという規定を百三十四条で新たに置いたわけでございます。これに伴いまして、一番最初に十一条がございますが、この場合には担保も何もとっておりませんので、一般的に国税徴収の例によって徴収するんだという百三十四条の裏づけ規定を十一条で規定したわけであります。  関税法につきましては、以上、入出港簡易手続その他、税関手続簡素化、それから執務時間外の貨物の積みおろしのような税関手続適正化ということを趣意といたしまして、以上のような条文改正になったわけでございます。  それから関税法別表につきまして今まで税関開港規定しておりますのが六十四港ございますが、最近になりまして福島県の小名浜熊本県の水俣、この両港につきまして、どうしても開港にしてくれと、こういう要望がございまして、この際、別表第一に、小名浜水俣の二港をつけ加えることにいたしたいと考えております。  この開港と申しますのは、普通の港でございますと、一々外国貿易船が入ってきますのに、不開港に入るという許可をとりまして、手数料も取られますし、事務が若干複雑化するわけでございますが、開港にいたしますと、そういう点が簡素化する、こういうことになります。で、今の関税法規定では、大体年間五千万円以上、船の隻数にしまして二十五隻以上が、一応開港基準と申しますか、それに達しないことが二年以上続きました場合には開港を閉鎖する、こういう規定関税法は置いておりますが、この小名浜水俣の場合は、二十九年、三十年の実績を見まして、貿易額におきましては、水俣は二十九年に四億五千万、三十年に三億一千万、小名浜は二十九年に一億二千万、三十年に四億六千万というように、貿易額は今申し上げました開港閉鎖条件をはるかに上回っております。船の隻数におきましても、水俣は二十九年に二十九隻、三十年に三十二隻となっております。小名浜につきましては、船の隻数は三十年に二十隻ということで若干二十五隻を下回っておりますが、これは硫安を輸出して蝋石粘土輸入するというような関係がございまして、今後開港としての条件を十分に維持できるものと考えまして、今度の別表に追加したいと考えているわけであります。  それからもう一つ別表第二の税関空港の中に福岡県の板付を加える、こういう案でございます。これは日航線が今、羽田から香港に飛んでおります。これを沖縄に寄港しておるわけでありますが、この沖縄線というのは、むしろ板付から沖縄に行った方が日航としては運航上有利である、香港線がそれだけ沖縄に寄ることなく直行できる点と、実際問題として沖縄への旅客はむしろ板付を基点とした方が便利であると、こういうこともございまして、日航板付から沖縄に飛ばすという関係もございまして、板付税関空港に指定する必要が起ったわけであります。  それから定率法の一部を改正する規定でございますが、これは現在学童給食用乾燥脱脂ミルクにつきましては、特定用途免税をしております。これはいろいろ問題がございましたが、結局、従来乾燥脱脂ミルクにつきまして、特定用途外使用した場合には輸入者から関税を徴収するという規定だけでございまして、用途外使用制限とかいったことについては関税定率法で別に規定がなかったわけでございます。これが最近給食会地方の支部が独立するというような変遷がございましたので、それに伴いまして、用途外使用するときには税関許可が要る、こういうことに改めようということでございます。定率法の一部を改正する法律附則で、用途以外の用途に供し、または用途以外の用途に供するために譲渡する場合には税関長の承認が要る、こういう規定を置きまして、その場合に本来学童給食用ということで免税を受けておるわけでございますから、用途以外に使用する場合には関税を直ちに徴収する、ただし変質、損傷した場合には免除をする。それからこの用途外使用制限に違反した者は関税法の第十章の規定を適用するというふうに、脱脂ミルクに関する用途外使用制限し、かつ罰則を明確化したいというわけでございます。  そのほかにつきましては附則関係条文の整理でございまして、特に御説明を要しないかと思います。
  6. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 引き続きまして質疑を行います。
  7. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 ただいま御説明別表取扱い金額及び船の数の大体の模様は御説明になっているのでありますが、この小名浜水俣板付、こういうふうなところの商品別輸出入別数量金額資料として出していただきたい。わかっておったら御説明願いたい。
  8. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 水俣は、輸出いたしますのは硫安硫化燐安輸入いたしますのは、燐鉱石、黒鉛でございます。全体の金額は先ほど申し上げた通りでございますが、これはこまかい数字あと資料としてお出ししたいと思います。小名浜につきましては、輸出はやはり硫安化学肥料輸入するものは、ろう石粘土でございます。板付は主として沖縄旅客を扱いますので、今までのところ板付は今後の問題でもございますので、板付につきましては、現在外国貨物輸出入実績はございません。
  9. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 水俣三角ですね。同じ熊本県で非常に接近しておりますが、接近していても三角に影響して問題が起るということはないのですか。
  10. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 確かに三角と接近しておりますが、水俣自身がもう現存すでに外国貿易船が入出港している実績がございます。税関も出張所がございまして、あそこで通関手続をしておるわけでございます。ですから、三角と特に競合してどうという問題はないと考えます。
  11. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから資料説明ですが、事故品によるミルク払い下げ数量調べですね、これがどういうふうなことか、私不案内のためにお尋ねするのですが、関税手続のところの「未」というのはどういうことなのですか。
  12. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 現在におきましても、乾燥脱脂ミルク給食用以外に使います場合には税関に報告し、税関給食会から関税を徴収するということになっております。従いまして今の文部省調べ税関手続のまだ済んでいない「未」という、未済ということになっておりますのは、税関に対する報告が済んでいない、従って税関関税をまだ徴収していない、こういうものでございます。
  13. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、「未」というのは税関関税を徴収していないのだから、将来において関税を徴収すべき分だと、そういうふうな形になりますか。
  14. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) その点は今税関でもおのおのにつきまして調査しておりますが、税関手続未済のものの中でも、飼料用に使ったとか、特殊な事例で、あるいはやむを得なかったということで税関が承認しなければならぬものがあるかもしれませんが、大部分のものは今後調査の確定を待ちまして関税を徴収することになると存じます。
  15. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 学校給食関係で、この前の法律案の際においてもいろいろと岡さんから問題があって、一通り説明を聞いたのでありますが、学校給食の方の予算を見てみると、一億五千万円、そうしてその一億五千万円は学校食用調理室の新営、設備整備、こういうふうなことに摘要が書いてあります。私、考えるのに、現在における学伏給食の問題では、品物ということも大事だけれども、一方の方において、いろいろな材料をもらっていても、設備が完備しなかったためにいろいろの問題が起るのじゃないか、別な言葉で言ったならば、材料をもらっても、設備の金がないから、その材料設備の金を得るために横流し不正行為が行われたのではないかということを想像しているのでありますが、もしそうだとしたならば、今日学校給食不正事件を防止するということは、設備をある程度完備していかなければならない、こういうふうになるのでありますから、一億五千万円の学校給食用調理室の新営、設備整備というのはどういうことをされるのか、一応伺っておきたい。
  16. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 現在の学校給食は、御承知のように学校給食法という法規がございます。給食普及に応じまして、新たに学校給食を開始する際には、その学校給食を実施するために必要な施設あるいは設備というものが当然必要でございますので、それに必要な経費を半分だけ国からみてやろうというのが、施設設備に対する補助金でございます。これはただいまお話がございましたように、三十一年度予算では一億五千万円を組んでおります。これは従来は小学校だけに学校給食を実施しておったのでございますが、本年度からは中学にもこの学校給食希望学校にも実施してもよろしいということにいたしております。ただお話の中にございましたのでございますが、この設備費が不十分であるから従って給食材料費横流ししたのではなかろうかというお尋ねでございますけれども施設設備につきましては、大体市町村から府県を通じて明細な仕様書を取っているわけでございまして、その半額を大体みてやっているわけでございまして、従ってその施設設備経費が不十分であるからいわゆるミルクあるいは給食用物資横流しをしたというふうには、文部省としては考えておらないわけでございます。
  17. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますと、今度学校給食法を一部法律改正をしまして、中学校その他の給食の人員を増した、そういうふうな増したものに対する設備費用としては、これだけで十分であるということになるのか。それから設備整備というのはどういうようなことですか。予算書説明によれば、学校給食用調理室の新営ということと、それから設備整備、こういうようなことを説明書には書いてあるようですが……。
  18. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 従来は小学校につきましては、三十年度予算でいきますと五千万円でまかなっておったのでありますが、この普及状況によって、しかも本年度から中学にも開始するというので一億五千万円の予算を組んだわけでございます。最近学校給食が御承知のように非常に各府県とも普及されてきておりますので、果してこれで十分かどうかということになりますと、各府県の指導あるいは申請等を待ってみなければ実はわからぬと思います。本年度状況から見て大体この程度で、一億五千万程度でやっていけるのではなかろうかという推測をいたしておるわけでございます。  なおこの設備につきまして、あるいは施設につきまして、この補助金の配分の対象になりますところの施設設備等につきましては、一応文部省として、基準をこしらえております。もちろん各府県あるいは市町村でそれぞれその一応の基準を上回るものを自費でおやりになる分は、これはけっこうでございますが、一応最低のものとして、たとえば設備につきましては、人数に応じて「かま」はどれくらいのものが必要であるとか、あるいは、断機はどの程度のものが必要であるかという一応の基準を、人数割にして示しておるわけでございます。
  19. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 次には学校給食費の準要保護児童の問題ですが、この準要保護児童給食費補助に五千万円を予定しておられるようでありますが、これはある一定の基準によって算出されたと思うのであります。そうしてこの金額からすれば要保護児童というものはどのくらいのものであって、人間の数は……。幾らくらいの補助をしようとお考えになるか。
  20. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 準要保護児童に対する給食費補助の問題でございますが、御承知のように、実際の学校給食の現場に当ってみますと、給食費が払えないために、その払えない児童に対する給食費を、たとえばPTAでみてやらなければならないとか、そういったことが非常にありまして、そのために給食普及の上で一つの障害になっているわけでございます。文部省としましては、実はかねてから準要保護児童に対する給食費の援助ということで、計画を立てておったわけでございますが、本年度は実はこれは十分な金ではございません。私どもの実際財務当局に交渉いたしました数字は、もっと相当大きかったわけでございますけれども、国の財政の都合から、本年度は第一年度として五千万円だけ認められたというわけでございます。で、御承知のように、現在学校給食につきましては、一応脱脂粉乳、それから小麦、これはパンの材料でございます。それに副食費を加えました一応の基準を、単価というものを文部省で相定をしておるものであります。それに実施日数というものをかけ合せまして、一応算定しましたのが年間二千七百円ばかりになるわけでありますが、それで五千万円を割ってみますと、人数としては大体三万五、六千人になるわけでございます。ただ、このただいま申しましたような算定基準は、各地方地方で非常に違っておりまして、たとえば週五日やっている所、四日やっている所、三日やっている所というこうに内容が違っております。また副食費等につきましても、それぞれ地域の実情によって値段が変ってきておりますので、三万五、六千人よりは多少人数が伸びるかと思いますが、しかし先ほど申しましたように、人数の点から申しますと、私ども推測では、とうていこれでは足りない、今後財政の事情の許す限りの範囲内で、これらの面の裏づけもできるだけ充実し、拡大していきたいと、こういうふうに考えております。
  21. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうすると、あなたは準要保護児童としてはどのくらいの人数想定をしておられるか。
  22. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 実は文部省としても、いろいろこの点につきましては、前もって調査をいたしたことがございます。ただ現在各府県就学奨励の意味から、そういった児童に対する給食費を持っている例がございます。しかしその府県基準というものが、それぞれ非常にまちまちでございまして、府県では非常に甘く出しているようなところもございますし、またある市町村ではずいぶん厳格にと申しますか、高い基準でやっているというようなものもございます。で、大体私ども想定では、小学校についていえば、生活保護法による生活保護の適用を受けている者が、大体二十万ぐらい実はあるということになっておりますので、おそらくそれと同程度のものが準要保護児童としてあるのではなかろうか、こういった推測をいたしております。
  23. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それから、これはどうもけちな質問で相済まんが、横流しされた脱脂ミルクですが、(「ああそれを聞いてくれ」と呼ぶ者あり、拍手)どこに使用されているのですか。
  24. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 実は今回の長崎県で起りましたミルクの件でございますが、これは新聞記事等で御承知だと思いますが、一月の半ばに文部省の方で実は情報を得まして、文部省として東京税関の方へお話しをして差し押えてもらったものであります。これは文部省としては、この事故品ミルク横流しがあろうということを初めから想定して、監視的な態度で見ておったわけではございませんけれども、たまたまそういった横流れのものがありましたので、これを放置するわけにはいきませんので、税関の方へお話し合いをしたわけでございます。その後税関の方で御調査になり、また検察庁の方で御調査になった結果、長崎県の給食関係者起訴になっておりますので、その起訴状によりますと、その公訴の事実は、水増しの申請をして、横流しをする意図で余分の配給を受け、それを払い下げておった。横流しをしておった。で、それは長崎県の場合は、青木某というブローカーに売り渡しておったようでございます。ただ途中でそれが正栄食品株式会社というものに名義が変っており、最後には大和運輸倉庫とか聞いておりますが、そういったところへ所有者が転々しているようでございます。
  25. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 それで、これを防止するために、文部省は最近通達を出されたようでありますが、今回の通達によって、横流しの防止は、あるいは今度の関税法等の一部の改正によって、横流しというようなものは絶無になることが望ましいのだが、そういうふうなことになるような気配がこの通牒によってでき上ったのでありますか。
  26. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 今度の横流しと申しますか、これは私は、長崎県の給食関係者と申しますか、取扱い者の、一つはいわゆる関税法関係の無知もあるかと思いますが、また心の問題もあったのではなかろうかと考えております。で、この関税関係の取扱いにつきましては、ここ数年六、七回にわたって、手続上の誤まりをしないようにしてくれという指示を繰り返しておったわけでございますが、なおこれが不徹底で、そういった事実が起ったということは、非常に残念なことだと思っております。  なお御承知のように、昨年の国会で、日本学校給食会法というものが成立いたしまして、従来の一財団であったところの日本学校給食会が特殊法人になり、その日本学校給食会からミルクを売り渡す先につきましても制限規定が設けられまして、各府県給食会、これは支部長ではございません、各府県それぞれ団体をこしらえておるわけでございますが、そういったものにつきましても、ある程度文部省の方から指導し監督することができるようになりましたので、できるだけそういった面について、誤まりのないように指導をして参りたいと思っております。絶無になるかというお尋ねでございますが、文部省としては、これはこういったミルク横流しといったようなことが、単に給食の、何と申しますか、今後の振興のために非常な障害になるばかりでなく、一面考えますれば学童なりその保護者である父兄に非常な疑惑の気持を持たせるというようなことも考えられますので、絶無になるようにできるだけの努力をして参りたいと思っております。
  27. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 現在日本で使用されておるところの脱脂ミルクは、国内産よりも輸入されるものが非常に多くて、輸入されるところのものを厳格に取り扱うということになれば、それによっていろいろな弊害は除かれる、そういうふうな点から考えてくると、関税法改正というものは非常に重大になってくるのです。であるから、いろいろと問題があろうけれども、今度の関税法改正によって悪いことをするところの給源を絶無にして、そうしてさらに今度あなた方が出された通牒のようなものによって厳格にされたならば、これは自然なくなるものではないかと思うのでありますが、その点十分に一つ御注意を願いまして、私の質問を打ち切ります。
  28. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止]
  29. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて。質疑は一応この程度にとどめまして、次に物品税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の予備審査を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。   ―――――――――――――
  30. 山手滿男

    政府委員(山手滿男君) ただいま議題となりました物品税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。  現行税法におきましては、テレビジョン受像機及びその部分品に対する物品税は、原則として三〇%の税率で課せられることとなっておりますが、十四インチ以下のブラウン管を使用したテレビジョン受像機及びその部分品につきましては、その生産及び普及状況等を考慮いたしまして、本年六月三十日までは一五%の軽減税率が適用されることとなっているのであります。  従いまして、本年七月一日以降は、何らかの改正をいたしませんと、これら十四インチ以下のものにつきましても本来の三〇%税率の適用を受けることになるわけであります。しかしながら、最近における十四インチ以下のものの生産及び普及状況等にかえりみるときは、直ちにこれに三〇%の税率を適用することは適当でないと認められますので、他の課税物品との権衡をも考慮し、当分の間、二〇%の軽減税率を適用することとするものでありますが、この税率の変更の及ぼす影響を考慮し、その間においても、昭和三十三年六月三十日までは、更に一七%の軽減税率を適刑しようとするものであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。
  31. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 本案の質疑は後日に譲りまして提案説明前に返りまして、関税法等の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。   ―――――――――――――
  32. 野溝勝

    ○野溝勝君 小林町長にお伺いするのでございますが、先ほど藤野さんから全く適切なる御質問がございまして、私もそれに関連してお伺いいたしたいと存じます。関税法におきまして、特に一部改正に当りまして輸入乳製品等の弊害の点に対し非常な関心を払われておる点はよくわかるのでございます。乳製品の問題でございますが、単に長崎県の事件だけではないと思うのでございます。もちろん輸入物資の関係におきましては、あるいは範囲は少いかもしれませんが、しかし長崎県だけではないのでございまして、その弊害というものは非常に大きいのでございます。これに対して先ほどこの弊害を除去するために努力しておると言いますけれども、一体具体的に申せば、一片の通牒くらいでこれが解決すると思われるのか、度しがたいから何とかしなければならぬと思っておるのか、その点について、いま少しく当局の具体的にして誠意ある御見解を承わりたいと思うのでございます。
  33. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 学校給食用の脱脂粉乳が、単に長崎だけでなしに、よそでもそういった横流しがあるのじゃないかというようなお尋ねだと考えますが、これは御承知のように、輸入しましたミルクは、最初輸入港で厚生省の係官の検査を受けるわけでございます。で、検査を受けましたときに、厚生省の基準学校給食用にこれは供することは不適であるというものは、事故品として、これは、はっきり証明書をもらって、また税関にも手続をいたしまして、払い下げをいたすわけでございます。そういったものを除きまして各府県にそれぞれの需要量に応じて渡されたものにつきまして、ただ途中で、たとえばいろいろな輸送等の関係から変質する、あるいは腐敗するといったようなものが出ました場合には、これはそれぞれの所定の手続に従って、事故品の処理と申しますか、払い下げをいたすわけでございますがそういったものにつきましてはそれぞれ正規な手続を一応とられておるのが多いわけでございますので、そのためにそれが市中に特に出て、いわゆる粗悪な食品になるということは大体なかろうと思っております。たとえば文部省調査をいたしました数字にいたしましても、過去三ヵ年――二十八年度から三十年度の間に各府県で払い下げました数量四十八万ポンドということになっておりますが、そのうち飼料、肥料に回ったものが四十五万ポンドということで、大半は飼料、肥料に回っておるようでございます。従ってそのために粗悪な食品ができるということは大体なかろうと思っております。ただ長崎の場合はこれとは違いまして、いわゆる事故品でないものを横流しをしたという事件でございますので、ただいまのお尋ねの趣旨とは少し違っておると思います。
  34. 野溝勝

    ○野溝勝君 私の質問は、この輸入物資のうちの乳製品に関したものが、単に長崎県だけで不正な処分をされたというのでなくて、ほかにもあると、こう申したのでございます。その点については、あなたはただ長崎県だけだと言われておりますけれども長崎県だけだと限界するこの考え方はどうかと思うのでございます。なお私はこの際小林さんに、質問というよりは特に希望しておきたいのは、先ほど藤野さんの御質問の中に、輸入物資に対しましては特にその不良な製品があるというお話でございますが、これは輸入物資ばかりでなくて、国内製品にも静岡あるいは四国等において問題を起しておるのです。たとえば森永製菓のごとき大メーカーが農民からは五円か六円で原乳をたたいて買いたたき、そのほかにぼろいもうけをし、さらに、あげくの果てには不良製品を売ってまたもうける、二重三重のもうけをしておる。さらに税金の方が軽いと来ている。こういうものが日本の純朴な農民を搾取の対象としておるうちは日本の経済の民主化もできるものじゃない。これは大蔵当局にも警告するつもりでございますが、特に給食児童というものは、あなたもおっしゃる通り生活保護を受けている子弟を多く対象としておるわけです。大体その子供はそういう系統に属するものです。それだけにまことに気の毒な子供たちでございまして、その気の毒な子供たちに対してさらに不正品を売ってもうけたり、中毒のために命を取ったりするがごときは、断固これは許容すべきものじゃない。そういうものに対して、ちょうど今関係局長も来ておるこの際にお伺いしておきたいのでございますが、こういうものに対して当局が徹底的な処置をしたことを聞いていない。この際、具体的に申すならば、今後、かような業者に対し如何なる方針をもって臨むのか、その点をはっきりお聞かせ願いたいと思う。
  35. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 実は昨年の三月に輸入の脱脂粉乳が船繰りの関係から非常に少くなりましたので、その際、国内産の脱脂粉乳を購入して学校給食に乗せたことがございます。これは国内産を学校給食に乗せた初めてのことでございますが、その第一回目に、御承知かと思いますが、雪印の事件が起きたようなことでございまして、学校給食としては非常に不幸であったばかりではなく、国内産のいわゆる酪農振興ということからいいましても非常に残念なことであったと思っております。まあ従来これは価格の点が主でございますが、アメリカが特別の価格で日本に脱脂粉乳を販売してくれておりますので、国内産の脱脂粉乳を使うよりは安く入りますので、ずっと輸入の脱脂粉乳だけで来ておったわけでございますが、しかし、できれば私どもも国内産のものを多少なりとも学校給食の線に乗せるように努めてはいきたいと思っております。もちろんこれは値段の点も関係いたしますが、ただ国内産だから危ないとか、輸入だから危ないということは実はないと思っておりますけれども、実際第一回のこの国内産使用の際にそういった中毒事件が起きましたこともありまして国内産の使用につきましては、まあこれは輸入と同様に厳格に取り扱っていきたい。もちろん、たとえば中毒事件を起したようなものについては、とくとその購入については厳重に考えなければならぬ、こういうふうに思っております。
  36. 野溝勝

    ○野溝勝君 これで私は打ち切りますが、局長は、厳重に考慮するというだけでなくて、森永のごときは再三事件を起している常習業者である。こういうものは少しくらいの罰金くらいでは改められるものでない。一番大事なことはもう営利の道を断ち切ることなんです。利潤追求の道を断ち切ること。戒めのために、そういう者は五年間くらいの営業停止あるいは今後配給なり、その担当のことをさせないというようなことができないかできるか、またそういう方面に努力しようという気があるかないかということをお聞きして、打ち切りたいと思います。
  37. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) その点につきましては、関係の各省あるいは厚生省、農林省とも十分話し合いをいたしまして、こういった御趣旨のような点について十分検討をし、慎重な対策を立てたいと思っております。
  38. 野溝勝

    ○野溝勝君 それでは強い希望があったということを十分一つ関係方面とも連絡して、結論を出していただきたいことをお願いいたします。
  39. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をとめて。    〔速記中止]
  40. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて。  本案の質疑はあとに譲りまして、次に租税及び金融等に関する調査を議題とし、金融問題に関する件を問題に供します。本件について野溝委員より発言を求められておりますので、これを許します。   ―――――――――――――
  41. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣にお伺いいたします。本委員会には大臣の出席があまりないようなんでございまして、今日ここに質問の機会を得たことでありまして、委員長のお取扱いに対しまして感謝をいたします。  大臣から本会議におきましても、予算総会におきましてもいろいろとお説は聞いておったのでございますが、三十一年度の金融政策と申しましょうか、金融方針と申しましょうか、それに対するまとまった御意見は伺っておりません。詳しくなくてもけっこうでございますが、一つ骨組だけでもこの際お聞かせ願いたいと思います。
  42. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 三十一年度のこの金融政策の基本といたしましては、幸い日本の経済の実態は資金の蓄積が非常によくなって参りました。言いかえれば金融が非常に緩慢になっております。この情勢を順守いたしまして今後金利の方もこれは当然下げる、というより下るのでありますが、金利を下げると同時に、各金融機関に調整を加えて、資金の需要がよくなるとともに金利もよくなって、ここに金融事情の正常化をはかる。この客観的な金融情勢によって国として所要する資金の調達を順調にする、特に予算面で予定されておりまする民間資金の活用、これはむろん確保する。さらに民間資金におきましても今後……。まあ私はやはり物価政策の上からいって不急不要の資金が出ることはやはり適当でないと思っております。従って、やはり重点的な考え方はある程度用いますが、こういうような買い手市場になれば、資金関係から特に抑制措置をとるということは、それほど必要ではなかろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、金融政策としては、まず国の所有する資金を確保して民間資金の需要も十分満たしていく、こういうふうな方向を進めていこうと考えております。
  43. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣がお坐りになっていますから、不肖も坐って質問いたします。今大臣からあらまし金融に対する基本的な考え方をお伺いしたのですが、その資金の調達の点、あるいはその資金確保の考え方、それはよくわかったのでございますけれども、この資金確保に当って、国内からの資金確保の点と、それから外国からの、たとえばアメリカ等を中心とする資金援助の関係等もあると思うのでございますが、それとのにらみ合わせにおいて、最近、米ソが援助政策で国際的にいろいろ動きを示しておることは御承知だと思うのでございます。さらに、最近アメリカなどにおきましては、中立国であるインド、パキスタンを初め、最近においては中共にゴムを輸出しておるところのセイロンあたりにまでも援助の手を伸ばしておるわけなのです。こういう動きなどに対する分析、並びに今後日本がアメリカとの援助関係をする場合において十分これらの点を検討されておるかどうか。さらにまた、その動きによってはどういう働きかけをしようとするのか。もっと具体的に申しますならば、たとえば、金利の点などについても、これらの国との金利関係、援助物資との金利関係、その他にいろいろあると思うのでございますが、そういうような点についてどういう考えを持っておるか。この際その見解の大筋だけでもけっこうでございますからお答えを願いたいと存じます。
  44. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) この金融関係、特に国内金融関係において外資を導入する、こういうことは今日むろん私は考えておりません。また考えるべきことではないと考えます。これと日本の国内的金融情勢から見ましても、外資を導入して、それを円資金にしてそして金を使うというようなことは、むしろ私は弊害がある、国内の資金で十分まかない得ると思います。こういうことをやれば、国際収支の上において将来に禍根を残すというふうに考えております。むろん、それだからと言って、外資の導入をやめるというのではありません。それが円資金調達の意味をもってやることは私は慎重に考えなければならない。機械でも、ほんとうにこのものを輸入するに必要のある外貨について適当にこの外資を利用するということは、これは普通の取引でありまして、これについては異存はありません。それから、金利の点ですが、特に外国の金の金利が安いからどうというような意味合いであれば、これはやはり外国の金を借りて国内金融をしようとする、これも不適当であります。金利の上から言えば、もう短資につきましては大体私は国際的な水準にほとんど近寄ってきておる。日本の金利も近寄ってきておる。非常に日本の金利が高い高いというような時代はもう過ぎ去っておる。まず、長期の資金において国際金利の水準に比べてなお高い、これはありますが、短期においてはもう近寄っておる。今後長期の資金を平準化して長期の金利も下げていくつもりですから、これも将来国際的競争力を持ち得る金利になるだろうと期待しております。そういうような見地から、私は円資金の金融に関する限りにおいて、外国資金に依存しようというような考えは今後においてとるべき態度でない、こういうふうに考えております。
  45. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣の、円資金に対しては外国資金に依存しようという考えを持たない、これはけっこうな考えでございます。しかし、これは当然なことだと思うのでございますが、現実にすでに資金を仰いでおることに対しては、むしろ対外的な動き等とにらみ合わせ、ないしは米国が他の国に資金援助をしておる金利が日本より低く扱われておる場合においては、当然、低利にするように努力することは当りまえなんで、そういうことに対して、今、一萬田君は、その内容が何だかうやむやで明らかにわからぬ、その点を努力するのかしないのか。そういう点を僕は聞いておきたい。
  46. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 御趣旨は、日本が対外投資でもする場合に、外国も同じようなことをやる、その場合の金利について、日本も外国並みに勉強するか、こういう御質問でしょうか。御質問の御趣旨はそうでございますか。これはむろんそれぞれの国の情勢もありますから、必ずしも同じ金利というわけにもいかぬかもしれません。また同時に、よその国が資金的援助をやるが日本は必ずしもやり得ないということもありましょうが、しかし御趣旨の点は、むろん日本として努力をいたす覚悟であります。
  47. 野溝勝

    ○野溝勝君 次にお伺いしておきたいことは、先ほど大臣の御意見によりますると、大体資金、金融関係は円滑にいって、安定性があるかのごとき意思表示にお承わりをしたのでございますが、私は、なるほど資本主義的には一応安定したかのごとく見えておりますけれども、これは日本全体から見ると、安定の段階とは思えないのであります。この点に対して一応大臣の見解をお承わりしたいと存じます。
  48. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これは、安定という内容がどの辺まで安定というか、特に経済の場合に、雇用関係等まで含めての問題とすれば、これは私はなかなかいずれとも言えない。しかし、少くとも日本の経済が安定した、その中の金融関係は特に安定度を増してきた、こういうことは申し上げることができると思っております。
  49. 野溝勝

    ○野溝勝君 それは、輸出がふえたとか、あるいは豊作だとか、あるいは物価が横ばいだとかいうことによって安定せるかのごとく大蔵当局は発表しておるのでございます。しかし、日本の国民生活の動向から見れば、金融政策については非常な不満があるわけなんです。と申すのは、大体物価は横ばいだとか、大蔵省あたりの見解は行き過ぎである。これは銀行局長にお伺いするのでございますが、私は大きな誤まりだと思う。特に最近の経済審議庁と言いますか、の発表によると、週間卸売物価が一六二・一、朝鮮動乱当時を一〇〇とすると一六二・一という発表をされた。いわば三の上昇を示しておるということが発表されたのです。そうなってくると、物価など安定しておりはせぬし、さらに豊年といいましても、御承知のごとくほとんど借金整理に取られて、農家自身の経済は非常な窮迫を告げておるわけなんです。数字はこまかくなるから省略しますけれども、そういう一つの動きがあって、大蔵当局、政府当局のこの金融安定ということは、巨大なる産業方面は安定したかしらぬが、一般的に安定しておらぬと思う。そういう点について一体これでも安定しておるというふうにいえるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  50. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これは先ほども申し上げましたが、安定ということなんですが、私はやはり経済が安定していくのには、どうしても各国間に安定が浸透していくのには、時間的な経過がどうしても必要であり、一度にどこもよくなるというわけにはいかないのだろうと、かように考えておるのでありまして、日本の経済の場合におきましては、やはり中小企業方面、こういう方面の経済安定というものがどうしてもやはりおくれている。従いまして今後において特にこの中小企業というような対策は非常に重大になってくる、かように考えておるのでありまして、たとえば金融面にしても、中小企業金融が比較的に楽になって恵まれてくるのは、やはりどうも私はおくれるように考えるのであります。従いまして、今後これらについては特に考慮を加えて、力を注いでいかなければならない、かように考えておるのであります。もう何もかもこれでいいのだという、どう見てもりっぱだという意味合いに日本の経済あるいは国民生活全体を見るということは、これは私もできないと思っております。そういう方向に行き得るような道が今開け、その方向に進んでおる、私はまあ、かように考えておるわけであります。
  51. 野溝勝

    ○野溝勝君 これは今言う安定の度合いという点に、要するにその規定と言いましょうか、その点については資本主義的な見方もありましょうし、社会主義的な見方もありましょうから、その点については今ここで結論を得ようとは思いません。ただ、しかしこの際、私は特にお考えを願いたいのは、物価が横ばいしたというようなことを安定したと、大蔵当局も、あるいは財界方面でもよく新聞に出しておるわけなんです。しかし最近の三月十八日の審議庁の発表によっても明らかになっておりますが、卸売物価が全然大きな上昇を示しておるわけです。その内容をみると、農村食糧関係はほとんどむしろ下っている。ほかのものはみんな上る。現に水道にいたしましても、私鉄等におきましても、東京あたりは三割、三円といえばまだわずかな金でございますが、十円が三円でございますから三割でございます。ガス、それからこの国会が終れば運賃が上るようなことを言っておるが、あるいは事実か嘘か、それはわかりませんけれども、こういうような状態、その他一切、農具なども二割から三割上っておる。こういうようなわけで、決して物価が安定したなんということを言うことは非常な誤まりで、むしろ今後の金融政策を立てる上におきまして、私は十分これらの点について関心を払っていただきたいと思うのでございます。  次にもう一つお伺いしておきたいと思うことは、日銀券の発行高が三十年の年度末までに五千七百四十七億というようなことで、前年度より四百四十億ふえたのでございますが、この増発分というものは、これは主に外国為替関係の方にふえたと言われておりますけれども、もしそうだとすれば、それは貿易の超過分、貿易じりの問題でございますか、どういう方面でございますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  52. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 日本銀行券が若干前年度に比べてふえておるが、どういうことが原因であるかというお尋ねでございますが、今もお話しがございましたように、もっぱらの原因は財政関係でございます。財政関係と申しますと、今のお話しの外国貿易、輸出貿易が伸びました場合におきましては、外為特別会計の資金が出て参ります。また御承知のような豊作に伴いまして、食糧管理特別会計よりの資金の放出も行われるわけであります。なおそういう財政資金の関係以外にも、生産の伸びあるいは所得の伸びというようなことで、若干前年度より日本銀行券が上回るということも、これはまた自然の趨勢でございますが、計数的に分析いたしました場合に、前年度に比べまして大きくふえております大きな原因は、今申し上げました食管会計、外為会計の資金の放出である、かように御承知願ってよろしいと思います。
  53. 野溝勝

    ○野溝勝君 そうすると、大体大きくふえたのはインベントリー・ファイナンスと、それから食管特別会計というお話しのようでございますが、大体食管特別会計の方は別といたしましてインベントリー・ファイナンスの方は、外為の方に関しては、それはあれでしょう、貿易関係の方じゃないですか。
  54. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 仰せの通りに輸出貿易関係でございます。
  55. 野溝勝

    ○野溝勝君 そうしてみると、結局貿易の振興、日本の経済界安定ということは、貿易の振興もその一つの理由になっておるのでございますが、結局以上から見ると、この貿易の振興ということは一種の出血貿易ということにとっても差し支えないですか。
  56. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) また大臣からお話しがあるかもしれませんが、私からは……。
  57. 野溝勝

    ○野溝勝君 国が援助をして貿易が振興しますから、出血貿易と見ていいですか。
  58. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 出血貿易という言葉の意味でありますが、正常なコストは十分にまかなわれまして、日本の一般的な輸出の国際競争力が伸びました結果、貿易が伸びた、従って決してコストを割ったような意味の出血貿易には当らないと思います。
  59. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私も補完いたします。おそらく多分輸出が伸びる、そして日本銀行券もふえるのじゃないか、これはごもっともなのです。これはやはり注意すべき点なんでありまして、従って今日の、あるいは今後の金融市場の情勢によりましてあるいは今のような情勢であれば、これはやはりこの外為証券を今後公募すべきだと思っております。日本銀行に持たせるより、これは市場から、短期資金、市場資金で引き受けてまかなっていく、そういう形をとって、それは物価にはね返らせないようにすべきで、資金面からそういうことをやらせようと考えております。なるべく資金はそういうふうにして、もう少し金利も下げて一般産業コストを下げたい、また同時に、短期ばかりでなく長期も下げていって、そういう地ならしをしていく。そういうことを一応済ませて、さらにそういうふうに持っていこうと、かように考えております。
  60. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣の追加説明でよくわかりました。私もそういう点を、非常にあれは、やはり国家があまり責任と言いましょうか、深入りをして、かえって深入りをすることは――貿易の振興のために努力することは当然でございますが、やはりその内容というものはなかなか複雑でありまして、そうその表づらばかりでなかなかその資金操作をやられたのでは非常な不安があると思います。もし一つ誤まれば、とんでもないインフレが起るということも考えなければならぬし、だからなるべく私は市場資金によって、やはりこの補いと言いましょうか、扱い方を考えるということに、方向をその方向にもっていきたいと、こう思っておったのでございますが、今大臣からの答弁もありましたので、私はその点はこれで打ち切ります。  次にお伺いしておきたいことは、最近金融の関係がいろいろと言われておりますけれども、確かに帳面づらからいたしますると、今の銀行局長の御意見ではないけれども、一応の成果を上げておるかのごとく見えるのでございますが、むしろ中小企業者の方はかえってこの金融引き締めをやられたために、多くの犠牲を受けて倒産をした者が多くあります。一方においては、今申しましたように貿易業者ないしは巨大なる産業資本家等は資金の融通を、逆に銀行からむしろ利用してくれ利用してくれと頼まれている。中小企業の方はかえって金融引き締めという矛盾背反の現象をきたしておる。ここに大きなるジグザグの動きを示しておるのでございますが、これらに対して、大臣はこの矛盾を感じて今後中小企業等に対する金融政策について具体的に考えておるかどうか。三十一年度予算には、たとえば国民金融公庫でもあるいは商工中金でも、あるいは中小企業公庫でも、それぞれ幾分資金の増加したことは、私どもこの努力に対してはよくわかるのでございますが、しかしそれはわずかでございまして、見ようによりましては、従来の政府資金の、金利のつかなんだ資金融資がとまったのもある。今度はつく金を融通されるということで、まああまり喜んでいないという点もある。資金量においては幾分ふえたことは、これは認めるのでございますが、しかしこれだけで日本の中小企業の金融緩和策とは言えないと思うし、努力したとも言い切れない。また一応この場合いたし方ないということに対しては、私は賛成できないのですが、この際一つ大蔵大臣は、中小企業の金融緩和策に対して一段とその見解を、すなわち考え方をお聞かせ願いたいのでございます。
  61. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私は中小企業の今日の社会的地位からいたしましてお困りになっておる。従って政府、国としても、特にこの中小企業対策に意を用いなければならないということは重々承知いたしております。そこで今日、今御質問の点について若干私の考えを申し上げたいと思います。  まず、この中小企業でもいろいろありますが、一つ分け方をメーカーの中小企業、いわゆる企業家の中小企業、これについては私は、特に金融も今日のような情勢でありますから、大企業としては金融にお困りになることはないのであります。非常に金融上恵まれてきておる。従いまして従来のように大企業が中小企業に対していろいろな商品の納入に対する支払い代金を滞ることのないように、もしできればなるべく中小企業については、これは通貨政策の上から望ましくないのですけれども、ある程度手形と現金の払う方法についても、若干現金をふやして上げる、割合をふやして上げる。手形についてもまた前のように金融に困っているときの惰性が依然として続いて長い手形を渡す、そういうことのないようにやる。払う方について特にそういうことを――これは今回公取の方からも一つの法案が出て、そういう支払い促進の法案が出ておりますから、これは金融機関を通じても具体的にやらせるつもりでおります。  それから中小企業自体と大企業との結合のあり方、これはあるいは通産省あたりの特に御配慮に相なることかと存ずるのでありますが、私どもこの金融に関係する者の一人といたしましては、これは系列化をどうしてもした方がいいだろう。たとえば造船の事業にすると、造船の中に中小企業、おそらく何百というような関係者一つの造船所にあると思うのですが、こういうものについてはぜひとも一つ系列化をして、中小企業といえども大企業と一緒になって一つの企業形態を形成するというような考え方をしたらどうだろう。  それからまた金融については、中小企業の場合は従来問屋制度というものが日本では非常によく働いておったと思うのです。これが敗戦でもってすべて廃止されました。それでその問屋的な役目をだれが果すべきかということが特にやはり考えるべき問題だと思っております。これは、これを組合でいけるところは組合ということも考えられますが、足りないところは今のように系列化して、大企業は十分問屋的な点を考え、同時に従来のような支配的な関係はやめるべきで、いわゆる問屋が中小企業を支配するということのないように、あるいは搾取することのないような一つ形態を考え、めんどうをみていく、これは銀行自体がそういうような役目を果すのも一つの行き方じゃなかろうか。こういう点はそれぞれ関係者に研究をさせております。  それから流通関係、中小企業につきましては、これは今度百貨店法も出たようでありますが、やはりこれは日本の現状においてはああいうものも考えるべきじゃないかと、今度はおそらく通過するでありましょうが、これは考えるべきじゃないか。そういうふうにして、同時にそういうふうな現在ある制度を最も有効に活用する、同時になお足らぬところの資金量については、政府の中小企業関係機関は資金量をできるだけふやしていく、こういうふうに考えて、同時に私はこの際大銀行等の協力も得まして、大銀行はこれは中小企業の店舗等を持っておるのでありますけれども、大銀行の営業形態からいたしまして、中小企業に手を出すということはなかなか言うべくしてできません。まあいなかの中小企業のあるようなところに出しても、預金が集まるという程度で、なかなかこれは手が伸びない。ですからこれは資金的な援助を大銀行から受けて、その資金が中小企業専門家をもって中小企業にいくように運営していくというような金融機関を一つ考えてみたいというふうにも考えて、これはいわゆる不動産銀行と称せられる銀行の設立がもしも申請がくれば、そういうようなところも加味して考えてみよう、こういうような構想も持っているわけです。  以上が私の今の中小企業金融に対して考えておる比較的具体的な点であります。
  62. 野溝勝

    ○野溝勝君 そこでことに参考に申し上げておきたいと思うのですが、同じ政府部内で――通産省中小企業庁の発表ですが、昨年六月から十一月まで六ヵ月間の金融実態調査というものが発表になりました。たぶん政府の間のことでございましょうからごらんになったと思います。そこの調査によりますると、六大都市の中小企業の工業関係、従業員五人以上三百人未満、これが千八百工場、それから商業で十一名―三十人未満、卸売業、それから十人未満の小売業、二千二百店、これが調査対象になったわけなんです。そこでその金融状況の実態調査をいたしましたところ、実に中小企業には冷酷であるという結論が出ております。そこでその状況をよく見ますというと、大体銀行というものは、なかなかもうかるようにできておるのでございまして、大体零細企業に対しては歩積み――両建預金というのですか、銀行の言葉で何と言うか知らぬ、一応関係者はそう言っています。これを強要されている。最初金を借りるときにこれだけ積んでいけ、積んだ利子は自分でもらえるかと思うとそうじゃない、借りた金には利子がついておる。こういうばかなことは正常取引かどうかと思うのです。それから今の両建預金などもそうです。両建預金は、銀行の金利は高くて、それから預金の金利は低いということになる、こんなうまいことはないのです。こういうようなことを強要されておることが、中小企業の立っていかない理由の一つになっています。最近は金利は下ったからそれほどでもないと思うのでございますが、しかし零細企業に対する扱い方は大体同じ方向をたどっておると思います。さらに中小企業金融公庫の扱い方に対し簡易にできないかと思うのです。本委員会において中小企業公庫の法案の審議の際に申し上げておいたのでございますけれども、国民金融公庫のように簡易にできないかと、こう思っておるのでございます。そういう点ではむしろ当局の考えと一致しているかどうか。それから一般銀行が中小企業公庫の窓口を扱っている、すなわち一つの引き受け額というのがあるのでございますから、その引き受け額の銀行を通してそれぞれ融資を申し入れるのでございますが、その際融資申込者の多くは地方銀行などからは負債があるわけです。そうすると中小企業金融公庫から金を借りるあっせんをしてやるというわけで、融資を受けても銀行から借りておる金の肩がわりにされてしまう、そういうようなことで、かえって中小企業公庫は一種の債務銀行の肩がわり機関みたいなものになっておる。中小企業公庫は清算機関でないと思う。そうすると公庫の性格から言いましても、この点は十分注意しなきゃならぬと私は思っております。  それからいま一つ、この点は大臣によく聞いておいていただきたいのでございますが、中小企業の資金の需要状況を見ると、需要資金額の借り入れ成功度、すなわち借り入れ希望額に対する実際借りることのできた割合、これが最近率は上って参りました。率は上って参りましたけれども、依然として信用度が中小企業者は低いので、結局せっかく率が上ってもこの恩恵に浴するというのは少いのでございます。ざっくばらんに申しまするというと、俗に梗塞預金といわれておりますが、梗塞預金、これは銀行局長よく御承知だと思います。梗塞預金がこの中小企業庁の調べによるというと、四〇から五〇%、これは政府の発表でございますから、うそなら、まことに国会を侮辱したものであると思いますけれども、こういうようなことに対して銀行局長も責任を感じていいのじゃないかと思うのです。その点について一つまず御見解をお伺いしたいと思います。
  63. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) ただいまのお話は非常にごもっともな点で、私どもも非常にそういう点についてはたはだおもしろくないと思っておりまして、これが是正に努力をいたしておるわけであります。特に中小企業等について、これは前の、金融がそれほど緩慢でないときでも、特に私は中小企業について歩積みをとるというようなことは、借りる金額自体が小さいために、非常に負担になるからというので、やかましく言っておったのでありますが、今日のこの金融情勢においてなおかっそういうことが依然としてあるということは非常に嘆かわしいことで、これは銀行局にも命じまして、十分今後強く警告を発しまして、必要な措置をとるのにやぶさかではありません。それからいろいろ中小企業金融公庫等の貸付ですが、これを簡素化する、これも私はごもっともと思います。同時にある程度これは今後の事業が漸次多くなるにつれて、直接に自分で貸す、代理貸しでなくして、できればなるべく支店もある程度地方にも持って、そうしてめんどうを見ていくのがよかろうと思いまして、私はそういう方針もとっていきたい。言いかえれば、支店も許してやろう、こういうふうに考えておるわけであります。  その他のことにつきましては皆ごもっともなことでありまして、事務当局を督励いたしまして、御趣旨に沿うように努力いたします。
  64. 野溝勝

    ○野溝勝君 率直な大臣の御答弁を聞きまして、本員としては現段階において満足の意を表するものであります。金融事業というもののめんどうなこともよくわかっております。わかっておりますが、今日の日本経済の状態から見ると、特に以上のような点は政府の方針と一致しておらぬのでございますから、今、大臣の言われた方向に努力されたいと思います。  次に最近地方銀行が東京のどまん中や大阪のどまん中に、支店を設けることは差しつかえありませんが、地方銀行というのは地方で資金を集めてできたのが地方銀行なんです。それが地方の資金融資をすることを控えて中央に乗り出すのは、一体どういう理由でございますか、うわさに聞くところによると、回収率が少いからとか、あるいは利回りが少いからとか、安定した投資事業がないからとかというようなことで中央に進出するそうでございます。かくのごときは金融政策上よろしくないと思っております。特に銀行を整備調整しようとする際に、いかに自由とはいえ、金融の無政府的性格はどうかと思う。そうかといって何も統制ということを無理に強調するものではございませんけれども、最近の動きを見ると、いかに言ってもあきれざるを得ない。先般も四国から九州に金融財政調査に参ったのですが、特に国税局長、財務局長、日本銀行支店長初め、金融経済人一緒に懇談会を持ちまして――昨年でございますが、それは大蔵委員会の命を受けて産業経済の調査に向いましたのです。その際、地方産業人の声は、地方銀行は中小企業のためにあまりなっていない。むしろ相互銀行が非常に資金量を多く、最大限まで使ってやるということが、国税局長、財務局長初め経済懇談会の席上強く叫ばれておりました。そういう相互銀行がさような努力をしておる際に、地方銀行に不満の声があるのに、それに耳を傾けなんで、中央に大建築し、支店を設け、資金を固定させることは、この動きは一体どうお考えになっておるのか。それは自由だから差しつかえないようなものでございますが、今後金融の無政府性なこの事態を現出することになると、将来必ずややこしい問題が起ってくると思うのですが、当局はこの動きに対してどう考えられておられますか、この点をお伺いしたいと思います。
  65. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 地方銀行で、例外的にはむろん預金の集まるところが必ずしも貸し出しが多いとは限りませんところもあります。しかし原則的にはやはりその地方で集めた資金をまず地方の産業なり、広い意味の産業、事業並びに商業等に還元をする、そこで使う。これはもう原則的にさような指導をしておりますし、またそうあるべきだと思うのです。そうしないと結局その銀行の預金は伸びません。預金源が地方にあるのであるから、やはり地方が培養していかないと地方の銀行の預金はふえるものじゃありません。従いまして、運営の基本方針としては今申したようでありますが、ただしかし、今日東京等のコール市場が相当大きくなります。今後おそらく、これは私の考えでは千億をむろんこえる資金が東京市場ではコールとして動かなくてはならない。そういうふうに、こういう市場の拡大につれましてそれを利用するのであります。場合によってはいなかの銀行が一時資金が余ったから、たとえば県庁や市役所からまとまった預金でもあれば、すぐに地方で運用ができない。それを東京のコール市場に対して運用する。そのためには東京に支店があったがよかろう。あるいはまた東京のコールがゆっくりしておる。ちょうど地方で金が要る、それでは東京の金を一つ地方に回してもらう、そのコールをとる。そういうようにコールをとる関係上、東京あたりに地方の銀行で支店を持ちたいという希望がある。これはある程度そういう意味からは意義がないこともないと私は思っていますが、しかしなかなか経営がそれほど楽でありませんから、大蔵省としてもこれを許すことはそう自由にいたしておるわけではありません。大体私が今申し上げましたような趣旨で地方銀行を信用いたしておるわけであります。
  66. 野溝勝

    ○野溝勝君 それでは必ずしも野放しにしていこうとは思わない。コール市場の関係のあるものに対しては、これはいたし方がないが、その他のものに対しては、なるべく注意する方針であるというふうに私は受け取ったのでございますが、それで間違いございませんか。
  67. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 大体さようでございます。
  68. 野溝勝

    ○野溝勝君 まことにけっこうなお考えでございます。  次にお伺いしておきたいことは、金融制度調査会というものがございますが、この金融制度調査会というものはこれは国会より権能のあるものでございますか。私がこういう質問を出すのは、最近ややともすると、この大蔵委員会にわからぬこと、大蔵委員会で問題にならぬことが金融制度調査会で審議、研究されることは、これはいいのでございますが、しかし相当国会の問題にならなきゃならぬようなものが金融制度調査会において問題視される場合があるのです。具体的に申すと、たとえばすでに本委員会並びに国会の協賛を得て法律になったそうした問題に対して、それをまたその金融制度調査会で蒸し返しとやかく批判をしておる。具体的に言えば、金融機関の調整についての問題、調整などの問題を具体的に話されておるというようでございますけれども、さような重大問題がかようなところで勝手に論議され、またそれが発表され、われわれ委員をあぜんたらしめている。結論を出すことはで貯るのでございますか。
  69. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) そうすると銀行の方の、たとえば業務分野をどうするかという、そういう問題ですか。
  70. 野溝勝

    ○野溝勝君 そうです。
  71. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) これは今度法律で作られまする金融制度調査会というもの、それに一つ何としても、今何もかも銀行の名称を冠しまして、従来の無尽も銀行になっておりまして、それから信託も銀行になっている。分野が大へん入り組んでおりますものですから、もう少し私はこれは整理した方がいいというふうな気持を持っておりますが、どういうふうにするかは金融制度調査会にかけてやる。この金融制度調査会の制度は、法律によりまして国会の御審議を受けて作る、かような段取りになっておりまして、ただいまそのほかで業務分野をかれこれはいたしておりません。
  72. 野溝勝

    ○野溝勝君 いやしくも国会で審議して、すでにそれぞれの法律になったのが、それが三年前とか数年前というなら別でございますが、昨年ないしは一昨年あたりに決定になったその法律が、再び金融制度調査会においてやり直しをされるというようなことになれば、それは意見の出ることはいいけれども、政府当局ないしは国会から提案し、可決した法律としては不見識であり、不謹慎そのものだと思うのです。せっかくここで真剣に審議決定したものに対しては、少くともそうたやすく金融制度調査会において左右されるべきものじゃないと思うのです。そういう点について、もちろん意見を徴するということは必要でございますが、軽率に金融制度調査会においてこの案が出てこうなったからこうしろという、また、これがそうなるのだというような印象を国民に与えることは、本委員会を無視するものと思うのです。そういう点について今、大臣の御所見を聞くと、非常に慎重な御意見のようであるから、了解いたしますが、今、大臣の答弁されたような方針でいかぬと、ややともすると調査会の方が国会以上の権威を持ったような発言をされるからまことに迷惑だと思っております。この点は一つ十分御留意を願いたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  73. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 金融制度調査会が今度できた場合に……、この法律案を御審議願ってこれが通りました場合に、そういう制度ができるのでありますが、これには国会でも御論議がまだありません日本銀行法をどうするか、あるいはまた今日の一般銀行法をどうするか、あるいは金利決定の機関になっておりまする臨時金利審議会、臨時金利調整法ですか、こういうふうなことを一体どうするかというのが特に目ぼしいものですが、その他銀行のあり方等について御審議を願いましてそうしてその審議の結果、法律といたすべきものは法律としてさらに国会に持ち込んで、御審議を願っていろいろ御意見によって御決定を願う、かようになりますので、決して従来いろいろとすでに法律になってそれを実行しておるものを、勝手にとやかく申すことはないわけでございます。どうぞ御了承を得たいと思います。
  74. 野溝勝

    ○野溝勝君 もうあとそれじゃ二点についてお伺いしたいと思うのですが、最近聞くところによりますると、通産省が三十一年度の資金融資について、開発銀行に対する資金融資の補充の重点を具体的に新聞に発表になったのでございますが、かようなことは、一体通産省が具体的に資金融資のワクについてのこまかいことまで左右するのでございますか、この点を一つ聞いておきたいと思うのです。
  75. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) そういうことはありません。おそらくそういうことがありますれば、通産省としては産業政策に当っております関係から、こういうようなものはこういう程度、こういう方向で出してほしいという希望であると考えております。
  76. 野溝勝

    ○野溝勝君 その希望ならよくわかるのでございますが、われわれが本委員会において日本開発銀行法を審議したときには、自主性をある程度持たせたものです。これがある官庁から融資のワクを強要するというようなことになると、党利党略的となり、非常な誤解を受けます。むしろ私は、大蔵省がさような意見を出すというならわかるのでございますが、一つの省が強行せんとすると、農林省も出す、それを強要するというようなことに見られると、まことに金融機関が党利党略機関に見られる。そういう点は、今大臣の御説明を聞くと、非常にごもっともに聞えますが、大蔵大臣は何といいますか、党人育ちでないのでございますから、非常にまあやさしいところがあると見られるのですが、もう二期もお務めになったのでございますから、そろそろ純粋経済人として奥の手を出していいのではないかと思います。本問題に関し新聞に出ておりましたから、誤解を起してますから、十分注意していただきたいと思います。  次にお伺いしておきたいことは、先般大臣は衆議院におきまして、朝鮮銀行の復活を認めてもいいようなふうな口吻が新聞に出ておりましたが、私はそれは事実かいなかということに対してこの際確かめておきたいと思うのでございますが、とにかく資金力の貧弱な、そうして非常に危険性のあるものを、私は政府がしょい込むようなことになる。むしろかような運営について非常に自信のないようなことをするということになると、ひとり政府の責任というだけでなくて、国民に及ぼす影響も大きいと思うし、さらにさようなことになるとすれば、台湾並びに南方方面のこういう関係業者もまたどういう意見を出さぬとも限らぬのでございますが、その間の真相がいろいろに伝わっておりますが、この際、その間の真相について御所見を承わりたいと存じます。
  77. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 今度閉鎖機関令によりまして、朝鮮銀行の在外財産の処理をいたしますが、それは法案を御審議になっておるわけでございますが、それによりまして、約十七億円程度のものが朝鮮銀行の旧株主に返ることになる予定でございます。そこで問題は、この朝鮮銀行の旧株主の方々がこの十七億円をどういうふうに御処理なさるかは、これは政府として関与いたすことではございません。が、もしも株主の方々がこの十七億円をもって新しい銀行を設立されるということであれば、よく内容に検討を加えて、将来十分やっていけるという見通しがあれば、その申請は受け付けてよかろう、そうして大体今予想されるこの銀行の性格は、中小企業金融専門になる。そうして特に中小企業の中でも不動産のある……、中小企業の方の持っておる不動産を担保で営業資金を調達できるようにしてほしい、こういうことであります。それで、私の考えとしては、その趣旨はいいのではないかというふうに考えておるわけであります。それで、申請があれば許そう。ただ将来十分収支相償っていくかどうかという点が問題であるのでありますので、私は先ほどちょっと私の中小企業金融に対する考え方を申し上げましたが、大銀行にこれに対して資金的援助をお願いをして、そうして相当な資金量にいたしまして運営をはかる。そうして今後の発展いかんによって金融債を発行する。この金融債は、まあ普通の金融債になりますが、そういう金融債を発行することによって成り立っていくのではなかろうか、こういうように考えておるわけであります。ただ決して無理をする考えは持っておりません。将来十分やっていけるという見込みが立つ場合において、さらにそれが中小企業金融ということを目標とするなら設立を許そうかと、今考えておるのでありまして、全く旧朝鮮銀行の株主の御意向によることでありますから、これ以上私の品から申し上げることはございません。
  78. 野溝勝

    ○野溝勝君 どうも大臣の答弁を聞くというと、まことに慎重な御所見で、さように新聞に報道されるならばよいのでございますけれども、それが飛躍して伝わります。きょうお伺いいたしましてその全貌が明らかになったことについては了解するものです。  そこで先ほど大臣の言われるには、不動産担保の金融機関として考えているというのですが、大体今日でさえ銀行業者が多くなってきておるし、さらに中小企業のためにも考えておるという御意見でございますけれども、中小企業の金融機関はそれぞれできておりますが、失礼でございますけれども、まあざっくばらんに言えば半身不随とまではいかぬけれども、物足りない点が多いのです。金融量などは、また資金量などは少いのでございます。またその資金についてもこやかましいことを言いまして、大臣の思ったようにはなかなか融資されないのでございます。先ほど申しました通り、いろいろ困難な事情と条件があるのでございますして、これらの解決も未決の中にあって、外国の銀行失業者を救うというような考え方でやられては、これはとんでもないことになるのでございまして、さような点については大臣は慎重を期するということでございますから、私はむしろ今日の中小企業の金融機関をもっと活発に能動的に、そうして簡易に資金量を豊富にやるということを先決事項として十分お考え願いたいと思うのでございます。この見解に対し大臣はどういうように思われているか、御所見を承わりたいと思います。
  79. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 私も同じような考えでありまして御意見には全く賛成いたします。そういう意味からも、私は今日たとえば相互銀行等はこれは中小企業専門の金融機関であると思うのでありますが、大銀行あたりの資力を少し引き出してきてそうして民間で金融機関全体の力を集めたような形において中小企業専門の金融機関というものを考えてみちゃどうだろうか、これは中小企業というものは、まあそういう考えを私が抱きます基本的な点は、この中小企業というものはやはり日本の産業構造においてやむを得ない弱い……これはだれも希望しないんだが、日本の今日の国情ではどうしてもこの中小企業というものは日本の産業構造上おくれざるを得ない、そうしてこの弱いということは希望せぬが、どうも弱くならざるを得ない、こういう関係で、しかもこの中小企業が日本産業で大きな役割を果している。そういう点を見ると、やはりゆとりのある、たとえば大銀行等においてやはりある程度手を差し伸べて、この中小企業金融というものを助けていくような構想を民間的に考えていく、ひとり政府の金ばかりに頼らずに、民間的に考えていくのがいい社会全体的な考えではなかろうかというのが、私の一つの考え方の基礎であります。こういうように一つ仕立ってみようと考えています。むろんこの御意見の点も私も深く同感であります。また御注意の点もありがたく拝聴いたしまして、せいぜい注意いたして参ります。
  80. 野溝勝

    ○野溝勝君 最後に一つお伺いいたしまして私の質問を打ち切りたいと存じます。それは生命保険等に対する低料制の問題でございますが、昭和三十一年二月二十九日、日本経済新聞に出ておりまする「生保の自由競争実現へ、大蔵省、行政方針を転換、整理、統合を促進、料率引下げを機に」、この見出しのもとに大蔵省の従来の方針の転換の発表がございます。これは朗読することを避けまして、委員長の御了解を得ましてこれを速記に載せることに願いまして、内容の説明を私は申し上げて質問をいたしたいと思います。  このことがすでに業界ばかりでなくて、金融労働組合の諸君のやはり問題になりました。特にこれは業界全体の問題になったことは銀行局長御存じの通りでございます。そこでこの料率の問題等に対する正しい引き下げということについては理解できるのですが、しかし金融経営という問題になると、会社自身の問題でなくて、これに関係を持っている被保険者、全国民の問題でございます。かような事業はわれわれから見るならば、むしろもっと強固なものにならなければならぬとさえ思っておるときでございますが政策の誤りからこの経営がかりに不振になったという場合に、その損害なりあるいは建て直しなり、行き詰まりに対しまして政府がこれを助成したり、国家がこれを補てんしたり、いわば補助政策をやるように法律ができていない、いわば何でもないのでございます。して見るとこの事業の運営等に対する問題については、なかなかその影響するところが大きいのでございます。しかるに聞くところによると生命保険の低料制の問題に関し大臣のまだ了解する前に、一事務官あたりからかようなことを軽率に発表した、それが問題になったというようなことを聞いたのでございますが、この間のいきさつについては大臣及び局長はたぶんわかっていると思うが、行政上どう考えられますか。
  81. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) 生命保険の低料問題の主として経緯についてのお尋ねでございますが、私ども仰せの通りに、この生命保険料率の、経営の合理化を基礎とし、あるいは生命表の改正ということを基礎としました合理的な引き下げということには、やはりこれは国民大衆の希望でございますから、引き続き経営者にも合理化を求めてそういう素地をつちかいますとともに、私たちとしましても料率引き下げにつきましては合理的な限度においては努力をしなければならぬという考え方で常々努力して参ったのであります。ただいま野溝委員のお尋ねでは、そのいわば低料問題の発端として、大蔵大臣の御了解のないうちに下の事務官の方でこの問題について不用意な言動がございまして、その結果この低料問題が不必要ないろいろの副作用と申しますか、何と申しますか、そういうことを起したのじゃないかという御趣旨の御質問でありますが、打ちあけて申しますと、一人の事務官が新聞記者から、最近の生命保険料の引き下げ、あるいは積算の基礎はどういうふうになっているかということをいろいろと聞かれまして、それについて現在の保険料率の構成要素はかようなことに相なっておるということを説明をいたしたのでありますが、そういうようなことが基礎になりまして、大蔵当局において会社の意向等を必ずしも尊重しないで、料率引き下げの意向があるというような記事が出ましたことは、私といたしましても大へん遺憾、に存じておる点であります。今後さようなことのないように十分注意をいたしておる次第でございます。  しかしながら、この生命保険の保険料を合理的な限度において引き下げて参るという基礎の方針自体を、会社の経営状況等ともいろいろ勘案いたしまして、やはり国民大衆の利益に関係いたします問題でありますので、十分慎重な考慮をめぐらしていきたいと、かように存じておるのであります。
  82. 野溝勝

    ○野溝勝君 この問題は会社の経営者というだけでなくて、やはり職員、労働組合、この諸君の生活にも非常に影響するところでございます。たとえば料率が下るというと、経営者は敏感でございますから、そうなってくるというと手当の問題等についても、あるいはそれぞれの給与支給の問題についても、飛躍すると今度は人員整理という問題も先に先にと考えられるような手を打たれるのでございます。そういうような不安が非常に起っているのでございまして、経営者はもちろん、労働組合ともに非常に問題になる点でございます。でありますから、かようなことにつきましては、私は大蔵大臣の御意見ではございませんが、あらゆる経営状態はもちろん調査検討する、しかし労働組合等の動き、あるいは考え方等も十分検討調査して、あるいは被保険関係者の意見も十分聞くというような、各方面の角度も十分私は慎重に検討されてかようなことの方針を打ち出されるように十分御配慮願いたいのであります。その点に対して一つ最後に御意見を聞いて私は質問を打ち切ります。
  83. 東條猛猪

    政府委員(東條猛猪君) ごもっともな御注意でありますが、そういうようなラインに沿いまして今後処して参りたいと思います。
  84. 野溝勝

    ○野溝勝君 大臣の御所見を……。
  85. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) できるだけ広い関係者の意向を聞いて少しも差しつかえないと思いますから、できるだけ努めます。
  86. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 大蔵大臣に対してはいろいろ御質問もおありのようでありますが、今回はこの程度にとどめまして、また次回の都合のよいときに御出席願うことにいたします。
  87. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に関税法等の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。
  88. 岡三郎

    岡三郎君 先ほどの文部省の管理局長さんのいろいろの説明があったわけでございますが、昭和三十一年現在における横流し数量というものはどのくらいあるのですか。
  89. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私どもの方で調査いたしましたのは、おそらくお手元に資料として御提出申し上げておると思いますが、事故品ミルクの払い下げの数量でございます。これは昭和二十八年度から三十年度にわたって払い下げの数量調査したものでございまして、その数量は四十八万九千ポンドでございます。ただこの大部分はおそらく保健所あるいは衛生試験所等の証明を得て払い下げをしておるわけでございますが、ただ税関に対する法定の手続をしてないものが半分ぐらいあるわけでございます。この全部がすでに言われておりますところの横流しであるかどうかということにつきましては、非常に疑問があるかと思います。私どもの方で横流しと言っておりますものは、事故品でない、正しい脱脂粉乳を払い下げたというものでございまして、これは大体長崎県で今回起りましたところの約三十五万ポンドであろうと思っております。もっともそのうち長崎県のものにつきましては、三十五万ポンドのうちの十万ポンドが税関関係で押えられておるように承わっております。
  90. 岡三郎

    岡三郎君 この二十八年度から三十年度にわたっている税関手続の有無のうちの無ですね、これについては相当文部当局も調査をせられておると思うのですが、この無という内容ですね、これについては資料として、どういうふうになっておるのかということの資料は出されますか。つまり内容的に税関手続として手続をとっていない、とっていないのは、それはどういうわけでとっていないのか、あるいは今とりつつあるのかというふうな、具体的に無の内容についての検討、そういうものをせられておるかどうか、もし検討せられておるならばそれに伴う資料、これがあるかどうか。
  91. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 税関長の承認を経て払い下げるべきものでありますが、この手続未済のものの内容ということでございますが、その点については現在まだ全然調査いたしておりません。ただ税関長の承認を経ていないということで調査をいたした次第でございます。
  92. 岡三郎

    岡三郎君 それについては主税局長の方はどういう見解を持っておられるのですか。
  93. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) ミルクのうちで税関手続のございませんものの中には、おそらく税関手続をすれば税関長が当然承認したであろうと思われます飼料だとかいうものが、あるいはほんとうに腐っておったとかいうものがあろうかと思いますが、その辺は税関といたしましてはとにかく最終的には徴税をいたさなければなりませんので、文部省とも相談をいたしまして、今文部省のお調べになった税関手続の済んでいないものにつきましては、現在各税関におきまして各府県等を調査中でございます。
  94. 岡三郎

    岡三郎君 まあ税関の方は、海の方から入ってくるのはたくさんあるので、忙しいので、実際問題としてはなかなか手のつかない状況なんですが、実情はほんとうにやっておられるのかどうか。
  95. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 税関は今ほんとうに一生懸命やっております。実は府県段階より小学校の段階まで厳密に言えばやらなければなりません。小学校の段階までやるということはなかなか実は言うべくして、容易なことではございませんが、その辺もできるだけやりたいということですが、今の段階といたしましては、さしあたり府県段階を調査しております。
  96. 岡三郎

    岡三郎君 結局まあこの問題は長崎県のような問題からいろいろと波紋を投じて、その後新聞紙上においてなおその他の類似的な県があるのではないかというふうな情報があったわけなんです。しかし私は何もこれを拡大曲解して文部省等に質問するのじゃなくて、こういう事実がどういう経緯によって実際は見つかったのかという点についていろいろと検討せられるならば、やはりそれに伴ういろいろな投書とかいろいろな情報というものがわれわれの方にもくるわけなんです、こういうふうな一つの問題があるようですと。しかしそういう一つの具体的な明確でないものを私はここで言いたくないから、これは言わないわけなんですが、その一つの経路として、文部省としてはそれに対していろいろとこれは無理に出したくないと思う点があるので、われわれも無理に聞きたくないと思いますが、その点もう一ぺんお聞かせを願いたいと思います。
  97. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 先ほど御質問がございまして、一部お答えしたわけでございますが、今回の長崎の事件の端緒と申しますか、糸口は、一月の中旬にこれはあるブローカーが文部省へ参りまして、文部省が最近いわゆる事故品を払い下げた事実があるかどうか、汐留の倉庫に事故品ミルクらしいものが入っておるが、払い下げた事実があるかどうかということを尋ねられたのが、文部省の知った一番初めでございます。文部省はもちろんそういうものを払い下げるわけもございませんし、日本学校給食会におきましても、最近は事故品ミルクの払い下げをいたしておりませんので、そういったことはしていないというふうに返事をしたわけでございますが、直ちに係官がその言われた汐留倉庫へ参りますると、二百ポンドの乾燥脱脂ミルクが入っておった、それは給食用乾燥脱脂ミルクでございます。この乾燥脱脂ミルクがどこから来たかということを調査いたしましたところ、長崎県に十二月に学校給食会の方から送付したミルクであろうということが判明したので、長崎県の方に照会をしたわけでございます。なお先ほどお答え申しました通りに、このまあ漂っておる横流しミルクが、そのまま放置いたしますと、あるいはさらに転売されるというようなことも懸念されましたので、東京税関の方にも御連絡を申し上げまして、一応東京税関に差し押えをしていただいたというのが糸口でございます。
  98. 岡三郎

    岡三郎君 その点はもうきょうはだれもおりませんから、あまり言いたくないのだが、もう少し聞きますが、また今のような状態で業者筋の方からいろいろとそういう問題が提起されてきたということについては、なかなか文部省当局でもそこまで目が届かないと思うが、実際問題として私が一つ考えていることは、今の問題でも、事故品ミルクという形で払い下げたことがあるかどうかと、こういうふうな尋ね方できておるわけです。私はやはりここに出ているところの事故品ミルク払い下げ数量というふうな形で資料をお出し願っておるわけですが、この中で果してどの程度まで事故品ミルクで、一体どの程度までそうでないものが含まれているということの、この問題についての内容的な疑いを持つわけなんだ、私は。それで今後、これは主税局の方へ聞きたいのだが、今後この「税関長の承認を受けたときは、この限りでない。」ということになっておるわけだが、そうするというと、変質その他やむを得ない理由がある場合においてというこの条項ですね、この内容、これをどの程度まで主税局の方では精査し監督しようというふうな考え方を持っているか、その点をちょっと聞かしていただきたいと思うのです。
  99. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 本来学童給食用ということで免税いたしておるのでございますから、学童給食用に使えない不適格であるということでなければ、ほんとうは免税したものでございますので、関税をとらないで用途外使用することは認めるわけにはいかないかと思います。まあそういうことでもございますので、関税をとったらそれじゃ用途外使用は何でも認めるのか、こういう問題になるかと思うのでございますが、これも実はなかなかできにくい問題じゃないか、もともと給食会がアメリカから学童給食用として輸入しておるものでございますから、関税を払ったからといって用途外使用に、いいものでも何でもいいとどんどん認めるというわけには参らないのではなかろうかと、今さように考えております。また飼料に使うような場合には、これは現実の問題として、今までの用途外実績などを見ますと、飼料に使う場合はある程度はやむを得ないのじゃなかろうかと考えておりますが、この辺もう少し各省とも相談いたしまして、十分な基準を定めたいと考えております。
  100. 岡三郎

    岡三郎君 私はこれは今回のいろいろな問題から注意が喚起されてきたから大体いいだろうと思うのですがね。実際この問題が喚起されてこなければ、事故品ミルクという形で払い下げて、それが事故品でなかったというものが、憶測だか相当あるのじゃないか。そういう点で、今後この「変質その他やむを得ない」という場合ですな、この場合に税関長がそれを認めるかどうかということになるように書いてあるのですが、税関長は、一体その現場まで行って全数量調べてみるということを、係官をやってやらせるのかどうか、そういう点はどうなんですか。
  101. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 今後実際問題といたしまして、県から小学校に行ったものが、小学校に行った段階で腐敗してきた、変質してきたというような場合に、実は一々税関が山間部の小学校まで行くのは非常に手間ひまもかかりますし、問題かと思います。私どもの立場といたしましては、一応給食会が責任を持ってそれをできるだけ税関の所在地まで、見本でも何でもけっこうでございますが、一応現物を持ってきて調べる方が、私どもとしては都合がいいわけでございますが、その辺がこれからの運用の問題かと思っております。いずれにいたしましても、税関としては野放しで、書類だけでオーケーというわけには参らない問題と考えております。
  102. 岡三郎

    岡三郎君 この場合に、今までの法の不備としては、売った者が罰せられて、買った者は罰せられないというところにこの問題の盲点があったというところで法改正に至ったというふうに考えておりますが、結局、業者というものは、虚に乗ずるといいますか、都道府県の教育委員会のみならず、いろいろな関連上、必要経費がないとか、いろいろな関係で、それほど悪いとも思わないでやっているというものが、ずるずる拡大されていったという例がずいぶんある。とにかく学校の先生というのは、割合に経済観念がないと言うと失礼ですが、比較的に自分が純粋だから、間違った方向に使わなければ、少々のことはいいのじゃないかというようなことが、逆に業者の乗ずるところになって拡大していくというような例も従来なきにしもあらずだと思うのです。ただ現状において、こういう事例が出たから割合によかったが、またある程度のど元過ぎていけば、また事故品でないものを事故品の払い下げ等の理由によってやられることがなきにしもあらず。そういうような点で、学校給食会なら学校給食会に、やはり文部省なり大蔵省がそういうものを検定するなり、明確にする場合の責任といいますか、そういったはっきりしたものが現在あるのかどうか、また、なかったらそれを作ってもらいたいと私は思うのですが、あればいいのですが、その辺どうですか。
  103. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 最近におきましては、事故品学校あるいは府県の段階で生じます場合には、できるだけ東京の日本学校給食会へ送り返してもらうように指導をしております。そうして東京で一括所定の検査を受け、それから東京の税関の方へも手続をして地方それぞれの地域でやると誤まりが生じやすいことも考えられますので、日本学校給食会の方でこういったものの取扱いをするようにいたしまして、特別の場合を除いては地方での処理はなるべくやらせないようにやっていきたい、こういうふうに考えております。
  104. 岡三郎

    岡三郎君 文部省に対して失礼ですがね、学校給食会に対して相当厳重なる監督をしておるのですか。
  105. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように、昨年の十月から日本学校給食会は特殊法人になりまして、その事業計画の承認、あるいは価格の設定の認可、その他業務方法書による仕事の仕方、あるいは経理規定による金の取扱い等について厳重な規定を設けておりますので、今後はその法規に基いて間違いなく処理していくようになると思います。従来は御承知のように、民間の一財団であったわけでございまして、これはもちろん文部省所管の財団でございますので、一般公益法人に対する監督権というものはあったわけでございますが、特に監視的な眼を光らせてやるというような取扱いはしておらなかったわけでありますが、今後は十分その点についても注意をして参りたいと思っております。
  106. 岡三郎

    岡三郎君 それでは、私の方も少々資料があるのですが、これは時間がないので今日はやめておきます。それで、実際問題として今回このような問題が起ってきて、実際には各都道府県の取扱者並びに商人が相当ショックを受けて、自粛せられるようになっていると私は思っているわけです。ですからこの際、こういった問題で、単に売り買いした業者が自粛をするということのみじゃなくて、やはり主体的に都道府県給食会、こういったものが責任をもって遂行するためには、やはり法規ということよりも、実際の運営というものを都道府県の教育委員会がどういう状態でやっているのか、これは実情を通し、定期的に、出張のたびあるいはその他の、こういう特殊任務ではなくて、ある程度まで、やはり地方に行かれる機会が多いわけですから、学校建築、そういった問題ばかりでなく、こういった問題について一体どうなっているかという実情を聞いて、やはりそれに基いてふだんあやまちのないような仕方をしてもらいたいと私は思うのです。特にこういうことは学童に関係あるものですから、われわれとしても神経質に調査しているわけです。なかなか文部省としてはそれのみが仕事ではないわけですから、十全には行かぬと思うのですが、主体的にみずから厳正に施行されるような方法で監督を願いたい。こういうことにして今日は終らしていただきたい。
  107. 土田國太郎

    土田國太郎君 私もお伺いしたいのですが、こういうのは一つの臓物だな。こいつは脱税品なんだからね。こういうものを買った方を処罰するお考えはないのですか。そういう方法を設けるお気持はないのですか。つまりここに主税局長もいらっしゃるからだな。酒類のごときは、密造酒品を買って持っておると、没収であるとか罰金になるというようなことがあるのですよ。同じような意味じゃないですか。だからそういう罰則を買い方にも設けてもらったならば、これはふるえ上って今度は買わぬでしょう。いわゆる一種の臓物だ。そういうことを御検討をなすったらいかがですか、どうです、文部省は。
  108. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 今回の改正で、そういったものを譲り受けて、それで巨利を博しておるというようないわゆるブローカーが今後取り締られることになるわけでございますが、ただ、現在の給食から申しますと、大半はこれは輸入のものでございまするけれども、一部国内産を使うというような考えをしております。その場合に、国内産については、この関税定率法の一部改正ができましても、罰則はないというような片寄った状況になりますので、輸入品との均衡上から、将来は国内産、これは補助金を一部出しますが、そういった国の補助との関連もございますので、そういった国内産等の横流しについても何か処罰の規定が要るんじゃないかということで検討をいたしております。また小麦粉につきましても、現在小麦粉を横流ししてはいかぬという規定だけはございますけれども、それについての罰則もございませんので、そういった点もあわせて検討いたしておる次第でございます。
  109. 土田國太郎

    土田國太郎君 渡邊局長にちょっと簡単にアウト・ラインだけ聞きたいと思うのです。  ここの外国貿易船の入港のときの何かいろいろ手続があって、今度はかくかくの事情によって、今回提案の事情によって、十五条の一項、二項を簡素化するという御提案のようですね。一体十五条、十六条、どんなことを手続する、簡単でいいのですよ。そのうちのどういうものを簡素化するのだということをちょっとお教え下さい。
  110. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 私から便宜お答えを申し上げますが、今、普通開港に入港いたします場合には、外国貿易船の場合、積荷目録船用品目録、乗組員の氏名表、旅客の氏名表といったようなものを一切詳しく入港届に添えて出すわけであります。ところが現行法で、これは十五条の規定でございますが、現行法でも十八条におきまして外国貿易船開港に入港した場合に、船自体の使用する船用品以外のものを積みおろしを一切しない、船用品だけを積みおろしをする、それで二十四時間以内に出港する、こういう場合には貨物の積みおろしをしないわけでございますから、特別な簡易な通関手続というのを定めております。この場合には今申し述べた十五条に規定しております目録類を一切出さない、この簡単な出港手続による、こういう規定に現在の十八条はなっておるわけであります。今度は船用品だけでなくて乗組員携帯品、それから郵便物、これだけしか積みおろしをしない、こういう場合には簡易手続でやる、こういう規定でございます。  それからさっき岡先生からお尋ねがありました罰則の問題でございますが、これは今度の関税法改正では、関税の今の免税輸入した粉ミルクについてだけでございますが、これはいわゆる買い受けた者も臓物として罰せられる。関税法の方では輸入貨物の罰則がこれで整備される、こういうことになります。
  111. 岡三郎

    岡三郎君 その内容はどの程度なのです。罰則の内容は。
  112. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) これは関税法の百十条に規定しております普通の関税法違反で、五年以下の懲役、五十万円以下の罰金、ただしこれが五十万円をこえる場合には、五十万円をこえて逋脱した課税額の十倍に相当する金額以下ということでございますからかなりな罰金にはなります。
  113. 岡三郎

    岡三郎君 ついでですから、その次にまた質問するのも文部省の方も大へんだろうと思いますから、もう少し聞きましょう。  それでさっき輸入というやつでなくて、税関手続のないやつですね。これはいつごろまとまるか、両方に聞いておきたいのだが。
  114. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 税関手続のないものについては、現在文部省としては、その内容については十分調査しておりません。
  115. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 税関は、今文部省資料も参考にしながら、各府県については小学校まで調べるつもりで、各府県についての調査はほぼまとまりかかっておる段階でございます。その点は検察庁その他とも打ち合せたり、また実際問題として、資料検察庁にあるものもございますので、なかなか早く全部をまとめ上げるというところまでは、私ども希望はしておりますが、現実にはそこまで行っておりません。
  116. 岡三郎

    岡三郎君 この程度でまとめたもので一応金をとるということになると、不公平を免かれないのじゃないかと思います。その点どうですか、どの程度までとる意思があるか。
  117. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) まあ税関といたしましては手の及ぶ限り調べまして、それではっきりしたものをちょうだいすると、こういう形に、こういう結果になるのも私どもとしてもやむを得ないものと思います。税関といたしましても手を尽してもわからない部分があるから不公平な結果になる、こういうことになるかわかりませんが、その辺はできるだけ調査いたしますが、どうしても手の及ばないものがあるいは漏れるかわかりませんが、漏れた部分はどうも、できるだけ手を尽しますが、やむを得ないものと御了解願います。
  118. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、それでわかったものについてはどこから金をとるのですか。
  119. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 今までの規定で、日本学校給食会からちょうだいすることになります。
  120. 岡三郎

    岡三郎君 中央のですか。
  121. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) そうです。
  122. 岡三郎

    岡三郎君 今度各都道府県給食会が独立するというのだが、どうなんです。
  123. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 今度は用途外使用制限いたしまして、用途外使用制限を受けておるところは税関長から承認を受けまして、そのときに日本学校給食会に税関は強制徴収いたします。
  124. 岡三郎

    岡三郎君 大体推定してどのくらいの金額になるのですか、この量からいって。
  125. 崎谷武男

    説明員崎谷武男君) 大体免税金額年間で六、七億になるのが概算でございます。ですから今までのこの用途外使用実績を見ますと、それが一%にもおそらくならないのではないかと思っております。その一%のうち、さらに徴税しなくとも、つまり変質した等の理由によりましてとらないでもいいのが若干あると思います。従ってかりに七億円といたしまして、〇・五%ということになりますと三百五十万ということになります。一応の推算でございます。
  126. 岡三郎

    岡三郎君 それならばあんな多額な経費をかけて調べるというわけにいかぬでしょうな。渡邊さん、そうなると実際問題としてこれを処理するということは、学校給食会の方にこれを、この程度の金でもとれますか、ほんとうに……。
  127. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在一応各府県などについて調べております。税関もいろいろな仕事をしておりますので、なかなかどこまで手が行き届くか、その点につきましては、結局問題のバランスを考えまして、大いに力を注ぐべきか、注ぐべからざるかということもあるのですが、しかしながら、一つの秩序の問題でもございますから、できるだけの措置をしなければならん、わかりました分につきましては関税を徴収する、こういうことを考えておるのであります。
  128. 岡三郎

    岡三郎君 それから文部省に聞きたいが、この加工用ですね、この加工用の数量はそれほど多くないのですが、おもにどんな点に使われておるのですか。
  129. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ここで出ております八千ポンドでございますが、これは大体いわゆる加熱をして使用すれば食品になるわけです。たとえばビスケットというようなものにおそらくなっておるのではないかと思います。これは厚生省の検疫官がサンプリングして衛生試験所で培養検査した結果、この程度の雑菌であるならば加熱をすれば差しつかえないという指示証を受けまして、その指示に基いてそういった方面の業者に払い下げをいたしておるのであります。
  130. 岡三郎

    岡三郎君 それからその次の不明というのは二万四千七百ポンド程度ある。これは不明というのは調べて見ましたか、これは相当数量があるのだが。
  131. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 私どもの方でも実ははっきりいたしておりません。まあ資料にどういうふうにしたらいいかわからぬという府県からの報告でございますので……。
  132. 岡三郎

    岡三郎君 長崎県からの未報告というのはどういうふうに考えておりますか。
  133. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この三番目に、備考の三番目に書いてございますように、二月の中旬、下旬に関係者起訴をされまして、そのために文部省から詳細な照会をしておりますが、実は当事者がおりませんのと、それからいろいろな関係書類が税関関係提出を命ぜられております関係で、まだ詳細な数字の報告は受け取っておりませんが、大体私ども耳で聞いたところでは、長崎県では約三十五万ポンド程度のものを横流ししたというふうに聞いております。
  134. 岡三郎

    岡三郎君 この給食会館というのがだいぶよく建っておるということなんですね。この給食会館の費用の捻出の根拠、これは割り当てたり、いろいろな形にしておるわけですが、相当の金額になっておる。そういった点について給食会館等を全国的にどう考えていますか。
  135. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ただいまお尋ねの御趣旨が実はよくわからないのでございますが、東京の日本学校給食会の事務所の建築資金、これは民間の財団ができましたのが昭和二十五年でございますが、当時から実は日本学校衛生会の一室を借りて仕事をしておったわけでございまして非常に手狭でございますのと、関係者の出入りが、各府県を対象としております関係から多かったために、ぜひとも給食会独自の建物を作ったらよかろうということがいわれておったわけでございます。この日本学校給食会、これは財団の日本学校給食会でございますが、給食会としても、いろいろ付近の事務所等も当ってみたわけでございますが、何分にも当時非常な権利金を出さなければならぬ。また相当多額な借料を払わなければならぬということでございましてそれが皆学童の給食費に実ははね返っておるわけでございます。当時は国から一文の補助金ももらっておりませんので、職員の人件費も、それから事務費も借料も、すべて給食費に加えて徴収するという制度であったわけでございます。こういうことはおもしろくないということから、役員会でも、評議員会でも、新しい事務所を建てたらよかろうということで、給食費の中から出ますところの価格調整金、これは御承知のように、値段が、たとえば船腹の関係その他から非常に変動いたします。その変動に対して価格調整をするための価格調整金というものを、一部給食費の中に含めておるわけでございますが、その給食費の価格調整金がかなり蓄積されましたので、それを返す際に、その一部を各府県から寄付を願ったわけでございます。これは各府県給食課長が日本学校給食会の評議員になっており、その評議員会の議決を経まして、またそれぞれ各府県へ持ち帰って、府県の教育長の承認を得て寄付されたものでございます。大体千八百万円程度のものを寄付してもらいまして、それであの建物を建てたということでございます。
  136. 岡三郎

    岡三郎君 これは今度の学校給食会法ができる前は、あなたじゃないけれども、前の管理局長が学校給食会の会長だったでしょう、これは間違いないですね。
  137. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) まあ当然にそうなるというわけではございませんけれども、いろいろな仕事の都合の関係から、給食会の評議員会、理事会で選任されてそういうことになっておったわけでございます。
  138. 岡三郎

    岡三郎君 現在は全然管理局長は関係ないわけですか。
  139. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 全然ございません。これは監督官庁の立場でございます。
  140. 岡三郎

    岡三郎君 大体時間もきましたので、私はまあ今後いろいろな形によって事業をやっていく場合に、非常に数量が多いから、ちょっとした手の操作によっても、これはやはり利潤というものが出てくる。それで事務費なり、あるいは建物のいろいろな修繕費とか、いろいろそういうものの程度なら、これはやむを得ないとしても、そういったしわ寄せが学童にいく、かりにそういうことになったら、これは非常に困るわけで、それでなくても給食費が払えぬ者が年々歳々ふえておるというふうな実情なんです、実際は。それで学校の先生自体も、給食費の立てかえをやっているという先生がかなり多い。これは私がいるところの横浜においてもそうです。実際問題として立てかえていかなければならぬ。子供が払えないそのみじめな様子が見ていられないということで、しかしそれにしても年々給食費がふえてきたわけです。そういったような点から、できるだけ安く、また今後もっと補助をふやしてという点もあるわけですが、一円、二円という問題でも、これは数量にすれば相当膨大なものになってくる。ですからそういうふうな点について、給食の内容、質ですね、こういったものは当然改善してもらわなければならぬけれども、今後ともそういったような点がどのように運営されていくか、一つ大蔵省の方の監視を待たずして、文部省の方で一つ十分引き締めてやってもらいたい、これを最後にお願いしてやめます。
  141. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) ただいまのお尋ねでございますが、本年度から日本学校給食会の職員給与も事務費も、すべて国で負担することになりましたので、そういった点は解決されておるわけでございます。またこの剰余金が出ました場合にも、それを翌年度の価格計算の基礎にいたしておりますので、今後は剰余金というものはほとんど出ない。それだけ給食用の物資の値段を安くするということで価格の計算をいたしております。ただいまお尋ねのございましたように、文部省としても、できるだけ給与の内容の向上ということに努めますとともに、また給食用物資の横流れ等のないように十分指導をし、話し合いをしていきたいと思っております。
  142. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 今のお話は大体わかったんですが、岡さんと私は同じ気持を持っておったんですけれども給食費のうちで、今の給食会ですか、そういったものの事務費というものはどういった割合なんですか。その経費というものは今までどのくらいのパーセントを占めておりますか。今そういう説明があったでしょう。
  143. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 従来、これは実は経過がございまして、二十七年まではこれは全部その給食会の役職員の給与も、それから事務費も、給食費の中に含めて脱脂粉乳の代金としてとっておったわけでございます。
  144. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ですからそれはどのくらいの割合を占めておりますか。
  145. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 当時一ポンド当り二十二銭で……。
  146. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 一ポンドの価格は幾らなんです。
  147. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大体一ポンドは二十回給食のできる数量でございますが……。
  148. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 私は金額を聞いているんです。
  149. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 一ポンド二十円として二十二銭です。
  150. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 私は根本的に、そういうふうな給食会といったようなものを作って、これは一つの外郭団体だと思いますが、あるいはもっと言葉を悪く言えば、一つのこういうものがあると、いろいろな問題を起す巣窟になっているだろうと思いますが、そんな意味で、今後こういったような問題について、文部省としてもいろいろな外郭団体をお持ちだと思うんですけれども、こんなものに対しては文部省あたりとしては、そういうものをぐんぐん作っていくお考えなのかどうか。これは大臣に聞かなければならぬ問題ですけれども、しかしそういうものができますと、結局会館というものを作ってみたくなってみたり、いろいろな問題を起す禍根がそういうところへ出てくるんですが、そういうことについてあなた方の考え方からいって、こういう給食なんというものはほかのものと違うんだから、そんなものができていくような助成策を、あなた個人あたりが考えておられるのかどうか。たとえば前の給食局長ですか、課長ですか、会長になって横すべりするようなことなど、それは事務的に問題があるということである。あなたは今は関係がないとおっしゃるわけではあるけれども、これは非常にむずかしい意味で言うのではないけれども、雑談的に聞いてみたいのです。
  151. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 実は給食会事務所の問題については、四、五年前から話があったものでございましてもうすでに三年くらい前に土地だけは購入しておったというようなことでございます。今回給食会が特殊法人になるに際して新しくそういった給食会事務所を作ろうという話になったわけでは実はないのでございます。それからお尋ねの中にございましたが、前の局長が給食会に入っておるわけではございません。これは全然違っております。全然給食会理事長は、文部省と申しますか、給食とは関係のない人がやっておるわけでございます。仕事の関係給食会としては今までの関係で、とにかく事務所がほしいということでこしらえたわけでございますが、すべての外郭団体にそういった新しい事務所を特に設けなければならぬというふうには文部省としては考えておるわけではございません。
  152. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 本日は、本案の質疑はこの程度にとどめて散会いたします。    午後四時三十二分散会