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会計検査院長(
東谷傳次郎君) ただいまの御質問でございますが、
会計検査院の執務上のこと、また綱紀に関しまして、先般は衆議院で御
説明いたしましたし、また新聞紙上ではあたかも
会計検査院の綱紀が乱れておるような記事もありまして、私どもまことに申しわけなく存じておるのであります。ただいま仰せになりましたように、
会計検査院は会計の、あるいは会計法規、あるいは
予算の番人でありまして、そのものに対してとかくの批評がありますようなことではまことに申しわけないと存ずるのであります。そこで一応新聞あるいは衆議院などでお取り上げになりました事項に従いまして、場合によれば多少長くなるかと思いますけれども、御
説明さしていたださましたらと思っておりますが、それでよろしうございますか……。
まず、
会計検査院の綱紀といいますか、
会計検査院は、最近外部に、供応その他のことについて文書を出しましたのでありまするが、そのことがきっかけになって、最初に一部の新聞に批評が載り、綱紀が乱れておるんではないかというような記事がございました。それもまた衆議院で一応お取り上げになりまして、私ども
説明をいたしました。その点をまず最初に御
説明をいたしたいと思っております。
会計検査院は、新しくここで申し上げるまでもございませんが、会計経理を
監督し、その適正を期し、これが是正をはからなくてはなりませんので、その検査は公平であり、厳正でなくてはならないのでございます。そういたしまして、会計検査は悪いことのあるのを前提として行うものではなくて、会計経理全体がいかに運営されているかをよく取り調べまして、これを
監督するのでありますから、会計検査に当りましては懇切丁寧でなくてはならないと私どもは思っておるのであります。最初から対立的態度で、あたかも被疑者を取り調べるようなことは厳に慎しまなくてはならないと思っておるのでございます。
会計検査の
目的は、ただいま申し上げた
通りでございまするから、
会計検査院の綱紀は厳正であることが強く要望されるのはもちろんでございますし、私どもは常々綱紀の確保に努めておる次第でございます。
会計検査院ではことしの二月の上旬に、
事務総長が
会計検査院の職員に対しまして、
実地検査の際に供応などを受けないよう、部内に指示をいたしますと同時に、外部に対しましても
事務総長は協力方を依頼したのでございます。一部でこの文書を——この文書も読み上げるとよろしいのでありますが、あるいは御存じかと思いまして、その
説明及び朗読を省略さしていただきますが、一部ではこの文書を出すについては何かその裏にあるのであろうというような、私どもとしましては予想もいたさなかった誤解を生じておりますし、また、
会計検査院の綱紀が乱れておるだろうというような憶測も出まして、私どもといたしましては、事の意外なのに驚き、また非常に迷惑も感じておるのであります。皆様方にまたいろいろ御心配をおかけしておるようでございまして、まことに心苦しく思っておるのであります。この際
会計検査院の綱紀の確保についての所信を述べさしていただきたいと思うのであります。
まず申し上げておきまするが、
会計検査院の綱紀の頽廃というような事実はないということを断言いたしておきたいのであります。御承知のように
会計検査院は、だいぶ前でありまするが、
昭和二十二年に大拡張をされまして、三百人から千二百人になりました。ちょうどその時期は戦後で混乱しておりますし、国の会計秩序も整っていない際で、新らしい職員が多数入りましたので、
実地検査の際における態度や心がまえ、あるいは接待や供応などを受けないように徹底的に訓練する必要を痛感いたしたのでございます。そこで
昭和二十三年から毎年のように職員に訓示的な文書を出しまして、自粛を求めますと同時に、受検査庁に対しましても
会計検査院側の覚悟を明らかにいたしますと同時に、接待などして下さらないよう御協力方を願うことにしたのでございます。このたび一部で問題になりました——先ほど申しましたことしの二月十一日付の文書は、総長が総長名をもって出したものでございますが、こういう文書を外部に出すというのは実は非常識ではないかというようなことも考えられるのでありまするが、しかし私どもといたしましては、たとえ非常識といわれても、その趣旨が徹底し、その趣旨が行われるようなことをこい願うのあまりあえてそのことを外部に出したのでございます。しかし、新らしい職員も多数おります関係もありまして、
昭和二十三年に京都で一つ収賄の刑事
事件を起したことがございます。それから二十六年に東京霞ケ関のニューエンパイヤの土地の問題で収賄を受けた問題がございます。もう一つ第三番目には、二十九年に国鉄の関係で供応を受けた
事件がございまして、まことに私ども心を痛めておったのでございまするが、ただいまにおきましてはかような事実は決してございません。
御承知のように、おかげをもちまして、昨年の八月には
会計検査院の機構が大きくなりまして、一局を増設するということになり、新らしい職員も入ってくることになったのであります。それに三十一
年度、今年の四月からは新たに
調査官
制度をも実施する、これは人がふえるというよりも
制度でありますが、
調査官
制度を実施されるような
予算も要求いたして、ただいま御審議を願っているのでありまして、ますます
実地検査も充実されるようなことに相なりますし、同時に新生活運動も展開されておりまするので、
事務総長は部内に訓示的な通牒を、先ほど申し上げました訓示的な通牒を出して、新らしい職員に対して検査の心がまえと
自覚を呼び起すと同時に、在来からの職員に対しましても認識を新たにすることを求めたのであります。そういたしまして、同時に
事務総長はこの趣旨を達成するために、受検査庁の協力が必要であると認めまして、
各省次官、各県知事などに対しても文書をもって協力方を依頼いたしたのでありまして、この文書を院の内外に出しましたのは以上の
通りでございまして、
会計検査院といたしましては、先ほどもお言葉がございましたが、綱紀の厳正の上にもさらに厳正を期する意図に出でたのでありまして、世の中の一部でいわれているような、何か問題があるのでこの文書を出したのであるというようなことは絶対にないのでございます。将来とも綱紀を厳正にいたしまして、皆様方の御期待にこたえたいと考えているような次第でございます。
この文書に関しましての御
説明は以上をもって終りたいと思います。