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政府委員(
富樫凱一君)
道路整備特別措置法案につきまして、
逐条説明申し上げます。
この
法律案は本則三十条及び
附則六条からなっております。
第一条は、本法制定の
目的を明らかにいたしたものでありまして、この
法律は、
日本道路公団または
道路管理者が行う
有料道路の
建設、
維持管理等について、
道路法に対する特例的措置を
規定すること等によって、
道路の整備を促進し、
交通の利便を増進しようとするものであります。
第二条は、この
法律を簡明ならしめるために、この
法律における用語の定義を
規定したものであります。
第三条第一項は、
公団の
建設する
有料道路の要件及び
建設大臣の許可について
規定したのであります。すなわち
公団は一定の条件に該当する一級国道、二級国道、都道府県道または指定市の市道につきまして、
道路法で定める
道路の
管理権限の
規定にかかわらず、みずからそれらを
新設し、または改築して料金を徴収することができることとした
規定であります。なお指定市とは、横浜市、名古屋市、京
都市、大阪市及び神戸市を指すものであり、「次の各号に
規定する条件に該当し」とは、第一号及び第二号にともに該当することを要する趣旨であります。
条件中第一号は、たとえば当該
有料道路の通行または利用によって輸送距離を短縮したり、運転経費を節約することができる場合等であり、第二号は、原則として他に無料公開の
道路があって当該
有料道路の通行または利用が強制されない場合をいうのであります。
第二項は、
公団が
有料道路を
建設しようとする場合における許可申請書の提出についての
規定でありまして、
公団は
建設大臣の許可を得ようとする場合には、同項各号に列記する
事項を記載した申請書及び
設計図その他の必要書面を添付することといたしております。
なお、
公団が
建設大臣に許可を申請するに当りましては、第六条の
規定により、申請にかかわる
道路が一級国道または二級国道であるときは当該
道路管理者と協議することを要し、当該
道路が都道府県または市道でありますときは当該
道路管理者の同意を必要といたします。
第三項は、
建設大臣の許可基準を
規定したものでありまして、「第一項に
規定する要件に該当し」とは、第二項各号に
規定する条件のほか、都道府県道または指定市の市道にあっては、当該
道路の
新設または改築が国の利害に特に関係があると認められるものであるときという要件を含むことを
意味し、「申請書に記載された
事項が適正である」かいなかは、後に第十一条関係で
説明申し上げます「料金の額の基準」その他のこの
法律の
規定及び
道路法特に第二節、これは
道路の
構造についての
規定でございますが、第二節及びこれに基く
道路構造令等の
規定に従って許可するかいなかを判断いたすこととなります。
第四項は、
公団が同条第二項の許可を受けた後に、路線名及び
工事の区間、
工事方法、
工事予算、料金並びに料金の徴収期間を変更しようとするときは、あらためて
建設大臣の許可を受けさせることととし、第五項は、許可
事項のうち、
工事の着手及び完成の予定年月日及び収支
予算の明細のみを変更しようとするときは、届け出ることで足りるものといたしたものであります。
第六項は、
有料道路の
建設の許可または許可要件の変更は、
道路管理者の
管理権に影響を与える結果となりますので、
建設大臣はそれらの
事項を
道路管理者に通知するものといたしたのであります。この
規定が先ほど述べました
公団と
道路管理者の協議または同点の結果を確認せしめる意義をも持つものであることは当然であります。
第四条は、
有料道路の
維持管理の原則を定めたものでありまして、
公団が
建設大臣の許可を受けて
新設または改築した
道路につきましては、
道路法の
維持、修繕及び災害復旧の権限に関する種々の
規定にかかわらず、
工事完成の日の翌日から料金の徴収期間の満了の日までは、
公団が料金を徴収するとともに、当該
道路の
維持、修繕及び災害復旧をいたす権限を有することを明らかにしたのであります。
第五条第一項は、
前条に
規定する
有料道路の
維持管理の原則に対する例外を
規定したものでありまして、
公団が第三条第一項の
規定により
新設しまたは改築した
道路が、その
維持及び修繕に関する
工事に特に多額の費用を要する場合があって、かつ、当該
道路の
道路管理者の財政上の理由等によって、当該
道路管理者において
維持及び修繕に関する
工事を行うことが著しく困難または不適当である
道路につきましては、
公団は
道路管理者と協議しまたはその同意を得て
建設大臣の許可を受けて、引き続いて、修繕等を行なって料金を徴収することができる趣旨を
規定したものでありますが、本筋の適用についてはきわめて慎重でなくてはならないことは当然でありまして、目下のところ関門国道と明石−鳴戸間のフェリーボートがこの適用を受けるのではないかと
考えられております。
第二項は、
公団が前脚の許可を受けようとする場合の手続を
規定したものであります。ただ、本項に
規定する料金につきましては、本条の
規定の趣旨からして、当然当該通路の
維持、修繕費及びこれに付随する費用を償う額に限られることは申すまでもありません。
第三項から第五項までの
規定も、第三条関係において御
説明した趣旨とほぼ同様であります。
第六条については、第三条及び
前条において
説明いたした通りであります。
第七条は、
公団が第三条から第五条までの
規定により、
建設大臣の許可を受けて
道路の
新設もしくは改築または
維持修繕を行います場合におきまして、当該
道路が
道路法上の
道路である関係上、
道路法による
道路管理者の権限との調整をはかる必要がありますので、
公団が行使し得る
道路管理権限を明定いたしたものであります、すなわち本条によりまして、
公団は、
道路に関する
工事及び
維持に密接不可分の関係にある十四の
事項については、
道路管理者の権限の一郎を行使できることといたしたものであります。
第二項は、第一項の
規定により
公団が
道路管理者にかわって行使し得る権限のうち、
道路の区域の決定、変更、兼用工作物に関する協議、鉄道との
立体交差の協議、
道路予定地に関する許可等、本来
道路管理者が重大なる利害関係を有するものの行使にあっての
道路管理者との連絡調整を密接ならしめた
規定であります。
第三項の
規定は、第一項に
規定する
公団の権限の行使について、その期間等を明らかにしたものであります。
第八条第一項は、都道府県または市町村である
道路管理者が行う
有料道路の
建設等に関する
規定であります。すなわちこれらの
道路管理者は、
公団が
有料道路として
新設しまたは改築できる二条件のほか、当該
道路の
新設または改築に要する費用の全部または一部が
償還を要するものであるときに限り、
建設大臣の許可を受けて
有料道路を
新設し、または改築することができるとした
規定であります。
第二項は、許可申請書の提出について
規定したものであって、第三条において
説明したところと同趣旨であります。
第三脚から第五項までは、第三条において御
説明したところと同趣旨であります。
第六項は、本条の
規定により
新設または改築した
道路のうち、指定市を除く市町村が行なったものについては、都道府
県知事をしてその
工事の検査を行わしめることといたしておりますので、当該都道府
県知事にその間の事情を知悉せしめる趣旨の
規定であります。
第九条は、
有料道路の
工事の廃止についての
規定でありまして
有料道路は当初
建設大臣の許可を得て権能を付与された
事業でありますので、やむを得ない理由によりそれを廃止しようとする場合も
建設大臣の許可にかかわらしめようとする趣旨であります。
第十条は、
公団が
有料道路の
建設を行う場合には、本来の
道路管理者の権限を排除しその権限を、代行するという建前をとっておりますので、その
管理権の発生、消滅の時期等の関係
事項を一般民衆に対して明らかにしておこうという趣旨であります。