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1956-03-15 第24回国会 参議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十五日(木曜日)    午後一時五十四分開会     —————————————    委員の異動 三月九日委員井上知治君、井村徳二 君、西川甚五郎君及び相馬助治辞任 につき、その補欠として小幡治和君、 古池信三君、長島銀藏君及び久保等君 を議長において指名した。 本日委員石村幸作君及び岡田信次君辞 任につき、その補欠として斎藤昇君及 び佐藤清一郎君を議長において指名し た。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田中  一君    理事            青柳 秀夫君            紅露 みつ君            白井  勇君            大倉 精一君            石川 清一君    委員            小沢久太郎君            小幡 治和君            西川平治君            斎藤  昇君            佐藤清一郎君            瀧井治三郎君            安部キミ子君            久保  等君            近藤 信一君            山田 節男君            奥 むめお君            梶原 茂嘉君            島村 軍次君            市川 房枝君     —————————————    会計検査院長  東谷傳次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    会計検査院事務    総長      池田  直君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○派遣委員報告会計検査院法の一部を改正する法律  案(内閣提出)     —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから第九回の決算委員会を開会いたします。  議題に入る前に委員変更を御報告申し上げます。去る三月九日委員井上知治君、井村徳二君、西川長五郎君、相馬助治君の辞任に伴いまして、小幡治和君、古池信三君、長島銀藏君、久保等君が補欠として選任せられました。  また本日石村幸作君、岡田信次君の辞任に伴いまして斎藤昇君、佐藤清一郎君が補欠として選任せられました。     —————————————
  3. 田中一

    委員長田中一君) 次にお諮りいたしたいと思います。本日の議題のことでありますが、本日は前回委員会において延期いたしました委員派遣報告及び昭和二十九年度決算中、自治庁関係及び国税庁関係のほか、会計検査院法の一部を改正する法律案が本院の先議で付託されておりますので、本法案の質疑を本日の議題に追加いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  4. 大倉精一

    大倉精一君 本日の日程でございますが、会計検査院事務執行上の問題について最近衆議院の方でも問題になっておりますし、また新聞紙上でも非常に大きく問題にして取り上げて、国民の関心も一段と深いと思う。前回委員会におきまして資料を要求しまして、本日その資料が手元にきておりますので、議事日程を次のように変更を一つ願いたいと思います。委員派遣報告の次に検査院事務執行上の問題に対する質問に直ちに入っていただきたい、こういうように日程変更を動議として提案いたします。
  5. 田中一

    委員長田中一君) 今、大倉君から発言がございましたように、本日の日程のうち、最初の委員派遣報告が済みましたら、自治庁関係及び国税庁関係を延ばしまして、会計検査院検査事務執行上の問題について質疑をいたしたい、かような提案がございますが、そのように差し繰りまして御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないものと認めまして、さよう取りはからいます。     —————————————
  7. 田中一

    委員長田中一君) では本日の議題に入ることにいたします。  まず、去る一月に行われました委員派遣報告を聴取することにいたします。九州地方福岡大分委員派遣報告安部君からお願いいたします。
  8. 安部キミ子

    安部キミ子君 決算委員会委員派遣第一班(福岡県、大分県)口答報告をいたします。  期日は一月十五日から二十二日までの八日間、方面は福岡県と大分県、参加者白井委員安部委員であります。この委員派遣においては、二十九年度決算検査報告事項中福岡県下と大分県下の分についてできるだけの調査を実施して参りましたが、調査の結果、全般的な問題点として特に感じた五点についてまずその概要と所見を申し上げます。  第一は国庫補助金等国庫支出金が県に交付される時期が全般的におくれているという点についてであります。大分県の例によりますと、二十九年度県の国庫支出金収入総額約四十二億円の収納状況は、前半期に約十五億円、後半期、翌年五月までに約二十七億円でありますから、三分の二が年度後半に県に収納されているのであります。そのために関係補助事業はそれだけおくれる結果となり、県においては実質約四億円の繰り越しを生じ、また事業主体の資金繰りにも圧迫を加えておるのであります。国の二十九年度予算は四月に成立しておりますので、このように国庫支出がおくれるのは、大蔵省初め各省予算示達執行面原因があるのではないかと思われますし、積雪寒冷地帯実情を考えるとき、また補助金適正化法施行の現段階からも、本省予算示達的確迅速化が要求されるのであります。  第二は、牧野関係補助金についてであります。大分県においてこの補助金に関する検査院批難金額の総計は、二十八、九両年度において同県が受領した当該補助金の四分の一以上に上るのであります。しかも批難事項八件とも、事業主体自己負担分負担しておらないのであります。県もまた県費補助分負担したのは三件にすぎず、あとの五件は補助負担をしておりません。しかも県は県費補助負担をした事業については県及び国の補助金にも満たない事業量不足によって生じた剰余金の一部を県へ寄付金として採納しておるのであります。また一部は飲食費、雑費に供したり、部落で管理したり分配したりいたしておるのであります。牧野の災害復旧ないし改良事業の必要であることはもちろんでありますが、県及び県下事業主体のこのような傾向が是正されない限り、この補助金交付はほとんど意味をなさないものと思われます。従って予算編成上も予算審議上もこのような実体を参考にして慎重に措置さるべきであると思われた次第であります。  第三は農作物病虫害防除費農薬補助)についてであります。検査報告批難番号千六百九十四号、福岡県の分であります。農薬補助金年度内に農家交付せず、県が次年度用備蓄農薬の購入に充てた目的外使用事件であります。これは農薬事後補助方針現地農薬備蓄方針との食い違いから生じた批難事項であります。ところでこの病虫害防除農薬は、早期散布と適切な薬品の選定確保が必要である点よりすれば、その補助備蓄方針に沿って行われる方がよいのではないかと思われます。従って本件のような県の措置は、目的外使用との批難はあったとしても、国費の効率的使用の面から適切なものではなかったかと思われたのであります。と同時にまた、農薬補助金事後における予備費支出とせず、農薬備蓄制度の強化の面に向けられるよう本制度に対して検討が加えらるべきものと思われた次第であります。  第四は開拓代行事業についてであります。検査報告批難番号九百三十二号、大分県の分であります。同県中川地区において二十一年度以降地元負担四割の緊急農地開発委託事業として施行していたものを、二十三年全額国庫負担代行事業に切りかえられ、本年三月竣工予定事業であります。本事業検査院指摘通り畑地水田にする地目変換事業代行工事としてはならないのに、代行工事としているものであったので、現地において熊本農地事務局の見解をただしましたところ、代行事業採択については農林本省で決定され、本局にはその決定権を委任されていないので、当時の事由は不明だとのことであり、また県当局も同様であったのであります。そこで県並びに農地事務局に対し開発計画申請書回申達書代行工事の請書、同採択通知書等関係文書提示を求めましたところ、県は、庁舎火災で焼失したらしい、農地事務局は、倉庫を探したが見つけることができなかったとのことにて提示がなく、また、当時の直接担当者は死亡または転出しているとのことでありました。現地より帰りまして、調査室をして農林本省に対し、本件代行採択大臣通知書の写しを求めさせたところ、これもどこへいったかわからぬので提出はできませんとのことでありまして、本件代行採択が実際にいかなる手続で行われたかということについてはこれを究明することができなかったのであります。このためにこの点の調査結果の報告ができないことを残念に存じます。そこでこのような農林本省以下の公文書の保存取扱い方は、公権を私権化し、国費使途の紊乱の誘因となりはしないかを危惧されますし、何らかの形の警告を発する必要がありはしないか等々感じた次第であります。  なお当九百三十二号の一応の調査結果の概要は後述に譲ります。  第五は、防衛庁関係施設部隊についてであります。福岡所在小郡駐も地(施設部隊)司令に対し、その管理使用している国有財産額年度間のその国費使用額等ただしましたところ、そういう点について概数も把握されていない実情でありました。防衛庁予算は千数百億円の巨額に上り、繰越額も多く、予算執行については部内一般きびしい自覚があってしかるべきであるにもかかわらずこういう実情であり、血税に対する自覚防衛庁部内一般にも足りないのではないかと思われた次第であります。また、この部隊が保有しておる貴重な諸施設は、災害のときの出動のみでなく、平時、国、地方公共団体が行う復旧建設工事にも積極的に活用するようにすべきであって、自衛隊法百条もこの線に沿って再検討する必要があるのではないかと思われた次第であります。  次に現場調査しました案件六件、すなわち農林省所管四件、建設省所管一件、日本国右鉄道一件(いずれも二十九年度検査報告批難事項)について御報告申し上げます。各件詳細な点は、別途提出します報告文書によって御了承をいただくことにして、この口頭報告は簡単にその概要報告することにとどめたいと思います。  まず農林省所管千七百九十号であります。福岡遠賀開拓農業協同組合開畑事業に対し交付を受けた補助金の一部を電気導入事業自己負担分として目的外に使用した事件であります。現地説明によれば、開畑事業補助金は各農家交付し、電気導入の分は別途各農家から徴収したもので、本補助金目的外に使用したのではない。ただ未墾地分についても補助金を受領したことは申しわけなく、その後未墾の分の開墾も完了したとのことでありました。事件発生原因は、監督者たる県と現地組合との間に開拓連合会が介在する等のため、県の実測も十分行われることなく、開拓事務が運営されている点にあるように思われ、この点については検討を要するものと思われた次第であります。  次に八掛六十四号、福岡代行板屋地区の分についてであります。検査報告農林省の部、代行工事総括記述において、代行工事として採択するに際し、開墾適地性検討及び計画内容実地調査等が不十分なことを指摘し、本件批難においても、一、計画内容中の開拓道路県道改修であること。二、本地区は標高六百メートル以上の寒冷多湿地で、開墾適地であることの二点を主要点として批難しているのであります。一の開拓道路は、実地に見聞したところでは、現在の県道と少し重複しているが、県道はおおむね谷川沿いの低地を走り、開拓道路開拓地所在山腹を走っており、一見したところは、県道改修とは見られなかったのでありますが、その延長部分県道改修として建設省工事施行されている実情にもあるので、その点再検討の余地があると思われました。また、二の当地区開墾適地性については、実地踏査の際も、数日前の残雪が現場山腹及び道路上をおおい夕刻でもあり相当の寒気を覚えましたが、平時にても平地との温度差が六度にも達し、寒冷多湿の地であることは身にしみて感ぜられたのであります。しかし現場における熊本農地事務局及び県当局等説明によれば、この気象条件によってかえって野菜等抑制栽培が可能であり、福岡市初め北九州の大消費地を控えて有利な農業経営ができるとのことでありました。本件採択当時は開墾適地基準も規定されていなかったし、また開墾奨励の国策が強く打ち出されておりたこと等考え合せると、適地選定につきこれを不当と責めることはいかがかとも思われたのであります。なお、現地においては検査院指摘に基き開架計画の修正につき調査検討を行なっているとのことでありました。  次は九百三十二号、大分代行中川地区の分であります。同じく代行工事検査報告総括記述は前八百六十四号で述べた通りでありますが、本件批難内容は、一、施行したとしている練積石四百平米余を施行していない。また隧道延長巻立コンクリート出来高不足している等の出来高不足。二、畑地水田とする地目変換行代工事対象としていることの二点を主要点としているのであります。  一の、出来商不足については、現地当局は、二十八年は大災害のため工事が予想しない困難に見舞われたこと、地質、地形上も予想以上に難工事であった等、自然条件もあげてこの不当事項発生原因につき弁明し、さらにこれらの出来高不足については検査院指摘を上回る三百余万円の手直し工事増工事を含む)を行うよう請負業者に対して処置しておるとのことであったのであります。現地状況は、地形地質等当局説明通りで、また各現場は広域にわたる谷間谷間に点在する状況もあり、その監督が不行き届きになる状況も了察されるのでありますが、それとて対策はあったわけでありますし、特にコンクリート混合の際の必要な立ち会いが十分励行されなかった点等、重要な手落ちがあったとも思われたのであります。  二の、地目変換の点については、調査目的が達せられなかったことは前述四において述べた通りでありまして、ここで加えて申し上げることはありません。ただ、ここではこの本件代行手続の不明朗であることとともに、本工事施行においても監督不十分のため二百余万円以上の出来高不足を来たしたことは重ねて遺憾に存じたことを申し上げておきたいと思うのであります。  次は一千九百六十二号であります。大分県坂市町農業共済組合農業共済保険事業について、二十八、九両年度の麦及び二十八年度水稲共済金掛金賦課金と相殺した点並びに二十九年度水稲共済金の一部を組合が諸事務費に使用した点の指摘であります。これらの事務費使用及び賦課金掛金相殺分の金額は、被害評価において連合会査定組合手持の実際評価との開差から生ずる共済金余分額と思われましたが、現地組合説明によれば、連合会評価との開差はなかったので、さようなことはなく、ただ賦課金掛金未収分について事務の便宜上これを充当し、また事務費については組合の議決に基いてこれに充当したとのことでありました。木組合は職員五名を置き、掛金の徴収、被害評価事務等相当努力しており、また県当局現行共済制度のもとにおいて相当指導監督に力を入れておる様子ではありますが、このような不当な事態が起るのは、本制度が農村の実情に適しない点もあるように思われるので、被害評価掛金適正化事務費負担適正化等を含めて本制度について検討される必要があるものと思われたのであります。  次は建設省所管二千二百八号であります。福岡久留米市が施行した公営住宅建設工事について、工事に各種施行不良な点があるとの批難であります。現地における県、市及び建設本省当局説明によれば、本工事建設省設計基準には合っているが、これより商い基準にある久留米市の仕様書からすると、施工不良の部分があり、その点は検査院指摘通りであるので、手直し工事を十分施行したとのことであり、現場においてはひどい雨降りの中を災害住宅甲種住宅、おのおの一戸あて抽出的に屋内まで入って居住者とも面談したのでありますが、一応、整地、排水工事も、屋内工事も、手直し後とはいえ、その出来は予期した以上のものであったと思われたのであります。この種不当事項発生は、事業主体現場監督能力不足もさることながら、建設省竣工検査がまた能力不足にて実地検査を行うに至らず、行われたとしても抽出検査に終る実情から発生しているので、これらの検査方式につぎ検討を加えることが必要と思われたのであります。  次は、日本国有鉄道の二千二管十五号であります。門司鉄道管理局関門隧道排水改良工事としてボアホールポンプを取りつけたのでありますが、このポンプの取りつけ工事付帯工事とを分離して施行したならば、約百八十万円は低額施行することができたものと認めるとの批難であります。現地においては各種の事情からこれを一括施行することのやむない事情であった点、及び一括施行しても実際には百八十万円低額施行することは不可能であるとの計数の説明を聴取しましたが、工事現場を見た感じとしては、分離して施行することは相当困難であるやに思われ、下請のポンプ・メーカーからは技師一人が現場に来たのみで、労務者等請負業者が自分の方からなれた労務者を出している実情も聞き、分離して行うことによってかえって思わぬ不経済が生じたかもしれないとの感がいたしたのであります。現地当局検査院と意見を異にする費用積算の点については文書報告に記載しますので、検査院説明も十分聴取しました上にて、その積算の妥当、不妥当を考えなければならないと思います。  以上をもって御報告を終ります。
  9. 田中一

    委員長田中一君) 次に四国地方愛媛高知委員派遣報告西川君からお願いいたします。
  10. 西川彌平治

    西川平治君 第二班は、昭和三十一年一月十五日から二十一日まで、七日間の日程で二十九年度決算検査報告に掲記されました愛媛高知県下案件のうち、文部、農林、運輸の各省関係に重点を置いて現地調査を行なったのでありまして、派遣委員奥むめお委員と私であります。その概要を申し上げます。詳細は報告書によって御了承願います。  前述各省関係検査報告に掲記されていますのは、愛媛県下では農林省関係二十三件、うち代表案件二件、運輸省関係一件、高知県下では文部省関係一件、農林省関係四十件、うち代表案件十一件となっております。  今回の調査では、右のうち運輸省所管補助工事で、会計検査院早期検査の結果、査定額を減額したという愛媛玉津港の災害復旧農林省所管国有林野加薬特別会計不当事項で、高知営林局愛媛所在国有林村有林交換するに当って処置当を得なかったとするもの、及び補助工事出来町が不足し、粗漏工事もあり、事業主体負担不足しているという高知窪川仁井田襲業協同組合施行農業施設災害復旧並びに農業共済保険特別会計で、共済金の一部を目的外に使用した高知岩村農業共済組合について現場調査をしますとともに、同県安田農業共済組合で、保険組合上部機関との間で空転しているとするもの、及び文部省所管補助工事で、災害復旧負担金が建物の被害のないものに交付したという高知県東津野村中央小学校事案については、現場に行きませんでしたが、特に事業主体より事情を聴収しました。  このたびの調査を通じて感じられましたことは、各案件でも申し上げますが、特に補助事業につきましては、不当事項発生の防止のために、事業主体側順法精神の涵養や施行業者良心的行為の要求にあわせて、補助金交付時期の適正化所管各省監督検査の厳正な施行ということはむろん必要ではありますが、それとともに、これらの事業につきまして、事業主体と直結する県側が行う監督調査等をも的確に実施せしめることも肝要であると思われます。また既往年度批難されてその返納が済んでいないのに、後年度で同一夢業主体補助金交付し、既往年度と類似の内容指摘を受けているものもありましたが、一般的に既往年度分もあわせ、不当事項に対するその後の是正処置不当額に対する返納済額状況等、その結末に対しては最後まで注視する要があるものと思われます。  以下、各案件について簡単に申し上げます。  第一は、運輸省所管報告番号二千二十五号の補助工事であります。これは、愛媛県が施行する玉津港の災害復旧で、その対象とする防波堤の延長を過大に申請して査定を受け、新たに増設しようとしたものであるというのであります。関係者被害が大きく、調査期間も制約されていたのと、査定が夜間になって誤認があったなどのためであって、是正手続の準備中であると説明して、申請者側調査不足査定者側の不注意の点を認めていましたが、同港は、港湾調査規則による調査対象の指定港となっていますので、その調査原簿や副本を見れば、測定相違は容易に判明し得たものと認められますし、しかも市町村その他の補助団体に対して指導監督検査等の立場にあり、他に節を示すべき県当局自体本件のような事案を招来しているのは遺憾な事態と言わざるを得ません。  第二は、国有林野事業特別会計報告番号千九百七十一号であります。これは国有林野整備臨時措置法で、高知営林局愛媛県来村所在国有林村有林とを交換し、差金のうち六百三十余万円を収納して、残額千八百万円は五カ年間の延納を認めたのでありますが、国有林を管理する宇和島営林署長が、交換前に国有林立木処分を認めたので、同村は約一年前にその一部を安宅産業株式会社に四千二百万円で売り渡し、代金の大部分交換当時すでに受領していたのであって、国の延納分はほとんど期待できない結果となっているばかりでなく、国有林立木評価に当っても材積を過小に見積ったため七百六十余万円が低額となっているというのであります。  当時の営林署長強制退職となり、営林局長は転出していて現地にはいませんでしたが、関係当局者はいずれも遺憾の意を表しており、事後措置としては、交換契約を解除し、同時に村有林の一部を国が買い上げて、債権債務相殺による差額を村から返納させる方法で解決したいとのことでありました。また、当時の村長は、交換について営林署長覚書を取りかわし、会社契約をして金を受け取ったのであるが、反対派の策謀があって逮捕され、所期の目的が達成されないこととなった会社よりの受領額四千二百万円のうち三百万円は引き継ぎの整理中である旨の説明をしていました。本件交換契約の約一年前に、村が宮崎大学に依嘱して会社の社員など立ち会いの上、国有林の毎木調査測定をした石数会社売り渡し契約をしており、営林署長はその調査期間中に村長との間に、交換は一応決定し、差金は五カ年の年賦払いとする等の覚書を取りかわしているなど、正式交換契約の一年ほど前から営林署長村長に寄与して、権限超過と認められる行為をしているのに、営林局がこれを了知せず、正式契約締結に当っても現地に行かなかったのは適切でないと思われます。当時の村長本件に関連して起訴されています。なお、事後措置でありますが、評価材積相違もあり、また安宅産業以外にも村が立木を売り渡していますので、契約解除に伴う伐採木補償金算定をどうするかは検討の要あるものと認められます。以上のほか、別途本件の来村は二十八、二十九両年度にわたって厚生省所管国民健康保険助成交付金に対する交付条件を作為し、八十余万円の超過交付を受けているのであります。  第三は、農林省所管報告番号千四百七十六、千四百七十七、千四百七十九号の補助工事であります。これは高知窪川仁井田農業協同組合魚の川外頭首工、二十六、二十七年災害復旧出来高不足や粗漏工事であり、事業主体負担不足しているというものであります。  事業主体側では地元民の奉仕等もあったが、事務整理上の不備もあって明瞭を欠いたのである、手直し工事施行すると説明していましたが、事業主体側の実支出額が補助金を下回っており、また出来高不足し、粗漏工事もあるので、地元民の奉仕等を対象工事費に加算するのは首肯しがたいものと思われます。また本件はいわゆる仕越工事で、各災害発生年に事業主体が復旧し、その補助金交付が二十九年度となっていて、交付時期が適切とは思われませんが、本件補助金交付に先立ち県技師が竣工検査をしているのですから、不完全工事交付前に判明し得たものと認められます。なかんずくそのとき一部工事が崩壊しているのを承知していながら、手直しすることを条件としてこれを黙過し、現在においてもそのままとなっていることから見ますると、県側の検査も妥当でなかったものと認められます。なおまた、この事業主体は、二十七年度決算検査報告で、別途農業施設災害復旧について出来高不足事業主体負担不足として指摘を受け、その返納が済んでおらず、二十九年度でさらに指摘を受けているのであります。  第四は、農林省所管農業共済保険特別会計報告番号千九百二十八、千九百二十九号であります。これは、共済金の全部を組合員に支払はないし、掛金も徴収していないため、保険が農民から遊離し、組合上部機関との間で空転している高知県安田農業共済組合と、共済金の一部を組合員に配分しないで目的外に使用している同県岩村農業共済組合に対するものであります。  いずれも共済金の変則支払いや経理が正常でなく、不良点を二重帳簿で糊塗してきた点は遺憾であるとし、正常経理に復して組合事業の適切なる運営をはかるよう努力中であると説明していました。本件保険については、類似の事例が他県でも多数指摘せられているところで、その防止については、制度の改善に待つべきものとは思われますが、現行制度のもとにおきましても、現地関係者説明しています通り本省及び県等の上部機関が、組合の実態把握と、組合員及び役職員に対する啓蒙等に力を尽して、組合員と執行部が遊離しないよう、また掛金賦課金を回避しようとする組合員の主張に執行部が迎合しないよう指導監督をすれば、従前の不当事例は漸減し得るものと認められます。  最後の第五は、文部省所管、報告番号七百六十九号であります。これは高知県東津野村中央小学校災害復旧に対する国庫負担金が建物の被害のないものに交付されているというものであります。事業主体側では、旧校舎が危険校舎で、台風前に改築工事に着手していたが、村財政の窮乏を救うため、台風でこわれたと虚偽の申請をしたのであって、当時の村長と教育長は責を負うて退職したと説明していました。  本件について事業主体が虚偽の申請をしたことの不当であるのはもちろんでありますが、また、一方事業主体から災害報告があったとき、県技師が現地へおもむいて査定をしています。それが台風後一ケ月を経ない時期であるのに、改築工事は瓦ふき中で、四〇%程度に進捗していたとしているから、着手特等について一応不合理が考えられるものであり、ひいては建築手続上の書類をも調査勘案すべきであったのに、これを行わなかった県の査定にも適正を欠いたものがあると認められます。なお、事後処理として、危険校舎補助金にそのまま肩がわりを認めることは、正当申請者との均衡上からしても検討の要あるものと考えられます。  以上で私の報告を終ります。
  11. 田中一

    委員長田中一君) 両君の御報告に関して御質疑があれば、順次御発言を願います。——別に御発言がなければ、本件につきましてはこれだけにとどめます。     —————————————
  12. 田中一

    委員長田中一君) 次に、会計検査事務執行上の問題について質疑を願います。  ただいま東谷院長、池田検査院事務総長、小峰事務次長の三君が出席しております。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 大倉精一

    大倉精一君 東谷院長にお尋ねいたします。最近会計検査院事務執行上について衆議院等においても相当問題にして参りましたが、また新聞紙上においてもいろいろ具体的な問題について指摘されておりまするが、こういうような問題に対しては、これはほかの官庁と違いまして、会計検査院という、国の財政の番人であるところのそういう立場からして、非常に国民の間に大きな関心が払われている。この問題については、これはゆゆしき問題であって、新聞の取り上げておりますところのこういうような問題がほんとうにあるということになれば、決算委員会としても大きな関心を持たなければならぬと思っております。そこで私は東谷院長にお尋ねしたいんですが、こういうような問題に対しまして、一応院長としての率直なる御所見をこの際承わってみたいと思います。   〔委員長退席、理事青柳秀夫君着席〕
  14. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの御質問でございますが、会計検査院の執務上のこと、また綱紀に関しまして、先般は衆議院で御説明いたしましたし、また新聞紙上ではあたかも会計検査院の綱紀が乱れておるような記事もありまして、私どもまことに申しわけなく存じておるのであります。ただいま仰せになりましたように、会計検査院は会計の、あるいは会計法規、あるいは予算の番人でありまして、そのものに対してとかくの批評がありますようなことではまことに申しわけないと存ずるのであります。そこで一応新聞あるいは衆議院などでお取り上げになりました事項に従いまして、場合によれば多少長くなるかと思いますけれども、御説明さしていたださましたらと思っておりますが、それでよろしうございますか……。  まず、会計検査院の綱紀といいますか、会計検査院は、最近外部に、供応その他のことについて文書を出しましたのでありまするが、そのことがきっかけになって、最初に一部の新聞に批評が載り、綱紀が乱れておるんではないかというような記事がございました。それもまた衆議院で一応お取り上げになりまして、私ども説明をいたしました。その点をまず最初に御説明をいたしたいと思っております。  会計検査院は、新しくここで申し上げるまでもございませんが、会計経理を監督し、その適正を期し、これが是正をはからなくてはなりませんので、その検査は公平であり、厳正でなくてはならないのでございます。そういたしまして、会計検査は悪いことのあるのを前提として行うものではなくて、会計経理全体がいかに運営されているかをよく取り調べまして、これを監督するのでありますから、会計検査に当りましては懇切丁寧でなくてはならないと私どもは思っておるのであります。最初から対立的態度で、あたかも被疑者を取り調べるようなことは厳に慎しまなくてはならないと思っておるのでございます。  会計検査の目的は、ただいま申し上げた通りでございまするから、会計検査院の綱紀は厳正であることが強く要望されるのはもちろんでございますし、私どもは常々綱紀の確保に努めておる次第でございます。会計検査院ではことしの二月の上旬に、事務総長が会計検査院の職員に対しまして、実地検査の際に供応などを受けないよう、部内に指示をいたしますと同時に、外部に対しましても事務総長は協力方を依頼したのでございます。一部でこの文書を——この文書も読み上げるとよろしいのでありますが、あるいは御存じかと思いまして、その説明及び朗読を省略さしていただきますが、一部ではこの文書を出すについては何かその裏にあるのであろうというような、私どもとしましては予想もいたさなかった誤解を生じておりますし、また、会計検査院の綱紀が乱れておるだろうというような憶測も出まして、私どもといたしましては、事の意外なのに驚き、また非常に迷惑も感じておるのであります。皆様方にまたいろいろ御心配をおかけしておるようでございまして、まことに心苦しく思っておるのであります。この際会計検査院の綱紀の確保についての所信を述べさしていただきたいと思うのであります。  まず申し上げておきまするが、会計検査院の綱紀の頽廃というような事実はないということを断言いたしておきたいのであります。御承知のように会計検査院は、だいぶ前でありまするが、昭和二十二年に大拡張をされまして、三百人から千二百人になりました。ちょうどその時期は戦後で混乱しておりますし、国の会計秩序も整っていない際で、新らしい職員が多数入りましたので、実地検査の際における態度や心がまえ、あるいは接待や供応などを受けないように徹底的に訓練する必要を痛感いたしたのでございます。そこで昭和二十三年から毎年のように職員に訓示的な文書を出しまして、自粛を求めますと同時に、受検査庁に対しましても会計検査院側の覚悟を明らかにいたしますと同時に、接待などして下さらないよう御協力方を願うことにしたのでございます。このたび一部で問題になりました——先ほど申しましたことしの二月十一日付の文書は、総長が総長名をもって出したものでございますが、こういう文書を外部に出すというのは実は非常識ではないかというようなことも考えられるのでありまするが、しかし私どもといたしましては、たとえ非常識といわれても、その趣旨が徹底し、その趣旨が行われるようなことをこい願うのあまりあえてそのことを外部に出したのでございます。しかし、新らしい職員も多数おります関係もありまして、昭和二十三年に京都で一つ収賄の刑事事件を起したことがございます。それから二十六年に東京霞ケ関のニューエンパイヤの土地の問題で収賄を受けた問題がございます。もう一つ第三番目には、二十九年に国鉄の関係で供応を受けた事件がございまして、まことに私ども心を痛めておったのでございまするが、ただいまにおきましてはかような事実は決してございません。  御承知のように、おかげをもちまして、昨年の八月には会計検査院の機構が大きくなりまして、一局を増設するということになり、新らしい職員も入ってくることになったのであります。それに三十一年度、今年の四月からは新たに調査制度をも実施する、これは人がふえるというよりも制度でありますが、調査制度を実施されるような予算も要求いたして、ただいま御審議を願っているのでありまして、ますます実地検査も充実されるようなことに相なりますし、同時に新生活運動も展開されておりまするので、事務総長は部内に訓示的な通牒を、先ほど申し上げました訓示的な通牒を出して、新らしい職員に対して検査の心がまえと自覚を呼び起すと同時に、在来からの職員に対しましても認識を新たにすることを求めたのであります。そういたしまして、同時に事務総長はこの趣旨を達成するために、受検査庁の協力が必要であると認めまして、各省次官、各県知事などに対しても文書をもって協力方を依頼いたしたのでありまして、この文書を院の内外に出しましたのは以上の通りでございまして、会計検査院といたしましては、先ほどもお言葉がございましたが、綱紀の厳正の上にもさらに厳正を期する意図に出でたのでありまして、世の中の一部でいわれているような、何か問題があるのでこの文書を出したのであるというようなことは絶対にないのでございます。将来とも綱紀を厳正にいたしまして、皆様方の御期待にこたえたいと考えているような次第でございます。  この文書に関しましての御説明は以上をもって終りたいと思います。
  15. 大倉精一

    大倉精一君 ただいまの御所見によりますと、綱紀を紊乱していることはないということを断言をされましたが、しかしながら、この綱紀を粛正するということに関する文書をお出しになった、こういうことは、たとえ部分的にもせよ、会計検査院の中に部分的にしろやはり遺憾な問題があることを御承知になっているからこそこういうような文書が出た、こういうように私どもは考えているわけです。そこで、たとえば長野県におけるところの問題、あるいはまた今おっしゃったニューエンパイヤの問題、あるいはまた鉄道会館を調査しているときに検査院の職員が三十三万円ですか、そういうような供応を受けている、こういう事実が新聞紙上に発表されているわけです。で、これもやはり部分的な一つの遺憾な事項だと思うのですが、こういう事実についても新聞紙上発表の事実は、すでに新聞をお読みになっていると思うのですが、そういうようなものについては検査院長としてはやはり事実としてお認めになりますか。
  16. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの御質問でございまするが、今お示しになりました昭和二十三年の、京都におきまする物価庁の価格差益補給金の関係でございまするが、これは遺憾なことには、この十四万三千円の収賄、供応の事実が裁判になりまして、懲役でしたか、禁固でありましたかが確定して、職を失っておるのでございます。  第二番目でありましたか、二十六年のこのニューエンパイヤの問題でございますが、これは一人は服罪しておりまするが、一人はまだ第一審の判決に対して控訴をいたしております。  もう一つの国鉄の関係でございまするが、これは有罪の判決が確定いたしておるのでございまして、この三つの事項はまことに申しわけのないことでございますが、ただいま申しましたように裁判になりまして、一つを除きましては皆確定いたしておるのでございまして、これは事実でございます。この点は参議院のこの決算委員会におきましても、そのつど御質問がございまして、私どもから出まして御説明申し上げておるかと思うのでありますが、そのたびごとに国会の方々からも、こんなことではいかぬじゃないかというお言葉をいただいて、私どもはけんけん服膺して、こういうことのないように自粛いたしておる次第でございますが、どうもこれは事実でありまして、申しわけないことであるということを私は言わざるを得ないのであります。ただ今後におきましては絶対にこういうことのないように自戒しておるのであります。  それからもう一つの長野県の問題でございますが、これはよろしいのではありませんが、私ども遺憾に思っておりまするが、新聞などで出ておりまするのは、全貌が掲げてありませんので、ある新聞記事などになりますと、非常に誤解された記事を掲げておられるのでありまするが、これはもうだいぶ前の話でございますが、昭和二十八年に長野県で会計検査院の職員に対しまして一人当り五万六千円の接待をしたということがその当時一部で問題になったようでありまするが、さっそくこれは私どもの方で調べたのでありますが、この長野県における検査は、長野県下の全域にわたった検査でございまして、その際に立会受検のために長野県の職員の多数もこれに参加されますし、会計検査院の方の職員は八名で参ったのでございます。そういたしまして、会計検査院の方は八日または九日分の宿料として三万四千円を払っておるのであります。県の職員一は延べで、運転手を含めまして約二百九十名、会計検査院の職員が延べにいたしますと六十八名で、全体で三百五十八人ということになっておりまして、三百五十八人、すなわち検査院の六十八人と県側の二百九十名分の経費が三十九万円になっておることが明らかになったのであります。新聞などの取り上げ方では、この三十九万円を全部会計検査院が供応を受けたというふうに報じられておるのでありまするが、この三十九万円のうちには、会計検査院の職員が払いました三万四千円を含んでおるのでありまして、二面九十人対六十八人の関係でこの三十九万円を按分しますと、幾らか会計検査院の力が支払いが足りないのでございまするが、決して払わないのではないのでありまして、少し足らないかと思うのでありますが、長野県の問題はそういうふうになっております。これは新聞の報道の大部分といいますか、一部分といいますか、誤まっておるところがございます。長野県に出張して一緒に泊りまして、そして両方の関係の経費を集めたものが三十九万円であったということは事実でございます。ただそのうちで会計検査院の分は少し少いでありましょうが、三万四千円を払い、県の方がそれを除きましたる三十二、三万というものを払っておったということになっておるのであります。しかしこういうことはよろしいことでございません。自分のものは自分で払わなくちゃならぬのでありまして、幾らかこれはおんぶしておるのではないかと思われる節もございまするので、関係の職員に対しては十分注意いたすように訓戒を与えておるような次第でございます。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 これは金額的な問題ではなくて、金額が少いからどうの、多いからどうのと、そういう問題ではないと思うのです。新聞等の記事を見ますというと、大体会計検査院から検査職員が検査に参ります。そうすると大体宿賃なんかはほとんど先方が払う。その職員が負担してもほんのわずかな負担しかないし、ほとんど全部払ってくれる。あるいはまたみやげものを持たして返す、あるいはごちそうをする、あるいはまたところによっては車を出せといって強要もしておられる、あるいは知事や副知事が途中まで出迎えて大へんなもてなしをするというようなことがずっと報ぜられておるのですが、大体今、一般の状況として検査職員が出張した場合、そういうような点についてどういうような状況にあるか、忌憚なくおっしゃっていただきたい。
  18. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 御質問にお答えいたします。  先ほども文書のことで、文書を外部に出しましたことで御説明申し上げたのでありますが、ただいま申されたようなことが会計検査院としてはあってはならないのでありますから、今年の二月の初めに、事務総長は新しい職員に対して訓示いたしますると同時に古い着にも再認識をさしたのでありますが、ただいまのお話のみやげものなどかりに出されても絶対に受け取ってはならない、宿の方は全部払うように、供応を受けてはいかんというようなことを示しておるのでございまして、最近そういうことは私の耳には入っておりませんので、ないということを私は確信いたしております。  なお、ただいま、会計検査に行けば途中まで知事が出迎えるようなことがあるではないかという御質問でございますが、そういう記事が新聞に出ておりまして……、どういうところから出たのか存じませんが、まあ私どもがというとちょっと語弊がありますが、私などが捗りましても副知事だとか部長とかというものも、一向にだれも途中まで出迎えるというようなことはございませんから、これはおそらくないということを確信いたしております。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 出張して旅費を向うに負担させるということは絶対にない、現在はないというお話ですが、今出張する職員、大体これは八級から九級、十級……、七級、八級の人が多いと思いますが、この人たちの旅費は幾らですか。
  20. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 事務総長から答弁いたします。
  21. 池田直

    説明員池田直君) ただいまの御質問にお答えいたしますが、まず七級、八級の会計検査院の職員が出張いたします場合の旅費を申し上げます。七級の者は、宿泊料といたしまして、甲地が九百四十円、乙地が七百五十円、日当は百八十円ということになっております。八級職の職務にある者は、甲地の宿泊料が千三十円、乙地の宿泊料が八百三十円、日当が二百円、こういうようになっております。  なお今、地方に実地検査に出張いたした場合に、相当負担をかけておるのじゃないか、ほとんど宿泊料なんかは受検査庁側の負担ではないかという御趣旨の御質問だと思いますが、会計検査院といたしましては、そうしたことのないように、絶えずお互いに強い自粛自戒をいたしておるつもりでございまして、大体いろいろ出張します場合の相手の受検査庁側の関係等にもよりますけれども、私どもといたしましては、まず非現業共済組合の精油所が要所々々にございまするので、その関係の施設をまず利用するように強く指導いたしております。それから非現業共済組合の寮のないところには要所々々に、会計検査院といたしまして、指定旅館の利用を極出勧めております。そうした関係で、相当無理だとは考えますが、相手方に負担をそうおかけすることはないと考えておるような次第でございます。またよく私どもその点は毎年注意して参っておるところでございますが、いろいろ実情等を話を開いて参りますと、現場等に、相当いなかまで出張するような場合もございますが、そうした場合は比較的、指定旅館あるいは非現業の寮等はもちろんございませんわけですが、概して安いというようなことでございます。なお間々高いところももちろんございますが、旅行全体を通じて相当無理だとは考えておりまするが、何とか相手に負担をかけんで済むというようなふうにお互い努力しておる、こういうふうに考えております。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 そこで私がふに落ちないことは、ここに宿泊施設の一覧表をいただいておりますが、大体指定旅館で六百円、七百円という値段が書いてあります。これはもちろん朝飯と夕飯がついてそれだけだと思うのですが、今どきに六百円、七百円くらいでもってやる旅館というものは非常に不思議なくらいだ。そこで昼食も食わなければならぬ、たばこものまなければならぬ、こうなってきて、果して現地にお世話にならずに……一つもお世話にならずにやっていけるかどうか。これは会計検査院の職員といえどもやはり一つのサラリーマンであるから、手弁当でもって仕事をやりにいくということはないだろうと思う。そこでこういうような給与でもって、こういう旅館の値段で、それでもって全然現地で一文もお世話にならぬということが言い切れるかどうか、そこが問題なんです。これはどうですか。
  23. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの問題でございますが、今事務総長から御説明いたしましたが、ただいまの公務員の旅費といいますか、会計検査院の職員の受けておる旅費は、私は少いと思っております。思っておりまするから、何とかこれでやっていかすようにするにはどうしたらよいかというので、これは戦後始めたのでありますが、会計検査院の会計課の者を動員いたしまして、各地に会計検査院として初めて指定旅館というものを作りまして、ただいまお示しの六百円、七百円、八百円というので、朝飯と晩飯でそれだけで泊めていただくように協定をいたしておるのでございます。あるいは総長なり次長が知っておるかもわかりませんが、朝飯は何と何、夕飯は何と何というので契約いたしております。そして自分が酒を一本飲めば、その一本に対しては別にむろん払うのであります。それから今度それで昼飯はどうか、昼飯の方はこれは私ここに資料持っておりませんが、宿泊料でなしに日当というものを、これもほんの少い金でありますが、一番下の方で八十円か九十円いただきますが、それで昼飯を食べるということに、まあこれは一般でありますが、それで実行さすようにいたしております。それでなかなかこちらが、会計検査院がそれでやるといいましても、聞き及びまするとなかなかいろいろな習慣がありまして、ただいまそんなことでこれが実行できるかと仰せになるようなことがあります。ありますから、指定旅館に泊り、昼飯を食べても昼飯代を払え、これはまあ子供に言うようなことでありますが、総長が職員に訓示を出しておるのでありまして、職員はそれを苦しいながらも実行いたしておると私は確信いたしております。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 これは院長が何と習われても私は無理だと思う。そのほかにまだのけておるものがある。女中にお礼、チップというものを出さなければならぬ。そうなるというと、ほとんど宿泊というものは官給の給与ではできないということに結論としてなる。  私はこの会計検査院の中堅職員に実情を聞いてみますというと、旅費に対する予算というものが非常に少い。毎年削られておる。従って検査院予算の一番大きなものは人件費と旅費なんだ、あと予算の大きなものはない。これが削られておる、十分もらえない。もらえないから、大体法規上の旅行日程というようなものも、普通の日程じゃそんなに予算はないから、日程を返上して、その日程の中で検査をしておるということも聞いておる。あるいはまた工率現場へ行くと、これは朝の七時ごろから夜中の四時ごろまで連続して検査しなければならぬということも聞いておる。そういう場合、時間外手当をもらえないことも聞いておる。こういうような実情を院長は知っておると思うのですが、そこで私は綱紀の粛正というものは、精神訓話だけではこれは粛正にならぬと思う、精神訓話だけでは。今非常に重要なことは、衆議院でも言われたように、検査院としての面目を保ち、また品位を保ち、権威を保つためには、みやげをもらっちゃいけない、あるいは弁当持っていってお茶くらい飲んでもいいが、よけいなごちそうになっちゃいけない、この戒律は私は検査院としての一つの憲法かもしれない。その憲法を守っていくためには、相当なやはり守れるようにしなければならぬ。そこで私は今、検査院として大事なことは、こういうことが世間に発表されて、そこで国民一般から疑惑を持たれておる。この際国民一般の疑惑を一掃して、そうして部内の統制あるいは秩序というものをしっかり確立をして、そうして将来に向ってこういうことは一切ない、させないということを立証しなければならぬ。その方法をどういうふうにするか、ただ一片の訓示だけでは、精神訓話だけでは国民は納得しないと思うのであります。  そこで私は院長にお伺いするのですが、あの部下に対する通牒ですか、通牒というか、訓示というか、その裏づけとなるものについてどういう工合にお考えになっておるか。将来に何をどういう工合にしようとお考えになっておられるか、そういうようなことについて一つ所信を伺いたいと思うのであります。
  25. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの御質問でありまするが、会計検査院はとかくの批評をただいま受けておりまするのはまことに申しわけないと心苦しく、またそういうことがあってはならないのでありまするから、現在及び将来におきましてはさようなことのないよう綱紀の厳正を保っていかなくちゃならぬと決心をいたしております。  ただいまの旅費の点でございまするが、私は旅費は少いと思っております。それで少い旅費額の中で向う様の厄介にならないでやっていくにはどうしたらいいかというので、先ほど申しましたような指定旅館なりあるいはその他非現業共済組合の寮などに泊らすようにしておるのでありますが、幸いに、これは御承知のように今度法律案が出まして、三割旅費額が上ることになるのであります。三割でも少いと思いまするが、三割上ることになりまして、これで幾らか息がつけるのじゃないかと思っておるのであります。  それからなお、先ほどなかなか詳しく御説明がございましたが、実は会計検査院は非常にからいのでありまして、昔からそうでありまするが、出張する職員に、旅費の法規から参りますると、三日なら三日の旅行費が取れるのに二日しかやらないというふうにいたしまして、旅行費には金を出さないで、実際の検査に金を出すというふうに現在いたしておるのでありますが、お話もございます通り、私もその点は考え直して、やはり今のような旅費の少い……、相手方に絶対に迷惑をかけてはいけないという憲法を守る以上、やはり旅費を支給する側においてはそれ相当のことを考えなければならぬというふうに今考えております。なお実地検査に行きまして、これもお話の通りでありまして、私どもは勤務時間でなるべく調べて、そして日にちが足りなければ延ばしたらいいじゃないかということを言うのでありますがそう言います口の下からやはり予算が足らないので思う存分の日にちをやらないから、これは全くこれも非常識だといっておしかりになるかもわからぬのでありますが、五時、六時でやめないで、労働基準法も何もありません。五時、六時でやめないで、七時、八時、九時、十時、ひどいのになるとそのあくる日にまたがるということを聞くのであります。私はそれをほめないのであります。そういうことをしては諸君のからだにも影響するし、相手方にも迷惑をかけるし、なるべく旅費はふやすようにするからということを言うのでありますが、さて与えられたる旅費、日数で行くと、それが実行できないので、やはり今でもあくる日になるのはどうか……最近は聞きませんが、七時、八時、九時、十時となるのはざらにあるということを聞いておりまして、これに対しては何らかの対応策を考えて、もしできれば何といいますか、超過勤務手当でも出せるような方法ができればというようなことも考えております。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 最後に私は、今まで発生したいろいろの個々の事実についてはすでに衆議院等においても指摘をされて非常な問題になっておりますので、今日はその問題には触れませんが、今まで私がずっと質問申し上げておることは、誤解をされるといけませんので、一言だけ申し上げますが、旅費が少い、日当が少い、だからこういう供応を受けても仕方がないのだということを決して申し上げているのではないのでありまして、会計検査院としてはみずからの職責の自覚の上に立って、いかに旅費が少かろうと日当が少かろうと、これは厳然として戒律、憲法を守ってもらわなければならぬ、これは厳然たるものであります。しかしながらここで今私申し上げているのは、それだけではいわゆる中身のないものになってしまいますので、そういう点について検査院指導される方は十分に御考慮を願わなければなるまい。特に院長はこういう問題に対してやはりきぜんたる態度をとって、会計検査院の将来のあり方につきましてかくあるべきだということを関係方面に対して十分な努力をしなければならぬということ、たとえばこれも一つの参考までに聞くのですが、本年度検査院の要求予算査定予算を伺っておきたいのですが、これは結局私は予算の問題だと思う。予算の問題について、これは会計検査院あるいは中央気象台あるいは陸運局なんというところがどうも勢力が弱いので、そういうところへどんどんしわ寄せされてくる傾向があるのです。これは院長としても十分責任を持ってもらわなければならぬと思う。特に検事やあるいは裁判官あたりは相当身分保障もあるし、給与も相当のものがあるということを聞いている。検査院の諸君はそれがない。そういうようなことも、これは実質的な問題として十分にお考えを願わなければならぬし、努力をてしもらわなければならぬ。  それで私はここで、検査院長が血税の行方の番をするという大きな見地から、会計検査院かくあるべきだというそういう見通しなり、一つの信念を聞かしてもらいたいと思う。参考のために本年度の、三十一年度の要求額に対する査定額はどれくらいであるか、これも一つ聞きたいと思います。
  27. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいま御親切なお言葉をいただきまして、私もできるだけのことは今後きぜんたる態度をもってやっていきたいと思っております。なお御質問でありますが、三十一年度予算要求といたしまして、会計検査院が出しましたのは総額六億三千万円でございまして、それに対しまして三十一年度予算としてただいま国会に提出されておりますものは四億五千万円であります。査定減が一億八千万ばかり査定されておりますが、このうちの大きなものが旅費でございまして、旅費は実は要求額は七千九百万円でありましたが、予算として認められましたものは五千二百万円で、これは最後までがんばって交渉をいたしたのでありまするが、まあ財政の現況から、いろいろ折衝の結果、やむことを得ずしてここで一応それではこれで三十一年度はやっていこうかということに決心をいたしたのでございます。それからそのほか一つ残念に思っていることがあるのでありますが、実地検査などで特別に要る経費があるのでありますが、実地検査の経費であるとか破壊検査の関係の経費とか、あるいは自動車の借り上げ、向うに厄介にならずに自動車を借り上げていくというような経費を要求いたしませんと、実は何ぼ宿銭は自分で持ち、昼飯は持つといいましても、向うの自動車に乗っておったのではということで要求いたしたのでありまするが、自動車なども大体今まで慣例で一応相手方にそういうものはあると見てよくはないかというようなこともありまして、ことしは全部——それはことしじゃなしに、今までも計上されていないですが、やはり計上されなかったのでありまして、自動車などは相手方の自動車を利用して検査するということにいたしておるのでございまして、まあそれらが一番大きなものでありまして、合計いたしますと一億八千万円ということになっております。
  28. 市川房枝

    ○市川房枝君 私は二十二国会で二十八年度決算報告の承認に対するその採決の際に、私承認に賛成の討論をいたしましたが、その討論の中で、実はどうもお役所の会計というものは信用できないけれども、まあ辛うじて会計検査院だけは信用できるんじゃないかということを実は申し上げておるわけであります。もっとも、そのときに私そこへつけ加えて、その会計検査院内容はよくわかりませんかと、まあちょっとつけ加えてはおりますけれども、私としては会計検査院に対して相当程度の信頼を実は持っておったわけであります。ところがせんだって来衆議院の決算委員会においてあるいは新聞紙上等において、その会計検査院の綱紀が紊乱をしておる幾つかの具体例があげられ、院長これを御承認になっておるということを拝見をしまして、大へん私自身として残念に思っておりまするが、同時に国民の立場からいえば、会計検査院こそ国民にかわって、国民が苦しい生活の中から出しました税金が適正に使われておるかどうかということの監督をして下さるという期待に、疑問を差しはさますのではないかということを非常に残念に思うわけでありますが、そういう観点から少し伺わしていただきたいと思うわけです。  先ほど院長から御報告がありましたが、事務総長名で通牒をお出しになった。   〔理事青柳秀夫君退席、委員長着席〕それが非常に時期が悪かったといいますか、あるいはその内容が、いかにもそういうことが行われているということを前提としての通牒みたいに思われて、非常に残念だったというようなお話がありましたが、あの通牒を拝見いたしますると、これは一般の国民の側からいうと、やっぱりそういうことがあるんだなという印象を与えたと思いましたのですが、私あれを拝見して、これはただ深い意味ではないんだということかもしれませんけれども、その中に新生活運動に応ずるためという言葉が実は入っておるので、もちろん新生活運動、政府自身がお始めになって各官庁がそれに従ってやるということになり、会計検査院も当然それをなさるということかもしれませんけれども、しかし会計検査院が私はやっぱり新生活運動に応ずるために、そういうことを職員にあるいは関係官庁におっしゃるというのはどうも少し納得がいかないといいますか、それじゃ普通の官庁と同じことになりまして、会計検査院そのものの独自の立場あるいは任務というものがはっきり認識されていないんじゃないかというような印象を実は受けるのです。  それからこの通牒の内容について先ほど大倉委員から、そんなことをいったってなかなか実際には行われないんじゃないか、こういう御質問が出ておる。その理由は、結局は出張なさる検高官の旅費、日当の問題に触れておりましたが、一体この通牒をお出しになりましたのはいつでありましたか。その後この通牒がどの程度守られておるかといいますか、これは検査院の職員について、あるいは相手官庁について、これもまあ職員についてお調べになればすぐわかることでございましょうが、何かそんな調査がございましょうか。
  29. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの文書でございますが、今先生からも文書を見ると裏がありそうだというようなことを仰せられますので、まことに私ども残念に思っているのでありますが、裏があるから実は出すのではございませず、先ほども申し上げましたが、新らしい職員が相当に入ってきますし、調査制度をしいて、心持を新たにしてやるという際に、やはり全責任をもって検査をいたしておる事務総長が、自分の部下の者に対して自負心のような、何といいますか、だれでも行わなくてはならないような、当然のことを当然として、訓示の形で示しているのでございます。決して裏があってやっている、それを何といいますか、予防するというような意味ではありませんことは、先ほど申したようなわけでございます。  なお、新生活運動云々でありますが、それは新生活運動なんとかということは取り上げる必要はむろんないと思っております。当然のことでありますから、新生活運動といってもほんとうに全然変ったものじゃないというふうに私も了解しておりますが、当りまえのことを当りまえにやっておれば新生活運動にマッチするのじゃないかと、私はそういうふうに、誤解かもわかりません、そういうふうに考えておる。でありますから、新生活運動をここに引き合いに出したということは、まあ気持だけの問題でございまして、これで新生活運動があるのだから初めてやるのだ、こういうような気持ではないわけでございます。  なお、この総長名の文書を出しましたあとは、むろんこれがから手形に終ってはならぬのでありまして、事務総長はしょっちゅう会を開きまして話もしておりますし、報告も受けておりますが、私はこの文書を出しましたあとといいますか、今年に入りまして、そういうようなことを聞いておりませんから、実行されておりますということを、ただいま御説明いたしたいと思っているわけでございまして、実行いたしております。
  30. 市川房枝

    ○市川房枝君 今私が伺いました何か裏があるだろうということは、それは私はそう思わないのですけれども、一般から見ればそういうふうに思われても仕方がないじゃないかということを申し上げたわけなんですが、それからこの通牒でお出しになったようなことが実行といいますか、そういうことはされていないというか、つまり正しく行われている、こういう御意見、これは前の大倉さんの御質問のときに、綱紀の紊乱はないのだというようなお言葉もありましたけれども、これもどうなんですか、これは私常識で考えて、大倉さんと同じように、どうもなかなか検査院当局がおっしゃっても、なかなかそうできないのじゃないか、そうして私はできないことを必ずしも検査院の職員の方だけに要求するのではなくて、これはほかの官庁においても出張のときなんかにやはりそういう供応といいますか、あるいは実際は宿賃も少しばかり払って、あとは出先の官庁が払うというようなことがもっぱら行われているということは常識になっているんですし、その点いえば、実は私も国会の決算委員会で昨年の九月に地方へ参りましたけれども、そのときの状態からいっても、たとえば私どもは七晩泊りましたけれども、そのうち五晩まで実は芸者の供応がありました。実はその旅費は御存じの通り国会議員も一日二千円でありますけれども、それだけでは足りない。しかし実際は少し余る。私はこのことは国会の新生活運動について、昨年の十二月の二十二日に衆参両院議長の主催でありました所で、はっきり実は申し上げたわけでありますが、こういう一般の状態からいえば、会計検査院だけ供応を受けてはならぬ、みやげももらっちゃならぬといっても、これは少し無理な点もあるのです。それから今の費用の問題からいって、やはり六百円の宿屋に泊るのだといっても、なかなかそうはいかないでしょうし、旅費が足りないから結局は地方におんぶする。いわんや普通の官庁と違って、会計検査院ということであれば、検査を受けます側の態度もまた少しは変ってくるだろうということで、一応私はそういうことがあり得るということは、残念であるけれども、まあ認めざるを得ないといいますか、予想されるのでありますけれども、しかしそれであってはならない。どこよりもまつ先に会計検査院こそは、私はそれこそこの通牒の中にありますようなことは一つの憲法としてやっていただきたい。だからそれができるようにどうしたらいいのか、これは大倉さんの問題と同じことになりますけれども、その点は私は少し心配をしているのです。ですからあまり私は会計検査院、それは絶対にそういうことはありませんというふうにおっしゃると、何だか少しやはり裏があるというような気持になってしまうのです。それでたとえば、この通牒が出てからといいますか、ごく最近の、これは朝日新聞の「声」の投書欄に出ておりました。ごらんになったと思いますが、三月六日付の東京朝日新聞に、埼玉の労働基準局に奉職している一人として投書が出ております。これは会計検査院のことなのでありますが、会計検査院としてはこういうことをお調べになっておりますか。こういう事実があったかどうか、あるいはそこへ行った職員が一体どういう人かということをお調べになったかどうか、それをちょっと伺いたいと思います。
  31. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの点でありますが、実は向うで宴会がありましたり、みやげものを贈るのが常識だというように仰せになりまするが、私どもの方は、そういうことは一般に行われておっても、検査する側においてはそういうことをしてはならぬ、それじゃ実際にないのかということでありまするが、通牒を出した以後は、私は聞いておりませんが、先年こういうことがあったのであります。京阪のある駅で会計検査院の職員が帰ろうと思っておりましたところ、駅に見送って参りまして、そこのみやげもののお菓子か何かを出した。それで汽車の窓に持ってきたから、これは取らないんだ、いや何でもないんだから受け取って下さい、いや受け取ってはいけない、いやそんなこと言わないで心持ちだけだからということを言っているうちに、汽車が動き出した。向うは手を離す、こちらは押し気味にして手を離した。それでプラットフォームに落ち込んで砕けた、その事実をあとから知ったのでありますが、非常に相手方は怒っておる、非常に卑劣きわまる、人を侮辱しておる、自分たちは何もそれによって手心を加えてくれというのじゃないのだ、ただ来たから三百円か五百円かの菓子折をやったのだ、こういうふうに怒られるのであります。でありますから、この通牒の趣旨を守るという場合においては、よほど覚悟をきめてかからにゃならぬだろうと私は思っております。結局場合によると、一口に言えば、検査院のわからずや、ばか野郎ということに終始するのではないかと私は思っております。でも守るためにそうせざるを得ないのじゃないかと思っております。  なお、ただいまの投書のことですが、詳しくは事務総長から……。
  32. 池田直

    説明員池田直君) ただいま市川委員の方から、埼玉の労働基準局の関係で去る六日付の朝日新聞の「声」の欄の所に投書がありましたことについての実情はどうかという御質問と考えますが、大体投書の趣旨といたしましては、この二月初旬に実施されました会計検査院の検査についての所感ということで載っておりますわけでございます。事前に調査用の自動車を用意しておけとのことであった、しかしこれは小さい官庁であるから、そういうふうな用意をするだけの予算がない、まして酒食やみやげ代等はない、しかるに「数千円の予算科目にない支出を黙認しているのですか。せめて監査でも厳正なら、いざ知らず、T署の数百万円にのぼる保険金横領も、部内では公然の秘密でありながら、全く見逃がしている」、はなはだいけないのじゃないかという趣旨の投書のようでございます。さっそく私の方もこの投書につきまして調査いたしたわけなのでございますが、監督署といたしまして三つの監督署をみておるようでございます。  そこでまず自動車の関係でございます。先ほども自動車の関係についていろいろ御質疑がございましたが、自動車の関係は、これはもちろんこういった小さい役所には、投書にありますように備え付けの自動車もないというのが実情のようでございます。実地検査をやります場合、こうした場合には、普通本省から借り上げ等の予算がつきます。この場合も予算がやはり本省からつきまして、自動車を都合して検査いたしましたわけでございますが、都合四台、一台六千円という支払いを済ましております。  なお先ほど来お話の宿泊料等のことでございまするが、これは大体埼玉の基準監督局の関係は日帰りで検査をいたしておりますが、一、二遠隔の地がございましたので、その遠隔の地の関係は二泊だけいたしております。それぞれ一泊ずつでございまするが、これは宿賃もちゃんと払っております。  それから数百万円に上る保険金横領も、部内では公然の秘密でありながら、これを見逃がしておるではないかという点でありますが、このことは実は今度の検査の場合は三十年度の検査をいたしたわけでございます。労災保険特別会計保険料の徴収に関しての事件のようでございますが、よく調べましたところ、三一年度には横領の事実はありません。従いまして見逃がしたということはないわけでございますが、ただ今度は、あとから調べましたら、二十九年度の関係で数百万円の部内職員による横領事件があった、このことがやはり指摘されたのでございまするが、私の方は二十九年度の関係はすでに検査済みになっておりまして、検査済みと申しましても、昨年書面検査はやっておるわけでございますが、実地の昨年検査を行わなかった関係で、二十九年度の関係はこの不正事実が発見できませんでした。そういった関係で会計検査院といたしましては、検査確認済みになっておりまして、今度の実地検査の場合は、検査の対象外になった関係もありまして、この事実が実はわからなかった。この点ははなはだ二十九年度で発見することができなかったのは残念だと思いまするが、事実はそんなような状況でございます。なお、いろいろ調査いたしました結果、実はこの私が今問題になっておりまする通牒なるものを責任をもって、私の責任において処置をとったわけなんでございまするが、ちょうど実地検査は私の通牒の前の関係でございまするが、いろいろ実情調査した結果、私は趣旨に大体合致した行動をやっておる、こう考えております。
  33. 市川房枝

    ○市川房枝君 そうすると、この投書のはじめの基準局に関する点は、これは事実無根だということですね、あとの方は事実だけれども。
  34. 池田直

    説明員池田直君) 不正事件を見逃したのじゃないかという関係は、三十九年度の関係はこれは事実でございます。この点はまさしく投書の通りでございます。
  35. 市川房枝

    ○市川房枝君 これは私はよく会計検査院のことを知らないからお伺いするのかもしれませんけれども、会計検査院の中で、これは院長が先ほど御発言になりました長野の問題だとかあるいは京都の問題だとか、そういうことで罰せられた方があったわけなんですが、そういう会計検査院の中におけるいろいろな会計ですか、会計検査ですか、この会計検査院の検査というものはどこでやるのですか。
  36. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 御質問ごもっともでありますが、よくそういうことを私聞くのでありますが、会計検査院でもやはり予算を持って、予算生活をしているのは御承知の通りでございます。約四億内外の予算を持っております。そういたしますと、会計検査院の検査はただいまの機構で申し上げますと、第一局の大蔵検査課というのがございまするが、それの中に内閣であるとかあるいは大蔵省、会計検査院、それから国会の両院の関係というようなものを検査いたしております。それで会計検査院の検査は非常に厳重でなくてはならないというので、これはどんな小さいものでも抜き検査でなしに全部検査するという建前をとらしております。証明などでも翌月末までに出ればよろしいのですが、そんなことを会計検査院がしておったんではいけないので、一週間かあるいは十日もすれば会計検査院に手で持って行けばいいのですから、持って行くようにというので、証明なんかもよそよりも一番早く出しているのであります。こういたしまして、検査の方は書面検査をやって、普通ならば年に一回か二回実地検査をやるのでありますが、そういうことではいけないから、会計検査院の場合は書面検査をやって、少しでも不審のことがあれば実地検査と同じように会計課に行って説明を求め検査をする、それから随時に実地といいますか、倉庫などの検査をしてよろしいということになっているのであります。それから定期的に検査をやることもありますが、それで会計検査院の倉庫は私もだしぬけに行ってみることもありますが、そういうと何でありますけれども、非常によく整頓もし、これは当然でありまするが、出納簿と現品とがぴたりと合うというようなことで非常によくいっております。従いまして批難事項もただいままではございません。  先に申しました金の出入りから言いますと、大体大きな部分は人件費、われわれの俸給でありまして、あとは先ほど申しました五千万円なり四千万円の旅費でございます。旅費のごときもほとんど精算書に近い請求書を出しております。これはみな専門でございますから出るわけであります。旅費の支給の検査についても今まで問題になったことはございません。
  37. 市川房枝

    ○市川房枝君 もう一つだけ。会計検査院という役所といいますか、あるいは会計検査院の任務といいますか、そういうものもここ一、三年ぐらいからだいぶ一般の大衆には知られてきたと思いますが、全般にはまだはっきり知られていないのじゃないか。実は国民の側から言いますと、国民の税金の使い方を検査して下さるといいますか、むしろ一番信頼しているといいますか、一番近いといいますか、そういう関係にあるのじゃないか。で、会計検査院の検査が適正に行われている、あるいは会計検査院そのものには先ほどから出ておりましたような疑いがなくてほんとうに信頼できるということを一般国民に知らせる等、むしろ会計検査院が進んでそういう方法をおとりになるということが私は非常に望ましいと思う。昨年と今年と会計検査院予算は適正に使われたかというようなパンフレットですか、一般大衆にわかりいいようなものをお作りになって御配付になっていることは私は大へんけっこうと思います。もっともそれは、見方によりますと、そういうものを一般の大衆にまでわからせて、そうしてこれだけ、二十九年度で申しますならば、七十三億の不当な支出があったのだということを知らせることは納税意欲を低下させる、だからそういうことはなるべく国民には知らせない方がいいのだという考え方もあるかもしれませんが、私はそうでなくて、むしろ会計検査院国民に対してもっと知らせて働きかける、国民の代表者だということをもっとはっきりと大衆に見せてくれることがいいのじゃないかと思います。その点についての院長のお考えを伺っておきたいと思います。
  38. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ごもっともな御意見でございましてお答えいたします。ただいま仰せになりました会計検査院の何といいますか、存在といいますか、二、三年来だいぶわかるようになってきたのは仰せの通りであります。これは御承知のように以前からあるのでございますが、そういうふうになりましたのは、国会で非常に御熱心に決算の審査をされまして、会計検査院なぞに対してもいろいろと働きかけていただき、そのためにその働きかけに応じまして、会計検査院が活撥にやっているというようなことで、だんだんと皆さんに存在がわかってきたのじゃないかという気持もするのであります。  御承知のように明治憲法の時分には、会計検査院は天皇に直属する機関であるということであったのでありますが、日本憲法になってからは当然に民主国家の会計検査院でありまして、皆さんのために、国民のために、かわってといいますか、のために会計検査をやるのでありますから、会計検査の結果がどうなっておる、私どもが何をやっておるということを知っていただくようにするということは当然ではないかというふうには考えております。しかしながら会計検査院は、御承知のようにまあ二、三年前まであまり存在はわからぬじゃないかというくらいにいわば引っ込み思案といいますか、象牙の塔に入っているといいますか、そういうところがあったのでありますが、二、三年前からやはり会計検査院がどういうことをしておるということを知っていただくと同時に、皆さんの納められた税金は、こういうふうな悪い方面にもいっておるんだということをお知らせしなくちゃならぬというので、何といいますか、PRといいますか、そういうようなつもりで、予算は正しく使わなければならぬ、ことしもそれを出したのでありますが、幾らか評判がよろしいようでありますが、しかし今仰せになりましたようなことも聞くのであります。検査報告で国会にお出しになって、国会で御審議になっただけでも、十分批難を受けたところでは手痛いのに、さらにわかりやすくああしたパンフレットにいたして広く配る、どうも踏んだ上にさらにけられるようだというようなことを言う人もあるのであります。しかしながら私どもはそうは考えないので、やはり悪いことが会計検査の結果ありますことを皆さんに、一人でもたくさんの人に知っていただきまして、早く適正な方向に会計経理がいくように、そのつもりで出しておるのでありまして、あの適正に使われたかを読んでいただきましても、誤解していただいては困るのでありまして、あれを出したから納税反対運動をされる方の肩をもつという意味でもありません。それでやはり租税の行方といいますか、一兆円の行方といいますか、一兆円の予算は大体は適正に使われておるけれども、そのうちのコンマの何%というものは不当になっているということを知らす意味において、ことにことしはそういうような意味合いにおきましてグラフを使うとか、誤解のないようにしてもらうためにあのパンフレットにはそういう調査課で細心の注意も払っておるような次第でございます。今後もパンフレットは続けていった方がいいのじゃないかというふうに考えております。
  39. 市川房枝

    ○市川房枝君 私大体お話はこの程度にいたしますが、会計検査院の将来の運営といいますか、ということについて、また適当な機会にその後のことを、模様を御報告していただきたいということをお願いして、これで終ります。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 私から最後に一つお伺いしておきたいのですが、今までのずっと論議を聞いておりますと、私自身もそう思うのですが、会計検査院として結論的にはやはり内容をもっと充実強化しなければならぬと私は思うのです。と同時に、こういうような問題が起ったことを、何といいますか、禍を転じて福とするといいますか、検査をますます峻厳にして、検査効果をますます発揚しなければならぬと思います。  その前に、先般の衆議院の決算委員会における質問答弁中に非常に重要な問題があると思う。これは場合によってはこういうような事態発生さして、国民に大きな疑惑を与えたということは、会計検査院長としても大きな責任を感じてもらわなければならぬと私は思います。その中で、呉の調達局の問題について検査院長もみずからこれを受けておる、院長もこれを認めておるということが新聞に報道されておりますが、これは場合によると責任問題になり、あるいはまた発展すれば、進退問題になる、こういうような要素を含んでおると思いますが、これは非常に重大な問題でありますので、私はこの際、将来の検査院を強化拡充する前提として、まず検査院長に対する国民の信頼がなければならぬと思う。この点をこの際、明らかに院長から御説明を願いたいと思います。
  41. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 会計検査をやっていきますのには、ただいま仰せになりましたように、皆様方の信頼を受けて立たなければならぬのでありまして、少しの疑惑も受けるようなことがあってはならないのでございます。ただ呉の調達局のことにつきましてただいま御質問がございましたので、この際に説明さしていただきたいのであります。  先般、衆議院の決算委員会におきまして、呉の調達局関係で、会計検査院の職員が三十三万円の供応を受けた事実があるというようなことを衆議院の委員会で読み上げられたのであります。これはその説明によりますと、期間は二十三年、四年であるということでございました。それで私の方で調べてみましても、これはずっと以前のことで、実はわからないのでございます。当時のことを詳しくというか、知り得たところで申し上げますと、昭和二十三年、四年にかけまして、特別調達庁の呉において、日本通運に払った運賃の不正があるという問題があったのでありまするが、しかし証拠書類は非常によくできておりまして、私どもの検査ではこれはわからなかったのであります。従いまして、悪いところはないというので、検査は終ったのであります。越えて二十六年の五月ごろに地元の新聞に特別調達局の不正事件があるというのが出たので、さっそくその当時調査いたしたのでありまするが、それは運賃として三百三十万円を調達局が支払っておるのでありますが、それは運賃には使わないで、そこに進駐してきております進駐軍の接待費とかあるいはその他に使ったという容疑であったのでありまして、当時たしか検察庁の方がこれを取り調べたのであります。今申しましたように、二十三年、四年の問題でありまして、新聞に出て検察庁の手が入ったのが二十六年三月でありました。検査院としましては、当時二十三年度、二十四年度ともすでに決算を確認いたしまして、国会に提出しましたあとでありまして、決算上の問題として、批難事項として取り上げるわけには参りませんので、その決算としてはそのままになっておるのであります。そういたしまして、この呉調達局の関係で会計検査院の職員が供応を受けた者があるというようなことも聞きましたので、あわせてその当時調べたのでありますが、ただいまも申しましたように、検察庁の手が入りまして、検察庁に全部書類が押収されておって詳細はわからないのでございます。先ほど申しましたように、呉へは二十三年度と四年度の二年間に、視察であるとか、あるいは実地検査というので約十組、あるいは七、八組でありましたかくらいが、実地検査とか視察に行っておるのであります。私どもの内部で調べましたところによりますと、二名だけ供応を受けた事実が中でこれはわかったのでありまするが、それに対しては厳重な注意をいたしておるのであります。何分にもこの書類が押収されておりまして、これは書類についてではありません、本人について、君はどうだというので調べたのでありまするが、わかったものについて、そういうふうな注意をいたしておるのであります。その後に日本通運と調達局の不正容疑というのも結局不起訴になったのでありまして、まあ検察上の秘密については私ども承知いたすことができないのであります。  それから先ほど申しましたこの会計検査院関係で供応が幾らかというのはわからぬのでありますが、先般衆議院の委員会で読み上げられたものによりますと、三十三万円の供応だと、こういうことを仰せになりますが、その点は私ども書類を見ませんのでわからないのでありまするが、ただその中に、ただいま申されましたように、読み上げられた資料の中に、某事務総長外二名が二十四年十月に、調達局から一万四千百四十円の接待を受けたとかというくだりがあったのであります。そのころ事務総長は私がしておったのであります。私は事務総長として随行二人を連れまして、中国地方の視察に参りまして、呉にも立ち寄ったのであります。私が参りましたのは、会計検査で参ったのではありません。視察に参ったのでございます。そういたしまして呉におきましては、呉市の戦災復旧の状況、財務局が所掌しておりまする呉及び広地区の旧海軍施設の管理の状況、播磨造船の行いました艦艇解撤の状況、並びに呉調達局が行なっておりまする進駐軍への提供施設状況を視察したのでございます。これだけのものを視察しまして、その晩、呉に一泊をいたしたのであります。先ほど申しましたように、二十四年の十月でございまして、何分にも今から七年も前のことでありまするから、ほんとうに記憶を呼び起しても、記憶ははっきりいたしませんのでありまするが、その際、私の泊っておる宿に、呉市の人たちとか、あるいは財務局の関係の人とか、調達局の人などが来られたような気はするのであります。これはほんとうにはっきりしないのでありますが、来られたようであります。それらの人たちのうちの何人であったか、これも人数は覚えておりませんけれども、私と一緒に食事をしたいということでありまして、その際、私はむろん断わったのでありますが、まあ視察に来たのだから一緒に食事をさしてもらいたいというので、断わり切れず、追い帰すのもあまりに非礼であると思われましたので、その際、やむを得ず一緒に、その人たちがだれでありましたか、私の宿で食事をした記憶があるのであります。一緒に食事をしたいといって残られた人たちがどなたであったのか、一向に覚えておりません。調達局の人であったのか、あるいはほかの方々であったのか、これも覚えておらないのであります。先ほど申しましたように、七年前のことでありますので、ほんとうにはっきりしないのであります。ただ調達局の人々が来ておられたであろうと推測はいたしておるのであります。かようなわけでありまして、その際、私どもは、むろん私ども三人の宿料は払っております。先方が、先方の人たちの分として幾らを支払ったかということは、私どもには実はわかっておらないのであります、先ほど申し上げました一万四千何がしが、ただいま申し上げました先方の人たちの分に対する支払いに当るのかどうかも、私どもは実ははっきりしないのでございます。こうだと仰せになるのでありまするが、私ども調べる由もございませず、はっきりしないのであります。ただ先ほど申しましたように、私ども三人の宿料を支払っておることは重ねて申し添えておきたいのでございます。それらの一万四千円がどういう金であるかわかりませんが、わからないのは、その金がまた交際費で出ておるのか、そうでないのか、これも実は今となってはわからないのでございます。ただその支払いの年月が、衆議院でお示しになった年月が二十四年の十月ということでありますので、これも私その書類を確認というか、是認したというわけではございません。仰せになるところによれば、二十四年の十月ということでありまするから、あるいはそれに当るのかもしれない。ただどうもぼやっとしておるのでありまするが、年月があまりにたっておりますので、どうもはっきりいたさないのでございます。そういうようなわけでありまして、いずれにいたしましても、私どもが宿料を払って、向うの方々の分が一万四千円ということに大体なろうかと思うのでありますが、その金の適否——その金がそれだけの金であるかどうかということも、私にははっきりいたしませんが、こういうことを申されまして、それでその書類がそうだとも言われないし、私ども確認のなにがないのでありまするが、こういった疑いを、ずいぶん前の話でありまするが受けるということにつきましては、ほんとうに遺憾に存じておる次第でございます。
  42. 安部キミ子

    安部キミ子君 きょうの委員会は、会計検査院の問題でいろいろ皆さんで討議し、また質問したのでありますが、今後会計検査院の権威をいかに堅持するかということが、私は一番大事な問題であると思います。そこで、きょうの会計検査院に対する批難事項を聞いていますと、またこれをこのまま国民に知らせる、やがては知れることにもなりましょうけれども、そういうことは非常に会計検査院の信頼を薄めるものになると心配いたします。それだからといって、国民会計検査院を信頼していないかというと、そうでもない事実を私は知っております。私が先ほど視察の報告をいたしましたその中で、一月二十日、大分県の県の会計課長と私と白井委員と一緒に自動車の中で、たまたまいろいろの話が出まして、私があるところで昼食をしていたけれども、検査の予定の時間になったために、御飯を中途にして、その予定の時刻に間に合うように行ったということを私はいばり半分の気持で話をしておりました。その話を聞いておられた課長さんは、それも大へんけっこうな話だと言って、会計検査院の方々はもっともっと真剣でまじめで、そうして信頼を受けるということを一、二例をあげて話されました。私はその話を聞いて全く自分がちょっとばかりいいことを言っていばっているということが恥かしく思いましたし、またこの話を聞いて白井先生とほんとうに頼もしいという話をしたことを今思い出しました。そういうこともありまして、国民は必ずしも会計検査院が一から十まで信頼に価いしないとは考えていないと思います。たまたま幾人かの人のそういう間違いがあったために、これは会計検査院じゃなくてほかの各省もあるでしょうけれども、ほかの各省よりももっともっと会計検査院の使命というものが重いだけに、ちょっとしたことでもこうして問題になるのじゃないかと思うのであります。そういう考えからいたしまして、先ほど会計検査院の権威を高めるためには、もっと予算がなければ十分職責を果せないという御意見でありました。私もこのことについては、この前の委員会で院長にそのことをただしたと思いますが、問題は予算が十分でないということも一つの原因だと思うのです。しかし予算が足りないからといったって、今までいろいろな批難事項があがっていることをしょうがないという意味ではありません。こういうことがたび重なってはいけないし、私が今説明なり釈明なり聞きますと、あまり大したけがでもないように私は思う。皆さんはどのように考えておられるかしりませんけれども、ほかの省に比べたら、あまり大きなけがじゃないように私は思います。そういう信頼もありますので、国民会計検査院に対する期待が大きいし、また先日出されました警告書と言いますか、通牒がいろいろな疑惑を生んでいるということもあるようであります。しかしその通牒が出された後の実態についてはすみからすみまでその報告を今日知ることはできませんけれども、私は大体においてその後のことについては間出遅いはないのじゃないか、まあ私は大へん信頼しておりますのでこういうふうに考えております。問題は繰り返して申し上げますように、予算が少ないことが会計検査院の使命をそぐということになるということは私はだれもが認めておいでになると思いますし、そのことについては院長も責任を果したいというふうな御意向がありましたので、重ねてこのことについては今度私は大蔵省にこちらへ来てもらって、もう少し大蔵省に会計検査院のこの使命を理解してもらうことが必要ではないかと、こういうふうに考えております。今後こういうふうな問題が起らないように院長に十分責任を果してもらいたいということを、これは要望になります。以上であります。
  43. 山田節男

    ○山田節男君 まあ各委員からいろいろ御質疑があり、それぞれ当局の答弁があったのですが、私一つ確認をしておきたいことは、この問題になった会計検査院事務総長名の自粛の通牒ですが、これを出された動機は会計検査院の先ほど言われた内部監査というのですか、監査の結果、どうも年々というか、そういった検査事務官の中で今通牒によって示されているような自粛の要綱に相当するようなものが年々ふえる、あるいは絶えないというような意味から、ああいう事務総長名の自粛の通牒を出されたのかどうか、この点もう一ぺん一つお伺いしておきたいと思います。
  44. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 山田さんの御質問でありますが、先ほども御説明をいたしましたが、まあいわば当然のことのくだりが通牒になっているのでありますが、あれを出しました直接の動機は、先ほど申しましたように、昨年おかげをもちまして一局ふえて新しい職員がふえた、それからことしの四月から実地検査を主として担当する調査制度というものをしくことになりましたので、この新しい人たちの心の底に徹するような指示をしておきたい、言葉でも総長はしたのだろうと思いますが、さらに通牒を出し、それだけでなしに古い人にもそれをもう一度再認識させるという意味で、古い人間にも言いきかし、それを総長は書類を回しておるのであります。そういたしまして、やはり先ほど申しましたように、みやげものをもらってはいけないということは従来は文書では言っておりませんが、言葉では言っておると言いましても、先ほどある駅のことを申し上げましたが、そういうことがなきにしもあらずでありまするので、これはやはり非常識きわまることであるかもしれませんけれども、受検査庁の御協力を得るということにいたした方がよかろうということで、非常識をも省みず末端への通達等をも実は添えまして、各受検査庁に協力方を要望したのが、これがほんとうの真意でございます。
  45. 山田節男

    ○山田節男君 先ほど大倉委員からも質疑があったのですが、会計検査の事務官が出張する場合の旅費の給付の問題ですが、先ほど院長からの説明によると、大蔵省へその要求をしても予算がその通り通らない。従って今大倉委員が言われたように旅費は六百円か七百円、それっぱかり支給したってできっこないじゃないか、こういうような御意見であったように思うのです。この会計検査院の旅費は他の国家公務員と比較して同じなのか、あるいは少いのか多いのか、そういう点を一つ。
  46. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの御質問にお答えいたしますが、旅費額は他の公務員とは同じでございます。差等はございません。ただ一番下は先ほど申しましたように七百五十円が宿泊料ということになっております。それが今度の四月から大体三割値上げをするということになっております。
  47. 山田節男

    ○山田節男君 これは各委員からいろいろ質疑がありましたが、まあとにかく衆議院の決算委員会でたまたまこれは摘発と言いますか、指摘された会計検査院に対する批難事項というものは、昭和二十三年度から二十九年にわたり四件ばかりあがっておるようですが、これは内容その他からいえば私は会計検査院決算報告を見ましてそう大したものじゃない。先ほど市川委員の言っておられるように今日の非常に悪い社会情勢から、そういうことから見ればこれはそう大したことじゃないということも言えますが、しかしこの旅費規定に関して申しましても、たとえば英国の労働党のやり方を見ると、たとえば国有化された公社、あるいは国営の企業に従事する者、あるいは役員に対しましては、普通の国家公務員よりもよけい金の給付を与える、その理由はそういうような特殊の公社、あるいは国営の企業というものは他の誘惑を受けない、あくまで独自の立場でやれるというふうにするために給与を他の公務員よりもよけい出しておる、こういうことがあるわけであります。従ってこれは会計検査院の最高責任者としては、この現場に行く場合には、悲しいけれども今日の風潮からすれば、いわゆる供応があり得る、その誘惑に勝つということの裏づけは、やはり先ほど安部委員も言われたように、経済的の基礎がなければ、ことに若い者であれば、それは十人のうち一人や二人あり得る。これは当然のことだ。当然と言っては何ですが、そういうことはあり得ると思う。ですからむしろ会計検査院のこういったようなわずかなことながら、会計検査院として、もう内閣から独立した会計検査機関という厳粛な使命にかんがみて、その事務執行する上においては、やはり一つのこけんといいますか、こけんをつける意味においても、少々の待遇をあげても大したことはない。それによって発見される国費の乱費ということがわかれば、チェックすることができれば安いものだと思う。ですからこれは先ほど安部委員も言っておられましたが、一つ最高責任者としては、これを契機にやはりそういうことも考究されるべきものじゃないかと、私はそういうように考えます。従来われわれがこの数年間決算委員会として批難事項にあげられている現場を見ていった場合に、会計検査院事務官の現場における印象として、第一は非常に固くてお茶も飲まない、まして菓子も、お茶と一緒に出した菓子もいただかないというふうにきわめて固い。もう一つは会計検査院事務官に対する批判は、非常にいばる、いばってこわくてしようがない、まるで検察官みたいだ、こういうこともわれわれ視察に行って受ける。世論と申しますか、検査を受ける人々の気持として私たちは聞いたことがあります。しかしこういつたような供応を、接待を強要する、しいるというようなことは、われわれ今日まで寡聞にしてそう印象を受けません。そういう事実を知りません。まあ今回のジャーナリズムにも出ておりますたとえば院長供応を受けるというような大きな見出しで出されておるが、今大倉委員の質問に答えられた東谷院長の経過を聞くと、いわゆる総長以下二名これに対する供応費一万四千円、しかしその一万四千円が問題になっている。調達局の職員も加わった供応費であるのかどう九不明であるが、われわれ常識的に考えてみて、この当時まだ物資の少い時であって、三人としてもそう大した金ではない。六人分とすれば非常に安いことだと言えますが、とにかくこれは私はこうジャーナリズムに問題になった点をみると、今安部委員の発言にもありましたように、事自体は今日の悲しい風潮からみますと、大したことじゃないということは言える。われわれがこれはしばしばみる他の公社あるいは官庁等の諸君らが出張した場合に、まことに派手な光景を見ると、これは私は額としては問題じゃないと思う。そういった意味の責任は大したことじゃないと思いますが、やはり先ほど安部委員から申しましたように、会計検査院という一つの独立した神聖な、国の予算の使い方を監督し、その結果に対して検査をする、その一つの国民のための会計検査、この任命は何としても神聖なものでなければならない。それに従事する人たちは、やはり神のごとき気持でやっていただかなければ、国民の負託にこたえるゆえんでないということは申すまでもないと思う。われわれとしては、ことに参議院の決算委員会としてはこれはすでにまったく超党派の立場で、いかに会計検査院を強化するかということについて各員が熱心な応援をされ、支援をされたことは、責任者の方はよく御存じだと思う。これは安部委員、各委員の発言とも重複しますが、われわれ参議院として会計検査院に期待するのは非常に大きいわけです。従ってこれに対するできるかぎりの援助といいますか、われわれ今日までしてきた。これに対する道義的な責任というものは会計検査院の最高責任者はどうしても持っていただかなければいかん。私はむしろ雨降って地固まるといいますか、幸いこの程度で食い止め得たということは、これは会計検査院当局の従来の自主的な……これは大いにあずかって力があると思いますが、これは数千の人を使っておられて、結局会計に関する問題であり、不正を摘発するといいますか、検査するのでありますから、従って調べられる方から見れば、いろいろな誘惑の手を尽すということは、私は現代の風潮から見ればあり得ることだと思う。しかしよくこれに抵抗してほんとうに国民の期待する、国民のための会計検査をやるという神聖な使命に対して、ことに本院の決算委員会のあげて会計検査院に期待することが非常に多い、また大きいということも十分一つ肝に銘じられて、一つ雨降って地固まる、そうしてほんとうに世の中の、明朗なしかも国民あげて信頼し得る会計検査院となっていただければ、私は今回のこういうジャーナリズムに一部問題にされたということも十分私は抹消し得ると思う。この点に対する安部委員の要望もありましたが、この際、一つ会計検査院長並びに事務総長、次長は最高責任者でありますから、本委員会に対して所信を一つ簡明でいいから、真剣な厳粛な意味で一つ御所信を確めておきたいと思う。
  48. 田中一

    委員長田中一君) 私から二、三質問があるのですが、そのあとで所信を明らかにしていただきたいと思うのです。それは現在の予算の編成、款項目のうちに、食糧費とか、あいまいに予算に計上されている款項目がある。そこでそういうものに対する会計検査院が検査をする場合、使途その他についてはどのような前提、どのような考え方をもって金銭上の始末を見ようとしているのか。ただもう予算の上に会計検査院としてはこういうあいまいな計上の仕方じゃ困る、もっとはっきりしてほしいというようなものがもとになっているのではないかと思う。私は不幸にして、不幸か幸いか知らないが、役人を知りません。国会にきてから役人の生熊を見て、あまりに宴会が多いのにびっくりした。こういう点から見て、これは予算上そういうものが許されているのかどうかという前提のもとに会計検査をしているのか、そういう点について、予算上の問題についてどういう見解か御答弁願いたい。
  49. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの点でありまするが、宴会とかあるいは接待をする場合は交際費というのが目でございますが、それでやるのが正当な項目なのであります。それとても従来はそういったものは会計検査院の検査のほかにあったのでありまするが、ただいまではそれも検査することになっておりまするから、接待費も検査をいたしております。なお、先ほど食糧費に云々とありますが、これは庁費などにありまして、明瞭を欠くということは仰せの通りであります。こういったようなものは、なるべくこれに流用を……、他のものからここへ流用して持ってくるということは、厳格に、私どもの方で検査の際に、むやみに持ってきてはいけないと申しまするのは、御承知のように、目であれば、行政科目でありますから、大体は増減と言います交流用増減が割合に自由であります。節になるともっと自由であります。その点はよほど注意して検査をしておるのでありまするが、大体この終戦後といいますか、予算の建前は割に簡単になっております。たとえば事業費にいたしましても、以前であれば項でいくというのが目になりましたり、節になる。非常にやりやすいことはやりやすいのでありますが、そういう観点からいきますと、食糧費などはやや明瞭を欠くというふうに考えております。しかしそれには私どもの先ほど申しましたように、いかに目であり、いかに節でありましても、流用増をするということについては、事由はそれぞれ究明いたしまして、納得のいかないものは懲戒をいたしておる次第でございます。
  50. 田中一

    委員長田中一君) たとえば国家予算がそういう計上の仕方をしておりますと、地方もそのような予算の計上の仕方をしていると思うのです。一例をあげれば、大阪府が食糧費というものを持っておる。あるいは交際費というものを計上してある。それでわれわれ国会議員の視察団なりあるいは会計検査院の視察の方を招待するということは、批難されるべきものと考えておりますか。そういう場合は。
  51. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 地方費の方は、検査は割に国の検査に対しては薄い——私どもの関係では薄くやっておるのでありまして、地方費自体の批難をしたことはたしかございません。ございませんが、どうもこの接待費といいますか、会議費と言うか、食糧費といいますか、こういったものが非常に明瞭を欠く点が多うございまして、そういうような点でよく会議費を償っていけるものだ、払っていけるものだという感じはいたします。と申しまするのは、東京におきましても宴会があまりに多過ぎるのじゃないかという感じを私どもは抱いております。私どもが招待を受けんからそういうのじゃございませんけれども、そういう感じがするのであります。それで国の予算を見ますると、接待費でしかるべくその接待費の目的に従いまして接待をすることは、これはまあ国会の承認を得て許されておるのでありますから……、たまには食糧費とか何とかいうことで、大きな宴会を持つということは、節ではございまするけれども、予算目的にはそう適合したものではないという考えを持っております。
  52. 田中一

    委員長田中一君) 先月の二十五日にわれわれは会計検査院長の招待を受けて共済会館でごちそうになったのです。これは会計検査院としてはどういう考え方でお呼びになったのか、そうしてそういう金の使途というのもは、当然だというような考えを持っておりますか、どっちですか。
  53. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 会計検査院のような役所で接待費を持つということは、どうかということになります。私も長く会計検査院におりますが、戦争に負けてしまうまでといってはおかしいのですが、昭和二十年度までは、会計検査院には一文も接待費も機密費もございませんでした。戦争に負けてから一般に接待費というものが認められるようになりまして、幾らか会計検査院も接待費を持たねばならんのだ、これは国会へ出して国会の御承認を得ておるわけであります。どういう方々を接待するのに主として用いているのか、これは初めて出ましたときには、昭和二十二年までは、二十二年に院法が改正になって、ただいまの院法になるまでは、私どもは国会へ来て発言するという機会はございませんでした。国会からもお呼び出しがなかったのであります。しかし二十二年に院法が改正になりましてからは、ひんぱんに国会に来て御説明する、国会の方々にもお世話になるし、また会計検査院事情もよく知っていただかなくちゃならぬというので、これは書きものになっているかどうか知らんですが、接待を申し上げる一番のお客様は、国会議員の方々であるということに実はいたしているのであります。従いまして国会議員の方は、私どもの接待費で接待を申し上げるのは当然だと、こういうふうに考えております。予算がございますので。
  54. 田中一

    委員長田中一君) 私も委員長になりましてから、慣例で会計検査院の方々並びに同僚議員を呼ばなければならんという慣例があるらしくて、お呼びしました。はなはだこっちもつらいものなんですけれども、お呼びするのは。しかしこれと同じようなケースでもって、あなた方が検査に行った場合、どうも会計検査院にいつもお世話になるからといって、あなた方が、院長初め幹部諸君が実行している問題を、受ける身になって、若い検査官が、検査官というのか職員が接待を受ける、こういうものを一部の人が非難しているのですが、そういう場合は、ただあなた方が事実、上層では国会議員を呼んで招待している、また私が呼べばあなたが来て、やはり一緒に招待を共にすることもある。これはあなた、お世話になったということと同じことなんだ。われわれも義務を遂行している。あなた方も義務を遂行している。みんな義務を遂行している。そういう面からみて、単なる現象だけとらえてどうこうというのじゃなくて、もとにあるところの予算の編成というものは、はなはだ会計検査院としてはやりにくい点がある。もう少しはっきりしたような予算を編成をしてくれれば、会計検査院も楽なんであり、かつまた善良なあなた方の部下がそういう間違いを起さないで済むのだという気持は持ちませんか。
  55. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 私はただいま申しましたように、会計検査院が接待費を持つということについては、別な考えも持っております。持っておりますが、先ほどのような沿革をももまして会計検査院は初め二十二年度でありましたか三年度からか、その当時一万五千円ですか三万円でしたか、取りました。ただ会計検査院が国会議員の方をお呼びする、お呼びするというほどのものじゃございませんが、来ていただいていろいろなお話を承わったり、申し上げるということは、予算の成り立もからみれば、私はよろしいのじゃないかと思っております。しかしながら接待というものについて、それならば会計検査なり視察に行って、接待を向うがするのは、向うの人たちは、ほかの役所とか、ほかの方々にはしてるんだから、その点はどうみるかというようなお心持のようにも拝承したのでありますが、しかし検査をするということになりますると、向う様の招待を受けるようなことでは、職責上曲げることはありませんけれども、そういうおそれがありまするので、接待は、検査をする方の側としては、招待は受けないようにしなくちゃならないということを厳命しているのでありますが、先ほど申しましたように、世の中の実情は、あまりに招待なり接待が多過ぎる——これは直接に監督しております事務総長は非常に苦慮するのであります。やはり先ほど申しましたように、長い、何という訓示をするのが、子供だましのようだとおっしゃいましたのでありますが、ああいった訓示をして色上げをする必要が、色上げということじゃない、新しい者に対してはそういう意味から訓示をする必要があると思うのです。どうもそれじゃ会計検査院予算を削るか——私はまあ接待がなくちゃいかんと思ってはおりませんです。おりませんが、先ほど申し上げましたような沿革を持っておりますので、やはり国会の方々を招待する、またその他の何として、一応やった方が今の場合はいいのじゃないかと、ただいまは考えております。しかしながら根本的にはどうだと、一体接待費というものは何ものかということを究明いたしまして、接待費の要る役所はこの役所とこの役所だということになれば、接待費というものの性質というものは、おのずからできるのじゃないかという気持は持っております。
  56. 田中一

    委員長田中一君) どうもこの会計検査院の職員なるがゆえに、通常儀礼的にあり得る姿までも触れてはなりないという形は不自然だと思うのです。私は。それならば初めからそういうような同じような待遇を受け、同じような国家公務員として全部の役所がそういう関連を持てばいいのです。ところが今御承知のようにあなたはもう長いこと会計検査院におられるのです。戦前から戦後にかけてもずっとそういうわけのわからない金の支出があるということは間違いございません。従ってそういう点について、ただ自分の子供だけをしかるのが能じゃない、といって相手方の役所に通知を出してやめてくれと、うちの子供をだまさんでくれというのが能じゃない、もっと根本的に予算の編成という面に間違いがあるのじゃなかろうかという御検討は、会計検査院の当然の主張として私は言ってもいいと思うのです。こういう点については何も、あなた方があなた方の職分を守り、そのような誤解を受けないように手心を加えないような峻厳な検査の建前ならば、じゃまになるからああして下さい、こうして下さいということは、国会に要求してもよろしいし、また政府に要求するのは当然だと思う。  そういう点についてはどしどしそういう注文をつけられることが望ましいと思うのです。ただどうも検査官が足りないから二十名の新しい職員を増してくれじゃ済まない、これは根本的に私は国の予算の計上の仕方に不明朗なものがあるのじゃないかと、こう思うのです。  それからもう一点伺いたいのは、現在十幾つかあるところの独立した行政官庁の金庫に現金がどれくらい、だれの所属かわからない現金がどれくらいあるかということを検査する意思はございませんか。私はこれは労働組合相当関係があるからいろいろ聞いておる。行政官庁の金庫の中にだれのものかわからぬ金が相当高額に保存されておるという情報を聞いたのです。私は。それはそういうことについて情報をお聞きになったことがあるのかないのか。もしそういうものがあるなら、ある機会に一斉検査するという気持はございませんか。
  57. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) ただいまの点でありますが、そういうことは実は聞いておりませんのですが、金庫の検査というものは、これはなかなかにむずかしいのでございます。大蔵省の銀行検査官が銀行検査をするという場合には、東北方面の銀行に現われたと思うと中部の方に現われるというふうにして、何といいますか、だしぬけに突然行かなければ検査ができない。それはなぜかというと、今の仰せになる金庫の中にはまあ説明のできないものもあるのではないかという想定の下にやっておるのじゃないかと私は思っております。会計検査院におきましても、よく国会から抜き打ち検査をやらなければいかぬじゃないかというようなお話もございまして、戦後の会計検査院法では抜き打ち検査ができるようにいたしてありますので、抜き打ち検査をやりますが、ただいま仰せのように、金庫の場合は抜き打ち検査をやります。それはなぜやるかというと、委員長のお話を裏書きするわけではありませんが、金庫は抜き打ち検査に限るという意味合いで抜き打ちをやりますが、ただいまどうもどこの省の金庫の中にだれの金かわからないような金が眠っているということは聞いておりません。抜き打ちではそう大きい件は上っておりませんが、金庫は抜き打ちに限るということはだれでも申します。
  58. 田中一

    委員長田中一君) 従来そういう検査をしたことはございますか。
  59. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) そういう検査と仰せになりますと、全体的の抜き打ちということでございましょうか。金庫の抜き打ち検査は、金庫は大部分抜き打ち検査でやっております。金庫と物品でございます。
  60. 大倉精一

    大倉精一君 では山田君の今の結論的なものをお出しになる前に、私は今のを総合して意見、要望を申し上げてみたいと思うのであります。まず、その前提として会計検査院は今私が申し上げるまでもないことですが、国民の血税の番人であって、また国の財政の秩序を守ってもらうところの大黒柱である。こういう重大な任務を持っておられるということを前提にしまして、次のような私は要望を申し上げたいと思うのです。  先ほどちょいちょい、聞いておるというと、何か今まで上ってきた事実は大したことはないじゃないかというような御意見もあったようですが、しかし私はこの点について今の前提から申しまして、これは一般の公務員とは違うという点を十分一つ自覚をしてもらいたいと思うのです。私は一番皆さんに注意してもらわなければならぬことは、これくらいのことはいいだろう、これくらいなら差しつかえないだろうと思われることがこれが非常に大事である。少くともそれはもう会計検査院として戒めてもらわなければならぬと思う。私は極言すれば、あなた方の立場からいけば、公務上はもちろんのこと、私行上においてもそういうようなすきを与えちゃならぬという、そういう厳粛な立場におありになるのじゃないかと思うのです。そういうすき間があるというようなことから、そのすき間からともすれば悪い風が入り込んできて、そうして思わぬ方向に進展して、これは国家のために非常に大きな影響を及ぼすということになりますので、これくらいのことはというようなことは、厳に一つつつしんでもらいたいと思うわけであります。みじんのすきもないようにしてもらいたい、特に下部の方におかれては。これはいかにそういうようなことを要求される限りにおいては、官みずからはやはり針でついたようなすきもないというような峻厳な態度をもって職務遂行をしてもらいたいと思うのであります。少くとも責任問題が発生するといったような場合、これはその進退についてはこれは明確にしなければならぬと思います。そういう工合にしてこそ、始めて部内の秩序も峻厳に維持することができる。また国民の信頼もかち得ることができると、そういう工合に私は思う。会計検査院としてそこに一般国民と違って峻厳なる行動を要求されるゆえんがあるのじゃないかと思います。  さらにこの際過去においていろいろ発生したところの不明朗なあるいは遺憾な事実については先ほども委員長がお触れになりましたが、そういうような事実があったということを認める以上は、この際一方的なものじゃなくして、やはり訓示を与えるというようなものじゃなくして、単刀直入にその本源に向って大胆にメスを一ぺん加えてもらって、そうして会計検査院将来のために、ひいては国家財政秩序確立の将来のために抜本的な、将来の検査院のあり方、対策、こういうものについて具体的な措置をこの際考えて実行に移してほしいと思う。会計検査院の強化拡充と一口に言いますけれども、強化拡充というこれに対しまして、これは並み大ていのことじゃいけないと思うのです。ですから、しっかりした一つ信念を持って、具体的にこの強化拡充に対する抜本的な対策をこの際立てていただく責任がおありになるのじゃないか、私ども決算委員会決算委員という立場からこういうような皆さんの御努力に対しましては、微力ながら援助をすることに少しもやぶさかでないので、各位そう思っておられるのであります。従ってそういうような点について、この機会に一つ私は強く要望しておきたいと思います。
  61. 田中一

    委員長田中一君) もう一つお伺いしますが、この会計検査院法の一部改正の法律案、これは別の法律から事務的にこういうものを改正しなければならぬということになったのでしょうけれども、会計検査院が完全に国民の信頼にこたえてやるにはどうしたらいいかという会計検査院法の改正というものまでもあなた方が十分に考えていいと思うのです。そしてそれがもし決算委員会に提案されるならば、われわれも真剣になって、ただこうしちゃいかぬ、ああしちゃいかぬとしかるばかりのものではないと、それを言っているのです。法律によって動くあなた方なんですから、その法律の不備は自分の方から率先して研究して、こうしてくれああしてくれということは言えると思うのですが、その点も十分に御検討願いたいと思うのです。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっとつけ加えるのを忘れましたが、先ほどの呉の問題ですね、あれは院長の御説明によるというと、記憶がしっかりしていないというようなお話しがございますが、私はこれ以上この事実についてお尋ねすることは避けまするが、これは少くとも国民全部がああいうような新聞記事が出ておりますので、何だ検査院長みずからやっておるのかというような疑惑が出てくると思うのです。これはこれからの検査院の綱紀粛正といいますか、あるいは拡充強化と申しますか、そういうものに対して非常に大きな影響があろうと思いますので、その当時のことを十分一つお調べになって、そしてなお、検査院長はそういうことはないと私は思うのですが、それにしましても、国民の疑惑を解くところの措置を院長みずから一つやってもらいたいと思うわけです。この問題は、私はただ記憶がなかっただけではやはり国民諸君は納得しまいと思いますから、これは特につけ加えておきます。
  63. 田中一

    委員長田中一君) それでは先ほど山田君から御質問があった問題につきまして御答弁を願います。
  64. 東谷傳次郎

    会計検査院長東谷傳次郎君) 御説明なり答弁があと先になるかもわかりませんが、院法改正でございますけれども、ただいま出ておる院法改正は、物品管理法が新しく制定されますのについて、それに対応するだけの、対応するための院法改正でございまして、特別の改正ではそれはございません。  それからなお、今後院法の大改正といいますか、そういうことにつきましては、お話しもございますので、よく研究いたしまして御希望に沿うことができるようにと考えております。  大倉さんからお話しがありまして、まことに私申しわけなく思うのでありまするが、非常に国民の皆様、あるいは国会の方々からも非常な大きな負託をわれわれは受け、そして身にあまる信任をもかたじけなうしておりますので、今まで過去におきましてありました悪い事実などにかんがみて、現在並びに将来は絶対そういうことのないように確固たる信頼を保って、そしてお示しのような、血税をいかにといいますか、血税の安住の地を私どもが指し示すという気概を持って検査をやっていきたいと思っております。些少のものでありましても、それが些少だから、少いからよろしいという考えは毛頭持っておらないのでありまして、先ほどの点などもまことに申しわけなく思い、自粛自戒しなければならぬものだと考えております。  山田さんのお話でありまするが、予算につきましては私もさように考えております。会計検査院予算を要求すれば、その予算の倍とか三倍とかいうものは、節約によってまかない得るというふうに考えておりまして、そういう点はよく当局に説明しまして、予算の要求の達成をいたしたいと思っておるのでありまするが、まあこの財政の現況にかんがみましては、いつも引っ込ましておるような実情があるのでありまして、今後はそれは十分にその点を強調いたしたいと思っております。  なお、実地検査の待遇などにつきましてでありますが、先ほど申しましたように四月から三割値上げにもなりまするし、それから出張する場合の旅行日数などは規定で認められるだけのものは認めていく。できれば、これは予算がまあないのでありますが、できればオーバー・タイムなどの点もみて、それから時間外の勤務をどうしてもしなくちゃならぬ場合は一日でも二日でも延ばして、それに対応する旅費を支給するというようなことで差しずめはやっていきたいと思っておるのであります。  なお、会計検査院の検査をする者が固過ぎるというのでありますが、まあそういう批評を受けるのは非常にありがたいのでありまして、むしろいばるというようなことを聞きますと、いつも私は言うのでありまするが、会計検査は先ほども冒頭に申しましたように、悪いことがあるというのを前提として検査をするのではなくて、会計経理全体がどういうふうに運営されているかを見ましてこれを監督し、そうして悪いことがあれば丁寧懇切にこれを指導するというのでありまするので、いばるということ、すなわち被疑者に対して検査をするというような態度をとりますと、ままいばるというようなことが出ますので、これは方々でそういうことも聞くのでありまするから、十分に職員には注意をいたしておるのであります。  なお、この一万四千円の呉の点でありまするが、これは重ねて申し上げておきまするが、決して私はこれを少額だというふうには考えておりません。おりませんが、先ほど申しましたように、何ぶん七年も前のことで、この一万四千円がそのままの金であるかどうかということを確認もできませず、そうして先ほど申しましたように、私どもは私どもの宿で一緒に食べたのでありまして、私ども三人の宿料は払っておるのであります。この一万四千円は、この一万四千円が正しいとしますれば、向う様の、先方の分の支払いなどに相当するものとも考えられるのでございます。  重ねて申し上げますが、決して少額だからよろしいとは、よろしいのでなしに、何でもないとは考えておりません。非常にこういうことに使うということはよろしくないというふうに考えておりますし、また私自身もこういうことで疑いを受けるということは心外千万に考えておるのであります。いろいろお示しが皆様方からありましたので、私自身が心持を新たにして自戒していきますると同時に、職員全部に対しましても皆様方の意のあるところを伝えまして、よりりっぱな、より綱紀の厳正な会計検査院を確立しまして、皆様方の重い負託におこたえしたいと考えておるような次第であります。
  65. 田中一

    委員長田中一君) それじゃ速記をとめて。   〔速記中止〕
  66. 田中一

    委員長田中一君) 速記をつけて。  ほかに御質疑がなければ、本件に関しましてはこの程度にとどめます。これをもって本日の議事は終了いたしました。  それでは散会をいたします。    午後五時二分散会