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1956-02-09 第24回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月九日(木曜日)    午前十一時一分開会   —————————————   委員の異動 十二月二十日委員遠藤柳作辞任につ き、その補欠として青柳秀夫君を議長 において指名した。 十二月二十二日委員栗山良夫辞任に つき、その補欠として岡三郎君を議長 において指名した。 一月三十日委員白波瀬米吉辞任につ き、その補欠として西川甚五郎君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     岡崎 真一君    理事            山本 米治君            岡  三郎君            土田國太郎君    委員            青木 一男君            青柳 秀夫君            井村 徳二君            木内 四郎君            菊田 七平君            白井  勇君            苫米地義三君            西川甚五郎君            天田 勝正君   政府委員    大蔵政務次官  山手 滿男君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君   説明員    日本専売公社監    理官      大月  高君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選大蔵省関係法令整理に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提  出) ○在外公館等借入金返済準備に関  する法律を廃止する法律案内閣提  出) ○賠償等特殊債務処理特別会計法案  (内閣送付予備審査) ○日本国有鉄道に対する政府貸付金の  償還期限延期に関する法律の一部  を改正する法律案内閣送付予備  審査) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣送付予備審査) ○製造たばこ定価決定又は改定に  関する法律の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○関税定率法の一部を改正する法律案  (内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) これより委員会を開会いたします。  まず理事補欠選挙の件についてお諮りいたしたいと思います。昨年十二月の十五日に岡理事が本委員会委員辞任されまして、理事に一人の欠員を生じておりますので、この際にその補欠を互選いたしたいと存じますが、成規手続を省略いたしまして、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、よろしうございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 異議ないものと認めます。それでは理事岡委員を御指名申し上げたいと思います。   —————————————
  4. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 次に、大蔵省関係法令整理に関する法律の一部を改正する法律案在外公館等借入金返済準備に関する法律を廃止する法律案賠償等特殊債務処理特別会計法案、これは予備審査であります。日本国有鉄道に関する政府貸付金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案予備審査)、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案予備審査)、製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案予備審査)、所得税法の一部を改正する法律案予備審査)、砂糖消費税法の一部を改正する法律案予備審査)、関税定率法の一部を改正する法律案予備審査)、以上の九案を便宜上一括議題といたしまして、政府より提案理由説明を聴取いたします。
  5. 山手滿男

    政府委員山手滿男君) ただいま議題となりました大蔵省関係法令整理に関する法律の一部を改正する法律案外八法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  旧政府契約特例に関する法律は、昭和二十九年法律第百二十一号大蔵省関係法令整理に関する法律により廃止されましたが、その際の経過措置として、廃止前に締結された特定契約については、同法の規定はなお効力を有するものとされたのであります。  現在特定契約に関する事務が終了したのに伴い、旧政府契約特例に関する法律規定する政府による支払金額指定、相手方に対する政府検査等事務を行う必要がなくなりましたので、今回この経過措置を廃止するとともに、あわせて、指定金額について改定の申請があった場合の政府諮問機関である特定契約審査会大蔵省附属機関から削除するため、大蔵省設置法改正しようとするものであります。  次に、在外公館等借入金返済準備に関する法律を廃止する法律案提案理由を御説明申し上げます。  政府は、昭和二十六年度中に在外公館等借入金返済を開始するために必要な法律措置を講じ、かつ、借入金を表示する現地通貨評価に関する事項を調査審議するため大蔵省在外公館等借入金評価審議会設置することとし、第十回国会在外公館等借入金返済準備に関する法律案を提出し、御審議の上、可決成立するに至ったのでありますが、すでにこの法律に基く一切の事務は、終了いたしましたので、今回これを廃止し、これに伴って大蔵省設置法改正して、大蔵省附属機関のうち、在外公館等借入金評価審議会の項を削除しようとするものでございます。  次に、賠償等特殊債務処理特別会計法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  平和の回復に伴いまして、賠償連合国財産補償その他の対外特殊債務処理は、逐次その進捗をみつつあるのであります。特に賠償につきましては、昨年ビルマとの間に実施取極の締結をみるに至り、さらにその他の旧連合国との間におきましても外交交渉等進展等に応じ、その処理進捗がはかられている状況であります。政府におきましては、このような状況にかんがみまして、これらの賠償等特殊債務処理に関する経理を一般会計と区分して明確にするため、賠償等特殊債務処理特別会計を設けることといたしまして、この法律案を提出した次第であります。  次にこの法律案概要について御説明申し上げます。  第一に、この会計におきまして処理いたします賠償等特殊債務とは、賠償連合国財産補償その他戦争遂行の結果または戦争遂行もしくは連合国の軍隊による占領に関連して負担する債務であります。  第二に、この会計歳入歳出については、一般会計からの繰入金及び附属雑収入をもって、その歳入とし、賠償等特殊債務処理にあてるための経費及び附属諸費をもってその歳出とすることといたしておるのであります。  第三に、この会計の毎会計年度支出残額は順次翌年度に繰り越して使用することができることとし、また毎会計年度の決算上の剰余金は、翌年度歳入に繰り入れることといたしております。  第四に、その他この会計設置及び運営等に関し必要な事項規定いたすこととしております。  なお、この会計設置に伴う経過措置といたしまして、従来一般会計において賠償等特殊債務処理のためにあてられていた賠償等特殊債務処理費等昭和三十年度末における支出残額に相当する金額は、昭和三十一年度において、この会計歳入に繰り入れることとし、賠償等特殊債務処理の円滑をはかることといたしております。  次に日本国有鉄道に対する政府貸付金償還期限延期に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十四年度におきまして、政府日本国有鉄道に対し、その歳入不足を補てんするため貸し付けた貸付金三十億五千二百三十六万三千円の償還期限は、本年三月一日に到来することになっておりますが、現在の日本国有鉄道財政状況からいたしましては、期限までには、償還見込が立ちがたい実情にあります。これにつきましては、経営の合理化等による国鉄財政再建の対策も逐次講ぜられることでもあり、その結果を待って措置を講ずるのが適当であると考えられますので、今回は、さしあたりその償還期限昭和三十二年四月三十日まで延期しようとするものであります。  次に日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案提案理由を御説明いたします。  日本輸出入銀行は、昭和二十五年十二月二十八日に設立されて以来プラント輸出を中心とする輸出入金融を行い、わが国貿易の振興に格段の寄与をいたして参っておりますことは、御承知の通りであります。  特に昭和二十八年度下期以降プラント輸出が急激に伸張した結果、その業務活動はすこぶる活発となり。昨年十二月末における日本輸出入銀行融資残高は、三百九十二億円に達しておるのでございますが、なお、東南アジアを初めとして海外からのプラント輸出等の引合いは、現在すでに相当の額に上っているほか、賠償及び経済協力関係融資業務も行うことが予定されており、日本輸出入銀行融資を必要とする事業は、ますますふえる見通しであります。  現在日本輸出入銀行資本金は、三百五十億円と日本輸出入銀行法規定されております。これは、昭和三十年度予算において産業投資特別会計からの日本輸出入銀行への出資が百四十億円と予定されておりましたため、第二十二特別国会法律改正をいたし、資本金を二百十億円から三百五十億円に増額した結果でございます。しかしながら、昭和三十年度におきましては、その出資額は百三十億円にとどまる見込であり、従って、同年度末の日本輸出入銀行出資額は三百四十億円となる見込であります。  一方、昭和三十一年度における日本輸出入銀行融資見込額といたしましては、年度内融資五百四十八億円、年度融資残高見込七百四十二億円と推算いたしておりますが、現在の日本輸出入銀行資金量をもってしては、これだけの業務を行うためには当然不足を来たしますので、昭和三十一年度中に新たに、産業投資特別会計から四十八億円、資金運用部から百九十七億円、合計二百四十五億円の資金を供給することといたしているのであります。このうち産業投資特別会計からの四十八億円は、同特別会計からの出資金として予定しておりますが、さきに申し上げましたように、昭和三十年度における同行への出資予定よりも十億円少くなる見込でありますので、この十億円を差し引きました三十八億円だけその資本金増加して三百八十八億円といたしたいのであります。  次に製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明を申し上げます。  この法律案は、日本専売公社製造たばこ最高価格を定めている価格表の一部を改正するものであります。  その概要を申し上げますと次の通りであります。  まず、両切紙巻たばこ富士及びピース最高価格昭和三十一年三月一日からそれぞれ十本当り五十円及び四十円に引き下げるとともに、昭和三十一年四月一日から新たに両切級巻たばこいこい」を発売することとし、その最高価格を十本当り二十五円に決定しようとするものであります。これは、最近における製造たばこ売行不振の状況にかんがみ、価格体系の修正と最近の嗜好に即応した新製品発売とにより、製造たばこ売行を増進し、財政収入の確保をはかろうとするものであります。  次に、日本専売公社昭和三十年十月一日から試製品として販売している両切紙巻たばこパールにつきましては、発売後の販売状況にかんがみまして今回正式に価格表に追加することといたしました。  次に所得税法の一部を改正する法律案について、提案理由説明いたします。  政府は、国税及び地方税を通じてわが国の最近の諸情勢に即応すべき合理的な租税制度を確立するために、昨年八月以来内閣臨時税制調査会を設けて、税制改正の諸方策について鋭意検討を加えておりますが、租税制度全般的改革は、その影響するところも広く、内容も複雑でありますので、なお慎重に研究を続け、昭和三十二年度においてこれを実行に移したいと考えております。従いまして、所得税につきましても、その全面的な改正は、昭和三十二年度においてこれを行うことを目途としておりますが、最近の所得税負担状況に顧みますると、給与所得者負担が他の所得者負担にくらべて特に重いと認められまするので、この点における不均衡の是正は、全般的税制改正に先立って、昭和三十一年度において行うことが適当であると考えられます。  以上のような見地から、今回、給与所得控除の額を引き上げて給与所得者負担を軽減することといたしました。すなわち、現在給与所得収入金額から、その百分の十五に相当する金額最高六万円を控除することといたしておりますのを、今回、給与所得収入金額の百分の二十に相当する金額最高八万円を控除するように改めることとしたのであります。ただ、昭和三十一年におきましては、財源との関連を考慮しまして、給与所得収入金額の百分の十七・五に相当する金額最高七万円を控除することといたしております。なお、給与所得に対する源泉徴収につきましては、本年七月一日以降の支給にかかる給与から、平年度計算による改正後の控除を用いて、これを行うこととしております。  この措置によりまして、給与所得者税負担は、相当軽減されることとなります。たとえば、月収一万円の独身者は、現在の百九十九円の負担が百二十四円になって、三割二分の減税となり、月収二万円の夫婦者は、現在の千七十四円の負担が八百七十四円になって一割八分余の減税となり、月収三万円の夫婦及び子供三人の者は、現在の千七百四十九円の負担が千三百七十四円になって二割一分余の減税となります。また、夫婦及び子供三人のいわゆる標準世帯給与所得者は、現在年収二十三万一千円程度以下の場合は所得税がかからないのでありますが、今回の改正によりまして、平年度におきましては、年収二十四万六千円程度以下の場合に所得税がかからないこととなるのでありまして、いわゆる平均月収二万円まで非課税ということが今回の改正によって実現されることとなるのであります。  以上申し述べました改正により、本年度所得税において、約百五十億円の減収が見込まれるのでありますが、その財源に充てるため、法人税について交際費の損金不算入措置の範囲の拡大及び退職給与引当金積立限度額制限等改正を行い、また、砂糖に対する関税税率を引き上げる等の措置をとることとし、これに必要な法律案は、別途提出する予定であります。  次に砂糖消費税法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における砂糖類取引実情に即するよう、砂糖消費税徴収方法その他の制度につきまして所要改正を行おうとするものでございます。  以下改正内容につきまして簡単に御説明申し上げます。  まず現行砂糖消費税法におきましては、原則として、砂糖消費税は、砂糖類製造場から移出し、または保税地域から引き取るときに徴収することとし、その砂糖消費税額に相当する担保提供があった場合には、三カ月以内その徴収を猶予することができることとなっておりますが、この砂糖類取引決済状況を勘案して現在では徴収猶予を二カ月間認めることといたしております。  しかしながら砂糖類移出または引き取りと砂糖消費税徴収との現行の間隔は、さらに短縮することが適当と認められますし、また一方、昨年における砂糖消費税法全文改正当りまして、従来の引取課税制度移出課税制度に改めました経緯もありますので、この際、砂糖消費税徴収方法を改めて、同じく移出課税制度をとっている他の間接税、たとえば酒税の徴収と同様にすることといたしております。  すなわち、製造場から移出する砂糖類に対する砂糖消費税につきましては移出の月の翌月末日までに、保税地域から引き取る砂糖類につきましてはその引き取る時に徴収することにするとともに、その砂糖消費税額に相当する担保提供があった場合には、一カ月以内その徴収を猶予することができることとしているのであります。なお、この徴収猶予につきましては、先に述べました最近における砂糖類取引実情に顧み、当分の間は、保税地域から引き取る砂糖類を除き、これを適用しないこととしております。また、この措置によりまして、昭和三十一年度における砂糖消費税は、十三カ月分の収入予定されておるわけであります。  次に、主として農家で製造される黒砂糖等の第一種甲類砂糖につきましては、その製造場が小規模であり、かつ、きわめて多数である関係上、納税者側税務署側も多大の手数を要する実情にありますので、その製造者が所定の手続により集荷機関である協同組合等に委託してこれを製造場から移出する場合には、その受託者納税義務者とすることとして、これらの事務手続簡素化をはかろうとするものであります。  その他国の買い上げにかかるテンサイ糖に対する砂糖消費税徴収の便宜をはかるため、未納税移出先又は未納税引取先において、それが譲渡された場合には、その譲受人を納税義務者とすることとする等、所要規定の整備をはかることといたしておるのでございます。  最後に関税定率法の一部を改正する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。  この法律案砂糖等に対する関税率を従来の従価税率から従量税率に改めるとともに、その税率を引き上げて関税収入増加をはかり、あわせてテンサイ糖等国内生産の保護に資することを目的とするものであります。  以下、改正内容について簡単に御説明を申し上げます。  砂糖及びこれに直接関連する氷砂糖糖蜜等関税率は、従来すべて従価税率となっていたのでありますが、これらの品目につきましては、その性状及び輸入価格の特質にかんがみまして、課税の一そうの適正化に資するため、その税率従量税率に改めることといたしておるのであります。  また砂糖に対する関税率は、現在原料糖につきましては従価二割、これは一キログラムにつき七円六十二銭程度に当るのでありますが、それを一キログラムにつき十四円に、精製糖につきましては現在の従価三割五分、これは一キログラムにつき十七円一銭程度でありますが、これを一キログラムにつき二十四円にそれぞれ引き上げ、これに伴って氷砂糖糖蜜等についても若干ずつ税率を引き上げることといたしておるのであります。この措置によりまして昭和三十一年度関税収入において約六十二億円の増徴が見込まれるのであります。  以上、大蔵省関係法令整理に関する法律の一部を改正する法律案外八法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願いを申し上げます。
  6. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) それでは次に、製造たばこ定価決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。事務当局から補足説明をお願いいたします。日本専売公社監理官大月高君。
  7. 大月高

    説明員大月高君) この法律案提案理由につきましては、ただいま政務次官から御説明のありましたところでございますが、その細目につきまして数字的に若干補足さしていただきたいと存じます。  この法律案内容日本専売公社製造たばこ価格表の一部を改めて、次の三点を規定しようとしておるものであります。  一つ富士及びピース最高価格をそれぞれ五十円及び四十円に引き下げることであります。  第二は、新製品いこい」を発売することといたしまして、その最高価格を十本当り二十五円に決定することであります。  第三点は、昭和三十年十月から新製品として発売しております。パールをその後の販売状況にかんがみまして、今回正式に価格表に追加することといたしたいのであります。この三つの内容を持っておるのであります。  最近製造たばこ売れ行きは不振の状況にありますことは御存じの通りでございます。この原因といたしましては、販売数量全体の増加率が漸次頭打ちの状況にあるということが一点でありますが、特に各品種につきまして、富士ピース光等の上、中級品売れ行きが著しく減少してきたということの半面、下級品、特に新生売れ行きが飛躍的に増加したためであります。これをお手元にお配りいたしました第一表によって御説明いたしたいと存じます。  本年度、三十年度予算によりますと、製造たばこの全販売数量は一千九十一億本を予定いたしておるわけであります。金額におきましては二千百八十三億円を予定いたしております。その結果、製造たばこ十本当り単価におきましては二十円一銭というものを予定いたしておるのであります。ところが三十年度、本年度年間見込みにおきましては、販売数量は一千五十三億本、金額におきまして二千五十七億円、平均単価におきまして十九円五十四銭、こういうような見込みになっておるわけでございます。これを対三十年度予算に比較いたしまして増減を見て参りますと、数量におきましては三十八億本の減少であります。パーセントといたしまして三%の減少ということになっております。また金額におきましては百二十六億円の減少でありまして、パーセントといたしましては四%の減少、こういうことになっておるわけであります。なお、この三十年度年間見込みを二十九年度実績と比較いたしますと、数量におきましては二十九年度実績が一千二十七億本でございましたので、差し引き二十五億本の増加パーセントで二%の増加ということになっております。また金額におきましては二十九年度実績が二千八十五億円でございましたので、差引金額におきましては二十七億円の減少パーセントといたしましては一%の減少、こういうことになっております。つまり昭和二十九年度実績に比較いたしまして、数量はわずかながらも増加いたしましたが、品質の構成が悪くなったために、金額においては二十七億円という減少を示したわけでございます。伸びの点につきましても、従来は大体年平均八%程度増加を示しておったのでございますが、この三十年度におきましては、二十九年度に比較いたしまして、二・四%程度伸びしか示しておらない、こういうことであります。  なお、具体的に若干見て参りますと、ピースにつきましては、二十九年度実績がこの表にもございますように、七十七億本の売れ行きであったわけでございます。それが本年度におきましては五十一億本、こういうことでございまして、その減少率は二十六億本、パーセントにいたしまして三四%の減、こういう数字を示しております。なお、光につきましては、三十年度見込みは百九億本でございます。二十九年度実績が百八十九億本でございますので、差引八十億本の減少パーセントにおいて四二%、おおむね四割方の減少、こういうことでございます。これに対しまして、下級品の代表でございます新生におきましては、本年度販売見込みは四百九十四億本でございます。これに対しまして昭和二十九年、昨年度売れ行きは三百九十億本でございましたので、差引約百三億本の増加パーセントにおいて二六%、こういうような数字を示しておるわけでございます。こういうように単価の高い上、中級品に対する需要が、次第に単価の安い下級品に移行してきておる、こういうことは、その原因を考えてみますと、最近の経済情勢健全化に伴いまして、消費支出健全化してきたということが根本だと思うのでありますが、特に一つは、下級品につきまして最近たびたび品質改善をやっておりますので、その品質の向上が著しいということ。第二に、最近の消費者嗜好といたしまして、逐次軽いたばこに移行してきておるということ。それから第三に、上級品の面におきましては、価格品質とを比べてみますと、やや割高ではなかろうかと考えられること、こういうような原因を考えておるわけであります。で、こういうような上、中級品売れ行きの減、下級品売れ行きの増、こういう傾向は本年度だけではないわけでございまして、昭和二十八年度以降継続しておるわけでございます。その内容を示しましたのが第三表でございます。  第三表によりますと、販売数量を見ていただきたいと思いますが、ちょうどまん中の欄で、「昭和二十八年度上半期を一〇〇とした指数」、こういうところをごらん願いたいと思います。これによりますと、ピースの欄で、昭和二十八年度の上半期を一〇〇といたしまして、下半期は一一九・四、若干増加しておりますが、昭和二十九年度の上半期におきましては五八・七、下半期五四・四、約半分になっております。さらに昭和三十年度、本年度におきましては、上半期が四二・二%、下半期が三三・〇ということでありまして、昭和二十八年度の上期に比較いたしますと、約三分の一に落ちておる、こういうことであります。それから光でございますが、光も、昭和二十八年度の上期を一〇〇といたしまして、下期が九〇・五、二十九年度におきまして八七・四、下期七二・〇、三十年度におきまして、上期が五五・一、下期三六・六、こういう傾向をたどっておりますので、これも約三分の一ということであります。なお、新生につきましては、昭和二十八年度の上期を一〇〇といたしまして、下期一一四、二十九年度の上期一五七・七、下期一九四・七、三十年度の上半期二二四・四、下期二二一・三でございまして、大体二倍強という姿を示しておるわけであります。  これを千本当り一体幾ら各級品が売れておるかということを示しておるのが、その右にあります「構成比」というところでありまして、同じく昭和二十八年度の上半期を見ていただきますと、富士ピースを合せました上級品の計が一四六であります。それに従いまして昭和三十年度の計が五〇という数字になっておるわけであります。それから、光、パール、「いこい」を合せました中級品の計におきまして、昭和二十八年度の上半期は二五一という数字であります。これが三十年度に至りまして一五六という数字であります。で、昭和二十八年度上級品の計一四六と、中級品の計二五一、これを合計いたしますと三九七という数字になります。昭和二十八年度新生以下の下級品を見ますと、下級品の計のところが六〇三となっておりますので、大観いたしますと、上級品中級品を合計いたしまして約四割、下級品が約六割という状況であったわけでありますが、これに対しまして最近の昭和三十年度を見ますと、上級品の計が五〇、中級品の計が一五六、合計二〇六でありまして、従いまして下級品が残りの七九四、つまり八割で、上級、中級を合せまして二割、下級が八割、こういうことになっておるわけであります。昭和二十八年度の四対六という割合が、本年度に至りまして二対八という割合に変化しておる、これがただいままで申し上げました上級品から下級品への移行の計数でございます。  なお、参考までに戦前の平年度と普通いたしております昭和九年と十一年の平均が掲げてありますので、これによりますと、上級品の割合が二五、中級品の割合が一八五、合計二一〇、残りの下級品が七九〇、おおむね二対八と、こういうような姿を示しておりますので、ほぼ戦前の平常時に近いところにきておるのではあるまいか、こういうことであります。こういうように二十八年度から三十年度まで品質の傾向が今のように移行しておりますのに伴いまして、十本当り単価は、昭和二十八年の上期は二十一円八十三銭で、それが次第に下って参りまして、現在におきましては十九円五十四銭、こういう格好になっております。なお、本数におきましては、二十八年度の計九百六十七億本、二十九年度一千二十八億本、三十年度一千五十二億本と、逐次増加は示しておりますが、金額におきましては、二十八年度二千百十八億円、二十九年度二千八十五億円、三十年度二千五十七億円と、逐次減少を来たしておる結果になっております。  で、こういうような状況を基礎にして考えますと、今後売れ行き不振の状況を打開いたしまして最大の財政収入を確保する、そういうためには結局どうして販売数量を確保していくかということと、製品十本当り単価をどういうようにして上げていくか、この二点に集約されると思うのであります。そういうことからいたしますと、一つは上、中級品に対する需要低下の傾向をどうして食いとめるかというのが第一点、さらに増大しつつある新生に対する需要をどうして上級の他の品種に吸収していくかということが第二点、こういうように考えるわけであります。で、これがために具体的な方策はいろいろ考えられると思うのでありますが、戦前の価格体系を考えまして、なお最大の財政収入を確保しながら、同時に良質かつ安価なたばこを供給すると、こういうような理想を含めまして考えましたのが今回の体系でございます。で、これらの措置によりまして、三十一年度販売収入がどの程度になるかというのを見ましたのが第二表でございます。  この第二表によりますと、昭和三十年度見込みは、本数において千五十三億本、金額において二千五十七億円でございます。それに対しまして三十一年度におきましては、ピースは本数におきまして五十一億本から六十一億本にふえる、それから富士も値下げによりまして八千五百万本から二億本にふえる、約二倍にふえる、それから光はピースへ一部移行する、新しく発売いたします「いこい」に若干移る、こういうことを考えまして百九億本から四十八億本に減るとみておるわけであります。パールはさらに新製品でございますので、販売努力を続けることによりまして五十億本から八十六億本にふえる。「いこい」は新しく売り出すことによりまして約百三十八億本、千本当り百二十六、一割二分ばかりの全体の数量予定いたしておるわけであります。こういうようにいたしまして新生が三十年度におきまして四百九十四億本、約五百億本、千分比におきましては四七〇でございますのを本数で四百八億本、千分比で三七三、こういうところまで引き下げる、これによって単価を上げたい、こういうことであります。その結果三十年度見込みが、十本当り単価におきまして十九円五十四銭とあるのに対しまして十九円八十銭になる。全体といたしまして増減の欄でごらん願いますれば、結局総売上代金におきまして、昭和三十年度見込みに比較いたしまして、三十一年度は百九億円の増収になる、こういうような計算になるわけでございます。  こういうような結果、全体の専売益金の方はどうなるかという数字を示しておるのが第五表でございます。この第五表によりますと、現在の三十年度予算におきまして製造たばこの売払代金は二千百八十六億円、専売益金の総計、たばこ消費税と合せまして千五百二十五億円を予定いたしておるわけでありますが、実行の見込におきましては、製造たばこの売払代金は百二十六億円減少いたしまして、専売納付金は四十九億円ばかり減少たばこ消費税の減少も合せまして、専売納付金とたばこ消費税の減少の合計が六十七億円、こういう数字でございます。三十一年度予算案におきましては、製造たばこの売払代金は二千百六十九億円を確保いたしますので、本年度予算案に比べますと十六億円の減少でございますが、実行の見込みに比べては百九億円の増収、そういたしまして、結局たばこ消費税と一般会計への納付金を合せまして、ほぼ三十年度予算と同じ金額を確保いたしたい、それがこの欄の(C)欄にございます千五百二十五億円という数字でございます。ただ本年度からはたばこ消費税の増徴がございまして、昭和三十年度におきます税率は府県税と市町村税を合せまして百十五分の十五、すなわちパーセントで申しまして一三%でございますが、これが百分の十七に引き上げられます関係で九十一億円の増になるわけであります。その分だけ一般会計の納付金は減るわけでございますが、本年度までの特別措置でございました交付税及び譲与税配付金特別会計の繰り入れ四十四億円がすっかりなくなりますので、差し引きまして四十六億円ばかりの納付金の減になる、こういうような計算になるわけであります。  なお最後に、現在発売いたしておりますパールは、試製品として発売いたしておりますので、これを正式に法律による価格表に載せていただきたいというのが最後の点でございまして、御参考までに第四表に発売以来のパール販売状況を示してあるわけでございます。これによりますと、平均いたしまして大体月四億ないし五億くらいの見当になっておりまして、最初予期いたしましたほど売れてはおりませんが、新製品発売後の状況といたしましては成績は相当よいと、こういうように考えておるわけでございまして、これを正式に今後も売って参りたいと存ずるわけでございます。  なお、最後にこの法律の施行期日の点でございますが、富士ピースの値下げは三月一日を予定いたしまして、その他の分は四月一日を予定いたしております。これはまず富士ピースというような高級品の価格を下げることによりまして需要をその方面に吸引しておきまして、しかる後に「いこい」を発売して、これは新生から上へ上ってくるということを期待いたしたいと、上から下ってくるのをあらかじめ防止すると、こういうような考えに出ておるわけでございます。そういう意味におきまして御審議当りましても、三月一日における値下げのための準備その他の都合もございますので、できるだけ早く御審議を願えれば幸いと存ずる次第でございます。  簡単でございますが御説明させていただきました。
  8. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) ただいま御説明がありました本案の審議は次回に譲りたいと思いますが、資料の御要求がございましたら一つこの際にお願いいたします。
  9. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 これは販売の点からの御説明でありますが、これに伴いまして葉タバコの生産に相当関係していると思いますね。それで二十九、三十年度、それから三十一年度予定の葉タバコの各府県別の表を一ついただきたいと思いますが、詳しいのを……。
  10. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) それでは資料をお出し願います。ほかにございませんか。——ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  11. 岡崎真一

    委員長岡崎真一君) 速記をつけて下さい。  それでは本日はこれで散会いたします。    午前十一時五十三分散会    ————・————