○
政府委員(
岡松進次郎君) ただいま仰せのありました先般四月十一日付で
大蔵省に
勧告いたしました
勧告文につきましては、お手元に差し上げてあると存じますが、それを敷衍いたしまして申し上げたいと思います。なお、ただいま御
要望のように
具体的事例等もあわせて申し上げて御
説明申し上げたいと思います。
ただいま
政務次官よりお話ありましたように、この
監察は第一次と第二次に分れておりまして、
最初は
大蔵省所管の
普通財産のうちの
土地と
建物につきまして
貸付と売り払いの
状況を見たのでございます。それから第二次といたしまして、ただいま御
説明がありましたその他の
事項につきまして見まして、それを一括いたしまして
勧告いたしたようなわけでございます。
それで第一次の
国有財産の
不動産並びに
建物の
貸付及び売払いの
状況から御
説明申し上げたいと思います。
実は、
大蔵省所管のただいまの
不動産並びに
不動産のうちの
土地建物につきましては、非常に
対象数が多いのでございまして、
昭和二十八年の
処分件数を見たのでございますが、
貸付におきまして五万五千四百十件でございます。売り払いにおきまして一万九千三百七十九件ございますので、
管理庁で見ましたのは、
貸付につきまして千七百四十四件でございます。それから売り払いにつきましては千五百二十八件ということになっております。そのうち、大体見ました、何といいますか、
監察の
重点といたしましては、大体
貸付も売り払いも
共通的重点でございますが、
一つは
貸付契約の
締結状況、
貸付契約が
目的通り貸し付けられているかどうか、
あとでまたその内訳を申し上げますが、そういう点を
重点として見ました。これは売り払いにつきましても同様でございます。売り払いの
契約の
締結状況。それから
貸付料の
決定、売り払いにつきましては売り払いの
価格の
決定が適当であるかどうかというような点を見たのでございます。それからもう
一つは、
貸付料の
徴収状況というものがうまく
徴収されているかどうか、未
徴収のものがないかどうか。これは売り払いにつきましても、売り払い代金の
徴収状況というふうな観点から見ております。それからもう
一つは、
貸付財産の
管理、これは
貸付後の
利用状況等がどうなっているか、あるいは
維持管理がどうなっているかという問題、売り払いにつきましては、売り払い後の
利用状況、
目的通りその
土地が利用されているかというような点を見たのでございます。その他、多少こまごまいたしました、
所有権の
移動登記がおくれているとか、そういうふうな点をその他といたしまして分類いたしたのでございます。そういたしまして、大体今申し上げました
貸付につきましての千七百四十四件抽出調査いたしましたうちで、われわれの方で一応なんらかの
理由によって不適切なものというふうにあげました
件数が、
貸付におきまして五百一件、二八・八%になっております。売払いにおきましては五百四十七件、三五・八%でございます。
次に、その
状況につきまして、もう少し細目にわたりまして申し上げたいと思います。それは
勧告事項の一の
貸付契約更新の
迅速化及び
簡素化というのが第一に述べてございます。これはもう今御注意もありましたように、お読みになればわかりますから、一々これを申し上げませんが、これは結局
最初に申し上げました
貸付契約の
締結状況というものにおいて、いろいろ発見せられました
改善事項を言っているのでございます。そのうち、ここにありますように、大体
貸付契約が、
財務局といたしましては一年
ごとに
更新するということになっているのでありますが、これはやはり大体
国有財産というものは売れるものは売った方がいいというのが
原則であります。従いまして、なるべく
貸付は短期間に区切ってその間に売買するという
建前から、一年
ごとにするということは、ある点においては
意味もあり、わかるのでございますけれども、しかしこれは、
最初のうちは
相当売買等もありましたけれども、だんだんそういうふうな問題がなくなってきますと、一年間でこの
契約を
更新する、そのために一々同じように
申請書を出すといった手数のために非常に
事務が繁雑になっている。それから大体その一年間にどれくらい売り払うということは
限度がございますので、大体そういうような売り払いの計画を立てて、それ以外のものは
貸付契約をもう少し延ばして、数年にわたった
貸付契約をすれば非常に
事務が
簡素化になるのじゃないかという点を言っておるわけでございます。その他、今
貸付契約におきまして、非常にわれわれとしまして指摘しなければならぬ点は、
契約事務の処理が非常に遅延しているというのでございます。これが大体百七十七件ばかりございます。もちろんこの中には非常にささいなこともございますけれども、大体申し上げまして、
貸付を許可しながら実際に
貸付契約を
締結するのが、たとえば北海道の
財務局管内で、
昭和二十六年に実際上の
貸付をしながら、ようやく二十九年になって
貸付の
契約をしておる、あるいは同様な件がほかの
財務局にも
相当あるわけでございます。また今申し上げましたように、一年
ごとに
更新ということになっておりますので、だんだん
手続が繁雑なために、実際問題として新年度になりましてもすぐ四月中に
更新しないで、第二
四半期、あるいは第三
四半期に
更新するというふうに、これは形式的な遅延とも言えるかもしれませんけれども、実際問題としてそういうものが非常に多いのでありまして、やはり
法規上
更新契約をする際には、
契約が切れたならば直ちに
更新するというような処置をとるべきではないかというよ
ょうな点におきまして、
相当こういうような
事例が見受けられたのであります。
次にこれは、今
貸付の問題でございますが、売り払いの
契約の
締結の問題につきましては、主として多いのは
契約締結に際して
法令の趣旨及び
内容にどうも違っておるというようなものであります。これは大体
原則といたしまして、
国有財産の売り払いは
一般競争入札ということになっておるわけでございます。しかしこれには
法規上いろいろ特例がございまして、
縁故の
関係とかその他いろいろな
関係で
随意契約、あるいは五十万円以下といったような少額の
土地、
建物につきましては
随意契約ができるというふうな、こまかい
適用条文がございますが、それによりまして
随意契約を
相当やっておるわけでありますが、しかしその
事例等におきまして、本来
縁故ではないにもかかわらず、われわれ見ましてあまり
縁故関係という
条文に当てはまらないにもかかわらず、
随意契約をやっておる、こういうような
事例が
相当あるわけであります。それからそういう
事例が、指摘いたしますと
相当の数三十一件、まあ
契約締結状況に関しまして、いろいろ指摘しました売り払いにつきまして、六十一件中三十一件というものがこの条項に当てはまるのでありまして、その他
契約条件及び用途指定の方法に妥当を欠くもの、あるいは売り払いにつきましては担保あるいは先取特権の設定をすべきでありますけれども、そういうような担保をとらずに売り払いをしたというような
事例も、十五件ばかりあげられておるのでございます。これはたとえば兵庫県におきまして、軍用の
土地、
建物等を県に対して売り払っておるわけでありますが、これはつまり
条文によりまして四割減額で売り払う、これは条例でできるわけでございますけれども、そういう際には、四割減額をもって代金の延納をさす場合には、担保をとるということになっておりますけれども、これをとらずにいたといったような
事例等があげられるわけでございます。
次は
貸付料及び売払代金の
決定でございますが、これは大体
貸付におきましては、
貸付料の評定の不適切ということが、これは
貸付、売り払いを通じて指摘されておるわけであります。評定の不適切と申しますのは、
一つは課税標準あるいは物価指数等を勘案してその
土地を評価するわけでございますけれども、それがどうも適当に評価されていないといったような例、あるいは付近の
土地の地価と申しますか、そういうようなものを標準にしてきめるべきものであるにもかかわらず、それが不適当なもの、そういうようなものが
貸付におきましては百五十九件中六十三件くらいになっております。また売り払いにおきましても、二百六十七件指摘中におきまして、百四十件ばかりになっておるのであります。その他精通者の
意見を聞いてきめるといったようなものの不適切な
事例が、
貸付の方は割合に少く出ておりますが、売り払いの方におきましては十八件、あるいは立地条件、その
土地がいろいろ利用価値があるかないかというようなことで減額したりするのでございますが、そういうような勘案が不適当なものが、これも売り払いの方に割合に、比較的多く二十二件、その他償却破損しているとか、あるいは被害を受けているから非常に
価格が低いといったような減額
状況がございますが、それらの算定が適当でないといったようなもの、あるいは計算的に乗率を誤まったといったようなものが多少あるわけでございます。これはたとえば
土地につきましては、これは国には課税というものがありませんので、それ以外の民有地等の条件を勘案してきめるわけでございますが、たとえば坪当りが百九十円といっていたのが、大体二百六十五円くらいがいいだろうというふうな判定になっておるというようなものがございますし、また近傍地、近隣地にどうも適当なところがないといって、適当に
財務局できめておりますけれども、われわれの方で調べますと、やはり適当な比較すべき
土地があったというようなことで、それから見まして多少低額ではないかといったような例が金沢等にもあるわけでございます。それからこの精通者の
意見を勘案すると申しますのは、たとえば銀行あるいは役場、その他、いろいろの
土地の評定をあるいは鑑定をしてもらうわけでございますが、そういうようなものにつきまして、ちょっと電話で聞いたといったような軽いようなことがあったり、あるいはどうも鑑定者に聞きますと、自分は別にそういう鑑定を頼まれた覚えはないといったような
事例も見受けられまするので、こういうような点につきましては、慎重に
一つきめてもらいたい。で、まあ精通者としましては、信用ある金融機関というものを選定して、そして正式に文書によって、大体
土地の評価を鑑定してもらうといったような慎重な処置によりまして、地価を払う、
貸付並びに売り払い、買却
価格の
決定を慎重にして、疑惑のないようにしてもらいたいということが第二の
勧告の趣旨でございます。
それから第三は、
貸付財産の
管理及び売り払い後の
利用状況でございますが、これは
一つは、ここにありますように、
貸付中の
建物は補修する義務が大体付せられておるわけでありますが、借りた者がそういった義務を遂行しずに、非常に荒廃しているといいますか、非常に腐朽しているような扱い方をしておるといったようなものもそのままになっておる、あるいは火災保険を付することになっておるにもかかわらず、これにつきまして、その義務が履行されないままになっておるといったような例があるわけでございます。これは
相当ありまして、
貸付につきましては、百九十七件中十六ばかりでございます。それから売り払いにおきましては四十五件中十二件というのでございますが、一番多い例といたしましては、
貸付におきましては、
契約の条項に違反して転売しておる、ある会社に、たとえば工場を建てるといって三百坪貸したものを、百坪ぐらいは工場にして、
あとの二百坪は庭園にしておるとか、それならいいのでありますが、それを他の者に転貸ししている、これは個人に限りません。病院を建てるからといって貸したにもかかわらず、これをそれに使わずに、これをある民間の教会等に貸しておる、あるいは市営の競馬場にするからといって払い下げしてもらったものを、民間の乗馬協会等に転貸ししておるといったような例とか、いろいろな例がございますけれども、いわゆる
契約の条項に違反して転貸ししておるといったような
事例が
相当数あるわけでございます。これは
貸付に起るのが多く、理屈上そういうわけでございまして、売り払いにおきましても、売り払いの指定条項以外に使用しておったといったようなものが四十五件中二十二件を数えるような状態で、こういうようなものがそのまま行われでおるということは、非常に
国有財産の払い下げの趣旨を曲げられるわけでございますので、こういう点を将来実態を把握して、こういうことのないようにしてもらいたい、こういうことでございます。
それから第四の
契約の
締結、
貸付料、売り払い代金の
徴収及び督促でございますが、これは非常に多い
事例といたしましては、
貸付におきましては、
徴収事務が積極性を欠いておると、これは、たとえば納入告知書の発行が、
貸付契約をしても、直ちに発行せずに、非常におくれて発行しているといったような、たとえば
事例がこれに当るのではないかと思うのでありますが、これが
貸付料の
徴収におきましても、三百七十八件中七十一件、それから売り払いにおきましても、四百八件中六十件、こういうふうな指摘
件数になっております。その次は、
契約しました者が、どうも会社がつぶれちゃって金が払えないとか、あるいは払えるにもかかわらず、これを悪意に払っていない、それに対して積極的に督促して
徴収していないといったような、
契約者の経済的
理由によるといったような分類に当るものが、
貸付におきまして、二百七十八件中百五件、売り払いにおきましても四百八件中百三十一件といったようなケースが現われておるわけでございます。で、なおここに四に述べておりますのは、ただいまのケース等を
監察の結果、非常に小口の
不動産につきましては
随意契約によって売り払われることになっているのでありますけれども、いろいろとこの売り払いのケースをみますると、
一般競争入札におきましては、
財務局できめました予定
価格より、大体高い値で売られているわけであります。これはやはり競争入札の
一つの妙味ではないかと思うのでありまして、これは全部について調べませんでございましたけれども、新潟
財務局管内の旧軍用財産の
建物、工作物、立木の例を二十二ばかり調べましたうちで、ほとんどが予定
価格より、
一般競争入札におきましては高価に落札しておるのであります。その間落札をせずに、
随意契約をやったものが四件ばかりございますけれども、そういうような例から申しまして、特別の
理由ある場合以外には、
一般競争入札によりまして、大いに
国有財産によって歳入をあげるという点にも努力してほしいということが、四の前段の趣旨になっているわけでございます。それから後段は今申し上げましたような経済的
理由で、非常に
貸付金を払わないといったような点、売払代金を払わないといったようなものが非常に多いのにかんがみまして、これはいろいろ
理由もあります。終戦後非常に
国有財産の歳入をあげるために、売り払いということに非常に努力された点は認めるのであります。従いまして相手方の経済力、いろいろなものを十分に勘案するひまもなく、あるいはその当時は
相当財政力のあった会社等も、終戦後の混乱によってつぶれてしまって払えなくなった、あるいは居所不明になったとかという
貸付を受けた者あるいは売り払いを受けた者の非常に悪意による場合も
相当あるのでございまして、必ずしも
財務局だけを責めるのは当らないと思いますけれども、この売り払い代金の未
徴収という結果においては、まあ同様でございまして、今後は積極的にそういうようなものを十分に調査してやってもらいたいということと、それから督促につきまして、たとえば一回手紙を出したきりで、そのままになっているとか、電話を一回かけたきり、その後あまり督促していない、これもまた内輪に入りますと、人員が不足であり、また旅費におきましても少い、
件数は多いというようなことで、決して形だけで責めらるべきではない事情もあるとは思いますけれども、しかしもう少し積極的に、国損防止の努力をしてほしいという点を、後段に
勧告した次第でございます。それから、もうどうにもならないで
徴収の見込みのないというものも、そのままになっているといったようなものは、早くそれを解約するといったような結末をつけるという処置も、とるべきではないかということが、四の
意味でございます。
それから第五は、売払代金の延納につきましては、これもちょっと前にも触れましたけれども、担保を徴するとか、あるいは先取特権の登記をしなければならぬが、これが励行されておらないという
事例が
相当あがっておるわけでありまして、その点につきまして
勧告したわけでございます。従いまして、この
徴収督促が行れていないとか、あるいは不適切であるというような
事例も、今申し上げました
徴収状況の中では
相当ささいなものも入れましても、
貸付につきましては八十八件、売り払いにつきましては四百八件中百九十二件といったような、
件数としましては非常に多いのでありまして、こういう個々の取扱いにおきましても、もう少し積極的にやれば、
貸付料なり売払代金の
徴収にもっといい成績が上るのではないかというように
考えておる次第であります。
第六は、弁償金の処理についてでございますが、これは弁償金という特別の処置が終戦後行われておるわけであります。これは実際
貸付契約は
締結されないで、事実上一時使用ということで
貸付料のかわりに弁償金というもの支払わす便法をとっているのであります。こういう処置をとるのにもいろいろの
理由はありますが、
一つの例といたしましては、たとえば進駐軍に接収された、ところが進駐軍から一時許可を受けて使うといったようなケースの場合に、正式の
貸付契約を結ぶことはどうかということで、一時使用を財務当局で認める、進駐軍の許可を条件として一時使用を認めて、それには弁償金という措置をやっておったのであります。その他至急に売るべきものは、
貸付契約をしてしまいますと、その間は売れないといったようなことで、便宜上一時使用の形で弁償金といったものをやっておったのでありますが、これも終戦後
相当期間もたっておりますし、従いまして弁償金で数年を経過しておるといったような
事例が多く、従いまして非常に多額に弁償金がなるために
徴収も困難になり、延滞料の
徴収も不徹底になるといったようなことになりかねないのであります。こういう変則的なものはもう戦後、
相当こういう今申し上げましたような
事例等はなくなったわけでありますので、やはり正道に戻って、
貸付なり売り払いなりの正当の形式で
国有財産を扱うべきではないかという
意味で
勧告したわけでございます。こういう例はまあ一、二ございますが、たとえば千葉で、軍用財産を
昭和二十七年から二十九年まであめ製造工場で無断に借用して、形は無断でございますが、財務部は右期間に弁償金を
昭和二十九年一月八日に調定したけれども、まだ現在未納の状態でございます。これはちょっと言い落しましたが、今言ったような
事例は、まあほしいままに擅用しておるので、
財務局が発見したといったような
事例、そういう場合の
事例もあるわけでありまして、弁償金をとる
事例はいろいろありますけれども、そういう変則な処置はやめた方がいいのじゃないかという
意味であります。
それから次は未
利用財産、第二次
監察いたしました未
利用財産の件でございますが、未
利用財産は、
昭和二十九年の九月三十日現在というものを押えまして、未
利用財産がどういう状態にあるかということを調査したのでございます。で、未
利用財産と申しますのは、まあ
普通財産のうちの旧軍用財産及び旧大蔵雑種財産の
不動産の中で駐留軍に提供しておるもの、あるいは現に
貸付中のものを除いた、いわゆる利用されていない財産を未
利用財産というわけでございます。これが
昭和二十九年九月三十日現在で約十五億に財務当局の台帳上なっておるわけでございます。しかしこれは台帳上の未
利用財産でございまして、実際にまあ文字
通り利用されていないという財産はその中の一部であるということの調査をやったわけであります。これは非常に、
件数といたしましては、旧軍用財産が一万六千九百二十二件でございますので、そのうちの六百六十三件を抽出いたしました。旧大蔵雑種財産では五万五千九百八十九件でございまして、そのうちの千七百五十九件、合計いたしまして二千四百二十二件でございますので、抽出率から申しますと大体三・三一%くらいになりまして、
対象が多いものですから、十分理想的な
対象を抽出することができなかったわけでありますが、この二千四百二十二件を調査いたしました結果から見ますと、この台帳上未利用であるといって台帳に載っておるうちで、
土地、
建物が
件数にいたしまして五百八十二件、百分比にいたしまして二四・一%が全部滅失して存在していないということがわかったわけであります。これはいろいろな原因があると思います。
一つはなくなってしまったとか、
建物なんかはあったといって台帳に載っておるのですが、もう腐朽してこわれてしまって、ほとんど
建物の存在がないといった例でありますが、その他記帳漏れといったようなものもこの中に含まれているわけであります。これを全部一応滅失といたしまして載せたわけであります。その次に存否不明なもの、これはどうも
財務局でも、あるかないか、実際台帳にはあるけれども、実際にあるかないか、非常にへんぴなところとか、いろいろな軍用財産でも、あるいは道路になってしまって、どこにあるかどうもわからないといったようないろいろな
理由があると思いますが、把握していないといいますか、そういうようなものが二百二十一件、九・一%でございます。それから一部はどうもなくなって、一部滅失、一部は不明、どうも何坪のうち、ある一部分のものは滅失してしまった。あるいは台帳上百坪あるけれども、どうも三十坪はわからないといったようなケースが百四十七件の六・一%、従いまして、一応異状のないもの、いわゆるほんとうの純然たる
土地があって利用されていないというようなものが千四百七十二件、六〇・七%ということになったわけであります。全部で二千四百二十二件でございます。そのうちの千四百七十二件、六〇・七%になります。それから別の観点から見まして、これは未利用ではありますけれども、実際問題としてそこに農民等が耕作しているとか、あるいは家を建てて住んでいるとかいったように、いわゆる
契約を
締結をせずに、乱用、ほしいままに用いているというようなものがありまして、それを二千四百二十二件、今申し上げました
件数と同
件数で百分比に分けますと、乱用中のものが四〇・九%、それからそうでない、ほんとうに未利用で、だれも使わずに残っておるというものが五九・一%、こういうふうな見方もされるのであります。また
財務局で実際この
土地をつかんでおるといいますか、把握しておるというような観点から見ますと、七〇・四%、千七百六件は把握されてないというふうに判定されます。従いまして残りの七百十六件、二九・六%がまあ一応把握しておる。こういうふうに未
利用財産というものは、軍用財産が大部分でございますけれども、非常に実態が把握されていない。また事実形式的には未利用であっても、擅用されているといったような実情がわかったわけであります。で、これは今後十分
国有財産として
財務局が実態を把握して、そうして乱用を排除して、権利
関係をはっきりする必要があるのじゃないか。これはもちろん、終戦後どっと軍用財産が
財務局所管になりました
関係上、これには非常に把握しにくい面が十分認められます。認められますけれども、やはりこれは努力をし、
相当なやはり時日も要して、
国有財産としてしっかり把握し、権利
関係をはっきりするということが理想でございますので、この点につきまして
勧告したわけであります。
なお論査中に、これはほかにもあると思いますが、大津管内で、これは擅用が
相当期間続きますと、時効が完成いたしまして、
所有権を取得することになります。これは御承知のように、善意で十年、悪意でも二十年擅用しておりますと、時効で
国有財産でなくなってしまうというようなこともまあ
考えられるわけであります。これはその時効の起算点等非常にむずかしい点もあろうと思いますが、だまってほうっておきますとそういうような国損を生ずるというようなことも徴表として現われております。その点付け加えて申し上げておく次第であります。
次は第三、物納財産でございますが、これは物納財産は売り払いをするということが本来の目的でありまして、
貸付処理は全国的に実施していなかったと、従いましてこの使用者は擅用の
状況にありまして、使用料は売り払いの際、さかのぼって使用期間の分を弁償金として
徴収する。これが弁償金の
——ちょっと先ほど申しました、ほしいままに使っておる、それを
財務局が発見して、これを弁償金制度で
徴収する、こういうような例でありますが、正式に売り払いましたのは、これは前の
土地の売り払いのケースの中に入って申し上げるのでありますが、特別に物納財産の売り払いとしてここに
監察をいたしておりませんので、その点お含みおき願いたいと思います。これはもうすでに物納以来七年を経過しておるわけでありまして、こういうな処置でそのまま放置するというと、やはり国損ということになるわけでありまして、ここにありますように売り払うということは目的でありますけれども、やはり売り払いの見込みのないものは一応
貸付契約を
締結して、
貸付料を
徴収するというような方途を講ずべきではないかと思うのであります。で、物納財産は、二十九年の調査日におきまして、大体
土地については数量で八八%、
建物につきましては、数量でおきまして約六四%が処分された形になっておるわけであります。従いまして
あと残りのものが、
土地が大体二万四千余町、六億円余、また
建物が三万八千余で、五億円余があるわけでありますが、大体
財務局の見込みでは、
土地が大体その大部分、あるいは
建物は三分の一程度は、いろいろな利用価値とか、そういうようなことから勘案しまして、処分の見込みがないというふうなものの見込みもしておるわけであります。従いまして、これをいかに努力いたしましても売り払いということが実績を上げられない以上は、何らかのいわゆるここに申しますような
貸付といったような正式の
契約を
締結して処理していくということが、すでに時期にきているんじゃないかというような
意味からこういう
勧告をしたわけであります。
それから分割払いですね。割賦払い、分割払いの制度が認められておりますが、これは一時払いの
契約にかかわらず、全額を未
徴収のものが少々見られた。これはその点につきましても
徴収の努力をしていただきたいという
意味で
勧告もいたしたのでございます。
次は国有機械の
維持管理の点でございますが、これは終戦後、軍の所有しておりました機械、この中にはいろいろな電気機械とか通信機械、工作機械、木工機械等、あるいは工具というものも含まれておるわけでありますが、これが大体駐留軍に提供しておるとか、あるいは自衛隊が使用しておると、あるいは民間の企業に貸し付けておるというものを除きまして、残余が百万個ばかりあるわけであります。しかしこれは中に工具が入っておりますので、大体
機械類としましては約二十一万四千台と、そういうようなものを二十九年の十二月末現在
財務局が
保管しておるわけであります。で、これは御承知と思いますが、大体こういう機械は売り払いということを主として初め努力をしたわけであります。その後民間の会社等が古い機械を持っておって、それとまあ
財務局保管の機械とを交換するということによりまして処分する方法をとってきたわけであります。この機械等がまあ時勢の変化もありますが、非常に古い形になって能率的でないといったような面もありますので、なかなかそういう交換にも応じないというようなことで、処分が滞ったわけでありまして、今後はここにございます
国有財産特別措置法第九条の二の
改正で、これはスクラップで売ってもいいということでございます。こういうふうな
改正になったのでありまして、従いまして、そういうようなものをただ
保管しておくだけでは
意味がないのでございまして、こういう
改正の機会にどしどしこれを処分するように促進してほしいということを申し上げたわけであります。で、これはこまかいことになりますけれども、
財務局が
保管いたしますのに、やはり旧軍用の
建物の中に
保管しておる。そうすると雨漏り等でさびもできると、これを常にやはり維持していかなければならぬ。あるいは盗難等にかかってしまうといったようなもので、ただ、
保管するということが非常に困難な状態、それが長引けば長引くほど
意味がないことでありまして、まあこういうふうに法の
改正のできた機会でもありますので、どしどしそういうものを処分して、身軽になった方がいいじゃないかという
意味でやったわけでございます。
それから第五は、台帳整備及び
保管の改善でございますが、これは
国有財産の台帳は、これは
国有財産法施行細則に形式が
規定されておるわけであります。で、台帳には索引番号を付して付図を添えるということになっておりますが、これがわれわれの
監察におきまして、非常に整備が悪いのでございます。たとえば近畿
財務局の管内におきます索引番号の不備の
状況におきましては、調査
件数一万七千五百十一件中、旧軍用財産で二千三百八十二、旧大蔵雑種財産四千百七十一、その他物納相続税とかその他のことを入れまして一万七千五百十一件中、七千九百四十八件というようなものが何らかの不備というふうに指摘されておるわけでありまして、これはもちろんここにありますように
国有財産の台帳というものは、財産の動的な
利用状況というものは、これは示すものでないわけございますので、貸し付けした事実というようなものはほかの予備台帳によって常に明らかにしていかなければならぬわけであります。ここにあります「
普通財産運用記録カード」というような制度を、
大蔵省で通達をいたしまして、大いに利用を勧めておるわけでありますが、一部これを利用している
財務局はございますけれども、十分これを活用していない。従いまして、台帳の整備と用しますか、いわゆる主管課の横の連絡、
国有財産の変化が常にすぐ台帳に反映していくというような横の連絡が非常に不備であります。これも人手の不足、
対象数が多いということ、終戦後軍用財産等がたくさん入ってきたといったようないろいろな
理由はあると思いますが、現実には非常に不備なことは争われないのでありまして、こういう点について台帳の不備というものは、結局処理を誤らすことになりますので、この整備という点について格段の努力をしていただきたいということを申したわけであります。それに付随いたしまして、この台帳というものは非常に大事な国の財産の根本的書類でありますが、それの
保管状況が非常にわれわれから見まして、防火上不十分な
建物の中に置かれているといったようなもの、あるいは盗難等の点について多少関心が薄いように見られるようなものもあると、こういうような
関係上、もちろん執務上便宜のために近くに置くというような
理由もあろうかと思いますけれども、やはりこういう貴重な台帳については、一そう十分な
保管にしてもらいたいということにつきまして、つけ加えて申したわけでございます。
最後に
普通財産の現在額表、これは
監察途上、北海道
財務局札幌局の方の管区
監察局で調査した際に、「
普通財産増減及び現在額表」というものを各
四半期ごとに本省に報告しておりますが、それの
内容と、つまりその
内容に、軍用財産がどのくらい、大蔵雑種財産がどのくらいといった報告と台帳面とが非常に数値が違っておるということを発見したのであります。これは北海道に特殊と申しますか、
関係のようでありますけれども、二十何年でしたか、税務署から軍用財産、雑種財産を引き継ぎました際に、軍用財産と雑種財産の総額の内訳の区分けを誤まったと申しますか、その
関係上、総額的には台帳と違ってないのでありますが、つまり軍用財産がいってみますれば一〇〇のところが一五〇になり、大蔵雑種財産が五〇のところが一〇〇になったというふうな、軍用財産であるべきものが雑種財産として報告されておるといったような
内容になっておることを発見いたしまして、現地で
財務局といろいろ話し合いまして、この点は
大蔵省も至急に
改正するということで、
勧告前にすでに台帳と
内容が合致するように修正しておるはずでございます。ただ
監察結果としましてこういうふうな結果が付随的に出ましたので付け加えて
勧告しましたわけでございます。
一応大体の
監察の結果の概要を御
説明申し上げました。