○山本經勝君 最後に一点だけお伺いを申し上げます。今回保険法の改正の問題について、
総理も十分御承知だと
考えます。それは
関係者、すなわち医師会、歯科医師会、あるいは医療を受ける被保険者の側の勤労者は、あげて反対をいたしております。このことは十分御承知だと思うのですが、反対の理由を私は十分に
総理が御理解になっていないのではないか、ただいまの長谷部
委員の御
質問なり、要望の中にもありましたことと関連をいたしますが、これらの被保険者は勤労者であり、労働者が大部分を占めている。そこで今年の春、御承知のように春季闘争というのが鳴りもの入りでやられた。ところがその結果、賃金が最低月額にしてやっと四十円、最低は四十円、あるいは最高にして七百数十円、こういう
状態でございます。これは月額。そういう実情でありますが、さらに私は大事なことは、この賃金のわずかの上った部分は、問題になっておる労働者の大体三割七分、あるいは三割八分といわれる。そうしますと、四割足らぬ勤労者の賃金がわずかながらでも上りました。しかしながら、その上った額は最低四十円、最高月額にして七百円から八百円見当のものでございます。ところが、今度は健保
関係の改正案の内容から逆算を、推算によっていたしますというと、大体患者の一部負担によるものが一人当り平均千五百円見当、そうしてさらに標準報酬月額及び等級の
変更に伴って上る分が約一千円、こういう数字に大体なるように
考えられます。ところでそういたしますと、この
政府の方におきまして、もし争議が非常に深刻に長期化するなれば、必要な場合には自衛隊の動員も辞せないという御声明もあったほと重大な闘争を経て引き上げられた賃金の額は、ことごとくこの健康保険法の改正によって抹殺されてしまう、こういう結果になるように
考えます。そうしますと、私は少くとも先ほどからるるお話になっております健康保険という医療保険が骨抜きになってしまうだけではなくて、むしろこの春の大争議も、厚生省がいわゆる健康保険法の赤字を埋めるためにやったのではないかという結果になってしまうように感ずる。このことが反対の大きな理由であります。これは一方そうなりますと、勢い患者がお医者にかかりません。
国民医療の低下はむろんでありますが、一方業者であるお医者さん方にいたしましても、これは重大な生活問題にもなり、また良心的な治療をなそうとする医者の方々の、いわゆる天職としての任務にも恥じる結果が起る、こういうような形において反対がなされておる。ですから、私は今のような実情にあることを
総理がよく御理解をいただいて、すみやかに何らかの善処をお願いしたいのですが、その
一つの方法として、こういうお
考えをお持ちになれないかどうか。すなわち、わずか二十三億という少額の負担を、あるいはまた、総額にいたしましても三十数億といわれるわけです。ですからこの総額を、とりあえず
政府の負担でやっていただく。ないしは一時の便法として厚生年金保険の余裕金も現に二百八十億ある。さらに積立金に至っては八百数十債、合計千百一億という膨大な金があるわけです。しかしながら、それは全額これに振り向けることに参らぬことは、私も十分存じております。そういたしますと、また三十債何がし、あるいは二十三億といわれる赤字をとりあえずこの金で弁済をしておいて、そうして本来この健康保険、その他
国民医療を中心とする医療保険
制度の拡大を前提として、最も正しい、最も合理的な方法を組み立てられようというのでありますから、それに十分な研究の期間を与え、そうして機関を設置して、すみやかに合理的な、また恒久的な保険
制度の普及徹底、拡大強化をする方策をおもむろに講ぜられても、私はおそくないのではないか、こう
考えるわけであります。ですから
総理にお伺いしたいのは、そうした施策を前提にして御考慮願えるならば、少くともこの国をあげての反対、世論に反する強行
政治をなさらなくても
鳩山内閣は済んでゆくの、た、こう
考えるわけです。この点について一点だけ
総理からお答えを願いたい。