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1956-03-08 第24回国会 参議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月八日(木曜日)    午前十時五十三分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡崎 真一君    理事            山本 米治君            岡  三郎君            土田國太郎君    委員            青木 一男君            青柳 秀夫君            井村 徳二君            木内 四郎君            白井  勇君            西川甚五郎君            藤野 繁雄君            天田 勝正君            小林 政夫君            杉山 昌作君            前田 久吉君            木村禧八郎君   衆議院議員    大蔵委員長   松原喜之次君   政府委員    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    食糧庁業務第二    部長      桑原 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (衆議院送付予備審査) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法等の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) これより委員会を開きます。  まず砂糖消費税法の一部を改正する法律案。  関税定率法の一部を改正する法律案。  以上、二案を一括議題として質疑を行います。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 砂糖関税引き上げについて伺いたいのですが、前に製糖会社超過利潤徴収する法律案は流れて、そうしてあれを納入させるような手続をとることになっていましたが、その問題はどうなったか。それと今度の砂糖関税引き上げとの関係ですね、これはどういうふうになっておりますか。
  4. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 昨年の国会砂糖価格安定に関する法律を出しまして、一面において値段を安定させると同時に、それから生じてくる特別利潤政府徴収する、これがまあ国会審議未了に終ってしまいまして、それで通過しそこなった。あのときの構想考えてみますと、大体砂糖の現在における輸入価格、これはまあポンド、ドルと、いろいろありますが、これを平均した輸入価格に標準的な工賃、加工費を加え、関税砂糖消費税を加えたところで大体一斤当り製造業者庫出し値段といいますか、これが七十一円五十銭が大体コストとして適当だということになっております。それで砂糖市場相場といいますか、取引所相場の平均を見まして、それがたとえば七十二円であれば七十一円五十銭との差額、これはもう少しこまかくいいますと、輸入した砂糖によって金額は違うわけでございますが、それは一応概括的に御説明申し上げることでお許し願いたいと思います。七十五円であれば、七十五円と七十一円五十銭との差額、三円五十銭を徴収する、こういったような構想になっていたわけでございます。それで超過利潤の問題につきましては、すでに補正予算の際にいろいろ御説明があったと思いますが、結局法律通りませんでしたので、法定徴収的な問題としてこれを取り上げるわけにはいかない。しかし一応の特別利潤があったことは、これは認められますので、砂糖会社と話し合いまして、総額で三十億を目途にして寄付金を仰ぐ、こういうまあ話がついたわけでございます。で、大体三十億の数字の出方、これは今申したところなどを参照しまして考えたわけですが、あの当時七十六円という相場を一応頭に描いておりまして、あのときの安定価格といいますか、安定帯価格といいますのは、大体現在の状況では七十四円から八十円ぐらいまでの間におさめたい、これを目途にしてちょうど中間が七十六円で七十六円までの利潤徴収しようかと、こういう考え方でもってずっとやってきたわけでございます。しかし結局ああいう特別利潤徴収するということ、これはなかなか、またいろいろやってみましても問題も多うございますし、同時に砂糖価格の安定というものは、ある意味においては結局輸入量の問題でかなり片づき得る問題でもあると、結局輸入が順調に進んでいく、輸入量相当多いといったようなことになればかなり問題も片づき得る、こういったようなことも考えられますので、別途価格安定につきましては方策を講ずることといたしまして、そしてこの際としてはもうああいう特別利潤徴収するということはやめよう、同時に一応別途出ております勤労所得税軽減財源を何かでもって生み出さなくちゃならぬ、そういった意味において、まあ今度斤当り四円程度関税引き上げをやろう、これでいきますと大体七十五円ないし七十五円五十銭ぐらいの値段、こういうことになる。まあ新しく徴収するわけでございますから、それだけ砂糖は値上りになるわけではございますが、まあ昨年考えておりました安定帯の幅の範囲、それの七十四円から八十円といえば、それの比較的低い方の段階においておさまっていくのじゃないか、まあこの程度砂糖関税引き上げならば国民生活を脅かすとか何とかいったような問題にもならないで済むのじゃないか、こういうような考え方をいたしまして御提案を申し上げておるわけでございます。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ただいまの御説明でわかりましたが、超過利潤徴収をやめて、それに振りかえたものですね。最初超過利潤徴収するときの額は六十億くらいであると思うのですが、結局今お伺いしますと三十億くらい、最近は徴収する額は上昇しておるわけです。今、主税局長いろいろ法律上やられましたが、しかし製糖業者の反対その他も相当あったようで、どうもその点が非常に割り切れないのです。超過利潤徴収という場合にはそれで一応超過利潤を吸い上げて財源とするということはわかるのですが、今度はそれと振りかえる場合、今度は関税引き上げという形に振りかえた場合、今主税局長お話のように、これは砂糖値段に影響をするわけです。消費者負担なのです。消費者負担のものを勤労所得税軽減財源にするということはおかしいと思うのですよ。消費者に転嫁されるでしょう。消費者転嫁です。前の場合はそうじゃないのですよ。超過利潤の形式ですからね。ですからどうもこれを振りかえたといいますけれども、性質が変ってきております。それは結局消費者に転嫁される。そうしてそれを勤労所得税勤労控除を一割五分か二割引き上げる場合の約百五十億の減税財源に充てるというのは、これは矛盾しておると思うのです。その点どうですか。
  6. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 減税という観点から言えば、それはおっしゃるように新らしい財源をほかの方に求めて、その分でもって勤労所得税控除引き上げたところで、これは大きな意味減税といったものではないと思っております。しかしそれでは自然増収の一部をさいて軽減できるかという問題になりますと、昨年一応相当減税をやりまして、そうしてそれはしかし初年度であり、従っていわば半年減税、本年は一年減税といったような関係からいたしまして、税収の面から見れば約三百億その面からの減収が出てくる、これは国民負担からいえばやはりその程度のものになるわけです。そういうこともございますので、本年の自然増収財源にしてそれで百五十億程度減税をやろうということは、遺憾ながらわれわれとしてはできない。それだからといって、それでは全然手をこまねいて放っておいていいかという問題になりますと、勤労所得に対する負担は他の所得に対する負担に比べまして相当重いんじゃないか、こういうような御批判相当強くあるのでございますから、従ってできるだけ他のところで相当、場合によっては間接税増徴をしても下げた方がいいじゃないかという御意見もございますから、従いまして、これは確かに間接税増徴もその一つだと思っております。しかしそれをしても、とにかく控除率引き上げた方がいいのじゃないか、こういう御意見がございます。われわれもそうじゃないか、そこで今度こういう措置をとったわけでございますが、ただ考えてみますると、今言ったようなこともございますので、別途の措置によって、砂糖会社超過利潤は生じないようにすると同時に関税引き上げをやる、それにしてもこういうことをしなければ砂糖価格は七十一円五十銭程度まで下るわけですから、従ってこれによって消費税引き上げた、そのこと自体はおっしゃる通りだと思いますが、そういうことにしましても、何とかして給与所得控除は少し上げた方がいいんじゃないかという結論が出たものですから、こういう御提案を申し上げておる次第であります。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この問題には私は二つの点で割り切れない点があるのです。一つ砂糖会社超過利潤の問題ですが、それをどの程度が起過利潤であるかということは、これは原価計算をしてみなければ、原価がはっきりならなければ出てこないのですけれども、この前の問題になったときにもっとこの点について、われわれもっとはっきり確認したかったのですが、流れちゃって、十分審議できなかった。この委員会では、本来ならば肥料の価格の安定と同じように厳密に原価をわれわれ調査しなければならぬわけですが、しかしそれは十分調査できなかったのですが、これは今後要求しなければならぬと思うのですが、そこでわれわれ起る疑問は、砂糖会社超過利潤をとるといったのをやめて、関税という形に振りかえた結果、それがすりかえられてしまって、そして砂糖会社超過利潤をとるのではなくて、消費者に転嫁させるという形になってきておるのですね。砂糖会社からとるというよりむしろ消費者からとる、こういうふうにこれはすりかえられてしまっておる。そういう点にわれわれ最初の、何か超過利潤をとるという河野農林大臣ですか、前に言ったときに、ばかに何か公正な政策でもやるように、不当利潤を押えて、公正な政策でもやるような言い方をしたのですが、その不当利潤超過利潤をとるということはいいことです。ところがいつの間にかそれが消えて、今度は関税引き上げという形で何かこれにかわるような形をとっておりますが、これは私は非常に欺瞞だと思うのです。それじゃ砂糖会社超過利潤不当利潤は生じないようにするという措置はどういう措置をおとりになる。結局今お話を聞くところによると、要するに問題は輸入量による。だから外貨を十分割り当てて、輸入量を多くすれば超過利潤を生じない。しかし砂糖会社生産制限をしているし、相当高率な操短をやっております。そうして今まで独占価格を維持してきておるのです。そういう点からいってその保証はできない。政府輸入量をふやすから独占利潤、また超過利潤を生じないようにできるといったって、それは言うだけであって実際できない。もう一つ消費者転嫁の方ですね。これはさっきのこの減税の、勤労所得税減税についてその財源をどこに求めるか、まあ予算全体から言えば、減税財源は特定の関税引き上げに求めるというわけには、計算からいえばそういうわけにはならぬでしょう。けれども建前からすればどうも筋が通らぬと思うのです。間接税引き上げて、大衆課税引き上げて、そしてそれを大衆課税一つである勤労所得税軽減財源にするというのは、何かもう少し、非常に優秀な主税局長としてはどうももう少し知恵があったんじゃないかと思うのですよ。
  8. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私は砂糖会社操短をやっておるといいますが、現在持っておる設備をフルに動かしていない。これはある意味設備過剰のような状態になっておりまして、操短といえば操短だと思っておりますが、しかしそれは結局物入の原糖ですね、これが九十五万トンとか百万トンとか、百五万トンというように制限されて結局そういう操短ができておるわけです。政府の方で割り当てる砂糖輸入量が、たとえば百五万トンで値が強いといえば百十万トン入れてくる、こういうことをはっきりさせれば砂糖値段というものはかなりくずれてくる。御承知のように今年、昨年といいますか、相当砂糖値段というものはフラクチュエートしたことは御承知通り、一時はかなり八十円はるかにこしたような時代もございますし、それから七十円を割った時代もございます。で結局はどこにそういうことがあったかといえば、八十円をはるかにこしたような時代は、輸入がいろいろな事情で円滑にいかなかった時代であります。それからそのあとでもって、砂糖が暴騰したがゆえに政府輸入量をふやすという発表をしたとたんに、七十円を割るような数字になってきた。まあ必ずしも独占資本としてそこに、そういうことを抜きにして砂糖値段がきまっていくといったものでは、私は少くとも現在の砂糖においてはないんじゃないかと思っております。で、問題は、外貨が苦しくして、結局砂糖の原糖の輸入量が制限されていた、需要に相当及ばなかったということが砂糖会社の特別な大きな利潤を生む一番大きな原因じゃなかったか。一つはワクの問題、それからもう一つ輸入が順調にいくかいかないか、値を順調に下げていくことができるかどうか、こういったようなまあ二つの問題がいろいろからみ合っているものだと思います。従いまして、一応超過利潤徴収するといと措置はやりましたが、これもしかし砂糖値段が一応上るような前提を作っておきまして、そうして上った超過利潤をとる、これじゃ何もならぬわけでありまして、むしろ超過利潤をとるという前提は、やはり砂糖はできるだけやすく安定させるのです。そうして何か生まれた利潤があればこれを徴収する、こういう方向でなければおかしいじゃないかとまあ私は思っております。で、しかし従来のようなやり方でやっておりますと、やはり今までの相場は七十四、五円といったような数字になって出ております。まあそういったようなことを考えてみましても、今度砂糖関税を上げましても、まあ七十五円ちょっとぐらいの相場になるわけでございまして、まあこの辺ならそう国民生活を圧迫するというほどのことでもないだろう。従ってここに、やはりこれだけではございませんが、一つ財源を求めて、関税引き上げをやりたい、こういう考え方で生まれたわけでございます。  おっしゃる通り片方を上げて片方を下げるということじゃ意味がないじゃないかというならそれまででございますが、税の負担均衡という点を考えて参ります場合におきましては、たとえば間接税を上げて直接税を下げるという声もございますし、また全体をどう考えていくかという場面におきまして、できるだけ弊害の少い面税収を上げて、そうしていろいろ御批判のある面を血相を下げていきたい、こういう点で御提案申し上げておるわけであります。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この砂糖関税引き上げの問題は、税制全体の面からいって非常に大きな問題を私は持っていると思うのです。今の直接税から間接税にだんだん移行させていこうというその根本的の方針もまあ一つのこの現われになっていることは、一つの問題であるのですけれども、その前に、今のお話の、砂糖会社設備過剰の問題についてお話がありましたが、これは御承知のように政府の今までの外貨割当方針が間違っておったのですよ。設備能力をもとにしてドル外貨を割り当てておった。そこで外貨をもらおうと思ってむちゃくちゃに設備を拡張したのです。これは愛知さんが通産大臣のころです。愛知さんはそれをはっきり認められました。そういう外貨割当の仕方をしたから、実際砂糖をたくさん作るために設備を拡張したのでなく、ドル外貨割当をたくさんもらうために、そのためにどんどん設備を拡張して、実際作らないのに、外貨割当をもらうために非常な競争をして作った。それが過剰になった設備拡張の一番大きな原因だと思う。そこで拡張したその設備をフルに運転できない。しかも非常な過剰になったにかかわらず、さらにまた新らしくいろいろな利権運動や何かあったようです。また砂糖会社も認可したり何かしておることがかって問題になった。そういうところに設備過剰の問題があるのであって、何かそういうリスクを冒して砂糖会社がやったそのあとのしりぬぐいをさせられるわけです。不当に私は保護していると思う、政府はそういう点からいっても超過利潤徴収をやめて関税引き上げにすりかえてしまったのはどうも……。  それからもう一つ伺いたいのは、そんなに今度の予算において税収入弾力性は一体ないのかどうか、勤労所得税軽減百五十一億ですか、この財源を求めるのに対して、単に、今、自然増収その他でカバーすることは困難だ、こういうお話があったのです。そんなに三十一年度の歳入見積りというのは弾力性のないように組んであるのですか。
  10. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 三十一年度の自然増収をどう見るかということについては、われわれのところで過去の歳入見積りに……、歳入見積りというのは大部分が景気の変動とかいろいろなものがからみ合いますから、一年、あるいはそれ以上前に全体の見通しをするというのは非常にむずかしい仕事でございますが、しかし、われわれとしましては、現状において一応予想され得る歳入、これについてはあらゆる努力をして、とにかく的確を期する、いたずらにかたいばかりが能じゃないといったつもりで見積ったつもりでございます。  同時に歳出の面におきまして、いろいろな関係でやはりやむを得ず膨張していく面もございますので、従ってたとえば砂糖消費税改正でごらん願いますように、砂糖消費税については本年はいわば十三カ月分の歳入を期待するといったようなことまで考えまして、そうして歳入を増すことによって一応歳出との見合いを考えた。で、そういった事情にございますので、さらにその片一方で歳出増加要求が大きい。それに見合っての歳入を組み、おまけにさらに百五十億程度減税をするということについての必要な財源を見出す。これはわれわれとしてはちょっとできないことに思われましたので、それはそれとして別途その分に見合うやはり歳入増加を講ずる必要があろう、こういうふうに考えまして今御提案申し上げておるような法案を出したわけでございます。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと三十一年度の予算は非常にまだ補正気味になっておるのですね。追加予算が出るかもしれない。たとえば予備費は八十億でしょう。災害などが起った場合また補正が必要じゃないかと思われますし、また賠償ですね。賠償最初二百五十億組んだけれども、百億に減らし、フィリピン賠償が妥結すればまた補正でもやらなければならぬ、そういう場合の財源ですよ、弾力性ですよ、どの程度あるか。今の話を聞きますと、百五十一億の勤労所得税軽減については自然増収その他ではとてもまかなえない。財源見積り相当正確にわれわれから見ればぎりぎりに見たと思う。それは最初財政規模はもっと大蔵省考えは小さかったはずです。それが自民党の要求によってだんだんふくらんでいって、そうして、歳入見積りもだんだんまたふくらまさざるを得なくなって一兆三百四十九億となった。そういう点から見て、なるほど窮屈だと思います。そうなるとかりに補正なんか出たような場合、財源なんか出すような場合ですよ、あるいは災害関係あるいは賠償関係、そういうものを、三十年度でも相当補正が行われたのですけれども、そういうような場合の財源関係見通しはどうなんですか。
  12. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 賠償関係は、私の聞いているところでは、現在計上してある分で、まあいろんな繰り越しの分もございますから、一応見通され得る進行状況ならば大体あれでそう心配もないだろう、もちろん余分にあすこにゆとりがあるとも思いませんが、しかし一応補正を必要とするような問題は起きないんじゃないかと、こういうふうに私は考えております。災害が起きた場合どうするか、これはまあ災害程度によりますし、何とも申し上げかねまするが、現在において、たとえばその場合にはこういう財源を予定できますといった意味財源は現在持っておりません。従いまして、まあそういったような事態に達したとき、これはやはりその面において考えていくべき問題じゃないか。あるいは他の歳出を削減するというのも一つの手でしょうし、いろんなことが考えられますが、現状において災害の起った場合はこういう財源考えているといった財源は現在予定しておりません。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それから、まあ今後まだまだ所得税中心から間接税中心へもっとますます税体系を移行させていくつもりなんですか。
  14. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まだはっきりそうした方針を、こういう方針を持っているということを申し上げるのは、私はまだ早いと思います。ただ、まあ間接税と直接税との関係において、現在税負担が全体として重い、特に直接税において負担が重い、こういう声も相当あるわけでございまして、従って税制全体をどう考えていくべきかという場合においては、そういった意味批判も一応フランクに受け入れながらさらに検討していく問題じゃないか、かように考えております。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもこれまでの税制は御承知のように資本蓄積に非常に重点を置いたものですから、税の負担公平の点が非常に等閑に付せられた、というよりもむしろ前の池田大蔵大臣のころは、負担公平化というものを犠牲にしても資本蓄積重点を置くべきだというようなことをいって、税体系全体として非常に資本蓄積の方に重点を置かれた。たとえば不労所得の預金とかああいうものは免税にしてしまいましたが、そういう点からいって、だんだん大衆課税への偏重がひどくなってきていると思うのです。で、全体として面接税が重いということは、これは財政規模が全体として大きい、国民所得に対して大きいという、そういう点からも一つ電圧があるわけですけれども、その中身の負担公平のことからいうと非常に不公平になってくるんです。資本蓄積重点を置きすぎて、そういうあれを、税体系を直さないで、そういうものを根本的に直さないで、そうして間接税中心に移行するというとなおますます逆進的になってくるのですよ、税体系がね、非常に、そういう点で大体どのくらいのパーセンテージが適当とお考えになっておるのですか。大体三十一年度では直接税と間接税比率が出ていますが、どの程度を大体適当と考えておりますか。
  16. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 抽象的にどの程度が適当であるかということはなかなか問題があろうと思っております。結局その時代における国民経済状況、その時期におけるまあ現在の日本経済状況と見比べてどうかという点が問題として考えられていかなきゃならぬと思っております。三十一年度におきましては、改正後は直接税が五一%、間接税が四六・二%、その他が二・八%と、まあその他もいわば大きな意味での間接税といっていいと思いますが、大体まあ半々になっている。九−十一年の時代は直接税が三四・八%、間接税が五七・一%、その他が八・一%、まあこういう時代もあったわけであります。それから各国の例を見て参りましても、一番直接税に大きく依存しているのがアメリカでございまして、それに比べればまあイギリスかなりそれに近い、その方向ではありますが、イギリスはまあ五割ちょっとが直接税になっておる。これに反してたとえばフランス、イタリアなどになりますと売上税のようなものに大きく依存しており、西独においても売上税かなりな地位を占めている。従ってそれに応じてやはり直接税の比率は小さくなっている。まあ各国いろいろな姿をとっているわけであります。日本としまして、現在どういう姿であるのが一番いいかというところに問題があるのではないかというふうに思っております。現在まあ問題は、もちろん担税能力のある者が大きな負担をする、これは、もう当然の話だと思っておりますが、結局現在税負担の重いのは、先ほどあなたのおっしゃいましたように、国民所得が全体として戦前に比べれば一人当り非常に小さくなっておる。それに比べて財政規模の方はそれほどでもなく、小さくなっていない。結局税でもって負担する額がふえてくる。結局どうしてもやはり、大衆という言葉をどう呼んでいいかわかりませんが、国民の相当大きな層の方にやはり負担していただかなければならない。その場合に直接税の格好で負担していただくのがいいか、間接税の格好で負担していただくのがいいか、こういう問題もいろいろあるわけでございまして、その辺をにらみ合せながら全体として考え直してみる必要があるのではないか。もちろん今度税制改正を行うには、いろいろ根本的に検討してみるにつきましては、今お話しになりました租税特別措置につきましても、これをやはり根本的に考え直してみると、ぜひどうしても必要なものと、この際もうそろそろやめていいもの、あるいは程度を少くしていいもの、いろいろな種類なものがあろうと思いますが、こうした面につきましても十分検討してみる必要があるのではないか、租税特別措置というのはいわば一種の傾斜減税といっていいと思うので、ある特殊の人の税負担を軽くするということは、結局残った人の税負担がそれだけ重くなっておるわけです。その傾斜減税をしてまでそうした特定の目的をどこまで遂行してゆく必要があるか、これもその時期々々でやはり考え直してみるべき問題だと思う。ある時期においてはぜひ必要であるというものも、それが数年たてばまた違った考え方で見直すべきものではないか、こういうような考え方でもってこの問題もあらためて検討をしてみる必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは非常に正しい御意見だと思うのです。それでこそ税制の根本的改革が考慮されたんであって、それでやはりこういう直接税から間接税に移行する一つの非常に重要な具体的例として砂糖関税引き上げも出てきておる。なぜこれを今お話のたとえば青色申告の特別措置、そういう問題との全体との関連においてこの問題を取り上げないか、部分的に、全体的な今の税体系は非常に不合理があるわけです。今度の税制の根本的改制に関するいろいろな意見もだいぶ出てきているのですけれども、そういう全体的な改正構想の一環としてこれをやってゆくならいいが、部分的な、その青色申告の法人特別措置などはずいぶん、経済が正常化していないので、そういう税制面で特別措置を講じて事業会社の経営の安定化に政府が援助したと、こういうことになっているのですが、政府はもう経済は正常化したのだと、安定化したのだと、こう言っておるのだから、正常化したならああいう経済の不正常化を前提にした税制は、ことにああいう特別措置なんかは根本的に考え直さなければならない。そうなればこういう砂糖関税引き上げなくても、全体との関連に立ってやればこれは済むのです。たとえば法人なり青色申告の免税だからといって相当大きな額を免除しているのですから、それをこういうものだけ、何か勤労所得税の百五十億の減税財源がないからということでこんなこそくな方法をやっておるのです。砂糖関税とか、しかもちょうど超過利潤とすりかえてこういうふうなあれを出した。それで主税局長はもう税理論の非常な大家ですからよく勉強もされて、われわれほんとうにそういう意味で敬服しておるのです。そういうやはり観点から、着想からやられるべきで、何だかずいぶんこれはお粗末な、勤労所得税の百五十億の財源がないのでちょうどいいと、砂糖会社超過利潤がとれなかったから関税引き上げて、何か砂糖会社の超過利得をとるがごとき擬装をこらして、そうして消費者に転嫁する、そうして勤労所得税軽減財源にする。そうすると勤労所得税を百五十億減税されたようですけれども、実際は砂糖関税引き上げで、全部じゃありませんけれども、その効果が減殺される、こういう形に私はなっているのじゃないかと思うのです。
  18. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 非常にこそくな手段じゃないかということですが、私正直に申してこそくだと思います。それだからといって本年の、三十一年度の税制改正において全体を全部見直して、そうして全体の租税体系をもう少し全体を考え直すというのは、正直なところ時間的に制約されましてできなかったのであります。で、御承知だろうと思いますが、税制調査会などを設けましていろいろ御意見を伺ってみたのですが、どうもやはり八月から出発して、まあ本年の税制改正に間に合わせるためには十二月ごろまでに結論を出さなければならないのですが、なかなかそれができない。それじゃ全体を見送っていくかというのも一つ考え方であろうと思います。この際としては。とにかく三十一年としては三十年に相当減税したあとでもあり、当然何もしないで見送っていくかと、こういった議論も実は中にはあったのであります。ところがとにかく給与所得に対する負担というのは他の所得に対する負担に比べてどうも重いようだから、従ってこの分だけは直したらどうか、場合によっては間接税増徴ということも考えてもいいから直したらどうかという御意見相当ありました。われわれもその御意見にやはり従うべきじゃないかと、こういう考え方で今度御提案申し上げたわけであります。全体の構想から考えれば確かにまだほんの一部分で、いかにもこそくだ、こういう御批判はわれわれも甘んじて受けなければならないと思いますが、じゃ全体をこの際見直す、これは時間的にはわれわれとしてはできかねる。同時にそれじゃ何もしないでおこうかというのもどうかと、こういったところからこういうような結果になったわけでありまして、まあその辺の事情を御了承願いたいと思います。
  19. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の御説明でまあ全然見送るよりは、勤労所得税が不当に高いから、この際その高いのを少しでも負担軽減したらいいのじゃないか、この点取り上げたことは、これはけっこうなことです。しかしそのこそくというのは財源措置についてである。勤労所得税の不当に高いということは、これはあまりにももうほうっておけないほど不均衡になってきたから手をつけざるを得なくなってきた。どうしてもそういうことをやらなければ、また賃金値上げもほうはいとして起ってくるし、賃金値上げに対する一つの緩和剤としても必要じゃないかという、そういう政治的な考慮も私はあったと思うのですけれども、これは主税局長の範囲の外になってくるかもしれませんので、それはおくとしまして、しかし根本からいって、最後に私は、砂糖消費税の法案の質問ですから、あとまた所得税法とか租税特別措置法の場合に御質問したいと思うのですが、ただ一つここで伺っておきたいことは、どうも私はいわゆるインフレ時代には直接税をとることは、直接税に重点を置くことはむしろ非常に不公平であったと思うのです。インフレ時代所得を捕捉することは困難ですから、その当時はいわゆる間接税消費税をとる方が公平だと思うのです。公平の点からいえば。ところがインフレがおさまった、そうして所得の捕捉が今度は正確にできるようになったときに所得税中心をやめて、そうして間接税中心に行くというのは私は逆じゃないかと思うのですよ。今度は所得の捕捉が十分できるようになったのだから、やはり所得税中心に行くべきだと、私はその点から思うのです。むしろ逆だと思うのですよ。あのインフレ時代にそういう議論は相当あったわけです。この点まあ少し理屈に走るかもしれませんが、主税局長はどういうふうにお考えですか。
  20. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 原則的には私も同じだと思います。あなたの御意見と同じように考えます。インフレの時代は直接税でもってやろうとしてもなかなか捕捉しにくい。従ってこの場合はむしろ間接税でやってもいいが、現在のように落ちついてくれば捕捉が完全にできるのだから従って直接税と……。しかしこういうこともお考え願う必要があるのじゃないだろうか。といいまするのは、直接税に相当重い税率なりいろいろなものが盛ってありましても、捕捉が不十分な時代ですと国民の負担感といいますか、負担していく感覚からいえば、実際の負担がそれだけでないものですから、まあ大して直接税に対しての圧迫感がない。しかし現在のようにだんだん経済が落ちついてきて、そうして捕捉が相当十分にできるようになってきますと、これは直接税で商い税率が盛ってある、いろいろな点になっているやつが、これば非常に的確につかまるだけに、インフレ時代であったら税法の上の負担は高くても実際の負担は安かった。現在のようになると、税法の負担が高ければそのまま負担を圧迫として感じてくる。それが経済の上あるいは心理的にいろいろな問題がからみ合うと思いますが、そこに新しい直接税に対する反発といいますか、そういったものが起きてくる問題もある。従って一般論として、直接税というやつはインフレ時代……間接税中心はインフレ時代こそ通用するけれども、現在のような落ちついた経済においてはそれはおかしいじゃないか、それは一応の議論としてその面は確かに一つの筋としてあると思いますよ。私もあると思いますが、同時に経済が落ちついてくれば今度は税法において限られた負担がそのまま実際の負担になってくる。そういった場合をやはり一応頭に置きながら、やはり現在の直接税と間接税負担状況はこれでいいだろうか、こういったようなことは、またそういったことも頭に置きながら考えてみる必要があるのじゃないかという点、まああなたの御議論に一面賛成し、一面別なことも申し上げているようでございますが、一応そういった面も考慮しながら、税体系として現状としてはいかにあるべきか、こういう点は私は考えていくべきじゃないかと、かように考えています。
  21. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もうこれで私最後で、やめますけれども、今のあとの御説明、そういう観点からやはり直接税は、負担は重いという感じを与えるからそれで間接税の方へ切りかえていくという考え方は、それは直接税に責任があるのじゃないのですよ。さっき話したように、歳出規模自体が全体が大きいというところに問題があるので、それを根拠にしてだから間接税の方へ移行していくのが正しいのだというのは、これは正しい説明じゃない。それは税全体が重いのですよ、全体として。歳出規模が国民所得に対して全体が大きい、不当に大きいということからくることであって、それを理由にして間接税にいくということは、私はどうも承服できない。もうここで終ります。
  22. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私も一番基本的なことは、直接税、間接税といわないで、税全体の負担が重いという、そこに問題があると思っています。しかし、これもいたずらに重くするために重くしているわけではありませんで、これはあらためて申し上げる必要もない。結局歳出をできるだけ圧縮していただくということは、これはぜひわれわれもそうあってほしいと思っていますが、しかし、どうしてもこの程度歳出が必要であるという一応問題が出てきますると、結局、それではそれをどういう税で負担していくかと、こういう問題に、第二段の問題としてなるわけでありまして、まず第一段の問題として、できるだけ税負担を軽くという方向にまずもって考えていきたいと、これはわれわれもその点においては全然同じような考え方を持っております。
  23. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 歳出に触れなければいかぬですから、その次の議論はです。ですからこの委員会ではこの点でとどめておきます。
  24. 岡三郎

    ○岡三郎君 砂糖消費税の一部を改正する法律案について御質問申し上げますが、一番先に従量税にしたということはいいことだと思うのですが、一斤にするというと幾らになるのですか。
  25. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 砂糖消費税とおっしゃいましたが、砂糖関税の問題だと思います。
  26. 岡三郎

    ○岡三郎君 関税
  27. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現行の税率は、御承知のように従価の、これは大部分が粗糖といいますか、原料糖でございますから、その分だけについて申し上げますと、現在の税率は、御承知のように従価の二割になっておりますから、値段が高いものが入ってくれば負担も大きくなりますし、値段の安いものが入ってくれば負担も小さくて済む。台湾とかああいうところから入ってくる砂糖については税金もたくさんになりますし、それからキューバの方から入ってくるやつについては税金が安くなってくる。そういった意味で、個々について一々申し上げてもちょっと何ですが、おそらく御質問の点は、それを平均したところで申し上げて大体いいんじゃないかと思うのですが、最近の実績によりまして平均したところでは、従価二割の税率は、一斤当りですと四円五十八銭、今度一キログラム十四円の従量税率に直したところでは一斤当りが八円四十銭、キログラムの方で申しますれば現在のやつが七円六十二銭になっておりまして、今度が十四円になる、こういう計算になります。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっとそれに関連しまして、なぜ従価を従量に直したか、その点。
  29. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 従価税率がいいか、従量税率がいいかということは、これはいろいろ議論のあるところでございますが、大体まあ普通一般的に考えておりますのは、大量均一な性質のものの貨物、これにつきましては、大量輸入されて、大体均一な性質を打っているといったようなものについては従量でやった方が税関における取り扱い手続上も簡単でございますし、従量税率がいい。しかし、たとえば高級の織物のようなものになりますると、値段も品物によって非常に上下もございますから、これは従価でやった方がいいだろう、これはきわめて一般的な考え方でございまして、今の日本の税法は、全体としまして従価税率を原則にしているのでございますが、砂糖につきましては、たとえばキューバから入ってくるもの、台湾から入ってくるもの、値段相当違いますが、まあ国内で使う段にってみれば皆同じような性格のものでもございますし、同時に手続的にも非常に従量の方が簡単に済みますので、いっそこの際従量税率を部分的にとっていった方がいいんじゃないか、こういう考え方砂糖消費税については従量税率を考えた、こういうわけでございます。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも今まで従価でやってきて支障が別になかったのでしょうが、特にこの際従量税に変えなきゃならぬ——今お話しになったように、台湾の方は値段が高い、キューバの方は安い、何か台湾の方のあれを入れやすいように、そういうような配慮でもされているのですか。
  31. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 特にそういう配慮といって申し上げる必要もないと思っております。で、こういうものは、砂糖のような税率のものは、従量税率の方がいいんじゃないか、ただ物価が安定していない時代でございますと、御承知のように一度従量税率できめて参りましても、物価がどんどん上っていけば、本来二割のつもりできめた税率が実は一割五分になり、一割になってしまう、そういったような物価の不安定な時代は従量税率というのは絶えずあとから追っかけていかなければならぬ事情にありますので、これは好ましくない。従って従価税率でやっていく方が適当である。そういったような考え方で従価税率をとっていたわけでありまして、あれは二十六年でございますか、あのときに関税定率を全面的に改正いたしましたが、あの当時において戦前きめた従量税率というのはほとんどもうノミナルになってしまいまして意味がなかった。それでこれは従価税率にきめた。と申しましても、まだ物価そのものについてこれが安定し切ったものというふうにはまだちょっと自信がなかったのではないかというふうな点があったのではないかと思います。同時に、その後において相当物価は値上りしていることは御承知通りでございます。しかし現状におきましては、もう大体物価は安定していると見ていいんじゃないか、そうすればこういったものについて本来従量税率として適当だと思われるものについては従量税率に転換していくのもいいことじゃないか、かように考えております。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちょっと具体的に……。台湾糖を従価で入れた場合と従量で入れたものとどのくらいかれこれ違うか、それからキューバ糖を従価ので入れた場合と従量で入れた場合とどのくらい違うか。
  33. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一斤当り数字あとで間に合いましたら申し上げますが、トン当りで申せば、キューバ糖は、大体九十五ドルくらいと考えております。台湾糖は百十二ドル、従いまして、トン当りにすれば九十五ドルの分はその二割ですから十九ドルですか、台湾糖のやつは百十二ドルですから、二十二ドル四十セントと、そういうふうなことになるわけでございます。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 従価の場合ですね。従量になるとどうなんです。
  35. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 従量の場合は、トン当り両方とも一万四千円ですから、ドル換算してみますと、従量の関係ですと、むしろ関税引き上げの前の数字で申し上げた方がいいと思いますが、トン当り七千六百二十円ですから二十一ドル十五セントくらいになると思います。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうなりますとキューバの方は高くなり、台湾の方は安くなりますね。
  37. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) さようでございます。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこがねらいであったんじゃないですか、従価を従量に直すというのは。
  39. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) そこ自体がねらいだというのは、私はちょっとわれわれの気持と合わないと思います。われわれはやはり従量税率の方が税関の手続も簡単であるから、同時に支障がないから一応そういった方に持っていったらいいんじゃないか。ただ結果的に見ましてキューバの方がちょっと関税負担が高くなり、台湾の方が安くなる。まあ現在キューバの方が安いのも台湾が高いのも、結局は大部分は為替の問題と結びついたことでございますから、それが関税率において従量になることによってキューバの方の安さがある程度減殺され、台湾の方の高さがある程度減殺されるということは、これはそれ自体の影響としては別に悪い影響ではあるまい。こういう気持は持っておりますが、そういうことをすることのために今度従量税率に変えるというつもりではございません。
  40. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 こういうことを今まで聞いておったのですが、国際収支の点からいって、安いキューバ糖よりも高い台湾の方の砂糖をたくさん買う。これはまたその他の輸出関係との見合いもあるでしょうけれども、非常に割り切れない点があるのですね。特に台湾の方からいろいろ要求があるのかもしれませんが、どうも高い台湾糖をたくさん買って、それで安いキューバ糖の輸入が少い、こういうことは国際収支の上からいっても非常に損じゃないか。またこういう措置を講ずることによって台湾糖の輸入が非常に今度は有利になるわけでしょう。そういう何か特に、台湾との外交関係は別にして、通商関係の上においても特別に何か配慮されているような気もするのです。
  41. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) われわれはその点で特別に配慮をしたというよりも、結果から見てそれが悪い影響じゃない、これは思っております。しかしそれはキューバは安い、台湾は高いのだからキューバからどんどん買ったらいいじゃないか、これは一つお話かもしれません。御承知のようにキューバの関係はこちらの方の輸出が少くて、向うの方の輸入ばかり、キューバから買うのが多くなって片貿易になっているわけでありまして、やはり台湾との関係におきましては、こちらが台湾に相当輸出しようと思えばまた台湾の砂糖輸入しなければならぬ、こういった関係にあるのでありまして、現在が完全な為替の自由な時代であり、国際的にも自由な時代であれば、これは単純に安いところから買ったらいいじゃないかという議論で済むと思いますが、しかし国際的に見ましても為林がそういう自由な時代じゃない。で現在相当外貨を持ってはいましても、まだこれでもってかってにどうこう使っていいといったような、為替管理を全然廃止していいような情勢でもないわけですから、従ってこの問題とやはりちょっと別になおかつそれは考えていかなければならぬ問題じゃないかと、かように考えております。
  42. 小林政夫

    ○小林政夫君 関連して。今の話を聞いていると、あまり従価を従量に変えなければならぬという理由は大してないというか……、ぜひ変えなければならぬという理由があるのですか。
  43. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) それは先ほども申しましたように、税関の手続の上において従価と従量においては非常に違いがあるわけでございます。そういった事務の簡捷化ということを考えますと、従価に比べてはるかに従量の方がやりやすいわけでございまして、従って従価を従量に直しても支障のないそうした商品につきましては従量に持っていくということが非常に税関上も簡捷にするゆえんであり、そんなような意味においてぜひ従量に持っていった方がいいのではないかとかように考えております。
  44. 小林政夫

    ○小林政夫君 大体そうだろうと思ったのですがね。
  45. 岡三郎

    ○岡三郎君 それで税収の見込みがふえる分が六十二億ばかりありますね。そうすると大体どのくらいの輸入をこの場合は考えているのですか。
  46. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 原料糖の輸入を百五万トン、これを基礎にして考えております。
  47. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうすると安全帯の法案がなくなって、そうしてまあ先ほどの話だというと七十五円という押え方ですね。一応これだけとるというと当然これが消費者の方に転嫁していく、そうして原糖、プラスそれに精糖する費用を加えて、そうして大体想定値段を七十五円とした場合に、この七十五円という価格自体が適当であるという根拠はどこですか。
  48. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 先ほど申しましたように、特別利潤をとるときに関係の各省が一応精糖のコスト計算をしてみて、そして加工費のコスト計算、それから輸入糖の大体のアベレージの価格考えて、そして平均七十一円五十銭という数字を出したのでありまして、まあそれに四円くらい関税がふえれば大体七十五円見当になるのじゃないかということを申し上げているわけでございますが、今の数字は、コスト計算がどういう内訳になっていて、それが適正であるかないか、これは今ちょっと資料を持っておりませんのでお答えいたしかねますが、一応私が先ほど七十五円、あるいはその前後といった数字を申し上げましたのは、特別利潤計算する機会において、これはキューバ糖の輸入される割合、台湾糖の輸入される割合、そういうものを一応アベレージしつつ同時に精糖の加工費をそれに加算して得た数字が七十一円五十銭だ、加工費が大体十一円十九銭、だから問題はその加工費の十一円十九銭が大体甘いか辛いかといった問題に尽きるのじゃないかというふうに思います。
  49. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと百五万トンでまあ六十二億と見積って、本年の大体輸入目標はもう少し拡大する方針ではないかというふうに聞いているのですが、その点どうですか。
  50. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現状におきましては一応百五万トンを目途にしております。ただ砂糖値段が百五万トンでは相当高くなって、そしてさらに砂糖会社特別利潤が生ずるといった事態になれば、この輸入量というワクをそう固定的なものには考えない、こういう気持は持っております。しかし現状としては大体百五万トンでもってそうべらぼうな値段にならないのじゃないだろうか、こういう増え方でおります。従って百五万トンという数字を今この際すぐ変えるという気持は持っておりません。
  51. 岡三郎

    ○岡三郎君 前の価格安定帯を作るときの増収の見積り、それを今回は関税に置きかえた。関税に置きかえた場合に、今後砂糖が暴騰した場合に緊急輸入をするというふうな点の打ち合せがほんとうにあるのかどうか、その点を聞いてみたいと思います。
  52. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その点はございます。
  53. 岡三郎

    ○岡三郎君 その場合に幾らを暴騰と見るのか、その点ちょっと……。
  54. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 政府といたしましては、七十五円見当で砂糖価格の推移していくことを期待しているわけでございまして、それがもう七十六円になったらすぐ暴騰かどうかという点になれば、これはちょっと言えませんが、とにかく大体七十五円前後を砂糖相場が推移することを目途にそうした輸入の問題も頭に入れて考えていきたいと、こう考えております。
  55. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと現在でも大体その程度値段だと思うのです。それで一応三十億寄付するということで関税で取ろうということに話がついた。しかし一応砂糖というものは生きものみたいなもので、上り方が激しいということを聞いているわけですね。そういうふうな点で、さあ七十六円だ、八円だとなってきたときに、緊急輸入したって、船が飛行機に変りはしないから間に合わないと思います。それは一体どうするのです。
  56. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 結局割当の量の問題と同時に、その割当を具体的に個々の業者に割り当てていく、その時間的な問題、年間百五万トンということになっていましても、それが一つの時期に片寄るということになれば、砂糖値段はあるいは暴落しあるいは暴騰する、こういう問題があるわけでございまして、従いましてその点からいえば、やはり年間に需要に応じながらこれが適当に割り当てられていく、こういう操作をぜひしなけりゃならぬと思っております。砂糖相場の従来の動きを見て参りましても、かなり先を見込んでいるようでございます。従いまして輸入割当をたとえば増加いたしますれば、すぐそれでもって、せいぜい二カ月前後で品物は入ってくるようでございますし、必ずしも現物の顔を見なくても、従来の経験から見れば、砂糖相場というものは上り過ぎたものに相当の水をかけるということはできるようでございまして、必ずしも品物がすぐ枯渇してしまって、その機会にやっと砂糖値段が上るというのではなくて、将来相当これは需要に比べて供給が少なそうだというと、すぐ先を見越して値段が上るだけに、逆にそれに対抗して輸入量がふえるのだということを発表すれば、砂糖値段の暴騰に水をかけるということは、十分従来の経験によって措置できるのではないかと、こう考えております。
  57. 岡三郎

    ○岡三郎君 どうも従来の経験にかんがみて、私はそれがはなはだ不安定と思うのです。それでまあこの七十五円という線ですね、これは現在でもやっているわけなのです。ところが聞くところによれば、実際に問屋から消費者に行くときに、問屋の卸価格が七十四円を割っているそうです。そうすると結局現在ではまた価格からいうと実におかしい状態になっているのではないかと、こう思うのですが、要するに先ほど木村先住が言われたように、価格というものを大メーカーが協定して自由に操作できるところに私は一つの問題点があると思う。つまり需要と供給の関係ということもあるけれども、あるときには需要と供給の関係をこして価格というものをきめていくという、そういうきらいも私はなきにしもあらずだと思う。これはある意味における独禁法違反だと私は考えている。そういった場合において、実際の場合に、今のような需要と供給の関係で、それほど需要がないのに七十五円の線をもっているといえば、実質的に需給状態のバランスが切れた場合にこれは上に行くという方向においては、これは精糖会社は好んでおるのです。だから上に行く心配が私はあると思う。その場合に一応緊念輸入するということで押えられるかもしれませんけれども、実勢というものはなかなか押えられない。そういった場合に緊急輸入をするところで、かりに七十八円なり八十円という線が出たときに、その利潤というものをとるというふうな話が一時あったように開いているのですが、その点はどうなったか……。
  58. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ砂糖相場の中には御承知のように二色ある。一つの方は取引所に出ておる相場、これもわれわれがよく普通いっておりますが、同時に私もいろいろ業者の話を聞いてみますと、取引所相場が、これには必ずしも実際の相場でない相場がよくあるようでございます。取引所……砂糖会社が売っている実際の値段取引所相場まで必ずしも売り切れない。これは時期によって逆な場合もあるのかもしれませんが、少くとも現在の状態のような時期ですと、取引所相場は七十五円近くを出していても、実際売るときにはそれより一円ぐらい安かったり、こういうことはあるようでございます。しかし砂糖会社がお互いに協定して何か一つ独占価格を作るということになれば、これは私はお話のように独禁法の問題に当然抵触する問題があるのじゃないかと思っております。それから現在の政府考えておりますところは、要するにできるだけ砂糖価格を安定さしたいということを中心に考えております。従ってそちらの方に重点を置いておりますので、特に特別な利潤が出た場合にそれを徴収するというようなことはこの際としては考えてはおりません。
  59. 岡三郎

    ○岡三郎君 私はやはり大蔵省がなぜ反対したかわからないのだが、少くとも今までの経験に徴すれば、やはりこれは年間を通してではないのですが、ある時期においては非常に高騰する、そういうふうなためにやはりある程度の分量を政府が手持で持っておって、そうしてすぐにそれを出すということになれば、これは完全に思惑は防げると思うのですが、なぜそれを大蔵省あたりが反対したのか、それをちょっと聞いてみたいと思います。
  60. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ食管会計で砂糖を持って、そうして価格のそうした長期的なバランスは輸入量で済むと思っております。問題は一時的の問題、暴騰問題だと思っております。そういうことを農林省としては考えていきたい、こういう話は出ております。大蔵省としましては、一応主たる点は、食管会計のそうしたいろいろな売買品目をいたずらにふやすのはいやだ、どうしても必要最小限度のものならやむを得まい、あまりこれをふやしたくない、こういう考え方が基礎にあるものですから、そう簡単に賛成しておるわけではございませんが、しかしいろいろな事情を見て参りますと、まあそういった問題も考える必要があるんじゃないかという御意見もございますし、この問題は、現在としまして両省の間でお互いに検討を続けております。従ってやはりどうしてもそうしなきゃならぬ、でなければ砂糖価格は安定しないのだということになれば、その方向で問題を考えていくということも現実あると思います。
  61. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ほかに御発言もなければ……。
  62. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあそんなにあわてなくても……。それで結局私は七十五円という線が、聞くところによれば、澱粉とかテンサイ糖とかいう価格の観点から、また製糖会社利潤というものを考えて一応七十五円、関税が四円五十銭平均ふえたから、一応この程度だという考え方については、やはり基本的に七十一円五十銭という線は、やはりこれは少し甘いんじゃないかと考えるわけです。それでまあ関税にしょうが何にしょうが、結局はこれが消費者に全部転嫁されてきて、製糖会社自体はもうけの方は減らぬというふうでは、これはちょっと不公平ではないかという点で考えるわけですが、澱粉なりテンサイ糖ですか、それとの関連ということがどの程度までこの七十五円の中に入っておるのか、それをちょっと聞いておきたいと思います。
  63. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) テンサイ糖との関係といいますと、現在の状態ではまだこの程度関税でテンサイ糖が十分輸入砂糖と競争できるというわけにはまだいかぬようであります。もう少しテンサイ糖の方が不利だと、こういう状況にあるように聞いておりますが、澱粉との関係におきましては、これはいろいろな議論がございますが、まあ一応大体この程度値段であれば澱粉の値段が非常に砂糖値段のために圧迫される、こういった問題はないようでございます。
  64. 岡三郎

    ○岡三郎君 もう一つ砂糖消費税の方について聞きたいのですが、国内で生産される黒砂糖ですね、これは今回は、協同組合等に委託して、その受託者を納税義務者とする云々とありますね。私はまあ国内の砂糖なんというものはごく微々たるものだから、これこそ免税にしてやったらどうかというふうに考えるわけですが、その点どうですか。その分のいわゆる財源としては、今言ったように、輸入の総量を五万トン程度、十万トン程度ふやせば、砂糖価格を高騰させないことにもなるし、また国内におけるそういったようなほんとうの小規模の業者というものを助けるということになると思うのですが、その点どうですか。
  65. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 国内産の黒糖につきましては、従来とも一時相当高い税率の時代もあったのですが、引き下げまして、現在一斤四円であります。砂糖消費税を二回ほど相次いで引き上げたときにでもこの四円は据え置いてきております。それで国内の黒糖のメーカーが、これはまあ農民の方が多いのですが、かなり苦しい事情にあることはわれわれにおきましても考えておりますが、しかしその主たる理由は、やはり輸入黒糖ですね、これとの一応連係にあるようでございます。輸入黒糖が相当安く入ってくるということによってやはりどうしても太刀打ちできない。税率をゼロにしてみますことも一応考えられますが、砂糖消費税である限りにおいては、国内のそうした一斤四円の消費税をやめれば、輸入黒糖の方もやはり同じように四円の消費税がかからなくなる。結局それだけではなかなか現在の砂糖耕作農民の苦しい経済はこれは救われないように思います。今度砂糖消費税を上げることをやめて、むしろ同じ砂糖に対する負担でありまするが、関税の方に持っていったというのも、これによって多少とも輸入黒糖というものと国内黒糖との間に差をつけたい。結局問題はどうも輸入黒糖と国内黒糖との間に何かの格好で差をつけるというところに重点を置きませんと、それは負担が四円でもなくなればなくなった方がいいのかもしれませんが、今のお話の耕作農民なりあるいは製造する農民の経済状態が改善されるという問題にはなかなかならぬようでございまして、従ってこれは別途の措置でやはり考えていかなければならぬと、かように考えております。
  66. 岡三郎

    ○岡三郎君 その別途の措置考えてもらうのですが、大した問題にならぬかもしらぬけれども、四円というのはやはり相当大きいと思うのです。それで外国の黒糖との比較からいって、また非常に零細な耕作農民ですね、しかも経済規模が非常に微弱である、それでやっていけないという連中が多いのではないかと思うので、何とか別途の方法をもう少し考究してやってもらいたいと思うのです。それはなぜかというと、やはり換金作物といったらこんなものしかないのじゃないですか、ほんとうからいって。これをぜいたくに使うわけではないし、やはり現金収入の唯一の通という形で生計を立てておるわけですから、一つその点は十分御考慮を願いたい、こう思うわけです。  それからもう一点は、今回の措置によって、担保を取らないで翌月の末まで、こうあるのですが、本来製糖会社はもうかっておる場合はいいけれども、むちゃくちゃに設備を拡大してむちゃくちゃにもうけてきておるときにおいて、大体担保を出せば二カ月延ばす、今までのやり方ですね。三カ月延ばしておったのが二カ月になったのですが、二カ月延ばすということが私はおかしいと思う。というのは、砂糖の売買は全部現金ですよ。現金で取引しておるのになぜ翌月まで延ばしてやるか。しかもそれが会社の方が非常に困っておるというのならいいけれども、三割、四割の配当をしておるものに、しかもそれが現金で全部売買されておるということの現状のもとで、今回改正されたのを見ると、いかにも期間が短縮されたようだけれども、本来から言ったならば、その月の前において徴収してもこれは無理じゃないのじゃないか、この点どうですか。
  67. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 砂糖会社の取引状況につきましては、われわれの方もかなり検討してみました。全部現金だとおっしゃいますが、もう一つわれわれの方で調査したるところによれば、そうでないようであります。現金のものもあればやはり相当のサイトも認めておるものもあるようであります。従来認めてきた二カ月の延納期間というのはこれはむしろ長きに失するようでございますので、今度これを短縮する。昨年砂糖消費税を全面改正いたしまして、従来の引取税の制度を移出課税の制度にかえたわけでございますが、そのときにおきましては一応移出課税の制度にしましたが、徴税のやり方については従来の引取課税の制度をそのまま踏襲してきたわけでございます。しかし大体砂糖につきましても特に引取課税である必要もないのでございますから、この機会に納期短縮ということも一応頭に入れながら、酒とかそういうものが大体その月の出荷のものを翌月末ということで納期がきまっておりますし、入場税のようなものも、その月のものを翌月末ということになっております。それと歩調を合わす意味で、この際としてはその月のものを翌月末というところに歩調を合わしたら大体いいのじゃないか。必ずしも現金取引だけが全部というわけでもないようであります。
  68. 岡三郎

    ○岡三郎君 現金取引でないというのはどの程度の部分を占めておりますか。それからまたそういう例を聞かしてもらいたいのだが。
  69. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その点につきまして私の方でも相当詳しく調べてみたのですが、それぞれの砂糖会社によりましていろいろ違いますが、やはりある会社ですと十日以内、三十日以内、四十日以内、四十三日以内、相当やはり十日から四十三日くらいまでのサイトを持っておるものもあります。別の会社であれば、短かいのは三日ですか、長いのは八十五日くらいのものもございますし、全体としてアヴェレージしてみますと、それほど長くはございません。会社によってかなりいろいろな種類があるようでございます。
  70. 岡三郎

    ○岡三郎君 それはその一つ資料はあとで出してもらいたいと思うのだが、要するに移出するときに、大体よほどはっきりしてなければ製糖会社は応じないと思うのですよ、現状としては。だから特別の契約がある、いわゆる菓子の大きなところへ出すという、そういったような場合においてはそういうこともあるかもわからん、あるかもわからんけれども、実際の取引はやはり現金取引が中心じゃないかと思うのですが。
  71. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 砂糖会社がよく使っておりますのは、卸商あるいは自分の直接の子会社的な販売会社ですが、販売会社から出ていく場合においては現金である場合も、やはり販売会社については相当のサイトも認めております。こういうような取引状態をやっておりますので、結局引取課税のところから考えて参りますれば、一応工場から出ればすぐにまあ引取税の方は納税義務が発生するわけですね。それがたとえば東京で出て仙台までいく、あるいは札幌までいく、そうすればそこの輸送機関のような問題も、一応札幌ですぐ直接現金化する場合においても輸送機関というものがさらに一応考えられるわけですね。そういったようなことまで厳格にずっと見て参りますと、一応引き取りという時期と販売という時期との間にはやはりある程度の時間的なギャップもございますし、さらにその売り先によって、相手の特約店である卸とかあるいは販売会社であるとか、あるいは製菓会社、これはいろいろ相手によって違います。現金の場合もあれば、やはり相手がそうした特約店であれば相当のまあサイトを認めておる場合もある。現金である場合におきましても、その現金を一応すぐ回収してしまわなくて、預金にしておきまして、それを見合いに特約店に一応の信用をつけるというようなことを、まあ銀行にめんどうをみてやったとか、こういったようなことをやっているところもあるようでございまして、取引の形態はかなりいろいろな会社によって型が違っておるようでございます。
  72. 岡三郎

    ○岡三郎君 とにかくこれはこのものを売れば現金ですぐくるものですから、私はやはり相当会社自体の内容が悪いときは相当めんどうをみてやってもいいと思うのです。しかし実質的にとにかくもてあまして困っておるくらいのものを持っておるところですから、これは私はそういうふうな点を考慮して、まあ今度は四十五日ですか、平均まだ四十五日じゃ長いと考えております。それはそれでおきます。しかしこれを担保を取ったのはどういうわけですか。
  73. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 従来の制度でございますと、一応これは形式論かもしれませんが、引取課税の場合は引き取るとすぐ納税義務が発生しますので、全体が徴収猶予ということになるので、担保を取っていたわけでございますが、しかし現在の砂糖会社のふところから見ましても、そう無理に担保を取らなくても、納税に支障もあるまいというようなことも考えられますし、一応その月の分を翌月末というふうな納期にする場合におきましては、他の税におきましても別に担保を取っておりません。それに右をならえさした。しかしこれによって砂糖消費税徴収に支障を来たすというふうには——今のお話のように、砂糖会社のふところがいいという問題もございまして、別に支障はない。担保というのは、結局納税について相当不安があるという場合に担保が必要なわけでございます。現状においてはそういう必要もあるまいというので、これはしいて担保を取るような制度にはいしません。
  74. 岡三郎

    ○岡三郎君 直接関連はないとしても、私は相当大会社は国の恩典に浴し過ぎているくらい浴している。だから蔗糖耕作者に対して何とかやはり立ってゆくような一つ別途の措置を御考究願いたいということで、質問を終ります。
  75. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 この関税定率法提案の理由によって見ますというと、今も話がありましたが、「関税収入増加を図るとともに、てん菜糖等の国内生産の保護に資する」というようなことになっておりますが、さっき主税局長の話では、テンサイ等の方はまだ十分ではないというようなお話がありました。その点はどういうふうにお考えになっているか、それをお伺いいたしたいと思っております。  それからその次が「てん菜糖等」と書いてあるが、「等」とはどういうふうなものであるか、この二つをお伺いしたい。
  76. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 「等」と書きましたのは、先ほどもお話が出ました水あめ、澱粉といった問題も頭に入れてあるものですから、一応「等」ということをつけ加えました。  それからテンサイ糖の関係につきましては、これは現在の日本のテンサイ糖の一面においてはコストを下げてゆくという問題も、いろいろな角度から考えていかなければならぬのじゃないか、で、何と申しましても、相当輸入糖との間のコストの開きが大きいものでございますから、どうも一挙になかなかこれが関税だけで、テンサイ糖がそれで十分やっていけるのだというふうにはゆきにくいものでございますから、それで現状においては、御承知のように食管特別会計でこれを買い上げるといったような措置もとっているわけでございまして、将来の問題としましてこれをどういうふうに考えてゆくべきかということについては、さらに検討をしてゆくべき問題じゃないかとかように考えております。
  77. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから三十四国会に提出予定の法律で、仮称ではありますが、砂糖価格安定法案、これを本月の九日ごろ提出するというようなことになっておりますが、いつごろ出されて、その法律の内容はどういうふうなものであるか、前回出された砂糖価格安定及び輸入に関する臨時措置に関する法律案、こういうふうなものと同一なものであるかどうか、お伺いしたい。
  78. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 農林省の方の問題でございますので、ちょっと私的確にお答えをいたしかねますが、今伺いましたところでは、目下この問題については農林省として検討されている最中でございますので、いつ提出するとか、あるいはその内容がどうとかいうことについてはまだ申し上げる段階に至っていないようでございます。御了承願いたいと思います。
  79. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それからテンサイ糖ですね、それから甘蔗糖、水あめ、精製ブドウ糖、こういうふうなものを奨励していったならば、甘味料の自給というものはある程度できると思っております。ことにアメリカでは御承知通り精製ブドウ糖を砂糖の中に入れて、これを強制的に使用させると、こういうふうなことにもなっている。そういうふうなことでやっていけば砂糖輸入量はある程度減ずることができる。そうして農家の安定も期せられると、こういうふうなことであるのでありますから、そういうふうなことにして、今ここに理由に書いてあるように、テンサイ糖の国内生産の保護をするというようなことだったらば、そういうふうなことに考えていかなくちゃできないと思うのでありますが、資料によって見るというとテンサイ糖に対する一通りの資料ができておりますが、その他の資料はできていないようです。また澱粉であるとか、その他については、農産物価格安定法で値段がきまっているが、現在の澱粉の値段、水あめの値段というようなものを砂糖値段と比較して、現在の値段でいいと考えておられるか、あるいは安いと考えておられるか。安いと考えておられたらば、どうすればいいと考えておられるか、これをお尋ねしたいと思います。
  80. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) ただいまの、現在いたしておりますような農産物価格安定法によります三十年産の澱粉の支持価格、これは十貫当り千五百三十円でやっておるわけでありますが、これはなまイモ二十六年でしておりますが、これで一応私たちがなまで計算いたしまして、それからできます水あめというものの価格に見合う砂糖価格はどの程度だろうかというふうなことをいたしますと、六十七円七十七銭というような計算が出るわけであります。それから、今、申し上げました六十七円七十七銭というような計算が出るということから比較いたしますと、今の砂糖価格は、逆に申し上げますとやや上回っておるということになろうかと思っております。しかし、ことしのイモの二十六年を基準といたしましての農産物価格安定法による価格をきめておりますというようなことは、今の段階におきましては生産高に見合う計算から計算式をきめて出しておりますので、一応、かようなところに落ちつくのではないかというように見ております。
  81. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、現在の砂糖値段が六十七円七十七銭くらいと計算が出ている。しかるに一方の方においては砂糖値段がそれよりも高い。また澱粉あるいは水あめの値段が今予定されているところの値段よりも安いというのが現在の状況ではないかと思っております。であるから、もしそうだったらば、政府はこの応急対策を講じなくちゃできないということになってくるのであります。その応急対策は政府はどういうふうにお考えになっているか。
  82. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 今の砂糖価格がどの程度で妥当であるかという見方といたしましては、ただいま申しましたイモの問題もありますし、あるいはテンサイ糖の現在三十一年産につきましての政府の買い入れ価格は、斤当り七十四円二十三銭で今実行しておるわけでありますが、それらのことを勘案していくことになるわけでありまして、それから別途に現在豊作のあとを受けました澱粉をどういたすかということにつきましては、買い上げを進めておるということでさしあたりは対処いたしておるわけでございます。
  83. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 いま一つ資料によって見るというと、「精製糖会社各期別収益率一覧表」というふうなのによって見れば、総資本に対する収益率、自己資本に対する収益率、こういうふうなものが出ているが、自己資本に対する収益率は相当大きいところの金額が出ているようです。そういうふうなところから考えるというと、これが現在ではそういうふうになっているが、砂糖の量をより多く輸入するということになれば、より以上これが利益になってくる、こういうことになれば、こちらの方の計算もある程度考えて、そうして国内産のテンサイ糖であるとかあるいはカンショ糖であるとか、澱粉、水あめのようなものの利益を増加するような方法をこれと関連して考える必要はないか、こう考えるのであります。その点いかがでございます。
  84. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ちょっと御質問の趣旨がよくわかりませんが、砂糖会社が、少くとも過去においては相当もうけ過ぎていた、こういう問題はわれわれもそういう見方をしております。それであればこそたとえば砂糖において特別利潤徴収というような問題も起きたわけでございまして、従いまして、そういったことが生まれまするのも、結局従来とかく外貨のワクに縛られまして、需要に比べて思うような輸入ができなかったということに主たる根源があるのじゃないか、従いまして先ほど来申し上げておりますように、本年は一応のワクを百五万としておりますが、これがまたやはり相当値段が上るような様子で、さらにそこに特別な大きな利潤が出てくるような様子であれば、さらに百五万トンにつきましても相当の弾力を持たせよう、こういう考え方でもって砂糖会社がいつまでもそういう甘い状態にあるわけじゃないのだ、こういう方向でものを考えていきたいと思っております。澱粉とかあめの問題につきましては、砂糖会社がもうけているから、これと同じようにもうけさせろといったような意味考えていくという問題じゃなくて、やはり澱粉あるいはあめ、カンショ、そういった一連の産業が一応順調な発展をしていくためにはどういうふうに考えていったらいいか、こういうふうな面で問題を考えていくべきじゃないか。そのためには農産物価格安定法といったようなものもあり、一応御承知のように政府も買い上げをやっているわけなんでございまして、それはその面として別途そういう仕事の順調な発展をやはり考えていくべきではないか、かように考えております。
  85. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今、主税局長の話で、澱粉その他でもうけさせろというようなことを私言ったのじゃないのです。一方においてはこれだけの利益をあげているが、一方においては政府がきめた価格安定法の価格にも達していない現在の状況じゃないか、それでは片手落ちじゃないか。少くとも政府が決定したところの価格安定法に沿うだけの価格には引き上げるべき対策を講ずべきじゃないか、こういうふうな意味ですから、その点……。
  86. 桑原信雄

    説明員(桑原信雄君) 現在市価が、農産物価格安定法できめました価格よりも下回っている実勢は承知いたしております。それに対しまして、二月におきまして澱粉はただいま約五百万近くのものを買おうといたしております。これも実行できたと思っております。それから三月におきましても、やはりその程度のものを買おうということをいたしております。要するに私たちの方の買い方を早く進めていきまして、できるだけそれを救済して参る。それからなおあわせましてカンショ切り干しの方が政府の買う対象になるものが減るような予見もございますので、これを澱粉の方に予算の振りかえをいたしてやりたい。それからバレイショ澱粉の方がまだいささかゆとりがあるようでありますから、これもカンショの方に融通を全販連等を通じて話をいたしまして、少くとも現在市価が下っておりますので、農産物価格安定法で申しております価格に見合うように、私たちの方の買い方がおくれてそういうことになっちゃいけませんので、鋭意急いでやっておる次第でございます。
  87. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 それから砂糖消費税ですが、砂糖消費税のこの前の法律案が出た際に免税数量を一人当り年間十五斤とかあるいは二十斤とかいうような問題があったのでありますが、現在の砂糖の消費量の状況から考えてみるというと、また農家の実際の状況から考えて見てみるというと一人当りは二十斤が適当じゃないかと思っておるのでありますが、その後の研究の結果はこの点いかでございますか。
  88. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) どうもちょっと私には二十斤という数字はなかなか出ないように思っております。まあ消費の仕方、態様というやつがいろいろあるんじゃないかと思っております。まずその砂糖産地に行けば、いわばお菓子がわりに黒糖を食べているといったようなことも話には聞いておりますが、まあそういった点まであるいは計算していけば二十斤という数字が出るのかもしれませんが、普通われわれが家庭用といって考えている数字からいいますと、大体十五斤あれば間に合うじゃないだろうか。従いまして現在の考え方からいきますと大体十五斤ならばそう無理な低い数字じゃあるまいと、私どもの方はそう考えております。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 砂糖消費税の方ですがね、十五日間税金の徴収猶予期間が短縮される、その結果金繰りの方に影響が出てくるわけでしょう。その結果そういうことがたとえば金利負担とかそういうもの、それは砂糖値段には影響ないのですか、そういうことが……。
  90. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) コストには影響があるといえば私は影響があるといいますか、全然ないとは思っておりません。で、従来、要するにいろいろ先ほど来も御批判があったように、考えようによっては二月も何も資金回収に時間がかかるまいのに、結局二月徴収猶予してもらっている。従って税金を前払いどころか要するにあと払いである。それだけ資金繰りが楽になっていたわけでございますから、一応それだけゆとりはできていたわけでございますが、しかしそれを正常な姿に直していきたいというわけでございまして、これによって砂糖値段が上るとか下るとかといったような問題になる程度の大きさのものであるというふうには思っておりません。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どのくらいの資金繰りに影響があるのですか、どのくらい楽になっていたのですか。
  92. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 砂糖消費税の毎月の納税額は四十億見当でございます。四十億と申していいと思います。従って四十億が要するに半月短縮されれば二十億見当の金が一応今まで使われたものが使われなくなる、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はさっき、四十五日にしてもほかの例が大体三十日というのでしょう。酒なんか……大体みな今度四十五日に一律にした、そういう意味ですか。
  94. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) みな同じでございます。
  95. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それならわかります。
  96. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 他に御発言もないようでありまするが、両案の質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。  それではまず砂糖消費税法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  98. 岡三郎

    ○岡三郎君 私は砂糖消費税法の一部を改正する法律案に反対します。  反対の根拠は、特に砂糖会社は、砂糖メーカーはもうけ過ぎておる、それが担保も要らないようにしたわけです。私は本来やはりこういったような会社に対しては従前三月というふうな猶予期間もあった。これも少し会社に対して利益を与え過ぎたと、こういうふうに考えております。従って今回は二カ月、平均四十五日になったと言っておりますが、私は酒に比しても砂糖の方は金繰りが非常に楽である。それで四十五日なんという金の回収の期間は、私の実際調べたところではそれほどかからぬ。従ってまあ一カ月程度ならばやむを得ないと考えるが、平均四十五日は少し長過ぎる。そういうふうな観点で反対します。  それからもう一点は、やはり黒糖生産者に対しては直接四円を免税にするということによって助けにならぬと言っても、これは唯一の換金作物だと思う。それでそういうふうな面からやはりこれを救済する立場から言って、何とか措置をしてもらしたいというふうに考えます。しかしこれはまあ一つの問題であるに過ぎませんが、一カ月程度で猶予を限定すべきである、こういった点が反対のおもな理由でございます。
  99. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私も砂糖消費税法の一部を改正する法律案に反対いたします。  その反対理由は、今伺いますと大体四十億くらいの一カ月徴収猶予、これは相当大きな金ですが、そういうものが一カ月間金繰りが楽になる、これは銀行から借りたら大へんなものですが、他の業種に比べてこれは著しく特典を与えると思うのです。それでまあ全然これをなくすというのもあれでしょうが、四十五日というのはやはり長いように感じます。ほかにもそういう特典を与えているところがあるようですが、そういうのも私は不当だと思うのですよ。これは何か別途に対策を講ずることとして、非常にこれは他の業者から考えて割り切れないと思うのです。そういう点で不当にこの徴収猶予期間はまだ長過ぎる、そういう点で反対をいたします。
  100. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 他に御発言もないようでありまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。  それではこれから採決に入ります。砂糖消費税法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  102. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 多数でございます。よって本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたします。     —————————————
  103. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に関税定率法の一部を改正する法律案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  104. 岡三郎

    ○岡三郎君 社会党を代表いたしまして関税定率法の一部を改正する法律案に反対します。その反対のおもなる理由は、結局平均関税で一斤当り四円五十銭をとるということは、すぐそれが消費者に転嫁されてくるという点、結局消費者がそれだけ高いものを買わされることの法的根拠をここに確立したということになると思います。ただ三十年度において価格安定法を作って、その利潤徴収するというふうなことから、非常にそれがルーズであったために取り切れなくて、最近業者から三十億の寄付で一応妥結したというふうに伝えられておりまするが、その方法よりはこの関税定率法でとることの方がいいことはわかっております。わかっておりますが、しかしこの一部を改正する法律によって消費者に転嫁して、高い砂糖の裏づけをするというふうなことになっておる点、社会党としては、やはり国の外貨によって輸入し、加工するとはいっても、ほとんど外貨による利潤ということを考えるならば、しかもそれが国内において消費されて、外国からまた新しい外貨を取得するということにはなかなかなっておらない、こういったものは本来専売制にして、そうしてきちっと国の収入なら収入に見立てていく、特に七十五円なら七十五円ということを立てるならば、やはりそういうふうな専売方式によってすっきりやった方が、私は国民も納得するし、国としてもよりよく財源の確保ができる、こういうふうに考えまして、関税定率法の一部を改正する法律案に反対いたします。  さらに補足して、私は先ほど質疑の中に申しました通りに、とかく物言いが出る砂糖のことでありますし、また年間を通して暴騰するということも必ず出てくる。そういった場合に緊急輸入するということによって価格を押えることもできると思いますが、次善の策としてそれを考えるならば、やはり事前に一定数量を保持して価格の安定をはからなければならぬ、こうも考えます。従って根本的には専売制によってこれらの税収をはかるべきであるという点で反対します。
  105. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は三つの理由で関税率法の一部を改正する法律案に反対いたします。  第一は租税体系全体の観点からでありますが、今回根本的税制改革を避けて、部分的な税制改革をやります。その一部として所得税法の一部を改正して、勤労所得税軽減する。その財源にこの砂糖関税引き上げて充てるということになっておりますが、全体的な税体系から所得税が重過ぎるので、それを軽減して間接税にこれを振りかえていくという考え方が貫かれている。その一環として関税引き上げということが行われるわけであります。大体所得税が重過ぎるということは、国民所得に対して国の歳出規模が全体的に大き過ぎるという点にあるのです。これを軽減するためには歳出において不生産的な支出、たとえば防衛関係費、そういうもの、あるいはまたその他に非常に不当、不正支出がたくさんあるわけでございますから、そういう歳出を切って、そうして全体としてもっと租税の負担を軽めるという形で所得税を軽減すべきであると思います。その所得税の重い根本原因というものを除かないで、それを間接税の方にこれを振りかえるという形で、すなわち大衆課税に——現在の所得税も相当大衆課税になっておりますが、さらにもっと悪い意味大衆課税に振りかえさせるという点については、これは絶対に反対であります。  第二の反対理由は、砂糖不当利潤徴収するというその構想関税引き上げによってこれを行うということにすりかえた点にあるのであります。結局砂糖会社から不当利潤を取り上げるかわりに、関税引き上げという形でそれを消費者に転嫁させる、こういう形になったわけであります。この点について非常に不明朗なものをわれわれは感ずるわけです。その間におけるいろいろな盲動、暗躍等々いろいろわれわれは聞かされるわけです。ことに砂糖の問題につきましては、外貨割当についてもいろいろ不明朗なうわさを聞くわけです。そういう点で賛成できない。  それから第三は、勤労所得税軽減すると言いながら、その財源がないので、やむを得ず砂糖関税引き上げによった。自然増収があまりないから財源がないので、仕方がないので関税引き上げによったと言いますが、これは一方で勤労所得税軽減し、大衆負担を軽めながら、他方において関税引き上げによってまた大衆負担を重くする、これは首尾一貫しないと思うのです。百五十一億の勤労所得税軽減というものは見せかけであって、それは百五十一億の減税にならぬわけです。他方においてそれを関税引き上げによって砂糖値段を一気に四円五十銭ですか、引き上げるということになるわけです。ですから首尾一貫しないということです。  以上の三点の理由によって本案に反対するものであります。
  106. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。関税定率法の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  108. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 多数であります。よって本案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本院規則によりまして、本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成等につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから委員会の報告書に多数意見者の署名を付することになっておりますので、両案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     山本 米治  土田國太郎     青木 一男  青柳 秀夫     井村 徳二  木内 四郎     白井  勇  西川甚五郎     藤野 繁雄  小林 政夫     前田 久吉  杉山 昌作
  110. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) それでは休憩をいたします。    午後零時五十九分休憩      —————・—————    午後二時五十九分開会
  111. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  議事の都合により、この際、所得税法の一部を改正する法律案(衆第一二号)を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。  まず提案者より提案理由の説明を聴取いたします。
  113. 松原喜之次

    衆議院議員松原喜之次君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明いたします。  現行法における社会保障制度は、主として医療給付及び年金給付等を中心として、きわめて分散的かつ不完全ながらも、一応体系的とおぼしき形態をとって発展してきたものであります。しかしながらたとえば、家族療養費については、その半額が自己負担といった工合に、現行法における社会保障制度は、なお十分でない点が多々あるのであります。そこで社会保障制度の実際の運営に当っては、別途官庁、会社等におきまして、療養費の自己負担部分を軽減ないし免除するような措置を講じている実情と聞いているのであります。また地方教職員及び警察職員等にありましても、社会保障制度の完全な形態を希望するため、過去数年来これが解決策として、条例に基きまして現行法上の社会保障制度に対する補完的共済制度を実施して参ったところもあるのでありまして、昭和二十七年に社会保障料控除制度の新設がはかられた際、この共済制度についても非課税の恩典が与えられたのであります。しかるにたまたま昭和二十九年に市町村職員共済組合法が制定されましたとき、その付則で所得税法改正が行われ、この非課税規定が削除されてしまったのであります。この市町村職員共済組合法が制定されました際にも、要するにこの法律の趣旨が、市町村の一般職員に対し、他の公務員並みの処遇が確保されるように制度的に保障することにありましたので、この法律の保障しようとするのと同程度以上の給付をしている既存で市町村の健康保険組合については、引き続きその存続を認める経過規定が設けられているのであります。従って他の公務員並み以上の付加給付が行われている。こうした健康保険組合の掛金に対し、所得税法上の非課税規定が適用されていることは、言うまでもないところであります。しかるにたまたまこのような付加給付が、従来非課税とされていた互助組合のような別個の団体で行われていたものにつきましては、非課税の恩典が剥奪されるにいたったものであり、いろいろ事情もあったかもしれませんが、不合理と言わざるを得ないような状態であります。  以上述べましたような理由及び経緯にかんがみまして、条例により地方公共団体がその職員に関し実施する共済制度に基き職員が負担する費用について、健康保険法による保険に類する業務を主目的とするものに限り、この際非課税とする必要があると考えまして、この改正案を提出した次第であります。なおこの法律措置による減収額は約六千万円となりますので、衆議院規則第四十八条の二により政府意見を求めましたところ、政府としては善処する旨の意見開陳がありました。  以上がこの法律案の理由及び内容の大要でありますが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを希望いたします。
  114. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 引き続きまして本案の質疑を行います。
  115. 岡三郎

    ○岡三郎君 簡単に伺いますが、大体該当人員はどのくらいになるのですか。
  116. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私の方でわかっておる数字は、教職員でこれに該当する者が約二十五万人、ほかに都道府県の一般官吏とかあるいは警察官がさらに該当する人員があるようでございますが、その数は現在のところではまだそれほど大きくなく、数字のところは今手元にございませんが、その程度でございます。ちょっとつけ加えますが、私の方の調べによりますと、都道府県の一般官吏が約五万九千人、警察関係は比較的少うございまして、二千五百人という数字になります。
  117. 岡三郎

    ○岡三郎君 「共済制度(第一号に規定する保険に類する業務をなすことを主たる目的とするものに限る。)」と、こういうふうに限定したわけですね。やはりこれをこういうふうに制限した理由はどういうところにあるのですか。
  118. 松原喜之次

    衆議院議員松原喜之次君) それはこの問題の互助組合に入っている公務員以外の公務員の処遇との権衡を考えまして、そう限定をいたしたわけでございます。
  119. 天田勝正

    ○天田勝正君 主税局長に伺いますが、先ほどの岡委員の御質問にお示しの数字、教職員二十五万人、一般官吏五万九千人、そのほか二千五百人、こういう方たちは、互助組合をすでに結成されておる方々がこの数字である、こういうことですか。
  120. 松原喜之次

    衆議院議員松原喜之次君) さようでございます。
  121. 天田勝正

    ○天田勝正君 そうすると、概算三十万余でありますけれども、この処置によって一人当りの非課税はおよそ二百円ほどになる、こういうことですね。
  122. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 大体互助組合の関係での掛金は俸給の百分の一程度のようでございます。それで同時に、御承知のように、現在は概算控除の制度がありまして、この点、社会保険料のほかにまだ医療費あるいは雑損というものが入りますが、その方が収入金額の百分の五、これは一万五千円の頭打ちがありますが、百分の五まで概算控除ができる、こういう制度になっておるわけであります。従いまして社会保険料の控除を受け得る額が一万五千円以下であれば、この一万五千円の方が通常使われているわけでございますので、この範囲の方であれば、この規定によって特別に控除がふえるということはないのでございます。それ以上の方だけが、要するにこの規定によって従来に比べまして控除がふえるわけでございますから、そういう点も合せ考えますと、大体今申し上げた程度の減収が予想されるわけでございます。
  123. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 減収額の六千万円はこれは昭和二十九年度は課税されたものでありますか。
  124. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 昭和二十九年はこれは課税になっておりません。で、昭和三十年分から適用される税法につきまして、先ほど提案理由の説明にありました市町村の職員のための共済組合法ができましたので、その機会に従来条例でやっておったものがはずれましたために、その三十年度の場合においては課税になる一応の建前になったわけでございます。
  125. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、この法律案ができ上ったならば、全く課税はされないものである、こういうふうな結論になりますか。
  126. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) この法律案が通過いたしますれば、今申しました程度のものでございますが、社会保険料と同じに扱われまして、それが控除される、こういうことになります。
  127. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ほかに御質疑もないようでございますから、この質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  128. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に所得税法の一部を改正する法律案租税特別措置法等の一部を改正する法律案、この二案を一括議題として質疑を行います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  129. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記を始めて。
  130. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちょっとお伺いいたしたいのでございますが、この所得税の二〇%ということにつきましては、もちろんわれわれの考えは、もっとできればしてもらいたいと考えておりますから、その点は異議ないのですが、ただこの財源、交際費の不算入とか、砂糖関税の税率引き上げという財源関係、特に私の方で好ましからないと考えておりまするのは、退職給与引当金の積み立て半額取りくずしという問題なんですが、この積立金を、各社、あるいは各個人がおやりになる場合に、その積立金の制度、今日までの積み立て料率というものはどういうふうになっておるのですか。まずそれからお聞きしたい。
  131. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 退職引当金の関係につきましては、一応労働協約などで退職手当を出すということについて規約的にはっきりしているということを前提として、この制度を認めることにしております。それで考え方として、一応その規約によって当然そこに債務が成立するのじゃないか、こいううふうな議論をする方もございますが、もしそこで債権債務が本当に成立するなら、これはどちらかといえば、現在の税法の建前でいえば、この退職給与を受けるそのとき所得が発生する、こういう考え方をしなければならぬというふうに思っております。現に、はっきり、そのつど一応金を渡して保険などに入っていくというような制度をとれば、これはあえてこの引当金の問題でなくて、そのとき会社が払っただけは損金になりますが、同時にもらっただけは給与所得になる、こういう建前のものが適当だと思っております。しかしこの引当金というのは、一応会社としましてはそういう労働協約とかその他によって一つの束縛は受けますが、しかしそこでもって債権債務関係が発生しているというふうに考えるのじゃないというふうに思っております。しかしそうは言いましても、一応そうした協約でもって制限を受けておりますがゆえに、それに見合う引当金を認めていくということは、これは考えていいのじゃないか、こういうのでこの制度ができたかと思っております。  ただ現在の制度は、職員が全部一度に退職した場合、普通退職の場合でございますが、全員が一度に退職した場合に支払うに足るだけの退職金、そこまで積み立ててよろしいということになっておるんですが、これはどうも少し行き過ぎじゃないかと思うのです。といいますのは、企業として普通にやって参ります限りにおいては、職員が全員一度にやめるということは、これはそうめったに考えられないことです。従いまして、大体その半額程度を引き当てるということで、ほぼ、よほどの場合におきましても足りるのじゃないか、こういう考え方ができますので、従って租税特別措置法を全面的に検討する機会になってはおりますが、この分だけは少し早目にやってもいいのじゃないか。ただそれにしましても、特需会社のうちで特に全員やめるということも考えられるような会社も幾つかございますので、こういう分につきましては一応の制限のもとに全額積み立てることも認めていきたい。ただその場合に通常の場合でございますと、その引当金の四分の一を定期預金などで積み立てることにしておりますが、全額積み立て得るというような場合におきましては、これはやはりその全額を定期預金等で積み立てておくということを片方の条件にしておきたい。現に、そうしておきませんと、せっかく積み立てておきましても、会社の固定資産なりやれ何だというものにそれを投資してしまったのでは、おそらく全員やめるというときにまた処置に困るということも考えられますので、そうした一応の制限は片方に設けながら、しかしそうした特殊の会社については特殊な事情はやはり認めていいのじゃないか、こういったようなことを考えております。
  132. 土田國太郎

    土田國太郎君 それで今の積立金、これは人を一人を対象として、すなわち人間を相手として積み立てたものだと思います。つまり一人相手ですから……。それは今局長も御了承の通りなんですが、今度それを支払いする場合に、一人一人の分というものは見ないことにして、そうして何でもかまわず積み立ててあるやつを片っ端から払ってしまえ、人の分まで食ってしまえ、こういうのが今度のやり方ですね。そうすると、人を相手に積み立てた、こういう問題だから、雲散霧消して消えてしまうわけですね。そういう堂々たる会社であればまだいいが、世の中には斜陽産業もたくさんありますし、まあ特に弱小炭鉱とか、いろいろ時代にマッチしておらないような産業の会社は、まあ個人心々に支払うべきものを予備しておき得るならばまだよろしいが、片っ端から人の分まで食ってしまうというようなことであったならば、万一の際、会社がまあ危なくなったとか、倒産するとか、あるいは大きな問題で解雇しなければならないようなときに非常にその危険性があるんではないか。これは小さい会社にはそういうことはないですけれども、今申し上げましたその弱小会社には必ずやそういう心配が出てくるんだろうと思います。これは全く会社も誠意を持ってやろうと思って積み立てすることが、この半分課税のためにまあ思うようにできなかったというような結果、非常にその従業員までも迷惑を来たす憂いがなきにしもあらずだと私は考えます。従ってまあ個人の取るべき権利的の金もなくなってしまうというおそれが多分にあるのですが、そういう点については局長はどういうお考えですか。
  133. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) この制度は二十七年に始まったわけであります。で、二十七年以前の経過年数に対する退職金というものは、これはまあ一応積み立てることができなくて、その後の分を順々に積み立てていくということにやっていったわけです。従いまして、この当初の年におきましては、二十七年、二十八年当時は、結局一年分とか二年分しか積み立てておりませんから、従ってやめたときにその人の分だけに限定しないで、とにかくやめた人の、まあ申乙丙とあれば、甲の分として幾ら、乙の分として幾ら、丙の分として幾らとして積み立ててあるやつを、やめた場合に、その甲乙にかかわらず全部取りくずす、これは私は少し過酷ではなかったか。積み立てがなかなかできないのじゃないか。従って初期の場合は、やはりやめた場合には、甲がやめたら甲の分の積み立ててある分は引当金から出すけれども、あとは損金とする、こういう制度でよかったと思います。しかし、すでに四、五年たちまして、全体の積立金が相当ふえてきておりますから、従って個人として積み立てた分が相当の額になってきております。しかし一人一人積み立てるという額は非常に事務的にもめんどうでございますし、現在のような相当の額が積み立ててきてありますれば、私は、しいて甲の分、乙の分といったような区分計算をしながらくずしていかなくても、相当の積み立てができてきておりますから、全額引当金から出していただくという処置をとりましても、別に御心配になるようなことはないのじゃないか。これが制度ができた当初と、やはり数年たった現在とでは、その辺は相当考え方が変ってきていいのじゃないだろうか、かように考えております。
  134. 土田國太郎

    土田國太郎君 今のお話、これは議論になるから申しませんが、心配はないという点は、大会社のお話であって、中小法人とかあるいは今斜陽産業をやっておる方々はそういうわけにはいかないですから、この問題は、人の分まで食ってしまうと、なかなかその補てんがこれはむずかしいという憂いがあることは、これは否認できないんだが、非常に私どもとしては、実際家としては心配にたえないということです。これは議論になるから申し上げませんが、そういうような憂いが事実私はあると思います。そこで私は、その積立金を取りくずすという問題は、経営者の資本蓄積も多少阻害されてくるということがはっきりしておるわけです。それと同時に今申しましたような従業員にも非常な心配をかけなければならぬはめにも陥りやすいという点が一つあるのでありまするから、どうなるんですかね、半額とするというこの案に対しては、大体七十八億と言いますと大へんな金でありますが、いろいろの面からも私はこの程度の金は大きな金であるが出るんじゃないかと思います。と同時に、この財源の問題は、大企業並びに中小企業とかいうように分けるわけにはいかんのでしょうか。法人税所得額五十万円以下は税率三五%にしたというような例も手近にあることなんですから、この問題もある程度の線を引いて、中小企業に迷惑のかからないように、また中小企業の従業員にも迷惑のかからないように、しかもその額はまことに微々たるものであるからして、政府のふところも傷めないで、一つのこれは社会政策になるのでありますから、相当の大企業の面だけこういう処置で、一方の方はかんべんしておやりになるというお考えはないですか。
  135. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 一応のお話ではございますが、税制自身現在は非常にごたごたしておりますし、できるだけ簡単にしていきたいという片方に要請もございますし、また小法人の分について特にまた別の制度を作る、まあ現在特別措置がいろいろたくさんございますので、この分に限ってだけ特に小法人の分については云々ということになりまして果してどうだろうか。まあ大体先ほど申しましたように全員一ぺんにやめるというのは、めったにないことで、ほとんどないと言っていいくらいのものでございますし、特殊な会社についてはそのくらいのことを別途考えておりますので、この分について大法人と小法人を区別をするというのは、ちょっとわれわれの方として今すぐけっこうでございましょうと言いにくい問題じゃないかと考えております。
  136. 土田國太郎

    土田國太郎君 私はまあ社会政策から言ってもそのくらいの御心配はあってもしかるべきものだと考えておりますが、この取りくずし問題につきましては、第一、先ほど申し上げましたような個人対象の積み立ての制度というものも失われてしまう、あるいは大きな企業と小さい企業とが同列視されてしまったというところに、非常に私どもから見れば欠陥があると言いたいのでありますが、一体この点につきましては臨時税制調査会の意見はどんなだったでしょう。
  137. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 臨時税制調査会は、この問題だけを特に具体的に取り上げて何ら答申はしておりません。ただ臨時措置全体につきまして再検討すべきだ、特に負担の不均衡を来たしていると言いますか、いわゆる軽減が過ぎているものについては、これは是正していくべきだ、そこまでは答申しております。具体的にこの問題は云々として特に答申しておりません。
  138. 土田國太郎

    土田國太郎君 別に諮問はなさいませんでしたか。
  139. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 臨時税制調査会に対する政府の諮問は非常に広範囲なものをやっておりまして、個々の問題について、この点は云々、めの点は云々としますと、答申もおのずから限定されますので、それもいかがかと思いまして、現在の経済情勢に照らして、一体日本税制はどういう姿であるべきか、こういったことについて諮問を申し上げておるわけでありまして、従って臨時税制調査会としては、あらゆる問題について、答申が可能であるというふうな状態に一応諮問いたしてございます。個々の具体的な問題を出しますと、その問題については確かに一応の答申が出ることは、はっきりしておりますが、同時に答申の範囲が限定されますので、そうするのはむしろいかがかと思いまして、従いまして個々の具体的な問題をあげて特に答申を求めるという諮問の仕方はしておりません。御了承願います。
  140. 土田國太郎

    土田國太郎君 今度の提案の大蔵関係を見ましても、中小企業に対する育成措置というものがとられておらないのでありまするので、個人の企業所得のみを取り立てておやりになるということは、財源関係もありましょうが、一方に非常に今苦境に陥っておる中小企業に対する対策というものにつきまして、政府はどういうお考えをお持ちになっておるのでしょうか。
  141. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 政府の中小企業対策というものについて、私がこの機会に、この席で申し上げるというのも、いささかちょっと私の仕事の範囲を出ますので、いかがかと思いますが、税制に関する限りにおきましては、結局、今年におきましては、先ほどもいろいろ御議論が出ましたが、とにかく給与所得の問題だけを取り上げて考えてみよう、それでまあ中小企業をどうもっていくか、これは同時に負担の均衡の問題もいろい考えてみなければならぬ問題もございますし、まあ全体をあげまして明年度の税制改正の機会にとっくり考えてみたい、こういうつもりでおるわけであります。
  142. 土田國太郎

    土田國太郎君 私どもが状別の措置をやめて、こういう六百億というような大きな金を適当にという意味は、何も全部いいものをやめるという意味ではなく、整理をする必要があるのではないかというところへ私自身としては重点を置いておるわけです。全部めちゃめちゃにこれをあとへ引いてしまえと、こういうことは私は申し上げておらないのであります。必要なものは仕方がないので……、だがしかし、社会的に見て、常識的に見て、まあこの辺のものはやめていいのではないかというものもありますし、また普通の所得課税の中にもずいぶん商売によってはうまく立ち回っている業者もあるのですから、それは私が申し上げるまでもなく、局長も先刻御承知通りでありますから、そういう方面の財源をこういうところへ私は使ってほしいと、こういうように考えておるのですが、その点は局長はどうお考えでしょうか。
  143. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ見方によっていろいろ御意見があると思いますが、結局本来としましては、自然増収で純粋の意味における減税をするといういうことは、これは歳出の面においてできかねる。しかし給与所得の控除を二割に上げるということは、この際、何とかして考えていきたい、そこで、いろいろ財源としてあさりましたのが、一つは先ほど御審議願いました砂糖関税の問題であり、それから特別措置の中でわれわれの方の目から見ますといかにもいき過ぎじゃないかと思われるような退職引当金の問題、これは制度そのものがいけないというのではなくて、現行の制度がいかにもいき過ぎじゃないか、こういったものを是正する必要があるのではないか。それから交際費の問題、まあ一応差し当りまして、それほど時間をかけた検討は別としまして、大体この辺のところはままずやってよかろうというものだけを実は取り上げたわけでありまして、御意見によっては、あるいはこの方がいいのじゃないか、あの方がいいのじゃないかと、いろいろ御意見があろうと思いますが、またそれにはそれなりに別の意見もあるのでありますから、そうした問題は全面的な検討に待ちたいという意味で実はあとに回したわけであります。
  144. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今の引当金の問題で私少し具体的に入るかもしれませんが、現在の所得税法では、各種の協同組合の積立金は、退職に関する規定を設けて、そうしてその引当金というものは各人に計算をしておいたならば、それは免税にする、こういうようなことで、協同組合関係においては、現在積み立てしたところのものは全部各人別に計算して税務署がそれを了承しているところなんです。そういうようなものを今後積み立てる場合において、積立金をある程度制限して、退職した者から逐次現在の積立金を払って行くというようなことであったならば被積み立ての権利者が、自分の権利の部分が幾らか減少してくる、自分の権利金が、減じてくる、こういうような結果になるような気がしますが、そういうような点の取り扱いはどうされますか。
  145. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在一応その一人々々に口座を分けて積み立てておりますのは、先ほどもちょっと話題に出ましたが、その場合、特定の人がやめたとき、その人の退職金には、引当金からくずす分と、直接損金に算入していい分と、これを区別するために、甲なら甲という人に引き当てたという分が幾らだ、これをはっきりさしておく必要があるということでやっておるわけでございますが、別にそれはいわば税務の計算がそうなっているがゆえにそうさしているというだけで、その積み立てた分に対して甲なら甲という人が特別な権利を持っているというものではこれはないと思っております。ただ積み立ての目安に一応そうしておいて、取りくずす目安にしておる、そのこと自体が非常に手数もかかるわけでございます。そこで協同組合においても事情は同じだと思いますが、現在順々に積み立てているわけでございますが、協同組合が現実にどの程度まで積み立てているか、私はよく数字を持っておりませんが、今のままでございますと、全部いる人が全員退職した場合に出す退職金の金額までは積み立てよう、そこまでは少し行き過ぎではないだろうか。協同組合としても、命は長いのでございますから、一ぺんに皆がやめるということも考えられない。大体半分くらいを押えたらどうか、こういうようにいたしますれば、今度は今までやっておりました甲乙丙といった個々の人に口座を設けて積み立てるという手数は一切要らなくなりまして、大体全員で幾ら積み立てるということ、それから今度やめたらその人に関しては幾ら払う、それだけ引当金を払う、一緒になってしまいます。しかし現状においても先ほど申し上げましたように、いわば税務計算のために個々の口座が作ってあるというだけで、それ以上の権利義務関係は別にそこに関係しておらないわけでございます。現状から見まして多少変りますが、それによって特に支障が起るというふうには考えられないと思っております。
  146. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 そうすると、今度は、そういうふうな個人別の割当の台帳や何やを作っておったのが、今度の整理によってそういうふうな台帳は何も作る必要がないのだということになりますね。
  147. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) もう台帳は要らなくなります。
  148. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 協同組合の過去の実例からいえば、法律改正して、一時に改正して新しく作らなければできぬことがたびたびありましたね。過去の実例からいったならば、そういうふうなときには全部のものを積み立ておかないというと、今度は最後の場合において非常な赤字を負わなくちゃできないということになってしまいますね。そういうふうな場合は、そういうふうな協同組合、各種の協同組合のような特例は認める必要があるのではないかと、こう考えるのですがいかがですか。
  149. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 協同組合にしましても、たとえば一定の期限をもう協同組合の生命として持っていて、五年なら五年である特定の仕事をするだけだと、こういった意味で、従ってそこの職員は大てい五年たってしまえばおしまいになってしまう。こういう組合であれば私は話しは別だと思います。ただ通常の協同組合はそういうものではありませんから、従ってやはり職員にしましても自分の年令が幾つぐらいまでになれば大体そろそろやめていくということは考えるでしょう。協同組合そのものがもう何年たてばおしまいになってしまう。こういうふうな考え方でやっている協同組合というのは、これは私はほとんどないのではないか、そういうふうに考えますと、結局職員は交替してはたしかにいきます。しかし全員が全部一ぺんにやめて、そして全部その新しい人になる、これはちょっと考えられないのであります。結局相当大事をふみましても、まあ半分やめる程度の引当金を持っていれば、通常のあれとしては支障がないのではないか。大体その辺でもって一線を引いていいのじゃないか、かように考えております。
  150. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 具体的に申し上げれば、法律改正の結果、たとえば協同組合の指導連であったものが中央会に改められた。それだからそういうふうな場合の退職金の問題は二、三回前の国会あたりで提案して、まだその問題は解決していない。このように法律でやめてしまうようなことがあるのですか。
  151. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 結局それはいろんな場合があり得ることは、われわれにもわかるのでありますが、どうも従来の例によりますと、結局協同組合そのものが要らなくなってやめるのじゃなくて、いわば発展的な解消と言いますか、従ってそれにかわるような別の機関ができると同時に、まあその機会においていろんな事例は考えられると思います。従来のやつを全部退職金でやめてしまって、そして清算して引き継ぐ場合もありましょうし、あるいは自分を引き継ぐ。従って退職金も前の団体の勤続年数は一応小計したところで引き継いでいくと、こういった場合も考えられるわけでございまして、どちらかといえば、あとの場合の方がむしろ実例としては多いのではないか。そういうことになれば、大体もう差しつかえないわけでございまして、法律をそれは切りかえるということは全然考えられぬではございませんが、しかし大体は甲の団体であったのが乙の団体になるというときも、職員をそう一ぺんに首を切ってしまって、そして全然新しい人で引き継ぐ、入れる。これはなかなか実際問題として考えられませんし、またそうする必要のない場合も多分にあるのではないか。そうした場合には前の分を引き継ぐということで、かなり足りるのではないかと考えます。
  152. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今農林省と大蔵省との間の問題がそこなんです。それは課税の対象にするというのが大蔵省意見なんです。私などは課税の対象にすべからずということで数年前に質問をしたわけですが、それは研究するということで、まだその結論は出ていない、主税局長からは、私に対する答弁は。それだから今局長が御答弁下すったように、それを引き継いだ場合には、それは課税の対象にならぬ。引き継いでよろしいということだったら私の今の問題は解決する。
  153. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 藤野さんのただいま御指摘になった具体的問題は、私はどういう問題かちょっと記憶にございませんが、結局私は今もお話ししたように、法律でもって切りかえる場合は、これを現行税法のままではちょっと無理だと思います。従ってそういう場合は実体が、いわば人格が承継されているような形になれば、やはりどうせ法律でもってお切りかえになるのですから、その機会にそれに相当するような法律の規定をお作りになって入れておけば、私は大体片づいていくのじゃないか。今の御質問の具体的な事例はそういうような場合に、それを引き継ぐような規定を作るのを作らないで行っちまったというところで、あるいは問題が現行法の場合はどうだという問題が残ってくるのじゃないか。しかし立法論としてそういう場合にそれを引き継ぐような規定を作るということについては、われわれは実体にもちろん即さなければなりませんが、そういう実体であれば立法論としてそれはいかぬというようなつもりで、各省とおはかりしていると、こういうことはございません。
  154. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 大体私の希望しているように局長が今答弁してくれたのでそれで了承いたしますが、そういうふうなことで法律上の手続きがされておりますから、近いうちに各方面と連絡をとって、その立法的処置を講じたいと思いますから、どうぞよろしくお願いいたします。(笑声)
  155. 天田勝正

    ○天田勝正君 何も勉強だから聞くのですが、この配付された資料で、「各事業年度」カッコ云々として、「交際費等」の金額と、こうしてありますが、「交際費等」とは一体何です。「等」は。
  156. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 「交際費等」と書きましたのは、これは実は多少法律用語をそのまま実は引かしていただいたわけでございます。現在措置法でもって普通交際費と呼んでおりますが、特別な益金算入の規定を作っておりますものの対象は措置法の五条の十二の規定にございますが、「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、きょう応、慰安、贈答、その他これらに類する行為のために支出するもの」、カッコしてございまして「もっぱら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他命令で定める費用を除く」と、こういうような書き方になっておりまして、単純にまあ常識的な交際費とは多少範囲が違っておりますので、それでこれを「交際費等」という名前で呼んでおりますので、一応その「交際費等」という名前をそのままここに使わしていただいたわけでございます。
  157. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  158. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記を始めて。
  159. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 租税特別措置法等の資料、これによって見るというと、昭和三十三年度以降の日本航空の収支計算ですね。日本航空の収支計算によってみれば、三十四年度ころには揮発油に対する消費税は、国内線としては約二億五千万円くらいのものが課せられても、なお黒字となると思われるが、国際線と合すれば依然赤字は免れがたい見込みである、こういうふうなことになっておるが、一体日本航空はいつごろになったらば収支計算が立つようになって、この免税措置をやめてもいいようになる見込みなんですか。
  160. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 日本航空の経理、なかなか見通しの問題はいろいろな議論がありまして、はっきりしない面もありますが、一応会社の方でいっておる話を御披露いたしますと、会社の方としては大体三十五年くらいからだろうということをいっております。われわれの方もそれをまたそのままうのみにするのはどうかという感じもいたしますので、とりあえず一応三十四年ということで御提案申し上げたのであります。
  161. 小林政夫

    ○小林政夫君 先般資料の請求をしたのですが、何か口頭で報告するということですから、例の夜勤手当ですか、それの政令によるああいうことをきめられた結果としての国の減収は幾らになりますか。
  162. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 国鉄関係で約平年度としまして二億程度、それからその他はやはりある程度若干あるのじゃないかと、かように考えております。
  163. 小林政夫

    ○小林政夫君 国鉄関係といったって、あれは何も国鉄だけじゃないのだ、その他広範でしょう。国鉄だけで二億なら、どのくらい……。
  164. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その他は相当ある程度あると思いますが、主たるものは国鉄じゃないかと思っておりますが、その他の関係の資料はちょっと今のところわれわれ手元にございません。
  165. 小林政夫

    ○小林政夫君 そうすると、その言われた意味を裏返せば、国鉄関係を救済するという意味で、ああいうことをやったということが一番主たる原因みたいに聞えますけれども。
  166. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 国鉄関係を救済したというふうに言われますと、多少どうかと思いますが、結局御承知のように、現物給与の場合はある程度一応の額をきめまして認容をしておる、これは御承知通りであります。結局国鉄におきましても、従来は実は金でもって手当を出しておりました。金で出しておる間においては、それは現物給与という扱いはできぬということで、だいぶ問題がぶっかっていたたわけであります。で、国鉄の方におきまして、結局現物給与をするというふうな一応の給与の規定にかえましたのでございます。従いましてその機会におきまして、やはり現物給与にすれば、ほかの方の現物給与を一定の制限で認めている以上は、国鉄においてもやはり認めざるを得ないし、同じような姿のものがあれば認めてやろう、かような考え方で一応の通達を出したわけであります。
  167. 小林政夫

    ○小林政夫君 国鉄の内規を、今まで現金で出しておったものを現物支給する、こういうことにかえて、実際はどうなんですか。
  168. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 国鉄におきましては、われわれの聞いておるところでは、実際も現物給与をしている。ただ現物給与が——結局食事でございますが、いなかの駅などでもってとてもできないという場合において、やむを得ず現金給与とすることもあるけれども、全体としては現物給与をしておる、従ってこういうような考え方をしてくれ、こういうふうなお話で、われわれの方は話を聞いております。
  169. 小林政夫

    ○小林政夫君 それじゃ前回も申し上げたように、きょうは社会党の人がおられるからはっきり言っておきますが、内容のよしあしを僕はいっておるわけじゃなしに、一応議員立法で法律提案されておるときには、主税当局はもう相当反対して、通してもらっちゃ困る、こう言っておきながら、陰でまた風向きが変ると、そういう規定を政令でもって同様の効果のことをやるということを取り上げて問題にしておるわけです。だからその七十円及び月を通算して七百円というものを免税所得にするということ自体についての意義よりも、そういう立法論、形式論を言っておるわけですが、そうすると、当時社会党提案だったと思いますが、その法律提案されたときには、国鉄の内規もそうなっておらなかったし、また現実に圧倒的なものが現物支給しておらなかった。その国鉄側における事態の改善があったということですか。
  170. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) それはさようでございます。
  171. 小林政夫

    ○小林政夫君 それは十分国税当局において実地調査の結果ですね。
  172. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 国鉄の方と話し合って、こういう措置に変える、給与の支給規定も変えるし、実際のやり方も変える、現物給与でやればほかの方の現物給与とのバランスからいって、特に国鉄だけを今度は逆に目の敵のようにしてそれを否認する必要はないのじゃないか、こういう話になって参りましたから、従って国鉄の方で給与の支給規程も憂え、何時に現実の給与のやり方も現物給与でやっていくとすれば、一般的に現物給与に対する一応の認容の範囲がございますから、それと見合ってそれを認容していくことについて、われわれはやはりしいて反対もできなくなる、こういう考え方であります。
  173. 小林政夫

    ○小林政夫君 だからそれは国鉄当局からそういう申し入れですが、あなたが結論を先に出して、あのとき法律を出すときには反対した手前もあるし、何とか格好をつけてくれ、こういう呑まざるを得ないという前提に立ってデスク・ワークで形を整えたというのじゃなくて、現実の国鉄がその後において実態がどうなっておるのかという、それについては責任を持ってそうだということが言えますか、徴税当局として。
  174. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) それは、そういうことになっていると言えると思います。
  175. 小林政夫

    ○小林政夫君 それじゃその問題はそれで……。  それから先ほど来問題になったようですが、退職給与引当金の制度の改正なんですが、現行施行規則によっておることが、先ほど遅れて来たからちょっと答弁を聞きかじった程度ですが、行き過ぎであったという意味はどういう意味ですか。
  176. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 重ねて申し上げるようになりますが、現在の制度は御承知のように職員の全員が普通退職した場合に、一度に退職資金を出し得る限度まで退職引当金を積み立ててよろしい、こういうことになっておることは御承知通りであります。しかしわれわれが考えてみますと、まあ会社において全体が一度にやめるということは、これはもう普通考えられることではありませんし、従ってそこまでの引当金を引当金としてとっておくというのは、これは少し行き過ぎじゃないだろうか。それで普通の退職の場合を考えていけば、その半額程度まで引当金を持っておれば一応十分じゃないだろうか、こういう考え方をわれわれはしておるわけでありまして、従ってそこの限度に一応限度を抑えたらどうか、こういう改正をしようとしておるわけであります。
  177. 小林政夫

    ○小林政夫君 しかしそもそも大体会社は永続することを建前としている。資金繰りからいえばおっしゃる通りです。私ども企業経理の原則から言うならば、当然解雇した場合には、それだけの退職金を出さなければならぬということは、いわば確定債務です。その発生主義の原則で貫くならば、当然今の現行通りのことが、企業の内容の堅実化という意味から言って当然の措置じゃないか。これが行き過ぎだということで削るということは、その資金繰りの面から見れば、それはあるいは十分過ぎるということが言えるかも知れぬが、企業経営の内容の充実という意味から言えば行き過ぎでも何でもない、その点はどうです。
  178. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その点も先ほど実は御答弁申し上げた点でございますが、現在の退職給与の関係は一応規約はございます。あるいは労働協約はございます。しかし発生主義で一年経ったらそこに債権債務が発生するといったものではない。だからもし確実に債権債務が発生して行くなら、今度は給与の方の債権を獲得した方の人としては、当然そこの所得の発生を見なければならぬわけだと思います。しかしそういうことは考えてありませんし、従って結局ある一定の条件が達成したら、その条件の達成によってやはり債務が発生し、債権は発生するわけじゃないか、そういったような性格のものじゃないか。そうして行きますと、結局全員が、全部そういった場合において、一応やはり一つの引当金を持っておる、これは昔はこういう制度がなかった。それでもけっこうやっていたわけです。しかし一応とにかくやめたいという事実があったとき払わなければならぬ債務が出るのです。それを一応予知した意味においてのある程度の引当金を持って行こう、こういったのが現在の制度ではないか、従ってその場合においては、やはり普通の会社経営に支障のない限度でいいじゃないか、その辺からしますれば、全額何も積み立てることはない、まあ半額程度あれば、いわば相当、十分といってもいいじゃないか、こういう考え方でおるわけです。
  179. 小林政夫

    ○小林政夫君 これは一定の年限、今はその制度が創設されて間がないということ、いろいろな企業においての何といいますか、間がないということが大きい原因と思いますが、だんだんふえておる。積立金がふえて、従ってそれに相当する得べかりし税収がないということになっておるのだけれども、ある年限が来たら決してふえない、国家から見た退職給与引当て金の総額というものは、そう今ほどふえて行くものじゃないと思うのですが、その点はどうです。
  180. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) まあ退職引当金というのは、おっしやるように、一応の限度まで積み立てて行くので、それ以上積み立てるものではありませんし、従って結局税金の減も一定の一〇〇%なら一〇〇%、五〇%なら五〇%の限度まで積み立てる間の問題です。将来はそれ以上積み立てられないということによりまして減は出ない。あるいは清算の場合にはどうなるか、これはそうなりやおそらく払ってしまうでしょう。どっちにしても引当金をとらなければ支払の際に損金になるだろうし、そういう意味からすれば、他に長い目で見て国の歳入を減らすものではないと言えると思います。ところが御承知のように特別措置の中にそういう規定が多うございます。大体の規定がそういった性格のものです。貸し倒れ準備にしても、渇水準備の問題にしても、あるいは異常危険準備の問題にしても、そういった制度、これも別にまけきりのものじゃございませんで、少くともそういう準備金を取りくずす時期はいつか、これは、ずいぶん先のことじゃないか、その間、言わば税金が徴収される。こういったところにやはり特別措置というものを果してそこまでする必要があるかないかという、この検討問題があるのじゃないか。現在の特別措置の中でまけきりになるのは預貯金利子の免税、しかしこれも法人の方へ行けば課税になりますし、個人のだけが免税、それから輸出所得の免税、あるいは増資免税、大体この程度のものでございまして、相当金額は張っておりますが、他の部分につきましては、これは免税というより、たとえば合理化の償却の問題にしましても、初期にたくさん償却するだけで、あとになれば償却の金額が少くなるのだから当然利益が出て来る、こういった問題になると思います。しかしそれでも一体それでいいだろうか、これはもう小林先生はしょっちゅう御議論になっておる点でございまして、異論の点はそれはそれとして検討してみる問題、かように考えております。
  181. 小林政夫

    ○小林政夫君 租税特別措置法の中で盛られておるいろいろな減免措置についてのいろいろなことはおっしゃる通りなんですが、あなたの方の考え方としても、これは経理原則上当然だとして、施行細則でもってこういうことを言っておるわけですね。それが当初考えたことと違って、今理屈はつけられるかしらんけれども、財源が欲しいというところからカットするということになるのです。結論的にはそうですよ、いろいろカットするに当っては理屈づけなければならぬから、理屈が少し余分なものを積み立てさすことにしたと言われるわけだけれども、経理原則から考えて、こういうものが企業のほんとうの意味において隠れたる支払債務だということは言えるのです。しかもまたこれがこの程度まで積み立てられて、今後雇用がずっと増大してくれば、増大に応じて積み立ての総額はふえるかもしれませんが、そうなれば所得もふえるわけだから、一方、国の税収の面からいえば、そう問題じゃない、そういうことから考え、しかもまた特に給与所得者の負担軽減のために退職給与積立金をカットして繰り入れるという考え方というものは、相当問題なやり方と思うのですよ。こうなれば意見だから質問にならぬか知らぬが、これは社会党が反対せぬのが不思議と思うんです。  それから一つ、今意見を言ったわけですが、午前中の主税局長の答弁等から考えてみても、税金が重いということは十分承知しているのです。そうして戦前の国民所得、そして国民の負担する租税公課の関係を物価指数等から考えてみても、国民所得の伸びに比べて租税公課が非常に重過ぎるということはわかっておるので、減税をこそわれわれは考えるべきであって、減税に当って一方を増徴するという考え方は、これは当分やめてもらわなければならない。少くとも戦前の国民所得の水準と公租公課の国民の負担する水準とが同じ程度に、あるいはそれ以下になるという時代になれば、一方を増徴するということは考えてもいいけれども、一方を減税するために一方を増税するというやり方は、私は当分そういう頭を働かすべきでないと、こう考えるのです。少くとも給与所得者の負担軽減をはかるということなら、自然増収の中でやるかあるいは歳出の節減によってやるべきで、決して新しい財源を見つけてやるというような考え自体を持つべきでないと思うのです。その点はどうですか。
  182. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) どうも私は、小林委員がどういうわけでそういうことを聞いておいでになるかよくわかりませんけれども、あなたの始終言われておる議論の一つは、特別措置のようなものをやめてしまって、そうして負担軽減したら、一般的な減税をしたらどうか。あえてそれが退職給与引当金の問題と話を結びつけて私は申し上げているのでなくて、一般論としてお話になったから私は申し上げているのですが、それはほかに財源を求めないで現在負担が重いところをへこましていく、これは一つ考え方だと思います。しかしそれだけではやはりおのずから限度もありますし、同時に相当の年月もかからざるを得ない。その間は現在へこんでいるところはへこんだままでいくか、こういう問題がおのずからあるわけだと思います。で、税制を全体的に見直していくということになれば、これはもちろん全体の負担をどうするか。これは一つの大きな問題でありますが、同時に同じ程度負担をする場合においても、どういう税で負担をしていくか。たとえば物品税のような問題などもいろいろあなたからも御意見を伺っていますが、要するにそういったような問題を解いていくためには、やはりほかの財源を見つけるということも考えていい手じゃないか。とにかく現在ある税をふやす、あるいは新しい税を設けるということは一切やっちゃいけなくて、そうしてただ現在の範囲内においてふくらんでいるもの々漸次減らしていく。それが唯一の道だ——私は別に結論を出しているわけじゃないのですが、そういうふうに問題を限定して考えるのも私は少し行き過ぎじゃないか、かように考えております。
  183. 小林政夫

    ○小林政夫君 私は最近特にそういうことを感じだしておるのですけれども、物品税を撤廃するかわりに軽微な取引税を考えるという考え方を持っておった時代もありましたが、今はその考えを捨てています。やはりこれは歳出の切り詰め、自然増収所得増徴分の中から、こういう物品税を撤廃する場合における財源は見つけるべきだ、こういう考えに最近はなっているのです。それで租税特別措置法の全廃という問題は、ただ全廃ということと同時に、それだけの財源が浮くものは一律減税に充てる。なるべく税制を簡素化するという意味で……。それはそうなれば一方結果的にふくらむものも出てくるかもしれませんが、しかしそれにかわるべき非常にいい点は税法が非常に簡単になるということです。税制の簡素化ということは、税法の簡素化ということを非常に考えなければならぬ。と同時にだからそういう意味で租税特別措置法の全廃というのは、そういう点もあるし、また負担の公平という点もありますが、そういうことで結局われわれ今後の税というものを考えるときに、何か負担軽減をはかるために、新しく特別に増税措置考えるというような行き方でなく、そのワク内において操作をする。ワク内じゃない、むしろ全体の国民の負担を軽くするということで考えていくべきじゃないか。少し説明不十分かもしれんけれども、言っている趣旨はのみ込めると思うのですが……。そうしなければ安易にこれを減税しなければならぬ。だから何か財源を見つける。そうしてこういうことをやれば財源は出ますという、その歳入をふくらませるような考え方でなしに、歳出を切り詰めるという、こういうところに頭を使う。だから主税局長としては絶対、税の増収ということは考えない、こういうことで一つ部内等においても突っぱってもらいたい。
  184. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 負担を増したくないということは私は主税局長としては率直にそう思っております。今回の改正においても、結局昨年の改正が半年減税であって、それの平年度化によりまして三百億が今年は減収になる。それは裏を返せばそれだけ税負担が軽くなっている、こういう意味だと思います。従いまして本年それにさらにつけ加えて、自然増収の中の一部をさいて減税するということは、遺憾ながら本年としてはできなかったのであります。従いましてそれじゃ本年はもう少し全体を見送っておくか。これは先ほども申し上げたところでありますが、見送っておくかという議論も相当あったわけでございまするが、しかしとにかく給与所得については、これはなんとか控除率引き上げてでも軽減したい、こういう希望があったものでございますから、従って新らしい財源を探してでも、それをやった方がいいのではないかという御意見もありますものですから、従いまして今御提案申し上げましたような結果になっているのでございます。しかし負担全体としてこれをふやしていくということは、これは私としては避けたい、かように考えております。
  185. 岡三郎

    ○岡三郎君 先ほど土田委員が触れられた退職給与引当金制度、これについてやはり相当一律にやられると無理なところが出てくるのじゃないかと思うのですが、たとえば政府が出している繊維工業設備臨時措置法案、こういうものが出てくると、結局金属機械関係の工場というものが非常な打撃を受ける。その結果として金属産業関係において相当の大量の首切りが予想されるわけですね。つまり国際経済の波動を受けて相当企業内容というものが変ってくるというふうなことが予想される。それから最近においてはやはり小康状態を取り戻しておりますが、首切りの頻発している業種としては炭鉱なんかがそうだと思うのです。こういうところもときによるというと、大きな山が閉鎖されるというと非常に大量な首切りが出る、こういうふうな業種において百分の五十に相当する金額に改めるということになると、相当無理が出てくるのではないかと思うのですが、この点どうですか。
  186. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) われわれの方で考えているところを申し上げれば、確かに経済の動きによりまして、ある程度いろんな事態が出てくるとは思います。しかし通常の考え方によれば、工場の全員の中の半分ほどの首切り、これはもう相当な大きな問題でありますし、そこまでの限度を積み立てておくということを考えれば、普通の場合なら大体大丈夫じゃないだろうか。全員がやめるまで積み立てておくというのはいささか行き過ぎじゃないか、かように考えているわけであります。
  187. 岡三郎

    ○岡三郎君 かりに一つの例をとりますと、日平産業なんか相当な深刻な打撃で、まだ立ち直っていない。そうするというと、これは兵器関係だから縮小してもわれわれ反対するということはないが、しかし当面の勤労者はやはり首を切られるのは半分どころの騒ぎじゃないですよ。こういうことになるとやはりこの企業の中においては、日の当らないと言ってもはなはだしいのがあるわけですよ。日本の産業全体の中にはですね。ですからある程度そういった点を考慮して考えるというと、百分の五十ではゆっくりしているところもあると思うのです。しかしそうでないところも多分にあるというので、百分の五十というのはちょっと行き過ぎじゃないですか。
  188. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 私は大体の場合は百分の五十ならいいのじゃないか。ただ先ほども言いましたように、会社の名前をあげるのもどうかと思いますが、相模工業とか富士自動車とか、ああいった種類の特殊な事業をやっていて、これは米軍の方からも一応退職金的なものをもらっていて、それを積み立てていく、こういったような会社ですね、こまは一応特需がなくなってしまう、その時期もいずれは来ることが予想されるでしょうし、そう未来永劫のものとも思われませんし、いずれは何年先か、これはとにかくとして、早晩来ることが予想される、こういった会社については、これは全額積み立てることを考えていいのじゃないか。そのかわりそういう会社については、そういう積み立てた金を、たとえば固定資産に入れてしまうとか、そういうようなことにしますと、今度はいざ金を払うというときに固定資産がうまく売却できればいいのですが、売却できなければ、これは職員のために積み立てておいたといいながら、実際は資本のふくらましに過ぎない。従ってこういう会社については十割積み立てることにしていただきたい。普通の会社なら実は二割五分でできるのです。その制度はそのままにしておこうと思うのです。で、普通の場合だったら大体それぐらい流動性を持たしておけばいいのじゃないか。しかし今言ったような、特殊な会社は十割流動性を持たしてはどうか。そうすれば今度は十割まで積み立ててよろしい、こういったことで幾つかの例外は認めておこうと思っております。従いましてその例外を認めることによりまして、大体問題になるところは解消できるのじゃないだろうか。それは会社の種類によりまして、相当変動を大きく受けるところもありますから、一概にこれで全部がいいとか悪いとか言い切れませんが、大勢としては大体この程度で大丈夫じゃないか、かように考えております。
  189. 岡三郎

    ○岡三郎君 まあ主税局長が言うような百分の五十でも多いというところもあるかもわからぬけれども、またまだ安定したといっても、企業そのものが非常に不安定なところがあると思うのです。最近において、不渡り手形が、非常に一時少くなったが、また最近非常に増大しているというようなことで、中小企業なんかにおいても非常に浮動性がある。だから中小企業の中においても、今言った特需関係の下請け機関というふうなものですね、こういったものがずいぶんあるわけです。ですからその中で目立つものは大体いいとしても、その下にあるものは目立たない。だからそういうふうな関係で、その系列とか、あるいは比較的日が当らなく、また将来日の当らなくなるというふうなところ、そういったところはやはり百分の八十なり、そういういろいろと考えてみた結果として無理のないところをやはり一応考えてみる必要があるのじゃないかと思うのですがね。
  190. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) われわれの方でもさらに一応は検討してみたいと思っておりますが、今申した相模工業とか富士自動車のような場合においては、これは下部の系列産業は持っていないようでございます。従ってこの場合は問題はないと思っております。
  191. 岡三郎

    ○岡三郎君 しかし負担面については私は相当あると思うのです。実際に調べてみるというと。ですからそういったような点は一つ十分に御検討になっていただきたいということと、それから炭鉱なんかで、ずいぶん山を閉鎖して一ぺんに首切りをしてきた例がつい最近にあったわけですよ。だからそういったような問題についても絶えざる検討をもって、一つ切られた者はこういうふうな制度の改正によって被害をこうむらぬようにやってもらいたい。これはわれわれの希望意見です。
  192. 小林政夫

    ○小林政夫君 一点だけ。この退職給与引当金の問題についても、まことにこれだけ大きな、国の税収まで影響のある問題が、政令できまる、施行細則できまる、施行規則できまるという仕組みですが、これは僕は考えてみるべき問題だと思う。当初問題にした現物給与云々の問題は見送っても、これなんかはけた違いの数字です。これについては研究課題とすべきだと思います。
  193. 岡三郎

    ○岡三郎君 私も今の点についてはやはり同感です。これと同様に、先ほど話に出た物品税の免税点の引き上げについても政令でやっているのでしょう。これを改訂する場合に、この大蔵委員会等に事前に何か話をするというふうなことはあるのですか。
  194. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 物品税の課税最低限の引き上げにつきましては、われわれは従来のやり方としましては、事柄が事柄でございますから、一応これは衆議院の大蔵委員会……こちらの方は今まであまりそういう御論議がなかったものですから、適宜こちらから御参加願った場合もありますが、一応お話合いを——お話合いと言っては語弊がありますが、議員さん方の御意見を十分伺うという努力はして参っております。
  195. 岡三郎

    ○岡三郎君 この点についてはやはり相当問題点があるので、参議院の方においては比較的論議がなかったというが、みんなそういう点を考えたこともあるわけです。だから物品税の変更の場合においては、一つ参議院の方にもよく相談してやられるようにしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  196. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 御希望の点はよくわかりました。
  197. 岡三郎

    ○岡三郎君 わかりましたじゃしょうがない、そうやりますと言ってもらわなければ……。
  198. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) そうやりますというつもりでございます。
  199. 土田國太郎

    土田國太郎君 今の引当金の問題ですが、これについては政令でおやりになるということなんで、今の小林委員の御発言は全く私も同感なんで、これは研究しなければならぬと思っておりますが、とりあえずこの問題につきまして、政令の改正にいつてもおできになっているのですか。
  200. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 施行令の条文はまだ作っておりませんが、一応要綱できておりますので、これは御参考に……、あの要綱に沿って改正をしたいということを申し上げておるわけでございます。
  201. 土田國太郎

    土田國太郎君 まだできておらぬのですか。
  202. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 条文はまだできておりません。
  203. 土田國太郎

    土田國太郎君 それは明日委員会の始まるまでにはできないのですね。あとでゆっくりおやりになるということですか。
  204. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 施行令の改正でございますので、われわれの方としては四月一日から施行したいと思いますが、その施行に間に合うように作るつもりで、目下準備しております。あしたまでにはいかがかと思います。
  205. 土田國太郎

    土田國太郎君 ちょっとこれは余分のことですが、銀行の利益金のうちから預金支払いの引き当てとしてどのくらい非課税になるのですか。額、何%ぐらいまで。
  206. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 現在預金引き当てのための特別な非課税積立金の制度はございません。現在あります制度は貸し倒れ準備金の制度がございます。貸し倒れ準備金の制度が、これは裏腹からすれば、結局預金が貸付金になっているのですから、その貸付金が、要するに貸し倒れのときの十分の準備があれば、それが当然預金の準備になる、こういう考え方をしておりますから。
  207. 土田國太郎

    土田國太郎君 何割ぐらいなんですか、利益の……。その準備金ですね、引き当て準備金は何割ぐらい。
  208. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 今の制度でございますと、貸付金の千分の十を限度にしてありますが、しかし所得の三割五分という別の限度がございまして、千分の十が三割五分以上になれば所得の三割五分で切られる、こういう制度になっております。
  209. 土田國太郎

    土田國太郎君 それは積み立てた金額が三割五分という意味ですか。
  210. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) それは毎期の積立額の限度でございまして、全体の積立金の限度は、貸付金の百分の三とそれから自己資本、これのいずれか少い方を限度とする。
  211. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) それでは他に御質疑もないようでございますから、所得税法の一部を改正する法律案(衆第一二号)、所得税法の一部を改正する法律案(閣法第八号)、租税特別措置法等の一部を改正する法律案、以上三案に対する質疑は終了したと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  明日は午後一時より開きます。本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会    ————・————