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1956-03-23 第24回国会 参議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月二十三日(金曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡崎 真一君    理事            山本 米治君            岡  三郎君            土田國太郎君    委員            青木 一男君            青柳 秀夫君            井村 徳二君            大矢半次郎君            木内 四郎君            菊田 七平君            白井  勇君            藤野 繁雄君            成瀬 幡治君            平林  剛君            片柳 眞吉君            前田 久吉君   政府委員    大蔵省主計局次    長       宮川新一郎君    大蔵省主計局法    規課長事務代理 中尾 博之君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君    大蔵省銀行局長 東條 猛猪君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    大蔵省主計局主    計官      上林 英男君    会計検査院事務    総局次長    小峰 保榮君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○粗税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○賠償等特殊債務処理特別会計法案  (内閣提出衆議院送付) ○物品管理法案内閣提出)   —————————————
  2. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) これから委員会を開会いたします。  租税特別措置法の一部改正する法律案を議題として、質疑を行います。
  3. 土田國太郎

    土田國太郎君 この在留外人課税経過措置ですが、在留日本人米国とかあるいは英国とかへ行ってどういう課税の待遇を受けておりますか。二、三その大きな国について知りたいのでございますが……。
  4. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 各国によってある程度違いはございますが、主な国を幾つかあげてみますと、まずアメリカでございます。アメリカの場合におきましては、非居住者に扱われる場合、ノン・レジデント——居住をしていない人として扱われる場合と、それから居住外国人として扱われる場合とで違います。非居住者の場合におきましては、日本の場合におきましても、御承知のように住所のない、一年以上居所がないという場合においては、二割の比例税率支払い金額に対して課税をしておりますが、アメリカにおきましても非居住者の場合におきましては、三割の税率で、これは比例税率課税しております。それから居住外国人になりますと、これはアメリカ人居住者とほぼ同じといっていいと思いますが、一応基礎控除扶養控除、そういうものもこれは条約もありまして認められまして、それからそのあとに対して累進税率課税をしていく、こういう課税の仕方をしておりまして、もちろん日本人なるがゆえに特別に税金が安くなっているといった問題はございません。  それからイギリスの例を申しますと、イギリスの場合におきましても、やはり非居住者居住者とで分れますが、非居住者の場合におきましては、イギリスの場合の税法というのは所得税法でございますが、これは普通税付加税、ノーマル・タックスとサー・タックス二つかかっておりますが、非居住者の場合には普通税だけがかかる。これは比例税率でありまして、四二・五%となっております。それから居住者になりますと、これは基礎控除扶養控除、そういうものがありまして、その残りに対して税率適用されますが、同時に所得の額が小さいと普通税の方は相当の軽減税率適用される。それから居住者になりますと、所得の額が二千ポンドをこえますと、その分については、付加税と呼んでおりますか、サー・タックスがかかる。それからイギリスの場合におきましては、居住外国人については次のような扱いが現在されております。われわれよく送金ース——リミッタンス・ベースと呼んでおりますが、日本雇用契約ができた人が——普通向う銀行支店とか会社の支店に行っている人は大体そうですが、イギリス国外雇用契約が成立して、そうして向う勤務しておる人におきましては、イギリス送金された金額限度としまして、それだけを所得とみなす。要するに千ポンドなら千ポンドもらいましても、こちらの金で言えば百万円ですか、百万円の月給である。しかし五十万円は内地の家族へ払っていて、イギリス勤務している本人に渡される金は残りの五十万円である。この五十万円だけしかイギリスで払われない、こういう場合におきましては、向う勤務はしておりましても百万円全部をその人の所得と見ないで、五十万円だけを所得と見る、こうした扱いに現在なっております。  それから西ドイツの場合を申しますと、これは非居住者居住者に分けまして、非居住者の場合におきましては、ドイツで生まれた所得といいますか、ドイツ勤務していれば、その勤務をしたことによっての所得の全額に対して課税されますが、この場合の税率は一応累進税率税額表がきまっております。それから居住外国人になりますと、これは日本税法原則と同じでありまして、国内所得のほかに国外所得も全部入りまして、そのかわりドイツ人並みのいろいろな控除がありまして、累進税率課税されます。まあおもな国は大体そんなところでございます。
  5. 土田國太郎

    土田國太郎君 米国居住外人米人並みくらいに該当するわけですか、どうですかその点は。
  6. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) アメリカは何と申しましても所得全体が大きいといいますか、従って国民の一人当りの所得が大きい、そういう関係がございまして、基礎控除も六百ドル、それから奥さんがありましても六百ドルといったように非常にまあ控除が高いわけです。従いまして特例のような特別なものはございませんが、たとえば同じ一万ドルなら一万ドルの月給という者も、アメリカ税法に照らし合せて税額計算した場合と日本税法適用して税額計算してみた場合とでは、これはかなり大きな違いといいますか、日本の方が非常に高い負担率になる。従って日本人でもアメリカに住んでいるということによって、まあ相当所得ももちろん大きくなりますけれども、しかし向う税法適用されることによって日本税法税金負担するのに比べるとはるかに低い負担で済む……。
  7. 土田國太郎

    土田國太郎君 いや、私のお聞きしているの、税率米人居住日本人は同じかどうかということをお聞きしたかったのです。
  8. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その御質問でございますれば、先ほどもちょっと触れましたが、アメリカ人向うに住んでいる日本人、これは同じ税率適用を受けます。人がきている場合に、それに対して特別な措置をやっている国というのは幾つかあります。その一つフランスがやはりやっておりますが、フランス関係は多少、われわれの方でいろいろ調べておりますが、内容が複雑で、ちょっとはっきりしない点もありますが、結局フランス生活していくについて大体幾らくらい金が要るかといったようなことを中心として、たとえばフランスで働いていることによって一万ドルなら一万ドル月給をもらっていたとしても、フランス生活で五千ドルで済んでいるということになれば、大体その、五千ドルを中心にしたところをそこを所得に見まして課税している、こういったような特殊な課税の仕方をしております。  それから一番顕著にやっておりますのがオーストラリアでございまして、オーストラリアの場合におきましては、特にオーストラリアの経済に特別な貢献をするといったような特殊な人を一応限定しておりますが、一応そういう人に対しましては、国外で生れたて、この点はイギリスにおきましては送金ベースと呼んでおりますが、送金ベースという一つのプリンシブルを持っておりますが、それ以外は特殊な扱いをしておりませんが、一応イギリス人である場合と外国人である場合とではそうした違いが出てくると、こういうことでございます。
  9. 土田國太郎

    土田國太郎君 それで、今度これを改正しようというお考えは、これはもちろんけっこうだと思うのだが、この御提案を拝見いたしますると、これはこれから五年かかろうというのだが、これはどういうわけで五年間にやろうというわけですか。
  10. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 御承知のように、従来は二つ特別措置がなされてきた。一つ先ほど申しました送金ベースによる課税というものが一つ、それからそのほかに、一応特定の一といった制限はありますが、その人にとっては、最高三百五十万円を限度として半額控除と、こういうことになっていたわけであります。それでわれわれの方といたしましては、この期限が切れた機会におきまして、この始末をつけたいと思ったのですが、とにかく非常に従来のフェーバーが大きかったものですから、税負担からいたしますと、これは送金の率で必ずしも負担の額は同じでありませんが、大体平均七割ちょっとくらいの送金の率が出ておりまして、そこを見てみますと、一万ドルの月給をもらっている人は、従来そう二つフェーバーを受けますことによって、一〇・八%、千八十ドルですか、それだけの税金であった。それが今度一度に全部そうしたことをやめてしまいますと、四千五百ドルのものが税金になるわけでございます。で、いかにもその負担上り方が大きい。で、これは外国人間にもいろいろ問題になりまして、そしてまた突如そういうことになることによって国際的にもいろいろな問題が起りかねない、日本にとてもこれでは居きれないから、香港とかあるいはしかるべきところに逃げ出そう、こういったような話もあったわけであります。そこでわれわれとしましては、順次日本人並み原則として持っていくということはやりたい。しかし今言ったように一〇のものが四五に一ぺんに上ってしまう、これも少し行き過ぎじゃないだろうか、従って一定の期間を置いて徐々に日本人並みのところへ持っていくと、こういう考え方でできるだけ外国人人たちにも納得してもらって、そして解決したいというので、まあいろいろあの人たち意見も聞いてみたのです。それで五割控除考え方は、これは早くから外国人の方もこれは特別なフェーバーだから、これを要求するのは無理だと、この方は放棄しておりました。ただ先ほど申し上げますように、イギリスなどにも例があるものでございますから、日本で払われた月給だけを課税標準にするというやり方ですね、これを何とかとれないものだろうか、これをかなり向うは強く粘ってきておりました。しかし、まあ国際的ないろいろな関係を見て参りますと、結局日本勤務したものについて払われた月給……その人が一万ドルの月給をもらっていれば、日本で払われるものが五千ドルであろうが、六千ドルであろうが、とにかく一万ドルに課税する。五千ドルの人は五千ドルに課税する。これがまあ税の上から見まして公平なところでありまして、同時にいろいろ見て参りますと、月給の多い人ほど国内で払われる割合は少いのです。まあ日本で住んでいますと、五千ドルとか六千ドルとか、月給が一万ドルの人と二万ドルの人とでも、結局それも一と二と違うほどじゃなくて、せいぜい一万ドルの人が五千ドルで生活していれば、二万ドルの人はまあ七千ドルぐらいで生活しているとか、その程度の差しかつかない。従って送金ベースというものは、月給の安い人ほど大体まるまる日本でもって支払いを受けるということになりまして、どうも税の負担の公平から見ておもしろくない。従ってこういう制度を恒久的な制度にすることは、われわれとしては望ましくない。しかし一応これを徐々に是正していく方が全体の摩擦を少くするゆえんじゃないだろうか、こう考えたものですから、そこでいろいろな案が行ったり来たりいたしましたが、ことしは送金ベースだけ、来年から所得に対しての一応の最低限をつける、まあこういうことにしまして、五年といえば、確かにわれわれももう少し短かい期間で片づけることを当初は希望したのでございますが、しかし考えようによれば、やはり長いといえば長い、短かいといえば短かい期間でございますけれども、まあこの辺のところで全体が、国際的にも円満にこの問題が解決できるならば解決した方がいいじゃないだろうか、こういうふうに考えまして、確かに五年としては決して短かいとは思いませんけれども、この辺のところで問題を解決するのが一番いいのじゃないかという結論に達したわけでございます。
  11. 土田國太郎

    土田國太郎君 そうしますと、これは、かりに米国人がここにおりますと、日本送金されてきた金額と、それからアメリカ家族の者なら家族の者がもらっている金額を合せてこういう比率をかけるということになるわけですか。
  12. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ、一口に申せばさようでございます。結局日本支店長をしている人が月給は一万ドルもらっておる。それで日本の方では五千ドル払ってもらって、残りの五千ドルがアメリカ家族が払ってもらっておるということになる、こういう場合に、三十一年度はその五千ドルだけ、しかし三十三年度になりますと、両方合せた一万ドルの六割と、それからこちら払いの五千ドルと比べてみて、いずれか多い方、従って六千ドルになるわけであります。それから月給がずっと一万ドルで、国内払いがこれは五千ドルでありましても、その翌年は七千ドルが、課税対象になり、八千ドルが課税対象になる、こういった関係で、五年たちますと、一万ドルの全部が課税対象になる、こういう課税考え方であります。
  13. 土田國太郎

    土田國太郎君 これでおしまいにしますが、今、局長は少し長過ぎたというお感じがあるようですが、同様にわれわれは、より以上に、こんなに長くしなくてもいいのじゃないかという感じを持っております。それで三十二年度以降としてありますが、これは三十一年度以降でもいいのじゃないか、そんなに期間を長く置かなくてもいいような気がするのですが、どうして三十二年度でおやりになるのですか。
  14. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 三十一年度は、やはりこれも一つ始まるのです。従来に比べますと三十一年度は、結局従来は送金ベースのほかに五割控除があったわけです。三十一年度はその五割控除がまずなくなるわけであります。五割控除がなくなることによりまして、先ほど申し上げた例をもって言いますと、一万ドルの人は従来は一〇・八%、千八十ドルであったが、五割控除がなくなることだけで、これが二千九百三十ドル、二九・三%、それだけで実は三倍に近いところへ行くものでありますから……。
  15. 土田國太郎

    土田國太郎君 それでがまんしようと、こういうわけですか。
  16. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) そこで一応これは、ほどの問題でございますが、まあ三十一年度はその程度にしたらどうだろうか、こういう結論が一応出たわけであります。
  17. 土田國太郎

    土田國太郎君 私はこれで終ります。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 減税額について聞きたいのですが、二十九年度にこの特別措置によってどの程度減税したことになるのですか。
  19. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 二十九年分につきましては、今申しましたように二つのことをやっておりましたゆえに、大体四億三千万円とわれわれの方では推定しております。
  20. 岡三郎

    岡三郎君 と同様に三十年、三十一年……三十一年度は五割控除がなくなるわけですが、この減税ですね。従って逆に言うと、三十一年度の増収見合いということをちょっと教えてもらいたい。
  21. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) これは二十九年度のベースを一応そのままとって計算してみますと、まあ負担が重くなりますれば、もう日本におった人たち必要最小限度になって、たとえば香港に移ってしまうとか、こういうことになれば、もとがなくなってしまいますから、いろいろケースは変ってきます。人の移動で変ってきますし、いろいろ変ってきますが、それを入れましたら計算ができませんから、二十九年度の人がそのまま日本に相変らずおり、同時に大体俸給もそのままだ、こういう前提で計算した数字であるということを御了承を願った上で申し上げます。  三十一年度におきましては、今言いましたような五割控除になくなりますので、結局増差額は二億三千万円、二億三千万円減税額が減るわけです。四億三千万円の現行のまま……現行と言っては語弊がありますが、従来のままですと四億三千万円の減税額が、今度の改正で三十一年度は二億三千万円減って、減税額というのは二億……二億だけこの措置のゆえに減税する。
  22. 岡三郎

    岡三郎君 三十年度は大体二十九年度と同じですか。
  23. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 三十年度はこの計算では大体こういうふうに御説明申し上げた方がよいかもしれません。全然特例がないと、九億三千万円、それで従来の特例でありますと、これが五億課税になった——税額として五億課税になった。従って四億三千万円だけ、差額だけ減税になって、それが三十年度は大体それと同じように考えております。三十一年度は九億三千万円が七億三千万円に課税になって、差額の三億だけが減税になる。三十二年度はそれが七億七千万円になる。三十三年度は七億九千八百万円になる。三十四年度は八億三千四百万円になる。三十五年度は八億七千八百万円になる。三十六年度になりますと、九億三千万円に返る。この程度の幅を持っております。
  24. 岡三郎

    岡三郎君 非常になだらかに減らしていくので外国人は喜ぶだろうと思いますけれども、一ぺんでやると負担上り方が確かに激しい。こう仰せられた意味はよくわかるのですが、当初大蔵省で、三カ年でもとに返すといいますか、普通にすると言っておったのを五年というのは、私どももどうも長い気がするのですが、三カ年でやった場合に外国の方でどういう不平があったのですか。
  25. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 結局三年でやることにつきましては、一応まあ負担の変化というものが、やはり相当、結局なだらかさの問題でございますが、相当顕著にふえるのが目につきますものですから、やはり何と申しましても一つ日本税金が重いということが基礎にありますから、そういうことになるのならば、まあ相当大量に日本から去っていくとか何とかといったようはことも起きかねないじやないだろうかといったような、いろんな議論がございまして、いろいろ、三年ということも考えてみたのでございますが、まあもう二年くらい待っても国際的におだやかに問題を解決したいと、こういう気持があったわけでございます。
  26. 岡三郎

    岡三郎君 私が聞くところでは、日本ほど住みいいところはない、こういうふうに、人によりけりだと思うのですがね。それでまあ税率が高いといっても相対的に収入が大きいんですし、生活条件というものは、やはりアメリカでやっていると違って、やはり相当こちらの方が安くいくんではないかというふうなことから考えてみて、もう少し適用対象ですか、厳密にしぼる必要があるのではないかと、こう思うわけですがね。この適用対象の四項目ですね。これについて、三の学校教育法云々と、この教員ですね、あるいは牧師、こういった方々は、もうそのものずばりで、やはりこういう特別措置が必要だと思うのですが、この一と二の方、これをどの程度厳格に調査しておるか。
  27. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 大体現在、先ほどいいましたように現在というか今の二つフェーバーがあったが、一つ送金ベースフェーバー一つは二分の一課税フェーバー送金ベースの方のフェーバーは、日本に住居を持っていない外国人といいますか、これには従来一律に全部与えられてきたわけです。従いましてキャバレーを営んでいるとかそういったような極端な姿のものまで一応与えられた。それから三分の一のフェーバーは、これは相当しぼりまして与えられてきたわけです。外資法人関係でありますとか、特別技術関係でありますとか……。で、今度考えておりますのは、もちろん全部の外国人に与えるつもりではありませんが、従来外資法人とか二分の一のフェーバーを与えていたものにつきましては、いろいろまだ法律の上にかなりボーダーラインで相当いろいろ問題があった点もございまして、そういったような点も考慮いたしまして、従来二分の一あたり与えたものより多少範囲を広くしよう。ただ問題になりますのはいわゆる貿易商でありますが、貿易商につきましては、これはまあ大体与える方向にものを考えていきたいと思っておりますが、大体それ以外のものにつきましては、従来二分の一課税フェーバーを与えていた人たちと、それのボーダーラインで、どちらかといえば与えた方が、まあ現在今まで与えられていた連中に比べるとつり合いはいいと思うけれども、法律の上に与えることができないといった程度のものまでは引っ込むと、この程度考えております。
  28. 岡三郎

    岡三郎君 私はやはり一の方、または二の方でも一応ワクがあるけれども、解釈のしようによってはいろいろと解釈のできるというふうな仕事をしておる人があると思う。ですから、そういった点で、先ほど言ったように、ラテン・クオーターみたいな、キャバレーですか、ああいったようなものはどうなってきたんです。
  29. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ラテンクォーターのような場合は、これは従来はもちろん二分の一課税フェーバーは与えておりません。それから送金ベース関係は、これは一応該当するわけでありますが、ただ事業所得であれば結局全部が全部日本から所得が得られるわけでございますから、従って外国法人に全部与えられるということに一応法律的にはなっておりましても、それのフェーバーを受けるのは月給をもらっている者だけでございますので、ラテンクォーター、あれは私ちょっと今ここで存じませんが、個人が経営をしておるとなれば全部事業所得、そんなような意味におきまして、ああいう場合において特別なフェーバーは、いずれの点からいっても従来からなかったわけです。
  30. 岡三郎

    岡三郎君 それから一ヵ年以上の居住とありますが、それ未満はどうするのですか。
  31. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一カ年未満と一カ年以上の関係は、これは現在所得税法居住者と非居住者と分けておる、その境い目が一応それに当りまして、一カ年未満の場合におきましては、先ほど土田委員の御質問にお答えいたしましたように非居住者になりまして、この場合におきましては、現在の税法で二割程度比例税率課税してゆく、こういうことになります。
  32. 岡三郎

    岡三郎君 二割ですね。
  33. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) はい。
  34. 岡三郎

    岡三郎君 それで大体日本のは、しばしば話になるが、不良外人というのがだいぶあるし、国籍不明の外人がだいぶいる。これは関税の、関税というわけでもないでしょうが、こういったようなものに対する点検は少しはやっておりますか。出入国管理ということになるのだと思うけれども……。
  35. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) この点は必要があれば国税庁の方の係から御説明申し上げた方がいいと思いますが、私の聞いておりますところでは、登録外人につきましては登録簿国税庁としては一応入手しておりまして、その登録簿によって所在をはっきりさせてその人たち課税をしている。従って、考えて参りますれば、たとえば不法入国をして登録簿にも載っていない外人がおりますと、これに対する課税があるいはまだ行き届いていない場合があるかもしれない、かように考えます。
  36. 岡三郎

    岡三郎君 この程度で終ります。
  37. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 他に御発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いとうございます。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 私は日本社会党を代表して、租税特別措置法の一部を改正する法律案に反対いたします。反対の主なる理由は、基本的にこのような特例措置外国にそれほど例はない。従って従来とっておった措置はあまりにもラフ過ぎるし、あまりにも軽過ぎたと、こう考えます。従って今すぐこれを全部とれということではないのですが、少くとも三カ年程度で、これはやはり日本人と同じような税をかけるということが必要だと私は思うのです。従来外人に対してはあらゆる面において非常にルーズであったし非常に緩和されておったというふうに考えます。日本は独立して現在各種の仕事が営まれてきております。まあその道程にあるわけですから、先ほど言いましたように、すぐ一ぺんにやれとは申しておらないので、三カ年程度ということを言っておるわけですが、とにかく一本立ちになっていく日本の国に、外人税金が高いから逃げていくというふうなことでおどかされて、そしてその税率を安く負けていくということでは、これは情けないと思うわけです。そういうふうなことから考えてみて、いろいろと事情があるでしょうが、しかし私はもう少し大蔵省としては、きぜんたる態度をとって、短期間にこの問題の処理に当ってもらいたかった、こういうふうに考えて反対します。
  40. 土田國太郎

    土田國太郎君 私は緑風会といたしまして賛成するものでありますが、先ほど来、岡委員の御発言にありましたように、いかにも長過ぎるので、この点は私どもの考えといささか違うのでありまするが、しかしこの際になりましてはやむを得ませんから、原案に賛成しておきまするが、将来十分適当な時期に改正を願いたいと存じます。
  41. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議なしと認めます。  それではこれより採決に入ります。租税特別措置法の一部を改正する法律案衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  43. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 多数であります。よって本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則によりまして、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いとうございます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  これから委員会の報告書に多数意見者の御署名を願いとう存じます。   —————————————
  45. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑を行います——。他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いとうございます。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  48. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 全会一致であります。よって本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いとうございます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 異議ないものと認めます。よってさように決定いたしました。  それから、多数意見者の御署名を願います。   —————————————
  50. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に、賠償等特殊債務処理特別会計法案を議題として、質疑を行います。
  51. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちょっと伺いますが、ビルマが昨年賠償の取りきめができたほか、今フィリピンが交渉中のようでありますが、ほかに何かそういうふうないきさつになっているところがあるかどうか、及びその大体の経過でけっこうです。
  52. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ビルマのほかに、御指摘の通りフィリピンの方が相当進捗しておりますが、そのほかに前々から交渉の中にあるものといたしましては、インドネシアがございます。そのほか、ラオス、カンボジア等の仏印の国につきましても、まだ賠償問題が未解決に残っております。
  53. 土田國太郎

    土田國太郎君 インドネシア、仏印は本年中に解決する見込みですか。
  54. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) おそらく今年中に解決するということはむずかしいのではないかと考えますが、インドネシアの方面等は最も問題のところでございますので、正確に今年中に解決するかどうかの見通しを述べることは困難でございますが、鋭意努力いたしましてもなかなか円満妥結する方向に片づくことは、そう近い機会に望むことはむずかしいのではないかと考えております。
  55. 岡三郎

    岡三郎君 この前の委員会において補足説明があったわけですが、この昭和三十一年度の予定額の百五十億のうち、賠償等特殊債務処理費の百五十億のうちに、ビルマ、タイ特別円、フィリピン沈没船、その次に、その他連合国財産補償費として五十八億という御説明がありましたね。その内訳は大体どういうふうになっておるのですか。
  56. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 前回申し上げましたように、ビルマ、フィリピン、タイのほかに連合国財産補償費といたしまして五十八億を申し上げたのでございますが、この内訳につきましては、ただいまのところ正確に、金額が確定いたしておりません。主なものは連合国財産の補償費でございますが、これは全体の請求金額が三百十二億でございましたが、ずっと片づいて参りまして、本年の二月未現在におきまして未処理件数が五百八十三件でございまして、その請求金額は百九十一億余万円に相なっております。で、ただいま所管の局におきまして鋭意審査いたしておるわけでございますが、大体審査が完了いたしております。なお未処理のものもございますが、おおむね七十数億円程度の審査金額に相なろうかと考えております。そのうち今年度内におきまして処理いたすものを差し引きまして、およそ六十数億円のものがこの連合国財産補償関係費として残ることに相なるかと考えておるのであります。これを約二年で処理いたす計画にいたしまして、来年度は約三十億円を連合国財産の補償関係に充当いたしたいと考えております。そのほか占領中に米軍より払い下げを受けました物資の代金、並びに英豪軍より払い下げを受けました物資の支払い代金、合計いたしまして約三億円を予定いたしておりまして、残額はもっぱら、ビルマの賠償関係の実施がおくれまして三十年度中に計画いたしておりました金額の支出が終らないものが来年度にずれる、これを考えまして合計五十八億円を予定いたしておる次第でございます。
  57. 岡三郎

    岡三郎君 将来の特別会計の見通し、これはまあ、いつごろまでこれを続ける方針ですか。これは大きい問題ですが。
  58. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 非常に大きい問題でございまして、まだ未処理になっておりまする、平和条約に基かない諸種のクレームが相当多額にございまするし、御案内のようにまだ交渉の段階にはございませんがガリオアの返済問題もございまして、日本の財政と睨み合せまして、この賠償等海外特殊債務を処理いたしますには相当期間が必要ではないかと考えております。何年続くかちょっと今のところ御答弁を申し上げかねます。
  59. 岡三郎

    岡三郎君 私の言っているのは、二年間でまあ連合国財産の補償等が片づくというふうに今説明があったと思うのですが、それは明年て片づきますか、確かに。
  60. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) この連合国財産補償関係につきまして、先方との、請求者との話し合いがつきまするならば、この程度金額ならば二年間でおおむね処理できるものと考えております。
  61. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 他に御発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願いとうございます。——別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。賠償等特殊債務処理特別会計法案衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  64. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 全会一致であります。よって本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。なお諸般の手続は慣例によりまして委員長に御一任を願いたいと存じます。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。それから多数意見者の御署名を願います。   —————————————
  66. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に物品管理法案を議題として質疑を行います。
  67. 岡三郎

    岡三郎君 私は二年ほど決算委員をやってきて、国の予算の使用方法その他についての会計検査院の指摘するところを検討してきた経験から、かなり前から、物品管理というものが不適切である、非常に乱脈をきわめておるというふうな印象を強く持っておって、この点についてすみやかに物品管理法等のこういうふうな法律を作成すべきであるというふうに強く言ってきた一人でありますが、今回この法案が出たということについて、まあいいわけですが、しかし今までどうしてこの法律をすみやかに出してこなかったのか、あまりにも遅きに失するきらいがあったのではないかという印象を持っているわけなんです。その間の事情を一つ説明してもらいたいと思うのです。
  68. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御指摘の通り、会計検査院の決算報告を見ましても、相当前から、物品管理はよろしきを得ないとか、使用がよろしきを得ないとかいう批難事項がございました。大蔵省といたしましても相当前からこの法案につきましては鋭意検討を重ねてきておったのであります。ただ何分御承知のように、現行の物品会計規則が明治二十二年以来数十年にわたりまして実施されておった関係もございまして、現行制度との調整をできるだけはかる必要もございますし、物品の種類もきわめて多岐多様にわたっておりまして、一貫した管理基準というものを制定するにはなかなか技術上の問題もございます。それにかたがた会計検査院の批難事項に当りましたような事項もできるだけこれをこの法律によりまして解決できるような方途を講じたい、万般いろいろなことを考えまして慎重審議した関係上、相当毎年……内情を申し上げますと大蔵省部内において省議をいたしまして、そろそろ今度は提案しようという段階になりまして、いずれも国会の会期の関係で時間切れになりまして、提案が遅れておるような次第でございますので、今回ようやく成案を得まして上程いたしまして、御審議を願うようなことに相なった次第でございます。
  69. 岡三郎

    岡三郎君 どうも今のお答えは通り一ぺんのお答えで、一年ずつ実施が遅れるということによって相当国費が不当に使われてきたというふうに私は考えておるわけです。特に大蔵省たるべきものが、その弊を知っておりながら、国会の審議に名をかりてこれを遅らしてきたということは、どうしても私は納得できないと思うんだが、もう少し……各省各庁の間においてこういうことをやることを好ましくないというふうな傾向があったんじゃないですか。
  70. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 各省各庁において好ましくないから阻止しようというようなはっきりした態度ではございませんでした。今日まで予算を編成し、これを実施いたしておりまする大蔵省といたしまして、物品の不当経理等によりまして国家に損害を及ぼすというような事態になっておりますことは、一日も早く解消すべきでありまして、もっと早く提案すべきであったのでありますが、何分先ほども申し上げましたように、いろいろな管理規則を作る関係上、非常に成案を得るのが困難な事情もございましたし、それに各省が反対じゃございませんが、やはりいろいろな手続がめんどうになる点もございまして、そう積極的に各省がこれに、早く出すようにしてくれというほど積極的な方にむしろ働いてくれないというような事情の法案でございますので、いろいろ各省の意見も聞き、調整しているうちに遅れたような次第でございます。
  71. 岡三郎

    岡三郎君 物品会計規則ですがね、明治二十二年六月十二日というずいぶん古ぼけたものですが、この第二十一条に「官吏ノ執務上必要ナル物品ノ交付及其ノ交付ヲ受タル官吏ノ責任ニ就テハ各省大臣之ヲ規定スヘシ」、こうありますね、これがどの程度各省各庁において規定をされ、励行されておったのですか。
  72. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) その点につきましては、ちょっと正確じゃございませんが、大体全部の各省各庁におきまして部内の内規を定めまして、所要の規定を定めております。
  73. 岡三郎

    岡三郎君 この規定を一つ各省各庁から集めて資料として提出してもらいたいと思う。ということは、この会計検査院の報告書を見てわかるように、責任ということが非常に軽く取り扱われておる。つまりこの罰則というものがあってなきがごとき、状態でなかったのかということを見てきたわけです。それだから、結局数多くの物品の過大調達とか、あるいは不適当の調達、不適当な管理、保管ということが頻々として指摘されてきておる。それで一昨日ですか、新聞等に印刷局の問題が出ておる。あれはほんとうかどうかわかりませんが、局長の屋敷には官庁の器具器材をもってきてゴルフ場を作っておったとか、練習場を作っておったとか、あるいは、これは会計規則ではないが、土地物件の払い下げ等の問題が出ておったわけですが、各省各庁の大臣がこれを規定して、その下で予算を執行する人が、どの程度責任を持って、予算が物品にかわった段階からそれが使用される以後、責任を持ってやっておったかということは、私にはわからぬ。だから、結局そういうふうな形の問題が一ぱい出てきておったというふうに今みているわけです。非常にまあ遅きに失したというふうは印象を強く持っておりますが、今回の物品管理法でこれを作成する場合に、会計検査院等の意見を聴取したことがございますか。
  74. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 会計検査院とは綿密に打ち合せをいたしまして、十分協議いたして作成いたしました。
  75. 岡三郎

    岡三郎君 その結果として会計検査院は、この法律によって物品が確かに保管される、こういうふうに向うの方では納得したわけでしょうか。
  76. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 前回会計検査院の小峰次長が本委員会に出席いたしておりまして、この法律案が通過いたしますということによりまして、従来会計検査院が批難事項としてあげました事項が相当これによって防止でき、著しく改善されるものと思う旨の答弁がございましたことを申し上げます。
  77. 岡三郎

    岡三郎君 これは昭和三十二年度からやる部分もあるわけですね、まあ三十一年度は帳簿その他整理をする期間をみているように法律には書いてあるわけですが、一応この法律が通過した場合に、大蔵省の方としては、各省各庁を督励して、それぞれの所要帳簿というものをそろえるわけですが、その見通しはどうですか。
  78. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 法案が通過いたしますれば、できるだけ早い機会に各省各庁を集めまして、所要の手続を早く進めるようにいたしたいと考えております。
  79. 岡三郎

    岡三郎君 その場合に、従前購入されて放置されておったもの、その他数多くの品物があると思うんですが、そういったものを取捨選択して新しい帳簿に記載するというふうなこと、そういった点についての監督はだれがするんですか。
  80. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 物品管理につきましては、各省各庁の長が第一次的に責任を負ってこれを執行いたします。そうして大蔵大臣は総括大臣といたしまして、その各省のやり方がばらばらになったりすることのないように調整を加えていくわけでございます。
  81. 岡三郎

    岡三郎君 私はそれではどうも心もとないと思う。今の物品の管理状態をみていると、下のルーズというものは上のルーズから起因しているような印象を受ける、その根本的にルーズな上の方が監督してやったって、どうも私は信用ならぬ。だからそういった点において、従来やってきたことを改めるということなんですから、やはりこういった点については、この際、大蔵省本庁が必要な報告を求め、実地監査を行う、こう書いてありますが、これをやって、まず初めにしっかりしたものを一応作るという決心がなかったら、これから始まるんだというのでは私は済まされぬと思う。終戦以来ずうっと予算を使ってきた各種の物件等がどの程度に保管されて、どの程度に処理されてきたということを一応突っ込んでみる必要があるんじゃないかと私は思うんです。ですから、これが一応でき上ったものを事後報告を求め、実地監査を行うということでは、ちょっと切りかえどきとしては手ぬるい感じがするんですが、これは何とか方法はないでしょうか。
  82. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) まことにごもっともな御意見でございます。法律を作りましても、法の精神にかなった処理ができないようでは困ります。総括大臣であり、また予算を預かっております大蔵省といたしましては、先ほど申しましたように各省各庁の関係者を集めまして、よくこの法の精神にかなった処理ができまするように十分力を入れて参りたいと思っております。
  83. 岡三郎

    岡三郎君 どうも次長は正直そうで、まあそう言うと、私もそうやってもらいたいと、言って終らざるを得ないのだが、しかし私は従来の弊害等から考えて、通り一ぺんでこの切りかえというものをやられては、やはり問題を残すのではないか、こういうふうにみておるわけです。それで、防衛庁などの物品管理の仕方なんかも、一年分の乾電池ですか、そういうものを買い込んで、そうして使わないうちにそれが役に立たなくなっているとか、いろんな例が一ぱい指摘されておるわけです。それが一応指摘されている部分はいいわけです。しかしその他の部分においても、それは厖大なるものですから、会計検査院としても、そのうちのごく小部分しかあたっておらぬわけです。しかしこれを大蔵省が一括してやれということは、なかなかむずかしいということもわかります。わかりますが、しかしやはり将来報告を求め実地監査を行うということでこれを規制していこうという決意が見えておるわけですから、この切りかえどきにやはり相当厳格にこれを実行していかないと、今までのものは帳消し、まあとにかく今までのものはでき得る限りというところで処理されていくという方向になりがちだと私は思うわけなんです。ですからこれは非常にむずかしい問題ですが、何とか一つこの点、実効があがるように、緒につくときですから、やはり陣容をそろえてやってもらう、そうしてそれに基いて、やはり将来一つの慣習というのですか、将来のこういった物品管理の、だれからも批判を受け広い一つの規律ある制度というものをやっていく、私はどうしたってこの法律というものはある程度しかこれはやはり守り切れないと思うのです。私の感覚では……。たとえこの物品管理法で各省各庁のいろんなものを規制しても、それは完璧を期せられないということになれば、やはりこれを運用する立場としては、これは一方においては厳罰主義ですね、ここにありまするように罰則というものを、どの程度これから励行されるかわからぬが、やはり相当厳格なる罰則を適用しなければ、私はこれは結局法律を作っただけということになる心配があると思う。だからそういうふうな点で、私は出発の当初において相当しっかりしたやり方をするということを一つ注文をつけておきたいと思うのです。その他内容についてこまかい点は、本日は質問を省きますが、先ほど要求した、各省各庁で一応今までやってきたこの物品会計規則の第二十一条のこういった問題について、一つ資料を提出してもらって、そこであらためて私はもう一ぺん質問したいと思うわけです。だから、きょうはこれでやめておきたいと思います。  ちょっと今、資料をくれるかくれないか、委員長、確かめて下さい。
  84. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 資料の点は了承いたしました。なお先ほど御答弁申し上げましたように、初めが大事だという御趣旨はきわめて私ども同感でございまして、十分力を入れてやって参りたいと思います。
  85. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 日本人の通弊として、金は大切にするけれども物を大切にしないところの習慣がある、こういうふうなことが土台になって物品の管理がおろそかになってくる。そういうふうな際に、この法律を政府が作られるようになったということは、まことに喜びにたえない。しかしこの法律を読んでみますると、非常に政令事項が多い。それで運用というものは、この法律によれば政令が出なくてはほとんど運用のことはわからない。その政令案ができているならば、その政令案を示してもらいたい。また政令案ができていなかったらば、どういうふうな政令を出す予定であるか、こういふうなことを示してもらわなくては、この法律の審議はできないと思っている。
  86. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ごもっともでございますが、大体政令で規定いたそうと思っている事項は手続事項でございますが、御指摘の通り政令事項が多うございますから、この点につきましては資料として、政令事項として——もちろんまだ案の段階でございますので、途中で変更をいたすことがあるかもしれませんが、資料として至急お出しするようにいたしたいと思います。
  87. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それでは感づいたままに逐条的に二、三お尋ねしたいと思っております。第十二条の第一項の「必要数調整をするものとする。」ということになっておりますが、必要な調整とはどういう調整をやられるのか、これをお尋ねしたい。
  88. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) これは国有財産法の規定と同様な規定を設けた次第でございますが、先ほど委員の御質問にお答えいたしましたときにもちょっと触れましたように、各省の物品の分類でありますとか、あるいは管理換するときの手続でありますとか、その他本法案の実施に関連いたしまして、各省各庁が実行いたしまする面につきまして、各省がばらばらとなるようなことのないように調整をして参るという考え方でございます。
  89. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次は同条の第二項のしまいのところの「管理換その他必要な措置を、求めることができる。」というようなことを書いてありますが、この「その他必要な措置を求める」というのはどういうふうなことなんですか。
  90. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) たとえばある特定の機械がございまして、この機械を農林省で持っておる。ところが同じような工事を建設省がやる、建設省がその機械が必要である。本来ならば建設省が自分の予算でその物を買うわけでございますが、そういうことはもったいないから、一つ農林省からその機械を建設省に管理換したらどうかというようなことをいたしますとか、というようなことを考えておるわけでございます。
  91. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから十五条の第四項です。これはさっきお願いした政令の関係でありますが、「政令で定める場合を除くほか、有償として整理するものとする。」こういうふうになっているのであるが、政令で定める場合を除くのほか有償であるから、無償でやることもあるんですか。また有償であるとするならば、その有償額はどういうふうに決定するのですか。
  92. 上林英男

    説明員(上林英男君) まず無償で管理換をいたしまする場合でございまするが、ただいま国以外のものに国が物品を無償で譲与いたします場合につきましては、物品の無償貸付及び譲与等に関する法律というのがございます。たとえば教育、試験、研究、調査のために必要な物品を譲与する場合とか、いろいろ規定がございます。これに類しますような場合には、大体ここで無償で……同じように国の会計を異にいたします場合におきましても無償で譲与するというようなことを考えております。そのほかの場合におきましては、会計を異にいたしますときには原則といたしまして有償制というふうにし、会計間の区分を明確にしていこう、こういう趣旨でございます。
  93. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 その有償の場合は帳簿価格であるか、時価であるか。
  94. 上林英男

    説明員(上林英男君) その場合は原則として時価で整理をすることを考えております。
  95. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 時価ということになれば、利益を生ずることもあれば損することもあるが、それが実際できますか。そうしてその時価はだれがどういうふうな方法で算定しますか。一定の基準がありますか。
  96. 上林英男

    説明員(上林英男君) おのおの独立採算的な観点から時価でやるのが適当と考えておりますが、具体的には、管理換を行いますところと管理換を受けますところが、時価を参酌いたしまして、その物品の価格をきめていくということになると思います。
  97. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから十七条です。これも政令できめることになっておりますが、「(政令で定める物品を除く。)」ということになっておるが、一体政令ではどういうふうな品物をなくしようとお考えであるか。
  98. 上林英男

    説明員(上林英男君) ここで書いておりますのは、非常に、何と申しますか、妙な例を考えられるために、こういう「(政令で定める物品を除く。)」と書いてあるわけであります。と申しますのは、たとえば郵便局で、郵便局長が郵便切手を買います場合があるわけでありますが、そういう場合に、この規定をそのまま適用いたしますと、その郵便局長は自分のところで売っている郵便切手を買えないという妙なことになりますので、こういう条文を置いたわけでございます。言いかえますれば、要するに定価販売品でだれが買っても間違いがないというようなものを除くつもりでおります。
  99. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これも政令事項ですが、二十七条の第一項の「政令で定める物品については、」と、こう書いてあるが、政令ではどういうふうな品物を定められる御予定ですか。
  100. 上林英男

    説明員(上林英男君) この二十七条の規定は、従来非常に簡単に物品の不用の決定をいたしておりまして、まだ使えるようなものが、あまり検討もされずに、たとえば売却されてしまった、その結果、国に損害を与えたというのを防止するための規定でございまして、従いまして、ここでそういうような趣旨にかんがみまして、不用の決定をいたしまする場合につきまして、特にたとえば高価な物品であるとか、あるいはさらに、不用の決定をいたします場合に、物品管理官が不用の決定をいたしますが、物品管理官の範囲でなく、各省各庁の範囲でまだ使えるものでないかどうかということを検討する必要があるような物品、たとえば重要な機械であるとか、器具とか、そういうようなものは各省各庁の承認を得てでなければ、不用の決定をし、売り払ったり、何かできないようにしたい。こういう趣旨でございます。
  101. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから、その第二項の、今の答弁に含まれるかわかりませんが、「売り払うことが不利又は不適当であると認めるもの」は「廃棄することができる。」この「売り払うことが不利又は不適当であると認めるもの」というのはだれが決定するかというと、物品管理官が決定するのですか。
  102. 上林英男

    説明員(上林英男君) さようでございます。
  103. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから三十一条第一項、これは一番しまいの方の「その他国に損害を与えたときは、弁償の責に任じなければならない。」「その他国に損害を与えた」というものは、たとえばどういうふうなものであるか。それはそういうふうな場合は弁償のみでいいのであるかどうか。
  104. 上林英男

    説明員(上林英男君) まず第一点の「その他国に損害を与えた」というのは、上に書いてございます物品の忘失または棄損をした以外の行為で、損害を与えたような行為をしたということであります。たとえば先ほどからいろいろ議論のございますような、過大の物品を、要りもしないものを買って、その結果そのものを使えなくしてしまって国に損害を与えたというような場合でございます。  それから第二点の責任の問題でございますが、ここは弁償責任の規定でございまして、従ってこういうような行為で、たとえば国家公務員法におきまする懲戒責任に当りまするものは、もちろん国家公務員法の懲戒責任の規定が該当されるわけでございます。
  105. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それからその第二項、「その他の場合」において、損害額の算定方法はどうやって算定されますか。
  106. 上林英男

    説明員(上林英男君) 二項に規定がございますが、物品を忘失、棄損いたしました場合には、その「物品の価額又は損傷による物品の減価額」というものを基準にいたしまして、また「その他の場合」におきましては、「通常生ずべき損害の額」というものを損害として弁償の責めに任じさせることになっております。「通常生ずべき損害の額」と申しますのは、法令用語といたしましていろいろな法律に使われております。要するにその管理行為から通常関連性をもって生じました損害の額というものを判定いたしまして、損害額といたすわけでございます。
  107. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 その場合の算定の基準も、品物次第では、あるいは帳簿によるとか、あるいは時価によるとか、こういうふうなことになってくるだろうと思いますが、そういうふうな帳簿価格によるか、あるいは時価によるかというようなことは、その決定をする者はたれですか。
  108. 上林英男

    説明員(上林英男君) 最終的には会計検査院が検定をいたすことに相なっております。それは第三十三条にございまするが、その検査院の検定前におきましても、各省各庁の長が弁償を命ずることが必要であると認めます場合には、会計検査院の検出前におきましても、その物品管理職員に対して弁償を命ずることができることに相なっております。
  109. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これも政令事項ですが、三十五条の「物品以外の動産で国が保管するもののうち政令で定めるものについて準用する。」この政令ではどういうふうなものを定めようとお考えであるか、それを伺いたい。
  110. 上林英男

    説明員(上林英男君) たとえて申しますれば、遺失物を国が保管しているような場合、あるいは収監者の着てきました洋服を留置して、国が預っていますが、そういうような収監者の留置物とか、あるいは国の債権の担保といたしまして持っている動産とか、あるいは権益物として国が保管しておりますような物品、そういうようなものにつきましては、ここに書いてございますのは、大体保管の原則、出納保管をしっかりやんなさいというような趣旨の規定でございますが、そういうものを準用して行くつもりでございます。
  111. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから第三十九条、ここに「定期的に、」と、こう書いてありますが、「定期的」とは何か一定の時期があるのでありますか。
  112. 上林英男

    説明員(上林英男君) この物品におきまする検査につきましては、従来の物品会計規則におきまして、検査物の種類によりまして、たとえば四年に一回としまして検査をいたしましたり、あるいは毎年一回検査をするというような、いろいろな検査がございます。大体ここでは物品会計規則に準じまして、種類に応じ、あるいは年に一回、あるいは四半期に一回というような検査の規定を作って参りたいと、こう考えております。
  113. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、品物ごとに検査の一定時期は区別して定める、こういうふうなことなんですか。
  114. 上林英男

    説明員(上林英男君) さようでございます。
  115. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから四十条ですが、これも政令事項ですが、四十条は、会計法を私は余り知らない結果であろうが、何にどれを適用しなくてもいいというようなお考えなんですか。「この法律の一部を適用しないことができる。」と、こういうふうなことが書いてあるが……。
  116. 上林英男

    説明員(上林英男君) ただいまの御質問の条文は四十条でございますが、ここに書いてあります「会計法第二十三条の規定」とございますのは、いわゆる渡し切り費の規定でございます。たとえば特定郵便局におきましては、まあ一種の、何と言いますか、昔の請負的な思想から、ある程度の金を渡しまして、それによってまかなわせたというような経費でございます。そういうような経費につきましては、経費によりまして物品を買いました場合でも、それは国の経費で買いましたものでありまするので、国の物品でございまするので、厳格に申しますと、物品管理法の適用があるわけでございまするが、そういうような経費で買いました物品につきましては、その額も非常に少うございまするし、またその経費の趣旨から申しましても、渡し切り費で、ある意味では打ち切り的に渡しております経費で買いました品物でもありまするので、厳密に、たとえば供用計画とかいろいろなこういう手続になじめない部分があるわけでございまするので、そういう部分をはずしていこう、こういうつもりでおります。
  117. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 十一条について伺いたいのですが、「都道府県又は特別市」というこの「特別市」というのをどういうわけでここへ規定されたのでありますか。
  118. 上林英男

    説明員(上林英男君) これを立案いたしましたときは、まだ、特別市が廃止になるという、地方自治法でございましたか、その改正がございませんでしたので、特別市というものを入れたわけでございますが、その後、特別市を廃止するという地方自治法の改正法律案が準備されましたので、それによってこれを直していただくように手配をいたしております。
  119. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 そうしますと、これはこのままにしておいて、別の法律でこれが訂正される、こういうふうになるわけでございますか。
  120. 上林英男

    説明員(上林英男君) さようでございます。
  121. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 それから、ついでにといってはあれですが、今一つだけお聞きしたいのですが、この第一条に管理というものの説明が「取得、保管、供用及び処分」と、こうなっておりまして、その終りの方に持っていって、「物品の適性かつ効率的な供用その他良好な管理」、こういう言葉で一条が規定されておりますが、いやしくも法律の言葉で管理というのをわざわざ「かっこ」をしてあげた以上は、むしろ第二行目の方は、物品の良好、適正かつ効率的なる管理と言う方が、法律語としては正しいのじゃないか。ここに供用とあげられた供用だけがきわめて重要で、ほかの取得、保管及び処分というものは、むしろ付随的だというような印象を受けるのでありますが、これはどういうわけでお書きになったのでありますか。
  122. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) まことにごもっともな御意見でございまして、ただこの管理にかえまして、御指摘のような、効率的な管理をはかることを目的とするで十分でございますが、特に従来供用方面におきまして、不適正な部分も相当ありまするので、供用というところに多少ウェイトを置きまして、「共用その他」と、こういうふうに、涌俗的な表現でございますが、いたした次第でございます。御意見のほどはごもっともでございます。
  123. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 簡単にいま一つだけ伺いますが、この前、青木さんからお尋ねがありましたただいまの「供用」という言葉でございますが、これは第二条の第二項に説明がついておりまして、「供用」とは、終りに「使用させ、又は処分」、端的に言えば「供用」という言葉は「使用」と「処分」を含めておると、こう一応とれる。詳しいことはよくわかりませんけれども。ところがこの全体の法文を読んで見ますと、「供用」というものが、ただいま御説明になったように第一条でも供用に重点を置くという、この「供用」という言葉がかなり不明確である。それはこちらに、次の方の条文をだんだん読んで参りますと「物品の管理」という第三章の第二節には「取得及び供用」というふうになっておりまして、第四節には「処分」、そうすると、「処分」というものと「供用」というものが別のようでもあるし、またこの第二条のこの説明における「供用」は使用及び処分を含めている、こうなっておりまして、何だか「供用」という言葉が、専門家はわかるかもしれませんけれども、初めて法律を読む者は、どこまでが供用なのか処分なのか、何か不明確なような気がするのでございますが、その点はどういうふうに解釈したらいいか、その点の御答弁をお願いいたします。
  124. 上林英男

    説明員(上林英男君) 多少そういうきらいが、御指摘のような点があるかと存じまするが、ここに「供用」と申しましたのは、物品につきまして、その本来の目的に従って、何と言いますか、使用しまたは処分することを、ここでは「供用」という言葉を用いております。従いまして、たとえば机とか什器とかいうようなものは、使わせる、使用しさせることが本来の目的、国の目的でございまするので、そういう場合に使用させるという概念にわかれて参るわけでございますが、たとえば食管の米というようなものになりますると、売り払うことがその本来の目的に近いということに相なるわけでございまして、そういう場合には、ここでその物品を本来の用途に応じて処分する、こういう概念と合せまして「供用」という言葉を使ったわけでございます。  最後の方の第四章の方の「処分」と言いまするのは、むしろ通常の意味におきまする処分でございまして、この場合は、不用の決定をいたしました、要らなくなった物品を本来の目的に、先ほど申しました本来の目的に従って売るという処分ではなくして、要らなくなったから売りあるいは廃棄するというような意味に書きわけているつもりでございます。
  125. 青木一男

    ○青木一男君 今の点ですが、同じ「処分」という言葉をそういうふうに、御説明のように二つにわけて、読んだ人が読むでしょうかね。その点が非常に立法上疑義があるので、「処分」ということには一通りあって、法律上の処分と事実上の処分がある。これを書きわけることは法律上の観念できわめてやさしいが、米と机というような関係でその使用に二種あるということは、一体法律観念としてできるでしょうか。この点が非常に……。これは前回申し上げたように、疑義をもってお尋ねしたわけなんですが。
  126. 上林英男

    説明員(上林英男君) 確かにそういう御指摘の点があるかと存じまするが、「供用」におきましては、二条の二項にございますように、用途に応じて処分する、こういうことに書いておりまするので、処分することが本来の用途であるという場合を「供用」という概念でつかまえておる。あとの「処分」の方は不用の決定に伴いまする処分というふうに書きわけましたつもりでおりますので、多少わかりにくい点があるかと存じまするければども、そういうふうに読めないことはないかと、こう考える次第でございます。
  127. 青木一男

    ○青木一男君 立法者はそのつもりでしょうが、法律というものは国民が読むものですからね。それならば、正確に言えば、第一条が物品の取得、保管、供用及び供用以外の処分と、こう書かなくてはいけないですね。正確にはどうですか。
  128. 上林英男

    説明員(上林英男君) さようでございます。
  129. 青木一男

    ○青木一男君 この点はわれわれも研究しますが、よく一つ研究しておいて下さい。これはあなた方の説明を伺ってもなかなかのみ込めないのですから、説明を伺わない国民がこの法文を読んだだけではわからない。これはよほど考慮を要する点だと思う。  それから、その次にお尋ねするのは第二条ですが、第一項に「及び国が供用のために保管する動産をいう。」、これは国有財産でないのですか。国有財産以外ですか。
  130. 上林英男

    説明員(上林英男君) 国有財産は御存じのように不動産が原則でございまして、それ以外その従物としての動産もございますが、ここでは「国が供用のために保管する動産」と言いますのは、たとえますれば、このほど特に機械を借り入れまして国が使用するという場合がございますので、この法律では国が使うという点に物品の使途の大きな特質を認めまして、国が使うために保管する、たとえば今申しました借り入れ機械というようなものをこの法律適用を受けしめていく、こういう趣旨で書いているわけでございます。
  131. 青木一男

    ○青木一男君 それじゃ、観念としてこの場合も国の所有に属せせざるという観念ですね、入っていない意味ですね。
  132. 上林英男

    説明員(上林英男君) この「国が供用のために保管する動産」と申しますのは、保管いたしまする動産でありまして、従いまして、国の所有に属しないけれども、借りることにより保管することになりました動産で、要するに国が使っていくという動産については、供用計画の一環として効率的に使っていこうという趣旨で、この法律適用を受けしめる趣旨でございます。
  133. 青木一男

    ○青木一男君 それらの品物をこの法律のカテゴリーに入れる以上は、国が借りる規定は何条にございますか。
  134. 上林英男

    説明員(上林英男君) 国が借りまする場合は、これは契約等担当職員が賃貸借契約を結びまして借りるわけでございますので、物品管理官がやるわけではございませんが、その物品管理官と契約等担当職員のつながりは、供用計画のところで、十八条をごらんいただきますと、「物品管理官は、供用計画が立てられている物品については供用計画の範囲内で、その他の物品については供用上必要な範囲内で、契約等担当職員に対し、」借りてくれというように請求するということになっております。この規定は、要らないものを契約等担当職員が予算があるからといってむだに借りたり買ったりすることができないように、要するに、実際物品を管理しております、あるいは使っております管理官なり、これの下におります供用官、そういうものから契約等担当職員に、現実の必要に応じて契約等担当職員に請求して、それを契約等担当職員がその請求に基いて真に要るものを買い、あるいは借りるようにする、言わば契約等担当職員と物品管理官との連繋をここではっきり明文化したつもりでいるわけでございます。
  135. 青木一男

    ○青木一男君 そうですか。私は非常に法文を読み違えておったが、第一条の「物品の取得」、第十八条の「物品の取得」は、所有権の取得の意味だと思っておったが、違うのですか。
  136. 上林英男

    説明員(上林英男君) 占有権の場合も含めているわけでございます。
  137. 青木一男

    ○青木一男君 しかし普通の法律用語で取得と言えば所有権の取得を言うのですがね。普通の会計法令その他の一般の法令ではね、一体、取得という言葉で今のような占有権取得まで入れた例がありますか、その点一つ
  138. 上林英男

    説明員(上林英男君) ちょっと記憶がございませんが、やはりありましても非常にまれな例かと考える次第でございます。
  139. 青木一男

    ○青木一男君 しかし立法上のそういうアンビギュアスな立法はいかんですね。私は法律の用語例で、取得という場合は、普通、取得と言えば所有権の取得を言うのですね、これが定説だと思うのです、用語例から言っても。さっきのあなたの説明みたいに、借りる場合は占有権取得というような回りくどいことは法律でも扱わない。借り受けとか賃借だとか、そういう言葉を法律用語では使っておる。占有権取得というような観念で所有権と一緒にまとめたような立法例は私はないと思うので、その点はどうですか。
  140. 上林英男

    説明員(上林英男君) 物品につきまして、ここの場合の規定といたしましては、所有権及び占有権を含ましめる意味で物品の取得というふうに観念いたしたつもりでございます。
  141. 青木一男

    ○青木一男君 そうすると、この前の質問に関連するのだが、この取得にしても保管にしても、現実に実行するものは個人です。その公務員たる個人です。それでも観念上、国が取得して保管するという観念を現わしていると思う。それから公務員が机を使う場合、これも私は今までの法律の用語例では、やはり国が使用する一つの形態としては観念しておると思うのですね。その点は、物品の取得とか保管とか、まあ処分にしても、それは実際実行する人はこの個人がやるのですけれども、それがやはり国が処分するという観念で法律の構成はできておるのですが、その使用させることを特に抜き出して、しかも処分行為、その使う用途に応じたものに限定するにせよ処分する、これは処分させると言わない、これは処分するという、これは従来の慣例で来ている。その二つの観念をあわせて「供用」という例のない用語を使った意味はどこにあるのですか。
  142. 上林英男

    説明員(上林英男君) この物品管理法の立て方といたしましては、物品管理官、出納官、供用官というようなものの物品管理の職に当るものの機構を整備いたしまして、それぞれの物品管理職員が行うべき管理基準を定めておるわけでございまして、従いまして、ある意味では、そういう管理機構にそれぞれ責任のポイントがはっきり立つような趣旨をもちまして文章を書いておりますので、そういう観点から見ると、国の立場から物品管理官なり物品供用官がやっておりまする行為を見ますると、まさに使用させるという表現を用いるのが適用だと、こう考えたわけでございます。その意味から言いますると、あるいは処分させるというのはどうかということも考えられるわけでございまするが、この場合はむしろ物品管理官自体が処分するという形態、させるというよりも、むしろ、何といいますか、端的に外部に対して売り払うという行為自体を処分するというふうに規定してよろしいのではないかというふうに考えまして、「処分する」というふうに書いたわけでございます。
  143. 青木一男

    ○青木一男君 新しい観念を作られるのは多少わからない点があるのはやむを得ないと思うが、国の見地から言えば、たとえば公務員が机を使う、あるいはその他、事業場でほかの人に何か使用させることも、国の見地から言えばやはり用途に基いた使用であるという、こういう観念は、私は少しも妨げないように思うのです。また今までもこういう用語で取り締ってきていると思うのですが、やはりそれでは工合が悪いのですか。繰り返して言うと、この点だけで個人と国家とを分けて一つの対立関係を何するものだから、私、読んでみて何だか非常に不自然な感じがする。それだから質問を展開しているわけです。この一点をどうして今までの観念と違った観念で規定しなければならないのか。まだ本当に私、呑み込めないので……。
  144. 上林英男

    説明員(上林英男君) 第二条の二項におきまして、「供用」という概念規定に、使用させるという、ここだけなぜ「国において使用し」と、こう書かないかという御趣旨かと思いますけれども、国のかわりに使いまする、国のかわりと言うと語弊がございますが、国の機関といたしまして使いまするのは使用職員、使う職員でございます。この場合に物品管理法で規定いたしておりまするのは、物品供用官と申しまするか、物品会計職員といたしまして、国のものをどうするかという規定のいたし方をいたしますと、供用官は物品を使わせるという権限を持っているわけでございまして、その場合に使わせる行為を供用というふうに概念いたしました意味で、ここでは「使用させ」というふうに規定いたしたわけであります。言いかえますれば、「国において使用し」と書きますと、むしろそれは使用職員の権限ということになるというか、そういうふうに読まれるおそれがございますので、ここでは特に「使用させ」というふうに言葉を用いたわけでございます。
  145. 青木一男

    ○青木一男君 さっき第一条及びあとの十何条でしたか、取得という言葉が賃借その他による占有権の取得も入るという御説明であったのですが、そうすると返す場合は処分という言葉でやるわけですか。
  146. 上林英男

    説明員(上林英男君) さようでございます。
  147. 青木一男

    ○青木一男君 それじゃますます今までの観念と違ってきますね。借りたものを返すというのを処分というのは、今までの法律用語ではその観念に入らないですね。処分といえば事実行為と法律行為と二つあるが、処分という法律行為の中に借りたものを返すという観念は入っていないと思うね。今までの法律的常識では……。今までの説明は相当無理があるようだが、今の点はちょっとその説明はどうかね。少し無理があると思うがね。
  148. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) どうも青木先生からだいぶ突っこまれた御質問を受けまして恐縮でございますが、通常、処分と申します場合は、法律用語といたしましては売却が入っておりまして、借り入れたものを返還するというようなことは処分の中に入らないと私も考えますが、この法律は、さように法律的な非常に厳格な国民の権利義務に影響するという関係の用語としてではなくして、通常、事務処理の上におきまして、売り払いのみならず、返還、借りたものを返還するようなものをあわせまして規定いたしましたために、従来の法律観念とは若干変っておりまして、思想が混淆いたすような結果を招いて恐縮でございますが、さような考え方で本法案を立案いたしたようなことを御了承願いたいのであります。
  149. 青木一男

    ○青木一男君 私は、こういう法律を作るときには、法律の価値というか意義を非常に軽く見るような考え方はどうかと思う。きのうも予算委員会でそれを警告したのだが、もしそういうふうに従来の法律観念から離れたものを規定するなら、それを別にカッコに入れようとも、別の条文を置こうとも、はっきりしなければ、この法律は、普通の今までの法律と系統の違う法律だといって、同じ言葉を使っているのは、将来に非常な疑義を残していけないと思う。違う意味に使うなら、はっきりとそのことを条文に書いておかなければならない。私だけでなく、だれが読んだって、処分の中に借りたものを返すということまで入りますということは意味が通りませんよ。そういうやっぱり何といいますか、立案者が独善的なやり方をしていくと、将来非常に問題を起すのです。私はおそらくこの法律は決してそんな軽い法律じゃないと思う。むしろ非常な重要性をもってやらなくちゃいけないのですから、この法律を今みたいに次長なんかのように軽く考えてはいかんと思う。
  150. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  151. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて。
  152. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 青木先生の御質問の点につきまして、私の答弁は、決してこの法律を軽視した精神で申し上げたのではございませんので、重要に思っておるのでございますが、法律用語として適切であるかどうかにつきまして、十分な御答弁ができませんことを、はなはだ遺憾に思っております。なお、その点につきましては、さらに検討を加えまして御答弁申し上げることにいたしまして、留保させていただきます。
  153. 青木一男

    ○青木一男君 けっこうです。
  154. 岡三郎

    岡三郎君 ちょうど小峰会計検査院次長が来ておりますので、簡単に質問したいと思います。  会計検査院の方としては、この法律ができることを期待していると思うのですが、非常におそきに失したと思うのですが、会計検査院は、いつごろからこういったような法律の必要を大蔵当局そのほかに要請しておったか、そういった点を一つお聞かせ願いたい。
  155. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) お答えいたします。御承知のように、昭和二十二年に、国の会計制度というものは根本的に従来の制度が変えられたわけでございます。憲法が変りましたと同時に、財政法というものができまして、従来会計法一本建でございましたものが財政法と会計法に分れまして、主として現金関係の規律をする、こういうことになったわけでございます。国有財産法も変りましたので、現金、国有財産と並んで大きな地位を占めておりまする物品というものについても、当然にこれは昭和二十二年に、ほかのものと同じように根本的に改正すべきものであったわけであります。それで、当時私どもとしては、これは早く変るであろうということを予期したのでありますが、物品の方は御承知のように、明治二十二年の物品会計規則、非常に古いものが、そのまま現在まで来ていたわけであります。私どもといたしましては、現金、国有財産と同じように、なるべく早い機会に、で登れば昭和二十二年に変るべきものであったと、こう思っておりますが、のびのびになった次第でありまして、別に会計検査院として、大蔵当局に早く変えてはいかがですかと、こういうようなことを正式に慫慂したことはございませんが、当然にそうあるべき性質のものだった、こういうふうに考えている次第であります。
  156. 岡三郎

    岡三郎君 たしか私の記憶によれば、非常に物品の管理が悪いというふうな点で、検査院の指摘も非常に多いというので、二年ぐらい前にこういった問題がやはり決算委員会で取り上げられたことがあると思うのです。それで今まで特に言っていないということになれば、私はもっと先に強く要請してもらいたかったという気分が非常にあるわけです。それは別にして、この法律と前の物品会計規則というものと照合して、今問題になっておりますが、供用官という名前が新しいと思うのですが、この点はどうなんですか。
  157. 上林英男

    説明員(上林英男君) 従来の物品会計規則におきましては、この供用官に対応いたしまして、物品取扱主任というのが置かれておりました。これは各省各庁が事実上自分の規則で定めておりまするものでございます。ただ性格が少し変っておりますのは、従来の物品取扱主任と申しますのは、使う人たちの代表者といたしまして、従来の物品会計官吏から物をもらってきて、そうしてみんなで使うと、こういう役割をいたしておりましたが、今度の物品供用官と申しますのは、いわば国の物品管理機構の一環といたしまして、管理官のもとに物を使わせるという役目をする供用官というものを設けましたわけでございます。
  158. 岡三郎

    岡三郎君 これは会計検査院の方にお聞きするわけですが、従来の批難事項の中で、物品の調達と管理保管と分けて、いずれに批難点が多かったか、これはまあ検査した実際の例から考えてみて、どうだったのでしょうか。
  159. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 過大調達と管理保管のどちらが批難が多かったか、こういう御質問でありますが、これは両方とも相当に出ております。最近の例で申し上げましても、いろいろ世の中のうわさにも上っております防衛庁の軍服の過大調達、こういうのはまさに過大調達としての大きな一例でございます。それから保管管理が悪かったというようなもの、これはちょっと古くなりますが、終戦処理費の物品で、たくさん買いましたが、長い間使わないで倉庫へ積んでおったり、あるいは寝積みをして悪くしてしまったと、こういうようなケースが相当大きいのが前に出たことがございますが、これはどちらが多いか、その件数になりますと、両方重なっているものもありますしするので、ちょっと分けかねるかと思いますが、両方とも相当に多い、多かったということは申し上げられると思います。
  160. 岡三郎

    岡三郎君 それからこれは大蔵省の方にも聞きたいのですが、各省各庁の長は、予算及び事務または事業を勘案して毎会計年度重要な物品の需給計画を作成するとありまするが、その中の重要な物品というのを、どのものさしで計るのか、一応この重要な物品というものをどういうふうに規定するか、またこの会計検査院としてはこういったものについて相談されるのかどうか。
  161. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) さきに要綱を御説明申し上げましたときは重要な物品というふうに御説明申し上げたのでありますが、法律の第十三条にございまするように、「多量に取得することを必要とする物品その他の物品で政令で定めるもの」と即しまする中には、ただいまのところ機械器具等をこの中に入れまするように考えております。
  162. 岡三郎

    岡三郎君 機械器具。そうすると消耗品等はどうなるのですか。
  163. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 消耗品につきましても、特定のものにつきましては入れることを考慮いたしております。
  164. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) この法律は政令で定める範囲が相当に広いのでありますが、この種の政令は、会計検査院法の規定によりまして、当然に会計検査院が事前に相談を受けた上で意見を述べると、こういうことに相なっております。
  165. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、今後相当重要な物資の需給計画、まあこういったものが一つの基準になっていろいろと帳簿等が処理されていくと思うのですが、この内容規定というものは、いつごろはっきりするのですか。
  166. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ただいま御説明申しましたように、相当政令事項が多くございますので、できるだけ早く政令を固めまして公布するようにいたしたいと思っております。
  167. 岡三郎

    岡三郎君 しかし、まあ予算が可決されて、三十一年度の予算が執行されていくということにすぐなるわけです。そうなると、各省各庁で従前の物品を整理して、まあ台帳に載せたり、また新しい会計年度において物品を購入するというふうな点について需給計画を立てていくわけですね。そういうことになると、相当こういったものについて内容規定というものが重要になると思うのですよ。これからはずれるものは一体どうするのです。
  168. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御指摘の通りでございますが、需給計画を立てまする際に、従前の予算で購入いたしましたもの、ストックになっておりまするものでございますが、これらも総合いたしまして新しく需給計画を立てるわけでございまして、相当準備期間を必要といたすと考えますので、付則をもちまして、この点につきましては三十二年度から実施する。なお年度区分における決算につきましては、これは物品の総計算書でございますが、この点につきましても三十二年度から適用することといたしておりますわけでございます。その他につきましてはできるだけ早く政令を固めまして実施するように持って参りたい、かように考えております。
  169. 岡三郎

    岡三郎君 つまりその政令が出される前には、予算使用を一応ストップするわけですか。
  170. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) さようではございませんで、三十一年度の予算の執行につきましては需給計画等には関係なくいたすわけでございます。
  171. 岡三郎

    岡三郎君 そうすると、この三十一年度においては相当、まあやりようによってはいろいろの問題が出てくると思うのですが、三十一年度においてはやはりこの法律に沿って相当程度の需給計画というのですか、物品購入に対する企画というものを持たないと、私は困ると思うのですが、この点はどうなんですか。従前の通りに、ことしは、やらさせるわけですか、実際問題として。
  172. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 実際問題といたしましてこの法律の施行前におきましても、すでに各省各庁におきましてこの法律案に即したようなことをやっておるところもございますが、国会の協賛を経ましてこの法案が通過成立いたしますならば、さらに各省各庁にもこの精神をもってやっていただくように各省各庁に対しまして善処を要望いたしたいと考えておりますが、法律的には、需給計画等につきましては三十二年度から適用するようにいたしたいと考えております。
  173. 岡三郎

    岡三郎君 ちょっと検査院の方にお聞きしたいのですが、物品管理職員の責任ですね、この法律によっては弁償ということで、刑事事件は別ですが、弁償ということになっておるのですが、この方法がやはり適切でしょうかね。
  174. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 物品会計管理の責任と言いますと、これは明治二十二年からあるわけでございますが、これも現金と同じような従来ずっと弁償責任ということで来ているわけでございます。今度の法律でも原則的にはそれを踏襲いたしまして、三十一条でございましたか、この法律で弁償責任ということで来るわけでございます。ただ責任の構成要件なんかには相当違って参りますが、これに対応いたしまして、会計検査院法でもやはり弁償責任ということで院法の改正法案を現在出しておるのでございます。これでよかろうかと思うのでございますが、ただ懲戒処分という問題が残るわけであります。これは当然に各省各庁の任命権者がその持っております公務員法上の行政処分の権限、これによってやることになるのでありまして、それは特にこの会計関係法律には規定がない、こういうことになるわけであります。
  175. 岡三郎

    岡三郎君 大蔵省にお聞きしますが、物品管理職員の任用ですね、これは現在やっている人々を任用する程度にするのか、これに対する対応策はどうするのか。
  176. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 大体この事業実施官庁あるいは事務官庁との間におきまして多少のニュアンスの差はございますが、各省会計課長、あるいはたとえば建設省につきましては河川局長というような特定の局長が物品管理職員になることを想定いたしております。
  177. 岡三郎

    岡三郎君 この物品管理職員というものを各省庁の一般職員と分離するというのですがね、責任の所在を明確にし、混淆しないようにするために、何かそういうようなことを考えたことはないでしょうかちょっとむずかしいかな。
  178. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 弁償責任を負わせましたりいたしまして、一般の事務職員とは違った性格の職員になるわけでございますが、やはり一般公務員の中の一つでございまするので、特に一般職員と区分いたしまして、これがための特別の職員としての待遇を作るというような考え方考えたことはございません。
  179. 岡三郎

    岡三郎君 これは意見も入りますが、会計職員と同じように、非常にこれは、じみだけれども、やり方によってはまた膨大な物品を取り扱うということになって、相当待遇その他を考えていかないと、やっぱりいかんのじゃないかと、こう思う。従って物品管理職員というものについて責任を相当負わせるとともに、待遇等についてはやはり他の公務員に比べてある程度までこれについては特別な一つの待遇を付与するというふうなことを考えて、こういったような職に専任して、しかもあやまちがない、しかもそれに熟達するということを期待しなければ、一般の官吏としょっちゅう交代していたならば、これはやはりうまくできないのじゃないですか。その点はどうです。品物がどこにあるかわからないようじゃ困る。
  180. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) 御指摘の点も確かにございますが、各省人事の面が相当入ってくると思うのでございますが、各省会計課長にいたしましても、物品管理官となりまする所管の局長にいたしましても、あるいは物品管理官としての職にとどまっておりました後、他の職に転ずるというようなこともございまして、その関係で、その職員だけを特別扱いにするということもなかなか実際問題としてはむずかしいのではないかということを考えるわけでございますが、確かに普通の一般事務職員と違いまして、特定の仕事に従事し、かつ弁償責任を持ち、しかもよく習熟いたしまして遺漏ないようにする必要がありますので、それに伴いまして負担が多くなることもございまするので、手当とか何とかという点につきましても今後検討を加えていく必要があろうかと思いますけれども、ただいまのところ一応一般行政事務職員として取り扱うことにいたしておるわけでございます。
  181. 岡三郎

    岡三郎君 まあ高級職員は別ですがね、代理物品管理官とか、代理物品出納官、代理物品供用官、何か知らぬがずいぶんむずかしい名前がくっついているが、こういう人は、実際問題として相当習熟し、やはり実際に長期にわたってその職にあるような措置をしないとうまくいかないのじゃないかと私は思うのです。そこで上の方の人はいろいろと交流その他があるでしょうけれども、やはり実際にまあ課長程度、こういうところにある人——その下ですね、そういった方々については、やはりある程度そういった仕事にずっといかせるというふうなことが重要じゃないんですかね。その点は検査院の方はどうですかね、小峰さんの意見を聞きたい。一般職員として交流させる方がいいか、これを一つ固定化さしてある程度まで習熟さしていった方がいいか。
  182. 小峰保榮

    説明員(小峰保榮君) 物品の取り扱い職員でありますが、これは現在でもたとえば用度係長とかいうような名前の職がかなり各省にございますが、これは相当程度長い期間その職に当っているという場合が多いようであります。ちょいちょいかわる例もあるようですが、特別の物品管理官のような高級な会計課長とか、そういう人たちはちょいちょいかわりますが、実際に今度物品出納官の地位に立つ人、こういう地位の人は比較的長い間同じ職にあるというのが多いようであります。それで、これは非常に重要な職務でありまして、おっしゃる通り特別の待遇というようなことがで送ればそれに越したことはないのでありますが、現在いわゆる一般職の職員と同じように、ほかの者と同じように扱われておるのが実情でございまして、なかなかこれが行われない。私どもといたしましては、物品に限らず現金関係の会計職員につきましても相当な特別の待遇をしてもらいたいということは常々考えてもおりますし、また言ってもおるのでありますが、なかなかこれが行われない。これが現在の実情でございます。
  183. 宮川新一郎

    政府委員宮川新一郎君) ちょっとただいまの御質問に関連いたしまして補足して申し上げますが、会計職員につきましてはかねてから各省各庁においても研修を実施しておりますが、大蔵省におきましては各省各庁の会計職員を研修いたしまして、特に人事院の認可を受けまして、研修の成績のいい会計職員に対しましては特別昇給ができるような道も講じておりますが、それによって十分だとは申せませんが、御参考までに申し上げておきます。
  184. 岡三郎

    岡三郎君 私はやはり、こういったような物、金ですね、国有財産等を取り扱っている職員は、相当程度習熟させて、そうして遺憾なく職務に勉励をしてもらいたい、こう思うわけなんです。ところが従前からいうと、非常にこの会計職員などはじみで、しかもある程度固定してやってもらわねば困る。また今度これができると、同じようにやはり膨大なる物品を管理し、出納の責任に任じ、また供用に応ずるということになると、これは四六時中かわっていたんじゃうまい法運用はできないと思うのです。だからそういうふうな点については、何も給与を上げるだけではないと思うのですが、待遇その他責任を明確にし、それを厳格に励行するとともに、それに即応するじみな方々、特に下級職員については何らかの特別措置を私は考究してゆくことがいいんではないか、こういうように考えておるわけです。これは参考までに意見として申し上げておきます。以上で終ります。
  185. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ほかに御質問ありませんか——他に御質問もなければ、本案の、質疑は一応この程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時九分散会    ————・————