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1955-12-22 第24回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十二月二十二日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————   委員の異動 十二月二十日委員植竹春彦君及び高瀬 荘太郎君辞任につき、その補欠として 酒井利雄君及び村上義一君を議長にお いて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    理事            石井  桂君            小沢久太郎君            鮎川 義介君    委員            入交 太藏君            西岡 ハル君            平井 太郎君            堀木 鎌三君            武藤 常介君           小笠原二三男君            村上 義一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    土地調整委員会    事務局長    豐島  陞君    経済企画庁計画    部調査官    河野 恒雄君    通商産業省鉱山    局鉱政課長   磯野 太郎君    建設省河川局長 米田 正文君    建設省河川局開    発課長     小池  譽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (湯田ダム補償問題の件)     —————————————
  2. 石井桂

    理事石井桂君) それでは、ただいまから建設委員会を開催いたします。  公報に掲載してあります通り、本日は湯田ダム補償問題の件を議題に供します。  御質疑のおありの方は御発言を願いたいと思いますが、ただいま政府からは建設省米田河川局長、それから小池開発課長、通産省から鉱山局磯野鉱政課長土地調整委員会からは豐島事務局長がお見えでございまして、なお経済企画庁開発部の方もお見えになる予定でございますので、申し添えます。それでは、逐次御意見、御発言のある方はお願いしたいと思います。
  3. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 和賀川河川統制について、ダム建設国土開発審議会決定を見、閣議決定になって以来、相当長期の時間を要して準備をしておられるようですが、基本的にはダム建設については、政府としてどういう見通しをお立てになって準備を進めておられるか、特に来年度の予算関係等については、建設当局としてはどういう構想をもって折衝なされようとしておられるか、まあそれらの点を中心にして、いろいろ御苦労なすっておりながら、なお次々と予定がおくれてくるような傾向にあるのは、どういう経過をたどってこうなったのか、この際取りまとめてきちっとした話を局長からお聞きしたいと思います。
  4. 米田正文

    説明員米田正文君) ただいまお尋ねのございました和賀川湯田堰堤の今後の建設方針につきまして、概略申し上げたいと思います。  御承知のように、和賀川ダムにつきましては、二十六年から調査着手をいたしまして、二十六年、七年と二年間にわたって調査をしたのでありまして、なお調査相当に残っておったのではありますけれども、御承知のように、二十八年に新規ダムを十四計上をいたしたのでありまして、そのときに湯田ダムを、直轄事業としてのダムとして、予算計上をいたしたのであります。で、二十八年から事業着手をしたということになっておりますけれども、その後実際の工事の本格的な着手に立ち至っておらないのでございますが、これは理由は御承知のように、このダム補償に関してたくさんの問題を含んで、補償費も今までにかつてない大きい補償額が予想をされておるような事業でありまして、その補償に関する調査対策というものが非常に複雑でありまして、これの綿密なる対策を立てようというためのいろいろな方途を講じております点が一点。  それからもう一つは、御承知のように、今日多目的ダムとして多くのダム実施中でありまして、三十年度においては二十八カ所に上るダム建設中であります。従いまして、それに要する経費相当多額を要するのでありまして、毎年度建設省としては極力予算増額をはかって、二十八の継続中のダムを中期に完成をしたいという趣旨で政府部内の折衝はいたしておりますけれども建設省希望通り予算計上をされない結果になりまして、そのために、事業予算が十分計上できないというような点から、今日事業がまだ実際上の調査段階にあるというような状況でございます。
  5. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、来年度も本格的に着手見込みは立たないというのが現在の段階でございますか。
  6. 米田正文

    説明員米田正文君) これについては、来年度の予測については、実は御承知のように、まだ来年度の予算方針が確定をいたしておらないので、われわれとしてはいろいろな案を今作っております。どういう予算の編成の大綱方針が出てきても、これに応ずるだけの用意をいたしておりますが、その内容については、来年からすぐに着手ができるかどうかは、今後の一つ予算情勢に応じていきたいと考えておりますので、ただいまのところは、はっきり来年の方針を申し上げるわけにはいかぬ状態でございます。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私、方針としてお伺いするのでなくて、建設省当局としては予算要求をして、本格的に着手したいという意向を持っておられるのかどうかということなんです。そういう意向があったって、予算上の問題でできないという場合もありますが、事務当局としては、来年度はもうやらなくちゃならぬということで、予算要求をなさるという御決意であるのかどうか、こういうことを聞いている。
  8. 米田正文

    説明員米田正文君) これは、建設省といたしましては来年度、ただいま申し上げましたように、二十八のダムをやっておりますが、ほとんど全面的にこれが推進をはかるという方針で進んでおります。従って、この湯田ダムもその一環として、来年度から始めたいという事務当局方針は持っております。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、当面のダム建設に要する費用補償等に要する費用等で、大体本格的な、年度としては、事務当局は幾らくらいの予算が必要だと御検討になっておられるのですか。
  10. 米田正文

    説明員米田正文君) 補償については、先ほども申し上げましたように、補償対策としても多くの事業の種類を含んでおります。その補償対策の全事業に対する予算というものは、逐次研究はしておりますけれども、全部についての確定した数字というものはまだ出ておらぬ段階であります。しかし、これはどこのダムでも、やる場合に、最終までの補償の総金額を出していくということは、なかなか実際問題としてはむずかしい問題でありますので、そういう全体の額は出ておりませんけれども、もし着手をすれば、第一年度に必要なものの処置というものは考えております。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 確かに局長のおっしゃる通りなんですから、まあ来年からおやりになりたいということであれば、第一年度、大体補償対象とする予算はこれくらいのところで初年度は済むだろうというようなこと、あるいは事業費そのものの方は大体この程度の仕事を進め得る予算ということで御検討になっていると思うのですが、大ワクで大体どの見当の見込みなのか。私詳しいことを聞いているのじゃなくて、大体どの程度のことを要求しようとしているのか、お伺いしたい。ほんの大ワクでいいのです。
  12. 米田正文

    説明員米田正文君) 私どもの先ほど申し上げました事務当局として考えております本格的な着手としては、四億余りのものが第一年度に要ると、こういう計算をいたしております。ただ、それが内容で、中にいろいろ機械費もあれば、工事費も、セメントの代金もあり、補償費もあるというものを含んで、およその程度のものが第一年度に必要だということが、これは事務当局の案です。しかしこれは今ここで申し上げましたけれども、正式に申し上げる数字ではないかとも思うのです。そういう点もありますから、これは御参考にお聞きおき願いたいと思います。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 むろん参考に聞いているのです。そのことでとやこうと、あなたを追及するなんという考えで聞いているのじゃない。今も補償問題を言われたのですが、ずいぶん時間がかかる。二十八年度にたしか用地使用制限をしたわけですが、それ以降二十八、九、三十と、三年も補償問題があれしておる、解決しない原因は何ですか。こういうふうに延びている原因はどういうところにあるとあなたの方ではお考えになっておりますか。
  14. 米田正文

    説明員米田正文君) 工事が早く進まないという点の理由は、これは私ども現在いろいろ現地情勢から察しまして、従来は、昨年くらいまでは、現地補償に関する問題で現地に難点があった。なかなか今すぐ始めても、これは補償問題が解決見込みがちょっと立たないというような実情にあったので、まあそういう点がおもなる理由でありました。しかし最近になって、あるいは御承知かと思いますが、現地補償対策については、現地側意見相当にこの事業に協力をするような態勢になってきて、そういう点が解消されて参っております。今後はむしろ予算計上の面に重点がかかってくるというふうに考えられます。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私、局長には非公式にもお話し申し上げたのですが、三年も四年も前にダム建設するのだと決定せられ、いろいろな制限を受ける。家屋の改造も新築もできない。恒久的な生業対策も、その区域にある人たちは立たない。こういうふうにして放置されるということは、やはり重大な問題なんですよ。だから、すみやかにこの解決をしなけりゃならぬというふうに局長の方でもお考えになっておる、そして努力してきたと思うのですが、最近ようやく第二次の補償基準案というようなものが示されたようですが、第一次基準案が示され、その後第二次基準案が示される、こういう形で進むならば、第三次、第四次というふうに、次々と基準案闘争が起って、問題が解決しないように私は考えられる節があるのです。どういう方針でああいう基準案検討せられ、御承認になって示されておるのか。基準案について、これは細かいことですから、小池課長から伺った方がいいと思うのですが、どういう指導を地建に対して今日までなさって基準案が出たか、そうして基準案の骨子はどういう標準のものか、お伺いしたい。  追加して申し上げますが、この委員会でも、あれはたしか過去に一般的な国としての補償問題について、統一的な何らかの方針が必要だということを再三申し上げたはずなんです。従って、今回の基準案というものの内容をお示しいただくとともに、それは運輸省、農林省、あるいは今はやりの調達庁、こういう方面補償とどういう比較になるのか、均衡を得ておられるとお考えになっておられるのかどうか、全体的な検討をした上で国としてお示しになるに足るものだという自信を持ってお示しになったのか、これは開発課長から技術的に御説明を願いたい。
  16. 米田正文

    説明員米田正文君) 開発課長に詳細についてはお答えをさせますが、その前に私が一般的に申し上げますが、お話通り、昨年補償基準示し、今度今月になって補償の一般的な基準示しました。第一回の補償基準示してから約一年数カ月経過をいたしておりますが、その間、現地調査相当にやったつもりであります。そういう調査をした結果、第一次案というものは、これはまあ非常に当時十分な調査もしないでやったものでありますから、必ずしも適当でなかったと思うのです。で、その調査をした結果、いろいろの資料に基いて是正をすべき点をいろいろとあげまして、最終の今度の補償基準示したのであります。これが私ども最終案だと思います。  ただ、先ほどのお話のように、じゃ、これはほかの方とバランスがとれているか、あるいは極端なことをいうと、調達庁のものと均衡がとれているかというお話になりますと、これはややわれわれの考え方は違っております。というのは、事業そのものが他の事業事業性格を異にいたしておりますし、建設省としては諸般の状況をにらんで、補償基準要綱をこしらえております。で訓令として出しておりますので、この補償基準に基いて建設省実施をすることになっておりまして、他との均衡等が非常な相違が出てきて、この調整是正を必要とするとなれば、この基準というものを省議にかけてまた改正する時期はあろうかと思いますが、現在の状況においては、私どもは現在の要綱によって処理をいたすつもりであります。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、課長の御答弁の前に、今のお話から、一般論として、これは議論になりますが、局長意見を伺います。建設省建設省で、特殊な事業性格にかんがみて、こういう補償基準でいいのだ、かりにですね、今度の場合それがどうであるかはわかりませんが、かりにそういう主張をする、運輸省運輸省でそういう主張をする、調達庁調達庁でする、こういうことで、その補償を受ける対象になる国民は憲法上の平等の原則が侵害される。何に国が使うにせよ、たとえば田地であろうが家屋であろうが、補償のそれが違うという結果が出て、それはいいものでしょうか。一般論ですよ。
  18. 米田正文

    説明員米田正文君) 私ども、今建設省補償要綱を申し上げましたが、これは実は御承知のように、電源開発促進法が通過して以来、全国に電源開発促進が行われておる。そのときに、電源開発に伴う補償基準というものを閣議で決めたのであります。これが基準になりまして、建設省補償基準というものもそれにベースを置いておりますから、全体の電源開発に伴う補償バランスというものはとっておるつもりでございます。したがって、おっしゃられるように、他との非常な均衡が破れておるというようには考えておりません。ただし、特別なものとの比較をされてははなはだ困るのですが、われわれの言ういわゆる公共事業としての事業の遂行についてのバランスというものはとれておると考えております。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは具体的に、同じ国が補償するものとバランスのとれておらない事実がこの補償基準において発見せられたというようなことになって、地元側が全国的な諸点について例示して、これではいかぬという要請があったときには、基準のもとになる要綱それ自身の方が変ってこなくちゃならない。原則としては、そう私考えますが、この点はどうですか。
  20. 米田正文

    説明員米田正文君) おっしゃられる通りに、私は全体のバランスというのも一つの重要な問題だと思います。大きな懸隔があって不公平が行われるということは適当でないと思います。ただ、しかし、われわれの補償するという基準というものは、やはり法外のものを出してはいけない、適正なものでなければならない。従って、それには計算の基礎というものは明らかにしておいて、実際の実害補償というのが建前でなければならないというのが私たち考え方でございまして、その一つを適当に調整をして、今の要綱は作っておると考えております。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうお話になるから、私も去年かおととし、委員会で議論したところなんです。ほんとう言うなら、理想としては、私は持論として、具体的なその地域の問題に一々個々補償基準が出るというのはおかしいと考えておる。少くとも国のやる事業であるなら、もう国自身が全国的に、田地なら田地についての等級を設け、それの最高最低補償基準決定し、それを見ておれば、もうあとはそろばんをはじけば、個々補償対象になる国民自身自分補償金額が大体推定できる、こういう何かしっかりしたものがなければならぬというふうに私は思う。ところが、その地域、その地域で特殊な補償基準か出る。そういうところから、補償を受ける方の側は全国的に最高のところをとって、また主張してくるという点もあるでしょうし、その他いろいろ問題が起きてくるのですね。だから、こういうことは局長自身に言うことはこれは当らないかと思うけれども政府部内で統一的な、この補償の問題は何としても、将来の問題としてでなく、緊急に検討せられ、結論を得る具体的な対策を立てるということが必要だと考えるのですが、建設省当局各省等に積極的に働きかけてこういう点を明らかにする御用意が今日においてもあるのかないのか。めいめいの省がめいめいで適当に補償し、しかも相手を見ながら、バナナのたたき売りということではないけれども、小出しに出して、次々と納得のいくところまで押していくという、何といいますか、相手との取引に堕しておるというきらいもある補償の仕方というものは、全面的にこれは考え直さなければならぬと思うのですが、どうなんですか。
  22. 米田正文

    説明員米田正文君) おっしゃられる通り、今日補償問題は全国的に非常な問題を生じております。これを円滑に処理していくという方途をもっと強化する必要は、実は痛感をいたしております。しかし、今すぐに私どもの方で各省に働きかけて、中心になってやろうという準備まではまだいたしておりません。そういう点については、今お話ししたように、何らかのこれが強化の方策を講じなければ、なかなか今後円滑な運営はむずかしいというような感じを非常に強く持っております。で、何らかの方途については、今後できるだけ早く研究をいたしたいとは思っております。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはちょっと、またわき道にそれることですが、全国的に建設省地建用地課専門技術員ですね、補償調査をやる技術員について、専門的な教養を高めるというような方策をとっておりますか。
  24. 米田正文

    説明員米田正文君) これは実は、ときどき講習会を開く等の方法で、そういう方途もとっております。けれども、その全部についての講習等もまだ行き渡っておらぬ所もある実情ですが、できるだけ機会をつかまえて、用地業務に従事する人の講習等は極力やっていくことにしております。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 さまつなことですけれども、しかし、これは現地で感情を刺激しない、紛争を起さないで問題を解決するのには、やはり有能な調査のための要員を必要とすると思うのですね。かえって相手側が上で、その地元におられる専門家との論争でしてやられてしまうような、そういう弱体な調査員等では、信頼を失う。あるいは技術的に専門的に追及されると、それを訂正しなければならぬというような問題が起ったら、そういうのがざらに起ってきたら、これはもう工合の悪いことですな。ですから、今後やはりこういう方面教養を高めるということについても、具体的にお考えになる必要があろうと思う。  次に、時間を取ってあれですから、課長補償基準についての御説明を願いたい。
  26. 小池譽

    説明員小池譽君) このたび出しました損失補償基準につきましては、私どもが二十九年五月十九日の訓令で、建設省が定めました建設省直轄公共事業の施行に伴う損失補償要綱に則りまして基準を作成しておるわけであります。土地につきましては、御承知のように、賃貸価格——賃貸価格でございますが、賃貸価格相続税法によりますところの倍率をかけております。この相続税法によります倍率は二千四百倍を取っておるわけであります。それと離作料といたしまして、総収益から必要経費を引きましてそれに六カ年の年月、六倍をかけております。また山林、原野、宅地等につきましては、訓令の第十二号と四条の補償条項がございますが、それによりまして評価額だけでは非常に小さな金額になりますので、利率還元法あるいは公評価額利用権価格等を参酌いたしまして、それらの点から勘案して出しておるわけであります。物件につきましては、家屋でございますが、これは移転移築に要する実費補償でございますので、構造あるいは経過年数管理状況資材等を勘案いたしまして、解体、運搬それから建て方に対します補償料を算出しております。また工作物につきましては、動かし得られるものにつきましては移転費を見ておりますし、動かすことができない、固定的なものにつきましては買収費計上いたしております。それから動産類につきましては、訓令第三十一条によりまして、荷作り費運搬費を見ているわけであります。また仮住居費につきましては、訓令第三十三条によりまして、新築いたします経費から残材料を抜きましてそれを補償額にいたしております。それから営業補償あるいは兼業補償休業補償等につきましては、まだ確定的な数字を今調査中でございまして、出しておりません。大体大きなものはその程度でございまして、先ほどお話ししましたように、訓令条項にのっとりまして補償を出しております。田につきましては最高十九万、約二十万円程度でございますが、計上いたしております。それから畑につきましては最高約十二万円の算出に相なっております。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは水田に例をとってみますが、その補償で他の地域水田を求めるにふさわしいものであるとお考えですか。
  28. 小池譽

    説明員小池譽君) その地区の、湯田地区の勧業銀行なり、あるいはほかの銀行に調査を依頼いたしまして、大体その付近の地域土地価格を勘案いたしまして、それで調整いたしております。
  29. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、買えるのだということですか。
  30. 小池譽

    説明員小池譽君) 大体あの辺では、その調査によりまして買い得るということでございます。
  31. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 よく当委員会の田中君などが主張するのだが、金銭補償でなく、物で補償するのだという原則を貫かなくちゃいかぬという建前からいえば、買えるのならいいが、買えなければ、それはもううまくないわけですね。その点はお認めになるのですか。買えなかったら、あなたの方で買ってでも渡してやるというくらいの、補償についての積極的な態度をお持ちなのですか。
  32. 小池譽

    説明員小池譽君) やはり補償要綱の中には近傍類似価格の水準というものも出ておりますけれども、買い得るだけの代金を払うということにはこの中身はなっておりませんで、支払われる通常の費用によって買い得られる範囲内のものなら、代替地も作ってやろうというような考え方であります。
  33. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 おそらくそういう点が相当深刻な紛争の種になると思うのですね。それで、局長がさっき、これは最終案だと言ったが、むろんそう言ってみるだけの話なんで、話し合いによっては第三次案を出しますなどと言ったのでは、ものにならぬ事情にあることはよくわかるけれども自信があるかということなんです。これでまとまるという自信があってあの基準が示されたのか、紛争が起きないかということを、国会の立場として建設当局に伺いたい、端的に。自信がおありですか。
  34. 米田正文

    説明員米田正文君) 私の方としては、最近までの調査に基いて最終決定をいたしたので、これでまとまると信じて発表いたしたのであります。
  35. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、具体的事実として、現実に適合しないという客観的な材料が出てきても、動かすことなく、自信を持ってこれでやれるというお考えなんですか。絶対これでいいんだ、間違いないのだということですか。
  36. 米田正文

    説明員米田正文君) 私ども考えでは、相当に入念な調査をしたので、これで補償基準現地に適正な基準として行われるものだと信じて発表いたしたのでありまして、まあしいて言えば、従来のわれわれの調査の中に、調査が不十分であったとか、調査が適当でなかったとかいうような点が、もしありとすれば、そういう点の是正は将来あることも予想されますけれども、今まで私ども自分で調べた結果については、これで十分であると信じておることを申し上げておきます。
  37. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 局長がそう言わなくちゃならぬことは、よくわかる。そうも言っておかなかったら、これはどうにもならぬが、その答弁は、答弁用答弁として聞いておきます。聞いておくが、しかし自分たち調査だけが完璧なんだという、自分だけで裏書きする自信を持って地元に押しつけて、これは大丈夫行くのだという考え方が、出先の方になるというと、高圧的な態度になったりして、要らぬ紛争が起る。もう少し私はやはり謙虚な気持で、地元意向も聞き、そうして説明は十分するというふうな、回数を重ねられる折衝というものが行われることを希望します。今の段階では、内容についてはとやかくのことは言いません。ところが、ちょっと基準を示す、不満だ、いやこれでいいんだ。それでちょっと相打ちして、分かれる。そうして様子を見て、ほったらかしておく。こういうようなことでは、私は交渉が解決するとは思わぬ。どうしたって、実施する方は地建側なんですから、地建側が誠意と積極性を持って、そうして再度三度、折衝に当るというようなことを繰り返していくことを、今の段階としては希望しておきます。私としてはまだ現地情勢というものを聞いておりませんし、これ以上のことを言うのはいかがかと思うので、一般論としてこれだけ申し上げておきます。  次に、鉱区禁止の設定を土地調整委員会建設省の方からお出しになって、区画する手続を進めているようですが、こういう区画をせられた根拠は、これだけのものを必要とするとした根拠はどういうところにあったのか、お伺いしたい。またこういう禁止をする理由ですね、この点も建設省側の意向としてお伺いしたい。これはどなたでもいいです。
  38. 米田正文

    説明員米田正文君) これはまあ、私どもとしては、この湯田ダム建設に伴う措置として、今後新しく鉱区ができたりするようなことは、もうダム建設見えておりながら、やって、しかもそれにまた補償が伴うというようなことは、これは権利者側にとりましても不経済でありますし、また事業の推進から申しましても適当でないと思いますので、主要なダム建設に必要な区域については、そういう禁止措置をとるということが必要だと考えて、措置を進めて参っております。
  39. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ダム建設決定された以後、その禁止までの間に、補償を目当てとした新鉱区の出願等があったというふうに建設省側では見ている分がありますか。そういう地域があるかどうか。
  40. 米田正文

    説明員米田正文君) 私はまだそのことを聞いたことはございません。
  41. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それじゃ、今後の点を予想して、こういうことを事前に措置したということですか。
  42. 米田正文

    説明員米田正文君) そうでございます。
  43. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点、土地調整委員会の方にお伺いしたいのですが、この申請があって以後こういう処理をせられたのか、その経過について、簡単でようございますから。
  44. 豐島陞

    説明員(豐島陞君) 土地調整委員会といたしましては、建設大臣からの申請がありまして、三十年の五月二十六日に請求があったという告示を一応いたしました。それからあと、鉱業権者等、東京におられる方に審問を行いました。それから十月の三日から九日まで、現地の方に参りまして、各鉱山を一応視察いたしまして、現地で鉱業関係者と土地の所有者、そういったような関係者、現地の方約九人を一応審問いたしました。そうして十月の七日に岩手県庁で十四人の方々に集っていただきまして、公聴会をいたしまして、そうして帰って現在書類を整理いたしておりますが、あの地区におきましては、現在鉱業関係につきまして出願が二十八件、それから採掘鉱区が二十七、試掘鉱区が八鉱区ございます。  それで、鉱業との関係の衝突は非常に大きいのでございますが、土地調整委員会といたしましては、そういったような鉱業に補償をしてまでもダム建設が成り立つかどうかということについては、建設大臣にもどういうふうかということをお聞きいたしておりますが、建設省といたしましては、補償をして十分やっていけるという御回答でありましたので、また現地でも、県知事にもこの問題につきまして懇談をいたしたのでありますが、県知事といたしましても、一応ダムを遂行していきたいというお話であったのでありますが、昨日通産大臣の方から一応、建設大臣に対しまして、事業計画の変更を申し入れる所存であるから、これが決定するまでは鉱区禁止についての指定を延期してもらいたいという書面が参りましたので、一応保留していると、こういう状況でございます。
  45. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その点、通産省の方で、事務当局の方だけで、大臣と大臣の正式な御検討について御説明を願うのはいかがかと思いますが、内部的にはわかっていることならお伺いしたいのですが、どういう内容をもって、どういう理由で、今のような通産大臣の御意向になったのか、通産省のお考えをお伺いしたい。
  46. 磯野太郎

    説明員磯野太郎君) お答えいたします。本件につきましては、建設省から土地調整委員会へ申し入れがございまして以来、いろいろ現地の線で、通産局長に照会いたしまして検討いたしておったわけでございますが、ただいまのような土地調整委員会に対する申し入れをいたしました理由につきましては、まず第一に、この地区には、今土地調整委員会の方から申し上げましたように、非常にたくさんの鉱業権がございますが、特にその中に和賀仙人鉱山という鉱山がございまして、これは鉄鉱山でございますが、この鉄鉱は赤鉄鉱でございますけれども、非常に優秀な鉱石でございまして、ほとんど赤鉄鉱としてはまれに見る優良鉱でございます。それでこの鉱石を資源といたしまして、なおその近くに東北電気製鉄という電気銑の工場がございますが、東北電気製鉄は銑鉄の関係と肥料の関係と大体半々ぐらいでやっておるようでございますが、この東北電気製鉄の作ります電気銑は非常に優秀な銑鉄でございます。しかも、これは既往においては大体低燐銑と称します非常に燐分の少い銑鉄でございますが、わが国の産出中の約三〇%を出しておりまして、非常に特殊的な工場でございます。従って、今申し上げました東北電気製鉄の出す電気銑、従って、それに対して鉱石を供給いたしております和賀仙人鉱山につきましては、これは通産省といたしましては、産業政策あるいは今のような電気銑の供給として欠くことができない工場、欠くことができない鉱山というふうに考えております。従って、今回の計画によりますと、湯田ダムの堰堤がもしただいまのような計画で作られますと、和賀仙人鉱山の操業にとっては非常に致命的な支障が出て参るわけでございまして、和賀仙人鉱山の主要な鉱床、大河鉱といっておりますが、その主要な鉱床、あるいは遠平鉱という鉱床につきましては、堰堤の水面よりも坑道の方が低くなりまして、従って湛水の危険があるわけであります。そういう意味からいたしまして、とりあえず通産省といたしましては、土地調整委員会に対して、鉱区請求の審査については建設省に対してダムの位置の変更方を申し入れてありますので、それまで決定を延期してほしいというふうなことを申し入れしたわけでございます。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、致命的な影響を受けるというのは、鉱内に上流で湛水したものが浸透してくる、鉱区が荒廃するということが主たる要件ですか。
  48. 磯野太郎

    説明員磯野太郎君) その点につきましては、これは公式に私は聞いておりませんけれども、大体建設省の方では、ただいまのような危険に対しては、たとえば湛水壁を作って防水をするというふうなお考えがあるように承わっておりますが、その点について私どもといたしましては、直接の会社の技術者の見解等を徴しまして、その点についてただいまのところ十分なる自信が持てません。かつ、今申し上げましたようなかけがえのない鉱床と鉱山でございますから、そういう意味で、その位置の変更をすることが必要だということであります。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことを建設大臣まで申し出るためには、あるいは申し出た今日においては、通産省自身が技術的に、その問題について結論が得られるような調査をお進めになっておったんですか、今後速急にその調査をお進めになるおつもりなんですか。
  50. 磯野太郎

    説明員磯野太郎君) ただいままでのところ、通産省といたしまして、あるいは通産省関係の技術者といたしまして、厳密な調査をやっておったのではございません。そういう意味で、建設省に対する正式の申し入れもおくれているわけでございますが、そういう点につきましては、通産省の技術者、あるいは部外に適当な方がおられましたら、そういう方の意見を徴しまして、至急その点を検討していく所存でございます。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 建設省の方では、たしか、聞くところによると、東北大学あたりの専門家に頼んで、浸水漏水等の問題について調査検討してもらっているということですが、そういう事実がありますか。またあるとするならば、中間報告としてはどういう方向に行っているのですか。
  52. 小池譽

    説明員小池譽君) 鉱山の調査につきましては、東北大学に委嘱をいたしまして、調査検討していただいておるわけです。で、現在ではまだ確実な方法というものは確定しておりません。で、今後二、三回やりまして、その水止め方法とかいろいろ具体的な内容についての調査を行うこととなっております。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは非常に先走った話ですが、調査の結果、通産省も、また建設省の部外に頼んだ調査の結果が、これは技術的に坑内浸水を防禦することができない、こういう問題が起ったときには、この堰堤地点の変更ということをお考えになるのか、この鉱山自身の買収ということをお考えになるのか。それはそのきになって考えてみなければわかりませんという答弁になると思うのですが、どういうふうにウエイトを置かれておるのですか。
  54. 米田正文

    説明員米田正文君) これは今も開発課長からお話し申し上げましたように、専門家の手をわずらわして調査しております目的は、水止めをいかにしてやるかという技術的な点の検討であります。これは私どもとしては、今日の技術の段階においては、この鉱山の漏水防止の方法はとれる建前で進んでおります。ただ、方法に非常な経費を要するとか、あるいはそう多額のものでなくて済むというような点が、今後の技術士の問題として残されておると思います。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、今の段階では、水止めということで何とか措置したい。鉱山の買収あるいは鉱山を廃鉱にする、製鉄所をやめる、こういうことにまで手を伸ばして多額の金を投ずる意思はもうない、こういうふうに聞きとっていいわけですか。
  56. 米田正文

    説明員米田正文君) 私どもはこの鉱山は、先ほど通産省からもお話がありましたように、非常に重要な鉱山だと思いますので、この鉱山の廃止等はしないという方針で、われわれの計画は進んでおります。ただ、まあその一部について、工事用に必要な措置は、これはどうしてもやむを得ないと思いますけれども、一般的に言えば、この鉱山はこのまま継続して経営されることを前提にして進んでおります。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ところが、先ほど鉱政課長が言いました遠平鉱という所ですが、これは露天掘りをしておる所なんで、ここがつけかえ道路がつく地点に予定されておる。従って、露天掘りはきかないという状況になるということを聞いておりますが、そういうことも事業に差しつかえないようにやるという方針だと承わっていいのですか。
  58. 米田正文

    説明員米田正文君) その点については、実はよく承知をしておりませんが、私が先ほど申し上げましたのは、ダムの付近について申し上げたわけであります。今のとりつけ道路の問題は、だいぶこの地点から離れておる場所のように思われますので、この点についてはまだ私どもではよく検討いたしておりませんから、お話の点については早急に調べてお答えしたいと思います。
  59. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは通産省あるいは建設省、いずれにしましても、早急に結論を得てもらわなければ、非常に影響するところが大きいですね。この鉱山ないし製鉄所の従業員の組合の方から、私もいろいろ要請を受けておる。この労働者諸君の帰趨の問題、将来の生活上の問題もあるし、会社自体の問題も起ってきます。  それで、通産省に伺いますが、そういう一つの留保した意見をお出しになられて、建設大臣と協議せらるるというお考えであるとするならば、少くともいつごろまでには通産省のしっかりした根拠を持つ意見をお出しになって、建設省との間に結論を得られようとしておるのか、見通しをお伺いしたい。
  60. 磯野太郎

    説明員磯野太郎君) 通産省のただいままでの考え方は、建設省の御意見と違いがございまして、ただいま申し上げましたように、かけがえのない鉱山でありますので、これに対して万一でも故障があってはいけない。従って、防水壁、湛水壁の問題、つまりダムの地点を変更しないで湛水の心配を遮断するというふうな問題につきましては、これはいずれも、ただいまの考え方としましては、やってみなければわからないことでございます。そのやってみなければわからないことについて、将来多分大丈夫であるというふうな推論をもって結論を出すことは、非常に困るというふうに考えております。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうなると、非常にむずかしいことになってくるわけですが、建設省側としては、まあ協議の結果を待たなければなりませんが、このダムサイトの移転という問題は技術的には可能なんですか、もうここ以外にはないのですか。これは技術的な問題として聞いておきます。
  62. 米田正文

    説明員米田正文君) ここよりほかに絶対にないというわけにも参りませんけれども、しかし、おのずから経済的な限度というものがあります。そういう観点からみると、ここが最適の位置である、これ以外では経済的な観点に立つと成り立たないではないかと、今のところはそういう考えでおります。  まあ通産側の意見とだいぶ違っておるようですが、これはまあ私ども、要はこの鉱山に水が入らなければいいので、それがやってみなければわからぬから、それじゃ困るというような考えではちょっと困るので、確実に水が入らぬという予想が立てば、私はいいのじゃないかと思うのです。これは建設省側と通産省側の意見が今違っておるようでありまして、この問題はどうも今ここで突如として出て、まことに私ども困った立場になりますが、早急に両省で相談をいたします。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は、鉱政課長が言うように、大丈夫だとしてやってみた結果、大丈夫でなかったということが出た場合には、鉱山、製鉄所は取り返しがつかない。こういう点を考えたら、大事を踏んで問題を考えるというのが筋だというふうに聞き取るのです。それで建設省の技術、それをもって鉱山専門家の見解をひっくり返すようなものがあるとするならば、私も大いに賛成します。それでいいということを賛成しますが、これはもち屋はもち屋なんですからね。ここは石灰岩の坑道ですから、何としたって、そうでなくてさえも問題になりがちな鉱区なんです。  それからここにダムができますと、これから下流に流れるところの、距離が短かい所に選鉱場があって、浸食されるおそれがあるということを、地元ではこれをまた心配している向きもあり、選鉱場の移転はできない、技術的にできない場所だといういろいろな難点をあげて、ダムサイトの移転問題を真剣に考えてもらいたいという意向があるようですね。私はしろうとで、どちらがどうということはとうてい結論を下し得ないけれども、通産省並びに建設省が協議をするとなったら、やはり真剣に、技術的な検討も加えて、日本の最高の技術陣営をもって結論を得て、そして関係者の納得を得なければ、これは問題が起ると思うのですね。そういう御用意がおありですか。
  64. 米田正文

    説明員米田正文君) この問題は、鉱区に水が漏るということは、先ほどからお話のあるように、鉱区自身としても致命的な問題であり、かつまたわれわれのダムの方からいいましても、そこに水が漏るということはダム自身の機能が喪失することであって、いずれにいたしましても、これは水が漏るということは、このダムから申しましても、私どもとしてもこれは考えられないことですからして、この水止めの方法について、今専門家意見を聴取しておる次第でございまして、どういうダムについても、いろいろと水を漏らさないような方法というのは非常に今日進歩してきておる。また、どのダムでも漏水防止の方法はいろいろな方法でとっております。そういう実情ですから、水止めの方法というものは最近非常に進歩をいたしておるという自信の上に立って、われわれは申し上げております。
  65. 石井桂

    理事石井桂君) 小笠原委員にちょっと申し上げます。経済企画庁河野調査官、高橋技官が参りました。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それなら、これ以上この問題は聞きませんが、少くとも東北大学等に依頼して技術的な検討の結論が出た際には、建設省当局態度の御決定になるのを待たないでも、早急に当委員会にその点を報告していただきたい。またいつごろそれが出てくるのか、その点もお聞かせ願っておきたい。
  67. 米田正文

    説明員米田正文君) まだその時期等についてはちょっと申し上げかねる次第ですが、そういう結論がいずれにしましても、どちらの結論が出ましても、委員会に御報告いたすことにします。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、こういう問題で、結果としては、時間的にどんどん先に湯田堰堤の本格的工事着工というものはおくれていくわけなんですね、実際問題として。そうすると、補償対象になる地域住民への補償問題も、またおのずからおくれていくわけなんです。実際上これは非常に地域としては困った問題なんですね。よほどしっかりした態度促進していくというお考えを持たなければ、これはもう湯田の堰堤工事というものはこの際考え直さなければならぬということにもなりかねないと思うのです。それで米田局長には、積極的にいろいろな障害を解決し、克服していくという、そういう態度一つ望んでおきたい。通産省との間も、出たとこ勝負で、話を一度してみて、またあとで検討しましょうといって分れて、ほうりっぱなしにしておく、半年経ってまた会ってみるというような、だらだらなことではだめだと思う。これはどうですか、来年度四億要求したいといっているかたわら、こういう問題が起ってくる。来年度の四億も三億も吹っ飛んでしまいますよ。こういう不確実な、未確定な問題がまた起ってきたということで、どうされるのですか。
  69. 米田正文

    説明員米田正文君) このダム全体としての促進の一環として、こういう問題があるので、これについても、先ほどから申し上げましたように、私どもとしてはできるだけ調査を急がしておる次第であります。で、御趣旨については私どもも同感でございまして、極力早く全部の解決をいたしたいと考えます。
  70. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 鉄道の方は国鉄に委託調査になっておるように聞いていますが、これはもう設計その他、費用概算等も結論が出ているのですか。
  71. 小池譽

    説明員小池譽君) 鉄道につきましては、調査を委託いたしまして、終了いたしております。現在十二・八キロが十七・四キロになります。所要経費は約十五億。これはまあ所要経費につきましては、これは多少の異動はあると思いますけれども、大体十五億であります。
  72. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その部分についてだけは、建設省は、もう国鉄がやったことだ、オー・ケーということで、何でものみ込むのですか。そうして一般住民の補償の問題は、とやこうの議論をする。なるほどそれくらいでいいんだということを、あなたの方自身でも検討を加えたことありますか。
  73. 小池譽

    説明員小池譽君) もちろんでございます。ただ、向うから出てきた数字をそのままうのみにするようなことはございません。鉄道建設につきましては、私どもはしろうとでございますので、なかなかそう簡単には参りませんでございますが、内容調査いたしております。
  74. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 佐久間ダムの場合などで、鉄道建設には相当取られたといううわささえ伝わっている。ほんとうに適正であればいいが、もしもそれが適正でないというようなことになれば、これも問題になると思うので、確かに課長がおっしゃる通り、十分な検討を私は望んでおきます。地域の個人に対しての補償の仕方と——国鉄あるいはその他地方公共団体なり国の財産に対する補償等は、まるまる十分やるということはおかしいですよ、こういうことは。だから、そういう批判が地元に起って、また補償問題が紛糾するという材料を与えないように、しっかりした態度建設省当局としてお持ちいただきたい。これはもうそういうふうに強く希望しておきます。  それから経済企画庁の方がおいでになっておるようですが、国の全体的のこういう補償問題について、今も企画庁では総合調整するというような、そういう点はお考えになっておらぬのですか、それともまた、そういう権限は今企画庁の方にはないということになっておるのですか、お伺いします。
  75. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) お答にいたします。補償の問題等につきまして、現在それぞれの関係省でおやりになっておられるわけでありますが、補償のやり方等について調整をすると申しますか、そういった点についていろいろ問題がございまして、現在企画庁では関係省のお話を伺って、どういうふうに持っていったらいいか検討をしておる次第でございます。
  76. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、検討をしておるということですと、先般来農林省あるいは建設省案というようなものが、公式か非公式かわからないが、出ておる。それを企画庁が調整しようと試みた事実が過去においてある、そういう関係を促進する意味で、なるべく一本化するという意味で検討して作業を積極的に進めておるということなのですか、ここで私に聞かれて一応答弁をしておくということなのですか、どっちなのですか。
  77. 河野恒雄

    説明員(河野恒雄君) お話通り、農林、建設、通産、各省の御意見等も伺っておるわけでありますが、なかなかその間の意見調整ということに相当ひまがかかっておりまして、現在でも調整の方法等につきましていろいろ検討を進めておるわけでありますけれども、御存じのように、なかなかむずかしい問題でございます。十分に意見調整をはかりたいということで、また話し合い等についても進めたいと、かように考えております。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 一つ、企画庁の方でも、最高首脳部陣営で承認を得て、積極的にこの問題を調整し、一本化のための結論を出す、客観的な政府としての補償対策を立てる、こういうことでお進めを願いたい。事務当局だけで、あなたのところだけで苦労して話し合ったって、あなたの言うことはよくわかる、ただ単なる調整ですから……それは事業官庁に鼻を曲げられたら、あなたとしてはどうしようもない。見ているよりほかないということになる。そうでなくて、もう少し上の方にまで話をし、閣議等でも話し合せるというふうに、企画庁自身が積極的な態度をおとりになるべきだと思う。まあ大臣が出席せられるならばあらためて政府に強く希望しますけれども、あなたの方でも、事務部内でもう少し積極性を示してもらうことを希望しておきます。  それからさっき私問い忘れたので、土地調整委員会の方にお伺いしますが、まあ、かりにそれらの点が一応調整がついて、そして禁止区域を設定することになったあとの問題にはなりますが、どうしても重要資源がここに発見せられた、これだけは解除して採掘しなければならぬという問題が起ってくるようなときには、これはどういうふうに調整になられるのですか。
  79. 豐島陞

    説明員(豐島陞君) 禁止をしたあと重要資源が発見せられた場合どうするか。その場合には通産大臣の方から——通産大臣と申しますか、あるいは知事の場合もありましょう、そちらの方から解除の申請を待ちまして、そうして委員会としては処置をする、こういうことにしております。  それで、今のダム地域にございます鉱区禁止区域の指定をやります場合、二つの理由で、今一応指定をしておるのであります。それは、先ほど河川局長からお話がありましたように、新しい鉱業権が設定せられる、そういうのを一応防ぐという意味で禁止をする、そういう場合は割方広くございます。それからもう一つは、ダムがそこの下を掘るとひっくり返る、そういう意味では、そこに鉱業権を設定させないという場合の禁止は永久禁止。そういう二つの意味で、一応ダムがまだ完成しない場合、今度のような場合でも、一応禁止の設定をいたしまして、そうしてダムが完成しましたあとの湛水区域のような所は、永久禁止じゃなくて一時的の理由で禁止をするというような所は、通産大臣の解除申請を待って解除する、そういうような考え方で一応指定をしております。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では、本日の質問によると、どれもこれも中間的な問題ばっかりで、これでいいのだ、これで行くのだというものは何一つない。何一つないというと、建設省怒るかもしらぬけれども補償の問題だけは強硬だということは、一応わかる。あとは、この事業のためのダムサイトの問題は不確定だということなんですから、来春を待って、あらためて、皆さんの方でも準備ができたところで、再度この問題は質問することにいたしまして、本日はこの程度にしたいと思います。
  81. 石井桂

    理事石井桂君) それでは、本日の会議はこれで閉じます。   午後零時四分散会