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政府委員(
渡邊喜久造君) 抽象的にどの
程度が適当であるかということはなかなか問題があろうと思っております。結局その
時代における
国民経済の
状況、その時期におけるまあ現在の
日本の
経済の
状況と見比べてどうかという点が問題として
考えられていかなきゃならぬと思っております。三十一年度におきましては、
改正後は直接税が五一%、
間接税が四六・二%、その他が二・八%と、まあその他もいわば大きな
意味での
間接税といっていいと思いますが、大体まあ半々になっている。九−十一年の
時代は直接税が三四・八%、
間接税が五七・一%、その他が八・一%、まあこういう
時代もあったわけであります。それから各国の例を見て参りましても、一番直接税に大きく依存しているのがアメリカでございまして、それに比べればまあ
イギリスが
かなりそれに近い、その
方向ではありますが、
イギリスはまあ五割ちょっとが直接税になっておる。これに反してたとえばフランス、イタリアなどになりますと
売上税のようなものに大きく依存しており、西独においても
売上税が
かなりな地位を占めている。従ってそれに応じてやはり直接税の
比率は小さくなっている。まあ各国いろいろな姿をとっているわけであります。
日本としまして、現在どういう姿であるのが一番いいかというところに問題があるのではないかというふうに思っております。現在まあ問題は、もちろん
担税能力のある者が大きな
負担をする、これは、もう当然の話だと思っておりますが、結局現在
税負担の重いのは、先ほどあなたのおっしゃいましたように、
国民所得が全体として戦前に比べれば一人当り非常に小さくなっておる。それに比べて
財政規模の方はそれほどでもなく、小さくなっていない。結局税でもって
負担する額がふえてくる。結局どうしてもやはり、大衆という言葉をどう呼んでいいかわかりませんが、国民の
相当大きな層の方にやはり
負担していただかなければならない。その場合に直接税の格好で
負担していただくのがいいか、
間接税の格好で
負担していただくのがいいか、こういう問題もいろいろあるわけでございまして、その辺をにらみ合せながら全体として
考え直してみる必要があるのではないか。もちろん今度
税制改正を行うには、いろいろ根本的に検討してみるにつきましては、今
お話しになりました租税特別
措置につきましても、これをやはり根本的に
考え直してみると、ぜひどうしても必要なものと、この際もうそろそろやめていいもの、あるいは
程度を少くしていいもの、いろいろな種類なものがあろうと思いますが、こうした面につきましても十分検討してみる必要があるのではないか、租税特別
措置というのはいわば一種の傾斜
減税といっていいと思うので、ある特殊の人の
税負担を軽くするということは、結局残った人の
税負担がそれだけ重くなっておるわけです。その傾斜
減税をしてまでそうした特定の目的をどこまで遂行してゆく必要があるか、これもその時期々々でやはり
考え直してみるべき問題だと思う。ある時期においてはぜひ必要であるというものも、それが数年たてばまた違った
考え方で見直すべきものではないか、こういうような
考え方でもってこの問題もあらためて検討をしてみる必要があるのではないか、こういうふうに
考えております。