○竹中勝男君 次官もそのままおっていただきたいと思います。それから療養所課長さんも見えておりますね。
この
委員会の決定に基きまして、私は二月九日、十日の両日、京都療養所と大阪療養所それから大阪厚生園の三個所に視察
調査に参りました。大阪の千石荘についても視察したいと思いましたけれ
ども、どうしても時間の都合上行くことができませんので、大阪療養所に来ていただきまして御
意見の一部を伺いました。実情の一部を
調査さしていただきました。これはもう詳しく申し上げればこの袋一ぱいのその当時の
調査の
資料がありますけれ
ども、要点だけを皆さんに、もうすでに御了解のことですから申し上げますと、京都療養所においては六百十一名の重症
患者があります。
〔
理事山下義信君退席、
理事谷口
弥三郎君着席〕
それで最近私の参りましたときには、七十人のつき添い婦がおられました。常動の定員は三十名であります。うち二十名がすでに決定いたしております。この二十名を全部つき添い婦からとっておられました。残りの十名は三月上旬になるべくつき添い婦の中から適当なものを選んで常勤にするという意向であります。しかしながら、大半のもの、約五十数名のものはまだ転職の見込みがついておりません。
施設は相当改善されております。インタホーンの設備とか
手術回復室を
手術室の近くに移転しておる、あるいは車
患者の室内の段取りも相当合理的に配置されております。電気せんたく機その他給食に関しても複式献立てを作って改善のあとが見られております。こういう点についてはあとで総合的に申し上げます。
大阪療養所におきましては現在つき添い婦が八十七名おります。常勤は三十八名であります。そのうち十五名の採用が決定いたしております。十五名はすでに切りかえられております。ところが、ここでは十五名のうち十二名はつき添い婦から選ばれておりますけれ
ども、三名がほかからとられております。ここにおきましても各種の設備の改善については
最大の努力が払われておるということを私は認めました。いずれも先ほど言いましたインタホーンそれから病棟の移転、重症
患者の病室の改善、そういう点について、また、給食
施設の改善、こういうことにも相当努力が払われておるということを私は認めました。
それからもう
一つ、大阪厚生園、これは割に小さい
施設でありまして、三百四十六名収容
患者がおります。ここでは全部切りかえが済んでおります。すなわち常勤定員十六名であります。そのうち十五名まではもはや定員化して、これは全員つき添い婦からとっております。一名が今これもつき添い婦からとるようになっております。全員ここは切りかえが行われております。設備の改善につきましても、暖房それから温食の給与、インタホーン、重症
患者の病棟移転、せんたく機な
どもいずれも同じようにできております。
それぞれつき添い婦の代表、それから
施設長初めこの経営者のグループ、職員のグループあるいはつき添い婦のグループ、
患者の代表グループなどいずれも四つぐらいの団体とそれぞれ別のところで、あるときは一緒のところで、この三個所の
施設において
意見を聞き、希望を聞き、問題点を述べてもいらいました。詳しいことは
資料を差し上げます、その方がいいと思いますので。こういう視察の結果結論を五つ、六つ私は得たのであります。
それでただいま申しました
通りに、第一は常勤への切りかえについては、各療養所大体にその設備の改善ということには努力をしておる跡が見えます。病棟の移転をしたり、病室の模様がえをしたりの準備もしております。また実行に移しておるところもあります。ところが何分現在国立療養所というのが相当戦時中の粗末な建物でありまして、必ずしも現在のような計画のもとに結核
患者の療養所として建設されたものでありませんために、その上すでに戦時中のこの粗末な建物のために老朽あるいはいたんでおるところが相当激しいのです。または二階建が、大阪療養所にいたしましても、厚生園にしましても、あるいは京都の療養所にいたしましても木造の二階建があります。そうして、なかなかこれを改善しようと思ってもできないような建て方の粗末なものでありまして、私が
調査中に、風が吹きますともうその場で私は建物が倒れるのではないかと思うような状態です。ことに大阪の療養所ではこの二階建を重病
患者の病棟に切りかえられまして、そうしてリノリウム——あまりがたがたしますのでリノリウムを床に張っておるような状態ですけれど、リノリウムを張ったくらいではなかなか音響が、ガタピシする音響というものはなくなりません。安静を要する重症
患者はこういう所で落ついて療養するこということができません。二階は少し軽症のものがおりまして、下には
手術した
患者がおります。これは
最大の努力をしておるわけでありますけれ
ども、努力するにもかかわらず現在のこういう建物の設備では改善ということが容易でないということに気づきました。ことに、調理場とか給食設備というものが、どこにおいても調理場が相当遠くにありまして、それを運搬してくるその道が悪い、運搬車が悪い、そのためにつき添い婦の仕事というものに重要な仕事が食事を作り直すこと、これをやり直す、あたためるあるいは
患者の口に合うようにしてあげる、こういう行き届いたことですが、
一つは運搬されてくる、療養所で作るところの給食がどうも場所からいい、その設備からいって、
患者にまだ十分の満足を与えていない。栄養の上からも、あるいは食欲の上からも、それでそういうことにつき添い婦さんが非常にお骨を折っておるというような状態、これがなくなることを
患者は非常におそれておる。はたして常勤の看護人でこういうことまでは行き届くかどうかということについて、非常に不安を与えております。それから
手術後の
患者が四人あるいは六人、
一つの部屋において、インタホーンをつけられて、そしていつでもその常勤の看護の人たち、つき添いの人たちが動けるようにはなっておりますけれ
ども、気持の上で、こういう設備の中で、たとえば風が吹きますと建物が悪いですから、紙が飛ぶことがあるのです。自分がその紙を拾ってくれというようなときに、わざわざインタホーンで呼んで紙を拾ってもらう、
一つの例ですが、そういうようなささいなことについて、十分常勤者にはできないのじゃないかという不安を持っております。これが
一つの点です。現在二千二百二十七人の常勤者、四千人ほどいたところのつき添い婦が二千二百、半分になって、これを訓練して模様をかえて、あるいは設備をよくしていくならば、あるいはこれでいいかもしれないのですけれ
ども、こういう条件のもとでは、どうも二千二百二十七人という数字ではこれは絶対的に不足しておる。私
どもはそういう印象を受けました。それから四千人のつき添い婦の中から定員を満していくようにという原則が必ずしも守られておりません。この点について、私はいろいろ聞いてみましたが、大阪の療養所におきましても、新規のもの、まだあと四十、五十人ほどいる中で、どうして新規の者が入ったかということについて、現在いるつき添い婦さんの中に非常に不満があります。これはいろいろ情実があって入ったのだということまで言っておりました。こういう点については、必ずしも一方的にそうだとも信じませんけれ
ども、とにかくつき添い婦の中から定員を満していないということにつきましては、配置転換の上に問題がすでに起っておると思います。従ってこれはどうしてもつき添い婦の中に、少くとも一年
程度はつき添い婦から定員を満していく。そしてどうしても都会が悪ければ、さらに考慮していくというような、こういう段階を踏んで、配置転換においてはつき添い婦を優先的に採用するという原則を曲げないようにしてもらいたいと思いました。
第三の点は、こういう過渡的の段階では、ことに切りかえの過渡的段階では、すなわちここ数年間は、少くとも現在の定員の数、二千二百何十人というもので、看護の完全を期するということについては、不足しておるということを認めました。それではどれくらいが不足しているかということについては、客観的に私がこれをどうするというような根拠においてということは今申し上げられませんけれ
ども、少くとも現在の定員の二割
程度の常勤者に準ずる
ワクが必要であろうと見て参りました。こういう二割といいますと、まあ四百人くらいという数を一応出したわけでありますが、この常勤定員外に二割くらいの定員の
ワクを何とか当局としては確保していただきたい。そうしておのおの出張所長の手元にそういう
ワクを置かれて、各療養所に機動的に必要に応じて配置できる、そうして
施設長の配下にこれを置くという、こういう組織のもとにおいて二割
程度の
ワクを少くとも確保されておくことが切りかえを円滑に進め、常勤制度を将来において完全看護の重要な要素として確立していかれる上に必要であると私は
考えて参りました。
こちらに帰りまして伺いましたところで、二月八日付で当局から通牒が出されております。そういう設備が十分整わない、準備が十分整わない前に、無理に常勤の定員に拘束されてしまうことがないようにというような
意味の通牒が出ておることを
承知いたしました。また二百八人ですかの
ワクもできておることを
承知いたしました。そこできようできれば御相談願いたいことは、さらに二百人ほどの定員を看護券の形で社会局あるいは
保険局の手元から出していただけるようにすれば、大体切りかえ時における二割
程度のつき添い婦がさらに仕事を続けていくことができ、そして病院、療養所経営の上に支障がより少くなるのではないかというように見てきました。
〔
理事谷口弥三郎君退席、
理事山下義信君着席〕
こういう費用の点においては、追加予算によっても措置できるのではないかと思いますし、現在の予算の中でも多少こういうものが追加できるのではないかと思われます。
以上が要点でありましたが、聞くところによりますと、各所で相当やはり無理にと見られるような、そして急いでもうあなたがたは要らないのだ、もう今月限り、二月限りであなた方はこの療養所に入ってきてはいけないのだというようなことを、そういう究気が出ているところも、これは私の
調査したところではありませんから確言いたしませんけれ
ども、聞くところによりますと佐倉だとか豊中というところではそういうような
施設長の態度があるということであります。しかしこれは厚生省の意向に反することであろうと私は見ております。詳しいことは申し上げませんけれ
ども、そういう四つほどの結論を出しておるわけであります。できるだけそういう点について、他の
調査の
報告も聞きました上で御相談したいと思っております。