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政府委員(山本三郎君) 第五条は、海岸保全
区域の管理につき海岸管理の責任を有する者、すなわち海岸管理者を定める
規定でございます。海岸保全
区域の管理の第一次的責任を有する者は都道府県
知事でありますが、港湾
区域等及び漁港
区域につきましては、現在港湾法及び漁港法に基きまして、類似の管理が港湾管理者及び漁港管理者により行われており、それらの長に行わせることが
行政運用上便宜でありますので、それらの
区域につきましては、港湾管理者の長及び漁港管理者の長に管理を行わせることといたしたのであります。なお、都道府県
知事が海岸管理者となるべき
区域につきましては、現在市町村が管理を行なっている場合があり、現状を尊重することが海岸の管理上適当である場合があることにかんがみ、市町村長を海岸管理者とすべき場合を
規定いたしたのであります。
以上が第五条第一項から第三項までの
規定による海岸管理者の原則的
規定でございますが、同条第四項及び第五項は、海岸
行政上便宜のため、右の原則の例外を定めたものであります。
第六条は、主務
大臣の直轄工事に関する
規定でございます。海岸保全施設の工事につきましては、本
法案に基き海岸管理者となるべき者が行う責任を有するのでありますが、その海岸保全施設が国土保全上特に重要なものであって、かつ工事の規模が著しく大である場合、二都府県の
区域にわたって行う必要がある場合におきましては、主務
大臣がみずから工事を行うことによりその
整備をはからんとするものでありまして、これによって海岸保全施設の
整備を急速に促進せんとする
趣旨であります。なお、主務
大臣が本条に基きみずから工事を施行する場合におきましては、本
法案の海岸管理者の権限中、工事に関するものは、海岸管理者にかわって行い得ることといたしておるのであります。
第七条は、海岸保全
区域内にある国の公共用財産たる海浜地については、海岸管理者が海岸の保全との
関連においてその占用の許可をする旨の
規定でございます。現在それらの土地につきましては、国有財産法の
規定に基き、都道府県
知事が国有財産の管理の見地から占用の許可をいたしておるのでありますが、海岸管理者に海岸保全の見地をも含めて許可をする権限を与えんとするものであります。なお、本条の
規定が設けられることによっても、漁獲物、農産物の物ほし場、船揚げ場等に利用されている場合において、これが時期的、季節的使用で自由使用と見らるべきものについては、許可を要しないことは当然でございます。なお、本条の許可は、海岸保全上の見地から許可、不許可の処分をし、必要な条件をつけ得ることを、第二項及び第三項において
規定いたしております。
第八条は、海岸保全
区域内における行為制限の
規定でございまして、海岸の保全に支障を及ぼすおそれのある行為を制限し、海岸の管理の完全を期さんとする
趣旨であります。第八条によりますと、一見広範な行為制限を課しているようでございますが、その第一項ただし書きに
規定いたしておりますように、政令で定める行為については本条の許可を要しないこととなっております。その政令の内容については目下検討中でございますが、他の法令に基く許可を得ている場合においてその許可が本
法案の
趣旨にのっとっている場合、行為の
性格から海岸の保全に支障を及ぼすおそれが客観的にない場合におきましては、これを具体的に列挙いたす所存でございます。なお、この運用につきましては、いやしくも不当に国民の権利を圧迫することのないよう、十分に注意を払うつもりであります。
第九条は海岸保全
区域の指定の際において、権原に基き、第七条及び第八条に該当する施設または工作物をすでに設置し、または工事中の者及び制限行為を行なっている者については、第七条及び第八条の許可を受けたものとみなし、あらためて許可を要しないものとし、既存の権利を尊重しようとする
趣旨であります。
第十条は、第七条及び第八条に基く許可の特例でございまして、第一項は、海岸保全
区域と港湾
区域が重複する場合において、港湾法の
規定による許可を受けた者につきましては、同法の行為制限の
目的及び態様が本
法案の
趣旨と同一であるため、本
法案による許可を要しないものとし、国民の利便をはかったものであります。第二項は、国及び国と同等の
立場にある機関がこれらの行為をしようとする場合には、その地位の特殊性にかんがみ許可を要せず、協議することをもって足りることとしているのであります。
第十一条は、第七条の占用の許可または第八条の土石の採取の許可につき、海岸管理者が占用料または土石採取料を徴収し得る旨の
規定でございます。
第十二条は、第七条及び第八条に
規定する行為を行なっている者に対し、一定の理由がある場合においては、許可の取り消し、行為の中止等の処分をなし得ることを
規定いたしたのでありまして、この場合においては、行為者の悪意による場合を除き、処分により損失を受けたものに対し通常生ずべき損失の補償をいたすこととしております。
第十三条は、海岸管理者以外の者が海岸保全施設の工事を行いますことは、海岸保全上元来望ましいことでありますが、ただ、この場合において、その
計画が海岸管理者の
計画と矛盾せず、設計が築造基準に照らして適正であることを確保するため、海岸管理者の承認を要するものとしたのであります。なお、国等が行う場合においては、右の承認を要せず、協議をすることをもって足りるのであります。
第十四条は、海津保全施設の築造基準に関するものでございまして、これにより海岸保全施設の統一をはかり、海洋災害の防止の
効果をあげんとするものであります。
第十五条から第十七条までの
規定は、海岸管理者が管理する海岸保全施設の工事中に
関連する工事、すなわち兼用工作物の工事、原因者工事、付帯工事に関する
規定でありまして、他の土木法規の例に従って
規定したものであります。なお、河川工事、道路工事、砂防工事と競合する場合におきましては、それぞれの
法律の
規定を優先させることとして、その調整をはかったのであります。
第十八条は、海岸管理者が海岸保全施設の工事を行う場合における土地への立ち入り、土地の一時使用についての強権行使のための
規定であります。
第十九条は、海岸管理音が海岸保全施設の工事を行う場合において、その施設の敷地外の土地につき損失を生じた場合における損失補償に関する
規定でございます。
第二十条及び第二十一条は、海岸管理者以外の者が管理する海岸保全施設に関する監督の
規定でございますが、特に第二十一条は、これらの施設が築造基準に適合せず、海岸の保全上著しい支障があると認められるときは、その管理者に対し改良、補修等必要な命令を発し、海岸保全の適正化を保持しようとするものであります。この場合におきましても、相手方が善意である場合は、適正な補償をすることによって私権との調整をはかっているのであります。
第二十二条は、海岸保全施設の工事により漁業権の取り消し等を生ずる場合における処分及び損失補償に関し、漁業法の特例を定めたものであります。
第二十三条は、都道府県
知事の海岸保全施設の
整備基本計画に関する
規定でございまして、これにより海岸保全施設の
整備の目標を定め、その整一を期したものであります。なお、本
計画の作成に当っては海岸管理者の
意見を十分盛り込む必要があるので、都道府県
知事は海岸管理者に協議しなければならない旨を定めたものであります。
第二十四条は、海岸の管理を適正にするための台帳の
整備に関する
規定であります。