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国務大臣(
小林英三君) 健保の赤字対策というものは、私が就任いたしましたときに、御承知の
ように、二十九年には四十億円の赤字が出る、本年度は六十億円の赤字が出ることになっておるのでありまして、これこっき生じては前
大臣当時に両年度の百億円の赤字をどうするかという問題につきまして、まず料率を千分の五上げて、そのうちの二十五億円をそれに当てる、残りの七十五億円ですが、そのうちの七十億円は資金運用部から借り入れまして、そうしてその借り入れた七十億円に対しましては毎年十億円ずつ一般の会計から回してもらってそうしてこれを七年間かかってゼロにするということで暫定処置をしたのであることは、御承知の
通りであると思いますが、三十一年度についてはどうなるかという問題についていろいろ計画を立ててみたのでありますが、こういうふうに毎年々々今までなかったものが二十九年度あたりからして赤字が出てきたということにつきましては、これは
相当掘り下げて現在の健保の財政問題について
考えなければならぬというのでいろいろ検討いたしました結果、どうしてこういうふうに赤字が出てくるのか、今までなかったものが何がゆえに二十九年度あたりからだんだんと赤字が出てきたのだろうかという
ようなことは、これは重大な問題でございまして、いろいろ私も検討してみたのであります。その結果出て参りました原因といたしましては、まず二十八年には
点数の一部改正をして赤字が出た。それからもう
一つは二年間の療養期間を三年間に延長しておる、これがまた
一つ、それから二十八年度あたりからいたしましていわゆる抗生物質、新薬の採用をいたしております。こういうふうな問題が二十九年度あたりからぼつぼつ赤字に出て参りました。同時にまた一方だんだんと健康
保険というものに対する一般の被
保険者が
相当関心を持って参りまして、非常に受診率も多くなり、一方また全国の病院でありますとか、
診療所でありますとかだんだんふえている、
患者もふえている、それと同時にこの健康
保険の指定医というものも毎年々々六千人ぐらいずつふえている、そこへもって参りまして
技術は非常に
進歩して参りまして、今日では結核の手術にいたしましても、また脳の切開までもできるという
ように、
技術が非常に
進歩して参っておりまするし、そこへもってきてもう
一つの大きな原因といたしましては、いわゆる
政府管掌の被
保険者というものは大体二十三万ぐらいの事業所がありまして、平均の
報酬というものが多少は上っておりますけれ
ども、その
政府管掌の被
保険石の平均の
報酬というものは
医療費の支出の増加に見合って上り方が非常におそいのであります。ところが一方
医療費というものは非常に急速に上る率か多いのでありまして、従いまして
保険の財政におきまして一方においては
収入が少いに反して
医療費がどんどん向上しておる、こういう
ようないろいろなことが錯雑いたしまして、今日、二十九年度あたりから四十億円、今年度は六十億円、来年度は約七十億円と赤字が出
ようとしているということでございますので、これはもう今年処理いたしましたいわゆる赤字対策の暫定的処置じゃいかぬ、どうしてもこれにはある
程度の、まあどういう
言葉で申し上げたらよろしゅうございましょうか、抜本的の何か処置をしなければいかぬ、これが今日私
どもの
考えておりますところのいわゆる健保の赤字の対策でありまして、これにはまず現在の健保の
状態というものが数年前よりもレベル・アップしてきている。従ってこの赤字の対策については
政府もある
程度の負担をさせる、また被
保険者にも一部の負担をさせる、それからまた事業家の方にも標準
報酬等の引き上げ等によって協力してもらう。また一方お
医者さんにも健保の赤字という問題に思いをいたされていただいて、できるだけこの問題については御協力を願う。こういう
ような意味で本年度は
政府にも約三十億円の健保の赤字対策のために金を使わしてもらう、こういうことにいたしておるのでありまして、ただいま御
質問のお
医者さんに対してどういう
ような協力をしてもらうかという点について具体的には、ございませんけれ
ども、お
医者さんにも十分に精神的にもこの問題について御協力を願って、なるたけ
一つその精神のもとに御協力を願う、こういうふうに持って参りたい、こう
考えておるのであります。