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政府委員(佐久洋君)
中小企業振興資金助成法案につきましては、先般提案の理由で大要の御説明を申し上げてあるのでありますが、その後だいぶ時間も経過いたしておりまするので、若干内容にわたりまして補足的な御説明を申し上げたいと思います。
この
法案は、中小企業等協同組合の共同施設及び中小企業の経営の合理化のための設備を設置するのに必要な資金の貸付を行うために、国と都道府県の両者の負担分を合せまして、都道府県ごとに
一つの特別会計を設けさせる。これを毎年回転運用させるということを骨子といたしたのでありまして、大体従来もこの制度で行なって参ってきておりました。それが法的に明確にした方が、今後の運用上有益であるということで、法定したわけでございます。
第一条は、ただいま申し上げましたように、本法の目的を明らかにしたものでございます。
第二条は、本法におきまして中小企
業者とは何をいうかという定義を定めたものでございます。すなわち資本金または
出資金の総額が一千万円以下の
会社であるか、あるいは常時従業員数が三百人以下の
会社または個人を中小企
業者というのであるということをうたったわけでございます。この人数の
関係で商業とサービス業にありましては、この三百人というのは三十人以下、こういうふうに定めたのであります。
第三条は、都道府県が国の補助を受け、本法に基きまして貸し付ける資金の範囲を定めたものでございます。すなわち三つの場合がございますが、第一が事業協同組合あるいはその連合会が経済事業を行うための共同施設を設置するのに必要な資金、第二には、企業組合の経営合理化をはかるための施設の設置に必要な資金、第三番目が、中小企
業者の近代化設備の設置に必要な資金、この三つの場合に都道府県が金を貸す。その際にその事業資金の一部として、国から補助金を交付する、こういう制度でございます。なお、国はこの条文に基きまして、補助金を都道府県の貸付事業に交付して参りますが、それが一定の額に達した場合には、打ち切るというようなことになっております。
第四条におきましては、
一つの組合あるいは
一つの中小企
業者に対する都道府県の貸付金の限度を必要資金の二分の一以上というふうに定めたのでございます。
第五条におきましては、都道府県の貸付条件でありますが、貸付金は無利子である。償還期限は五年以内で、政令で定める期間とするということにいたしております。
第六条は、都道府県から貸付を受けた組合または中小企
業者に対して連帯保証人を立てさせるという規定でございます。
第七条は、貸付期間の満了する前に貸付金を償還させる場合を規定いたしました。
第八条におきましては、償還金を免除する場合を規定いたしております。
第九条におきましては、違約金を徴収する場合には、徴する場合と、その計算
方法を定めておるのでございます。
第十条におきましては、本法に基く都道府県の貸付事業の経理を明確にして、かつ一般の歳入歳出と区別するために、都道府県に特別会計を設けさせる。同時にその特別会計における歳入及び歳出の内容を明らかにしたものでございまして、これは従来なかった制度で、新しく設けた制度であります。
第十一条は、貸付事業を行う都道府県に対して国が補助金をやる場合に、その補助金の額の限度を定めた規定でありまして、その額は都道府県が特別会計に貸付金の財源として投入した額と同額、あるいはそれ以下というふうに定めたのでございます。中小企業の振興をはかるということは、国の政策としてきわめて重要な問題でありますが、地元の都道府県といたしましても、この問題は国と共同してその育成発展に
努力してもらいたいという
考え方から、補助金の分担割合は同額という建前で規定をいたしたのでございます。もちろんこの都道府県の財政が最近非常に窮屈になっていることは十分承知いたしておるのでありますが、都道府県の中小企業振興のために支出している
金額は、従来とも他の部門の経費に比較いたしまして、必ずしも多かったとは申されないのでありまして、この
程度の負担は従来と同様ぜひとも継続していただきたいという
考えを持っているわけであります。
第十二条は、本法に基く貸付事業を都道府県が行うに当りまして、中小企業対策の立場から適切な貸付が行われる必要があるのでありまして、そこで通産
大臣があらかじめ基準を示しまして、これに従った事業
計画の作成を都道府県に義務として課したのであります。
第十三条は、都道府県が貸付事業を廃止した場合に、その補助金を国に返還する義務があることを明らかにし、その返還すべき
金額の計算
方法を規定したものでございます。
以上がこの
法案の概要でございますが、なお附則におきまして施行期日を定めたほか、経過措置といたしまして国に納付されるべき本
年度以前の都道府県に対する補助金をすべて都道府県の特別会計に国の補助金として今後は繰り入れる。それを財源に充てて今後の貸付を行う。こういうことを規定したのであります。何とぞ十分御審議の上御可決下さらんことをお願いいたします。