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1956-04-27 第24回国会 参議院 建設・商工委員会連合審査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月二十七日(金曜日)    午前九時五十七分開会     —————————————  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     赤木 正雄君    理事            石井  桂君            小沢久太郎君            近藤 信一君            鮎川 義介君    委員            石川 榮一君            入交 太藏君            大谷 贇雄君            斎藤  昇君            榊原  亨君            平井 太郎君            武藤 常介君            若木 勝藏君            村上 義一君   商工委員    委員長     三輪 貞治君    理事            西川彌平治君            白川 一雄君            阿具根 登君            河野 謙三君    委員            古池 信三君            高橋  衛君            苫米地義三君            中川 以良君            深水 六郎君            海野 三朗君   政府委員    経済企画庁開発    部長      植田 俊雄君    通商産業政務次    官       川野 芳滿君    通商産業省軽工    業局長     吉岡千代三君    建設省計画局長 町田  稔君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    建設省東北興業    株式会社監理官 小林 忠雄君   参考人    東北興業株式会    社総裁     蓮池 公咲君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○東北興業株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) ただいまから建設商工委員会連合審査会を開会いたします。  前回に引き続き、東北興業株式会社法の一部を改正する法律案質疑を続行いたします。  なお、質疑に先だちまして、きのう商工委員長及び理事の方々と申し合せました点は、今連合審査会は大体十一時半ごろまでに打ち切りたいと存じます。さよう御了承願いたいと思います。  質疑のおありの方は順次……。  なお、今御出席になっておりますのは、建設省関係町田計画局長小林監理官参考人といたしまして、蓮池総裁経済企画庁から植田開発部長がお見えになっております。
  3. 苫米地義三

    苫米地義三君 ちょっと質問を申し上げたいのですが、この法案の中に、「国会議決ヲ経タル金額範囲内」としてありますが、この金額範囲という予想金額は幾らでしょう。
  4. 町田稔

    政府委員町田稔君) 昭和三十一年度におきましては、九億九百万円が予算総則におきまして保証をし得る限度として規定をいたしております。
  5. 苫米地義三

    苫米地義三君 国会議決を経るのですから、これは当然この国会承認を経ることになると思うのですが、それはそういうふうに解釈していいのですか。
  6. 町田稔

    政府委員町田稔君) 今回本国会におきまして御可決に相なりました予算総則の中に、同額が規定されております。
  7. 苫米地義三

    苫米地義三君 東北振興事業範囲がかなり広いと思うんですが、その程度金額東北振興事業の目的が達成される予想ですか、あるいはただ一部分事業のためにそれを計上したんですか、どっちでしょう。
  8. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいま御意見のございましたように、東北興業事業範囲は非常に広く法律におきましても規定をいたしてございますし、将来東北興業といたしましても各種事業をいたす計画を持っております。今回の九億九百万円の保証をいたします金額は、単に東北興業が今回計画をいたしておりますセメント事業に対する所要資金だけでございまして、これだけの額でいろいろ計画をいたしてございます将来の事業を全部カバーしておるとは考えないのでございまして、将来他の事業に着手いたします際にはなお多額資金を要すると、こういうように考えております。
  9. 苫米地義三

    苫米地義三君 そこに問題があると思うんですが、東北興業性格からいいまして、東北には非常に広範な開発事業が待っておるわけなんですね。それをわずか九億の資金セメントだけをやるというところに、この法案の欠陥があると思うんです。私どもは、東北畜産業という建前からいいますというと、百億を投資してもなお足りないと思うぐらいなんです。これに対処する、北海道の開発のごときもそういう構想でやっているんですが、東北興業は元来国策的な性格を帯びた会社です。それが小出しに、そういうような一つ事業をやるからそれだけのものを用意するということでは、構想が小さ過ぎると思うんですが、その九億という金がまだ予定のものにすぎないものならば、いっそ二十億とか三十億とか、額をふやして第一期の保証をするというお考えがないですかどうでしょうか、伺いたいと思います。
  10. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいま、東北興業事業をなお一そう盛んにするためには、九億では足りないので、もう少し多額金額を獲得すべきであるという御表見でございまして、この点は私たちも全くそのように考えておるのでございます。ただ、東北興業が三十一年度に着手いたし得る仕事といたしましては、現在の機構その他から考えまして、限度があるのでございまして、さしあたっては、現在計画いたしておりますセメント事業にはこの程度でもって一応足りるというように考えております。なお、三十一年度の予算もすでに御可決になっておりますので、三十一年度といたしましてはこれ以上のワクをふやすことは困難かと存じますが、将来におきましては、これはただいま御意見のございました通りに、資金の拡充のために一そうの努力をいたして参りたいと存じております。
  11. 苫米地義三

    苫米地義三君 事業の緩急ということがございますが、今東北では資金を待っておる事業というものは相当たくさんある。しかも急いでやらなきゃならぬというのがたくさんあるのです。その一つの例といたしましては、東北の各県にまたがっておる砂鉄であるとか、あるいはチタン工業であるとか、その加工製練のようなものは、現在の鉄鋼の好況に乗じて、非常に資金の供給を待っておる情勢なんです。その点からいいますというと、セメント事業よりかも遙かにその方が急務であり、国家的にも必要だと思うのですね。それをセメントだけの資金を用意するということは、非常に東北興業性格からいって足りないと私は思うのです。これは今御説明がありましたけれども、なお追っかけその点について御考慮を願いたいと思うのですが、そういうことは当然期待してよろしいでしょうか。
  12. 町田稔

    政府委員町田稔君) 今後砂鉄チタン等事業にも、東北としては非常に必要な事業だから、着手すべきではないかという御意見でございまして、この点は私たちも全く同感でございまして、将来ただいま御指摘のございましたような事業にも、資金等の手当がつき次第、差手して、できるような予定をいたしております。
  13. 苫米地義三

    苫米地義三君 債券の発行の保証なんですが、この債券一般公募をなさるつもりか、あるいは特殊金融機関にまかせるつもりでしょうか、どうでしょう。
  14. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいまの御査問の点につきましては、目下大蔵省と打ち合せをいたしておりまして、他の社債等と同様の方針のもとに募集をいたして参りたいと思っておりますが、なお具体的にいかなる方法によるかは確定をいたしておりません。
  15. 苫米地義三

    苫米地義三君 保証金額並びにその方法については研究中ということでありますが、もう国会もあと余すところそうないのですから、至急に御研究になったらいいと思います。  それからもう一つ伺いたいのですが、これは衆議院の方でつきました付帯決議なんです。その中に「政府は、東北興業株式会社事業遂行並びに運営に関し、国土総合開発の一環である東北地方開発に、最も適当と認められる計画及び方法をもって、これを推進するよう指導監督すべきである。」と、この付帯決議は私は妥当だと思うのですが、この場合に「政府」というのはどこをさすのですか。やっぱり建設省のことをさしているのでしょうか。どうでしょう。
  16. 町田稔

    政府委員町田稔君) この付帯決議で「政府」という用語がございますが、私たち東北興業を現在監督いたしておりますのは、東北興業株式会社法によりまして建設大臣となっておりますので、直接には建設大臣と考えるのでございますが、東北興業株式会社が今後各種事業をやって参ります際には、その事業所管をいたしております関係各省と一体となりまして、この付帯決議にあります趣旨の実現に努めて参りたい、こういうように考えております。
  17. 苫米地義三

    苫米地義三君 ここにも私は疑問を持つのですが、この東北興業株式会社性格からいいますと、建設省所管になっているのはおかしいと思うのです。もっと広い範囲観点を置いて運営しなければならぬと思うのですが、今度のセメント事業なんかも、建設省の管轄であるから特に取り上げたというふうにも考えられるのですが、東北興業創立趣旨から考えましても、もっと広範な観点に立ってこれを指導監督をする必要があると思うのですね。その点からいいますというと、内閣に置くか、あるいは経済企画庁通産省所管する方がいいと思うのですが、今の程度の、建設省所管するというのがほんとうに妥当だと思っておりましょうか、あるいは検討してこれを適正な所で所管するということも考えられているのでしょうか、どうでしょうか。
  18. 町田稔

    政府委員町田稔君) 将来東北興業をどの省で所管することが適当であるかという問題につきましては、私から御答弁申し上げますのはいかがかと思われますが、さしあたって現在は建設省所管に属しておりますので、建設省所管いたしておりますためにいろいろの点で不都合が起ることのないように、十分関係各省とも協議をいたしまして、東北興業株式会社指導監督に誤まりなきを期して参りたいと、こういうふうに存じております。
  19. 苫米地義三

    苫米地義三君 幸い通産省政務次官がお見えになっておりますが、この点に対する何か御感想はございませんでしょうか。
  20. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 東北興業株式会社所管の問題につきましては、どういう点で建設省所管になりましたかは、私そのいきさつをつまびらかにいたしておりませんのでありますが、しかし現在の東北興業株式会社のやっております事柄等から考えますると、所管の問題についても相当検討する余地があるのではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  21. 苫米地義三

    苫米地義三君 今政府部内でもそういう意見がありますので、これはよく検討を重ねて、そうして東北興業使命を達成するような処置を講ずるように、これは私の希望を申し上げておきます。  要点は、東北興業仕事の上からいって、九億や十億じゃ足りない、もっと大規模の資金を融通して、そうして東北産業振興のためにもっと構想を大きくしてやっていただきたいという点が一つと、それからそれがために所管関係検討していただきたいという希望を申し上げて、私の質問は終ります。
  22. 白川一雄

    白川一雄君 たくさん資料をいただきましたので調べさせ、ていただいたのでありますが、現在東北興業が、直営が二つの会社であり、投資会社が、かつては九十あったのが、現在は二十九社になっておる。この減ったのは、独立して採算がとれるようになったから分離したのか、あるいは採算がとれないで会社がつぶれるようになって分れたのか、その点をまずお尋ねいたしたい。
  23. 町田稔

    政府委員町田稔君) 投資いたしました会社の数、それから名称等が、お手元に差し上げました「創立時より投資した関係会社一覧表」といたしまして差上げてございますが、これでごらんいただきますと、改廃年月の欄に、大体どういう理由で東北興業から離れたか、あるいは現在東北興業に属しているかが、一応御推察いただけると思うのでございます。それでこの改廃年月の中で「二二譲」というように書いてございますのは、二十二年に株式を他に譲渡いたしまして東北興業株式会社から独立いたしましたという記号でございまして、ごらんいただきますとおわかりになりますように、終戦直後の二十二年におきまして非常に多くのものが譲渡されたのでございます。これはこの当時特別経理会社のための整理がございまして、それで特別に東北興業株式会社が将来も育成ふする必要が比較的薄いもの、言葉をかえて申しますれば、株式を譲渡いたしましても一応ひとり立ちができそうなものをこの年に大幅に譲渡しまして独立さしたのでございまして、それ以後二十四年、二十六年等にも同じように譲渡いたしたものが多数ございまして、これらも今申しましたように、大体比較的経営がよく、独立さしても一応ひとり立ちができるというものを株式譲渡いたした次第でございます。ただ、これら二十二年ないし二十六年等に譲渡いたしました会社の中にも、その後経営上の不振等によりまして、現在はあるいは解散しあるいは事業を休止をいたしておるものもあるのでございまして、これらの従来投資いたしました会社の大部分は、今申しましたような意味の譲渡による独立が多いのでございます。
  24. 白川一雄

    白川一雄君 私ども東北地理的関係から経済的に非常に不利な状況にあるということも承知いたしておりますし、また従って、産業の面においても恵まれていないということを考えて、このセメント工場を作るということにあながち反対の意思を持っておるわけじゃないのでございますけれども、たくさん膨大にいただいた資料を見てみますと、ほとんど損失をしておるか、あるいは利益があるとしましてもとうてい配当なんかはおぼつかない会社ばかりなんでありまして、真に東北を振興さすという会社使命からいくならば、新しい仕事を興すことも大事だが、非常に因っておる各たくさんの会社内容を整理するのに力を入れていくということも非常に大切なんじゃないか。そうでないと、悪い会社に幾つも上に重なり合っていくというような結果になりはしないか。これがもし民間の会社であるならば、とうていそういうような状況で次々事業を興していくということはおぼつかないのじゃないかということを考えますと、国家の資本を使うからというので、足元の非常に不堅実な会社がたくさんあるのを充実するのを忘れていったのでは、ますます困ることになりはしないかというように感ぜられるのでございますが、投資その他でやっておられる会社事業内容を改善していくというところの施策を、現在どの程度に講じておられるか、その点だけをちょっとお尋ねしたいと思うのでございます。
  25. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいまの御指摘、御意見はまことにごもっともでございまして、各種事業に手をつけまして事業を中途半端にいたしておくということは、きわめて遺憾なことと私たちも存じております。ただ、東北興業株式会社が従来これらの会社投資をいたし、育成をいたして参りましたその資金は、社債を発行いたしまして、それに対しまして政府元利保証をいたし、それによって資金の調達をいたして参ったのでございまして、昭和二十一年の法律第二十四号で、こういう社債を発行いたします際に政府元利保証がとまることになり、それ以後は資金的にこれらの会社を育成する力が東北興業株式会社といたしましては全然失われた次第でございます。それによりまして、会社といたしましてはいかにこれらの子会社を救済しようと思いましても、その力を持たなくなったわけでございますが、今後は、今回御審議いただいております法律が成立いたしましたならば、これらの規定の活用によりまして、資金的にも十分なる力を会社が将来得ることができるようになりますので、それをもとにいたしまして、ただいま御指摘のございましたように、そういう方向に会社をして活動せしめたい、こういうように考えております。
  26. 白川一雄

    白川一雄君 最後に、今のお話を承わりましても、セメント工業に大きな金を使われるならば、まずもってわれわれとしては従来持っておる会社を充実さす方面に使っていく、しかる後にセメント工場というような段階に行くのが、少くも事業家であるならばそういう行き方をとるだろうというように感ぜられるのでございます。また日本の国の現在が、鉄の資源等には国をあげて困っておる現状におきましては、東北特産物のような砂鉄とかいうようなものに力を注いで、これに国がまた援助を与えていくということになれば、かりに国の金を使いましても、国の足らざるものを補うというほどの産業になるというようなことを考えてみますると、われわれ東北の事情を考えて、セメント工場を作るということに反対する意思はありませんけれども、少しねらいが前後しておるのではないかという感を非常に深く持つものであるということだけを申し上げまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
  27. 河野謙三

    河野謙三君 私はまず冒頭に一言申し上げたいのですが、われわれが法案審議をし、これに承認を与える以上は、当然その法案についての責任があるわけです。私自分の問題ですが、過去を反省しまして、毎回、毎国会ごと法律改正のまた改正というものがしきりに出てくるのですが、こういうものは政府責任であると同時に、われわれが審議の過程において慎重を期せなかったということも私自身は反省しなければいかぬと思うんです。今度のこのセメント工場の問題も、国家保証まで与えるのでありますから、当然これは特に慎重を期さなければいかぬと思うんです。  そこで、私はまず通産省に伺いたいと思うんですが、セメント工業を担当している通産省は、この東北興業企画、この企画内容についての十分検討を済まされたかどうか、あらためてもう一度伺いたい。政務次官でも、局長でもどっちでもけっこうです。開発銀行にいろいろの検討をしてもらう前提として、所管建設省はもちろんのこと、セメント工業を担当しておられる通産省としてこの事業目論見書建設勘定、これについての十分の検討は終っておりますか。
  28. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) この件につきましては、昨年の春以来しばしば建設省から御連絡を受けておりまして、われわれとして気のつく程度意見はその都度申し上げているわけでございまして、ただ、具体的の工場設置場所等は比較的最近に御決定になりましたので、それらの点につきましてはその後において検討いたしまして、気のついた点は申し上げてあるわけでございます。ただ、私どもセメント工業所管しております関係で、セメントの需給の関係でありますとか、あるいは価格の推移でありますとか、一般的の事項につきましては、私どもでき得る限りの御意見は申し上げておるつもりでございますけれども、具体的の企業運営の結果、収支採算なり、それらの点がどうなるかというような点につきましては、これは申すまでもなく、直接事業を担当されます経営者経営のいかんというようなことにもよると思います。企業自体の成績についてはわれわれとしても意見を申し上げるには限度があると思いますので、通産省としてでき得る限りの検討はいたしまして、その都度御意見は申し上げているつもりでございます。
  29. 河野謙三

    河野謙三君 検討されたって、その検討される資料というものは、われわれのこの手元に届いた程度のもので検討されているんですか。これよりもっと詳細な検討専門家としてされましたか。私たち手元に届いた程度資料では、検討はできないと思う。あなたの方で検討されて建設省意見を述べられる以上は、もう少し詳細な資料をいただいて、それに基いて検討の結果、いろいろ建設省に御忠告と申しますか、御連絡をされたと思いますが、資料はどの程度資料まで検討されましたか。
  30. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 大体はお手元に配付されておる程度だと思いますが、さらに会社の担当の方もおいでいただきまして、工場設置図面等も拝見いたしまして、可能な程度検討はいたしたわけでございます。
  31. 河野謙三

    河野謙三君 たとえば建設勘定等については検討されましたか。
  32. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) この点につきましては、この前もお答え申し上げたかと思いますが、きわめて具体的な企業計画内容の問題になりますので、開発銀行等においてむしろ検討されることが適当であろう。私どもの気のついた程度のことは申し上げておりますが、具体的の企業計画という点につきましては、開発銀行融資申し込みをされておるというように承知いたしておりまするので、開発銀行の方にも私ども気のついた点は御連絡いたしておりますが、むしろ開発銀行等において詳しく御検討になるのが適当であろう、かように考えておるわけであります。
  33. 河野謙三

    河野謙三君 私は政務次官に伺いますが、そういう通産省が無責任態度でいいのですか。セメント工業を担当しておる通産省が、まるで向う岸の火事でも眺めているように、批評をしている程度でいいのですか。かりに東北興業建設省所管であろうと、セメント工業そのものにつきましては、東北興業セメント工業というものは、今度の損失補償国家の財政に影響があるし、同時にセメント工業全体に影響がある。そういうふうなことで、所管が違うというようなことで、そういう態度でいいのでしょうか。
  34. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 先般来よりたびたび御答弁申し上げましたように、セメント現況等につきましては、忌憚のない意見を実は建設省にも申し述べておる次第であります。その意見に従いまして、建設省におきましてはさらにいろいろ検討を加えられまして、そうして検討の結果、これならば企業化し得る、こういうような観点から今回の計画を実はされたものと、こうわれわれ了承いたしておるのでございまして、通産省といたしましては忌憚のない現況等を実は建設省にも報告いたしておる、こう考えておる次第であります。
  35. 河野謙三

    河野謙三君 はなはだしつこいようですが、忌憚のない御意見——忌憚のない意見というものは、詳細なる資料に基いて検討した結果でなければ、忌憚のない意見は出ないのですね。ところが、われわれの手元に届いた程度の非常にラフな資料以外は通産省に行っていないと、こういうのだから、こういう程度資料で真剣な検討というものはできるわけがない。従って、忌憚のない意見とおっしゃいましても、通産省としてのほんとう意見が出るわけはないのですね。  私はそういうことを通産省にいろいろ言っても仕方がありませんから、私は建設省に伺いますが、建設省はなぜ私が要求した資料を出さないのです。原価計算に関する資料をくれと言っているのですよ。その後幾日たっておりますか。収支計算明細書、これだけで原価計算できませんよ。特に新設工場でしょう。建設勘定等についてこまかい資料をもらわなければ、原価計算はできないのですよ。これは、あなたの手元にあるその開発銀行に行ったものを、そのままくれと私は言っているのです。なぜこれをくれないのです。  時間切れになりますから、私は委員長に申し上げます。私が要求した資料は出ないのです。それでわれわれが審議に参加して、今後この法案が通った場合、われわれ責任を持たなければならぬ。責任持てませんよ、われわれは。幸い建設委員会はまだ引き続きこの法案についての審議の時間があるようでありますから、建設委員会において当然さようなことはして下さると思いますけれども、一応私はこの収支計算についての、また広い意味原価計算十分建設委員会で御検討を特に私はしていただきたい。建設委員会審議されたかもしれません。検討されたかもしれません。われわれは不幸にして、審議材料を与えていただけないのです。それで時間切れなんです。こういうような材料が出ないで審議をしろといっても、できないですよ。従って、材料が出ないままで、この連合審査を終るようでありますから、私は遺憾ながら賛否の結論出ないですよ、私は。つきましては、同僚の建設委員会の方でぜひこれにつきましては、はなはだ私言い過ぎかもしれませんけれども国家損失補償を伴う問題でありますから、もう少し私は十分検討せられ、資料を要求して、そして御検討を願うことを特に私はお願いします。遺憾ながら、私は質問いたしたくも材料がございませんから、質問私はできません。
  36. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私も今の河野委員の御意見と全く同じようなことを考えるわけです。前から幾ら要求しても出されないのですが、あっても出されないのですか、これ以上のものはないのですか、どっちですか。秘密に属するから、出されないのですか。
  37. 町田稔

    政府委員町田稔君) 御要求のありました資料につきまして極力鋼製をいたしたつもりでございますが、なお現在までお手元に差し上げました資料では十分でないという御意見でございますが、私たちといたしましては、この程度資料でごかんべんいただきたいというふうに考えておるのでございます。
  38. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私の質問は、これ以上のものはないのですかということを言っている。あるけれども出さないのか、このことだけ答えて下さい。
  39. 町田稔

    政府委員町田稔君) 実は原価計算資料というお話でございましたので、お手元資料を差し上げたものがそれに該当すると思って調製をいたしたのでございまして、なおこれ以外に、ただいま河野委員の御指摘になりましたように、建設関係等につきましてはなお詳細な内訳等はございます。
  40. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、開発銀行に出されたのはこの程度のものなんですね。
  41. 町田稔

    政府委員町田稔君) 開発銀行に対しましては、建設関係についての内訳も提出いたしてございます。
  42. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は今までのいきさつをずっと見るとね、セメントほんとうにやる気ないんじゃないかという気がするんですよ。一応こうしておいて、途中でカーバイドでも何にでも変えていいんだと、こういう腹あるんじゃありませんか。
  43. 町田稔

    政府委員町田稔君) 今御質問のありましたようなことは考えておりません。セメントをやるつもりで私たちは努力をいたしておるのでございます。
  44. 河野謙三

    河野謙三君 私はもう一度重ねて申しますがね、私の要求した資料というものは、今三輪委員長の言われたように、開発銀行なり建設省に出ておる資料をもらいたいというのです。それが秘密に属するならば秘密会でも何でもいいんですよ。あらためて作る資料じゃないんです。あなたの方で十分検討されて、これであなた満足しましたか。これで満足するはずないんです。これ、そうでしょう。われわれにはこういうものをよこした。これは関係会社のあれですが、原価計算関係資料だって、この半分くらいあるはずですよね。開発銀行に行っているものと同じものがある。それを要求しているんです。出ないなら出ないで、どういうわけで出ないんだ。秘密会を要求されれば、秘密会でいいんですよ。私はそれを要求しておったのです。しかし、先ほど申しましたように、時間切れでありますから、建設委員会の方で、もしそういう資料があなたの方に出ていないなら、同じ立場において、議員として私と同じように、建設委員会でも開発銀行なり建設省に出ている資料というものは十分検討さるべきだと私は思う。それを拒む理由、私はないと思うのですよ。それを私は申し上げておるのです。  それから最後に一言だけ。私はそういう意味で非常に遺憾の意を表して、この質問は打ち切りますけれども、最後にもう一度伺いたいのですけれども東北興業の今度のセメント工場のキャパシティは幾らです。
  45. 町田稔

    政府委員町田稔君) 二十四万トンであります。
  46. 河野謙三

    河野謙三君 それで稼働率は七〇とか七五とおっしゃいましたね。そういうことになりますか。
  47. 町田稔

    政府委員町田稔君) 八〇%でございます。
  48. 河野謙三

    河野謙三君 それだけ見たって、これ違うじゃないですか。この収支計算のところで、一番最後の方に、二十四万トンの製品が出て、それに東北地区に十八万トン流して、関東その他に幾ら流してと言っている。二十四万トン製品ができたことになっておる。二十四万トンのキャパシティで、八〇%なら二十四万トンは出ないじゃないですか。それ一つを見たって、非常に私たちはずさんなものだと思うのです。ある場合にはキャパシティーぱいの数量を持ち、ある場合にはキャパシティの八〇%の稼働率とする、こういうようなことで、この一つ見たって数字が非常に不安定なものじゃないですか。そういうものを一つ、これはいずれも原価に影響があるのですよ。私が今申し上げるのは、それやこれやについての非常に私は、われわれ遺憾ながら検討が何もできないまま、この連合審査の機会を私は失うということになると思うのですが、どうぞ建設委員会の方で、はなはだ私言い過ぎでありますけれども、今後余された時間で十分な御検討をお願い申し上げたいことを、私は同僚の議員として特に希望しておきます。
  49. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それからね、前に資料を要求してから二十日以上たったわけですね。実際提出されたのは、私らの手元におととい来たわけです。それをもう、きょうは時間がないからというて、実はきのうも連合審査をやめて、通させてくれというようなことなんです。これはわれわれの審議権を奪うものであって、非常に遺憾なんです。一体これぐらいの簡単な資料を出すのに、二十日以上かかるのですか。もっとも量は膨大なんですが、中のものは、あんなにこまかいことは要らぬのですよ。ほんとうに一番大切なものを詳しく出して下さい。そしてもう簡単なものを出しておいて、こけおどしに量だけはこんなものを——これはみんなに配るものだと思ったのですよ、二十人分。そうしたら、一人分だというのですね。あけてみたら、要求しておる必要なものは、ほんのちょっぴりしか出さないで、ページ数だけこけおどしに大きく持ってこられました。それで二十日もその上も、今までずっと検討されておったのですか、これを。ただ、いよいよ最後になれば、五月四日になれば、もう衆議院議決後六十日になって自然成立する。だから、何とか日を送っておれば、まああまりいやな質疑もされぬで済むというような、そういう僕はお気持じゃなかろうと思うけれども、しかし一昨日手元に、われわれのもとに出しておいて、もう日にちがないからといって、きのうは連合審査も打ち切って通してくれと、こういうようなことなんですね。これは一体、二十日以上何をされておったのですか、資料の作成……。
  50. 町田稔

    政府委員町田稔君) お手元に差し上げました資料は、実は各御要求のありましたものを全部そろえたつもりでございまして、大へん日にちがかかりまして恐縮いたしたのでございますが、これらの資料を作りますために、いろいろのもとになるものをかなり収集いたしますのに日がかかりましたので、大へんおそくなりまして申しわけございません。この点は深くおわびをいたしたいと思います。
  51. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 結局ですね、あなた方がこんな資料を出されるのに二十何日もお費しになった、そのためにわれわれは審議を一時間ぐらいに縮められた、こういうわけなんです、結果は。これは実に遺憾ですよ、われわれはこの法律責任を持てませんよ。
  52. 海野三朗

    ○海野三朗君 私が政府当局にお伺いしたいことは、この東北興業の幹部となっておる人たちは、みなそれぞれ前歴を持っておるいわゆる札つきがなっておる。この東北興業の今日までの、これまでの資料を出されたもの、ざま、何ですか。これを見ると、私はまず第一に、この東北興業の社長といいますか、総裁というか、何をしておったんですか、今まで。私はまずその責任を第一に問いたい。そうしてこのままで、私はその官吏の古手がいろいろなところに入っていって仕事をやる、それは大いによろしいのです。これはよろしいのでありまするが、その人を得ない。今日までの業績を見るというと、こんなざまでは私は幹部の責任を問いたい。このままでおやりになるつもりか、幹部の入れかえをおやりになるつもりか、政府当局に一つお伺いいたしたい。
  53. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいま会社の幹部のことにつきましての御質問でございましたが、現在の総裁は、本日お見えになっておりますが、昨年の一月に総裁におなりになったのでございまして、その後一年ちょっとしかなっておりません。この間におきましても非常に会社の再建のために努力をされまして、総裁、就任されて以来の会社の業績は、きわめて着実に発展をいたして参っておると私は考えるのでございまして、きわめて適当な幹部が来られたというように考えております。
  54. 海野三朗

    ○海野三朗君 しかし、幹部の方は大てい官吏の古手ばかりじゃないですか。どういう方々が幹部になっておられるか、ちょっとお指示をお願いしたい。これには商売人は入っていない。事業家とか、こういう会社を興してやっていくということに相当経験のある人が入っておるとは思われないのですが、どういう幹部がおやりになっておるか。机の上のお仕事ではいけない。東北の現状を見まするというと、やらなければならない問題がたくさんある。それだのに、私はもう少しこの事業というものに対しての経験のある幹部を会社に入れる必要があるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、今の幹部、そのままにしておやりになるお考えなんですか、どうですか。
  55. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいま御意見にございました通りに、事業をいたします際には、その事業につきましてきわめて熟練の幹部を必要といたしますことは、私たちもそう考えております。ことにセメント事業につきましては、セメントに関しまして経験を持った幹部を必要といたすのでございまして、それに備えまして、現在セメントに関しまして、ことにシャフト・キルンのことに関しましては、わが国におきまして有数の権威者であります小柳博士を技師長に迎えまして、次期の総会におきましては理事になっていただく予定のように聞いておりますが、その他、それぞれの必要な職には、それぞれの専門家を入れております。極力御指摘になりました御趣旨通りに充実をはかりまして、今後運営をいたして参りたい、こういうふうに考えております。
  56. 海野三朗

    ○海野三朗君 世間の評判を聞いてみますると、あれは官吏の古手の救済の事業であるということを私は耳にするのでありますが、今度のこの政府出資ということについては、東北の現状に照らして私はあながち反対するものではありません。最も必要なることではありまするが、その人を得ないのじゃないか、そのあり方について幹部の人たちの少し気が抜けておりはせぬかという点を気づかわれるのでありまして、また一面からいうと、この政治的な方面に相当つまり手が伸びておると、何と申しますか、政治資金が流れておるというようないやな話をも私は耳とにするのでありますが、そういう雑音と申しますか、非常にいやな感じを与えられておるのでありますが、政府当局としてはそういうことは、耳をおおって知らぬふりをしていらっしゃるのか、お聞きになったことありませんのですか。そういう点はどうなんですか。
  57. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいま御意見のございましたような点につきましては、会社といたしましては最も戒心すべきことでございますし、監督官庁といたしましても、そういうあやまちがありましては相済まぬわけでございますので、最も気をつけておる点でございます。今回のセメントをやりますにつきまして、借入金の申し込みを開発銀行にもいたしておりますが、開発銀行等におきましても、これらの借入金を許しますためには経理の調査を必要といたしますので、一月以上にわたりまして詳細綿密に会社の経理を逐一洗ったのでございます。その結果、会社が、経理におきましてはきわめてまじめに、何らの非違なくその経理をいたしておりますことが判明いたしまして、むしろ開発銀行といたしましては、その面におきまして非常な会社に対する信用をいたしておるように聞いておるのでございます。私たち監督官庁におきましても、特に専任の監理官を置きまして、その点につきまして、今お話のありましたような点につきましては、十分監督を厳にいたしておりますので、東北興業株式会社といたしましても、そういうあやまちが万が一にもないということを確信をいたしております。
  58. 海野三朗

    ○海野三朗君 私はもう一つ要約して申し上げますと、この事業は、つまり東北興業としての事業は、東北の方にはぜひなければならない必要なことではありますが、今日までの幹部になってきた人たちがみな官吏の古手ばかりでありましょう。そういうふうなあり方が私はもう少し改善されなければならないのじゃないか。それは官吏の古手が入るのは大いにいいですが、専門的な人をもっと幹部に入れて、そうしてやっていこうということにしていただかなければいけないと思うのです。それで現在の幹部がまだそのままにして頭を持ち上げてやっておるということではいけないから、その点については、人事の方などはどういうふうにおやりになるつもりでありますか。ただ二、三の人をつけ加えてやっていくという、ほんとに微温的なことをおやりになるのか、とにかく幹部初めみな入れかえてやっていこうという御決意があるのか、その辺を私はお伺いしたいことが一つと、それから通産省の方にお伺いしたいのでありますが、大体仕事の面からあなた方が見て、これでいいというお考えでいらっしゃるのかどうなんですか。私は政務次官にお伺いいたしますが、全然仕事内容から児るというと、通産省の扱いになる方がほんとうのように私は思うのですが、ただ意見だけを言うておるのではいけない。これは隔靴掻痒の思いがあるのじゃないかと思うのですが、こういうことでいいでしょうか。通産省当局にもこのことをお伺いしたい。御答弁をお願いしたい。
  59. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) 所管の問題でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、事業内容等から考えますと、あるいは通産省所管が適当である、こういうふうにも考えられるのでございますが、しかし東北振興という問題と、その他の目的等もございまして、そして設立された会社でもございまする関係上、建設省所管ということになったものと私は考えます。しかし事業等を勘案いたしますと、疑問等もございますので、これは今後政府において検討すべき問題ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第であります。  なお、この企業化の問題でございますが、この問題につきましては、通産省といたしましてはいろいろと建設省にも意見を申し上げ、その結果、建設省におきましてもいろいろ各方面から御検討になり、御検討の結果、企業化しても大丈夫である、こういう観点に立って今回のこの法案を出されたものでございますから、従いまして、この問題につきましては全面的に側面的から御後援申し上げまして、そしてこの目的を達するために実は御協力申し上げたい、かように考えておる次第であります。
  60. 海野三朗

    ○海野三朗君 ただいまの政務次官のお話はよくわかりますが、もう一つ、私は率直に申し上げますと、通産省が無能であるからこういうことになった、通産省の働きが足りないからこういうことになってきたと私は思う。業界の方についてもそうである。もう少し通産省が強く打も出してくれば、こんなへまなしにやっていけるのじゃないか、こういうふうに思うのです。通産省としては一大決心を持たなければならぬじゃないかと思うのですが、局長はどういうふうにお考えになっておりますか。セメントというものは通産省の管轄だからといって、セメントに対するところの行政、そういう方面にもっと力をお注ぎにならなければならないのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、いかがなものでありましょうか。
  61. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) セメント工業は、これは建設事業のためきわめて重要な事業でございます。そのような見地から、これが合理化につきましては従来とも努力しておるつもりでございますが、ただいま御指摘の点もございますので、今後一そうその点につきましては努力をいたして参りたい、かように考えております。
  62. 海野三朗

    ○海野三朗君 建設省局長にお伺いしますが、私はさっきから、執拗でありますが、東北興業というものは私はお役所の仕事のように思うのです。私は幹部の人たちのあり方について十分吟味されなければならないのじゃないか。ただいまの総裁はまだ昨年かわったばかりだと言われますが、その前の総裁は一体どういう人だったのですか。
  63. 町田稔

    政府委員町田稔君) 現在の蓮池総裁が御就任になりましたのは三十年の一月でございましたが、蓮池総裁の前は、しばらくの間会社事業が非常に不振でございましたので、比較的人件費等を特に節約すな意味等もございまして、副総裁だけがおられた時代があるのでございまして、二十四年には蓮池総裁の前の濱田幸男総裁がおられまして、二十六年八月におやめになりましてから、その後三十年までは、今申しましたように、副総裁がその職におられました。その間おられました副総裁は古木隆藏、それから現在の副総裁の金子千尋、この二人の方が副総裁としておられたわけでございます。なお濱田総裁の前は、二十一年六月から二十四年の四月まで龍野昌之氏が総裁として御就任になっておられたわけであります。
  64. 海野三朗

    ○海野三朗君 その方々はやはりお役人上りですか。
  65. 町田稔

    政府委員町田稔君) 蓮池総裁が御就任になるまでは、金子副総裁が総裁の役をしておられましたが、金子副総裁は全く民間の事業をずっと続けておられた方でございまして、東北興業に来られるまでは鐘紡にお入りになっておられまして、人事部長等をやられ、なほ鐘紡関係の各工場長を歴任された方でございます。
  66. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つ、私は最後にお伺いを申し上げたいと思うのですが、こういうふうな会社というものは、やはり政府事業でありますから、その一定の方針のもとに、はっきりしたつまりバック・ボーンでやっていかなければならないのじゃないか。そのときどきに人間の都合で人を入れかえるというようなこと、しかもその人たるやあまり、事業実績から見るというと、相当の人とも思われない。そういう人がときどき来て、あぐらをかかれちゃ、その跡始末を国家がやっていくようじゃ、はなはだよろしくないのじゃないかと私は思う。で、この政府資金を出すという点になりますというと、われわれもみな同じ責任があるわけでありますから、この点をはっきりとしていただき、それについては、どうしても相当なる幹部を迎えなければならない、幹部の一大刷新ということを常に念頭に置いてやっていかなければいけないのじゃないか。都合によってまた副総裁、総裁を持ってくる、遊ばしておけないから、またあそこへでも入れようというような政府の、つまり官僚の古手を救済するような考えであっては私はならないと思うのです。そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  67. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいま御意見のありましたことはまことにごもっともでございまして、従来も官吏の人を特に救済するために副総裁、総裁を置いたということは絶対なかったと思いますが、御趣旨ごもっともでございますし、将来におきましても、かようなことのありませんように十分戒心いたしまして、指導いたしたいと思います。
  68. 河野謙三

    河野謙三君 この機会にちょっと通産省に私は伺いたいのですが、この間からの通産省の御説明によると、セメントは非常に生産過剰になっている、稼働率は七〇にもなんなんとしておる、こういうことであった。しかも  一方、セメントの販売条件を見ますと、非常に他の物資に見ないような交錯輸送が現況において行われておる。この交錯輸送によって運賃というものは不当に高くなっておる。一方、このセメントの需要はどこかというと、一番大口の需要家は国であり、国の直営工場、もしくは運輸省、もしくは電源開発、かようなところが非常な大口需要ですね。こういうこの国が直接その大口需要家になるというようなセメントに対して、現在のような生産過剰に基くいたずらなコスト高、また交錯輸送に基くいたずらなコスト高、こういうものに対して、セメント工業を担当していく通産省では今後これをどういうふうに指導していかれるつもりですか。これはこのまま相変らず放任ですか。
  69. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 従来北海道地区におきまして、需要に対しまして生産能力が不足の傾向がございまして、一部東北地方等から行っておる。それから行政区画の面で申しますと、東北と関東ということになりますが、たとえば福島あたりからは、新潟地区等にはむしろ地理的には出しいい、こういうような関係もあったかと思います。しかし御指摘のように、なるべく交錯輸送というようなことは少い方が好ましいということは、御指摘通りでございます。なかなかこの競争の激しい場合に、これを厳密に解消するということも困難な事情がございますが、御指摘のように、非常な遠距離からただ競争上交錯輸送が行われるということは好ましいことではないと思います。今後御指摘の点も十分留意いたしまして、指導して参りたいと考えております。北海道につきましては、昨年できました室蘭の富士セメント工場が最近設備を増強いたす関係がございますので、その関係からの交錯輸送はある程度それによって減るのではなかろうか、こう考えております。なお今後十分それらの点に留意して参りたいと考えております。
  70. 河野謙三

    河野謙三君 今申し上げましたように、国が面接の需要家としてこの交錯輸送の負担を背負っているわけですね。こういう現実に照らして、今局長が今後何とかして参りたいと思うというような段階ではないと思う。これに対して今後こうしてこうやるという具的体な御説明が私は願いたいのですよ。東北興業についてわれわれが初め説明を聞いたのでは、東北セメント東北興業でまかなうのだ。もちろんそれだけでは足らぬからよその会社のやつも使うのですけれども、ところが、事業目論見書、収支決算書を見ますると、東北興業というものは東北の振興のためにできた会社で、東北のためにセメントを作る会社がやはり関東地区へセメントを流さなければならぬ、東北地区へ流せば五百何円の運賃で済むものを、関東へ流して千円幾らかかる、平均七百円の運賃がかかる、こう書いてある。こういうことは今後ますますこの弊害が激しくなると思う。それに対して今具体的な法律を出してどうとかこうということは、いかぬでしょう。いかぬけれども、どういう手を打たれますか、こういう問題に対して。一体セメントの生産地と消費地と直結した場合、消費者と生産者と直結した場合、今のセメントの運賃というのは幾ら安くなりますか、こういう計算をされたことがありますか。コストの中に一割五分から二割になんなんとするような膨大な運賃ですよ。いわゆる運送工業ですよ、セメント工業というものは。運送の合理化ということを考えないセメント工業はあり得ないと思う。そういうことを全然手をつけないで、年々歳々平均運賃は上る一方じゃないですか。一方において幾ら機械の合理化をやり、工場経営の合理化をやりましても、片方において交錯輸送というものの弊害なんというものがどんどん逆に出てくるなら、何にもならぬわけですよ。そういうものを含めて、私は今度の東北興業セメント工場というものに対して、通産省はもっと積極的に私は意見を出さなければいかぬと思います。これを向う側から火事を見ているように、建設省所管のことだから私たちは知りません、ただ御注意申し上げますという程度で、私はそういう無責任なる態度ではいかぬと思います。話は長くなりましたが、運賃の合理化についてどういう施策をとられますか。
  71. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) この前も申し上げたかと思いますが、理論的には全くお話の通りでございますが、一般に工業製品につきましては、地区間の需給ということをそう強く考え出すこともむずかしい面もございます。また東北、北海道等につきましては、御承知のように、冬場の間は建設工事等のむずかしい地区等もございまして、それらの関係から、ある程度他の地区に行くというような関係もあるかと思います。一般に大きな工事等につきましては、競争入札の方法によりましてセメントを入手している場合が多いわけでございまして、それらの場合に各社間において競争が行われますような事情もございまして、厳密な意味で交錯輸送をやめるということもむずかしいかと思いますが、この点につきましては、今後業界にも御指摘の点をよく話をいたしまして、でき得る限り運賃の軽減なり、またそれによって企業の合理化に資するというような方向で、努力いたして参りたい。ただいまそれ以上具体的にどうこうということも申し上げる考えを持っておりません。はなはだ不十分でございますが、そういう気持をもって今後やって参りたいと思っております。
  72. 河野謙三

    河野謙三君 全く不十分です。これはよろしくということずてのようなことだけでは、腹はくちくならない。もう少し、われわれが伺う以上は、具体的に質問している以上、われわれに対して具体的な御答弁がなければならぬ。これはセメント工業は非常に重要な産業なんです。その重要な産業に対してこれを合理化するために、運賃の問題について、特に大事な運賃の問題についてその程度のことであるから、われわれは今度のようなこういうふうな東北興業セメント工場の問題が出てくると思うのです。私はこの法案に関する限り、この委員会で終始いろいろお尋ねしましたけれども、終始一つも満足の行くような答弁はない。納得の行くような答弁はない。これはさっき三輪委員長からおっしゃいましたが、建設委員会の方でもう少し私は検討してもらいたいと思います。お願いします。これは本院でこれを審議して、これを本院で採決した以上は、われわれも建設委員じゃないが責任があるのです。私だけの考えじゃないと思います。これはどなただって全部、満足の行くような答弁をいただいたことは私はないと思います。重ねて申し上げますが、非常にこれは審議不十分であります。どうぞ建設委員会の方でとくと御審議を重ねられんことを私はお願いをいたします。
  73. 苫米地義三

    苫米地義三君 法案そのものについてはそう異議はないように思うのですが、要は、内容は、セメント工場を作るためというこの問題なんです。その点について通産省の人に最後にちょっとお伺いしたいのですが、この社債保証をして、国家の力を添えて、そうしてセメント工場を作るというのですね。しかるに日本の国のセメント工業の全体から見れば、生産過剰あるいは配給の点からいっても不備はないというようなことであれば、これは少し無理だと思うのです。そこで私の伺いたいのは、そういう国家の力を注いでもこれはやらせなければならぬという日本のセメント事情であるかどうか。もしそういう事情であるから政府が一体となってこの法案が通過するように努あるという熱意を持っておられるのかどうか。これは通産省関係だと思いますから、とくとその点をお伺いしたいと思います。
  74. 川野芳滿

    政府委員川野芳滿君) なかなかむずかしい質問でございまして、実は現在の実情から申しますると、数字的にはセメントは不足いたしておらない、こういう数字に実はなっておるわけであります。しかし、こういう品物というものは非常に好景気、不景気、こういう点が影響をするのでありまして、今日不足しておらないからと申しまして、あるいは将来不足するような場合もあろうかと考えます。  また貿易面でございますが、外国にもある程度今日輸出が可能になって参っております。さらに今後セメントの輸出問題につきましても、政府といたしましても御努力を申し上げておる次第でございますので、さらに輸出が増すということになりますると、ある程度セメントが必要になってくる、こういうことにも相なろうかと考えます。  なお、今回御計画になっておりまするセメントは、数量が年産二十万トン程度でございまして、数量から申しますると、大した数量でもなかろうかと、こういうふうにも考えられるのでございまして、こういう面から考えますると、建設省の今回の御計画に対しましても、あるいはこの程度なら差しつかえなかろうかとも実は考えられる次第であります。
  75. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ほど私ちょっと言葉を出しておきましたが、政府がこれほど補助するのでありますから、これはみな責任があるわけであります。で、今度のこの法案が通った場合において、幹部の諸君を相当一大刷新をしようというお考えが政府当局にあるかどうか、今の幹部そのままでやらせようというお考えか、この幹部を刷新しなければならないというふうにお考えを持っておられるかどうか、それを一つお伺いしたい。
  76. 町田稔

    政府委員町田稔君) 先刻もお答え申し上げましたように、セメントをやって参りますために必要な人員の整備につきましては、現在も努力をいたしておりますし、将来も必要な人員を入れるように十分努めて参ります。これは幹部職員ばかりでなく、末端に至るまで十分経験を積んだ者を入れるつもりでございまして、御趣旨に十分沿って、その事業が成功いたしますように人的な整備をいたして参りたい、かように考えております。
  77. 海野三朗

    ○海野三朗君 いや、その幹部の人たちの刷新をやろうというお考えがあるかないか、それを私は伺っておるのであります。必要な人物をお入れになることはもちろんでありますが、今日までの幹部のあり方では私ははなはだ不満に思うのでありますが、これに対して相当刷新しようというお考えを持っておるかどうか、政府当局はどうお考えになっているか。今までのままでやらせよう、これじゃ将来も私ははなはだ心もとないと思うんですが、その幹部の一大刷新をやろうというお考えがあるかないか、そいつを私は伺っております。これはいかがなものでしょうか。
  78. 町田稔

    政府委員町田稔君) 先刻お答え申し上げましたように、総裁は来られましてからまだ一年ちょっとでございまして、今お話がございましたけれど、従来の会社はいろいろ、もし御不満な点があるといたしましても、新総裁になってからの問題ではありませんし、新総裁が来られまして以来は、非常に事業の刷新を見ておるのでありまして、私は今後セメント事業をやって参ります際にも、新しい総裁に大いに期待をいたしておるのでございますが、なお人事の点につきましては、いろいろ結論的なことを私から申し上げる立場にございませんので、答弁申し上げることをかんべんしていただきたいと思います。
  79. 石井桂

    ○石井桂君 先ほどからお伺いしておりますと、従来からの成績の芳ばしくないことも、いろいろ機構や幹部の人となりにもあるという御意見があるわけです。そこでこの東北興業の監督権を持っておる政府としては、悪いところを改めるということはどなたが聞いても一向差しつかえないことじゃないかと思うんです。それをなぜ勇敢に——逡巡されるのか。政府の方針としてはそうだ、しかし総裁もおるのですから、総裁に監督権がある立場から総裁と話し合って、悪いところがあったら改善して、この東北興業の目的を達成するのに全力を尽すんだという所信を披瀝しても、一向差しつかえないと思うんだけれども、何をごたごたやって答弁を逡巡しているんですか。この東北興業の能率を上げる全責任があなたの方にあると思うんです。それに協力するに一差向しつかえないんだから、あなたが自分で総裁の首切れとか、副総裁の首切れとか、決して質問者は言っておられるのじゃないのですよ。だから、言っているいい趣旨には、そういう御趣旨に沿って全力を尽しますと言われても、一向差しつかえない。何かあげ足でもとられるように用心する必要は何もないから、勇敢に言ったらいいと思うんです。だから、同じことを何度でも聞かれて、だらだら答えておる。だから、勇敢に一つ答えて下さいよ。
  80. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいまおしかりを受けましたのですが、今の石井委員の発言の通りでございまして、今後会社指導監督には私たちも万全を期して参りたいと思います。
  81. 阿具根登

    ○阿具根登君 私どもは、与野党を問わず、こんな不明朗な法案審議させられたことは初めてです。通産省に聞けば、これが確信のある事業でもないようであるし、しかもたとえ損失を覚悟の前でもこうしなければできないという確信があるならいざしらず、セメントは余っておるけれども、数字面では余っておるけれども、あるいは必要となってくるかもしれない。そういうところに何十億という全額損失補償をして、何のためにやらなければいけないか。たとえば会社に対しては、石井さんからもおしかりがあったように、こういうことがあるじゃないか、前に不明朗な点があるじゃないかと指摘されておっても、それに対する確たる返事もできない。何かもやもやしている、うしろ暗いものがあるような感じを受けて、こういう不愉快に思ったようなことは私たちは初めてだ。  そこで、私は時間がないから、一つ、総裁もお見えになっているようですから、直営事業についてもっと聞きたかったんだけれども、前日になってからこういう膨大な資料を持ってきて、そして資料がこれだけしかありませんといっても、どこを質問していいかわからない。しかも河野委員から指摘された資料一つも出ておらない。  そこで一つお聞きしたいのですが、直営事業の中で木友鉱山ですか、亜炭の鉱山がございますが、これは年間一千七百万円の利益を上げておるようでございますが、総損の方が八千二百万円あるようですが、人件費はこの何パーセントを見ておられるのか、その点をお尋ねいたします。
  82. 蓮池公咲

    参考人蓮池公咲君) 木友鉱山の経営につきましては、事務組織、それから販売組織等のいわゆる会社経営企業体としての独立組織をほとんど持っておりません。亜炭採掘の現場作業に必要な労務者を生体といたしまして、基幹の職員は、理事であります寺田理事がその道の専門家でありますので、その指導のもとに十名足らずの職員が携わっているだけで、無事に、しかも着々と成績を上げて動いておるわけでございます。人件費の比率は、私は今こまかい数字を実は手元に持参しておりませんので、正確なことは申し上げられませんけれども、きわめて少額と心得ておるわけでございます。
  83. 阿具根登

    ○阿具根登君 資料をお持ちにならなければけっこうなんですけれども、私どもが先般渡された資料を見まして、これを分析してみますと、一人一月当り十七トンの石炭を出しておる。しかもそれが一千七百三十円で売られておる。そうしてこれに利益金が年間千七百九十五万六千円出ておる。ところがです、この総損の中の人件費を八五%に見ても月額二万円です。おそらく私は六〇%か五〇%くらいだと思う。炭鉱の実態から見て、五〇%くらいだと思う。そうすれば、二万二千円くらいで人を使っておって、しかもこれには益金を一千七百万円も上げましたと麗々しく書いてありますが、それで総裁として正しいと思いますか。今度政府が出しておるセメントのやつは二万数千円のやつを組んでございます。ところが、実際あなたが使っておる人は、しかも石炭に従事しておる人が一万ちょびっと、そして益金はこれだけありますと麗々しく出してありますが、こういうことで総裁としていいかどうか、お尋ねいたします。
  84. 蓮池公咲

    参考人蓮池公咲君) 私、お答え申し上げるのは非常に心苦しく思う点でもありまするけれども、御存じの通り東北興業の終戦後の事態が、この社債の発行の資金源がとまりました上に、つながっておりました子会社のおおむねは戦時経済の必要によって事業を興した中小企業が多いのでございまして、その収束に当りまして、なけなしの中から支援をしていかなければならない面が非常に多かったこと。それから一方、社債資金源はとまりましたけれども、国の元利保証をしていただいたる社債でありまするだけに、いかなる苦心を払ってもこれを支払って、償還していかなければならぬということ。この二つの大きな課題にはさまれまして、東北興業の数多の実務の職員はほんとうに気の毒な運命になったと存ずるのであります。人員は大幅に縮減を見まして、縮減に縮減を重ねて、ほとんど最小限度の人員になっております上に、給与ベースも、東北開発のために大きな使命をになっておる会社であるということを、末端の労務に従事しておる職員までこれを胸に体して、待遇のベース等も比較的低いのでありますが、しんぼうにしんぼうを重ねてもらって、今日に至ったというのが実情でございます。しかしこの時期に当りまして、新しい事業企画推進いたしますということになりますと、外部からいろいろ技術上の要員も入れなければなりません。そうなりますと、なかなか従前、二十年来非常な苦境にあえぎながらも、この使命のある会社に奉仕するということでやってこられた職員の方々と同じ気持で、なかなか採用して参るというわけにも参りません。そこで新しい企業につきましては、普通の賃金ベース、給与ベースというものを企画の中心に立てておるのでございますが、現実の東北興業の人も、及び福島における工場では、決して一般の給与ベースに相当する額まで——みんながその時期になってくるのを待ってはおりますけれども、にわかにそこに達することができないことを、私おあずかりをしておる責任者として、まことに心苦しく存じておる現状でございます。
  85. 阿具根登

    ○阿具根登君 お苦しい実情は私もわかりますが、木友鉱山を私は見ておりませんから、憶測でものを言うのは非常に失礼かとも存じますが、私は総裁の、責任あるあなたの御答弁を、もっと別な期待をしておったわけです。たとえばセメント工業ならセメント工業が、こういう場台になって数百名の人が採用される。しかもその人の採用条件というものは、一般の産業並みの条件で採用されるようになっておる。ところが、戦争前から営々としてあなたが使ってこられた人たちは、それよりはるかかなたの方にいる。こういうところを合理化する建前においても、今度の事業に対してはどういう計画を持っているのだ、たとえば木友鉱山をもう少し合理化して、その中の人間をセメントならセメントで取って、あなたの関係している会社の連中は全部同じようなレベルにおいて働いていけるのだとかなんとかという、あなたの総裁としての公算がおありになるかということを、私は一応御質問申し上げたのであります。そうしなければ、私は興業自体に対してこういう政府が出資しても、何にもならない。結局損をしても、これは国が補償をするのであるから、ちっとも独創的な考え方も何もない、そういう経営は私は無能だと思う。そういう考え方から海野さんの質問も出ておる。いわゆる経営のあり方としてはこうあらねばならない、今までの欠損はこういうふうにして防ぐのだ、あるいはこういうふうにしたならば実績が上るのだというような構想がはっきりとわいておらなければ、国が欠損まで覚悟して融資をするということは私はできないと思うのです。そういう点からあなたに質問したのであって、御思慮がないようですから、これ以上は質問はいたしませんが、私はそういう点からも、通産省から受けた感じからも、建設省から受けた感じからも、総裁のあなたから受けた感じからも、国が莫大な金を出してやるような事業と私は思えない。  しかし、これ以上やってもこれは意見の対立ですから、しかも時間もないようですから、どなたかも御意見があったようですが、建設委員会はただばく然として、これがきれるからというような考えでなくて、実際こういう国の財源を使う場合にどうあらねばならないかということを、慎重に私は御審議してもらいたいと思います。
  86. 古池信三

    ○古池信三君 二、三の点についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、まずその前に、他の委員からも御発言がございましたが、われわれはこの法案審議して通すといたしまするならば、これは非常に責任がやはりある。特にこの法案を見ますると、政府がこの会社の発行する債券については元利ともに保証するということになっておる。今年度は九億ということになっておりまするが、それだけの多額元利保証政府がするということになれば、これはよほど慎重に審議をしなければ、責任上相済まぬと思うのです。私は東北の振興のために政府が特別な援助を与える、そういうこと自体については少しも反対はないのでありまして、ただ政府がそれだけの責任を負うてまで援助を与える以上は、その仕事が円満に、完全に遂行されなければ、そこに幾らかでも、果してうまく行くかどうかという危惧の念があれば、これは一つ慎重に考えるべきだ。確実なる事業が興されて、ほんとう東北振興に役立つならば、私何としてでもそれは政府が出してよかろう、元利保証もけっこうであろうと、その点については賛成をいたすものであります。それでこの間うちからいろいろ質疑応答を承わっておりますると、どうも本問題については政府側の御答弁も、ときによってまちまちなような感じを受けておるのです。もう少しこれは政府としてもしっかりした答弁の統一ということもなされなければならぬという点があるようにも思っております。  それで二、三、私がお尋ねしたいと申しまするのは、まず資料についてでありまするが、このセメント事業について、最初からの御説明によりまするとシャフト・キルンの方法を使うから非常に安いセメントができる、これが今度の東北興業セメント事業の大きな特色であると説明をせられたようであります。ところが、この最初ちょうだいした資料によりますると、セメント事業目論見書におきましては、本方式は建設費が従来のロータリー方式の二分の一以下で済む。で、製造原価もはるかに低廉であるという経済的利点があります、こういう説明が出ておるのです。ところが、同じく同時に提出された他の資料によりますると、全くこれは違っておるのでありまして、その資料によりますと、シャフト・キルンはロータリー・キルンの約三分の二と、こう出ておる。で、莫大な建設費を要するかような事業について、政府で同時に出された資料において、片一方は二分の一以下である、片一方においては三分の二であるということは、これは私非常にどうかと思う。最も正確を期すべき資料にさような誤まりがあるということは、これは調査が不十分であると言わざるを得ないのであります。この点について政府の明快なる答弁を請求いたします。どちらがほんとうなんですか。   〔政府委員吉岡千代三君発言の許可を求む〕   〔「通産省の答弁じゃないじゃないか。建設省が主管じゃないか。そんな筋の通らぬ話があるか。」と呼ぶ者あり〕
  87. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 吉岡君、答弁は建設省においていたします。
  88. 小林忠雄

    説明員小林忠雄君) 東北興業セメント事業目論見書で、建設費が従来のロータリー・キルン方式の二分の一以下で済む、こういう工合に書きましたのは、東北興業が今回計画をいたしました程度のキャパシティを持ちます工場を、ロータリー・キルン方式で同様の場所に建設をいたしますと仮定いたしました場合には、ほぼこの倍額の二十八億程度のものが必要であるということから、二分の一以下というように書いたわけでございます。で、本日通産省の方から出されましたシャフト・キルン方式のセメント製造に関する資料というものの中の、宇部興産におけるシャフト・キルンの方式のセメント工場建設計画を見ますというと、建設費が四億五千万というようなふうに書いてございます。そこで実際シャフト・キルンによって建設をいたしました例は、日本におきましてはこの宇部興産だけでございますので、この四億五千万というものが果してロータリー・キルンの場合どのくらいかかりますか、この現在の宇部興産のやりましたものから判断をする以外に資料がございませんので、これによって二分の一と、このように建設省の方の資料は提出してあるわけでございます。
  89. 古池信三

    ○古池信三君 今の御説明じゃ、どうもはっきりしないのですがね。なるほど日本で今までシャフト・キルンを建設したのは宇部興産だけである。そのことは私も了承しておりまするが、しかしながら、ただいまの答弁の趣旨は、はなはだこれはあいまいであって、二分の一以下であるということを立証するに十分であると私は思えないのです。これについて通産省側で何か御答弁がありますか。
  90. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいま建設費からお述べになった通りでございまして、私ども大体三分の二ということを申し上げたかと思いますが、現在ロータリー・キルン方式によりますセメント工場の経済単位が、大体月産一万五千トン程度のキルン二基で三万トンが経済単位であるというふうに言われております。その場合に、かりに二万トンの能力のロータリー・キルンの工場建設すると仮定いたしますと、若干割高にならざるを得ない。まあそういう計算からいたしますと、建設省からお述べになりましたように、かりに二万トンの能力のロータリー・キルンの工場建設すると仮定した場合には、大体半額であるというような言い方もできるかと思います。従いまして、その辺で若干の差があるわけであります。  それから宇部興産の建設費はただいまお話しになった通りでございますが、宇部興産の場合には、御承知のように、従来から原石山でありますとか、いろいろ付帯する設備につきましては、回転がまの設備を持っておりまして、シャフト・キルンによる建設はそのかまないしそれに付帯するその部分のみを主として新設いたしましたような関係もございまして、これから直ちに判断するということも多少条件の違う関係がございます。いずれにいたしましても、この程度の能力の工場を作ります場合には、シャフト・キルン方式による工場の方が建設費がある程度安く済むということは申し上げ得るかと思います。
  91. 古池信三

    ○古池信三君 シャフト・キルンの方がロータリー・キルンに比べて建設費が安くつくであろうということは、大体わかりました。しかし、この前の説明では、宇部興産においてシャフト・キルンを使った成績が大へんよかった。従って東北興業でやっても間違いはなかろうというふうに答弁されたように私は記憶しておるのです。ところが、ただいまの説明だと、必ずしもシャフト・キルンだけじゃなく、ほかのいろいろな要素があって、そして宇部興産がやっておられるのだから、はっきりシャフト・キルンだけを取り出して考えた場合には、どういうような実績になっておるか、その成績の発表ができないような御答弁でありましたが、そういうふうに考えていいわけですか。
  92. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) ただいま宇部興産について申し上げましたのは、建設費の比較の場合には、そのかまないしそれに付帯する部分については比較が可能でございますが、その他の原石山とか粉砕の設備、包装の関係等は、宇部興産におきましては従来から設備を持っておりますので、従って、建設費の比較をいたします場合には、それらの点を考えますと、直ちに比較はむずかしい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  93. 河野謙三

    河野謙三君 関連して。あの今の建設費の問題ですがね、これは今吉岡さんがおっしゃったように、比較の問題ですね、ロータリー・キルンの場合は経済単位は三万トンとおっしゃいましたね。だから、経済単位になっている三万トンの設備というものをどこまでも基準にして、比較を出さなければいけないのじゃないですか。それを、今度の東北興業の場合は二万トンだから、二万トンのロータリー・キルンの建設費を基準にして比較するということは、間違いじゃないですか。そういう御都合主義の建設費の比較勘定を出すのはおかしいじゃないですか。そうじゃありませんか。
  94. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 建設省がロータリー・キルンの場合に比較して半額程度で済むという御説明をされましたのは、ただいま申し上げましたような、二万トン程度のロータリー・キルンの工場を作った場合との比較において説明されたように私どもは伺ったわけでございます。
  95. 河野謙三

    河野謙三君 その建設省の御都合主義の比較勘定というものは、通産省はそれはどう思います。それでいいと思いますか。経済単位が三万トン、それで既設のセメント工場は経済単位を基準にしてやっているから、今度東北興業新設工場は、三万トンの経済単位の建設費を基準に置いた三分の一とか、三分の二とか、三分の幾つというものを出さなければいかぬじゃないか。そうでなくちゃ、資料にならぬでしょう。そうじゃないですか。これは通産省の御見解を伺いたい。何も建設省と話を合せなくてもいいでしょう、あなたはどこまでも第三者の立場で批判されるのですから。
  96. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) これはまあいろいろの説明の仕方はあると思いますが、建設省の御説明になったのは、私はそういう御趣旨に伺ったということを申し上げているわけでございます。
  97. 河野謙三

    河野謙三君 関連で長くなって済みませんけれども建設省、じゃ、私が申し上げたことについての御見解を伺いたい。何とかして安く出そう、安く出そうという作為が働いておる。であるから、私はこの原価計算について検討したい、こう言うのだ。今の建設省の二分の一という出し方は誤っていると思うが、そうじゃありませんか。
  98. 小林忠雄

    説明員小林忠雄君) シャフト・キルンの工場におきましての最小の経済単位というものが、大体月産二万トンというように言われております。今吉岡局長からロータリー・キルンにおける経済単位が三万トン、このようにお話がございましたわけでありますが、前回、前々回ですか、通産省からお出しになりました地区別工場別の、日本全国の工場別の月産能力、これを見ていただきますというと、月産三万トン以下の工場というものが半分近くを占めております。それで必ずしもそれ以下の工場が全然架空のものであって、現実に存在しない、そういうものをかりに想定したということにはならないと考えております。
  99. 河野謙三

    河野謙三君 それはおかしいと思うのですよ。これから新設する工場でありますからね、どこまでも経済単位の工場というものを基準にして、それとの比較において幾ら安くできるということでなくちゃいけませんよ。特にあなたは今、三万トン作っている工場は半分ないとおっしゃるけれども、あなたの比較されておる東北興業だって、二万トンなら二万トンできないじゃないですか。八〇%なら二万六千トンじゃないですか。そういうことで、どうも勘定そのものが非常に私は作為的にできていると思うのですよ。これは私はこの点については御答弁を求める必要はないと思う。私はそういうことは作為が非常にあるということを断定しますよ。十分まじめな一つ検討をして下さい。それを私は御忠告いたします。
  100. 古池信三

    ○古池信三君 今度配付されましたセメント工場建設所要資金比較表というのを見ますと、当初計画と現在計画との間に若干の相違が出てきておるのですが、その中には鋼材の値上り等による増額分もありますけれども、予備費というのが当初の計画では七千四百五十万であった。それが今回の改正では三千四百二十万に減っておる。四千万円から予備費が減っておるのですが、これはどういう理由でしょう。
  101. 小林忠雄

    説明員小林忠雄君) 予備費を実際かかります建設費のどのくらいに見るのが適当であるかということに関しましては、いろいろ従来の実績その他から意見があるかと思います。当初計画いたしました以後において鋼材等の値上りがありまして、そのために建設費の多少の膨張がありまして、その分を予備費から回しましたので、予備費が総額において減っております。
  102. 古池信三

    ○古池信三君 これはどうも予備費というものの性質からいって、はなはだおかしいと思うのです。鋼材が上ったからそれだけ予備費の方を使ったと。そうすれば、さらに予備費はふえなくちゃならぬわけだろうと思うのです。それを現に四千万円予備費を減したということは、どうも理屈が合わないので、総額の十四億に何とかつじつまを合せようというので、予備費を減したと思うのです。そうでなければ、当初の七千四百万円という予備費が非常に過大と言わなくてはならない。いずれにしても、私はこれは不合理だと思います。  それからもう一つお尋ねしたいのは、セメントの量の問題と質の問題ですが、この配付資料によりますと、東北から出ていく方の量が二十八年度が三十万七千トン、それから二十九年度が三十九万八千トン、三十年度が三十三万七千トンとなっておりまして、入ってくる方が二十八年が二十三万七千トン、二十九年が二十二万トン、三十年が二十二万七千トン、こうしてみますと、東北地区から外へ出る方が多いのですね。すなわち逆に言えば、これは東北地区で余っておるということ、余っておるのにかかわらず、さらにまた二十四万トンも設備を増強する必要がどこにあるかということを一つお尋ねしたい。
  103. 小林忠雄

    説明員小林忠雄君) 東北における生産量とそれから東北内における需要というものは、確かに生産の方が相当程度上回っております。しかしながら、現在東北にございます既設の工場は、磐城セメントの八戸工場にいたしましても、小野田セメントの大船渡工場にいたしましても、いずれも海工場でございまして、陸送によりましてたとえば小野田の製品を秋田県なり山形県に持って行きますより、船積みによりまして他地域へ出す方が運賃が安いというような条件の工場が、三工場のうち二工場ございます。さらに磐城セメントの四倉の工場は、地区は東北でございますけれども、むしろ地域的には関東地方に近いのでありまして、従って運賃の関係から他地域へ出るものが多くなっておるという結果ではないかと思います。従いまして、東北地方から他地域に出る量が相当多いことは確かでございますが、これは必ずしも東北に新たな工場を建てるのが不必要だというようには考えておらないのでございます。
  104. 古池信三

    ○古池信三君 ただいまの私の質問に対する御答弁は、はなはだ不満足で、納得できません。納得できませんけれども、時間がないから、これ以上追及いたしませんが、もう一つお尋ねしたいのは、このシャフト・キルンで製造するセメントは強度が弱くて質が悪いということを、この間も言われた。そういう質の悪いもので、しかも量的には相当今豊富に出回っているとすれば、これは需要先からいって、質の悪いものはどうしても買わないということになるだろうと思う。そういう場合に、せっかく二十四万トン作られて買手がなかった場合は、どういうふうにされますか。
  105. 町田稔

    政府委員町田稔君) ただいまの御質問ごもっともと存ずるのでございますが、先ほど質が悪いということを申し上げましたが、現在出ておりますセメントと比べますと多少規格の点で劣る点があるということを申し上げるために、そういう表現を用いたのでございまして、ただ、従来の製品よりも多少規格が劣りましても、公共事業等におきましてはその程度の規格で十分間に合いますので、むしろその際には値段が安いという特徴を持っておりますので、需要は確実に確保できるという予定を考えております。
  106. 古池信三

    ○古池信三君 これはどうも、赤木委員長もそういう悪いセメントは困るというふうな発言があったように思いますが、ほんとうに需要する面からいって、質の悪いものよりも質のいいものがいい。しかも値段も大して違わぬということになれば、好んで質の悪いものを使うということは考えられないのです。しかも東北興業という会社セメントの販売網等は持っておらぬと思うのですが、こうして考えますと、販売という面において非常に不利な立場に立っておられるのじゃないかと思う。しかし、幾ら国策会社であるといっても、要らないものを押しつけて売りつけるということはこれはできないだろうと思う。このほか私はまだたくさんの質問したいことがあります。不満もあるのですが、しかしこれ以上、私はまた皆さんの御迷惑になってもいけませんから、これでやめますが、しかも私は商工委員でありますからこの辺でやめますけれども、しかしこれから先、この問題をどう決定していくかということは、建設委員一つ賢明なる良識にお願いをいたしたいと思います。
  107. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) お諮りいたします。本連合審査会はこれをもって終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 御異議ないと認めます。ただし、三輪委員から発言を求められておりますから……。
  109. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 本法案につきまして、商工委員会から連合審査を申込みまして一カ月近くなるのでありますが、その間、同数としてはたしか三度ほど連合審査を持っていただきまして、申し込みました委員会としてはその点満足をいたしておるわけであります。しかし資料の提出の状況、御答弁の内容等を考えてみますと、皆さんお聞きのように、商工委員会としては満足をいたしておりません。特に資料の点につきましては、その要求したものが全部出ないばかりでなく、内容においても不備でありまして、しかもその調整の期間がまことに、あるもののごときは二十日以上もかかっておるのでありまして、そのためにわれわれの慎重に審議すべき時間に制約をせられておるということは、まことに遺憾であります。また御答弁の内容にいたしましても、ただいまの古池さんの御質問一つをとってみましても、非常にその計画がずさんであることをわれわれは指摘しなければならぬ。たとえば十四億円建設資金がかかるというようなことでも、これはもうすでに二十八、九年ごろに計画された数字なんです。それが今でもやはり四十億じゃおかしいじゃないかということを指摘いたしますと、今の御答弁のように、あるいはシャフト・キルンは外国から輸入する計画であったものが国産にしたため、それが一億円下った、そのために資材の高騰の分がそれで消せる、また予備費を削ってちょうど数字のつじつまを合せる、こういったようなことで、まことにわれわれはこの資料、御説明をば信頼することができないのです。たとえば繰り返し言っておられる一トン当り一千円下るというような基礎にいたしましても、これは非常に不明瞭であります。千円果して下るかどうかということを私たちはここで確信をもって納得するわけに参りません。  特にその対象になっておる数字等を見ますというと、現在のセメントの価格というものは昭和三十年の十二月で押えておる。自分らのものはこれから一年先に出るのです。しかも操業度というものをば無視して、そこでこれから操業度が、いかに一般の施設の向上の度が上っていくかということは、全然勘定に入れておられない。しかも、それを通産省に聞いてみますと、一〇%操業度が上れば何がし下るということがはっきりしておるわけです。そういうことをばいろいろと考えてみますと、千円下るということだってこれは私たちは信頼することはできません。また今、もしそのセメントが売れたければどうなるかという御質問でありましたが、おそらくこれは私は建設省が直轄でやっておられる工事の所要量等もわかっておるのだし、さらに使っていけば何も売る心配がない、こういう考えを持っておられると思うのです。これは明らかに民業の圧迫というような問題も起ってくるのでありまして、いろいろと考えてみると、この法案はまことにいろいろな不可解なものをばわれわりれは感ぜざるを得たいのです。  しかし、きのうも建設委員長から非常に熱心な御要請がありまして、きょうの午前中でぜひ連合審査を終りたいということでありまして、一応われわれの要求をいれていただきましたので、この紳士的な話し合いを履行いたしまして、われわれはこれ以上の質問をすることをやめるわけですけれども、しかし内容においては決して満足をしていないということを十分建設委員の諸君は御理解いただきまして、なお一つ慎重なる御検討をしていただきたいと思うのであります。われわれは自分の所管でありませんから、これで終るわけです。しかし、この事業の遂行については十分たる関心を特って参りたいと思いまするので、今まで御説明になっておりまする成果をぜひ一つ上げていただきまして、国損を招かないように御留意いただきたいことを切に、商工委員長として、これはもちろん会同して意見をまとめたわけでありません、しかしおそらく皆さん方の意見がそうであろうと思いまするので、私結論的にさようなことを申し上げまして、皆さん方の慎重なる御検討をわずらわしたいと思います。  それからこの際実は時間がありますれば、われわれ午後の委員会で付帯決議の案等を一応考えまして皆さん方の御検討をわずらわしたいと思うのですが、しかしもうそういう時間ももしないといたしまするならば、衆議院の商工、建設連合審査会で作られたものがありまして、これは比較的よくできていると、こういうふうに考えておるわけです。ところが、建設委員会では、その衆議院連合審査会付帯決議なるものを無視いたしまして、別なものを作っております。従って、われわれは衆議院における商工、建設連合審査会付帯決議のような性格を持ったものであるならば、われわれの危惧が幾らかでも薄らぐのではないかということを考えますので、ぜひ一つ御協力を願いたい、こう申し上げまして、ごあいさつにかえたいと思います。
  110. 赤木正雄

    委員長赤木正雄君) 私も一言ごあいさつ申し上げます。連合委員会の委員長といたしまして、いろいろと資料を要求されましたが、十分の資料政府も出さなかったということは、非常に遺憾に思います。ここで皆さんに、連合委員会の委員長として私も非常に残念に思っておることをはっきり申し上げておきます。  では、これをもって連合委員会を散会いたします。    午後零時四分散会