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1956-01-30 第24回国会 参議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年一月三十日(月曜日)    午前十一時十二分開会   —————————————   委員の異動 本日委員藤原道子君辞任につき、その 補欠として阿具根登君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     重盛 壽治君    理事            高野 一夫君            谷口弥三郎君            山下 義信君            常岡 一郎君    委員            加藤 武徳君            草葉 隆圓君            榊原  亨君            寺本 広作君            深川タマヱ君            横山 フク君            阿具根 登君            相馬 助治君            山本 經勝君            田村 文吉君            森田 義衞君   政府委員    厚生政務次官  山下 春江君    厚生省医務局長 曾田 長宗君    厚生省薬務局長 森本  潔君   説明員    厚生省保険局医    療課長     館林 宣夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (新医療費体系に関する件)   —————————————
  2. 重盛壽治

    委員長重盛壽治君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  前回に引き続きまして、社会保障制度に関する調査の一環として新医療費体系に関する件を議題とし、引き続き質疑を行いたいと存じます。御質疑のおありの方は順次御質疑をお願いいたします。
  3. 榊原亨

    榊原亨君 大臣、次官がお見えになりませんし、また保険局長もお見えになりませんから、ただいまから私が御質問申し上げることについての、さらにそれらの方に質問すべき点がございましたならばそれを保留させていただき、一応医務局長に御質問申し上げたいと思うのであります。  今度の新医療費体系いろいろ算定をいたしましたものを、これをさらに各地において医師会試算をしておられるようでございますが、その試算をしました結果が著しく厚生省お話になっておられるところとは違っておる結果が出ておる。あるいは地域的に見ましても非常な差が出て来ておるというようなことが言われておるのでありますが、これはいずれ参考人として、それらの方々意見を聞かなきゃわからぬのでありますが、一応そういうふうなことが私どもの手元にいただきます書類のうちにも現われておるのでありますが、その原因はどこかということになりまするというと、厚生省は二千万円からの金を使って計算なさったのでありますから計算には間違いがないでございましょう。またそれらの関係団体試算につきましてもサバを読んでやるということでなしに、まじめにやっておられるのでありますから、これもほんとうだろう。どこにどうしてそういうふうな違いが出てくるのだと申しますと、何といたしましてもこれは客体の分析が足りなかったのじゃないか。厚生省がこの新医療費体系を作るためにおとりになりましたところのサンプル、このサンプルのとり方、扱い方にいろいろ間違いがあったのではないかというふうに私は考える節があるのでございますが、第一番目に医務局長お尋ねいたしたいのは、全国の昭和三十年三月の診療分に対しまして、昭和三十年四月に出てきた診療報酬明細書から御計算になったというのでありますが、そのどの診療報酬書をとるかということ、十分の一、百分の一といろいろサンプルをおとりになったのでありますが、この病院からとるのだ、この診療所からそれらの診療請求書出してもらいたいのだということを御通知になりましたのは何月にお出しになったのでございましょうか、まずそれを承わりたいと思います。
  4. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 私もこの調査につきまして、事務的にいつの何日にどういう処置をとったかというようなことをただいま正確に記憶しておらないのであります。大体三月の診療がおもになっておると思うのでありますが、四月の請求書を土台にしていくということにいたしましたので、たしか通知が参りましたのは三月の末か四月の初めだったのじゃないかと思いますが、正確にはちょうど医療課長見えておりますので、正確に記憶しておるかと思いますが……。ただいま医療課長記憶もただしてみましたのですが、おおむねそのころだと思うということであります。
  5. 榊原亨

    榊原亨君 通知をお出しになったのがはっきりわからぬというのはおかしいのですが、一つ記憶を呼び戻していただいて、何月にお出しになったかということは、これはサンプルをとります上に非常に重要なことであります。たとえば岡山県の榊原病院サンプルをとるのだ、こう申しまするというと、その診療に従事しております医者も今度はサンプルをとられるのだというので、まあ非常にそこのところ慎重なかまえでやる、あるいはそれが現実とゆがめられて来るということが考えられるのでありますが、そこでそれは何月に、たとえば四月、三月の診療が済んでしまってから、五月になってからそれを出せ、こう言われてその実態調査したならば、それは自然の姿が出て来るが、三月の診療内容調査するのに、三月の、今お話しになりましたように、三月の半ばになってからお前のところをとるぞというようなことを言われますというと、つい実態とゆがめられてしまうと私は思うのであります。また三月の末にお出しになりましても、この病院、その診療所実態調査するということになりますと、基金審査ということもつい厳重に流れやすいというようなことはないだろうか、そういうものによって、そういう客体によって調べられたものは実際上とゆがめられた結果になる。そこで統計をとる方はそういうことを知っておらなければならないはずなのに、今お聞きしますとその日にちがわからぬ、健忘症になっておられることは私はおかしいと思います。統計をとる以上はそれだけのことかわかっておらぬというのは……。
  6. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) ただいまの御質問通り、これは確かに明らかにいたしたいとお考えになる点だと思います。不正確でもいけませんと思いますので、ただいま調べましてお答え申し上げます。
  7. 榊原亨

    榊原亨君 なおこの際承わりたいと思うのでありますが、それらの診療明細書審査をいたしますものに対しまして、これは厚生省に出すところのサンプルとして選んでおる請求書であるから、一つ審査を十分厳重にするようにというようなことを基金の方に御通知になった事実があるかどうか、それもいかがでございましょうか。これは日にちではございませんからはっきり覚えていらっしゃると思うのでありますが、そればいかがでございましょうか、承わりたいと思います。
  8. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) これも保険局の所管でございますが、私はさようなことはないはずというように考えております。
  9. 榊原亨

    榊原亨君 もしそういう事実がはっきりいたしますならば、このおとりになったサンプルについては、もうその意味がないということは、今なるほどその通り局長がおっしゃったのでありますから、もしそういう事実がここに明らかになりますならば、この診療報酬算定に関する材料に使われましたところのサンプルについては、非常にゆがめられたものであるべきであるというお考えはありますのでございましょうか、どうでございますか。
  10. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) ただいまの御意見は、私どもとしても常識と考えられるのでありまして、毛頭さような処置はしておらないはずというふうに考えております。
  11. 相馬助治

    相馬助治君 関連して。今の榊原委員質問の問題は非常に大切だと思うのです。この新医療費体系中の点数の問題が正しいとか正しくないという議論の正否を決定する場合にですね、厚生省は科学的に数字を割り出して、どうしてもこういう結果がこのような点数表に表われることが正しいのだということをおっしゃって作られた自信あるものだと思うのです。そこで私どもとしては、今榊原委員がおっしゃられたことで、そういうふうな仮定に基いた資料では信頼することができないのだが、というところで話が終っておりますから、私は本日中に、また本日中に不可能であれば次の委員会に、その新医療費体系の新点数表の配分が生まれてきた資料が、どんな手続で、そうしてどういうふうに算定されたかということを当事者から、保険局関係ならば保険局関係当事者から、詳しく御説明をしていただきたいと思うのです。この資料としてこちらに数字は出ておりますが、その数字を私たちが見てもちょっとわからない点がありますから、榊原委員の今の医務局長との話合いはそれで終ったのでなくて、私はあらためてその資料説明を願って、次の機会にその問題に関連して二、三質問したいと思いますのでそれをお願いしておきます。
  12. 榊原亨

    榊原亨君 ただいまの問題については、保険局が今お調べになっていらっしゃるそうでありますから、そのお答えが出ましてから申し上げたいと思うのであります。  次に私がお伺いいたしたいのは、診療所におきましては、百分の一抽出病院においては十分の一抽出したものからさらにその十分の一をとって調べたと、こういうお話だった。その調へ方は、昭和二十七年におきましての調べ方、今度のこの新医療費体系の基本をなしておりますところの調べ方においても、資料についても同じ調べ方をしておられる。私二、三日前に、この休会中に大阪の統計学者のところに参りましたところが、議会で一生懸命やって、あなた方口先をとがらかして一生懸命議論をしておるけれども、私ども統計学者からみればこんなものはすぐ突っ返して、もう一ぺんやり直すべき性質のものだ、何となれば、十分の一抽出したものからさらに十分の一とるのと、初めから百分の一抽出してとるのとはもう全然違う、こういう統計の原則に反したものを議会でまじめになって審議しておられる、あなた方統計学を知らぬのですか、こういうふうに私はやられたのであります。そこで、私は、統計学といっても、そうかなあと思って汽車の中でそれを、だいぶまるを書いてやってみたのでありますがわからぬのでありますが、曾田医務局長はその方のベテランでおいでになりますが、こういう抽出方法は、十分の一からとった診療報酬で、さらに十分の一、十枚目に一枚とったのと、初めから百分の一とったものと同じ効果があるとおっしゃるのか、その点一つお教えを願いたいと私は思う。私はその点全然白紙でわかりません。これはいずれ参考人として統計学者を呼んでこなければわからぬと思うのでありますが、一応承わりたいと思うのであります。
  13. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) これは統計学上の問題でございますが、私申し上げますれば、この平均値の推定をいたしますのには、この両方法をとりましても違いはないというふうに申し上げていいと思うのであります。ただその誤差がどの程度であるかということを推計いたしますときには、ただいま御指摘の通りこの二つ方法で異なって参る、こういうふうに申し上げていいと思うのであります。
  14. 榊原亨

    榊原亨君 この問題は非常に重大なことでありまして、二つ方法によっておのおのとったものが誤差が違ってくるということでございますならば、あるいはここに各地医師会がおやりになった材料と、厚生省がおやりになった材料と、現実においてやってみるというと違うということも、そういうところでないかと思うのでありますが、この問題につきましては、私は委員長にお願いいたしたい。いずれこれは参考人等をお呼びになるのでありますか、いろいろ関係団体の方をお呼び下さるのも必要でございますが、これは統計学者参考人にお呼び下さいまして、そうして果してこういうものを、両方誤差が非常に違うものを突き合して、そうしてこれを参考にして出るということは、統計学上のやり方であるかどうかということを、私どもしろうとでございますから、一つ判断ができますようにお願いをいたしたいと思います。
  15. 山下義信

    山下義信君 私も大臣見えましてから、前回に続きまして、残余の総体質問を一、二いたしたいと思うのでありますが、それは保留さしていただきまして、ただいま政務次官見えておりますので、政務次官一つお尋ねをいたしたいと思います。  この新医療費体系実行は、言うまでもなく四月一日からということで、前回質疑応答で四月一日から実行するのには、どうしても三月の初めに告示しなければ間に合わぬということの答弁があって、そういう御予定でありますが、この新医療費体系関係のありまする健康保険改正、いろいろ関係が直接間接にありますが、一番関係のあるのは一部負担の点で、これが今の健康保険法のままでありますというと、この新医療費体系できめた十二点が、全額保険者にかぶさってくるということでありますから、初診料のみに限らず、その他の一部負担をやるということになるというと、健康保険の方で改正なさる、またどういうふうな改正をなさるかということが、法律案で出ておりませんのでわかりませんが、しかし当局が従来おっしゃったこと、あるいは新聞等に出ている改正案のいろいろお考えから見ましても、どうしても健康保険法の一部改正法律案成立をしなければ、新医療費体系実施が非常にそこでそこを来たすということだけは事実であります。  それからいま一つは、これもまだ正式に健康保険改正法案を拝見しないのでありますが、健康保険改正の方は五月一日から実施という御予定のようであります。非常に重大な問題でありますから、言うまでもなく国会審議は熱心に審議相なることであると思うのでありますから、どうしたって新医療費体系告示をなさるまでに健康保険法の一部改正法律案国会で同時に決しなさるということは、これは現実的におそらく困難であろうということは、だれでもわかることであります。従いまして、この健康保険法の一部改正法律案が、新医療費体系告示までに成立を見ないときには、どういうお扱いをなさいますか、このままにされますというと、十二点が全額一部負担でかぶさってくる、そのときの処置はどういうふうになさるおつもりでありますか。大臣告示を何か方法をもって、保険法成立まで十二点の初診料のところを、何か改めておきますか。あるいは四月一日から実行医薬分業法実施でも緊急にお延ばしになるか、健康保険法改正を別に初診料の点のみだけの改正案でも暫定的にお出しになるか、どういう方法をおとりになるか、プログラムを承わっておきませんと、大事なことでありますから、政府の方の御方針を一つ明確にお示しを願いたいと思います。
  16. 山下春江

    政府委員山下春江君) 今回健康保険法改正をいたさなければならないと考えまして、その準備を進めております。お説の通り、非常に重大な法律でございますので、私どもはあとう限り努力をいたし、御協力を願って、私どもの企図いたします日にちまでに御審議を御終了願いたいとひたすら考えております。しかしながら、それがかりに皆様方の御協力を賜わりまして予定通りにはかどりましたといたしましても、新医療費体系がこれと同様に皆様方の御了解を得られるかどうかということば、これは私どもの方でもこいねがっておりますけれども、わからないのでございます。万一五月一日に実施をいたしますときに、三月三十一日までにその点が明確にならないというときには、何らかの暫定的措置を講ずるのやむを得ないことに立ち至るであろうと考えられます。
  17. 山下義信

    山下義信君 保険法改正案と新医療費体系との関係は、改正案成立しないと、現行保険法では初診料ということだけでありますから、点数が十二点になれば、十二点全額保険者にかぶさってくる。でありますから、そこのところの経過措置暫定措置というか、何か措置をやっておかなければならぬということが一つと、いま一つは、健康保険改正はおそらく五月一日の実施ということになるでしょう。新医療費体系実施は四月一日ということになる。かりに点数の調節がついたとしても、今度は実施期日で一カ月ズレがある。その間の措置というふうなものはどういうふうにするつもりであるかということを聞いている。何とかしなければならぬということはわかるが、その何とかというのは、どういうふうにするかということは、今新医療費体系を討議する上に必要なのです。初診料を十二点ときめているが、十二点をそのまま告示するわけにはいかないだろう。そうしたらば、その暫定的措置では十二点の初診料は何点と、どういうお扱い方でするかということの政府予定がなくちゃ、それだけの御準備がなくちゃならぬはずだと思う。健康保険法改正案を出すのはもう目睫に迫っているのですから、そういうことのお考えがあろうかと思う。それをお示し下さらなくちゃ、私はこの新医療費体系審議の上に必要だから承わっておる。何とかそのつもりだというのではこの段階では困る。何か具体的なお考えがあって、それまでには初診料は四点で据え付けておいて、どうするのだ、こうするのだということが何かあるのだろうと思う。これは一つ政府の方のお考えをですね、健康保険法改正案成立するまでこの新医療費体系告示の上、あるいは実施の上に何かどういうふうな処置をするかということを一つ示しを願っておきたい。
  18. 山下春江

    政府委員山下春江君) ごもっともでございまして、その場合十二点を一部負担として患者が支払うというようなことを放置することは断じてできないのでありまして、さような金額を支払わせるという意思を毛頭持っておりませんので、一カ月ずれましたような場合には、暫定的な措置といたしまして、たとえば現行の四点、五十円以上を絶対とらないような措置として、かりに受付料とでも申しましょうか、さような名称をもって十二点全部を被保険者が現金で支払わない措置を講じたいと存じております。
  19. 山下義信

    山下義信君 何かそういうお考えがなくちゃならぬと思うんですが、しかしかりに受付料というような名で措置をしていくということになりましても、その受付料というのは、何でございますか、たとえば現行の一部負担初診料で言いますと、四点は現行法がずっとみていくのでありますから、患者負担にしておいて、その他の八点というのを受付料として保険医から請求できるような措置をとっておくと、こういう御趣旨でありますか。
  20. 山下春江

    政府委員山下春江君) その通りでございます。
  21. 山下義信

    山下義信君 そういうお考えは、これは法律改正をしていく上において便宜にそういう、他の方ではみな新しい点数に変って、初診料だけは法律上の便宜上そういうふうな扱いをしていくということですね。それで再診その他一部負担を、かりに政府の案がどういうふうか、保険法改正案を拝見しませんとわかりませんが、かりに世上伝えられておりますような、あるいはこの席でお漏らしになりましたような、三十円ずつ患者負担をいたしますということも実行はできませんね、これは。その扱い方はどういうふうになさいますか。健康保険法改正するまでそれは実施はお見合せになりますか。やろうったってできませんからね。現在の健康保険法では許されていないのですから、そういうことは。ですから、これも健康保険法改正案成立するまでは実施できませんね。何か法律がなくても実施のできる方法をお考えになりますか。
  22. 山下春江

    政府委員山下春江君) 私御質問の要点を取り間違えているかもわかりませんが、一部負担というものは、現行初診料四点以外は、健康保険改正成立いたさない限り一部負担を課すことはできないのでございますので、健康保険改正が通過いたしましたときに、巷間伝えられているその三十円というものをとるのかとらないのか、あるいはとらないとすればどういう措置をするかと、こういうふうにお尋ねになったのかとも存じますが、どちらにいたしましても、一部負担実施は、現行初診料の四点以外は健保法改正成立いたさなければ実行できないことになるのでございます。
  23. 山下義信

    山下義信君 そうなんです。そういうお尋ねをしていたのです。それで、そうしたらそれでは一つ一部負担改正案成立するまで現行のままでいく、それじゃ十二点というのは実施ができぬじゃないか、それじゃ暫定措置として、かりに受付料という名ででも告示で八点の請求ができるように、かりに御答弁をいただいてみるというと、そういう処置でもしようかと、こう考えている、こういうことであった、前段の御答弁、それはもうそれでいいんです。そうしたら、一部負担の三十円ずつという案がかりにどういう案が正式にお示しになるかしれませんが、その三十円ずつ負担ということも、保険法改正するまでは実施ができませんねと、こう念を押しているのです。
  24. 山下春江

    政府委員山下春江君) その通りでございます。
  25. 山下義信

    山下義信君 それで、そういう患者の一部負担その他がこの新医療費体系点数実施の上に私は非常に大きな影響があると思ってお尋ねしているのです。今、新医療費体系研究をしているのです。健康保険法研究をしているのじゃないのです。けれども、一部負担ということが非常に関連性がある。ことに初診料の十二点というところに私は関係が深いもんですからお尋ねしたのですが、患者の一部負担というものと点数というものとは、新医療費体系というものとは関係がございませんか、その他におきましては。
  26. 山下春江

    政府委員山下春江君) ございません。
  27. 山下義信

    山下義信君 私は表面を切りますと、初診料以外におきましては一部負担関係がないようでありますが、しかし、私は患者医者の門をくぐるたびに、治療を受けるたんびに、注射を受けるたんびに、再診をしてもらうたんびに、投薬をしてもらうつどに、処置をしてもらうつどに三十円ずつを払うことと、それから患者から三十円ずつ取って医師が新医療費体系によって点数計算して診療報酬請求するということは、私は表の上には関係ないと思うが、保険医としての診療行為をする上なり、あるいは患者を取り扱う上なり、この診療報酬のいろいろ請求する上なり、つまり、ひっくるめて申しますと、保険医医療する上において非常に影響があると思うのですがね。表の上では、法律の上では関係がないように思われますが、患者から一部負担を取るということと、事ごとに取るということと、それから新医療費体系によって正規の診療報酬請求をするという、保険医がどういうふうにその間の医療をしていくか、どういうふうに請求していくかということは、非常に私は大きに影響があると思うのでございますがね。関係があると思うのでございますがね。それが一向に関係がないというようなことはどうしておっしゃる。
  28. 山下春江

    政府委員山下春江君) 新医療費体系点数関係がないと申し上げたのでございまして、今回の一部負担を行いますにつきましての医療担当者方々の御不便といいますか、非常にやりにくい、御迷惑な措置であることは重々わかっておりまして、決して私どもはそんなことが安易に行えるというような甘い考えをいささかも持っておりませんが、今回は何といたしましても、この健保の現状及び将来もだんだんと医療は進歩いたし、医療費は増高するであろうという、日本の医療全体の面から非常に私どもとしてはお願いいたしにくいのではございますけれども患者にも御負担を願い、医療担当者にも非常な御迷惑ではありますけれども、御協力を願い、それに対して国家もあとう限りのことをするというような、三者協力によって保険財政を建て直したいということでございまして、決して関係がないとか、それは当然だとかいうようなことは毛頭考えてはおりませんでしたが、私どもとしては、ぜひ御協力を賜わりたいということの気持で考えておるのでございます。(「協力できないね、今のような状況では」と呼ぶ者あり)
  29. 山下義信

    山下義信君 これはまた別でお尋ねすることにしましょう。  私は今の、現行点数表でも、かりに被扶養家族の場合に半額負担、つまり、一部負担をしていくような場合に、医師がどのくらい半額負担の被扶養者からの徴収等に困難をきわめておるか、未納金というか、滞納金というか、そういうものがあって困っておるかということをときどき聞くのです。しかしながら、まあ点数の方でカバーできればしんぼうできるが、今度は点数というものをほとんど与えない。かりにそして一部負担というものも、これも徴収ができないということになったら、この新医療費体系というものの実行はできない。非常にこれは実施上私は困ることになると思ってお尋ねをしたのです。
  30. 榊原亨

    榊原亨君 関連質問……。ただいまの問題について、一応なおちょっと私政務次官にお伺いしたいのでありますが、ただいまお話しになっておられることは、社会保険の、健康保険についてのことでありまするが、国民健康保険の場合にこれを準用するということがまあ法律上きまっておる。そこで国民健康保険の場合に、これを準用された場合に、この新医療費体系をどんなようにしておやりになるのか。ことにこの一部負担の問題にからみまして、どんなふうなお考えを当局は持っておいでになるか、その点について承わっておきたい。
  31. 山下春江

    政府委員山下春江君) 榊原先生のお尋ねでございますが、国民健康保険とは差し当り関連がないと考えております。
  32. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、この新医療費体系は、国民健康保険では、現行の旧体系でおやりになって、国民健康保険には、この新医療費体系はおやりにならぬというお話でありますが、これは大へんな驚き入ったお話でありますが、山下政務次官、あなたは健康保険のベテランですが、どんなお考えですか。
  33. 山下春江

    政府委員山下春江君) 榊原先生の質問を、私は一部負担をどのように扱うかというところに重点があったと思いましたが、その点聞き間違っておるようでございますが、新医療費体系点数健保も、国民健康保険も準用いたしますが、一部負担には関係がない、こういうことでございます。
  34. 榊原亨

    榊原亨君 そうしますと、ここでおきめになりました新医療費体系そのものずばりというものを国民健康保険に御適用になるというお考えか。
  35. 山下春江

    政府委員山下春江君) その通りでございます。
  36. 榊原亨

    榊原亨君 これは大へんなことだと思うのでございます。そういたしますなら、われわれは、この新医療費体系について、いろいろ検討をしていかなきゃならぬと思うのでありますが、社会保険の健康保険診療報酬について検討する以上に、国民健康保険にこれを当てはめた場合に、どんな結果になるか、全国にございますところの国民健康保険の経済がどんなふうになるか、ことにこの一部負担の問題について聞くのだが、一部負担はどうなるのか、これはお答えがまだございませんが、これは重大なことでありますからして、ちょっと簡単に申し上げますれば、もしもこれをやって、やりそこなって赤字ができましても、政府管掌の健康保険でございますならば、何とか政府の金が出せると思うのでありますが、国民健康保険でございますと、これは重大な問題になる。そこで国民健康保険の側からもさらに詳しい検討がなければ、これは非常に危険なことになると思うのでありますが、その点と並びにこの一部負担は、国民健康保険ではどうしようとお考えになっておりますか、そのことについて承わりたい。
  37. 山下春江

    政府委員山下春江君) 国民健康保険の場合は、一部負担は、今日すでに実施いたしておる通り、そのままを継続するのでございまして、新たな一部負担は、国民健康保険には加わらないのでございます。
  38. 山下義信

    山下義信君 もう一つ私は政務次官に伺います。前回政府の基本的方針としてお示しになりましたのは、この新医療費体系について十分一つ検討してくれ、大いにまあ審議してくれ、人間が作ったのだから完全なものとはもとより言い切れないから十分一つ審議して、御意見はよく承わって尊重するつもりだ、こういう懇切丁寧な御方針をお示しになった。われわれはしろうとでわかりませんが、世間で非常に議論の多いこの新医療費体系につきまして、これは政府の方のお考えでは、よく十分検討した結果、不合理なところや不適当なところにつきましては、これを告示するまでに十分今の政府の原案というか、政府案につきましては再検討なさって、そういう点につきましては、これを訂正することにやぶさかでないという御意思がありますかどうか。あくまでこの原案を押し切っていくというお考えであるかどうか。これはわれわれもこれを審議していく、取り扱う上におきまして非常に重大である。また世間におきましてもこの新医療費体系の中に不適当なところや間違ったところや不合理なところがあれば、それはまた適当な機関によって、政府においてももう一度考え直して訂正するにやぶさかでないのだ。告示するまでには十分そういう点は手を加えることについては率直にそういう態度に出るのだ。あくまでも原案を無理やりに通すという考えではないのだということをお考えになっておられるかどうか。これは非常に重大でありますから、一応政府の御方針を一つ示しを願いたいとこう思います。
  39. 山下春江

    政府委員山下春江君) この点に関しましては前回大臣が申しました通りの意思を私はそのまま、私もまた承認いたすものでございまして、十分真意を御了解願いまして十分な御検討を願いまして、そしてほんとうに不合理だ、間違っているという点を御指摘賜わるならば、よく協議をいたしましてそれを取り入れることにやぶさかではございません。
  40. 榊原亨

    榊原亨君 先ほどの質問が途中になりましたのでありますが、お許しを得まして、先ほど国民健康保険におきましては今まで通りでいいのだというお話があるのでありますが、これはちょっと私どもといたしましては納得がいかないのであります。御承知でございましょうが、国民健康保険医療費負担分につきましては、各地いろいろあります。たとえば往診料は自弁をいたしておるところもございます。あるいは初診料を自弁しているところもある。また全部の医療費半額負担というのが全国的に共通しているところもある。いろいろありますから、国民健康保険診療報酬の取り方の内容が今まで通りでございますといたしましても、こちらの方の診療報酬がいろいろ変るのでありますから、そこで国民健康保険組合員としましては、その負担分は非常に偏差が今までと違って出てくる点が多々あると思う。従いまして、この点はさらに国民健康保険の側からも再検討してみなければ、ただこれは半額は、全部半額負担だ、あるいは六割負担だからそれで変りはないのだというわけにはいかないのでありますが、この点はまあ政務次官はあまり御存じないかもしれませんが、そういう実態でありますが、それでもなお国民健康保険の上には何ら変化がないというお考えでございましようか、お考えを承わりたい。
  41. 山下春江

    政府委員山下春江君) 御指摘の通り私はあまり詳しくございません。従いまして医療課長答弁をさせたいと思います。
  42. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 榊原先生のお話しの通り、国民健康保険は各組合ごとに給付内容が異なっておりまして、(「その通り」と呼ぶ者あり)相当な多数の組合が入院料、ことにその際における食費が給付外であります。あるいは抗生物質が給付外になっておるというような、政府管掌の健康保険におけるがごとき給付内容と違っておる組合も相当あるわけでございますので、今回の新医療費体系を適用いたしました場合に、その結果は政府管掌健康保険と同じような結果が現われるとは限らない事例が生じますことは御指摘の通りです。全体的には国民健康保険にもあまり著しい影響はないような考慮を払って今回の点数表は作ったのでございますが、個々の組合におきましては、全く御指摘の通りの事情が生じますので、これらの適用の際における一部負担ないし給付対象として医療考える場合には、それぞれの個々の組合がその点を考慮して適切な実施を行うように私どもといたしましても指導をいたすつもりでありますし、なお国民健康保険の給付内容も極力政府管掌健康保険と同じような方向に近ずくように強力に指導して参るつもりでおります。
  43. 榊原亨

    榊原亨君 これは重大な御発言でありまして、そういたしますと、この新医療費体系をスムースに国民健康保険でやるのには、国民健康保険の給付の内容ということも再編成をしなければならぬ、そういうことが今四月一日までできるでしょうか。ここにこういう事態に立ち至りましたのは何かと申しますと、先ほどからお話し申しましたようにサンプルをお取りになりますときに、たとえば友沢病院なら友沢病院サンプルの出てきましたそのサンプルが何%ぐらいが国民健康保険をやっている、あるいは国民健康保険そのものを全部をやっている、あるいは国民健康保険を全然やらない、いろいろサンプルの中にいろいろ診療の内容、保険の内容、負担率が非常に違ってくる、ヴェァリアブルがある、その客体を何も調べないで、そのままサンプルとしてお使いになっておったというところに私は間違いがあると思うのであります。従いまして国民健康保険健康保険ばかりでやっておる、あるいは山の中にあって、健康保険のないところで、国民健康保険ばかりでやっておるというところに新しく作ったものを当てはめますと大へんなことが起ってくるのでございまして、それをスムースにやるというなら、今申し上げましたように、もう国民健康保険の給付の再編成をやらなければ実態に沿わない。これは医者の収入がふえるふえないということだけでなくて、これは国民健康保険の組合にとりまして、非常に重大な影響を及ぼしてくるのでありますが、こういう点につきまして、大臣がいずれお見えにならなければ、政務次官はその方はお詳しくないようでありますから、私はこれ以上質問いたしませんが、大臣に私は質問したいのでありますが、これは大へんなことだと思います。今赤旗を立ててかどうか知りませんけれども、お医者さんが一日休診をやっておる、これも大へんなことでありますが、ことに零細な農民を相手といたしますこの国民健康保険にこの医療費体系をやったらどうなるか、この給付の内容を再編成しなければこれが適用できないということになりますれば、これは四月一日に間に合わないことはこれははっきりしておる、この点についてはどういうふうにお考えになっておるか。あなたがたに聞いてもおわかりにならぬからどうもあれですが、これ以上は政治問題ですから大臣に伺いますが、何かありましたら……。
  44. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) ただいま私が申しました影響は、保険者に対する影響でございまして、医療費総額におきましてはすなわち医療費の総額は被保険者負担をも含めて考慮してございまして、   〔委員長退席、理事谷口弥三郎君着席〕 この点においてはやはり国民健康保険医療費全体としては変化がないように考慮して作ってあるわけでございます。ただ保険者に対する影響が個々に多少異なるということを申し上げたわけでございます。その点の多少の異なりというものも私どもの予想といたしましては、はなはだしい変革はなくて、おおむねごく微小の変動の範囲内にとどまっておる、かように考慮しておるのであります。
  45. 榊原亨

    榊原亨君 これもまた非常に重大なことでございますが、私どもいただきました表は、国民医療費の総額と各診療機関別の、あるいは各科別にこれを当てはめた場合のお話は私承わっておりますが、国民健康保険組合にこれを当てはめた場合にその組合の財政がどうなる、こうなるというような、その国民健康保険だけの医療費の算定がどこにどういう資料をいただいておりますか、一ついただいておるならそれをお示し願いたい。国民健康保険をやっておる地域だけにこの新医療費体系をやったときは、その医療費の総ワクはどうなるか、あるいは患者負担はどうなるか。その資料がございましたらいただきたい。私見てもない、たくさんあるけれども……。
  46. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) ただいま申しましたのは、この対象となりました医療の範囲の被保険者並びにその家族の総医療費のことを申したのでございます。
  47. 榊原亨

    榊原亨君 山下さんの質問ですからこれ以上私申し上げませんが、それではこの次までに、政府がおきめになりましたこの診療報酬の新しい新々医療費体系をある地の国民健康保険組合、ある村の国民健康保険組合に当てはめた場合にその医療費はどうなるという資料出していただきたい。要求しておきます。
  48. 高野一夫

    ○高野一夫君 ちょっと速記をとめていただきたいのですが……。
  49. 谷口弥三郎

    ○理事(谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  50. 谷口弥三郎

    ○理事(谷口弥三郎君) 速記を始めて。
  51. 山下義信

    山下義信君 私も一、二残っておる点は大臣によく伺いたいと思う点なのでありますが、しかし私は政務次官を尊重するのでありまして、それで今の新医療費体系は場合によっては今政府出している一応の案は修正にやぶさかでないのだ、こういう趣旨であるということを念を押しましたら今お話になりました。従ってあるいは当委員会も新医療費体系に対する所見を出さなくちゃならぬようになるかもわかりませんが、で私しろうとでありますから、しろうとにわかるように一つ答弁もいただきたいし、伺うのもそういう感覚で伺うのです。おそらく私は新医療費体系でもう全部が問題になると思うのでありますが、これから各論に入って委員会でも御検討になると思いますが、全部が問題になると思うのですが、何としても技術を尊重するという建前でありながら、技術の尊重の仕方、技術の評価の仕方が非常に全体的に低過ぎるという感じがするのです。これも各論に入って一々検討していかなければならぬわけでありますが、私が思うのに、私の方から出しますから、こういう点とこういうような点が大体においてその議論の中心であり、あるいは再考慮する必要がある点じゃないか、しろうとで考えてそれはこういう点じゃないかと思うのでありますが、たとえば注射料の点数、まあ大手術の点数は私拝見して、しろうとでありますが大手術の点数になりますというと、前回よりは五百点、七百点というような、なかなか相当の評価がされておりますが、ごく軽い処置料というものがほとんど評価されてない。今回の新点数は、こういうことでは私はもう技術の尊重というイデオロギーがどうも新点数の新医療費体系ではきわめて不十分と思います。それからもう一つは薬代の計算の仕方というものが私ども何べんこの資料を見てもわからぬ。どういうふうにして請求するのか、薬代を何ぼにするのかという見方というものが現行の、従来の医師が薬を使ったときの薬価の原価の計算の仕方を、今回の計算の仕方というものと比べて見ると、一そう合理的になったように見えておって、非常にそういう点が私は問題があるのじゃないかという気がする。これらの点につきまして当局はどういうふうに考えておりますか。現在出している案が最善のものと考えているかどうかという点と、私どもが問題にしている点がやはり問題であると思っているのかどうか、一つ明快に御答弁を願っておきたいと思います。
  52. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 技術的な点でございますので、政務次官がお答えになりますところを私かわって申し上げたいというふうに考えるのです。ただいまの第一点の軽易な処置というようなものがそれ自体としてそのうちに含まれている。技術科が十分みてないようだがという御意見につきましては、私ども軽易な処置と申しますか、たとえば注射等も含めましてかようなものを一々計算して参るということも、作業の過程としては一応いたしましたのであります。しかしながらこれが一々の計算といたしましては、そのうちに含まれている技術料というものは割合に低い。低いと申しますか、わずかになって出てくるのであります。この点につきましてはいろいろこの前に御批判も受けたのでありますが、いわゆるただ単に時間でもって按分したというようなことに無理がありはしないかという御意見もございましたのですが、私どもといたしましては、やはり基準になるのは時間で按分するというふうに考えたわけであります。かようにして出しましたもので考えていきますと、その軽易な処置というものは、これはその患者一人、あるいはある一日というときには、かなりこの頻度に差はございますけれども、一日にたとえば二十人なら二十人の患者が参る、あるいは一月分をまとめまして、たとえば請求書を提出するというようなときになりますと、大体ほぼ平均的なものになってくるというようなところから、これを一々診察料と区別をして支払うということよりは、その診察料的な部分と合せまして、そうして一括初診料、再診料というものとまとめて支払いをするということが事務的に便宜である。私どもこの案を立てます過程としては、一応技術と、それからその物の経費というものを、あるいは個々の診療行為というものをこまかく分析はいたしたのでありますが、さていよいよ保険の診療報酬としてこれをいかなる形で請求し、あるいは支払うかということになりますと、これをもう一ぺん合せて見る形を検討いたしたのでありまして、さような意味におきまして、これは外国にも例があるのでありますが、この軽易な処置、あるいは前からも問題になっておりました処方せん料とか、こういうようなものは診察料と合せて支払うという形をとっておるところは外国の例にもあるのでございます。私どももその方が事務的に便利であるというような意味で、この診察料の中に全部あるいはそのうちの一部を診察料の中に込めてお払いをするということにいたしたのであります。
  53. 山下義信

    山下義信君 御説明はその通りなんです。大体そういう御趣旨は承わったのです。私は新医療費体系で問題になるとすると、そういう点が問題になるのじゃありませんかと聞きましたので、弁明はまた次に承わりますのでありますが、つまり技術を尊重すると言いながら、尊重する形跡が非常に微弱な面がある。ことにそれが軽少の手術等については著しくそれが現われておる。再診料に含めた、何とか何とかと言っておるけれども、ほとんど技術をゼロに見ておるようなところもあるのじゃないか。そういう点が問題になりはせぬかとこういうことを言っておるので、あなたの方では問題になりはしません、原案は完全無欠でございます、こうならこうおっしゃっていただければいい。それが問題にはなはだなるような点じゃないか。それからまた処置料等についても問題になるようなところがありはしないか、あるいは薬の計算等についてもなかなか問題が多くはないかとこう承わっておるので、いやそんなところは心配ありません、それは何も問題はありませんならないでよろしい、その作り方はいずれ承わります。それから今回の技術の基礎は前回調査によりいわゆるコストでいったと言うけれども、それをそのままお用いになっていたのでは尊重にはなりませんからな。ですから昭和二十七年ころのいわゆる俗にいう医師の技術というものが薬に含まれてわけがわからぬと言われた当時の基礎を、そのまま時間で医師の所要時間を繰り出したり、それを技術の単価にしたというのでは、それはそのときのコストであって、今度は物と分離するかわりに技術料をうんと評価してあげるということならば、それに色がついてこなければならぬ。それにいわゆるアルファーが十分に納得のいくようについてこなければならぬ、そのつき工合というものが、軽微の処置料あるいは注射料あるいは手術料といったような面においては無視されているではないか、形の上では。それで便宜上どこへ入れた、どこへ隠した、どこに含めた、それはあなたの方の御説明、弁明であるが、見たところはそういうところが問題になるだろう、こう私が伺っておるのです。問題にはなりませんが、私がこれを検討して、再検討するというならば、主としていかなる点だろうかと、しろうとであるから伺っておる。それを直すか直さぬかは、言ってみなければわからぬのであります。直そうとする方の議論が正しいかどうかは言ってみなければわからぬのであって、あなたの方が合理的か、反対する方が不合理であるかわからぬ。それがこれからの審議だが、大体問題点はこういうところであろう、こう承わっておる。それは違うう。そんなところは問題ないというならば、また別の方を伺わなければならない。大体そういう点が非常に私どもの方では問題になるような気がするが、いかがでございましょうか。
  54. 山下春江

    政府委員山下春江君) 山下先生の非常に御親切な御質問に対しましては、その内容を医務局長説明いたしましたことは、説明として私その通りだと思うのであります。しかしながら御指摘の小さな手術、あるいは非常に軽微な処置、それらについての技術というものがはっきり見つからないが、見つからないままでいいのかどうか、あるいは薬の点等に対して考慮を要する点がありはしないか。私は先生の非常に御協力的な、しかも御指導的なその御意見を私深く尊重いたしまして、私どもは当委員会及び山下先生などにとくと御相談を申し上げて、その点が重要なポイントであるならば、その点について御相談を申し上げまして、きっと先生からもよい仲裁案をお出し願いまして、簡潔にこれがおさまるものであろうことを期待いたし、私は深くその点を考えたいと考えております。
  55. 相馬助治

    相馬助治君 ただいま山下委員質問に対して非常に含みのある御答弁政務次官からなされましたが、しからばその同一の問題について念を押しておきたいのです。山下委員が指摘されたのは厚生省出した今度の新医療費体系は、物と技術を分離し、そうして技術料については相当高く、これを優遇して評価したという説明にもかかわらず、技術料が不当に低いのがありはしないか、ないしはゼロに等しいものもありはしないかどうなんだ、こういう質問がなされたわけです。私はそれから一歩進めて、技術料が不当に低いどころか、経費を割るものすらあるとうわさされているがどうなんだということを一点聞いておきたいのです。すなわち医療費の原価計算を行う場合に、物については評価が、これは可能です。技術料については難易度という点から、これは困難が多いと思います。従って高いの低いのという議論が分れると思います。従って個々については厚生省と、またわれわれと議論をしてもいろいろな食い違いが出てくると思いますが、私が聞きたいのは、個々の医療費で経費を割るような点数の配置がないか、こういうことを聞きたい。そういうふうな事例も絶対ないというふうに厚生省自体は自信を持っておりますかそれともまたそういうものもあるいはあるかもしれない、こういう御答弁でございますか、こういう点について明瞭にしていただきたいと思うのです。すなわち私の聞く理由は、山下委員御指摘のように、技術料を不当に低く見積られたものは先生方の意見を聞いて直すつもりがある、こういうのですから、いわんや経費を割るようなケースが現われてきたならば、これはもちろん直すのでしょうから、そういうことを期待して質問をしているのですから、明瞭にお答え願いたい。
  56. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) この幾つかの点数示しております点数表の中に若干さようなものがあるのではないかという点につきましては、私どももその個々の行為、具体的に申しますれば注射であろうと思うのでありますが、これが実際の二十七年に皆さんにお示しいたしました経費計算というものを割っておるのではないかという点かと思うのであります。この点につきましてはある程度減じております。で、その意味は先ほど申し上げましたように、処置等についてはこれは全部ゼロとして診察料の中に持ち込んだ、それと同じような考え方で、ちょうどその中間になるわけでありますが、全部持ち込まずに、その一部分を残して、一部分を診察料と一緒にお払いするという形をとったということでありまして、この診察を受け、そうして注射をいたすというふうに考えますれば、私どもとしては経費を一応割ってはいないと思っておるのでありますが、今のような措置をいたしましたので、個々のたとえば目を洗うとかいうような処置、あるいは注射の場合とか、こういうようなときにはいわゆる技術料と申しますか、これがその行為自身にはついておらないという姿を若干とっております。
  57. 相馬助治

    相馬助治君 それでは今の医務局長の御説明は、従来厚生省説明してきたことと若干食い違いがあるので、基本的な問題として私はお尋ねしておかなければなりません。今度の新医療費体系は、昭和二十九年度に発表した新医療費体系の精神を盛り込んで、医療費を物と技術に分けてそれぞれについて妥当な評価をした、こういう表現をしておる。それぞれについてということは医療費の行為別の原価計算を基礎とした、こういうことですか。私はそうだと思うのだが、そうですか。
  58. 曾田長宗

    政府委員曾田長宗君) 先ほども申し上げたのでありますが、私どもはさような趣旨で一応今日の診療報酬を分析いたしました。そうして今度それを保険の診療報酬として支払いをいたすというときには半端もついておりますし、それからまた支払いの便宜上、また請求の便宜上これを一緒に合せて均一的にお払いするということがより便利であるというものはこれをさように再更正いたしましたという事情であります。
  59. 相馬助治

    相馬助治君 その点が明瞭でないと全国のお医者さんは納得しないと思うのです。すなわち新医療費体系によって医療費の総ワクは動かない。動くか動かないかわかりませんが、かりに百歩譲って総ワクは動かない、増減がない。それから各診療所においても収入に増減がない。それも一応私は議論があると思いますけれども、かりに厚生省の言う通り認めてみても、脳の手術というような頻度の少いものは点数がうんと高くなる。ところが洗眼、それからちょっとした処置、鼻の処置、耳の処置、これはゼロですね。そうしますと、お医者さんというのはどの医者も脳の手術もすれば、洗眼もすれば、それから鼻の手術もすればかぜまでもなおしてやるというものでない。日本の医学というものはそんなものでなくて、もっと不幸にして進歩している。そうしますと、ある医者は新医療費体系によって、ごく日本の少数な医者は、これは収入が倍加するでしょう。しかし非常に多くのお医者さんは、この新医療費体系を自分がやる診療の面から見ることば当然です。そうしますと、全国的な面で医療費全部からいえばバランスはとれていて、収入には増減がない。しかし個々については若干その問題があるかもしれぬということでは、これはこの新医療費体系を作ったその基本精神並びに資料説明をしている厚生省の今までの説明というものは全部御破算にならなければならない。私はそこで聞くのは、医療費の個々別々について原価計算を基礎として新医療費体系ができたと説明をしておるのですから、医療費の個々別々のケースについて、そのものが明らかに経費を割るならば別な方でもうかるのだからここはがまんしておけというのではこれは議論が立たないのだが、そういうところは当然発見され、同時にこの委員会が全国のお医者さんの代表を呼んで公聴会を開いて、その意見をわれわれは拝聴するつもりですから、そういうときに異口同音に指摘されたケースがあったならば、これは当然修正をしておやりになる意図があるだろうと、かように思っておるのですが、その点の認識は差しつかえございませんね。
  60. 山下春江

    政府委員山下春江君) 相馬委員の仰せられることも要約いたしますれば、先ほど山下委員から仰せられたようなこととその精神は同じことであろうと思います。(「そうです、そうです」と呼ぶ者あり)医務局、厚生省におきましても、私はこういう問題にはもう全くのほんとうのしろうとでございまして、その技術的なものは何もわかりませんけれども厚生省も専門家をもって長い間苦労をいたし、なおこの問題が医師会、歯科医師会等から全く支持されないことを予測して作るわけはございませんので、御指摘の点もあらゆる角度から苦労いたしまして、御了解を賜れば何か御納得いただける線があるであろうことを期待して、確信を持って作ったものに相違ないのでございますけれども、しかしながら相馬委員山下委員、両先生からの御指摘の点なぞは、私は技術的でなく、それらのたとえば小さな手術あるいは処置あるいは薬の点等において委員会の先生方と技術的な理論的な面でなく御相談を申し上げれば、何かよい結論に到達するのではあるまいかということを期待申し上げておるのでありまして、その点は私あまり深い心配を賜らぬ方が望ましいのでございます。
  61. 相馬助治

    相馬助治君 これは大へんなことで、私が念を入れたために山下委員答弁された答弁がなまってしまった。これは私は政治的な責任があるので、もう一回お尋ねしておきます。あまり深い心配をするな、お説の通り、私もしろうとで、あまり深い心配をこういうものにしたくない。ところがこの問題は医者とか薬剤師とかそういう人たちの問題でなくて、全国民の医療の前進に関係のある問題なので、私はこの新医療費体系というものが世上いろいろうわさされ、同時に議論になっておりまするけれども、私も四月一日からスムーズにすべり出すことを期待しているのです。従いまして、そういう善意の意思をもってしてもどうしてもまずいところはこれは直していくと、こういう一ふうにこの前の委員会で、私の質問に明瞭に答えた小林厚生大臣の答えを、山下委員質問に対して山下政務次官はまたこれを裏書きして再確認されたのです。すなわち技術料が低く算定されている面についても考慮したいとおっしゃったのです。私は個々の医療費で経費を割っているような問題はなお深刻であるから、これはそれだから当然御修正いただけるのですねと、きわめて当然なことを聞いたのです。ところがそれに対して今のことはあまり心配するな。(「そうではない。直すから心配するな。」と呼ぶ者あり、笑声)そうですか。わかりました。がですね、もう一回、山下委員からもそういうものについてはいろいろ御意見を聞いている。十分修正の態度があるということをおっしゃっていただきたい。念を入れておきたい。
  62. 山下春江

    政府委員山下春江君) 相馬委員の念をお押しになりました通り、私どもは御相談いたしまして、御期待に沿うように努力をいたすことをお約束いたします。
  63. 相馬助治

    相馬助治君 了解しました。
  64. 榊原亨

    榊原亨君 先ほどサンプルのとり方については、私これからもっと詳しくお聞きしなきゃならぬのでありますが、この前目頭に私質問いたしましたサンプルをとるに当ってそのサンプル客体に向って、いつお前のところをサンプルにするという通知をされた、その日にちを承わりたいと思います。わかりませんが調べて申しますと言うのですが、まだわかりませんか。
  65. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 昨年の三月二十九日付で保険局長から基金の理事長あてに通知が出ております。
  66. 榊原亨

    榊原亨君 そこでもう一度念のために私は申し上げますが、それらの通知を三月二十九日に受け取りました支払基金なら支払基金が、このものはサンプルに出すのだから一つ厳重に今度はここでは審査しなきゃならぬということが行われたかどうか。無作為的にそのままを出されたかどうか。これは非常に重要なことでありますから、念を押しておきたいと思うのですが、いかがですか。
  67. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) 対象となりました請求書を特に特別の審査をいたさないで、他のものと同様に審査をいたしたわけでございます。
  68. 榊原亨

    榊原亨君 それでは私ここに数字をもって一つお尋ねいたしたいと思うのです。県の名前を申し上げてもよろしゅうございますが、兵庫県の医師会におきましていろいろお調べになりましたこの監査の対象になったものにつきまして、その前の月、二月のものとの減点率を調べて見ますというと、本人におきまして、まず診療所においては本人の二月分の減点率は一・三四%でございまするのに、三月分については七・五%の査定をいたしております。また家族につきましては診療所においては二月には一・一六%でございまするに、三月に限って、四月はまたもとへ戻るのでありまするが、三月に限って七・三六%の査定をいたした。合計いたしまするというと、診療所においては、二月においては一・二四%の減点率でございまするのに、三月だけに限って、四月はまたもとへ戻るが、三月に限って七・四二%の査定をいたした。病院におきましてこれを見ますというと、時間がございませんから、詳しいことはここにデータが出ているのでありますが、病院においては、二月分は〇・〇五%の減点率をしているのに、三月においては八・〇二%の査定をしている。しかもこれらの客体の査定に当りましては、これは客体であるから、これは一つ適正なことをしなければならぬというので、基金でやったという形跡を私は握っている。そういうことでは、そんなものを集めて、自分勝手に、厚生省の都合のいいサンプルだけを集めて、そうしてこれはこうでございますという、この客体自身は何の価値もない。先ほどから、私はこれは重大な厚生省の偏差であると思うのであります。もしそういうことがあったら、このサンプルはだめだということを先ほど医務局長は私に御答弁になった。ところが事実これです。そこで、それならそういうことがないとおっしゃるならば、兵庫県のこの二月と、三月、四月、今までの一般の医師に対する査定率と、このサンプルに上ったものに対する査定率に対する資料出していただきたい。もしこういう事実がありますならば、これは一顧の価値もないサンプルだ。こういうサンプル国会に持ち込んで、何とか、かんとかという、私議論する余地がない。これは各県において、私調べてみたいと思うのですが、少くとも兵庫県においてはこういう事実が現われた。これはいかがですか。そういう点は……。保険局長はおらぬのですか。(「いませんよ。」と呼ぶ者あり)
  69. 館林宣夫

    説明員(館林宣夫君) なお詳細を調べてお答えを申し上げます。
  70. 谷口弥三郎

    ○理事(谷口弥三郎君) ちょっと速記をとめて……。   〔速記中止〕
  71. 谷口弥三郎

    ○理事(谷口弥三郎君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十七分散会    ————・————