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1956-04-17 第24回国会 参議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十七日(火曜日)    午前十時五十四分開会     —————————————   委員の異動 四月十三日委員斎藤昇君及び小沢久太 郎君辞任につき、その補欠として草葉 隆圓君及び紅露みつ君を議長において 指名した。 四月十四日委員草葉隆圓君及び紅露み つ君辞任につき、その補欠として斎藤 昇君及び小沢久太郎君を議長において 指名した。 本日委員森崎隆辞任につき、その補 欠として永井純一郎君を議長において 指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            小沢久太郎君            近藤 信一君    委員            石川 榮一君            伊能繁次郎君            酒井 利雄君            武藤 常介君            北 勝太郎君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 馬場 元治君   政府委員    建設政務次官  堀川 恭平君    建設大臣官房参    事官      水野  岑君    建設省河川局長 山本 三郎君    首都建設委員会    事務局長    松井 達夫君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省河川局水    政課長     国宗 正義君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選首都圏整備法案内閣提出衆議院  送付) ○海岸法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ただいまから委員会を開会いたします。  委員変更の件を御報告申し上げます。四月十三日斎藤昇君及び小沢久太郎君が辞任され、補欠としてそれぞれ草葉隆圓君及び紅露みつ君が指名され、四月十四日草葉隆圓君及び紅露みつ君が辞任され、補欠としてそれぞれ斎藤昇君及び小沢久太郎君が指名されました。また本日森崎隆君が辞任され、補欠として永井純一郎君が指名されました。  お諮りいたします。委員変更に伴い理事一名が欠員になっております。この際、理事補欠互選を行いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。つきましては、この補欠互選方法は、成規手続を省略いたしまして、委員長の指名によることに御一任いただきたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。それでは私から理事小沢久太郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 首都圏整備法案を議題に供します。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 先回の委員会に私欠席しましたから、先回質問された委員の方と重複するかもしれませんが、その点は一つ了承を願いたいと思います。  このたび首都圏整備法案が提出されましたが、従来首都建設法という法律があったわけなんでございますが、その首都建設法と今度の首都圏整備法案との関係、いわゆるその首都建設法が従来首都建設のためにやって参りましたが、そこへもってきて今度首都圏整備法案という何か重複するような法案が出されたわけなんですが、このいきさつについて若干の説明が願いたいと思います。
  7. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) 従来首都建設法というものがございますのに、このたびそれに重複するような首都圏整備法案が提出された理由はどういうわけであるかと、こういう御趣旨と拝察いたしますが、従来の首都建設法では、それの施行いたされます区域東京都の区域に限られているわけでございます。それで、在来首都建設委員会でいろいろ計画を立てて参りましたが、この首都区域東京都の区域内の計画をいろいろ立てて参りました結果、この東京都の人口増加情勢でございますとか、あるいは通勤交通情勢でございますとか、その他いろいろな点から見まして、東京都の区域だけで計画を立てているのでは不十分である、どうしても周辺相当な範囲にわたって、現在経済的にも文化的にも関連の多い区域にわたりまして計画をしなければならないという結論に達しているのでございますが、このたびの首都圏整備法案におきましては、そういう趣旨でその範囲を広めるということが一つの大きな違いでございます。  それからまた、仕事の内容といたしまして、今までの首都建設法では、首都都市計画その他重要施設のもとになるような計画を立てる、それからそれの推進に関しまして勧告等をするという権限を持っておったのでございますが、このたびの法律では、毎年度の事業計画を立てて強力に推進していくというところに今までのやり方と大きな差があるのでございます。  また委員会構成といたしまして、今までは九名の非常勤委員でやって参ったのでございますが、このたびは委員長のほか四人の委員で、うち二人を常勤といたしまして、常勤を原則として委員会構成することになっているのでございまして、常勤委員によってさらに強力に計画を立て、それを推進していく、こういう点におきまして、また大きな差異があるのでございます。  その他、学校の建設に関する補助でございますとか、あるいはいわゆる衛星都市法案では市街地開発区域というような名前になっておりますが、といったものの指定でございますとか、いろいろな点につきまして今までの法律とは大きな差があるのでございまして、今までの法律の意図するところを全部包含した上に、さらに大きな目的を達成する、こういう建前になっているのでございます。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 そういたしますと、従来の首都建設法ではですね、ただ東京都だけの問題を中心にしてやってきた、しかしそれではもう都市周辺の問題等考えると、これによっては強力なものはできない、だから新しいまあ首都圏整備法案というものを作って、周辺都市をも包含してやっていきたい、こういうお考えのようでございますが、そうすると、従来の首都建設法というものはこれによってもうなくなるわけですか、その点いかがでしょうか。
  9. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) この法案附則に示してございますが、附則の第四項でございます。二十ページの一番最初にございますが、首都建設法は、廃止するわけになります。
  10. 村上義一

    村上義一君 関連して。この首都建設法が廃止せられると、この首都建設法成立の際に住民投票を経たと記憶しているのですが、廃止については住民投票——住民意見を聞く必要はない、こういう見解をおとりになっておるのですか、ちょっと伺っておきたい。
  11. 水野岑

    政府委員水野岑君) ただいまの御質問でございますが、政府といたしましては、以下述べますような見解に基いて、住民投票は要らないというふうに考えておるのでございます。と申しますのは、今度のこの法律案首都建設法趣旨を継承いたしまして、首都建設計画及び首都建設委員会拡充強化というものを考えまして、これが必要な規定整備いたしておるということでございます。要するに首都建設法趣旨はそのまま継承をして、これの趣旨拡充強化していった、従って首都建設法の本旨というものは、そのまま引き継がれておる、こういうことで、私どもといたしましては、この住民投票は要らないというふうに考えておるのでございます。
  12. 近藤信一

    近藤信一君 首都建設法昭和二十五年に制定されまして、今日までやってきた実績について、若干の御説明が願いたいと思います。
  13. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) 首都建設委員会で今までやって参ったことをかいつまんで申し上げますと、第一が先ほど申し上げました都市計画あるいは基本になるような重要計画の策定ということでございますが、これは道路でございますとか、水道でございますとか、住宅建設でございますとか、十三の項目にわたりまして、計画を立てまして、報告をしておるのでございます。またこれらの計画を実現いたしますのにつきまして、あるいはその法律的手段について、あるいはまたその財政的な面等につきまして、しばしば二十数回にわたりまして、関係官庁あるいは東京都知事等に申し入れ、勧告等をして参っております。また非常勤委員ではございますが、委員方々もそのつど足を運ばれまして、各方面にいろいろ折衝されるとか、いろいろやって参っております。
  14. 近藤信一

    近藤信一君 首都建設法とそれから都市計画法というものがございますが、この都市計画法首都建設法とのかね合いですね、これについて今までどういうふうにやってきたか、その点御説明を願いたいと思います。
  15. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) 首都建設計画は、都市計画のもとになるような計画を立てているわけでございますが、これを実際に法律上の効果を持たすように計画いたしますには、都市計画として決定しなくてはならないわけでございまして、その点建設省計画当局十分連絡を密接にいたしまして、必要なものは都市計画として決定する手続をとっていただいております。
  16. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、都市計画法と、今度はこの首都圏整備法案との関係はどうなるのですか。
  17. 水野岑

    政府委員水野岑君) 本法に基きます首都圏整備計画は、都市計画その他重要施設整備基本となり基礎となる計画でございまして、整備計画決定された場合、委員会といたしましては、関係行政機関なり関係地方公共団体に、極力これに御協力願いまして、場合によっては勧告等の措置をとりまして、これが推進に当ることになっているのでございます。しかしながら、この整備計画の実施に当りまして、これを都市計画として実施していくかどうか、こういうふうなことは、一にこの関係行政機関なり関係公共団体の意向によって定められるべきものではございますが、委員会といたしましては、この都市計画として実施していただくということを期待する場合が非常に多かろうと思います。そういう点で、関係行政機関なりあるいは地方公共団体と十分密接な連絡をとりまして、極力都市計画でやるのが適当であるというような場合におきましては、これを関係各省にお願いいたしまして、その手続をとって実施していただくというように御協力を願う、こういうふうにいたしていきたいと存じているのでございます。  それから次に整備計画と、すでに決定になりました都市計画との関係でございますが、すでにきまりました都市計画は、これを十分に尊重するということは申し上げるまでもないところでございますが、首都圏建設という大きな立場に立って整備計画決定しました以上、場合によって既定の都市計画変更になるというようなことも、当然考えられるのでございます。
  18. 近藤信一

    近藤信一君 首都圏整備法案は、首都周辺の経済的な、政治的ないろいろな関係から行われるわけなんですが、そういたしますると、今度はこの行政面の点ですね、行政区域の面、行政の面はどういうふうに考えておられるのですか。
  19. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) 首都圏整備計画を立てます場合に、この法案にもございます通り首都圏整備審議会というものを作りまして、その審議会委員に、周辺関係の各県の知事あるいは県会議長委員になって出ていただいて、その御意見を十分尊重するような仕組みになっておりますし、また計画を立てます場合に、さらにそういった県の意見を十分聞いて、あるいは公共団体意見を十分聞いて計画を立てる、こういう建前になっておりまして、地方自治を阻害しないということを建前にしております。
  20. 近藤信一

    近藤信一君 ここに「総理府外局として、首都圏整備委員会を設置する。」と、こういうことになっておりますが、総理府外局ということになりますと、従来ある外局と同じような構想ですか。たとえば防衛庁なんかありますね。
  21. 水野岑

    政府委員水野岑君) ただいま御指摘になりました防衛庁等とは、本質的に性格が違うのでございまして、これはいわゆる行政委員会でございます。従いまして、内閣からある程度独立をいたしまして職権は行使する、職務は執行していく。で、すなわち人事とか予算とか、そういう面で内閣のコントロールは受けるのでございますが、その他の職務執行ということになりますと、内閣からある程度独立して不偏不党立場でこの大きな理想を持った首都圏整備計画を作成し、これを強力に推進していく、そういうようなことになるのでございまして、防衛庁のような独任制行政機関行政官庁、こういうようなものとは性格が異なるのでございます。
  22. 近藤信一

    近藤信一君 その今説明ありました首都圏整備審議会委員ですか、審議会委員というものが作られるそうでございますが、これらの員数の構想なんかはどのように考えておられるのですか。
  23. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) 首都圏整備審議会につきましては、法案の第十七条、九ページでございます。十七条、十八条に規定がございまして、委員構成は第十八条に示してございます。委員の総数は四十五人以内ということになっておりまして、そのうち衆議院議員うちから衆議院が指名した者四人、参議院議員うちから参議院が指名した者二人、関係行政機関の職員十人以内、今のところ関係のある行政機関は少くも九つございますのでございます。それから四番目が、関係都県知事及び議会の議長十六人以内、これは関係都県が八つ考えられますので、こういう数になっております。それから学識経験のある者が十三人以内、こういうことになっております。
  24. 村上義一

    村上義一君 関連質問をちょっとさして下さい。ただいま整備委員会の問題についてお話がありましたが、せんだってもこの問題に触れて質問をいたしたのでありますが、四人の委員選考方針といいますか、大体のめどはおきめになっておると思うのでありますが、まあ予定者が明確になっておれば、お聞かせ願えればなおけっこうでありますが、どういう大体選考方針をおとりになるのですか、伺っておきたい。かくお尋ねしますのは、今要するにお話しの通り不偏不党でこの大きい理想を持ってこの実効を上げるというためには、この委員会構成はもちろんのこと、審議会また事務局構成が非常に大事だ、このいかんによって効果が上るか、あるいは遺憾ながら従来の首都建設委員会のような結果に終るかという分岐点をなすと考えますので、実はお尋ねする次第であります。
  25. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 御指摘通りに、ただいま御審議を願っておりまする法案成立の暁におきまして、これが所期目的を達成するか、あるいはいなかという問題は、かかってその運営の衝に当りまする人のいかんにあるかと心得えます。従いまして、委員人選につきましては、慎重の上にも慎重に考慮をいたしまして、首都圏整備いたそうとする大きな目的に最もふさわしいような各方面知識経験あるいは手腕、そういったことを考慮しながら各方面から人選を進めて参りたいと、かように考えております。  なお審議会につきましても御意見がございましたが、これに関しましても、御指摘趣旨は十分了承いたしておりまするつもりでありまするので、遺憾のないような人選を進めまして、本法所期目的を完全に遂行することのできまするように処置をいたして参りたいと、かように考えておる次第であります。
  26. 村上義一

    村上義一君 この大理想を実現せしむるためには、慎重に御考慮になるというただいま建設大臣のお説であります。しごくごもっともでありまするが、委員の数は大臣を除けば四名ということに本法で限定されております。このうち大体系統別選考方針というようなことをおきめになっておれば伺いたいと思うのでありますが、私の考えを率直に申し上げれば、この問題は交通関係がかなり重要なパートをなしておると思うのであります。従って、交通関係の人を一名加えるということがこの問題をスムーズに実効を上げていくという上にきわめて必要だと思うのでありますが、お差しつかえない限り、大臣の御意見を漏らしていただきたいと思うのであります。
  27. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 本法律運営いたしまして、その実績を上げますにつきましては、ただいまも申し上げました通り、たとえば土木建築であるとか、あるいは地方行政であるとか、あるいは交通関係であるとか、各方面知識を必要とするものと考えます。従いまして、四名の委員を選定いたしまする場合、これらの点を十分に考慮いたしまして、最善の方法をとりたいと。で、御趣旨もよく了承をいたしまするが、ただいまここでいずれの方面から選任をいたしますということを申し上げることはいかがかと考えます。御趣旨を体しまして、十分に考慮をいたします。
  28. 村上義一

    村上義一君 もう一点。先刻近藤委員からの御質問に出たのでありますが、この首都圏整備委員会総理府外局として設置されることになっております。これはこの委員会性格から見まして、当然のことと思うのであります。で、将来もし内政省というものができました場合でも、この委員会内政省に移しては実効が上げにくいということを思うのであります。先般の新聞紙上でちょっとそういったようなことが出ておりました。これはまあ新聞社の主観も入っておることと思うのでありますが、もし新設の内政省に移すということになりますと、実効を上げるのが非常に困難になるのじゃないかということを憂えるのであります。従って、総理府外局として依然置いておくということが必要なんじゃないかと、先刻も政府委員からのお話のように、不偏不党というお言葉がありましたが、そういう趣旨を表わす意味合い、表示するする意味合いにおいても必要であろうと思うのですが、この際大臣の御意見を伺っておきたいと思うのであります。
  29. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 内政省ができた暁にどうなるかというお尋ねのように拝聴いたしましたが、内政省の問題とは、ただいま御審議願っておりまする法案は全然別個の問題でありまして、内閣外局としてどこまでもこの法律を施行して参りたい、かように考えておるのであります。
  30. 近藤信一

    近藤信一君 審議会委員が作られて、いろいろと相談、審議されるわけですが、今までもいろいろと審議会がほかの関係で作られております。しかし審議会意見というものはほとんど聞き入れられていない。そういう結果が今まで多いわけなんですが、この首都圏整備審議会といいますか、これらの審議会がもし作られるならば、この審議会意見というものに対しては相当尊重されなければならぬと思うんですが、この点大臣から一つ御答弁願いたいと思います。
  31. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 審議会意見はもちろん尊重するわけでありまして、先ほど局長から御説明申し上げました通り審議会は、関係知事及び議長その他の人たちをもって構成されまして、このいわゆる首都圏の圏内の利害に最も関係の深い、しかも行政の責任の地位にある人々も含まれておるわけでありまして、これらの意見を尊重しなければ、とうていこれが実効を獲得することはできないのでありまして、先ほどもお答えの中に申し上げました通り、この審議会意見は十分に尊重をいたし、その意見を尊重しつつ、法案効果を全からしめたい、かように考えておる次第であります。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 それから、この委員会委員ですが、先ほど首都建設法に基く委員会非常勤委員九名であったのを、今度は委員を四名にする、それから委員長一人で、都合五名になるわけなんですが、そのうち委員二人は非常勤とする、二人は非常勤で、あとの二人は常勤ということになっており、委員長ほか四人の委員運営されるわけなんですが、従来九人であったのを、今度はさらに首都建設より広範なものなんですが、この点四人でやっていけますか。
  33. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) 今までの首都建設委員会では、委員長のほか八名の非常勤委員の方がおいでになるわけでございますが、その中には衆参両院代表おのおの一名の方、あるいは東京都知事あるいは東京都議会代表というような方々、それに学識経験者方々というような方々構成しておるわけでございまして、このたびの首都圏整備委員会ではこのような構成にいたしますというと、たとえば先ほども申し上げましたように、関係首都圏方々だけでも十六人というようなことになるわけでありまして、大へんな膨大な機構になりまして、しかも非常勤方々ばかりということになりますと、実際に日常この計画に専念する方が一人もいない上に、関係非常勤の方だけが非常に多くなるというようなことで、とうてい運営がやっていけるものではない、こう考えられたのでございます。そこで委員会組織はごく緊密にいたしまして、最近できました原子力委員会ににたような形で、四人の委員の方、うち二人を非常勤とすることができるということになっておりますが、こういった少数精鋭主義で実際に仕事をやっていっていただく。それから関係の府県の方々とか、あるいは衆参両院から出ていらっしゃる方々という方々をもって審議会を別に組織して、それをもって今までの委員会構成の一部をそちらの方で働いて、意見を出していただくというような組織にしたわけでございまして、こういう方式の方が、今までの方式をただ広げるよりは、よほどいいのではないかと考えられるのであります。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 「委員長は、国務大臣をもって充てる。」とありますが、この国務大臣建設大臣が兼任するというようなお考えですか、それとも他の国務大臣がこれに当るというお考えですか、どのようなお考えでおられるのですか。
  35. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) ただいまこの衝に当ります国務大臣をだれにするか、建設大臣にする、あるいは他のものにするかということについては、ただいまのところいまだ決定をいたしておりません。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 まだだれにするか予定はしていないということですが、けれども、一応条文の中に国務大臣を充てると、こうあるから、一応は予想されているのじゃないかと思うわけなんですが、まあまだ予想をしていないと言われればその限りでないのでございますが、それから東京都は大体人口が八百万以上あるわけなんで、これは世界で第二の人口なんですが、最初、戦後私どもが聞いておった考えからいきますると、大体戦後は東京都を三百万程度で押えたい、こういうようなふうに新聞などでも私ども見たことがあるわけなんですが、それがもう八百万になってしまった。それで定住しているのが八百万以上いるわけなんですが、その他先ほどから問題になっている、周辺から都内に通勤しておられるこれらの方々を入れると、一千万を突破するのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけなんですが、そういう人口の過剰の点からも、こういうような首都圏整備というようなものをやらなければならぬ、こういうところからも出発の一つの原因にもなっているかと思うのですが、将来これらの人口過剰に対してどういうお考えを持っておられますか。
  37. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) お話通り、終戦直後のころは、理想論といたしまして、東京都の人口を三百万ぐらいに抑えたい。東京都と申しましても、区部の問題でございますが、三百万ぐらいに押えたいというようなお話もあったのでございますが、その後情勢がだんだん平常に戻りますにつれて、一たん疎開した方々もどんどん東京に戻って参るような状況でございまして、居住の自由というような憲法の保障もございまして、これはとめることがもちろんできませんので、お話のように、東京都の人口が八百万を超過する、区部人口だけでも七百万になるというような状態になってきたのでございます。最近に至りましても、この人口増加の趨勢は一向小さくなりません。一時よりは小さくなって参りましたが、やはり大都市人口増加の今までの傾向は、毎年三%以上の人口がふえるというような状態でございまして、二十五、六万の人口は毎年ふえていくのでございます。  それで首都建設委員会でも一体東京都の区部にどれだけ人口が収容できるかというようなことを前々から研究して参ったのでございますが、まず普通の日本人の住み方、都市のまあこの程度ならという状態建築物高層化がこの程度に進むと考えてよかろうといったような条件等々からいたしまして、まず東京都の区部には八百五十万くらいが入るというところがいいところではないか、こう考えておるのでございますが、そういたしますと、現在の情勢で進みますと、昭和五十年になりまするというと、東京都の区部人口だけでも今の増加率で参りますと三百万以上のあふれが出てくるというようなことになっておりまして、これをどうしてもほうっておいても周辺にあふれるわけでございますが、それを何らか前もって適当な手段を、措置を講じていって、最も好ましい状態にこれを周辺に定住させるように考えていくべきだと、こう考えておるわけでございます。その意味におきまして、周辺市街地開発区域というものを考えまして、いわゆる衛星都市を育てていくとこういう考えになっているのでございます。これによりまして、東京都へ集ります人口の過半数が周辺の県から入って来るような状態でございますので、少くともそういった人たちがその周辺の、自分の現在おる周辺に職場なり何なりを見つけてそこで働らくことができるというわけで、交通問題あるいは当面の住宅問題等につきましても、好影響があるのではないかと考えているわけでございます。なお周辺の県以外に遠方からも人が集って来るわけでございまするが、それらの点につきましてなおいろいろお考えもあるかとも存じますが、とにかく当面のこの状態を救うためにはこういった措置をとらなくてはならない、こう考えておる次第であります。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 まあ首都圏整備法が実施されるようになりますれば、ただいま言われましたようなまあ人口の問題、それから住宅、道路、こういう問題をまあやられるわけなんですが、終戦後、ただいま言われましたように三百万で押えていこうと思ったがそれができなく、だんだんと八百万以上になってしまった。この法律が施行されまして、今のお考えのような住宅問題、道路の問題、これをやられるわけなんですが、あの終戦直後にできなかったものが、現在御承知のように、道路でも非常に狭くなって、自動車が非常にたくさんふえて何ともならぬ、こういうような状態なんです。それから住宅の問題にいたしましても、これは東京都では住宅を建てる余地がないだろうと、こういうようなわけなんですが、これを今度計画的に住宅を周辺の方に宅地を造成して、そうして計画的に東京都の人口をそちらの方に移動させるとか、また現在狭くてしようのない道路を拡張する、こういうことが果してできるかどうか。住宅を計画的に周辺の地方に建設を進めていって、人口をそちらの方に移動させる、こういうようなことが強力にできるかどうか、こういう点について一つ御所見をお願いしたいと思います。
  39. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) この計画によってさらにその各般の事業の執行を強力に推進できるかというお話でございますが、この計画を立てましたことによって、特に画期的にこの首都整備仕事にいろんな事業費を切り込むということは急には参らないかとも考えております。これは全国的なバランスという問題もございますし、そう簡単には参らないとは思いますが、少くともこういった計画を早く立ててやりませんと、将来の工場地帯の問題にいたしましても、住宅地の問題にいたしましても、あるいは水道の水の問題にいたしましても、あるいは道路用地その他交通用地の問題にいたしましても、他との競合によってあとでは取り返しのつかないことになると考えられるのでありまして、その意味におきまして、早く整備計画を立てて、その線に沿って少しでもそちらの方へ導いていくということでいくのが現在としては最善ではないかと考えております。
  40. 近藤信一

    近藤信一君 これからのいわゆる問題ですね。人口の過剰の問題、それをこう押えていくために、まあ調整していくためにこの法律が必要か、それとも現在人口が過剰になって困っておる東京で何とか整備していきたい、こういうふうなところに目標が置かれておるか、この点一つお聞かせ願いたいと思います。
  41. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) この法律の目標としておりますのは、やはり両面あると思います。首都圏整備法というような、今度は今までの首都建設と名前が変りまして、大きな圏というような字をつけまして、法律の名前をうたっておりますので、周辺の衛星都市の問題、将来の人口問題というようなことが強く印象に上ると思うのでございますが、同時に、やはり東京都その他の在来、現在の既成市街地の整備ということも並行して進めていかなくちゃならない問題でございまして、東京都内の現在の交通地獄の状態をどう解決するかということも、当面の問題も将来の問題と並行いたしまして解決していかなければならないと考えます。その意味におきまして、この整備計画周辺整備計画と同時に既成市街地内の整備計画も一緒に立てて推進していく、こういう建前になっております。
  42. 石井桂

    ○石井桂君 今、近藤委員がお聞きになった人口の過度集中を防止するということは、本法の大きな眼目とここに説明されておるのですが、その場合に、松井局長の御答弁によると、はなはだ自信のないような御答弁をいただいたような印象を私は受けたのです。まあ非常に人口集中防止はむずかしいということはわかります。もう何度もいろいろな防空時代にも人口の規制を法律的にやって、そうしてなかなかできなかった。非常にむずかしいことはわかるけれども、せっかく首都圏整備法案を作って、そうして人口の過大防止をやろうという大きなここに旗じるしとして掲げておって、その法文の御答弁としてははなはだ心もとないので、これはもうほんとうにやるのだというつもりで推進していかれる気慨が御答弁になければならぬと思うのですよ。それがまことにそういうふうに思えなかったのですが、この点は大臣から一つ、せっかくこういう法律を出される以上は、たとえばこの前も私は関連して御質問申し上げたのだけれども、今はできなくても将来——東京じゅうに集中しておる大学などはもう敷地がなくなって分校を作ったりなんかして近県に出ておるのです。そういうあらゆる方面人口を集中する原因になっておるあらゆるものを、将来は首都圏整備計画においてまあできるように努力するんだ、そうして着々と首都圏整備の大きな旗じるし、目的を達していくんだ、そういう御答弁でないと、これはりっぱな法律をこしらえても、魂が入らないような気がするのですが、その点一つ大臣から腹のすわった御答弁を承わりたい。
  43. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 人口問題は、ひとり首都圏だけの問題でなくて、全国的な問題であり、あらゆる問題の困難性はこの人口の過剰的な状態に胚胎しておると申しても過言ではなかろうかと考えます。特に首都周辺人口が非常に集中をいたしまして、そのために交通の混乱やら、あるいは道徳の頽廃やら、あらゆる都民生活に非常な障害を与えておりますることは申し上げるまでもないのであります。この首都圏整備法案考慮いたしました主要なる原因の一つは、まさに御指摘通りに、人口の過剰なる状況を調整をいたしたい、これが大きな一つ目的であるのであります。従いまして、全国的な方途を講じなければいかぬのではないかという御意見も一部にありまして、首都圏だけを考うべきではない、こういう御意見もあるのでありますが、日本じゅうで一番人口の過密でありますのは、首都圏、この辺一帯の状況でありまするので、まずこの首都を中心とする周辺地域を目標といたしまして、これらの整備をはかりたい、かような考えからいたしまして本法案を提案することになったのであります。人口の過密な状況をいかにして緩和するか、これはまことに必要でありますが、一面、これが実行に当りましては、非常な困難を伴うことを予想しなければなりません。ただいまの情勢において強制力をもって人口、住居を他に移さしめるということは、法律に特別の規定のありまする場合を除いては不可能でありまするので、施設の面において過密の人口をその周辺に移す、ないしはいわゆる首都圏に各地方から流入いたして参りまする人口をなるべく減少せしめるといったような、あらゆる方途を講じなければならぬかと存じます。御指摘のありましたような、各大学の集中の問題、あるいは官庁の問題、その他各種の中央的の機関、日本全国にまたがる中央的な機関の所在といったような、あらゆる面から論議せらるべき問題がたくさんあるであろうと存じます。これらの点につきましては、ひとりこの委員会だけで処理し得る問題でありませんので、あらゆる方面の、各省の御協力並びに民間各方面の御協力も得まして、これが実効を上げるよりほかにない、かように考えまするので、この問題につきましては各種の計画を立てまする場合、特にこの審議会などにつきましては、この問題を十分にお諮りをいたしまして、実効の上る方法を樹立いたしまして、各方面の協力のもとにぜひこれを実現せしめたい、かように考えておるのであります。困難はきわめて困難な仕事でありますが、さればといって放任できない重大な問題でありますので、その困難を克服しながら、何とか実効を上げるように全力を注いでみたい、かように考えておる次第であります。
  44. 石井桂

    ○石井桂君 もう一つ大臣の固い御決心を承わって、ひとまず安心しておるわけですが、人口の非常に集中する原因は、まあ具体的にいえば学校であるとか、工場であるとか、そういうものだと思うわけです。そのほかちょっと今すぐ私は思い当りませんが、そこでまあ戦時のことを話すと非常に変ですが、戦時中、都市人口が集中すると被害が大きくなるから、人口を分散しようという計画があったとき、大工場の規制ということと、それから学校を移設するということが努力されました。今度は目的が全然違いますが、人口を集めないという手段としては私は同じだと思うんです。そこでこの法文を見ますと、工場の規制についてお考え願うようでありますから、それには触れない。  そこでもう一つ残るのは、学校等の教育文化施設を整備するということだろうと思います。そういうことについてこの前の委員会松井局長からも御答弁をいただいたんですが、たとえば例をとると、日本大学なんというのは、現在の校舎が一ぱいになって、世田ケ谷の方へ施設を移しておる。慶応義熟大学は日吉の方へ施設を移しておる。そういう学校が方々にあります。そこでそういうような機会には、法文で規制するということはなかなかむずかしいにしても、近県の地方公共団体の長とか、あるいは関係の文部大臣とか建設大臣とか、そういう方々が集まって、そうしてこの首都圏整備計画を樹立するに当っては、関係方面の最大の知恵をしぼって、そうして御努力になれば、私は具体的に目的が着々と達せられるんじゃないか、こういうふうに考えるものですから、老婆心までにつけ加えておきます。
  45. 近藤信一

    近藤信一君 今、石井委員もちょっと触れられましたが、私は戦時中に、やはり各都市で強制疎開してどんどんと家を立ちのかしたわけですが、やはり首都圏整備の目標といいますか、やはりそういうような人口の問題が最も大きな問題であろう。そうして、もし何かの災害があったときに、これを最小限度で防いでいこう、こういうことも考えられなければならぬと思うんです。東京などは大正十二年に大きな災害を受けて、あのときにも大きな被害を受けた。戦時中にも、もう一夜にして大半が焼失する、こういうようなことはやはり人口の稠密化、そういうことが最も大きな原因をなしておるんじゃないか、こういうふうにまあ考えるわけなんです。従って、やはりこの首都圏整備をするためには、そういうようなこともあわせ考えて、そうしてしっかりしたものでなければ、私は法律を作っただけで、実効の面について何ら大きなあれがないということになれば無意義じゃないか、こういうようにも私考えるわけなんですが、そういう点、将来三たびの大きな災害を防ぐという立場からも、一つ法律人口の問題を十分に調整していく、こういうことでなければならぬじゃないかというふうに私は考えるんですが、その点いかがでしょうか。
  46. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 大正十二年の震災、それから先般の戦災、いずれも大きな災害を受けましたが、その原因のうち一つとして、人口の過密なることも考慮しなければならぬことは当然であると存じます。で、先ほど申し上げました通り人口の過密度の調整につきましては、各方面の協力を得まして、全力をあげなければならぬ問題でありますが、同時に、住宅あるいは道路も災害などを特に考慮いたしました上で、十分の処置をとらなければならぬと存じます。  なおこの首都圏整備につきましては、単なる目先の問題を考慮するというよりも、むしろ遠大な考えで、将来長きにわたる首都のあり方ということを考慮いたしまして、総合的に、しかも近視眼的でない計画を立てまして、これを実行に移していかなければ意味はないように考えます。で、大震災の後の東京都の整備につきまして行われた一部の英断が、今もって相当の効果を上げておりますることを考えてみましても、将来長きにわたる見地から十分な考慮の上に、英断を持ってとり行なっていかなければならぬと、かように考えておる次第であります。
  47. 近藤信一

    近藤信一君 今、大臣から、将来長きにわたっての一つの大きな、遠大な計画である、こういうまあ御所見が述べられたわけなんですが、目先の問題でないことは法律でわかっておるわけですが、しかしこの遠大な計画を立てられて、整備法が施行されるわけでございますが、しかし先ほどの御答弁にもございましたように、東京都がいつの間にか、もう八百万以上になってしまった、こういうようなことも、まあ遠大な計画を立てておられても、やはり今後も毎年々々人口が二十万くらいずつふえるというような状態で、これを規制する何らかの処置が講じられなければ、いくら遠大な計画を立てられても、もっともっと東京都は人口的にふくらんで行くんじゃないか。これはやはり地方から、何のことなしに東京へふらふらっと来て、そうして東京に居つくと、こういうような形もあるわけなんですが、やはりこれは遠大な計画も大切でございますが、当面の問題としても十分なる考えをもって、そうして首都圏整備法というものを私は施行する必要があるのじゃないか。このように考えるわけなんですが、当面の問題は、じゃあどうでもいいかと、こういうことにも受け取れるわけなんですが、当面一体どのようにされようという考えですか。この点一つお聞かせを願いたいと思います。
  48. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) もとより当面の問題をないがしろにしてよろしいという考えは毛頭ございません。当面の問題を処理しつつ、その目的は遠大なるところに置かなければならぬと、かような意味合いを申し上げたつもりであります。当面この人口増加をいかに処置するかという問題になりますと、強制力をもって云々ということにはなりかねまするので、先ほど石井さんのお尋ねに対してお答えを申し上げました通り、各方面、たとえば学校の問題であるとか、あるいは御指摘のあったような大きな工場の問題であるとか、そういった問題を考慮しながら、各関係方面との協力を得まして、それらの集中化を防止して行く。なお全国的にも呼びかけまして、中央である東京都への人口の集中をできるだけ防止していくといったような方法をさしあたりは講じていくよりほかにないと、かように考えている次第であります。
  49. 近藤信一

    近藤信一君 最後に一つお尋ねしますが、やはり私は当面の問題として考えられることは、これは住宅の問題だと私は思うのです。やはり国でいろいろと住宅計画を立てられるにいたしましても、現在大都市に不足しているのであるから、大都市にたくさんの住宅を建てなければならぬ、こういうようなあれでいつも割当がきまるわけなんです。しかし私は大都市にたくさん住宅を現在要求している人がいるから、住宅をたくさん作らなければならぬということになるから、だんだんと東京にこう人口がふえてしまう。やはりこれは地方にたくさん住宅を割り当てて、住宅をたくさん作っておけば、その地方に移住していく、こういうことも考えられるのではなかろうかと思うのですが、その住宅問題についてはどのように考えておられますか。
  50. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) それは、実は申し落しましたが、まさに住宅についてはそういった考え方を当然すべきものであると考えまして、都市に集中するという従来の方針は、これを再考すべきであると、かような考え方から、数におきまして特別の考慮を払っているつもりであります。
  51. 村上義一

    村上義一君 整備計画につきましては、二十条の第三項に、政令で定めるところによって左記の各事項ごとに根幹となるべきものを定めるのだとなっておりまするが、そうして九項目明記されております。この中で公園だとか、緑地とか、水道、下水道、あるいは宅地とかというようなものはよくわかりまするが、鉄道については非常に疑義があるのであります。これは国有鉄道は電信電話などと一緒にこの中へは含まれないと考えるのでありまするが、いかがですか伺いたい。
  52. 水野岑

    政府委員水野岑君) 国有鉄道につきましては、まあ御案内の通り首都交通の問題を考えます場合に、御承知のように、国電というものが重要な施設でございますので、この整備計画を立てます上におきまして、やはりそういう国有鉄道というものが、われわれといたしましては、ぜひ考えなくてはならない問題ではないかと。ただ、これはいずれも政令で定めるということになっておりますので、関係各省、すなわち運輸省と御相談しなくちゃなりませんが、われわれといたしましては、国有鉄道はぜひ入れるべきである。ただ、その国有鉄道を入れます場合に、どういう範囲のものを入れていくか、具体的に整備計画の内容として、そういう問題につきましては、十分運輸省と御相談をしてきめて参りたいというふうに考えております。
  53. 村上義一

    村上義一君 国有鉄道も中に入れるという必要性は、私も一面において考えるのでありまするが、とにかくちょうど東海道という道路もやや似ておりまするが、国有鉄道はこの首都圏の中の鉄道、これは全国の鉄道網の一角にすぎないのでありまして、全国的に輸送需要に適応するように、これは常に有機的の動きをしておりまするので、ただ首都圏だけの考え計画を立てるということには非常に無理があると思うのであります。今お話しのごとく国有鉄道の当時者が立てた意見をよく尊重して取り入れていくということならば、もちろん差しつかえないと思うのであります。ぜひ一つこれは緊密な連携を保って進めていただきたいと念願するのであります。  なお、この電信電話という通信施設については、全然九項目の中にはないのですが、あるいはこの「リ」という「その他首都圏整備に関する事項で政令で定めるもの」とありますが、この中へ含めておられるのですか。ついでながら、この「リ」号で予定しておられる内容を伺いたいと思うのであります。
  54. 水野岑

    政府委員水野岑君) 電信電話の問題でございますが、電信電話の問題につきましては、これは施設に追随していくものであるというような考えからいたしまして、目下のところは、電信電話はこの「リ」の政令でも含めないでいいのではないかというふうに目下のところ考えておりますが、この整備委員会なり審議会の御意見、あるいは関係省の御意見を十分お聞きいたしまして、それで決定して参りたいというふうに考えております。
  55. 村上義一

    村上義一君 今、国有鉄道も当然入れて考慮していくというお話でありまして、それは一応ごもっともだと実は思うのであります。必要性を私も考えまするが、ぜひこれについては、くどいようですが、あらかじめ緊密な連携を保ってお進めにならなければ、せっかく立てた計画実効が上らないということになると思うのでありまするので、特にこの点について強く希望を申し上げておくのであります。  なお、この地方鉄道の軌道についてでありますが、これは輸送需要の変化に即応するように計画を立てるということであると思うのであります。それでそれは物的の施設の整備に限定されておると解釈されるのでありまするが、いかがでしょうか。たとえばバスの路線設定とか、あるいは航空路線の設定とかいったようなものは全然含んでいない。物的の施設についてのみの計画であると思うのですが、いかがでございましょうか。
  56. 水野岑

    政府委員水野岑君) ただいま冒頭に村上委員からお話ございました国有鉄道の問題につきましては、村上委員の御意見ごもっともでございまして、十分関係省なり、国有鉄道と緊密な連携をとりまして、進めるべきだというふうに考えておるのでございます。  なお、ただいまお話のございました路線網は入らないのであって、物的施設の整備だけが入るのではないかというお話でございましたが、この整備計画におきましては、この首都圏内の輸送需要というものを考えまして、どういう所に起点を設け、中間経過地点を設けて、そして終点はどこに設ける、そしてそこにどういう施設、輸送施設を設ける、そうしてその輸送量はどのくらいのものを想定するのか、こういうようなことを計画いたしませんと、この整備計画の完全を期することはできないと思うのでございまして、そういう路線網というものはこの整備計画で大きく一つ取り上げて参りたいのでございます。その路線網に基きまして、今度具体的にどういう施設の整備が必要かということが次の問題として整備計画の中で考えて参るということになるのでございます。ただ、先ほども御答弁申し上げたと思いますが、あくまでも整備計画はスター・プランでございますので、いわゆる各実施官庁でやります詳細な実施計画とは異なりますので、この経過地点でありますとか、そういうような点につきましては、ある程度構想、ある程度基本計画、こういうようなことになることは当然であろうと存じます。
  57. 村上義一

    村上義一君 ただいまお話しの趣旨も一応ごもつともだと思うのでありますが、ただこの整備計画だけはこれはもう立て得ると思うのであります。で、二十条第四項に事業計画というものが現われてくるのであります。で、この事業計画は「必要な毎年度の事業で政令で定めるもの」ということに明記されております。鉄道とか、軌道とか、あるいはバス路線とかいったような新規の事業、これは御承知の通り、申請に基いて特許または免許されるものでありまして、こういうものは毎年度の事業計画を一方的にこの委員会決定するといっても、これは不可能なことじゃないかと考えるのでありますが、いかがですか。
  58. 水野岑

    政府委員水野岑君) ごもっともな御意見だと存じますが、ただこの事業計画におきましても、関係省の御意見を十分お聞きする必要がございますが、また免許申請がすでに出ておりまして、関係省もこれはもう免許する予定である、こういうような場合も私は理論的にはあり得ることではないか。そうしてその関係者もぜひこの事業計画に乗せる、そうして財政投融資の方を大いにやってもらいたい、こういうような御希望のある場合もあり得るのでございまして、一般的な問題に至りましては、ただいま村上委員の御指摘になった通りだと存じますが、そういうふうにある程度もう具体化しておる、ほとんど内定しておる、こういうような場合におきまして、財政投融資が必要である、こういう場合におきましては、事業計画に乗せて参りまして、そうして委員会からもそれの財政投融資の確保に努力していく、こういうようなことも考えていいことではないかというふうに考えておる次第でございます。
  59. 村上義一

    村上義一君 財政投融資なりあるいは起債についてのあっせんをするということ、これはきわめて必要なことででありますし、また整備計画を実行に移すについての必要な手段であると思うのでありますが、法文で、毎年度の事業としてこういうものをやるのだというても、これは民間からの申請に基いて初めて特許をしあるいは免許をされるものでありますので、どうも何だか絵にかいた問題のように思われるのでありまして、従って、私はこの法文を読みますときに、この事業計画委員会で取り扱うことをやめて、整備計画の実施状況を調整するという程度にとどめるのが、こういうただいま問題になっておる事項につきましては、その実情に即するのではないかと思うのであります。ここでの事業計画をこの法文では書いてあるのでありますから、この内容は国なり地方公共団体の事業であって、その予算にかかるものと解釈するほかはないのじゃないかというふうに考えたのでありますが、その点はどうでございますか。
  60. 水野岑

    政府委員水野岑君) 事業計画といたしましては、ただいまお話がございましたように、国なり公共団体の事業というものが大体多かろうとは存じますが、先ほども私が申しました通り、私鉄とか、あるいは地下鉄でありますとか、そういうようなところで免許申請を出しておりまして、ほぼ内定しておるというような事態がある、あるいはすでに免許をとっておる路線がある、こういう場合におきまして、まだ着工していない、こういう場合、毎年度の事業計画として、たとえば地下鉄路線を例にとりますと、ある地下鉄の営業者が免許はすでにとってしまっておる、しかしまだ着工していない、こういう路線がある。こういう路線が整備計画の中におきまして、これは何カ年計画としては取り上げられておる。それを毎年度の事業といたしましても、ここからこの先までは事業を実施する、これには財政投融資がほしい、こういうような場合もあるのでありまして、この事業計画を立てますには、われわれといたしましては、国のみずから行う事業、あるいは国が補助する事業、あるいは財政投融資にかかる事業等のことを考えておるのでございまして、いわゆる私鉄とか、そういうものが全然民間資金で、もう国の御厄介にならないで、自力でやる、こういうような場合にこの事業計画に計上するということは、これは意味がございませんので、われわれといたしましては、そういうものは事業計画には載せて参らないつもりでございます。
  61. 村上義一

    村上義一君 ただいまの御説明で大体はわかりましたが、事項によって可能的範囲で進むんだという要するに御趣旨のようでありますので、大体わかりましたが、ただこの二十一条なり二十二条にもっていきまして、首都圏整備計画、この事業計画の実施の決定とか勧告ということがきめられておるのですが、ただいまお話の私鉄の場合で、すでに免許を得ておるというようなものについては、これはいいと思うのであります。特に帝都交通営団のごときは、多くの線路網をすでに決定しておりながら、遅々として進まない。これは一に資金の調達ができないためだと私は思っております。すこぶる遺憾に考えておりまするが、そういったようなケースに対して財政投融資もしくは起債、外資の導入、いろいろそういうことについてあっせんするということは、すこぶる首都圏建設の上において効果的であると思うのであります。ただ、ここで事業計画の実施について、各省大臣に勧告するということになっておりますので、これを項目、事項によりましては、この勧告、すこぶるけっこうであります。事項によりましては、どうも各省大臣の固有の権限を侵害するおそれが多分にある。そうして行政責任を不明確ならしめる結果になるというふうに実は思えるのでありますが、まだ、特に地方自治についても、地方自治を侵害するおそれが相当あるというふうに思えるのですが、この点についての御配慮はどういうことでありますか、伺いたいと思います。
  62. 水野岑

    政府委員水野岑君) ごもっともな御意見だと存じますが、この勧告権の発動は私ども慎重になすべきであるというように考えておるのでございまして、この法律案をごらん願いましても、御承知の通り、この委員会整備計画を樹立いたしますが、この樹立いたします場合に、関係各省なり関係公共団体、その他学識経験関係方面方々の御意見を事前に十分お聞きいたしまして、なおそのほかこの法文にもございますように、その審議会の御意見関係行政機関関係公共団体と相並んで、審議会の御意見も十分尊重していく、それから関係公共団体関係行政機関の長にもあらかじめお聞きする、こういうように非常に念には念を入れてこの整備計画というものを樹立して参る。そうしてその作成されました整備計画というものは、できるだけ自主的に関係公共団体なり関係各省に実施していただくということが建前になっておるのでございまして、ただ、この関係者なり関係公共団体と十分事前に連絡はいたしますが、どうしても、この首都圏整備という立場から、整備計画に盛られました事業が円滑に実施されない、こういう場合におきましては、この勧告権を発動するというのももちろんございますけれども、ただ、これは私は運用に非常に気をつけていかなければ、勧告権を発動いたしましたところで、その法律的な強制力はないのでございますので、委員会がなかなか実効をおさめ得ないということになりますので、十分関係省なり関係公共団体の御意向をお聞きいたしまして慎重に一つやって参る、こういうような考慮がぜひ必要である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  63. 村上義一

    村上義一君 ただいまの御説明で大体わかりましたが、ただあまり法文で明確になっておりますので、実は非常に憂慮するのでありますが、二十八条の第二項でも、委員会は必要があると認めるときは勧告ができると、ただ書いてありますが、この勧告をする事項の中には各省の重要施策に関係のあるものもありましょうし、とにかく各省大臣の責任のもとにやっておる事項につきまして、ただ単に、本委員会が必要と認めるという程度の理由で、一方的に勧告をするということはどうも不穏当であると思うのでありまして、もちろん、不穏当にならないようにあらかじめ緊密な連係をとるというただいまのお話でありますので、ぜひそういうようにしていただきたい。そうでなかったならば、せっかくこの大理想を実現するということはたちまちに頓挫を来たすと思うのでありまして、勧告というものが、第一勧告というものは要するに非常に解釈上幅の広いものであると思うのでありますが、場合によれば、勧告が宙に迷ってしまうというような結果にもなるのでありまして、国土総合開発審議会あるいは今日までの首都建設審議会実績が上らなかったという点にかんがみまして、せっかくこの理想を掲げて首都圏整備をやるということなんで、これはぜひとも必要なことであると思うのであります。この勧告権を発動するというような場合には、また事業計画を実施するということにつきましては、深甚なる考慮を払っていただきたいということを強く希望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  64. 石井桂

    ○石井桂君 ちょっと大臣のいらっしゃる間にお聞きしたいと思うのですが、首都建設法の時代には、主として計画だけでもって終ってしまったと思うのですが、それを地方公共団体たる東京都などが予算をとってやってきたのでありますが、この首都圏整備法ができました場合には、これはこの委員会でもって予算を一括とりまして、そうして各省に移しかえするようになるのですか、法文の上の関係はどうなっておりましょうか。
  65. 水野岑

    政府委員水野岑君) 予算の一括計上の問題につきましては、これは北海道開発庁にも前例がございまして、立法事項ではない、予算総則の問題であるというふうに解釈しておるのでございまして、従いまして、本法律案の中には一括計上すると、こういう条項はないのでございますが、予算総則の問題として考えるべきではないかという御意見が強いのでございます。御承知かと思いますが、衆議院の方におきましては、付帯決議といたしまして、昭和三十二年度から事業計画にかかる予算につきましては、整備委員会の予算に一括計上してこれを実施官庁に移しかえをするように、こういう付帯決議がついておるのでございます。首都圏整備委員会が発足いたしまして事業を総合調整していく、そうしてそれをまあ委員会としては事業は実施いたしませんで、各省に実施させる、こういう場合におきましては、どうしても能率的に事業を進めていくという場合におきましては、総合調整ということが非常に大きな仕事だと存じます。そういう場合におきまして、予算の一括計上をしていくということは、総合調整する上におきまして、また事業を推進する上におきましてこれは非常な大きな仕事であり、ぜひそういう方向に向って努力すべきであるというふうに考えられるのでありますが、これは何分にも関係各省がございまするし、関係各省と非常な関係の深いことでもございまするし、また、事業計画にかかる予算としましても、その内容、どういう内容のものを一括計上していくかというような問題になりますと非常に問題になるところでございます。そういう点は今後十分関係各省と御相談をいたしまして、慎重に一つそういう方向に向って、昭和三十二年度の予算総則の問題として一つ考えていきたいというふうに考えております。
  66. 石井桂

    ○石井桂君 いや、私は法律関係はあまりよくわからぬものですから、どういう経過をたどって予算化されるものだということが疑問になったので、御質問申し上げたのです。首都建設法時代には、私もずっと前には多少関係がありまして、いろいろ計画にタッチしたこともあるのです。そのときは、いつもペーパー・プランに終ってしまって——いつもと言っちゃ語弊があるかもしれませんが、効力が上らなかった。やっぱり一括して窓口で予算をとるというところに、私は計画が実現する大きなその効果があると思うのです。そこで、衆議院で付帯決議をされた趣旨もそこにあると思うのですが、この村上先生が先ほども御質問になったように、旧二十条、修正された二十一条ですね、二十一条の第三項のイから、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リまである、これは非常な大きな事業だと思うのです。それを村上先生の御意見もありますが、各省で十分御協議になって、そうしてそれが首都圏整備という立場から一つ計画になって、それを強力に推進するという段階になりましたら、調整が終ってそういうふうな段階になったら、これは窓口としてはやはり首都圏整備委員会で予算を一括計上して、そうして各省へ移しかえするというような段階になった方が実行力が非常に多いと、こういうふうに考えるものですから、そういう点は、建設大臣としては御要望になっているのかどうか、それをお聞きしたいわけです。
  67. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) 予算の問題は、実効を上げる上に非常な関係を持つことは申し上げるまでもないと思います。いかなるものを対象とするかという範囲等につきましては、ただいま答弁のうちにもありました通り、これは十分検討しなければならぬ問題であると思います。で、その協議が整いました上は、それに関する予算は一括計上いたしまして、これを各実施官庁に移しかえをする、これによって実施して参りたい、かように考えておるのであります。
  68. 石井桂

    ○石井桂君 あまり時間をとりませんが、この前、この図面を私は要求して提出していただいたのですが、この図面の説明を……。
  69. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) その前に、大臣のいる間にちょっと伺いますが、首都圏整備計画の内容には、先に村上委員から御質問がありましたハに鉄道運輸がありますが、この内容をおきめになるときには、何ですか、すでに運輸省といたしましても一応これを協議なさったのですか。
  70. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) 運輸省当局と協議を十分いたしました。あと政令できめます点につきましては、なお今後十分折衝したいと思っております。
  71. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それからもう一つ、この法案首都建設法の延長拡大というふうな御説明がありました。先ほど水野政府委員は勧告を非常に慎重にする、こういうふうなお話がありました。しかし、首都建設委員会でなした勧告をどういうふうに処理なされるのか。あの勧告はいかに無理な勧告をしておられたか、これを御記憶があるかどうか。もしもああいうふうな感覚をもって勧告をされるならば、非常に迷惑する官庁もあると思います。たとえて申しますと、この国会の存在している周辺の地区について委員会から勧告があった。それについて衆議院の方でもある立法をなさった。それに対して建設大臣は、この法案にはどうも従いにくい、こういうようなことを委員会でも明言なさった。つまり勧告をする場合には、関係官庁とも十分協議をすると先ほど説明がありましたが、事実は何らそういう関係なしにしておられる。かようにその当時の大臣も実は迷惑された、こういう事実があるのでございます。でありますからして、あなたのおっしゃる勧告を慎重にするとおっしゃっても、われわれは今までの、既往の過去のあやまちを見て、信じがたい。そのことに対してはこの次の委員会でもけっこうですが、確たる御答弁を得たい。  もう一つ大臣のいらっしゃるうち質問したいのは、先ほど村上委員の鉄道のこと、また維持、あるいは近藤委員人口の問題もありました。要するに、一方だけに人口の集まらないように考えても、日本全体から見る必要がある。それを考えますと、国土総合開発を、この国土総合開発法の第二条には「都市及び農村の規模及び配置の調整に関する事項」、あるいはまた五には「電力、運輸、通信」等々のこともあります。でありますから、要するに国土総合開発法を十分に研究して、これをまずもって先にやるべきものでないか。国全体といたしましてそういうような感覚がいたしますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  72. 馬場元治

    国務大臣馬場元治君) お説の通りに、人口問題その他資源の開発、交通の全面的な推進といったようなあらゆる角度からいたしまして、全国的な見地から計画を立て、いわゆる国土総合開発といったような部面の活動をしなければならぬのは申すまでもないのであります。先ほど来しばしば申し上げまする通りに、東京都、いわゆる首都を中心とする周辺地帯が特に人口が過密でありまして、そこに各種の障害も生じて参りまする傾向が顕著でありまして、首都を中心とする一帯のいわゆる首都圏なるものの整備が捨ておきがたい状況にありまするので、取り急いでこの首都を中心とするいわゆる首都圏整備に全力を注がなければならぬと、かように考えた次第であります。全国的な問題を放任してよいという考えは毛頭ないのであります。おのずから環境に軽重がありまするので、首都圏をまず第一に着手をしなければならぬ、かような考え本法を提出いたしたのであります。
  73. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 大臣に対する御質問ありませんね。
  74. 石井桂

    ○石井桂君 聞き漏らしましたから……。
  75. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 大臣、御用事があるそうですが。
  76. 石井桂

    ○石井桂君 大臣、聞いておられた方がいいのですが、一言だけ。整備計画の中でいろいろ開発地域や何かを整備していくおけですが、その場合に農地との調整はどういうふうにお考えになるのでしょうか、その点だけでけっこうですから。農地はずいぶんつぶされるようになるのじゃないか。
  77. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) 農地との関係でございますが、(石井桂君「大臣はもうけっこうです」と述ぶ)市街地開発区域計画をやって参りますのに際しまして、土地の性質、利用状況等を十分調査いたしまして、可及的に優良な農地をつぶさないように、そういった農地の方から見まして悪い土地を選んで、そういう所を市街地として開発していく、こういうようなふうに計画を立てていきたいと思っております。その点、なおよく農林省当局とも十分協議いたしまして、遺憾のないようにして参りたいと思います。  なお、埋立地の点等につきましても、農地との関係、その他との関連を十分考えまして、農地と無益な競合を起さないように、しかも将来の需要を十分かたえるようにやっていかなければならないと思っております。
  78. 石井桂

    ○石井桂君 本筋の御答弁としてはそれでいいでしょうけれども、はなはだ抽象的なものですから……。実際近郊であいている所というのは、農地なんですよ。それをつぶさないで開発地域を設けるとか、大きな住宅を作る、集団地域を何万坪と得るということは、非常にむずかしいんですわ。だから、松井さんの基本精神はこれはもう一応そのままけっこうだと思いますが、実際に非常にむずかしいだろうと思うんだ。その場合に、首都圏整備法によって、まあ農林省あたりで、これは優先して一つ農地を廃止するというような話し合いや何かできないのですか。そこまでは行っていらっしゃらないのですか。
  79. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) まだそこまでは行っておりません。
  80. 石井桂

    ○石井桂君 それからこの図面について御説明いただきたいのですが。
  81. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) お手元に配付いたしました図面につきまして、簡単に御説明申し上げます。  この図面は東京都の丸ノ内を中心といたしまして、そこに同心円が書いてございますが、その同心円のちょうど丸ノ内を中心としました右の方に出ております線の上に赤インキで数字が書いてございますが、これはその線までのキロ程でございまして、一番外側の線が、丸ノ内中心から百キロの線になっております。この図面で、まん中の市街地のふちを紫色にふちどってございますが、これがこの法案で申しておりますところの既成市街地というつもりでございます。その周辺の約二十五キロの線までの緑色に塗りました所が、この法案でいっておりますところの近郊地帯でございます。その外側がすべて周辺地帯ということになるわけでございまして、この近郊地帯と周辺地帯に赤まるでまるをつけてございますのが、その地域におきますおもだった都市でございます。その数は、下に数字が書いてあると存じますが、近郊地帯が十五、周辺地帯が九十九、合せて百十四あるのでございます。  それで首都建設委員会で一応の構想として考えておりましたのは五十キロの線でございますので、大体北の方で申しますと熊谷の少し手前くらい、東の方で千葉のちょっと先くらい、南の方は三浦半島、西の方は五日市、東京都は青梅、五日市くらいの範囲になるわけでございますが、首都建設委員会では、大体この五十キロくらいの圏内を首都圏と一応考えまして、その中の問題を、東京都の問題を考えますのに参考といたしましていろいろ考えておったのでございます。それで問題になりますのは、この首都圏範囲をどの程度までとるかということが今後の大問題になると思うのでございますが、これは首都圏整備委員会が発足しまして、整備審議会その他各省との、あるいは関係地方団体との話し合い等いろいろございますと存じますが、それによって政令で定められることになると考えております。大体首都建設委員会考えておりましたこの五十キロ圏内には、ここに書いてございます百十四のうちの半分くらいの都市が含まれるのでございますが、それを百キロまでもし延ばしますと、百幾つの都市ということになるのであります。この中から適当なものを選びまして、市街地開発区域と指定しまして、そこに工業の導入その他衛星都市としての整備をしていく、こういうことになるわけでございます。  大へん簡単でございますが、御説明申し上げます。
  82. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 ただいま松井君の御説明によってまあ大体わかりましたが、この市街地開発区域を適当に選ぶということをおっしゃっておるのですが、大体、全部をここでおっしゃる必要はありませんが、具体的に一、二の例を示してもらいたいと思います。
  83. 松井達夫

    政府委員松井達夫君) まあたとえば一番早い話が、千葉県の松戸等でございますが、これは近郊地帯の中に含まれているような所でございますが、現在も都市でございますが、これを衛星都市と見るか、あるいは内部、市街地の中に含ましてしまうかという点、またいろいろ議論があることと存じますが、ああいったように、たとえばあそこに住宅公団の大規模な住宅建設が始まっておるというような所が、一つの候補地ではないかと思います。また、やはり同じ住宅公団が目下大きな住宅建設に取りかかります東京都下の日野という所がございますが、これは立川と八王子のちょうど中間にまるが書いてあるわけでございますが、こういったような所が特に、さきの松戸などよりもいわゆる工業を育てるという衛星都市という面からは、この日野などがまた一つの有力な候補地ではないかと思います。
  84. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 この法律によりますと、国が補助をし得る所はまあ市街地開発区域というふうに書いてあるのですが、東京都の周辺行政区域を別にしている所ですね。実際は東京都の生活圏としての範囲内にある。しかし行政区域を別にしているがために、非常に住宅に比しまして学校が不足しているというようなことがあるので、そういう所に対しては今度は国が補助をしてそれを助長して、ちゃんとした広域な都市を作るということが主眼だと思うのですが、そうすると、この開発地区を相当考えてとってもらわないと、ただ市街がつながっているからこれは市街地地区だということでいきますと、この法律趣旨がそこに背馳するというようなことがある。そういう点はどういうふうにお考えですか、一つ方針を御説明願いたい。
  85. 水野岑

    政府委員水野岑君) ただいま小沢委員からの御質問は、重要なごもっともな御質問でございまして、私ども市街地開発区域の選定方針と申しますか、そういうものをただいまのところ一応考えておりますのは、まず何といいましても、既成市街地内部におきまして、たとえば昭和五十年ごろを想定いたしまして、昭和五十年ごろに現在のままで放置すればどのくらいの人口というものが集中するであろうか、それを、ところが、一方その既成市街地におきまして宅地の高度利用、それから建築物高層化等を考えまして、そして適正にかつ合理的にどのくらい収容するのが適当であるかということをまず想定いたしまして、そういたしますと、約三百万とか二百万とか、そういうような人口というものは、この周辺部市の方が収容しないというと首都圏内の適正な人口の配分ができない、こういうような想定、あるいはこの周辺地域なり近郊地帯の農村地域において適正の収容人口というものはどのくらいであるか、そういうようなことを考えまして、この市街地開発区域におきましてどの程度人口というものを収容していくべきであるか、こういうようなことをまず想定いたしますのと同時に、各都市の立地条件をしさいに調査をいたしまして、この立地条件のいい都市、それから先ほど申しました適正配分しなければならない人口の数、こういうものを考えましてこの市街地閉路区域というものを選んで参りたい。従いまして、ただいま御指摘がございましたように、従来通勤都市になっておるから、あるいは従来東京都の延長になっているから、それをすぐ衛星都市として市街地開発区域として選ぶのだ、こういうような考え方ではなしに、ただいま申しましたような、詳細に各都市の立地条件というものを調べまして、あるいはそれからまた分散しなければならない、適正に配置しなければならない人口の数、あるいは東京から分散できる工業の種類、そういうものを十分考えまして、この工業を導入していく、こういうことに主眼点を置いて市街地開発区域を選んで参りたい、かように考えておる次第であります。
  86. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 ただいま松井君の御答弁によりますと、これまで衛星都市として発達してきた所は必ずしも市街地開発地区には指定しないというのですけれども、これまでにそういう所が一番困っておることは、大体東京の住宅を引き受けなければならぬ。住宅を引き受ければ、学校ができなければいかぬ。ところが、それは行政区域を別にしておるから、そういう各市町村の単独の区域ではやり切れないということなんですね。それを首都圏全体として有機的に育てるためには、ここに国の補助というような問題があるわけで、その国の補助を与える区域はどうも市街地開発地区というふうにあるのですが、そういう点を考えてこれまでの隘路をカバーするような方針でやってもらわぬと、私はこの法律を作った価値がないと思う。ただ工業都市云々ということではなくて、これまでどこに短所があったか、それをどういうふうにカバーするかということを十分考えてそれをやってもらいたいと思いますが、いかがでありますか。
  87. 水野岑

    政府委員水野岑君) 市街地開発区域の選定方針につきましては、ただいま私の申しました通り、やはり工業を導入してそこで職場を与えて吸収定着させる、こういうことが何といいましてもこの市街地開発区域育成の大方針であると思いますが、この法律にもございますように、市街地開発区域はそういう工業都市以外に住居都市として育成発展させる、こういうことも考えるというふうになっておるのでございまして、先ほど私が申しましたのは、単なるまあ通勤都市として発達しておったような都市が、すぐそのまま、もう市街地開発区域になるというふうなことを意味するものではないということを申し上げたのでございまして、住居都市として発達させなければならぬということで相当な、公団住宅が主になるだろうと存じますが、そういう国の施策にかかる住宅建設が相当行われておる。しかしながら相当隘路がある。ほかの面で隘路がある。そうしてその都市市街地開発区域として指定することが適当である、こういうような都市につきましては、これは市街地開発区域として当然考えまして、学校施設なりその他の隘路を是正して参る。で、こういうことをぜひとも考えなくてはならぬかと存じます。従いまして、ただいま住宅公団が相当大規模に住宅を建設しておる、こういうような都市も十分一つ考慮に入れまして、善処して参りたいと思います。
  88. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 一応これをもって休憩いたします。午後は二時から再開いたします。    午後零時四十八分休憩      —————・—————    午後二時四十二分開会
  89. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) これから委員会を開会いたします。  海岸法案を議題に供します。  本案は、去る四月三日提案理由を聞きました。まず内容の詳細な説明政府委員からお願いいたします。
  90. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 海岸法案の逐条の御説明を申し上げます。先般提案理由の説明がありました海岸法案につきまして、逐条的に御説明申し上げます。  第一条は、海岸法案目的に関する規定でございまして、本法案が、津波、高潮、波浪その他海水または地盤の変動等による被害から海岸を防護し、もって国土保全の目的に資し、生産基盤の涵養と民生の安定をはかるものであることを明らかにいたしたものであります。  第二条は、本法案において用いられる用語の定義に関する規定でございます。本法案におきまして「海岸保全施設」とは、海岸保全区域内にある堤防、護岸等、海水の侵入または海水による侵食を防止する機能を有する施設をいうのでありまして、かかる機能を有する施設は設置者、所有者または管理者のいかんにかかわらず、海岸保全施設として取り扱われているのであります。「海岸管理者」とは、後ほど御説明申し上げますように、海岸保全区域の管理の責任を有する都道府県知事、市町村長、港湾管理者の長及び漁港管理者である地方公共団体の長をいうのであります。  第三条は、海岸保全区域の指定に関する規定でございます。  第一項は、都道府県知事の海岸保全区域の指定の権限と指定の範囲規定したものでありますが、この法律は全国すべての海岸に適用されるものではなく、国土の保全の見地から防護する必要のある海岸の区域に適用しようとするものでありまして、その範囲を明らかにするため、都道府県知事をして指定いたさしめることにしたのであります。  なお、適用河川、準用河川の区域、砂防指定地、保安林、保安施設地区等につきましては、それぞれの法律によって本法案と同一の目的行政が行われているのでありまして、行政の重複を避けるために、これらの区域については海岸保全区域の指定を行わないことといたしたのであります。  第二項は、保安林または保安施設地区について第一項の例外として指定できる場合の特例を定めたものであります。保安林または保安施設地区につきましては、原則として国土保全のための行政が行われるのでありますが、例外的に他の目的行政が行われる場合があり、またその行政の手段が本法案と異なっておりますので、特別の必要がある場合には農林大臣に協議して指定することができることとしたのであります。  第三項は、海岸保全区域の指定の場合における区域の幅の限界を定めたものでありまして、指定によりその区域内におきましては行為の制限等が行われるのでありますから、必要最小限度に限るべきであるとの趣旨でございます。  第四項及び第五項は、右の区域指定の際の手続に関する規定でございます。  第四条は、港湾区域及び漁港区域等の海岸において、区域を定めて類似の行政を行なっております場合におきましては、海岸保全区域を重複して指定するときは、それらの区域指定について権限を有しまする者に協議する旨の規定でございます。
  91. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 今までで第一章は済みましたが、今までについて御質疑のある方はありませんか。
  92. 石井桂

    ○石井桂君 この「防護すべき海岸に係る一定の区域を海岸保全区域として指定することができる。」というのですが、その指定する標準というようなものがおありでしょうかしら。海岸保全区域に関する指定の基準というようなものですね。
  93. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) これにつきましては、かっちりした基準というものは持っておりませんが、従来の実績等を徴しまして、さらに最近におきまする被害の状況等を勘案いたしまして、実際には指定して参りたいと、こういうふうに考えております。
  94. 石井桂

    ○石井桂君 これがこの目的の一番大事なところだと思うのですよ。この法律目的を達成するために防護する必要がある海岸のうちで、一定の区域を海岸保全区域としようと、こういうわけですから、それががっちりきめてないと、安全ということからいえば、海岸は全部指定すればいいのだけれども、何か標準がなければ重点的にいろいろな施設をするのに困りやしないかと思うのですが……。  それから災害が起ってから、あとから指定するのじゃ何にもならぬように思うのです。だから、あらかじめ災害が起りそうな所は、科学的に研究されて、基準があるべきだと思うのですけれども
  95. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) この法案におきまして海岸保全区域を指定することでありまして、それが非常に重大なことでございますが、海岸につきましては従来、河川あたりに比べますと、調査の資料が比較的少いのでございます。従いまして、今後におきまして十分調査は行なって、順次指定して参らなければならぬと思いますが、ただいま申されるように、災害を受けてから指定するというようなことではいけませんので、その点につきましては資料が足りない分もありましょうけれども、ただいままで持っておりまする資料を十分勘案いたしまして、必要な所につきましては指定を早くやりたい。ただ、この法律の中に書いてありますように、指定区域になりますると国民の権利が相当制限されるという点もございますので、やたらに急いで広範囲に指定するというようなことはしないようにしたいと、こういうふうに考えております。
  96. 石井桂

    ○石井桂君 非常に慎重にするのはけっこうですが、たとえば、大まかに言って、尼崎とか東京湾の近くとか、地盤沈下をしているような所は、まず第一にやらなければいかぬだろうと思うのです。そういうような所とか、あるいは新潟市のように、二、三年前まではもう大してやらなかったが、最近何十メートルも侵食されて、信濃川の水の流れのために侵食されておるというような、目に見えて危険な所もずいぶんあると思うのですよ。何にもお話がないのじゃどうも非常に不安なんで、何かおのずから大きな標準とかなんとかあると私は思っておるのですが、そのこまかい、細目までではなくても、指定をすべき基準というものが何かありそうに思うのだけれども、何にもないのじゃ、法律を出してもすぐ働かないように思うから、それで聞いておるわけなんです。
  97. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) ただいまのお話にありましたような、東京であるとかあるいは尼崎、それから新潟の海岸等につきましては、すでに実際問題といたしまして、国の補助も出して調査なりあるいは事業をやっておるわけでございます。ですから、そういうものにつきましてはもちろん指定するわけでございます。そのほかにおきましても、海岸堤防を今まで実際にやった地区、あるいはやりつつある地区、そういう点におきましておのずから指定しなければならぬ地域は、八割程度まではもう個所別にわかっておるわけでございます。ですから、あと一割とか二割程度のものにつきましては調査の上やらなければなりませんでしょうが、お話のように、基準がないからできないじゃないかというきらいもあると思いますが、実際問題としてはそういうふうにやっておるのでございますから、指定する分のうち相当の、大部分のものは直ちに実施に移れる、こういうように考えております。
  98. 石井桂

    ○石井桂君 それでは、たとえば東京を例にとりますと、越中島だとか、ああいう海に直接面する所は、この海岸法で施設をしますね。そうすると、東京でいうと、江東地区のような所は、今度は海から川へつながっているのですよ。海の方だけ防備したのでは、土手が残ってしまいますね。そういうあとの分はこの法律でやるわけじゃないのですね、普通の。
  99. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) お説の通りでございまして、河川の内陸の問題になりますと河川法の範囲になりまして、この法律、海岸法と河川法と相待って完全な効果をおさめるようにするつもりでございます。
  100. 石井桂

    ○石井桂君 それから各省の分担の区域をきめたのはけっこうですけれども、農林省でやっている農地に関係のあるところの海岸ですね、それは海岸保全区域に入れないというようなのは、どういうわけですか。農林省がやっても一向差しつかえない。それは保全区域なんじゃないかな。
  101. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) もちろん保全区域になるわけでございます。ただ、主管大臣建設大臣あるいは農林大臣になるということでございます。
  102. 石井桂

    ○石井桂君 保全区域に指定はするのですか。
  103. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) お説の通りでございます。
  104. 近藤信一

    近藤信一君 ただいま石井委員から御質問がございました点でございますが、一定の区域を海岸保全区域として指定するわけなんですが、そこで問題は、海岸すべてがなされればこれにこしたことはないのですが、そうでなくして、必要に応じて指定をするわけなんですが、この必要に応じてというのは、先ほど質問があったように、まあ災害のおそれがあるとかないとか、こういう判断によって指定されるわけなんですか。日本の海岸線というものは、ちょいちょいと大きな島が海岸線に沿ってたくさんあるわけなんです。そうして人口もたくさん住んでおるわけなんです。そういう島などの災害については非常に大きな脅威を感ずるわけなんですが、そういう島の海岸線といいますか、そういうような所に対してもこれは指定の中に含まれての考えですか、その点一つお伺いをしておきたい。
  105. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 島につきましても、必要なものにつきましては指定するつもりでございます。
  106. 近藤信一

    近藤信一君 それからこの「河川法第一条に規定する河川、同法第四条に規定する河川の支川若しくは派川」、こういうようにありますが、この河口がすぐ海岸につながっているわけなんですが、これが河川法の区域、ここからが海岸法という、この区域についてはどのようになるのですか。
  107. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) その点につきましては、河川法を適用する場合におきましては、河川は、大体におきまして河口に至るまでを河川と通常してございます。従いまして、たとえば堤防がありますと、その河口を取り巻く分までを河川といたしまして、それ以外の分は海岸と考えよう、こういうふうに考えております。
  108. 近藤信一

    近藤信一君 もう一つですが、日本の海岸はおおむね、先ほど石井委員も言っておられましたように、干拓でできた海岸線というものがあるわけなんです。干拓のあれでいくと、農地の関係でおおむね使っておる所が多いのじゃないかと思うのですね。そこはやはり、これは農林大臣と協議してやることになるわけなんですか、これは農林省と建設省と両方でこういうものを考えてやって下さいますか。
  109. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) その点につきましては、土地改良法によりまして管理している堤防並びに土地改良法によりまして事業の確定しているものにつきましては、農林大臣でございまして、そのほかの主として農地を保護する海岸堤防等につきましては、建設大臣と農林大臣の共管ということになります。
  110. 近藤信一

    近藤信一君 それからもう一つお聞きしたいのですが、この三条の三項に、中にずっと「満潮時の水際線から、水面においては干潮時」云々と、こうありますが、ここで五十メートルをこえて指定することができない、こう、五十メートルという基準なんですが、これはどういう点から出てきたのですか。
  111. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) これは大体、海岸堤防を設ける場合の堤防の幅といたしましては、通常三十メートルぐらいを必要とするんであります。その外側の二十メートルをとってあるわけでありますが、堤防ができまして、あるいは堤防が破損いたしておりますると、その堤防を維持管理していく上におきまして、大体二十メートルぐらいは最小限度必要である、こういう観点に立ちまして、合せて五十メートルを最小限度必要というふうに考えておるわけであります。
  112. 近藤信一

    近藤信一君 それから港湾の今度は関係になって参りますが、第四条に「港湾法第二条第三項」云々と、こうありますが、港はおおむねこれは港湾の関係になるわけですね。それからこの港は商業港、漁港、すべてが港湾、これは運輸省の関係ですか。
  113. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 港湾法に基く港湾区域並びに港湾隣接地域は運輸省の所管でございまして、漁港法に基く漁港の区域は農林省の所管でございます。
  114. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、これらに対しましては、商業港に対しては運輸省、漁港に対しては農林省ということになっていきますが、漁港はたくさんあっちにもこっちにもございまして、非常に幅が広くなっていると思うんですが、そのときでもやはりこれは農林省と建設省と協議していくんですか。
  115. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 漁港区域につきましては農林大臣の専管でございます。ただ、それが隣の区域と一体として管理した方が適当であるというような場合には、協議の上、区域をこえて管理すると、こういう場合を考えております。
  116. 近藤信一

    近藤信一君 漁港は小さい港なんですが、おおむねこの小さい所のすぐ横から今度は海岸がずっとつながっていく。で、漁港をくるめてずっと指定する場合に、そのまん中なり端のちょいとした所に漁港がある、そういうふうなときにはどのような関係になってきますか。
  117. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) その点につきましては四十条の第二項に規定がございますが、これをちょっと読んでみますと、「主務大臣を異にする海岸保全区域相互にわたる海岸保全施設で一連の施設として一の主務大臣がその管理を所掌することが適当であると認められるものについては、関係主務大臣が協議して別にその管理の所掌の方法を定めることができる。」と、こういう規定がございますが、今のような場合は一連の工事の施設になるわけでございますから、主務大臣間で協議いたしまして、一つの主務大臣が管理をするというような場合が考えられるわけでございます。
  118. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 引き続き、第五条から。
  119. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 第五条は、海岸保全区域の管理につき海岸管理の責任を有する者、すなわち海岸管理者を定める規定でございます。海岸保全区域の管理の第一次的責任を有する者は都道府県知事でありますが、港湾区域等及び漁港区域につきましては、現在港湾法及び漁港法に基きまして、類似の管理が港湾管理者及び漁港管理者により行われており、それらの長に行わせることが行政運用上便宜でありますので、それらの区域につきましては、港湾管理者の長及び漁港管理者の長に管理を行わせることといたしたのであります。なお、都道府県知事が海岸管理者となるべき区域につきましては、現在市町村が管理を行なっている場合があり、現状を尊重することが海岸の管理上適当である場合があることにかんがみ、市町村長を海岸管理者とすべき場合を規定いたしたのであります。  以上が第五条第一項から第三項までの規定による海岸管理者の原則的規定でございますが、同条第四項及び第五項は、海岸行政上便宜のため、右の原則の例外を定めたものであります。  第六条は、主務大臣の直轄工事に関する規定でございます。海岸保全施設の工事につきましては、本法案に基き海岸管理者となるべき者が行う責任を有するのでありますが、その海岸保全施設が国土保全上特に重要なものであって、かつ工事の規模が著しく大である場合、二都府県の区域にわたって行う必要がある場合におきましては、主務大臣がみずから工事を行うことによりその整備をはからんとするものでありまして、これによって海岸保全施設の整備を急速に促進せんとする趣旨であります。なお、主務大臣が本条に基きみずから工事を施行する場合におきましては、本法案の海岸管理者の権限中、工事に関するものは、海岸管理者にかわって行い得ることといたしておるのであります。  第七条は、海岸保全区域内にある国の公共用財産たる海浜地については、海岸管理者が海岸の保全との関連においてその占用の許可をする旨の規定でございます。現在それらの土地につきましては、国有財産法の規定に基き、都道府県知事が国有財産の管理の見地から占用の許可をいたしておるのでありますが、海岸管理者に海岸保全の見地をも含めて許可をする権限を与えんとするものであります。なお、本条の規定が設けられることによっても、漁獲物、農産物の物ほし場、船揚げ場等に利用されている場合において、これが時期的、季節的使用で自由使用と見らるべきものについては、許可を要しないことは当然でございます。なお、本条の許可は、海岸保全上の見地から許可、不許可の処分をし、必要な条件をつけ得ることを、第二項及び第三項において規定いたしております。  第八条は、海岸保全区域内における行為制限の規定でございまして、海岸の保全に支障を及ぼすおそれのある行為を制限し、海岸の管理の完全を期さんとする趣旨であります。第八条によりますと、一見広範な行為制限を課しているようでございますが、その第一項ただし書きに規定いたしておりますように、政令で定める行為については本条の許可を要しないこととなっております。その政令の内容については目下検討中でございますが、他の法令に基く許可を得ている場合においてその許可が本法案趣旨にのっとっている場合、行為の性格から海岸の保全に支障を及ぼすおそれが客観的にない場合におきましては、これを具体的に列挙いたす所存でございます。なお、この運用につきましては、いやしくも不当に国民の権利を圧迫することのないよう、十分に注意を払うつもりであります。  第九条は海岸保全区域の指定の際において、権原に基き、第七条及び第八条に該当する施設または工作物をすでに設置し、または工事中の者及び制限行為を行なっている者については、第七条及び第八条の許可を受けたものとみなし、あらためて許可を要しないものとし、既存の権利を尊重しようとする趣旨であります。  第十条は、第七条及び第八条に基く許可の特例でございまして、第一項は、海岸保全区域と港湾区域が重複する場合において、港湾法の規定による許可を受けた者につきましては、同法の行為制限の目的及び態様が本法案趣旨と同一であるため、本法案による許可を要しないものとし、国民の利便をはかったものであります。第二項は、国及び国と同等の立場にある機関がこれらの行為をしようとする場合には、その地位の特殊性にかんがみ許可を要せず、協議することをもって足りることとしているのであります。  第十一条は、第七条の占用の許可または第八条の土石の採取の許可につき、海岸管理者が占用料または土石採取料を徴収し得る旨の規定でございます。  第十二条は、第七条及び第八条に規定する行為を行なっている者に対し、一定の理由がある場合においては、許可の取り消し、行為の中止等の処分をなし得ることを規定いたしたのでありまして、この場合においては、行為者の悪意による場合を除き、処分により損失を受けたものに対し通常生ずべき損失の補償をいたすこととしております。  第十三条は、海岸管理者以外の者が海岸保全施設の工事を行いますことは、海岸保全上元来望ましいことでありますが、ただ、この場合において、その計画が海岸管理者の計画と矛盾せず、設計が築造基準に照らして適正であることを確保するため、海岸管理者の承認を要するものとしたのであります。なお、国等が行う場合においては、右の承認を要せず、協議をすることをもって足りるのであります。  第十四条は、海津保全施設の築造基準に関するものでございまして、これにより海岸保全施設の統一をはかり、海洋災害の防止の効果をあげんとするものであります。  第十五条から第十七条までの規定は、海岸管理者が管理する海岸保全施設の工事中に関連する工事、すなわち兼用工作物の工事、原因者工事、付帯工事に関する規定でありまして、他の土木法規の例に従って規定したものであります。なお、河川工事、道路工事、砂防工事と競合する場合におきましては、それぞれの法律規定を優先させることとして、その調整をはかったのであります。  第十八条は、海岸管理者が海岸保全施設の工事を行う場合における土地への立ち入り、土地の一時使用についての強権行使のための規定であります。  第十九条は、海岸管理音が海岸保全施設の工事を行う場合において、その施設の敷地外の土地につき損失を生じた場合における損失補償に関する規定でございます。  第二十条及び第二十一条は、海岸管理者以外の者が管理する海岸保全施設に関する監督の規定でございますが、特に第二十一条は、これらの施設が築造基準に適合せず、海岸の保全上著しい支障があると認められるときは、その管理者に対し改良、補修等必要な命令を発し、海岸保全の適正化を保持しようとするものであります。この場合におきましても、相手方が善意である場合は、適正な補償をすることによって私権との調整をはかっているのであります。  第二十二条は、海岸保全施設の工事により漁業権の取り消し等を生ずる場合における処分及び損失補償に関し、漁業法の特例を定めたものであります。  第二十三条は、都道府県知事の海岸保全施設の整備基本計画に関する規定でございまして、これにより海岸保全施設の整備の目標を定め、その整一を期したものであります。なお、本計画の作成に当っては海岸管理者の意見を十分盛り込む必要があるので、都道府県知事は海岸管理者に協議しなければならない旨を定めたものであります。  第二十四条は、海岸の管理を適正にするための台帳の整備に関する規定であります。
  120. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 今の章について……。
  121. 近藤信一

    近藤信一君 この六条の「主務大臣は、次の各号の一に該当する場合において、当該海岸保全施設が国土の保全上特に重要なものであると認められるとき」と、このときには「海岸管理者に代って自ら当該海岸保全施設の新設又は改良に関する工事を施行することができる。」と、こうなっておるのですが、これは海岸管理者に相談なしでもできるという意味ですか。その点、いかようなことですか。
  122. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 当該管理者の意見を聞いた上でやります。第六条の第一項の本文の最後に、「主務大臣は、あらかじめ当該海岸管理者の意見をきかなければならない。」というふうに……。
  123. 近藤信一

    近藤信一君 意見を聞いただけで、その意見がもし反対だ、こういう意見だった場合に、それでもこれはもう保全施設の新設、改良、これを意見を聞いただけでできるのか。反対の場合にはどうなるのか。
  124. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 海岸管理者の意見を聞きまして、それを尊重して行うわけでありますが、ここにあげておりまする、一、二、三、四の事項に該当する要素が非常に大きいような場合には、意見に相違してやるような場合も想定されるかもしれません。
  125. 近藤信一

    近藤信一君 それから海岸保全区域の占用のところですが、第七条に、「海岸管理者以外の者が海岸保全区域内において、海岸保全施設以外の施設又は工作物」、こうありますが、そのカッコの中に、「水面及び海岸管理者以外の者がその権原に基き管理する土地」、こういうふうにありますが、この土地の問題ですが、これはその土地を管理しておるその者ともよく協議をしてなされることだと思いますが、その点いかがですか。
  126. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 水面及び海岸管理者以外の者がその権原に基きまして管理する土地につきましては、海岸管理者の許可は要しないということになるわけでございます。
  127. 近藤信一

    近藤信一君 それから第八条に「保全区域内において」と、ずうっと行って、一、二、三とこうございまして、土砂の採取の問題がございますが、この土砂の採取は「海岸管理者の許可を受けなければならない」と、こうなっているわけなんですが、これは砂利採取法との関係はどうなるのですか。
  128. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 砂利採取法との関係でございますが、土砂採取を海岸区域内でしようという場合には、まず海岸管理者の許可を受けることが必要なのでございます。
  129. 近藤信一

    近藤信一君 その場合には、砂利採取法によってやられるのですか。
  130. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 海岸法によりまして許可を受けるわけでございます。
  131. 近藤信一

    近藤信一君 そうすると、砂利採取法とは関係ないわけですね。
  132. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 採取法の第十一条にありますが、採取法によりますと、「河川等の管理上その他公益の保持の上に支障のある場合を除き、砂利採取業の経営を考慮して」許可を行うということになっております。そういうふうな調整はできておりますが、採取をしようというときには海岸法によりまして海岸管理者の許可をまず要する、こういうことでございます。
  133. 近藤信一

    近藤信一君 それから十八条——ちょっと飛びますが、十八条に、「土地等の立入及び一時使用並びに損失補償」のところですが、この他人の土地または水面、材料置場、作業場と、こうたくさんございますが、これは「通知することを要しない。」と、こうここにございますが、これは他人の土地を立ち入ったり使ったりしても、これは通知せぬでもいい、こういうようなことになっているのですが、この点いかがですか。
  134. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) もちろん私人の土地に立ち入りますので、通知をいたすのがもちろん原則でございまして、そうするのが望ましいのではございますが、非常にまれな場合をここに、「通知することが困難であるときは、通知することを要しない。」というようにしておりますが、そういうような場合は、たとえば占有者が不明の場合、占有者の住所が不明の場合、あるいは占有者が一時的に住居を離れているために通知が非常に困難である、あるいは占有者が非常に遠い所にいましてそれが直ちに通知することができないというふうな、特殊な場合を規定しておるわけでありまして、非常に該当する場合は少いというふうに考えております。
  135. 近藤信一

    近藤信一君 その二項には、かきやさくで囲まれた土地や水面に立ち入りの際には、「あらかじめその旨を当該土地又は水面の占有者に告げなければならない。」と第二項にあるのであります。さくがゆってある土地や水面は、一応占有者に告げなければならぬ。ところが、さくのゆっていないのは、非常に今困難な場合を予想されて、占有者の不明とか遠いとかという理由をあげられましたが、土地を持っている人が不明だというようなことは私は考えられないし、これは遠くてもやはり一応の通知というものはなさなければ、これは所有権というものを侵害する、このように考えるわけでありますが、その点いかがですか。
  136. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) その点ごもっともな御意見でございますが、十八条の初めにございますように、立ち入もときは占有者に通知いたしましてやるわけでございます。第二項にあります、さくで囲まれた土地または水面に立ち入ろうとするときだけ占有者に通知するわけではございませんで、もちろん占有者に通知いたしますのが本法の原則でございます。ほんとうにもうやむを得ざる場合に、もう努力いたしましてできないというような万が一の場合を想定いたしまして、こういう規定を挿入してあるわけであります。
  137. 近藤信一

    近藤信一君 それから六項に行きますと、「土地又は水面の占有者又は所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入又は一時使用を拒み、又は妨げてはならない。」と、こうでございますが、拒否をする人は何かの正当な理由というものがあるわけなんだ、理由があるから拒否されるわけなんですが、これが正当であるかまたは正当でないか、こういう判断は一体だれがおきめになるのですか。
  138. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 正当な理由ということでございますが、これはいずれも、この土地に立ち入りする等の目的も公共のためでございますから、正当な理由という問題につきましても、客観的に見まして正しいという線がおのずから見出だせることでありますし、また実際の運用に当たりましても、無理をいたしまして立ち入るというようなことはしないように注意いたすつもりでございます。
  139. 近藤信一

    近藤信一君 その正当であるか正当でないかという理由がまあきめられまして、それに対しては次の項で損失の補償をしなければならぬと、こうあるわけですが、この損失の補償基準というようなものはあるのですか。現在何か基準というようなものを作っておられるのですか。
  140. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) この分といたしましての補償基準は作っておりませんが、一般的に申し上げますと、土地収用法等を基準といたしましてその補償の額を決定したい、こういうように考えております。
  141. 近藤信一

    近藤信一君 ここでこの土地所有者がまあ理屈をつけて、正当な理由にして、そうしてあくまでも拒んだ場合には、ただいま言われました土地収用法というあれで問題を解決されるようなお考えですか。
  142. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 土地収用法によります分はこの損失補償というような問題の場合に適用するわけでありまして、立ち入りの問題につきましては、この法律だけで運用していきたい、こういうふうに考えております。
  143. 石井桂

    ○石井桂君 大へんあと返って恐縮ですが、六条の第一項の第一号、二号にある、「規模が著しく大であるとき」ということと、「工事が高度の技術を必要とするとき」ということは、具体的にいえばどういうことですか。一つか二つ例をあげて御説明を願いたいと思います。六条の一項の一号、二号です。
  144. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 具体的の例を申し上げますとおわかりになっていただけると思いますが、工事の著しく大というのは、たとえば先般行いました愛知、三重の海岸であるとか、あるいは工事に高度の技術を必要とするというようなものは、先ほどお話のありました新潟の海岸であるとか、富山の海岸であるとか、大阪府の泉南海岸寺が考えられるわけでございます。
  145. 石井桂

    ○石井桂君 それから八条の工作物を作るときの許可についての例外がありますが、これはどういうものを予想しておられますか。
  146. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 今の八条のただし書きの政令の内容でございますが、ただいま関係省とも相談いたしまして検討中でございますが、今まで相談いたしております内容は、先ほどの逐条説明でもございましたように、この法律と同趣旨目的を達する法律でもって許可されたもの、たとえば公有水面埋立法、森林法、鉱業法、工業用水法、漁港法等に基きまして、公有水面の許可を得たものにつきましては重ねてこの法律の許可を要しないというのが、一つのグループでございます。第二のグループといたしまして、先ほど逐条説明にもございましたように、工事の性質上害のない行為、たとえば漁船を引き揚げるための簡単な工事、あるいは漁獲物をほすための簡単な施設、さようなものか、あるいは漁業権を行使いたしますためにする粗朶、しび等の設置、かようなものは工事の性質上軽微である、こういう意味でもって政令で除かれる予定になります。
  147. 石井桂

    ○石井桂君 こういう地点は、主として海岸を海水浴に使うような場合がずいぶんあるだろうと思うのです。そういう施設は、一々海岸法によって許可を要するのですか。たとえば稲毛の海岸などに行くと、ずっと裸になって、着物を預ける所があるでしょう。そういうものまで全部海岸法の許可を受けるのですか。
  148. 国宗正義

    説明員国宗正義君) ただいまのような海水浴場の施設、あるいはそれに脱衣場等の付属した施設につきましては、それが私人の所有権に基きますところの私有地において行われる場合におきましては、具体的には海岸保全施設に害を及ぼさないがゆえに、許可を要しないわけでございますが、公共用財産でございますところの国の財産である海岸地につきましては、その面からの水面の占用の許可を要するのでございます。そういたしまして、その施設が重ねて第八条の許可を要するような性質のものでございましても、第七条におきまして占用の許可をいたしますと同時に、そこに施設を作る場合の許可も、海岸保全上の見地から害があるかどうかを判定いたしました上で、許可をいたすことになっておりますので、その許可を受けていただくということになっておると存じます。
  149. 石井桂

    ○石井桂君 それに似たような種類ですが、和歌浦などへ行くと、どっさり海岸のところに料理屋が建っていますね。ああいうようなものも同じように取扱うのですか。
  150. 国宗正義

    説明員国宗正義君) お尋ねの件につきましても、やはり公共用財産を占用いたします場合につきましては、同じ法律関係になると思います。
  151. 石井桂

    ○石井桂君 それでは、その問題はいいのですが、十一条の「占用料及び土砂採取料」に関する規定うちで「主務省令で定める基準に従い、」、この基準はできておりますか。あったらお示し願いたい。
  152. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) この省令の内容につきましては目下検討中でございますが、海岸管理者が勝手にやりまして不均衡な要件が定められることのないように、合理的な基準を省令で規定したいと考えております。具体的な基準額を定めるに当りましては、現在河川または海岸におきまして占用料及び砂利採取料の徴収基準を定めております都道府県の規則なり条例なりを基礎の資料といたしまして、総合的に検討いたしまして、さらに漁業や農業のための占用につきましては政策的な考慮も加えまして、妥当と思われるものをきめていきたい、こういうふうに考えております。
  153. 石井桂

    ○石井桂君 その問題はそれでいいといたしまして、十四条の築造の基準のことですが、十四条の第一項を見ますと、非常に抽象的に書いてある。第二項も抽象的に書いてあるのですが、実際はたとえばここに第十四条の第一項に、地震だとかそういうものの衝撃に耐えるようにこしらえておくこと、こういうふうに書いてあるのですが、地震でもいろいろ、微震もあれば強震もあるということで、建築物の基準などには震度〇・一とか、震度〇・三というふうにはっきりした基準が出ているのです。同じ建設うちでも保安施設に対しては、たとえば土庄ならば、どういう粘土層にはパー・スクエア・メーター何トンというような基準があるべきだと思うのですが、はなはだ抽象的で、これを要約すれば、丈夫にすればよろしいと書いてある。これでは何にもならぬように思うのだけれども、どこか政令か省令でこまかい規則を作れるようになっているのかどうか、お聞きしたいのですが。
  154. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) ただいまの御質問、まことにごもっともでございますが、たとえば地震の問題にいたしましても、その地方の震度なりあるいは地盤等の状況によりまして、非常にとるべき基準が異なるわけでございます。それでそういう観点から、法律の中に具体的に入れることが非常に困難でございます。指導といたしましては、地方別か、あるいはそのものの重要性に応じまして指導していきたい、こういうように考えておるわけでございます。具体的になかなか法律の中に入れることがむずかしいもので、こういう抽象的な文句になっております。
  155. 石井桂

    ○石井桂君 私が今例にあげた震度のごときは、建築物の例を申し上げたのですけれども、昔は建築物は震度〇・一以上の震力に耐えるような構造を要求しておったのです。今は各地方庁に、条例で、その土地にふさわしい震度に耐えなければいけないというので、その各地方は条例で震度をきめている。あるいは建築物においては風圧ですね。風圧もパー・スクェア・メーターについて何トンというような風圧を、風速から計算してきめておる。そういうふうに条例で、あるいは省令で、ぴったり勝負がついておるわけです。建築と違って土木の方は非常に大ざっぱというか、大きいから、こういうきめ方かもしれないのですけれども、ほんとうに安全を期するならば、構造上必要なデータは私は取れると思うのですよ、規定のし方でね。それがたとえば風圧とか、土圧とか、地震とか、水圧とか、自重とかいうものは、構造物によってもうぴったり出てくると思うのですがね。そういうのは省令か、政令か、あるいは条例か、そんなものできめる御用意はないのでしょうか。やっぱりこれで建設省とか農林省とか、主管官庁の技術陣がそのつどそのつど、権限によって基準を与えるだけで終るのだと、はなはだ非民主的だと思うのですがね。その条例か何かもう公然と基準を与えておいた方が私はいいと思うのです。
  156. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 先ほども申し上げましたように、非常に地方的に異なるし、あるいはその場所に、地方におきましてもまたその個所によりましてむずかしい、あるいは異なる問題が多いのでございまして、実際の指導に当りましては、今石井先生のおっしゃるように、基準というものを作ってやるように指導していきたいと、こういうように考えております。
  157. 石井桂

    ○石井桂君 けっこうです。
  158. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御質疑がなければ、第二十五条から。
  159. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 第二十五条は、海岸保全区域の管理に要する費用についての負担の原則を定めたものでありまして、河川におけると同じく、いわゆる公費建設事業として海岸管理者の属する地方公共団体の負担といたしたのであります。  第二十六条は、主務大臣が行う直轄工事に要する費用について、国がその二分の一を負担することといたし、国の負担責任を明確にするとともに、地方公共団体の負担すべき額のうち、一部を主務大臣が受益地方団体に分担させることにより、その公平をはかったものであります。  第二十七条は、海岸管理者が行う海岸保全施設の新設または改良に要する費用につき、国がその一部を負担する旨の規定であります。なお、本条の負担の対象となる工事及び負担割合につきましては、政令で具体的に規定いたすことといたしております。  第二十八条は、海岸保全施設の工事または維持を行うために要する費用を都道府県が負担する場合においては、当該都道府県はその工事または維持により受益する市町村から分担金を徴収し得る旨の規定であります。  第二十九条は、主務大臣の直轄工事に要する費用の納付の方法を定めたものでありまして、この場合においては国が全額国費で行なったあと、地方公共団体にその負担分を納付せしめる方法をとったのであります。これは河川、道路等の直轄工事における場合と同様でございます。本条の政令の内容といたしましては、地方公共団体の負担の対象となる基本額、その決定手続等について規定する予定であります。  第三十条から第三十四条までの規定は、海岸管理者が、海岸保全施設の工事及び管理に関連する兼用工作物に関する費用、原因者負担金、付帯工事に要する費用、受益者負担金等に関する規定でございまして、他の土木法規と同一の規定を設けたものであります。  第三十五条は、占用料、土石採取料及び一定の負担金につき、納付の義務を怠る者がある場合における強制徴収に関する規定であります。  第三十六条は、占用料、土石採取料及び一定の負担金を海岸管理者の属する地方公共団体に帰属させることとし、海岸管理に要する費用を当該地方公共団体に負担させることとの調整をはかったものであります。  第三十七条は、この法律またはこの法律によってする処分による義務履行に要する費用は、義務者の負担とする旨の規定であります。
  160. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) はい、以上について御質疑がありましたら……。
  161. 近藤信一

    近藤信一君 費用の点でございますが、地方公共団体がこれの費用を二分の一を負担するものとすると、こういうのでございますが、現在地方々々では、公共団体では非常に赤字財政で苦しんでいる。そういう点から、この赤字財政を何とか克服しようということで、現在は非常に国からの補助金もことわって、そうして土木工事などもやらずにいる府県などもあるわけです。ところが、本年度からは国の補助金というのは、道路などを見ますると、三分の二または四分の三と、こういう基準になっているわけなんですが、ところが、この海岸法の、あるいは二分の一を地方公共団体が負担しなければならぬということになると、これは指定されても非常に大きな負担になると、こういうところから、地方公共団体では、やりたいが金の出し場がないから困るというような結果が生まれてくるのではなかろうかと思うのですが、この点二分の一という、まあこれは額としては他の道路なんかの点からいくと少いわけなんですが、この点どのように考えられて、この二分の一の負担を地方公共団体にさせなければならぬ、こういうことになったのか、一応御説明を願いたいと思います。
  162. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 御説の点もごもっともでございまして、たとえば河川におきましても、道路におきましても、地方財政の問題を考慮いたしまして、三十一年度におきましては補助率の引き上げを行なったわけでございます。海岸につきましても、一応本文におきましては二分の一負担ということが規定されておりますが、最後の附則の十五項におきまして、地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律というのが審議中でございますが、その一部を改正いたしまして、海岸につきましても、「国及び当該海岸管理者の属する地方公共団体がそれぞれその二分の一を」というのを、十分の六を国が持ちまして、残り十分の四を地方公共団体が負担するように改正することにしております。従いまして、ほかの事業と歩調を合せているわけでございます。
  163. 近藤信一

    近藤信一君 附則の方でこれは改正をすることになっていると、こういう御意見ですが、この二分の一ということで、これは法律決定してしまえば、これは今年度は財源がないから二分の一ということにここにうたわれたのか、来年度からはこれをやはり改正しても補助金をふやしていくかどうか、そういう点何かお考え方があるのでございましょうか。
  164. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) ただいまの問題は直轄工事を行う場合につきまして、国が二分の一負担いたしますし、地方公共団体が二分の一持つのが過重ではないかというお話だと思いますが、それにつきましては、河川及び道路につきましては、お説の通り、直轄で行います場合には補助事業で行います場合よりも国の負担率が多くなっております。しかし、直轄工事をなし得る場合は、河川につきましては、河川法によりまして本法を適用する河川というものをきめまして、それだけを直轄工事を行う、道路につきましては、一級及び二級国道というふうな指定をしたものにつきましては直轄工事を行う、こういうふうな建前になっております。しかし海岸法におきましては、この法の建前が海岸は海岸管理者が一様に管理する、こういうふうな建前になっております。直轄工事を行うというものが、今いう河川または道路のように、適用河川とかあるいは一級及び二級国道というふうに区別されておらないわけであります。お説の通り、国の負担率が多いほど地方の負担は少くて済むわけでございますが、現在海岸で工事を行なっておりますものについては、直轄工事は三十一年度もございませんが、補助工事を行なっておるものにつきましては二分の一負担というのが、国の負担が二分の一というのが最高でございまして、中には国の負担率が一割五分というふうな率の低いものもございまして、実情から申し上げますと、二分の一負担でありますが、そのために地方の負担が増す、こういうふうには考えられないのであります。それからまた、海岸は河川などと違いまして、比較的影響する範囲が狭い。たとえば河川におきましては数府県に関係するような大きな川がございますが、海岸は比較的狭くてその利益が一公共団体にとどまる、あるいは一府県あるいは一市町村にとどまる、あるいは数町村にとどまるというようなものが多いわけでございまして、多少河川とは違う面がある、こういうふうに考えられます。
  165. 石井桂

    ○石井桂君 関連して。今局長お話しになった一割五分の補助というのは東京の高潮防止の補助であろうと思いますが、あれは実にけしからぬと思っておるのですが、一体、この法律ができると半分まで国庫補助があるのですが、東京の場合は一割五分で大阪は五割で、これは非常に不公平にできているのです。あの高潮防止は、私はこの前から聞こう聞こうと思って忘れておったのですが、今いいことを言った。
  166. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) ただいまの二分の一国が負担するというのが直轄工事の場合でございまして、都道府県が行う、海岸管理者が行う事業につきましては、二十七条に規定されておるわけでありまして、今の負担率というようなものは政令で規定することになっております。
  167. 石井桂

    ○石井桂君 そうしますと、政令で規定したときに相変らず一割五分でやるのですか、そういうおつもりですか。あまりむごいことを言うと、この法案は通さぬよ。(笑声)
  168. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) これは現在のところは、政府部内の打ち合せにおきましては、現行でいこうというふうなことになっておりますが、政令でございますから、今後努力をいたしたいと思っております。
  169. 石井桂

    ○石井桂君 私はこの際、どうぞ公平に補助率なども考え下さるようにお願いしたいと思うのです。大阪と東京などというものは、経済負担力はそう違わないと思うのです。片方が一割五分の国庫補助で片方が五割というのはちょっとおかしいと思うのです。それならば、この法令を施行するときに御訂正になるように、お骨折りを願いたいということをお願いしておきます。
  170. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) ただいまのお話、私どもも努力いたします。
  171. 近藤信一

    近藤信一君 これは直轄工事に対しては、ただいまのお説のように、二分の一の負担というものを国がする。しかしそうでない場合には、地方公共団体が負担せなきゃならぬ。それで地方公共団体はさらに地方公共団体の地域内にある市町村、まあ村までいくわけなんですが、その市町村が受益する場合には、その市町村にも費用の一部を負担させる、こういうことに相なるわけなんですが、従来でも台風なんかの災害で町村負担というやつがあって、それがなかなか、わずかな町村負担であっても、これは出せない。従って、間に合せの工事しかやらない、こういうような結果で、次の台風にまたそこがやられる。こういうような現象が今まで起っておるわけなんですが、もしこれがそのように地方公共団体で負担せなきゃならぬということになって、さらにそれが市町村分にまで負担をかけるということになると、はなはだこれは小さな貧乏な村では、またおおむね海岸に沿った漁村というようなものは小さな村が、また貧乏な村が多いと思うのです。そうすると、これらの村はわずかの——まあわずかということはないのですが、利益を得るために、村なり町の予算をこれに削らなきゃならぬ、こういうことになると、せっかくできたいい法案が、運用の面について私は運用されないような結果が生まれてくるのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけなんですが、それに対してのお考えはいかなるものでございましょうか。
  172. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) その点につきましては、災害を受けるような市町村は非常に財政的にも苦しいということはよくわかるわけでありますが、法文にも書いてあります通り、当該工事または維持による受益の限度において費用の一部を負担させることができる、こういうふうな内容になっておりますし、また市町村が負担すべき金額は当該市町村の意見を聞いた上で行うと、こういうことになっておりますので、その運用につきましては十分気をつけまして、必要な所におきましては工事が必ずできるというふうに処置していきたい、こういうふうに考えております。
  173. 石井桂

    ○石井桂君 先ほどの直轄工事と公共団体の工事との区別を、これ以上は直轄工事でやるという基準があるのですか。
  174. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 法文に書いてあります四項の内容でございますが、これは河川法におきましても、大体こんなふうな、これと同一なふうな規定があるわけでございまして、いろいろとその工事の規模であるとか、あるいは技術の程度というようなものを勘案するわけでございますが、実際におきましては直轄工事は、先ほど申し上げましたように、たとえば愛知、三重だとか、大阪、兵庫であるとかというようなものを想定しているわけでありまして、そうたくさん取り上げるというふうなことは考えておらないのであります。
  175. 石井桂

    ○石井桂君 どうして大阪が入って東京が入らないのですか。同じ地盤沈下をどんどんひどくやっている東京が、大阪が入って、どうして入らないのですか。東京を要求していないのですか。
  176. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) ただいま大阪と申し上げましたのは、侵食の方でありまして、非常に技術的にむずかしいということで大阪を例にあげたわけでございます。
  177. 石井桂

    ○石井桂君 そうしたら、地盤沈下の問題はずいぶん大きいと思うのですが……。私は東京で長年育っておりますので、昔、フナなどをとりに行った川は、もう六尺ぐらいも高いコンクリーートの厚い土手で、川も海もめぐらされているのですよ。しかも大阪と同じように、水路が縦横無尽に入っているのですね。そういう所を直轄工事でやらないということは、まあ結局東京はほうっておけば自分でできるだろう、こういう見方でしょうかしら。
  178. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 東京の海岸につきましては、三十一年度から直轄調査費を計上いたしまして、その現状をよく調べ、あるいは計画を作成するわけでありますが、その調査の結果によりまして今後の方針をきめていきたい、こういうふうに思っております。
  179. 石井桂

    ○石井桂君 まあ非常にけっこうなことを承わりまして、非常にありがたいと思いまするが、今ごろ調査するというのは実にどうもおかしいと思うのです。もう何十年となく江東方面は水浸しになっておる。私の背の届かぬほどの洪水に何度も見舞われておるのです。それで地盤沈下の問題は、尼崎、大阪と同じように、何センチか沈んでおりまして、この間も何かの機会に御質問申し上げたのですが、一メートル七十センチぐらいとにかく沈下しております。そういう事実がもう三十年間くらいにわたっての歴史があるのですから、取り上げていただいたのははなはだ感謝にたえないのですが、技術屋としてははなはだおそきに過ぎておる。これはやはり、先ほど局長さんの非常な御理解深いお言葉がありましたように、別に直轄にしろというわけではないが、とにかく直轄にすれば半分補助するということでありますから、よく御検討をお願いしたいと思います。希望だけ……。
  180. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 次は三十八条から。
  181. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 第三十八条は、海岸法に基く事務を行う都道府県知事または海岸管理者に対し、主務大臣が海岸行政上必要な報告を求め、または資料の提出を求め得る旨の規定でございまして、これにより主務大臣は、海岸行政上必要な措置をとり得ることを確保したものであります。  第三十九条は、この法律に基く処分に関し、不服のある者の訴願に関する規定でございまして、訴願期間につき、土木事業の特質にかんがみ、訴願法の特例を定めたものであります。  第四十条は、本法案の主務大臣に関する規定でございます。海岸に関する行政は、現在建設大臣、農林大臣及び運輸大臣が、それぞれの立場から所掌し、執行しているのでありますが、現在必ずしもその所管が明白であるとは言い得ないのであります。本法案の制定に伴い、各大臣の海岸行政の所掌の範囲を明白にし、責任を明らかにする意味において本条が設けられたのであります。なお、本条の各大臣の所掌の範囲につきましては、現在各大臣において執行しておりまする海岸行政の実情と各省設置の目的とに照らし定められたものでございまして、これにより今後海岸行政の円滑化がはかられ、その飛躍的発展が期し得ると信ずるものであります。  本条第一項は、所掌の原則を規定いたしたものでありまして、港湾区域等または漁港区域にかかる海岸保全区域に関する行政につきましては、港湾法または漁港法によりまして類似の行政が行われており、その管理者につきましても、さきに述べましたように、港湾管理者の長または漁港管理者である地方公共団体の長を当てたことにかんがみまして、運輸大臣または農林大臣が所掌することといたしたのであります。  次に、海岸保全区域の指定の際において、海岸保全施設につき土地改良事業としての管理が行われ、または土地改良事業計画として海岸保全施設の設置の計画がある場合におきましては、それらの施設の存し、または設置しようとする地域にかかる海岸保全区域行政は、農林大臣が所掌することといたしたのであります。  なお、その他海岸保全区域の指定の際において、海岸保全施設につき土地改良法には基かないが農地保全のため必要な事業としての管理が行われている場合におきましては、その施設の存する地域にかかる海岸保全区域行政は、農林大臣及び建設大臣が所掌することといたしたのであります。これらの区域につきましては、法律上は農林大臣及び建設大臣の共管となるのでありますが、実際の行政の執行に当りましては、両大臣が協議しておのおののもっぱら所掌すべき範囲を定め、運営に支障のないようにする所存であります。  今まで申し上げましたところにより、各大臣に属せしめられた以外の海津保全区域につきましては、すべて建設大臣が所掌するのであります。  以上が建設大臣、農林大臣及び運輸大臣の海岸行政の所掌の原則でございますが、海岸保全施設の管理上、その所掌範囲をこえて所掌することが適当である場合があるのでありまして、第二項においてはかかる場合に関係大臣の協議によりその所掌を変えることができることとし、行政運用の便宜をはかったのであります。  第四十一条から第四十三条までは、本法規定に違反した場合における罰則の規定でございまして、これにより本法規定が順守せられ、海岸の管理の適正が確保されることをはかったものであります。  次に附則でございますが、第一項は本法の施行期日に関するものでございまして、公布の日から六カ月以内に別に政令で定める日から施行することといたしたのであります。  第二項は、現在海岸保全施設についての工事は、建設、農林、運輸、各省がそれぞれの立場から所掌し、その工事を行う地方公共団体に対し助成措置を講じているのでありますが、その所掌の範囲は、第四十条におけるこの法律の所掌範囲とは必ずしも一致していないのであります。そのため、現状をこの法律の原則に従いまして直ちに変更いたしますことは、特にその工事が完了しない以前におきましては事務的に混乱を生ずるおそれがありますので、その工事が完了するまでは、経過的に現状における主務大臣をその海岸保全施設についての主務大臣といたしたのであります。  第三項は、現在海岸保全施設についての工事を行なっている者は、本法案第五条の海岸管理者とは必ずしも一致していないのでありますので、主務大臣につき経過的に特例を認めたのと同様に、現在施行中の工事が完了するまでは、経過的にその工事を行なっている者を海岸管理者といたしたのであります。  第四項及び第五項は、海岸区域を漁港区域または港湾区域等に重複して指定する場合における農林大臣または港湾管理者等への協議の規定を第四条に規定したことに対応し、海岸保全区域にそれらの区域を重複して指定する場合における海岸管理者への協議の措置を講ずるため、漁港法及び港湾法の一部を改正しようとするものであります。  第六項は、海岸保全施設の工事のため必要な土地を収用することができるように、土地収用法の一部を改正しようとするものであります。  第七項は、第三条において森林法による保安林及び保安施設地区と海岸保全区域との関係について規定したことに対応し、森林法の一部を改正いたしたのでありまして、海岸保全区域についてはこれらの地域を指定し得ないことを原則とし、特別の必要がある場合にのみ海岸管理者に協議して指定し得ることとしたのであります。  第八項は、水底線路の保護区域における制限等と海岸行政の調整をはかるため、公衆電気通信法の一部を改正しようとするものであります。  第九項は、海岸保全区域内の土地につき砂利採取のための採石権を設定する場合においては、河川区域におけると同様に、その設定区域及び存続期間につき海岸管理者の承認を得さしめるため、砂利採取法の一部を改正しようとするものであります。  第十項から第十四項までは、海岸法の制定に伴い所掌事務の変更を生ずるため、土地調整委員会、農林省、水産省、運輸省及び建設省の各設置法の一部を改正いたそうとするものであります。  第十五項は、地方財政の負担を軽減し、その再建をはかるため、目下地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律案が提案されておりますが、海岸法の制定に伴い海岸保全施設に対する国庫負担についても特例を定める必要がありますので、その一部を改正いたそうとするものであります。  以上が海岸法案の逐条説明でございます。
  182. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 質疑がありましたら……。
  183. 石井桂

    ○石井桂君 この附則の方で1、2、3、4、5、6、7まで来て、また2、3、8、7になっておりますが、何ですか、これは。何のことかわけがわからない。これでいいんですか。
  184. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 附則の中の大きい数字の1、2、3、4、5、6、7まではこの海岸法案附則の番号でございまして、七項の中の下って2、3とございますのは、これは森林法の中の第二十五条の番号でございます。
  185. 近藤信一

    近藤信一君 これは主務大臣の問題ですが、これは非常に運輸大臣、農林大臣建設大臣と、主務大臣がそれぞれこうかわって、それぞれの問題についてなされるわけなんですが、非常にこれはややこしくなる危険性があるんじゃないですか。
  186. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 非常に法律で書きますとややこしいように見えるのでございますが、現状はもっとややこしくなっておるのでありまして、これを現状に即してなるべく整理をいたしまして、区域をはっきりいたし、その責任を分担しようとして極力努力をした結果がここまでの線できまったわけでございます。
  187. 近藤信一

    近藤信一君 非常にそういう御努力をされたことについては、大へんだったろうと思うのですが、やはりここまで整理されても、まだこういうふうにたくさん、漁港だとか、または港湾、そういうふうに幾つかにこう分れていくわけですが、そうしてその結果は、この三大臣がいろいろと協議をして、そうしてこの問題を処理していく。なかなか協議の成立ということがむずかしいと思うのですが、今までも海岸法が出されようとしていろいろと議員立法なども出されたようでございますが、そのつど港湾、農林、建設ということの主管大臣が、それぞれの立場からそれぞれ、なかなかこうまとまらなかった。そういう点で、日の目を見ることができなかったわけですが、今度ここにこのような法案として出されてきて、一応三大臣が協議してこれを運営していくことになるのですが、よっぽど建設大臣がしっかりとやらなければ、農林省関係などが特に広範囲にわたっての所掌の関係から、非常に困難が予想されると思うのです。そこで建設大臣が今度いろいろと農林大臣や運輸大臣と相談の上法案が提案されまして、そうしてこれを曲りなりにもやっていこうということで出されたのでございますが、これからも三大臣のいわゆる協議というものが円滑に行くかどうか。まあ円滑に行って、そうして指定の海岸などもどしどしと指定していって、そうして早く、私は海岸地方の住民が願っておるこの海岸法というものが成立することが望ましいと思うのです。そこで主管大臣、いわゆる建設大臣の——今お見えになりませんから政務次官でもよろしいが、一つ抱負をお伺いしたいと思います。
  188. 堀川恭平

    政府委員(堀川恭平君) ただいまの御質問は、われわれはこの法案を作成する前から非常に悩んでおった問題でありまして、いろいろ港湾関係、あるいは漁業関係、あるいは建設行政というような面からいきまして、重複するところが非常に多い。また現在施行いたしておりますのも、港湾関係うちの施行を建設省でやっておったり、あるいは農林関係のものを建設省がやっておったりなんかしておりまして、非常にむずかしい問題がそこにも出ておったろうと思いますが、この法案を何としても通さなければならぬ、そうして海岸法を作って、そうして前に申し上げましたように、海岸の保全について主務大臣の責任をはっきりせなければならぬ、こういう問題と、そうして知事や市町村長、いわゆる海岸管理者をはっきりすることということやら、海岸の工事について直轄工事をやって、何とかそこに直轄工事もやれるようにするというようなことやら、あらゆる、費用の点におきましても、補助金ができるとかあるいは二分の一の負担とかいうことを、河川法やら道路法にはあるのに、海岸法がなかったためにそういう規定がなかった。そういうものを作るということに対しましては、海岸法をどうしても仕上げなければならぬ。こういう意味からいきまして、いろいろ三省が折衝いたしまして、そうしてしぼりにしぼり上げてようやくでき上げましたのがこれでありまして、いろいろな問題が今後残るものに対しましては、各省の事務次官が折衝いたしまして覚書を交換いたしまして、今後災いのないように覚書を交換いたしておる次第であります。
  189. 近藤信一

    近藤信一君 罰則のこの問題ですが、罰則で、たとえば十八条の六項に違反した者、土地もしくは水面の立ち入り、一時使用を拒みまたは妨げた者、こういうふうに自分の土地へそれぞれの理由をつけて拒否した場合ですね、そうした場合にまあこれだけの罰則があるわけなんですが、かけられるわけなんですが、これは土地収用法の中に収用委員会というものがあるのですが、もしどうしてもこの所有者がいやだという場合ですね、これは土地収用法によってやられると私は思うのですが、その場合に収用委員会は提訴でもするという道でもあるのですか。
  190. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 四十二条の罰則の中にございます第一号の、十八条第六項の規定に違反いたしまして土地等の立ち入りを拒みました場合につきましてのお答えをいたしますると、本法案におきましては、道路法等におきます土木法規と同じように、この法律目的の公共性にかんがみまして、この法律自身に相当厳重な要件が定めてございますが、この法律に基きまして、土地等に立ち入りまして調査をいたしましたり、材料置場にいたしましたりするようになっておるわけでございます。でございますから、その規定に違反した人に対しましては、相当重いと考えられますところの罰則がかかっておるわけでございます。なお、これをさらに拒んだ場合はいかがいたすかという御質問でございますが、これは直ちに土地収用法に行くのではございません。土地収用法におきましても土地立ち入りにつきましては同様の規定があるわけでございますが、土地収用法におきましては列挙されております事業の種類が三十数種類ございまして、それぞれ事業者も必ずしも国、公共団体とは限らないのでございまして、基きます事業法規もいろいろ多岐多様にわたっておるものでございますから、土地収用法におきましては、都道府県知事に申し出まして、都道府県知事の許可を受けてそこに立ち入るようになっております。それはあたかも本法案の第十八条とやはり同趣旨でございまして、これでもって目的を達しなかったがゆえに直ちに土地収用法に進むわけではございません。もっともその土地を工事に使うために買収いたすという場合におきましては、先ほど附則説明でもございますように、土地収用法の三条の本文を改めまして、そこへ持ってきまして事業のための土地も取得できるようになっております。立ち入りにつきましては、あくまで本法案によるわけでございます。  そしてこれに従わなかった場合はいかがになるかという場合でございますが、それはできるだけ穏便に話をつけていくわけでございますが、従わない場合は、これに書いてございますように、犯罪を構成いたすわけでございますから、従いまして、現行犯としての刑法上の執行強制等があることと考えられます。
  191. 近藤信一

    近藤信一君 自分の土地で、そしてそれを拒んだからって、刑事訴訟法でひっかけられると、直ちにやられるということでは、私は非常に不安だと思うのです。何か提訴して仲裁なり調停なりしてもらうような、そういう機関というのは全然考えられておらないんですか。
  192. 国宗正義

    説明員国宗正義君) この件につきましては、なるほどお尋ねのような格好をとっておるわけでございますが、土地の立ち入りと申しますのは、これは一時使用でございまして、所有者に対して重大なる権利侵害というふうには実は考えられない趣旨のものでございまして、しかも第十八条におきましては相当慎重なる手続をとっておるわけでございます。道路法におきましても同趣旨の規正を持っておるわけでございますが、まず入ります場合に、第十八条第一項におきまして、それもただむやみに入るわけじゃございませんで、調査、測量等、目的を明記いたしておるわけでございます。しかも必要やむを得ない場合でなくちゃ入れないわけでございます。さような場合におきましても、当事者間の話し合いでもって話がつくことはきわめて望ましいのでございまして、承諾を得て入ります場合は本条によらないわけでございます。その承諾を得られない場合におきましては、調査等を思いとどまるかという場合もございますが、さような場合にはやはり第十八条によりまして調査をいたします。さような目的をまず掲げまして、さようにいたしましてあらかじめ通知いたしますことを、立ち入りの権利の成立の要件といたしておるわけでございます。またただし書きの特例はございますが、これは先ほど局長説明でもございましたように、占有者が実際上そこを支配しておる状態が非常に薄い場合を申すわけでございます。さらに第二項におきまして、入る際にはその旨を申すわけでございます。そうしまして、入ります人間も当該任務を示します証明書を持って行くわけでございます。さようにいたしました上で正当に他人の権利を侵害するわけでございまして、しかも侵害内容は軽微でございますし、こちらの目的も明らかでございますので、これ以上の要件を備えますれば強制いたすことも妥当性ありと、こういうように考えられるところの趣旨考えております。
  193. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ちょっと今のに関連いたしまして。一時使用する場合あるいは立ち入る場合、それに対して損害を受けた場合に対しては、通常生ずる損失補償をしなければならないと、こうありますが、この政府の認める補償と実際被害を受ける者の見込みとが違うと、その場合において素案か何かありますか。
  194. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) この場合には、土地収用法によりまして、収用委員会にかけて裁定をしてもらうということでございます。
  195. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) それは私の申すのは、測量その他の場合に立ち入る場合ですよ。その損害ですよ。その損害に対する補償ですよ。
  196. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) その場合におきましても、その損失の算定につきましては委員会の裁定を仰ぎたい、こういう考えでございます。
  197. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 一つの例を申しますと、これはこの法案とは違いますが、例の縦貫道路といいますか、あの道路を作るために、愛知県その他の測量をしまして、いつ仕事をするかわからない。そのために困っている者がたくさんいる。それに対して何ら補償も何もしておらない。家を建てようと思っても、道路を作られるので、建てることもできない。これと同じような場合に出つくわすと思う。測量されて、実際いつ仕事をされるかわからない。そのために十分海岸を使用することもできないと。
  198. 国宗正義

    説明員国宗正義君) ただいまの問題でございますが、ただ海岸法によりまして測量、調査等をいたしましても、それ以上の土地の形質の変更あるいは工作物の設置等について法律上の制限を特に加えるわけでございませんで、従いまして、それに対する測量をいたしました上で、海岸の工事を行わない、あるいは海岸の区域を指定いたさないというふうなことがございましても、特に損失の補償はいたさないという建前でございます。
  199. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) その測量、調査がされるようでは非常に被害になる、それに対する補償なんです。
  200. 国宗正義

    説明員国宗正義君) ここまでなりますと、ちょっと海岸法の問題を離れて一般問題になると思いますが、土地収用法第九十二条におきましては、それは類似の場合におきまして損失補償という規定を実は持っておるわけでございます。しかし、それは土地収用法の規定による場合でございまして、土地細目の公告があった後の段階においてのみ議論になるおわでございます。土地細目の公告がございますと、当該土地の所有者に権利の制限を相当課すわけでございまして、現状の変更を許さない、あるいは工作物の設置を許さない、さような権利制限を加えた上におきまして、事業を廃止いたします場合は、土地収用法におきましても正当な損失を補償する建前になっておるわけでございます。調査の段階におきましては、いまだ具体的の権利制限がないという理由でもって、海岸法案におきましても、さような場合に調査をいたしまして、次に仕事をいたさないという場合も、損失補償の規定を設けておらないわけでございます。
  201. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 私は設けるべきでないかと思います。今まで黙っていたのは、昔からの考えで、実際調査されたそれだけで非常に被害を受けるものがある。それが仕事をされるのと、その前と……。ここに設けてないというのなら、この次にまたお伺いします。
  202. 近藤信一

    近藤信一君 その罰則の点ですが、これは土地収用法、それから土地区画整理法、これらに比較すると、非常にこう重いようなんですが、この土地収用法や土地区画整理法より罰則を重くしたという点は、何かあるのですか。
  203. 国宗正義

    説明員国宗正義君) この立ち入りを拒んだ場合の四十二条の罰則につきましては、政府部内でも十分検討いたしまして、現行道路法と大体同じ刑罰にいたしておるわけでございます。なお土地収用法は同種の場合におきましては、三万円以下の罰金にしておるわけでございまして、これとは平仄はとれておりません。そこは土地収用法におきましては成立の時代も異にいたしますことと、それといろいろな種類の三十数種類の事業主体が立ち入る場合の話でございまして、国、公共団体等の行います場合は、比較されます例は道路法が一番適当な例と思います。
  204. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 今のは、土地収用のことにすぐあなたはおっしゃるが、土地収用に行く前ですよ。かりに海岸にイワシをたくさんほそう、あるいは網ほしをしようという場合に、測量されたのじゃそれはできない。そのことがすでに非常に損害なんです。それに対して土地収用にいかないで、測量されるそのものの補償を何ら考えてない、それは不十分じゃないかというのです。
  205. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 今のような問題が具体的にはあるわけでございまして、あらかじめ立ち入りをして、話し合いでこういう網ほしをやめてくれというような事態の場合には、当然補償をする、こういう考えであります。
  206. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 今の局長の補償ということがはっきりわかれば、私はいい。
  207. 石井桂

    ○石井桂君 今の補償の場合とちょっと違う問題なんですが、その四十条でですね、各省の事務のこれは所掌というのですか、それが画然としましたが、今までの例を見ると、ある部分は農林省がやり、ある部分は建設省がやるというので、一つの堤防を作るのに、部分的に違った構造でやっておる。そのために、ある個所は壊れてしまうという事実があったように思うのです。そこでそういう各省で別々にやるのはいいですが、丈夫なものを統一してできないか、各省の技術者の趣味に応じた設計では困るのじゃないか、こういうので共通した基準があるかどうか、こういうことを聞きたいのですが。
  208. 近藤信一

    近藤信一君 関連して。それは実例があると思うのです。たとえば災害で海岸堤防が壊れてしまう、そのときに建設省でずっと堤防だけはやってゆく、樋門に対してはそれが同時にやられずに、樋門とそれから樋門にくっつくところは残るわけです。すぐその樋門と海岸はくっつくわけなんです。そうすると、建設省の方は非常に早く堤防をやってしまったが、樋門の部分が依然として俵でやってある。そうしているうちに、次の台風が来て、そこからまたやられる。こういう危険性が今日まであったわけなんです。そういう点も一つ、今石井委員質問された質問とあわせて御答弁願いたい。
  209. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) ただいまのようなお話がございまして、堤防は、建設省が補助してやる水門につきましては、ほかの方々考えいかんというようなことが具体的にございました。しかし今回の案におきましては、海岸堤防というものは、そういう樋門なり、水門なり、そういうものは含ましめて一体にして管理しよう、こういうことになっております。  それから石井先生のお話の築造の基準でございますが、先ほどいろいろと御注意をいただきました築造の基準が、非常にはっきりしたものではございませんが、法律上築造の基準が設定された以上は、各省とも同じ趣旨で、このように今後におきましてよく基準等につきましては打ち合せの上実行していきたい、こういう考えであります。
  210. 石井桂

    ○石井桂君 もう一つ、これは土地収用法の一部の改正を、附則でしていますがね、今また土地収用法の一部を改正する法律が出るんじゃないですか、別に出るんじゃありませんか。
  211. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 土地収用法の一部改正は、他の目的でもって改正されているわけですが、本法案におきます改正は、海岸法を制定するがゆえに、第三条を改正するわけでございますから、別個に扱ったわけであります。
  212. 石井桂

    ○石井桂君 私はその土地収用法の一部を改正するならば、向うが本家なんでね、海岸法を出したついでに向うの法律を改正するということは、近ごろのアメリカ流のやり方で、うまくないと思うのですよ。人が知らないうちに、人のうちの何か物をかっぱらっていくような格好の行き方は……。だから、向うを直すのが本筋だと思うのだけれども、向うが非常にむずかしくて取りにくいから、こっちを安直にやっちまおうということはなかったかどうか、全く事務的であったかどうか。
  213. 国宗正義

    説明員国宗正義君) 言われます御趣旨はごもっともであると思いますが、向うの方の改正の内意等では、若干の考慮がありますが、これにつきましては計画局と、建設省部内のことでありますから、十分相談いたしました上で、本法案附則第六項の土地収用法の一部改正は本法案と運命をともにすべきものでありまして、本法案附則で改正されたわけであります。
  214. 近藤信一

    近藤信一君 それと似たようなことですが、これを見ますると、これは十幾つの法案を改正することになっているのです。そこでこの海岸法が今国会で通過すると、まあ私どもそれに努力したいと思うのですが、通過いたしましても、この十幾つの法案の改正をやらなければならぬ、こういうことになるのですが、これらの十幾つの法案改正のために、それぞれの関係している省と話し合いで今国会にこれを全部やるというふうな結果になっているのかどうか、その点御説明願いたいと思います。
  215. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) 各法律を主管する各省とは話し合いは十分ついているわけであります。
  216. 近藤信一

    近藤信一君 話し合いがついているということは、今国会に全部これは法律改正はなされる見通しですか。
  217. 山本三郎

    政府委員(山本三郎君) この海岸法案成立いたしますると、その法律は自然と改正されたことになるのであります。
  218. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 本日の委員会はこれをもって散会といたしたいと思いますが、次回は明後日午前十時から開会したいと思います。  なお、海岸法につきましては、大体の逐条質疑は済みましたので、次会は全体の質疑をお願いいたします。本日は、これにて散会いたします。   午後四時四十一分散会