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説明員(
崎谷武男君)
関税法等の一部を
改正する
法律案につきまして、お手元に
新旧対照表がお配りしてあると思いますので、それに基きまして補足して御
説明を申し上げます。
一番
最初の第十一条は便宜百三十四条の
改正の方で
説明申し上げたいと思います。
その次の入
出港の
簡易手続でございます。これは十八条を
改正いたしまして、ただいま
外国貿易船が入
出港いたします場合に、
船用品だけを積んでおります場合には簡易な入
出港の
手続を
規定しております。その
船用品以外のものでも、たとえば
乗組員の
携帯品とか
郵便物というもの、こういうものだけの積みおろししかしない、こういう場合には
簡易手続によっても一向差しつかえないわけでございますので、今度は、
船用品のほかに
乗組員の
携帯品、
郵便物だけを積みおろしをする、こういう場合には簡易な入
出港手続で済ませよう、こういうことでこの十八条の
改正案を考えたわけであります。
それから第二項は、同様に
外国貿易機が
税関空港に入ります場合に、やはり
機用品以外のもので、
乗組員の
携帯品、
郵便物だけしか積みおろしをしない、こういう場合には簡易な
手続でやろうということにいたしたいということでございます。この簡易な入
出港手続と申しますのは、
積荷目録とか、
乗組員氏名表とか、
旅客氏名表とか、そういうものの
提出を省略するということになります。
それから第十九条でございますが、これは現在
執務時間外の
貨物の積みおろしをいたします場合の
規定をいたしておりますが、これは現在の十九条が「
外国貨物を積んでいる
船舶」となっておりますので、
外国貨物を積んでいない、つまり
空船の
外国貿易船等につきましては、やはり
税関といたしましてこの
貨物の積みおろしをチェックしなければなりませんので、この現在の
条文では疑義があるので、「
外国貿易船等その他
外国貨物を積んでいる
船舶」というように改めようとするものであります。
それから第七十四条でございますが、これは現在
刑事訴訟法の
規定によりまして売却する場合、その
貨物を買った者から
輸入手続をさせております。これが今まで
検察庁あたりも非常に不便をいたしておりますので、
関税法では、
税関が領置したもの、差し押えましたものを売却する場合には、これは
税関が
領置物件、差し押え物件について
公売するものを
輸入を
許可された
貨物とみなすとありますが、
検察庁が
刑事訴訟法の
規定によって売却するものについても、
税関が処分する場合と同様に
輸入を
許可した
貨物とみなして、
手続の
簡便化をはかると、こういう
規定でございます。
それから八十四条でありますが、これは今
税関が
収容しました
貨物で廃棄できる場合を限定しておりまして、これは人の生命、財産を害する急迫した危険を生ずる場合にだけ
税関長は
収容された
貨物の廃棄をすることがで声る、こういうことになっておりますが、実際問題といたしまして、
収容した
貨物の中で、非常に腐りまして、あるいは変質したというので、売ろうにも
買い手がない。こういう
貨物が若干ございます。こういう場合におきまして廃棄できる、
税関長が
収容した
貨物の中で、腐敗して、もう
買い手がないというような場合には廃棄できる、こういう
規定に改めたいということでございます。
それから八十五条でございますが、これは、現在の八十五条の
規定では、
貨物を
公売、売却いたしました場合に、その代金をもって
公売に要した
費用、
収容課金、
関税その他の
国税に充てた
あと、
残金があります場合には、
政令で定めるところにより、
公売の際における
貨物の
所有者のために供託する、
政令の定めるところにより供託するということになっております。これは現実の問題といたしまして、
政令では、供託する前に、その
収容のときに、すでに
質権、
留置権を持っていた者がある場合には、その
残金を
所有者に交付するに先立って
質権、
留置権によって担保されていた債権の額に達するまで、
質権または
留置権を有していた者に金を交付するように実は
政令で定めております。これは現在
政令でやっていることでございますが、この今の八十五条の
規定を
改正いたしまして、現在
政令で定めていることを
法律の
条文でそのまますきり書く、こういうことにいたしたわけでございます。で、もちろん
質権者、
留置権者を保覆した
あと、まだ成金がある場合には供託するという
規定を次に置いたわけでございます。
それから百三十四条でございますが、それは今まで
刑事訴訟法の
規定によって売却されました
貨物は、
輸入貨物とみなされませんで、買い受けた者から、
輸入手続を経させて
関税をとっていたのでありますが、今度の
改正によりまして、
刑事訴訟法によって売却された
貨物につきましては
輸入した
貨物とみなされますので、この場合に国庫に帰属するというようなことでなく、
本人に、
所有者に
貨物を返還しなければならない場合がございます。この場合には
関税を徴収することが必要でございますので、その
本人に返す場合には、
関税を徴収するという
規定を百三十四条で新たに置いたわけでございます。これに伴いまして、一番
最初に十一条がございますが、この場合には担保も何もとっておりませんので、一般的に
国税徴収の例によって徴収するんだという百三十四条の
裏づけの
規定を十一条で
規定したわけであります。
関税法につきましては、以上、入
出港の
簡易手続その他、
税関手続の
簡素化、それから
執務時間外の
貨物の積みおろしのような
税関手続の
適正化ということを趣意といたしまして、以上のような
条文の
改正になったわけでございます。
それから
関税法の
別表につきまして今まで
税関が
開港を
規定しておりますのが六十四港ございますが、最近になりまして福島県の
小名浜、
熊本県の
水俣、この両港につきまして、どうしても
開港にしてくれと、こういう要望がございまして、この際、
別表第一に、
小名浜、
水俣の二港をつけ加えることにいたしたいと考えております。
この
開港と申しますのは、普通の港でございますと、一々
外国貿易船が入ってきますのに、不
開港に入るという
許可をとりまして、手数料も取られますし、
事務が若干複雑化するわけでございますが、
開港にいたしますと、そういう点が
簡素化する、こういうことになります。で、今の
関税法の
規定では、大体
年間五千万円以上、船の
隻数にしまして二十五隻以上が、一応
開港の
基準と申しますか、それに達しないことが二年以上続きました場合には
開港を閉鎖する、こういう
規定を
関税法は置いておりますが、この
小名浜、
水俣の場合は、二十九年、三十年の
実績を見まして、
貿易額におきましては、
水俣は二十九年に四億五千万、三十年に三億一千万、
小名浜は二十九年に一億二千万、三十年に四億六千万というように、
貿易額は今申し上げました
開港閉鎖の
条件をはるかに上回っております。船の
隻数におきましても、
水俣は二十九年に二十九隻、三十年に三十二隻となっております。
小名浜につきましては、船の
隻数は三十年に二十隻ということで若干二十五隻を下回っておりますが、これは
硫安を輸出して
蝋石粘土を
輸入するというような
関係がございまして、今後
開港としての
条件を十分に維持できるものと考えまして、今度の
別表に追加したいと考えているわけであります。
それからもう
一つ、
別表第二の
税関空港の中に福岡県の
板付を加える、こういう案でございます。これは
日航線が今、羽田から
香港に飛んでおります。これを
沖縄に寄港しておるわけでありますが、この
沖縄線というのは、むしろ
板付から
沖縄に行った方が
日航としては運航上有利である、
香港線がそれだけ
沖縄に寄ることなく直行できる点と、実際問題として
沖縄への
旅客はむしろ
板付を基点とした方が便利であると、こういうこともございまして、
日航が
板付から
沖縄に飛ばすという
関係もございまして、
板付を
税関空港に指定する必要が起ったわけであります。
それから
定率法の一部を
改正する
規定でございますが、これは現在
学童給食用の
乾燥脱脂ミルクにつきましては、
特定用途の
免税をしております。これはいろいろ問題がございましたが、結局、従来
乾燥脱脂ミルクにつきまして、
特定用途外に
使用した場合には
輸入者から
関税を徴収するという
規定だけでございまして、
用途外の
使用の
制限とかいったことについては
関税定率法で別に
規定がなかったわけでございます。これが最近
給食会の
地方の支部が独立するというような変遷がございましたので、それに伴いまして、
用途外に
使用するときには
税関の
許可が要る、こういうことに改めようということでございます。
定率法の一部を
改正する
法律の
附則で、
用途以外の
用途に供し、または
用途以外の
用途に供するために譲渡する場合には
税関長の承認が要る、こういう
規定を置きまして、その場合に本来
学童給食用ということで
免税を受けておるわけでございますから、
用途以外に
使用する場合には
関税を直ちに徴収する、ただし変質、損傷した場合には免除をする。それからこの
用途外の
使用の
制限に違反した者は
関税法の第十章の
規定を適用するというふうに、
脱脂ミルクに関する
用途外の
使用を
制限し、かつ罰則を明確化したいというわけでございます。
そのほかにつきましては
附則関係の
条文の整理でございまして、特に御
説明を要しないかと思います。