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1956-03-09 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第14号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十一年三月九日(金曜日) 午前十一時十四分開会
—————————————
委員
の
異動
本日
委員藤原道子
君及び
森田義衞
君辞 任につき、その
補欠
として
亀田得治
君 及び
高木正夫
君を議長において指名し た。
—————————————
出席者
は左の通り。
理事
山下
義信
君 高野 一夫君
谷口弥三郎
君
委員
榊原 亨君 寺本 広作君 横山 フク君
相馬
助治
君 竹中 勝男君 山本 經勝君 田村 文吉君
長谷部ひろ
君 国務
大臣
労 働 大 臣 倉石 忠雄君
政府委員
調達庁労務部長
海老塚政治
君
労働政務次管
武藤 常介君
労働大臣官房総
務課長
村上 茂利君
労働省労政局長
中西
實君
労働省労働基準
局長
富樫 總一君
労働省職業安定
局長
江下 孝君
事務局側
常任委員会専門
員 多田 仁己君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
公共企業体等労働関係法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
) ○
労働保険審査官
及び
労働保険審査会
法案
(
内閣送付
、
予備審査
) ○
労働情勢
に関する
調査
の件 (
労働行政一般
に関する件) ○本
委員会
の
運営
に関する件
—————————————
山下義信
1
○
理事
(
山下義信
君) これより
社会労働委員会
を開会いたします。
諸般
の
報告
を申し上げます。 まず、
委員
の
異動
を
報告
いたします。三月九日付をもって、
委員森田義衞
君が辞任し、
補欠
として
高木正夫
君が選任せられました。また同日付をもって、
委員藤原道子
君が辞任し、
補欠
として
亀田得治
君が選任せられました。 次に、昨日の当
委員会
における
厚生大臣
の不
出席
に関する件につきまして御
報告
いたします。
委員会終了
後、
本件
並びに自後の
取扱い
に関しまして、
委員長
、
理事打合会
を開きました結果、昨日の事態につきまして、
十分事件
が解明いたしまするまで、
委員会
といたしましては、
議事
の進行上につきまして
十分留意
をするということでございまして、
厚生大臣
の善処を望むということの申し合せをいたしました次第でございます。 なお、本日、
社会労働委員長
に対しまして
厚生大臣
から御面会の申し入れがございました。
委員長不在
のために、かわりまして私
理事
といたしまして御面会申し上げましたところが、昨日の行き違いの点に対しましてはまことに遺憾でありましたというご
あいさつ
がございましたので、この段あわせて御
報告
を申し上げておきます。
相馬助治
2
○
相馬助治
君 昨日の当
委員会
に、
小林厚生大臣
の
出席
をみなかったことはまことに遺憾でございまして、これに関して
委員長
、
理事打合会
においてお申し合せ下さったことにつきましては、大へんにけっこうだと存じます。 なお、ただいま
委員長
から
報告
がありまして、
委員長
に
小林大臣
より
釈明
のご
あいさつ
があったとのことでございますが、それは一応聞きおくといたしましても、昨日の当
委員会
に
小林厚生大臣
不
出席
の
理由
その他につきましては、同
大臣
に直接その
釈明
を求めたいと存じまするので、次回の
委員会
に、
小林厚生大臣
の
出席
を要求することの
動議
を私は提出いたします。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
山下義信
3
○
理事
(
山下義信
君) ただいまの
相馬委員
の
動議
に、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山下義信
4
○
理事
(
山下義信
君) 御
異議
ないものと認めます。つきましては、次回に本問題につきまして
厚生大臣
の
出席
を求めることにいたします。
—————————————
山下義信
5
○
理事
(
山下義信
君) 次に、本日
議題
に供しました
公共企業体等労働関係法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。
本件
は、すでに本院の本
会議
におきまして
趣旨説明
を聴取いたしたのでございます。従いまして、本
委員会
におきまする
説明
は省略いたしまして、細部にわたる
内容
につきまして、本日は
政府委員
から聴取することにいたしたいと存じます。
政府委員
の御
説明
を求めます。
中西實
6
○
政府委員
(
中西實
君) お手元に
公労法
の一部を
改正
する
法律案関係資料
をお配りしてございますが、
法律案
、
法律案要綱
、
提案理由
、
参照条文
、
新旧対照表
、
逐条説明等
が入っておると存じます。一応私から
逐条
御
説明
を申したいと存じます。この
法律案
は、非常に
技術的改正
の部分が多うございますので、従って、
内容
のありまする点につきまして、主として御
説明
を申し上げて参りたいと存じます。 まず
最初
、
目次
の
整理
でございますが、これは全く技術的な修正でございます。 その次に、第二条
関係
でございます。これは
現行法
は……。
山下義信
7
○
理事
(
山下義信
君) ちょっと
速記
を止めて。 〔
速記中止
〕
山下義信
8
○
理事
(
山下義信
君)
速記
を始めて。
中西實
9
○
政府委員
(
中西實
君) それでは
新旧対照表
が
まん中あたり
にございましょうが、その一ページから申し上げて参ります。
目次
に
相当線
の引っぱってありますところが変っておりまするが、これは全く
内容
と合したものでございます。 次に三ページ第二条
関係
でございます。上が
改正案
で下が
現行
でございます。
現行
はここにもございまするように、「この
法律
において「
職員
」とは、左に掲げる者をいう」ということで、
公社
におきましては、
役員
と二カ月以内の期間を定めて雇用される者を除外しております。ところが
現業官庁
につきましては、第二号で全部
一般職
に属する
公務員
は
職員
とするということになっております。そこでこの
公労法
の
関係
におきまして二カ月以内の者を除外するということは、
労使関係
の扱いを一にすることになりまするので、今後の
改正法
におきましては、二カ月以内の者も
公労法
上の
職員
とするというふうに、
公社関係
の
職員
の
範囲
を広げたわけでございます。ただし、日々雇い入れられる者はこれは一応
労使関係
というのは継続的な
関係
でございますので、日々出たり入ったりする者を
職員
にするということは、これは取り扱い上も不適当でございますので、日々雇い入れられる者はこれは除外する。従って今度の
改正法
におきましては、
公社
の
職員
は、
役員
及び日々雇い入れられる者を除くというふうにしたわけでございます。なお御不審があるかと思いますが、この
企業関係
でそういうふうにしても、
現業関係
においては日々雇い入れられる者はどうなるのか、
国家公務員法
上これは非常に今の
法体系
はおかしいのでありますが、日々雇い入れられる者といえどもやはり
国家公務員
になるということになりまするので、もしここで日々雇い入れられる者を除きますると、これは
国家公務員法
の
適用
を受ける。それはあまりにも不合理になりますので、やむなく第二号の方はそのままにしておいて、そうして第一号だけを合理的に日々雇い入れられる者を除くと、こういうふうにしたわけでございます。 それから第三条
関係
は、これは従来の
労働組合法
及び
労調法
の
準用規定
でございまするが、これが非常に粗雑になっておりまして、当然
公労法等関係
に
適用
にならなければならないものが
適用
になっていなかったり、また読みかえ
規定
がないという不備がございましたので、これを訂正したわけでございます。 次は第四条の二項でございます。六ページでございます。これは第四条の第一項で、この
公共企業体等
の
労働組合
はこの
職員
の中で、この
ただし書き
で
管理監督
の
地位
にある者は加入することができない、こうございます。その
管理
、
監督
の
地位
にある者及び機密の
事務
を取り扱う者についてはその
範囲
は
政令
で定めると、こうございます。今度実は
組合
の
資格審査
を従来は
労働大臣
がやっておりましたが、それを
あと
で
説明
いたします
公共企業体等労働委員会
で
資格審査
をやらすということになりました。従って、この非
組合員
の
範囲
も、
公共企業体等労働委員会
の決議に基いて
労働大臣
が定めて告示するということにいたしまして、つじつまを合したわけでございます。 それから次は五条及び六条の
削除
でございますが、五条は従来から
削除
、六条は今度先ほどの三条の
規定
で読みかえで不必要になりましたので、これを
削除
するということでございます。 それから第七条でございますが、これは
専従
を認め得る
規定
でございます。従来の
規定
が非常に
専従
を認めることについて一方的な
規定
の仕方でございましたので、それを
上欄
のごとく変えまして、
組合
の申し出があったときは一定数を限り認めることができるというふうに、
字句
を変えただけで、
内容
には変りございません。これは例の
臨時公労法審議会
の
答申
にございましたので、それを採用したのでございます。 それから第三章の
関係
でございますが、第八条、これは
団体交渉
の
範囲
に関する
規定
でございます。従来は第一項に
管理
、
運営
に関する
事項
は、
団体交渉
の
対象
でない、そうして
団体交渉
ができるのは第二項に書いてございます。これは
体裁
といたしましても非常に妙な
体裁
で、従って今度は二項の
関係
を先へ出しまして、そうして
ただし書き
で、
管理
、
運営
に関する
事項
は、
団体交渉
の
対象
とすることはできないというふうに書き方をひっくり返しまして、
実態
に合したわけでございます。なお
現行
の第二項で、第五号に、
苦情処理機関
に関する
事項
というのがございます。これは新しい
改正法案
の十二条に譲りましたので、ここから
削除
したわけでございます。 それから次に、九条以下、これが例の
交渉単位
並びに
交渉委員
に関する
規定
でございます。
交渉単位
というのが従来ございまして、これがいわゆるアメリカからの直輸入的な
制度
でございまして、きわめて日本の実情にも適せずまた
内容
が難解でございました。そこで従来から
労使双方
ともにこの
制度
はやめたいという意向がございましたが、今度、
臨時公労法審議会
の
答申
でも、これは満場一致でやめるということに
答申
されましたので、この
交渉単位制度
というものを廃止いたしました。そうして
一般
の原則に返しまして、
団体交渉
は
組合ごと
に
企業体
と
交渉
ができるということにいたしました。ただしその
交渉
の場合には、
双方
が指名するところの
交渉委員
で行うということにいたしまして、
交渉委員
ということは残して、秩序ある
団体交渉
を行わせるということにしたわけでございます。第九条は、もっぱら
交渉委員
によって
組合ごと
に
交渉
するという意味を書いてございます。 十条は、
交渉委員
は
企業体
または
組合
それぞれが指名をしてきめておく、そうして二項におきまして、その
交渉委員
を指名したときは、
名簿
を相手方に提示しなければならない、
名簿
を交換いたしましてそうしてその者がもっぱら
交渉
に当るということでございます。 なお十一条で、
交渉委員
の数、
交渉委員
の
任期
その他
団体交渉
の
手続
に関する必要な
事項
は、
団体交渉
で自主的にきめさせる、こういうふうにしたわけでございます。従って
現行
九条以下非常にめんどうな長々と
規定
してございましたものが、全部不要になったわけでございます。 それから次が十二条
苦情処理
の
規定
でございます。従来は
苦情処理共同調整会議
というのが先ほど申しました
交渉単位ごと
に置くというふうに書いてございましたが、今度は
交渉単位制度
をやめましたので、従って今度は
苦情処理機関
というものが
組合ごと
に置かれるわけでございます。そういうふうに
字句
の
整理
をいたしまして、
内容
的には変りはございません。 それから十三条から十五条までは、
交渉単位
をやめましたので、ずっと
条文
が余って参りましたので、
削除
をしたわけでございます。 次は十八条の
関係
でございます。十七条におきまして、
公共企業体等
の
労働組合
は、一切の正常な
業務
を停滞するようないわゆるスト的な
行為
は禁じられております。これに違反した場合には、
解雇
されるものとするということになっております。
現行法
はこの線を引いたところに書いてありますように、「前条の
規定
に違反する
行為
をした
職員
は、この
法律
によって有する一切の
権利
を失い、且つ、
解雇
されるものとする。」、今度「この
法律
によって有する一切の
権利
を失い、且つ、」まで削ろうとしておるのでございます。これは従来この
法律
によって有する
権利
といいますると、
不当労働行為
の
申請
の
権利
、それから
苦情処理
の
権利等
ございましたが、今度は実はこの
条文
によって
解雇
されるものにつきましては、後ほど出て参りまするが、
不当労働行為
の
申請
ができるようにしよう。どうしてかといいますると、従来これで
解雇
されました者が、その
解雇
は違法だといって
法廷闘争
をする。
法廷闘争
がなかなか片づきませんで、たとえば三年前に
解雇
された者の判決がいまだに出ないというようなことでいつまでも紛糾する。そこでとりあえず、
公共企業体等労働委員会
というところで、その
解雇
が不当かどうかということを判定する。つまり
不当労働行為
の
手続
によりまして、そのことを早期に判定いたしまして一応の
紛争
にピリオドを打ちたい。これは
労使とも
に希望でございまして、いつまでもそのことでがたがたするのはいやだ。その
手続
を認める上において、ここに今度消そうといたしておりますものが入っておりますとそれができない。従ってこのところを消しまして、
不当労働行為
の
手続
によって一応の判定を受けるようにするというために、この
改正
をしたわけでございます。 次は第五章でございます。これから
あと
が全面的に
改正
になりまして、今回の
改正点
の大きな
ポイント
の
一つ
でございます。すなわち、従来
公共企業体等
の
労働組合
におきましては、
紛争議
があっ場合に
スト行為
ができませんので、これの
調整機関
として
調停仲裁
ということで片をつける。そのために
調停
におきましては
調停委員会
、それからさらにそれで片づかないときには
仲裁
、そのために
仲裁委員会
というのがございました。
調停委員会
は
中央
に
一つ
、
地方
に
九つ
ございます。それから
仲裁委員会
が
中央
に
一つ
、全部で十一の
委員会
があったわけでございます。それを
機構
の
簡素化
ということから、
労働省
に
公共企業体等労働委員会
という
一つ
の
委員会
を設けるということにしたわけでございます。そこで今までは
調停委員会
というのは労、使、
公益
三人ずつの
委員会
、これは
中央
も、
地方
の
九つ
の
調停委員会
もそういうことでございました。
仲裁委員会
は
公益
の三人で構成されておりまして、それを今度はこの第二十条第一項にございますように「
委員会
は、
公益
を代表する
委員
(以下「
公益委員
」という。)五人、
公共企業体等
を代表する
委員
(以下「
使用者委員
」という。)三人及び
職員
を代表する
委員
(以下「
労働者委員
」という。)三人をもって組織する。」、つまり五・三・三という
一つ
の
委員会
に改組するということにしたいと思っているわけでございます。そうして第二項におきまして「
公益委員
は
労働大臣
が
使用者委員
及び
労働者委員
の
意見
をきいて作成した
委員候補者名簿
に記載されている者のうちから両
議院
の
同意
を得て、
使用者委員
は
公共企業体等
の
推薦
に基いて、
労働者委員
は
組合
の
推薦
に基いて、
内閣総理大臣
が
任命
する。
公益委員
の
任期
が満了し、又は欠員を生じた場合において、
国会
の閉会又は衆
議院
の解散のために両
議院
の
同意
を得ることができないときは、
内閣総理大臣
は、
前項
の
規定
にかかわらず、
労働大臣
が
使用者委員
及び
労働者委員
の
意見
をきいて作成した
委員候補者名簿
に記載されている者のうちから、
公益委員
を
任命
することができる。
前項
の場合においては、
任命
後
最初
の
国会
で両
議院
の
事後
の
承認
を求めなければならない。この場合において、両
議院
の
事後
の
承認
が得られないときは、
内閣総理大臣
は、ただちにその
公益委員
を
罷免
しなければならない。
公益委員
の
任命
については、そのうち二人以上が同一の
政党
に属することとなってはならない。
委員
は、
非常勤
とする。ただし、
公益委員
のうち二人以内は、
常勤
とすることができる。」、これが根本的な組織の大綱でございます。従来は
調停委員会
の
公益委員
は、
労使
の
同意
を得まして
内閣総理大臣
が
任命
する、それから
仲裁委員会
の
公益委員
は、これはきわめて妙な
規定
でございまして、
中央調停委員会
の
委員長
が
推薦
した者について
労使
の
選挙委員
が選びまして、その選んだ者について、これは自動的に
内閣総理大臣
が
任命
する、すなわち
政府
は何らその
発言権
を持たないという仕組みになっておったわけでございます。これが実は従来から非常にわれわれとしても不合理に考え、また実際の
運営
におきましても
仲裁
それから
政府
、
国会
という
関係
におきまして円滑を欠く非常に大きな障害をなしておった点でございます。そこで今回は、この二十条の第二項にございまするように、
労働大臣
が
労使
の
委員
の
意見
を聞いてそうしてこれを
両院
の
同意
を得て、
総理大臣
が
任命
するというふうに変えようとしておるのでございます。ここが
一つ
の大きな
改正
の
ポイント
になっております。これはこの下にございまする
現行法
と、今度変えようとしまする
条文
と全く
上下
の
関係
はございません。全然この
委員
の
条文
は書き改めまするので、
上下
の
対象
はちょっとできない格好になっております。筋道はそういうように、従来あった十一の
委員会
を
一つ
にまとめて、そうして特に
公益委員
は今申しましたように、
労使
の
意見
を聞いて、
両院
の
同意
を得たものについて、
総理大臣
が
任命
するというふうに変えたのでございます。 それから二十一条は
委員
の
欠格条項
でございます。これは大体どの
委員会制度
におきましてもこういう
規定
がございます。なお第二項で、
公益委員
につきましては、特に
国会
または
地方公共団体
の議会の議員になることはできないし、また
公社
、五
現業
の
職員
あるいは
役員
である者は
委員
になることができないという特別の
欠格条項
がございます。 それから二十二条でございまするが、「
委員
の
任期
は、二年とする。ただし、
補欠
の
委員
は、
前任者
の残
任期
間
在任
する。
委員
は、再任されることができる。
委員
の
任期
が満了したときは、
当該委員
は、
後任者
が
任命
されるまでその
職務
を行うものとする。」
現行法
は、
委員
の
任期
は
調停委員会
におきましては一年でございます。それから
仲裁委員会
におきましては三人おりまするが、それが一人ずつ交代をしていきますので、一人につきましては
任期
は三年ということになっております。今度は先ほど申しましたような
機構
に改めまして、一年とするのは非常に時期も短かいし、しよっちゅう
任命手続等
でわずらわされる、従って二年くらいが適当ではあるまいか。これはあまり長くしますると、
公益委員
の中には、そんなに長いのじゃお断りするというような方も出て参りますので、まず二年というところがいいのじゃないかということで、今回は
任期
を二年といたしました。 それから二十三条でございまするが、先ほど読みました中で、五人の
公益委員
の中で二人は
常勤
にすることができるという
規定
がございました。そこで「
常勤
の
公益委員
は、
在任
中、次の各号の一に該当する
行為
をしてはならない。
政党
その他の
政治的団体
の
役員
となり、又は積極的に
政治運動
をすること。
内閣総理大臣
の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の
職務
に従事し、又は
営利事業
を営み、その他金銭上の利益を目的とする
業務
を行うこと。」、なお第二項で、「
非常勤
の
公益委員
は、
在任
中、
前項
第一号に該当する
行為
をしてはならない。」すなわち
公益委員
は
常勤
、
非常勤
を問わず、
政治団体
の
役員
になったり、または積極的な
政治運動
をすることができないというのはこれは他の
委員会制度
においても同様でございます。 それから次に二十四条は、
委員
の失職及び
罷免
に関する
規定
でございます。これもほかの
委員会制度
の
委員
の場合と大体同様でございます。「
委員
は、第二十一条第一項各号の一に該当するに至った場合においては、その職を失う。
公益委員
が同条第二項各号の一に該当するに至った場合も、同様とする。」これはもうどの
委員会
の
委員
につきましても同様でございます。次に第二項「
内閣総理大臣
は、
委員
が心身の故障のために
職務
の執行ができないと認める場合又は
委員
に
職務
上の
義務違反
その他
委員たる
に適しない非行があると認める場合においては、
公益委員
にあっては両
議院
の
同意
を得て、
使用者委員
又は
労働者委員
にあっては
委員会
の
同意
を得て、その
委員
を
罷免
することができる。
前項
の
規定
により、
内閣総理大臣
が
委員会
に対して、
使用者委員
又は
労働者委員
の
罷免
の
同意
を求めた場合においては、
当該委員
は、その
議事
に参与することができない。
内閣総理大臣
は、
公益委員
のうち一人がすでに属している
政党
にあらたに属するに至った
公益委員
をただちに
罷免
するものとする。
内閣総理大臣
は、
公益委員
のうち何人も属していなかった
政党
にあらたに二人以上の
公益委員
が属するに至った場合は、これらの者のうち一人をこえる員数の
公益委員
を、両
議院
の
同意
を得て、
罷免
するものとする。」これはまあ、大体こういう
制度
の例文でございます。 二十五条は
会長
、「
委員会
に
会長
を置く。」、さらに
会長
の事故あるときに備えるために、
会長代理
をあらかじめ
公益委員
のうちから選んでおかなければならない。 それから二十五条の二は
事務局
でございます。この
事務局
は、
現行
は
仲裁委員会
には
仲裁委員会
の
事務局
あり、それから
中央調停委員会
には
中央調停委員会
の
事務局
あり、さらに
地方
の
九つ
の
調停委員会
にはそれぞれ
事務局
がある、すなわち十一の
事務局
があるわけであります。それを今回
委員会
を
一つ
にいたしましたと同様、
事務局
も
委員会
に
事務局
というものを
一つ
置くわけであります。しかしながら
地方
において
事務処理
をさせるために、後ほど出て参りまするが、
地方調停委員会
を設けます。従ってその
事務
の
処理
をさせるために
事務局支局
を
地方
に置くということにいたしております。次に「
事務局
に、
事務局長
、
事務局次長
その他の
職員
を置く。
事務局支局
の位置、名称及び
管轄区域
は、
政令
で定める。」。 二十五条の三、
公益委員
のみで行う
権限
で、この
委員会
は三
者構成
でございまするが、
取扱い事項
によりましては、
労使
の
委員
を参加させないで、
公益委員
だけで行わせるのが適当なものがございます。第二十五条の三「第四条第二項」というのは非
組合員
の
範囲
を定める
規定
でございます。非
組合員
の
範囲
を定めるという場合の
委員会
の
決定
は
公益委員
だけでやる。それから「第二十五条の五」、これは
不当労働行為
の
取扱い
でございます。「並びに
労働組合法
第五条第一項及び第十一条第一項の
規定
による
事務
の
処理
」、これは
資格審査
でございます。すなわち非
組合員
の
範囲
、
不当労働行為
の
取扱い
、それから今の
資格審査
、それから「十一条第一項」というのは
法人登記
の際の証明でございますが、これは
公益委員
のみが参与してやる、「ただし、第二十五条の五の
規定
による
審問
に
使用者委員
及び
労働者委員
が参与することを妨げない。」これは
不当労働行為
の
審問
に
労使
の
委員
が参与する、ただし
決定
は
公益委員
だけでやる、こういうことでございます。「
委員会
は、
常勤
の
公益委員
に、
委員会
に係属している半作に関するもののほか、
公共企業体等
の
職員
の
労働関係
の状況その他
委員会
の
事務
を
処理
するために必要と認める
事項
の
調査
を行わせることができる。」五人の
公益委員
のうち二人以内を
常勤
とすることができるということにしましたのは、この
公社
、
現業
の非常に専門的な事情を知っておる必要がある、さらに給与その他の点につきましては
諸般
の必要な知識を常時持っておるという必要がございますので、この
常勤
という
制度
を設けたのでありますが、この
常勤
のものは、特に常にこの第二十五条の三の二項にあるような
権限
を持ちまして
実態
を
調査
することができるように
規定
にはっきりと入れたわけでございます。 それから第二十五条の四、これはこの
公共企業体等労働委員会
がいろいろと
事務処理
をいたします上におきまして、
手続
その他
事務処理
に関し必要な
事項
がございますが、これについての
規則
を制定する
権限
を与えたものでございます。
一般
の
中労委
においても
中労委
の
規則
を制定する
権限
がございます。この
委員会
にも
規則制定権
を与えたわけでございます。 それから第二十五条の五、これは
不当労働行為
に関する
規定
でございまして、
手続
はおおむね
労働組合法
の
一般
の
不当労働行為
の
規定
を準用いたしまして、その読みかえを二項においていたしております。それから第三項は、一応
中央
にあります
公共企業体等労働委員会
で行うのでありますけれども、場合によっては、
地方
の
調停委員会
の
公益委員
に
調査
、
審問
を行わせることができる、しかしながら
決定
はあくまで
中央
にあります
公共企業体等労働委員会
の
公益委員
会においてやるということでございます。この場合にしかしながら「当該
地方調停委員会
の
公共企業体等
を代表する
調停
委員
及び
職員
を代表する
調停
委員
は、当該
審問
に参与することができる。」ということにいたしまして、一応
労使
の代表
委員
が発言する機会は与えるということにいたしております。なおここで
一般
の
不当労働行為
と非常に違いまするところは一審制であります。
一般
の
不当労働行為
事件は、
地方
労働
委員会
において一応
不当労働行為
の
決定
をいたしまして、それに不服である場合には
中央
労働
委員会
において再審をやります。ところが今回のこの
公労法
におきます
不当労働行為
の
取扱い
は
中央
の一審でございます。従って
地方
から一々本人なりを呼び出すということも大へんでございまするので、この三項というような
条文
があるわけでございます。 次にこの第二十五条の五の四項、五項、二十七ページでございます。これが先ほどの十八条の
改正
と関連するものでございます。すなわち争議
行為
が禁止されておりまするにもかかわらず、争議
行為
をやった場合には
解雇
される、そういう十七条違反による
解雇
について
不当労働行為
の申し立てがあった場合の
規定
でございます。第四項「第十八条の
規定
による
解雇
に係る第一項の申立があった場合において、その申立が当該
解雇
がなされた日から二月を経過した後になされたものであるときは、
委員会
は、第二項において準用する
労働組合法
第二十七条第二項の
規定
にかかわらず、これを受けることができない。」これは労組法におきましては、問題がありましてから一年間の間に申し立てができることになっております。しかしながら、十八条にかかる
解雇
につきましては迅速に
処理
するということで、一年を二月にするということでございます。 それから第五項、「第十八条の
規定
による
解雇
に係る第一項の申立を受けたときは、
委員会
は、申立の日から二月以内に命令を発するようにしなければならない。」また判定も二月以内にするというふうに迅速に
処理
をして、早く紛議の状況を収束させるという趣旨でございます。 次に第二十五条の六はこれは
準用規定
でございまして、労組法の二十一条というのは
会議
の非公開の原則、招集、定足数、議決等を
規定
したものでございます。二十二条は
委員会
に呼び出しの強制
権限
があるということの
規定
であります。それから二十三条は
委員
の秘密厳守義務の
規定
でございます。それから二十九条、三十条は今申しましたものに対する違反に関する罰則の
規定
でございます。
山下義信
10
○
理事
(
山下義信
君) ちょっと
速記
とめて下さい。 〔
速記中止
〕
山下義信
11
○
理事
(
山下義信
君)
速記
を起して下さい。
中西實
12
○
政府委員
(
中西實
君) 次は第六章のあっせん、
調停
、
仲裁
でございます。これは大体が先ほど申しました
委員会
の
機構
を変えましたのに合せまして一応
整理
をした、従って
一般
の労働
委員会
のあっせん、
調停
、
仲裁
とこれは方式は違いません。従ってこの部分はずっと省略をして差しつかえないと思います。 それで次は三十七ページの
仲裁
の開始の点についてちょっと申し上げておきたいと思いますが、三十三条の第三号でございます。これは従来はあっせんが始まりまして二月たってこれが成立しない場合には
仲裁
にゆくということになっておりました。それをこの三号のごとくに変えまして、二月たって当事者が一方の
申請
で
仲裁
にゆく、なお従来は
調停
後二カ月でございましたが、あっせんの場合でも、二カ月たって解決しない場合には、一方の
申請
で
仲裁
に入る、あっせんから
調停
を飛びこえて
仲裁
にいけるというふうに直したのでございます。
あと
は
現行
通りでございます。 それから三十四条以下
仲裁
でございまするが、
仲裁
は
公益委員
だけでありまして、
公益委員
五人が全員、あるは三人で行うということである。 それから次の三十九ページの第三十五条、これが今度の
改正
のまた
一つ
の大きな
ポイント
でございます。これはちょっと読みます。「
委員会
の裁定に対しては、当事者は、
双方
とも最終的
決定
としてこれに服従しなければならず、また、
政府
は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。ただし、
公共企業体等
の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を
内容
とする裁定については、第十六条の定めるところによる。」ここで
政府
もまた裁定が実施されるようにできるだけの努力をしなければならない。もとより従来とも
仲裁
裁定についてはできるだけ努力するように進んできたわけであります。なお今後は
仲裁
を行いまする
公益委員
の
任命
方式も非常に権威づけられたので、一そう
政府
としても今後は裁定に努力しなければならないというので、このことを明らかに明文化したわけでございます。 それから
あと
は大体
現行
の
条文
を
整理
するというのが主でございます。 次は四十二ページにございますように、附則におきまして、専売
公社
法、それから日本国有鉄道法、日本電信電話
公社
法、これの必要なところを
改正
をいたしております。すべて要領は一緒でございますので、専売
公社
法の
改正
について申し上げます。四十二ページでございますが、その
公社
法の第十九条、ここで従来
公社
法における
職員
の
範囲
は、
公労法
に定める、
公労法
の「第二条第二項に
規定
する者をいう。」というふうにございます。ところが先ほど
公労法
の二条の
改正
で申し上げましたように、今度は従来二カ月以内のものを
公労法
からはずしておりましたのを
公労法
の
対象
にいたしましたので、そうなりますると、
公社
法におきましても、二カ月以内の者は
職員
になって、そうすると従来
公社
法で身分上いろいろの
規定
がございまするが、それが当然に二カ月以内の期限を定めて雇用される者に
適用
がなったのでは困る、そこでこれを
公社
法の方で除外いたし、まして、
上欄
のごとく、「
役員
及び二月以内の期間を定めて雇用される者以外の者」を
公社
法による
職員
としたわけでございます。 その次は四十三ページの給与準則、第四十三条の二十一という
条文
の一番最後の方に線が引いてあるところ、これが
一つ
の大きな
改正点
でございます。すなわち従来は、給与総額というものがございまして、これをこえるようなものは支出不可能だということで、常に
国会
の議決を要さなければならない。そこで今回は
仲裁
裁定の場合に限りまして、それがもし給与総額をこえてやる必要がある場合には、
一般
の会計
規則
によりまして、予算の定むるところにより、大蔵
大臣
の
承認
を受けて給与として支出をするときは、その給与総額をこえてもよろしいというふうに、何から何まですべて給与総額をこえれば
国会
にいかなければならないのを、ここで緩和いたしました。できるだけ
仲裁
裁定を尊重し、そうして解決を円滑にするというふうにしたわけでございます。で、この
関係
は国鉄法におきましても同じように
改正
いたしました。それから日本電電
公社
法、これも同じようにいたしました。ただ日本電電
公社
法におきましては、これは五十ページでございますが、今申しました
仲裁
裁定の場合のこととともに、ほかの二
公社
につきましては、いわゆる業績手当というものについて給与総額を除外する
規定
があったのでございますが、どういうものか、日本電電
公社
法にはその
規定
が従来欠けておったわけでございます。従ってこれをついでに一緒に
規定
いたしまして、この七十二条の二項、五十ページにございます二項、これを
規定
いたしまして、他
公社
にあります
業務
手当を出す場合並びに
仲裁
裁定の場合には一方の方式によりまして、給与総額の制限を受けないというふうにしたわけでございます。 大体以上がこの
法律
の主眼点でございまして、
あと
附則におきまして、この
法律
は公布の日から六カ月以内に
政令
の定める日から実施するということに予定しております。一応
公労法
の実質的な
説明
を終りたいと思います。
山下義信
13
○
理事
(
山下義信
君) 本問題の質疑は次回後に譲りたいと思いますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山下義信
14
○
理事
(
山下義信
君) 御
異議
ないものと認めます。
—————————————
山下義信
15
○
理事
(
山下義信
君) 次に
労働保険審査官
及び
労働保険審査会
法を
議題
といたします。 提案者から
提案理由
の
説明
を求めます。
倉石忠雄
16
○国務
大臣
(倉石忠雄君) ただいま
議題
となりました
労働保険審査官
及び
労働保険審査会
法案
について、その
提案理由
を御
説明
申し上げます。 御承知のごとく、
労働省
所管の保険といたしましては、労働者災害補償保険法及び失業保険法に基づく保険
制度
があり、また昨年第二十二回
国会
において成立をみましたけい肺及び外傷性せき髄障害に関する特別保護法による給付も労災保険とあわせて運用されているのであります。 しかしてこれらの保険
制度
における保険給付等の
決定
に
異議
がある場合の審査
機構
としましては、労災保険と失業保険とにおきましてそれぞれ別個の審査機関が設けられているのであります。すなわち労災保険におきましては、第一審である保険審査官及び第二審である労働者災害補償保険審査会がともに都道府県労働基準局ごとに設置されており、失業保険におきましては、第一審として失業保険審査官が、第二審として失業保険審査会が
労働省
に設置されているのであります。 これら審査会
制度
の今日までの運用の実情をみますと、労災保険におきましては、
中央
の審査機関がないために審査の統一ある運用に欠ける点がありましたので、この際、労働者災害補償保険審査会々失業保険審査会と統合して
労働省
に
労働保険審査会
を設け、審査の統一ある運用を確保するとともに、同審査会を常置の機関として審査の迅速化をはかろうと存ずるのであります。 他方労働者災害補償保険審査会も失業保険審査会もともに
現行
制度
のもとにおきましては、
労使
及び
公益
の
委員
によるいわゆる三
者構成
をとっているのでありますが、審査会は、本来、行政官庁の行う事故の
業務
上外の
決定
、障害等級の
決定
及び失業の認定等について審査を行うものであり、準司法的乃至判定的機能を有するものでありますので、裁判
制度
あるいは労働
委員会
における
不当労働行為
の救済
制度
におけるがごとく、
公益
的立場にある学識経験者のみによって構成される機関が審査し、裁決することが妥当であると存ずるのであります。 よって、この際
労働保険審査会
の組織につきましては社会保険審査会の例にならい、
内閣総理大臣
が両
議院
の
同意
を得て
任命
する特別職の
委員
をもって構成することといたしたのであります。しかし審理に当りましては
労使
の主張を十分聴取するため
労使
代表の参与を認め、その
意見
を十分尊重するよう別に措置することといたした次第であります。 以上のほか、従来の審査の実情から見て、審査について管轄、
手続
等をさらに合理化する必要がありますので、審査
手続
につきましても改善をはかることとした次第であります。これが今回本
法案
を提出いたした
理由
でありまして、これにより審査の統一をはかるとともに、その適正化を期したいと考えている次第であります。 次に
法案
の
内容
について概略御
説明
申し上げます。 まず本
法案
における審査
制度
の概要についてであります。第一審である審査官の段階につきましては、
現行
制度
をほぼそのまま取り入れることとし、
現行
の労働者災害補償保険審査官及び失業保険審査官を総称して
労働保険審査官
と称することといたしました。 ただ従来の各都道府県労働基準局ごとの
労使
三
者構成
の審査会を廃止いたしますので、審査官が審査を行うに当り
労使
の代表が当該事案につき
意見
を述べることを保障する
制度
を採用いたしたのであります。失業保険審査官につきましても審査の慎重を期するために同じく右の
制度
を設けることといたしております。なお、労働基準法上の災害補償に関する
労使
間の争いの審査及び
仲裁
につきましても、
業務
上外の
決定
、障害等級の
決定
等実質的に労災保険給付についての審査と全く同一
内容
の事案を取り扱うものであり、かつ、これと一体不可分でありますので、労災保険に関する異義の審査についての
機構
を整備いたしましたのに伴い、この際労災保険の場合と同じく労働者災害補償保険審査官をして取り扱わしめることといたし、右に申し述べました
労使
の代表が
意見
を述べる
制度
はこの場合にも活用することといたした次第であります。 第二審につきましては、
労働省
に
労働保険審査会
が置かれることは先に申し上げたところでありますが、
労働保険審査官
がした保険給付に関する不服に対する審査の
決定
にさらに不服のある者が、この
労働保険審査会
に再審査の請求をすることになるのであります。その組織につきましては、さきに申し上げましたごとく、
内閣総理大臣
が
国会
の
同意
を得て
任命
する
委員
三名をもって構成されるのでありますが、各保険ごとに
労使
の代表者が再審査に当ってその
意見
を述べ或は
意見
書を提出することができることといたしたことは前に述べた通りであります。 以上のごとく、審査官の審査、審査会の再審査を経ましてなお不服のある者が裁判所に出訴することができることについては
現行
制度
と同様であることは申し上げるまでもありません。 次に
法案
の定めている審査
手続
についてでありますが、審査ないし再審査請求の
対象
となる
事項
につきましては、
現行
制度
をそのまま採用しているのでありまして、労災保険
関係
については、当該負傷、疾病、死亡等の事故の
業務
上外の
決定
、障害補償費を支給するについて特にその障害等級の
決定
、平均賃金額の
決定
、保険の給付制限事由の有無の
決定
等々が、失業保険については、被保険者資格の得喪の確認、失業の認定、保険金の給付制限事由の有無の
決定
等々が
現行
制度
におけると全く同様に審査
事項
になることは申し上げるまでもないところであります。審査ないし再審査の請求の受理から始まり、本案の
決定
、その通知に至るまでの審査の諸
手続
につきましては、労働者及び事業主の
権利
救済の万全を期するため、現在
政令
で定められてある
事項
を
法律
に
規定
するとともにその整備充実をはかることといたしました。 なお、本
法案
の作成に当りましては、社会保障
制度
審議会を初めとして、労働者災害補償保険審議会、
中央
職業安定審議会、けい肺審議会及び
中央
労働基準審議会に諮問いたしたのでありますが、その
答申
につきましてはこれを尊重し、必要な
事項
は
法律案
に取り入れることといたしたのであります。 以上
提案理由
を御
説明
申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
山下義信
17
○
理事
(
山下義信
君) 本問題の質疑は次回に譲りたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
山下義信
18
○
理事
(
山下義信
君) 御
異議
ないと認めます。
—————————————
山下義信
19
○
理事
(
山下義信
君) 次に、
労働情勢
に関する
調査
の一環として、
労働行政一般
に関する件を
議題
といたします。御質疑を願います。
山本經勝
20
○山本經勝君
労働大臣
にお伺い申し上げたいのですが、実は前回の
社会労働委員会
におきまして、板付軍事基地労務者の
解雇
問題についていろいろ御質疑をいたしたわけでございます。その後二月の二十七、八両日にわたりまして、現地の軍
関係
並びに県
組合
等につきまして実際の状況を
調査
いたしたのであります。軍
関係
ではレーマン大佐、これが第八戦闘爆撃隊司令官で責任者である。それでこの際明らかになった点を大体要約いたしますというと、二十二名のうち十八名の間接雇用者に対する出勤停止の処分、それから四名の即時
解雇
、これは直用でございます。 〔
理事
山下義信
君退席、
理事
谷口弥三郎
君着席〕 これについての
解雇
の処分は軍として保安上必要な措置を公務上の立場で執行した。従ってその
調査
の
内容
あるいは
範囲
あるいは具体的なリスト等について
説明
をするわけにはいかない、こういう話でございました。そこでさらにどういう
手続
でそうした
調査
をしたのかという点につきましては、軍の中にあります
調査
機関、OSIと略称申しております。これは特別
調査
局というのでございますが、この特別
調査
局で一応
調査
した。しかしこの
調査
の
事務
を担当するものは、司令官が
任命
すればだれでもいいのであって、随時
調査
をする。そして保安上有害であると考えるものはこれを除外する、こういうようなことを実は申しておりました。そこでいろいろと
組合
関係
につきましても
調査
し、また県当局の方の状況もつぶさに聞いたわけでありますが、こういう状態でありまして、問題の
解雇
の
理由
となったいわゆる保安上有害であるという具体的事実について、どの点がどのように有害であるのかということを明らかにすることが不可能な実情でございます。そこで一応
組合
側の申し分から申しますなれば、いわゆる
解雇
は
組合
活動を
対象
にしてなされたのである。従って
調査
の
内容
においてもこういう事実が具体的に上っておる。ですから
不当労働行為
としての
解雇
に該当するものであるという主張でございますが、当然もし
組合
の申し立て通りとするなれば、
労働組合法
による保護の方法が講ぜられなければならない。その原因になっておるものが、先ほどから申し上げますように軍が保安上必要と考えて
解雇
をしたものである。しかもその
内容
について、日本国
政府
もしくは行政機関に対して何ら責任を負うものではない、こうなって参りますと、事実上これらの労働者は
解雇
しっぱなし、もしくは出勤停止のやりっぱなしであって、しかも公務上の
行為
ということで逃げていく。これは事実上労働者は日本の労働法によって保護をされないという結果になってくると考えます。その中でも具体的な事例は、労働
委員会
の
不当労働行為
についての
決定
に基く命令に対して服従をしておりません。また身分保全の仮処分の
申請
に対して裁判所の出頭命令を拒否している、その根拠が一体どこにあるのかということを追究しましたところ、昭和三十年五月十三日付の日米合同
委員会
の合衆国代理、つまり海軍少将のロイ・ゲイノーという人から正式な文書でもって
政府
の方に連絡があったと承わったので、その文書を見ますというと、第一番に、「合衆国軍軍人軍属が、公務執行の間になされた
行為
に対する一切の審査又は判定の
手続
において日本側裁判所又は準司法的行政機関の発する回状に従う義務に関して、合衆国は次のような見解を持っていることを日本
政府
に御伝達を願いたい。」一番に、「合衆国軍人軍属は公務執行の間になされた
行為
については合衆国軍当局に対してのみ責任があること。」、二番として「したがって、かかる
職員
は公務執行の間になされた
行為
に対して日本側裁判所又は準司法的機関の行う
審問
審査の
手続
に出頭し又は口頭若しくは文書で回答することの要請に応ずる許可を与えられていないこと。」Cとして「かかる令状が発せられるに至った審査又は判定の
対象
である
行為
が公務に
関係
があるかどうかの
決定
は合衆国当局においてなされるであろうこと。」、大体以上のような正式文書によって態度は表明されている。これによって先ほど申し上げましたように、
調査
あるいは
審問
あるいわ裁判所に証拠を提供して弁論に出頭する、こういうこともできないというけけなのであります。ところが同じ三十年の七月の九日付で、日本側の
政府
の大体態度が明らかになっておりますが、これは長いから要点だけを申し上げますというと、これらのロイ・ゲイノー海軍少将の申しました
意見
は、つまり日米合同
委員会
において合意に達していない
事項
である。そうしてしかもそれは一方的な解釈であるという態度が表明されている。こうなって参りますと、先ほど申し上げましたように、現に行われている労働者のきわめて不利益、あるいは
不当労働行為
あるいは
労働組合
に対する介入、基本的な人権の侵害、こういった問題がいわゆるどうやって、どういう
手続
で、どの機関で一体
組合
法の保護を受けると言われる、労働者の保護はなされるのであるか、この点を
労働大臣
から懇切に
一つ
御解明をいただきたいと思います。
倉石忠雄
21
○国務
大臣
(倉石忠雄君) 前回からこのことについていろいろお尋ねがございました。山本さんのきわめて最近のいろいろな御
調査
のお話がございましたが、
政府委員
の方からその後こちらの方で調べました経過もあることでありましょうから、一応それを先に御
説明
申し上げたいと存じます。
海老塚政治
22
○
政府委員
(
海老塚政治
君) 御指摘のございました二十二名の板付の労務者の問題につきましては、そのうちの十八名のものにつきましては、先般も御
説明
申し上げましたが、軍側との協定によります六十九号の
手続
に従いまして目下調達庁といたしまして、調達庁自身及び
関係
機関の御協力を得まして、果して当該労務者がいわゆる保安上の危険に該当し得るものかどうかということを
調査
いたしている次第でございます。で、この
手続
につきましては、あるいは御承知のことと思いますが、調達庁長官から軍側に、調達庁の調べました
内容
につきまして
報告
をいたしまして、その結果によりまして、十八名のものにつきましては、最終的に
解雇
あるいは復職というような結果を得るということになるわけでございます。調達庁といたしましては、今回の問題につきましては、十分慎重にこれらの
調査
を遂行するように努力をいたしているのでありまして、事柄がなかなか具体的な個人々々の問題でございますので、
調査
はむずかしい事柄であり、また慎重を期さなければならぬ
事項
でございますが、十分その結果につきまして軍側と折衝をするようにいたしたい、こういうように考えている次第でございます。
山本經勝
23
○山本經勝君 昭和三十一年二月二十九日集録として「板付空軍基地労務者九名に対する同基地OSIの
調査
及び付属協定第六十九号に基く十八名に対する出勤停止について」という冊子がございます。これは福岡県総務部渉外移民課から出しております。これはおそらく調達庁あるいは
労働省
等にはきていると思う。こういうのをごらんになっておるのですか、これは詳細に書いてある。
海老塚政治
24
○
政府委員
(
海老塚政治
君) 私の方には
組合
側からも当時の経過を記録した文書並びに県側からもそれについての
調査
の結果、その他
報告
がございまして、それらを十分検討いたしている次第でございますし、またその
内容
につきまして軍側にも十分連絡をとっているような状況でございます。
山本經勝
25
○山本經勝君 この問題につきましては、調達庁の方は、今の県からの
報告
といわれるものは、どういう
内容
のものであるのかさっぱりわかりませんが、こういうようなきわめて詳細な、しかも事件の
内容
を経過的に書いたりっぱな冊子になっている、これはおそらく
労働省
へもこなければならぬと思う。すでに前回においてこの問題を取り上げて、一応
調査
するということであり、ところがまだ今日まですでに二週間に近い時日が経過して
調査
ができないということで、今から
調査
するというようなことでは、全く納得がいかぬわけですが、この点
労働大臣
どうなんでしょうか。
海老塚政治
26
○
政府委員
(
海老塚政治
君) 先ほど申し上げましたように、この保安該当の嫌疑でもって出勤停止になりました者につきましては、六十九号の
手続
に従いまして、それが果して軍側の言う通りの嫌疑があるかどうかという点につきましては、軍側の方でもその後の
調査
をいたしておりますし、また軍側の方の
調査
と合せて日本側——調達庁でございますが、におきましてもその方々がどういう点において保安の容疑
事項
に該当するという点について
調査
をいたしておるのでありまして、その結果によりまして復職なり、
解雇
なりの
手続
をいたしたいということになっているわけでありまして、その
手続
はすでに当時問題が起りましたときから進めているわけでございます。この点少しも手抜かりはない、われわれはそういうふうに考えております。
山本經勝
27
○山本經勝君 それは手抜かりない、
調査
をしておるとおっしゃいますが、実は
内容
についてもこれは明らかに、たとえば問題になりました
調査
の担当の
事項
の中で大体六つばかりあります。福映協、それから社会主義に関する研究会、それからうたごえの会、読書会、それからリクリエーション幻灯会、こういったものについて県で詳細に
調査
をして、いずれもこれらが軍の保安上の有害なものとして判定する基礎にはならぬということを
報告
しております。そうしてそれに基いて知事が現地で
交渉
しております、司令官と。あるいは労務担当のローカルの
事務
所長並びに労務部長がそれぞれ
交渉
をしております。こういう状態で調達庁かもしくは
労働省
に
報告
がないということは言えないと思います。それからしかもその
報告
に基いて該当
事項
の
内容
がたとえば六十九号の協定の趣旨あるいは成文とどの点が合致するのか、この点に対する問題点の
調査
がなされておると言われますが、私はむしろその点で調達庁にいたしましても、
労働省
にいたしましても、日本の労務者を日本の
労働関係
法によって保護するのだと口には言いながらも、事実は怠慢に放任しておるというふうにしか受け取れません。今から
調査
をするのじゃなくて、この間から問題になっておるし、以前からしばしば問題になっておる。前の
国会
でも問題になって出ておる。ですからその状態についてどうも私ども理解がいかない。どういうような
調査
をなさっているのか、それも全くわかりません。これもちょっと簡単なものじゃない。いわゆる詳細な経過が書いてある。このような状態をもし
調査
をなさるならば少くとも直ちにできる問題であります。そうしてそれに基いて軍折衝をなされたと思いますが、全く今までのお話では今から
調査
する、今から
調査
するということで、てんで労働者自身の保護は考えておられぬような感じを受けるのですが、その点についてもう少し懇切な御
説明
を
大臣
から私は承わりたいと思います。
海老塚政治
28
○
政府委員
(
海老塚政治
君) その前に、ただいま申し上げましたように保安の
事項
に該当するかいなかということはこの事件ばかりでなく、すべての保安容疑の事件につきましては、日本側の機関におきまして
調査
をいたすことになっております。この事件につきましてはすでに目下
調査
中であるわけでございます。 なお山本先生の御指摘になりました文書につきましては私どもまだ受け取っておりません。ただそれ以外県から
関係
課長あるいは知事さん、部長さんの方々とも十分この問題については連絡をしておりまするし、その他の文書をもって県の方からもこの事件についてはいろいろ
報告
は参っておりますが、御指摘の文書につきましては、私ども調達庁といたしましても受け取っていない状況でございます。 なおお話がありました知事さん、県の担当官が、これは
不当労働行為
であるというふうなお話がございましたが、私ども県の方との連絡では、そういうふうに県の方で考えておられるということを承わってはおりません。 なお軍側との折衝につきましては、現地におきましてもあるいは
中央
におきましても、とにかく板付の問題のためにこういう事態が起っているのははなはだ遺憾なことでもありまするので、ただそういうことの起らないように、
調査
も慎重に適法にやってもらいたい、また
組合
側からもかくかくの事実、
報告
が出ているけれども、これらについてもしその通りであるとするならば、必ずしも適当な
調査
報告
とも考えられない節も見受けられるので、そういう点につきまして軍側の回答を承わりたい、というような趣旨におきまして、私ども
関係
当局とも折衝をいたしておる次第でございます。
山本經勝
29
○山本經勝君 なお詳細なことは
労働大臣
時間がないようですから、先に
労働大臣
に私ははっきり承わりたい。その点御了解願っておきます。 先ほど申し上げました
政府
の出している三十年七月九日の「合衆国軍人軍属の公務に関して起された訴訟において発せられる令状に服する義務について」先ほどこういう文書を省略いたしましたが、
大臣
に伺いたいのは、このいわゆる義務についてという正式な文書のようですが、どこが出したものなのかということと、それからこの
内容
についてこういうことが書かれています。先ほど読みました
議事
録を見たらわかりますが、「日本
政府
は前記引用文書一bに表明された合衆国の立場に
同意
出来ない。同文書は左記に引用されている既存の協定に係ることなく、実質的には両国
政府
間に合意された協定に反する新たな協定を実施しようと意図しているように見える」と書いてある。それからさらに「前記引用文書一bについては行政協定第十七号を修正する議定書第一項(b)及び同協定第十八条第三項の見地から合衆国軍人軍属は公務執行中になされた
行為
については日本国法令違反の
行為
に関する限り、合衆国当局のみならず日本
政府
当局に対しても責任を有する。」と書いてある。それから
労働関係
の問題につきましては、「労働問題を規律する
規定
及び所得税及び社会保障のための納付金の源泉徴収及び納付の義務並びに別に相互に合意される場合を除く外、賃金及び諸手当に関する条件のような雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに
労働関係
に関する労働者の
権利
は日本国の法令で定めるところによらなければならないとそれぞれ
規定
する第十二条第五項及び第十五条第四項がある。」こういうことがこの文書で正式に出ているのですが、これはどこが出されたのか、そうしてまた最高責任者という立場に立たれている
大臣
として、これほど明白な事実の上に立って、明らかにこの県の
報告
を見ましても、これは妥当な
解雇
でないと考えられる。それにもかかわらず、これをどのように守ろうとなさるのか。今から
調査
するということではなく、すでに一カ月になんなんとする出勤停止を受け、そうしてまた
解雇
を受け、不利益は県の労働者の上にのしかかっておるし、現実に困っている
実態
なのです。しかも裁判所には出てこない、労働
委員会
の
不当労働行為
の令状にも服さない、こういう状態で労働者は守られておらない。この点について
一つ
責任のある御
説明
をいただかなければ、国民自体が納得せぬと思います。
倉石忠雄
30
○国務
大臣
(倉石忠雄君) 今
最初
お読みになりました書類は外務省から出ております。それから
本件
につきましては、前回もいろいろお話がございまして、先ほど調達庁の労務部長から申し上げておりますように、これから
調査
しようというのではございませんで、それぞれ私どもの機関で
調査
をいたしておるのでありますから、なおその
調査
を促進させてみたいと思っております。
山本經勝
31
○山本經勝君
大臣
のお話はつまり今から
調査
をするというのじゃなくて、現に
調査
中であり、さらに
調査
を促進する、こういうお話ですね。
倉石忠雄
32
○国務
大臣
(倉石忠雄君) そうです。
山本經勝
33
○山本經勝君 そこで私は続けて伺いたいのですが、
調査
をなさって——今申し上げました事実は私のいいかげんで作ったものではない、公文書として出ている。米軍側の解釈と、それから日本
政府
の解釈、それから並びに県が出している
報告
書の
内容
とを関連させて申し上げている。ですからそういう事実に基いて、これが事実であったとしたならば、どのような措置を
大臣
はおとりになるのか。
倉石忠雄
34
○国務
大臣
(倉石忠雄君) 私の方としてはそれぞれ機関を持っておりますから、ただいま山本さんの御指摘になりました事柄が全部事実であろうと思いますけれども、私の方として
調査
の結果を待って、私の方から申し上げたいと思います。
山本經勝
35
○山本經勝君 そのそれぞれの機関といいますと、どういう機関になりますかね。
倉石忠雄
36
○国務
大臣
(倉石忠雄君) 御承知のように、私の方には調達庁の出先機関もございますし、
労働省
は
労働省
として労務
関係
のことについては
調査
いたす機関も持っておりますことは御承知の通りでありまして、その
調査
を促進させて結論を出したいと思います。
山本經勝
37
○山本經勝君 そうしますと、調達庁の出先がこれを実は作っている、こういうのを。これは
一つ
ごらん下さい。いいかげんに私作ってきたのじゃございませんから。
内容
は非常に詳細に載っているのですよ、これをごらんになったら——英文と対照して往復文書まで全部ついている。こういうものは調達庁の出先生言われるが、そこに来ないはずは私はないと思うのです。そうしてなるほど今度初めてというなら無理を申しません。しかし前回に問題になり、しかも昨年来問題になって、現に
不当労働行為
で福岡の労働
委員会
では令状を発しております。それに服しないのでは仕方がなく、
中労委
、きょう来てもらっているのですが、
中労委
の再審を要請している。こういう状態であって、しかも県は県でそれぞれ
調査
をし、折衝をしている。しかもこれが小さなリーフレットなんかじゃありません。冊子になったりっぱな
報告
書ができている。こういうものが私はこないということは、
調査
したのか、せんのかということを疑う。調達庁はどのように弁解されても、これは少くとも出先と
大臣
は言われるが、出先はどうなっているのか、状況を知らせいと言われれば、当然この
報告
書を送ってくると思う。それを
調査
をするのだ、あるいはしたなどと言われましても、これは
調査
をされたということにならぬと思う。どうなんですか、この点。
海老塚政治
38
○
政府委員
(
海老塚政治
君) 先ほど申し上げましたように、その冊子は
あと
で拝見いたしますが、ごく最近できたんじゃございませんでしょうか、私の手元にはございません。しかし申し上げたいと思いますのは、六十九号の
手続
によります
調査
、これは調達庁がやらなければならない、また現にやっているわけでございます。この問題ともう
一つ
は、これは六十九号の方は本人が保安要務に該当するかいなかということに対する調達庁長官の
意見
を徴するわけでございます。これにつきましては、先ほどから幾たびも幾たびも申し上げておりますように、全能力をあげて
調査
をいたしているわけでございます。もちろん県側ともその点につきまして十分連絡をとりつつやっているわけでございます。なお御指摘がありました裁判に対する、あるいは
中労委
、地労委その他に対しまする米軍軍人軍属の召喚の問題でございますが、これは御指摘のような交換文書、米軍から出ましたのは合同
委員会
におきまして、おそらく日本側の
政府
代表に対し、日本側の代表すなわち外務省に対しまして米軍の方から出された文書であると思います。また日本側のそれに対する
意見
は同じく合同
委員会
に対しまして——、日本側の代表は外務省の欧米
局長
でございますが、それから出されているわけでございまして、いろいろ裁判上の
取扱い
につきましてそういう風儀があるということを私どもも承知いたしているわけでございます。
山本經勝
39
○山本經勝君
調査
をする、
調査
をするというが、どうもどのような
調査
をなさるのか、さっぱり見当がつかない。しかもこの際
整理
された
報告
もまとまっているにかかわらず——この
報告
書はなるほど二月二十九日付になっておる。しかしながらそれから今日まででもすでに一週間をこえておるわけなんですから、少くともそうした
調査
の熱意と誠意がおありになれば、これは当然手に入ってくると思う。まあその点は一応
調査
について努力されるというお言葉を承わっておく以外にないでしょうが、そこで
大臣
にさらにお伺いしておきたいのは、日本合同
委員会
の合衆国代理者は、代表としての資格を持った海軍少佐のゲイノーという人が、合衆国軍人軍属が公務中にやった
行為
については、合衆国軍当局に対してのみ責任があると言っておる。この考え方に基いて、日本の労働法による
不当労働行為
の判定があって、そうして令状が執行された、ところがそれに従わない、こういう事態が現に起っているのですが、最高責任者という立場で、
大臣
のこの点についての御解明をお願いしておきたい。
倉石忠雄
40
○国務
大臣
(倉石忠雄君) 専門家の
政府委員
の方から御
説明
申し上げる方が間違いがなくていいと思います。
海老塚政治
41
○
政府委員
(
海老塚政治
君) これも、あるいは私調達庁の労務部長として
説明
するのが適当であるとは思いませんが、軍人軍属の日本の裁判権に対しまする
関係
ということは、これは
一つ
の国際上の問題でございますので、日本
政府
の立場といたしましては現在合同
委員会
でこの問題が、御指摘の文書の交換にありますように論議せられているのでございます。あるいは他の適当な法務省なり、あるいは外務省の方からその点についてはお答えをするのが筋だと思います。
山本經勝
42
○山本經勝君 私の申し上げているのは、
大臣
によく御理解できていないのかとも考えますが、すでにしばしば表明されたように、この
委員会
において駐留軍労務者、間接雇用であれ、直用であれ、それらの日本国民である労働者に対しては、日本国
労働関係
法が保護をするものであるということは言明された通りである。そうしますと、今申し上げたような形において、現に首を切られ、あるいは出勤停止となって生活に窮する現実の労働者は、どうして
労働大臣
は保護なさるのか、これは基本的な問題として
事務
的な担当者じゃなくして、
労働大臣
から責任のある御答弁をいただきたい。
倉石忠雄
43
○国務
大臣
(倉石忠雄君) 日本の労働法が駐留軍労務者に対して保護を与えるということは、これは当然なことであります。ただ、今
政府委員
から申し上げましたような軍との
関係
で、御承知のように、私どもの方から労働法上見てどうかと思われるような案件についていろいろトラブルがある場合がしばしばありました。そういうことについての
法律
上の係争が始まってくるような場合に、ただいま申し上げましたような裁判管轄権の問題等でいまだに円満にそういうことが運ばれないでおるのを、われわれ非常に遺憾に存じまして、そういう点についても何とか解決をしたいということが、御承知のようにしばしば日米合同
委員会
で問題になっておるところであります。労務基本契約などにつきましても、そういう意味から私どもは改訂について努力を続けておるわけでありますが、しばしばここで申し上げておるように、労務基本契約の改訂もいまだに実行にならないということで、私どもの方では一日も早くこれが改訂ができますように努力をいたしておる、こういうのが現状であります。
山本經勝
44
○山本經勝君 この努力をまあされているでしょう。しかしながら、その努力が、すでに昭和二十八年に例の占領当時の日米労務基本契約を改訂する調印がなされた。ところが付属書の四項にわたるものについての未解決の部分があるということで実効を発しないということは、前回にも申し上げ、また質問した点ですが、その後すでに三年になんなんとしておる。その間占領下の当時のやはりアメリカの一方的にきめて押し付けた基本契約を中心にして労務
管理
がなされている、こういう現状だと私は思うのですが、その後における努力の状況を、これは詳細に
一つ
大臣
から承わりたい。
海老塚政治
45
○
政府委員
(
海老塚政治
君) 直接
事務
を担当しております私から申し上げた方がいいと思います。この前この
委員会
で申し上げましてから、さらに最近——ごく最近でございますが、軍側にこの点を申し入れたわけでございます。この前の当労働
委員会
で御
報告
いたしましたように、日米合同
委員会
を通じまして基本労務契約の新契約への移行についての問題を至急促進するように、ことにアメリカ側の考えておりまする改訂案の
内容
につきましての具体的な点の措置を日米合同
委員会
に対していたしておるわけでございます。その結果アメリカ軍といたしましては、それぞれ
関係
三軍に対しましてその後の
意見
の調整をいたしておるわけでございまして、つい最近これの直接担当でありまするJPAの契約担当官のもとに参りましたところ、問題はなかなかむずかしい点もあるけれども、とにかく自分としてはこの新契約を締結することを自分の大きな仕事の
一つ
と考えておるので、三軍との
意見
の調整をはかり、また
意見
の調整が困難な点につきましては最高司令官の判断を仰いで、懸案
事項
についての軍側の意向をできるだけ早くまとめるようにしたいと、こういうことを申しておる次第でございます。今まで三年の年月がかかってできなかったものが、早急にただいまの言で解消するというような甘くは私どもも考えてはいないわけでございますが、契約担当官を中心といたしまして、そういう意気込みで軍側も軍内部の
意見
につきまして取りまとめ中でございますので、軍側の
意見
のまとまり次第、当調達庁に対しても案の提示があるとは思っておるわけでございますので、そういう線に沿いまして新契約の締結な促進するようにいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
山本經勝
46
○山本經勝君 先ほど引用しました文書について、昭和三十年五月十三日付合同
委員会
の合衆国側覚書、合衆国軍人軍属の公務に関して起された訴訟について発せられる令状につき服する義務についてというのが同月十九日の合同
委員会
に提出されておるというのですが、その審議はどのように進行しておるのでしょうか。
海老塚政治
47
○
政府委員
(
海老塚政治
君) 私その
委員会
の
委員
でもございませんし、あるいは外務省の方にお尋ねにならないと、その後の状況は私どもとしては今のところ存じておりません。
山本經勝
48
○山本經勝君 調達庁の方は、むろん外交
関係
、それからまた
法律
解釈等、つまり法務
関係
の問題について直接
関係
がないということは、一応わかります。しかしながら、労務者の保護という立場に立てば、これはやはり
関係
各当局との間の
意見
の調整もなさろうし、また
事務
的な連絡が私はあってしかるべきだと思う。ところが、ただ自分のところで直接管掌する問題でないということでほうられておるところに問題の進行がおくれておる、こういうことがあるのではないかと思う。で、調達庁は当面のやはり労務者の労務提供なりあるいは直用の問題についても労働者を保護するという
政府
の立場に立っておられるのであるから、勢いその間の状況については、これは当然連絡なり調整をなさると思うのです。これはきわめて調達庁としては怠慢であると言わなければならぬと思うのですが、その点はどうなんでしょう。
高野一夫
49
○高野一夫君 今の質問に関連して、私実は時間も切迫しておるので、
議事
進行を出したいのですが、せっかく山本さんが質問されておるので
議事
進行を出すのは遠慮しますが、要するに私も
労働省
、調達庁のあり方について少しおかしい点があると思う。先ほど来山本
委員
が質問されておるその重要なる資料になっておる印刷物、それが社会党の山本
委員
の手元にはあって、
労働省
、調達庁には来ていないとおっしゃるのか、あるいは事実来ていないのか、どうもその点はっきりしない。しかも先ほど倉石
労働大臣
は、せっかくその文書があるなら借りて見たらいいじゃないかと言われるけれども、だれ一人見せて下さいといって文書を手にとって見る人が一人もいない。こういう点は私は、外務省あるいは
労働省
、調達庁、このまたがった
関係
を持っておる問題を真剣に
調査
研究しておる態度とは言えないと思う。従って私は、これは山本さんにもう
一つ
御相談しなければならぬのでありますが、もう少し
労働省
と調達庁と外務省が十分お打ち合せの上で、ああいうような資料も、お手元に来なければ、お借りになってごらんになって、その上でちゃんと質問に当るような答弁をなさる機会を次までお延ばしになったらどうかと思う。これはほんとうは
議事
進行で私は申し上げたいのでありますが、まあ一応遠慮して申し上げる、この私がそういうような考えを持つということについて、
労働省
なり、調達庁なりはどういうお考えをお持ちであるのか、それも私はあわせて伺いたい。
倉石忠雄
50
○国務
大臣
(倉石忠雄君) 山本さんの
最初
のお尋ねについても、同時にお答えになるかと思いますが、ただいまの御
意見
まことにごもっともでございまして、二月二十八日でありますか、そのときに県庁ですか、出された書類というものが、私の方へ——私の方ではこの前の
委員会
もございましたし、十分この点は
調査
をするように命じてあるわけでありまして、県で出されたそういう書類、しかも県と調達庁との間に緊密な連絡があるはずでありますから、ことに福岡には調達庁の出先機関があるわけでありまして、そういうにもかかわらず、そういう書類が来ておらないということについては、確かに手落ちであると思います。私の方からなおこの
調査
の促進方を要望いたしまして、事態をすみやかに明白にするようにいたしたいと思いますが、ことに合同
委員会
において、ただいま海老塚労務部長が申し上げましたことは、山本
委員
の御指摘になりました事案の折衝状況を詳しく存じておらないという意味のことを申し上げたのでありまして、日米合同
委員会
にはそういう
関係
に関しましては、調達庁長官が
出席
することになっておりますから、私の方ではそのことについて十分な緊密な連絡がとれているということは言えると思います。外務省が担当いたしておりますしさいな件について、あるいは連絡の手落ちがあったかもしれませんが、大体において労務
関係
の問題は調達庁——ことに三法に関しまして、
労働省
としては労働者保護の立場にあるのでございますから、そういう点については、なおただいまおしかりがございましたが、その点は十分私から注意もいたしまして、なお本案につきましては
調査
を促進させることはもちろんのことでございますが、そのお示しになりました書類なぞについても、早急に
一つ
調査
をいたしまして、何らかのこれに対する態度を早く
政府
としてきめるようにいたしたいと存じます。
谷口弥三郎
51
○
理事
(
谷口弥三郎
君) ちょっと
速記
をとめて……。 〔
速記中止
〕
谷口弥三郎
52
○
理事
(
谷口弥三郎
君)
速記
を起して。
山本經勝
53
○山本經勝君 これは
関係
各省間で話し合って、それで直接
関係
のある
労働省
、それから外務省、調達庁、それにやはり法務
委員会
も正式に
委員
派遣をして、現地
調査
をしておりますから、法務
関係
も含めまして、
一つ
御協議を願って、問題はこのいわゆる何といいますか、非常に重大だと思います。単なる資本家と労働者という
関係
よりそれを越えた大きな問題だと思います。そういう意味において十分真剣に
一つ
御相談をなさった上で、次の機会でけっこうでありますから、
一つ
具体的な経過と御
説明
をいただいて、やはりこれは納得のいくように
一つ
御協力いただきたいと思います。その点お願いを申し上げて、私のこの基地に関する質問を一応保留したいと思います。
倉石忠雄
54
○国務
大臣
(倉石忠雄君) ごもっともなことでございますから、至急にそういうふうに取り計らうことにいたします。
谷口弥三郎
55
○
理事
(
谷口弥三郎
君) それでは本日の審議はこの程度で終りたいと思いますが……。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
谷口弥三郎
56
○
理事
(
谷口弥三郎
君) 次は今月十五日に次回をやることにいたします。 それではこれで散会いたします。 午後一時六分散会 ————・————