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政府委員(
渡邊喜久造君) 御
承知のように、従来は
二つの
特別措置がなされてきた。
一つは
先ほど申しました
送金ベースによる
課税というものが
一つ、それからそのほかに、一応特定の一といった制限はありますが、その人にとっては、最高三百五十万円を
限度として半額
控除と、こういうことになっていたわけであります。それでわれわれの方といたしましては、この期限が切れた機会におきまして、この始末をつけたいと思ったのですが、とにかく非常に従来の
フェーバーが大きかったものですから、
税負担からいたしますと、これは
送金の率で必ずしも
負担の額は同じでありませんが、大体平均七割ちょっとくらいの
送金の率が出ておりまして、そこを見てみますと、一万ドルの
月給をもらっている人は、従来そう
二つの
フェーバーを受けますことによって、一〇・八%、千八十ドルですか、それだけの
税金であった。それが今度一度に全部そうしたことをやめてしまいますと、四千五百ドルのものが
税金になるわけでございます。で、いかにもその
負担の
上り方が大きい。で、これは
外国人間にもいろいろ問題になりまして、そしてまた突如そういうことになることによって国際的にもいろいろな問題が起りかねない、
日本にとてもこれでは居きれないから、
香港とかあるいはしかるべきところに逃げ出そう、こういったような話もあったわけであります。そこでわれわれとしましては、順次
日本人並みに
原則として持っていくということはやりたい。しかし今言ったように一〇のものが四五に一ぺんに上ってしまう、これも少し行き過ぎじゃないだろうか、従って一定の
期間を置いて徐々に
日本人並みのところへ持っていくと、こういう
考え方でできるだけ
外国人の
人たちにも納得してもらって、そして解決したいというので、まあいろいろあの
人たちの
意見も聞いてみたのです。それで五割
控除の
考え方は、これは早くから
外国人の方もこれは特別な
フェーバーだから、これを要求するのは無理だと、この方は放棄しておりました。ただ
先ほど申し上げますように、
イギリスなどにも例があるものでございますから、
日本で払われた
月給だけを
課税標準にするというやり方ですね、これを何とかとれないものだろうか、これをかなり
向うは強く粘ってきておりました。しかし、まあ国際的ないろいろな
関係を見て参りますと、結局
日本で
勤務したものについて払われた
月給……その人が一万ドルの
月給をもらっていれば、
日本で払われるものが五千ドルであろうが、六千ドルであろうが、とにかく一万ドルに
課税する。五千ドルの人は五千ドルに
課税する。これがまあ税の上から見まして公平なところでありまして、同時にいろいろ見て参りますと、
月給の多い人ほど
国内で払われる割合は少いのです。まあ
日本で住んでいますと、五千ドルとか六千ドルとか、
月給が一万ドルの人と二万ドルの人とでも、結局それも一と二と違うほどじゃなくて、せいぜい一万ドルの人が五千ドルで
生活していれば、二万ドルの人はまあ七千ドルぐらいで
生活しているとか、その
程度の差しかつかない。従って
送金ベースというものは、
月給の安い人ほど大体まるまる
日本でもって
支払いを受けるということになりまして、どうも税の
負担の公平から見ておもしろくない。従ってこういう
制度を恒久的な
制度にすることは、われわれとしては望ましくない。しかし一応これを徐々に是正していく方が全体の摩擦を少くするゆえんじゃないだろうか、こう
考えたものですから、そこでいろいろな案が行ったり来たりいたしましたが、ことしは
送金ベースだけ、来年から
所得に対しての一応の最低限をつける、まあこういうことにしまして、五年といえば、確かにわれわれももう少し短
かい期間で片づけることを当初は希望したのでございますが、しかし
考えようによれば、やはり長いといえば長い、短かいといえば短
かい期間でございますけれども、まあこの辺のところで全体が、国際的にも円満にこの問題が解決できるならば解決した方がいいじゃないだろうか、こういうふうに
考えまして、確かに五年としては決して短かいとは思いませんけれども、この辺のところで問題を解決するのが一番いいのじゃないかという
結論に達したわけでございます。