○
政府委員(
吉岡千代三君) まず
セメントの
需給関係並びに価格の関係でございますが、これがやはり
収支採算の面に大きく影響してくるであろうということが
考えられますので、その点が第一点でございます。具体的に申し上げますと、一昨年あたりにおきましては、
セメント工業は非常に需要が旺盛でございまして、また
設備の新
増設等もやっておりませんでした関係で、操業度も二十八年度におきましては九四%。これはまあ
セメント事業の性質から申しますと、大体八割ないし八五%あたりが安定操業度ではないかと
考えられますが、むしろそれ以上の、フルに近い生産をしておった。従って、市価も非常に堅調を続けておったわけでございますが、その後の
状況を見ますると、操業度は現在におきましては七〇%台に落ちておりまして、二十八年度が九四%、二十九年度が八八%、三十年度が七五%、三十一年度は七二%
程度に落ちるという見込みであります。これは主として
各社の新
増設が非常に急速に進みまして、需要も若干実は伸びておりますが、操業度はいわば安定操業度を若干下回る現状になっておる。従いまして、価格につきましても、一昨年の夏ごろまでは、大体東京で申しますとトン当り八千七百円
程度であったのでございますが、これが現在では七千四百円という
程度に、まあ千数百円の低下をいたしております。従いまして、今後新規に
工場を興されまする場合には、これらの点について十分御
検討の上、既存の
各社と少くとも対等に太刀打ちできるかどうかという点について御
検討の必要があるであろうということを申し上げております。
それからいま
一つの点は、先ほど
お話のございましたシャフト・キルン、縦かまの点でございます。これは先ほ
どもちょっと申し上げましたように、戦争中クルップの機械をもちまして
磐城セメントが蒙疆で一時やった経験を持っておりますが、最近におきましては、
宇部興産が昨年の九月から、これはやはりドイツのロッシュの機械を輸入いたしまして、
試験操業をいたしております。この縦かまは
セメント業界としても
一つの新しい研究のテーマというふうに
考えておるわけでありまして、
宇部興産の
成績等も、
各社の
技術者を集めまして公開試験等をやっておるわけでありまして、逐次成績はよくなっておるようでありますが、いろいろ燃焼の関係とか、あるいは強度の関係におきまして、現状におきましてはまだ
一般の回転かまの製品の
程度には達しておらない。
宇部興産におきましては、本年の四月からこれを市販する予定でおるようでありますが、場合によりましては、
一般の回転かまの製品と混合いたしまして販売するというようなことも
考えておるようであります。縦かまを主としてやっておりますのはドィツでありますが、これも大体回転かまの製品と混合して販売される形態が多いようであります。
東北興業の
計画は、縦かま一本で、縦かまだけで参りますので、その点において、強度、品質、また操業の歩どまり等の点について、十分に御
検討される必要がある。主としてその
技術士の問題と、それからこれらと関連いたしまして、
収支採算の面については十分に御
検討になる必要があるであろう。ただ、それらの点について十分間違いのない
計画を
立て運営をされますならば、全体の数量としては年間二十万トン
程度のものでございますから、ほかの
会社と対等ないしはそれ以上に太刀打ちする
確信をお
立てになれば、別段われわれとしては
異議を申し上げるべき筋合いでない。なお、今後とも
技術士の問題その他気のつきました点は、御連絡を申し上げて御協力をいたしたい。こういう
考えでおるわけでございます。