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1956-04-13 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十三日(金曜日)    午後一時二十五分開会   —————————————   委員異動 本日委員加藤武徳君、草葉隆圓君、紅 露みつ君、高橋進太郎君及び相馬助治 君辞任につき、その補欠として杉原荒 太君、斎藤昇君、小沢久太郎君、雨森 常夫君及び久保等君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重盛 壽治君    理事            高野 一夫君            谷口弥三郎君            山下 義信君    委員            雨森 常夫君            小沢久太郎君            斎藤  昇君            榊原  亨君            杉原 荒太君            寺本 広作君            深川タマヱ君            横山 フク君            久保  等君            平林  剛君            大和 与一君            山本 經勝君            田村 文吉君            森田 義衞君            長谷部ひろ君   委員外議員    永岡 光治君   国務大臣    労 働 大 臣 倉石 忠雄君   政府委員    労働政務次官  武藤 常介君    労働大臣官房総    務課長     村上 茂利君    労働省労政局長 中西  實君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    労働省労政局労    働法規課長   石黒 拓爾君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○公共企業体等労働関係法の一部を改  正する法律案内閣提出) ○労働情勢に関する調査の件  (駐留軍労務者失業対策確立及び  労働基本権確立に関する件)   —————————————
  2. 山下義信

    理事山下義信君) これより社会労働委員会を開会いたします。  御報告申し上げます。まず、委員異動を報告いたします。四月十三日付をもって相馬助治君が辞任され、久保等君が選任されました。同日付をもって加藤武徳君が辞任され、杉原荒太君が選任されました。同日付をもって草葉隆圓君が辞任され、斎藤昇君が選任されました。同日付をもって紅露みつ君が辞任され、小澤久太郎君が選任されました。同日付をもって高橋進太郎君が辞任され、雨森常夫君が選任せられました。  次に、四月四日、衆議院から予備審査のため本院に送付になりました衆議院議員岡良一君ほか十二名提出健康保険法等の一部を改正する法律案は、四月七日、委員会において議決を要しないものと決定いたした旨の通知がございました。  右御報告いたします。   —————————————
  3. 山下義信

    理事山下義信君) これより日程に入ります。公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案を議題といたします。  お諮りいたします。委員外議員永岡光治君から発言を許可されたいとの事し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 寺本廣作

    寺本広作君 異議はないのですが、昨日の質問でちょっとだけ私ただしておきたいところがありますが、それを先にお許しをいただきたいと思いますが……。
  5. 山下義信

    理事山下義信君) それをその前にしていただきますから……。  御異議ないものと認めます。  それでは御質疑を願います。
  6. 寺本廣作

    寺本広作君 きょう、大和さん、平林さんがお見えになっていると非常に都合がいいのでありますが、お見えになっておりませんので、同僚であられる永岡さん、久保さんお見えになっているから、お伝えいただけることと思って質問いたしますから、御了承いただきます。  昨日、大和さんの御質問労政局長答弁された中で、私の聞き誤まりでありましたか、ちょっとふに落ちぬところがありますので、その点確かめさしていただきたいと思います。  と申しますのは、公共企業体等労働委員会委員構成について、労使三・三となって、公益が五入となっておる。この点については、原案審議の過程において、労働側は必ずしも賛成でなかったのではないかという質問に対して、それを肯定されたような答弁があったと思います。しかし、この法案審議資料として私どもがちょうだいしております資料の中に、この審議会答申がございますが、それによれば、労働側反対のあったところは反対経営側反対のあったところは反対と、こう書いてございます。そう書いてない部分は一応双方の御賛成のあったものと、われわれはこういうふうに了解しておったのでございます。今の委員構成の点は、どちらにも御反対はなかったように書いてあるので、一応私どもはこの点はまあ双方の御賛成があったものと、こういうふうにとっておったわけでございます。この点、反対があったのか、なかったのか、あるいは昨日ほかの問題で、その公益委員の中で、たとえば常勤の者を置くという点については、全く意見がなかったのだが、御反対はないものと認めて、答申の中に事務的に書き入れたというようなことがございましたが、それと同じ性質のものか、その点を明らかにしていただきたいと思います。と申しますのは、これは大臣の御答弁の中にも、この法律国会に出すに当っての大臣のお心持ちとして、労働側反対を押し切ってまでやるべきものとも思わぬし、そうやるつもりもない、こういう御答弁がございました。労働側の非常な強い反対があったということであれば、大臣のその御答弁趣旨にも合わぬように思いますので、この点一つその経緯を明らかにしていただきたいと思います。
  7. 中西實

    政府委員中西實君) ただいまお話しのようなふうにお考えになったのも御無理ないかとも思いまするが、実はこの答申は相当の項目がございますけれども、しかしながら、やはり最も論議があるおもなところにつきまして、答申がなされておりまして、細部の点につきましては、特に論議がございませんでした。そうして、お話の今の委員会の人数の問題でございますが、この点につきましては、たしか審議会会議中でございましたか、あるいは普通の雑談のときでございましたか、まあ五・五・五だろうなというような話が出たような気もいたします。しかしながら、こういった細部の点につきましては、一応立案する事務の方におまかせいただいたというふうに、われわれとしては理解をいたしておるのでございます。従って、たとえば委員会地方構成の問題、これあたり相当重要な問題がございますけれども、特に答申にはなりませんで、一応立案する場合の事務にまかせられたというふうに考えております。今の常勤の問題につきましては、当時は全然話題になりませんでしたが、後ほど立案の際にいろいろと考えまして、やはり必要だということで、入れたような次第でございます。
  8. 寺本廣作

    寺本広作君 もう一点だけ。まあ包括的に御委任があったものとして、こういう答申書をまとめられたということでありまするから、労使の強い賛否の意見の分れた部分でないということはただいまの御答弁で了承いたしました。  もう一つ、きのうこれは平林さんでしたかの御意見の中に、この公共企業体労働委員会構成のやり方では、調停に携わった公益委員仲裁に入らなければならぬような構成になるのじゃないかというような御指摘がありました。承わっておって、なるほどそうだということを考えたわけでありますが、現在の制度のまま、労使三人で公益調停委員会に三人、仲裁委員会に三人、三一二丁六、現在のままの数字を踏襲されるということになれば、この法律によって、調停委員会調停委員の各側の数字の最大が三でありまするから、公益委員は三人しかそれにタッチしないということになる。そうすると、残った三人は、必ずまあその事件に関係せぬ者が三人だけリザーヴできるということになりますので、むしろ数字としては、平林さんの議論を通せば、三・三・六の方が筋の通った数字になるのではないかというふうに考えますが、この点御再考余地がありますかどうか、お伺いしたい。
  9. 中西實

    政府委員中西實君) 実は立案の際その話も出たのでございます。今まで三・三・三それに仲裁が三、従ってそれを合せれば三・三・六、それもいいじゃないかというような話もあったのでございますが、しかし何分にも公益委員で決をとる場合もございまして、その場合に偶数というのは従来からもあまり例もなかったというようなことで、ことに機構簡素化というような点から一人減らして奇数の五ということにしたわけでございます。  なお、この調停をやった者が仲裁になるということにつきましても、いろいろ検討したのでございますが、すでに一般労働委員会中央労働委員会地方労働委員会、これにおきましてもやはりダブるということもときにはあるが、しかしそれは特に支障にはならない、場合によっては事情のわかったのが一人が、あるいは二人入るということの方が円滑に処理せられるのじゃないかということで、すでに例もございますので、その点につきましては差しつかえないのじゃないかというふうに考えております。
  10. 大和与一

    大和与一君 私が来る前に寺本委員から巧みな誘導質問があったかもしれませんが、昨日私にお答えをいただいた議事録は消えていないわけです。寺本委員も、きのうお話したところは、大臣と同じように審議会でまとまったものだけが出てきているのだから何も反対せぬでいいじゃないか、こういうお気持であったので、これは間違いない、大臣と同じ。まとまったものが出ていないので、それで私はそうだったらいいけれども、どうもそれが明らかに違うのだから、違うとか違わぬとかいうことを言っているのじゃなくて、一つ大臣のお気持からいってもまとまったものをやりたいというので、あえて反対を押して断行するという気持はないということを本会議でちゃんとお答えになっているのだから、そうだったら、それこそ一つ再考いただければ話が円滑に進むからその方が万事よろしい、だから一つぜひお願いしたい、こういう建設的、きわめて進歩的な御意見を申し上げたつもりなんです。それをまた寺本委員がここで包括的なんといううまい言葉で全部それは審議されたものと認めるような御発言があると、またこれは話が少しややこしいことになるのですが、この辺で一つ大臣はその点については一つまあ考えるというふうになれば、これは話が急に進むのですが、いかがでございますか。
  11. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 考える……。
  12. 大和与一

    大和与一君 その例の委員構成常任のことですね。これについては審議をしていない、審議会では。明らかに審議をしていない。だからそうなると、これに対して組合側の方もこの点はどなり込んでいった例があるわけです。労政局長のところへ。そういうふうな強い反対があるのだったら、それを固執しないで、委員会構成は五・五・五、あるいは常任ということがそんなにいやだったらせんでもいいじゃないか、これくらいの気持に、これは大したことじゃないから、なっていただくと話はもう少し円滑に進む、こういうことになるのですが、なお一つ再考余地ございませんか。
  13. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) その点は、いきさつについては今労政局長から申し上げましたようなことでして、まあ中には若干御異議のある方もおいでであったようでありますが、総括的にはそれほど強い何もなかった、こういうことでこの法全体をまとめるためには、まあこの辺のところで我慢をしていただくのが一番まとめやすいのではないか、こういうことで原案を作ったわけであります。ですからどうぞ一つその点を御了承願いまして、御賛成をお願いいたしたいと思います。
  14. 大和与一

    大和与一君 もう一つ。そうなると、やはりきのうおっしゃった大臣の私に対するお答えと、労政局長お答えは明らかにもうはっきり食い違っているわけです。大臣はまとまったものだけを取りまとめたのだからとおっしゃる。それで私は、そのまとまったうちというのは二つの審議労政局長に聞いたら、それは審議していない、まあ話題くらいにはなったような気がする、この程度速記録だったと思います。そうすると違ったままでこれは強引に押し切る、こういうことになりますかね、これは。
  15. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 非常に対立して、にっちもさっちもいかなくなったというふうなことでもないことはあなたも御存じの通りであります。今お話し申し上げましたような経過で、たとえば四条三項などでも、まとまらない点はまとまらないなりに法体系を整えていくより仕方ない、こういうような程度の考え方でありまして、従って私どもとしてはこの点につきましてはいろいろお話もいたしましたが、まあ今回の原案程度一つごしんぼう願いたい、こう思っております。
  16. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) ただいまの点に多少関連しますけれども、数の問題はこの際……。任命形式ですが、この第二十条で、委員任命の第二項ですか、この中で、「公益委員労働大臣使用者委員及び労働者委員意見をきいて作成した委員候補者名簿に記載されている者のうちから両議院の同意を得て、使用者委員公共企業体等推薦に基いて、労働者委員組合推薦に基いて、内閣総理大臣任命する。」と、こういうように書いてありますが、この「公益委員労働大臣使用者委員及び労働者委員意見をきいて作成した委員候補者」ということになって、倉石労働大臣がこの改正でいよいよ実施される場合には、この意見を聞くというのは具体的にどんな聞きようをするのですか。それでそれはどの程度入れるのですか。具体的に私はそれを知りたい。
  17. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 事務的にはとにかくといたしまして、あとで必要なれば事務当局から申し上げますが、私どもとしては大事な仲裁委員の選任でございますから、両者の御意見を十分承わって、そうして納得のいくように御説明を申し上げて、そうしてしかる上にその名簿国会提出をいたして御賛成を願う、こういうふうにやりたいと思っております。
  18. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そうしますと、たとえばですね、五人の委員をこれで——かりにこの法案が通るとなると——選ぶわけですが、おそらくあなたが実際に行われる場合には、何名を労働者側委員推薦させ、また使用者側委員に何名推薦をさせますか。意見を聞くのですか。その際に具体的にどうするかを私は聞きたいのです。具体的にどういう方法でやられるのか。
  19. 中西實

    政府委員中西實君) 公益委員は五人でございますが、本来こういうものの名簿は、まあ常識からいいましても約倍数を出すのが普通かと思います。しかしそれは労使委員の御意見で、あるいは三倍という御希望があれば三倍出してもいいと思いますし、まあ倍程度あるいは倍以下で大体その中から一応これは賛成だというふうに、御意見がいただけるのじゃないかというふうに考えております。
  20. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そういたしますと、たとえば労働大臣が一応案を用意するわけですね、何人かは。その中にこれは非常に困るのだと、この人はだめですよと、かりに労働者側委員の方からそれがあった場合には、それは削りますかどういたしますか。
  21. 中西實

    政府委員中西實君) 具体的の場合になりますとなかなかむずかしいですが、もう絶対いけないというようなのはまずそれを無理々々ということは、これはこの委員会性格からいいまして無理じゃないかと思います。
  22. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そういうことになりますと、結局は意見を聞くというても、この意見を聞くというのは——従来推薦されておりましたね、両者意見を聞いておりましても、相当強く反映されておったわけですが、従来、この改正前と大体同じような意向ですね。数は五人であるけれども形式は若干違ってくるけれども精神は従来と同じように運用されていかれるものと、こう解釈してよろしゅうございますか。
  23. 中西實

    政府委員中西實君) この法文方式でいきたいと思います。従来は法文はともかくとしまして、たとえば調停委員会のごときは労使委員同意というふうに現行はなっておりましたが、そのうしろ組合の御意向等を非常に聞いてやっておったようなこともございますが、これは非常なる混乱が起りますので、やはり一般労働委員会がやっておりますように、法文通り労使委員意見を聞くと、しかし意見を聞くとはございますけれども、十分に聞いて、御反対の分はこれは無理してはとうてい委嘱はできないものじゃなかろうかというふうに考えております。
  24. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) その精神は大体わかりましたが、そうすると、意見を聞くということは単なる参考意見でなくて、十分意見を聞いて、それの意見が非常に強い反対意見であるならば、そういう反対のものについてはこの候補名簿から一応除くと、こういうことになる。こういうようですね。もう一度その点を明確に私は御答弁いただきたいと思います。
  25. 中西實

    政府委員中西實君) これは非常にまあこの間から御心配が強いようでございますけれども、しかしこの委員会性格をお考えいただければ、そんなに一方的な無理な委嘱はあり得るはずはないのでございまして、非常に強い御反対があれば、そういう方を任命してもこの委員会運営はできないし、労使信頼を得ない委員会などは存在価値もございません。その点の御心配はなかろうかと思っております。
  26. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) なおこれには心配ありますけれども、われわれの信頼をする労働大臣その他でありますから、ぜひただいまの御答弁のように、十分これを運営してもらうように特に要望いたしておきます。  もう一つ、これもすでに質問がされたかと思うのですけれども改正の三十五条の委員会裁定の問題ですが、「委員会裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、」まあここまでは従来と同じです。「また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。」というこれを入れられた精神ですね。具体的にどういうふうに運用されるのか。私はたとえば裁定が出たと、国鉄の調停案に対しましてですけれども、月額二千円のベース・アップしろと具体的に出たと、その際にどう……しかもその給与予算は足りなかったと、給与予算は二千円をまかなうだけの給与予算が組まれていないと、こういう際にどういう具体的の方法をとるのでございましょうか。
  27. 中西實

    政府委員中西實君) その際の経理の実情によっていろいろ違うかと存じますが、しかし三十五条でこの条文が入りましたのは、一つは、従来からもちろん仲裁裁定政府においても尊重すべき筋合いのものでございまするが、今回委員会制度も変り、また委員任命方式も変り、形式的にも権威が高まり、実質的にもりっぱな人が任命されるというようなことで、いよいよさらに政府としましては裁定が実施されるようにできるだけの努力をすると、こういうことが言明されたわけでございます。従って、これとさらに具体的には付則の方にございまする給与総額をこえる裁定の場合に、一般会計法規による手続、従いまして、できるだけ費用の運用支障のない限り実際に金の足りない分は流用等によりまして実施できるように努める。しかしながら、たとえば非常にもうかっておる、従って給与に回し得るものがある、ただしかし予算上に額がない、で、流用ではまかなえないというような場合には、これは政府としまして補正予算を組むというようなことにもなりましょう。いろいろそのときのケースケースによって違うかと思いまするが、要はその企業体運営経理内容等を勘案して、できるだけの努力によって裁定が実施されるようにするという趣旨でございます。
  28. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そういたしますと、従来でも予算上の流用を認めて私は実施をしておったのではないかと思うのですが、その点はどうですか。その点はどう変ったのでしょうか。
  29. 中西實

    政府委員中西實君) 従来は給与総額というのがありまして、これにひっかかる場合にはすべて不可能だということで、流用の問題なく国会に付議しなければならないということでございます。今度の改正によりますれば、支障ない限り流用が認められる場合、それは流用を認めますると実施可能ということになりまして、給与総額をこえましてもこれは国会補正を待たずして実施できるということになるわけでございます。
  30. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そこでさらに具体的にお尋ねいたしますが、今御答弁になりました予算上の移流用というのはどの程度をさすのですか、この移流用の対象になる款項目にいろいろありましょうが……。
  31. 石黒拓爾

    説明員石黒拓爾君) 三公社につきましては、各項目にかかわらず流用一般的に認められておりますから、法律的に申しますならば、移流用の許される範囲というものはございません。もっぱら事業経費ということになるのでございます。五現業につきましては、款項が分れておりますので、このうち流用を認められた款項に限る、こういうことになるわけでございますが、実質的には事業勘定はほとんど一本にまとめられておりますので、法律的にいって移流用できる範囲というものは非常に広いものであると思います。
  32. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) 今の答弁をもっていたしますると、三公社については実質上項目制限というものはないから、これは青空と同じことだと、こういうことになるわけですね。そうすると、そこで制約を受けるのは一体何か。制約を受けるのは一体何かとこういうことになるのですが、その制約はどこで受けるのでしょうか。この移流用してはならないというその制約が出る場合はどういう場合でしょうか。移流用で限界が出てくると思うのですが。
  33. 中西實

    政府委員中西實君) 一番の制約は本来の企業運営、これに支障が生ずる、それ以上の限度をこえた移流用というものは、これはやはり許さるべきじゃなかろう、こういうふうに思います。
  34. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そうすると、この企業運営支障を来たさないというと、これはきわめてばく然とした表現で、おそらくどういうものでもこれは支障があるのだと言ってしまえばそれでおしまいになってしまうのですね、一にかかってこれは経営者当局自由裁量にまかせなければならぬということになってしまって、非常に幅の広いものになってしまって、運用によっては全然出されないし、運用によっては、十分そのまま国会審議を待たずして全部できると、こういうことになると思うのですが、何か、その辺のところを制限されるような何らかの方法はないのでしょうか。どういう方法でこの際は、それは運営上支障があるとかないとかいう判定は、たとえば調停仲裁委員でしょうかね、仲裁委員というものが、これはたとえば電電公社についてはこれをのんでも経営支障がないのじゃないか、ところが公社の方ではあると言う、その際には仲裁委員会の意思は通らずに公社意向が生きてくるのか、それとも仲裁委員会認定が生きてくるのか、どちらになるのですか。それな非常に私はむずかしいと思うのですがね。
  35. 中西實

    政府委員中西實君) おっしゃるように、認定は非常に困難な場合がございます。そこで、その際のやはり事業運営仲裁裁定の尊重とのかね合いの問題でございますが、その際に、今度の改正による政府努力義務というようなものも非常に精神的に生きてくるのじゃなかろうか、従ってこの裁定を実施するについての流用は、行政管理をもちまして、法規裁量ではございませんけれども、しかしながら非常に法の趣旨からいいまして裁定に当っては覊束を受けるということは確かだろうと思います……。
  36. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) これは実に私はむずかしい条文解釈になると思うのですが、実際に会計を預かっているものの立場から検討してみると、できるようでもあるし、全然できなくなるおそれもある法律解釈になってくるわけですが、そこで端的に一つの例を取り上げてお尋ねしてみたいのですが、この五現業の場合について、実際法律上これが移流用できないというような制限をされることはほとんどないだろう、非常に幅広いものになるだろうというお話がありました。具体的に申し上げますと、物件費それから建設費等はこれもやはり移流用の対象になるかどうか。たとえば郵政事業を例にとった場合、具体的に聞いた方が早いと思うので……。
  37. 中西實

    政府委員中西實君) 移流用をあらかじめ制限している費目につきましてはこれは補正予算によらなければなりません。その移流用を禁止している費目につきましては、これは公社現業によって違いますので、なおその費目についてお答えの必要がございましたら、さらに説明員から御説明いたさせます。
  38. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) それではもう一度、これについて移流用制限の問題がありますが、これは大蔵大臣と相談すれば、移流用を認める項目が規定されていると思うのですが、そのときに大蔵大臣の一任で、いや、そう流用をやられては困るぞという制限は、この場合には受けずにその裁定は実施される、こう解釈していいのですね。
  39. 中西實

    政府委員中西實君) 会計一般原則ははずれないのであります。従ってはっきりこの予算総則ではずれますのは給与総額制限ははずれる。しかしそれ以外の一般手続は、これは総則にあります手続によってやる、こういうことになります。
  40. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) たとえば昨年の暮れの場合、〇・二五ですか、増順いたしましたけれども、これは補正は組まなかったはずですね。組んでおるかどうか私忘れましたが、たしか組まなくて出したのじゃないかと思うのですが、その際に、あれは給与総額をやはりこえていると思うのですね。そうすると、給与総額はこれでもこえてもいいということを言っているわけです。そうすると、移流用でもって制限をするということになると、今度の場合でも年末一時金の場合、それから春季の一時金の場合でも、私はおそらく給与総額はこえていると思うのです。こえている結果になっていると思うのです。そういう場合には、大蔵大臣と相談をして、大蔵大臣がよろしいということでその移流用を認めておったと思う。従来そういう方針で、会計法上もそうなっておりますが、私の聞きたいのは、たとえば郵政事業あるいは林野事業にいたしましても、この費目はこういたしたい、こう考えておる、ところが大蔵省の方でそれは困る、そういう移流用をされては困る、こういうことがしばしば言われてきているので、この点は実現できなかったことが多いと思うのですが、そういう大蔵大臣の事この裁定実施に関する限りは、その主管官庁である官庁がこれだけ出したい、あるいはまた、これはまあ公社にはほとんどその例がないという御返事でありますが、これはそのまま受け取ることにいたしましても、官庁関係については、こういう移流用をいたしたい、こういう申し出があった際に、それは困るということを大蔵大臣は絶対言えない、こういう精神のものだ、この解釈していいわけですね。
  41. 中西實

    政府委員中西實君) あの一時金〇・二五の場合でも、給与総額をこえる措置はいたしておりません。それをこえる場合には、どうしたって補正を組まなければいけない。ただ、全体的に金額としてふえるというふうにお感じなのは、給与総額でまかないまして、その余の分につきましては業績手当、これは業績手当は給与総額に関係いたしません。その方の分で出している。給与総額をこえる措置は絶対いたしておらないというふうに存じております。
  42. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) それで、もちろんその移流用について従来大蔵大臣制限いたしておりますね。了解を得なければ移流用できない。この裁定実施に関する限りは、大蔵省は、主務官庁からそういう申し出があれば、はあさようでございますかということでもって認めるだけであって、大蔵大臣の意思によってこれが曲げられるということはない、こういう精神であるべきではないかということを、私は今まであなたがたの解釈からそう解釈されるが、そういう解釈が正しいか、こういうことでございます。
  43. 中西實

    政府委員中西實君) 今のお尋ねでございますけれども、三十五条の規定によりまして、大蔵当局の考え方というものも一段と今おっしゃったような気持にはなると思います。しかしながら、必ずやはり大蔵大臣が無条件に全部認めるということは法律的には義務づけられておりません。
  44. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そうなりますと、やはり結局は大蔵大臣制約を受けるのでありますから、ただ規定はしていったものの、そう大した効果はないということになるわけです。その問題もありますが、ただいまの御答弁の中で、給与予算総額はふやさなかった、しかし他の業績手当等の方でこれは考えましたと、しかし業績賞与は給与予算総額の中に私は含まれておると解釈しておりますが、含まれておりませんか。
  45. 中西實

    政府委員中西實君) これは予算総則ではずれております。
  46. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) はずれておりますか、それでは業績賞与の費目の中にどんどん入れ得ることはあり得るわけですね。たとえば一番いい例は建設勘定です。これは人件費がかなり含まれております。だからそれは人件費というものは給与の中に入れるのだということで移流用したいという申し出があった場合には、大蔵大臣はそれはいやだということを言えない、こういうふうに解釈したいのですが、そう解釈していいですか。
  47. 石黒拓爾

    説明員石黒拓爾君) 具体的なお話でございますが、郵政事業で移流用ができます範囲は、本年度の三十一年度特別会計予算について申しますならば、予算総則第十二条に認められた範囲でございます。それを何でもかんでも業績賞与あるいは裁定実施経費に封じ込めたいという希望が万一郵政省から出て参りました場合におきましても、先ほど局長が申し上げましたように、それを無条件で承認する義務が大蔵大臣にあるわけではございません。すなわち大蔵大臣の財政責任を解除したものではございません。
  48. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) 実際の例としてこれは申し上げますと、おそらく私は給与総額はやはりそれぞれ相当こえているのではないかと思うのです、若干結果的には、年度決算をすれば。そうでなくしては、従来の給与予算範囲内ではおそらくあの給与改訂はなされていないと思うのです。そういうようなことを表向きはこれは給与予算をこえていないということを言うでございましょう。しかしおそらくこれは決算してみれば、正確に積み上げてみれば、給与予算をこえている結果に二十九年度も三十年度もなっていると思います。そういうことになぜなったかといえば、これは大蔵省の方で承認したということになるのです、結果的には。法規はともあれそういうことになる、従来も認めたのであるからして、そういう精神からいうならば、従来認めたことを今後も認めていいということになる。従来と変った法律は何かといえば、一々大蔵大臣の承認を得て、大蔵大臣が強い権限をもってある程度制約されてきたが、しかし今回の改正によってその大蔵大臣制約というものは完全に撤廃されて、主務官庁の事業の上に差しつかえないという認定がある限りは、その主管大臣意向に沿うものと、その通りに承認すると、こういう形でなければならぬと思うのですが、この考え方は私は間違っていないと思うのですが、どうでしょうか。
  49. 中西實

    政府委員中西實君) お考え方としてはわかりますけれども、しかしながら会計法上の一般原則、これはやはり従う必要はございまして、従って主管大臣から必要があって、会計法上大蔵大臣の承認を得るという場合には、財政責任者である大蔵大臣のやはり裁量というものは残る、これはやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  50. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) それではさらに続けて御質問申し上げますが、三十五条の後段のただし書きですね、「公共企業体等予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする裁定については、第十六条の定めるところによる」と、この予算上資金上不可能という場合はずいぶん従来からも論議されましたが、ここでもう一度私は明確にしておきたいと思いますが、「予算上又は資金上、不可能な」という意味はどういうことなんでしょうか。給与総額をこえるから予算上これは不可能だと、こういうことにはならぬとさっきのとうも答弁のようてあります。それから資金上という場合は——それじゃ資金と予算と分けた理由は一体どこにあるかということにもなるわけですが、そこで私は再びこの点を明確にいたしておきたいと思いますが、「予算上又は資金上」ということを、具体的にこの理由をもって支出が不可能な場合というのを、ある一例でけっこうでございますから、例をあげて御説明いただきたいと思う。
  51. 石黒拓爾

    説明員石黒拓爾君) 「予算上又は資金上、不可能な資金」と申しますのは、これは抽象的に申し上げますと、当該公社または当該企業限りにおいては支出することができないという意味でございます。予算上という点、資金上と予算を書き分けてございますが、公社の資金は建前といたしましては、すべて予算に計上され、予算によって収支されることになっておりますので、資金上独立の資金というものはほとんど考えられないわけでございます。純理論的に申しますれば、資金上の問題はあり得ないことはございませんが、しかし実際問題としてはほとんど考えられないと申してよろしいかと存じます。予算上不可能であるというこの意味は先ほど申し上げました通りでございまして、たとえば給与総額を上回る裁定が出ました場合には、本法の付則にございます手続によって支出できるようになりました場合にはその分はすでに不可能ではない、そういった移流用によってなおかつ支出できないという分が残りますならば、その分は予算上不可能であるということになるわけでございます。
  52. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) これはこの改正の一番大きな問題だろうと思うのですが、この精神は、労働省から資料にいただいております答申案に明記されております(イ)と(ロ)ですね、(イ)と(ロ)で明確に出ておりますが、この通りだと解釈していいですか。それとも若干これと違った趣旨のものがこの中に入れられているのか、その点明確にしていただきたいのですが。
  53. 石黒拓爾

    説明員石黒拓爾君) 精神におきましては、答申第五項の(イ)と(ロ)と全く同じ精神立案いたしたものでございます。しかしながら、もちろん答申の中に書いてございます点には、運用にまかされている面もございますので、そういう点は法文上は現れていない、精神は同様の気持でございます。
  54. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) 精神は同様ということはどういうことですか。私の聞きたいのは、この答申案の通りこれは運用されると、こう解釈していいのですか。
  55. 中西實

    政府委員中西實君) さようでございます。その点ここの(イ)にございますように「業績賞与制度を更に広く活用できるように」という、これあたりは、先ほど言いましたように、法文の問題じゃなくて運用上もこのつもりでやるということでございます。
  56. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) それではもう一つお伺いいたしますが、その年度は業績賞与でカバーできた、次年度はその業績賞与——つまり裁定の実施のために移流用を必要として業績賞与等の財源に手をつけた、それで実施をしたということになると、当然翌年度はそれは給与総額にそのまま反映して既定経費として認められると思いますが、その点は間違いないでしょうね。
  57. 石黒拓爾

    説明員石黒拓爾君) 今のお話はベース・アップに本年度は給与総額がないから、業績賞与から一時金で出しておいて、次年度からというお話だろうと思いますが、その点は、業績賞与と本俸とはどうしても一緒にならない性格のものでございます。業績賞与でまかなってしまったならば、これは来年度には絶対尾を引かない。ベース・アップならやはりベース・アップとして本年度中にやっておかなければ来年度に尾を引くことにはなりません。もちろん給与総額で来年度やるという約束ならば別でございますけれども、業績賞与で出した実績というものを十二カ月で割って、来年それが尾を引いていくというふうにはならないわけでございます。
  58. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そうすると、二千円のベース・アップをしろということで、どうも移流用をいろいろしてみたけれども、なかなか財源がなくて、それでは業績賞与でその年度内に月額二千円とすれば、この程度になると、それを業績賞与の財源に求めたと、それで実際上は国会審議を経ずして、その企業内限りでこれを実施した、ところが翌年度は、それはやはり基本のベースには入らずに、依然としてその業績賞与は、業績賞与の財源として残って、二千円というのは、またあらためて再出発して移流用しなければならぬと、こういうことになるということですか、そうですが。そうしますと、この移流用というものは、業績賞与と給与総額というのはどういうことになるのでしょうか。業績賞与、これは移流用できると思うのですが、移流用できないということになりますか。
  59. 石黒拓爾

    説明員石黒拓爾君) 業績賞与はほんとうはベース・アップの引きかえなどにする筋合いではないわけで、法律上はベース・アップの見合いの業績賞与というのは出せないことになっておるわけでございます。それがたまたま業績が上って、業績賞与は当然出るべきなんだけれども、それを業績賞与引きかえに組合が了解しておこうと、こういうことはあり得るのでございますが、その場合業績賞与として出せば、法律上は翌年度には絶対に尾を引かないことは先ほど申し上げました通りであります。ですから業績賞与の財源というようなお話がございましたが、これは建前から申しますと、業績賞与は、財源はございません。予算項目上、業績賞与という項目はないので、年度末になって、能率向上の結果、金が余ればその一部が業績賞与として出る、業績賞与の移流用という問題は起る余地がないかと思います。
  60. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) この移流用の問題については、いずれこれは将来いろいろ問題になろうかと思いますので、この際さらに詳しく質問いたしましても、きょう特に明確にしておかなければならぬという問題でもなかろうかと思いますので、要は、精神が、ここに答申された精神であるという答弁をまず承わったことにいたしまして、もう一つ次に、これはこの前本質的な問題として、私は倉石労働大臣にお尋ねして、それは仮定の問題であるから答弁できないと、しかし公務員には政治活動の制限はつけるべきであると、こういう答弁でありましたが、数日前の新聞によりますと、自民党の方から、特定局長を特別職にして、政治活動の自由を、つまり政治活動の制限を撤廃するということになっておるのですが、これについてあなたは、この前の答弁からすると、これは反対ということになりますが、鳩山内閣としては、これは賛成なんでしょうか、反対なんでしょうか。しかもあなたは、公務員制度に関係しておる、しかも行政管理庁長官も今回は分担されるようになっておりますが、どういうお考えでございますか。その点を一つここで重ねて御所見を承わりたいと思います。
  61. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私も新聞で拝見をいたしまして、どういう趣旨であるかということを聞きましたところが、自由民主党の方では、一部の議員の中で、そういう意見を持っておる者がありまして、政務調査会に提案をいたしておるそうでありますが、政府としては、そういうことにただいま賛成するわけにはいかないと、こういう建前を党には通告いたしまして、従って一部の議員の要望がございましたが、決定をいたすということはできないということで、目下そういうものの考え方をしておられる人々との間に論議がかわされておると、こういう状態であるそうであります。
  62. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そうすると、それを制止される、とめるということですが、この前も逓信委員会で、郵政大臣質問いたしましたところ、やはり労働大臣と同様の趣旨のことで、私は反対だというようなことを言っておりました。しかしこの点は労働大臣は、取扱いはどういうようにすべきだということは一致しておると、同じ公務員の立場で、つまり特定局長という名前だけれども、これはやはり普通局長と同じですよ、私から詳しく御説明申し上げるまでもない。全く今日は公務員として職を奉じておるわけですが、そうなりますと、これはもし許されれば、一般現業の職員といいますか、一般の職員ですね。三公社並みの、そういうふうに同じ取扱いを受けるべきであるという精神には変りないと思うのですが、その精神はどうですか。つまり特別だれこれにピックアップして、それだけに与えるべき筋合いのものじゃないと私は解釈するのですが、その点はどうでしょう。
  63. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私はやはり現行法で公務員ということになっておるんで、そのままがいいのではないかというこちら側の考え方で、政府側の考え方であります。従って政治的中立を守っていただくことがいいことではないか、こういうふうに思っております。
  64. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) そういう精神であることはしばしば聞いたのですが、もう一度これは問題、ここまできたものですから、やっぱり私一つあきらめきれない気持があるもんですからお尋ねするんですが、三公社並みにこの際公企労法を適用されておる職員ですね。これにもやはり政治活動の制限は撤廃をして、許すべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。やはりこれはまだそれには非常に強い反対があるんでしょうか。あるとすれば、一つだけでいいんですが、こういう点が特に心配だから困ると、そういう点があれば、一つその点を明確に御答弁いただきたいと思う。おそらく私はそういうものはないんじゃないかと思うのですがね。
  65. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 五現業に公労法を適用する方が企業体の形をなしておるんで、企業の形をなしておるんで、その方がいいということで、私どもも本法を五現業に適用することには非常に乗り気でありましたことは御承知でありますが、やはり公けに奉ずるという立場に立っておる公務員でありますから、これは現在のやり方が最も妥当であると、こういうふうに考えております。
  66. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) その公けに奉ずるからということであれば、これは国会議員も公けに奉ずるし、それから政務次官も公けに奉ずるし、秘書官もこれは公けに奉ずるものであって、私に奉ずるものはだれもないと思いますが、そういう方々はやはり政治活動を許されておる。これを公けに奉ずるものはこれは郵便局員であろうとも、電話局員であろうとも、鉄道局員であろうとも、これは公けに奉ずるものでありますが、なぜ区別をつけるかということについての根拠が依然として私は明確でないと思うのですが、ぴったりこういうわけであるから困るという何ものかがないでしょうか。
  67. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そのことについては、前回もしばしばお話し合いがございましたが、あなたとの間にお話し合いがございましたが、私どもはやはり、公けに奉公すべき義務を持っておるものが国民全体に対して罷業をするというようなことはやらない方がいいという、こういう考え方であります。
  68. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) 私は罷業をやれと言うんじゃなくて、政治活動の自由を許せというわけです。つまり人の応援演説をやってもいいんじゃないか。トラックの上に乗ってもいいんじゃないか。このことがいけないという理由が私にはどうもわからないのだが、この際はやはり許すべきではないかと、こういうことを申し上げておるのですが、罷業権の問題については、これについてもこの間しばしば長い間にわたって論議をいたしまして、私はまだ労働大臣答弁に対して釈然といたしておりません。しかしこれはそれぞれ見解の相違ということでございますから、これは私はきょうはこれ以上追及いたしませんが、なぜ政治活動の自由を許していけないかということについて、公けに奉ずるということであれば、だれも公けに奉ずるんだから、せめて国会に、特に給与の問題について例を取り上げますならば、国会の御審議を願わなければ、給与の改善すらできない、こういう職員に、罷業権は制約をいたしたが、それではせめて国会に頼もうということになるが、その国会について、自分たちの意思を反映するそういう方々に出てもらうための運動すらできない。単に自分が意思を表示するだけの問題にとどまるということは、これはどうもはなはだ不合理きわまると思うのですが、むしろ罷業権のないような人たちにこそ政治活動の自由は許さるべきだろうと思うのですが、それが制約されておるということは、まさに本末転倒だと思うのですが、こういう点についてなぜ政治活動の自由を許されないのか。その点が私にはわからないのです。的確なる強い反対理由をもう一つ明確に私は承わりたいと思うのです。
  69. 中西實

    政府委員中西實君) これは一般職である公務員という身分を持っておるという限りにおきましては、やはり政治的に中立でなければならない。御承知のように、一般公務員は分限その他はっきりと身分的にも保障されておりまして、従って一般職であるという身分を持つ限りは、やはり政治活動をすべきじゃない。これはやはり建前上当然かと存じます。
  70. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) 公務員の身分を持っておるからというだけでは、これは先ほど私申し上げましたように、大臣もそれから政務次官もみな、公務員は一般に奉ずるという意味を持っておる。だけれどももしそういう理由があるとするならば、分限はよろしい。この際は私たちは、もうそういう制約一般の三公社並みの待遇でよろしい。身分の保障についてもそこまで組合が下るならば、職員が下るならば、政治活動の自由を与えるのか、こういうことですが、これは引きかえの条件になりませんか。
  71. 中西實

    政府委員中西實君) 従事しておる者がそうなりたいということじゃなくて、やはり国といたしまして、一般公務員にしておく方がいいか、あるいはそうでない職員にするがいいか、判定さるべきものでありますが、現在一般公務員として取り扱われておる限りにおいては、やむを得ないんじゃないでしょうか。ただこの問題は、前回も申し上げました通り、この法案を作りますもとになった審議会におきまして論議が出ました。その際も、これは労使間の問題じゃなくて、やはり身分的な問題なんだ、従って将来公務員制度全体について再検討される機会があるから、その際にさらに議題にしたらどうかということで、今回はそのままになったようないきさつもございます。現在の状況におきましては、やむを得ないんじゃなかろうかというふうに御了承いただきたいと思います。
  72. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) それじゃ私はこれで質問をやめますが、結論は、それほどあなた方は公務員全体について強く政治活動の自由を与えることに反対だというのであれば、当然これは特定局長であるからといって許すべき筋合いのものでもないと思います。その点はその通りに明確にはっきり言い切られるのですか。もう一度、それは論議をされておると言いますが、政府としてはその方針だということになっておりますが、村上郵政大臣もその方針だということを明確に申されましたが、労働大臣としてもやはり鳩山内閣の一員でありますが、そういう特定局長だけでも政治活動の自由を許すということは反対だ、こういうことになると思うのですが、変りはありませんか。そうでなければ筋が通らぬ。
  73. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 政府としては、特定局長の立場は現行法のままがいいんではないか、こういうふうに思っております。
  74. 永岡光治

    委員外議員永岡光治君) ではないとなると、べきであるということでありますね。でなければ、私が今まで質問したことはおかしいんじゃないでしょうか。
  75. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は現行法のままがいいと思っております。
  76. 久保等

    久保等君 私も数点お伺いしたいと思うのですが、最初に、公共企業体労働委員会という新しい委員会を今度統合一本化いたそうとしておるわけですが、その中の公益委員の中に、一名の政党人は入ってもよろしいという考え方で、この改正案が出されておるようですが、少くとも公益委員について、なぜ政党人でも公益委員に加えてよろしいというお考え方を持たれたのか。どうもその点不可解に思うわけです。公益委員は別名よく中立委員ともいわれておりまする概念からいっても、これが政党人でいいのだという考え方は、私は非常に公益委員という性格からいって適当じゃないんじゃないだろうかというふうに考えるわけですが、二名以上は禁止しておりますけれども、一名についてはよろしいということを特に明文でうたっておる考え方が那辺にあるのか、御説明を願いたい。
  77. 中西實

    政府委員中西實君) お説のような御意見も確かにあると思います。私どもも中立性確保のためにそれが保証できるような人をぜひ選びたいと思っております。ただその点につきましては、これは各種委員会の関係の法律の明文としてみな載っておるのでございます。この法案は五人のうち一人ということですが、たとえば公安委員会に例をとりますと、これは五人のうち三人以上禁止しておるわけです。それから公安審査委員会は、これは六人のうち三人以上、それから中央選挙管理委員会委員、これは五人のうち二人以上、それから人事院の人事官、これは三人のうち二人以上というふうにすべて明文になっております。そのうち最もきびしい一人だけというのをとったという程度でございますので、御了解いただきたいと思います。
  78. 久保等

    久保等君 他にそういう例があると言われるのですが、例があるなしにかかわらず、私はやはり公益委員という性格からいって、厳正いわば中立的な委員という意味からいって、かりそめにも一名にしろ政党に所属する者が公益委員になれるという考え方は、どうも納得がいきかねるのですが、他の例から見れば、むしろ数を少くされたという御説明ですけれども、やはり公益委員という非常に重要な特殊な、一般——一般というよりも他のそれぞれの利益代表の委員と違った意味がありまするだけに、こういった点はむしろ明確に、政党に所属する者は公益委員になれないというような形にした方がすっきりするのじゃないか、公益委員というこの場合は私はそういうことでなければならぬと思いますし、他の今あげられた公安委員その他の問題については、むしろあるいはあまり極言すると適当な適格者が得られないということが危惧されるような場合には最小限度にしぼって、そういう政党に所属しておってもそれも委員に加えることができるというようにしておるのは、一にかかって果して適当な人が得られるかどうかという面も一面から考慮されると思うのですが、しかしこの公共企業体労働委員会公益委員については、私はそういう人を得るのに非常に困難になるという面はちょっと考えられない。そうだとすると、むしろ政党に所属しておる人間は委員になれないというふうにすべきじゃないかと思うのですが、今の御説明だと、他にそういう例があるので、それにならってこういった形にしたのだという御説明にしかならないのですが、基本的な考え方がどうもはっきりわからないのですが、ただいまの御説明を出ないのですか。
  79. 中西實

    政府委員中西實君) 中立性確保、これはもう当然でございます。ただ単に、政党に属しておるというだけでえらくへんぱになるということも言えませんし、人によりますれば、政党にあるいは属しておりますけれども、非常に公正な人だということもあり得るわけであります。従ってそれらの点は運営の際、当然われわれとしましても中立性確保のために十分留意いたしたい、かように考えております。
  80. 久保等

    久保等君 そのことは、でき得る限り一名も公益委員任命されるようなことのないようにやっていきたいと、うことなのでしょうか。
  81. 中西實

    政府委員中西實君) 先ほども申しましたように、単に政党に属しておるからということで、世間から見ましてもそれだけで決して中立性を阻害しない、しかも適任者であるということがないとは言えません。従って中立性を阻害しない限りは、やはりときに適任者があれば政党に属しておるという人もあり得るということは考えられます。ただそういう御意見もありますし、なるべく世間的にも誤解を生じないように、できるだけ政党に属するという人は、実際問題としても避けるようなことになりはせぬかと思います。
  82. 久保等

    久保等君 それから次に、この改正法律案の第二十五条の五の第四項のところになるかと思うのですが、解雇せられた場合に、それに対する救済の道が規定されておりまするが、その申し立てが解雇された日から二カ月以上を経過すると、申し立てができないといったような形になっているのですが、これは非常に期間が短かきに失するのじゃないか。一般労働組合法の場合ですと、一年といった期間になっておったと思うのですが、それとこれと比較をした場合に、救済の道が二カ月で切れてしまうのだということでは、私は少くともこの解雇された場合における組合員の身分をできるだけ救済をし、保護をしてやろうという考え方から、こういった規定ができておるのだと思うのですが、そういう点から考えますると、二カ月というのは非常に短かきに失するのじゃないか、片や労働組合法の適用を受ける場合におきましては、一年といったような期間が規定せられ、今度のこの改正案では、公企体関係については、二カ月だというふうに規定をされたことは非常に当を得ていないのじゃないかと思うのですが、どういう御見解なんですか。
  83. 中西實

    政府委員中西實君) この点につきましては、審議会におきまして労使ともにこの問題による不安定な状態は一日も早くなくするように、できるだけその期間を短かくしてくれというのが一致した御意見でございました。従ってできれば二月それよりも短かい期間のようなお話もあったくらいでございますが、われわれとしまして一応二月、二月ございますれば、その間に申請することは十分にできますので、審議会趣旨からいたしましても、なるべく短かいのがいいんじゃないかというふうに考えました。
  84. 久保等

    久保等君 私は、公企体労働組合法ができてすでにある程度の経験を持っておると思うのですが、その点から考えて、二カ月以上を経過してなおかつ申し立てがなされたという事例が過去の経験に徴して一体どの程度あったか、ほとんどが二カ月以内に申し立てがなされて、二ヵ月を過ぎてなおかつ申し立てをするといったような事例が今までほとんどなかったのか、あるいは絶無だったのか、そういったようなことも相当貴重な過去の経験に徴して、こういう二カ月という規定を新しく設けられる以上、相当根拠にせられておると思うのですが、その過去の実績等を具体的数字がおわかりであれば、一つ説明願いたいと思います。
  85. 石黒拓爾

    説明員石黒拓爾君) 一般の労働組合法の場合の不当労働行為の行為時から申し立て時までの統計はございませんですが、今回の公労法の二十五条の五の第四項の二カ月というのは、これは御承知のごとく、公労法十七条に反する十八条の解雇のみでございまして、それ以外の一般解雇、要するに、民間の労働組合でありますような不当労働行為はすべて労組法並みの一年の申し立てでございます。この十七条違反の十八条の解雇のような事例というのは、これは民間にはございませんので、資料とする統計もないわけでございますが、しかし十八条解雇に限りましては、これはきわめてはっきりしたケースでございますので、二ヵ月に限定するということはさほど異議はなかろうと考えております。
  86. 久保等

    久保等君 今の十八条規定に基く解雇の事例について、二カ月をこした後に申し立てがあったという事例はないのですか。
  87. 石黒拓爾

    説明員石黒拓爾君) 従来は御承知のごとく、十八条で振り落されますと、この法律に基く一切の権利を失うとございまして、仲裁委員会の申し立てを許されておりませんで、今回初めて道を開きましたので、従来の例の数字はないわけでございます。
  88. 久保等

    久保等君 それでは二カ月あれば十分だというお考え方で出されたということでありまするから、これは私はそういう確信を持って二カ月ということに規定されたとするならば、特別異議もないんですが、ただ私感じとして、何かやはり二カ月程度では短かきに失するんではないかという気がするんですが、特別具体的な事例をもってそういうことが示し得ないということですが、しかし、十分これで救済の道が講じられるんじゃないかという御説明でございまするから、この問題についてはその程度で打ち切りまして、次の問題について質問をいたしたいんですが、それは第三十条の3でございまするが、ここに、「地方調停委員会の位置、名称、管轄区域及び調停委員の数は、政令で定める。」というふうになっておるんですが、これは若干こまかい問題ですけれども、おそらく労働省当局としては、当然政令の準備もしておられると思うのですが、ここへ書かれておりまする点についての政令に規定しようとする内容について、一つ説明を概略願いたいと思うのです。
  89. 石黒拓爾

    説明員石黒拓爾君) まだ法律も成立いたしておりませんので、それほど具体的に考えておるわけではございませんけれども、大体の私ども事務的な計画といたしましては、位置、名称、管轄区域について、位置は現在九つの地方調停がございます。これにつきましては、これは国鉄、専売だけが本法の適用を受けるころに置かれた委員会でございまして、その後この委員会を移してくれ、こっちに地方調停を置いてくれというような御希望が労使双方からある向きもございます。従いまして、この機会に法律の成立次第、労使関係者の御意向も聞いた上で、できることならば調整いたしたい。ただ予算の関係上九つという数、これはふやしがたいのじゃないか、こういうふうに考えております。名称につきましては、これはまあどうでもよろしいようなものでございますが、公共企業体等労働組合何々地方調停委員会、こういったような名称になります。管轄区域は位置に伴いまして、各企業ごとに定まることになります。調停委員の数は各派三人以内でございますが、たとえば、現在の新潟の地方調停委員会は、ほとんど国鉄の事案だけした扱わない、もしこういった委員会をそのまま置くというような場合には、委員の数を減らすというようなことも考え得ることである、これも関係者の意向を十分聞いた上で考えたい、こういうふうに考えます。   〔理事山下義信君退席、委員長着席〕
  90. 久保等

    久保等君 それから次に移りますが、この前の委員会でも私政府の考え方をお尋ねしたんですが、なお不明確でもありますし、この際はっきりしておいていただきたいと思います点は、例の公社職員の範囲の問題ですが、この公共企業体等労働関係法の適用を受ける職員と、それから公社並びに日鉄法に規定せられまする職員の考え方としては、その範囲をおのずから異にいたしておるわけですが、その是非は別といたしまして、この付則のところで、特に日鉄法なり、専売公社法なり、電電公社法なりを改正しまして、そうして職員の定義をはっきりいたしておるわけなんですが、この際特に明確にいたしておきたいのは、「二箇月以内の期間を定めて雇用される者」というのは、まあ法律法文だけ読めばこの通りで明確なんですが、実際の運用では二カ月たてばさらにまた二カ月新しく雇用関係を結ぶという形で、形式上は二カ月ごとに契約が更新しているという形をとって、事実上は身分が三年、四年、五年、あるいはないしは六年、七年といったような長期にわたって継続して雇い入れている者があるわけなんです。私は少くともここに書かれておりまする付則でいわれておりまする「二箇月以内の期間を定めて雇用される者」という中にはそういう者は入らない、これはもう常識的に考えてもそうですし、また実体的に考えてもそういう者は当然二カ月以上にわたって雇用されておる者ということになると思うんです。ただまあ形式的にいえば、二カ月ごとに契約が更新しているという形をとっておりまするから、あるいはそれは二カ月以内の期間を定めて雇用された者だという誤解に基く解釈をする向きもあるかと思うんですが、私はそういう場合は、これはこの中には含まれないんだというお考え方だと思うんですが、その点労働当局の方から明確に一つお答えを願いたいと思うんですが……。
  91. 中西實

    政府委員中西實君) 二カ月の期間を定めて雇用する、これはやはり雇用の場合のはっきりした条件でございますので、やはり雇用契約上二カ月という期間を定めて雇用されている者はその取扱いを受けなければならない。ただ、今度はすべて公労法の適用の中に入りますので、従って労使双方の話し合いによりまして、この点の労働条件その他をどうきめるかということの折衝はされるというように考えます。
  92. 久保等

    久保等君 明確でないんですが、私のお尋ねしている事実上数年にわたって雇用されておるという者は、ここにいう「二箇月以内の期間を定めて雇用される者」には当らないんだと、該当しないんだということに理解をしてよろしいかどうか……。
  93. 中西實

    政府委員中西實君) 先ほど申しましたように、その点の解釈は従来と変りはないということでございます。
  94. 久保等

    久保等君 まあそう説明を省略されないで、一つその従来という点を明確にしてもらいたいと思うんですが……、私の言うのは、形式的に二カ月たったら契約を更新すると、しかしこれはもう全く形式的な形で取扱われているだけであって、事実上は何らその間に中断するといったようなことがなくて、継続して数年にまたがって雇用されておる場合は、これは私はもう普通の常識からいっても、当然公社法にいうあるいは日鉄法にいう職員であり、従ってこれは完全な意味の両方の法律上における職員として解釈していいんじゃないかというふうにまあ考えるわけなんです。その点を一つはっきりと、従来というのではなくして、局長の方からはっきりした一つお答えを願いたいと思うんです。
  95. 中西實

    政府委員中西實君) それは先ほど申しましたように、従来の解釈というのは、契約上二カ月の期間を定めて雇用するとなっております者は、やはり二カ月以内の者だと、従って繰り返し二カ月以上ずっと雇用されておる者も、契約が二カ月以内の期間ということになっておりますれば、やはり二カ月以内の期間を定めているわけであります。これが従来の解釈でございまして、今回法律改正によりましてもこの解釈は同様でございます。ただ先ほど言いましたように、労使の今回団体交渉とかいろいろ話し合いが始まるということは予想しております。
  96. 久保等

    久保等君 この前も私この問題については、特に労働省当局の強い反省をお願いしておったんですが、まあそういうことになればなるほど、非常に私は今回のこの改正案が公社法なり、日鉄法なりでいう職員の範囲とそれから公企労法の中でいわれる職員とが内容が違う、中身が違うということについて、非常に問題がさらに紛糾をして参る危険性があるんじゃないかというように思うんです。まあ従来は内容のよしあしは別として、法体系の上からいけば、職員といえば、これは公社法上もあるいは公企労法関係における職員も同じ概念であったのでございますが、今度はそれが違った規定の仕方がされておりまするだけに、問題が従来より以上に、扱い方について非常に不統一な結果になるのではないかというふうに思うのです。まあ法文上二つの概念ができたという問題は別としても、私は実体の従来から問題になっておりまする点を当然解決すべきではないか、またそういう問題を解決した形で今度の改正案が出さるべきであったと思うのです。すなわち、せっかく公企労法の中に幅を広げて職員というものを今度の改正案で出されてくるのであれば、当然その職員というものは、文字通り、身分もその公社法なり日鉄法なりの面で保障された職員という形で問題を解決して、そうして二カ月以内の期間を定めて雇用せらるる者でも、これはもう完全な意味の職員だというふうにしてこの改正案を出されるならば、問題が一歩前進したことになったと思うのですが、職員の使い分けが二通りある。しかも、本質的に二ヵ月以内の期間を定めて雇用される者についての身分の保障がないということについて、従来から非常に大きな紛糾といいますか、両者意見の対立がなされておって、いろいろな面においてまあ労働省当局がよく御存じのように、トラブル等も起きておるわけなんです。従って、私はぜひそういった人たちについての身分の保障という問題を裏づけとした形で、二カ月以内の期間を定めて雇用される者についてもこれを職員とするという扱い方にすべきではないかと思うのです。この前の労働省当局の考え方としては、その点については公社並びに組合側の間で意見が分れておる、特に当局の反対があるのだという御説明であったのですが、私は労働省当局として少くともこういう法律案を出される以上、やはり他の企業体の問題ではありましても、法律案提出の責任者として当然そういう本質的な問題についての見解はお持ちのはずだと思うのです。従って、私は労働省当局にお考え方をお伺いしたいのですが、労働省がせっかく公企労法の適用というところまで問題を考えたのであるならば、私はそれに対する職員の身分については、当然これは何ら他のものと区別されない、すなわち二カ月以上の人と違わない身分の保障も与えられてしかるべきだというふうにお考えを持っておられると思うのですが、いかがでしょうか。
  97. 平林剛

    平林剛君 関連して……。今の久保委員質問に対して政府当局から答える前に、私はこの点を明らかにしておきたいと思う。専売公社法や国鉄に関する法律の中で、二カ月以内の期間を定めて雇用される者を形式が整えば、半年でも、一年でも、二年でも、繰り返し繰り返しやってもよいのだということが従来の解釈だというお答えは、私の記憶によると、先回国会を通過したところの決議に反すると思う。形式が整えば、半年でも、一年でも、二年でも、ここにいう二カ月以内の期間を定めて雇用される者だという解釈は、法を曲げておるものだと私は思う。先回、私の記憶によると、行政機関における定員法の一部を改正する法律案に対して全会一致をもって付帯決議がされておる。その点を一つ思い起して、政府当局の答弁をしてもらいたいと思う。それによれば、少くとも、形式的は別にして、実質的に一般の職員と同じ者については、身分についても、待遇についても、政府は検討し、善処をするという意味のことがなされておるわけでありますが、それを一つ頭に入れて久保委員質問に答えてもらいたいと思います。その点を含めてお答え願いたいと思います。
  98. 中西實

    政府委員中西實君) 実は、この点の改正は、今回は一応触れないでおこうという論議も相当強くあったわけであります。といいますのが、公務員の根本的な検討もされておりますので、従ってこの点は他日に譲ってもいいということであったのであります。しかしながら、特に組合の代表の委員の方からたっての御要望もございました。従来は、いうまでもなく、「二箇月以内の期間を定めて雇用される者」は、これは野放しの一般労組法、従ってスト権は形式的にはありましょうけれども、しかし実質的には、それによって別に団体交渉が始まるということもなし、それが今回は一般の職員と一緒になりまして、組合の中に入っていろいろと話ができる。このことは、組合側からみれば一歩前進ということで、おそらく御賛成になったのではなかろうかと思うのであります。従って一歩でも前進というようなことで、今回の改正にしたわけでございます。  なお、この二カ月は、形式解釈はいけないというお話でございまするが、将来の研究課題の一つではございましょうが、現在におきましては、従来通り、一応これは形式的な雇用契約という面からきめてゆくべきだというふうに考えております。
  99. 平林剛

    平林剛君 今の点は、労働省の答弁としてはまことに遺憾な態度だと思うのです。なぜかというと、今回新たに「二箇月以内の期間を定めて雇用される者」も、公共企業体等労働関係法の適用下に入った、言いかえれば、今ま  でこれらの人たちは一般の労組法によって、私は労働者の基本的な権利としての団結権、あるいは交渉権、罷業権というものが許されていたと解釈すべきだ。今回の法律改正によって、他の三公社、五現業の職員と同じように、労働者の基本的権利に対して制限を加えられるということになるわけでございまするから、そういう意味では、三公社、五現業の罷業権剥奪に対して、一つの生活保障を与えておると同じように、これらの職員に対しても私は同様の措置を考えなければいけない。いわんや、先ほども申し上げたような趣旨の付帯決議があるときでもありますし、労働省というものは、特に労働者の待遇について絶えず意を配らねばならぬ官庁でありますから、私はそういう意味では、積極的にこれらの人たちの身分保障について意を用いるというのは当然だと思うのでありますが、この点もう一度、これは労働大臣でもいいですから、私の考えは無理かどうかということをお答え願いたいと思います。
  100. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 労働省は、もちろん労働者の方々の福利については、特に意を用いるつもりでおりますが、これはやはり御承知のように、当該企業間の雇用契約に属することでありますので、それらの方々のいろいろな都合もあることであろうと存じます。そこで私どもといたしましては、二カ月以内の者を本法に、同等の取扱いをいたすということについて、なるほど今御指摘のように、団体交渉権はあっても罷業権はない、こういうことにはなりますけれども、逆に今度は、やはりこの仲裁裁定という特別な保護のもとに立つことができるわけでありますから、必ずしもその点において不利益ではない、むしろこの方がいいのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  101. 平林剛

    平林剛君 労働大臣は、今日の「二箇月以内の期間を定めて雇用される者」の実態を御存じないから、そういうことを言われるわけです。今日の「二箇月以内の期間を定めて雇用される者」の実態は、一般の職員と著しく差があるわけであります。私は同等の取扱いをせよと言っておるのではないのであります。しかし、それぞれ企業にも特殊な仕事があって、必ずしも全く同じようにするということが適当であるとは私も思いませんけれども、現在の実情は、やはり今回労働者の基本的権利が一面において失われるのでありますから、一面において、そういう保障については意を用うべきではないかということをお尋ねしておるわけであります。
  102. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今申し上げましたように、私どもとしては、この方々だけが特殊の組合を作って罷業をするというふうなことも、御承知のように現実的にはほとんどありませんことですし、かえってやはり同じ傘下のもとに働いておいでになるのでありますから、本法の取扱いを受けることによりて、この強制的な仲裁制度の恩恵に浴するということにしてあげる方がいいのではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。
  103. 平林剛

    平林剛君 答弁が的をはずれておるのです。私は今ここで、「二箇月以内の期間を定めて雇用される者」が、労働者としての基本的権利を従来は持っていたが、持たなくなったことが損であるとか、得であるとかいうことを議論しておるわけではない。しかし、公共企業体等労働関係法の従来の精神からゆけば、とにかく労働者としての基本的な権利を持っていたのであるから、それをやる、やらないということは別です。権利を発動する、しないということは別です。しかし、そういうものが与えられていたのに、今回新たに公労法によりて失うのであるから、法の立法の趣旨を当時にさかのぼって考えれば、当然それに意を用うべきではないか、私はそういう方面について、労働者の福祉その他を考える労働大臣として、そういうふうに努力をすべきではないでしょうかということを申し上げたのであります。
  104. 中西實

    政府委員中西實君) 「二箇月以内の期間を定めて雇用される者」にも、種類はいろいろあろうかと思います。しかしながら、もしもそれが継続雇用されて、しかもそれが一般職員と同じような仕事、あるいは立場にあるというものなれば、これは筋といたしまして、同じように取り扱うということが当然かと思います。このことは国家公務員においてもございまして、おそらく、私存じませんけれども、付帯決議はそういう点を考慮しての決議であったろうと思います。その点におきましては、私どもも全く同じように考えております。ただ、今直ちにそれだからといいまして、この二カ月以内の従来の解釈を変えましてやりましては、予算定員その他都合もございまして、いろいろな不都合も起る。さらにまた二カ月以内の期間を定めるという中に、いろいろの種類のものがあって、ほんとうの臨時のものもございましょうし、実際上常勤的なものもございましょう。そこらはやはり今後の折衝に譲るというのが適当ではないかと思います。
  105. 平林剛

    平林剛君 労政局長の前段の答えが、私は政府当局のまともな態度だと思うのでありまして、何ら一般の職員と変りのないところの労働者を、形式的に繰り返しさえすればそれでいいのだという態度でなくて、そうした人に対しては、定員法その他の関係も、予算の関係もあろうけれども、積極的にそちらの方に努力をすべきだ、労働大臣は率先これをやってもらいたいということを、私は先ほどから強調しておるわけであります。労働大臣もさらに御努力を願いたいと思います。  私の質問はこれで……。
  106. 久保等

    久保等君 まだ私の質問中なんですよ。  それで実は今労政局長お話では、予算定員云々という問題があったのですが、予算定員という問題よりも、私は実際公社当局のやっておるやりぶりをみておると、身分を不安定な形にしておいて、しかもやめて、解雇しても文句のつけられないような形にして雇用しておきたいという意味から、実は二カ月という期限を切って雇用しておる。しかし事実上は、実際もう長くなる者については、先ほど来私が申し上げておりますように、数年にわたって、六年、七年といったような長きにわたって事実上雇用しておる。しかし形の上からゆけば、二カ月以内の期間を定めて雇用しておるという形をとっておるのです。私はこれは明らかにこういった人たちに対する不当な扱い方だと思うのです。あくまでもこの法の規定しておりますのは、「二箇月以内の期間を定めて」というのは、二カ月以内の期間が来れば、当然定められた期間によって解雇されるという、解雇といいますか、当然雇用契約が切れるのだといって、それがさらにまた更新されるというのであれば、これはこの法文には該当しないのだというふうに、これは当然解釈してしかるべきだと思うのです。予算定員云々という問題は、これは定員法のもちろん適用はございませんし、五年も六年も雇っているのは、これは明らかに予算定員はあるのです。予算はあるのです。従って数年にわたって雇用をやっているのです。仕事も決して日雇い労働者を使ってやるような仕事ではなくて、普通のりっぱな職員が、数年の経験を持ったような職員がやらなければならないような仕事を現実にやらせておる。しかし問題は、なぜそういうことをやっておるかといえば、いつも二カ月という短期間の雇用契約であれば、その期間がきたときにいつでもやめさせられるという考え方の上に立って、そういう方法をとっているのです。これは私は労働省当局として見た場合には、そういうやり方はけしからぬ。法の定めている精神は決してそういうところにあるのじゃなくて、二カ月以上にわたるものについては、これは当然職員として扱うべきであるという、きぜんとした態度を労働省当局は堅持すべきであると思うのです。そういう私は問題について、労働省が各それぞれの公社当局の考え方にまかせるということであっては、それこそ労働者の地位を確保し、この身分等の保障を極力擁護してやろうという労働省の立場からしては、私は非常に定見を持たない労働行政が行われておるという批判があっても、これに対して抗弁がないことになるのじゃないかというふうに考えるのですが、そういう点から、労政局長の御答弁だと、常に言われることは、公社当局が強く反対をしておるので、従来のまま、ただ今回の改正案の中に盛り込んだのだという御答弁をされておる。私はその御答弁については非常に不満なんです。長い間の解決しない問題として、今日トラブルを続けておりまするこの問題については、公社公社の都合のいいような、とかく考え方を持つのですから、そういうへんぱなものの考え方をしたり、また法をいわば悪く、その裏をくぐったような形の運用をされていることについては、むしろ労働省そのものが私ははっきりした見解を持って、指導的立場にあるのじゃないかというふうに考えるわけなんです。従って自主的な、しかも厳正な見解というものを私は労働省そのものはお立てになるべきだと思うのです。これを単に労使双方の交渉なり、話し合いにまかせておるということでは、これは解決しないことは過去の事実が証明しておると思うのです。従って、今日こういう改正案を出されるに当っては、私はそういった本質的な問題をぜひ労働省当局が見解として明確にし、今度のこの法律案の中に盛り込んで出されるべきであったということを言うのは、私は実はこのことを申しておるわけなんです。問題が単に団体交渉によって今後解決されるということは、見通しはこれは非常に困難だと思うのです。むしろ労働省が厳正中立的な立場で、一体この法の精神を真に理解する立場から考えた場合に、そういう場合は、果してそういう公社当局の考え方によって二カ月以上にわたって事実上は雇用されておるのだから、形式だけは二カ月以内という形によって不等な扱を受けておるということに対しては、むしろ私はその雇用されておる者に対する保護的な立場に労働省は立つべきじゃないかというふうに考えるわけなんです。  結論として私お尋ねしたいのは、今度まあこの改正案によって、職員という者に対する使い分けが二通りできるわけなんですが、しかし、私は一日も早くそういうことのないような形になることが望ましいと思うのです。それで二カ月以内のものであっても、日々雇用される者を除いて、これは当然職員として扱うべきである。それからまた二カ月以上にわたって事実上、形式はどうあれ、二ヵ月以上にわたって雇用される者については、これはもう当然職員としての日発法等の公社法で書いてある職員として扱うことが当然であり、また好ましいことだという程度の見解は、これは労働省当局に私は期待しても無理ではないと思うのですが、いかがでしょうか。好ましいか、好ましくないかという点について……。
  107. 中西實

    政府委員中西實君) この問題は、民間でいえば本工、臨時工の問題と同様ございまして、単に三公社現業だけではございませんが、労働省としましても、もし本質的に常用たるべき者が臨時工で雇われておるというのは、これは望ましくない、できるだけ早く、雇用の安定という面からも、実質的に常用工的な仕事をしておる者は、臨時工は常用にすべきだ、これは労働省もそういう方針でございます。ただ単に、繰り返し雇用されておる者でも、やはり仕事の内容によって考えなければいけない点もございます。それから二カ月という一律のきめ方も、これは前回申しましたけれども、二カ月がいいのか、三カ月がいいのか、いろいろございます。従って、やはり各企業企業の実情によりまして、労使双方で話し合いをして、その間調整をとっていくということが望ましいし、われわれもそれによる解決を期待しておるわけでございます。
  108. 久保等

    久保等君 私はまあその問題は、法律が規定されておらなければ、その問題については、現実の問題の解決の方法としては、労使双方で話し合って解決していくより方法はない、しかし私は、ここで特にお尋ねしておるのは、そういう団体交渉で問題を解決しろとか何とかいう問題じゃなくて、法制定の上から、そういう問題は当然考えて、改正案として出すべきじゃないか、法制定の立場からお尋ねしておるのです。従って、法律に盛り込まれておらないし、規定されておらないということになれば、そういう現状の上に立っての解決方法としては、今労政局長の言われるような解決方法しかあり得ないと思うのです。しかし私は、そういうことでは問題は解決し得ないし、ここでわれわれが問題にしているのは、あくまでも法律をどうするか、改正法律についての話をしているし、また、それによって、法制定の立場から、一体妥当かどうか、また、それに対して、どういうふうに労働省当局は考えておられるのかという質問をいたしておるわけです。そういうような御答弁では、私の質問に対する御答弁になってはいないのでして、たびたび先ほど来申し上げておりますように、端的にお伺いいたしたいのは、少くとも二カ月以上にわたって何回となく繰り返されるような、そういう雇用関係については、これはそれぞれの企業体法に基く職員として扱うべきだ、また扱うことが好ましいのだという見解は、労働省当局として私は当然お持ちでありましょうということをお尋ねしておる。だから、そういう考え方なのか、そうでないのか、その点について一つ明確にお答え願いたいと思うのです。
  109. 中西實

    政府委員中西實君) ただいまの点は、先ほど平林委員お答えしたところではっきりしているのじゃなかろうかと思います。要は、今回の改正によって一歩前進というところで一つ御満足いただきたいと思います。
  110. 久保等

    久保等君 そう大きく網をかぶせたような形で一歩前進というが、その一歩前進の個々の具体的な問題を今取り上げて質疑をいたしておるのですが、私の質問しておりますことに対しての、やはり考え方を明確にしていただかないと、一歩前進なのか、一歩後退なのかはっきりしないと思いますが、総括的なそういう御希望は、この法案を出されたからには、そういうお考え方だろうと思うのですが、そうではなくて、そういう総体的な抽象的な話ではなくて、二カ月以内の問題と、それから二カ月以上事実上はわたる問題と二つあると思います。日々雇い入れられる問題については、今回の改正法案でも、この公共企業体等労働関係法の適用除外ということになっておりますが、公共企業体等労働関係法を新しく適用される範囲の職員については、私は公社法の方でも職員として扱っていくべきだ、またそのことの方が好ましいという見解は、少くとも、この法律案をお出しになる労働省政府当局が当然お持ちになっておる見解ではないかというふうに考えて御質問をいたしておるのですが、その点について、単に団体交渉云々というお話は、これは労働省当局のらち外の問題だと思うのです。だから、あくまで労働省当局の見解と態度というものを私は、この法律制定に当って明確にしていただくことが非常に大きな、今後に重大な影響を及ぼして参ると思います。従って、くどいようですけれども、どうもピントをはずされたような御答弁をされるので、私、繰り返し御質問するのですが、かりに今後団体交渉するにしても、第三者的なというか、労働省当局の見解というものが、非常に大きな私はウエートを占めると思います。それは公社の方で反対しておったから、労働省としては何とも言えませんという程度では私は片手落ちだと思うのです。そういう態度では、これは労働行政というものは私はうまく行い得ないのじゃないかと思うのですが、繰り返して一つお尋ねをいたしますが、その点をそれこそ一歩なり二歩なり前進した形の御答弁を伺いたいと思うのですがね。
  111. 中西實

    政府委員中西實君) それは先ほど平林委員お答えしたと思うのでありますが、二カ月以内の期間を定めておって、しかもそれが繰り返し今後も雇用される——その職務内容によるのでありますが、その職務内容が一般職員と同じような仕事をし、同じような責任を持ってやっておるという者については、同じように取り扱われるのが私は筋だと思っております。しかしながら、仕事の性格から確かに臨時的な者というものにつきましては、これは幾ら繰り返しの雇用でございましても、やはりそれは臨時の者として取り扱われるということになろうかと思います。従ってこの点は先ほども言いましたように、公務員におきましてもこの例はございますので、同じ質のものにつきましては同じ待遇をする、これは当然だと思います。
  112. 久保等

    久保等君 今の御答弁も最後の方に「しかし」がついたのですが、その「しかし」が結局仕事の内容によるというけれども、そうなってくると、これはそれこそ意見の対立であって、なかなかまとまらないと思うのですよ。そういう内容の個々の問題を具体的にあげるならば——しかし雇用期間というものだけははっきりした、だれも疑うことのできない一つの事実だと思うのですが、それが二カ月なら二カ月という形はとっておるけれども、実際上は数年にわたっているような場合には、これは仕事の内容がどうのこうのという内容に立ち至ってとやかく言うべきではないと思うのですが、その期間によって繰り返し、しかも半年なら半年という形でまだ契約がなされるならそれも話がある程度わかるのですが、とにかく無制限に行われておるという状態のもとにおいては、私は仕事の内容は、やっぱりそういうものは臨時的な仕事だとか何とかいうことはこれは成り立たないと思うのですがね。だから、あくまでも期間を問題にして二カ月というものがさらに更新されるというような状態で雇用される場合には、仕事の内容いかんにかかわらず、これは私はやはり一般の職員と同じように扱うべきだという見解が当然成り立つのじゃないかと思いますが、先ほどの御答弁の前段の方はいいとして、後段のただし書きのついた点は、これはどうも、この法律案改正案にも給与総則の仲裁裁定の問題についてただし書きがある点がわれわれやはり気にかかるのですが、それと同じようなただし書きがこの場合についても御答弁の中にあるのは気にかかるのですが、私はそのただしという御説明は必要でないのじゃないかと思うのですが、その点を一つもう一ぺんはっきりお答え願いたい。
  113. 中西實

    政府委員中西實君) やはり仕事の内容を考える必要があるのじゃないか。更新されて雇用されておりましても、仕事の性格上きわめてやはり臨時的な仕事——たまたま繰り返されるというようなものにつきましては、やはりこれは一般職員と違う取扱いを受けることは当然じゃないか。これは民間にもよく例はございまして、たとえば社外工というような、たまたま便宜上雇用関係を結びますけれども、しかしながら、やはり実際的には外部から手伝いに来ておるという格好もございます。そういう場合に、期間の繰り返しがございましても、やはり臨時的なものというような場合もありますので・必ずしも更新されてずっといくものが全部同じ取扱いをされなければならぬというようなことにはならぬというふうに考えております。
  114. 久保等

    久保等君 それじゃ私も質問を打ち切りたいと思いますが、まあただいまの問題は長い間の、従来から懸案になっておりますそれぞれの問題でありますし、まあ事が比較的この法文の上から見れば簡単なように考えられますが、しかし実態なり状況というものは非常に大きな問題になっておりますので、私も相当しつこく質問をいたしたのです。少くともやはり労働省としては、私はこの法制定の仕方についてもこの前にもちょっと申し上げたように、職員の定義が違うということ自体が好ましくないし、その違うことの根本原因は公企体そのものの法律での考え方と、それからまあ今度のこの改正案との考え方が違うわけなんですが、これはぜひ私は一本にし、しかもその一本にする職員の定義というものは日々雇い入れる者を除いた以外の者全部をやはり職員にするという考え方で私は今後十分に考えていただかなければ、今後やはり問題が残ると思うのです。そういう点について、特に労働省当局の今後の私は善処をお願いをいたしまして、まあ時間の関係もあるようでありまするから、質問を打ち切りたいと思います。
  115. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) ほかに御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  117. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) この際、お諮りをいたします。平林委員ほか五名から委員長の手元に修正案が提出されておりますので、本修正案を議題といたすことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。  それでは平林君より修正案の趣旨の御説明を願います。
  119. 平林剛

    平林剛君 私はただいま議題となりました公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。  公共企業体等労働関係法は公共企業体の職員、特に当時の日本労働運動の指導的役割を果しておりました国鉄労働組合を抑圧する隠れた目的をもちまして、昭和二十三年占領軍の示唆によって立法された法律であることは御承知の通りであります。このため、労働者の基本的権利である団結権、交渉権に対して、大幅な制限規制を行い、罷業権を剥奪しまして、これを公共の福祉という名目でおおっているのであります。ただ、その代償として調停仲裁の機関を設け、職員の待遇を保護し、仲裁裁定をもって当事者を最終的に拘束したのでありますが、今日までの経過を見ますと、法律運用解釈が常に政府の都合のよいように行われまして、そのため労使関係の円満な調整が破れ、無用な紛争と混乱が続いておりました。政府はしばしばときの情勢に応じて、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案提出して参りましたが、それにもかかわらず、本質的な解決をもたらすことができませんでした。これは要するに、公共企業体等労働関係法そのものの存在が問題でありまして、私どもとしては、占領下における翻訳立法であるこの法律案は、この際根本的に検討して、これを廃止すべきものと思うのであります。従って本来であれば、間に合せ的な諮問委員会よりは、公式の審議会でも設けまして、廃止もしくは根本的な改正を検討すべきでありますが、諸般の情勢、特に国会における実情を考慮いたしまして、当面可能な限りの不備欠陥を是正する改正案をもって現状に対処したいと思うのであります。もちろん今回政府提出によります公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案におきましては、若干の部分についてはその意図を認めるものであります。しかし、その政府提案の中には私は三との重大な欠陥を見出すのであります。  その第一は、仲裁裁定に対する政府の態度が従来と本質的に変りがないということであります。政府仲裁裁定をできる限り尊重する精神を明らかにして、給与準則や給与総額制度に若干の改正を加えようとはしておりますが、本委員会の質疑応答で明らかなように、問題は当事者たる公共企業体を権力で支配できる政府の態度いかんにかかるものでありまして、これに対してもっと明確な規制をいたしませんと、これからも予想される紛争を解決することにはならないと思うのであります。  第二の欠陥は、紛争を処理する機関に対する政府権力の強化が深められつつあるということでありまして、調停仲裁の機関を統合してこれを労働委員会という構想にまとめることについては、公労法を廃止し、一般の労働者と同様な機構で労働関係を考えるという方向を示唆している限り、私は賛成をいたしておるものでありますが、問題は従来の労使公益の三者構成の比率を破ったことであります。このねらいがどこにあるかということは、その公益委員任命の仕方が、労使意見を聞くだけで同意を必要としないように改正を加えたことや、公益委員の中に政党員を加えることを法律で明確化して、そこに政府与党の意向を体する者を含めることができるようにしたことで明瞭であると思うのであります。こういうことは、そうでなくても、労使の紛争に政府が悪い意味で介入をして紛争を長引かせた事例を排除することが私はできないと思います。政府説明によりますと、国会同意を求めたのだから、仲裁機関が権威を持って、紛争がそのために解決するかのような錯覚に陥っておるのでありますが、私に言わせると、労使調停仲裁機関に対する最も必要なことは、権威よりもむしろ信用でありまして、任命制度労使意見を聞くだけであることは、当事者たる政府が公平を維持する時代は別にいたしまして、もし反動化したような場合、その紛争処理機関は、もはや役に立たなくなってしまう、こういうことを心配するのであります。政府案のままでは、公共企業体の職員がせっかく紛争の調停機関としての労働委員会を持ちましても、これを離れてしまって、かえって、変則的な労働運動に走ることを余儀なくされる。その責任はやはり政府の提案の中にあると思うのであります。  第三の欠陥は、労使に対する政党支配の傾向が強まっておることを指摘しなければならぬと思うのであります。公益委員の中に、政党員を加えるということを法律で明確化しておりますことは、同時に政党の意向を受け入れようとすることをより多く利用される結果になると思うのでありまして、公益委員が政党員であってもよい、公益委員が積極的でなければ、消極的であれば、政治活動を行なってもよいこと、この法律改正は、一見いたしますと、憲法の上から当然のように聞えますけれども、今日の情勢でこれをまともに受けることができないということは、まことに遺憾なことであります。最近の総評を中心にする春季闘争における政府与党の動きがどうであったかということは、私が指摘するところを裏づけてくれるものでありまして、すなわち、私の伝えられた情報によりますというと、公共企業体等に対して、政府与党の中には、それぞれ企業担当者を定めて、労働組合に対する態度を監視し、処罰を督励するという行為に出たということは、最近の保守政党が何を考えているだろうかということを示唆するもので、それゆえ今回の公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案は、今日の政治情勢からいきまして、政府与党の支配が強まる、それは結局公正妥当を欠く結果になる、こう思うのであります。いずれにしても、このような傾向は、保守と革新の対立時代に入った場合に適当なことではないのでありまして、このままでは公共企業体の職員の組織する労働組合は、対政府与党との深刻な対立まで発展をして好ましからぬことになることを憂えなければならぬと思うのであります。また、政府与党としましても、こういうような印象を避けるように私は努力すべきであることが多数政党である政府与党のとるべき道だと思うのであります。  以上のような欠陥を可能な限り排除いたしまして、少くとも臨時公共企業体労働関係法審議会答申書趣旨を正しく理解させ、反映させるということがお手元に配布いたしましたような修正案になると思うのであります。  その概要を申し上げますと、まず現行法第四条第三項は、法律をもって公共企業体の職員の団結権を侵害しているものでありますから、政府部内においても修正の意向があることでも明らかなように、また臨時公労法の審議会答申書にもこれを削除することが適当であるとされておりますから、この点を提出した修正案のように改めようとするものであります。  第二の修正点は、仲裁裁定に対する政府の措置を規定をしまして、従来これがなかったために紛争の処理が長引いたり、公共の福祉が阻害された傾向を是正しようとするものであります。すなわち第十六条第二項中に「二十日以内に、同項の協定実施のために必要な予算上又は資金上の措置案を附し」といたしまして、現行法を修正しようとするものであります。これは答申案のいう誠意をもってできる限りの努力を尽せという趣旨を、言葉だけでなくて、手続でもって実現しようとするものであります。  第三の修正点は、委員会構成について、労働者側、使用者側、公益側の従来の三者構成にして公正を保つことといたしまして、公益委員任命につきましては、公共企業体等労働関係法の目的である労使の友好的且つ平和的な調整をはかるためと、罷業権を剥奪された代償としての機関であることに顧みまして、労働者側、使用者側の同意を必要とすることにいたしたいと思うのであります。  その他、公益委員を非常勤とすることによりまして、政府提案の常勤制度による欠陥を是正しようといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及び内容の概要でありまして、この程度の修正を認めることにより、政府が繰り返し繰り返し労働法の改悪をはかっているという批判を若干でも軽減させたいものだと思うのであります。特に政府の責任者である労働大臣は、しばしば、公労法に関しては、関係者の強い反対があるものは無理に通すようなことはしない、こう言明をされておるのでありますから、言行を一致させるためにも、何とぞ御審議の上、賛成を下さるよう、お願いを申し上げるものであります。  以上、私の修正案に関する提案説明を終ります。
  120. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) ただいまの修正案に対して、質疑のおありの方は、順次御発言を願います。(「質疑ありませんよ」と呼ぶ者あり)
  121. 平林剛

    平林剛君 若干修正案について補足をいたしたいと思うのであります。ただいまお配りをいたしました文案のほかに、次の条項を加えたいと思うのであります。(「修正案の代りですか」「読まなきゃわからぬ」「見ればわかる」「あなたの今の説明で落ちたのがあるのですか」と呼ぶ者あり)ただいまの説明で落ちた点だけを補足説明させていただいて、あとは文書説明をもってかえさせていただきたいと思います。落ちた点を申し上げますと、「付則第十六項を第十七項とし、以下順次一項ずつ繰り下げ、第十五項の次に次の一項を加える。  16 旧法の規定により締結された協定又は旧法の規定に基いてなされた公共企業体等仲裁委員会裁定であって」の法律施行の際現に国会に付議されているものについては、この法律施行後もなお改正前の第十六条第二項の規定の例による。」これは経過的措置について遺憾のないようにするための修正であります。
  122. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 別に御発言もなければ、修正案に対する質疑は尽きたものと認めてよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) それではこれから原案並びに修正案について討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  125. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は自由民主党を代表いたしまして、政府原案賛成、修正案に反対の討論をいたしたいと思います。  ここで私が申し上げるまでもなく、三公社現業の仕事が、国家公共の立場からいいまして非常に大事な企業であるということは申し上げるまでもないことであります。従って、これらの公共企業体運営が適正に円滑にいくべく各関係者が特に注意し、留意しなければならないことも当然であります。ところで、それはどこに私は主眼があるかというと、私の考えを申し上げますれば、一口に言って、企業体側とその企業体で働くところの労働者側との間において心と心との相通ずるものがあり、かつ意思の疎通が十分に行われることでなければならないと考えます。ところが現行法は、制定後しばしば改正されているようでありますが、さらに幾多の欠陥があることがわかったのでありまして、それで政府改正原案が出されたのであります。この改正原案全部について質疑を通し、またわれわれもいろいろ検討を加えてみまするというと、これは企業体側とこの労働者側との意思をいかがにして十分にはかろうかということに非常な改正趣旨があるように感ずるのであります。一、二の例をあげますれば、団体交渉の方式改正されている、そうして労働組合がその当事者になった、このことはやがて私はこの運営がうまくいきますれば調停仲裁の機会も必要がなくなるようなふうに持っていけるのではなかろうかとも考えられる。また、仲裁裁定方式改正にいたしましても、従来よりもさらに迅速に、適正に、効果的に行われるように感ぜられるのであります。またこの改正案においては、委員会の整備が行われ、同時に特に私が強調したいことは、各条項非常な全般的に大きな整理が行われている。これはともすれば法律条文に対しまして解釈上見解の相違が起ったりあるいは誤まった解釈を起しやすい、これは法律として避けなければならぬことだと思いますが、ことに、この法律の性質から考えて、解釈に見解の相違が起ったり、誤まりある解釈が起りやすいということは特に避けなければならない。それが今回の各条項による大整理によりまして、相当に解釈の見解の相違が防がれる、また誤まりある解釈を生ぜしめる点が私は相当に防止されているのではないか、かような感じを持つ次第であります。私はこの政府原案賛成するに当りまして、特に希望したいことは、どうかこの団体交渉の結果が円滑にいくように、そしてやがては団体交渉の必要もないような私は時期がくることを希望してやまない。それには、企業体側が特にこの公共企業体の本質にかんがみて、労働者の立場をよく理解されて、考えられて、そして同じ国民であり、同じ人間である労働者が安心して働き、安心して生活ができるような点について、幾多の施設をなすことについて十分留意せられるべきである。なおまた、労働者側においても、この企業体の重要性、本質を考えられまして、この企業の、特に経営上の実体について深い理解を持っていただくことが必要ではなかろうか、こういうふうに考えますれば、紛争が起きることを予期して作る法律でなくして、この法律がやがてたなの中にしまい込まれてしまって、そうしてもはや最近はこの法律も必要がなくなった、こういうような時代に持っていきたいわけであります。それでさような意味において、私は政府原案賛成をいたすわけであります。賛成でありますから、詳細にわたっては申し述べません。  この修正案につきましては一、二申し上げますれば、たとえば公共企業体、私どもがただいま申し上げましたような趣旨精神からいたしましても、公共企業体等の職員でない者がこの組合に参加してくるということについては幾多の弊害を生ずる。従って、この点についてはわれわれはどうしても賛成、納得することができない。また、公益委員の非常勤以外の者が政党員でもいいということにつきましては、これは現在のような民主政治下におきましてほとんど大ていの有識者、ことにこういうような委員任命委嘱申し上げたいような方々は、多くが政党に所属され、あるいは何らかの政党のシンパである、これが実体でございます。従ってもしもこれをやめるということになりますれば、その適材を選定をする範囲がきわめて狭まってくるとも考えられる。なおまた、政党員であることが直ちに政治活動ではないと考える、この政治活動をしていけないということについては、私どもはさらにより以上に強い希望を持ってはおりまするけれども、さような趣旨においてこの修正案の第四の要点についても反対である。また、この委員会の重要性から考えまして、二名程度常勤者を置くということは、私は仕事の重要性から考えて当然な政府原案であるとも考えられる。その他の点につきましてはあえて触れませんけれども、以上の理由をもちまして、私は修正案に反対政府原案賛成をいたすものであります。
  126. 田村文吉

    ○田村文吉君 簡単に政府原案賛成いたしまして、修正案に反対趣旨を申し述べます。  修正案の趣旨はかなりに私ども気持がわかるような点が多いのでありまするが、それらは運用の面において十分注意してやってもらうならば、政府原案でやっていけるのではないか、こういうふうに考えますので、あえて修正案を作るまでもなく、政府原案賛成する次第であります。労使間の紛争がややもすれば階級的の闘争になりましたり、あるいは政党の著しい摩擦と相なっておるようなことは、私非常に遺憾に考えております。国民の総幸福をこいねがう見地から考えたときに、政党が変ったからといって、この労使関係に関する限りにおいては、そう著しい相違はあるべきでないと思うのでありまするが、現在の現実はさようでもありませんことははなはだ残念に存ずるのでございますが、まずこういう法律が一歩でも前進して改正されまして、労使間の紛争をできるだけ平和裏に解決をするということが望ましい点におきまして、私は公共企業体の関係法の今度の改正は適当であると思うのでありまするが、ただ二点、私は特に注文をしておきたいと思うのであります。その点は、この修正案にもその片鱗が盛ってあるのでありまするが、仲裁裁定がなされた場合に、これを尊重するという言葉が、単なる形容詞ではなくて、実際にこれが尊重されるようにあるべきであるということを私は心からこいねがうものであります。  もう一つ私は、こういう慣行が、ひとり公共企業体だけでなしに、公益事業全体に対してもかようなことが考えられていくべきであるのみならず、もっと進んでは、今日の企業というものが単なる私利私益のためにのみ行われるものでないという今日の考え方から参りまして、私企業といえども、なるべく平和裏に問題が解決されるように仲裁制度をできるだけ拡充する、これは将来労働裁判所のようなものを作って平和裏にものを解決する、こういうことが今日世界の私は急務であると思うのでありまして、いたずらに欧米の先進国でかようのことがあったから、あくまでもそれに従っていくというような愚かな考え方は、私は取り捨てて、日本こそ進んで労使間の紛争の処理は、全国民の幸福、利益のために平和裏に問題を解決する、こういう習慣を作っていく、こういうふうに今後もいきたいと考えております意味において、この公共企業体の関係法律には、私は深い関心を持つのでありまするので、その意味におきまして、今後ともこの意思がますます拡充されんことをこいねがって、希望いたしまして、本案に賛成いたす次第であります。
  127. 久保等

    久保等君 私は、ただいま議題になっております公企労法の改正法律案につきまして意見を申し上げたいと存じまするが、政府提案の一部改正法律案に対しまして、先ほど平林委員からいろいろ述べられましたと同趣旨におきまして、政府原案反対をし、平林委員の提案にかかりまする修正案に対しまして賛成をいたすものであります。  政府原案が今回出されました経過を振り返ってみました場合に、私ども従来から公共企業体労働関係法を根本的に改正しなければならないという考え方を持っておりましたのでありまするが、出されて参りました改正案は、若干その見るべき点もございまするけれども、本質的に私どもが問題にいたしておりまする罷業権との関連性におきまする仲裁裁定等の問題につきましては、やはり根本的な解決がなされておらないといったような問題も、先ほどの修正案の中にも、実はそのことに触れておりまするが、そういう点、私どもはそういう点につきまして繰り返して申し上げますることを省略いたしまするが、修正案の趣旨をせめてこの改正に当りまして、根本的な改正を別の機会に譲るといたしましても、せめて今回の改正案で実現すべきではなかったか、まあかように考えまして、政府原案には賛成をいたしがたいのであります。  以上を申し上げまして、平林委員提案にかかる修正案に賛成をし、政府原案に対しましての反対の討論といたします。
  128. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。  それでは、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず討論中にありました、平林君ほか五名提出の修正案を問題に供します。平林君ほか五名提出の修正案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  130. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 少数でございます。よって平林提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部を問題に供します。原案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  131. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 多数でございます。よって本案は多数をもって可決せられました。  なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりまするから、順次本案を可とされた方は御署名を願います。   多数意見者署名     深川タマヱ  谷口弥三郎     小澤久太郎  斎藤  昇     榊原  亨  雨森 常夫     高野 一夫  横山 フク     田村 文吉  杉原 荒太     寺本 広作  森田 義衞   —————————————
  133. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 次に、労働情勢に関する調査の一環として、駐留軍労務者の失業対策の確立及び労働基本権確立について、お手元に配付いたしました通り、山本委員から決議案の提出がございます。本決議案を議題とすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 御異議ないと認めます。  駐留軍労務者の失業対策及び労働基本権確立に関する決議案を議題といたします。発議者から御説明を願います。
  135. 山本經勝

    ○山本經勝君 本委員会におきまして、すでに数回にわたりまして駐留軍関係労務者の問題、特に不当労働行為関係の問題、あるいは大量の集団解雇に伴う措置等につきまして審査をお願いして参りました。そこで考えてみますのに、この駐留軍関係の労務者と申すのは、本来日本の同じ労働者であり、国民であるわけでありますが、いわば非常に気の毒な立場ともいえると思います。なぜかと申しますと、もしこれらの十五万に達する現在の駐留軍関係労務者は日本の国内に適当な職場がございましたならば、こういう職場に働きたくないというのが真実の気持だと考えます。そこで悲しいかな、現在の日本は敗戦後再建のなお途上にある実情でございますから、好むと好まぬとにかかわらず、多数の失業者が従ってやむを得ずこの駐留軍関係の労務者として生活の道を守っていく、こういう結果になっておるのであります。そこですでに大臣その他当局におかれましてもいろいろと御配慮を願ってきたことは、申すまでもございません。そこでこまかな内容をいまさら御説明申し上げたり、とやかく申す必要もないかと考えます。  そこで、この問題の困難性と申しますのは、日本人の労務者でありそうして一部を直接日本が直用の形で雇用する場合にも、あるいはまた日本の政府を通して調達庁によって労務提供をなさる場合でも、ともあれ使う相手は全然国情が違い、慣行が違い、実態を異にする相手方によって使用されるということでございます。しかも言語、風習等についても十分な疎通が行えない、こういう実情にある。特に軍という特殊な立場にあることが、この労務者の諸君が非常に苦しい立場に追いやられるゆえんではないかと考えられる。そこで審査の過程でもしばしば申し上げましたように、少くともこのことについては、日本国労働関係諸法が日本人の労務者として、労働者として、国民としてこれを守るのだという基本的な線は明確なのでございます。ところが遺憾ながらただいま申し上げますように、立場の相違と申しますか、あるいは軍という特殊な使い主、そういう関係からしばしば解決のきわめて困難なトラブルが起って参ります。この基本をなすものは、少くとも日本国労働関係諸法によって守られなければならない日本人労務者の立場、またこれを守ることを要望する立場、一方、軍という特殊な関係から保安上の問題としてこれを取り扱ってくる基本的な立場の相違がうかがわれるのでございます。この点は特に今後の問題として、当局におかれましても、関係諸省庁間における話し合いなり、考え方の統一をはかっていただいて事態の解決とともに、しかも行政協定に基く取りきめも幾多できておりますので、これらに準拠して、すみやかに問題の解決をはかられたい。こういうふうに考えておるわけでございます。  以上、簡単に理由を申し上げまして、この決議案の案文を読み上げたいと思います。    駐留軍労務者の失業対策及び労   働基本権確立に関する決議   駐留軍労務者の失業対策の確立及び労働基本権確立については、従来、しばしば本委員会において審議し、政府に対しその善処を要望して来たところであるが、今日に至るも十分なる解決を見ず、今なお各地に紛争頻発し、日米行政協定第十二条及び第十五条に基づく日本国内法の完全適用の期し難い状況にあることは、甚だ遺憾とするところである。   よって政府は左記事項に関し速かに適切な対策を樹立することを要望する。   1 駐留軍労務者の失業対策を確立すること。   2 駐留軍労務者労働基本権確立を期するは勿論、裁判所の判決、労働委員会の決定、命令等の実施については、速やかに政府意見を統一し、その履行を期すること。   3 政府、駐留軍及び労務者相互の理解を深め、事態の円滑なる処理に資するため三者の緊密な連絡を取り得る措置を講ずること。  右決議する。   昭和三十一年四月十三日  大体以上のような決議案を御提案申し上げます。同僚各委員の御賛同を得て御決定をいただきたい、かように考えます。
  136. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 御質疑ございませんか。——御質疑もないようでございますから、採決をいたします。  本決議案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  137. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 全員一致と認めます。よって駐留軍労務者の失業対策及び労働基本権確立に関する決議案は可決されました。
  138. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま御決議になりました事項につきましては、政府といたしましてもまことにごもっともなことでございまして、従来も努力をいたして参りましたが、今後この御決議の御趣意を尊重いたしまして、さらに一段の努力をして、問題の解決に当りたいと思います。
  139. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) 本日は以上をもって、社会労働委員会を閉会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 重盛壽治

    委員長(重盛壽治君) それでは閉会いたします。    午後三時五十四分散会    ————————