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山本經勝君 先ほど山下委員の方から御
質問もありましたことなんですが、
大臣のお言葉を借りるなれば、準司法的な判定といいますか、つまり
事案に対する法の
解釈適用、こういう問題については、準司法的判定と通俗言われるわけなんであります。で、こういうものについて、いわゆる今の
大臣のお言葉にあるように、国の最高権威である
国会の同意を得て総理
大臣が任命した三名からなる
委員会の
決定であるなれば、これはきわめて公正なものだというお話、これは一応
通り一ぺんの、
一つの形の上から
考えますと、一応そうも言えると思うのです。ところが、その問題はその
委員会においても
労使双方の、つまり
関係者の代表である人々から十分
意見を聞き、しかもその
審査に参与をさせるということを実際上やるとするなれば、私は
先ほどから強調して参りましたように、従来あった三
者構成の
委員会が持続されていっても、何ら変りはないと思う。それでこういうふうな形に変えなければならない
理由というのはほかにありはしないかということを実は伺ったら、そうではない、決して他意あるものではないというお話なんです。ところが、私はこういうことを思い起す、
先ほど山下委員からもお話があったのですが、公労法の
改正の際、この
委員会に私は五.三・三の構成による公共企業体
労働委員会の仲裁裁定に関する
最終決定がこの五名からなる公益
委員によってなされるということ、しかもそれが今申し上げたように、
国会の同意を得て総理
大臣が任命したということでなされることによって、公正に行われるのだということが議論になった当時、
大臣はこういうお話をなさっておる。私の
質問であったと思うのですが、
労働組合法でいう
労働委員会における公益
委員についても本来こうあるべきだということをお話になった。そうしてこれを三つを集めますというと、つまり公労法の方はすでに成立した、それについて公益
委員を五名に増員して、しかも常勤を二名おいて
労使双方三・三と減らして、そこでしかも常勤二名を含めた五名の
委員が任命された。そこで構成された。しかも仲裁裁定という重大ないわゆる服従の義務づけのある準司法的
決定はこの五人によってなされるのだということはすでに
決定になったわけであります。それをさらに今度は
基準法の一部を変更することによって、ここでは
労働者を
災害から守るためにこの
立法措置がある。ところが、その
災害から守る
立法措置についてそれの判定では不服があるために、年間二百数十件に上る
事件が再審として要求されてきたことは御承知の
通り、そうすると、そういうような
労働者の不服を基礎にして
最終決定をする三
者構成の機関をここでまた削り取って、そうして
労働審査官の手に移して、単に
労使双方の
意見を聞いてそこで
決定する、こういうことになっておる。それからまた、今度この次にくるものは何かということを私は一応想像せざるを得ぬ。この前のお話のように、
労働委員会における不当
労働行為の判定と準司法的
事務であるそうしたものについても、こうした方がいいのだということを常に
大臣は言っておられる。そうすると、
先ほど私も申し上げましたように、
労使間に起るこれは紛争のみならず、この等級の変更あるいは
業務上の
認定等の問題についても、職場を
中心にした
労使の問題だ、そこがもともと引っぱっておるのだ。そうすると、こうしたいわゆる民主的な機構が一々削り抜けて、やがては昔の
労働争議調停官とか、小作争議調停官、こういったようなものを作り上げたいという御希望が腹の底にどこかにわだかまっているのじゃないか、こういう懸念がしてどうにもならぬ。それで、私はむしろそれよりほかに
理由がありゃしないか、そういうことをお伺いしたのは、はっきり申しましてそういうことなんです。ところが、そのコースを逐次進行している、こういうことを
考えますときに、こういうような
改正の正当な法の欠陥がここにあるのだということが具体的に
指摘せられて、こういうふうにこれを改善したらどうかという御
提案であるなれば、われわれ喜んでそれに対する協力をすることは言うまでもない。ところが協力できない。そういうことから私はもう少し、ほんとうにどういうふうにやられるのか、実際上として
現地において
基準局の話を伺いますと、現行の三
者構成による
協議決定機関が
労使双方の協力を得ることによって非常に円滑に
事態がきているということを明らかに言っておる。にもかかわらず、
労働省ではそれとは全く逆のコースを打ち
出しておる、こういうようになっておると思う。で、私が理解がいかないと申し上げたのはその点なんです。そのことがなるほどそうであるというふうにうなずけるなれば、自後の
審査についての進行もむろんもっと順調に参る、こういうように
考える。ですから
大臣がおっしゃっている今までのお話では、やはり
事務当局がお話になっておる、つまり
局長のしばしば御答弁になったように、たとえば同じ
事案について地方によって
審査会が変った
決定をしている。このことは法の解釈、適用の上に統一性を欠いている、従ってこれは的確でないのだ、こういうことではうなずけない、これは
山下委員のお話もそうだったと思う。そういうことではなくて、法
そのものにこういう重大な欠陥がある、あるいは財政上の
問題等についてこういう妥当性を欠く
事態があるのだ、こういうことでありますなれば十分検討する余地がありましょうけれ
ども、今申し上げたような形では理解がいかないということを、私は重ねて申し上げて、
一つ大臣の的確な御答弁をいただきたい。