○
説明員(
大月高君) この
法律案の
提案の
理由につきましては、ただいま
政務次官から御
説明のありましたところでございますが、その細目につきまして
数字的に若干補足さしていただきたいと存じます。
この
法律案の
内容は
日本専売公社製造たばこの
価格表の一部を改めて、次の三点を
規定しようとしておるものであります。
一つは
富士及び
ピースの
最高価格をそれぞれ五十円及び四十円に引き下げることであります。
第二は、新
製品「
いこい」を
発売することといたしまして、その
最高価格を十本
当り二十五円に
決定することであります。
第三点は、
昭和三十年十月から新
製品として
発売しております。
パールをその後の
販売状況にかんがみまして、今回正式に
価格表に追加することといたしたいのであります。この三つの
内容を持っておるのであります。
最近
製造たばこの
売れ行きは不振の
状況にありますことは御存じの
通りでございます。この
原因といたしましては、
販売数量全体の
増加率が漸次頭打ちの
状況にあるということが一点でありますが、特に各品種につきまして、
富士、
ピース、
光等の上、
中級品が
売れ行きが著しく
減少してきたということの半面、
下級品、特に
新生の
売れ行きが飛躍的に
増加したためであります。これをお手元にお配りいたしました第一表によって御
説明いたしたいと存じます。
本
年度、三十
年度の
予算によりますと、
製造たばこの全
販売数量は一千九十一億本を
予定いたしておるわけであります。
金額におきましては二千百八十三億円を
予定いたしております。その結果、
製造たばこ十本
当りの
単価におきましては二十円一銭というものを
予定いたしておるのであります。ところが三十
年度、本
年度の
年間見込みにおきましては、
販売数量は一千五十三億本、
金額におきまして二千五十七億円、
平均単価におきまして十九円五十四銭、こういうような
見込みになっておるわけでございます。これを対三十
年度の
予算に比較いたしまして増減を見て参りますと、
数量におきましては三十八億本の
減少であります。
パーセントといたしまして三%の
減少ということになっております。また
金額におきましては百二十六億円の
減少でありまして、
パーセントといたしましては四%の
減少、こういうことになっておるわけであります。なお、この三十
年度の
年間見込みを二十九
年度の
実績と比較いたしますと、
数量におきましては二十九
年度の
実績が一千二十七億本でございましたので、差し引き二十五億本の
増加、
パーセントで二%の
増加ということになっております。また
金額におきましては二十九
年度の
実績が二千八十五億円でございましたので、
差引金額におきましては二十七億円の
減少、
パーセントといたしましては一%の
減少、こういうことになっております。つまり
昭和二十九
年度の
実績に比較いたしまして、
数量はわずかながらも
増加いたしましたが、
品質の構成が悪くなったために、
金額においては二十七億円という
減少を示したわけでございます。
伸びの点につきましても、従来は大体
年平均八%
程度の
増加を示しておったのでございますが、この三十
年度におきましては、二十九
年度に比較いたしまして、二・四%
程度の
伸びしか示しておらない、こういうことであります。
なお、具体的に若干見て参りますと、
ピースにつきましては、二十九
年度の
実績がこの表にもございますように、七十七億本の
売れ行きであったわけでございます。それが本
年度におきましては五十一億本、こういうことでございまして、その
減少率は二十六億本、
パーセントにいたしまして三四%の減、こういう
数字を示しております。なお、光につきましては、三十
年度の
見込みは百九億本でございます。二十九
年度の
実績が百八十九億本でございますので、
差引八十億本の
減少、
パーセントにおいて四二%、おおむね四割方の
減少、こういうことでございます。これに対しまして、
下級品の代表でございます
新生におきましては、本
年度の
販売の
見込みは四百九十四億本でございます。これに対しまして
昭和二十九年、昨
年度の
売れ行きは三百九十億本でございましたので、
差引約百三億本の
増加、
パーセントにおいて二六%、こういうような
数字を示しておるわけでございます。こういうように
単価の高い上、
中級品に対する需要が、次第に
単価の安い
下級品に移行してきておる、こういうことは、その
原因を考えてみますと、最近の
経済情勢の
健全化に伴いまして、
消費支出が
健全化してきたということが根本だと思うのでありますが、特に
一つは、
下級品につきまして最近たびたび
品質改善をやっておりますので、その
品質の向上が著しいということ。第二に、最近の
消費者の
嗜好といたしまして、逐次軽い
たばこに移行してきておるということ。それから第三に、
上級品の面におきましては、
価格と
品質とを比べてみますと、やや割高ではなかろうかと考えられること、こういうような
原因を考えておるわけであります。で、こういうような上、
中級品の
売れ行きの減、
下級品の
売れ行きの増、こういう傾向は本
年度だけではないわけでございまして、
昭和二十八
年度以降継続しておるわけでございます。その
内容を示しましたのが第三表でございます。
第三表によりますと、
販売数量を見ていただきたいと思いますが、ちょうどまん中の欄で、「
昭和二十八
年度上半期を一〇〇とした指数」、こういうところをごらん願いたいと思います。これによりますと、
ピースの欄で、
昭和二十八
年度の上半期を一〇〇といたしまして、下半期は一一九・四、若干
増加しておりますが、
昭和二十九
年度の上半期におきましては五八・七、下半期五四・四、約半分になっております。さらに
昭和三十
年度、本
年度におきましては、上半期が四二・二%、下半期が三三・〇ということでありまして、
昭和二十八
年度の上期に比較いたしますと、約三分の一に落ちておる、こういうことであります。それから光でございますが、光も、
昭和二十八
年度の上期を一〇〇といたしまして、下期が九〇・五、二十九
年度におきまして八七・四、下期七二・〇、三十
年度におきまして、上期が五五・一、下期三六・六、こういう傾向をたどっておりますので、これも約三分の一ということであります。なお、
新生につきましては、
昭和二十八
年度の上期を一〇〇といたしまして、下期一一四、二十九
年度の上期一五七・七、下期一九四・七、三十
年度の上半期二二四・四、下期二二一・三でございまして、大体二倍強という姿を示しておるわけであります。
これを千本
当り一体幾ら各級品が売れておるかということを示しておるのが、その右にあります「構成比」というところでありまして、同じく
昭和二十八
年度の上半期を見ていただきますと、
富士と
ピースを合せました
上級品の計が一四六であります。それに従いまして
昭和三十
年度の計が五〇という
数字になっておるわけであります。それから、光、
パール、「
いこい」を合せました
中級品の計におきまして、
昭和二十八
年度の上半期は二五一という
数字であります。これが三十
年度に至りまして一五六という
数字であります。で、
昭和二十八
年度の
上級品の計一四六と、
中級品の計二五一、これを合計いたしますと三九七という
数字になります。
昭和二十八
年度の
新生以下の
下級品を見ますと、
下級品の計のところが六〇三となっておりますので、大観いたしますと、
上級品、
中級品を合計いたしまして約四割、
下級品が約六割という
状況であったわけでありますが、これに対しまして最近の
昭和三十
年度を見ますと、
上級品の計が五〇、
中級品の計が一五六、合計二〇六でありまして、従いまして
下級品が残りの七九四、つまり八割で、上級、中級を合せまして二割、下級が八割、こういうことになっておるわけであります。
昭和二十八
年度の四対六という割合が、本
年度に至りまして二対八という割合に変化しておる、これがただいままで申し上げました
上級品から
下級品への移行の計数でございます。
なお、参考までに戦前の平
年度と普通いたしております
昭和九年と十一年の平均が掲げてありますので、これによりますと、
上級品の割合が二五、
中級品の割合が一八五、合計二一〇、残りの
下級品が七九〇、おおむね二対八と、こういうような姿を示しておりますので、ほぼ戦前の平常時に近いところにきておるのではあるまいか、こういうことであります。こういうように二十八
年度から三十
年度まで
品質の傾向が今のように移行しておりますのに伴いまして、十本
当りの
単価は、
昭和二十八年の上期は二十一円八十三銭で、それが次第に下って参りまして、現在におきましては十九円五十四銭、こういう格好になっております。なお、本数におきましては、二十八
年度の計九百六十七億本、二十九
年度一千二十八億本、三十
年度一千五十二億本と、逐次
増加は示しておりますが、
金額におきましては、二十八
年度二千百十八億円、二十九
年度二千八十五億円、三十
年度二千五十七億円と、逐次
減少を来たしておる結果になっております。
で、こういうような
状況を基礎にして考えますと、今後
売れ行き不振の
状況を打開いたしまして最大の
財政収入を確保する、そういうためには結局どうして
販売数量を確保していくかということと、
製品十本
当りの
単価をどういうようにして上げていくか、この二点に集約されると思うのであります。そういうことからいたしますと、
一つは上、
中級品に対する需要低下の傾向をどうして食いとめるかというのが第一点、さらに増大しつつある
新生に対する需要をどうして上級の他の品種に吸収していくかということが第二点、こういうように考えるわけであります。で、これがために具体的な方策はいろいろ考えられると思うのでありますが、戦前の
価格体系を考えまして、なお最大の
財政収入を確保しながら、同時に良質かつ安価な
たばこを供給すると、こういうような理想を含めまして考えましたのが今回の体系でございます。で、これらの
措置によりまして、三十一
年度の
販売収入がどの
程度になるかというのを見ましたのが第二表でございます。
この第二表によりますと、
昭和三十
年度の
見込みは、本数において千五十三億本、
金額において二千五十七億円でございます。それに対しまして三十一
年度におきましては、
ピースは本数におきまして五十一億本から六十一億本にふえる、それから
富士も値下げによりまして八千五百万本から二億本にふえる、約二倍にふえる、それから光は
ピースへ一部移行する、新しく
発売いたします「
いこい」に若干移る、こういうことを考えまして百九億本から四十八億本に減るとみておるわけであります。
パールはさらに新
製品でございますので、
販売努力を続けることによりまして五十億本から八十六億本にふえる。「
いこい」は新しく売り出すことによりまして約百三十八億本、千本
当り百二十六、一割二分ばかりの全体の
数量を
予定いたしておるわけであります。こういうようにいたしまして
新生が三十
年度におきまして四百九十四億本、約五百億本、千分比におきましては四七〇でございますのを本数で四百八億本、千分比で三七三、こういうところまで引き下げる、これによって
単価を上げたい、こういうことであります。その結果三十
年度の
見込みが、十本
当りの
単価におきまして十九円五十四銭とあるのに対しまして十九円八十銭になる。全体といたしまして増減の欄でごらん願いますれば、結局総売上代金におきまして、
昭和三十
年度の
見込みに比較いたしまして、三十一
年度は百九億円の増収になる、こういうような計算になるわけでございます。
こういうような結果、全体の専売益金の方はどうなるかという
数字を示しておるのが第五表でございます。この第五表によりますと、現在の三十
年度予算におきまして
製造たばこの売払代金は二千百八十六億円、専売益金の総計、
たばこ消費税と合せまして千五百二十五億円を
予定いたしておるわけでありますが、実行の
見込におきましては、
製造たばこの売払代金は百二十六億円
減少いたしまして、専売納付金は四十九億円ばかり
減少、
たばこ消費税の
減少も合せまして、専売納付金と
たばこ消費税の
減少の合計が六十七億円、こういう
数字でございます。三十一
年度予算案におきましては、
製造たばこの売払代金は二千百六十九億円を確保いたしますので、本
年度の
予算案に比べますと十六億円の
減少でございますが、実行の
見込みに比べては百九億円の増収、そういたしまして、結局
たばこ消費税と
一般会計への納付金を合せまして、ほぼ三十
年度の
予算と同じ
金額を確保いたしたい、それがこの欄の(C)欄にございます千五百二十五億円という
数字でございます。ただ本
年度からは
たばこ消費税の増徴がございまして、
昭和三十
年度におきます
税率は府県税と市町村税を合せまして百十五分の十五、すなわち
パーセントで申しまして一三%でございますが、これが百分の十七に引き上げられます
関係で九十一億円の増になるわけであります。その分だけ
一般会計の納付金は減るわけでございますが、本
年度までの特別
措置でございました交付税及び譲与税配付金
特別会計の繰り入れ四十四億円がすっかりなくなりますので、差し引きまして四十六億円ばかりの納付金の減になる、こういうような計算になるわけであります。
なお最後に、現在
発売いたしております
パールは、
試製品として
発売いたしておりますので、これを正式に
法律による
価格表に載せていただきたいというのが最後の点でございまして、御参考までに第四表に
発売以来の
パールの
販売状況を示してあるわけでございます。これによりますと、平均いたしまして大体月四億ないし五億くらいの見当になっておりまして、最初予期いたしましたほど売れてはおりませんが、新
製品の
発売後の
状況といたしましては成績は相当よいと、こういうように考えておるわけでございまして、これを正式に今後も売って参りたいと存ずるわけでございます。
なお、最後にこの
法律の施行期日の点でございますが、
富士と
ピースの値下げは三月一日を
予定いたしまして、その他の分は四月一日を
予定いたしております。これはまず
富士、
ピースというような高級品の
価格を下げることによりまして需要をその方面に吸引しておきまして、しかる後に「
いこい」を
発売して、これは
新生から上へ上ってくるということを期待いたしたいと、上から下ってくるのをあらかじめ防止すると、こういうような考えに出ておるわけでございます。そういう意味におきまして御
審議に
当りましても、三月一日における値下げのための
準備その他の都合もございますので、できるだけ早く御
審議を願えれば幸いと存ずる次第でございます。
簡単でございますが御
説明させていただきました。