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1956-05-10 第24回国会 参議院 商工委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月十日(木曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三輪 貞治君    理事            西川彌平治君            阿具根 登君            河野 謙三君    委員            古池 信三君            高橋  衛君            苫米地義三君            中川 以良君            深水 六郎君            藤田  進君   政府委員    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○百貨店法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) ただいまより本日の委員会を開会いたします。  百貨店法案を議題といたします。本案について質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 阿具根登

    ○阿具根登君 最初から私は質問していきたいと思いますが、第二条でですね、百貨店業というものをここにうたわれておって、大都市において三千平方メートル、あるいはその他の土地で千五百平方メートルのものを対象にしてあるようでありますが、それではこれは同一資本系の人がやっておって、たとえば資本は同じであっても、名義は変るとか、あるいはそうでなくて、そういうような形態の人が、その付近にこれ以下の百貨店を作る場合はどうなのか、その点を御質問申し上げます。
  4. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ただいまのお尋ね、たとえばこういうケースであろうかと思うのでございます。中小商業者が集まりまして、同じ場所を、ある建物同一にしまして、その中を間仕切りして、物品販売業を営むという場合があろうかと思うのであります。営業行為そのものといいまするか、間仕切りをしました店舗そのものは、それぞれの人が各人がやっている、ただ建物同一にしているというだけでございますれば、営業主体というのは、やはり個別のそれぞれの人が営業主体であるというふうに考えるべきものと思いまするし、本法適用がないものと考えるわけであります。そうでなしにだれか大きな資本の持主が、建物を建て、それから中の間仕切りは人に商売をさせているが、しかし商売責任建物を建て持っている人がやっている、いわば委託でやらせておるといいますか、というような形になりますればそれはその建物店舗全体の大きさが法の規定する限度を越えておりますれば、それは本法の規定の対象になろうかと思います。前にあげました例で申し上げますれば、これは私正確につかんでおりませんが、北海道でさような試みがあるようでございます。これは私どもある意味におきましては、中小商業者商業振興策としてむしろ推奨するといいますか、やらせていいようなケースじゃないかというふうにも考えられるわけであります。あとのようなケースは、これは専門家をかりにいろいろな人を呼んできたといたしましても、自分責任でやっておるのでありますので、自分の店員、自分の使用人ということではないにいたしましても、自分責任でやっておるということでございますので、これは法律適用を受けるというふうに相なるわけでございます。
  5. 阿具根登

    ○阿具根登君 二つに分けて御説明がありましたが、前者のやつは私もそれで肯定いたしますし、そうでなければできないと思いますが、後者の方の解釈、たとえば千五百メートル等の大きな百貨店を建てるのだということじゃなくて、あるいはそういう百貨店増改築をするということではなくて、そうしてそれ以下の増改築にまさるようなものを建てる場合、これは完全に別個なものであるかもしれませんけれども、その間は廊下を通じるとか、あるいは全然別な名義ででも同じようなことをやって増改築以上のことをやる、こういうときにどうするのですか、これは同一、たとえば名称を言えば三越なら三越増改築をする場合にはこれは許可が要る、これは許可しなければできない、ところが三越じゃない、しかし増改築以上の今やっておるやつを別個な名前で建てる、そうしてこの営業をやっていく、そうした場合は同じことをやっておってこの法律で禁止できるかどうか、これを聞いておるわけなんです。
  6. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 多少この定義のところのこれの仕組みから、まず御参考に解説の意味で申し上げたいと思います。この場所制限、大きさの制限というのは、この法律にはこういうふうに書いてあると思います。ある人がどこかで六大都市の場合には三千平方メートル以上、その他の都市では千五百平方メートル以上の店を持っておればその人は百貨店適用を受ける、その人が持っているそれ以下の小さな店であろうが何であろうがこれの適用を受けると、そういうふうな仕組みになっておるのでございます。千五百平方メートルといいますと、坪数にいたしまして、約四百五十坪ぐらいのものでございます。三千メートルはその倍でありますが、わかりやすい例で頭にイメージを描いて申し上げますれば、東京で申し上げますれば、銀座の松坂屋の前にございます小松デパートというのがございます。あれは二千平米ぐらいでございまして、あれは東京では百貨店法律適用を受けない大きさのものでございます。それから新橋の駅の下でこれは何とかデパートと言っておりましたが、最近どっかに買収されたという話でありますが、かりにあれが独立しておるといたしますれば、あの大きさが二千平米弱でございます。だから地方ではあれよりもう少し小さいものが適用を受けるというまあ法律の建前であります。そこで今阿具根先生のおっしやいましたのは、ああいうのを一人でやらないで、それぞれかりにあの大きさのものを二人で分けるといいますか、二人で分けておれば、隣合せで二人で経営するという場合には、法律適用にならないことになるのじゃないかというお尋ねであろうかと思うわけでありますが、文字通り隣合せをしておりまして、二人で経営しているということでございますれば、お尋ねのごとく法律適用は受けないと思います。ただそれがすべての施設を共同にするといいますか、脱法的な意味二つにしているという形でございますれば、脱法脱法でないかということは、経営の仕方といいますか、あるいは経理の仕方といいますか、そういうようなところでボロを出すということはあるだろうと思いますが、包み紙一緒にしておる、計算を一緒にしておるというというようなことが、脱法のために二つの店のごとくしておりましても、それはやはりほんとうにそれが一体のものでありまするならば、どこかでボロが出るというようなことにはなるのじゃないか、文字通り一緒でございますると、法文適用は受けないということになろうかと思うわけであります。
  7. 阿具根登

    ○阿具根登君 いや、どこかでボロが出るという、そういうゆうちょうな問題でなくて、そういうことができる、これを規制してあるのは審議会だけだと僕は思うのですよ。審議会性格によって、一つの大きなデパートがここにあるのに、また横にそんなデパートを作る必要はないのじゃないか、デパート適用は受けないけれども、デパートに類似するそういうものは作らなくていいじゃないかということで私はここで押える。しかし抜け穴になっていてそれで押えられないところがこれにありはしないか、法は作ったけれども。そういうようにグルでやっているとかやっていないとかは別にして、そうして同じ営業を同じ場所で——同じ場所というのは紙一重か道一重のところでやっているということは、同一資本内のものでやるのと同じだ。要するにこの目的は中小企業に与える影響を考慮しての法律なんですから、だからその意味からいけば同じことになるじゃないか、いわゆる今は三千平方メートル以上の大きなところが増改築をやっておるのでさえも、これからは許可制でなければできないぞというこの法律ですけれども、それはこういう逃げ道があるじやないか、それはどうするか、こういうことなんです。それを同一資本内で同じ経理内容でやっているならばすぐわかる、それはもちろんそうですけれども、そういうことをやる人がそういうことをやるはずがない。そうすれば、いわゆる一つ商業提携といいますか、同じようなことをして客を集める、集めさえすれば必ず売れるということは当然なんです。それでかさもささんでいい、ただ紙一重だということになって、そこに合流ができるということになれば、同じ店舗だということに考えられるのじゃないか、そういうことはどうして押えるかということなんです。
  8. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 少し私感じが違うかと思うのでございますが、百貨店営業のあり方から見まして、百貨店拡張工事許可制になったからと言いまして、隣の場所にだれか別な人のごとき顔をしてもらって自分の店の売場面積を拡げるというようなやり方をしてみる、そうして自分のところで扱わない品物をその拡張したところで売ってもらうというようなことをやりますことの実益をそんなに感じますかどうか、私は百貨店営業性格から見まして、そこまでは頭を回さないのじゃないか、また回してもその値打がありますかどうか、相当疑問があるのじゃないかというような気がするのであります。たとえば三越なら三越があの近所の横を借りまして、三越ではないのだ、ほかの商店なのだという形で地下道を通じて通り抜けができるとしたとしましても、そういう形でやりましてお客さんとしましても、確かに地理的に便利だ、つながっているということがあるとしましても、百貨店営業お客の方から見た立場と申しますか、三越ならばある程度値段相応品物を売っておるだろうという信頼感があるとか、そういうふうなものから三越では買うが、隣は名前の違った店なのだという場合に、お客の方が魅力を感じますかどうか。逆に三越の方として、そういうことまでして広げるということに営業的な魅力があるものかどうかその辺は相当疑問じゃないかという私は気がいたします。法律をもぐろうと思えばいろいろな悪知恵の出しようがあるのかとも思いますけれども、これは一つの客商売でございますから、一つの信用と申しますか、いろいろな複雑な要素が背景になっておりますから、百貨店営業に関してその種のことをやる意味があるかどうか、相当疑問に思うのであります。その方面の実害が起るというようなことはないのじゃなかろうかという私は気がいたします。
  9. 阿具根登

    ○阿具根登君 この法を作った精神から言えば、もう日本百貨店というものは一応の限界にきておるものと思うし、それ以上ふえるということは中小商店を圧迫することが非常に大きくなってきたということに立っておる、だから、百貨店側の人の意見を聞いても、百貨店というものはこれ以上はもう拡張できません、もう一応限界にきておる、学者の意見もそう言っておる。日本の実情から見ても、もう百貨店というのは大体限度だろうということで意見も述べられておるわけなのです。それから見れば、たとえば形をかえてAならAという百貨店がある、これが百貨店を作ったところが、いわゆる非常に交通に便利な所に作ったけれども、より好都合にするために今度はその周辺に広場を作ってターミナルを作る、非常に便利な場所にしていくということも百貨店一つ政策だと思う。百貨店自体はやらなくても、たとえば私鉄が客を運ぶためにすれば百貨店は非常に助かる、そういうような場合にはどうする。前段に言った法の精神から解釈して、これは自分個人の使用しておる土地に、これが勝手に契約してターミナルを作ったところだから仕方がないじゃないかと、こうおっしゃるのか。ターミナルを作ってより以上にお客百貨店に吸収するような政策であるならば、この法に違反しておるのだ、中小企業をより以上に圧迫するのだからそれはできないのか、こういうお考えか。一つの同じ業者ということを、同じ種類の品物を売っておるということになるならば、そういう答弁になりますが、全然別個なやつで、そのために百貨店は非常に有利になる、こういう場合はどうしますか。
  10. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 私どもこういうことがある程度考えられるのじゃないかという気はいたしておったのであります。百貨店が、まあわかりやすい例で申し上げますならば、たとえば三越なら三越、われわれあまり地方のことも知りませんですから、頭に描きやすいので申しますが、三越が本店であれだけの商売で繁盛をいたしておりますが、これがあの上、今七階か八階かと思いますが、一番上の方ではある種の劇場を持っておりますが、もっと上に二階か三階か拡張いたしまして非常にお客誘引に有効な何かのことをやるといたしまして、これが相当はでに盛大にやるというようなことになるといたしました場合に、それが誘引本位だけでは商売にならない。それ自身もいろいろなことをやります。何をやりますか、映画なら映画、あるいはダンスホールなら、ダンスホールというようないろいろなお客誘引するような施設をやって、それ自身もやはりそろばんに合わなければやたらにはできないかと思いますが、相当盛大なことをやる。それがお客誘引本位になります場合に、まあ度が過ぎると言いますか、度が過ぎるような場合には、場合によって第九条の勧告で客寄せはそんなはでなことをしなさんなというようなことを言う場合もあるのではなかろうか。実際そんなことはわれわれの頭の上だけの考え方のようですけれども、どの程度できるのかわかりませんけれども、そういうことはあるのじゃなかろうかというような考え方があるわけであります。今お話がございましたような私バス交通施設を、デパートの前に停留所を設けると言いますか、というようなこと、これはデパート相当お客さんも来ますわけでございますから、どうせほかの停留所との間隔の関係でデパートの前にすぐ近くに停留所ができることの方がお客さんにも便利でございましょうし、その程度ならば何ということはない。これは東京でも大ていのところは、われわれの住んでおりますところでも、三越前とか、高島屋前とかいうような所に停留所があります。これはまたかえって変な所にありますれば、相当お客はそこから、停留所から歩かなければならぬということで、交通を混雑さすというようなこともございましょうし、多少の、そこまで押えるということは問題ではないかというふうに考えるわけです。しかしやはりその種のことも程度問題だろうと思うわけです。施設と特約するといいますかしまして、今までの施設バスといいましても、かりに私パスが何本もの線を持っておるといいますか、東の方に行く路線、西の方に行く路線、南の方に行く路線、北の方に行く路線、いろいろ持っておるとしますと、今まである場所を変えまして、デパートの前にほんとうバスターミナルを移しがえしてデパートお客さんを引き寄せること、それをまあ私バス経営者営業政策といいますか、営業政策からお客の動向、交通事情を見て、それの方が営業政策上得なのだということでやるなら、それを制限するというようなこともできないかとも思いますが、デパート側場所は私の方で買ってやるからこちらへ来なさい、建物は私の方で作ってやるからこちらに来なさい、かりにそういうようなことまでして、お客全体の交通事情といいますか、まあ勤めとかいろんなお客の本来の移動の便益を犠牲にし、デパートお客誘引するためにデパート側がそれに経済的な負担もして、というようなかりにケースがあるとしますれば、まあケースバイケースで見なければわかりませんが、相当問題になり得るということはあろうかと思うわけです。実はまあ頭の中で考えておりますからいろんな、ぴんからきりまでいろんなことが出てくるようにも思われるのですが、それのケースバイケースでと申しますか、実態によって、場合により九条の対象になり得ることもあるのじゃなかろうかというふうに考えております。
  11. 阿具根登

    ○阿具根登君 非常にむずかしいところでもあると思いますが、どこをとらまえていいかわからないような御答弁ですが、私もたくさん知りませんし、局長もあまり御存じないと思うのですが、問題は百貨店のある所が野中の一軒屋に百貨店があるわけじゃない。やっぱり便利な中心地にあるわけなんです。そうするとそこにバスがとまって不合理だというような所には百貨店はないのです。たとえば新宿の三越なんかはあそこの前にとまっても当然だけれども、もう道しかないわけです。それは伊勢丹の前にもとまる。ところが伊勢丹の裏は広々として伊勢丹自分敷地内に自分のところのお客さんの自家用車を入れる所まで持っている。そこにバス停留所まで持っている。たとえばこれを開放して一つの大きな駐車場にしたら、そういうような場合には、それはお客さんのためにもそう悪いことではない。何も三越前へとまらんでもお客さんはあそこまで行ってもいい。また商店の前にとまらんでも道の片隅にとまらんでも……。全部入れかえましてそれが設備されて建物が全部できて非常にりっぱなセンターができるかもしれない。そういうふうな場合でもあなたの解釈ではこれはわざわざ不便な所にバス停留所を作ったということにはならないのだ。どこの、私は百貨店だってわざわざ不便な所に自動車をとめるようにした、バスをとめるようにした、そういう百貨店はないと私は思う。しかしそれによって受ける影響というものは、この百貨店に非常によくなるだろうし、今度はその中間商店街、これは非常に圧迫を受けてきやしないか、こういう考え方なんですね。ただ一本の道路であって、しかも四つかどがあって、これは四つかどだからバスの終点だから……、そんなことは当りまえです。それでしゃにむに百貨店のない方へとめろ、そんなことをやるのではないのであって、百貨店の方から施設をやるとか、敷地を提供するとか、そんなことはないでしょうけれども、その土地の売買とか、あるいはその他の問題については相当相互が利益をしてくる傾向にあるが、実際はその中間中小商店には非常な影響を与える、こういうことがありはしないかということですね。
  12. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 百貨店……。
  13. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 少し大きい声ではっきり言って下さい。聞き取りにくいですから……。
  14. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 百貨店営業といいますのは、これは相当多数の消費者がある場所都市といいますか、という所しかおのずから発展しない性格の所だと思うが、同時にこの大都市になりますれば、百貨店拡張しようとしてもなかねかむずかしい問題も含んでおろうと思います。これはまあよその例を申し上げて恐縮でございますが、アメリカの例をいろいろな人から聞いたところによまりすと、百貨店営業はある意味ではすでに限界にきました。と申しまするのは、アメリカ自動車の国といわれながら、自動車置場のない限り利用価値がないというようなことになりまして、たとえばロスアンゼルスならロスアンゼルスには、一番中心街には幾つかのデパート日本のちょうど銀座通りみたいな高層建築デパートが建っておって、それが利用者である買手から申しますと、自動車置場も不便というようなので、そんなものを用意していないというようなところからも、もうある限界があって、それ以上伸びないということになっておる。むしろデパート拡張します際には、住宅街中心にといいますか、小さな販売所というものがせいぜい二階建ぐらいのものの販売所を分散的に持っておるというような傾向になっておるというようなことを聞いたことがございますが、これはもう日本で考えましても、大都市の場合には、やはりいろいろの変化を来たしておると思います。まあ東京を考えてみまして、銀座街というのは、消費者から見ましても今の日本東京交通条件を見ますと、わざわざ銀座日本橋通りまで出て行くのはおっくうだというような交通事情から、おっくうでかなわないという面から、むしろ東京で発展しつつございますデパートは旧市内といいますか、周辺地区の方が伸びつつあるというような傾向がその種の現象を示しておると思います。やはり非常に複雑な要因からこのいろいろな変化がきておりますが、今、阿具根先生のおっしゃったことに対しては、私の今申し上げたことは答弁になっていないかと思うのでありますが、ただこの法律をある局部だけをごらんいただきまして、法の大精神から見れば、百貨店がやたらに伸びるのは好ましくないから押えるということにしたのではないか。だからこういう現象があったらそこまで押えるようなことは考えぬでいいのかというように言われますと、この法律はまあかゆいところに手の届くようなことは何も規定していない。そこであるいは阿具根先生にしかられるような程度のものでしかないということも言えるかと存じますけれども、大づかみにごらんいただきまして、百貨店活動が野放図にはできない。この新製拡張あるいは出張所等設置等を押えておる。そういう形において広く国民経済全体として見ました中小企業者百貨店とのなわ張りといいますか、活動分野の調整をやっておる、そこに大きな効果があるというふうにごらんいただきたいと思いますが、ある店、そこの条件というふうに一つ一つ見まして、状況の変ってきた場合にそれもどう規律しなければならぬ、押えなければ不十分ではないかというふうにつつかれますと、多少問題はあろうがと思いますが、しかしそのデパート売場面積そのものはある限度に押えられておるといたしますと、それが発展し得る限度というものは、おのずから、そこに大きなところは押えられておるという点で、限界もあろうかと思うのでございまして、個別の場合、百貨店側がいろいろな知恵を出して、大筋は押えられておりながら一歩でも二歩でもというような、商売が繁盛するように、また消費者をひきつけるいろいろなことが今後あろうかと思いまするけれども、しかし大局的に見れば、まあたかが知れておると思うので、そういうことがまたこの法律効果ではないかというふうに考えております。
  15. 阿具根登

    ○阿具根登君 この法律が審議されるようになってから、いわゆる百貨店側はあらゆる手を打ち尽してあるわけですね。御承知のようにもう拡張する、ころは、ほとんど拡張はもう今後何十年とせぬでいいくらいの拡張準備をやってきておる。しかも完成、未完成を問わず昼夜兼行でやっておられる。そうしてそれ以上にまた今度は別個な姿では、そういうふうにしてたとえばターミナルを作るとかいろいろなことをやられておる。とすれば、法が考えておるものは何も生きておらない。いわゆる法が制定されときには、もうすでにそれ以上のことはできないくらいに全部でき上ってしまっておるのであって、何もないようになった、こういう格好になりはしませんか。そこでそういう大綱は押えて、これは中小商店の方も考えなければ私はできぬと思うのです。法律を一本出してそうして自分のところはのうのうとやっていけるなんて思ったら大間違いなんです。先ほど言われたようにアメリカの問題でも、日本だってそうなってくると思う。なるほべく自分の近くで、自分の必要な品物を手に入れるのは消費者念願なんです。しかも安くていいものを手に入れるのが消費者念願なんです。そうなってくれば、中小商店街ももう少し考えて、大資本が投下されようとしても、それに対抗するだけの準備をしなければならない。大資本を投下すればするだけその利潤を大きく持っていこうとするから、必ず中小商店のものと見比べて値段を考えていくと思うのです。そうなってくると今度は消費者側は大商店中小商店のけんかの中に巻き込まれて、どっちも自分の生活を守らなくてはいかぬから、消費者にその負担がかけられてくる。消費者はこれではやっていけないからというので、自分たちが生活協同組合を作っていけばどうなるか。こういうことを考える場合、私は中小商店も十分考えていかなければ、一つ法律で、これで自分たちが満足だといって、のうのうとしておったら、消費者からボイコットを食らうぞと言っているわけですが、しかしそういう中にあっても、大資本の圧迫がこれ以上続けばやっていけないというから、こういう法律になって現われてきたわけです。そうすればもう百貨店というものは今からまたまたうんと広げて、もっと利潤を追求しなくても十分やっていけるように、現在なっておる。私はそう思うのです。そうするならそれをもう少し、この法をきめるならば、規制して、そういう抜け穴がないようにしてやってこそ初めて法を作ったということになると思うのです。そこで私が言っているように、たとえば増改築の場合でもこういう審議会の議を経て審査しなければできないはらば、ターミナルその他でも自分の方に利益のあるような、中小商店に圧迫を加えるようなものならば、全部これは審議会の議を経なければできない、こうはっきりしなければならないと思うのですが、それはどうですか。
  16. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 百貨店が顧客誘引のためにいろいろなことをやるかもしれない、これ以上お客に便利になるようなことをしてはいかぬぞというわけにも参りかねるのではないかという気もいたしまするし、またどういう手だて、どういうことかということを法律で規制します以上、これはもともと百貨店法といいますか、商業活動というものは非常に複雑なものでございますので、それを大筋を押えていくという建前で法律ができておりますわけですが、今阿具根先生のおっしゃるようなお気持はわからないこともないのでありますけれども、これ以上客を引き寄せるようないろいろなことをしてはいかぬぞ、さような法律が書けますか、書けませんか、何をしたらしかられるのかということが明確でない法律というものはなかなか問題がございますわけであります。法律にすべてを依存するといいますか、ということにはなかなか世の中のことは片づきかねますわけでございます。ある程度は法のできます……幸いにしてこの法律通りますれば、法ができた精神ということから、百貨店側の常識を持った自制と申しますか、それを期待するということでないと、機微なところはなかなか行きかねるのではないだろうかというふうに考えております。
  17. 阿具根登

    ○阿具根登君 私が言っておるのは、増改築以上に、増改築の場合は今度はこういう審議会の答申を経て、大臣の許可も受けなければできないということにやっておるが、それ以上に中小企業中小商店を圧迫するようなことがあった場合にはそれは適用されておらないがどうか、どうするかということです。法の精神からいうならば今の六大都市で三千平方メートル、それ以上は少しでも増改築の場合はこれは許可を受けなければできない、地方も千五百平方メートル以上はその通りなんです。ところがそれ以上に中小商店を圧迫するようなそういうことが考えられる場合には、法の精神からいくならば当然これは審議会の議を経て許可を受けなければできないというふうに思うのですが、それもどうもそこまでするとおっしゃると私はこれはこの法の精神が違ってきているのじゃないかと思うのですが。
  18. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 私もそれに関連してちょっとはっきりしておきたいと思うのですが、これはもともと別に出ておりました永井勝次郎君外数名の人々の提案にかかる別な百貨店法の第七条に「国、地方公共団体及び公共企業体は、百貨店業者に対し、その所有する施設店舗として使用させてはならない。」こうありましたが、この法律案を撤回する条件としてそのことが付帯決議に入っている、ところが、その付帯決議の文章を見ましても、政府は国、地方公共団体あるいは公共企業体の土地建物というふうになっておるわけであります。ところが、逆に今度は私有地に百貨店業者が建物を作って、そうしてそれを私鉄、私バス等に貸与するということがあり得るわけです。そのことを今阿具根委員は繰り返し聞いておられるわけですが、それについては審議会許可によるか、あるいはこの本法第九条による勧告によって顧客の送迎その他の営業に関する行為だというふうにはっきり判定のできる場合においてはこれを中止させるとかいうような勧告をするのかどうかということをば聞いておられると思うのです。非常にはっきりその点を……、これはケースバイケースだ、そう簡単に言えない場合もあると思うのです。消費者の面からいえばそれが便利なことがあることもありますから一がいには言えないが、それが今の料金では割引をするとかいろいろなことで顧客の誘引政策と見える場合においてはこれは第九条によって勧告しなければならないようになっておる。そういうふうにするのだというふうにおっしゃっていただけば阿具根委員も了解されると、こう思うのですが。
  19. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 社会党案が撤回に衆議院でなったようですが、社会党案の掲げておりました趣旨というのは、国、地方公共団体、公共企業体がその所有する施設を、ということでございましたが、全度の撤回に関連します付帯決議では施設のほかに土地まで加わっておりますが、いずれにしましても国、地方公共団体、公共企業体というのはこれは私のものではない、国民のものといいますか、国民のものをある一人の商業者に利用さすということはけしからぬといいますか、という趣旨からこの条文もできておったわけでございまするし、また付帯決議もそのような趣旨で作られたものと私も解釈いたしておりますが、今お尋ねのございましたのは、国なり地方団体なり公共企業体のものではない個人の営利会社のバス会社であるとか、私鉄会社であるとかということであろうと思いますが、そういうお尋ねでございますが、これは小売商にある種の影響を与えるということは言えるとしましても、法律そのもので規制するということにはやはり国、公共団体と違いますので、おのずからそこに限界があるのではないかということは一つやはり頭に置かなければならぬ大事なポイントであると考えるわけであります。しかしそのやります行為が、ただいま委員長がおっしゃいましたように、百貨店側が特別の割引行為とか、その他の経済負担をしまして、特殊の施設をするということになりますれば、私どもが政府案で考えておりまする第九条の小売業者がとうていまねのできないといいますか、顧客誘引の措置、「営業に関する行為」ということで、第九条の勧告の対象にはなり得る場合が非常に多いのではないかというふうに考えるわけです。第九条には例としてあげておりまするが、顧客の送迎をしてはいかん。戦前にはそういうこともあったわけでございますけれども、無料バスデパートが持っておって、もよりの駅との間を送迎するというようなことをやっておったわけでありますが、戦前に百貨店法もでき、百貨店の自制によってやめて、幸いにして今そういうことがなされていないわけであります。この種のサービス行為といいますか、消費者に対するサービス行為ということは、小売商に及ぼす影響から見て度の過ぎたものであるということで、現在はありませんが、万が一戦前にあったようなごとくあった場合には、そういうことはやめなさいという対象にしようということをいたしておるわけであります。今委員長のおっしゃったようなケースでございますれば、これに近い設例のように感ぜられるわけであります。大筋としましては新規の拡張許可制になりまするので、やたらにそんなことを行うとも思いませんけれども、万が一さようなことがありました場合には、具体的の実情に即しまして第九条を十分に活用して参りたいというように考えます。
  20. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はこのまず根本問題から伺いたいと思うのです。この法律の目的は一体何です。どこにあるのです、この法律の目的は。
  21. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 第一条に目的を書いておるのでございますが、「百貨店業の事業活動を調整することにより、中小商業の事業活動の機会を確保し、商業の正常血発達を図り、もって国民経済の健全な進展に資する」まあさらっと申し上げますれば、日本中小商業者の現在の状況にかんがみまして、また百貨店の最近におきまする拡張の状況が、国民生活がだんだん伸びて行き、消費購買力がふえて行く、それに相応してほどほどに百貨店が伸びて行く、中小企業者もあわせて一緒に並行して伸びて行くということならなんということはないのかもしれませんが、最近の傾向百貨店側だけ伸びて、という形で、それが中小商業者の分野に食い込むというおそれなり傾向がありそうでございますので、その間をほどほどのところに調整していこうというのがねらいであります。
  22. 河野謙三

    ○河野謙三君 要するに、より具体的に言うと、百貨店の進出によって中小企業の売上高が減ってきた、従って中小企業経営が困難になってきた。こういう傾向を是正するために百貸店の拡張、進出を規制していこうと、こういうこと並んでしょう。ところがこれを数字的に伺いますと、あなたの方からいただいた資料によりますと、通産省の統計並びに東京都商工統計速報、これによりますと、百貸店の売り上げと小売商の売り上げの比率というものはちっとも変っていないのですよ、これ。たとえば昭和二十八年の九月には百貸店と小売商との売り上げの比率というものは、百貸店は五・九三%なんです。ところが三十年の、昨年の九月は五・八二%なんです。むしろ百貸店の売り上げ比率というのが下っておる。売上金額も同様に二十八年と三十年と比較しまして百貸店の売り上げが高くなって小売商の売り上げが低くなっておるという、数字だけから見ればそういうものが出てないのです。こういうこの数字に基きますと、今あなたがおっしゃった根拠というものがないのですがね、これは一体どういうのでしょう。
  23. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 全国的にながめてみました場合には、ある程度今河野先生おっしゃったようなことも言えるかと思います。それはまた今後の運用にも関連するわけでございます。地方都市の発展に伴いまして、ある程度都市の大きさになればその町にはデパートの一軒もほしいというようなこともあり得るかと思います。それがまた都市としての成長発展、これに関連して小売商も発展していくもとにもなりましょうし、さような意味でそういうことは言えようかと思うわけであります。ただ東京、名古屋とか、一般的に申しますと相当の都市につきましては、百貸店の拡張ぶりというものが相当顕著でございまして、一年間におきまする拡張の状況は、昨年暮とその前の一年をとりました場合に、一割弱のものであったのでありますが、一割弱拡張してまた一割弱坪当りの売り上げとしては同じものを維持しておるというような現象を呈しておりまするが、私どもこの百貸店法を作ることを決心いたしました趣旨は、百貸店側の拡張の状況というものを実は昨年の暮に調べてみました。それによりますると、東京、名古津、大阪等におきましては六割なり、はなはだしいところでは八割というような拡張傾向が見られたわけでございます。国民の消費生活、収入というものもふえまして購買力もふえていることは認めないわけではございませんのでございますけれども、幾らふえましても五割も六割もふえるということはふえ過ぎであろう、それが当然に結果といたしまして小売商の分野を食い荒すという現象を来たすということは予測されるように考えますので、これを野放図に放置しておくことはこの法に書いてありますような趣旨から見ましていかがであろうというふうに感じましたのが一番大きな動機であります。
  24. 河野謙三

    ○河野謙三君 私も今局長が言われたよう血感じは持ちますけれどもね。先ほど申し上げたようにこのいただいた数字によりますと、六大都市でもそういう数字は出てないのですよ、これは。あなたの方もおありでしょうけれども少しも比率は変って来てないのですよ。むしろ減っているわけなんです、百貸店の方が。で、私が言いたいことは中小企業対策というものは絶対これは重要問題として取り上げ、これを何らかの施策を講じなければならぬことは共鳴しますけれどもね、少し見当が違っているのじゃないかと思う。百貸店のこういう法案によって中小企業は私はプラスになってマイナスにはならぬと思いますけれども、大したプラスになりませんよ、こんなことじゃ。こういうことを申し上げる根拠は、先ほど非公式にちょっと局長に申し上げたのですが、別にいただいた産業別の就業者数の推移、この表によりますと、昭和二十三年から二十九年までの就業者数の産業別の数字が出ておりますが、農業者の方は昭和二十三年には四七%三のものが約五%減って四二%に下っておる。ところが卸小売業及び金融保険不動産業、これが非常に著しくふえて二十三年には九・五%のものが二十九年には一五・九%、実に六・四%ふえている。その次に、私は血はだ不健全だと思うのですが、サービス業が四・七%ふえている。この産業別の就業者数の推移を見ますと、小売商を圧迫しているものは小売商内部の要するに競合の問題である、こういうことに私はねると思うのですがね。これは非常にこの間も申し上げて、さればといっていかなる対策を立てるかということはむずかしい問題であります。これは私もよく理解しますけれども、ここにねらいがなくてはほんとう中小企業対策というものは立たないと思う。いかなる対策を立てるかということは別問題として、ここに問題があるということについてはどうです。
  25. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ただいま河野先生おっしゃいましたように、卸小売、これは統計が金融不動産と含めておりますので、小売商部面だけを正確には抜き出しかねるわけでございますけれども、しかし傾向としまして河野先生おっしゃるような事態というものがあるということは十分に予想し得るわけです。ただ統計は若干割引が必要であろうと考えますのは、二十三年というのは終戦後の、まだ物資も非常に不足でございまして、配給統制のさなかでございます。従いまして、いわゆる商業小売活動というものが非常に低調な時期であったわけでございます。戦後十年たちまして、世の中がだんだん落ちつきかけているというのがここ両三年のことでございますし、ただいま出ております現象を二十三年と対比しました場合に、二十三年におきまして農村にかくれておった人口が、都市におきまする商業活動その他の全体の活発化に応じましてそちらに移動したという現象はこれは相当あろうかと思います。二十三年から二十九年と、この傾向が今後もこれほど激しく続くということにはならないのじゃなかろうかというふうに、まあその辺は割り引いて考えていいというふうにも考えるわけであります。しかしながら大局的に見まして、今河野先生おっしゃいましたように、小売商問題のむずかしさは小売商の人口過多の問題、零細企業であるということ、これはわが国の現状から見まして否定しがたい事実だと思うわけであります。
  26. 河野謙三

    ○河野謙三君 卸小売業及び金融保険不動産業となっておりますが、これはなるほど金融保険不動産業が入っておりますけれども、別にいただいた戦後の商業者の推移という統計もあるわけだ。これによると、商業者の推移というものは、総理府の統計の発表によりますと、全商業が二十六年から二十九年までのわずか三年の間に戸数にして十七万戸ふえている。小売業は百二十五万戸が百三十八万戸、十三万戸ふえている。小売商が一年に戸数にして四万四千程度ふえているわけです。これはまた従業員にいたしましても、小売商の従業員というものは二十六年と二十九年と比較しますと、七十二万人、大体一年平均約二十四、五万人がふえている、こういうことになる。私はここに問題があると思うのです。そこで私は一つ伺いたいのは、政務次官に伺いたいのですが、これは中小企業も農業も、私は共通した点が非常に多いと思う。日本の零細農業を救うために、農業を救うために農業の土地資本と労働、このバランスを合せるために、非常に零細農業に対して資金のあっせんをやる、一方土地の確保のために土地改良その他をやる、また消極的には、地目変更等については農地委員会にかけて、農地をいたずらに改廃することについては禁じておる。こういうようなことによって、できるだけ農業という一つの企業の、土地資本と労働とのバランスをとるということに工作を立てておるわけですね。同様な私は意味合いで、中小企業につきましても、非常に零細な中小企業土地資本と労働のアンバランスのこの商業、これに対して農業において土地を守るということは、商業者に対して一つお客さんといいますか、地盤を守ってやるということですよ。すなわち農地委員会において農地の改廃というものについて一つの規制を加えていると同じように、中小企業に対してこれ以上戸数をふやすとか、また就業人員をふやすこと等につきまして、何らかの国が法律でできなければ、自主的に商工会議所等の活動を求めてやるとか、何か規制をやらなければ、ただデパートを押えるだけで——私は賛成ですよ、デパートを押えることには賛成でございますけれども、それだけで中小企業の対策が樹立したと、そうも思っておられんでしょうけれども、これで大きく期待されることは……私はこんな法律というものはへみたいなものですよ、中小企業から見れば。こんなものが通ったって、あしたからどうなります、大した恩恵はありませんよ。ただ中小企業の組合とか何かに、役員とか何かいうもののゼスチュアで、おれは中小企業のためにこういうことをやったんだと、いわゆる中小企業ボスのゼスチュアの材料になるかしれんけれども、実際に中小企業の、毎日々々小商人で苦しんでおる人たちに大した私は効果がないと思う。効果のないものを効果があるように言って、これは一つのインチキですよ。だから私はもう少し根本的な、この法案もけっこうでございますが、もっと根本的な中小企業対策、今申し上げたような点につきまして一つ御所見を伺いたいのですが。
  27. 川野芳滿

    政府委員(川野芳滿君) ただいまも仰せになりましたように、実は中小小売業、こういう業態は非常に小資本をもって営業ができる、こういう点から非常に中小小売業が増しておりますことはただいまお説の通りであります。そこでこの問題については、実はいろいろな面から政府といたしましても乗り出しておるわけでありますが、すなわち金融面において中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等の予算面をふやしたとか、あるいは五十万円以下の所得税の税率の変更をやったとか、あるいは優秀なる各種中小商工業に助成金を出しておる、その他いろいろな点で実は助成申し上げておりまするが、何を申しましても、ただいま申しますように、年々歳々非常に数がふえる状態でもございますので、従いまして今日満足なる解決の立ち至っていないことをまことに残念に思っております。それだからと申しまして、今日その商工業者の行為を禁止する、こういうわけにも参りませんので、従いまして非常にこの面については政府といたしましては苦慮いたしておるような次第であります。幸いにいたしまして、貿易面等も非常な活況をいたしておるような次第でございますので、従いまして産業基盤の強化をはかりまして、そして産業を振興させて、そしてこの面に幾分でも労働力を吸収しようという、こういうようなことで実は今年の予算にも予算の計上を願ったような次第であります。そういうわけでございまして、実は今回の百貨店法におきましても、これが成立をしたからと申しまして、直ちに中小商工業者の満足なる救済策になるかいなかという点については、御説の通りであります。しかしそれだからと申しまして、実は野放しにしておいたらよかろうかと、こういうことになりますと、そういうわけにも参りませんので、百貨店法を制定いたしましてある程度商業者を規制する、こういう点は一面には、ある程度若干でも小売業者に利益をもたらすのではなかろうか、こういうような点から実は今回百貨店法を提案した次第であります。ただいま申しましたように、これで十二分に中小商工業者が救われる、こういうことは考えておりませんが、まず今回のこの百貨店法を制定いたしまして、さらにその後におきまして中小商工業者にいろいろな救済政策を講じる、こういうことにいたしたいと考えておる次第でございます。
  28. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は先ほどから申し上げましたように、この百貨店法案に反対するものではありませんけれども、今も百貨店法案以外に中小企業には、もっと別な大きな問題があるんだ、それはいたずらに中小企業が、営業者の数がふえ、従業員の数がふえる、その結果中小企業が共倒れになっておる。ここに大きな問題があるんだということについて御共鳴を願えるならば、私はむしろその方が中小企業の病根としては、その方がより大きいのですから、その方の対策がより先に立てられることが私は順序だと思うのです。順序のあと先はかりにないにしても、少くとも百貸店法案というものに及ぶならば、これと並行して中小企業のいたずらに数がふえ、いたずらに共食いの状態が繰返されておる、これについて何らかの措置があってしかるべきだと思う。それはたとえばですよ、運輸省においては自動車営業においては許可制度をとっているでしょう。それからたとえば農林物資で言うならば製粉、精麦というものは企業許可にはなっておりませんけれども、原料関係で一つの規制をしておるでしょう。通産省関係だって、たとえば不況カルテルというものをある程度認めているでしょう。だから全商業者に対してすぐに規制をしろとは言いませんけれども、中小企業の中で業種別に見て、特に困難な中小企業というものを拾い上げて、これらについては何らかの自主的な規制なり、また国の規制なり何かをやらなければいかんと思うのです。それをただ法律で規制するわけにいかんということは——私はすぐに法律で規制しろとは言いませんけれども、とにかくそこに問題があるということは事実だから、この問題をとらえて、せめて一気に解決しないまでも、一つ一つ、特にひどいものから、特にひどい業種から取り上げていくということについて何らか私はこの際やってもらいたいと思うのです。何か徳永さん御構想ありますか、これはむしろあなたの局ではないかもしれませんが、それぞれ運輸省にしろ、厚生省にしろ、とにかく通産物資以外の、他の省において所管しておる物資においては比較的行き届いておるのですよ、その点が、御本尊の通産省が持っておる通産物資について一番私は自由奔放というか、力づくで強い者が勝つんだ、金のある者が勝つんだというように放任しているように思うのですが、それについて通産省何か御構想ありますか。
  29. 川野芳滿

    政府委員(川野芳滿君) まことに貴重な意見を拝聴したわけでありますが、しかし実際問題といたしましては、なかなかむずかしい問題であろうかと考えております。と申しますことは、今日におきましては、失業者というものが出ますと、失業者のはけ口というものは、普通小売業者に実は転向いたしておる、こういう実情でございます。従いましてこの面を押えるということになりますると、非常血失業者の問題が出てくる、従いましてこの問題は、実はお説のように、今日の小売業界をながめて見ますと、業態によりましては非常にあり余っておる業態が多いということは十二分に承知はいたしておりますが、いざこの問題をどうするかということになりますと、ただいま申しましたように、失業問題という大きな問題等もできて参りますので、なかなかこの問題については軽々に取り扱うわけには参らないかと考えますが、しかしまことに貴重な御意見でございますから、この点につきましてはさらに検討させていただきたいと思います。
  30. 河野謙三

    ○河野謙三君 はなはだくどいようですが、私はそういう規制をすることが、失業者を生むことにはならぬと思うのです。地獄の方へ向って歩いてる連中を引きとめて、お前は方向違いだからもっとこっちへ来いと指導するのが役所の務めだ、中小企業がみすみす共食いして、ほかに職業がないから仕方がないから中小企業へ入っていく。入ったって、見通しがないところへ入っていくのですよ。それを何とかとめてやるのがいいのですよ。それよりも、一つ一つ商業者というものが健全化して、それによって従業員の数をふやすなり、その活動を活発化するということの方が、より私は失業対策としては健全じゃないかと、こう思うのですよ。これは議論になりますから、根本的には政務次官に御共鳴願いましたから、これはきょう言ってもきょうなるわけではありませんけれども、ぜひ中小企業対策につきましては、大事なことでありますから、政府は根本的に、この数字に出ておるような、だんだん戸数がふえて、従業員がふえて、そしてデパートの比率というものは、見てみればちっとも比率は変ってない。この比率から見れば、デパート中小企業を食っていないのです。食ってない。中小企業同士がお互いが食い合いをしておる、そういう数字なんです。でありますから、せっかくこれにつきましては、根本的な対策を出していただくことを私は希望いたしまして、これでひとまず終ります。
  31. 高橋衛

    ○高橋衛君 私から、第二条の解釈についてお伺いいたしたいのでありますが、まず第一に、物品販売業には当然に卸売業を含むと考えるのでありますが、しかも法律の目的とするところは、主として小売業であると考えるのでありますが、その点をお伺いしておきます。
  32. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 卸売業も入るわけでございます。ただし店舗制限がございまするので、まあ、普通大きな卸屋、千五百平米、三千平米以上の建物として、卸であろうが店舗としてこれだけの店舗を擁して適用を受けるようになる卸屋は実在しないであろう、こういうふうに考えております。
  33. 高橋衛

    ○高橋衛君 私は、いわゆる名店街と申しますか、建物なり設備なりを貸与して、そして各種の個々の業態の人がそこに店を並べるということは、ここにいうところの百貨店に該当しないかと考えるのでありますが、その点もそう解釈してよろしゅうございますか。
  34. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) いわゆる名店街、私ども、まあ、東京駅の名店街を想像して申し上げるわけでありますが、建物はあれはどなたの建物か存じませんが、あすこの店舗そのものは、間仕切り間仕切りごとに独立した営業者がやっておりますために、あれを一体としてながめました場合にも、本法適用を受けることにはならない、こういうふうに考えます。
  35. 高橋衛

    ○高橋衛君 あの名店街におきましては、個々の営業であるということがかなりはっきりしておると思うのでありますから、この百貨店に該当しないと思いますが、これをさらに一歩進めて、委託販売になった場合にどうなるかと、まあ、こういうふうな点があると思うんであります。そういう施設なり設備なりを貸与する際に、面積に対して一年間幾らという契約じゃなしに、その売上高の何%かを、貸与する対価として契約する場合があり得ると思います。そういうふうな方式をとった場合に、それは百貨店に該当するかどうか。なぜこういうことを申し上げるかというと、アメリカにおきましては、いわゆるマーチャンダイズ・マートというのが相当大きく発達しております。このマーチャーダイズ・マートというのは、もっぱら卸売業に関するところの一種の百貨店でございますが、これはその卸売業についての売り上げについては、きわめてわずかね、千分の幾つかという割合を、その賃貸料の一部として徴収している。これがりっぱな営業として成り立っている、こういう場合は、そういうものが百貨店として定義されるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  36. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ただいまお尋ねございました前者の委託販売、これは明白に店舗の床面積が基準以上でございますればひっかかると思います。  後者の営業は各人が独自でございまして、ただその売場の各位に売場面積を提供します条件そのものが、売上高に比例して貸し付けております床面積の貸付料、それだけにしている、こういう場合にはこの法律適用あるかどうか、ちょっと疑問があるのじゃないかと思いますが、もう少し研究さしていただきます。
  37. 高橋衛

    ○高橋衛君 その点は今後日本のやはり商業活動の発達の上において、相当大きな問題になると思いますので、解釈をこの際はっきりさしておいていただきたいと思います。  それからその次には、物品販売業というのは、たとえば公益法人が営んだ場合、または労働組合がこれを営んだ場合にも、物品販売業として規定されるかどうか。
  38. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 経営主体がだれであろうと適用を受けるわけであります。ただし労働組合という一事業体でありますれば適用を受けません。商業者が商業協同組合を作りまして、施設だけは協同組合で作るが、しかし営業は別々であるということになりますればひっかからないということになろうかと思います。
  39. 高橋衛

    ○高橋衛君 私のお伺いいたしたいのは、職域、または工場におけるところのいわゆる購買会であります。こういうふうな種類のものが、私どもよく陳情を聞くのでありますが、たとえば八幡市において、八幡製鉄の購買会の店舗は、およそデパート以上のりっぱな設備を持っており、しかもそこにおいては、単に工場の従業員に対してのみならず、部外者に対しても販売している。またはその他の職域の購買会においても、そういうような事実がままあるのでございますが、これらのものは、それを全般として物品販売業として、床面積を規定するのであるかどうか、その点もはっきりお伺いいたしたいと思います。
  40. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 会社等がやっておりまする、この職員に配給するということでやっております物品販売所といいますか、でございましても、それがこの法律の大きさ以上のものでございますれば適用を受けるということに相なるわけであります。第三者に売っている、売ってないは別といたしまして、従業員以外であれば除くということを書いておりませんので、従業員だけでございましても、ある事業所がこの大きさのものを持っておればひっかかるということになるのであります。
  41. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) それに関連して……これは同じ市内ではありますが、売場がずっと離れて点々とあるわけです。たとえば宮崎の延岡市ですね、旭化成の工場がございまして、供給所というのがございます。これは本社のところにも中央供給所があります。すぐ近くにべンベルグ工場というのがありまして、これまた供給所がある。一里くらい離れてレーヨン供給所、また一里くらい離れて、ダイナマイト供給所というふうに点々とあるのでありますが、合計すれば千五百平米以上になるという場合には、やはり適用を受けるわけですね。
  42. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ただいま委員長がお話のようなケースでございますれば、その中でどこかの場所がこの制限以上の大きさのものでない限り第二条の適用にはなりませんです。
  43. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまの御答弁によりますと、従業員に対して販売または供給するか、または部外者に対して販売するかということは問題じゃなしに、いやしくも会社が経営しておっても、労働組合が経営しておっても、その業態が物品を販売するという行為であれば物品販売業である、従ってこの第二条の適用を受ける、第二条でいう百貨店に触るという御解釈でありますが、それでいいですか。
  44. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 営利を目的としました物品販売業でございますればそういう要件がございますけれども、従業員に会社が薄利で売るといいましても、しかし会社が営業としてやっているということになりますればひっかかるわけであります。
  45. 高橋衛

    ○高橋衛君 そういう御答弁があるものだから非常にわれわれ疑問を抱かざるを得ないのでありますが、たとえば公益法人というものはこれは営利を目的としないところの法人である。ところが公益法人であるところの鉄道弘済会が、あれだけ大きな物品販売業をしているというふうになっております。税法上で申しますと、公益法人といえどもその収益に関しては法人と同じ取扱いをしている、計算も区分させて法人税を納めさせているのでありますが、そういうふうに営利を目的としないということでその取扱いが区々になるということであると、この解釈が非常にあいまいになってくると思うのでありますが、その点もう一度お伺いしておきたいと思います。
  46. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 類似のものといたしまして生活協同組合というのがございますが、生活協同組合の場合には営利を目的としない建前がはっきりいたしておりますので、適用を受けないことになるわけであります。会社が従業員にやっております場合、通常の場合は営利を目的としてない場合が多かろうと思いまするけれども、これはまあ法律の規制も受けず、何ら法律的に性格の明確でない実態のものでございますので、そのやっておりますことは事業所々々々によりましていろいろ違うわけでございますが、やっております実態が物品販売業であり、その大きさが一定の大きさ以上のものであればひっかかるというふうに解釈いたしているわけであります。
  47. 高橋衛

    ○高橋衛君 生活協同組合の場合は、これは営利を目的丁としないから物品販売業じゃないという御答弁です。また事業所において癒す場合においても、それが会社として、またはその事業がはっきりしない場合においても、目的が営利でなければ物品販売業じゃないというただいまの御答弁であって、冒頭の御答弁と少し違ってきているように思うのでありますが、もちろん会社が経営します際、またはその他の組合等が主体になる場合におきましても、これは主として従業員の福利厚生の目的を持ったものではありますけれども、また同時に部外者等にそれを販売する、単に従業員のみならず、部外者等に販売するという場合には、それは部外者等に対しては相当ペイする程度値段で販売しているというのが実情であります。それでありまするがために、結局問題が起ってきているわけで、ありますが、そういうふうな部外者に対してはある程度収益を上げ得る、しかし部内者に対してはもっぱら福利厚生という趣旨で、利益を上げていないというような、共存する場合に、それは一体物品販売業とみるのか、物品販売業とみないのか、この点をお伺いしたい。
  48. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ある事業所が部外者には高く売り、部内者には安く売ったといたしましても、部外者に売るのはある程度ペイする値段で自由に売るという態様でございますれば、その分だけ計算してみました場合に、もうかっておるとかもうかっておらないとかということになるかもしれません。しかし部外者に対してある程度ペイする範囲で売るということになれば、明らかに法律の前段の物品販売業というふうにみなければなりませんし、その物品販売業施設でありまするところの同一店舗で床面積が制限以上でありますれば、制限以上のものを持っておるというふうに解さなければなりませんし、今の例としておあげになりましたようなケースは、明らかにこの法律の——もし床面積がそれ以上でございますれば、適用を受けるということになるわけであります。
  49. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の部外者の問題、私はペイするとかペイしないとかという問題は問題外だと思うのですが、ペイするとかペイしないとかということはどこで押えますか。会社の職員が会社から給料をもらって、その購買事業なり販売事業をやっておって、それでそれらの人によって部外者に売る場合、人件費その他は会社の給与から出ている、ペイするとかペイしはいとかということは、僕は計算もできないし、これは要するにペイするとかペイしないとかいう問題でなくて、部外者に売ることは、損であろうが得であろうが、営業とみなすべきだ、こう思うのですが、そうじゃないですか。
  50. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 私の説明が少し不十分だったかと思いますが、今高橋先生の、部外者に高く売り、部内者には会社がサービスとして安く売っているというようなことでございますが、それはその例によって申し上げたわけでございますが、会社は職員にとにかく販売の形式をもちまして物を供給しておるということでございますれば、今河野先生のおっしゃったように、結果としてはその物品供給所といいますか、購買会といいますか、ああいうものが決算上もうかっていようが、もうかっていまいが、適用を受けるということになると思います。
  51. 高橋衛

    ○高橋衛君 今の問題についてもう一つ。これは政務次官にお伺いいたしたいと思いますが、東京都においては問題に触りませんけれども、地方都市においては、購買会の活動というものが、いわば会社の施設なり、会社の人員なりを使ってやりますために、相当安く売ってもペイする。従って部外者に売ることによって、よりそれが能率化し、よりそれが利益を上げる、そうしてそれが振り返って商品の価格を安くして、いるというふうな関係がございますために、相当部外者に対して活発に行われている、こういう事実があるわけなんです。そういう状態に対して、これは別途に通商産業省で確実な資料をお持ちになれば、資料をいただきたいと思いますが、このような事実があるのでありまして、私どもも時折陳情を受けるわけでありますが、そういう事態に対して、この百貨店法と同じような何らかの措置をとられるお考えがあるかどうか、その点をお伺いたしたいと思います。
  52. 川野芳滿

    政府委員(川野芳滿君) その点につきまてしは、産業合理化審議会の商業部会におきまして今検討中でございます。従いましてその答申の結果を見まして善処いたしたい、かように考えておる次第であります。
  53. 深水六郎

    ○深水六郎君 私は大体出尽しましたから、簡単にお伺いしますが、さっき高橋さんも言われましたが、大会社の消費組合のような問題というのは、なかなかこれはこの法律で規制ができるかどうかということにも苦干疑問もあるようにも私は考えるわけです。それで実際問題としては、私の町にもほんとうはあるわけなんです。非常に町の中小商業者が困っておるわけですから、通産省の政務次官あるいは大臣にこれはお願いしておきたいのですが、何らかの方法で、百貨店法でできなければ別の規制の方法というものを作っていただかなければ、町の中小商業者が成り立たないということがあります。現にさっき宮崎の旭化成を言われましたが、それと姉妹の新日本窯業あたりでは、実際、組合員以外には売りませんという小さい札はかけてありますが、実際皆買っておる。非常に町の中小商業者は困っておるという実情でございますので、そういう点をお願いしておきたいと思います。それからさっき阿具根委員あるいは委員長からいろいろと申されましたことを聞いておって、ずっとそれをしぼって、こまかいことですけれども、ちょっとこういう場合はどうだろうかということを私は考えたわけでございますが、衆議院の付帯決議というものを参議院でどう見るかということは、これは別問題といたしまして、付帯決議にも、「国、地方公共団体及び公共企業体の所有する土地又は施設を利用して、百貨店業を営むことを、原則として許可しない」ということを希望してあるわけでありますが、これはおそらく中小企業の保護、あるいはほかの同じ業者である百貨店の公正な競争ということも考えに入れられてあるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。そういうことからいたしますと、たとえばまあ基礎工事だけできたとか、あるいは一階、二階までできたというような百貨店あたりで、さっき阿具根委員委員長が申されたような、いろいろな交通機関のターミナルの事務所に転換してしまおうとか、あるいはそういうものに貸与して顧客の吸収をはかるというようなことも考え得ると思うわけでございますので、そういうことについて、この百貨店法の中小商業者を守るということから、そういうことは認められるのか認められないのかということをこの機会にちょっとお伺いしておきたいと思うわけです。
  54. 川野芳滿

    政府委員(川野芳滿君) ただいまの前段の質問でございますが、この点につきましては、先ほど高橋委員に御答弁申し上げましたので御了承願いたいと思います。  後段の問題でございまするが、この点につきましては、審議会地方の商工会議所あるいはその他の団体の意見を徴してきめる、こういうことになっておりますので、従いましてその答申を待って決定いたしたい。旧百貨店法におきましては、基礎工事のできました部分は、実は法律施行の際におきましては認めたのであります。今回はこの点につきましてはどういう程度まで認めるか、こういう点につきましては、実はただいま申しましたように、審議委員地方団体の意見を徴して答申する、こういうことになっておりますので、その点をにらみ合せまして、中小商業者影響を与えるようなものにつきましてはこれを認めない、こういうことになるのじゃなかろうかと思いますが、中小商業者影響を与えない地方におきましては、これは基礎工事だけで認められるかどうかという点につきましては、これは別問題でございまするが、しかしある程度まで工事を進めておるところにつきましては認めざるを得ないのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  55. 深水六郎

    ○深水六郎君 いや、私の質問したのはそうでなくして、まあそれに関連して質問いたしますと、たとえばそれは急いで作ってはおりましょうが、もう二階、三階ぐらいまでできて、エレベーターとか、ガラスとかいうのは、これはやはり建物ができてから注文してもだめなものだから、同時に注文してしまってある。そうすると二階までしか認めないという場合には、そのエレベーターの会社とか、ガラスの会社にお互いに損害がかかるというので、こういうのは上まで認められるのかどうかということが一つと、もう一つは、基礎工事だけやっておる、しかしもうこれでは認められないから、あるいはある交通機関のターミナルその他に転換して、ちょうどこれはいいあんばいだったというふうに、そこに、ある交通機関の事務所なり小売場なりを作って、ターミナルと同じようにするような百貨店にくっついた建物を、それは審議会が答申しましょうけれども、通産当局としてはどういうふうにお考えになっておるかということを聞いているんです。
  56. 川野芳滿

    政府委員(川野芳滿君) 局長から答弁させます。
  57. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ビルを何階か作る予定で、一、二階までしかできていない、しかし上の方も作る。で、上の方をほかの目的に転換する、そういう今お話の、上の方がターミナルになりますかどうかは別といたしまして、上の方が……。
  58. 深水六郎

    ○深水六郎君 上は作らずに、下だけでおいてやるという場合、二階まででやめてターミナルに貸すというような場合はどうですか、それでやめてしまって。
  59. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) その一階、二階は全然商売しないわけですか。
  60. 深水六郎

    ○深水六郎君 そうです。
  61. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) それは私どもの方として非常にけっこうです。
  62. 深水六郎

    ○深水六郎君 特にバスターミナルなんかにしてもいいわけですか。
  63. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) 一階、二階を何と申しまするか、百貨店業をやらないわけでありますね、お話は。
  64. 深水六郎

    ○深水六郎君 営業はやらないけれども、結局特殊なサービスにならないかということです。
  65. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) そこで百貨店業をやらなければ非常にけっこうだと思います。
  66. 深水六郎

    ○深水六郎君 営業をやらなくても、たとえば各東西南北に走っているような交通機関が、そこに総合的な事務所を持つとか、発着所にするというようなことはいいのですかということです。
  67. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ちょっとお話の趣旨が……。百貨店が別にございましてですか。
  68. 深水六郎

    ○深水六郎君 百貨店に付置して、増築中のものを言っているんです。既存の百貨店の今増築中のものを、途中で一階くらいでやめておいて、サービスとして交通機関の誘致をしてそういう事務所に貸してしまうというようはことは、ほんの一部分ですが、結局特殊なサービスになりはしないかということです。
  69. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) ある百貨店があって、そこを拡張しようとした場所、それが中途半ぱで認められないならば、むしろそういうものに転換しようというのはどうかというお話だったと思うのでございますが、これはお客施設としての誘引の仕方と申しますか、その程度によってやはり考えなければならぬ。法律がまともに適用になるというより、第九条の営業に関する行為のところで、委員長お尋ねで申し上げましたようなことで考えなければならぬ。ただ単純にターミナルにするというだけで規制の対象になりますかどうか疑問があろうと思いますけれども、その場所百貨店側の経済負担で提供するとか、あるいはそこをターミナルにするために、今までお客さんが不便だったといいますか、それを料金の特別サービスで誘引するとかいうようなことが起りますれば、第九条の問題の対象として考えなければならぬ場合が出てくるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  70. 深水六郎

    ○深水六郎君 それはやはり結果においてはそうなれば何ですね、やはり一つ誘引施設に類するわけですね、そういうふうには感じられませんか。
  71. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) いろいろな事情がございますでしょう。ですから単純に申し上げかねるわけでございますけれども、まあ物事はやはり程度問題であろうと思うのでございますが、この施設がまあ二、三十坪、拡張工事ですからいろいろなことがございましょうが、本体と拡張を必要とするものの大きさとかいろいろなことでやはりきめなければなりません。常識的に判断せざるを得ないと思いますが、抽象的にはなか意かお答えしにくい問題だと思います。
  72. 深水六郎

    ○深水六郎君 こういう問題はもう少し検討して、もう一度取りまとめて御返事いただきたいと思いますが、具体的にどうだということを少し詳しくお願いいたしたいと思いますが、きょうは時間もございませんので……。  それから、さっき局長地方都市で、地方の繁栄のために、その地方が希望するならばそういうところは認めてもいいというようなお言葉もあったと思いますが、大体地方都市が、その都市の人口を勘案してぜひ誘致したいという場合には、ぜひこの衆議院の付帯決議の趣旨にもかんがみて、必ずしも許可を与えないということでなしに、許可を与える方の方が強いのですか、どちらですか。
  73. 徳永久次

    政府委員徳永久次君) だんだん伸びていきますような都市で、人口三万なり五万なりあるようなところは、それも都市によりまして火の消えるような都市もございますけれども、成長の条件を持っておるような場所でございましたら、おそらくその周辺なり都市としても一人前と申しますか、おそらくデパートも一軒ぐらいというふに全体がなるのが多かろうと思います。さような場合には許可しても一向差しつかえないというふうに考えておるわけであります。
  74. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  75. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) 速記をつけて下さい。  本日の質疑はこの程度に終了しておきたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 三輪貞治

    委員長三輪貞治君) それでは本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後零時四十二分散会