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1956-04-04 第24回国会 参議院 決算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月四日(水曜日)    午後二時九分開会   —————————————   委員の異動 三月三十日委員佐藤清一郎君及び酒井 利雄辞任につき、その補欠として小 沢久太郎君及び岡田信次君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田中  一君    理事            青柳 秀夫君            白井  勇君            大倉 精一君    委員            石村 幸作君            小幡 治和君            西川彌平治君            笹森 順造君            白川 一雄君            瀧井治三郎君            最上 英子君            久保  等君            山田 節男君            梶原 茂嘉君            市川 房枝君   政府委員    大蔵省管財局長 正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    会計検査院事務    総局第一局長  大澤  實君    会計検査院事務    総局第五局長  上村 照昌君   参考人    日本開発銀行総    裁       小林  中君    日本開発銀行理    事       鹿喰 清一君    日本開発銀行理    事       竹俣 高敏君    日本開発銀行総    務部長     岡田  豐君    日本開発銀行管    理部次長    佐藤文四郎君    中小企業金融公    庫総務部長   井染 壽夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会運営に関する件 ○昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから第十二回決算委員会を開会いたします。  まず委員の変更を御報告申し上げます。三月三十日、佐藤清一郎君、酒井利雄君の辞任に伴いまして、小澤久太郎君、岡田信次君が補欠として選任されました。   —————————————
  3. 田中一

    委員長田中一君) 次に昨日の理事会において申し合せた事項についてお諮りいたします。  本日の委員会日程に関する件は別紙の通りでございます。  その他の懸案事項として、予備費国庫債務負担調書、この討論採決は、衆議院での採決を待って行います。会計検査院法の一部を改正する法律案参議院先議でありますが、大蔵委員会付託物品管理法審議状況を見ながら日程に追加する。二十九年度決算、ただいま質疑保留のものは次の通りでございます。総括質問自治庁国税庁——この国税庁概要説明のみ聴取済みでございます。大蔵省所管の部は、管財局国税庁とに分けまして、これに対する質疑をもって大蔵省所管の部を質疑したことにいたしたいと存じます。防衛支出金協力謝金に関する件、農協の工事請負建設業法関係に関する件、以上でございます。  調査案件としては、黄変米に関する件並びに国鉄の経理状況に関する件が残っておりまするが、以上の事項は、時期を見て適宜日程に追加することにしたいと存じます。  以上の通り理事会において申し合せましたから、さよう取り計らうことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。   —————————————
  5. 田中一

    委員長田中一君) それでは議題に入ることにいたします。  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書  国家財政経理及び国有財産管理に関する調査  を議題といたします。  まず、日本開発銀行の部について審議を続行いたします。検査報告批難事項二千二百四十六号であります。ただいまの出席の方々は、会計検査院から上村第五局長日本開発銀行から小林総裁鹿喰理事竹俣理事並びに岡田総務部長の諸君でございます。  本日は小林総裁出席になられたので、まず日本開発銀行業務運営方針等について説明を求めます。
  6. 小林中

    参考人小林中君) ただいま委員長からのお話でありまして、すでにお手元に差し上げておきました「日本開発銀行業務運営概要について」をごらん願いたいと存じます。  本行は、すでに御承知のごとく日本開発銀行法に基きまして昭和二十六年四月二十日に設立されて今日に至っているのでありますが、全額政府出資でございまして、いわば特殊の金融機関であるのでございます。その目的といたしますところは、日本開発銀行法に明示されておりまするように、わが国経済の再建と産業開発に必要な長期の設備資金を供給するということになっているわけでございまして、そのような趣旨にのっとりまして業務運営しておる次第でございます。開業以来の業務運営概要を申し述べまする前に本行の業務運営の一般的な方針について一言触れておきたいと存ずるのであります。  本行の貸付業務運営に当りましては、大筋といたしましては、申すまでもなく、日本開発銀行法の規定に従うわけでありますが、本行の定款にも定めておりまするごとく、国の施策に順応して運営する建前をとっておりまするわけでありまして、やや具体的な貸付業務運営の指針となりまするものは、各年度ごと政府において策定されまするところの政府資金運用基本方針でございます。この基本方針は、大体年度初めに閣議了解のしで決定されまして、本行あて通知をいただくわけでありますが、この基本方針には、当該年度政府資金融資対象として適格と判断される業種があげられているわけでございまして、本行の融資もこの基本方針にのっとり、個々の貸付は本行独自の判断で決定していくという建前になっているのでございます。  なお当該年度にどの程度借入申込があるのか、この大勢は、本行としてあらかじめ知っておく必要がございまするので、通産省、農林省、運輸省等産業所管庁より、その年に開発資金対象適格事業の推薦をいただくようにいたしている次第であります。  なお貸付財源の点について触れておきたいと存じますが、本行の貸付財源は、政府出資または借入金回収金とさらに法定準備金貸し倒れ準備金のいわゆる内部留保、この三つでございます。  以上の点を前提として申し述べておきまして、以下、年ごと業務運営状況概要を御説明申し上げたいと存ずるのであります。ただし、二十六年度、二十七年度、二十八年度につきましては、説明を省略さしていただきたいと思います。  それでは二十九年度より申し上げますが、二十九年度に参りますると、財政金融引き締め政策の一環といたしまして、年間貸付額は六百五十億円とされておるのでございますが、その後政府借り入れ予定の削減が行われまして、結局貸付規模は五百九十五億円程度に減額せざるを得なかったのであります。なお同年度におきましては、航空業、並びに電力業につきまして外貨保証を行なっております。さらに、この年度におきまして経済援助資金特別会計法に基きまするいわゆるMSA資金運用を本行においていたすこととなりましたが、現在までのところ、この関係資金は合計約十七億円を融資承諾するに至っております。  三十年度におきましては、当初五百九十五億円と前年度並みの貸付予定いたしたのでありますが、政府原資が不足するような事情となりましたほかに、御承知市中金融が次第に緩慢になる事情にもございましたので、昨秋約百三十億円程度貸付市中金融機関におまかせするような措置が講ぜられましたので、現在右五百九十五億円から百三十億円を差し引きまして、貸付規模四百六十五億円を一応の目標といたしまして業務運営をいたしているような次第でございます。  以上申し述べましたところでも明らかでございまするように、二十八年度を頂点といたしまして、本行の年間貸付規模は次第に縮小する傾向にございまして、明年度は御承知の三百六十億円の線に政府案が決定したように承知しております。このような貸付規模の縮小の原因は、いわゆる金融緩慢を背景として産業界が次第に資金調達力を得てきたということもありましょうし、一面、政府原資不足という事態の現われでもあろうかと思われます。ともかく種々な理由がございましょうが、私ども直接貸付の衝に当っております者の感じといたしましては、本行に対する資金需要は依然旺盛とも考えられますので、限られた資金をより効率的に融資していきたいと念願をしているわけでございます。  以上を取りまとめまして、開業以来、昨年十二月末までに本行で貸付をいたしました金額は、累計約二千六百三十億円に達しておりまして、これを業種別に見ますると、電力業が約千百四十億円、四三%に当ります。海運業約六百億円、これが二三%であります。石炭業が百四十五億円、六%。鉄鋼業が約百四十億円、これも六%。自家発電約百二十五億円、五%。化学工業約百十億円、四%。その他産業約四百八十億円となっております。これで明らかでございますように電力業及び海運業に対する貸付が全体の約六六%を占めている実情でございます。右に申し述べました業種別貸付額にも表われておりますごとく、本行は現在まで電力海運石炭鉄鋼自家発電化学工業等に重点を置き貸付を行なってきた次第でございます。  開発資金貸付は以上の通りでございますが、さきにも申し述べましたごとく、復金並びに見返資金貸付債権を承継いたしておりますので、本行が現在有しております貸付債権残高は約三千七百六十億円に達しておりまして、資本金の方も約二千三百四十億円に増加して参っているのでございます。この貸付債権につきましては、別途資料を提出いたしておりますごとく、約百二十七億円程度が約定に対し延滞しているのでございますが、これらはすべてがいわゆる不良債権と申すべきものではございませんで、多くは早晩回収し得る経過的なものと考えております。  なお、本行の国庫納付について一言いたしますると、現在は利息収入を主といたしますいわゆる収入命から、政府借入金利息事務経費貸し倒れ準備金の諸支出を差し引きまして、残りが利益金となりますが、このうちから開銀法に定められております準備金を保留いたしまして、残額はすべて産業投資特別会計納付する建前になっているのでございまして、二十九年度までの納付累計は約二百五十六億円に達しておりますが、本年度も七十五億円程度納付が可能だろうと予想されておるのでございます。  以上をもちまして、業務運営概要の御報告といたしたいと考えます。
  7. 田中一

    委員長田中一君) 今、小林総裁からの説明を聞きましたが、日本開発銀行設立された二十六年から二十八年までのこの省略した理由はどういう理由でございますか。説明を省略した理由はどういう理由でございますか。
  8. 小林中

    参考人小林中君) これは実は二十六年から二十八年度までは、過去におきまして御説明もいたしておりまするしいたしまするので、省略させていただいたのでありますが、しかし御必要とあれば申し述べましても差しつかえございません。
  9. 田中一

    委員長田中一君) 御説明を願います。
  10. 小林中

    参考人小林中君) 本行が設立されました二十六年度におきましては、当初見返資金特別会計より百億円の出資を得まして貸付を行う予定業務を開始したのでございますが、産業界資金需要はきわめて旺盛でございまして、とうてい百億円程度資金ではまかない切れない事情となりましたので、この年の秋、補正予算におきまして一般会計よりさらに七十億円の出資を得ることになったのでありますが、後にも触れますように、二十七年一月に至りまして、旧復興金融金庫を吸収合併いたしましたので、同金庫より承継いたしました余剰金約九十五億円も貸付財源として使用し得ることになったわけでございます。  同年度貸付状況について申しますと、当時はなお見返資金特別会計私企業に対し貸付を行なっておりまして、電力業及び海運業につきましては同特別会計より貸付が行われておりましたので、当該年度におきましては、右の電力業及び海運業に対しまする本行の貸付市中借り入れ返済目的としたもの——いわゆる肩がわり融資でございますが——に限り行いまして、通常の貸付は行わなかったのでございます。なお御承知のごとく、当時市中金融事情オーバーローン状況にございまして、従いましてこのオーバーローンの解消をねらいました点も、本行設立一つ目的であったのでございます。このような事情にございましたが、さきにも申し述べましたごとく、本行に対する産業界資金需要は旺盛でございましたので、同年度におきましてはさき肩がわりも含めまして約二百百四十億円の貸付を承諾した次第でございます。  なお、同年度におきましては、さきにも触れました通り開発銀行法の定めるところに従いまして、二十七年の一月十六日に旧復興金融金庫を吸収合併いたしまして、同金庫権利義務の一切を承継いたしました。これに伴いまして貸付債権も約七百九十億円ばかり引き継ぐこととなりましたので、右の開発資金貸付と合せまして、本行は同年度末において約九百六十億円の貸付残高を有するに至ったわけでございます。  次に昭和二十七年度におきましては、当初一般会計より、百三十億円の出資を得まして、これに回収金内部留保を考慮し、年間二百五十億円程度貸付予定したのでありますが、年度半ばにおきまして、見返資金特別会計私企業貸付を引き継ぐことになりましたので、中途におきまして資金計画を全面的に改訂いたしまして、年間五百三十億円程度貸付予定し、従来、見返資金軒別会計で行なっておりました電力業及び海運業に対する貸付も行うとともに、中小事業貸付も暫定的に行うことといたしたのであります。なお見返資金特別会計より引き継ぎました貸付債権は約千三百四十億円であったのでございます。かくいたしまして、当該年度におきましては、回収金予想外の伸びもございましたので、年間約五百九十億円の貸付を行なったわけでございます。  次に二十八年度になりますと、電力業及び海運業に対する貸付相当額資金を割り振る必要もございまして、年間八百六十億円の貸付予定し、このうち六百億円は政府よりの借入金によって資金調達をする予定であったのでありますが、このうち、減税国債による政府原資調達に穴があきましたので、政府借入金は約五十億円減額されることとなったのであります。従いまして、貸付の面におきましても、当初予定いたしました八百六十億円の線は実現いたしませんで、年間の承諾は約八百三十億円にとどまったわけでございます。なお、同年におきましては、世界銀行よりの火力借款が成立いたしましたので、本行は、世銀を通じての外資導入事務を担当することとなったわけであります。なお、世界銀行のことに関連いたしまして、ここで一言触れておきたいと存じますが、今年度になりまして、鉄鋼並びに機械借款の成立も見るに至っております。さらに二十八年度におきましては、農林漁業金融公庫並びに中小企業金融公庫設立を見ましたので、本行の貸付債権の一部を両公庫に引き渡すこととなった次第でございます。  以上が補足説明と御了承を願いたいと思います。
  11. 田中一

    委員長田中一君) では御質疑のおありの方は御発言願います。  各委員のお手元に、二月二十二日調査室から出しました日本開発銀行に対する要求資料の項目がございます。これを一つごらん願います。これによりまして、三月十七日に開発銀行から一応早急に答弁のできるものだけの回答が参っております。また今日お手元に第十項の回答が参っておりますので、ごらん願います。
  12. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 開発銀行にお伺いいたしますけど、ここに会計検査院から指摘されております振興飛島鉱業株式会社振興鉱業開発株式会社、これは石炭を生産されている会社だと思いますが、石炭に対する開発銀行融資というものは非常に需要のあることでありまして、相当九州方面にもたくさん出しておいでになると思う。そこでこの案件は前に三千万円余の貸し出しがあるところにさらに二千五百万円を貸し付けられた。しかるにいろいろな事情で一部入金はありましたけど、その後の状況が延滞となっておって成績が悪い。この点を検査院の方で指摘されたわけでございますが、これと別に、この指摘されたことはいろいろな事情でございましょうが、開発銀行からの資料等に見ますと、経済界一般事情が悪かったとか、いろいろ順調でなかったために、やむを得ずそういう全体の事情のために貸付先会社もやりにくかったというふうに受け取れるわけなんですが、そうするとすれば、このほかにも同じようなケースで貸していられる会社があれば、ほかのところも同様にこんなふうに滞っておるというふうになっているんでしょうか。そういうところはまあ工合よく、同じような中小炭鉱といいますか、そういうところは、融資しても順調に戻ってきていて、ここだけがスペシャルに悪いか、これは仮定でございますけど、ほかに相当融資されておるとすれば、幾つくらい同じような規模炭鉱融資になって、それとの比較が大体どうかという点についての状況を伺えればけっこうだと思います。
  13. 小林中

    参考人小林中君) 私から概略御説明申し上げます。飛島炭鉱は御承知の状態でありますが、御承知のように炭鉱事業そのものが一昨年以来苦境に呻吟いたしておりまして、ひとり炭鉱といたしまして経営不如意になっておりまするものは飛島だけではないのでありまして、日本開発銀行融資先におきましても、すでに今日休山をしておる山もありますし、また現に整理をし、これを処分をしつつあるような山もあるのであります。従ってこういう特殊なものが一つだけ現われたということではないと私どもは増えております。そういう詳細の問題に対しましては、御質問がありましたら竹俣理事から御説明を申し上げたいと思います。
  14. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 私は詳細のものは、別にこの際伺うことは考えておりません。ただこの問題は、ここに指摘になっておりますけれども、これだけが特にこういう状況に陥っておるのか、あるいは今総裁お話しになりましたように、ほかも大体同じような状況であるのかという点について自分に知識がないものですから、その点だけ伺っておるわけでございます。  そこで、それでは会計検査院にお伺いしたいのでありますが、検査院はあれでございますか、開発銀行の方のいろいろ資金状況をお調べになったとき、ほかのものも一緒に検査されたのでありますか。それについての御意見ですね、今総裁からお話ございましたけれども、これに類似するようなものもほかにありましょうか。これだけ特に指摘されたというのは、何か事業のやり方が悪かったという点について、何かあったために御指摘になったのでしょうか、その点をお答え願いたいと思います。
  15. 上村照昌

    説明員上村照昌君) ただいま総裁からお話がありましたように、ほかの方にも同じように滞りがあるということはおそらく事実だと思うわけであります。これを私の方で批難しておる骨子は、滞りがあることそのことばかりを申しておるわけじゃございませんので、ここで申しておりますのは、過去に滞りがあって、それから会社の実態が必ずしも明確でないという点もございますが、開発銀行に提出されている資料から見れば、返済し得る状況でありながら、必ずしも十分の返済が行われておらないように受け取れる、そういう事態のものに対して貸す場合に相当考えなければならぬじゃないか、こういうことでこれを実は考えておるわけでございます。こういう目でほかの融資についても相当見ておるわけでございまして、その点につきましてここで取り上げるような事態は、私どもの見たところでは見当っていないということでございます。
  16. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 大体御趣旨はわかりましたが、そうしますと、石炭の方の事情相当困難であって、最近はだいぶ好転してきたようでございますが、   〔委員長退席理事大倉精一君着   席〕  融資された当時は、その後の状況で各経営者ともなかなか骨が折れるというために滞りがあっちこっちにふえてきた。しかし銀行としては、景気に支配されるわけでございましょうけれども、今後これに努力すれば、この問題はもちろん、他に対する投融資のものも滞るということなしに償還を期し得るというお見通しでございましょうか、その点をこの機会にお話しを願いたいと思います。
  17. 小林中

    参考人小林中君) ただいまの御質問はごもっともの御質問だと思いますが、私どもその衝に当っておりまする者から見ますと、石炭業の今後の合理化を一そう徹底して参りまして、炭価の引き下げに努力をさせますると同時に、炭況も順次回復をして参るだろうという見通しのもとに、石炭業に対する融資は決して悲観したものではないのだと、要するにこれをつぶさずに、合理化の線を強行をしていきますれば、融資回収は私はできるものと今考えておるのであります。
  18. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 いま一言お尋ねしたいんですが、これの二千五百万円を貸し出された場合に、今までの振興飛鳥鉱業会社稼行区域炭量が枯渇してきたので云々とありまして、積極的にある程度資金を用いれば今度は会社事業が好転してくるという、これはまあ積極的の援助だと思うわけでありますが、私どもしろうとでありますけれども日本の国の石炭業には、ただ消極的にやるよりは、むしろ銀行で積極的に援助されることが必要じゃないかと思うわけであります。金がないところに相当融資すれば、その会社事業がよくなって、その資金は将来必ず償還できるというふうにも思うわけでございまして、私はこのケースは、まあこの場合会計検査院から指摘になっているようにまことに遺憾の点があることは私も同感なんで、ぜひこれはまあお貸し付けになるときにいろいろな点、従前の会社のやっていた事業等も十分検討されて、よろしきを得ていただきたいんだけれど、ただそれだからといって……、これは銀行が直接おやりになるので、私どもがあまり突っ込んだことを申し上げることはどうかと思いますけれども石炭業ということのためには、むしろ事業を消極的でなしに、将来を見て、相当資金を入れていただくように、ことに中小炭鉱なんというのは金がないのですから、援助していくというところに開発銀行の私は使命があるんじゃないかと思いまして、この事件はまあこの通りでありますけれども石炭業に対する融資というものは、できるだけ一つ中小方面には実情に応じて、生産がふえるように会社を励まして、いいところへいっていただきたいということを付け加えて申し上げておきたいわけであります。
  19. 白川一雄

    白川一雄君 関連して……。ただいま会計検査院の方から指摘した御方針を承わったのでございますが、昨年石炭合理化法案審議いたします途中で、各炭鉱とも非常に困っておるので、国をあげてこれを援助して、合理化をしようと、大体事業家の立場から考えますと、会社利益が上りましても、全部が現金で残るわけじゃないので、大部分は数字の上の利益ということになりますので、次々に事業の困難を打開していきますときには、上った利益もこれを投資に入れていかなければいけないということもおわかりだろうと思いますし、また石炭だけでなしに、銀行から借金しておるから、全部借金を払ってしまわなければ次の借金ができないというような窮屈なことでは、産業というものはなかなかいかないんじゃないかというように考えますと、どうも会計検査院がこの指摘された根本方針というものに対してわれわれ非常にわからない感覚を持つのでございますが、その点について事業に対する会計検査院の御方針をもう一度承わりたいと思います。
  20. 上村照昌

    説明員上村照昌君) ただいまお話のように、石炭なりあるいはそのほかの業種につきまして、国策として相当金融のめんどうを見ていかなければならぬというものがあるという点は十分承知しておるわけでございますが、さようなことを考えながらも、全部が全部頼らなければ立っていかないかどうかという点について、お話のように問題もあると思うのでありますが、本件につきましては、私の方で見ました場合に、ここに記載してございますように、相当利益があると、あるいは投資していかなければならぬ面があるかもわかりませんが、相当償還について積極的な面が出てきてよいのではないかというふうに考えるわけでございますが、そういう点について、いろいろの面を見まして乏しいというふうに実は判断したわけでございます。これにつきましては、いろいろ御批判もあろうかと思うのでございますが、さような判断のもとにおきましてこの事項を取り上げたわけでございます。
  21. 白川一雄

    白川一雄君 御方針わかりますが、われわれから考えますと、その事業に金をかけてももう見込みのない事業であるとか、あるいは金を貸しても返る望みがないとかいうのなれば、あるいは大いに指摘しなければならぬと思いますが、昨年石炭合理化法案を非常な大騒ぎをして審議した経過から考えましても、現在日本の貧弱な炭鉱を何とかして生かして、日本の基本産業とするためには、開発銀行等において積極的に事業そのものの実態も調べ、積極的に援助するという面がつけ加わらなかったならば、容易に安定するものではないと、また失業者がどんどんできることを救う道ではないということが、超党派的に非常に意見の一致した点であったのでございますが、このくらいのことを指摘するという事柄でわれわれが心配するのは、開発銀行事業に対し積極的に援助するという事柄にブレーキがかかることを非常におそれるので、この具体的な場合は私存じませんけれども、一般産業ではこれよりもう少しひどく貸金が残っておるのにどんどん金を貸しておるのもあるはずだと、われわれはそう観察しておりますが、それは事業発展の途上にあり、戦後の衰えておる産業を一応軌道に乗せようとする場合には、画期的な進歩をはからなければ、日本産業というものは生きていくことができないというときに、貸金のある上にまた貸金をしたからということが大きく取り上げられるというような事柄になりますことは、産業にブレーキをかけることになりやせぬかということを非常に懸念いたしますので、会計検査院のお考え方にも一応御反省願う点がありゃしないかということを申し上げたいと思うのでございます。
  22. 上村照昌

    説明員上村照昌君) ただいまの点は、私どもの方もよくわかるのでございます。全般的につきまして、ただいまお話のような意味でブレーキをかけるというような考え方はもちろんございません。が、ただ、国家が財政資金投資して金融をやっていく場合に、何でもかんでもよいかということについては、必ずしも何でもかんでもよいというふうにはもちろん考えませんが、ただいまおっしゃったような意味では全体的に考えていきたいということは、私どもの方でも、上の方でもさように考えておりますので、全体の考え方については、ただいまお話通りに私の方もやっていくことになる、現にやっていきつつある、かように考えております。
  23. 白川一雄

    白川一雄君 よくわかりましたのですが、ただ、私どもは先年問題になりました、政治力が影響して金融がどうこうなったとかという、産業の本質から反したものが加わったことにつきましては、大いに会計検査院としましては制肘を加えていただかなければならない。またわれわれ決算委員会に出ておりましても、国の金が詐欺的行為においてたくさん使われておること等を見まして、まあ非常に憤慨おくあたわざるものがあるのでございまして、そういう点はわれわれは一に会計検査院のお力によらなければならぬということを感じます。ただ産業の本質ということは、通り一ぺんの規則だけではなかなか産業というものはいくものではない。理屈の外に動くところの要素が多分にあるということをお含みの上に、また、何でもかんでも認めることにいかないということはもちろんでございますが、また何でもかんでも指摘するということは考えていかなければならぬということを申し上げて、私の質問を終ります。
  24. 山田節男

    ○山田節男君 私は開発銀行の方へちょっとお伺いいたしますが、今、白川君の質問並びに意見があったのですが、先ほど小林総裁の御意見によると、この二十九年の決算報告の第二千二百四十六号におきまして、不当貸付として、批難事項としてあげられておるのでありますが、こういう類似のものはたくさんあるというようなお話だったと思います。率直のところ、ただいま白川君の会計検査院当局に対する質問応答を見て、この批難事項としてあげられている開発銀行の不当貸付、二千二百四十六号に対して、これはどうもあれですか、やはり不当……、一つの批難事項に値するというように率直にお考えになるかどうか、この点一つお伺いいたしたいと思います。これは会計検査院がおるから、遠慮する必要はない。あなたの一つのポリシーとして、白川君のような意見があるのですから、率直に意見を伺いたい。
  25. 小林中

    参考人小林中君) 開発銀行といたしましては、この件の貸付は決して不当融資では私はないと考えております。従って、会計検査院指摘事項は、事実の認識が足りないのではないかというふうに考えておるのであります。その詳細を御説明申し上げる必要がありましたら、竹俣理事から詳細に御説明を申し上げたいと思います。
  26. 山田節男

    ○山田節男君 上村局長にちょっとお尋ねしますが、この開発銀行のこういったような会計検査を何件ぐらいやったか、もちろんこれは帳簿検査並びに実地検査があれば、それをあわせて何件ぐらいやったのか伺いたい。
  27. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 全般的にちょっと申し上げることは、資料を持っておりませんのであれですが、この検査報告に記載しております二十九年度の新規の貸付が二百九件ほどございますが、これについては大体一通り当ってみているわけでございます。もっとも、実地検査において書類を拝見しておるわけであります。もっとも時間の関係がございまして、必ずしも綿密に見ておらぬ面もあるかもしれませんが、一応は二百九件の新規貸付については見ているわけであります。なお既往の貸付につきましても、それぞれそのつど見ておるわけであります。この方は件数はどれほど見ておるかということはちょっと即答いたしかねるわけであります。
  28. 山田節男

    ○山田節男君 この開発銀行の批難事項を特に一件あげられたということは、これは私はいろいろ会計検査院として厳重に検査されて、しかも検査官会議でこの検査報告を国会に出すについてはもう十分慎重な審議を行われた結果に違いないことは、もう言うまでもないことであります。で、特に二千二百四十六号ですね、こういう一つの不当貸付、その他としてあげたものは、そこに何か数字上以外のファクターがあるのではないかと思うのですが、その点どうですか。
  29. 上村照昌

    説明員上村照昌君) これに書いてある以外にあるのではないかとおっしゃいますが、その点については、私の方は大体ここに書いてある程度のことで判断し、出しておるわけでございます。
  30. 山田節男

    ○山田節男君 これは小林総裁にちょっとお尋ねするのですが、この会計検査院の検査報告に見ると、債務者、この貸付を受けた振興飛島鉱業株式会社、それに連帯債務の債務者である振興鉱業開発株式会社、これは二十七年度、二十八年度利益金が上げられているわけですが、先ほどの白川君の質問もありましたが、なかなかこれだけの利益金を計上しておるのならば、少くとも債務者の貸付を受けたものは、規定に従って、この貸付額に対しての入金を会社にするのが当然だと思うのですけれども、これを見まするというと、わずか二十一万二千七百十五円しか入金していない。それ以外に何も入れていない。そしてこの新規貸付金につきましても、三十年一月から利息の受け取りとして十万円の入金があっただけで、あとは皆延滞になっているわけです。こういったような事態を必ずしも開発銀行として、これがノーマルな状態であるということは言われぬのじゃないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  31. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) まず最初に二十七年度あるいは二十八年度においてこれこれの利益があったのに、従ってこの利益があるならば、当然返済その他で相当貸付が変ってきてしかるべきであるにもかかわらず、入っていないということが、どうも最初から伺っておりますと、批難のかなり中心であるように思うのでございますけれども、実は私ども飛島鉱業に融資をいたしますにつきましては、やはり現地も見ておりまするし、いろいろ数字も検討いたしました。そこで私どもの結論といたしましては、当時なかなか利益は上っておらないように思う。これは会計検査院も十分御承知なはずでございます。会社から御提出の数字は、おそらく今ここに出ておるような数字であったかと思いまするが、私どもは実は形式的な数字ではなしに、実際どうであろうかということを見て参りまして、うまくいって若干の利益、あるいはとんとんくらいではないか。まずくいけば多少赤字であったかもしれないというように、私どもとしては結論を出しており、またそのことは会計検査院が十分御承知であったのでございまするが、御認定が違いまして、こういうように利益が上っておるのだ、その上取引ぶりが悪い、そこへ出したというふうな形になってしまった、ここに認識の相違が出てきてしまったのであります。
  32. 山田節男

    ○山田節男君 そうすると、まあこの会計検査院報告書を土台にして考えると、この債務者——まあ連帯債務者ですね、二十七年、八年、これだけの利益を計上しておるわけです。そしてその利益金は主として経営拡張のため投資している、投下している、これは事実ですか。
  33. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 中小炭鉱実情をごらんをいただきますとよくわかりまするが、なかなか帳簿組織その他が整っておりません。従って外部からうかがいます場合には、なかなか困難をきわめますので、ただいまの御質問にも的確にお答え申しにくいのでございまするが、ある程度坑内の、何といいますか、工事に使っておるかと思います。これはほんとうの意味での利益として、償却後の利益でなくとも、償却前の利益ですね、これを注ぎ込んで、結局坑内を長もちさせていくということは、これは考えられまするから、その程度のことはあったかと思います。
  34. 山田節男

    ○山田節男君 この中小企業のみならず、大企業にしても、やはり開発銀行の使命は、こういったような経営拡張というか、それから経営の合理化、これは一つの再生産的なものとすれば、これは私はやはり広い意味で開発事業というと語弊があるかもしれないが、ディベロップメントと考えれば、私は決して不法ではなくて、決してアブノーマルのものではないと、こう思うのですがどうでしょう。抽象的に報告書だけ見て、今の小林総裁の言われた不当貸付ではないと思う、こういう御意見があるわけです。これを見ますと、やはりもとの復興金融金庫並びに開発銀行から借りている金に対して、あまりに入金、それから利子の延滞が、期間的に見ましてやはり怠慢ではないか、悪い意味で言えば、金を借りた者の強みというようなことでずらかっているというようなところに、この会計検査院としての特にこれを批難事項とした理由があるのではないかと思うが、この点は一般的な貸付並びに回収から見られて、こういうことが多々あるのかどうか、一般的な問題としてどういうように考えられるか、この点をお伺いしたい。
  35. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) ただいまの御質問に全般的にお答えしなければなりませんが、それにつきましては、これもお手元に差し上げてある資料でございまするが、復金承継の債権で業種別にどういうように延滞しておるであろうかという数字を出しておりますので、これを申し上げまするとある程度おわかりいただけると思いまするが、この中の鉱業、これは石炭ばかりではございませんで、若干金属鉱業も入っておりますが、この大部分が石炭とお考えいただいてよろしいかと思いまするが、その中で一カ年以上の延滞をいたしておりますものの合計が二十九億六千二百万円、従ってこれは多かれ少なかれ、今出てきたような不幸な形になっておるケースがその程度あるわけでございます。  それからその次の問題といたしまして、先ほど御指摘になられました十万円しか入っておらぬがというようなふうに私伺ったのでございまするが、少しニュアンスが違いまして、これもお手元資料として差し上げてございまするが、振興飛島鉱業につきまして、まず復興金融金庫から引き継ぎましてから、例の二千五百万円の融資がなされますまでに入金いたしましたものが三百五十二万四千百六十一円ございます。それから二千五百万円融資をいたしましてから、その以後に入りましたものが百二万一千百六十一円ございます。これは融資いたします前後から、もちろんその前からもいろいろ督促をいたしておりまするが、特に融資が通常の融資というよりは、私どもの言葉で言えば管理融資と呼んでおりますが、結局それを呼び水といたしまして、従来の取引ぶりも改善されてもらいたいということでいたしておりますので、当然その融資の前後にいろいろ働きかけまして、今申し上げたような入金があったわけでございます。その点ちょっと私伺いました感じとニュアンスが違いますから訂正的に申し上げたわけであります。
  36. 山田節男

    ○山田節男君 これは会計検査院からでもいいのですが、この不当貸付としてあげられておる振興飛島鉱業株式会社振興鉱業開発株式会社の責任者はだれですか。会計検査院がわからなければ……。
  37. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 振興飛島の方が代表取締役が田中隆博、田中彰、それから振興鉱業開発の方が代表取締役は鍛冶良作、田中隆博というふうに……。  なおちょっと申し上げたいと思うのですが、ただいまの十万円ということがございましたですが、多少誤解を招いておるかと思いますので、ここに記載してありますのは、三十年一月からは利息の一部として十万円とございまして、多少誤解を招くおそれがあるかと思いますので釈明いたしておきますが、一月までは延滞が利息の方はございませんで入っておりまして、その後一月からは十万円ということでございますから、その点申し上げます。  それからなお利益の点でございますが、この点につきましては、検査報告に記載してありますように、実は会社提出の資料によっておるわけでございまして、実態が必ずしもこれと合わない場合があるということは、一般の場合考えられると思うのでありますが、この点につきましては、開発銀行の方に照会し、また御回答いただいておるわけでございますが、その場合にも経営の拡張等に使われて、必ずしも償還が思わしくなかったということが振興鉱業開発の方については触れられておるわけでございますので、申し上げておきます。
  38. 山田節男

    ○山田節男君 開発銀行にお尋ねしますが、この振興飛島鉱業株式会社、ここに会計検査院報告あるものの時日以後に、利息支払いあるいは貸付金の人命があったかどうか、今日まで、昭和三十一年の三月までにこの会社が入金しあるいは利息の支払いをしたかどうか。
  39. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 振興飛島鉱業が三十年十二月三十日に十万円、それからことしになりまして、三月二十六日に五万円入金いたしております。
  40. 山田節男

    ○山田節男君 これは開発銀行としてどうですか、こういったような会社が、ほんとうに金を契約されたように払う誠意があるように見られるかどうか、今みたように、五万円の現金なんてちょっと常識上考えられないのです。そこらあたり率直に……。
  41. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) なかなか飛島鉱業さん一生懸命やっていらっしゃると思います。ところが最近断層に当っておる。これは中小炭鉱で断層に当りますと相当痛手になりますので、従って出炭がなくなる。出炭が大いに減りますると、それだけの売炭収入がなくなって参りますので、一応ノーマルに出炭できるものとしていろいろ約束していたものがとだえてくるということはままございます。従いまして、現在飛島鉱業についてこのようにつまずきましたのは、もちろん全般的に石炭業の不況ということではございまするが、もっと具体的には売炭先が不渡りか何か出しまして倒れたということがまず第一の打撃である。その後どうにか持ち直しまして、普通であれば、普通であればというのははなはだ言い方が悪いのですが、まずくいけばつぶれてしまって、閉山してしまわなければならないというような運命に陥ったかもしれなかったのが、どうにか命脈を保って働いておる。またその断層を突破すれば、入金もまた復活するであろうというふうに見ておりまするので、手前みそでございまするが、かつて出しました二千五百万円というものを、もし出さなかったならばおそらくつぶれていたのではないかというふうにさえ考えておる次第でございます。
  42. 山田節男

    ○山田節男君 そうすると、まあ大体開発銀行として、ことにまあ炭鉱のような非常に投機的な、一面において非常に原始的な事業ですから、これに対する貸付金というものは、今あなたが御説明になったくらいな気持で金を貸しておられるのだろうと私は思うのです。それに違いないですか。
  43. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 炭鉱にいたしましても、あるいは金属鉱山にいたしましてもなかなかむずかしいのでございまして、もちろん、銀行事業者と同じ立場ではございませんから、事業者よりは一歩退いて考える、これはやむを得ないかと思います。従いまして、他のノーマルな融資の場合には、結局、どれだけの炭量があり、それが計画的に、年間何トンであるか、それによって収入が、利益がどのくらい出てくるであろうか、従ってその収入によって返済をこちらは求めるわけでございまするから、そのときにおいてそろばんがどうしても成り立たないという場合には、なかなか融資の成立はしにくいのでございます。ところがこのケースは、実は復興金融金庫時分に資金をお出ししておったのが、なかなか取引がうまくいかない。その後経営者が変ったりいたしまして、多少上向いてきたような感じがいたします。かつて、もし記憶が間違いなければ、二年半くらいでございましたか、利息が延滞しておったのもすっかり払うという形になりました。ところが炭鉱実情を見ますると、従来掘っておりました炭層は残炭掘りを多少やるにすぎない。もしそれをやっておれば一年かそこいらで終ってしまう。終ってしまえば、従来融資いたしましたものもこれは全部だめになってしまう。従って会社当局も、その下層の方をさらに稼行していきたい。その下層を稼行ずるためにはやはり開発資金が要るのである。その一部として最初は三千万ですか、四千万ですか、何しろ手前どもがお出しいたしましたよりよけいの金額をお望みになったのでございます。われわれいろいろ考えました末、結局結論として二千五百万円だけ御融資申し上げるということになったのでございます。その使い道も、出て参りました炭そのままではなかなか売れ行きが悪い。従いまして、これは選炭をして商品価値を上げなければならないというようなことの選炭設備費に使われた部分、それから、これは御承知のように離れ島でございます。離島炭鉱でございます。従って本土から電気を、動力を供給いたしておりますので、地下ケーブル、海中ケーブルを通しております。ところがそれが一本では何か故障があったときに結局動力がとまってしまいますので、山が休んでしまう。その痛手が大きい。しかもそれが相当老朽しておる。従ってもう一本新たにケーブルをやりたいのである。これは利益の上り方いかんということより、もっと大きく保安上の問題といったような問題もからんでおりましたので、従来の融資を確保するという意味での管理融資ということと、そういう保安的な意味とあわせて実はお願いしたわけでございます。不幸にして、なかなかその後に出て参りました石炭一般情勢、あるいは取引先の不渡り手形が出たというようなこと、あるいは断層にぶつかったといったような不幸なことがたまたま重なりまして、現在といたしましては決して芳ばしい取引ぶりにはなっておりません。このことは私ども自身遺憾に思っておりまするが、結局長融資でございまするから、その悪いときだけをつかまえてこれは悪いのだと言ってしまってはならないということを、われわれ自身いつも自分に言い聞かせているわけでございまして、先ほど総裁からも申し上げましたように、必ずや一年か二年か、ちょっと年数はわかりませんが、必ずやよくなりまして、国家資金を貸し出しましたものは、必ず回収させていただけるというふうに考えております。
  44. 山田節男

    ○山田節男君 開発銀行のいろいろな意見を開いてみると、開発銀行としては、この案件は健全投資、健全融資である、こういうふうな見解に立っていると思うのです。会計検査院の方では、これは明らかに不当貸付であるという断定を下しておるわけです。この内容は、まあいろいろここで質疑応答してもどうかと思いますが、これは政府の方がどういうような説明をこの案件にしておるか知りませんが、これはもっと研究する必要があるのじゃないか。少くとも会計検査院において責任をもってこれを出している以上は、ただ、今までの質疑応答ではとてもはっきりしないと思うのです。ですから、これはまた後日これを一ついろいろ責任者等を呼ぶ何があると思うのですね。ですから私はこのくらいにしておきます。今後の、また会計検査院等の、これに対してさっと詳細な報告を求めて、なお開銀等に私は質疑をすることを保留して一応打ち切ります……。  それじゃ久保委員が関連質問される前に、もう一つだけ開銀、日本開発銀行法によってこれが動いているわけですが、たとえば今、この前の世界銀行に対する日本の企業家の借款の世話をするといいますか、具体的に言えば、世界銀行日本における一つのエージェントとしての役割を開発銀行が果し得る法的根拠、これはもうはっきりしているのですか、この点の御説明を……。
  45. 小林中

    参考人小林中君) ただいまの御質問は、世界銀行から日本開発銀行が保証または借入をして、それを日本産業開発資金として貸し出すことができる根拠がどういうところにあるかという御質問だと思いますが、それは日本開発銀行法の三十七条に「日本開発銀行は、第十八条第一項に規定する業務を行うため必要な資金の財源に充てるため、政府から資金の借入をし、又は外国の銀行その他の金融機関から外貨資金の借入をすることができる。」、こういう条文がありまして、この条文に基いてやっておるわけであります。
  46. 山田節男

    ○山田節男君 それを敷衍しますと、たとえばコロンボ・プランであるとかあるいはポイント・フォアであるとか、こういったような、これはまあ日本に適応されるというのじゃなくて、適応される場合、あるいはたとえば日本を通じて東南アジア諸国にそういったような一種の借款といいますか、そういうものを取り扱い得るということも私は考えられると思うのです。だけれども、もう一つはたとえばビルマ、あるいはもし日本・フィリピン間の賠償問題が解決すれば、あるいは役務賠償と申しましょうか、これに付随して相当また投資的なものが起きてくるのじゃないか。そういう場合には、やはり輸出の銀行じゃなくて、開発銀行がこれを取り扱う、これを管理する問題であると思う。こういうふうに私は考えるのですが、今の条文を敷衍すれば、やはりそういうことになるのでしょうか。
  47. 小林中

    参考人小林中君) 開発銀行法によりまして、開発銀行産業資金融資範囲は、国内産業開発資金合理化資金ということに、国内的に限られておりまして、その点が、外国資金を導入いたしまして、日本の国内の開発資金に充てる、こういうふうになっておりまするので、外国資金開発銀行が導入をいたしまして、これをまた海外に投資をするというふうなことは、ただいまの開発銀行法によりますとできないだろうと思います。
  48. 山田節男

    ○山田節男君 それは今の日本開発銀行法で明らかにできないという見解ですか。
  49. 小林中

    参考人小林中君) 現在の開発銀行法によりますと、一応できないということに考えていくより仕方がないと思います。従いまして、お説のごとき方法は、私どもも考えられる方法だと思いますし、また日本としては一つのいい方法だとも考えられるのでありますが、これは開発銀行法の改正を待って初めてそういうことができるということになると思います。
  50. 久保等

    ○久保等君 ちょっと私先ほどの山田委員質問に関連して、ここにあげられております二千二百四十六号の問題についてお伺いしたいと思うのですが、まあ今、開銀の総裁の言われる御説明だと、振興飛島鉱業に対する二千五百万円の貸付を行なった当時の判断としては、普通貸した、投資をした場合の、その後における貸付金の回収といったようなことが、当然回収できるであろうという見通しのもとにやはり私融資をされたと思うのですが、その判断された根拠というものが、少くともちょっと先ほど来の御質疑の中から伺っておりまする限りでは、判断に苦しむわけなんですが、ここに会計検査院指摘事項にあがっておりまする当時の状況一つの判断として、おそらく文書その他のやり取りがいろいろあったと思うのですが、二十七年度あるいは二十八年度等に上げられた利益金、そういったようなものについても、先ほどの御説明だと、何かそういったことは書類の上ではそういう数字が出ておったが、実際の実地の調査等を行なった実情というものは、それよりも遙かに困窮しておる状態というか、非常に経営状態が苦しい状態にあったという御判断じゃなかったかと思うのです。そういう御判断であればあるほど、なおさら開銀として融資をされることについてはより慎重にならざるを得ないということになるのじゃないかと思うのですが、まあそれが将来に対しては非常に何か期待を持たれて、十分にその点は間違いなく貸付金の回収もできるのだという御判断をされたようなことに、総合的に判断してそう私は承わったのですが、そうなるとますますどうもちょっと理解しにくいのですが、もう少し何らかその当時の御判断が、貸付に値するという判断をせられた根拠というものが、先ほどの御説明以上にお伺いできるものなのか、できないものか、もう少し納得できるような御説明が伺えるならば一つお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  51. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) ごもっともなお考えだと思いまするが、融資をいたします場合に、まず一番最初に、ざっくばらんに申し上げまして聞かれましたことは、従来の融資が残が競っておるということ、従ってこれを国家資金をいかに確保しなければならないか、これはまあ私ども開発銀行に限らず、銀行業務に携わっておりまする者は、従来の融資がだめになるということは非常に不名誉なことになりまするから、何とか確保しなきゃならないということをまず第一に考えます。その場合に現実はどういう状態であったかと申しますると、先ほどもちょっと触れましたように、現在飛島鉱業で稼行いたしておりまする炭層は、漸次枯渇いたしておりまして、あともう残炭を若干掘る余裕しかない。従いましてその層はもうだめなんですが、従ってそれを掘っておきますれば、残炭を掘って何もなくなれば、ただ形骸だけでありまして、融資残も、そのまま枯渇してだめになってしまうわけでございます。従ってどうしても炭鉱を生かしておかなければならないということが出て参るのでございます。それに呼応いたしまして、その会社当局も、会社の命脈を保つために、さらにその下層を新しく開発しようという計画を持っておりまして、その開発する資金の一部といたしまして二千五百万円を開発銀行に求めたわけでございます。もしそれを出さなければ、その飛島炭鉱は一年足らずでもって命脈が尽きてしまう。尽きれば従来融資したものもだめになってしまう。融資を確保するためには、どうしてもその事業を生かしておかなければならない。生かすためには開発資金を、開発工事をやらなければならない。こういうジレンマに追い込まれているわけでございます。もしこれが従来融資いたしておりませんければ、必ずしも開発銀行の責任だということになりませんので、あるいは話が成立しないということもあり得るかと思います。そこでこれが通常の場合の融資と若干違う、これが管理融資だというふうに申し上げましたのはそういう意味でございます。管理融資と申しますのは、くどいようでございますが、従来の資金を確保するために、従来の資金を償還していただく呼び水となるため、銀行側からいえばそういうことでございます。それからもっと事業側の観点からいえば、その事業を維持継続するために、こういうことになります。
  52. 久保等

    ○久保等君 今の御説明で一応当時のお気持なり基本的な考え方、ある程度理解できたんですが、しかしそれは非常に事業主にとっては、銀行側の方でそういう非常に深い理解を持っていただくということは、これはまあ非常にありがたい私はことだと思うのです。特に呼び水的な資金を借りられるというようなことは、これはもうおぼれる者はわらをもつかみたいという気持の状態であろうと思いますから、まあ非常にそれはけっこうだと思うのですが、ただしかし、銀行側の融資をする立場から考えた場合には、先ほど、もし総裁の言われたことが、長い目で見た場合には十分に回収できるんだという判断が、どういうところから参っているか知りませんが、長い間の経験から割り出された結論がそういう御判断で、しかもこういったケースは、むしろこういった場合だけじゃなくて、普通あり得ることだし、むしろよく事情がわかってもらえれば、こういったことは決して危い橋を渡る融資じゃないんだという御見解のようだったと思うのですが、まあわれわれしろうとから見ますと、やはり何といっても、その融資を行うときのその当時の事情の把握の仕方、状況判断というものが、これは何といっても最大の要素をなしていると思うのですが、その判断が、資金需要者側の立場から見れば、必要というか、非常に足元に火のついたような状態に置かれているということは、これはもう当然だと思うのですが、しかし、それが銀行側の立場からすると、そうばかりは考えられないので、やはり私は三千万円今まで投資してある中に、さらにつけ加えて二千五百万円投資するということになると、これは当然三千万円の回収はもちろんのこと、二千五百万円の問題も、これは新しい投資なんですから、当然考えなきゃならぬと思うのですが、そこのところが、非常に事業に対しての理解は十二分にあるような御説明で、その点からはけっこうだと思うのです。特に中小企業なり中小炭鉱に対する理解のほどはわかるんですが、しかし何かこの不安全、安全性のない投資という面から、どうもやはり、私はその批難を十分に払拭させる御説明がどうも今までの御説明からはちょっと伺いにくいのです。従って総裁の先ほど言われた御答弁も、この問題のみならず、一般的にほかにもおそらく事例があると思うのですが、たまたま会計検査院指摘された事項はこの一件です。従ってこの一件については、先ほど山田委員お話がありましたが、私も十分に一つどういう事情にあるのか、委員会における審査も本日限りということでなくて、まだ後日機会を見てこの問題についての御質問もいたし、もう少し研究をしてみたいと思うのですが、少くとも会計検査院の判断と開銀側の判断というものは非常に食い違った形になっておると思うのです。片や専門家の開銀の方々が、長い間の経験なり、それからまた現任やっておられる事業事業といいますか、扱っておりまする視野から見た場合には、そう非常識な貸付をやっておるのじゃないのだというお話でございまするから、その点については私も一応敬意を払いたいと思うのですが、しかしただいままでの御説明では、どうもやはり当時の現状把握に対する見解の相違ということでは済まされない私は問題だと思うのです。事後に起ってしまった不測の事態そのものは、これはどうしたって、どういう事業でも危険を伴う事業ですから、そう的確な判断はできないと思うのですが、しかし貸付を行う当時のやはり状況判断としての、その基礎になったいろいろなデータあるいは調査、そういったようなものについてはもう少し何かお話を伺わないことには、われわれしろうとから見ても何か非常に不安なような気がするのですが、とかく銀行側の立場から見れば、石橋をたたいて渡るというお考え方で一般に融資をされておると思うのですが、そういう御判断からすると、何か非常に、先ほど来のお話だと管理融資ということを強調しておられるのですが、管理融資を期待するのは、私は中小炭鉱等の立場からすれば、実にこれは旱天の慈雨ということで期待をしておると思うのです。開銀の使命といいますか、開銀の立場から考えられますれば、また別の角度から非常に慎重にいろいろ検討せられていかなければならぬ問題があると思うのです。そういう点で、今伺ったお考え方の大体のアウト・ラインはわかりましたが、問題は当時の状況判断の基礎、これらの問題についてもう少し私も研究をしてみたいと思うのですが、質問は本日のところ以上で打ち切りたいと思うのですが、ただ、この会社実情等についても一つ、もし資料がお手元にございますればお出しを願いたいと思うのです。会社の構成、先ほど役員の名前も会計検査院の方からあげられておったようですが、役員の氏名、それから会社資本金、その他設立された当時の状況なりその後の状況等、少くとも開銀で融資をせられた当時の判断の基礎になった資料等について、一つほかに指摘されました事項があるわけでもございませんし、モデル・ケースとしての意味から少し研究をしてみたいと思いますので、当時の判断の基礎になりました資料等について参考になりまする範囲内において適宜御提出を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  53. 大倉精一

    理事大倉精一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 大倉精一

    理事大倉精一君) では速記をつけて。
  55. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 関連して一つだけ伺いたいのですが、先般の御説明で、開銀以外の普通銀行から相当融資がこの会社にあっているように伺ったのです。私はその金額をちょっと忘れましたけれども相当の金額であったはずであります。開銀の方で新しく資金を、まあ管理融資にいたしましても、貸し付けられる場合、それから回収を推進されていく場合等において、他の貸付を行なっておる普通銀行と何らか話し合いをされるのですか、全然それはもう独自でおやりになるのですか、その点を一つ伺っておきたい。
  56. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) ある工事がございまして、かりにそれが五千万円の工事であった。開発銀行としてはいろいろ考えた末、まあ三千万円しかお出しできないということになれば、あと二千万円が市中銀行からの協調融資として出るということが確認されなければ、手前の方から出します三千万円も無意味でございまするから、そのときには当然相手銀行と連絡をとって、それが両方が見通しがつきましたところで私ども出しております。その限りでは当然話し合いをいたしまするが、そうでない場合、たとえば運転資金を別個にお出しになる、あるいは工事対象も、また別の計画でまた別の時期になるというときには、大体連絡はございません。
  57. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 今度のこの具体的のケースについてはどうだったのですか。
  58. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) このときにはほかの銀行との協調融資ではなかったかと記憶いたしております。
  59. 白川一雄

    白川一雄君 お差しつかえなければ、銀行からお聞きしたいのですが、経営者に対する銀行の信頼度というのはお話し願えませんでしょうか。
  60. 竹俣高敏

    参考人竹俣高敏君) 銀行は信用をもとに取引いたしておりますので、公開の席上ではちょっと差し控えさしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  61. 大倉精一

    理事大倉精一君) それでは今、久保君の御要求になった資料を後刻御提出を願います。本件に関する質疑は本日はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 大倉精一

    理事大倉精一君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  63. 大倉精一

    理事大倉精一君) 次に、大蔵省所管のうち、管財局の部を議題にいたします。検査批難事項は第五十二号から第七十七号まで及び第七百五十九号から第七百六十二号までであります。  なおこの際、昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書、昭和三十九年度国有財産無償貸付状況総計算書を議題とし、管財局の部を一括して審議することにいたします。  なおただいま御出席の方は、大澤第一局長、武樋総務課長、正示管財局長、天野国有財産第一課長、辻国有財産第二課長、上東野管財司計官、建部建設営繕計画課長、以上であります。
  64. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま委員長から御指示がございました昭和二十九年度決算につきまして、大蔵省管財局関係につきまして若干補足的な御説明を申し上げたいと存じます。  お手元にお持ちと存じますが、昭和二十九年度決算会計検査院の検査報告がございますが、これのページ数をちょっと申し上げますが、七十四ぺージをお開き願いたいと存じます。検査報告の七十四ページでございますが、ここに「国有財産管理および処分について」という終りから三行目に大きな見出しがございます。ここにいわば二十九年度決算の管財関係の総括的な検査報告があるわけでございます。これに対しまして別途これまた御配付申し上げておると存じますが、参照書といたしまして、「昭和二十九年度決算検査報告に関し国会に対する説明書」という書類をお配りいたしておるはずでございますが、これの三十一ページをお開きいただきますと、ただいまの検査院の総括的な報告に対しましての一応の説明を申し上げておるわけでございます。これは別途お読みをいただくといたしまして、私の方から一応これらの点につきまして補足的に御説明を申し上げておきます。  まず、国有財産管理および処分の総括的な問題でございますが、これにつきましてはかねてから当委員会その他の会議におきまして、国会におかれましても非常な重要な関心をお払いでございます。われわれといたしましても、きわめて重要な問題でございまするので、日夜これが適正を期すべく及ばずながら努力をいたしておるのでございますが、二十九年度決算におきましても、総括的並びにあとから申し上げますように個々の事例につきまして、いろいろと検査院の御指摘を受けましたことは、はなはだ遺憾に存じておるのでありまして、今後なお一そう努力をいたしたいと考えておるのであります。  この七十五ページにございますまず「処分収入および利用収入」につきましてでございますが、ここに書いております点をなおその後の推移によって申し上げるわけでございますが、昭和二十九年度末におきまする収納未済額といたしまして昭和三十年度に繰り越されました額は、ここにもございますように十七億四千五百余万円になっております。しかしこの金額につきましては昭和三十年度末までに六三%に相当しまする十一億六百余万円を大体収納し得る見込みでございます。そのうちおもなものを特に申し上げますと、ここにございますが、国有財産の使用料につきましては五億八千二百余万円の収納未済になっておりますが、このうち二億九千九百余万円、船舶共有持分の一部償却額及び金利につきましては五億三千百余万円のうち四億八千五百余万円、土地及び建物の売り渡し代につきましては三億千四百余万円のうち三億円余を、それぞれ収納し得る見込みでございます。さらにまた昭和三十年四月から本年の一月末までに新たに徴収決定いたしました国有財産の処分収入及び利用収入の額は六十一億八千余万円になっておりますが、このうち八七%に相当いたしまする五十三億九千三百余万円を収納いたしておりまして、昭和二十九年度同期におきまする八〇%の収納率と比較いたしますと、七%程度の向上となっておる次第でございます。この点は検査院の検査をお受けいたしました当時には、さような実績がはっきりいたしておりませんが、その後の実績を御報告申し上げるわけでございます。さらに本年二月及び三月に徴収決定見込額を加えて昭和三十年度中に徴収決定される額と、これに対し収納される額を推計いたして考えてみますると、昭和三十年度末におきましては八十六億六千四百余万円を徴収決定いたしまして、その九二%に当る七十九億八千余万円を収納し、収納未済額は八%余となるのでございますが、これに比較すべき前年度末同期の収納未済は一二%程度でありまして、この点からも大体三%余の向上を示すことが見込まれておるのでございます。なお、しかしながら収納未済額は相当額に上っておりますが、この点につきましては先ほど申し上げました私の方の説明書の三十一頁にも書いてありますように「収納未済債権の事務処理要領」というものを部内において定めまして、今後国有財産の処分につきましては、相手方の資力等の調査をさらに厳重に行いますとともに、処分担当課と徴収担当課との連絡を緊密にし、またすでに発生をみました収納未済の計画的な整理を行うために、各徴収機関ごとに収納未済整理計画を樹立する等新たな収納未済額が累積されることのないように一そう努力いたす考えでございます。以上が七十五ページの(1)の「処分収入および利用収入」という点につきましての説明でございます。  次に同じく七十五ページの(2)の「普通財産の管理」でございますが、この点につきましても、検査院の御報告に対しまして私の方からはやはり説明書の三十二ページに一応御説明を申し上げておるわけであります。この普通財産の管理につきまして一般的にいろいろかねがね御忠告等もございまするし、およばずながら努力をいたしまして、随次適切な手を打って参ったつもりでございますが、なおいろいろ御批難の点につきましては遺憾に存じております。特に国有財産台帳にいまだ記載されないもの、あるいは未利用財産で所在が不明なもの等につきましては、これは先般参議院の予算分科会におきまして、特に委員の方からも御指摘がございましたが、今後一定の年次にわたりまして年次計画を定めまして、財産の実態調査を実施してまずその現況を把握いたしますとともに、これが処理の計画的、組織的な方式を定めて参りたい、かように考えております。またここにございまする用途指定に違反して処分されているものが若干指摘されているのでございますが、この点につきましては、まずもって従来用途指定をあまりにも広くつけすぎた傾向に対しまして、率直に反省をしたいと考えております。それによりまして用途指定をつける場合を厳選いたしまして、いやしくも用途指定をつけましたものに対しましては違反の起ることを厳に防止いたしますとともに、これは先年新らしくお認めを願いました国有財産監査官制度を活用いたしまして、万一さような事態が発生いたしましたときには早期にこれが是正をはかるというふうにいたしたいかように考えておるのでございます。  次に、使用料の徴収決定が長期にわたって遅延しているという点を御指摘になっておるのでございますが、この点はまことに従来も努力をいたしましたが、なお実績十分とは申せません。はなはだ遺憾でございます。さらに一そう今後早期の徴収決定の励行に努める所存でございます。特にこの貸付等につきましては御承知のように従来は一年契約で貸付をやって参っておるのであります。これは経済界の変動が相当激しかったために、まことにやむを得ない次第でございましたが、御承知のように、経済一般が相当正常化の過程でございまするので、今後は貸付契約をある程度長期に定めまして、その契約締結前におきましては、きわめて慎重に諸般の調査を進めますが、毎年毎年手続を更改するという煩瑣を避けることによりまして、この貸付料の徴収決定等をも合理的に進めるようにいたしたい、これらの点につきまして具体的に考えております。  なお、次に物納財産につきましての御指摘でございますが、御衆知の通り、物納財産は、比較的小さな物件が各地に広く散在いたしておる等の特殊事情があるわけでございます。また大体物納になりました家屋等にはすでに前からの居住者が住んでおる、あるいは土地の上にはすでに居住者のおる家が建っておるというふうな、特殊な事情がございまして、早急な処分ということもきわめて困難な状況でございます。かと申しまして、その居住している者に売り払う場合、買い受け資力が乏しいというようなところから、これまた思うように参らないのでございますが、今後におきましては、まずこの使用料の徴収決定等につきましては、先ほど申し上げましたように、一そうの努力をいたします。また売り払いのきわめて困難な場合におきましては、思い切って貸付の方式をとりまして、物納財産の管理、活用の面におきまして一そう適正化を期して参りたい、かように考えて、具体的にそれぞれ準備を進めておる次第でございます。  以上、検査院の御指摘になりましな総括的な問題、すなわち「国有財産管理および処分について」のうち、「(1)処分収入および利用収入」、「(2)普通財産の管理」、この二つにつきまして、私の方からお出しいたしました説明に対する補足的な点を申し上げたのであります。あとは検査院報告のうちから申しますと、五十二番、すなわち八十二ページ、これに対しまして、私の方の説明は三十五ページのやはり五十二番というところから具体的な一々のケースになるのでございますが、一応ここで総括的な説明を終りますので、何でございましたら、御質問にお答えいたしますし、あるいは御審議によりまして説明を進めたいと思います。
  65. 大倉精一

    理事大倉精一君) 次に、会計検査院側の説明を求めます。
  66. 大澤實

    説明員(大澤實君) 七十四ページから七十七ページにかけまして「国有財産管理および処分について」と総括的に記述しました点につきましては、この記述の内容及びそれに対する処置に対しまして、現在管財局長の方から詳細説明されましたから、一応省略いたしまして、八十二ページの五十二号以下の件につきまして御説明いたしたいと存じます。  五十二号に書かれてありますのは、敷地調査不十分なために公務員宿舎の工事が不経済になったと認められる事項であります。西巣鴨の元の商工省のたしか産業工芸試験場の敷地だったと思いますが、それを用途廃止のために財務局の方に移管を受けた土地があります。そこに公務員宿舎を建てたのでありますが、建てる場合にふだんならば、地質調査を十分に行なって、鉄筋コンクリート四階建でありますから、しかる後に建築に着手することになるのでありますが、たまたま本件土地の隣接に法務省がやはりアパートを造った。そのとき敷地の地質調査をやって、十分だというので、一部敷地の地質調査を省略して工事にかかった。ところが、たまたまそこの土地の一部が地下鉄の丸の内線の池袋・大塚間の線路になりますが、それが通るための工事が行なわれておりまして、一度開さくしてまた埋め戻したという所なので、地盤が少しゆるんでおった。その点を調査不十分なために、十分考慮されずに工事を施行したために、三階まで打ち上ったところが、不同沈下を来たした。そのために、初めの計画は四階建の計画であったのを取りやめまして、三階建に完成したのでありますが、その間に四階の方の工事を施行する準備をした手戻り、あるいは初めから四階建としての設計をしたために設計の過大の部分、そうしたものもありまして、約百二十万円が不経済と認められることになった。もう少し十分調査の上施行すべきではなかったかと考えられる事項であります。  次に、五十三号に書いてありますのは、建物の売り渡し契約を解除する場合に、売り渡し代金を相手に払う、同時に相手方から損害賠償金を取る、ということになっておりました場合に、売り渡し代金を払う方だけ払ってしまって、損害賠償を取るべきものを取ってなかった、本来ならばこうした場合は当然相殺して、なお取るべき損害賠償金を追徴することになりますが、係りの間の連絡の不十分であったと思いますが、払うほうだけ払ってしまったという事態でありまして、この剣心学園という売り渡し先は、昭和二十六年度の検査報告に掲げてありますが、つまり学校施設として売り渡したのに、それを学校施設に使わずに転売してしまった、それで契約を解除すべきだというので解除したのであります。今申しましたような経緯によりまして、取るべきものは取ってなかった。そこで会計検査院の注意によりましてこの分は昨年の九月に取るべき損害賠償金六百七十八万余円を追徴してはおりますが、当初相殺せずに支払ったことは会計職員としては疎漏ではなかったか、こう考えられる次第であります。  次に、五十四号に土地の売り渡し価額が低価に失したものというのがあります。これは川崎の元の陸軍燃料廠の土地を東京電力の火力発電所敷地として売却したのでありますが、東京電力の方では早期に工事に着手したい、正規の売り渡し契約の締結を待たずして一応その土地を使わしてもらいたいという意味におきまして、請書——一つの申請書でありますが、これを提出したのでありますが、その内容を見ますると、本件土地は坪最高五千九百三十円の範囲内において買い受けますから、工事を早期に着手さして下さい、こういうような趣旨の請書を出しておるわけであります。それに対しまして財務局のほうでその土地の査定をした結果は、坪三千八百円という査定になった。そこで会計検査院としましては、相手方が五千九百三十円の範囲内ならば買い受けるということを申し出ておるのでありますから、この五千九百三十円という値段が非常に高ければ、これはまた独自の立場で協定して売るということもやむを得ないかと思いますが、この五千九百三十円というものが高いかどうかという点を検討してみたのであります。その結果は、八十五ページに対照表で、当局の計算と本院の計算を出しておりますが、ここに書いてありますいろいろなデーターを総合してみますると、必ずしもこの五千九百三十円という値段は不当に高いのではないのじゃないか、だからその範囲内で会社が買い受けたいというならば、その値段で売っていいのではないか、もしも会社の申し出の最高価額で売ったとしますれば、約三百八十万円ほど高価に売れたのではなかろうか、こう考えられる次第であります。  次に、五十五号から五十九号までに、「用途を指定して売り渡した国有財産に関し処置当を得ないもの」、これは例年検査報告に掲げておるような事態でありますが、さきほど管財局長からも説明がありましたように、売り渡しの場合に学校施設に使うとかあるいは何に使う、十年間に使うというような用途を指定して売却しておるのが相当あるのでありますが、その後見ますると、それを転売したりして、その用途に使っていない。これはもっとも買受者がやる仕事でありますから転売すること自体を押えることは困難かと思いますが、そうした事態が発見されたならば、すみやかに契約の解除をするなりして、この事後処置を講ずべきであると思いますが、その間の処置がおくれていて、契約解除等の手続が行われていないという事態を検査の結果発見した次第をここに五件掲げてある次第であります。  次に、六十号から六十五号までに「旧軍用財産の整理が著しく遅延しているもの」、これは旧軍用財産のうち土地、建物がおおむねそれぞれ所在がわかりまして、貸し付けるなり売却するなり、まだ全然そうした処分の未了のところもありますが、おおむね現状の把握ができておるのでありますが、工作物及び機械というものになりますと、現状把握が十分行われていないという点が相当あるのであります。ここに掲げてありまする六十号と六十一号は関東財務局、主として立川近郊の旧軍用財産の電力線路、それから北九州財務局の佐世保付近の旧軍用財産の電力線路、こうしたものを電力会社が使っておるのでありますが、使用料を徴収してない。特に北九州の方では国有財産台帳にも登録されていない、こういうような事態でありまして、終戦後すでにもう十年の月日をけみしておるのでありますから、もう少しこうした整理を促進する必要があるのではないかと考える次第であります。  六十二号から六十五号までに掲げてありますのは、やはり旧軍用財産の機械であります。これを民間会社等に貸し付けた、ところが貸付先ではそれをほしいままに処分してしまっている、こういう状態でございまして、貸付料を徴収していない、また処分されたものに対して求償処置が講ぜられていない、こういうものを六十二号から六十五号まで掲げてあります。先ほど申し上げましたと同様に終戦後すでに十年をけみしたところの旧軍用財産の整理ということがもう少し促進の処置が講ぜられなければならないのではないかと考える次第であります。  次に、六十六号に「旧軍用財産に関し求償の処置がとられていないもの」というのが書いてありますが、これは呉の元呉鎮守府に属しておった廃艦、これはたしか昭和十五年ごろに廃艦になった駆逐艦の「楢」「谷風」、これが終戦当時解体中で呉の港外に沈没擱座といいますか、水中に擱座しておったものでありますが、これを旧軍港市転換法に基きまして呉市の桟橋用として譲与するということになったわけでありますが、その場合にこの解体中のこの廃艦駆逐艦については、もうすでに非鉄金属分をほとんど前に取りはずしてあるからないであろうという推定のもとに解体発生鋼材、これを三百九十三トンというものを譲与するという契約を結んだのであります。ところが実際にそれを呉市が引き揚げてみますると、推進器その他非鉄金属が約三十トンまだあった、それを呉市ではそのうち十三万トン程度はこれを他に売却しまして、そしてその桟橋の工事に充てた、あとの十七トン程度は当時請負った業者がほしいままに処分した、こういう事態でありまして、こうした初め譲与の対象でなかった非鉄金属があったのであります。これに対しては当然使用した呉市及び盗まれたといいますか、使用領得されてしまったところの責任者である呉市に対して求償すべきではないか、これが三十、現在ではまだ求償の処置がとられていないので処置がおそいのではないかと考える次第であります。   〔理事大倉精一君退席、委員長着席〕  なお、本件についてはその後呉市に対して求償の処置をとられたというように承知をしております。  六十七号から七十六号までに掲げてありますのは国有財産の使用料の徴収処置が非常におくれているという事態でありまして、これも例年検査報告に掲げてあるのでありますが、検査院としましても徹底的に地区全部を調査しますれば、こうした例年ぼちぼち出てくることはないのでありますが、能力の関係上逐次調査しておりますので、古いころからの貸付料が徴収決定されていないという事態がまたここにも出てくる次第であります。主として軍用財産で、うち一部には物納財産もありますが、こうした徴収処置というものに対しては収入確保の面からもさらに一段の努力が必要ではないかと考える次第であります。  次に、不正行為のうち七十七号だけが財務局関係で、あとはこの前御説明申し上げました税務署関係でありますが、この七十七号の前橋財務部の不正行為は、分任収入官吏が主として旧公団、配炭公団とか産業復興公団とか旧公団の債権、これを財務局が引き継いで徴収しておるわけでありますが、その旧公団債権の納付になったもの並びに廃止されました薪炭需給調節特別会計、これの債権のうち徴収になったもの、その他ありますが、そうした受け取った金をほしいままに領得してしまった。これは結局相手方に正規に領収証書を交付しておるものが多いのでありますが、領収証書の幾ら出したかということの監督が不十分であったという点が原因になりまして、相手には領収証書を出してしまっておりまして、そうして国の方には納めずに領得した、こういう事態であります。  それからずっと飛びまして百二ページに是正させた事項のうちとしまして「共有船舶利用収入の徴収上の過誤を是正させたもの」を書いてあります。御承知通り共有船舶につきましては各船の収支計算を取りまして利益になった場合にまず国と共有船主とのそれぞれの金利に当る分を配分する、それでかつ残れば今度は償却に充てる、償却は船主の方を先にして国の方をあとにしたとたしか記憶しておりますが、そういうのをその利益があったときには配分することになっておる。その配分はいいのですが、その利益の算定におきまして会社から収支計算書を出して各財務局で査定するわけでありますが、その内容を見ますと、ここに書いてありますように直接本船収入に計上すべきものを脱漏しておる、あるいは間接費として一般的に割りかけるべきやつをその船だけの面接費として経費に見ておる、あるいは修繕費等を過大に計上しておるというようないろいろな錯誤がありまして、このために出てきますところの船舶の利益というものの計算が少くなった、従って国に対する配分も少くなった、こういう事態でありまして、それぞれ計算を明らかにして各財務局に訂正を促しまして、訂正した結果ここに書いてありますように七百四十八万円程度のものを追加徴収することにした、こういう事態であります。  以上簡単でありますが説明を終ります。
  67. 田中一

    委員長田中一君) 次に正示君。
  68. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま会計検査院から各個のケースにつきまして御説明がございましたが、私の方からも、別途説明書に一応の説明を申し上げておるのでありますが、その後の調査等に基く若干の説明の補足をお許し願いたいと思います。  まず、第一に五十二号、この「敷地調査の不十分なために不経済な工事となったもの」という点でございますが、これは技術的には建設省関東地方建設局において担当されたのでありますので、さらに詳細なことはそちらから御説明いただくわけでありますが、これは結局やはり何と申しましょうか、多少この経費を節約しようとした動機が非常に大きな理由になっております。建設省におかれましてはいわゆる地耐力あるいは柱状図等の技術的な一応の検討は遂げられましてやられたことなのでございますが、ただいま検査院から御指摘のように結果におきまして不同沈下が起ったために不経済な工事になったということに結果的になっておる。この点につきましては今後のこれは貴重な体験になるわけでございまするが、私どもといたしましても、こういう問題を一つの教訓にいたしまして、将来の営繕に当りましてはさらに気づかぬ点等につきまして、そういうことのないようにいたしたい、かように考えております。  五十三号でございますが、これは全く財務局財務部の内部連絡に欠陥があったためでございまして、御指摘通り恐縮いたしております。ただ幸いなことに結局検査院の御注意によりまして賠償金を取り立てておりますが、かようなことのないように事前に十分に今後とも注意をいたさなければならぬというふうに考えております。  五十四号の土地の売り渡し価格が低価に失したという点でございますが、このことにつきましては一言私の方から弁明をさしていただきたい。説明書にも一通り書いてございますが、これは全く一般原則といたしましては、御承知のようにはっきりと契約を締結いたしましてから工事を認めるのでございます。ところが当時の電力事情がきわめて逼迫いたしておりましたために、契約の締結前に着工を認めることがやむを得なかったのでございます。そこで一応将来契約を締結するときには、どの程度の価格で買うかという点につきまして大まかな安全度を見ました保証を取りつけておこう、こういうことで、こういう請書というふうな形で出していただいて、それをあとで御指摘を受けまして、この程度の価格でも買えるではないかというところから、検査院検査院としての算定をされまして、先ほど御説明のように八十五ページのいろいろの点を御指摘になっておるのであります。しかしこれは私の方としましても、もとより十分この価格決定については調査をいたしております。これは先般当委員会の専門員の方にも現場をたしかごらんいただいたはずでございまして、詳細にわたりましては御質問によってお答えをすべきかと存じますが、大体三つほどのことがはっきりわかっております。すなわち第一には四十八級という等級、これがここの湿潤地帯、また立地条件等から申しまして、相当これは高めの級になっておるということが一つ、第二にこれに対しまして地価の騰貴著しい場合にはこれを考慮するということに一般的に指導いたしておるのでございますが、付近の売買実例等から見ましてさような事実が認められないのでございます。もともと級の高い土地でございまするので、またそこに、付近における売買実例はむしろ比較的低めに出ておりますという関係をもちまして、私の方の評価が行われておるということがいえるのでございます。それからもう一つは精通者の意見でございますが、これまた正式に当地方におきまする最も権威のあるものといたしまして、民間業者あるいは市役所等の意見をとっております。大体この点からも私の方の価格につきましては少くともあまり低過ぎるというふうな結果は出ておりませんので、これは場合によりましては、さらに御質問によりまして詳しくお答え申すことにいたしますが、一応先般わざわざ専門員の方にもごらんをいただきましたので、この際、その基本的な問題だけを申し上げてみたいと存じます。  次に、五十五から五十九でございますが、いわゆる用途指定につきましての問題は、これは先ほど申し上げましたように、従来用途指定をあまりにも形式的、総花的につけ過ぎておった点につきましては、今後率直に反省をいたしまして、そういう場合を厳選して、そのかわり用途指定をつけたものはそれをきびしく守らせる、こういうふうに進めたいと考えておりますが、ここにあります個々のケースにつきましては、これはやはり相当それぞれ検査院の御指摘のように、是正措置を講ずべきものがございます。そこでまず五十五号につきましては、当時の責任者を、これは非常に努力をいたしまして、法務省の入国管理局登録課等の非常な協力を得まして、やっと責任者を探し出しまして、去る三月三十日、まだなまなましいのでございますが、三月三十日付で契約を解除いたしましてその損害賠償をただいま求償いたしているのでございます。その他の点につきましては、たとえば五十六号、これが私の申し上げた用途指定をみだりにつけべきではないという一つの事例かと考えますが、五十六号は実はこういうことになっております。昭和二十六年に用途廃止されました旧公共物、これは東京都の物揚場でもったのでございますが、この物揚場であったものを東京都の知事から財務局が引き受けました土地でございます。相手方は昭和十年に東京都の許可を受けて使用しておりました。そうして当局が引き継ぎますと同時に払い下げ申請がありましたので、これを売り払いましたときに用途指定をつけておったのであります。これはいわば本来用途指定の必要のないものでございまして、そういうものに用途指定をつけましたために、かような用途指定違反というようなことになっているのでございまするから、この点につきましては、今後用途指定をつけべき場合を厳選する場合の非常に貴重な資料として参考にして参りたいと考えております。なお、本件につきましては、昭和二十九年の七月の通牒によりまして財務局は用途指定を解除することになりまして、これまた最近でございますが、三月三十日付関東財務局が用途指定を解除いたしましてあとの処理をはかっている次第でございます。  五十七号につきましては、これはいわゆる担保流れでございますが、すでに説明書にも書いておりますが、契約を解除いたしまして求償の手続を進めております。  五十八号及び五十九号につきましては、いずれも相手方は地方公共団体でありまして、用途も学校施設として解体移築を条件として売り渡したものでございますが、売り渡し物件が学校建築資材として不適格であった等の事情から小金町、現在松戸市でございますが、この説明書にはたしか柏市となっておりますが、その後さらに行政区の変更がありまして松戸市となりました。この松戸市は中学校校舎の新築所要資金の一部に充当するため転売した。それからまた前橋市におきましては競輪場建設資材に転用したのでありますが、それぞれ事情やむを得ないものがあったと認められます。そこでこの際用途指定を解除いたしまして、売り払いの際控除した金額等を求償するという方針で解決することにいたしております。松戸市につきましては建物及び土地につきましてその使用料を去る三月二十四日に徴収決定をいたしております。前橋市におきましては減額相当分をこれまた三月三十日徴収決定いたし、三月三十一日収納済みでございます。それからこの転得者としての小金毛織株式会社、これにつきましては土地使用料を三月二十四日徴収決定いたしまして、三月三十一日にこれまた収納済みに相なっております。  次に八十七ページ以下にございまする旧軍用財産の関係でございますが、まず六十号及び六十一号、これは電力線路についての問題でございますが、このうち六十号は、これは広く管内全体にわたっておりまするので、諸資料を各財務部より染めさせまして、使用者の区分、使用料、使用期間等の実態に即しまして徴収を決定する運びといたしております。  六十一号につきましてはこれまた各路線ごとに調査決定いたしましたために若干遅延をいたして申しわけないのでありますが、昨年の十月及び十二月に徴収決定を了しまして、長尾鉱業株式会社の使用料約十四万円を除きまして、それぞれ全額収納済みということになっております。  次に、六十二号から六十五号でございますが、これはいずれも貸付機械の使用料の徴収及び求償措置の問題でございますが、こういう事態の起りましたのは貸付財産に対する実態把握が不十分であったということに原因をいたしておりまして、まことに遺憾でございます。  六十二号につきましては不法処分の事実を発見後直ちに求償すべきでありましたが、相手方の会社が解散状態でございましたので、責任者の居所も転々としていたために遅延をいたしましたのはやむを得なかった次第でございます。その後になりまして昭和三十年十一月九日即決和解が成立いたしまして、不法処分されました機械九個の損害賠償金及び使用料相当額並びに返還された機械九個の使用料九十二万四千三百三十八円につきましては現在までにその一部が収納され、現在ではその残余につきまして厳重督促をいたしておる次第でございます。  次に、六十三号でございますが、これは相手方の会社によって不法処分された機械三十九個の損害賠償金及び不法処分されたときまでの使用料合計八十七万五千二百五十一円につきましては、昭和三十年六月二十一日に徴収決定をいたし、仮差し押えを仙台法務局に申請いたしましたところ、支払い命令について異議の申し立てがありましたので、現在訴訟が係属中になっております。なお、昭和三十年十二月八日相手方所有不動産、これは仮差し押えをしたものと別のものでございますが、その処分代金のうちから二十万円を将来確定すべき債務額の一部弁済金として収納いたしております。  次に、六十四号につきましては、機械三台を相手会社昭和二十二年十一月より一時使用を認可していたものでございますが、昭和二十四年度以降の使用料につきましては再三折衝したが、いまだ解決するに至らなかったのであります。よって昭和二十九年現地調査をいたしましたところ、機械二台が所在不明となっていることを発見いたしましたので、同年十二月文書をもって貸付機械の確認を求めましたが、回答がございませんので、昭和三十年十一月使用取り消し及び現物返還の通告をいたしましたところ、機械一台の返還がありましたが、他の二台は返還されませんので、昭和三十年十二月に昭和二十四年度以降の使用料相当額を弁償金として徴収決定をいたしますとともに、目下現物返還及び使用料相当額の支払いを求める訴訟を提起すべく準備を進めております。  次に、六十五号でございますが、これは機械十一個を相手会社に保管を依頼していたのでありますが、うち七個は無断処分され、他の四個は同社が昭和二十九年十月事業不振で工場を閉鎖した際、その傍系会社広島冷蔵株式会社に移動をいたしまして、現在に至ったものであることが判明いたしましたので、現在の保管引き継ぎ者である広島冷蔵株式会社に一切の責任を負うことを了承いたさせまして、昭和三十年十月に機械二台を返還せしめ、昭和三十年二月七日不法処分された機械七台について徴収決定を了し、無断使用機械二台につきましては昭和三十年三月十九日に使用料の徴収決定をいたしましたので、目下その未納分につきまして厳重督促中でございます。  次に、六十六号でございますが、これは一応私どもの方の非常な不注意がございまして検査報告指摘された通りでございますが、この経緯につきましてはなお御質問を待って詳しく申し上げますが、いずれも相手方が地方公共団体でありましたために、これに対しまして相当信用を置いておったために、かような事態が発生をいたしたのであります。そこでこれらの点は相手方が地方公共団体であるということで、ある程度こちらに注意不十分の点があったかと存じまするから、それぞれ検査院指摘のような事態に対しまして打つべき手は打っているわけでございますが、これは重要な貴重な参考といたしまして、今後の戒めにいたしていきたいと考えている次第でございます。なお、本件の一切の責任は呉市がこれを負うべきものと認めまして、呉市に対する損害の求償につきましては遺憾なく努めている次第でございます。  次に、六十七号から七十六号につきましてでございますが、これはいわゆる「国有財産の使用料の徴収措置当を得ないもの」としての御指摘でございます。  先ず六十七号の土地につきましては、これは昭和二十一年五月から一時使用により簡易住宅敷地として東京都に使用の認可をしたものでございます。都は本地の大部分を財務局の承認なしに、これまた公共団体に対する過当な信頼ということに相なるのかも存じませんが、財務局に全然断わりなしに東京都貸家組合連合会の傘下組合である言問貸家組合に転貸をいたしたのであります。同組合は昭和二十一年及び二十二年に国庫補助住宅五棟二十四戸を建築いたしまして、このうち四棟十六戸は都民住宅会が管理いたしているのであります。一方これと前後いたしまして言問貸家組合の組合長が自己を責任者とする別個の法人——ここにごさいます糟元一合資会社名義で建築許可を受けまして五棟二十四戸を建築しているのであります。そこで関東財務局といたしましては東京都に対しまして契約違反のかどによりまして原状回復を要求いたしましたが、東京都は都民住宅会に払い下げしてもらいたい旨の回答をして来ております。本地につきましては都民住宅会、同地居住者組合からそれぞれ払い下げ申請があり、いわゆる競願の形になっております。権利関係きわめて複雑でございまして、使用料の徴収決定をいたしますと、そちらの方に払い下げをする一つのコミットをするような格好に相なるのであります。そこで適格者を先ず東京都と十分打ち合せまして決定をいたしまして、その適格者の方に売り払いを決定する場合に貸付料も合せて決定徴収するように運びたい、かようなことでやっている次第でございます。  次に六十八号でございますが、本地二百四十八坪を含めまする千五百九十六坪は、昭和二十八年三月接収解除となったものでありますが、旧偕行社の建物は全国市長会館に使用せしめていたのであります。そこで本地千五百九十六坪につきましては接収解除とともに、全国市長会、中央大学、千代田区役所、郵政省等からそれぞれ売り払い申請がございまして、この調整に日時を要したのでございますが、全国市長会についてはその建物敷地部分を売り払うことにいたしまして、他は当分保留することといたしましたために使用料の徴収が遅延したのであります。しかしながら昭和二十八年、二十九年両年度の使用料は昭和三十一年二月七日に徴収決定を了しております。なお、昭和三十年度分につきましては土地売払決定とともに徴収決定をすることいたしております。  次に、第六十九号は当初恩賜財団軍人援護会東京都支部長に一時使用を許可いたしまして、それより後、恩賜財団同胞援護会東京都支部長に変更され、昭和二十四、二十五、二十六、二十七年度分は弁償金として徴収決定済みでありますが、未納となっております。この納入を待ちまして二十八、二十九年度を徴収決定する方針で厳重督促をいたしておったために遅延したものであります。なお、二十八年度及び二十九年度分につきましては三十年の十二月八日に徴収決定を了しました。昭和二十五年度ないし二十七年度分の使用料については目下厳重に督促中でございます。  次に、七十号は昭島市が昭和二十四年四月以降昭和中学校、昭和高等学校、富士見丘小学校、東小学校施設として使用してきたものでありますが、昭和二十七年度までの使用料がほとんど収納未済、わずか一割程度収納済みでございますが、他は収納未済でありましたので、使用料の納入を待って昭和二十八、二十九年度分を徴収決定する方針の下に納入督促に重点をおいていたために遅延いたしましたが、厳重督促の結果、昭和三十年十一月十万円の納入がありましたので、昭和二十八、二十九年度使用料を同月徴収決定を了し、目下厳重に督促中でございます。  次に、七十一号でございますが、本土地は久里浜所在の横須賀海軍軍需部の施設の一部でありますが、昭和二十三年一月に土地五千三百四十三坪、建物九百五十二坪を精麦及び精粉及び魚肥等の製造に使用する目的で一時使用を認可いたしましたが、その後相手方は営業不振となりましたので、貸付範囲の縮小の必要を認めて、一部の土地、建物を返還いたさせましたが、営業状態は依然好転しておりません。昭和二十七年度貸付料も二十八年十二月末日に至ってやっと完納したような状況でございます。その後も貸付数量が過大と認められ、その範囲の調整、折衝に時日を要し徴収決定が遅延したのでございますが、昨年十一月十一日に徴収決定を了し、厳重督促中のところ、去る三月三十一日五十万円を収納し、残額二十六万四千八百九十八円につきましては四月中に収納の見込みでございます。  次に、七十二号でございますが、本地は千葉市所在の旧陸軍兵器廠及び旧気球連隊施設の一部でありまして、昭和二十七年度貸付料を滞納いたしましたので、同貸付料を納入しなければ継続貸付を認めない方針のもとに再三折衝を重ね、もし納入しなければ土地、建物の明け渡しを要求し、その間の使用料は弁償金として徴収決定する方針であったため遅延いたしたのであります。ところが昭和三十年九月に至りまして同貸付料を納入いたしましたので、昭和二十八、二十九年度分は弁償金として十月に徴収決定しましたが、相手方は分割納入誓約書を提出いたしまして、十一、十二月に十二万円、本年三月末に五万円を収納し、目下残余につき厳重督促中のものでございます。  次に、七十三号の機械は、旧軍が川崎航空機工業株式会社に貸与し、終戦後同社が民間賠償工場に指定されたため、社有機械とともに賠償指定機械として管理されておりましたが、指定解除後同社よりの報告に基き、昭和二十七年九月引き継ぎ漏れ発見として台帳に登載したものであります。台帳登載と同時に売り払いについて相手会社と折衝を始めましたが、当時同社は不況のため話し合いが進まず処理が今日まで遅延していたものでありまして、最近ようやく話し合いがまとまりましたので売り払いを了し、貸付料についてもこれと同時に売り払い月日までの分六百十二万七千六百四十二円を三月二十二日に徴収決定を了した次第でございます。  次に、七十四号でございますが、昭和二十五年旧豊川海軍工廠に自衛隊が駐屯することとなり、同地区格納の賠償指定機械を緊急搬出するよう軍政部から指令がありましたが、その節軍政部係官を通じて鈴木電機株式会社より申請がありましたので、一時使用の認可により使用せしめていたものであります。昭和二十八年に貸付料を相手方に通知しましたところ、使用料が高いこと、四台の機械は当初より使用不能であったこと等を主張してきましたので、使用不能と称する機械について調査をいたしましたところ、使用の事実が認められませんでしたので、返還するよう勧告するとともに、使用料に対して請書の提出がなければ全機械を返還するよう再三折衝し日時を経過したような次第でありますので、三月二十九日使用料相当額百二十七万三千八百八十五円を弁償金として徴収決定し、納入しない場合は使用取り消しと同時に、現物返還ならびに使用料相当額の支払いを求める訴訟を提起して解決する予定にしております。  次に、七十五号は、旧三菱重工業株式会社が工員寄宿舎及び厚生施設として使用していたものを、終戦後静岡市が同社から借り受けて、戦災者、引揚者の収容施設として約五百世帯を収容していたものでありますが、同社が昭和二十五年戦時補償税の物納として国が所有するに至ったものであります。一方静岡市は昭和一十四年一月軍政部が社会施設として認めなくなり補助金の下付も中止されましたので、本物件が国に収納されるとともに、戦災者、引揚者の収容施設としての用途を廃止しましたので、国が直接居住者と賃貸契約を締結することとなりましたが、従来静岡市では無償で居住させていたのであるから、国に管理が移れば、当然無償の扱いを受けるという観念がありました。また支払能力のない貧困者が多いため、再三の折衝にもかかわらず、使用料の納入に応じなかったのであります。昭和二十八年ごろに至りまして、ようやく使用料の納入義務を認識していただく運びとなったのであります。昭和二十七、二十九年度分はもちろん、昭和三十年度分についても引き続き折衝を重ねていますが、二十九年度分は申すに及ばず、何分にも生活困窮者の集団を相手とすることであり、強制手段によるときは社会問題ともなり適当でないので、極力話し合いによりまして解決すべく目下努力をいたしておる次第でございます。  次に、七十六号は、広島市宇品所在の旧広島陸軍糧秣支廠施設の一部でありまして、昭和二十一年大和糧食株式会社に農産物加工工場施設として一時使用認可したものであります。昭和二十五年に至り会社内部に紛争が生じましたので、財務局裁定のもとに業務を二分し、松岡精麦所及び松尾糧食株式会社として使用認可してきたのでありますが、松岡某は土地の分割について営業に不利を来たすとの理由で財務局の裁定に不服を唱え使用料の再検討を要求し、再三の折衝にもかかわらず、了解するに至らなかったものでありますが、昭和三十一年二月十五日に至りようやく徴収決定を了し、目下厳重督促中でございます。  次に、七十七号でございますが、これは職員の不正行為のうち財務局関係の分でございまして、本件は関東財務局前橋財務部におきまして、旧公団等の債権回収に当っていた大川一藏が、収納金を国庫に納入せずに横領着服した事件でありまして、このような不祥事件が生じたことをきわめて遺憾に存じております。本人は昭和三十年三月二日業務上横領で懲役二年の第一審判決を受けましたが、同月九日東京高裁に控訴いたしまして、九月二日控訴を棄却されたところ、本人はさらに最高裁判所に上告いたしましたが、同年十二月上告棄却されまして同月二十七日判決は確定を見ております。本人に対しましては昭和二十九年十一月八日国家公務員法第八十二条により懲戒免職に付し、また関係者に対しましては、直接監督者でありました直属上官課長に対しましては、国家公務員法第八十二条により昭和二十九年十二月二十八日付で懲戒減給をいたしました。また総括的な監督者である財務部長に対しましては、関東財務局の訓戒規則によりまして訓戒するとともに昇給延伸の措置を講じたような次第であります。なお、国の損害につきましては昭和三十年二月十六日及び同年六月二十七日の二回にわたりまして即決和解を締結いたしまして、現在までにその一部を回収しているのでありますが、その残額につきましては目下厳重督促中でございます。  以上簡単でございますが、私の方から補足的に説明をいたしました。
  69. 田中一

    委員長田中一君) 以上をもって大蔵省所管管財局の部の説明を終りましたから、これから質疑に入るわけでございますが、先ほども申し上げたように本件とあわせて昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書、昭和二十九年度国有財産無償貸付状況総計算書の質疑を行うことにいたします。  なお、右二件は去る三月六日に提案説明は聴取いたしておりますが、質疑は次回に譲りこれにて散会いたしたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 田中一

    委員長田中一君) さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十一分散会