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参考人(
鹿喰清一君)
前回の
委員会で海野
委員からの御
質問がございましたが、私の御説明の足りないところがございますので、重ねてお答え申し上げます。
開発銀行の基準金利は年九分と定めておりまするが、電力の貸付、これは水力の自家発の買付を含んでおりますが、それと外航船の貸付につきましては、年六分五厘という低い金利を適用しておるのでございまして、何ゆえにこの電力と海運のみに特別の金利を適用して優遇しているかという点の御疑問も、ごもっともと存じます。
この私どもの銀行の金利の定め方でございますが、これは開発銀行法の十九条によりまして、「資産の運用損失償うに足るように」と申しますと、私の方は私の方の銀行の経理がございます。それから私の方の銀行はまだ運用部資金なりあるいは
産業投資特別会計からの借入金もいたしておりますから、その金利を払わなければなりません。もちろん資本金にはあるいは金利のつかないものもございます。これをまとめて運用しているような次第でございます。それと経費もございます。それを償うに足るようにということが
一つと、それからもう
一つの条件といたしまして、一般市中銀行の金利を勘案してきめる、こういうふうに開発銀行法になっております。たから、私の方の費用を償うに足るような
程度のもの、それからもう
一つは、市中銀行の金利、これが今どのくらいであるか、この両者から勘案いたしまして私どもの金利をきめている。この条件を満たす限り、具体的にそれじゃ何分にするかということは、これは開発銀行できめて、そうしてまた大蔵
当局とよく相談した上できめている、こういうふうにきめている次第でございます。
ところで、電力と海運につきましては、これは基準金利が九分というのとは別に、さきに申し上げました六分五厘というのでございますが、これは電源開発という問題、それからこれは御
承知の
通り、五カ年
計画に基きまして、
国家の大きな政策といたしまして電源開発というものをやる。それからもう
一つは、外航船の増強という問題も、同じように、国の政策として非常に強く打ち出しておりまして、御
承知の
通り計画造船をやっている。こういう
関係になりますので、こういうような部門におきましては、どうしてもやはり長期低利の資金が必要になってきている次第でございます。それも
一つの理由でございますけれども、低金利の適用の効果が、直接こういう部門におきましては非常に顕著である。それからもう
一つは、こういう面においては特別金利を適用いたしましても、一般金融機関の融資を阻害する点はない、こういう点からこの部門では低い金利を適用いたしております。
それじゃどうして電力、海運に限るかと申しますれば、もし、前に述べましたような理由から、電力、海運以外の問題につきましても、非常に国策的に見て重要な
事業につきましては、あるいは考えなければならぬのじゃないかというお説でございますけれども、大体今まで本行におきまして、いろいろな個々の業種につきまして、
政府と相談いたしまして検討いたしたいところでは、特に電力、海運並みの金利をどの業種にも適用せい、その他の業種にも適用せよというようなことはなかった。それで、ただいまのところでは、この特別金利の適用の範囲を拡げるという気持ちは持っていない、こういうわけでございます。しかしながら、現在一般の金利は、御
承知の
通り、だんだんと低下の傾向にございまするので、あるいは本行の開発銀行の基準金利も引き下げるべきではないかという御
意見もあるかと存じますが、これは今後の情勢の推移を検討いたしまして検討いたしたいと思っている次第であります。
なお、この際またつけ加えて申し上げたいと思いますことは、離島航路の整備法というのがございまして、その規定いたしております貸付につきましては、現在七分五厘の金利を適用しております。これはさき申し上げました九分の基準金利よりも低くいたしておりますが、この貸付につきましては、一般金融機関に対しては年に四分相当の利子補給がついております。これは借入先の開発銀行に対する金利負担を一般金融機関に対する金利負担並みにするという配慮から措置いたしたものでございます。それで、またもう
一つ、石炭につきまして、石炭鉱業合理化臨時措置法に規定いたしておりまする、石炭貸付につきましては、同法の施行規則中に年六分五厘相当の利息を徴収いたすことにしておりますが、これは契約上の金利を年六分五厘といたすわけではございませんので、利息の一部免除ということで措置いたしておるわけでございます。それからなお炭住、例の炭鉱労務者の住宅資金、これは昭和二十七年の四月二十五日の閣議
了解の趣旨にかんがみまして、同年四月一日以降の貸付利率を年六分、それ以前の期間についてはさかのぼって年五分五厘、こういうふうにいたしております。それから見返り資金を開発銀行が引き継ぎまして、これの承継いたしました債権につきましては、この電力、海運が前に述べた
通り六分五厘でございますが、それ以外の一般貸付の利率は、承継当時の金利が七分五厘でございましたから、これはそのまま七分五厘として運用いたしております。
大体現在の開発銀行といたしましては、そういうような
状況で金利を考えておる次第でございます。