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1956-05-22 第24回国会 参議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十二日(火曜日)    午後一時四十四分開会     —————————————   委員の移動 五月十八日委員中川以良君及び小野義 夫君辞任につき、その補欠として上原 正吉君及び西郷吉之助君を議長におい て指名した。 五月十九日委員西郷吉之助辞任につ き、その補欠として小野義夫君を議長 において指名した。 本日委員小野義夫辞任につき、その 補欠として斎藤昇君を議長において指 名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三輪 貞治君    理事            西川平治君            白川 一雄君            阿具根 登君            河野 謙三君    委員            斎藤  昇君            笹森 順造君            高橋  衛君            苫米地義三君            深水 六郎君            海野 三朗君            上條 愛一君            加藤 正人君            山川 良一君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   政府委員    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省通商    局長      板垣  修君    通商産業省通商    局次長     樋詰 誠明君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    農林省農林経済    局参事官    森  茂雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○工業用水法案内閣提出、衆議院送  付) ○特定物資輸入臨時措置法案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) ただいまから本日の委員会を開きます。  まず委員の異動について申し上げます。十八日、中川以良君及び小野義夫君が辞任され、その補欠として、上原正吉君及び西郷吉之助君がそれぞれ指名されました。五月十九日、西郷吉之助君が辞任され、その補欠として小野義夫君が指名されました。以上報告いたします。  なお、本日小野義夫君が辞任をされ、その補欠として齋藤昇君が指名されました。     —————————————
  3. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) これより工業用水法案議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 海野三朗

    海野三朗君 工業用水に関連してお伺いしたいのでありますが、水と言うてもいろいろありますが、工業方面の水についてだけお考えになって、一般下水道とか、そういう方面はどうなっておるのでありますか。工場地帯でない一般都市下水道が今日あちこちに放置されておる、つまり下水を地下に埋没してない、そういうふうな都市があるのでありますが、そういう方面通産当局としては問題としてお考えになっておられるのでありますか、どうなんでしょうか。
  5. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) いわゆる下水、この都市生活におきます各種の排水関係としましては建設省が実は所管しておりまして、私どもよく事情を存じないわけでございます。工業用排水につきましては、産業用のことでございますから、多少私どもとしていろいろな問題の処理の技術的な問題なり、あるいは地元の紛争の調整なりお世話申し上げておるというようなことをいたしておりますが、一般的な今のお尋ね下水、いわゆる下水でございましたならば、これは建設省及び厚生省の所管として御生問題として処理いたしております。
  6. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、工業用水では、つまり通産省として扱うところの範囲は建設省とどういうところで区別しておられるのでありますか、その限界点を承わりたい。
  7. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 工業用水につきましての建設省通産省との関係でございますが、これは現在設置法によりまして両方共管ということになっております。しこうして、その共管の仕方でございまするが、形式的な両省権限に即した分け方と申しますると、工業用水の供給、運営一般というようなことは通産省、ただしそれに関連いたしまする工事、たとえば今度の予算でできましたような工業用水道を布設する場合の工事よしあし、及び設計よしあし、それから設計に基きまする工事やり方指導監督というような面は建設省にお願いし、どこに工業用水道を優先的に布設すべきか、どの程度のものを引くべきであろうか、でき上りましたものの料金その他の問題をどう考えていくべきであろうか、それを指導監督するというようなことは通産省、そういう両省間の区分になろうかと思うわけであります。ただ私ども実際問題といたしまして、行政をさような権限だけで分類いたしますると今のような分類の仕方に相なりまするけれども工事施行に当りまする県なり、あるいは市なりというものが通産省にも顔を出さなければならない、建設省にも顔を出さなければならないというようなことになりますことが繁雑になりまして、また両省間の意見食い違い等があるというようなことになって、迷惑をかけてもいけませんので、設置法上から見ますると、権限は先ほど申したような分類になりますけれども、運用といたしましては、両省で合同の委員会を設けまして、そこで万事地元からの希望なり、苦情なりを聞き、あるいは計画も聞き、そして意見を述べるという、これは便宜の措置でございますけれども、さような事実運営にいたしまして、極力工事施工者等に迷惑をかけることを少くしようということにいたしております。さような連絡にいたしておるような次第でございます。
  8. 海野三朗

    海野三朗君 もう一つ、そういう際に、建設省通産省とが意見が合わないような場合がありますね。いつでもその話し合いでこれをまとめるお考えでありましょうが、意見が一致しない場合が出てくるだろうと私は思うのですが、そういう場合はどういうふうになさいますか。
  9. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 問題によりまして、お話のようにそういう場合も起ろうかと思うわけであります。事の軽重に即しまして、問題により、両省担当課長でさばきをつけ、もし万が一それでも話がつかない場合、両省担当局長同士で相談するというようなことに相なるだろうかと思うわけでございますが、実は両省間、工業用水に附しましては、ほとんど毎週定例的な打合会をやっておりまして、今お尋ねのような両方意見が折り合わなくて非常に困るというような場面に実はまだぶつかっておりませんのです。その間両方相協調いたしまして、スムーズに事務処理を行なっておるような傾向であります。
  10. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 速記をやめて下さい。   〔速記中止
  11. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 速記を始めて下さい。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  工業用水法案を問題に供します。本案衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  14. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって衆議院送付原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における口頭報告の内容、議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。  報告書には多数意見者署名を附することになっておりますから、案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名   西川平治  白川 一雄   笹森 順造  高橋  衛   苫米地義三  深水 六郎   齋藤  昇  海野 三朗   上條 愛一  山川 良一     —————————————
  16. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 次に、特定物資輸入臨時措置法案議題といたします。  本案に関し御質疑のある方は御発言を願います。  ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止
  17. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 速記を始めて下さい。
  18. 海野三朗

    海野三朗君 この特定物資の件に関してでありますが、政府特定輸入品による営利差益金を三十年、三十一年の両年度はどのぐらいに見積っておられるのでありましょうか、利益金
  19. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 三十年度はこういうふうな制度法律的に設けませんので、実際問題としては、バナナにつきまして若干の納付金行政措置処理して参りました。三十一年度はこの法律によりましてバナナパイナップルカン詰すじこ時計等を予定をいたしまして、大体十五億の歳入を得まして、これを特殊物資輸入処理特別会計へ、そうしてこれを産業投資特別会計に回しまして、重要な産業方面投資にいたしたい、こういう考えでございます。
  20. 海野三朗

    海野三朗君 三十年度はどれほど利益金をお上げになりましたのですか。
  21. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 三十年度は、先ほど申し上げましたバナナでございますが、今祖当の政府委員が参りますので正確な数量はその際にお譲り願いたいと思いますが、このやり方行政措置としてやりましたので、いろいろ手続的に不便なことがございますので、法律上の制度を改めたい、こういう考えでございます。正確な数字は後刻担当政府委員が参りますので、その際申し上げたいと思います。
  22. 海野三朗

    海野三朗君 このうちの台湾産のバナナ及びパイナップル輸入による利益差というものもやはり後刻お答え願えるわけですか。
  23. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) さようでございます。
  24. 海野三朗

    海野三朗君 この通商広報によりますると、日本商社には入札によって外貨資金割当を行なって、中国商社にはこの制限をとらないのは、これはどういうわけなのでしょうか。
  25. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 明けまして、昨年度、三十年度になりまするが、このバナナ輸入をどういう方式でやるかということにつきまして、いろいろ検討して参ったのでありまして、実はその前の二十九年度には入札によらないで定額制、つまりかご幾らというふうな金額をきめまして、これを政府に納入させるという制度をやって参ったのであります。ところが当時その金額の見方、あるいは国内におきまする市価が非常に高くなりまして、その結果定額制によりまする納付金では差益を十分に吸収することができないというふうな情勢になりましたので、これは役所で一方的にこれこれの金額が妥当だろうというふうに市価に当りをつけましてきめまするよりも、むしろ自由な価格形成、つまり入札の方がより差益の吸収を徹底し、かつ公平に行われやせんかということで入札制度を採用したわけでございます。ところが御承知のようにバナナ輸入取扱いにつきましては、華僑と申しますが、実は日本邦人が大部分でございます。中国籍のある人の組織しておりまする会社があります。中国側の申し入れがありまして、日本商社並み入札にいたしますると、かえって公平な競争ができないんじゃないかというような話もございました。また検討してみますとその通りのことがございます。つまり先方の積み出し地と比較的連絡が容易でございまするので、日本側商社よりもむしろそういう点では有利と思われる節もございまするから、これをかりに入札いたしますればおそらく相当の何と言いますか、有利な地位で入札できてわが方のという言葉は悪いわけですが、いわゆる日本側商社に落ちる量も不足になりはせんかということも気づかわれまして、またその扱い量在来からの実績によりまして大体三〇数%ということになっておりますので、これはこの際日本側商社だけを入札いたしまして、それによって落札者をきめて輸入させる。それからいわゆる華僑側の力は、これはその邦人商社平均入札値によりまして差益を納めさせた方が公平ではないかということによりまして、そういうふうに二本立の制度をとったわけでございます。
  26. 海野三朗

    海野三朗君 この中国商社にはそういう入札制もとらないで、日本商社だけに入札をやったということが果してこれは有利なんですか。もし有利であるとすれば、もう一度はっきりしたところを伺いたい。商社二つはないはずである。日本商社には入札をやって、そうして外貨資金割当を行なって、中国商社には入札をとらないということ、そのはっきりした理由をもう少し私は伺いたい。
  27. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 今お話のように商社二つはないのでございまして、われわれ華僑々々と申しますけれども、これは日本邦人が大部分でございますから、その点はお話のように差別をするのが実はおかしいのかもしれません。ただ実態は先方といろいろ密接な関係があるようでございます。従って向うの出し値その他につきまして、どうも日本側商社よりもだいぶ有利なような情報ないし仕組みもあるようでございますから、それを同じに扱いまして、同じスタンド・ポイントで入札させますと、これはおそらく向う側の方がそれだけ有利なところがありますから高く入れても、まあいわばもうけが相当あるということになるのじゃないかという点のことも考えまして、そういうふうに分けてやったわけでございます。  なお詳細の点は、あるいは私が申し上げましたことをもう少し敷衍できるかと思いますので、担当政府委員が参りましたらあるいはもっと適切な御説明ができるかと存じております。
  28. 海野三朗

    海野三朗君 政府は自国の外貨資金を、バナナ輸入割当に対して華商に割り当てる分を一括して外国公館、すなわち大使館にその運営を一任した理由はどういうわけですか。
  29. 板垣修

    政府委員板垣修君) 華僑の問題につきましては、実はバナナ割当の際にいろいろ中国大使館との外交上の問題になりまして、実績をとりますると、実は華僑相当部分をとってしまうというような問題もありまして、実は中国大使館を通じまして胡当もっと大きい比率中国側に割り当ててくれというような要求がありました。日本商社の育成の意味もありまして相当長い間外交折衝を重ねまして、二三%というふうなところで話がついたわけでありますが、そういう経緯がございますので先般の行政措置割当の際も日本側はまあやむを得ざる事情ビッド・システムを採用したわけでございますが、華僑側にそのままビッド・システムをやることが果して妥当かどうかという点に疑問がございましたので、日本側のビッドの平均価格平均値をきめまして、それによって華僑から差益を徴収するというのが一番さしあたり妥当ではないかというわけで、措置をしたのでございます。
  30. 海野三朗

    海野三朗君 どうも日本商社割当を七七%にして中国商社割当を二三%と決定したというのは何の基準によるものでありましょうか。何を基準にして割り出されたのでありますか、それを伺いたい。
  31. 板垣修

    政府委員板垣修君) 特に基準はないわけでございまして、いろいろと過去の実績とり方によって非常にまた違ってくるわけでございまするが、中国側の方の要求によりますると、たとえば三三%くらいくれというふうな数字も出てくるわけであります。しかしこちら側としてはいろいろ折衝をいたしまして、できるだけ低いところでいこう、こういうところで最後のところが二五%、日本側の二〇%くらいになりましたので、二で割ったというようなことになりましてはっきりした基準はないわけでございますが、日本側といたしましては相当中国側要求を押えたという結果になっております。
  32. 海野三朗

    海野三朗君 この二三%くらいの見当をおつけなさったその基準が、何を参考になさって二三%に落ちつきなさったかと私は伺っているのです。
  33. 板垣修

    政府委員板垣修君) 中国側が持っているだろうと思われる実績内数ということにまあなるわけでございます。ですからもし中国側の言い分を通しますと三〇%以上になる。日本側といたしまして、ぎりぎりの中国商社ほんとうに売れたという実績を抑えますとまあ二一・二%になるというところで、最後は多少政治的な妥協で決着したということになるわけでございます。しかし基準はあくまで実績でございます。ただ実績とり方によって非常に幅が出てくるわけでございます。
  34. 海野三朗

    海野三朗君 今回の割当に際しては一部制度を改正し、バナナ加工業者、または仲買業者有資格者として拡大したる理由はどういう理由によるのでありますか。
  35. 板垣修

    政府委員板垣修君) 昨年の三月までは私どもとしましては、他の輸入物資と大体同じように、バナナ輸入した実績のある者ということを基準にしてやったわけでございまするが、昨年の中ごろになりまして、バナナを加工しておりする業者から、自分たちは最もバナナ輸入には関連の深い業者であるので、ぜひ、一つバナナ輸入にも関与させてくれという強い要請がございました。私どもの方で農林省といろいろ協議をしたわけでございまするが、御承知のように台湾からバナナ青バナナで入れて参りまして、これを日本加工業者が色づけ加工するわけでございます。バナナ販売過程におきまして非常に密接な関係がある。これをあながち全然バナナ輸入から排除するという主たる理由もございませんので、この際加工業者であってしかも輸入の実力のある者には輸入をさせてもいいじゃないかという結論に達しまして、参加させることにいたした次第でございます。
  36. 海野三朗

    海野三朗君 バナナ加工業者に対してはわかりますが、仲買業者有資格者としたのはどういうわけですか。
  37. 板垣修

    政府委員板垣修君) 仲買人を有資格者としたわけでございませんで、たまたま加工業者中央卸売市場仲買をかねているのでそういう結果になったのでございます。
  38. 海野三朗

    海野三朗君 このたびのこの入札制度による割当方法は、当局は是なりとお考えになっておるのでありますか、どうなんですか。
  39. 板垣修

    政府委員板垣修君) 差益徴収ほんとうの理論的な立場から言いますると、差益のあるものはとことんまで取る。そういう点から言いますると、入札制度がいいのかもしれません。しかしながら入札をいたしますと、こういうような特殊な物資でございますので、不当に値段が上り過ぎるという点がございますので、私どもといたしましては入札制度はできるだけ避けるという考えを初めから持っております。従って昨年の三月のジエトロに対する臨時的な行政措置の際にも、政府におきまして一定の額をきめまして定額徴収という方法をとったわけでございます。ことしの三月の際にもできるならば、そういう措置を踏襲したいというふうに考えておりました。ところが今申し上げましたように従来実績のない加工業者も参加することになりましたので、その間の比率の決定が非常にむずかしい問題になりまして、できれば業者間の話し合いでその比率をきめてもらおうというわけで協議をさしたのでございますが、二カ月ばかり見ましたが、どうしても業者間の話し合いがつかないということになりましたので、やむを得ず両方輸入業者側加工業業者側の同意を得まして、超臨時的措置入札制度をしいたわけであります。しかしながらその結果はやはり多少初めから心配されておりましたように、あまりに高い値段がつき過ぎたということで、今後この入札制度をやるかどうかにつきましては慎重にもう一度検討をいたしたいというふうに考えております。
  40. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、この入札制度は、御当局ではよかったとお考えになっておるわけでありますか、やむを得ずそうやってみたがその結果は必ずしも十分ではないとお考えになっておるのか。将来この方法をまた改めていこうというお考えを持っておるのでありますか。
  41. 板垣修

    政府委員板垣修君) 今申し上げましたように、先般の入札制度はやむを得ざる経過でとったわけでございますが、その結果を申し上げてみますと、やはり輸入秩序相当の混乱を与えたという結果も見られますので、今後はできれば入札制度をできるだけ回避して、定額徴収方法へ持っていきたいというふうにただいまのところは考えております。
  42. 海野三朗

    海野三朗君 大体この入札制度政府がとるということは根本において私は誤まりでないかと思うのです。つまりインフレをあおるようなものです。高く入れた者はすなわちとれるというような、こういうふうないわゆる何と申しましょうか、政府が投機的な……、低物価政策を堅持しておる政府がこういうふうなことで入札をやるということは、私は根本において間違っておるやり方であると考えるのですが、御当局はどういうふうにお考えになりますか。昨今われわれが食堂に行って傘べるバナナでも一本七十円もする。こういうふうな、どんどんどこまで上っていくかわからない。それがつまり入札制度をとったからそういうふうになってきたと思うのです。どう考えるのですか、その点は。
  43. 板垣修

    政府委員板垣修君) 入札制度根本的に全然間違っておるとも考えておりませんけれども、私どもといたしましては、やはり需給関係でもって非常に価格が動く可能性が強いのでございます。できれば入札制度のような形をとることは今後は避けたいというふうに考えております。
  44. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまのお答えでは、この入札制度は間違っておるとお考えにならぬということは……私はそれが間違っておることだと思うのですが、いかがですか。政府自体は品物を安く国民に食わせるのがほんとうでしょう、それを入札をして高く値段をあおっていくというような方策は政府としてとるべき筋でないと私は思う、どうなんですか。
  45. 板垣修

    政府委員板垣修君) バナナをできるだけ安く食わせるという方針に立ちますならば、実はできるだけもっと多くバナナを入れればいいわけでありますが、この点は通商交渉関係もありまするし、ある一定限度制限が現在あるという状況になっているわけで、その点からも価格をできるだけ安くするという点は制約を受けているわけです。確かにしかし御承知のように数量制限をされている場合は、入札制度をとりますれば、えて価格をつり上げるという傾向も確かに起ると思いまするし、現に先般やりました入札におきましては、そういう傾向が現われましたので、今後はそういう方法をできるだけ避けたいというふうに考えております。
  46. 海野三朗

    海野三朗君 そこで私は低物価政策をとっておる政府がこういうことをやるということ、入札をやるということ自体が私は芳ばしからざる措置であったと思っております。入札をする。そんなことよりも、在来実績に徴してこれを割り当ててやるというならば、これはわかった話なんでありますが、入札制度……政府がそういう態度をとるから物価が片びっこになったりして、低物価政策が行われないのではないかと私は思う。その一例じゃないかと思う。こういうことが、こういうような入札をするという制度が私はその一例である、根本的に間違っておるやり方であると思う。決してこれは間違っていないとあなたはお考えになっておるのでしょうか。政府としてはこういうことをやるべきものではない。入札にすると人間の欲望に応じて値段を何ぼでもつり上げる、従ってそれがほかの方面に影響する。物価が高くなる、そういう傾向は誘発してはいけないのだ、政府自体が、それで私は低物価政策を主張しておる政府としては、こういうような入札制度をとったことは誤まりじゃないかと私は思うのですが、あなた方はいかがお考えになっておりますか。
  47. 板垣修

    政府委員板垣修君) 入札制度相当なたくさんの物資につきましてとりますと、確かにそういう低物価政策に反するようなことになりますが、さしあたりとりましたのはバナナだけでございますし、バナナにつきましてはできるだけ安く国民に食べさすということはもちろんいいことであるのでありますが、どちらかといいますと、嗜好品になっておりますので、それから経緯が先ほど申しました通りどうしても入札制度でやる以外に方法がないような事態にありましたので、やむを得ずやったということでございました。将来はこういう制度はできるだけ避けていきたいというふうに考えます。
  48. 海野三朗

    海野三朗君 それで私は初めに返って伺うのでございますが、三十年度、三十一年度に一体何ぼもうけようとされたのでありますか。その予定額は、お金の、もうける予定はどれだけであったのでありますか。
  49. 板垣修

    政府委員板垣修君) 私ども特定物資によりましてもうけようという考えは全然ございませんので、ただいろいろな理由輸入制限されているために不当に超過利潤が出る、これを放置しておっては社会的にやはり弊害があるというためにやむを得ず差益を徴収しておるわけであります。その結果として政府の収入が入るということになります。ただいま予定いたしておりまするのは本年度のバナナパイナップルカン詰、腕時計、すじこ、全部合して十五億ぐらいになる予定でございますが、本年度の収入といたしましてはこの四分の三程度、従って十億から十一億程度が入るということになります。それから昨年行政措置でやりました分が十億から十一億ばかり入りますので、結局本年度の収入といたしましては二十一、二億円程度になろうかと今のところ概算をいたしております。ただ、ただいまのは一応の推定でございます。今後パイナップルカン詰が少しよけい入るとか、あるいは腕時計の輸入数量ども一応今のところは過去の基準でもってやっておりますので、こういうものがふえますれば多少今よりはまたふえるということもあるわけであります。
  50. 海野三朗

    海野三朗君 聞くところによりますと、最高入札を行なって一応外貨資金割当決定後といえども政府一定基準をもって入札額を切り下げる場合があるということでありましたが、この基準は何を意味しておったのでありますか。またこの場合に入札には高額入札者に負けて失格した者といえども相当の量入札を行なった以上、業者から異議の出ることは当然であって、この場合当局はいかなる処置をとられるお考えでありますか。
  51. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 今の御質問は多分この前の入札の際一応一定価格で調整することあるべしといったようなことのお話だと思いますが、実は先ほど局長から申し上げましたように、でき得べくんば新規の方と既存の実績者という方が円満に話し合いをつけて、そうして一定額でいくというのが一番望ましいと言ったのでございますが、どうしても話し合いがつかないということで、両者の御了解といいますか、双方ともやむを得ないということで入札をやった。たまたま海野先生から御指摘がございましたように、われわれがバナナは必需物資でないと申しますものの、あまり高く取り過ぎると値段が上ることは避け得ないのじゃないか。われわれといたしましてバナナを食う者はぜいたくだから、幾ら高くなってもいいということはこれははなはだ無責任だ。これはやはりできるだけ安く食わせるということを政府としては考えるべきじゃないか、こういうことで、実は私ども一定額と申しますのは一かごについて二千円ちょっとぐらいのところを考えておったわけでございます。たまたま入札ということをやった場合に、あるいは三千円といって出される方もある。あるいは四千円といって出される方もあるかもしれない。それは皆さんそれぞれ自分の計算で、自分の責任においてそれだけ差益を納めようとおっしゃるのであるから、これはまるまる取られるということは初めから覚悟しておるのだということで、調整の必要は全然ない、そういうふうに考えるのが普通の入札でございますが、ただいま申し上げましたようにバナナといえどもある程度まで値段が安いということが好ましいということになれば、三千円の方、三千五百円の方ということでありますと、常識的なところで出されたという場合に、たまたま三千五百円出すから全部その差益をお出しなさい、そのかわりバナナは一本七十円になるのだ、というよりは、三千五百円の方も三千円の方も、たとえばその七割程度出していただければいい、こちらとしては三千円くらい取ればいいと一応計算しておるという場合に、三千五百円の方に七〇%かければこれは二千五百円ぐらいになる、あるいは三千円の方に七〇%かければ二千円になるということで、大体平均してわれわれの方が考えている程度の常識的な値段というものくらい出していただければ、政府としてはそれ以上取るという意思は、別に積極的にたくさん取りたいという意思はない。ただ入札という方法はだれに幾ら割り当てるとかいう割当を受ける人を選定する一種の便宜にすぎないのだということで、たくさん取るという趣旨でやったのではございません。初めはそういうことで一定率をかけて、五千円の方に七かけるなら三千円の方に七かける、一律にいくというようなことで、できるだけ国民に安くバナナを食べさせたい、そういうふうに考えたわけでございます。ところがいろいろ入札の時期が迫ってくるにつれまして、各入札に応札しようという方々の動向というものも、逐次いろいろな方面から情報が入ったのでございますが、応札口数の全部をこえるような口数というものが、たまたま一部の方の意思で、千口ばかりございましたが、それ以上の応札口数というものが掌握された、こうなりますとあとは幾らでも名目的な値段だけとっておいて、そしてほかの人をうんと引き離すような札を入れて、あとはわれわれの予定価格の二千円程度ということで調整してもらえば、結局一万円出すとおっしゃておりながら事実は二千円でいいのだ、みんなばらばらになっておれば、一万円出す人がおって、片一方に三千円という人がおれば、やはり一万円の人は三千円の人の三倍出さなければならぬということでいきますから、よけい出す人はよけい負担しなければならぬということになりますが、千口というものに対して千口以上一人が持っておるという場合には、その人が法外な値段をつければ全部そこへいってしまうというようなおそれが感じられたわけでございます。そこでそれは何のために調整ということをやるのか意味ないし、しかもその結果はただ特定の人だけがもうけるということになってまずいといったようないろいろな事情等がございましたので、入札の本来の姿からいって高く出すという方は当然それだけ危険負担を自分でなさっているわけである。むしろここでなまじっかな調整をすることはかえって非常な不公平を来たすのじゃないかということでやむ得ず直前に至りまして調整はしない、高く出すといった方はそれだけ全部責任を負っていただくというふうにしたわけであります。
  52. 海野三朗

    海野三朗君 結論はせっかく弱小業者輸入の資格を与えるような改正を行いながら、一方では不合理な入札制度をとることから大資本家、あるいは大商社を擁護する方法になってしまう、結果的に見たならば子供におもちゃを持たせる夢を見させたというようなことで、業者を圧迫したものにほかならぬと思われるのであります。政府が一度保護したものといえどもこういうような原因で、多くの業者に混乱、紛乱を来たすような制度はすみやかに改正すべきものと思いますが、先ほど局長の御答弁では、入札必ずしも悪くないというようなことで将来重ねて入札をやられるおそれなきにしもあらずと私は思うのですが、その点はっきりした御答弁を願いたい。
  53. 板垣修

    政府委員板垣修君) 今後のやり方といたしましては御指摘の通り確かに入札制度をとることによりまして非常な混乱もあったということを現実に経験いたしておりますので、今後は入札制度をできるだけ回避する方法考えていきたいと思っております。
  54. 海野三朗

    海野三朗君 それでそういたしますと実績を見てつまり割当制をやっていくのが私らはいいと思うのであります。そうして全体になるべく行きますようにされたらいいじゃないか、そういうふうに考えておるのですが、特別割当制をやった場合の欠点、それはどういうところを欠点として見ておられますか。実績に徴してそれを割当をしていくべきものであると私ども考えるのです。
  55. 板垣修

    政府委員板垣修君) 別に割当制度で非常に不都合があるということではありません。ただ差益徴収ということを厳格に考えますればやはり定額でございますからその間にどうしても差益で取れない部分ができてくるという点があるわけでございます。この点はわれわれといたしましてもバナナによって政府がもうけようということでございませんので、できるだけ適当なところで差益を徴収するほか方法がありません。従ってこの点を踏み切れば割当制度でけっこうと思います。ただ問題は、実績による割当実績制度をしく場合にいろいろな華商関係、あるいは従来の輸出商社関係バナナ専門輸入業者関係あるいは加工業者関係、この間の振り合いをどうしてやっていくかという点が非常に問題としてなるわけでありますが、この点は政府におきまして大体きめて参ることになりますれば、あとは実績に基く割当で不都合はないというように考えております。
  56. 海野三朗

    海野三朗君 業界がつまり納得していくような方法はどういうような方法をおとりになったならば業界が混乱しないで済むとお考えになっておりますか。
  57. 板垣修

    政府委員板垣修君) バナナに関しましてはあらゆる業者が納得するような方法は発見できないと思います。と申しますのは、すでに一部においては需要者割当をしてもらいたいという陳情もございます、一方、完全に輸入割当……実績割当をしてもらいたいという陳情も殺到しておりますので、おそらく全部を満足させるような方法は発見できないと思いますので、われわれといたしましては華商日本業者関係の振り合いをきめましてその範囲内において実績主義に基きまして差額徴収をやっていくほか方法はないというふうに考えております。
  58. 河野謙三

    ○河野謙三君 おそくなりまして済みませんが、政務次官に伺いたいのですがね。まず私の考え方を申し上げますが、為替割当をしておる物資というものは国内の需給関係から見ればすべて私は不足物資だと思います。不足物資即為替割当、為替割当即不足物資だと思う。従って為替割当をしている物資バナナパイナップルに限らず、すべてその中間において不当な利得が当然需給関係から生まれるのだと思うのですが、そういう考え方で間違いございませんか。
  59. 川野芳滿

    政府委員(川野芳滿君) 外貨割当の問題でございまするが、必需物資につきましてはこれは当然ある程度の割当をいたすことは当然であろうかと考えますが、その他の物資につきましてはあるいは外貨の不足の分もあろうかと考えます。なおただいまのお尋ねの点は、今般の差益徴収にほかの物資割当はどうかと、こういうふうな意味が含まれておるのですか、ちょっとそこをお尋ねしてみたいと思います。
  60. 河野謙三

    ○河野謙三君 私がお尋ねしたのは、たとえば大豆にしても砂糖にしてもあらゆる外貨割当物資というものは国内の需要を満たすだけの割当量がないのだから、従ってこれは国内からの需給関係から見れば不足物資でしょう、不足物資でありますから、そこに当然必要なだけのものが輸入ができないのでありますから、その中間の扱い業者というのは不当な利益をするのは出発点からきまっておるのですよ、大豆においてしかりその他も全部そうなんです。それをことさら小さな、目高みたいなざこをつかまえて、バナナだの、パイナップルを取り上げるのは私はおかしいと思うのです。なぜ通産省はもっと大きな、国民経済に最も重大な影響を及ぼすものから順次なぜ片づけていかないのか。私はバナナパイナップルをやるのはけっこうだと思うのですが、なぜもっと大きなものを取り上げないか。過去において大豆しかりじゃありませんか。この点に対する基本的な態度を一つ、これは新聞等を通じますと、通商局あたりでこれだけの外貨の保有量がふえたから、もっとAAに踏み切るべきじゃないかという主張があるのですが、この主張に私は共鳴します。必要なだけの外貨を当てがうか、当てがわなければそれだけ残ったものは不足物資でありますから、これだけのものは公定価格にするなり、支持価格にするなり、国内の流通過程において一つの秩序を保たせるなり何かしなければ、これは大資本と申しますか、輸入業者と申しますか、こういう中間の段階が、中間の段階でも国内の卸商や小売商の問題じゃない、もう一段上の輸入業者または製造業者、こういうものが不当にもうけてしまうじゃないかと、こういうことなんです。
  61. 川野芳滿

    政府委員(川野芳滿君) お説の通りであろうかと実は考えます。従いまして砂糖等におきましてもやはり特定物資に指定したらどうかと、こういうような議論も実はあったのでありまするが、砂糖は御承知のように法案を出しましたが、関税法によって関税を徴収すると、こういうふうにした方がよかろうということで法案の対象から除かれたのであります。その他のり、大豆等におきましても実は御議論があったのでありますが、しかし輸入量というものがその年々によって違う、輸入数量等がはっきりせないというような、こういうような点等から今回はこの対象から除外したのでありますが、こういう物資につきましてもさらに今後検討を加えていきたい、かように考えておる次第でございます。
  62. 河野謙三

    ○河野謙三君 じゃ別の角度からお尋ねしますが、今度特定物資に指定されたバナナとかパイナップル以外のものは、国内の需要を満たすだけの外貨割当というものは出すのですか。
  63. 板垣修

    政府委員板垣修君) 先ほどからお尋ねの趣旨私どもわかりますが、この特定物資法律の目的はいろいろな事情輸入が特に制限をされておる、そのために非常な超過利益を受けておるものの差益を徴収するということでございまして、先ほどからお尋ねの大豆とか砂糖とかいうようなもの、要するに原材料ないし生活必需物資というものは私どもは方針としてはもうできるだけできるものはAA制で、AA制でできませんでもたっぷり十分なくらいつけようという方針で進んでおります。ただ、たまたまある物資につきましては、国内の農業の関係とかいろいろな関係で十分まではいかん、九分までしかいかんというために多少マージンが出ておる、超過利潤的なものが出ておるということがあろうと思います。しかしそれはかりに適正が一割程度としますれば、二割程度のものでございます。しかしここに規定するバナナとかパイナップルというものは、相当輸入制限されておりますために三割、四割という超過利潤ができる、そういうものについて徴収しようというのが目的でございまして、ただいま御指摘のようなもっと重要な物資につきましては、私どもはできる限りAAあるいは外貨割当で十分な予算をつけてそういう利潤を発生せしめないようにするのが私どもの趣旨でございます。
  64. 河野謙三

    ○河野謙三君 それじゃ具体的にこまかい例を引きますが、紅茶輸入については外貨割当はたっぷり出ますか。それからコンニャクの粉とか精密とかいろいろありますね。バナナパイナップルなんというのは幾ら上っても国民の経済には影響がないのですよ。国民の経済から見れば影響はないのだ。ただここに不当に中間で搾取するものについて押えるということですが、国民の経済からいえば大した影響はないのだ、三倍になっても、四倍になっても、むしろ私はコンニャクの方が問題だと思うのです。コンニャクの方がとうふより過去において高かった例はない、このごろはコンニャクの方がとうふよりも高いのですよ。御承知通り食生活の改善、粉食奨励で、肉だ卵だ牛乳だといって脂肪蛋白をよけいとるというふうに変ってくれば、紅茶は決して過去のぜいたく品じゃないのです。しかるに局長は紅茶の原価と国内の消費最終価格との間にどのくらいの開きがあるか御存じですか。私はパイナップルバナナや澱粉や精密より、これらのものの方が国民経済に影響が大きいと思う、これらのものに対して方針はどうですか。
  65. 板垣修

    政府委員板垣修君) 確かにお説のように紅茶とかコンニャクというものを、通商局としての立場からいえばもう少し入れたいという考えで進んでおるわけであります。しかしながら、たとえば紅茶につきましては、国内の産業との関係からいきまして、従来は輸出用のミクシング用、まぜる用にしか入れておりませんので、そういった点から値段が高かったことも事実でございます。コンニャクにつきましても、私ども通商局の方からいえば、もう少し入れてもいいのじゃないかというふうに考えておりますが、国内のコンニャク業者との関連におきまして、非常に大きな政治問題を起しておるというのは御承知通りでありまして、そういうような国内の産業ないし農業との関係から、外貨の面ではあまり問題がなかったにかかわらず、入れがたいという点で、実は私ども悩んでおる次第であります。
  66. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) なお政府委員は通商局関係だけでなく農林経済局関係から経済局長は見えておりませんが、経済課長並びに企業市場課長も見えておりますから、念のために言っておきます。
  67. 河野謙三

    ○河野謙三君 それじゃ一つ農林省に私は御見解を伺いたいのです。ついでにこれは農林省に伺ってみたいと思うのは、コンニャクの粉の輸入を禁止する、国内のごくわずかでありますけれどもコンニャクの生産業者を保護するために押えておるのは、これは農林省の意向が強いと思う。一方において、コンニャクよりもやや生産地域の広い、生産量の多い、農家収入の多い落花生の輸入はしているのですね。落花生の何というか、先ほど申し上げたように、銀座の裏でビールのつまみが幾ら高くなっても問題にならない、だから農家が、落花生の生産をしている農民が九千円になろうが一万円になろうが、国民経済には影響がない。で、コンニャクを保護するなら同様に落花生を保護すべきだ、ところが落花生の方は輸入をやり、コンニャクの方はやっていない。コンニャクの方が国民の大衆には影響があるのですよ。こういうことで農林省の私は方針がよくわからないのだが、保護することはけっこうです。保護する一つの一貫した方針を立ててもらいたいのですが、この点について御見解を伺いたい。
  68. 森茂雄

    説明員(森茂雄君) 国内で足らない物資で、かつ農家経済と非常に関係のあります大笠とか、コンニャク、落花英、そういう物資につきましては、農林省といたしましては、需給関係とそれから生産費関係、それから取引価格との関係を見はからいまして、生産者、それから流通業者等につきまして協議会を開催いたしまして、通産当局連絡をとって、適時価格が暴騰しないように、かつ生産者に影響のこないような方途を講じておりまするが、やはりある程度の安定価格というものを検討いたしまして、農林水産物のそういうものについては、一つの基本的な方針をきめるべきものだと事務当局は思っておりますが、一つ制度的な方法は、今講ずべく検討いたしております。時々刻々の関係につきましては、十分生産者等の関係者と協議して、納得のいく方法で通商局当局連絡をお願いしておるわけであります。
  69. 河野謙三

    ○河野謙三君 どうも私は農林省は苦手でありますけれども、どうも農林省で、今コンニャクにしろ、大豆にしろ、いずれも毎日毎日の台所に影響のある問題なんですね。案を練っておられるのもいいけれども、菓子屋さんならあんを練ってもいいけれども、役所でそういつまでも案を練っておっては私は困ると思う。ここらでそろそろ、特にこの法案とは密接な関係があると思う。この密接な関係のある物資につきましては、きょうのうちにも一つ通産省と、私は何の物資を指定しろということは申しませんけれども、やはりわれわれの案には精神を貫いた一つの基本方針というものはお示し願わんと、ただ場当りに、つまみ食い的に、バナナをちょっと取り上げてみよう、パイナップルを取り上げてみよう、こんなことでは私は困ると思うのですよ。農林省についでに私は伺いたいのですが、同様に大豆におきましても、国内の大豆生産者、特に開拓農民の保護の立場から非常に大豆の輸入についての抑制をされておるようでありますけれども、これは私は米や麦と同様に、大豆からつながる油脂資源、油というものは非常に国民の台所に影響が多いと思うのですが、国内のわずかな農民の、開拓農民の大豆生産農民の保護の立場から、八千七百万の国民全体に影響のあるところの大豆の価格を、あまり輸入を押えるがため不当な価格で岡内価格を押えておくということは、私は少し行き過ぎじゃないかと思うのですが、私の意見をつけ加えさしてもらうならば、開拓農民、すなわち大豆の出産者を保護するなら、何も大豆の国内価格だけを支持しなくても、別に大豆の油をしぼったかす、豆かす、その他の餌の価格を何かの形でひもつきにして、開拓農民に恩恵を与えることによって、私は十分その開拓農民の保護というものは尽せると思うのですが、北海道の農民においてもしかりだと思う。わずかな大豆の生産農民を保護するために、国内の大豆の価格を不当につり上げる、国内の油の価格を不当につり上げておる現在の農林省の方針というものは少し合点がいかないのですが、この点については何か基本的な大豆についての御方針ございますか。
  70. 森茂雄

    説明員(森茂雄君) まことにごもっともでございまして、大豆につきましては、これはほかのその他の雑穀と違いまして、雑穀のうちでも相当な大きい物資であります。油脂の関係でも、国民の消費生活に十分関係があるわけでありまして、一定の適正な価格を法的にきめまして、それについては生産者について補償的な立場に立つが、それ以上の関係につきましては十分輸入をして食用油等の価格安定をはかる措置が必要だと考えております。そういう線に沿って、その他おっしゃるような農家に対する別途の生産費の低下措置を講ずることが必要だと思いますが、大豆に限らず、現在北海道関係でもその他雑豆についていろいろ希望があるわけであります。農林省といたしましては、農林経済局といたしましては、生産関係の局と十分協議いたしまして、安定価格措置を、生産費等を勘案しまして、そこまでは農家に補償するという目標価格協議会等の制度を作りまして設けると同時にその価格を下らない範囲内で十分需要を満たしていくという方法をとるべく、いろいろ農林省全般がそういう物資について検討いたしておる次第であります。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 会期も切迫しておりますから、そうだらだら質問しておる時間もないのですが、私は今度は通商局長に伺いますが、一体今通商局でAAに踏み切りたいという希果を持っておる物資は何と何ですか。これはもちろん他の省の意見なり、大きくは閣議の問題等もあるでありましょうけれども、あなたの方の通商局の事務当局としてこの際AAに踏み切るべきだという御意向を持っておられる物資は何と何ですか。これはもうあなたの方で一カ月前にお考えになったことと違いまして、この際は相当の勇気をふるってやらなければいかんと思う。国内の小売物価というものは上昇しておる。しかも最近は輸入物資というものは船賃が高騰しておりますので、しかもこの船賃は当分下る見込みがないということはあなたよく御存じの通り、従って非常にこれから先の本年一ぱいの小売物価というものは上る傾向に私はあると思う。そういう際にこれを押えるものは一に私は輸入物資の引き下げ、これはAAによる以外に手がないと思うのですが、この点につきまして御説明願いたい。
  72. 板垣修

    政府委員板垣修君) 実は本年上期の外貨予算を編成するに際しまして、御承知のように、外貨事情相当ゆるやかになって参りましたので、この際でき得ればAA制度を拡大したいということで、全品目について検討いたしたのであります。いろいろな国内の産業や農業の関係、それから通商交渉などの関係で急にはいきませんので、漸次一定の準備期間を置いて段階的に実施しようと考えております。さしあたり上期におきまして大きな品目で七つ、八つ、小さいので五十三、全部で金額にいたしまして六千万ドルくらいのものをこの上期からAAにいたしました。その中に入っておりますのは、多少の例外はございますけれども、鉄鉱石、毛くず、木材の一部、スクラップ、松やに、パラフィン、その他化学製品でございます。それから今後の問題といたしまして、研究の題目になっておりまするのが落綿、原皮、燐鉱石、牛脂等でございます。これらにつきましては、大体地産部局との話し合いもつきまして、早ければこの十月、おそくとも来年度からAAに実施に移せると考えております。それ以外で相当大きな物資が残っておるわけでございまするが、たとえばアバカ、羊毛、原綿、塩、大豆、砂糖というような大きなものがございますけれども、これらにつきましては、いろいろ通商交渉関係なり国内の態勢整備の問題、いろいろございまするので、いつやれるかという点につきましては、まだ確言はできませんけれども、こういうような大きな物資につきましても、引き続き検討を続けたいというような、こういうような心組みでおる次第であります。
  73. 河野謙三

    ○河野謙三君 大きな物資でいつやれるかわからないというのは、それはあなた自身の御意向ですか。あなたの方では踏み切るべきだという意向を持っておるけれども、いろいろ複雑な事情からそれがいつになるかわからぬというのですか。
  74. 板垣修

    政府委員板垣修君) 二つございます。実は農林物資につきましては農林省、それからその他の物資につきましては通産省の原局との関係で、まだ話し合いが十分つかないものがありますと同時に、実は通商局自体といたしましても、通商協定の関係上踏み切れないものがある。たとえば一番大きなものは原綿と羊毛でございますけれども、これは外貨の面からいきますと、全然国内に競合物資がございませんので、理論的にはやれるわけでありますが、これを別にしてやってしまいますと、それぞれ豪洲なら豪洲、アメリカならアメリカ、それぞれの国と通商をやります際に、全然切り札がなくなってしまう。これが世界の貿易の自由化とにらみ合せまして、一挙に全然通商上のかけ引きをなくすことがいいかどうかという点もかみ合せまして、実は通商局自体といたしましても踏み切れないものがあります。主として国内産業、農業との関係が大きなものと考えております。
  75. 河野謙三

    ○河野謙三君 とにかく原毛と羊毛は通商協定その他対外的のいろいろな関係で踏み切れない。その他のものはいずれも国内市場ですな、そういうふうに承知していいですか。国内市場ですか。
  76. 板垣修

    政府委員板垣修君) 大豆とか、砂糖とかというものはそういうことでございます。
  77. 河野謙三

    ○河野謙三君 大豆、砂糖については農林省はこの際御見解を御発表願えませんか。
  78. 森茂雄

    説明員(森茂雄君) 食糧庁、官房等から伺っておるところによりますれば、特に砂糖についてでありまするが、やはり国内の価格を安定するということを目標にいたしまして、その観点から、そういう制度ができた上で、そういう外貨割当と結びつけるということで別な観点から、大豆につきましても生産者の価格安定という面を考え合せまして、外貨面はそれに牽連して決定されるということで、ただいま食糧庁から伺っておるところではその程度であります。
  79. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一ぺん通産省に伺いたいのですが、そうするとこの法案が通りますと、指定される物資パイナップルとか、バナナとか……どういうものがありますか。
  80. 板垣修

    政府委員板垣修君) ただいま考えておりますのは、バナナとか、パイナップルカン詰、腕時計、すじこでございますが、将来たとえば韓国ノリの問題につきまして差益徴収をした方がいいということになりますれば、こういうものも入りましょうし、あるいは非常に問題のありますコンニャク、これもかりに入れていいということになりますれば、国内の価格安定、価格を調整するという意味においてこういうものを入れてよいと思います。ただいま私ども考えておりますのは四つでございます。
  81. 河野謙三

    ○河野謙三君 この指定を追加する場合にはどういう条件で追加されるのですか。たとえば中間の利潤が何パーセントをこえた場合とるとか、何かそういう基準があるのですか。
  82. 板垣修

    政府委員板垣修君) 超過利潤の基準というのは別に目安をおいておりませんが、一応異常なる超過利潤という考えでおります。従って具体的に申しますれば、やはり四割以上とかということに具体的にはなろうかと思いますが、別に三割とか、四割とかという基準をはっきりしておるわけではございません。
  83. 河野謙三

    ○河野謙三君 小さい物資についても今のパイナップルとか、バナナとかいうものよりも、もっと利潤が高いものがあるじゃないですか、ありませんか、私が承知しておるところによればあると思うのですがね。
  84. 板垣修

    政府委員板垣修君) 前に一皮資料を差し上げたと思いますが、相当そういう物資は多いようであります。そういうものは主として現在一部は例のマル特制度、特別外貨資金制度、そこで差益を吸収しております。相当大きな部分はウイスキーとか、日英協定関係の品目でございまして、外貨との関係上そういう差益を徴収するということは今できませんので、そういうものは除いてございます。従って私どもがそういう関係がなくて一応差益を徴収した方がよいという物資は、ただいまあげました四つでございます。
  85. 河野謙三

    ○河野謙三君 局長が言うのは、たとえば四割なら四割という超過利潤は輸入価格と最末端価格との開きでしょう、そうじゃないですか。
  86. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) この異常な差益というものは、一体何パーセント以上が異常かということは、実はこれは数字的にははっきり申し上げることができないのでございますが、たとえば普通の物資のいわゆる輸入業者のマージンというもの、これは大量物資、あるいは非常に量が少くて貴重な物資というものでおのおの違いますが、大体普通一%から一〇%ぐらいの間でおさまっているのが大体の物資で多いのじゃないか。いわゆるそれをこえるというものは、適正マージンよりはある程度上回ったマージンがそこに存在するというふうに推定されるわけであります。河野先生、先ほどからいろいろ紅茶とかそういう話がありましたが、紅茶、コーヒー、ジャム、マーマレードというようなマル特で入れておるという物資、あるいはウイスキーというような日英協定の関係物資、あるいはレモンその他というような、これは単に輸入価格と末端価格との開きが非常に大きいというだけでなく、輸入価格と国内の卸売価格との間に非常に大きな開きがあるというものが現に存しておるわけであります。現に一番大きいのは、この中で一番品目的に多いのは、いわゆる特別外貨の対象になっているいわゆるマル特物資と称されておるものでございますが、これは御承知のように輸出振興のためということで発足しました輸出優先外貨制度というものがかわってきたものでございまして、主として割当をするのが非常にむずかしいといったような物資について——と申しまして、外貨が楽になったと言いますものの今もう無制限に、ある程度ぜいたく品だと思われるものを無制限に入れるというほどまで日本は金持ではない。必需物資はできるだけたっぷり入れる、できればAAに入れるというところにきておると思います。ぜいたく物品につきましては、あるいは協定その他の関係で特例の必要があるという場合に量を限って入れる、それ以上はやはり外貨を節約すべきである、そういう段階にあると考えておりますので、そうしますと、どうしても特定のしぼったものについては特別利潤が発生する。そうすると特別利潤が発生しますために、非常に割当を希望する方がたくさん出てこられる。ところがそれらの品物についてどういう基準でやるかという適正な基準が非常に立ちがたいものがたくさんあるわけであります。これらの雑品的なものにつきましては、これは輸出したために五%の輸入をする権利が生ずるのでありますが、その権利を事実プレミアム付で売買するということで、その輸入権を、輸出したことに伴う輸入権を買ってきたという方に対して割り当てるという方法を、今割当制度の簡素化の一手段としてとっておるわけでございます。ところが実際問題といたしまして、百ドルの割当を受けるということのために千ドルあるいは千五百ドルと、場合によっては一万ドル近い割当切符を買ってこなければならないといったようなケースが出てくるわけでございます。そこでかりに一%あるいは二%のプレミアムを払って集めるということをいたしましても、結局その際に総額として相当大きなプレミアムを払って、そうして一応一万ドル輸入をする権利を持っているので、この一万ドルの権利をもってもうかる物資を入れたいということを言ってこられる。その他にもそういう方がたくさんおられて、割当は全部で一万ドル、そのための申請が十万ドルこられたという場合には、十分の一の当選率ということになるわけであります。そうするとせっかくプレミを出して買ってきた特別外貨の輸入権利というものは一割しか活用されない。残りの九割というものは市中で次の人に譲り渡す。譲り渡すときにある程度値段が下って譲り渡す。これは一極の必需品には絶対こういうことは許されないと思いますが、ぜいたく品と見られるようなものについては、やはりここでそれぞれ特別差益相当すると思われるものをある程度頭に置いた上で、そのプレミアムというような作業から相当その部分を吐き出しておる。従ってその特別外貨を利用して入れたという方には現実にはあまり大した純益は計算すれば残らない。そういうふうな仕組みになっているというものが大部分あるわけでございまして、その特別外貨の割当の対象になっているのはそういう理由で一応除いているというような格好になっているわけでございます。
  87. 河野謙三

    ○河野謙三君 他の委員の方々からも御質問がまだたくさんおありと思いますから私は通産大臣に伺いたいのですが、私が今まで申し上げていることは為替割当、外貨割当をしている物資というのは即不足物資なんです。国内から見れば需要に対してそれだけの外貨の割当ができないから為替の割当をしているわけですね。従って為替割当物資というのは不足物資でありますから、この取扱い業者あるいは輸入業者が不当の利益をすることは当りまえなんですよ。そこにいつも問題が起るわけなんです。私が口きたなく申しますのは大臣のお耳にも入っていましょうが、通産省の通商局というのは、非常に通商局で働いておられる人も迷惑であろうけれども、われわれ外部から通商局に行きますとまるでごちゃごちゃして闇市みたいだ。制度が悪いからこういうことになる。通商局に働いておる人が悪いとは思わない。そういう不足物資を何ら制度的に規制もしてない、価格的にも規制してないで、たまたま今度一つの規制をするのが今度のバナナパイナップルの問題だ。ところがまだこれだけじゃない。まだあらゆる物資が多少の軽重の度はあるけれども、みんなわれわれから見れば不当利益を為替割当物資というのはとっている。そこで大臣はこれだけの外貨の保有もできたのでありますから、なぜもっと思い切ってあらゆる物資に対してAA制に踏み切るとか、AA制に踏み切ることができないとすれば、今度の法律に一種目や二種目なんかをつかまえないで、そんなものはどうでもいい、なぜもっと大きく網をかぶせないかということを伺っている。私たちは決して役所を信用しないわけではないが、この法律が通って物資の指定は役所がやる。紅茶も今度追加しようじゃないか、コンニャクも追加しようじゃないか、これは一に役所の判断です。役所の判断もけっこうでありますけれども、判断の基礎は、われわれ議員として承わっておきたいのは、どれだけの利潤をとったら超過になるのか、どういう場合に追加するのか、どういう場合に品目は追加しないのか、この一つの役所が行政を行う場合に基準を伺っておかなければならない。そうでないと必ず情実が起る。バナナパイナップルが、超過利潤が目に余るから物資を指定してこの法律の網をかぶせる、これはよくわかる。今後物資の追加をする場合にはどういうのを追加するか、その基準を伺っている。その基準がない、今伺っていると、要するに気持でやるわけです。この点について大臣に一つ私は伺いたい。石橋通産大臣が大臣をしておられる間はそれはそれだけの幅を持ったものを通産行政にまかしてもいいかもしれないが、どんな見通しなり計算が出てくるかわからん。頼まれたから追加する。幅の広い利潤をとっているが、ちょっとかんべんしてやろうということになりがちだ。だから物資を追加する場合、いかなる基準において追加するか、また指定されたものは、いかなる基準においてこれをなされるかということ……。
  88. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ごもっともでございまして、私もこんなことでやって、外貨の割当ということが根本的にいろいろの弊害が起るもとですから、なるべくAA制に持っていく、AA制に持っていかないまでも、AA制に近いものにしようというのが方針ですから、大きなものについては大体その方針できているのでございますから、もう何も特別特殊物資というので、利益を削る必要がないわけです。ただ若干こまかいものがありまして、その中の今局長たちが言うたように、特別外国との条約の関係とか何とかいうのは除きまして、他のものでこれも幾割という基準は確かに今までありません。これはまたなかなか基準を作ることは容易でないかもしれません。が、これは常識判断でやっているわけであります。そこで一つ常識はずれのことをやらないということで、それ以外には今のところはないと思います。
  89. 河野謙三

    ○河野謙三君 ところが、われわれの持っている常識から見れば常識にはずれているのですよ。バナナパイナップルよりもっと幅の厚い利潤をとっている物資がほかにある。これは入っていない。どういう基準で現に指定された物資バナナパイナップルか。どういう基準でこれが指定されたか。それがわからない。非常にあなたのやっている仕事の複雑であり、むずかしいことはわかりますけれども、われわれ頭の悪い者にはやはり何かかちんといくような筋を教えてもらわないと困るのですよ。だからこまかいあなたの方の複雑なことはいいですから、私のお尋ねしているのは単純で、そのお尋ねに対して単純な御答弁をしてもらえばけっこうですから……。
  90. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 輸入価格と卸売価格というものとの間の差というものが、これが大体二割以上であるといったようなものについてずっと検討いたしていきますと、紅茶、インスタントコーヒー、コーヒーの増量材とか、ジャム、ママレード、カレー粉、安全かみそりの刃、楽器類あるいはスポーツ用品、 レモン、万年筆、バナナ、パイカン、時計、すじこ、自動車、化粧品、菓子類、ラム、ジンといったようなものが上るわけでございます。この中で初めに申し上げました紅茶、コーヒー関係あるいはジャム、ママレード、カレー粉、安全かみそり、あるいはスポーツ用品といったようなものは、これは先ほど申し上げましたように、マル特という制度で事実上差益はみんな吐き出されている。結局切符を買う際にプレミアムとして払わされている。それはそれだけ輸出業者の手に還元されているような格好になっているので、特別にむずかしく言う必要はないのではないかというふうに判断しましたので、それからあとウイスキー、菓子というものはこれは日英協定の関係差益をとればそれだけ国内で売りにくくなる。少くとも差益の分だけはコストが上ったという格好になるというので、そういうことで特にイギリスとすれば困るといった、非常にイギリスから強いなにもございまして、これはできるだけ売れるようにして一つ入れてくれという意見等もございました。それからホテル用品で外国から来た外人が、アメリカで一ドルで買える物が日本に来ればやはり三ドルも五ドルもするというのでは、評判の悪い日本の観光事業というものにみそをつけるということで、ホテルで使っているものはそれに限ってはこれは税法上でもある程度優遇しているという趣旨にかんがみまして、どうせ外人に売ってそれで還元するので、差益を取るということで高くしてまで評判を悪くする必要はないのではないかということでやって参りまして、あと残るのは自動車というのが一応残るわけでございますが、自動車は一応需要者に対して割り当てる。いわゆる輸入業者が転売してもうけるということはやっておりません。最終需要者に判り当てるということをやっておりますので、差益というのはよそに売って、転売して切めてくる差益だというのであれば需要者に割り当てるのがいいのではないかというので、結局残ったものは二割以上あるというもので二、三十品目集めまして、それで残ったのが現在の段階では何の制約も加えられていないという物資はさしあたりこの四つだということになったわけでございます。
  91. 河野謙三

    ○河野謙三君 コーヒーとか紅茶とかいうのはマル特だと言う。輸入の超過利潤を吐き出しているけれども、これは私から言わせれば通産省でそういうことになっているというだけで、実際の取引はそういうことにはなっておりませんよ、そんなものは。英国から輸入する物資でも国内市場が高くなっちゃ困るからというのはわかります。私が一番問題にしているのは、たとえば三割でも四割でも私は場合によってはいいと思う。それが流通過程において輸入業者、卸業者、小売業者からずっと三割なり四割なりを平均にマージンを判り当てているならばいいのですよ。そうじゃなくて、首根っこの方でみなとっちゃって、そうしてあとの方は一般の小売マージンと同じようにしかもらっていないのですよ。そういうことはよくないのじゃないかと、こういうのです。一方においては通産大臣は議会のたびに中小企業の対策だ、何だ、かんだ、金を貸してやるんだ、こう言っておる。中小企業の対策というものは通商局の関係じゃないかもしれませんが、問題はそういうところにもあるのですよ、中小企業の問題は。私は超過利潤が平均にまだ国内の流通過程において分けられているならいいと思うのですが、そうじゃないのです。これは大臣よく御存じだと思う。こういう問題について何か規制を加えなければ私はいかんのじゃないかと思う。それを今あなたの方で御説明のように、今言うようなことでずっと拾い上げていくと残ったものはパイナップルバナナと腕時計か何かしかない、そうすると今後追加するものはないわけですか。
  92. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) 現在輸入いたしております物資の中にはさしあたり考えているのは四つでございますが、このほかに先ほど局長が申し上げましたたとえばコンニャクとかあるいは韓国のノリとかいったようなものを、これは入れるか入れないか、これが毎年はっきりしないということで、われわれとして不確かな財源というものを当てにしてはいけないといっていますが、もし入れるということになれば特定物資に加えたいということで、実は農林水産委員会の方にもわれわれの希望としてはこれをもし入れるというふうにきまった場合にはぜひやりたいんだということは申し上げておりますが、まだわれわれの方で特定物資にすること自体がいいのか、それとも特定物資にしないで差益吸収する、そしてもっと安くさせるといったような案がないのかという御意見がありまして、結論が出ておりませんが、通産省としては特定物資に加えたいということで今各方面にお願いしているというような関係になっております。  それから先ほどのいろいろ紅茶、コーヒーとかそういう点につきましてもこれは結局現在の輸入数最の問題というものが一番マージンが高い原因になっていると考えておりますので、不急物資というものの範疇に入るものにつきましも、やはり不急の中にもおのずから順位があると思われますので、そういうものにつきましてはさらによく検対して予算上の適当な措置を講じ得るような勉強をしたいと思っております。
  93. 河野謙三

    ○河野謙三君 さっき大臣は大きなものは大体片づけたと、こうおっしゃったけれども、砂糖と大豆の問題、さっき農林省からも伺ったんですが、まだ農林省もはっきりしないのですが、砂糖と大というのはでかいのですが、これもまだ片づかぬのですね。これは大臣早く踏み切らないのですか。どういう規定か、これは一つ率直に……。
  94. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは御承知通り農林物資との関係です。それ以外にはあまりないと思います。
  95. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、通産大臣としてはこれはもうAAに踏み切るべき特別だという御見解ですか。
  96. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 通産省としてはAAに振りかえて差しつかえないと思います。
  97. 海野三朗

    海野三朗君 私は先ほどの政府当局お話の中にレモン、ああいうものを旅館なんかに割り当てておる、この外貨を。それは旅館にどの程度割り当てておるのでありますか。それは全体から見ればわずかでありますけれども、聞くところによると、旅館の方から闇に流れて市場にずいぶん行っておるようである。そういう実態も通産当局はよく御承知なんでありますか、どうなんですか。外貨の割当をやっておる旅館の、たとえばレモンとかそういうもの、外人向けの旅館に対してそれが妥当な割当をおやりになっておるとは私は考えられないのでありますが、これでいいと思っていらっしゃるのかどうか。
  98. 板垣修

    政府委員板垣修君) レモンは御指摘の通りホテル用品の全体の額の一部といたしまして年間従来十六万ドルばかり割り当てておるわけであります。これが横流れしておるかどうか、私の方で実態は把握しておりませんが、多少流れておるものもあるのじゃないかというふうに考えております。しかしながらそれについてもまだレモンというものはどうしても輸入が少くて、そのためにサンキスト・レモン一個六十円も七十円もするというような非常に高い値段、従ってそのためにレモンをめぐりましていろいろと問題が絶えないわけであります。私どもといたしましては、今後は一般割当でもレモンをもう少し入れまして、そういうふうな不当な価格をもう少し下げたいというふうに考えております、規制して。ただ生産期だけは避けまして、もう少しレモンの輸入をふやしたいと考えております。そうしますと、今のホテルのレモンの横流れ問題なども自然解消するものと考えております。
  99. 海野三朗

    海野三朗君 旅館に外貨を割り当てておるものにどういうものがありますか、伺いたい。
  100. 板垣修

    政府委員板垣修君) 大体これはホテルから具体的な輸入計画を立てまして通産省の方へ申請をいたします。その内容を査定して割り当てておるわけでございまするが、ただいまのところレモン、ほしブドウ、クルミ、口紅、香水等の化粧品、それから万年筆、それ以外にホテル自体が需要いたしますウィスキーであるとか、あるいは石けんであるとか、そういうようなものは当然割り当てておる次第でございます。特にぜいたく品と思われるもので入っておりますものは、今言ったようなレモン、クルミ、ほしブドウ、口紅、香水等の化粧品でございます。
  101. 海野三朗

    海野三朗君 その割当が妥当であるとお考えになっていらっしゃるか。その数量については、実際その旅館の使用した量なんぞについてはお調べになったことがありますか。
  102. 板垣修

    政府委員板垣修君) もちろん事後審査——割出は企業局の特需課でやっておりますが、事後審査はホテルを監督いたしております運輸省で今やっておりまして、私どもどの程度やっておるのかつまびらかにしておりません。ある程度の審査はしておると思います。
  103. 海野三朗

    海野三朗君 その監督はつまり運輸省が責任を持っておるわけですか。
  104. 板垣修

    政府委員板垣修君) 監督は運輸省が持っております。
  105. 海野三朗

    海野三朗君 それでは私はその点について伺いたいので、この次には運輸当局の御出席を要望いたします。  話が初めに戻るようでありますが、このバナナのこのたびの入札の問題については、どうして今までこういう入札というようなことをしなかったのか。今度に限ってこういうふうな方策をとったのでありますか。前にこの入札をやった例がありますか。
  106. 板垣修

    政府委員板垣修君) バナナパイナップルカン詰につきまして差益徴収制度考え出しましたのは、実は失年の三月の”行政措置からでございます。まだ二回しかやっておりませんので、もちろん過去において入札制度をやったことはございません。最初にやりましたことは定額徴収方法でいきました。それから今回の行政措置につきましては、先ほど申し上げましたように、加工業者輸入業者間の比率の決定が妥結点に至らないので、やむを得ず入札制度と、こういう経緯になっております。
  107. 海野三朗

    海野三朗君 このたびのこの入札については河野農林大臣がある圧力をかけたという話がありますが、それはどうなんですか。
  108. 板垣修

    政府委員板垣修君) そういうことは全然聞いておりません。
  109. 海野三朗

    海野三朗君 河野農相は昨年の十二月十四日、東京都知事安井誠一郎あてに、「バナナ輸入方式に関連する取引について」という農林経済の五千四十二号の命令を発しておるのであります。その内容はどういうふうな命令でありますか。
  110. 森茂雄

    説明員(森茂雄君) ただいまのバナナ輸入方式に関連する市場取引についての内容の御質問でありますが、これは農林、通産両省合議の上でバナナ輸入方式につきまして二百二十五万ドル、ジェトロに割り当てる、それからジェトロの輸入売り渡しの実務代行者を選定するというこの選定の中に入札参加者の資格者といたしまして青バナナの加工施設を所有する者、またはその使用権を有する者であって、中央卸売市場の施設について使用権等の権利がある者につきまして入札資格参加者として資格が拡充されたわけであります。その通産省当局バナナの基本方式において拡充されました入札資格者のうちのいわゆる加工業者は、市場以外の加工業者がたまたま中央卸売市場の仲介人であるということのために仲買市場外の買付禁止の規定が各当局、たとえば例をあげますと東京都の条例によって禁止されておったわけであります。従いまして、入札資格参加者を拡充いたしまして権利を与えられましても一方市場の方で禁止されておりまするので、それの禁止を解除するという内容の指導をいたしますことと、輸入により買い付けたバナナが各卸、仲買、小売の各段階を通じて円滑に流通されるように指導した内容の通達であります。
  111. 海野三朗

    海野三朗君 この河野農相が昨年の十二月十四日に東京都知事安井誠一郎あてに出したところのこのバナナ輸入方式に関連する取引についてという写をこの次まで、私は資料の提出を要求いたします。これによって今度の入札がなされた、ワクを広げられたということは通産大臣として御承知なのでありますか、これを私は通産大臣にお伺いいたしたい。
  112. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ワクを広げたことはむろん相談を受けたのであります。いわゆる加工業者というものがやはり輸入したいという非常な希望がありまして、通産省としても、これを特にそういうものはいけないといってはねつける理由がございませんし、なるべく多数の業者がこれに参加することはある意味においてけっこうだ、こう考えて許したわけであります。ところが、たまたま許したものが農林省から見ますと市場の規則に違反している、従って市場の取引人となれないということがあったから農林省はこれは通産省とは別個に、農林省としてそれを指導したことと思います。
  113. 海野三朗

    海野三朗君 そういう際に、河野農相が出さないで石橋通産相の名名前をもっておやりになるべき筋合いではなかったのですか。輸入方式に関連する取引についてという安井誠一郎あてのこの命令というのは通産大臣が出すべき筋合いではありませんか。
  114. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) この市場のことは農林省の主管と思いますから、農林大臣がその指示をすべきものと私は考えます。
  115. 海野三朗

    海野三朗君 それではあなたとよく了解の上でおやりになったのでありますか。
  116. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは輸入については通産省と打ち合せてやりましたわけでありますが、そのあとの市場の取引人の行動については、通産省は何ら関係がございません。全然農林省の主管事項でございますから農林大臣一個でそういう指導をしたと思います。
  117. 海野三朗

    海野三朗君 ことしまでこういうふうな入札ということが行われなかった。それをこういうふうに今度は入札ということがやられた。それは、その結果から見ますると非常に納得のいかざる数々が浮き上ってくるのであります。たとえば巻間伝えるところによると、この全バ連の会長福田伝三郎というのが、これは河野農林大臣とじっこんの間柄であって、これにえらいもうけをさしたという話が巷間非常に広まっておる。こういう話はお聞きになっておることでありますか、お聞きになっていないのでありますか、通産大臣にお伺いいたします。
  118. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それは河野農林大臣と全バ連のある者と深い関係があるというようなことは知りません。それからまたこれが果してもうかるかもうからぬかということは、むしろ今後の問題であるんじゃないかと考えております。それは今後のバナナ輸入の様子によりましては非常に最初もうかると思ったものが案外もうからなくなるということもあり得ると考えます。
  119. 海野三朗

    海野三朗君 この昭和三十年度のこれに対する外貨割当は四百五十万ドルであった、今回はその半分の二百二十五万ドルだけを行なってあとの二百二十五万ドルはずらして、そうして昭和三十一年度に割り当てするようにというのである。しかもこの割当時期をうんと先に延ばそうと考えて、去年は三月にわずか三百五十万ドルの割当があったきりで、この三月の二百二十五万ドルの割当までほとんど一年間外貨が割り当てられなかった。そのためにバナナの値がウナギ上りに上ってきている、大衆の口に入らなくなったのは当然であると思う。こういうふうな外貨の割当があっても、その割当をする時期の手かげん次第によってバナナがぴんぴんと値が上ったり下ったり自由自在になる。こういうところに私は非常に納得がいかざるものがあるのでありますが、そういう点を一つ説明を願いたい。
  120. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは外貨割当も、いわゆるそういう物資についてはお話のように間違えば妙なことも起る懸念は確かにございます。ですからなるべくそういうことはないように、まあ制度そのものに一つ考えを変えなきゃいかぬと思っておりますが、しかし昨年、これは詳細は事務当局からお答えした方がいいかと思いますが、バナナ輸入が何かずれてきたのは、これは特に人為的にやったのじゃなくて、台湾との関係等からおのずから半年ばかり何か輸入外資の割当かなんかがずれたようであります。しかしながら、これは今後は、今、通産省でもバナナ価格の状況を見ておるわけでありまして、この法案が通りましたらさっそくバナナ輸入をやらせたいということは、これは衆議院でも繰り返して申し上げた通りであります。
  121. 海野三朗

    海野三朗君 私は、そうして東京都知事にこの取引についてという農林経済の五千四十二号の命令を発した。そこで東京都知事に改正を命じて、これはやがて都の議会は本年の二月四日に都条例の改正を議決して、全バ連の入札参加の道を開いたというようなことと、今年に限ってこの入札のあれを実施したということ、それからただいま申しましたこの河野農林大臣と、この福田伝三郎とかいう人間の風評が立っておるところを考えると、ことしに限って入札をやったという通産当局のあり方は非常に疑問を持たれてくるのであります。これはいかようにお考えになっていらっしゃいますか。
  122. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは先ほど申しましたように、私はこういう物資輸入についてもなるべく多数のものが参加ができるようにするのがこれは公平だと考えておりまして、従って全バ連、これは決してしろうとじゃなくて、実際にバナナを扱っておる加工業者でありますから、これらの連中が輸入に参加したいという希望を非常に強く持ったということも必ずしも不当とも思いません。それからこれは何も河野農林大臣からの指示によって通産省がそういうものを入れたわけでもございません。全くそういう参加したいという当業者の非常なたっての希望であります。そしてこれは先ほど局長からも申しましたように、しからばどういうふうな割当をするかということがなかなか多数になっただけ厄介であります。そこで今までの輸入をしておった輸入業者、それから新たに入ってきた加工業者の間に何か割当についての話し合いをするようにという指導を通産省としてはしたわけでありましたが、これはなかなか話し合いがつきません。そうなればこれはいやおうなしに入札をする以外に処置なしでありますから、むしろ公平に入札したがよかろう、こういうわけで入札にしたわけであります。しかしながらその入札についてまた何かいろいろ問題が——大してあるとは思いませんが、その入札の途中においていろいろ価格がはね上る、入札価格をむやみに高くするというような風評もございまして、そこで今年の参加資格が将来も続いてやはりバナナ輸入をするところの資格になるというようなことになりますと弊害があると思いましたから、入札途中において通産省としては、今年はこれはこういう方法でやったけれども、将来においては、今年これによってバナナ輸入をした者にバナナ輸入業者としての資格を必ずしも認めない、来年は来年からの話だからそのことを十分心得ろ。それからまたこの落札価格につきましても、事務上の便宜から、入札の結果によってある一定価格にするように初め発表したのであります、これもそれはやらない、こういうことでできるだけ入札の弊害を少くするように措置したつもりであります。
  123. 海野三朗

    海野三朗君 その全バ連では、何名が入札して何名が落札いたしましたか。
  124. 樋詰誠明

    政府委員(樋詰誠明君) われわれ全バ連に認めたというのじゃございませんで、バナナ加工業者の中でみずから輸入の実務を行い信用状を開き得る実力のある人、自分で貿易をやる方には認めますというわけで発表したわけであります。その結果、一応全部で有資格者が既存の輸入業者も合せまして八百二十一社あったわけでございますが、棄権が八社ございましたので八百十三社の方が応募されました。そして三百五十四社の方々が落札されたわけであります。三百五十四のうち大体従来の輸入業者のが一割で、新しく来られたバナナ加工業者の方が九割ということになっておりますが、全バ連に加入しているという方は、この当時にはたしかまだ二百五、六十しかおられない。いわゆる加工業者という方が全部で約七百ばかりお見えになったと思いますが、その中で全バ連の加入者という方は三分の一強で、あと三分の二くらいの方は全バ連には直接入っておらない加工業者、そういうふうに承知いたしております、
  125. 海野三朗

    海野三朗君 三月十日までに納入しなければ保証金は没収される、入札権を認められなくなる、こういうのでしょう。しかしそれだけ大きな経済力もない、ほとんど取引がないから金を貸すところもなかった。ところが、突如三月十日の締切りで、しかも土曜日の昼ごろというぎりぎりに、大阪の三和銀行本店業務部長から同東京神田支店に対して約手の保証を指令してきた。全バ連はこの保証手形をもって十日の十二持前にジェトロに納めた。こういうふうな取引関係考えられますというと、ほんとにけげんな思いがするのであります。それに対しては政府当局はさらにこれは当然だと思っていなさるのかどうでしょうか。
  126. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 民間業者の問題でありますし、こちらの政府要求いたしました三月十日にきちんと納まったわけでございますから、私どもはそれでけっこうだと思っております。
  127. 海野三朗

    海野三朗君 これだけのつまり資金関係の力のない——のあるものであればもっと早くそうする、とにかくそれがぎりぎりのときになってきて、ちょうど三和銀行が保証を与えてきたというようなことが、ある筋から非常な疑惑を抱かれている。これはどうなんですか。
  128. 岩武照彦

    政府委員岩武照彦君) 全然その背景につきましては知りませんです。
  129. 海野三朗

    海野三朗君 私はもっとこれに対して質問がありますが、さきに申しましたように、鉄鋼についての質問がありますし、またほかの委員の方々からも質問がありましょうから、きょうはこれで保留しておきます。
  130. 苫米地義三

    苫米地義三君 二、三点だけちょっとお伺いしたい。この特定物資輸入臨時措置法というのは今どうしても必要なんですか。もし必要だとすればどういう目的で必要なのか、すなわち国内経済の立場からか、あるいは外貨の節約か、もしくは大蔵省の財源のために考えるのか、どちらなんです。
  131. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 何と申したらいいか——まあ国内経済のためと申すべきでありましょう。外貨の割当に特にどうという——これはむろん今すぐに行政通産省としてこの法案の成立を——急いでお願いしたいと思うのは、さしずめはバナナの問題です。バナナが今のような状況で、先般来いろいろな問題がありますが、とにかくバナナ値段というものを常態にするためには、この法案が通りましてそうしてバナナ割当をする、むろんこれは何かいわゆる過当利益というものの吸収ということも、これは政府のある程度の方針でありまして、これもやらなければなりません。過当利益を吸収して、そうしてバナナ輸入を早く開始したい、かように考えております。
  132. 苫米地義三

    苫米地義三君 特定物資の臨時措置法を出すならばもっと早く出すべきであった。大きな魚は皆逃げてしまった。すなわち砂糖であるとか、大豆であるとか、あるいは石油であるとかいう非常な大きなものは逃げてしまった。そうしてその結果として、国内には相当大きな財閥ができてしまった。そういう当然やるべかりしをやらないで、今日になって、そうしてちょうどざこが四匹ひっかかるような法案を急いで出さなければならんということはちょっとわかりかねるのですが、むしろ外貨の手持がこれだけ豊富になってきた場合には、こういう種類のものはやらないで自由にやってもそれが自然経済に合うのじゃないか、こう思うのですが、そうじゃありませんか。
  133. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) あるいはお話のように、バナナや何かもう自由に幾らでも入れるということにしてもいいかとも思います。けれども今のところじゃまだこれらは必ずしも日本に入れなければならんという必需物資とも言えないし、ある程度ぜいたく品とも認められるので、今までのいきさつもありまして、輸入をしぼっておりますから、従ってこういうものが要ります。それから砂糖とか、大豆とか石油というものは別途これは考えなければならんと思っております。たとえば砂糖のさっきも話が出ましたが、もうできるだけ早くAA制にしたい。これは農林物資等の関係さえなければ砂糖や大豆などはAA物資にして差しつかえないのではないか。もっとも多少外貨との関係がありますから輸入先を選択しなければならぬということから、全くの手放しでやっては、あるいは大豆というものもどうしても日本のものを輸出しなければならぬ関係から、買ってやらなければならぬ、大豆のさきが……こういうようなこともございますが、大体はAA制にしていいのじゃないか、こう考えておりますからそういうものは別に考えたいと思っております。
  134. 苫米地義三

    苫米地義三君 私はこういうのをやりますと必ず一方には弊害が起るのです。利益をとる人が非常に多いとか、あるいは利益の分配の不公平によってトラブルが起るとか、その間には非常な弊害も起るような事情にあると思います。たとえば適正利潤とはどういうことか、適正利潤というのは幾らあってどういう方法にして利潤をとるかということについて……。
  135. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これも先ほども御質問ございましたが、数字をもって幾らからが適正利潤ということはなかなか物によっても違いましょうし、いちずに申し上げかねるのでありますが、しかしまあ輸入商なり取引者なりが普通に物を輸入した場合にもうかる利潤よりも眼に見えて高いという程度が、実は少し腰だめな考え方でありますが……。
  136. 苫米地義三

    苫米地義三君 これが非常にむずかしいことは、先ほど入札で売るということがありますが、一人高く落札をしたという場合には、ほかの安く入れた人もみなもうかるわけです。そうすると適正利潤というものはどれと比較して適正利潤になるか、これは非常な何かでこぼこができると思うのですね。そういうのを押えて吸い上げるということは困難じゃないかと思います。ことに日用品、生活必需品とはいかんでも生活品ですから相場の移動が相当多いと思いますね。だから適正利潤というものを計算するのはこれはほとんど不可能に近いのじゃないのですか。
  137. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) その通りであります。従って根本をさかのぼれば為替の割当制というものにも非常な難点がある。だからこういうものはなるべく早くやめるということが適当だと思うのであります。幾らかぜいたく品であっても入るものは入れるというふうに踏み切った方がいいと思いますが、今外貨も相当まりはしましたけれども、なお世間では将来の貿易等について懸念もあります。また何もかもみんな手放しにしてしまうということについてもそうだれしも確信をもって大丈夫だと、永久に大丈夫だと言い切る大胆な人も少いでありましょうし、まあ大体もうそろそろいいじゃないかという考えをもって今のAA制、あるいは少くともAA制に近いものにするようなできるだけ考慮をして、その方に推し進めようとしておるわけであります。
  138. 苫米地義三

    苫米地義三君 これはわずかに四品目に限ってやる。しかもそいつはあまり重要な貿易額ではないのですね。だからほんとうはこんなものは要らないと思う。賛成したくない法案だと思う、私個人としては……。しかしもしこの法案が経済の安定をはかるという意味でもっと広い範囲でこいつを考えるというならばまた一つの目的が、そこに出てくると思う。ただ四品目だけ限って今さらあわててこれをやるというのはいかにも政府やり方はどうかと思うのですね。
  139. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは、しかし御承知のように歴史がありまして、一昨年でありましたか、私が通産省に来ますときまではこういうものを、まあ、もっとも砂糖が主でありましたが、輸出奨励の道具に使っておったというようなことで、まあ元来がそういうようなことで特殊な取扱いをされておったものが多いのでありますから、一つをやりますとほかにも時計もあるじゃないかとかいういろいろな問題が出てきますから、先ほども申し上げましたが、特に条約関係で過当利益を吸収するということができないとか、あるいはこれも歴史的でありますけれども、いわゆるマル特と称するようなものは除きましてそれでいろいろ検討した結果、とにかく一つの過渡的な処置としてかようなものを一つ一応出すことが適当だと思ったのであります。
  140. 苫米地義三

    苫米地義三君 過去において、たとえば砂糖あるいは石油、大豆なんか相当通産省としては為替の管理の立場から注意してやったと思うのですがね、それにもかかわらず現実の問題はそれによって非常にもうけて、大小の財閥、あるいは富豪というものができておることは事実なんですね。だからこれも同じことをやるのですから、よほどその点を一つ注意しながらやりませんと、社会の公正化というものは失われると思う。その点だけを私は特に御注意を申し上げて、運用する場合に特に御注意を願いたいと、そう思います。
  141. 海野三朗

    海野三朗君 鉄の問題は私この次に留保したいと思います。  それで私最後に一点だけ通産大臣にちょっとだけお伺いしておきたいのは、このバナナですね。今日この食堂でも一本七十円もするのです。私はあまりバナナは好きじゃありませんが、それだけれども、この労働者とかそういう一段階級は食べられない。あれを一般の人に食わせてやるには外貨の割当とかいう方策ではなくて、何とかバーターででもどんどんバナナを入れるような方法はないものでしょうか、どうなんでしょうか。
  142. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは自由に入れれば一番いいのです。
  143. 海野三朗

    海野三朗君 そういう方法はないものでし工うか。
  144. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ないことはないと思いますが、これはもう為替の割当をはずして、そうしてだれでもバナナ輸入したい者は輸入しろというようにやれば一番いいのだろうと思います。そこまで踏み切るかどうかというところにまだ過渡的な問題があると思います。
  145. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十八分散会