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1956-03-30 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月三十日(金曜日)    午前十時五十六分開会   ―――――――――――――   委員異動 本日委員藤原道子君及び相馬助治君辞 任につき、その補欠として亀田得治君 及び永岡光治君を議長において指名し た。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     重盛 壽治君    理事            高野 一夫君            山下 義信君            常岡 一郎君    委員            加藤 武徳君            草葉 隆圓君            榊原  亨君            寺本 広作君            深川タマヱ君            横山 フク君            亀田 得治君            竹中 勝男君            永岡 光治君            山本 經勝君            田村 文吉君            森田 義衞君            長谷部ひろ君   衆議院議員            原 健三郎君   国務大臣    労 働 大 臣 倉石 忠雄君   政府委員    調達庁次長   丸山  佶君    外務省欧米局長 千葉  皓君    厚生政務次官  山下 春江君    労働大臣官房総    務課長     村山 茂利君    労働省労政局長 中西  實君   事務局側    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    厚生省引揚援護    局引揚課長   瀬戸新太郎君    労働省労政局労    政課長     大野雄二郎君    労働省労政局労    働法規課長   石黒 拓爾君    労働省労働基準    局監督局長   辻  英雄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○未帰還者留守家族等援護法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○引揚同胞対策審議会設置法の一部を  改正する法律案衆議院提出) ○労働情勢に関する調査の件  (駐留軍労務者労働問題に関する  件)  (小松製作所大阪工場における労働  問題に関する件) ○公共企業体等労働関係法の一部を改  正する法律案内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それではただいまから社会労働委員会開会いたします。  委員異動を報告いたします。三月三十日付藤原道子辞任亀田得治選出、同日付相馬助治辞任永岡光治選出。   ―――――――――――――
  3. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 次に、未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑を願います。  皆さんから御質疑がないので、私からちょっと御質問申し上げますが、この三カ年間期間を延長して留守家族援護法の適用する範囲といいますか、そういう人たち人数は総計どのくらいあるか、明確にしておいていただきたいと思います。
  4. 山下春江

    政府委員山下春江君) 三十一年度といたしましては、留守家族手当を受けております者が五万四千八百六十六でございます。これは家族数でございますから、件数ではございません。件数から申しますと二万四千百八十四でございます。家族総数にいたしますと五万四千八百六十六名でございます。それから特別手当を受けております者が三千三百四十七件、人数にいたしまして四千三十八名でございます。合計二万七千五百三十一件、五万八千九百四名ということになっております。
  5. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ほかに御質疑ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それでは質疑がございませんければ、採決をいたします。質疑を打ち切り、討論を省略して、採決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 御異議がないと認めます。本案に御賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  8. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 全会一致でございます。決定いたします。  なお本会議における口頭報告内容議長提出する報告書作成その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 御異議ないと認めます。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     高野 一夫  常岡 一郎     竹中 勝男  山本 經勝     亀田 得治  長谷部ひろ     草葉 隆圓  加藤 武徳     榊原  亨  田村 文吉     山下 義信  寺本 広作     深川タマヱ   ―――――――――――――
  10. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それでは次に、引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案議題といたします。御質疑を願います。
  11. 竹中勝男

    竹中勝男君 それの構成員はどういうふうになっておるのですか。それをちょっと聞いておかないと……。国会はさっぱり関係がないのですね。大がい審議会には国会議員が入っておるのですが、ことに参議院はこの引き揚げに関する特別委員会もないのです。それで社会労働委員会としては、もう少し積極的にそれに参加することを考えないと、ただそういう審議会ができておるだけでは意味がないと思うのです。それでどういう構成になっておるのですか。それを一つ御説明願いたい。
  12. 原健三郎

    衆議院議員原健三郎君) 委員は、内閣官房長官が一人、それから関係各省事務次官、それから引揚援護庁長官及び厚生大臣の認める引揚団体代表者、その他学識経験ある者の中から内閣総理大臣がこれを任命する。臨時委員は、関係各省の官吏及び学識経験ある者の中から内閣総理大臣がこれを任命するとなっておりまして、両院議員はこれには入っておりません。
  13. 竹中勝男

    竹中勝男君 大体そういう引き揚げに関する重要な問題がこの委員会にかかってきておるのです。委員会で、参議院においては社会労働委員会でこれは取り上げておるのですが、衆議院においては特別委員会があるのです、引き揚げに関する。そこでわれわれは参議院社会労働委員会としては、そういう審議会ができるんだったら、何らかもっと積極的に、それに審議会構成に関して、参議院社会労働委員会、あるいは参議院として、何か参加する道が講ぜられるのが適当ではないかと思うのですが、これは私の意見です。委員会意見ではないのです。
  14. 原健三郎

    衆議院議員原健三郎君) ずっと昭和二十三年九月からこの審議会ができておるのですが、その当時からどういうわけか、国会議員が一人も入っていないのですが、衆議院の方では委員会におきましても議員を入れたらどうかという質疑もないし、これでけっこうだというので、そのまま委員会、本会議で通過したような事情であります。
  15. 竹中勝男

    竹中勝男君 この委員会もそれでいいと言われるならば、特に私はそういう主張もしないのですけれども、しかし衆議院には引き揚げに関する特別委員会があります。ここではそのときどきにこの社会労働委員会で取り上げてきたのですが、引き揚げに関する問題は相当広範に関係するところが広いので、これは捕虜の問題にしても、われわれ直接関係しておる中国に対する遺骨を送還する事業なども、こういうものが引き揚げ実質上は関係してくるのです。だから、私がこの間、遺骨を持って行ったときに、周恩来総理は、この遺骨をこうやって送ってこられることによって、われわれは日本に対する抑留者帰還、あるいは戦犯の帰還のことも非常に緩和してくると思うという返事を直接私にしております。そういうようなことを考えると、もっと引き揚げに関することは、この委員会として直接そういう審議会ができる際に、参加するのが当然じゃないかというふうに私は考えておりますが、せっかくこれが議題になっておるのですから、私はそういう問題をとにかく提出しておきたいと思うのですが……。
  16. 田村文吉

    田村文吉君 関連しまして……。現在の委員方々はどういう方々委員になっておりますか、名前をちょっと……。
  17. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) この審議会構成メンバーに、国会議員方々がお入りになっていないということは、一つ理由といたしましては、総理大臣のいわば調査機関的な性格がございますので、それでまあ主として専門的な方々構成するのが適当であろう、こういうように聞いております。
  18. 竹中勝男

    竹中勝男君 国会議員の中には、そうすると専門的な人がいないということにあなた方は判断されておるわけですか。
  19. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) いや、専門的と申しまするか、要するにやや事務的に専念してやるというような、まあ事務的な面もあわせ持ちまして……。
  20. 竹中勝男

    竹中勝男君 それはおかしいですね。われわれは専心――もうそれに朝から晩までかかっておるというわけじゃないですけれども、これは専念的に頭を使っておるのですよ。私ども事務はしませんけれどもね。国会議員として、この社会労働委員としては専門的な頭を使っておるのですよ。それで事務屋だけで審議会というものは作っていることなんですか、あなたの言うところによると。
  21. 榊原亨

    榊原亨君 名前を言ってもらわぬとわからぬ。答弁者委員長に許可を求めて発言しなければ……。
  22. 重盛壽治

  23. 瀬戸新太郎

  24. 田村文吉

    田村文吉君 昨年一年で何回くらいその会を開かれたのですか。
  25. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) ただいま正確に調べますが、四回ではなかったかと思います。
  26. 山下義信

    山下義信君 今の田村委員質問に関連してお尋ねしたいのですが、仄聞するところによりますと、この審議会開催のつどに委員出席が非常に悪いということで、ほとんど四回開いたのか五回開いたのか知らぬが、その全回を通じて一度も出席しない委員があるのじゃないか、もしそういう委員があるのならば委員をやめさせなければ、委員会開催が四回か何回か知らぬが、それも的確に答弁なさらなければならぬが、委員出席状況、個々についてすみやかに資料の御提出を願いたい。何でもほとんど顔を出さぬ委員が少からずあるのじゃないかと思う。そういう一度も出席しないような、この問題に熱意も何もないような委員を並べておいたってしようがない、それはやめてもらわなければならぬ、ただ形式的の委員ではしようがない。だから何委員が何回出席しておるか、何委員が欠席したかということを、すみやかに、資料を今日中に提出してもらいたい、政府ではなしに、提案者、私の質問に対して答弁をして下さい。
  27. 原健三郎

    衆議院議員原健三郎君) ただいまの御希望に対して、本日中に調査して提出いたします。
  28. 山下義信

    山下義信君 資料の御提出の御答弁を得ましたが、そういうほとんど全委員会開催のつどに、全回を通じて欠席しておるというような委員に対しては、これは適当に善処されなければならぬと思うが、いかがですか。
  29. 原健三郎

    衆議院議員原健三郎君) どういう事情で欠席されたのかまだ私どもはよく知りませんが、事情調査して、全然理由もなくして欠席しておるというような場合には、適当に善処すべきものだと存じております。
  30. 田村文吉

    田村文吉君 審議会にかけられた事項というのは、どういうことをおかけになって、どういう審議会答申をなすっておいでになりますか。全く無用なような形になっておるのでは、若干でも国費を使っておることでもございますから、注意していただかなければならぬし、今の山下委員からお話のあったように、全然、名前だけは連ねておるけれども、さっぱり出ておらぬというようなことで、その会が運営がうまくいっていないようならば、さらに三年間延長するという必要もない、こういう議論が出てくるわけです。そういう意味で、一体どんなことを御審議なさって、どんなふうの答申をなすっていらっしゃるか、私はそれをちょっと伺いたい。
  31. 原健三郎

    衆議院議員原健三郎君) 最近のものを申し上げますが、昭和二十七年十二月二十九日以後の決議ですが、決議をして総理大臣提出をいたしております。それは一つは、中共地区引揚者受け入れ援護強化徹底、それに対する政府のとった措置としては、イ、帰還手当支給昭和二十八年三月再開された中共引揚者受け入れに当り、新しく帰還手当支給措置をとった。これは多年にわたり残留を余儀なくされた引揚者が、内地における生活の再建に当って、まず必要な当面の生活資金ないしは就職するまでの間のとりあえずの支度金支給する目的のもとに設けられたもので、支給額は一万円である。この措置は自後の引揚者にも適用され、今日に及んでおる。  ロは、住宅援護強化措置として、新規引揚者住宅に困窮する者のために、昭和二十七年度及び昭和二十八年度において約四億円の国庫補助金を支出して、約三千四百戸の引揚者住宅を建設した。なお、昭和二十九年度以降は住宅行政一元化建前から、建設省所管の第二種公営住宅の中に新規引揚者分ワクを設けるよう措置している。  ハ、職業のあっせん、あまり長くなりますから読みません。  ニ、生業助成生業助成については、昭和二十七年度及び昭和二十八年度における新規引揚者に貸し付ける更生資金として、国民金融公庫普通資金ワクの中から二億円をこれに充当して適当な生業の計画のある者に対し、一世帯三万円ないし五万円を貸し付けることとし、昭和三十年十一月末現在約四千四百世帯貸付を行なった。また、昭和二十九年度以降は回収金の中に新規引揚者分ワクを設けて貸付を行なっておる。  それから二は、在外資産問題について、昭和二十八年十月二十六日に決議をいたしております。これに対する政府措置は、在外財産問題の重要性にかんがみ、内閣総理大臣の諮問に応じて、在外財産に関する基本問題その他在外財産に関する重要事項調査審議するため、総理府付属機関として在外財産問題審議会昭和二十九年七月に設置した。  三、留守家族援護法改正昭和三十一年一月十三日に決議をいたしております。これに対する政府措置は、未帰還者留守家族等援護法第十三条の規定によれば、生存資料のない未帰還者にかかる留守家族手当は、昭和三十一年八月一日以降打ち切られることになっているが、未帰還問題の現状にかんがみ、その期日を三年間延長する改正法案を第二十四国会提出することにいたしております。そういうようなことを最近にやってきております。
  32. 田村文吉

    田村文吉君 一年にどのくらい審議会のために経費がかかりますか。
  33. 瀬戸新太郎

    説明員瀬戸新太郎君) 三十一年度の予算におきましては二十八万八千円でございます。
  34. 竹中勝男

    竹中勝男君 今の構成委員の顔ぶれだとか、それから取り扱っておる審議されたところの事項などを伺っておると、もっぱら引き揚げした人たちに対する対策の審議なわけですね。しかし在外資産の問題までもやはりそこで審議されておるとすれば、やはりただ関係者だけの審議会では、もう少し根本問題を論議するのに不適当じゃないかと思いますが、ただしかし三カ年延期する場合に、構成を変えてゆくということは困難だろうと思いますけれども、こういう意見参議院社会労働委員会であったということははっきりしておいていただきたいと思います。
  35. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ほかに御意見ございませんか。
  36. 田村文吉

    田村文吉君 質疑を打ち切って討論に入ることの動議提出します。
  37. 山下義信

    山下義信君 田村委員動議賛成します。
  38. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ただいまの田村君の御提出になりました質疑を打ち切り、討論に入ることの動議に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 討論がございましたら一つ
  40. 田村文吉

    田村文吉君 今山下委員から資料提出もお願いしてあるわけでありますが、これは本会議中に出していただけばけっこうでありまするけれども、要するに、ただいたずらに名儀だけの審議会になりまして、功績をあげてゆかないようなことでは、さらに三年延長するということは意味をなさぬ、こういうふうに考えまして、先般来竹中委員からの御質疑も、これを有効に一つ働かしてもらいたいという意味であると私は考えます。そういう点について十分の厚生省でも御注意をされてやっていただくことでありまするならば、本案賛成いたしたい、かように考えます。
  41. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ほかに……。
  42. 竹中勝男

    竹中勝男君 社会党としては、今田村委員の言われたところと大体同じわけなんですが、せっかく引揚同胞対策審議会というような相当重要な名目を持った審議会ができておるわけですから、これはただ事務的な処理だけでなくて、やはり引き揚げ全般に関する問題にも相当触れてこなけりゃならぬだろうと思います。そういう点については、十分促進の方面もやはりになわれていいと思うのです。ことに現在ソ連からの引き揚げ問題にしても、中共引き揚げ問題にしても思うようにそれが進行していない、国民は非常にそれに対してやはり不安な気持、むしろ不満を持っておるわけですが、そういう点についても一つ促進されるような審議をしていただきたいと思います。  それからもう一つ、これも考えていただきたいのですけれども共産圏からの引揚者に対しては一万円の引揚手当があるわけなんですが、南方圏からの引揚者には法律上はないのです。この点も将来審議していただきたいと思いますが、実質厚生省当局としては、引揚当局としてはやっておられるようですけれども、これがやはり不公平になっておるというふうに私どもは見受けておりますし、引揚者が……、この間たとえばモロタイ島から引き揚げてきた者についても実は正式にいえばないんです、一万円の引揚手当というものが。こういう点も、それからことに、南方の未帰還者に対して日本の場合だけですね、これは死亡になっている、戦死になっているのです一応。   〔委員長退席理事山下義信君着席〕 これはほかの国ではやはり不明な者は生きているとして探す建前になっているのです。日本だけはわからない者は戦死というふうにきめてしまわれて、そうして戦死者がぽつぽつ帰ってくるというような状態を今展開しているのです。この点もやはりこの審議会で相当考えてもらいたいわけです。まあそういう希望を付して私ども賛成するものであります。
  43. 山下義信

    理事山下義信君) 討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 山下義信

    理事山下義信君) 御異議ないものと認めます。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  45. 山下義信

    理事山下義信君) 速記を起して下さい。  それでは、これより引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  46. 山下義信

    理事山下義信君) 全会一致でございます。よって本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における口頭報告内容議長提出する報告書作成、その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 山下義信

    理事山下義信君) 御異議ないものと認めます。  それから報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     竹中 勝男  山本 經勝     亀田 得治  寺本 広作     長谷部ひろ  榊原  亨     田村 文吉  高野 一夫     常岡 一郎  深川タマヱ
  48. 山下義信

    理事山下義信君) 暫時休憩いたします。    午前十一時二十五分休憩    ――――・――――    午後一時四十八分開会
  49. 山下義信

    理事山下義信君) これより社会労働委員会を再開いたします。  この際議題を追加しまして、労働情勢に関する調査の一環として、板付基地駐留軍労務者に関する不当労働行為に関する件及び小松製作所大阪工場不当労働行為に関する件を議題といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 山下義信

    理事山下義信君) 御異議ないと認めます。  それでは板付基地駐留軍労務者に関する不当労働行為に関する件及び小松製作所大阪工場不当労働行為に関する件を議題といたします。御質疑を願います。
  51. 亀田得治

    亀田得治君 議題が二つあるわけですが、最初の板付基地に関する問題は当委員会においてもすでに若干御質疑があったようです。ただし私が本日特にお尋ねしたいのは、その後の事態が相当変って参りましたので、未解決状態の中において一そう新しい事態になり、しかもそれがはなはだ憂うべき状態だというふうに感じますので、特に再度この点についてこの委員会関係責任者にお尋ねをしてみたい、こう考えたわけです。そこで一応簡単に、大臣もすでに今日までの経過を御了承のことと思いますが、現在までのところ、本件についてどのような処置あるいは解決の手ですね、そういうものを打ってこられたのか、そういう点について若干まずお伺いしたい。
  52. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 前回の委員会で相当この点につきましては、今日までの経過について質疑応答がございました。その後のことにつきまして、政府委員の方からできるだけ詳しく御報告いたす方がよいと思いますので……。
  53. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと答弁の前に、その後の事情だけじゃなしに、どういう態度でこられたか、その点ひっくるめて、その後の事情も一緒にしてもらっていいですが、お答え願いたい。
  54. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 板付関係は、駐留軍労務者――いわゆる調達庁雇用主たる立場にあるものと、別に軍が直用のものと両方に関連ある事項でございますが、調達庁関係いたしておるものは、御承知の通り、米国との協定に基く保安に関する条項の手続に従って処置されておる――ただいま出勤停止状況において――これが出勤停止を解除すべきかいかん、日本政府調達庁意見軍側に述べて軍側と調整をする、この手続の前提といたしまして、調査の段階であることに変りはないのでございます。日本側調査といたしましては、地元県庁等から十分な資料も徴しております。これに対して、かかる事実があったかいなかの点について一方軍側調査を求めておる。これに関しましては、先般の合同委員会にも外務省より提案され、これに関して米側の事実に関する調査を求めておるのが現状でございます。
  55. 亀田得治

    亀田得治君 調達庁の方では間接雇用主関係において今資料を集めておる、一口に言ってそういうふうなお答えのようでしたが、その中で米側意見合同委員会を通じて求めておるということですが、その意見は若干でも米側から示されておるのでしょうか、どうでしょうか。
  56. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 米側意見と申しますよりも、事実に関してのあれでございますが、現在においては、まだ向う側から提示して参っておりません。
  57. 亀田得治

    亀田得治君 まあその点が今日は本筋じゃないのでしょうが、はなはだそれはおそいと思うのですがね。問題が起きてからすでに三ヵ月になるわけですからね。それは一体いつごろそういう事実に関する米側の言い分というものが出てくる見通しなんでしょうか。
  58. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 来週はまた合同委員会のある予定になっておりますので、また取り上げまして催促して至急出させるようにいたしたいと思います。
  59. 亀田得治

    亀田得治君 私はそういうなまぬるいことじゃこういう問題は承知できません。米側は事実があって処分をしておるのでしょう、事実があったと称して。だから処分をしているときには事実というものはちゃんと書かれておるはずです、米側に。それが一カ月、二カ月、三カ月たってもいまだに日本政府の正規の機関に示されない。一体そういうことで日本政府の皆さんが承知できるんでしょうか。これは一つ労働大臣にお答え願いたい。
  60. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そのことはこの間の委員会でもお話がありまして、私がここでお答え申し上げましたように板付関係は二つに分れております。一つは今お話のあります間接雇用の十八名の問題、直用の四名でございますかその問題、そこで間接の問題につきましては今調達庁の方から申し上げました通りでありまして、私の方では先般も申し上げましたように、早くこの問題の処理をされるようにということを強く要求をいたして交渉を進めているという段階であります。直用のことについてもその後新しい事態があるようでありますが、間接の問題については、今申し上げた程度のことしか現在は申し上げられないのでありますが、なお直用のことをお答えいたしましょうか。
  61. 亀田得治

    亀田得治君 直用のことが非常に大事なんです、――本日は直用のことが大事なんですが、間接関係の十八名についての資料は、処分をしたときにはこれは米軍側の方じゃ書類になっているはずですよ。ほんとうにその事実があっての処分であれば……。それが未だにあなたの方で正式に求めても書類が出てこない。それじゃ議論にも何にもなりませんね。これはともかくアメリカ側からこうこう、こういうことがあったじゃないか、だから処分したと、こういう書いたものが出てくるのであれば、それは見方が少しへんぱじゃないかとか、またこちらが反駁の余地もあるわけなんです。ところが全然出てこないでそうして時日を遷延される。こんなことは全く日本の機関をばかにしたようなことじゃないでしょうか。はなはだ心外ですがね。労働大臣はどう思いますか。
  62. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) あなたのおっしゃる通りだとしますと私もはなはだ心外なんですが、これは山本さんと私どもとの間に、前回の委員会のときにいろいろその問題について折衝の行われた詳しい過程も話し合いがありまして、先ほど丸山次長が申し上げましたのは、そういういろいろな折衝のことは省略して現在のことだけ御説明申し上げましたから、そういうようにおとりになられてもやむを得ないと思いますが、私の方では向うとの間にその後直ちにいろいろな折衝をやっているということで、まだその点について解決すべき段階にきておらないということを申し上げたのでありまして、やっていることはやっているのであります。
  63. 亀田得治

    亀田得治君 それでは事実を明らかにしないで折衝をやっているわけでしょうか。
  64. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) その事実のことについて私どもの方の見解、それから県にもいろいろこちらの方では依頼して調査しておりますから、そういうことに基いて折衝をいたしているということであります。
  65. 高野一夫

    高野一夫君 速記をとめてちょっと懇談を……。
  66. 山下義信

    理事山下義信君) 速記をとめて。   〔速記中止
  67. 山下義信

    理事山下義信君) 速記を起して。  御質問をお続け下さい。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 御趣旨の点はよく何して……。そこで直用の四名の点ですね。新しい事態になっているからという点ですが、その点に関しての一つ御報告をお願いします。
  69. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) うちの方の労政課長から申し上げます。
  70. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 直用四名につきまして、三月二十三日までの委員会のときにわかっていたのはその際申し上げた通りでございます。その後わかりました情報といたしましては、三月二十三日福岡地裁から直用四名の解雇無効確認の仮処分の決定があったということを情報として知ったのでございます。さっそくこれを検討いたしてみましたところ、大体のところ法律論が書かれておりまして、われわれが全力をあげて調査に努めておりますところの保安解雇の当否という問題については、当該事件の経過上あまり書かれていなかったわけでございます。従いまして当方といたしましては、従来の調査を促進させて早急に結論を出し、これに基いて米軍と交渉いたしたいと考えております。その際におきまして、仮処分の決定のあったことは事実として先方に主張されることと思います。
  71. 亀田得治

    亀田得治君 三月の二十三日に四名に関する身分保全の仮処分が判決として福岡地裁から出ました。そうして三月二十七日にそれが裁判所から先方に送達されております。三月二十七日。これも受け取りを拒む、こういう態度に出たようですが、裁判所からの連絡によりますと、裁判所としてはそれでは日本側の面子がつぶれる、こういうことでそこに置いてきた、こういう格好になっているのです、いきさつが。それで問題は、判決があるまではこの事態をどういうふうに解釈するか、これはおのおの議論があっていいと思うのです。しかしながら一たんこの判決が出れば、一応その線において日本政府としては考え方を明確にする、このことが私は正しいことじゃないか、こう考えるのです。その問題は労働大臣どういうふうにお考えでしょうか。
  72. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 裁判所の判決のことでございますから、ただいまの段階で、政府の立場におる者からこれをとかくの批評をいたすことはかえって将来に支障を与えると思いますので、その点は一つ私の方からの御答弁は御容赦を願って、裁判についてのことでしたらば、一つ法務省の方にお尋ねを願いたいと思うのであります。
  73. 亀田得治

    亀田得治君 法務省でもあなたの方でも同じようなことを言うのです。それで私はきょうは、鳩山総理に日本の裁判権が侵されようとしておる問題だということで緊急質問を実は要求をしたのです。しかし委員会でもその点はいいじゃないかということで、再びここでやることになったのですがね。そういう考え方でははなはだ納得いかないのですがね。といいますのは、裁判所がそういう判決をするのがいいか悪いかということを私は言っているのじゃないのですよ。これはこういう問題については見方によっていろいろ議論が分れましても、いやしくもこの立法、司法、行政と三権に分れておるわけですね、国の大きな政治の建前というものが。具体的事件について司法機関が一つの結論を出したという場合には、よかれあしかれ行政府はその考え方を支持して行く、私はこれを否定するような、あるいはそれに対して疑いを持つような考え方は、これは重大な問題だと思うのですがね。アメリカ側は裁判権なしとしてこれに対して従わない、無視する、こういう態度を実はとっているのです。この裁判に対して私どもは行政協定のこの解釈から言ったって、これは十分裁判権のある問題だと思うのです。しかしアメリカと日本の間ではこれは一つの前例になっていくわけです。裁判権、行政協定の解釈として、その点が日本側にあるか、アメリカ側にあるかということは前例になるから、これは重要な問題である。だからそこにおいては、なるべく自分の裁判管轄権を多くしようというのがこれは自然な人情でしょうから、議論が戦わされることがあってもいいけれども日本の内部においては、裁判官が一つの結論を出しているのに、なおかつ日本の行政府の人が何かアメリカ側の言う一つ理由といいますかね、そういうものについて検討してそうしてやっていく、これは私重要な問題になると思う。判決前であればそれはけっこうですよ。そうじゃない、新しい事態になったというのはその点なんです。これは何もそんな重大な法律問題じゃないのでございましてね、常識的な私質問をしているつもりなんです。これはどうでしょうかね、もう一度お答え願いたい。
  74. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 裁判管轄権の問題につきましては、やはり私ども所管外からとやこう申すということは遠慮すべきだと思いますので、その件に関しては、一つ法務省なりそれぞれの機関を呼んでいただいて答弁さしていただく方がいいと思います。
  75. 亀田得治

    亀田得治君 もちろん裁判管轄権の問題でありますがね、ありますが、具体的な事案について裁判所が判決を出したわけなんです。抽象的な議論をしているのではない。判決を出した、判決というのは、出ればそれがよかれあしかれ日本政府としてはそれを認めてやる立場をとらなければ、重大なことになりますよ。それじゃこの判決を下した諸君はどうなるんですか。この裁判書きが駐留軍の事務所に置いてこられた。これは事が小さいようですけれども日本の裁判権、ひいては主権、そういう問題なんです、これは。そういう立場で考えれば、これは当然この日本の国内の三権分立の立場からいって、行政府としてはその司法裁判所の結論というものを尊重していくのは当然じゃないですかね。そんなに疑問があることでしょうか。
  76. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 裁判管轄権のことは今も私が申し上げている通りでありますが、その裁判が確定した結果、日本の労務者を保護する立場に立っている労働省としては、判決確定のときにとるべき措置はそれはおそらくわれわれは考えなければならぬことであると思いますが、現在裁判の判決のことについて労働大臣がとやかく申し上げることは遠慮をいたしたい、こういうことであります。
  77. 亀田得治

    亀田得治君 判決は控訴もされないし、確定するわけなんです。あちらは相手にせぬのですから、呼び出しを裁判所から持っていっても追い返している。二回目に受け取ったけれども、出てこぬ。だからもちろん控訴はありません。従ってこの判決は確定しているわけなんです。で労働者は裁判所の判決によっては救われた格好になっているのですが、一体これはどうするわけでしょう。あなたは労働者の立場をできるだけ救うのだ、こういうふうにちょっとおっしゃったようですが、もう具体的に救うことについては私は考えてもらいたい段階だと思うのです。
  78. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これはどうでしょうか、やはりあなたのおっしゃることもよくわかるし、私が申し上げることもわかっていただけると思うのですが、裁判のことについて、当該官庁の責任者から政府としての意見を聴取されまして、一つその問題を論議していただく方がいいんじゃないでしょうか。前提において私としては、裁判権のことに口を入れることは遠慮いたしたいと思うのです。
  79. 亀田得治

    亀田得治君 昨日の法務委員会では、法務大臣が病気で欠席ですが、結局裁判の批判は遠慮をしたいということなんです。意味がよくわからないのです。そんなたよりないことを言われてつっぱねているのですが、そんな一つの何か裁判中の事件を新聞が批判をするとか、そういうことをやると、あまりこう判事に対して予断を与えたりしていかぬとか、そういうような問題と一緒にしている。そういう問題じゃないのです。立法、司法行政とこうなっているでしょう。それでは行政府の人が、出ておる裁判所の結論を軽んじていいのかどうかということ、そういう段階にきているわけでしょう。裁判所がもちろん判決することによって政府は努力してくれるものだ、こう考えているに違いありません。それはよほどの決意がなければ、こんな判決は判事としても出てこぬでしょう。相当な摩擦を起してでもそれはやはり日本人の正しい立場を守る、裁判権を守る、こういう立場で出している。だから法務政務次官あるいは局長とか、そういう諸君でははっきり物を言わないわけです。しかしあなたは実際保護しなければならない立場にある担当の最高責任者なんですから、そうしてむずかしいそんな法律問題を出しているのじゃないので、それであなたにぜひもっとはっきりお答え願いたいと思って期待をもって来たのです。
  80. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) あなたのおっしゃることはよくわかります。それでまた私も、つまりあなたの言っておられます三権分立の建前、裁判のことについて行政府である私どもがとやこう言うのはかえってよくないのではないかという考え方で、三権分立の建前を守る趣旨は同じであります。そこでもうしばしばこの委員会でも論議されましたが、裁判管轄権の問題のことがなかなか解決いたしませんので、紛争が解決しない問題が非常に多いわけなんです。そればかりじゃありません。同じようなケースで今度の福岡の判決と、それからせんだって行われた青森の判決というのが全く違う趣旨の判決をしている。こういうようなことで、私ども政府の立場としても実は非常に閉口いたしておるのであります。そこで今のお話のように、控訴がなければ判決は確定する、こういうことでありますが、従っていずれにしても私どもとしてはこの問題は、裁判管轄権の問題にも響いて参りますし、さりとて、私どもの立場から日本の働く人々の人権を守らなければならぬということもありますので、こういう点について今米側と折衝しているわけなんです。従って現在どういうふうにするかというようなことは、先方との折衝をさらに継続いたして、何とか解決をしたい、こういう段階なのであります。
  81. 亀田得治

    亀田得治君 青森の件はこれは法務委員会でもよくおっしゃるのですけれども、問題が全然違うのです。青森の場合は、前提は不当労働行為ですよ。しかし青森で実際に問題になったのは、一種の処罰をするということなのですね。これは刑事関係の領分になっていくわけです。そういう意味で棄却しているわけですね。そうして福岡の場合はそれを認めているわけじゃない、民事関係の段階としてやっている。だから行政協定の十八条で、裁判所は確信をもって結論を出しているのですね。だからその問題は違うのです。それからたとえこの同じ問題について裁判所が二つの結論を出す、こういうことは裁判所が違うとあり得ることですね。しかしあり得ても、これは具体的な事件についての司法機関の結論というものは、これはやはり行政府というものは尊重していかなければならぬ義務があるわけですよ。これは国内問題に引き直してお考えになってごらんなさい、それはみな裁判所の独自の見解でやるわけですから、それが最高裁までいって一つ意見に統一されるということは理想的でしょうが、そうならない段階においては、行政府がそれに対して疑いを持つということは、むしろその裁判を実は批判していることになる。あなたのおっしゃる、裁判のことには関与したくないと、あなたはおっしゃっているでしょう。ところが実際は関与している。関与したくないという気持ならば、出た通りの結論で日本政府の考え方を固めて、そうして各位もそういうふうに意見を一致され、そうしてアメリカ側に強くぶつかっていく、これが私はもう司法権に皆さんが関与なされない一番正しい行き方だと思うのでありまして、だから裁判をなお批判されるということは、司法権に関与していることになりませんか。積極的な関与と、それから消極的な関与とあるのでして、どう思う、私の言うことは間違いなら間違いと言って下さい。私が納得すれば、いつまでも自分の自説を固持しません。
  82. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今申し上げておりますように、軍とこちらとの関係のことについては、しばしば裁判管轄権の問題で、それが根になって紛争が解決しない問題があるのでありまして、そこで私どもといたしましては、今お話がありました同じ判決でも内容が違うのではないかというお話でございますが、やはり青森の裁判所も福岡の裁判所も、一方においては管轄権ありという認定のもとに判決が下されております。御承知のように、一方では管轄権がないというような判決をしておる。こういうようなことでありますから、そういうようなときに、われわれとしてはこの問題の事態をいつまでも遷延いたしておくことは困難でありますから、そこでこちらから提案をしまして、個々の問題についての紛争処理について実際の話を進めておる、こういうことを率直に申し上げておるのでありまして、裁判管轄権のことについては、私でなくて、違う政府の当局にお尋ねを願いたいというふうに申し上げておるのです。
  83. 亀田得治

    亀田得治君 これはしかし単なる一法務省の問題ではなくて、やはり外務省なりあるいはあなたの方が実質的なこれは関係が深いわけなんです。まあそういう意味で、そちらへそらされるようになるとはなはだ工合が悪いので、法務省の方でというと、私の方は理屈はいろいろ考えるが、中身は、それは労働関係の実際の方が知っているのだが、何かそっちの方にそらされると、実に私どもそれは困るのです。だから労働大臣の方でそういうお考えであれば、やはり判決ももうすでに出てしまった段階ですから、今までよりもより一層強い態度で、一つこの問題を推進してほしいと思うのです。  それから間接雇用関係も、これは直接雇用関係がこういうようになれば、これは同じことですよ。内容は一緒ですから、事の起りはね。そうでしょう。その点はどうお考えになりましょう。それは裁判になっていませんけれども、取扱い方として……。
  84. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように、直用労働省でやっておりますが、実際の担当としては、その間接の方は調達庁、すなわち、日本政府が雇い入れて、これを先方に提供しているというところで取扱いが違っておるわけなのです。
  85. 亀田得治

    亀田得治君 だから日本政府が雇い入れておるわけなんですから、直用の場合よりもより一そう処理がしやすいはずだと私は考えるのです。日本政府の意向さえ、この四名についての意向さえきまれば、この四名の――四名は直用です。だから直用の人に対する考え方が判決で出てきたわけです。これは国家の意思ですもの、判決というものは。そういうふうに考えてほしいと言うのですよ、私の言っているのは。だからそうなってくれば、それと矛盾した扱い方を十八名の間接雇用の人についてできないわけですから、理論的に。ぜひ同じ線でやはり至急これは努力してもらいたい。で、そこでこういう問題は何でしょうか、特に閣議等を開いて、何かこの関係大臣なりそういう意見を統一しなければならない性質の問題なんでしょうか、どうでしょうか。
  86. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私はこれをえらいむずかしい問題じゃないと実は思っているのです。それは米軍の行為についての裁判管轄権の問題が解決すれば、従って私はその意図が出てくると思うのです。日本の裁判所でも二様の判決を下すようなわけで、この問題について意見が一致いたしておらないのだろうと思うのでありますが、私どもとしてもこの裁判管轄権の問題については明確になっておることほどけっこうなことはないのでありまして、それぞれこういう問題について紛争がとにかく多いのでありますから、私どももなるべくこういう問題について紛争の起らないように何とか善処しなければならないということはいつも考えております。
  87. 亀田得治

    亀田得治君 これはやはり一つの前例をここに作っていく格好に私はなろうかと思うのです。これはぜひ慎重にやってほしいと思います。
  88. 山本經勝

    山本經勝君 関連して質問を申し上げたいのですが、大臣のお話を伺っておりますと、管轄権の問題が非常に問題になって、管轄権の問題について疑義があるとおっしゃる大臣の見解はどういうところにあるのか、これは一つ明確にしておいていただきたい。
  89. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 疑義があると申し上げておるのではございませんで、今実例がこういうことだと、福岡裁判所、青森裁判所で違った判決をしておるということを申し上げたのでありまして、同時にまたこの裁判管轄権のような問題については、私でなくて、他の関係者にお尋ねを願いたい、こういうふうに申し上げておるのであります。
  90. 山本經勝

    山本經勝君 疑義があるのではないと、そうなりますと、私は先ほど亀田委員から御質問がありましたことを繰り返すようですが、はっきりしていただきたい。これは労働大臣は調達関係の最高責任者である。その中には労務提供の問題も入っておる。まあ直用の場合を含めて労働三法で保護する労働省の立場、そうしますと、裁判所が判決をしたこの内容について、それの実施ができるような行政的な推進をなさる責任があると思うのです。その責任はないのでしょうか。
  91. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これはしばしばここでもお話がありましたように、第一は今の管轄の問題、その管轄権の問題が問題で、まだ裁判所が二様の判決を下しておるような状態であるという事態でありますし、裁判のことについては私から申し上げることは遠慮いたしたい、ただ、今お話のように、こちらから提供いたしておる労務者が日本の三法によって保護されるべきものであるという建前はしっかりしているのでありますから、そういう点においては、私どもとしては政府としてできるだけのことをして保護しなければならない、こういうふうに考えております。
  92. 山本經勝

    山本經勝君 どうしても管轄権の問題がひっかかるのであります。これは私の見解が誤まりであれば御叱正願いたいのです。そこで、ここで裁判の管轄権が問題になっている根本の理由は、私はこう考えております。すなわち日本労働者、あるいは組合においても同様です。労働関係諸法規によって保護されるということは、再三確認された通りです。そうしますと、事が思想調査に基く解雇であり、出勤停止である以上、当然そのことに対する労働三法の保護があるものだと考えます。そこで裁判所で取り扱っている事件の経過を見ましても、同様な趣旨にのっとって日本労働三法という立場で不当労働行為の疑いがあるという前提に立っていることは、判決の理由書に明らかなのです。そうしますと、一方軍にこれを言わしめれば、日本行政協定ではなくて、あの附属協定の六十九号、つまり保安協定と称するものにのっとって解雇をした、あるいは出勤停止をしたものであるから、日本の裁判はとやかく言われるものではないと、こういう主張をしておると思うのです。そうなりますと、この問題は、扱い方やそのほかにあるのではなくて、基本的な考え方の相違にあるのではないかと思う。そうすると、もし大臣の言われるような管轄権に疑義があると、あるいは疑義ではないといろいろに言われますが、当初から疑義があるということをおっしゃっている。その疑義とは何かといいますと、今申しましたように基礎が違っている、こういう印象を強く受ける。しかも先ほどもお話のように、青森の例を出されましたが、青森の例は現在も日米合同委員会の労務分科会に落されて、審査をされていると言われるけれども、昨年の九月からこの方、たったの一回もこの会合が開かれて審議がなされたことを私聞いておらない。こうなりますと、全く手をこまぬいて米軍の言われる通り日本人の労務者を提供している、あるいは直用にいたしましても、日本の労務者は適当に向うの考えの通りにいいかげんに扱われているという事実を見のがすことができないと思う。そうすると当初から大臣の言われるように、日本労働三法によって保護されていると言われるけれども、何ら保護されていない、こういう結果になってくると思う。ですから、この点は基本問題として最高責任者である労働大臣から懇切に、しかもわかるように一つ御説明をいただかなければ、どうしても納得がいかない。お願いいたします。
  93. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 行政協定の問題のようでございますから、政府委員の方からその基礎の点を御説明申し上げる方がいいと思います。
  94. 千葉皓

    政府委員(千葉皓君) 労働三法による保護を駐留軍労務者に十分与えるということは、これはもう政府として当然なさなければならないことであり、現に合同委員会を通じまして個々のケースにつきまして紛争処理の機関を、組織を作るべく米側と話し合い中でありますが、合同委員会におきます労働委員会におきまして、その問題を近く取り上げて具体的に話を進めることになっております。
  95. 山本經勝

    山本經勝君 今の千葉さんは、私は伺うところによりますと、日米合同委員会日本側代表と伺っておる。その通りでございますか。
  96. 千葉皓

    政府委員(千葉皓君) そうでございます。
  97. 山本經勝

    山本經勝君 それでは、続いて日米合同委員会の下部機構として作られております労務分科会の責任者については、せんだっても伺ったのですが、中西労政局長が当っておられる――まあそのときどき変ることもあるようでありますけれども、大体日米交互にその会議議長を勤める、こういうことになっておるようで、当然日本側責任者と考えてもよろしいと思うんですが、千葉さんは欧米局長としてこの協定を作られた当事者である。しかも日米合同委員会のいわゆる日本側代表という重大な責務を帯びておられる。日米合同委員会の下の労務関係の分科会には中西労政局長が担当をされている。こうして一環の機構の中で、しかも昨年九月からこの方、一回もこの青森の三沢事件に関する審査がなされておらない、こういうことを伺っているのですが、これは事実かどうか。
  98. 中西實

    政府委員(中西實君) 労務小委員会といたしましては、今の管轄権も含めまして、さらに具体的な事案につきまして、しばしば合同委員会を通じて申し入れまして、そして昨年中も向うの都合によって、回数は少くはありましたけれども聞きまして、その結果として、たとえば不当労働行為的なことが是正され、しかも一般的に軍の方から下部に不当労働行為的なことをしてはいけないというような通牒も出されたというようなことで、われわれとしましてもできるだけのことはやっておるつもりでございます。ただよく向うのメンバーがかわるのでありまして、それで実はこの具体的な処理機構につきましてはだいぶ前に申し入れをしてあるのでありますが、その後係官がかわるということで、再々向うに催促をしておるのでありますが、そのつど向うが都合が悪い。しかしその間事務的な折衝はしております。きょうも向うの係官を呼びまして話し合いをしております。やっとこの十日に小委員会を開くという運びになっておりますが、何分にもどうも非常にわれわれから考えましても実に進み方がおそいので、非常に遺憾に思っておるところでありますが、しかし相手のあることでありますから、できるだけの努力はしておるということを御了承いただきたいと思います。
  99. 山本經勝

    山本經勝君 今の、できるだけ努力という話は、せんだってから非常に聞いたわけですが、私が伺っているのは、昨年の九月から労務分科会が開かれておらない、しかも提訴中の事件についての取扱いが行われておらない、このことは事実ですか。
  100. 中西實

    政府委員(中西實君) これは先ほど来申しましたように、何度かこちらから申し入れをしたのでありますけれども、しかしながら向うの都合、ことにちょうど向うの責任者がかわりまして、それから今年の一月にまたかわったというようなことで、実は今まで延び延びになっておるというのが現状でございます。
  101. 山本經勝

    山本經勝君 今の中西労政局長のお話だと、皆さんもお聞きの通りなんです。これは私ども、非常に不満というよりも、全くでたらめであり、無責任きわまることだと思う。それで私はこの点大臣にお伺いしたい。大臣の方は、今お聞きのような状況ですが、中西労政局長は大臣の指揮下にあって、そうして労働行政を担当なさっておられる。ところが、労働者を守る日本の三法については、これは公然として幾たびか言明されたように、当然なさるべきことである、またわれわれが監督し指導すべきであるということを言明なすっておられますが、今の実情を聞けば、何回か申し入れをしたができなかった、また将来も繰り返し繰り返し申し入れてもできないかもしらぬ。そうなった場合には、日本人の労務者は守られない、何らの保護を受けることができないと、こういう結果になると思いますが、大臣はその点どういうふうにお考えになりますか。
  102. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今労政局長から申し上げましたように、私どもとしては促進方を努力いたしておるわけでございますが、なお、今も申し上げましたように、さらにすみやかに会合を持って、できるだけ促進するように努力をいたします。
  103. 山本經勝

    山本經勝君 同時に私伺いたいのは、調達庁関係おいでになりますか。
  104. 山下義信

    理事山下義信君) 調達庁次長が見えております。
  105. 山本經勝

    山本經勝君 次長にお伺いしたいのですが、これはややともすると、問題があっちこっちにまたがっておる関係で、政府としての考え方の統一をして強力に交渉を進める、あるいは機関における協議を進めて解決をするという努力が、私は今までの御答弁を伺って何らなされておらないと思う。何を申しましても、直接調達関係を担当しておられる次長おいでになるのですから、この点はどうなるのか。  それからいま一ぺん千葉欧米局長にお伺いしたいのは、あなたは日米合同委員会日本側代表、これは日本全体を代表した委員である。日米合同委員会に、ただいまの中西労政局長のお話のように、たびたびその申し入れをしたけれども、一向に会議さえも開かれぬ、こういう実情だと、これであなたは日本の代表として日米合同委員会における責任が果せておるとお考えになりますか、今の両方一つお答え願いたい。
  106. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 調達庁といたしましては、最も関係の深い外務省、それから労務関係では労働省と、従来とも十分に連絡をとって歩調をそろえてやっておるつもりでございますが、今後とも一そう努力いたしたいと存じます。
  107. 千葉皓

    政府委員(千葉皓君) 労働委員会がすみやかに開かれまして所望の処理ができますように、この上とも努力いたしたいと思います。
  108. 中西實

    政府委員(中西實君) 実は、非常に向うが開催を渋られたのは、これは労働委員会不当労働行為の管轄権のほかに、司法上の管轄権、これが非常に問題になりまして、そこで小委員会を司法関係の小委員会にしようか、労働関係にしようかというようなことも非常に論議されたのでございます。それで問題は、裁判管轄権、これの方が非常に重要な問題でございますので、それに引っぱられて向うも研究に非常にひまどった、それと、今の人がよくかわったというようなことでおくれたので、向うとしても慎重に検討しておると、こういう返答はまあしばしば催促に対しては言ってきております。
  109. 山本經勝

    山本經勝君 今また管轄権のお話が出たから、ついでに一つ局長に伺っておきたい。管轄権に関する日米行政協定の正文並びに付属議定書の中で、かなり私ははっきりしておると思う。ところが、今回労務関係で問題になったのは、先ほど申し上げたように、労働者は労働三法によって守られる。労働基準法あるいは労働組合法、こういったものを基礎にして主張をしておる。それを日本政府が当然この労働法に関する限り、裁判の管轄権はあると皆さんは考えておる。裁判所もそう解釈をしておる。ところが米軍が言うのは、それに対する逃げ道として、労働関係の諸法を自分たちはとやかく言っておるのではない、むしろ六十九号の保安協定に基く取扱い、あるいは調査、あるいは必要な処分、この点で言っておるのだと言う、私は食い違いではないかと思う。もしそうだとすれば、私はむしろ法務省の、法務大臣の方の問題でもありましょうが、私はこの際政府がここで労働省あるいは外務省それから調達庁、法務省等関係諸省の間でこの見解、取扱い、あるいは処分の基礎になる問題の解明をせぬ限り、永久に泥沼に入ったような問題になっていって、日本人はあたかもパンパンのように自由自在に米軍のために扱われてゆく、基本的人権は無視される、こういう事実になって参るのではないかということを心配する。ですから先ほどからたびたび大臣答弁も求めておるのですから、ここを一つどうお考えになるか、従来の通りやって、努力をするとかあるいは調査をするとか善処をするとか、それでは、皆さんの答弁としてはそれで済むかもわからぬ。しかし私は政府の責任において処理しなければならぬこの種の問題について、これは国民に対して全くの欺瞞であり、労働者に対して、むしろ米軍に協力して不当な扱いをするという極言をしても不当ではないと思う。こういうふうに考えられて参りますので、このことは私どもからさらに関係者あるいは国民全体の問題となってくるなれば、しばしば申し上げたように、日米行政協定の守られないような事態も発生するかもわからない。そのことは国家の国際信義にも関係するほど重大な私は政治問題だと思う。そうすれば関係四者の間での話し合いをなさって、統一した見解をまとめて、少くとも内閣の責任において対米折衝なりあるいはまた軍との折衝に当られるべきだと思うのですが、この点労働大臣はどうお考えになるのか。
  110. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私はこの調達の仕事をしておりまして、今御指摘のような問題というものはきわめて少いのでありまして、ふだんの仕事というものは御承知のように大体円満にいっておる。ところが問題の起ったわずかのことがとかくこういう今お話のような問題を起す原因になるのでありまして、非常に多くは円満に遂行されておることは御承知の通りであります。そこでごく少数ではあっても、こういう事端のあります問題については、私どもとしては、国内的な問題であるならばこれはすみやかにわれわれの力で解決できるのでありますが、もうすでによく御承知でもあり、しばしばこの委員会でも論議されましたような関係の相手方でありますので、いろいろ未解決の問題があることはまことに残念でありますが、山本さんのお話のような御意見は私ども同感でありまして、その点について常に努力をしておるわけであります。  なお未解決の問題もございますし、それからまた同じ日本の裁判所で二つの違った趣旨の判決があるというような事情でありますから、われわれ政府部内においてもこの点についてはもう一そう検討をして、こういうトラブルがなるべくなくなるように最善の努力をいたしてゆくつもりであります。
  111. 山本經勝

    山本經勝君 続いてもう一点はっきりさしておいていただきたいのですが、今のお話だとこういうふうに受け取ってよろしいのでしょうか。つまり相手が相手だからどうにもならぬのだ。そこで太いものにはのまれ、長いものには巻かれる、さわらぬ神にたたりなしというような言葉もございますが、問題はほとんど努力するとか何とか、善処するとかいうようなことではない、現に事態は起っておる。しかも多くの問題の中でわずかな部分だというお話も大臣なさるのですが、私はこれは小さな問題ではない、事によったら実に国辱にも値する問題だと思う。先ほど亀田委員からも申し上げたように、少くともたった一人の問題でも昔は戦争になったこともあるのです。いわゆる国運をかけても明らかにしなければならぬということもある。主権が一体どこにあるのか、日米行政協定の協定当事国たる日本国は、決して私はアメリカの奴隷になっておるとは思っていない。そこで私はこれはささいな問題と聞き流すわけに参りません。しかも労働三法は日本の約四千万になんなんとする多数の労働者を規律するものである、また保護するものである。その最高責任者である労働大臣のお話としては、いかにもふに落ちない、ここら辺で私は今言うように、成り行きにまかせてゆかざるを得ないものである、相手が悪いのだ、こういうあきらめによって、しかしそれだけでは申しわけが立たぬから、解決のために努力をする、あるいは善処すると言われておりますけれども、これが全く今まで努力された痕跡がみられない。ですから勢いこうして問題になってくるので、この事態はやむを得ないのだ、こういうふうに受け取ってよろしいでしょうか。
  112. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私が口下手でありますので、誤解を生じたようでまことにおそれ入りますが、私の趣旨はそういうことを申したのでありません。つまり相手が相手だと申しますことは、裁判管轄権の問題だということでありまして、これについてこういう議論の分れる判決を下されるようなことであるからして、私どもとしては裁判管轄権の問題、これは労働省のことではございませんから、もしその点についてのさらに御意見がございますならば、政府の他の局にお尋ねを願いたいということは、先ほど申した通りでありますが、こういう基本的な問題もございますし、従って相手が厄介な存在でどうにもならぬというのではなくして、これは行政協定及びそれに付随したる議定書の問題でありますからして、こういうことを明確にするように努力をしなければ解決をしないと、私どもはそういうふうに思っておる。従ってそういうことにさらに労働大臣としては努力をいたします。こういうことを言っておるのであります。  それからその次は、私が少い問題だといったのは、小さな問題だと申し上げたのではありませんで、一人の人権といえどもこれは大きな問題であります。いわんやこれを軽視するというのじゃありませんので、十五万人も働いておるたくさんの労務関係が、毎日割合に円満に運営されておる。その中では数は割合少い問題であります。こういうことを申したのであります。数少い問題であっても事柄が重大であることは、御指摘の通りであります。従ってこういう問題については、まずその裁判管轄権、行政協定の問題もございますが、私どもの立場としては、さらにたとえば直用の問題などについては、行政協定とか、裁判管轄権の問題はともかくとして、こちらから提唱いたしました直用労務者に対する紛争処理機関を置こうではないかということについて、先般申し上げましたように、先方も賛成をしまして、どういう形でどういうふうにやろうかというふうな具体的な話も出ておるわけでありますから、紛争処理については、われわれの立場としてはさらに全力をあげて努力をいたして、御期待に沿うようにいたしたい、こういうことを申し上げたわけであります。
  113. 山本經勝

    山本經勝君 そこで最後に一点だけお願いを申し上げますが、こういうことは大臣もうお考えにならぬでしょうか、裁判管轄権の問題についてとやかくいっても自分としては所管外である、だから法務省の問題だ、あるいは最高裁判所の問題だ、こういうことだろうと思う。そこでそうなりますと、管轄権の問題について私どもの立場からみたときには、先ほどから申し上げておりますように、日本労働組合法によって処理するのか、米軍の自分の方で作っておる保安上の問題として、つまり六十九号、協定にある保安条項の問題として米軍が見る見方の上に立つのか、この点についても私は重大な問題を含んでおる。そうなりますと、勢いこの事柄自体が労働大臣は最高責任者という立場から、自分の管轄下にこういう事態が発生しておるのだ、そこで法務大臣と話し合われて、考え方、取り扱い方等について閣内の意見を統一する、こういうことは当然私はなされるべき任務ではなかろうかと思うのです。また協定の条文にも関連を持って参りますから、勢い――欧米局長おいでになりますが、欧米局長、つまり外務省当局、それから調達庁はむろんのこと、これらの四者の中で話し合っていただいて、二の前も統一をするということでございましたが、その後あまり具体的になっておらぬように考える。そこで早急にこれら関係各省担当部局の皆さんと話し合っていただいて、少くともやはり責任は内閣にあると思う。そういう建前に立って善処をされる用意があるかどうか、このことを一つ明らかにしていただきたい。
  114. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それは御指摘を受けるまでもなく、私どもとしては実際にこの取り扱っておる業務上痛切に感ずることでございますから、今までもやっておりました。なかなか困難な問題にぶつかるのでありますが、なおその点について、ただいま御指摘のような点についてさらに一段の努力をいたして参りたいと思います。
  115. 山本經勝

    山本經勝君 約束願えますか。
  116. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今申し上げたことで御満足いきませんか、ここで一ぺん申し上げたことは速記録にも載っていることですから。
  117. 山本經勝

    山本經勝君 今の大臣の善処という言葉は責任を持ってやっていただくと、こう解してよろしゅうございますか。
  118. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) さようでございます。
  119. 山本經勝

    山本經勝君 それではよろしゅうございます。
  120. 亀田得治

    亀田得治君 その責任を持って一つ善処していただく際のこれは御参考までに聞いておいてもらいたいと思どのですが、盛んに青森の決定が言われるわけです。これは私も検討しているのですが、不当労働行為をやった米軍に対して処罰を求めたわけなんです。こっちの方は、ただ不当労働行為をやったことに対して身分の回復を求めている、福岡の裁判所の場合は。もちろんしかしその背景は同じじゃないかといえばそういう点が出てきますよ。しかしおのずからそこに問題が相当違ってくるということは常識的にお考えできるでしょう。どんな法律解釈でだって、民事関係の段階で処理する場合と、ちっとあいつはひど過ぎるから、これを処罰してくれという場合と、米軍の機関を処罰してくれというわけでしょう、それで処罰まではできない、この結論ですね。だからこれは一つ十分検討される場合にその点お考え願いたいと思います。  それから先ほど四月十日に次回の合同委員会が開かれるというようなお話でしたが、その際には本件はやはり議題になると思いますし……なるかどうかということが一つ。これはぜひ議題にしてもらいたい。  それからもう一つは、懸案事項というのはこういう労働関係のやつは何件くらい今かかっているか。この二つだけお答え願いたいと思います。
  121. 大野雄二郎

    説明員大野雄二郎君) 四月十日の労務小委員会におきましては、板付問題は今のところかける意思は持っておりません。これはその前に米軍と直接交渉によって解決した方が早いのではないかという判断に基いているのでございます。  現在労務小委員会にかかっております問題は三件でございます。
  122. 亀田得治

    亀田得治君 日米合同委員会――四月十日にかけないで、むしろその前に直接交渉で解決した方が早いのじゃないかと思うと、私はそういう意気込みでやってもらうなら大いに歓迎しますよ。ともかく解決すればいいんですからね。大いにそれは一つ期待しておりますからお願いしておきます。  それからもう一つ、これは労働大臣の、これも法務関係ということで逃げられるかもわかりませんが、見解を聞きたい、これは駐留軍労務者にとっては非常に重要な問題ですから。といいますのは、こういう問題で板付駐留軍労務者の諸君がいろいろ頭を悩ましておるときに、たまたま三月十四日に板付基地内で盗難事件が起ったわけです。で、その際に日本人の井上義一という人がその嫌疑を受けたわけですね。それであくる十五日の午前一時から午前六時――まあ真夜中ですが――午前六時まで強硬に取調べを受けた。こう拳銃を持った兵隊を横に置いてそうして取調べを受けたのですね。自白を強要されたわけです。しかし全然その身に覚えがないからこれは頑強に否認し続けたわけです。私はまありっぱだと思うのですが、ところがあくまでも否認するからということで、それじゃ基地外にあるお前の家を捜査させろと、こういう要求になってきたわけです。それで無理やりにその捜査をするということについての承諾にサインをさせられたのですね。そこでその米軍側の方が基地外に出てその家を捜査しようとして派出所の巡査に立ち会いを求めた。ところが正式の令状がないですし、それから日米間の協定によりましても、基地外における日本人の捜査はこれはもう日本の官憲がやることにこれははっきりしております。だからそういう立場でその派出所の巡査がそういう立ち会いは不法だからということれ拒絶したわけですね。従ってまあやむを得ず引き揚げたんだが、翌日また本人が自宅におるところに米軍がやってきて、そうして反対を押し切って土足のまま家に上って捜査をしていった。もちろん何もやっていないのですからそんな証拠物は出ません。しかも結果は、同月二十六日になって真犯人が基地内の米兵であったということで、出てきたわけなんです。これは、こんなことはもう裁判管轄権の問題じゃないので、これはもうはっきりしている関係です。で、こういうむちゃなことですね。これはどういうふうにお考えになりますか。私は板付の米軍のこういう関係をやっている人というのは、相当非常識なことをやる人じゃないかとこう思うのですがね。これは地元の新聞には堂々とたくさんこれは出ております。けさ着いた新聞ですがね。これは真犯人が米人だということが明らかになったものですから、やはりこういう問題は国際問題になりますから、新聞だってうっかり取り扱わないでしょう。真犯人が米人ということが明確になったのでこの記事を取り扱っておる。これが真犯人が出てこなかったら、いやそれはまあ捜査は不当だったかもしれぬけれども、あいつはちょっと怪しいんだからというようなことでだな。何だかまたわけのわからぬようなことをされるところだったかもしれません。これはもうはなはだ遺憾だと思うのですがね。こういう事件をお聞きになって、労働者の立場を守っていただかなきゃならぬ最高責任者倉石さんとしてはどういうようにお考えでしょうか。御感想を私聞いておきたい。(「重大な問題だ」と呼ぶ者あり)
  123. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そのことが事実であればまことに遺憾なことであると存じますが、(「遺憾じゃ済まない」と呼ぶ者あり)どうもここで私から、その事件について意見を徴されても、ちょっとお答えのしょうもないと思いますが……。
  124. 亀田得治

    亀田得治君 こういうことはそれはもう全く新聞だって慎重に扱いますし、私どもも発言をするに、ついては、関係者によく聞きましてこれは発言をしているわけなんです。私はあなたから、こまかい点は別として、それは実にいかぬ、自分の方としても大いに一つ取り上げて、合同委員会等に持ち出して追及したいという御返事はいただけるものだと思っていたのですが、事実だったらどういたしますか。
  125. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それは、私からお答えをすることは遠慮する方がいいんじゃないでしょうか。
  126. 亀田得治

    亀田得治君 どなたがお答えをすれば一番いいのですか。私はこのことがあったので、きょうは緊急質問を求めたのです。大事なことなんです、こういうことは。一歩こちら側が引き下ったら、どこまでも出てきますよ、前例前例ということになって。どういう方がお答えになるのが一番適当でしょうか。
  127. 丸山佶

    政府委員丸山佶君) 私が適当かどうかわかりませんけれども調達庁雇用主の立場にあります者としては、そういう事実に対しては、軍側に厳重な注意をさせなくちゃいかぬと思います。
  128. 山下義信

    理事山下義信君) よろしゅうございますか。
  129. 亀田得治

    亀田得治君 本日は、労働大臣も、相当決意をもっておやりになる、それから政府委員のお話ですと、四月十日の合同委員会等を待たないでむしろ積極的に折衝したいというふうな意思表示もありましたから、私ともお言葉通り一つそれを見守ることにしたいと思います。ただし、こういう新しい案件も出ておりまするし、私は板付の基地に関する問題は、日本の主権を守るという立場で非常に重大な問題だと思っておしますので、この委員会でさらにやるかどうかは別として、一応この程度で本日のところは中止しておく、そういうことで一応質問を終ります。   ―――――――――――――
  130. 山下義信

    理事山下義信君) 小松製作所工場の不当労働行為に関する件について御質疑ございますか。
  131. 亀田得治

    亀田得治君 はなはだ第一の議題に時間をとりまして、委員の方に大へん恐縮なんですが、簡単にお聞きいたします。  これは本省におかれましてもすでにお聞き及びの問題だと思いますが、そうしてまた地元の機関からも御連絡がすでにあった問題だと思いますが、小松製作所の大阪工場における不当労働行為ですね、労働組合法違反、あるいは労働基準法違反、いろいろな問題がたくさんありますが、これらをどういうふうにごらんになっておられるか、まず概括的にお話を承わります。
  132. 中西實

    政府委員(中西實君) 小松製作所の臨時工に関する問題、これは昨年の十一月に大阪枚方の小松製作所工場で臨時工約百四十名が解雇されたのであります。この解雇された者が昨年の十二月十二日、小松製作所首切り反対同盟を結成して、そうして解雇予告手当、年末賞与の増額要求を会社側に申し入れたのであります。さらに首切り反対同盟を小松製作所大阪工場労働者というふうに改称いたしまして、要求を全員復職運動に切りかえて、ことしの一月九日組合事務所を建設した。翌日大会を開きまして、総評全国金属に加盟を決定するとともに、全員解雇即時取り消し、未払い賃金の支払い、労災補償の完全実施、不当労働行為の停止及び今後の保障を決定いたしました。で、二月二日会社側に団体交渉を申し入れたが、会社側としましては、すでに解雇して済んだ問題だということで、拒否をいたしました。二月の六日不当労働行為の申し立てを大阪地労委にいたし、さらに七日には不当解雇取り消しのあっせんを大阪地労委に申請いたしました。以来大阪地労委では労使を呼んで事情を聴取したのでありますが、会社側は正当な解雇をしたもので、もう従業員でないんだということで、交渉に応じないというような態度をとっており、その後進展なく、今日に至っております。なお、組合員は、当初百名余りでありましたのが、現在は五、六十名余りというふうに聞いております。
  133. 亀田得治

    亀田得治君 そのストライキの問題が私としては重点ではないのであって、枚方工場内における労働基準法違反とか、そういう問題が重点なんです。このことは地元の基準局に関係者から調査を依頼しているのです。その点の報告、結果等、どうなっているでしょうか。
  134. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) 小松製作所の件につきましては、本年の初めに労働者から基準法違反がある旨の申告がございましたので、直ちに現地の監督署から調査に参ったわけでございます。その結果としましてこちらに報告を受けております点は、監督をいたしましたその自体におきましては、時間外労働の場合における休憩時間の与え方が非常にあいまいになっておった、従いまして、法規定通り正確に与えるように厳重に指示をいたしたというような報告を受けております。さらにその後におきまして若干の日時を経まして、一月の下旬でございますが、総評の全国金属労働組合大阪地方本部から、過去における基準法違反に関する多数の項目につきまして基準法違反がある旨の申告がございましたので、監督署だけでは人員が不足でもありますので、私どもからも特に応援も出しましてその後調査を継続いたしております。何分にも主として具体的な事実のあげられております関係労働者が、解雇をされまして、関西の各地に分散をされております関係等もございまして、現在までに四十数名につきまして、比較的最近現在の報告でございますと、四十三名の労働者について事情を聴取したというふうに報告を受けておりますが、その内容につきましては、さらに調査の終ったところで総括的に報告をするからというように聞いております。
  135. 亀田得治

    亀田得治君 あまり具体的なこまかい内容に入ることを時間の都合で遠慮いたしますが、私も大阪に帰りましたときに、地元の監督局の関係者に、至急調査を進めてもらいたいと、これは電話等でも連絡いたしておるのです。ところが、実際組合の諸君に聞きますると、なかなかそれが至急ではないのですね。私はそこが一番遺憾だと思っているのです。いろいろ聞いてみますると、なかなか公社の方が策動するといったようなことで進まないのですよ。だから、その点はですね。もう少しそういう具体的な紛争とこれは関連して起きてきておる問題ですから、延ばされるということは、結局これは労働省の方が何となしに労働組合の方に悪い態度をとっているという印象しかこれは与えませんから、十分この点一つ鞭撻をしてやってもらいたいと思うんです。その点どうでしょうか。ちょっとおそいように思うのですがね。
  136. 辻英雄

    説明員(辻英雄君) この件がありましてから直ちに私どもの方にもそういうことが、申告があった旨の報告を受けまして、私どもの方も、ただいま亀田先生からお話がありましたように、早急に調査をするようにということは申しておるわけでございます。おくれております事情につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、項目が非常に多数でございますし、関係労働者が多数でございますし、先ほども申し上げましたようにすでに四十三名の調査を終ったわけでありますが、何分にも主として解雇をされた労働者にかかわる問題でありまするために、各地に散在をしておられまして、若干時間がかかっております点はまことに遺憾に存じます。先生の御指摘のように、さらに早急に調査を終りますように督促、厳重に現地の方に対しても指示いたしたいと考えております。
  137. 亀田得治

    亀田得治君 それじゃ、その点一つ督促されて、結果が相当明確になってからもう一度、もし委員会の御都合等許されれば御質問さしてもらいたいと思うんですが、ともかく、たとえばいろんな工場の安全設備にしましても非常に不完全なんですね。油のつぼがある。これがちょうど野つぼのようにちゃんと柵がしてなくて、そこへはまって死んだ人がおるんですね。そうすると、こういう事件も問題になっておる。ところがそういう事件が、監督局から調査に来るというと至急に柵を作ったりして、そして何だかうやむやになる。そういうことがいろいろあるんでしてね。私はその報告というものがどういうものが出てくるかそれを大いに実は期待しておるし、きょうくらいもうきておるものだと思って来たんですが、まだそういう状態でしたら一つ報告等を見て、私どもは現実にここにもらっておる材料と非常に違うようでしたら、そういうことはもうはなはだこれはおもしろくないことですから、追及したいと思っておりますが、まあきょうは大へん時間をとりまして恐縮でしたので、この程度で終ります。
  138. 山下義信

    理事山下義信君) 本問題に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 山下義信

    理事山下義信君) 御異議ないと認めます。  速記をとめて。   〔速記中止
  140. 山下義信

    理事山下義信君) 速記を起して。  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案議題といたします。前回に引き続き御質疑を願います。
  141. 永岡光治

    永岡光治君 私はこの際一つ労働大臣に御質問申し上げますが、基本的な問題としてお尋ねいたします。政府もしばしば国民に言っていることは、日本が今日完全に独立をした、こういうことを言っておりますし、講和条約もできたことは、これは事実であります。従いまして、言うならば今日の公共企業体等労働関係法というものは占領下における、いうところの落し子として生まれた法律であることは、これは労働大臣みずから十分御承知のことと思うのであります。従って私はこの際、三公社、五現業という一つのグループとしてこの公共企業体等労働関係法が適用されているわけですが、つまり国家事業である五現業を特に三公社並みに取り扱ったという基本的精神について、その当時の立法の事情労働大臣はどう考え、また今日どう解釈しているか。三公社を五現業と同じグループとして取り扱ったというのはいかなるところにその本質があるのか、その精神があるのか、この点を承わりたいと思います。
  142. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように、いわゆる五現業の方々は、当初この法律ができましたときには適用外でありまして、当時だんだんいわゆる五現業の方々の御希望もありましたし、第一、一般公務員として非現業の方々と非常に違うような作業をしておられる。たとえば林野のきこりと申しますか、ああいうような方々に対してやはりこれは団体交渉権を持った公共企業体の法律を適用するのがいいんではないだろうかということで、当時法を制定いたしますときに、私ども衆議院労働委員会の一人として、これは現業の方々ともお話しをいたしましたときにことごとく御賛成でありました。労働省からもそういう趣旨で、この五現業については本法を適用するというふうに提案されましたので、私ども賛成をいたした。従ってそのときの精神が今日もなお私どもに貫かれた精神であると、こういうふうに御了解願ってけっこうだと思います。
  143. 永岡光治

    永岡光治君 それでは今の御答弁から引き出される結論ということは、大体現業である同種事業を行なっている、こういうところから一団のグループとして同じ法律を適用するというようにお考えになっている、こう解釈されるんですね。そこでそういうことが前提となるならば、私はさらに質問を続けなければならぬと思うのでありますが、そういう観念であるならば、今日公共企業体等労働関係法を適用されている職員の携わっている事業というものは、民間における、たとえば私鉄の事業、あるいはまた国際電信電話事業、あるいはまた保険事業、あるいはまた金融事業、これは郵政省が取り扱っているのでありますが、さらにまた同じ郵便事業でも、御承知の通り一番大事な東京都内、大都市ですね。大都市の通信の逓送、集配というものが御承知のように民営であります、今日は。そういう事業に対してはこれは罷業権が許されておりますが、なぜ三公社、五現業に罷業権をそういう建前で許されないのか、その許さない理由とするところを私は承わりたいと思います。
  144. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 永岡さんも御存じのように、この法律を作りましたときには例の占領中でありまして、いわゆる二・一ゼネストの問題がありました当時にマッカーサー書簡が出まして、そこで公けに奉公するこの現業の人々、こういう方々公共企業体等労働関係法というような法律で一定の保護を与えてそうしてしかしストライキはやめようではないか、こういうことでこの法律ができましたことは御存じの通りであります。そこでこの今のお話のように、公共的性格を帯びた仕事は民間にもあるということでありますが、三公社、五現業の職員について、その当時は三公社だけでありましたが、これらの職員について争議行為を禁止いたしておるのは、三公社はその企業の性格が他の民間諸企業と比べまして国家経済及び国民生活に対する利害関係においては特に非常な緊密な関係を持っておる、しかも日本国有鉄道公社、たとえばそういう名前でございますけれども、その基金は全部これは国のものである、こういったことからこれは特殊な取扱いをすべきではないか、こういうことでこのいわゆる公労法が制定され、この企業体に属する職員はこの法律によって労使関係を律していく方がよいと、こういう考えで立法されたものであります。
  145. 永岡光治

    永岡光治君 この法律ができた理由は、マッカーサー書簡によるものであるということは大臣みずから今答弁されておりますように、まさにそういう経緯をたどってこれはできた法律でありますが、そのマッカーサー書簡が今日完全にこれはもうネグレクトしてもよろしい、講和条約ができておる今日でありますから。私はだからこれを本質的に考え直すべき時期ではないかということを大臣にお尋ねしているわけです。抽象的に公共的とか、あるいはまた国民の利益に非常に影響を及ぼすということを言われますが、現実に私は考えてみたいと思うのです。それじゃ東京において国鉄と私鉄はどう違うかということであります。具体的に大臣、どこが私鉄の場合はそれじゃストライキやっても、国鉄と違ってそれはよろしいという理由になるのですか。あるいはまたこの私は一番いい例は保険会社ですね。これは御承知の通り政府の行なっている保険事業よりは民間の行なっている保険会社の契約高というのは莫大に大きいのです。その民間には罷業権を許しておるわけです。しかしたまたまそれが郵政省で行なっているという理由のもとにこれが行われておりません。ところが新聞事業にいたしましても、放送事業にいたしましてもこれは罷業権があります。ところがその新聞事業、放送事業の料金の徴収を行なっておる人々もこれはNHKの職員であり、あるいはまた民間の新聞社の職員であれば罷業ができるわけであります。たまたま郵便局は今委託されて新聞も配達しておりますし、一部はまた放送の料金をとる役目をしております。しかしてこれは郵便局員であるという理由のもとにこれは罷業権が許されておりません。またそれよりも私はもっと大切な問題は、先ほど申し上げましたが、全国十大都市における、主要な都市における通信事業はこれは民営でございます。委託されておりますことは御承知の通りです。委託なんですから、政府が委託しているわけですから、その委託されている逓送会社には罷業権があるのです。これは地方のいなかの郵便局が一日休むよりも、東京にある逓送会社がストライキをやったらこれは東京都民は大混乱をする。そういうものには罷業権を許しておって、たまたま郵便局員であるという名のもとに罷業権を与えられていない、この矛盾をどう考えるかということを私は聞いているのです。これは基本的人権を認めるからこそ、私は民間のそれぞれの会社には罷業権が与えられておる。だとするならば、マッカーサー書簡がネグレクトされておる今日でありますから、同種産業のものであるから、同じような法律を適用するのだと言われます大臣建前でありますから、これは当然民間と同じように罷業権を与えていいのではないか、こういうような考え方に立っておるわけであります。これに対して大臣はどう弁解されるのですか。私はいかに弁解されても、どこが違うのですかということを私は質問をするのですけれども、違うところは大臣ちっとも触れていないのです。日本郵便逓送会社に罷業権を与えてよろしい、しかし郵便局には与えてはいけない。どこが違うからこれは与えて、こっちは与えていけないという違いがあるのかということを、私は具体的に国民が納得するように説明をお願いいたしたい。
  146. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように、さっきちょっと申しました日本国有鉄道株式会社という株式会社の名前でありましても、その日本国有鉄道公社、これは全資金というものは御承知のようにこれは国家の資金であります。従ってこの三公社は同じ法人格でありますけれども、御承知のように公法人であります。公けに奉公する者が公けにストをするというようなことは考えるべきではないのではないかと、こういう考え方を私どもは持ったのであります。五現業は御承知のように、これは公務員でありますから、そこでこの五現業の公務員はこれはもちろんストはできませんが、しかしながら一般公務員と違ったところは、公労法による保護のもとに団体交渉権を持っておると、こういうふうに区分けをしてわれわれは考えておるのでありまして、私設鉄道などがなるほど同じような公益的事業をやっておりますけれども、やはりこれは私法人であります。そういう意味で私は公法人である三公社の職員がストライキをやらない、こういうことはきわめて妥当なことではないかと、こういうふうに解釈をいたしておるわけであります。
  147. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると大臣の今の御答弁によりますと、公法人であるものはこれは許してはいけない、しかし私企業に許してよい、それは理由はどこにあるのですか、区別は。その区別をしていいという理由はどこからそういう結論が生まれるのですか。
  148. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 国鉄が鉄道省の現業部であったときには、御承知のようにこれは国家公務員であります。従ってこれをもし国鉄公社というものでなくて、運輸省の現業部であるということになれば、公務員でありますから、当然公務員法によって団体交渉権もないということになるのでありまして、そこで先ほど申し上げましたように、こういう現業のものは公法人として別な取扱いをして、その職員については団体交渉権は認める方がいいではないかと、こういう建前で私は公労法を適用することがきわめて妥当であると、かように考えておるのでありまして、公けの国家に奉公する者が国家に向って罷業をするというようなことは考えない方がいいではないかと、こういう精神であります。
  149. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると、これは国民に迷惑を及ぼすとか、そういうことで罷業権を与えるとか与えないという認定を下しているのではないのだ、たまたまその職員が政府職員であるかどうかということによってのみこの点は考えておるのだと、こういう解釈ですね。そういう解釈ですか、そういうふうに労働法というものは今日進められておる、こう解釈してよろしゅうございますか。
  150. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 国家公務員が御承知のように、これは団体交渉権も争議権も持っておりません。それで五現業はもちろん公務員でありますから今申し上げた通りでありますが、三公社の性格から、私どもはこの三公社の職員は罷業権を持たない方がいいと、こういう解釈であります。
  151. 永岡光治

    永岡光治君 どうも私は労働大臣のその理論がやはり矛盾しておると思うのですね。国家公務員であるならば、これはもう争議権を与えてはいけない、こういうことのようです。しかし同じ国家公務員の方でまた区別をしているんですね。だから私は区別をしているということは、国家公務員という看板ではない、たとえば一般公務員については団体交渉権を与えていないけれども、三公社には与えている。こういう現実の法体系ですから、これは単なる国家公務員だからというだけでは区別できないという一つの何かの基本方針があるはずだと私は思うのです。おそらく現業だということで、先ほど大臣の説明の中にも触れておりましたが、現業だということでこういう一つ法律を適用されたという考えが述べられた、その現業ということになりますれば、これは三公社と同じ仕事をやっておるから、しかも三公社は政府資金でこれをまかなわれておるからという、こういう理由で、これは同じような共通した事業だから大体これは許す、こういうお話です。今度そうすると同じような事業ならば同じような取扱いをするのかと思うと、いやそれは違うのだと、同じ郵便事業でも、これは委託をされておる会社が行なっておる郵便事業と郵便局の行なっておる郵便事業とはやはり区別するのだと、こういうことになると、私はどうもその辺のところが明確でないのです。そういう私は労働法というものについての法体形というものについて、私はこの際再検討すべき段階にきておるのではないかと、私はこう解釈をしておるのですが、どうもその公務員法があるから云々という、――公務員法を直せばいいのです。現在ある公務員法を動かすことができないという建前に立つから、国家公務員法があるからしてこれは争議権が禁止されておるからというのでありまして、同じ事業のものであるならば、同じ事業であるということで、しかし一つ労働法を適用しようということであるならば、これは公務員法を改正いたしまして、罷業権を与えるのもけっこう、あるいはまたその政治活動の制限を撤廃するのもけっこう、こういうことになるわけです。明らかにこの公共企業体等労働法の改正の際にも、同じ五現業の職員には国家公務員であるが、一般の公務員法を適用されておる、一般の公務員法を適用されている幾つかの国家公務員から当然これは除外されていいわけです。法を改正することは自由なんです。国民の世論に従ってこれはやるべきなんです。だから私は、これは当然公務員法でもし除外しなければ、その公務員法を改正しても、労働法という一つのすっきりした法律を作るべきではないかということを私は大臣質問しているのですが、どうも私の質問に対しては、信念のある、私はどうも合理的な納得するような論拠がないと思うのです。一方に私鉄事業には罷業権を認める、国鉄事業には罷業権を認めぬ。郵便局の職員には罷業権は認めないけれども、しかも郵便局と同じような大切な事業を扱っておる逓送会社には罷業権がある、同じ郵便局では保険を募集しているけれども、これは郵便局なるがゆえに罷業権を与えない、しかも民間の保険会社にはどんどん罷業権を与える、しかもそれは郵便局に与えているよりももっと国家社会に大きな影響を及ぼし、莫大な保険契約額を持っておる、そういうものに許すということは、私はもうめちゃくちゃだと思う、どういうところにねらいがあるのかということはちっともわからない。だから私が納得するように、こういうわけだからこういうふうに区別をしているのだということを明確に私は御答弁願いたい。
  152. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今、国家公務員に罷業権を与えてしまえば全部一緒になるのではないかというお話でありますが、私どもは国家公務員というものの性格上、これは罷業権をお持ちになるべきではない、こういうふうに考えておりますが、三公社につきましては、今申し上げましたように、この政府機関であり、公務員と同じような性格の、もとはこれは申すまでもなく公務員でありまして、それを今度は企業体に直したわけでありますが、その事業の公共性とそれから政府機関の職員であるという建前から、これは罷業すべきではない、こういうことであります。
  153. 山下義信

    理事山下義信君) ちょっと私も関連して伺いますが、企業の公共性というだけでは割り切れぬではないかという、永岡委員質問です。労使関係ということが一つはあるんじゃないかという気がしまするがどうですか。公共企業体というものと私企業、そういう点ではないかと思いますが、どうですか。
  154. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 委員長から御注意がございました。その通りでありまして、使用者が政府機関でありますから、従って私どもは公務員と同じようにこれは罷業権を持つべきではない、こういうことであります。
  155. 永岡光治

    永岡光治君 それでは私は非常にいい例で申し上げますが、電電公社が今度企業体になりました。これに罷業権を与えておりません。これは国家公務員であった場合と国民にどういう違いがあるんでしょう。国民にどういう事業的に経済的にどういう被害があるんでしょうか。その点はっきり区別して答弁していただきたい。従来の特別会計、国税ではまかないません。全部これは電話料金でまかなっております。しかもサービス事業として、サービスについても国家事業であろうと公共企業体事業であろうと、ちっとも変りありません。公共企業体になったから国民にどういう迷惑、国営の場合と公共企業体の毛色が、電話事業が国民にどのような迷惑を及ぼすんでしょう、区別を。
  156. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これは私よりもあなたの方がよく御存じの通りでありまして、これは電信電話は郵政にあった。これをやはり公共企業体にいたしました。で今申しましたような企業体ではあるが、やはり国鉄、専売と同一の性格のものであることは御存じの通りであります。従って私どもとしては、この従業員、いわゆる三公社の一つでありますこれも、罷業権はない方がいいと、同じような考えでおります。
  157. 永岡光治

    永岡光治君 その罷業権がない方がいいというのはあなたの希望でありまして、根拠を私は言って下さいと言っているんです。けれどもそれがわからないのです、私には。たとえば今言いましたように労使関係が違う。国家に雇われている人とそうでない人と違うからとあなたは言っておる。しかしこれは国営事業であっても、これは国家に雇われているだけであって、国には何も迷惑を及ぼしておりません。企業体と区別しておるでしょう。国家事業であってもこれは完全に独立事業です。特別会計、国民の税金によってまかなっておるから、ストライキをしては国民に迷惑をかける。給料が上ると電話料金を上げなければならないから迷惑をかける。こういうことであると、税金でまかなっておるとあるいは国民に迷惑をかけるかもしれない、当時は。しかしこれはやはり電話料金でまかなっておる。公共企業体になっても同じであります。だとすると、労使の関係でどういう違いがあるかということを私はお尋ねしておる。国民の立場に立って、ちっとも違いはないじゃないですか。それにもかかわらず、あなたはこれを区別しようということは、私にはどうもわからない。
  158. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) どうもよくわかりませんが、今申し上げました三公社の性格というものは同じだと私どもは思います。従って他の二公社と同じ取扱いをしておる、ちっとも違っておりません。
  159. 永岡光治

    永岡光治君 私は他の二公社と比較しておるわけではないのです。罷業権を与えるか与えないかという問題は、これは労使関係だからと、労使関係によって違うと、こういうことをあなたは今御答弁になったと思う。そうでしょう。そうでないでしょうか。そうでないとすれば、私はまた別の論点で御質問をしなければならない、労使関係が違うから。これは罷業権を与えるか与えないかということをきめる。たとえばですよ、いいですか労働大臣、民間の保険会社に罷業権を与えて、郵便局に、同じ保険を扱っている人に与えないのはどういう理由かということ、この一つです。どういうわけでこっちに罷業権を与えて、こっちに罷業権を与えないという理由になるんですか。保険会社には保険会社の職員に罷業権を与え、同じ保険募集をしているところの、保険に従事しているところの郵便局員には罷業権を与えないという理由はどこが違うから与えないということになるのか。抽象的でなく、具体的に国民にこういう影響を及ぼす、ああいう影響を及ぼすということを明確にしてもらいたい。あなたは公共的だとか、社会的だとかというほとを言うけれども、もし公共的、社会的というならば、よほど私は民間の会社の方が影響を及ぼすと思います。
  160. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) その点は先ほど申しましたように、公共性はなるほど同じでありましょう。しかし公共性と同時に、国が持っておる完全なる国有法人でありますから、そこで全体の奉仕者である従業員は争議権を持たない方がいい、こういう考えであります。
  161. 永岡光治

    永岡光治君 国、国とおっしゃいますけれども、その国は何を指すのでしょうか。迷惑を及ぼしているのは一体どなたに迷惑を及ぼすのか、罷業権を与えて。
  162. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) それは経営の主体が国家でありますのは御承知の通りであります。そういう意味であります。
  163. 永岡光治

    永岡光治君 そういう意味から国家にどういう影響を及ぼしますか。その罷業をしてどういう影響を及ぼしますか。
  164. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 国家の経営いたしておる企業体、いわゆる政府機関であります。こういうものは私どもとしては、公けの奉仕者である者が公けに向って罷業をするということはよくない、こういう考え方であります。
  165. 永岡光治

    永岡光治君 保険会社の契約は公けじゃないのですか、私はやっぱり公けだと思います。公けに奉仕している保険会社には、もし保険会社が適当でないとすれば、電灯会社を例にとりましょう。これは公けに奉仕しているのです、明らかに。なぜそれに罷業権を与えるのですか。
  166. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように、三公社は完全なる国有法人でありますから、従って公共性はあるいは私鉄なぞでも非常に公共性があると言えましょう。しかしながら、その完全なる国有法人にある従業員はその背後にある国全体に対する奉仕者である、こういう意味であるからして、私はそういうものが罷業権を持たない方がいい、こういう考え方であります。
  167. 永岡光治

    永岡光治君 その背後にある公けというのは何ですか、国民全体ですか。
  168. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 国家です。
  169. 永岡光治

    永岡光治君 その国民にどういう影響を与えるのですか。たとえば税金をたくさんかけなければならないとか、何かそういう特別に、具体的にどういう影響を与えるかということを私は聞いているのです。公け、公けと言うけれども、その国民に具体的にどういう影響を及ぼすものかということを御説明いただきたい。
  170. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 国民がつまり主権者であって、国民が経営をしておるということでありますから、国民の企業、従って私は国家が経営しておる企業体の従業員が、その背後におる国民全体に対して圧力を加える罷業行為はよろしくない、こういう考え方であります。
  171. 永岡光治

    永岡光治君 どういう圧力を加えるかということを具体的に聞いているわけです。罷業をしたら公けにどういう圧力を加えるかということを聞いている。
  172. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 罷業というのは御承知のように、民間産業においてもこれは組合法などで正当なる労働運動というものは保護をされております。これはしかしながら非常なる普通で言えば、相手方に対して圧力をかける。その圧力をかけるということによって争議行為の目的を達成される。それが正当なる労働運動である限りは保護されるのでありますが、公けに奉仕しておる者が公けに伺って圧力を加え、そうして罷業をするというようなことはあり得べからざることではないでしょうか。私はそういうふうに思うのです。
  173. 永岡光治

    永岡光治君 それは抽象的ですよ。圧力をかけて公けは困るというのは、民間の私鉄がやっても公けは困るのです。どこが違うのですかというのです、その圧力というのは……。
  174. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 圧力を加えるという、罷業行為をすることによって因るということにおいてはあなたのおっしゃる通りであります。あなたのお話によると、それならばそれは民間産業体といえども公共性を持っているものは罷業権を取ってしまう方がいいという御見解かもしれませんけれども、そういうことではないのでありまして、そういう便宜上の問題ではありませんので、国家すなわち国家の背後にある国民全体に対して圧力を加えるというようなことは、その国家の経営しておる企業体に勤めておる職員としてはすべきではない、こういう考えであります。
  175. 永岡光治

    永岡光治君 私は話がまずいものだからよく私の言っていることがおわかりにならぬと思うのですが、圧力をかけて国民を困らせるという、圧力をかけるというのはどういう圧力をもって現われるかということを私は質問している。だから圧力をかけて迷惑をこうむるというのは、ストライキをやって交通機関がとまらされる、それで国民が迷惑するからという迷惑も、圧力のかけ方としてあるのでしょう。しかしそういう圧力というものは国鉄といえども、私鉄といえども同じではないか。あるいはまた保険の募集について、これはストップすることによって国民に大へん迷惑をかけるというそういう圧力のかけ方があります。民間保険会社といえども、郵便局の保険募集も同じではないかということを言っているわけです。そういう国民にサービスの上で迷惑をかけるのじゃない、ただストライキすることによって圧力をかけてベースが上り、そのために国民からたとえば料金をたくさん取らなければならぬことになるかもわからぬ。そういうことになっては圧力をかけるからそれでは困る、こういう圧力をかけるという一つの見方もあると思うのです。しかしその圧力は三公社、五現業全部国民の税金でまかなっていないのです。私鉄と同じように、民間の保険会社と同じように、全部国民の個々の利用者からその利用の報酬としてもらっている料金によってまかなっているのは民間とちっとも変らない。民間の保険会社がペースを上げることによって保険料が上るというのは、やはり郵便局員が罷業権で圧力をかけて保険料が上るのと同じようなケースになるではないか。そうすると国営の事業と民営事業とで、国の仕事だから圧力をかけては困ると言うけれども、どういう困り方があるのか、違いがあるのか。民間の事業の圧力の場合と、国家事業の圧力の場合にどういう区別があるかということを、具体的に納得できるように説明していただきたいと言うのだけれども、私にはその答弁があなたからいただけない。区別がないじゃありませんか。どこに区別があるのか。抽象的に、観念的に国民々々と言っても、それはそういう抽象的なことでは納得しない。具体的にどういう弊害があり、どういう圧力かかかるということをあなたから答弁していただかなければ……、民間と比べてこういう圧力の違いがある、国民はこういう迷惑をこうむるという具体的な例がなければ、これは区別をつける理由がないじゃないかということを私は言っているのです。
  176. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) これはあなたのお考えというのは非常に私どもと違うところがあるのでございます。つまり、なるほど民間企業の保険会社、これは民間のものであります。しかし公共性を持っているからそういうものが罷業することによって国民に迷惑をかけるから、そういうものはストライキを禁止してしまえという御議論であるならば、それは、ここまではそういうことをせぬ方がいいので、そういうことはなるべく小範囲の方がいいでしょう。  そこで、完全なる国有法人でありますから、国有法人というのは経営者が国民なのですから、ただ国民によって選ばれたる政府というものがお預かりをして経営をしている。それに対して、全体の奉仕者である従業員がその国民に対して圧力を加えるということは、それはなるほど同じ私鉄と国鉄では結局範囲が違うだけであって、経営者に向って圧力を加えるという被害についてはあるいは同じ形態が現われるでありましょう。しかし一方においてはその経営者が国全体なのですから、従って公けに奉仕する義務を持っておる公共企業体の従業員が、その公けの奉仕者たる立場を離れて争議をすることはよくないのだ、こういう考え方であります。
  177. 永岡光治

    永岡光治君 これはもう何回も言ってくどくなりますが、どうもぴんとこない答弁だと思うのですがね、私は民間に罷業権があるのは当りまえだ、憲法に保障されているのだ、あなた方は三公社、五現業については制約しているのだから、制約している以上は、それ相応の理由があるだろうということで、いろいろ追及しておるのだけれども、民間と区別すべき何らかの理由のあることを今までのあなたの答弁で受け取れないのです。国全体に迷惑をかける、これはいなかのAという郵便局一つだけストライキしたら国全体にどういう迷惑をかけるでしょうか。それよりもむしろこの例をとって言えば、あるいはその水道事業、ガス事業において、とめられてごらんなさい、その方がよほど大きい迷惑です、国民は。これはしかし私の言うのは、そういうものでもなおかつこれは憲法の建前によって、その労働者の人権を守るという立場から、これは罷業権を与えておるのであるからして、そういう立場から言うならば、三公社、五現業といえども罷業権を与えてしかるべき段階にきた、従ってこの公企労法を撤廃をいたしまして、私の希望はですよ、撤廃をいたしまして、新しい労働三法を適用する段階ではないか、こういう結論に結びたかったのでありますけれども、依然としてどうも大臣のような答弁ではなかなかうまい結論が出ません。しかし、これはもう考えがとにかく国家事業ならばという名前だけで言っているのだから、具体的にどういう弊害があり、民間と比べてどういう弊害があり、特にこれだから影響があるということについては一言も触れられておりませんから、多分私は私の質問に対して反論し得る根拠がないものと、こういうふうに私見ざるを得ませんので、これはしかし平行線でございましょう、従って私はこの点について次回にまた残された問題について質問をいたしますが、そこで今度は同様のことが言えるのです。この三公社、五現業の今度は、一つ公企労法を適用している職員だけについて次に質問を行いたいと思うのですが、三公社についてはこれは職員の政治活動の制限が撤廃されております。ところが、五現業の職員については政治活動の制限が撤廃されていないのです。この理由とするところはいかなる点にあるのか、なぜ区別をしたか、なぜ区別をしなければならぬ根拠があるのかということ。
  178. 中西實

    政府委員(中西實君) この問題は例のこの案を作りまするに当りまして、臨時に設置いたしました審議会でも問題になりましたが、このときの議論といたしまして、今回は公労法の労使関係の問題だ、政治活動の問題は労使関係とは別個の問題でもあるし、なお国家公務員全体について公務員制度調査会の答申等によって再検討されておるときでもありまするので、その機会にさらに全体を引っくるめて検討すべきじゃなかろうか、現在の建前はとにかく五現業は公務員になっておりますので、公務員という資格におきましてその関係は現行通り一応触れないでおこう、こういうことでございます。
  179. 永岡光治

    永岡光治君 今その別に公務員制度調査会、これは廃止されて何か別の機関ができるようですが、そこで検討されているからこの際は触れたくないということは、これは触れてもいいという逆の論法も成り立つわけです。従って触れてもいいということになる。現にこれは公労法第四十条の中に、これこれ国家公務員法の中の何条、何条、何条は、これは適用を除外するということを明らかに言っているのですから、これは当然その公務員法との関連でこれは考えなければならぬし、私の質問するところは、全く民間に一歩を譲って三公社並みというところになるとするならば、五現業もなぜ三公社並みにしないのかという、こういう私は質問をしているわけです。公務員であるからという理由はどうしていけないのですか、これは労政局長に特にあれするわけですが、観念的に公務員だからというのじゃなくて、たとえば五現業の公務員はどういう公務員で、政治活動の自由を許したらこういう他の三公社に比べてこれこれこういうような特質があるから、これは困るのだということがなければ、私はなるほどということにはならぬと思う、ただ公務員だからというだけでは。同じ公務員でも特別職があります。あれは政治活動を許しております。あれには許すだけの何か理由があると私は思う。大臣にいたしましても、政務次官にしましても、秘書官にしましても、政治活動の自由は許されておる。それは理由があるだろう、同じ公務員でも。だから単なる公務員というだけではそこは切り抜けられませんよと言う。なぜこれには三公社並みに政治活動の自由を与えなかったかと言う。その三公社との間の差異を明確に私は承わりたいと思う。
  180. 中西實

    政府委員(中西實君) 今の現業の職員を公務員の身分にしておくかどうか、この根本問題であると存じます。しかし現行はとにかく公務員となっております。そこで公務員である限りは、やはりいろいろと身分保障もございましょうし、従って公務員の身分を持つ限りは政治的に中立でなければならないというようなことも考えられるわけで、この法案を作りますときには、とにかく政治活動の問題は、労使関係とは一応別の問題だから、立法技術上確かに公労法の四十条に規定はございますけれども、それは立法技術上のためでありまして、問題としまして、これは全般的な公務員の再検討の際に譲りたい、こういうことでございます。なお同じ仕事、たとえば病院にいたしましても、国立の病院と、それから私立の病院、私立の病院の医者も国立の病院の医者もやることは同じでございますけれども、しかし国立の病院の医者ということの公務員たる身分におきまして、やはりすべて政治活動その他の取扱いも違ってくる。これは身分がそうであればやはりいろいろと保障もあり、取扱いも違うというところからその差異が出てくることはやむを得ないんじゃないかというふうに考えます。
  181. 永岡光治

    永岡光治君 国家公務員であれば保障等の問題があるから、やっぱり当然そういう区別があってもいいと思うが、三公社と五現業で身分保障はどれくらい違いがありますか。
  182. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 三公社につきましての身分保障規定は、国鉄について申し上げますれば、解雇される場合について、これこれ以外は解雇されないんだという規定が二十九条にございます。それからあと休職、懲戒、この三つがあるだけでございます。国家公務員の場合におきましては、国家公務員法で非常に詳細な規定があり、かっこの身分につきましては、公労法適用下におきましてもなお人事院へのアピールを許しておる。その点は非常に大きな違いがあると存じます。
  183. 永岡光治

    永岡光治君 それではそういう人事院に対するアピールの方法をとめておけば、政治活動の自由は許されますか。
  184. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 身分保障があることは公務員の本質からくるものであり、政治活動の制限もまた公務員の本質からくるものでございまして、両両はずしてしまって何もなくなってしまうというのは、これは公務員としては考えられないことではなかろうかと思います。
  185. 永岡光治

    永岡光治君 それではこれはもう一回質問しますが、三公社並みの五現業が身分保障でよろしいということになれば、三公社並みの政治活動の自由は与えられてよろしい、こういう論議は成り立つと、そうあってよろしいんだ、こういうことになると思うのですが、その点はどうでしょうか。
  186. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) その点につきましては、これは私ども労働関係をやっておるので、労働省ではその点についてはお答えいたしかねる点じゃないかと存じます。
  187. 永岡光治

    永岡光治君 それはしかし労働省と言うけれども、結局これと関連して出る問題ですから、やはり私は労働省としての見解があってしかるべきだと思う。倉石労働大臣はやっぱり閣僚の一員ですからね、これについてあなたが見解を述べられぬということはちょっとおかしいと思う。重ねてお尋ねいたしますが、身分保障を三公社並みでよろしいと、そういう条件であるならば、三公社並みに他の政治活動の制限等も、当然その程度のものは許されてしかるべきだ、つまり同様にしてしかるべきだ、こういうことは言えるか言えないか、そういうことであるべきだと私は思う。
  188. 中西實

    政府委員(中西實賢君) 便宜お答えしますが、そういうものをはずしたものが、いわゆる公務員ということで残るかどうかという問題でございまして、公務員ということなればそういうものをはずして、さらに公務員であるかどうかという問題になりますので、従って公務員というものをどの範囲にするかといえば、公務員なるがゆえにどういうふうにいろいろの規定をするか、これはやはり全体の振り合いで考えなければいけないのではなかろうか。従ってそこだけをはずしてあとどうかと言われても、人事院その他の関係がこの公務員というものについてどう考えますか、ここらは人事院その他いわゆる公務員の担当の方のどう考えるかによってお考えをいただきたいと思います。
  189. 永岡光治

    永岡光治君 私はぜひ公労法の改正でありますから、この際やっぱり第四十条にも触れたいと思うのです。もし人事院ないしは他の政府責任者が出なければ答弁ができないというのであれば、次に譲ってもけっこうですけれども、ただそういう身分保証が公社並みになったから、それは公務員と呼べないというようなことをおっしゃっておりますが、名前は河でもいいのですよ。これはもう私はこだわる必要はないと思うのです。公務員であろうとなかろうと、呼ぼうと呼ぶまいとかまわぬのです。公社職員だってやはり別々に皆電電公社職員、あるいは国鉄職員と、それぞれやはり上についているのですから、何も私はこだわる必要はない。問題は本質だと、同じようなものを取り扱うのに不公平な取扱いをするということがどうかということが私たち一番国民の代表としての観点から妥当でない。単に公務員だから政治活動の自由を許さぬというのならば、特別職の人はどうなるのですか。なぜそれじゃ特別職の人は公務員でありながら政治活動の自由を許すのでしょうか。その点は大臣どう考えておりますか。同じ公務員の中で政治活動を許されておる分野のある人々は、同じ国家に奉仕するのに、なぜその人たちだけ同じ公務員でありながら政治活動の自由について区別するのでしょうか、その点は一つ明確に御答弁をいただきたい。
  190. 中西實

    政府委員(中西實君) 特別職はそれぞれ非常に種類がいろいろございますけれども、結局政治活動をしても差しつかえないポスト、あるいは場合によってはそれと併存しなければ成り立たない仕事というものでございます。この現業の方は目下のところ一般公務員ということで国に雇用されておるものでございます。従って政治的には中立であるべきだという一般公務員の原則に従っておる、こういうことでございます。
  191. 永岡光治

    永岡光治君 だから一般公務員についてあるいはそういう意見も成り立つかと思うのですが、だとするならば、やっぱり現業関係については、特にこの労使関係を制限していると同じように当然区別されてしかるべきじゃないか。特にこれは今の五現業の職員といえども、やはり国会にいろいろ陳情し――これは国会に陳情するというのも一つの政治活動だし、そういうことになれば組合運動としても当然政治的なものが出てくると思うのですが、それは必要です。組合を作れば必ず政治と結びつかなければ目的は達せないのですから、その限りにおいては必要ですよ。絶対に必要なんですよ。であるならば、やはり政治活動を許してもいいんじゃないかと思うのですよ。今の労政局長の答弁では、今の特別職は政治的に必然的に必要問題だから、これは許したというお話でありますが、だとするならば、私は当然と思うのです。これはやっぱり許すべきだと思うのです。  私はもう一つ政治活動の自由の問題について申し上げたいと思うのですが、公企労法の第二条では、「左に掲げる事業を行う国の経営する企業」とありますが、これはどういうことかというと、「この法律において「公共企業体」とは、左に掲げるものをいう。」ということで、第二項で「左に掲げる事業」ということでいわれておるのでありますが、その中で、「郵便、郵便貯金、郵便為替、郵便振替貯金、簡易生命保険及び郵便年金の事業(これらの事業を行う官署が行う、日本電信電話公社、国際電信電話株式会社及び日本放送協会から委託された業務、国民貯蓄債券の売りさばき、償還及び買上並びにその割増金の支払に関する業務、印紙の売りさばきに関する業務並びに年金及び恩給の支払その他国庫金の受入払渡に関する業務を含む。)」ということに、一つの郵政関係を例にとれば、そういうことを明確にうたってあるわけで、これは三公社、放送協会、切手売りさばき人と、全く同じような仕事をやっている。そういうものに、一方には政治活動の自由を与え、この職員には政治活動の自由を与えないということは、やはりどう見ても片手落ちだ、こう言わなければならぬと思うのであります。従ってこれはぜひこれらの諸君には政治活動の自由を与えられることこそが均衡のとれた法律改正になる、こう考えております。今その点についてどう考えておられますか。もう一回念を押しておきましょう。同じ仕事をやっているのに、一方は許され、一方は許されないということ……。
  192. 中西實

    政府委員(中西實君) この問題は先ほども申しましたように、公務員全体の根本的な問題といたしまして、一括して、この問題につきましても、公務員制度の改革の検討の際に問題になる問題だと思います。
  193. 永岡光治

    永岡光治君 それではこの公務員法の中に、現在政治活動の自由を与えていないのですが、管理職その他には団体すら結成してはいけないというようなことまで規定されておりますが、管理職は政治活動の自由は与えていいという考えでありましょうか。
  194. 中西實

    政府委員(中西實君) 現業の管理職はやはり同じでございます。この組合の結成、これはまあ結社の自由で、別に禁止はいたしておりません。
  195. 永岡光治

    永岡光治君 そうすると現業の管理職もやはり政治活動の自由は許してはいけない、こういう建前に立つのでしょうか。
  196. 中西實

    政府委員(中西實君) ちょっともう一ぺんおそれ入りますが……。
  197. 永岡光治

    永岡光治君 現業の管理職は、政治活動の自由を公務員同様これは許してはいけないと、こういう建前に立つわけですね。
  198. 中西實

    政府委員(中西實君) ただいま現行法で一般職となっておりますので、そういうふうに解釈せざるを得ないと思います。
  199. 永岡光治

    永岡光治君 これはまあ労働大臣にお尋ねすることはあるいは適当でないかと思うのですが、そうすると、管理職に今政治活動の自由を許そうというような動きがあるやに承わっておるのですが、それはただいま口をきわめて公務員なるがゆえに罷業権をやっちゃいけない、公務員なるがゆえにこの政治活動の自由を与えてはいけないと、今まで私の繰り返した質問答弁は、公務員なるがゆえにということに終始しているわけです。そうすると、たとえば普通局長なり、特定郵便局長に政治活動の自由を与えるというようなことになると、これは今まであなた方が口をそろえておっしゃって参りました根拠がゆらいでくると思うのですが、そういうことにはなりませんか。労働大臣どうでしょう。これは予算委員会でも私がちょっと触れておいた事項でございますが。
  200. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 具体的にまあどういうことかは存じませんけれども、そういう動きのあることを私はよく存じておりません。
  201. 永岡光治

    永岡光治君 私がただ質問をしたのは、今までずっとその政治活動の自由の制限なり、あるいは罷業権をこの際与えるべきであるという、こういう主張については、何ら今そういう法律案作成しているからということであなたに質問しているのじゃないのです。こういう考え方はどうかということであなたに質問しているのです。そこで私はこういうことは、特定局長、こういう局長の諸君に政府活動の自由を与えるということをあなたはどうお考えになるか、こういうことを質問しているのです。
  202. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 現在の段階において、今御指摘の特定郵便局長は一般職でございますから、これは一般の公務員法によって政治活動を禁止されるのは当然だと思います。
  203. 永岡光治

    永岡光治君 だから、それは特別職にして政治活動の自由を与えようというような、そういう考えについてはあなたはどう考えるかというのです。これは改正したらやれるのですからね。その改正賛成するかしないかということです。
  204. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) そういう具体的なことは存じませんが、特定郵便局長のそういうことが具体的になりましたときに私どもは判断すべきことで、今意見を差しはさむことは遠慮したいと思います。
  205. 永岡光治

    永岡光治君 具体的に――今まで私の質問中、何も具体的にあることだから質問しているんじゃない、みなこういう考えはどうですかということを質問しておるわけですから、当然そういう立場に立てば、こういう考え方について、あなたどう考えるかということについて答弁できないというのはやっぱりおかしいですよ。
  206. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 今のお話は、多分特定郵便局長を一般職におくがいいか特別職に直すがいいか、私は郵便局長の業務というものはあまりよく知りませんから、現在一般職でうまくいっておるならば一般職公務員でけっこうだと思います。
  207. 永岡光治

    永岡光治君 それならば今の現業の郵政職員を、現在ある職員についてもこれは特別職にするということについてはあなたは賛成ですか賛成じゃありませんか。これも何か法律案が出なければ意見が述べられないというんでしょうか。この職員を三公社並みに法律改正したいということにあなた賛成ですか、賛成でないですか。今までの答弁を聞いているというと賛成でないように受け取れるんだけれども、あるいは賛成していただければけっこうですが、賛成ですか。
  208. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) きょう初めて承わることでありまして、そういうことについては具体的になれば検討いたします。
  209. 永岡光治

    永岡光治君 検討するのですが、そうするとあれですか、今まで私が五現業の職員に三公社並みに政治活動の自由を与えたらどうかという、私が今まで何回も今日質問してきたのですが、それをあなた与えちゃいけないというように私は解釈したのですが、そうじゃないのですね。
  210. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 私は現在の段階で五現業の職員については現行法通りが一番いいと思っております。
  211. 永岡光治

    永岡光治君 五現業の職員ということは、もちろん全部の職員と、こういう意味でしょう。普通局長なりあるいは郵政省の課長なり、あるいは特定郵便局長なり、あるいは主事なり、あるいは普通の事務官、たくさんありますが、それを含めてやっぱりこれは政治活動の自由を許すべきじゃない、こういう考え方だ、こういう答弁ですね。
  212. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 郵政省ばかりじゃありませんで、五現業については現行法のままでいく方がいいのではないかと、こういう考えを持っておりますが、今のお話の郵政だけ切り離して三公社並みにすべきではないかというお話、今初めて承わったのでありまして、そういうことを今までちっとも考えたことはありません。
  213. 永岡光治

    永岡光治君 それじゃどうもしょうがありませんが、もし社会党からそういう案を出したらあなた賛成してくれますか。反対でしょうか。議員立法として出しても……。
  214. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 具体的に日程に上れば慎重に検討いたします。
  215. 山下義信

    理事山下義信君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 山下義信

    理事山下義信君) 御異議ないと認めます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時十五分散会