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政府委員(
曾田長宗君)
政務次官からお答えがあると思うのでありますが、その前と申しますか、全般的なお答えがございます前に、私
ども考えておりますことを申し上げさしていただきたいと思います。
ただいま竹中
委員から御提出になりました問題は、非常にむずかしい問題でありまして、空床ができた理由は何であるかということは、
結論的なことはなかなか申し上げかねると思うのであります。保険局長も申しましたように、幾つかの要因があろうかと
考えます。そのうちで
一つ重要なことは、確かに今指摘されましたように、化学療法の進歩によりまして、在宅治療におきまして相当な効果を上げ得る、もちろんこれは入院することが好ましくないというような意味ではないでありましょうけれ
ども、必ずしも入院しなくても、在宅治療でかなりな成績が上るというようなことから、必ずしも入院を要しないという
人たちがふえてきておるということが、
一つの重要な問題だと思うのであります。このことはすでに御承知のように、すでに発表になっております資料としましても、
昭和二十八年の結核の実態
調査と、それから二十九年の実態
調査の場合におきましても、ちょっと違うかもしれませんが、私の思い違いかもしれませんが、たしか百三十七万程度、
全国で
推定された要入院
患者が二十八年にございましたのが、この翌年の
調査におきましては、百万余りになって出ておりましたが、これなんかも病気の実態が変ってきたというよりも、むしろその化学療法の急速な進歩によりまして、お医者さん方の判定が変ってきたものだと、こういうふうに私
ども思っているわけであります。その後もいろいろとこの
考え方が進んでおりますので、かような意味で、要入院
患者が幾分減ってきたということが
考えられます。
それからもう
一つは、何のかのと申しましても、結核のベッドは相当な勢いでふえて参った。たしか二十八年から九年でございますが、このときが長大であったと思うのでありますが、一
年間に三万五千ぐらいは結核のベッドがふえておったのであります。こういうような工合で、ベッドがだんだんふえてきている。こういうこと、それから一方におきまして、今度は
患者の実情があるのであります。これはいろいろと
学者側の意見があるのでありまして、簡単に
結論は言えないのでありますけれ
ども、私、この点についてもよく言われておりますが、
死亡は減ったけれ
ども、
患者は減らないという
言葉で表現されておりますが、果して
患者が減らないかどうかということについては、これは減らないとも言い切れないと思うのであります。また特に全体の
患者数と申しましても、入院を要する
患者というふうに
考えてみますならば、これが必ずしもふえていると言えるかどうか、あるいはこのある
人たちの意見といたしましては、やはり徐々に実態は減じているのじゃなかろうかというような
考え方も成り立つのでありまして、かような事情もある。しかしながら他面におきましては、
患者は減ったと申しましても、おそらく入院を要する
患者は百万に近い、少くとも近いものがあるだろう、そのうち発見されている
患者というものは、比較的その少数の一部でございまして、こういうような点から
患者を新たに見出していくというようなことになりますれば、まだまだこのベッドの需要がふえるのではないか、こういう事情も
考えられます。
一方で検診、
患者を発見していくという方が必ずしも進んでおりません。御承知のように、
昭和二十八年の
調査のときには、当時発見されております要入院
患者というのは、三十七万ぐらいかと、私、覚えているのであります。やはり見つかった
患者でございませんと、具体的に入院の運びには参りません。この発見の方が果して具体的にその後どの程度に進んでいるかということも、この問題にかかって参ると思うのであります。こういうような工合にいたしまして、その見つかっている
患者、入院を要する
患者というのが、果してどれくらいの数であるか、そうしてそれがどのようにふえているかということが必ずしも明確でございません。総合的に
考えますればその見つかっている
患者も大きな変化はあるいはないのでないか、そういたしますればその化学療法の進歩というようなことによりまして、在宅治療で間に合わしたいというような方がふえてきておるのではないか。ただ私ここで申し上げますのは、それにしましても要入院
患者が全部入院できておらないのが実情でございまして、こういうような
患者さんたちを、どうやって入院していただくかというようなことが問題となる。これは
先ほども申し上げましたように、むしろ長い間結核に悩んでおられた、慢性の開放性の
患者、こういうような方が相当まだたまっておるのではないか、こういう方々の収容ということに結核療養所は努むべきではなかろうかというような筋を大体
考えておるような
状況でございます。