○上林忠次君 それではただいまから、第二班
派遣委員の
視察報告をいたします。
当班の
派遣委員は、三輪
委員長、
海野委員、上林
委員の三名で、阿
具根委員が現地参加され、二月十三日から十七日までの間に行われたのであります。
まず、
視察いたしましたところを順々に申し上げますと、九州電力
株式会社が建設しました苅田火力
発電所、苅田港、八幡製鉄所
工場、久留米地区機業
工場、ブリヂストンタイヤ
株式会社
工場等を
視察したのでありますが、なおその間九州電力
株式会社本社を訪問しては、電力一般概況の
説明のほか、電源開発促進法の一部
改正の問題について
意見を聴取し、また福岡通産局においては局側からは
石炭合理化法実施についての一般概況を、労働組合
代表からは右に関する
意見を聴取し、また
石炭会館においては日本
石炭協会九州支部
代表、北九州
石炭鉱業会
代表、西九州
石炭鉱業会
代表、市町村
代表等からそれぞれ
意見を聴取し、また久留米絣
調整組合事務所においては、福岡県久留米絣
調整組合
代表、福岡県綿スフ織物
調整組合
代表等から
意見を聴取して帰った次第でございます。
次に、各
視察箇所につき日程の順序により御
報告いたします。
苅田火力
発電所でありますが、これは
昭和二十八年十月十五日、ワシントン時間でありますが、その当日に署名成立をみた火力借款のうち、世界銀行より苅田火力
発電所建設
資金分として、千百二十万ドルを借り入れ、これに加えて国内
資金二十七億円を投じて工事に着工して今回完成したものであります。
設備機械はウエスティング・ハウスより購入したものでありまして、
発電所出力七万五千キロワット、年間発電力量四億一千三百万キロワットアワーでありまして、わが国としては最新を誇る新鋭火力
発電所であります。なお、苅田火力
発電所としては将来
発電所出力四十万キロワットを目標としてその工事
新設計画を企図しており、従来は第二期計画として、時期は
昭和三十三年でありますが、七万五千キロワット、第三期計画として
昭和三十五年十二万五千キロワット、第四期計画として
昭和三十七年十二万五千キロワットの計画を樹立しておったのでありますが、今回第二期計画七万五千キロワットを変更して、十五万六千二百五十キロワット増設工事計画中であって、
昭和三十三年十一月には運転開始をしたいとの話であったのであります。
次に、苅田港の
石炭積出
状況について申し上げますと、当港よりの
石炭の移出は、
昭和二十八年が約百万トン、
昭和三十年は百五万一千トンでありますが、将来は現在計画中の川崎線、これは汽車の線です。川崎線の
新設に伴いまして、三百七十万トンの積み出しを可能とする港湾計画中であります。なお、苅田港地区においては、苅田火力発電
設備の増設にタイアップしまして、現在の三十万坪の
工場敷地のほかに約百二十万坪の
工場敷地の拡充を計画しております。またきわめて
工業用水にも恵まれておりますので、右の発電力を利用する新
工場の誘致を行い、九州地方の産業の
振興をはからんとしておるものであります。
九州電力
株式会社の本社におきましては、九州電力の一般概況、将来の電源開発計画、電気料金等についての
説明を聞き、ついで電源開発促進法の一部
改正案についての
意見並びにその他の問題について
意見を聴取したのでありますが、その
概要は次の
通りであります。
九州地方は水力資源に乏しく、
石炭資源に恵まれている
関係上、将来も火主水従でいくべきが当然でありまして、ことに最近の新鋭火力発電
機械設備等は日進月歩の発達をとげており、建設費用も安くつき、従って水力
発電所建設の場合より電気料金も減額し、これによって九州地方の産業の
振興を招来し、もって雇用の増大をはかるのが当然でありまして、この見地から九州電力
株式会社では
昭和三十四年度までに十四万七千八百キロワットの水力発電開発計画のほかに、火力六十万キロワットの火力開発を計画しておるものであります。
次いで、電源開発促進法の一部
改正案のうち、下流増利益の問題につきましては、九州電力としてはこれに該当するものがきわめて僅少であると予想されるものでありまして、その問題は起らないのではないかと思われるのであります。受益の
限度測定はむずかしいので、われわれ
業者の間では、受益の範囲内において当時岩間の協議を主とすべきであり、
行政措置でいけるのではないか、立法化には賛成しがたいという
意見もあるとの話であったのであります。また、県営と会社営との競願あるいは復元の問題は、その一部
改正以前に解決しなければならない問題であると思うのであります。真に九州のために、また県民のためになるかの見地に立って考慮されるべきである等の
意見が述べられたのであります。
次は、八幡製鉄所の
視察でありますが、炭層の豊富な筑豊炭田を背後に控えまして、関門港に連る自然の良港洞海湾を擁して、
海外からの原料受け入れ及び製品搬出に好適な地であります。恵まれた立地条件を有して、東洋最大の銑鋼一貫
設備により鋼材のあらゆる品種を製造しております。内外の需要及び市況に即応した品種を供給し得る弾力性、機動性を持ちまして、特に運輸、造船、建築、造機等の需要に対して各品種をとりまとめて応じ得る強味があるのであります。現在は東田溶鉱炉六基中三基、洞岡溶鉱炉四基を稼動しており、前者は多少旧式でありますが、後者は新式でありまして、千トン二基、七百トン二基を有しております。この後者中七百トン溶鉱炉を
視察したのでありますが、最近
機械を
設備した第四製鋼
工場の
視察をやったのであります。ここはストリップ線材
工場等圧延部門の拡充に伴う
所要鋼塊の確保と製鋼部門の根本的合理化のために米国式近代化を採用した新鋭製鋼
工場であります。
次にまた、戸畑ストリップ
工場を
視察をいたしましたが、本
工場は今次
戦争によって付属
設備が半端なままであって、熱延と冷延の能力にも非常な不均衡があるので、輸入
機械によって冷延及び付属
設備を補充し、その全幅活用によって品質の向上と原価の切り下げをはかっているものであります。圧延作業をできるだけ広範囲に
機械化し、生産方法を簡単にし、生産度を高め、高能率、高品位、低コストの製品を作るために研究を重ねられて、旧プルオーバー式圧延は四重五段、連続式圧延と発達してきたのでありまして、本
工場はこの連続式圧延機で広巾帯鋼、ストリップを圧延する
工場であります。米国アームコ社の
技術を導入した世界に誇る
工場で、熱間圧延
工場、冷間圧延
工場、ブリキ
工場、亜鉛メッキ
工場に大別され、主としてブリキ亜鉛鉄板、冷廷薄板及び高級仕上げ鋼板を圧延しているのであります。そのおもな部門を
視察した次第であります。
当製鉄所としましては、第一次合理化工事の結果、
昭和二十六年度下期銑鉄トン
当りコークス使用量九百七十六キロであったものが、最近は六百九十キロとなって、三割の消費量を減少しております。また、製鋼燃料消費及び製鋼能率につきましては、鋼塊トン
当り燃料使用は二分の一に減じたのに、製鋼一時間
当り鋼塊生産量一人
当りは
昭和二十六年におきまして八・七二四トンのものが十三トンないし十四トンと画期的に製鋼能率を上げているのであります。
また戸畑
工場におきましては、一及び二冷延帯鋼
工場生産高並びに
目的一級歩どまり、こういうような
一つの一級歩どまりという製品の品位でありますが、一級歩どまりも前者については
昭和二十七年五千九百五十三トンから二万五千三百三トンというふうに、後者につきましては二十九年の七八%から八五%に上っているのであります。その他につきましても相当向上して見るべきものがあるのであります。
五カ年計画としましては、厚板
工場におきましてはその二、三の
工場を
一つに併合しまして稼動率を高め、また近代的管理計器を使用することにすれば、切り捨てが少くなり、注文
通り延びが平均してむだが少くなるし、なお、上吹転炉装置という装置でありますが、この装置によりまして短時間に製鋼ができまして高性能を発揮し得るものでありまして、四十トンの転炉
一つが平炉にしますと百トン四基に相当し、年間約四百万トンの生産量に達するものでありまして、これに十五六億の
資金を要するということであります。かように改良をせんとしているのであります。
また、鋼塊は八十ないし百万トンを増産する。銑鉄については、現在二百万トンの能力があるのでありますが、五カ年後にはこれを三百万トンにする計画であります。
かように
設備の改善に努力をしてきたので、国際競争に伍しまして現在の
輸出をしておるのでありますが、今後とも合理化、近代化につきまして、目下鋭意計画中であります。目下のところ精煉
技術としましては世界水準に達しておるということを申しておりますが、今後の問題は粘結炭あるいは原料鉱石の補給
状況をいかにするかという問題が残っておるのであります。
次に、福岡通産局におきましては、局長又び
関係部課長並びに
石炭鉱業整備
事業団九州支部等の
代表者から、
石炭鉱業合理化基本計画、同実施計画、
石炭鉱業整備
事業団の炭鉱買上申込
状況、坑口の開設
状況、合理化工事の進捗
状況等につきまして
説明を聴取したのでありますが、その
概要は次の
通りであります。
石炭鉱業合理化臨時
措置法第三条第一項の
規定による
石炭鉱業合理化基本計画によりまして、
昭和三十四年度までに
石炭鉱業整備
事業団の買収により減少すべき
石炭の生産数量に三百万トンであります。同法第四条第一項の
規定による
昭和三十年度
石炭鉱業合理化実施計画に基いて同
事業団の買収により減少すべき
石炭の生産数量は全国合計四十万トンが予定されておるのでありまして、当九州地区内における
石炭鉱業整備
事業団の炭鉱買上申込
状況を申し上げますと、
石炭合理化臨時
措置法施行に伴いまして
石炭鉱業整備
事業団が買収する採掘権及び鉱業施計の売り渡し申込については、
昭和三十一年二月十三日現在におきましては、福岡県が十六件、長崎県が一件、計十七件で、県別の三十九年度年間出炭量及び申込前の一カ月の実働労働者は次の
通りであります。二十九年度年間出炭量は十七万八千三十四トン、申込前一カ月の実働労働者の数は千四百十七人、かような炭鉱が現在申し込みをしておるのであります。なお、
事業団における作業進捗
状況を見ますと、本部の審査の結果不適当と認めたものが一件、また本部の審査で適格と認め、評価の
段階に入ったものが四件、本部において審査中のもの三件、支部において審査中のもの六件、申込書類の不整のため督促中のものが三件、以上のような
状況でありまして、
昭和三十年度全国合計四十万トンの出炭量を有する炭鉱買上予定のうち九州分十七万トンの出炭量を有する炭鉱の買上見込みはほぼ順調であると当局は見ています。ただそのうち一番提出が早かったのは、昨年十二月十五日でありまして、現在のところまだ買上終了が一件もないのであります。その点については、公平な価格で
買い上げるよう公平な取扱いをしなければならぬので、必然的に審査に必要な資料が複雑にならざるを得ない。その結果、その真正な資料が提出されておらず、その提出を督促すること等によりおくれるものも相当あるのであります。その買上基準に基いての具体的な適正資料としての書類が具備して、これらによって信憑力を得て、公平な価格で買上げを終了しなければならないと考えて、鋭意努力していると言っているのであります。さらにその
期間が遅延することによって、従業員の生活問題、離職手当等や失業
保険等の問題を惹起するから、彼此考慮して、少くとも原則として申込後一カ月間以内に買上げが終了しなければならぬ点を指摘して、その促進方を注意してきた次第であります。
次に、盗掘問題が現在問題になっております。去年の年末以来田川地区に
相当数の、
石炭の盗掘をやる連中があり、これが集団的に行われておるというような事例があるのであります。その間に悪質なボスが介在し、取締りの日を免れながら盗掘をやっているというような問題があります。最近はこの盗掘中に婦女子がまじりまして、二名も死亡したというような事例があります。相当取締りを強化してかような保安上許すべからざる問題の発生しないように忠告を与えて参ったのであります。
また、鉱害問題が最近頻発しておりまして、これにつきましては、局側からは、地方の通産局ですが、毎月保安上の検査をしておると言っておるのでありますが、最近の頻発する鉱害
状況を見ますと、保安検査について欠けるところがあるのじゃないか、
昭和三十年八月以降五カ月間も何ら保安上の検査をしていないのじゃないかというような問題も検討されておったのでありますが、監督上の注意を促して参った次第であります。
それから合理化工事の進捗
状況でありますが、縦坑開さく工事、この縦坑開さくの計画は全国で六十八本のうち、九州地区は一十本でありますが、その進捗
状況は三十年度までに九本完成しております。また三十五年までには残り十一本というような計画で進捗を見るはずであります。
それから炭鉱の
機械化工事でありますが、炭鉱の
機械化の推移を見ますと、中小炭鉱の
機械化は大へんおくれております。中小炭鉱
機械化の促進のための施策が何か打たれなくちゃならぬというような気持がするのであります。
最後に、
石炭鉱業にとっては
昭和二十九年、三十年は苦難時代でありまして、これを重力料金未払い
状況から見ましても、
昭和二十九年六月には一億七千万円の未払いがあった。また三十年六月には三億五千万円余り、その十二月は一億五千余万円の不払いがあった。本年度は前年度の一千三百十九万トンに対しまして二千三百五十万トンの出炭が予定されておりまして、
外国炭の船賃が上り、国内炭に有利になって電力用炭が動き、鉱工業部門が活発で、荷さばき増があったので、少くとも前上の未払いがふえないと予想しているという話があったのであります。
ついで、福岡県労働組合総評議会、副議長の勝野登君、また日本炭鉱労働組合九州地方本部執行
委員長丸岡吉夫君、その他二氏が出席されたのでありますが、労働組合
代表の
意見を聞いたのであります。全炭鉱のうち未払い賃金を有する炭鉱は出炭が悪い。
機械化すれば出炭できるのであるから、できるだけ組合の方から
機械化するように働きかけておるのが通常であるというような話がありました。
その他大きな問題としましては買収の
期間が長いという点であります。なるべく早く
買い上げをしてもらいたいということを希望しております。予告手当、離職金一カ月分ももらえない。それで解雇されて失業
保険につながろうとするものが出てくる。この失業問題をどうしてくれるのかと、かっての本
法案の公聴会の席上、救済は
政府がやると言明をしていたが不十分であるから、時に失業
対策事業をやってもらいたいというような
要望があったのであります。
このほか大手筋炭鉱でも合理化によって三万何千人かを減らすと聞いているが、五カ年計画は各炭鉱から出されているのかというような質疑がありましたが、これに対しましては、三十一年の合理化計画だけは出してもらっているというのでありして、これに対しては三十一年度だけでやれるかとの質問に対しまして、各炭鉱間の精密な積上作業は間に合わなかったが、今後できればそれによって修正することもあり得るとの回答でありました。また縦坑を掘る場合は長期計画でなければならぬと思うがいつまでとするのか、というような問いに対しまして、なるべく早くとの答えが本省の
石炭課長からされました。また労働組合が了解しないものは
買い上げないというのが法の
趣旨ではないか、申請されたときに了解しているかどうか。現在は、最初は
買い上げ申請の承認も得ないで申請され、買上契約がきまってから労組に言って来ても、すでにそのときは不承認できないところに追い込まれているのではないか、買上げ申請を組合側も知らぬんでおって、急に
買い上げますと言われても困りますというようなことで、調査の際は幹部等に聞くだけでは困るので、労組
関係者に直接に会って了解を得るようにしてもらいたいというような
要望があったのであります。また、離職金の支払いは売買契約成立の日の在職を要件とするが、現実問題としては、申し込みと契約成立の日との
期間があまり長いから、申し込みの日にさかのぼって支払ってもらいたい、これが不可能ならば、なるべく早く少くとも申し込み後一カ月以内に買上契約が成立するようにとの
要望があったのであります。
ついで、
石炭会館におきまして、日本
石炭協会九州支部
代表伊藤八郎員外四名、北九州
石炭鉱業会
代表の藤江泰氏外六名、西九州
石炭鉱業会
代表石川鉄弥氏外四名、市町村
代表等との懇談会が通産省炭政課長、福岡通産局長、総務部長、
石炭部長、炭政課長の列席のもとに行われたのでありますが、まず市町村
代表からは、合理化法に対しましては反対でないと意思表示をしておったのであるが、その
内容が明確を欠くので、修正を
要望しておったのでありますが、その点が明らかになっていない。それは買上炭鉱の鉱害賠償の件であります。すなわち未発の鉱害賠償
制度が確立していないことに不安を持っている場合、
買い上げ以後は
事業団が全部責任を持ってもらいたいということ、また
石炭業者中には、公租公課が延納ている事実がありまして、これは市町村財政に大いに影響を及ぼしているので、この点履行されるようにしてもらいたいというようなこと、次に、
買い上げによって生ずる従業員の失業問題でありますが、これは一般の失
業者と区別して
対策を講ずるようにという
要望があったのであります。これが実現しないと、右の失
業者が市町村に流れ込んで財政の破綻をきたす不安が生じますというような
意見が述べられたのであります。業界
代表からは、合理化法の適正な施行を期待しているが、これと並行して総合燃料
対策、労務
対策、
資金政策について万全を期してもらいたいという
意見が述べられた後、北九州
石炭鉱業会及び西九州
石炭鉱業会からは合理化法施行法に関する次のごとき
要望があったのであります。その第一は、
事業団の業務処理について業務処理を迅速化してもらいたいということ、第二は、買収価額の引き上げでありまして、現在の予定でありますところの年産出炭トン
当り買収価額二千三百五十円は低い、少くとも三千五百円までは引き上げてもらいたい。これに要する財源の不足は
政府資金で充足してもらいたいというようなことであります。第三は、
事業団が買収する採掘権の基準につきまして、
実情に応じて改められたい。
理由は合理化基本計画に定める地区目標の六〇%以下では、これに該当する炭鉱の多くはすでにもう廃止していると思われるので、その基準によって三百万トンの買収
目的は達せられがたいというような
理由であります。
また租鉱権問題であります。買収申し込みにかかる租鉱権炭鉱がその鉱業権者から分離独立するためには、鉱区面積について鉱業法の制限
規定、
現行十五ヘクタール以上という
規定でありますが、これを排除してもらいたい。すなわち合理化法に特別な
規定を追加するか、鉱業法の当該
規定を
改正するか、何とかしてこういうふうな租鉱権問題を考えてもらいたいということ、また次に、債務処理
委員会設置促進の件でありますが、買収代金による債務弁済は当事者間ではなかなか処理が困難であるから、こういうような
委員会を設置してもらいたい。
次に納付金についてでありますが、すでに
事業を休止した採掘権者、または租鉱権者については、前年中に出炭実績がある場合といえども、普通納付金の納付義務を免除すること、こういうことをやってもらいたい。次に、鉱区税につきましては、抗日開設の許可を拒否された採掘鉱区に対する鉱区税は免除すること。
次に、合理化法実施の前提条件として次の
措置を
要望しているのであります。それは、
石炭需給の安定、合理化
資金の確保、旧債の特別処理と金利の軽減、税制の
改正、労働
対策、かような項目でありますが、なお、ある
業者からは某炭鉱の
買い上げに当って、その隣接炭鉱に水が流れ込んでくる。その排水
設備に多額の金を要するから、この炭鉱も
買い上げてもらえないかというような
要望があったのであります。
炭鉱
関係は以上のようでありますが、次に、福岡県の久留米絣の
調整組合事務所に参りまして、同絣の組合
代表者及び綿スフ
関係業者の
代表者が集合いたしまして懇談会が開かれたのであります。久留米絣
代表者からは、福岡県久留米絣
調整組合は
昭和二十八年十二月発足したもので、構成員は久留米絣
協同組合員で、
組合員は現在三百十二名、なお休業中のものが百十名あります。その四割までが
機械大体十台以下であるというような話しであります。戦前の最高生産数量の
昭和三年の二百三十四万反に対しまして、
昭和二十九年にはその二分の一にも達しない約百万反というような不況にあえいでおる
状況でありまして、伊豫、備後のものに圧せられて現在窮地に陥っている。五割以上の操短を行なってきたのでありますが、目下打開策について努力中であるのであります。
なお綿スフ織物につきましては、福岡県綿スフ織物
調整組合の
代表者から、
昭和二十六年三月ごろまでは好況を持続しておったのでありますが、最高広幅織機二千七百台、小幅の織機が千八百台、計四千五百台で操業いたしておりましたが、その後経済界が不況になりまして倒産したものが相当ある。現在は広幅
機械千六百台、小幅
機械千二百台で操業している、従業員は好況時代の三分の一に減じておる、約三千五吾人で操業を続けているというような不況の
状況であります。広幅織機一台につきまして一万円、小幅織機一台について五千円というような融資を願ったこともあるが、実現しなかった。かような
状況でありまして、炭鉱の場合と同様に過剰
設備の
買い上げをできるだけ早く実現してもらいたい、そうして工員を短い時間の操業でつないで、この業を続けるのがお願いであるというようなことであったのであります。買上価格の問題につきましては、織機よりも型式、タイプの問題、それから付属
設備の問題、製造メーカーの問題、製造年度、耐用年数等によって差があるのでございまして、これによって適正に算定してもらいたいということを希望しております。実際の
買い上げに
当りましては耐用年数の古いものは買上値段も安いわけであるから、初年度は予算も減額されたそうでありますから、その古いもののうちから
買い上げてもらいたいというような意向もあったのであります。また三潴織物工業
協同組合の
関係者の話しによりますと、
買い上げになったからといって顕在失
業者がふえるということにならぬ、何となれば遊休織機が多くて六割操業で、その遊んでいる
機械を一割ぐらい
買い上げられても、従
業者に影響は何らないというような話があったのであります。当組合の現在生産量の六割は九州、四割はそのほかに
販売されておりますが、今後は九割の
機械で農村漁村のみならず都会に販路を開拓して、残存織機をフルに稼動できるようになることを望んでいる、そういうような計画でいるのだということを申しておりました。
一番
最後に訪問しましたのは、ブリヂストンタイヤ
株式会社久留米
工場でありますが、同
工場は東洋最大のタイヤ
工場でありまして、終戦後はいち早く
機械設備の根本的な近代化に着手しましたが、年を追って名実ともに充実してきまして、これに加うるに一九五〇年このブリヂストンタイヤの社長一行がアメリカを
視察しまして、一九五一年に、グッドイヤというタイヤの会社がありますが、グッドイヤ社と
技術提携協約を結んだのであります。その契約の成立によって、
事業の進展にさらに一そうの拍車を加えたのであります。
大体の規模を申し上げますと、当
工場におきましては自動車タイヤ、チューブ、それから自転車タイヤ、チューブ、ベルト、それからホース、工業用品、ゴルフボール等を一製造しておりまして、単に数量ばかりでなく、その能率も大へんな進歩をとげているのであります。すなわち
設備改善の主点が全自動化に置かれておりまして、品質の均一性、低コストによる合理的な製品を完成せんとしております。大量生産方式の確立、特に合成ゴム、強力人絹処理機構の整備は、来たるべき飛躍を大いに期待されているものであります。アメリカ側は、最初資本参加を主張して参ったのでありますが、当社は
技術参加を主張して譲らず、ついに当社の意向がいれられまして、米人二君が常駐しておるのであります。しかも、日本の土地に適したタイヤを製造するという目標のもとに、当社は月産八百トン、全国生産量中の三五%を占めており、新しい車の生産量一台について、五、六本を基準として生産しておるような
状況であります。生産会社の数がこのゴム
関係は少ないのでありまして、マーケット・リザーブができる。すなわち、無理な生産量を作らずに、自粛生産をして需給のバランスをおのずからとっておりまして、先の見えない競争を避けているというようなことで、比較的安定した業態であります。昨年百三十億円の生産額であったものが、今年は百五十億円の生産額に達するという見込みでありまして、そのうち八割がタイヤで、自転車タイヤは約十五分の一くらい、ただし、金額にしますと一割五分にもなるというようなことであります。一年の生産高一万トン中の二割を、タイ、ビルマ、マレー、イラン、中近東、東南アジア、南米に
輸出しておりますが、この二割を三割に引き上げるべく努力中であります。将来の問題としましては、原料として、天然ゴムよりは、合成ゴムが価格が安くて、しかも石油化学の発達に伴い、品質の上等なものが生産されて供給されるというような状態になるんじゃないかということを期待しております。
以上でありますが、調査に対しましては、
視察先の
関係者から格別な便宜を供与していただきまして、ここに深謝申し上げておきます。