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1956-02-03 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月三日(金曜日)    午前十時四十六分開会   —————————————   委員の異動 一月三十一日委員具根登君辞任につ き、その補欠として藤原道子君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。   委員長      重盛 壽治君   理事            高野 一夫君            谷口弥三郎君            山下 義信君   委員            草葉 隆圓君            榊原  亨君            寺本 広作君            深川タマヱ君            相馬 助治君            竹中 勝男君            藤原 道子君            山本 經勝君            田村 文吉君            森田 義衞君   政府委員    調達庁労務部長 海老塚政治君    厚生政務次官  山下 春江君    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省保険局長 高田 正巳君    厚生省薬務局長 森本  潔君    労働省労政局長 中西  實君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○労働情勢に関する調査の件  (駐留軍労務者労働問題に関する  件) ○社会保障制度に関する調査の件  (新医療費体系に関する件)  (附添看護制度廃止に関する件) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  労働情勢に関する調査の一環といたしまして、駐留軍労務者労働問題に関する件を議題といたします。  労働省及び調達庁当局から最近の実情について説明を聴取いたしたいと思います。
  3. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 最近駐留軍労務者につきまして問題になっておりますのは、昨年末以来キャンプ神戸SG勤務時間制に関しまして、軍側から新しい勤務時間を実施いたしたいということに対し、組合側が旧勤務時間制をもって継続したいということから紛議が起りまして、一月十六日からキャンプ神戸SGストライキに入りまして、現在未解決のままスト態勢が継続している状況でございます。この問題は実は昨年末からの問題なのでございますが、従来SG勤務時間は週四十八時間でございましたところ、軍側といたしましてはそれを四十時間三十分にいたして、新しい勤務制を一月十六日から実施いたしたいということになったために紛議が起ったわけでございます。この問題、調達庁といたしまして、すでに組合側ストライキに入りましてから二週間以上にもなりますので、できる限り早い時間に解決いたしたいと思いまして、兵庫県庁並びに座間にあります陸軍司令部等連絡いたしているのでございまするが、特に昨日来現地におきまして兵庫県知事現地司令官でございまするコロネル・シュレーダーとこの早期解決につきまして会談をいたしました結果、本日引き続き県当局並びに軍当局との間で話し合いが続けられているのでございまするが、軍側といたしましても、予算の許す限りにおきまして新しい勤務時間制のもとにおきましても、現給を保障する休日出勤その他の処置を講じたい、こういうふうに申しておりまするし、組合側といたしまし七も四十八時間制をあくまでも維持する、主張するというのではなく、軍側との話し合いの結果によっては、やむを得ない限度において若干の労働時間の短縮を認めるというような線もございますので、この二、三日の動きによりましては解決できるのではないだろうか、こういうふうに判断をいたしているのでございまするが、いずれにいたしましても、私どもといたしましてでき得る限り早期にこの問題を解決するように、軍当局並びに兵庫県の方と連絡をとりまして善処いたしたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  4. 山本經勝

    山本經勝君 ただいま調達庁当局の方からお話しがございましたが、実は月三十日に当委員会重盛委員長の方から、本日この兵庫県にありますキャンプ紛争について正式に委員会審議に付するということで、一応事前現地状況を見てこいという御指示をいただきまして、実は三十一日に現地に参りました。そこで第一番に県当局といろいろ状況について話し合ったわけでございます。ちょうど十時から兵庫県知事室知事並びに寺畑総務部長佐藤外務課長、当面の関係者皆さんと話をし、かつ軍側に会っていろいろ事情もまた聞く必要があると考えましたので、県当局の方と軍側との会見等についての打ち合せをやっていただきました。それで一時からシュレーダー大佐という兵庫キャンプ司令官会見をいたしました。そこでこの調査をするに当りましては、大体県から出されておりますSG勤務時間制変更をめぐる労働紛議交渉経過概要というのと、それから兵庫地区本部、これは全駐労の方で出されておりますが、警備関係SG支部争議概要、こういう二つ資料を中心にいたしまして関係者意見を聴取し、あわせて最後的に集約をしたものであります。  第一、この原因となっておりますのは、昭和三十年の十二月の二十八日に、キャンプ兵庫駐留軍側から警備隊勤務時間制の変更について甲子園労管事務所あて通告があったのであります。ここでちょっと御説明を申し上げておきたいのは、この警備隊というのは駐留軍労務要員として国が提供した、つまり日本政府雇用してこの日本人労働者を供給しているわけでございます。これによって構成されているわけでございます。でその際、軍側から通告した内容は、先ほど調達庁から言われたような概要でございますが、やや内容について申し上げておきますと、一週間四十八時間という勤務制変りはございません。一当務というのがありますが、一当務というのは給与の対象になる時間であります。この時間が大体十六時間、従来ありましたのはそういう形で、その中で実際に働いておる時間は監視の断続業務でありますから十二時間で、これがたとえば四回あるいは三回というふうに三時間ずつある一定の休憩の時間をはさんでやっておるわけでございます。この時間が十二時間で実働時間と申しますが、実働時間はゲート等に立って歩哨勤務をやる。あるいは所要の地域を常に巡回していわゆるこれを動哨と称しておるようでありますが、そういう時間が実働として十二時間、そのほかに四時間の手持ち時間というのがある。この手持ち時間と申すのは、いわゆる交替のときに要する交替時間、あるいはこれらの業務につくために必要な条件を備えるために訓練がなされている、その訓練をする時間、あるいは清掃、兵器、被服の手入れ、こういったようなものを含めまして四時間、従いまして実労働の十二時間と手持ち時間の四時間・合計十六時間がこの一当務と称する二十四時間交替勤務条件なんです。そこで今度軍の方で変更するというのは、一週間を四十時間と三十分、それから一当務を十三時間と三十分、それで実働変りがなくて十二時間、これは先ほど申し上げた立哨動哨等に費す労働時間、それから一時間半の交替時間を考慮に入れまして一時間半の手持ち時間というのをおいた。こういうふうにしますというと、賃金が事実上下ることになって参るのでございます。この際、その低下する賃金の額をカバーするために週休日の休日出勤を認めるということを申しております。そういうような状況でありますけれども、実際上組合側の計算によりますというと、一当務の十六時間が十三・五という時間に下げることによって生ずる自然の賃金切り下げ月収にしまして二千円ないし三千円に上るというわけでございます。しかもそのことを軍が一方的にきめて押しつけてやるというやり方と、一つ県当局の強力な交渉態度がない、この点を非常に不満にいたしていると思われました。  それから組合が右のような通告に対して、三十一年の一月三日兵庫県の県当局に対しまして従来の通りやってほしいのだということと、かつ県当局軍側との再協議要請するという意味で強力に要請をいたしております。そこで一月四日に労管事務所を通しまして県当局から軍側に申し入れをいたしましたが、満足な回答が得られず、かつまた三者の協議をしたいという要望、すなわち軍と県と組合、こういう三者でもって、当事者間で話し合うという民主的な方法要望しておりましたが、このことにつきましても実際上なされておらず、時日が経過して九日になってしまいました。そこでその間はただ文書の往復にとどまっておりまして、具体的な内容に関する話し合いにほとんど見るべきものがございません。一方これに並行いたしまして組合側では、委員会並びに大会等の開催によりまして慎重な討議を重ねて参りました。そこで一応軍の提案についても考慮するところもなくてはならぬという建前から、一応組合側もそれでは譲歩案をまとめようじゃないかということで一つの結論を得て参りました。そこで一月十日に県の佐藤外務課長にこの案を組合側が提示をいたしました。その内容を申しますというと、一週四十八時間には変りはございませんが、一当務十四時間に下げる、従来は十六時間であった、それを二時間譲歩をいたしまして十四時間、しかし実働は先ほど申し上げた形における十二時間でございます。それで手持ち時間というのは短縮されて二時間、こういうところに一応譲歩をしたのであります。それからまた現行給与月収総額において維持する、そういう建前、それから週休日の出動については軍が言っている週休出勤を認めることによってカバーできるということだけでなくて、その裏に別の意図がありはせぬかという点に疑いを持っておりました。そういうことから、この点については別途協議をしたのです。そこで、こういう趣旨基礎として、軍、県、組合、この三者の会談の機会を得るなれば、さらに検討をする用意があるのだと、こういう趣旨のものでありました。ところが、この案につきましては、佐藤外務課長から一月の十日に軍側労務連絡将校といわれるバーグナー少佐に手渡して、さらに説明を加えた模様であります。ところで十一日さらに佐藤課長は、副司令官ハイケル中佐会談をいたしました。当日はバーグナー少佐がいなかったので、ハイケル中佐バーグナー少佐に対しまして電話でいろいろ話したようでありますが、ここに立ち会っておりました佐藤課長等もその実情についてはよく存じておられました。で、そのときの回答は、組合協議する考えは今さらないということを非常に明白に言っておりました。さらに軍側は既定の通り十六日から実施するのであると、ここではっきり言明をいたしたわけであります。従って県当局としましても努力をして参りましたし、組合譲歩案を提案して協議をするという態勢にあったにもかかわらず、非常な大きな食い違いが実は生まれたわけであります。これにつきまして、副司令官はいろいろ言っておりました。感情の行き違いとか、いろいろ不備な点があった。その点は遺憾であったということを申しておりましたが、そういう状況で最悪の事態になった、こういうふうに観察いたしました。そこで県当局としては、さらに何らかの方法事態の収拾をはかりたい、こういう考えで、一応県独自の案をまとめたようであります。その内容は私承わっておりません。軍側に一応提示しましたが、この中で重要なことは、十六日から軍案を徹底的に強行するというのでなく、協議期間を与えよ、そのために必要な、十六日以後四、五日間の協議をする期間を与えて、その期間軍案実施について延期を要請したのであります。この条項が軍側としてもだめだということで一方的に拒否をいたしております。そこで、軍側のこうした一方的なやり方と同時に、今まで人員整理あるいはこうした労働条件勤務条件といいますか、こうしたものの切り下げに当りましては、軍側が一方的に決定をして、それを県当局に押しつけ、県もまた泣く泣く組合に了解を求めたという姿で、この事態を繰り返すということに非常に大きな不満があるわけでございます。そういう形でもって、先ほど調達庁からお話がありましたような実力行使が十六日の午前十時から行使されて、二月一日現在までに三百七十八時間というストライキが継続されておる実情でございます。そこで、このストライキに参加しておる人員は、大体六百名で、これは神戸キャンプ警備員全員でございます。さらにこのころと時を同じゅうして大阪にも同様の事態が発生いたしました。そこで、この大阪のは約百名でございますが、これらの問題につきましては、神戸キャンプの係官あるいは憲兵隊現地に行きまして、一人々々これらの警備員を部屋に呼びつけておどかしたり、あるいはお前たちはこういうことをすると首切りもやるぞ、あるいは好ましくないというわけで、処分があるのだというようなおどし文句を並べまして、これを切りくずしたというような事例も残っております。こういうような状況であります。  大体軍側組合主張点の相違というのは、基本的には軍の言う時間制変更に伴い賃金が下るという点が、現実的な問題としてはやはり大きな基礎的な課題であろうと、思います。ところが軍側に言わせますと、週休日出勤によって月収切り下げにならないという見解をとっております。この算出基礎については、必要ならば何どきでも資料を提供するということを言っておりました。  ところが問題は、こうした点に問題の難点があるのではないということを調査の結果明らかになし得た点だと思います。そこでどういう点かと申しますと、第一番に、軍側勤務時間制度変更の事由として最初あげてきたことは、作業量が減少したのだ。要するに人手が要らなくなってきたのは自然の作業量の減少ということで主張してきております。これは従来あった手持時間の四時間のうちの約二時間の訓練時間は今日は不要になったという主張でありまして、これを強く押しておったことは県の佐藤課長等もよく話された点でございます。それが、一月末ごろからこうした主張が変って参りました。最近は、私も司令官から伺ったのでありますが、もっぱら軍の予算削減によるものである。こういうふうに主張が変った、この主張基礎が変ってくることが、組合側が受け取った印象といたしましては、少くとも一つ理由がどうもうまくないということになってくると、そのときどきに都合のいい理由理由づけとして、いろいろな条件切り下げあるいは人員整理等を強行するというやり方、こういうやり方が、ある意味では軍の持っている権力を背景にして決定して押しつけてくるという印象を非常に強くいたします。しかもそのときどき都合のいいようなことを言うようなことは、信義則に反する不信行為であるということで、強くこの点は非難しております。  その次に問題になる点は、納得のいくような協議をやっていない、つまり安易な権力解決に終始していった。このことは元来駐留軍労務者は国が当該都道府県雇用をさせて、そうしてこの雇用された人員を軍に提供して、その労務管理米軍の手でやっている。こういうふうな姿から、非常に困難な状態にあるのであります。労働基準法からこの問題を考えて参りますと、雇用労務管理とはいずれも両面にまたがっている。労働基準法の及ぶ当然の規制は、労務管理の面にも雇用の面にもあることは明かでございますから、こういう点につきまして、少くとも基礎的には当事者である雇用者と、あるいはこれを管理している軍と、それから組合との三者の同意か、あるいは協力がない限りこの労務関係は円滑にいかないということが率直に言えると思うのであります。こういう協議等は民主的な方法でやられるというふうにならない限り、この点の基本的な問題の解決は困難ではないか、かように考えるわけでありますが、特に軍の一方的な押しつけを、従来は当該都道府県におきまして、あくまでも泣き寝入りの形で受け入れ、そうしてそれをもっぱら県当局あるいは都道府県当局は、組合に対する協力要請となって終始している、こういう状態であります。ところがこれを軍をして言わしめますなれば、上級で、つまり自分のところで単独に計画するのでなく、最高司令部から計画を立てて、計画の指令によって伝えてくる資料のワクに閉されて実施するという関係があって、協議をすることは悪いことではないけれども、またやりたいのだけれども協議をして変更し得るような状態でないのだということを難点といたしております。特にその他この点つけ加えて言っておりましたのは、軍が権力日本人労務者を酷使しているというようなことはやってはおらない。それからまたそのようなふうに国民に受け取られることは最も迷惑だし、また困る点だということを強調いたしております。  それから一月二十六日に軍が日本通告いたしました九十一名の人員整理の問題、たまたまこうして非常に紛争が、解決困難な状態に追いつめられている矢先、こうした人員整理を重ねて打ち出したということにつきましては、組合側からいいますというと、これはあたかも組合の活動に対する弾圧策である、軍に協力しない者は解雇をすると言う。こういうふうな実情で、非常にこの解決に困難いたしていることは見逃せぬところだと思います。こういう点につきまして、県当局もいろいろと努力をしたようでありますが、いかんともならず今日の状態になっている。しかもこの人員整理につきましても、事前協議は何らなされておらない、この点実は特に司令官に対しまして私申し上げたのですが、かりにそれだけの人員整理をするなら、問題が起るだろうと予想されるならば、県当局に対しては、少くともこういうふうにやろうと思うのだと言うことがどうであろうか、適当じゃないかということを言ったわけでありますが、それは全くその通りである、今後はそういうふうにしたいということを言っておりました。こういうふうな状況で非常に困難な問題があり、しかも先ほど申し上げましたように、問題の渦中で権力を利用して、いわゆる大阪における争議の切りくずしをやったというような点が非常に問題だと思う。ところが軍側をしてこの点言わしめますと、予算削減に伴って賃金引き下げか、あるいは人員整理か、どっちか一つ選ぶ以外になくなっているというのでありますが、先ほど申し上げましたように、勤務時間制変更理由、あるいは人員整理理由をこういうふうに転々と変えていくという点は非常に問題であるといたしましても、一応言い分といたしましては、軍の予算削減ということが事実問題として賃金引き下げか、人員整理二つのうちいずれか一つを選ぶほかはなかったが、このときには軍としては、労務者の立場なり、生活問題を考慮に入れて、両方を折衷したまでであると言っているのでありますが、この点につきましてはいろいろ問題があるでありましょう。人員をもし現状のままに維持していくならば、少くとも賃金切り下げはさらに大幅になるであろう。あるいはまた賃金現行状態で参るならば、九十一名の整理以上にプラスエックス、つまり九十一名プラスエックスという数でもって整理するよりほかなくなるということを申しております。  で、いろいろ要望等について伺ったわけでございますが、この点では組合の希望は第一番に、日本労務者が国の雇用のもとで米軍労務者として提供され、そうして全く法を無視した形で、基準法その他日本に行われております現行労働関係諸法を無視した形で、やっておられるという点について、ぜひともこれらの点を何とか改善してほしいのだ。それからまた最高司令部のかつての参謀長あるいは福島調達庁長官、それから全駐労の代表等によって、昭和二十八年に作成された日米労務基本契約と称するものがあるそうでありますが、こういうようなものが民主的にきめられて一定のルールが確立されぬというと、さらに全国各地にあります多数の基地やその他の所でいろいろな問題が発生するであろう。従って国会としてはすみやかにそうした方法を見出して、具体的な、基本的な解決策を講じてほしい、こういうふうに要望されたわけであります。  そこで軍側シューレーダー大佐が最後に申しておりますことは、今回の問題は協議の過程で自分が不在であったために、軍の担当官県当局等の間に意見そご、あるいは感情的なものを交えてそごが起ったという点については、自分最高責任者として非常に遺憾に存じておる。今後の問題としては担当官あるいは県当局組合の三者の協議会を持つことも決して回避するものではない、こういうふうに申しておりますが、現在争議中の状態では困難であるということを言っておりました。そこで特に早急に今次の兵庫キャンプ紛争解決するということは、当然自分としても責任者の立場から責任のあることなので、県、組合等関係者協力を求めるとともに、予算の拘束を受けているという実情については理解をしてほしい、こういうような大要お話でございました。さらに坂本知事ともお話をいたしましたが、二月二日の午前十時から司令官会談をいたしております。それでそのこともあらかじめ打ち合せをいたしまして、基本的な点で話し合い、同時に具体的には並行して佐藤課長が折衝に当っておられるようでございます。本日けさ承わりました情報では、まだ最終解決のところには至っておらない、こういう状況に承わっております。  以上概要でございますが、資料基礎にして関係当事者の意向を聴取し、最終的に報告としてまとめたものでございます。
  5. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 御質問はございますか。
  6. 山本經勝

    山本經勝君 質問を一点申し上げたいのですが、局長おいでになりますが、局長は御存じであるかどうか存じませんが、昭和二十八年の十月ごろに日米労務基本契約というものが一応成文化され、調印をされたと聞いております。それからさらにその後の実施期日の問題について未解決のまま今日に延び延びになっておる実情と承わっておりますが、この点については本来労働大臣に伺いたいのですが、大臣おいでになりませんので、局長お見えになっているようでありますから、局長なり調達庁の方から正確に、できれば協定内容資料として提供願いたい、この点御質問を申し上げたいと思います。  なおつけ加えてお伺いをしておきたいのは、先ほど調達庁の方のお話では兵庫キャンプの問題については御報告になりましたが。実は福岡の板付基地における紛争が、現在争議にはなっておりませんが、争議になる可能性がある、それで解決は決して簡単でないと判断できる事件がございます。その内容をかいつまんで申しますと、百八十六名の人員整理と二十二名の警備隊員保安解雇という問題をめぐってでございますか、この経過原因等その他につきまして御報告がなかったので、この点もあわせて御質問を申し上げたい。
  7. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 御質問の第一点の労務基本契約の点でございますが、二十八年の秋労務基本契約の本文につきましては、当時の調達庁福島長官極東軍司令部担当ハンロン少将との間にイニシャルを見たのでございますが、労務基本契約を新しく締結するために数多くの付属協定あるいは労働政策等につきまして、その後細部の協議を進めたわけでございます。これはいろいろ基本契約に基きまする手続的事項その他こまかい事項につきまする両者の打ち合せ事項でございますが、これらにつきまして現在まではなはだ残念ながら両者の妥結を見るに至っていない、御指摘の通りすでにかなりの年月がたっておりまして、いまだに締結を見ない点はなはだ遺憾に思っている次第でございますが、私どもといたしましても、現在この問題の解決を促進するために日米合同委員会にも新しく問題を提起いたしまして、なぜ問題の進捗がおくれているかという点につきまして解明いたすように手続を取り進めているわけでございます。新しく調印になりました成文そのものにつきましては、お手元にできるだけ早く差し上げるようにいたしたい、こういうふうに存じております。
  8. 山本經勝

    山本經勝君 局長にお伺いしたいのですが、駐留軍労務要員というものの問題につきましてはどうお考えになっておるのか。私どもさっぱりわからぬのですが、たとえば雇用日本調達庁がやる、それでそのあとを受けて都道府県が実際上人を集めて雇用関係を結びますね、そうすると労務管理は駐留軍の手でやる、こういう場合に基準法はどういうふうに作用するか、御説明願っておきたい。
  9. 中西實

    政府委員(中西實君) 基準局関係の者はおりませんが、基準法関係は、大体今調達庁の方から御説明になっておった新労務基本契約の草案の中でも、日本基準法は駐留軍労務に適用があるということが書いてございます。で現実に今の駐留軍労務に対してやはり基準法は一応全面的に適用になる。ただ基地関係で若干出入その他に制約があるということはこれはやむを得ないかと思いますけれども、原則としては基準法が適用になる、こういうふうな解釈であり、また運用になっております。
  10. 山本經勝

    山本經勝君 続いてお伺いしたいのですが、たとえば雇用関係は国が半分持っているわけですが、そこで駐留軍で使わないということになりますと即解雇ということになる理由をお伺いしたい。つまり従来各基地でしばしば起った人員整理、これは繰り返し、繰り返し行われている。ですからその場合に県が雇用主になって、つまり調達庁の指揮下で雇った人々が駐留軍でいろいろな問題が起る、あるいは紛争の途中においてもそうなんですが、そういう事態のときにやはり軍の方で解雇をするというのはどういうわけですか。
  11. 中西實

    政府委員(中西實君) 保安解雇お話かと思うのですけれども、間接雇用におきましては軍はやはり保安の関係基地立ち入りを禁止するということを申してくる。でそれは直ちに解雇ではないのであります。ただやはりそこの基地で働けないということになれば、事情を調べてその理由があればこれは調達庁の方で解雇しなければならないということに結果的にはなると思います。それから直接雇用の場合はこれは軍が軍関係の機関が直接に雇ってくる、そういった二段のことは考えられませんので、即解雇理由があれば解雇ということになるわけでございます。
  12. 山本經勝

    山本經勝君 今の雇用関係を国が持っておって、そこでその場合軍の方でたとえば企業合理化といいますかね、あるいは状況の変化によって人員整理するという場合の手続はどうなんですか。
  13. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 本年、まあ昨年度も相当の軍予算削減その他によりまして人員整理が行われたのでございますが、この人員整理方法につきましては労務基本契約の中の付属にありまするスケジュールAに従ってやるわけでございます。このスケジュールAはもちろんその制定につきまして現行基準法その他のワクの中で手続が定められているのでございまして、解雇の場合におきまして、即時解雇の場合には基準法によりまする解雇手当を支給する。一般の場合におきましては三十日の予告期間をおいて、かつその上に十五日間、合せて四十五日間でございますかの以前に軍の方から労務管理事務所、この問題を取り扱っておりまする労務管理事務所に通告いたしまして、十五日間の調整期間並びに三十日間の予告期間、こういう手続に従って人員整理が行われている。こういうわけでございます。
  14. 山本經勝

    山本經勝君 やや具体的になりますが、調達庁関係にお伺いしておきたいのは、従来ありました一当務十六時間の中の実働十二時間を除くその他四時間の手持ち時間、こういう中身の問題については先ほど申し上げたように交代とかあるいは訓練、清掃、被服、兵器の手入れ、こういったことがあるのですが、この中身について詳細に聞いてみますというと、たとえば兵器なり被服、これはみな一切借物なので、それらの手入れは非常にやかましくてほとんど軍と同じような状態で規制されているということなんです。ですからそういう場合には当然借りたものを着ており、借りた器具を使用しているのだからそれを手入れしないとやかましい。だからそういうものを手入れする時間が必要なんです。あるいは先ほど申し上げたように、訓練は必要でなくなったというのでありますが、訓練一定期間やりまして、その業務になれてくるということになりますというと、それは訓練の結果が身について一人前に働けるということだと思う。そうした場合にその時間を切り、四時間を二時間にし、あるいは一時間半にするということによって、単に事務的に交代時間だけを除いてやるということは非常に無理な注文だと思うのですが、こういう点については調達庁としてはやはり国民である労働者を、自分雇用して駐留軍に提供しているのだから、その意味における保護の方法はどのようにお考えになりますか。
  15. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) ただいまの点、目下労働条件の交渉中なんでございますが、軍側のあの当初の案、あるいは現行の案と申しますか、これはおっしゃる通り十二時間の立哨時間のほか四時間、そのうちの二時間は立哨のための交代時間、あとの二時間が訓練時間というぶうであったと思いますが、その交代時間について二時間を一時間半に切り詰めたい。それから訓練時間につきまして今お話がございましたような理由であったと思いますが、削減するという案で週四十時間三十分、こういうことになったと思います。これに対して二、三の案が組合案にあったと思いますが、私どもの聞きました案の一つには、立哨時間は現在の十二時間を十四時間にする、そのかわり交代時間は二時間、そのままにする、訓練時間は削減する、そうして四十八時間週勤制でやっていきたいという案も組合側にあったということを聞いているのでございます。これはまあ現在労働時間その他の問題につきまして、まあ軍側組合側とただいまおそらくいろいろ県を仲立ちといたしまして折衝いたしていると思いますが、その折衝の過程においてきめられることがけっこうなことであると私ども考えている次第であります。
  16. 山本經勝

    山本經勝君 私が伺っているのはこういうことなんですよ。こういうことで労働条件切り下げになっていくわけですが、いずれにせよ、金額にして二千円、三千円なんということは私計算しておりませんが、一つ切り下げになるということについて調達庁なり、これは県の方はおられませんが、調達庁最高責任者という立場に立って、申し上げたように、自分のところの国民をよその軍隊に雇い入れをして提供している、それを今度向うは向うの一方都合賃金切り下げその他解雇等をやってくるのですが、そういう場合に調達庁はどういう立場に立たれるのか。
  17. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 調達庁の立場は、御承知の通り現行基本契約軍側が事実上使用その他をいたしておりますが、法律上の使用主であるという立場に立っているわけであります。しかしもちろん法律上の使用主という立場がわれわれの立場であることはもう法律的にもはっきりいたしております。しかし法律上の使用主に政府機関がなっているという点にやはり重点が、その意味がもちろんあるわけでございますので、法律上の使用主という立場を維持して軍側と十分連絡をとりまして、使用主の立場を維持しなければなりませんが、その場合もちろん日本国民という点に政府と政府機関という意味もあるわけでございます。そういうまあ二つの立場が一緒になって軍側と同じ立場で法律上の使用主になる、こういうふうに考えておる次第でございます。
  18. 山本經勝

    山本經勝君 そうすると、基準法は御承知のように、その冒頭に、この法律できめる基準は最低のものであって、使用者はそれ以上に引き上げることに努力しなければならぬということにはっておりますが、そうしますと今言うように、今度のキャンプの点は軍側の提案は労働条件切り下げることになる。ところが切り下げることになる場合に、軍と一緒になって調達庁切り下げ協力されるわけですか。
  19. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 私ども今申し上げましたように、このキャンプ神戸の問題は労働条件の問題といたしまして、まあ組合側と事業主側の団体交渉その他によりまして適正な労働条件が定められるように、根本的にはその線に従って解決される筋のものであるというふうに考えております。その場合事業主といたしまして、事業主のうちの一つとして調達庁が法律上の雇用主ということになっておりますから、そういう立場で軍側とも十分連絡をして、軍側考えのために著しい法にはずれた労働条件をきめられるというようなことのないように、またあるいは軍の予算その他の事情もいろいろあると思いますが、そういう点につきましてもできるだけ事情を承わって、無理のない労働条件がきめられるように私どもとしてはいたしたいとこう考えておりますが、しかしとにかくこの問題につきましては、労使双方の協議によりまして円満に解決するという基本線は変らないわけでございます。そういう点は御了承願いたいと思います。
  20. 山本經勝

    山本經勝君 労政局長にお伺いしたいのは、この種の駐留軍労務等に関して労働省はどういう立場に立たれるのですか。
  21. 中西實

    政府委員(中西實君) 私の方はたとえば基準関係にしますれば、基準法の違反があるかないかということで、基準法はこれは最低基準を規定しておるわけで、駐留軍労務についてそれを下回るというようなことはないのじゃなかろうか。問題は労働条件をどうするかということでございますので、これは結局当事者同志の話し合いできめていくべきものだ、その話し合いの場合に駐留軍の場合には、単に駐留軍の代弁者である調達庁だけとの話し合いでつきませんので軍、調達庁それと労働側、この三者が十分話合って妥当なところで落ちついて円満に解決していくということを期待しておるわけでございます。
  22. 山本經勝

    山本經勝君 そうしますと先ほど私の申し上げましたのは、調達庁からも伺いましたが、昭和二十八年の日米労務基本契約ですか、これが一応成文化されて調印しながらも、実施期日の問題その他手続についての疑義があって今日まで延びているというのですが、そうした場合に、こうしたいわゆる合理的な、しかも一貫した基準が必要だと思うのですが、そういう場合に労働省はどういうふうにこれを推進なさるお考えがあるか、その点を承わっておきたい。
  23. 中西實

    政府委員(中西實君) ちょっと御意見趣旨がわかりにくいのでありますが、今の契約でもそれから新しく結ばれようとする契約におきましても、基本において日本労働法規に従って労務管理が行われていくということについては、変りがないのじゃなかろうかまたそれをわれわれとしても十分注意していきたいとこういうふうに考えております。
  24. 山本經勝

    山本經勝君 御趣旨がちょっと私にもよくわからぬのですが、結局労働省日本国民のことに関する限り労働行政を担当しておると思う。雇用関係がかりに調達庁あるいは管理が米軍といいますか、駐留軍の手にありましょうともこの状態変りはないと思います。そうしますとこの種問題については基本的なルールがはっきりはしておらぬと思うのですよ。そうなりますと、この基本的なルールを労働行政の立場からもしっかり打ち立てられることが当然じゃないかと思う。そういう点について労働省はどう考えておるかを伺っておる。
  25. 中西實

    政府委員(中西實君) 今の基本契約で一応ルールはあるわけで、その中でやはりあの占領下に作られたルールというものが現在非常に不都合な点もあるということで、新しい基本契約を締結すべく努力はしておるわけでございまして、従って一応のルールはあるわけです。そこでこのルールに従って紛争議あたりも解決していくべきものではないかと思います。
  26. 山本經勝

    山本經勝君 ルールがあると言われますが、ルールがあるというのは、それは一応協定としてなされているからある。しかしこれが推進されぬのが問題です。ところが労働省労働行政の最高担当者としてこれを推進するということをなさらなければならぬのではないかということを言っている。ところが一向に傍観されているというふうにしか受け取れぬのですが、そういう点で、レールを敷いてもひとりでに走るのではなくて、やはり機関車が引っ張らなければならぬ。そうすると機関車の役割をして引っ張るものは、労働行政を担当する労働省じゃないかと言えると思う。そういう意味で、労働省はせっかくルールがありながら手続その他のいろいろな問題を残しているためにそれが生きてこないということであれば、このような状態を改善する意味においても当然なされるべき問題じゃないか、この点のお考えはり、また腹を伺っておきたい。
  27. 中西實

    政府委員(中西實君) 新しい労務基本契約が少しでも早く締結されることは望ましいことで、これにつきましては、党も調達庁も全力をあげているところでございます。問題は労働関係でございますが、これは民間産業、それからまた政府筋の機関でも同様でございますが、これの争いというものは、ときに方々でも起るわけですが、その解決方法は結局使用する者、される者、この間において話し合いできめていくという以外にないのではなかろうか。ただ先ほどから申し上げますように、駐留軍労務につきましては、使用者の側が、軍と調達庁のこの両者が表裏の関係で使用者の立場を形成しております。従って団体交渉といいますか、話し合いの場におきましても若干一般の場合とは違う形態がございますけれども、やはり当事者が話し合って事をきめていくという権利には変りはございません。その権利に従ってすみやかに話し合いがつくようにわれわれとしても期待しておるわけでございます。
  28. 山本經勝

    山本經勝君 続いてお願いしたいのですが、その場合たとえば軍と県あるいは、直接には県ですが、所轄行政区域の都道府県、その間でいろいろな協定がなされている。あるいは組合と、直接労務管理に当る軍の担当官との間で労働協約のいろいろの形での取りきめもあると聞いている。ところがそれらの苦情処理機関にしても、何にしても、一つも活用されてない。単に、レールは敷かれていると言われる通り、あるいはルールはあると言われる通り、あるけれども利用されない、使われない。しかも民主的に使おうとしない。問題はここにある。こういう状態については、労働省労働行政の最高府として当然監督し指導もなさらなければならない。これは単に調達庁だけが国民を雇い入れたからというので、そこへまかせておくということではない。十数万の国民がここに働いておるということであるならば、少くとも労働行政としては、責任ある立場として相当に考えて、軌道はあっても、レールはあってもそれが使われない、こういうところに問題があると思う。そうすれば監督し、指導するという立場に立ってのお考え、また腹を承わりたい、こう申しておる。
  29. 中西實

    政府委員(中西實君) 労働争議はもうそのケース、ケースでいろいろの型がございまして、従って一つのルール、その方法ですべてのものがうまく行くというものではないのであります。従ってその紛争議状況、種類に応じまして最も妥当な解決方法をとる。基本は当事者話し合いということでございます。話し合いがつかなければ労働委員会のあっせん、調停を受けろということ、これも従来しばしば例もございまして、それによって解決した例もございます。ただ今問題になっております事件が、あるいは労働委員会へ持っていって適するかどうかということは、これはやはり現地当事者並びにまあ直接の労使の考え方にもよるわけでございます。従ってやはり現地におきましてその事案々々に応じて、最も円満に解決する方法で処理されるというのが望ましいというふうに考えております。
  30. 山本經勝

    山本經勝君 当然問題は起ったところの現地当事者話し合いということは、これは一番いいのですね。ところがその話し合いが実はなされないということをしばしば聞くのです。いろいろな形で、紛争なり、苦情の処理機関があっても、起ってくるそれらの処理が、たとえば軍の方の一方的な押しつけでやられようとする、あるいはそうでなかったら会議の開催もなされないという実情を聞くものですから、私は労働行政監督指導の立場に立っての労働省の御意見を承わりたい。
  31. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) このキャンプ神戸の具体的の問題につきましては、実は現地の軍の方からは、最近十日間の間、できるだけ話し合いをいたしたいというので県当局その他にも連絡をいたしましたし、また先ほどお話しもございましたが、現地司令官も直接この問題につきましてみずから、解決に当るためにはいつでも県当局とは話し合いをいたしたい。目下ストライキ中でもありますので、とりあえず県当局話し合いをいたしたいということは再三言明いたしていると聞いております。その結果が昨日来の知事さんと現地司令官との会談の開始ということになったと思いますが、それらの点につきましても、労働問題の基本的解決は労使の話し合いにあるということは労政局長からお話しがあった通りでございますので、軍側に、もしほかの地域その他におきまして、そういう点に欠けるようなことがございますれば、十分私どもといたしましてもそういうことのないように努力いたしたいと考えております。
  32. 山本經勝

    山本經勝君 局長にお伺いをしておきたいのですが、先ほど日米労務基本契約なるものが協定をされておって、実効がないということが嘆かれているのですね。そうしますとやはりそういうような問題は第一点、労働省としても労働行政の面から見ましても当然あるべき姿の基本的方針が作られなきゃならぬ。たとえば労働組合法でいう労働協約の問題にしましても、これは民間企業だからということではないと思う。労使という、労働者と使用者という立場に立っての考え方に立っている。その辺の基本的な方法がやはり基本契約にあるとするなれば、そういうものが制定され、有効に運用されることを労働省も望まれておるのじゃないかと思うのですよ。そうしますと、そういうものが実現できるような努力をどのようになさったか。また将来どのようになさるお考えがあるか、その点を明らかにしておいていただきたい。
  33. 中西實

    政府委員(中西實君) 基本契約の改訂につきましては、これは直接は調達庁当事者として十分に努力されているのですが、われわれもこれに対してできるだけ側面から協力いたしております。それから現実労働三法の適用その他につきまして原則的には、特に間接雇用につきましてはかつて向うもこれの全面適用を承認しておるわけでございます。現にそれが行なわれておるわけでございます。それからまた紛争の生じましたときに話し合いをするということについて、原則的に向うも承認しているわけでございます。ただ具体的な事案におきまして、ときにスムーズに進まないという事案が起りますので、そのときは個々の場合について十分に原則通りに行われるように促進して参りたいというふうに考えております。
  34. 山本經勝

    山本經勝君 そうであれば、当然現に起っている兵庫キャンプ紛争は、単なる紛争という領域を越えて、深刻な争議状態になっている。であれば当然調達庁県当局にまかせっきりでなくて、労働省自身も積極的な解決に乗り出すべきだと私は思うのですが、その点はどうですか。
  35. 中西實

    政府委員(中西實君) 紛争議につきましては、先ほど来言っておりますように、原則は当事者話し合い、さらには調整機関の調整にまつということを原則としております。そこで労働争議はなるほど駐留軍労務については特殊性はございますけれども、しかし紛争議の一種であることは違いございませんので、これはそれぞれのやはりルールに従って解決して行くということが原則かと思います。従って労働大臣が直接これに出るという実は権限もございませんので、それぞれの一般のルールに従って解決されるというのが望ましいのじゃないかと思っております。
  36. 山本經勝

    山本經勝君 それで最後に、時間もないようですから、またあらためて御意見等も大臣について承りたいのですが、それでとりあえず御要望一つ申し上げておきたいのは、労働省並びに調達庁は、いずれにいたしましても労務関係だけではないと思うのですが、おいでになっている部長さんは、当然労務関係を担当されている。そうしますと、やはりルールがあると言われるなら、その決定が運用されぬような状態におかれているから、これを早急に運用できるように、また有効に協力して運用をするように、一つ御推進が願いたい。この点を一点御要望申し上げますとともに、今後の問題としては、協約等が区々まちまちであると聞いております。駐留軍の問題ですから、むしろこういう点については労働省も指導をなさって、積極的に協約の制定・活用という点は、労働行政の面からも一つ推進を願いたい。  以上御要望申し上げまして、私の質問といたします。
  37. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ちょっと私から関連して、先ほど海老塚さんの答弁の中に、日米合同委員会に問題を提起して云々ということを言われたが、どういう内容のものを提起したか、差しつかえなかったら明確にしてもらいたい。  それからもう一点は、神戸キャンプ解決の見通し、それを具体的にどういう見通しであるということと、どういう方針をもって臨むつもりであるか。  なお現地知事に一任しているということ、こういうまあ、これは万全を期していないと考えるが、この点はどういうように考えるか。この三点について伺います。
  38. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 新しい基本労務契約の交渉が停滞いたしておりますのは、実はまあ日本側から申しますと、意見の合わない点につきまして、日本側で日本側の草案を先方の米軍に出してあるのに対して、米軍からの回答がこない。いろいろこまかい問題にわたりますが、そういうことのために交渉が遅延している面もありまするし、またそれと同じことでございますが、両者意見が対立したままであるのもあるわけでございます。こういう点停滞したままではいけませんので、一体どういう点がアメリカ側としては回答を出さない理由になっているか、あるいは日本側の意見に対する調整をどういうふうにやって行くのか、そういう点を明らかにして、この問題を早く日米両方で交渉の再開をするようにいたしたいという意味の提案を一月早々の合同委員会に申しているわけでありまして、これに対しましてまあ非公式の情報でございますが、米軍におきましてはFECを中心といたしまして、目下三軍集まってこれに対する米側の態度を協議中であるということを聞いておりますので、そういうことを合同委員会でその問題が再び取り上げられるようになれば、ここに一つの促進のめどがつくようになるのではないか、こういうふうに考えております。  次にキャンプ神戸解決の問題でございますが、具体的に申しますと、アメリカ側は当初四十時間三十分の案を出してきたのでございますが、実はその後一月二十六日にシュレーダー大佐から、四時間制を三時間制に改めること、並びに四十時間三十分を、時間をはっきり私承わらないのですが、県側からの情報によりますと、多分四十三時間三十分だったと思いますが、そのくらいに延長する用意がある、こういろ提案をいたしております。組合側も四十八時間制につきましては、先ほどからも申しましたように、必ずしも固執するものではない、話し合いの結果によっては譲ることも考え得るというような意向であるというふうに聞いておりますので、この点、両方がだんだん歩み寄ってきているのではないだろうか、昨日の知事さんと司令官との会談を契機にいたしまして、事務的に兵庫県庁が駐留軍当局労働組合との双方の言い分を調整いたしておるのが現在でございますので、この問題は今明日中にめどがつくようになるのではないか、こういうふうに考えております。
  39. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) いま一点お聞きしておきますが、これは中西労政局長は大へんうまい答弁をしているのですが、法律上の雇用主である日本政府が、雇用主としての任務を遂行しているかどうかということになると、明確に遂行しておらぬということが言える。言えるということは、三年も五年も前から、駐留軍労務者ができた当時から、駐留軍労務者に対しては日本労働三法を当てはめるということを労働省も言っておる、あるいは調達庁も言っておるが、現実にはこれが実施されておらない。実施されておらないということは、どこに欠陥があるかというと、やはり調達庁なり労働省なり、極端にいうと腰が弱いというのか、交渉が下手であるというのか、あるいは法律上の雇用主としての任務を自覚しておらぬ、こういうことから現われてきておるのであって、どのような名答弁をなされても、現実とは大へん違っておるということを御認識願わなければならぬ。それで答弁よりは、将来この問題については、日本労働三法を当てはめて労働行政としてはやっていく、こういうお考えがあるかどうかということを一つお聞きしておかなければならぬのです。
  40. 中西實

    政府委員(中西實君) 原則論は先ほど来申しておりますように、労働三法その他労働法規が駐留軍労務に適用されるということでございます。ただ、その実際の使用者が駐留軍という特殊なものであるということ、それから、ことに間接雇用あたりは軍事基地内に勤務しておるというようなこと、その他の事情によりまして、日本人同志の間での適用とはそこに実際上違ってくる、これはどうもやむを得ないのじゃないか、ただ、向うも日本の法律は尊重するという建前に立っております。従ってその特異な事情は考慮しつつも、やはりわれわれとしましては、もし法に明らかに違反するということがあれば、これは徹底的に善処を求めていくという態度でいきたいと思っております。従って原則はやはり今後とも、労働三法その他労働法規の規定はすべて駐留軍労務に適用していく、その気持には変りはございません。
  41. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) これはなかなかきょうだけでは解決つかぬところもある。いずれにしても日本の法律を十分知ってもらう努力が私は足りないと存ずるので、この点努力してもらいたい。  なお一点は、現在起っております神戸キャンプあるいは板付の問題を、早急解決努力をするように、当委員会の名において要望いたしておきます。従って結果もお教えを願いたい。  ほかに御質問がなければ、打ち切りたいと思います。
  42. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 一口だけ。米軍側の言い分によりますと、予算削減されたから、人員整理をするか、あるいは労働時間を減少するか、いずれかの道を選ばなければならないと言われるそうですが、なるほど今年は防衛分担金が八十億円削られておりますので、そういうことに当然なると思います。そうだといたしますと、むしろ労働時間を下げまして、大勢の人の生活を不安に陥れるくらいならば、思い切った配置転換をすべきだと思うのですけれども、こういうことは突然起った問題ではないのであります。もうだいぶ以前から予算との関連のある問題ですから、ちゃんとこういうような場合のことも考えていなければならなかったわけなんだから、一まとめにして整理される人間の生きる道をちゃんと工夫しておいでになるはずだと思うのでありますけれども、それができておるのかどうか。できていなくて、一人々々が職安などに行って新しい職場を求めるような、そういうふうなことになっておるのかということが一つと、それから昨年も防衛分担金が削られておりますので、それに伴いまして人員整理されたが、もしされたといたしますと、その善後措置をどういうふうにされたか、それが二点。それから八十億円の分担金が削られました。そのことによって当然日本の防衛を拡大とはいいませんけれども、拡充するはずだと思うのですが、そちらの方に配置転換ができるような見込みはないか、この三つ。
  43. 海老塚政治

    政府委員海老塚政治君) 御質問非常に広範で、私の答弁する以外のこともありますが、私どもの所管の中でお答えいたしたいと思います。  昨年度も軍予算削減に伴いまして、相当の労務者整理退職するの余儀なきに至ったわけでございます。これの対策といたしましては、私どもといたしましては雇用主の立場でございますが、一ぺんに大量に解雇されたのでは、現在の日本の経済状態からいいまして、失業対策ということも非常にむずかしい状況にありますので、できるだけ期間を置いて、時間的に長く少数ずつやってもらいたい、しかも従来の経験に徴しますると、解雇して、また同じ部隊が雇用をするというようなこともございますので、それでは無用な紛議を起すことにもなるので、できる限り長期的な雇用の見通しの上で人員整理をやってもらいたいこと、こういう要望を軍にいたしているわけでございまして、その点、軍も昨年度の人員整理につきましては、相当考慮して人員整理をやっていたと思います。  失業対策につきましては、一括これをどうする、こうするということは、まあ私が答弁する建前ではないかと思いますが、現実的に非常にむずかしいと思うわけでございますが、おっしゃる通り、軍予算削減が毎年継続せられまする現在におきまして、駐留軍労務者解雇されるということは、非常に明白な事実でございますので、私ども労働省その他とも連絡いたしたのでございますが、昨年の九月以来内閣に特需等対策委員会ができまして、そこで特需の問題とあわせまして駐留軍労務者の失業対策につきましても、いろいろ各省間で意見の交換を行なって、近く一応の成案が閣議了解になると聞いているのでございますが、その内容につきましても、生業資金の問題あるいは失業対策事業の問題、その他できるだけ多数の駐留軍関係労務者で職に困るというものにつきましては、関係各省で協力してその対策を講ずるようにいたしたいという段取りになっている次第でございます。今後もこの対策委員会を中心といたしまして、具体的には各省と連絡をとりまして、使用主といたしましてもその対策を十分考慮いたすようにいたしたいと考えております。
  44. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) よろしゅうございますか。  いろいろ質問もあろうかと存じまするが、本問題に関しましては、本日はこの程度にいたしまして次に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  46. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それでは速記を始めて下さい。   —————————————
  47. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 社会保障制度に関する調査の問題に入りたいと思いまするが、その一環といたしまして、新医療費体系に関する調査のため、参考人から意見を聴取することにいたしたいと存じまするが、もちろん十分御審議願ったあとでこの方法をとりたいと思いまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 御異議ないと認めます。  参考人の人選及び手続、日時その他につきましては、一応委員長及び理事に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。   —————————————
  50. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それでは前回に引き続きまして、新医療費体系に関する件を議題といたしまして御質疑を願いたいと存じます。
  51. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいま議題になっておりまする新医療費体系の問題については、その新医療費体系の新点数の内容について、これが妥当であるか、あるいはしからずかというそれ自身の問題と、それからその問題を別個としても、新医療費体系なるものがうわさされておりまする健康保険法の改正その他の見合いにおいて、どのような形で実施されるのが正しいかというふうな問題、こういうふうにこの問題は各方面に広汎な関連を持っておると思います。  そこで本委員会が問題にしておりまするのは、まず政治的な問題だと思うのです。しかも今議論の焦点になっておるのはその政治的な問題が中心になっております。そういう形において私は特に委員長にお尋ねしておきたいと思いますことは、本日もここに厚生大臣がみえていない、これはどういうわけだ。もちろん政務次官の山下さんがおいでになって、前回と同じようにまじめに真剣に答弁なさるということに対しては私どもは十分敬意を払っております。しかしこの問題は各地で医師会、歯科医師会が大会を挙行し、しかも一日休診というふうな問題が起きて、ようやく国民の目がこれに大きく注がれてきておりまして、事の重大性については厚生省自体がよくおわかりだと思うのです。そういうふうな形において、今日大臣の御出席がないのですが、委員長はそれをお許しになったのですか。委員長にお尋ねします。
  52. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 今日の大臣が来ないという問題に関しましては、連絡がございました。そして出席することを要請はいたしましたけれども、まだこの問題の、もちろん基本的な政治的な問題は大臣にたださなければならない問題もたくさんありまするが、さらに内容について、先ほど榊原委員からも申されましたように、十分まだ審議の尽されない部面があるので、そうした部面をやっていただいているうちに大臣に出席を願うというような方針で実は引き続いてやっている状態であります。
  53. 相馬助治

    ○相馬助治君 本日のところの取扱いはそれで一応わかります。政務次官も見え、それからまた今日は珍らしく高田保険局長と曾田医務局長がここに席を並べられました。今までわれわれが審議をして参りまする際に、非常に両局長がそろっていないために困ったのです。しかも同僚高野委員からは、管轄以外のことは答弁するなという御注意まで政府が受ける始末なんです。  そういうふうな状態から考えまして、この国会でこの問題が審議されておることに対して厚生省ではもっと真剣になって各関係者をここに出席せしめるだけの努力が必要と思うのです。しかも、速記のついているこういうところで発言するのはどうかと思いますが、私は実は本日厚生大臣が出席するであろうことを予期いたしましたが、昨日プライベートの立場から念を押そうと思って秘書官をたずねたところが、秘書官は一日中行方不明、どうしても私にはつかまらない。これはまことに心外なことであって、かようなことのないように一つ私は委員長を通じて十分御注意を申し上げておきたいと思います。と同時に今日は、午後あたりに社会保険医療協議会等が開かれるとか聞いておりますが、その方に行くためにというような理由局長が中座するというようなことは、われわれとしては困ると思いまするから、これも念のために、いささか先走っておりますが、一本申し上げておきます。
  54. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 私から大臣に十分申し伝えることをお約束いたしておきます。
  55. 榊原亨

    ○榊原亨君 審議に先立ちまして先日私が要求をいたしました兵庫県におきましてあらかじめその客体について適正な診療が行われておるかどうかということを査定するように、はっきり正しい査定をするようにというような示唆あるいはそういう意思を御通知になったことがあるかどうか、それをお調べを願いたいということを申し上げてあったことが一点。  それからこの新医療費体系を行いましたならば、国保がどういうような関係になるかということ、国保が行われている村あるいは町の二、三の組合についてどうなるかという資料をお願いしておりますが、まだ出ておりませんが、この御答弁をお願いしたいと思います。
  56. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 第一点の問題でございますが、私ども調査をいたしましたのでお伝え申し上げたいと存じます。この社会医療調査を行いまするについて、その客体となる施設を抜き出しまするにはただいま榊原先生が仰せのように、先に抜き出しておいてそれに特別な審査を加えるというふうなことは全然いたしておりません。むしろ逆に審査が済んでから客体を抜き出すようにという指示をいたしておりますし、また基金本部でもそのことを地方に徹底いたしておりまして、その通り実施をいたしております。御指摘の兵庫県の審査の率の問題でございますが、私どもの方で調査をいたしましたところでは二月の診療分につきましては九四・三%、三月が九六%、四月が九六・八%というようなことになっておりまして、特に三月診療分について審査率が非常にきびしかったというようなことはございません。なお、以上申し上げましたことはこういう社会医療調査の結果出て参りましたそれらの施設の一件あたりの点数と、全国の総平均の一件あたりの点数との比較をいたしてみますれば、もし榊原先生のようなことをやっておるとすれば、社会医療調査の対象となった施設の一件あたりの点数が低くなるという結果になるのであります。その点も調査をいたしてみましたけれども、これも大体全国平均と同じでございまして、さような結果が出ておりません。かりに政府管掌で例をとって申し上げてみますると、入院の被保険者本人分につきましては社会医療調査におきましては一〇四七・三、全国平均が一〇四・七、入院被扶養者分につきましては七七七・六分、全国平均が七七三・三分、入院外の被保険者本人につきましては六一・一分、全国平均が六〇・六分、それから被扶養者の入院外につきましては四六・六分、それから全国平均が四七・二分。むしろ、ほぼ一致しておりますけれども、若干社会医療調査の対象になる施設の平均の方がちょっと高く平均当りが出ておりますが、大体一緒になっております。かような点から申しましても、さような私どもの指示の通りに行われておるということが立証できるかと存ずる次第でございます。   〔委員長退席、理事谷口彌三郎君着席〕  それから二、三の国保の個々の組合についての影響でございますが、これはただいま調査をいたしておりますので、まことに申訳ございませんけれども暫時御猶予を願いたいと存じます。
  57. 榊原亨

    ○榊原亨君 先ほどお読みになりましたその資料を、書いたものを私どもに御配布を願いたいと、資料の提出を私は要求しておるわけでありまして、資料内容をお知らせ願いたいとこの前申し上げたわけではない。従いまして印刷したものを私どもの手元にお配りを願わなければはらぬと私は思うのでありますが、ついでにお聞きいたしますが、それじゃ今兵庫県の対象になりましたものの客体の合計しました件数は何件でしたか。
  58. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) ここに数字を持っておりませんから、次回にお答えをいたします。
  59. 榊原亨

    ○榊原亨君 資料として要求しました以上は、単にそれが幾らふえたとかなんとかいうだけでなしに、件数並びに点数というものをはっきりお示しを願わなければその資料の信憑性はない。ただ口先でふえたとか減ったとか言われたって、そんなものは私は受け付けるわけにいかぬ。それからまたこの客体を抽出して、そうして、それは審査が済んでから通知をされたというのでありますが、この問聞きましたところが、三月の二十九日に通知をされたのだということになりますと、それはどういうことになりますですか。
  60. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 資料につきましては御指摘のような資料を差し出すということにいたします。  それから三月の二十九日に先に知らしておって、それじゃおかしいじゃないか、こういう御質問につきましては、確かに三月の何日かに通知は出してあります。しかしながらこれは審査ということと抜き出すということは全然別個の業務でございまして、審査するのは、これは審査委員におやりを願うわけでございます。別に今回の調査に審査委員が——審査というものが関係がございませんので、審査委員に普通に審査をしていただきましたあとで、これらの施設の請求明細書を抜き出しなさい、こういう指示をいたしておりますので……。
  61. 榊原亨

    ○榊原亨君 全国の基金に向ってそういう指示をされましても、三月の診療をまだ終らない——三月分の診療として調べるのでありますから、三月分の診療を終らない三月の二十九日に、この客体について抜き出すのだ。そこで審査はもうめくらでやって下さい、審査が終ったら、それをこっちへよこして下さいと申しましても、基金があるものにつきましては、これは客体がこういうことであれば、ここのところで慎重に審査をしなければならぬというようなことが起らぬとも限らぬのでありまして、こういう御調査は審査が終って支払いをもう決定した後にこの客体について抜けということでなければ、その信憑性というものは非常に疑問になってくると私は思う。こういうことを基金がおやりになったとか、厚生省がおやりになったとか私は申し上げるのではありません。しかも私どもの手元にありますその資料、今厚生省の方で、件数は何件兵庫県であったかというと、件数がわからぬからこの次に資料を出す、こういうふうなあやふやな、あらかじめ私は資料の御提出を願っておるにもかかわらず、その件数さえはっきりせずに、ただパーセントが九九・何パーセントというような数学的、統計的の常識を逸したようなことでもってこの資料の判断をおまかせになるということは私ども非常に遺憾に思います。次回までに十分この点をはっきりさせていただきたい。また、何と言われましても、この資料を出したのが三月分の請求について調べるのに、三月二十九日に、この客体について調べるということを指定しながらおやりになったということについては、この資料の信憑性にある影を印しているということは御否定できぬと私は思う。
  62. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 御存じのように、審査は三者構成の審査委員会でおやりを願うということが今の建前になっております。抜き出すのは基金の職員があとで抜き出したつけであります。基金の何と申しますか、幹事長や何かの影響を審査委員会がお受けになるということは、私ども実は現在のシステムではない、かように考えておるのでございまして、やり方の不手ぎわがそこにありましたことは、あるいは榊原先生のおっしゃるようにやった方がよりベターであったかもしれませんけれども、さような心配は私どもはないと考えておるわけであります。
  63. 相馬助治

    ○相馬助治君 この間、榊原委員が示された資料は、兵庫県一県の例ですけれども、その診療所関係については、減点率が二月が丁二四、三月には七・四二とはね上っている。病院についてはもっとひどくなって二月が〇・〇五、三月が八・〇二にはね上っている。これは一体どういうことなのだということで、その資料一つ示せ、こういうことであって、これは明らかに文書という言葉を使っていなくても、文書でもって示せということを意味していたと思うのです。そこで医務局長はここに同席していたのであって、これはもう常識的におわかりだと思うので、それがここに示されないことはきわめて遺憾ですが、私は、問題はもっときょうは大きいと思うのです。榊原委員の言ったことに対して、全く大した差がないのだという答弁がされておる。そうすると、これいずれか一方がうそなのか、榊原委員が何か虚偽の資料を持ってきて政府いじめをするならば、これはわれわれもまた迷惑な話です。それからまた厚生省が勝手な資料を持ち出して、榊原委員の指摘したことに反駁してみても、また結局わかることなのです。従いまして、こういうことは議論の存するところではないのですから、明確に今後資料一つ示してもらいたいと思います。  それから今、後段で高田保険局長が影響がないはずだと申しておりまするが、同問題について私は栃木県の医師会を尋ねてみました。そうして通達があったかどうかを調べてみました。そうして影響があったと考えるかどうかということについて質問をしてみました。これは直接的ではないけれども、明らかに影響があったと思量されると、こういうふうに申しておるのです。従いましてこういうことを頭に入れて、今度の機会に正確な資料を文書でもって、榊原委員要求の通りにお出しになるように私も希望しておきます。
  64. 山下義信

    山下義信君 政務次官が見えておりますので、大臣に伺うはずでありますが、政務次官にお伺いしたいと思います。  前回に引き続きまして総体的なことをしろうと議論でお尋ねするのでありますが、本日は主として医師の技術料をいかに見たかということについて当局の基本的なお考えを聞きたいと思うのです。そのことを具体的に伺うのには、私どもしろうとには、まあ初診料をこれを見本にして伺うのが一番いい、かように考えていることを前回に申し上げてあります。従いまして初診料について具体的に私はお伺いしたいと思う。  今回初診料十二点にされた根拠はどこにあるか、これは前回かりに保険の点数として翻訳するならば、六点ということが前回の審議にだいぶ出ておりましたが、今回はそれを増加する、前回の倍にする、十二点ということにされたのは、どういうわけで十二点にされましたか。これはその基本的な原則をお示し下さいまして、それで十二点に点数の分析をなすってはめていただきたいのです。これは一つ逐次伺いますから、きわめて明確にお答えをいただきたいと思います。
  65. 山下春江

    政府委員山下春江君) この点数を決定いたします基本的な考え方は、従来技術料が必ずしも妥当に認められていなかった。要するに医師の生命とも言うべきその技術が正しく評価されていないということには医師は非常な御不満があることは当然であります。前回に問題になりました医師の技術というものが正確に評価されないということは、日本の医学の進歩をもはばむものではないかというようなところから、医師の技術料というものを正しく高く評価したというのが基本的な考え方と思います。山下先生御指摘の、その内容をつまびらかに明確に分析してくれろということに対しましては、私何分にもしろうとでございますので、局長からその点は明確に答えてもらいたいと思いますので御了承願いたいと思います。
  66. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 初診料を十二点と定めました基本的な態度につきましては、今政務次官からお話し申し上げた通りでありますが、その経緯をごく率直に私お話を申し上げたいと思います。どうして十二点ということになったかということ。社会医療及び国民健康保険医療給付実態調査の結果に基きまして、各科別、病院、診療所の、診療所別の注射料、薬治料というふうなものに従来含まれておりました潜在技術料というものを診察料として支払う、そういう方向で診察料の引き上げを行いたい、その場合に次のいろいろな条件考えた次第でございます。その作業の条件として私ども考えましたことは最初は五つあるのでございますが、一つは病院、診療所を各科別の収入に変化を及ぼさないこと、それから二番目は検査料、これはレントゲン診断料を含んでの意味でございます。検査料には現行検査料のおおむね一割程度の検査料を増していこう、これは検査料が赤が出ておりますので、大体一割程度の検査料の増加をいたしたい。なお検査料のうちで非常に簡単なものの一部は診察料に含めて支払うことにしょう。それから三番目の条件でございますが、手術料に現行手術料のおおむね一割五分を還元するといいますか、手術料の方を増していきたい、こういう一つ条件。それから四番目は、処置料は三点以下の簡単なものを診察料に含めて支払う。これは一昨年の、前回の何と同じような考え方をいたした、その条件。それから五番目に、注射料は、皮下、筋肉等簡単なものは診察料に含めて支払うことといたしまして、静脈注射は皮下注射との差額一点を、その他の特殊技術を必要とする注射はそれぞれ相当点数を支払うことにいたしたい、こういうふうな五つの条件考えたわけでございます。これらの条件のもとに各科の一件あたりの初診回数、再診回数、入院日数の実績に基きまして、初診料と再診料をいかに決定いたしますれば各科のバランスを合せることができるかということを実はグラフを用いて算出をいたしたのでございます。その結果といたしましては、次のような組み合せが適当であることが判明をいたしたわけでございます。  なおつけ加えて申し上げまするが、この際に各科のバランスといいますか、各科の収入について出入りがないという条件考えますと同時に、初診と再診との技術差といいますか、そういうふうなものも考慮に入れまして考えたのでございますが、ごく数学的に算出をいたしました結果では、初診を二十二点にいたしますれば、再診が二点、いわゆる初診二十二点と再診二点の組み合せならば、今のような私どもの意図が達成できるという——各科を通じて達成できるという一つの組み合せが出てきたのでございます。  それから二番目の組み合せといたしましては、初診を十七点、再診を三点という組み合せをいたしますれば、私どものねらっていることが達成できるというふうなことが一応出てきたわけでございます。ところがこの案のうち再診料を二点といたしました場合には、現行三点の処置を含めることが非常に困難でございます。無理でございます。初診と再診との均衡度を考慮いたしました結果、初診十七点、再診三点という組み合せを一応採用いたしました。しかしながら夜間加算というものが別にありますので、それらのことを考慮して、この組み合せから初診料十六点、再診料三点というものを一応私どもは技術的に割り出したわけでございます。  一応そういう作業の経緯でありますが、それからさらに皮下、筋肉内注射料を診察料に含めて支払うということの可否を実は検討してみたわけでございます。検討いたしました結果、注射料、これは薬価を除いた意味の注射の純粋の技術料という意味でございますが、注射料の原価の中で医師の技術料以外の部分につきましては、これは注射料として診察料に含めないで支払うことの方が適当である、こういう結論に達したわけでございます。そういう結論に達しましたので、その結果皮下、筋肉注射は一点、それから静脈注射は二点というものを診察料のほかにいたしまして、注射の技術料として、注射の手数料としてお支払いをするということにいたしました。このために初診料を十二点に、先ほどは十六点という一応の結論に到達いたしましたけれども、初診料を十二点に引き下げた次第でございます。  なお次の諸点を考慮いたしまして各科の収入に変化を与えないような点数を考えた次第でございます。次の諸点と申しますのは、その一つは、自己の表示する診療時間外の診察については二点の加算をする、ただし午後十時から午前六時までの診察料は八点の加算とする。それから二番目には、慢性の疾患を取り扱いまする内科、小児科の収入を考慮いたしまして、慢性疾患指導料五点を初診後一カ月を超えた患者につきましては二週間に一回、再診料その他の診療行為と合せて請求できることとしました。第三番目は、処方せん料は院外薬局で調剤を受ける場合のみ、すなわち外へ出す場合のみ文書料として一点を支払う。こういうような三つのことを考えまして、今のような作成の作業の経緯で十二点と三点というものを私ども決定をいたした次第でございます。これはごく率直に洗いざらい私どもの作業の経緯をお話申し上げたわけでございます。  こういうような経緯はとりましたけれども、これは経緯でございまして、十二点と私どもが決定をいたしました今日におきましては、私どもとしては初診料というものは十二点が妥当であるとまあわれわれは考えたという建前に結論的にはなるわけでございます。
  67. 山下義信

    山下義信君 私はこの初診料十二点の内容の構成は非常に大事だと思うのです。従ってこの十二点というのは、すなわち医師の技術料の評価でありますから、どういう評価の基準を持ったかということについて伺ったのです。それからまた具体的なその点数の十二点というものは、何によって構成されているかということを聞いた。これはもう一つ聞かなければわかりませんが、今前段の問題についての当局の答弁で五つの原則を言われた。収入に変化を及ぼさないこと。それから検査料を診察料に含ませるということ。それから小さい処置も診察に含ませるということ。注射料の一部を診察料に含ませるということ。いろいろ原則をこうお立てになったですね。この五つの原則の中には、私は医師の技術料を評価するということにはあまり関係のない原則があると思いますが、いかがでしょうか。それで含ませることは御随意です。それで含ませることは御随意でありますが、しかしたとえば検査料というものをかりに含ませれば、私はしろうとでわかりませんが、これは診断ということの技術、医師のその診断技術というものの中にはない。入れれば入れることの定義もできようけれども、元来検査料というものは私どものしろうとの通念では診断技術のほかであると思う。それからまた収入に変化を及ぼさないという原則というものは、これはことにこっけいなんです。収入に変化を及ぼさないということが、医師の技術料の評価の基準原則だということは意味をなさぬ。それは勝手な御都合主義の原則である、そういう気持がするのですね。それで、この原則は医師の技術料を、すなわち具体的には初診料を何点にきめるかということの評価の原則には直ちにはならぬ。言いかえてみるというと、ある一つの所望の答えを出すために都合のいいこういう方法をとったということの端的な告白にすぎぬ、私はこう思う。それでだれが見ても医師の技術料というものを、無形技術を評価する、その技術を評価する標準、尺度というものをこういうもので評価したんだという、そういうこの基準にはならないと思うのですが、その点いかがでしょう。
  68. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 今の点についてお答えをいたしまする前に、私の先ほどの申し上げ方が間違っておりましたか、ちょっと山下先生誤解をしておいでになりまするのか、ちょっと訂正をさせていただきます。  二番目の条件というのは、検査料を診察料のうちに全部含めてしまうという意味じゃございませんで、検査料は、これはもう原則的には検査料として書き上げるものであります。むしろ現行の検査料が非常にコストを割っておるようなものが多いので、検査料に全体的には一割ぐらい増額になるように検査料をいたしたい、こういう条件一つ考えたのであります。ただ御指摘の点はごく簡単な検査——血圧の検査、血圧をはかったりなんかするようなものだそうでございますが、   〔理事谷口彌三郎君退席、委員長着席〕 診察と非常に似たような近いごく一部のものを診察料に含めて払うことにしたい、こういう条件考えたいというのでございますが、これは訂正させていただきます。  それから御質問の要点は、これは医師の技術料を適正に評価するための原則ではないように思う、むしろ適正に評価するには別の考え方からいたすべきであって、かようなことは御都合——何というか、こういうふうなことを考えるのは勝手であるけれども……。
  69. 山下義信

    山下義信君 いや、私の質問が取りにくいようでありますが——では具体的に言いますが、医師の技術料を評価するにはどういう基準を用いたか、基準がなくちゃならぬ、腰だめであっちゃならぬ、いいかげんであつちやならぬ、だから何か基準がなくちゃならぬ、それでその基準を一つお示し願いたい。その基準によって十二点というものの内容一つ分析してみて下さい。こういう基準を立てた、こういう基準を立てたその基準に合うものが十二点の中の五点である。この基準ではじき出したものがそのうちの三点である、二点である、それで合計十二点になる、こういう一つ御答弁を得たいと思う。そうでなければ十二点というそろばんの要がない。今おっしゃった収入に変化を及ぼさないとか、検査料を診察料に含ませるとかいうのはどこから出したかということ、私の言い方が悪ければ、言いかえてみるならば、一つのワクの中で点数の配置転換をなさるのについての必要な基準であって、技術料の評価の基準になるものは何かということが私の質問です。それをしろうとにわかるように一つおっしゃっていただきたい。
  70. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 今山下先生が御指摘になったような意味の初診料の基準となるものは何かとおっしゃいますれば、私どもが持っておりまする基準としては、一昨年でしたか、お示しをいただきました六点二分でございます。そういうものしかないわけでございます。ところがこの六点二分というものは御存じのように、そこに初診と再診とのまあ技術差と言いますか、そういうふうなものも全然考慮をしてございませんし、ごく機械的にストップ・ウオッチをもってはかって行なった、いわゆるコストでございます。従って御存じのように片一方では再診が四点五分でございましたか、という評価になっておるわけでございます。それでもう率直に申し上げて、私どもが医師の技術料を評価するによるべきものとしてはこれだけしか実はない、まあ、あといろいろ考えることはございましても、これらはいずれも各人の見方であったり、あるいは希望であったりというような性格のもので、権威と言いますか、よるべきものとしてはこれしかない、こういうわけです。ところが私どもといたしましては、この六点と四点との組み合せでこのまま参るか、そうでなく初診というものに重点を置いて、そこに初診の際には、同じ診察と申しましてもいろいろお医者さんとしては、非常な苦労をなさるのは、これは当然なことでございます。従って初診というものを、まあ技術差と言ってみれば技術差ということになるかもしれませんけれども、初診というものは高く評価したい、こういう意匠を持ったわけでございます。ところが、しからばその初診を何点に評価し、再診を何点に評価した場合にどういうふうなことに、各科によって初診回数、再診回数が違うわけでございますから、どういうふうなことに影響があるかということを考慮いたしまして、いわゆる数学的にグラフを書いて、実は各科の収入に変動のないところを求めた、こういう作業をいたしたということであります。従いまして今先生が御指摘のような厳密な意味の初診料評価のよるべき基礎といたしましては、私どもとしては、一昨年お出しをしたコスト計算が唯一のものであるというふうに申し上げざるを得ないのであります。
  71. 榊原亨

    ○榊原亨君 ただいま初診を高く評価した、こうおっしゃるのでありますが、なるほど初診は高くなりましたが、その高くなったのは、先ほどからおっしゃるように、注射料とかその方から砂を持っていって初診を高くした。そこで注射の方はそれでは正当に評価されておるかと申しますというと、正当に評価された砂から盛っていって、初診の方へ高く砂を盛ったのでありますから、それは初診を高く評価したのではなしに、注射の方の砂を盛っていって、注射が一本五十円といたしますと、それが適正である。その五十円が適正なものを四十円にして、その十円を今度は、適正な初診料が四十円とすると、そこへ十円盛っていって五十円としたのでありますから、それは何にも高い評価じゃない。何となれば、点数のワクをきめているから何も高い評価じゃない。神だなにももを七つ上げた。その七つ上げたが、今度は三つふやして十やるというならば、高く評価したのでありますが、そうじゃなくて、七つのものを片方へ三つやったのでありますから、高く評価したのじゃないと思います。局長さんはいかがですか。  もう一つ私として尋ねたい。その初診の場合に高く評価したと言われるその評価は、まあ医師の技術料を評価したのは昭和二十七年度における評価だ。その昭和二十七年度の評価ということとなると、結局一分間に四円何ぼということでありますが、それをそのまま三十年度までしわ寄せされたかどうかということはこれはこの次に聞きますが、今山下先生の御質問中だから聞きませんが、昭和二十七年度ならばそれでよろしいが、一分間四円幾らというと、それは私は医者ですからあまりそれが高いとか安いとかそれは私は申しません。これは中立の議員からその評価をしていただけばいいのですが、どうもその技術料の評価の基準になったものが一分間に四円というのは、これじゃもうお酒にも酔えんのじゃないか、その点はどうですか。その点二つの点をお聞きしたいと思います。
  72. 相馬助治

    ○相馬助治君 榊原委員がやはりお医者さんなもんですから幾分かげんして聞いているので、いわゆる中立委員の私から具体的に聞きますが、同一問題の今高田局長山下委員の御質問に対して、十二点の中で一昨年のコスト計算による六点二〇三、この分だけは正確な基準だと、こういうふうにおっしゃっております。その六点二〇三が私は問題だと思います。これには問題があると思います。榊原委員が何か遠慮して聞いておりますが、大体単価が全然上っていない。そうしてこの六点二〇三という初診料のいわゆる純然たる医者の技術料、医者の生活から割り出したこの六点二〇三、そして一分間に直すというと四円、芸者の玉代より安いこういう評価、これにもう私は大体問題があると思うのですが、この点には問題はない、いわゆる一昨年の六点二〇三というものについては、正確な基準としてこれは取り上げてどこにも疑問がない、こういう建前であるかどうか。今具体的に一つ加えて榊原委員質問に答えてほしいと思います。
  73. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 今回の点数、新点数を作りまする場合におきまして、一つの何と申しますか、原則といいますか、ねらいといたしましては、技術というものを正当に評価をいたす、今までは物と一緒に払われておりました技術料というものをなるべく取り出してこれを正当に評価をいたすという一つ要請とあわせて、御存じのようにその総医療費が高くなったり、減ったりしないというこの要請二つを組み合わせたわけでございます。従いまして、先ほど注射料云々というような御質問ございましたが、確かに注射料のコストの中でお医者様のいわゆる何といいますか、手間賃といいますか、技術料的なものは診察料の方に含めて支払うことにいたした、従ってそれだけ注射料が減っている、残ったのは看護婦さんの人件費でありますとか、直接のこの脱脂綿でありますとか、何とかいわゆる経費というものだけにしか残っておらないということは、これは仰せの通りでございます。それはあくまでもねらいといたしまして総医療費を変えないということも大きなねらいの一つになっているわけでございますから、この点はさようなねらいを前提といたしますればやむを得ざるものと私どもは心得ているわけでございます。
  74. 榊原亨

    ○榊原亨君 それは高く評価されたんですか。高く評価したんじゃないのでしょう。そこのところをはっきりしてもらいたい。
  75. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 私は高く評価したかどうかという言葉を使いましたのは、初診と再診とを比較いたしまして、いわゆるこれを並べて平均値で評価をすれば六点と四点になるんだ、それを初診の方を同じ一時間の労力でも、初診の方の技術というものを高く評価をいたして、再診の方を初診に比較すれば少なく評価をした、こういうことを申した意味なのでございます。  それから相馬委員の御質問の六点幾らというものが一体妥当であるかどうかという御質問でございますが、心得ているかどうかという御質問でございますが、私先ほど山下先生にお答えをいたしましたのは、よるべきものとしては人件的なものといいますか、ある程度権威のあるものとしてはこれよりないということを申し上げたわけでございます。これが妥当であるかどうかということとはこれは別の問題だと私は考えるのでございます。従って六点が高いか安いかということにつきましては、これは十分検討をいたさなければなりませんけれども、私どもといたしましては、初診料を十二点にする、再診料を三点にする、何を何点にするということは結局はその診療行為のこの何といいますか、バランスというものを見たつもりなのでございまして、絶対値が十二点、現在の十二円五十銭に十二点をかけて幾らになる、その絶対値が妥当であるということを申しているつもりではないのでございます。
  76. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 ちょっと緊急の質問があるのですが、許されたいと思います。その問題はもうちょっと時間をかけてやられるのじゃないのですか。
  77. 山下義信

    山下義信君 ちょっと大事なところですから……。これはまあ竹中委員の言われるように、これは非常に重大でございますから、もっと時間をかけてやらしていただかなければならぬのでありますが、しかし私はこう思うのであります。当局の答弁はほめはしめませんよ、ほめはしませんけれども、率直に言ってもらってよかった、率直に言ってもらえばこそ疑問とする点がはっきりするのであります。結局技術の評価を何でしたかということになると、いわゆる原則的なものがない、そういうことはわかった。それでこの技術の評価は初診料の場合でいえば、いわゆるバランス評価であって、どこでも通用のできる一つの基準を立てたのじゃない。それで初診料の場合においても通有の原則があって、そして初診料にプラス・アルファのまた原則があって、この原則というものはいかなる技術を評価するときにも通用する原則でなくちゃならぬ。注射の技術を評価するときにも、処置の技術を評価するときでも通有の評価ということでなければ原則にならぬ。で、初診料の場合にその原則が何であるということを伺って、率直にお答えになって、要するところ今のようなことでバランス評価であって、これというよるべき基準はないということまでわかった。ただありとするならば、二十七年の三月調査によるところの原価計算のあれがあるのだ、こういうことである。それでこれはずいぶんこれからいろいろくろうとの先輩諸君の御検討をまた聞かなければならぬが、今の六点という技術のコストが前回出ておる、あれはこの十二点の評価の中には使ったか、使わなかったか、その点はどうですか。まだこれは聞いていない。その次を相馬君は言ったのですけれども、つまり十二点という中の六点はコスト、これは二十七年の三月調査で出ているコスト、あとの六点がいろいろな点を考慮して技術を評価したのだと、こう大まかに分析できる。つまり言いかえるというと、コストに使っているかどうか、それをスライドしたかどうかという非難をしようと思わぬ、スライドしているかどうかは聞きませんから何にも用心しなくてもよろしいですから、つまりあの六点のコストを使っているか、六点のコストをベースにしてその上に六点を、いろいろな要素を積み重ねたのか、一つ大まかに聞いている。
  78. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 先生の御質問の御趣旨を取り違えておるかもしれませんが、使っております。
  79. 山下義信

    山下義信君 そうくるだろうと思う。そうこなければみながでたらめになる。ですから少くとも十二点のうちに、だんだん分析してみれば、六点はコストとして、二十七年三月の調査のあれはベースとして、これは一つの基準に使っている。これでいい、一つの答えとして。ところが当局は二十七年三月の調査は使わぬと言ったじゃないか。わしはひっかけたのじゃないので、このたびの新医療費体系資料としては二十七年三月調査は使わぬことにいたしました、三十年三月の調査に基いて新医療費体系を作りました、二十七年三月の資料はこのたびは用いません……。
  80. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) 二十七年の三月の調査、これはいわゆる頻度なんか調べたものでして、これは新しい頻度を昨年の三月に調べました。あの頻度は用いませんでした。二十七年の十月調査、これがコストなんかを調べた精密調査でございます。この方は基礎に用いております。これまでも用いておらないという御説明を私はいたした覚えもございませんし、おそらく厚生省の当局だれもさようなことを申しておらないと存じます。
  81. 山下義信

    山下義信君 それではまあ三月でも十月でも、要するところ前回のコストを用いないとは言わなかった、それを使っているのですね。使ったと、こういうのですね。それじゃそれを使うことについては、すでに先ほどから榊原委員が指摘されたような、いろいろな議論があるが、あとの、十二点でいえば六点がその上に積み上げたものだ、その六点のことについてまたいろいろお導ねせねばならぬが、ちょっとその前にいろいろぶちまけての経過お話がありましたから私も伺うのですが、何か初診料の点数のきめ方についていろいろ御議論があった。その経過もここに出ているが、この十二点というのは、今のようにいろいろ具体的に一点ずつ合理的に数学的にずっと出されて答えがこうなったのですか。もしそうであればこれは次回にわれわれがもう一度この点を念を入れるために詳細に一つ資料として出してもらいたい。そうせぬと、説明で聞いていると、わかるものと憶えにくいものとあるので資料でほしい。私はこの十二点という点数の出し方には一点々々、一点ずつ数学的なそういう合計のトータルになったのじゃなくて、どこかにつまんであるところがあるような気がするのです。つまみがあるように思うのですが、数字的にずっと出ているようなものがあったら次回に一つ資料を出していただきたい。
  82. 高田正巳

    政府委員(高田正巳君) この十二点を割り出しました作業の経緯は、先ほどもう全然包み隠すところなく申し上げたわけでございます。それで山下先生の御質問意味の、何かつまんであるとおっしゃいます意味を十分私了解いたしかねるのでございますが、注射料の中に含まれている医師の技術料的な部分を初診料の中に先払い的にこれを取りこんでいるというような意味のつまみ、それをつまんだと仰せになるのであれば、さようなことはしてございます。しかしその他の……。
  83. 山下義信

    山下義信君 それは十二点の十二という数を分析していただいて、そうしてそれを資料として出していただきましょう。そのほうがようございます。経過説明はそれでよろしゅうございます。それから今のようにいろいろの要素をお入れになってある。その入れ方についての可否論はまた別になるでしょう。それから一部の先払い的なことになさったこと、これのよしあしも別にあるでしょう。あと他になにか緊急の問題があるようですから、私はもう一つだけ政務次官に伺いたいのです。  それは今の初診料の分析の問題は懸案としてあとに資料を出していただき、あとで議論させてもらいますが、技術料の評価をするときに、私は今日はいろいろの原則をどういうものをお立てになるかということを聞いた。それを明確にしてもらわなければいかぬということ、きょうはいわゆるバランス評価の話が出たのですが、それで技術料を評価なさるときに、医師の技術料というものを見るのですよ。ですからいろいろのデータやコストで出してもようございますけれども、それの取り方もありましょうが、医師の技術料というものをただ単に技術とだけ見たのか。ただ単に技術というものの評価だけをしたのか。私が伺うのはこれは根本的な問題です。それで医師の技術を単なる技術として評価したのか。医師というものの立場を、医師というものの地位、医師というものの生活、医師というものの任務、そういうものの立場を考えて、そういう人の技術としてこれを評価したか、ただ単に技術というだけの評価をしたのかということを私は基本的にお尋ねしたいのです。それで、これは大工、左官その他の技術と同じように、ただ単に医師の持てる技術、それを技術とのみ評価したのか。医師の仕事や生活や医師の社会的地位や医師のいろいろな社会に及ぼす影響力、あらゆる医師という立場を考えで、その者の持てる技術という観点から技術の評価をしたか。その点を一つ基本的に政府はどういう態度をとったかということを聞いてみたいのです。
  84. 山下春江

    政府委員山下春江君) 山下先生の御質問は非常に大切なところでございまして今回十二点という初診料を決定するに当りましての医師の技術というものをどのように評価したか、どう考えたかということでございますが、ただ大工や左官あるいはその他のいろいろな職業の方のそのような技術をつまみ出して技術料として考えたものでは絶対にございません。もちろん医師の持てるそういった意味の技術のほかに、社会的な地位、その仕事の社会に及ぼす影響、あるいはその任務の非常に貴重な任務である点等、すべて医師の立場というものの社会的立場を考慮いたしましたものが持たれる技術にプラスされた、包含した総合的な医師自体の姿をもちろん頭に入れて考慮されたものと私は確信をいたしております。
  85. 山下義信

    山下義信君 私は政務次官の御答弁は非常に重大な御答弁であると同時に、いい答弁をいただいたと思う。そうでなくちゃならぬと思う。ただ単にこれを医師の立場や任務やそういう特殊性を考慮しないで、単なる技術家の技術とのみこれが評価されてあるとするならば、これは非常に私は不幸だと思うのです。それが今政府の方針ではそうでなくて、単なる一つの技術家の技術として見るのじゃなくて、その医師の立場、いろいろ地位、また特殊性、任務、そういう点も考慮されてこの技術が評価してある、そのつもりでやった、こういう基本的御方針には私は同意します。その通りならば賛成します。それがどう評価されたか、十二点の中の資料の中へちゃんと出して下さい。どの程度評価されてあるか、どの程度考慮されてあるかということを私はお示しを願いたい。  それから資料でございますが、資料を私はこの際要求いたしますが、これは質疑応答でも明らかにしたいと思ったのでありますが、時間がありませんから、一つ資料として要求いたしますが、むずかしければむずかしいと言って下さい、ひっこめますから。他の無形の技術とのバランス、一体他の無形の技術の報酬とどういうふうな、一つのプライスとしての、物価としての均衡ということをどう研究されたかということの、そういう政府の方で研究された資料がありましたらば、一つ他の無形の技術の物価との検討、研究はどういうようにされたかということを、ただこれを保険の医療報酬の何のワクの中の云々という小さな狭い見地からのみ限られて考えるのじゃなくして、一般の報酬というものの社会の無形の技術の報酬と、この技術報酬が評価が妥当であるかどうかという研究はおよそなされてなくちゃならぬ。そういう資料を次回に提出して下さい。この問題に関する残余の質問は私はまた次回にさせていただくことにしたいと思います。
  86. 相馬助治

    ○相馬助治君 ただいまの山下委員質問に対して山下厚生政務次官が実に重要なる答弁をなさったわけです。これは前々から技術料の見方、とり方は科学的にしかも統計的にやっているかということが一つ、それから今の山下委員質問に対して、医者の技術料というのは単なる靴直し、げた直しなどという単純労務者と違って、医者の生活並びに絶えず進んでいく医療技術、思想に対応して医者の教養というようなものまで含めて見たと、これはまあ大へんにけっこうなことです。そこで私はその言葉があったのでありまするから、次の資料を提出して再度その言葉を確認したい。私が示そうとする資料はきわめておもしろいというか、興味ある内容を含んでおります。それは家畜健康保険点数表というのを、私は栃木県医師会の協力を得て調べてみました。この点数表と比較してみますと、農林官僚と厚生官僚の政治的な限界を示すということが暗示されて興味あるばかりでなくて、農林官僚が動物の命をどう考えているかということと、厚生官僚が人間の命をどう考えているかということを比較してみて非常に興味あるものだと思います。  具体的な事例を示します。今度の新医療費体系によりますと、血液血球検査は現行法五点が新体系で五点。これが農林省の畜産課が作って現行法として施行されておりまする家畜健康保険点数表によりますれば二十八点です。その差二十三点。血清学的検査に至りましては、新体系では六点・家畜の方では四十八点。寄生虫の検査に至りましては、新体系ではわずか二点、家畜の方では十四点。尿の検査に至りましては驚くべきことに新体系ではわずか一点。あの尿を検査するお医者さんのそれに与える点数がわずか一点。しかも家畜の方では雄が十九点、雌が十五点。(笑声)次に、驚くべきことは、皮下注射に至りますると、新体系ではわずかの一点。馬や牛に皮下注射いたしますと驚くなかれ八点。角膜注射に至りまするというと、新体系ではわずか二点。家畜の方では十点。目の洗浄は新体系ではゼロ。馬の目玉を洗うと七点。胃洗浄の場合には、これは現行法で、今度新体系では二十点に上げましたが、三十四点。その次は、申し上げることがいささかどうも私も気恥かしいのですが、膣の洗浄に至りましては、新体系では一点。ところが何と、馬の膣洗浄をいたしますと二十八点。牛の場合は四十六点、こういうことになっておる。(笑声)これでただし私が一点了解を得ることは、人間の場合には十一円五十銭です。この家畜の方は十円です。いささか低いから点数をそのまま当てはめることはできませんが、十一円五十銭とそれから家畜の八十円というようなことはこれは明瞭です。こういうふうな、同じ政府部内において、しかも相手は家畜です。そうしてそういう点数表と今度の点数表を見た場合に、私は山下厚生次官が知らないでおっしゃっているならば勉強していただかなければならないし、知っていておっしゃっているなら人が悪過ぎると思う。これはどう考えても私はよくお考え直しになって、山下委員に対する答弁も次回にお直しになるならば直して、日本の社会保険の財政からやむを得なかったというならばそれでもよろしい。厚生官僚として政治力が足らないでわれわれではどうにもならなかったと言うのなら、答弁としてはそれでよろしい。われわれはこれを政治的な問題として取り扱いたいと思います。現在私が示したこの点数表との比較において、山下委員に対する答弁に対して次官は何か再答弁の必要をお感じになりませんか。
  87. 山下春江

    政府委員山下春江君) 私が山下委員にお答え申し上げましたことを私は不当なお答えを申したとは考えておりません。ただいま相馬委員からお示しの家畜の件に関する点数、これは私はふびんにして獣医の技術と、それから人間のお医者様の技術とがどのような差異があるものかは不勉強で私ただいまお答えするものを持っておりませんが、しかしながら保険全体に対しましても、今回私どもは健保に対して三十億をとりますのに非常な努力を傾けました。しかしながらすでに家畜に対する保険に対しましては相当高額の国庫補助が出ております。従いましてこういうことはおかしいではないか、同じ政府部内でおかしいではないかという御議論に対しましては、確かに私もおかしいと思います。しかしながらこれは厚生省の行政官が腕が足りないためにとり得なかったという解釈は当らないと思います。私はこういうことに対しましては逐次妥当な研究が進められていくべきであろうと考えております。  それから科学的な基礎に立って本当に数字的な科学的な基礎に立って算定したと一方では言いながら、そうでないものがこの中に含まれているという答弁は食い違っておるではないかという御指摘に対しましては、私はこういう数字を出しますためにはあらゆる努力をいたしまして、できるだけ皆様に御納得をいただける統計の上に立って、厳然とした厳粛な科学的な統計の上に立って判定をされるべきである、そうしなければならないと思いますが、私は政治家でございます。でき上りました数字に対しまして、ただ科学的な冷厳な批判を加えることはできません。私はあくまでその明確に数字の上に科学的に出せないものに対してはこれを作りました行政官は、そのお医者様の社会的立場、その御任務、そういったようなものを勘案した説明の、あるいはできかねるようなものをも含めてその中に十二点というものが出たのでなければならないし、そうであろうと私は想像いたしておるがゆえにそう御答弁申し上げた次第でございます。
  88. 相馬助治

    ○相馬助治君 追及は後日に譲ります。
  89. 榊原亨

    ○榊原亨君 先ほど保険局長が初診料を高く評価したと声高々とおっしゃったのでありますが、これは先払いとお間違いになっておるのではないか。この点は時間がないのでこの次に追及いたします。高く評価したのではない、今相馬君の言われた牛や馬よりも何十分の一の初診料、高く評価したのではない、ただほかの診療報酬をもってきて先払いされたというのとお間違いじゃないか、私答弁を要しません、急いでおりますから。これはあくまでその点数表はバランスでございます、絶対値ではございませんと御答弁ございました、たとえば一プラス・アルファ、技術料を算定いたしますには医師の生活費というものを標準にしなければ経済的には算定できません。従いまして医師の生活費をどういうふうにごらんになったか、先ほど申したのでありますが、これはバランスでなくて、絶対値というものなくてはバランスは出てこない、この議論についてもこの次に私は局長に御答弁を要求いたします。従いまして技術の評価ということにつきましては、どうしても医師の生活水準というものを考えなければならぬのでありますから、これはあくまでも点数表でございますからバランスでございます、従って絶対値の話は別だという話は当らない。この二点につきましてはこの次に私は質問を保留いたします。
  90. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 緊急質問をいたします。厚生次官の山下さんに……。
  91. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 速記を止めて。   〔速記中止〕
  92. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 速記を始めて。ただいま竹中委員の緊急質問に対して発言を許します。
  93. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 実は医務局長がおられた上で質問しようと思ったのですが、おられないので、もっぱら山下政務次官にお尋ねしたいと思います。昨年新看護婦制度ができましたときに、つき添い婦を廃して常勤者に国立療養所が切りかえる問題をここで審議いたしましたときに、その決定のときに、衆議院と参議院におきましては、付帯決議をつけております。衆議院におきましては、「政府は国立療養所の看護要員の充実を計る意図であるが、これに伴って直ちに現行附添婦制度を全面的に廃止するが如きことは、実情に沿わざるものと考えられる。よって、政府はこの実情考慮の上、療養所管理の実態の改善のため充分なる方途を講ずべきである。」という付帯決議が衆議院の社会労働委員会からついている。この参議院の社会労働委員会におきましては「現実にその廃止が、看護要員の増加及び設備と給食の改善を実施するに非ざれば、看護に支障が起るような場合にはこれを強行してはならない。更に廃止する場合でも現在の附添婦の配置転換等については万全の方策を講じなければならない。」という決議をいたしているのであります。ところが現在果してこの支障がないかと申しますと、聞き及ぶところによりますと、相当多数の国立療養所において非常な無理が行われておるという事実があるようであります。たとえば手術直後の患者に一人つきのつき添い婦は常勤者は三日ないし四日しかついておりません。これまで三週間ついておったものが三日ないし四日になっております。これは患者の病室の配置転換その他によって設備が改善されておるならばあるいはこれが円滑にいっているかもしれないのでありますけれども、設備の改善もこれと同時に並行して十分いっておるとは考えられません。運搬車や勤務配置や洗たくや食事給食の設備のような点につきましても、まだきわめて不完全な状態に置かれておるようであります。また特にケース・バイ・ケースの対策というものができておりません。従って重症者が非常な精神的にも実際的にも危険の中にさらされておる状態が至るところにあるということが報告されております。でこれはまた実際にそういう被害者が出ております証拠には、つき添い婦——常勤者が手が足りないために家族を呼び寄せてそうしてその家族がついておるというような重症患者が相当出ております。習志野の療養所のごときもそういう例を持っております。こういう家族はおる場所がないので、床の上に寝たり、病室の隅っこに寝たりしておるというような状態が現に報告されております。また切りかえの結果、看護炉非常に機械化されておる。常勤者がつき添い婦とは相当違った——機構的な上からも気持の上からも機械化されていって、患者がそのために非常に精神的に心理的に不安な気持を持っておるという状態が相当報告されております。しかもそういうところにおいて常勤者に切りかえがどんどん進行いたしております。一方にそういう患者が非常な脅威にさらされておると同時に、他方には付帯決議にあります通り、現在のつき添い婦の配置転換については万全の方策を講じなければならないと言っておるにかかわらず、必ずしも万全の方策が講じられていません。すなわち四千人近くのつき添い婦の三分の一あるいは四分の一くらいしか現在のところ新しい常勤者には採用されておりません。八十人のうち十人とかあるいは五人とかいうふうにしか新しい採用にはなっておりません。すなわちこのつき添い婦の大部分が現在失業の脅威にさらされております。生活難につき落されておるのであります。こういうつき添い婦についてもあるいは患者についてもまだこの切りかえが十分でない、こういう時期にどんどん切りかえが進行しておるということは、この委員会で決議をしたものとして、この委員会としても非常に不安な気持に襲われる、また責任の上からこれをどうしても研究、追及しなければならないように思われるのですが、まずその点につきまして次官の御意見をお聞きしたいと思います。
  94. 山下春江

    政府委員山下春江君) ただいま竹中委員からの御質問の点でございますが、衆参両院で行われました御決議の趣旨を私どもも決して無視いたしておりません。御決議の趣旨に沿いまして十分注意をいたしながら今切りかえを進行いたしておるところでございますが、御指摘でございましたが、私どもの方へは患者の回からは、御指摘のような不安にさらされておるとか、手術後の治療に非常な支障をきたしておるということが、まだ確実な報告を受けておりませんけれども、しかしながら相手は病人のことでございますし、万一さようなことがあれば、もちろんつき添いをその場合にむりやりに離すような措置は断じていたしておりませんし、ただいまのところでは手術をいたしましたあと三日間くらいは、必ず大きな手術のときには一対一で、必ず常勤労務者を一人つける、あるいはその病気の、手術の度合いによりましては、一対二というような看護をいたしておりますので、御指摘のような支障をきたしておらないと私どもは存じております。お医者様の方も、この程度で十分だという御報告をいただいておるのであります。それから患者の方でも、これはお互いに入院いたしました者のだれでも感じますことでございますが、私自身もつき添い看護婦さんについていただいて病院におった例もございますが、私は非常に食慾の旺盛な病人でございましたので、そのような場合に、自分が食べておるときに、どうしてもそばのつき添い看護婦さんに、あなたもお上りなさいと言わずにはいられないのが人情であります。病人で非常にお世話になっておりますものですから、そういうことの経費等の点もございまして、何か患者が安堵した——これからは全然そういったような費用を使わなくてもよいというようなことで、むしろ安心をした、安堵したというような空気が私どもの方には報告が参っておりまして、しかしながらそれでも不十分だということでございますれば、もちろんその点は十分に私どもの方でも注意いたしまして、そういう落度のないようにいたしたいと思っております。家族の方は従来から大きな手術がありますときには、必ずこれはおいでになっておりました。しかしながらこれはただ横の方で見ておいでになるだけでございまして、実際に患者の看病ということにはお当りになっていないことがこれまでの例のようでございますから、特に家族をこのためにお呼び寄せになるということは起らないのではなかろうかと考えられます。  それからちょっと日にちが前でございますが、すでに切りかえました数字が千三百何名ということに対しまして、ただいま行いました施設が九十六施設ございまして、その中で三一・六%だけは常勤労務者に切りかえられております。従いましてそのあとの方は、まあ失業された形になっておりますけれども、しかしながらその方々に対しましても、あとう限り労働省あるいはその療養所、その施設の中へ特に私どもの方から強くあっせんをいたしまして、就職できるようにお手伝いいたしておりまして、それも大体三一%に近い数字の方、数で申しますれば四百人余りだと思いますが、つき添いにおなりになった方が四百十三人でございます。それから派出婦会にお帰りになった方、もとの派出婦会にお帰りになった方が二百五十一人、それから他へ転職をごあっせん申し上げました方が九十六人、それから福祉施設へあっせんいたしました方が十四人、それから御自分の意思で、御自分で御希望なさいましてよそへ就職なさいました方が三十六名、それからつき添い婦さんその方が、からだが悪くて入院なさらなければならない方が三名ございます。そのほか老齢のためにもうその仕事につくことのできないという方が百九名ございます。そのほかに三百五十名まだ報告を受けない方があります。今私が申しました数字の全体は八百九十二名でございます。そういう点から考えまして、多少ともそれは御指摘の通り職を離れておられる方がございましょうが、この老齢のためにもうこの職におつけになれないというような方は、かねがね私はこの問題に対しては社会局長によく相談をいたしておったのでございますが、生活保護法等で救済していくというようなことは私の方でも十分覚悟をいたしておりますので、御指摘のごとき状況に立ち至らないように十分注意しながらこの切りかえを行なっておるのが現状でございまして、なお不行き届きの点が御指摘ございますれば、その点に対しましては十分考慮をいたす考えでございます。
  95. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 この厚生省側の施設長からの報告、また実際に直接調査された結果に基いての御答弁だと思いますが、すでに厚生省の通牒が出ていますと、この九十六の施設あるいは現にどんどん切りかえを今やっておる施設が相当無理をしておるということは、これは役所、厚生省本省から施設長に通牒がいきますと、切りかえの通牒がいきますと、これをやはりある程度無理があっても強行しておるということ、これが人情でありますし、また機構上やらなくちゃならないことでありますから、自然どうしても無理が起ります。現に無理が起っておる。患者が直接不服を申し出ないからというようなことで、これが円満にいっておると考えられることは大きな間違いだと私は考えております。むしろそれよりもさらに信憑性のあるものは、現に場所につき添っておるところの人たち、施設長などは責任上うまくいっていないというようなことを報告するはずがない。あるいは厚生省から直接行かれても大部分の場合は来るということがわかっておれば、それに備えての体裁を作ってボロを見せないというのが、これが普通の調査の——視察の場合、われわれが行ってもそうなんですから、いわんや権限を持った厚生省の方から直接に行っても、あるいは不意に行ったというときには相当あったようですから、大体調査とか、そういう調べに行くという場合には、ちゃんとボロを出さないようにしてあると私は考えております。従ってそれだからこれが相当うまく行っているというふうに判断されることはきわめて危険だと私は思います。のみならず、それに直接担当しておるつき添い婦の、全国的なつき添い婦さんたちが私どものところへ持ってこられておるところの情報は、あるいは日患同盟が持って来ておるところの情報は、厚生省の言われることは全く逆の場合が相当あります。事例もあげてあります。具体的に相当問題が出ております。だから私どもはその厚生省当局の報告というものはそういう意味において評価しておるのですが、全国的なつき添い婦組合報告というものはやはり現実にそういう問題に直面しておる人たちの声だとして、従ってまた患者の声もそこから相当反映されておると私どもは受け取っておるのです。今大手術をすれば家族の者が来るのは当然だというようなお話もありましたが、そういうケースではないのです。働いておる奥さんが主人の手術のあと、これが十分の手当ができていないから子供を背負って、職業を投げ打って病院に詰めかけて看護をしなければならないというような例を私は申し上げておるのです。また自分の食べ物までつき添い婦さんに与えておったので、今度の常勤看護婦がそういう心配もなくなって安心したというようなそういう問題を取り上げておるのではないのです。現にこの切りかえの過程において相当無理が行われておるという報告があるから、これを十分私どもとしては取り上げなくちゃならない。特にこの三分の一しか常勤には採用されていない。その残りは相当無理な生活苦の中に今日放り込まれておる。派出所に帰ってもらうとか、あるいはその他で就職したものがあるでしょうけれども、その大部分、すなわち三分の二までは現在つき添い婦以下の、つき添い婦のときよりもさらに条件の悪いところにかわって行ったと判断しなければならないのみならず、職がなくて、生活苦で福祉事務所へ行かなければならない条件に追い込まれた人が相当ある。私は現在九十六施設の状態ですが、今後全体の切りかえの場合に、現在のつき添い婦の方たちが受けておるところの不安というものはきわめて深刻であると私は考えております。そこでこういう場合に厚生省としては、医務局としてはもう一度この調査をされてはどうか、厚生省で調査をされると同時に、私どもはやはり責任がありますからして、この社会労働委員会としても問題のあるところに、問題を持ってきておるところを調査してみたい、調査する義務があると私は思います。それによって事態を判断されて、無理が行われているような場合があった場合、相当今日こういう不安を与えておるのであるからして、もう一度通牒を出して無理をするな、あるいは現在のまま一部の健康保険あるいは医療扶助の看護権をとめてしまうというようなむちゃをするな、無理をするな、あわてたことをしないでこれを一部は出す、そうして必要なところのつき添いはなお経過処置の間、一部分のものは現在のままおけるように、厚生省がやるということは、これはそう金のかかることでもない。予算のかかることでもない。人命にかかわることであり、日本の医療費の大部分を占める結核患者、ことに貧窮な結核患者に対する厚生省の措置としてやり過ぎでも何でもない。これをやらないことが私は怠慢だ、あるいは軽くこういう問題を見ておるのだと思いますが、そういう調査をする、あるいは現状において危険があるようであれば、これは現状無理な切りかえをするなというだけの親切味のある通牒を出す考えがあるかどうかを次官にお伺いしたい。
  96. 山下春江

    政府委員山下春江君) 私先ほど御答弁いたしました中に、不明確な点があったと思いますので、もう一度明確にいたしておきますが、現在切りかえの行われております中で、配置人員、すなわち新たに配置いたします人員に対しましてつき添い看護婦から採用いたしました比率が三八・四%でございます。それから現につき添っておりますつき添い婦の中から採用した比率が三一・六%でございまして、この中で、私ども今竹中先生御指摘でございますが、考えなければならないと思いますのは、年をおとりになって、もうこういう職務にはとうてい耐えられないという方が百九名あります。これはいかに仰せられても、看病にはちょっと不適当な、御自分が看病してもらいたいような方でありまして、これはとてもつき添い看護婦には向かないと思いますので、何らかの考え方をわれわれの方で早急に考えなければならぬと努力いたしておるところでありますが、それとそのほかの三百五十名、これは報告がございません。何べん督促いたしましても、報告のない方が三百五十人あります。合せて四百五十九名、これだけの方に対しては、私ども御指摘のように不安を与えないように何とかいたさなければならないと十分考えております。  それから無理をしておるのではないか。これは現地に始終出向きまして、様子を調査いたしております者が本日も参っておりますが、決して御指摘のような無理なぞは一切いたしませんで、こういうことは無理をしてやるつもりはもともともっておりませんので、私どもの方で始終ぐるぐる回って調査をいたしております。結論から申しますと、さような無理は現在は出ておらないようでございますが、なおこういう問題でございますから、十分気をつけまして無理のないように実施をいたしたいと考えております。
  97. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 どちらを信じていいか、どちらも信憑性が相当あるわけですが、私どものところに陳情に来ておるところでは、非常な無理が行われておる、ある患者はそのために病気が悪くなっておるという例まで報告になっております。従って委員会としては、少くともこの実情をもっと的確に第三者として調査する必要があると思いますが、この点につきましては、後ほど理事会ででも調査派遣の問題として考慮願いたいし、この委員会でも一つ協議して決定していただきたいと思います。
  98. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 委員長からちょっと発言しますが、今竹中委員報告された実情とそして山下政務次官が答弁しておる内容とは相当食い違っておるということはまあ諸君御承知の通り、しかも前国会において両院において決議をしておるというような問題がその決議の線に沿っておらない。厚生省に言わしむれば大体浴っておるように考えられますが、現実は沿っておらぬ。でたらめの陳情ではないと思うので、竹中委員の言われるように委員会としては取り上げて適当な方にやはり実態を見ていただくというようにしておいたらどうかというような考えですが、どうですか。
  99. 榊原亨

    ○榊原亨君 この問題は、今竹中先生が緊急質問ということで今まあ定員も少い、まあ欠けておることでありますから、一つ次回に正式の議題とされまして、それから厚生省からも資料をいただくし、竹中先生の資料も出していただいて、そうしてそこで検討して、そうしてその必要があるならそのときお願いする。次回にこれを譲っていただきたいと思うのですが……。
  100. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ただこの問題を、御承知のように、もし竹中さんの言われるような状態であるとすれば、次回まで待っておるうちには解決がついてしまう、極端なことを言うと。そこでもし厚生省の次官が、あなたが将来の問題まで責任をお持ちになって万遺憾ないことを処置しますというならけっこうであるし、そうでないならば、どういう進行状態にあるか知らぬけれども調査するまで一応現状でストップしておく、現状の実態はどういうふうになっておるか知らぬけれども、一応待ちなさい、こっちから調査に行く、そういうことができるならいいが、そうでなければ言い分の違っているものをどこで調整して行くかということは重要な問題になってくる。次回まで引き延ばすということは時間がたてば問題が自然に解決がつく。しかしきわめて不満足な状態解決したというのでは委員会の使命は果されないと思う。そういうところを御勘考願いたい。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  101. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) 速記を始めて。
  102. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 ただいまのように、委員長一任ということにこの議員の調査ということは決定されてけっこうと思いますが、しかしこれは早急を要すると思います。  それから次官に申しておきたいのですけれども、どうぞ次官もこれはただ事務的に問題がないのだというふうに判断されるということは危険だと思うのです。人間の、ことにこの結核患者が手術を受け、そうして今までよりも定員をうんと減らして、まあ配置や、設備や、あなたも療養所に行ってごらんなさい。とてもひどいものですよ。設備をごらんなさい。これはもうまだ犬猫病院の方がりっぱなのかたくさんありますよ。戸も締らないような国立療養所が至るところにありますよ。そうして食事にしてもあるいは調理場にしてもあるいは運搬にしても、洗たく場にしても、まあしちりんを病室に持ち込まなければならないというようなこんな国立療養所が至るところにあって、これでもって患者が安心して満足しておるというような、そういうお考えをされることは非常に危険で大きな間違いです。将来に対して、こういうことでは厚生行政というものは成り立たないと思っておる。そういう意味におきまして、もっと真剣に次官とで、これはまあ政治問題になるかもしれないけれども、ほんとうに社会保障の充実ということは言えないと思うのです、現状においでは。人間が人間として扱われていない。病人が病人として扱われていない。そういう状態に放任されておる、日本の危険な人民の生活というものは。どこに一体社会保障があるのか。私どもは社会保障の充実なんということを政府が言っても、そんなものは私どもにはないと考えておる。だからそれくらいに、かかってこの結核問題、これを解決することがおそらく日本の医療費の問題、あるいは健康保険の問題、あらゆる赤字の問題を解決するゆえんだと思いますが、ことにその一番先に立っているところの国立療養所、結核の患者を取扱うその場所において、これがまだこれで相当よくいっているなどと思われたら大間違いだと私は思う。だから、これはつき添い婦や実際にそこについておる、貧しい生活のただ中に立って働いている人たちの意見というものが重要視されます。これは金持ちの奥さんが入っておった、そういうことは例にも何にもなりません。私はそういう点十分考えていただきたいと思います。ことにそういう使命を持っているのはこの委員会だと思いますから……。
  103. 相馬助治

    ○相馬助治君 緊急で重要ですから、竹中提案のように委員長に一任することに私は賛成します。
  104. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) それではこの問題は非常に重要な問題でもありますし、さきの決議事項もございますので、この線に沿って委員会としては努力したいと思いますので、そのために必要な処置をとることを委員長に御一任願って、委員会でどう処理するか、あるいは御派遣を願って実地を見ていただくかということを御一任願って、本日はこの程度でこれを取りやめたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) そこで次官に申し上げておきますが、このような状態でございますので、この問題が逆な方向に私どもがいろいろ調査しているうちに進行するようなことのないように御注意を願いたいと思います。  本日はこれで閉会いたします。    午後二時六分散会