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1956-03-01 第24回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月一日(木曜日)    午後一時五十九分開会   —————————————   委員の異動 二月二十七日委員三浦辰雄君辞任につ き、その補欠として加賀山之雄君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田中  一君    理事            青柳 秀夫君            白井  勇君            大倉 精一君            岸  良一君    委員            岡田 信次君            小沢久太郎君            小幡 治和君            西川彌平治君            笹森 順造君            久保  等君            小林 亦治君            近藤 信一君            湯山  勇君            島村 軍次君   国務大臣    郵 政 大 臣 村上  勇君    国 務 大 臣 倉石 忠雄君   政府委員    内閣官房副長官 田中 榮一君    人  事  官 入江誠一郎君    調達庁総務部長 眞子 傳次君    建設省営繕局長 小島 新吾君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    調達庁不動産部    次長      鈴木  昇君    調達庁連絡調査    官       中上 義行君    外務省欧米局第    二課長     安川  壯君    大蔵省管材局総    務課長     武樋寅三郎君    会計検査院事務    総局第二局長  保岡  豊君   —————————————   本日の会議に付した案件委員会運営に関する件 ○昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○国家財政経理及び国有財産管理  に関する調査の件  (国費の不当使用に関する件)   —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから第六回決算委員会を開会いたします。  議題に入る前に御報告することがございます。まず委員変更に関する件であります。去る二月二十七日付をもって三浦辰雄君が辞任され、加賀山之雄君が補欠選任されました。  次は本日の理事会において申し合せました事項についてであります。  まず資料要求に関する件であります。朗読いたさせます。
  3. 池田修蔵

    専門員池田修蔵君) 朗読いたします。   決算審査のための資料要求について   決算審査のための資料要求について決算委員会は左の通り決定する。昭和二十九年度決算審査に当り、中小企業金融公庫等政府以外の機関に対し資料を要求するに際し規則第百八十一条により議長を経て正式に要求しなければならない場合も予想されるので、これをあらかじめ委員長に一任することとする。   なお、右資料要求具体的内容については、その都度理事会に諮る。
  4. 田中一

    委員長田中一君) 右の通り資料要求について申し合せたのでありますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中一

    委員長田中一君) 御異議がないと認めまして、さよう決定いたします。  次に、昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書、同じく無償貸付状況計算書、これは本委員会に付託されましたが、三月六日午後一時から始まります委員会政府説明を求めることといたします。  なおかねて本日の委員会において審査することになっておりましたところの二十九年度決算のうち、防衛庁関係は四月以後に延期すること。従って本日及び六日の防衛庁の日程は取りやめることにいたします。  次に、黄変米に関する件は、二月二十八日付書面をもって委員長から河野農林小林厚生大臣に対してその処理状況報告を求めました。その内容をただいま専門員から朗読させます。
  6. 池田修蔵

    専門員池田修蔵君) 朗読いたします。    参議院決算委員長 田中 一  厚生大臣  小林 英三殿   黄変米処理に関する件   本件については本年二月十四日付食品衛生調査会の答申に基き、その方針を次の通り「現在在庫黄変米は、必要程度再搗精した上で、さらに菌検査を行い、無菌のものは食糧に供して差しつかえない。」と決定し、これを農林省連絡した旨、当委員会に御報告があったが、これを実際に処理する上においては、さらに搗精試験及び再搗精後菌検査をどの機関で行うか、厚生農林両省のいずれの責任において行うか、サンプリング方法をどの機関でどのように定めるか等について、農林省十分協議の上決定する必要があると認められるので、すみやかにこれを決定した上、その結果を当委員会報告せられたい。  農林省あては本文だけ読みます。    黄変米処分に関する件   本件については、本年二月十五日付をもつて厚生省から次のような処理方針、「現在在庫黄変米は、必要程度再搗精した上で、さらに菌検査を行い、無菌のものは食糧に供して差しつかえない。」の連絡を受けた旨、当委員会に御報告があったが、これに基いて在庫黄変米処分する上においては、さらに搗精試験及び再搗精後菌検査をどの機関で行うか、厚生農林両省のいずれの責任において行うか、サンプリング方法をどの機関でどのように定めるか等について、厚生省十分協議の上決定する必要があると認められるので、すみやかにこれを決定した上、その結果を当委員会報告せられたい。   右とともに、これが処分に伴う左の諸事項主食用として配給するか、みそ、しょうゆ等の原料として売り渡すか、その具体的方針処分の開始時期及び処分に要する期間の見込み、処分価格の見込み、再搗精により目減り、保管料支出等をも見込んで、どの程度損失を生ずるか、大体の推算額についても御報告をわずらわしたい。   以上です。
  7. 田中一

    委員長田中一君) 以上の通り申し合せましたが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないものと認めまして、さよう決定いたしました。   —————————————
  9. 田中一

    委員長田中一君) それでは議題に入りたいと思います。  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書  国家財政経理及び国有財産管理に関する調査  を議題といたします。  まず調達庁の分を審査いたします。会計報告批難事項は第二号から第四号までであります。  ただいま出席の方は、保岡検査院第二局長小島建設省営繕局長安川欧米局第二課長眞子調達庁総務部長武樋大蔵省管財局総務課長の諸君であります。  まず、検査院から報告を求めます。
  10. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 二号を御説明申し上げます。  昭和二十七年度から駐留軍が大都市の中心部から移動いたしまして、周辺地区にまとまる計画がなされました。そこで建設省安全保障諸費使用いたしまして、移転先施設建設いたしました。しかるにその建設完成したのに今までの中心部施設返還されない。また完成がおくれたために返還がおくれるものもあったりいたしまして、返還がおくれますから、借料をそれだけよけいに支払いをしなければならないというばかばかしいことが起ったわけであります。その総額が、ここに書いてあります一億八千四百万円、そのうち三十一ページの(ア)の方を御説明申し上げますが、これは工事費約七十三億をかけまして、施策が完成しているのに移転がおくれている。この原因は、提供する施設区域限界が、その解決遅延したり、電話施設維持費使用料分担についての解決遅延したり、代替施設完成した場合にすぐ移転しないというのはどういうわけだ、これを初めから明らかに取りきめがなかったじゃないかと思われる原因などがこの(ア)項であります。  (イ)の方は、代替施設建設が決定した後に、敷地調査であるとか、技術的な設計などの検討に著しく日時を要しまして、それでこの六カ月くらいをみておりますが、これ以上におくれたという件を(イ)にあげております。  (ウ)は、予定通り工事には着手いたしましたが、駐留軍提供することとしておりました一部の建設資材搬入がおくれたため、工事を中止しなければならないことになりまして、それだけおくれた件であります。  大体(ア)の方がほとんどすべてであります。このような、もっと早くやれば払わなくてもすんだ借料を支払ったのは、支払いの官庁は調達庁であり、それを中心となって連絡調整するのも調達庁でありますので、調達庁不当事項として掲げたわけでありますが、一連の事務関係にあります建設省大蔵省外務省が、お互いに協力してうまくやったらもっとうまくいったんではないか。一日おくれれば一日だけむだな支出をするのでありますから、ほかの仕事を差しおいてもこれを早くやった方がよかったのではないか、そうすればこの事態はさらに改善されたんではないか、こういう案件であります。  次の三号は、駐留軍提供している営業用倉庫借料、それに関するものでありますが、この借料を算出する基準がありまして、建物の方と土地の方とを計算して加え合せるのですが、この営業倉庫が、土地を借りて営業している営業倉庫について、その土地国有地を借りていたものを取り上げたものでありますが、調べてみますると、倉庫の支払っている借料と国が倉庫に支払っている借料とに、土地借料に当る部分の間に非常に差がある。営業倉庫としての利益の保証は、各倉庫につきまして、坪当りの収益を推定いたしまして、建物の方に算入いたしておりますので、地代の方は通り抜け勘定でいいのでありますのに、借地代としてこのようにはなはだしい開差を与えているのは不合理である。民有地の場合は別として、国有地都有地などの場合におきましては、倉庫の支払っている借料を考慮して算定すべきである。こうしないのは妥当でないというわけであります。四号は二件ありまして、「右のほか」というのがあとにくっついておりますが、まず初めの方は、建物借料には火災保険料を入れて支払っております。この火災保険料は、損害保険料率算定会の方式によりまして算出することに契約しております。その規定によりますと、本件空地割引をすることができるのに、割引きしていなかったので、それだけよけい支払った、そこで注意したところ返納された。それが一つと、それから少額でありますが、あとの方のものは、青森県の三沢飛行場付属建物の用地として使用いたしております土地借料指摘されたものであります。  以上で説明を終ります。
  11. 田中一

    委員長田中一君) 次に調達庁の側から説明を求めます。
  12. 眞子傳次

    政府委員眞子傳次君) 検査報告に関しまして、私の方からあやまらしていただいたり、また弁明をさしていただきたい事項がございますので、その点をただいまから申し述べさしていただきます。  検査報告二の関係関係者機関連絡調整が不十分なため不経済な借料を支払ったもの、このことに関しましてまず申し上げさしていただきます。  代替施設建設に当りましては、その計画設計から工事実施期間はもちろん、工事完成米駐留軍移転に至るまでの間も関係省庁並びに米駐留軍との間に複雑にしてかつ多角的な折衝を要しまするので、この間計画設計の毎検討は申すまでもなく、新規予算措置を必要とする案件が発生する場合も少くないのであります。これに加えて電気通信施設に関する提供様式につきましては、日米双方意見対立がありましたが、こういったことは当初予想されなかったようなことでございまして、こういつたことが幾多の不利の要素が加わりまして、関係省庁並びに軍側とも緊密な連絡調整を重ねましたにもかかわらず、結果的に移転実施、ひいては施設解除遅延を招来いたしたものでございます。  次にこれを会計検査院指摘の各項目ごとに概略申し上げさせていただきますれば次の通りでございます。  この御指摘の(ア)項の一つといたしまして、提供施設及び区域限界解決遅延したとありまするのは、代替施設相模補給廠地区分のうち相模工廠地区代替施設提供する際に生じた問題でございます。すなわち代替工事完成しましたので、これを軍側提供する手続をとるに当りまして、たまたま本施設に対する軍の使用計画が、業者との特需契約によって行う予定になっているところから、本施設をいわゆる施設として提供せず、むしろ業者に当施設を貸し付けてこれを軍が経営するのが妥当であるとわれわれ日本側は主張したのでございます。軍はこれに対してあくまでも正規の施設区域とすることを主張いたしまして、このため両者間に意見対立し、その解決遅延したものでございます。しかしながら政府といたしましては、軍側が仮使用の形式をもって実際に使用いたしております事実にかんがみまして、既提供施設解除促進に努力いたし、大部分解除されておる実情でありまして、会計検査院指摘の未解除施設解除遅延は、提供業務遅延によるのではなく、本代替施設完成と相待って朝鮮事変の終了により初めて本施設解除されるものと日米間に了解されていたためでございます。  (ア)項の二つ目といたしまして、電話施設維持使用料分担について解決がおくれたと申しますのは、これについて申し上げますと、代替施設小泉倉庫、ハーデイバラックス、ワシントン・ハイツの三地区提供によって生じた問題でございまして、提供に当って軍は電話施設行政協定によるいわゆる施設として提供することを要請して参りましたが、日本側といたしましては、これを施設として提供すべきものではなく、軍側使用料を支払わねばならぬことを前提といたしまするサービスとして使用せしむることを主張いたしましたために、両者間の調整相当時日を要し、従って既提供施設解除遅延いたしたものでございます。本件につきましては一応両者間に暫定協定を結びまして第一段の解決がついております。  次に(ア)項の第三の項目として申し上げますが、代替施設完成した場合の移転について明らかな取りきめを行なっていなかったために、移転がおくれたと申しますのは、このようなことでございます。代替施設世田谷倉庫朝霞宿舎渕野辺犯罪調査所及び座間病院地区建設完成いたしました際に生じた問題でございまして、各地区いずれの代替施設についても、これが完成した場合は、日米間において、どれがどこに移転するのだと明らかに確認されていたのでありますが、軍側情勢変化に伴う内部事情等によりまして、御指摘のような結果を招いたものでございます。  これを各地区について申し上げますると、世田谷倉庫地区については、建設工事完成した際、軍側の手違いによりまして当初の取りきめに基く移転実施計画にその誤りを生じまして、当方の再三の解除促進にもかかわらず使用解除がおくれたものでございます。朝霞宿舎地区につきましては、工事完成いたしましたが、当初の取りきめによる解除予定地区に残存する軍側施設撤去が著しく遅延したことによるものでございます。渕野辺犯罪調査所につきましては、工事完成間近になって、軍側から当初の取りきめの変更要求がありましたので、日本側においてこれを検討いたしまして、合同委員会の承認を得ましたけれども、新移転予定施設のエレベーターの管理運営及び用役料金分担等について協議がととのわなかったため遅延したものでございます。座間病院につきましては、会計検査院指摘の理由によって解除遅延いたしたものではございませんで、軍側による若干の付帯設備取りつけ工事が未完成のため解除がおくれたものでございますが、現在すでに工事完成いたしております。  次に三十一ページの(イ)項について申し上げさしていただきます。  本件建設省において深川貯油所施設尾島消毒所及び横浜食堂建設について、工事の着手までの技術上の検討時日を要しましたものでございますが、これは複雑な技術上の問題並びに軍の設計上の手落ち等もございまして、かかる事態を招来いたしたものでございます。  三十一ページの(ウ)項について申し上げますと、本件建設工事の途中において軍側が調達し、建設省において取りつける手はずになっておりました厨房設備並びに器具類軍側現場搬入が、日本側促進にもかかわらず著しく遅延いたしまして、このため約半年間の工事の中止のやむなきに至ったものでございます。  その次に、検査報告三の「営業用倉庫借料算定当を得ないもの」という項について説明さしていただきます。本件東京横浜大阪調達局昭和二十八、二十九両年度において三菱倉庫株式会社外八社に対して支払った借料のうち、倉庫敷地借料相当額算定するに当って、業者がその敷地として国有地または東京都有地を借り受けているものに対して、国または都に業者が払う使用料を考慮することなく、多額に計算し支払ったものと指摘いたされておるのでございます。すなわち、調達庁昭和二十七年七月四日付閣議了解駐留軍の用に供する土地等損失補償等要綱及びこれに基く土地建物等賃借料算定基準によりまして、算定額をその敷地使用料として支払ったものに対し、業者貸主に支払った使用料総額において四千百七十六万四千余円の差額を生じたものでございます。しかしながら当庁の本要綱は、借主、すなわち倉庫業者貸主、すなわち国または都との間の借料を考慮することなく、第三者の立場においてそれ相当借料を算出いたしたものでございます。なお、この算定基準につきましては、基準設定当時から相当時日を経ているものでありますが、今後改訂を加えたいと考えまして、現在鋭意研究中のところでございます。  その次に、是正事項としてあげられたことについてあやまらしていただきます。本件につきましては全く会計検査院指摘通りで、まことに申しわけございません。全額返納せしめております。その項目はここに書いてありますところでございますが、建物借料が過渡りになっていたものでございまして、その一つ大阪調達局で神港ビルに対し支払った借料のうち、火災保険料算定を誤まり、六十七万二千三百八十四円過渡りとなったものでありますが、これは昭和三十年六月二十三日返納いたさせました。  次の仙台調達局青森県大三沢町北村某所有土地借料算定するに当って、地目を誤まり放牧地を畑地といたしましたため十六万四千二十円の過払いとなったわけでありますが、昭和三十年四月十一日に歳入に徴収した次第でございます。  なお、以上申し上げましたことにつきまして、ただいまの説明では不十分と存じますが、詳細の点につきましてはそれぞれ私の方の担当職員からなお御説明を申し上げたいと存じます。
  13. 田中一

    委員長田中一君) 次に外務省からの説明を求めます。
  14. 安川壯

    説明員安川壯君) 駐留軍建物移転計画につきましては、当初二十七年度に都心地域から駐留軍建物を、代替建設物を作って移転させるという計画につきましては、合同委員会の本会議で直接取り上げまして、この計画についての軍側との交渉は、合同委員会会議におきまして、外務省が直接主管となりましてこれに当りまして、大体昭和二十八年の十月ごろまでに具体的な移転計画そのものにつきましては大体において軍側と合意に到達いたしました。その後二十八年の暮に、米軍施設関係の従来外務省が所管しておりました事務調達庁に移管することになりまして、それに伴いましてこの駐留軍移転計画仕事調達庁の所管に移りまして、またこれについての対米軍関係交渉合同委員会の下に特別に設置されました施設特別委員会で取り扱うことになった次第でございます。そこでこの仕事主管外務省の手から調達庁に移されましたが、やはり対米交渉の面がございますので、その後も引き続いて施設特別委員会の方に外務省からも代表が出席いたしまして、対軍関係交渉には協力した次第でございます。  そういう関係でございますが、ここに御指摘になりました案件のうち、この二の(ア)の中にございます点は、施設の問題について解決がおくれ、そのために施設解除がおくれたという点につきましては特に合同委員会で直接取り上げて、米軍交渉いたしまして、それには外務省中心となりまして交渉に当りましたので、その点につきまして、先ほど調達庁から御説明がありましたのを若干補足して説明さしていただきたいと思います。  電話施設使用料の問題につきましては、かねて移転計画がだんだんに進行するに伴いまして、米軍側と取りきめをする必要が生じたわけでございますが、ところがこの使用料につきまして米軍側日本政府見解が実は根本的に対立したわけでございます。その点は先ほど調達庁からも簡単に御説明がございましたが、いろいろな技術的な問題も含んでおりますけれども、根本的な対立点を申し上げますと、軍側行政協定に伴って移転先施設に設置される電話施設は、建物土地と同じように日本政府無償米軍提供する施設の一部に含めるべきだという立場をとったわけでございます。これに対して日本側は、電話サービス提供は、行政協定の第七条でございますが、第七条に規定しております一つ公共施設使用を、サービスを向うに提供するものである。従って電話施設そのもの施設の一部として建物土地と同じように無償米軍提供すべきものではない。あくまでサービス提供であってそれに対しては相当の対価を米軍側も払うべきであるという立場に立ったわけでございまして、この根本的な立場対立したために、この代替施設内の電話使用料の問題が非常に解決が困難な事態になりまして、これは相当期間数次にわたって合同委員会両者交渉したのでありますが、数カ月間この両者の根本的な対立関係がどうしても解決できないままに時日を経過いたしまして、そのうちに逐次代替施設建物完成が近づいて参りましたので、このまま推移するときには、せっかく建物完成しても移転ができない。従って施設解除がそれだけおくれるという事態に直面いたしましたので、日本側アメリカ側も、これは早く移転促進しなければならないという立場に立ちまして、合同委員会に特別の委員会を設けまして、そこで両者見解調整をはかって、すみやかに解決することに努力した次第でございます。この委員会ができましたのが去年の七月であったと記憶しておりますが、その特別委員会で継続的に両者交渉を行なったのでありますが、やはり根本的な見解相違がありまして、なかなかこの妥決に困難がありまして、解決が容易でなかったのでございますが、その間建物完成いたしますし、双方とも、借料支払いの問題はもちろんといたしまして、建物所有者に対しても一刻も早く施設返還しければならぬという必要を両者が認めました結果、双方歩み寄りまして、根本的の見解相違は一応このまま将来の問題に残しまして、一応暫定的な取りきめを結ぶことにこぎつけたわけでございます。それができましたのが九月の中旬であったと記憶しております。そういうわけで双方ともこの移転を早くしたいということは、双方ともこれを念願したわけでございますが、何ぶん今申し上げましたような両者意見相違によってこの通信電話料の問題の解決が延びましたことは、まことにやむを得なかったものであると思いますが、私どもとしては全力をあげて解決の努力したつもりでございますが、なおそれにもかかわりませず、このために移転がおくれたということに対しては、非常に遺憾に存じておる次第でございます。
  15. 田中一

    委員長田中一君) ただいま担当大臣倉石労働大臣も御出席になっておりますが、不当事項と是正さるべき事項調達庁関係調査の対象になっておりますが、これに対する倉石国務大臣の御発言を願います。
  16. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 調達庁担当の大臣として申し上げます。  昭和二十九年度における調達庁の業務は、駐留軍に対する施設提供及びこれに伴う種々な補償業務と労務提供業務とでございます。すなわち調達庁は、一方において行政協定の規定するわが国の施設等の提供業務を履行いたしながら、他方これらと一般公共の福祉との調整をはかり、国民の権利を擁護しなければならないというきわめて複雑困難な立場にございますので、業務の運営、または予算の執行の適正については特に注意を払いまして参った次第でございますが、検査院の御指導により、批難事項が年々減少いたして参っておりますが、なお若干の事項につきまして今回国会の御審議をわずらわすことになりましたことはまことに遺憾に存ずる次第でございます。  すなわち、昭和二十九年度の会計経理上御指摘を受けました批難事項不当事項二件、是正事項一件でございまして、不当事項のうちの一つは、駐留軍提供する代替施設建設に当りまして、駐留軍との交渉及び関係機関連絡調整が不十分でありましたため、返還施設使用解除遅延いたしまして、結果的に不経済な借料を支払ったものといわれているものであります。他の一つは、営業用倉庫借料算定に当りまして適正を欠いたといわれておるものであります。また是正事項として上げられましたのは、建物及び土地借料支払いに当り、事務上の間違いにより過払いになるに至ったものでございます。  調達庁といたしましては、是正すべきものにつきましてはもちろん会計検査院指摘通り、直ちに回収措置を講じ、全額返納せしめた次第でございますが、駐留軍との交渉関係、各省間の連絡につきましては、従来も極力緊密な連絡を維持するように努力をいたして参ったのでございますが、今後ともなお一段の努力を重ねることといたしたいと存じます。また、営業用倉庫借料算定基準につきましても十分な検討を加えまして、今後このような事項について御指摘を受けることのないよう政府におきましてもなお一そう十分の注意を払う所存でございますから、どうぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。  なお個々の事項につきましては、政府委員からいろいろ先ほど来御説明申し上げている通りでございます。
  17. 田中一

    委員長田中一君) 次に大蔵省から御説明願います。
  18. 武樋寅三郎

    説明員武樋寅三郎君) 大蔵省から説明さしていただきます。  ただいま問題になっておりますこの件につきましては、大蔵省といたしましては、新しい建物等が完成いたしました暁には国有財産台帳に登載すべく大蔵省の方に引き継ぎが参るわけでございますが、その引き継ぎが参りましても、まごまごいたしておりますと、御指摘のような連絡関係が不十分になってよけいな出費を招くということになるのでございますけれども、われわれといたしましては、こういう渉外関係につきましては、台帳登載等につきましても十分注意いたしまして措置をいたして参ったつもりでございます。ただし、完全に工事完成いたしませんでも、緊急の事態に至りまして、臨時に使用いたしたいというようなことがございますれば、関係官庁と相談をいたしまして、臨時にこれを使用せしむるという措置も便宜的にとっておるような次第でございます。  本件につきまして、国有財産台帳の登載がよかったか悪かったかという問題でございましょうが、台帳登載が完全に済まなくっても、ただいま申し上げましたように、緊急的にしかも便宜的に建物使用でき得ると、またしなければならないという事態になりますれば、御相談によりまして、できるだけ早くその建物使用せしむるというふうな措置をとって参りたいと思っております。  詳細の点はまた御質問がございますればお答え申し上げたいと思います。
  19. 田中一

    委員長田中一君) 次に建設省から御説明を願います。
  20. 小島新吾

    政府委員小島新著君) ただいまの(イ)項の州に関しまして建設省——実施をする立場で御説明申し上げます。  軍側建設計画要求が出まして、それをわれわれは建設面からその要求に対しましてあらゆる角度からそれを検討いたしまして、また関係各省と緊密な連絡をとってその建設計画を取りきめますが、御承知のようにその施設の配置計画敷地調査とか、それから技術的な検討その他実施案を作成して軍側と折衝し、その了解を得て工事にかかるのでございますが、軍側の要求にも不明確のところもございますし、また適正以上の要件があるような場合もございまして、その間に非常にそれを調整するのに時間がかかります。  その一つの例といたしまして、たとえば(イ)項の深川の貯油施設外二地区という問題でございますが、深川の貯油施設は、御承知のように特殊な施設でございまして、またそこに引込線の問題がございます。それから配置計画の安全性を守りたい、いろいろな問題で非常に錯雑した計画でございます。その用地の問題その他についてもなかなか早く解決いたしませんし、そういうようなことで非常に、ある程度設計に時間を要した次第でございます。  また(ウ)項にあります一部駐留軍提供する機械器具の搬入するその日にちその他が、初めの計画できめた時日から実際に軍がその機材を持ってくるまでに非常に時間がかかった。その間現場では仕事ができなかったというようなこともございまして、いろいろな複雑な問題で、極力関係各省とは連絡しながら、できるだけ早く施設を作りまして、それにかわる接収されているものの解除を、解放するという努力にも、われわれは建設面で非常に努力したつもりでございますけれども、ある程度遅延その他があったことは非常に遺憾と存ずる次第でございます。
  21. 田中一

    委員長田中一君) 以上をもって政府説明は終りました。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  22. 小林亦治

    小林亦治君 これはあるいは調達庁当局から伺わなければならぬのかもしれませんが、まず会計検査院に伺いたいと思いますが、砂川、あれで補償費のほかに謝礼金を払っている。私どもの考えでは、補償金というものは一定の基準から数字を割り出して、その範囲で払うのです。そのほかに普通の民間でやっているような謝礼金とかあるいは何とかいうこぶのついたものは別途に支出する権限は私はないと思うのです。ところが実際においては砂川とかではそういうケースを作っておる。それに対する検査院見解ですね、違法であるか、違法でないまでも、妥当性を欠くかどうか、それをどういうふうに会計検査院ではお考えになっておるかお聞きしたい。
  23. 保岡豊

    説明員保岡豊君) ただいまの御質問の件でございますが、調達庁では、砂川の件につきましてはまだ支出しておりません段階でございますが、調達庁本庁に私どもその状態を聞いております範囲でお答えをいたします。この協力謝金というものは、補償をしてその上で……有償費ではなく、その上で払う、これは確かに補償費ではないということになっております。しかしその補償契約等をいたします条件といたしまして、この協力謝金がないとその契約に判を押さぬ。ですからそれを契約するために必要である協力謝金を出すんだ、こういうような説明であります。そこで予算を見ますと、防衛支出金となっておりまして、防衛支出金のうち借料等が大蔵省から移しかえになって、調達庁の予算になるわけでございますが、防衛支出金には項だけで、目は予算書にはございません。予算審議のときは項だけでございます。項だけの予算であります場合には、項の説明にあります目的でございますが、目的を見ますと、安全保障条約にもとづく合衆国軍の駐留に関連し、わが方で支出を必要とする経費であるというようなことが書いてございます。でありますから、この項の目的といたしましては、必要であれば違法ではないかと思います。予算上許されているものと思います。そこで協力謝金は項だけで目は設定してありませんが、大蔵省からすでに昨年と本年と二回にわたって六千五百万円ばかり移しかえになっております。この移しかえになっておりますときに協力謝金という目が新設されております。それでありますから、そこまでの段階におきましては、財政法上違法でないと思います。そこで協力謝金を出す、そこまでは違法でありませんが、その必要であるかどうかということ、これはいろいろまあ十分に検討しなければ、必要であるかどうかということは、まだちょっと私どもといたしましてここでお答え申し上げるあれにはなっておりません。そういうところでございます。
  24. 小林亦治

    小林亦治君 どうも検査院も確信を持っておられないようなことで、御注意申し上げたいのですが、項があって目がない。そういう場合に自由に目を設定してよろしいというわけのものでは決してない。必要があればということをおっしゃるのですが、その必要にしてからが、やはりこの一定の限度があるので、確かにこの契約が、謝礼金を出さなければ契約ができない、出せばできるという場合には必要であるかもしれません。必要でしょう。しかしそれは出してはならぬと私は思う。会計法上ですね。りっぱに正規の補償というものは合理的に出ておるんですから、それ以外に必要であるからといって支出官はそれを出すということはこれはできない。いかに必要でも私はできないと、かように考えておるので、そこを一つよく御検討を願いたい。というのは、もしもそういうことが認められるということになると、今後補償問題が起きるごとに、補償を受くる方の側から謝礼金をよこせ、謝礼金を出さなければ応じないということになると、正当な補償にプラス謝礼と必ずつかなければならないことになって悪例を残す。結果からいえばそれは不当支出になっちまうのです。だから検査院に望むことは、そういうあいまいな確信のないことであっては困る。必要と思うものならば何でも出してよろしいととられやすいのです、そういうことであるならばですね。いかに必要であってもいけないのだ、正当な補償がちゃんと出ておるのだから、それは困るでしょうけれどもできませんということを言わなければならぬと私は考える。それで調達庁からも伺っておきたいのです。
  25. 眞子傳次

    政府委員眞子傳次君) 協力謝金の問題につきましては一応議論も、これまで議論を相当尽されておるようでございますが、行政協定によりまして、在日合衆国軍の用に供するためにどうしても拡張を必要とする飛行場でありまして、国防上特に重要であり、かつその拡張をすることが緊急不可欠のものでありますところの横田、小牧、その他飛行場の拡張のため必要でありまする土地提供に協力した方々に、その所有者関係人に対して協力謝金というものを支払って、そうして何とか土地を入手し飛行場の拡張をしたい、そうして条約上の義務を果したい、こういうところからこの謝金を提供する必要ができたものでございまして、われわれといたしましてはどうしてもこれは必要であり、そうしてまた正当のものであって、決して不当のものではないというふうに信じておるところでございます。もちろんこの謝金の支給に関しましては慎重に手続上もまた注意いたし、これが必要であるかどうかということについてもきわめて慎重に取り扱っておりまして、将来といえども決してむだのないように使用いたすつもりでございますから、その点を何とか御了承いただきたいと存じます。
  26. 小林亦治

    小林亦治君 そこなんですが、必要なもの必ずしも正当ではないのです。必要ということを盛んにおっしゃるのですが、いかに必要でも、正当な補償を払うのですから、払ったほかに謝金の名においてプラスしたものを支払われるということは不当だと私は思うのであります。必要だから正当だということにはならないでしょう。もしかりに土地提供せられる側から、横車を押しても、何でもかまわぬ、もっと取ってやれというということから謝金の請求があった場合には、それはやっぱり払う必要があると、こういうふうになる。つまりあなたのおっしゃる言を進めると……。やはりあくまでも補償の範囲でもって提供してもらうのがこれは筋なんです。協力したからということは、これはどの程度かわかりませんがう、あるいは労務による提供ならば、それは正当な労務費を払うが、そうではないのでしょう。謝金を請求すればこれは請求しておるのだからやらなければできない、よって必要だ、こういうようになられたのでは、これは漫然たる行政になってしまうので、不当支出になると思います。必要だから正当だとはならない。早くやるために必要であったかもしれんが、その支出は不当であると、こういうように私どもは取りやすいのであります。それはどうなんですか。そんなものを、謝金などをくっつけないで、補償料が安きに失するものであるならば、合理的なものを算出して、そうして補償金の名において交付すべきなので、補償金を精一ぱい出しておいて、さらにうんと言わないからというので謝金というものを包んで出すなどということは、これは民間の会社ですら許さぬことなのです。大きな会社でも。そんな考えを持たれたのでは困ります。もう一ぺん伺いたいと思います。はなはだ重要なことですから。
  27. 眞子傳次

    政府委員眞子傳次君) この協力謝金につきましては昭和三十年十二月二十三日の閣議決定に基いて調達庁長官が支給手続をきめております。これらの措置は予算の範囲内での行政措置でありまするので、法律は要しないものと考えておりますが、この取扱いについては、ただいま申し上げますように慎重な取扱いをいたしておりまして、漫然ととかいったようなことではございません。ただいま着手しておりまする飛行場の拡張というものは非常に緊急不可欠でありまして、これの土地関係者等に対しては非常な御協力を仰がなければならぬ。その協力した方々に対してその協力に対する謝金というものを提供して、そうしてその目的を達したい。その目的を果すについては、今申し上げまするような成規の手続によって予算の範囲内で提供するのでございますから、われわれの申し上げるところの趣旨を御了承いただきたいと思います。
  28. 小林亦治

    小林亦治君 たとえば五十人なら五十人ある対象者の中でも、特に協力した何人かに謝金をやるというのならわかるのですが、全部になるのでしょう。特に協力したということにならないのでしょう、全部ですから……。それからこの三十年の十二月の何日でしたか、これは閣議でそういうことを決定したとすれば、これはもう少しえらい人を呼んで、その閣議のそういった決定が不当だということをきめなくちゃならない。それから成規の手続でも、結局閣議で決定した指示というものが一つの基礎法になるのでしょう。そういうことは違法だと思います。たとえ閣議で決定しても、今申し上げたように何十人の中から特に労務提供あるいはいろいろな面において協力した者に対するというのではないでしょうから、全部の対象者に補償金のほかにこの謝金というものを払うということになると、つまりこれは水増しした支払いになる。従ってその謝金はその限度において不当な支出と、こういうことになるのだ。そんなことを閣議が決定したとなるとこれは許しがたい。補償金を増額することはこれはいいですよ。正当ないろいろな基準があるでしょうから。そこのところを一つ委員長に要望しておきたいのは、そういうことを閣議が決定したというならこれはけしからぬことだ。ここにそれらの閣僚を呼んでもう一度検討してみ直していただかなければならぬと思うのです。今後たくさん起きる問題だと思うのです。謝金が取れるなどということは……。
  29. 田中一

    委員長田中一君) 小林君に申し上げますが、担当の倉石国務大臣もみえておりますから、倉石君から答弁を聞いたらいかがですか。
  30. 小林亦治

    小林亦治君 そうできたら大へんけっこうと思うのですが、いかがでしょう。そんなことは閣議が決定することはできませんよ。
  31. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) ただいま部長から申し上げましたように、閣議了解事項としてやることに決定いたしたわけでありますが、これにつきましては御承知のように防衛支出金の中から、つまり先ほど部長から申し上げましたような趣旨で、なるべく早くこの飛行場を拡張して提供いたしたい、こういう考えで努力をいたしておったのでありますが、そのことについて私どもの方としましては、なるべく早く提供いたすことについて、もちろん長い間耕作をされておる土地提供され、そしてまた住んでおられた家も移転しなければならないといったようなことについて非常に御協力を願うという方について謝礼金を出すのだ。これはつまり防衛支出金で飛行場を拡張するというその目的を達成するために支出する資金でございますから、私どもとしてはこれは正当なる支出である、こういうふうに了解をいたしまして、さように決定いたしたわけでございます。
  32. 島村軍次

    ○島村軍次君 関連して、大蔵省は御出席になっておりますか。
  33. 武樋寅三郎

    説明員武樋寅三郎君) 参っております。
  34. 島村軍次

    ○島村軍次君 ただいまの問題は、この間内閣委員会でも質疑が出まして、大体今お話のような会計検査院からの御答弁があったのですが、財政法上、あるいはまた大蔵省がいずれこれに関しては承認されたと思うのですが、台所をお持ちになっている大蔵省見解一つ率直なところを承わりたいと思います。
  35. 武樋寅三郎

    説明員武樋寅三郎君) 私は国有財産関係仕事だけをやっておりまして、主計関係仕事をやっておりませんので、責任のある御答弁はいたしかねる次第でございますが、さっそく連絡いたしまして、担当の方を呼んで参りましょうか、いかがいたしましょうか。
  36. 島村軍次

    ○島村軍次君 だいぶ論議が各方面からあるようでありますから、こういう機会にはっきりしておく方が国民に納得してもらうのに都合がいい、こう私は思います。そこで労働大臣のただいまの担当大臣としての御答弁はわかりましたけれども、なお大蔵大臣かあるいは関係の方から、大番頭である大蔵省のはっきりした見解を……。会計検査院はまたおのずから異なった立場におられるようですから、そういう意味で一つはっきりしていただきたいと思います。委員長にこれはお願いいたします。
  37. 小林亦治

    小林亦治君 私は今の労働大臣の御説明で納得いきませんので、もっとこの問題は、本日の調査事項に関連あるだけで、面接の調査事項でありませんので、これを一つ将来の課題にしておいてもらいたい。
  38. 久保等

    ○久保等君 ちょっと関連して一言だけ……。閣議で一応了解事項として決定をしたというお話なんですが、非常に緊急といいますか、早急に問題を解決しなければならないということでそういう取りきめをされたと思うんですが、しかしこの種の問題は非常に多いわけですし、また過去においてもこういった問題があったわけであります。また今後の問題もあると思うのですが、そういった過去の問題についてどうされる一体政府としての考え方なのか、今後の問題としてもどういう考え方なのか、この点倉石大臣にお伺いをいたしたい。
  39. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) こういう件については、私は過去のことをよく存じませんけれども、飛行場のことについて特に必要な場合は、今度の砂川で考えておりますようなことが行われる場合もあると思います。
  40. 久保等

    ○久保等君 私は非常に政府としても、何といいますか、この予算という面、あるいはまたわれわれ決算委員会としてこの問題を考えました場合には、少くとも政府が、やはりこの種の問題は非常に多いわけでありますし、事実協力謝金といったような形で出すとすれば、これは一体どういうところをそれならば具体的に判断の基準にしておるのか。おそらく提供する立場の農民なり、あるいは利害関係者から見れば、非常にこれはそれこそ金銭にかえられないという意味での強い反対もあろうと思うんです。それがひとり砂川だけに限らず、やはり全国各地で同じような問題があると思うんです。それをただ当面の具体的な砂川という問題だけにことさら何かあえて、従来全然前例もないと思うんですが、協力謝金といったようなものを設けてやられるということ自体に何かこう割り切れない印象を私は国民が持つと思うんです。そういった問題を総体的に、過去の問題等についても当然に私は考え及ばなければならぬ問題じゃないかと思います。いわば早く提供し、また買収されたところはそれっ切りで、早い言勝ちということがございますが、逆に早い者負けといったような形になってしまうというようなことは、これは非常に私は政府として考える考え方としてはおかしいんじゃないかと思うんですが、そういったことについて一体、あるところには出した、あるところについては出さぬというような問題になってくると、必要があるからといったその必要というものの客観性ということについて、私どもはどうも判断に苦しまざるを得ないと思います。従ってただ必要であるという言葉だけでは簡単に、この防衛分担金の中に特殊なそういった協力謝金といったような目を設けて支出するというようなことは私は、今会計検査院の方でも、慎重にその問題の必要性があるかどうかということは検討しなければならぬというお話だったんですが、これは検討を待つまでもなく、どうも理解しかねる。いわば不当支出というふうに判断せざるを得ないと思うんですが、一体倉石国務大臣はその点について閣議でどういったような話の中から取りきめがなされたか、もう少し理解されるような御説明一つ願いたいと思うのですが。
  41. 倉石忠雄

    国務大臣倉石忠雄君) 御承知のように提供する契約をいたしております飛行場につきましても、土地でいろいろな注文がございます。たとえば付近に学校があるから防音装置をしてもらいたい、道路を遮断されるから迂回してもらいたい、そういったような地元の要望はそれぞれ区々でございますが、ただいまお話の砂川町につきましては、私どもといたしまして、これをすみやかに提供することに協力をしていただいた方に、防衛支出金の中から飛行場を拡張するという目的を達成する意味で協力謝金というものをその経費のうちから支出しようとしておるのだ、こういうことでございます。
  42. 久保等

    ○久保等君 まあその問題はなおまた私は機会を見て十分に究明をして参ることにいたしまして、きょうはこの本題から若干離れておりますので保留しておきたいと思います。  先ほどの二号のところで御説明を伺ったんですが、(ア)項のところにあります電話施設維持費使用料分担についての解決遅延したという御説明があったのですが、その解決が最終的な結論には到達しないで、妥協的な一時の話し合いが成立して引っ越しを終ったというような御説明であったと思うのですが、日米両国でこの見解が根本的に異なっておるというのですけれども、こういった施設は私はほかにも例があるんじゃないかと思います。またこの移転先に移る前のところでもやはり電話施設といったような問題は特異な例ではなくて、一般的にあり得ることじゃないかと思うのですが、この移転前の場所における電話施設の維持あるいは使用料、こういうようなものについてはどういう取りきめになって実施されておるのか、その点を一つお伺いしたいと思うのですが。
  43. 安川壯

    説明員安川壯君) 既設の建物にあります電話の問題、それから新たに代替施設に設置されました電話使用料と若干異なっておるところを御説明したいと思いますが、まあ非常に専門的なことは直接の担当であります電電公社の方でもわずらわさなければ御説明ができないと思いますが、大体の相違を申しますと、すでに接収されております民有の建物、その他にあります電話につきましては、従来から電電公社と軍との間に一種のサービス・コントラクトと申しますか、契約がございまして、それに伴って軍が一定の使用料を払っておる。ところがこの代替施設の方は、建物はもちろんございますが、電話の設備につきましてもいわゆる使命保障諸費と申します特別な費目から支出をして建設したわけでございます。その点が若干既設の民間のビルディングにある電話施設と、国費でありますところの安全保障費という特別な費用によって作りました電話施設と性質が違う点でございます。
  44. 久保等

    ○久保等君 その維持費支出はどういうところから出ることになりますか。
  45. 安川壯

    説明員安川壯君) 新しい方でございますか。これはまたこまかくなりまして、あまりこまかいことは電電公社の方でないとわからぬと思いますが、大体大きく分けますと、施設の中にありますところの電話施設維持費というものと、施設の外に、いわゆる米軍の基地の外に布設した施設使用料と分れると思います。今度の暫定協定も両方区分してあります。ただし根本の問題は、先ほど申し上げましたように、安全保障諸費で設置しました電話施設というものが行政協定上の施設の二部であるかどうかということは、依然として問題として残っているわけでありますので、この問題が今後合同委員会を通じまして、どちかに協定ができましたならば、そのときにさらに使用料維持費、その他の使用料についてもあらためて考慮しなければならないという関係になっております。
  46. 久保等

    ○久保等君 使用料の問題については特別に問題がないんじゃないかと思うのですが、なお使用料の問題も未解決のままですか。
  47. 安川壯

    説明員安川壯君) 普通の使用料については、これは契約によって向うが払うわけでありますから、施設の、いわば国費で作っておりますから、それに対する償却費その他を使用料の面にどのくらい見るか、またこの施設そのもの施設の一部と見るかどうかということによっておのずから変ってくるわけでありますが、電電公社が実際に電話サービスをするに伴うところの使用料というものは当然払うわけであります。
  48. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 この「営業用倉庫借料算定当を得ないもの」ということについてお尋ねしたいのですが、これは倉庫会社に国が国有地を貸していて、その倉庫会社から調達庁、すなわち国がまたそれを借り受けたという場合に、御説明にもありましたが、貸しておる方はすなわち大体これを全部国有地と見れば千二百五十幾万円、ところが国が払う方は五千四百三十何万円、四千万円以上の差が出ておる。これが借料が過大であるというふうに書かれておりますが、どういうふうにすればこれが一番合理的であるかということについての大蔵省のお考えを伺いたいのです。
  49. 武樋寅三郎

    説明員武樋寅三郎君) お答え申し上げます。個々の案件につきまして事情が違いますので、関係の省の方に伺っていただきたいと思うのでございますが。
  50. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 どなたでもいいのですけれども、私は大蔵省に伺ったのは、管財局というのはそういう国有地処理や何かやっておるのじゃないですか。
  51. 武樋寅三郎

    説明員武樋寅三郎君) 国有財産の台帳を通じまして総括事務をやっておりますが、個々の契約につきましては各省庁にゆだねておる面がございまして、本件につきましては建設省でございますか、お願いしてあるわけでございます……調達庁でございますか、調達庁にお願いしておるわけでございます。
  52. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私はこの具体的なことももちろんここに出ておりますから伺いたいのでありますし、さっき何といいますか、研究中であるという御説明がございましたから、その点は別に伺いますけれども、ただこの問題はこれだけじゃなくて、広い国有地というものがある会社に貸してある。ところがその会社から逆に国が借りたという場合に非常に不当なる金が出ておるように思われますので、大蔵省国有財産処理される責任者においては、個々の問題じゃなくて、全体についての基本的の何かお考えを持っておるのじゃないか、その点を伺いたいのです。
  53. 武樋寅三郎

    説明員武樋寅三郎君) ただいま申し上げましたが、いわゆる大蔵大臣に二つございまして、大蔵省の普通財産を管理しております大蔵大臣の面は各省庁と同じでございますが、国有財産を総括いたします大蔵大臣といたしましては、ただいま仰せられましたように各省庁国有財産使用状況なりあるいは処分状況がいいかどうかということを監査できる建前になっております。御指摘がございましたように全面的にこれを実行して参ればよろしいのでございますが、大蔵省だけがこれをやりましてもなかなか人手も足りませんので、自主的に各省庁にお願いを申し上げましてやっておるわけでございますが、ただ新しく財産を取得いたしましたり、あるいは所管がえをいたしましたり、大きな財産の変動がございます場合には、自然に大蔵大臣の方に協議をいたしていただくことになっておりますので、その場合に個々につきまして説明を聞き、納得のいくところは納得もして、各省庁説明通りにやって参るというような実情でございます。
  54. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私は、個々の場合は別としてですね、国が国有地という広いものを貸している場合に、その貸し料の方はきわめて安く貸して、しかも本人から直接国が逆に借りている。各省を通じて借りているでしょうけれども、その借りているという場合にはかような、これは一例でありますが、四千万円というような差が出てくるのが非常に不思議じゃないか。これは単に調達庁だけのことでありますけれども、もっと広く各省にわたってそういうことがあるとすれば、むしろ主務省である大蔵省で一定の基準といいますか、何か措置を合理的に考えられる積極的のやり方が必要じゃないかと思って伺っているわけであります。これはまた別途適当な機会に伺いますが、それでは調達庁の当局の方でさっき、これは不合理であるから是正する措置を研究しているというお話でありますが、大体どんなふうなお考えであるかを、もし直ちに伺えれば伺いたいと思います。
  55. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) ただいま新しい借料算定につきましては、私どもが借りております倉庫は、問題になっております国有、都有の土地の上にある倉庫を借りておるのでございますので、倉庫借料といたしましての一ファクターとしましての国有地ということが問題になるわけでございますので、これらの倉庫借料を構成いたします各種の要素につきまして、現行の御指摘を受けました借料算定は、昭和二十六年度の実績によって借料をきめました際の国有土地借料等が問題になったわけでございますので、だいぶ資料も古いものになっておりますので、昭和三十一年度からの借料につきましてはいろいろなファクターを、要素をそれぞれ必要な資料によりまして検討した上できめたいと、かように考えておるわけでございます。ただいまどのようにするということを申し上げるようなところまで参っておりません。早急にきめたいと思っております。御了承を願います。
  56. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと申し上げますが、労働大臣が退席されたいということですが、何か労働大臣に御質問ございませんか。——それではどうぞ。
  57. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 その指摘事項には「敷地の価格を近傍類地の価格によって評価し、」云々と書いて、それが五千四百三十四万円、こうなっておりまして、ここにあるのは、敷地だけの価格について四千幾万円の差が出たように解釈できるのでありますが、これはあれでございますか、倉庫建物敷地の両方を借りるのに五千四百三十幾万円、こういう実情なんでございましょうか、ちょっとお伺いします。
  58. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) ここに掲げてあります数字は土地借料についてのみでございます。
  59. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 あなたがさつきお答えになったのは、何か土地だけじゃなくて、倉庫そのものとの関連性があるからそれについて研究される、これはまあ必要だと思います。しかし私がお尋ねしているのはそのうちの一部分の、まあ土地なら土地というものが国有地である、それを借りてる方から国に払うのがここで言えば千二百何万円、ところがその敷地を今度国が逆に借りた場合には五千四百幾万円、四千万円も差が出ている、これは非常に不合理じゃないか、こういう点について私は伺って、それに対する何か研究されてこれを合理化するという御方針だと言う。それではどういう対策をお持ちになっているかというその点だけ伺いたい。倉庫関係とこんがらがると私の質問が非常に不明確になりますから、それはそれとして、敷地についての方針、少くもここに指摘された以上はただ漫然とこれを見ておいでになるわけじゃないと思う。ここでも指摘していこれが会計検査院指摘が間違っていた、これが正しいというのなら、正しいという資料といいますか、説明がなければならぬ。その点を伺いたいのです。
  60. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 私どもの賃貸借契約をいたしております対価につきましては、ただいま御質問がございましたように、この相手方との契約上の対価は、倉庫の問題でございますので、これを土地だけに切り離しまして契約をすることは非常に困難だと考えまして、実はこれを経緯的に申し上げますと、倉庫料金の決定は、講和発効後、他の農地でありますとか山林でありますとか、ビルその他の営業用建物につきましては比較的早く契約が成立いたしたわけではございますけれども、倉庫につきましては講和発効後も十カ月間もいろいろと研究もし、相手方とも交渉いたしましてなかなか決定をしなかったというふうな事態にあった経過もございまして、これを土地のみについてお話のように切り離して処理をするということが全体の関連において考えなければ答えが出ないというふうな考えを持っております。そのようにお答えを申し上げるより仕方がないと思いますが……。
  61. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私もしろうとでありますからあるいは質問がまずいのかもしれませんけれども、会計検査院指摘されておりますのは、この敷地についてこの不当支出といいますか、借料が過大であるというところを指摘されているので、倉庫そのものの料金が不出であるかどうかということはこの部分においてはないわけなんです。でありますから、それでは会計検査院の方に伺いたいのでありますが、ここで御指摘になっているのは、どういう点をはっきりしろというふうに調達庁の方へ言われておるのか、その点を伺います。
  62. 保岡豊

    説明員保岡豊君) ただいま調達庁の方から説明申し上げましたように、倉庫を借りますときには建物部分敷地部分とを計算いたしまして、それを加え合せてやることに閣議了解の要綱も定めております。それでやっておりまして、それで建物の方の要素はまずそれでよろしい。よろしいとしてみますと、土地の方の部分がそれだけ過大である、ですから全体として約そのくらい過大である。こういうふうなことでわれわれの方は不当事項にあげたわけであります。そこでなぜそういう、建物の方ではそれならちっとも利益の保証がなくては困るのではないか、土地を借りて営業しているのだから利益の保証はどうしたのかと、こういいますと、ほかの十倉庫から推定しまして、先ほどの実績で推定いたしまして、この倉庫のおのおのの補正額をかけまして、建物坪当りの利益の推定額を出しております。建物の方にすでに当初の収益は掲げてありますから、それからまたその基準になりました十倉庫のうちにも国有地を借りているものがありますから、そういう収益から出てきたものは建物の方にも入っております。それですから土地の方はもう借りているものが通り抜けて、税金のように通り抜けていけばいいのではないか。多少は多くても、それは手数料か何かでかまわぬが、これほど多くては困るのではないか、こういう批難事項でございます。
  63. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私の質問はこれで終りますが、今会計検査院からのお答えによりますと、問題がはっきりしたように思います。やはり倉庫そのものは、もうすでに合理的に一定の利益といいますか、それを見ての借料がきまっておる。ここに指摘されているのは、切り離すということは少し無理かもしれませんけれども、はっきりするために切り離して考えると、四千万円というものは土地だけについて高過ぎるというふうにまあなってくるわけです。そうなりますればいつまでもその点を、今調達庁から御説明のように、関連しているからということを言っているのでは私は解決策もできないのじゃないか。むしろいずれ案をお立てになるそうでありますが、倉庫なら倉庫部分については十分事業が成り立つ保証といいますか、それは当然見るべきであるけれども、国有地を借りているものに対して逆に国がその土地を借りた場合、あまりに開きができるということは非常に私は不合理だと思う。これは単に初めに申し上げましたように、調達庁だけの私は問題と思って御質問しているのじゃないので、国全体の、国有財産というものが、貸すときと借りるときで非常に差ができるということは、どこかに不合理な点があるのじゃないかと思って伺っているわけでございまして、十分倉庫業者立場ということも考慮しなければいけませんけれども、しかし、だからといってあまりにこういう開きができることはまずいと思います。どうか一つ、くどいようでありますけれども、いい資料を御研究になりまして、他の国有地、その他国有財産についてもさような問題がある場合に、それがむしろ有効に利用されるように積極的に御研究あらんことをお願いしまして、質問を終ります。
  64. 近藤信一

    ○近藤信一君 検査院から指摘しておりますように、大体施設工事完成しておるのにかかわらず、関係機関連絡調整が不十分であった、これは単なる不十分であったということで私は許されないと思うのです。そこでこういう大体施設工事完成しておって、関係機関連絡調整が不十分なために一億八千万円というところの大きな国損を招いておるわけなんです。そこで私はここに指摘されておりまするように、ただここで連絡調整が不十分であった、そういうことで済ますのでなくして、やはり一体これはもっと具体的にどういう事例でこういうふうになったか、こういうことを具体的にお示しが願いたいと思います。
  65. 眞子傳次

    政府委員眞子傳次君) 調達庁といたしましては、先ほど申し上げましたように具体的に各施設につきまして申し上げました通りでございまして、それ以外の点につきましては関係各省から御説明をしていただきたいと思います。
  66. 近藤信一

    ○近藤信一君 ここに具体的なといいますか、二つ、三つあがっておるのですけれども、これはやはり調達庁といたしましても、関係各省の連絡責任者というようなものがあるのではなかろうか。もし連絡責任という者が当っていてなおこういうような不十分であったということであれば、私は職務怠慢以外にないと、こう思うのですが、その点どのような方法連絡をやっておられたか、お聞かせが願いたいと思います。
  67. 眞子傳次

    政府委員眞子傳次君) 関係各省及び軍との間において口頭をもって連絡したことはもちろんでありますが、このほかに次のような処置をとっておるのでございます。その一つは、施設特別委員会の下部機構である各省及び軍の間の建設部会で懸案事項連絡調整をまずとります。そうして関係各省連絡協議会というものを随時開催いたしまして、工事促進施設の改善についての諸協議連絡並びに手続の促進などについて打ち合せをいたします。
  68. 近藤信一

    ○近藤信一君 最後に、もしもこの工事完成いたしまして、引っ越しをするといたしますならば、一体その移転期間は何カ月ぐらいが妥当であるか、また何カ月ぐらいのうちに移転を完了するか、こういうようなことについても一応の見通しがあると私は思うのですが、そういう点についてお聞かせ願いたいと思います。
  69. 眞子傳次

    政府委員眞子傳次君) 軍側では九十日ないし百二十日と言っております。
  70. 田中一

    委員長田中一君) ほかに御質疑ございませんか。
  71. 久保等

    ○久保等君 先ほどの青柳委員の質問されました三号の問題なんですが、調達庁としてはやはり一つ基準を設けて、それによって算定して支払ったのだという御説明があるのですが、そうするとこの決算報告会計検査院から指摘されておりまする点を拝見しますと、調達庁では一体一般の民間のいわば民有地国有地とほとんどまあ同じような算定をしているのじゃないかというふうに考えるのですが、その点いかがなんですか。
  72. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 一般に国有地を一時使用その他で民間が借りております場合は、このような施設、それを施設区域として米駐留軍の用に供するという場合には、通常その上にある借地権と申しますか、権利のようなものは消滅の手続をとりまして移転補償をする、その他の処置をいたしておるわけでございます。ただ本件倉庫につきましては、かりにこの倉庫の下にあります敷地が国有あるいは地方自治団体有のものでございまして、上にある倉庫建物それ自身は業者が建造したものというふうな形になっておるものでございます。従いまして、通常の土地建物そのものが国有だというような場合には、これを移転消滅の形で処置をいたしますけれども、本日の議題になっておりますような形の倉庫敷地が国有であるというふうなものにつきましては、その建物所有権者と賃貸借契約を締結するという形をとっております。
  73. 久保等

    ○久保等君 そういうことはわかっているのですが、要するに倉庫の下の敷地の計算の基礎が、一般民有地の場合、倉庫が立っている、その倉庫を借りるという場合と、それから国有地の上に立っておる倉庫を借りるという場合と、数学的計算の基準というものは同じような、これで指摘されておる点だけを見ますと、やはり何か全く同じような扱いをしておったというところに価格の面で相当な開きが具体的に出て参っておるように私読むのですが、一体そういうことなんでしょうか。そういう基準調達庁基準になっておるということなんですか。
  74. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) 御質問がございましたそのような計算の仕方につきましては、昭和二十七年の七月四日に閣議了解のありました駐留軍の用に供する土地等損失補償等要綱というものがございまして、それによりますと、国有、民有というふうに区分もはっきりは明定はございませんが、近傍類地の土地価格によってそれを算定するということの規定がございます。従いまして国有地を借りておるという場合でも、その土地の評価につきましては、一般の近傍の類地の賃貸借価格を考慮してきめるというふうな措置をいたしたものでございます。
  75. 久保等

    ○久保等君 ですから結果的には私が今質問しておることと結局同じだということ、要するにその倉庫の立っている土地の近傍の民有地、まあ民有地といいますか、一般の民間の土地と同じような値段だというような計算を前提にして計算をしておるということになるのですから、結局民有地の場合であっても、国有地の場合であっても同じだという結論になると思うのですが、その通りじゃないですか。
  76. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) さようでございます。
  77. 久保等

    ○久保等君 そうだとすると、これはまあ私は普通常識から言っても、それからここに具体的な数字が出ておりますが、これは非常におかしいと思うのです。しかも借り上げるところはこれはやはり国家である。政府であるわけですから、国の土地を使って、その土地そのもので、その中間にたまたままあ民間の倉庫会社が介在しておって、その倉庫会社にいわば土地の借地上のさやをかせがせておるといったようなことになっておるわけですから、算定基準が多少ゆるやかであるとかないとかいう問題は、これは人によって、あるいはそのときの状況によってなかなかむずかしい問題だと思うのですが、この場合にはあまりにもはっきりしている。国有地であろうと民有地であろうと、同じような計算の基礎の上に立って計算せられているということになれば、これははっきりしていると思うのです。しかもその点について今後十分検討するんだという程度の結論の出し方については、どうも私どもにはちょっと理解できないのですが、直ちにでもこういった場合について、私はそういった規定、基準といったものは改訂できるんじゃないかと思うのですが、それをなぜ今後十分に検討しなければならぬか、十分検討するに値するほどの問題であるのかどうか、非常に疑問を持つわけなんですが、やはり十分に今後検討してみなければ何とも言えないという今でもお気持なのかどうか。
  78. 鈴木昇

    説明員(鈴木昇君) これは検査院が御指摘にもなっておられますように、土地そのものにつきまして必要経費として払ったもの、それ以上に国が払う必要はないということは当然考えられるわけでございますけれども、何分にも私どもは、問題にいたしておりますことが、倉庫業者との間の賃貸借契約の成立ということでございますので、それをただいまのような筆法でそのままいたしました場合に、反対にこの土地の借地権者と申しますか、国有地を借りている者はわれわれ借地権ありというふうなことで、借地権に対する対価の考慮がないんじゃないかというふうな議論も起きまして、なかなかその金額そのものではどうかと思われるような節もございますので、そういう点につきましてさらに研究をしているわけでございます。そのように御了承を願いたいと思います。
  79. 近藤信一

    ○近藤信一君 移転期間の問題で今度検査院にお尋ねしますが、先ほど調達庁の方では、算定は三カ月から百日くらい、こういうことでございますが、検査院の方ではこの算定をどのくらいにしておられるのですか。
  80. 保岡豊

    説明員保岡豊君) ここに書かれましたこの算定の基礎は、建物ができまして、建設省の方で日本側工事請負人と検収が済みまして、すっかり検収が済んでから一カ月ないし二カ月として算定しております。なぜ一カ月ないし二カ月と申し上げるかと申しますと、たとえば四月十五日に建物ができ上った場合には、五月一ぱいを余裕期間にしておりますから、一カ月ないし二カ月と申し上げました。そこで先ほどの三カ月ないし四カ月というのは、軍でそういうふうにきめている、こういう調達庁のお話であります。しかし私側の方で考えますのは、多少違うかもしれませんけれども、そのくらいの見当で各省の連絡がうまくいくんである、パラレルにやれば……。まあ、ちゃんちゃんとやればかかるかもしれないけれども、それをパラレルにやるとか、準備を初めにしておくとか、そういうふうにすれば十分できると思ってこの計算をいたしました。実は二カ月の計算もいたしております。しかし一カ月ないし二カ月でできるものだということで一応計算はいたしました。
  81. 近藤信一

    ○近藤信一君 検査院の方の算定では一カ月、まあ長くて二カ月、早くやれば一カ月で何とか準備していけばできるであろう。そういたしますと、ここに調達庁の方と検査院側との算定に対して、まあ一カ月なり二カ月の食い違いができてくるわけです。そういたしますと、必然的に今度はその期間におけるところの損害、損害というのか金の問題でまた大きくここに現われてくるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるのですが、その点いかがですか。
  82. 眞子傳次

    政府委員眞子傳次君) その点についてのこまかいことは担当官に説明させますから、御了承願います。
  83. 中上義行

    説明員(中上義行君) 調達庁連絡調査官中上と申します。  調達庁といたしましては、建物完成まぎわに、ほぼ二カ月以前に米側に対しまして、近いうちにこれこれの建物が完了するによりまして、すみやかに移転の態勢を整えろと、こういう意味合いの連絡もしておるのであります。そこで米側といたしましては、果して二カ月以後に米側の満足するような状況にまで完成するかどうかということにつきましては、いろいろ手直し、あるいは時といたしましては、予期しないような追加工事等もありますので、日本政府側からはあらかじめ、早急移転ということにつきまして通告は受けておるのでありまするけれども、その完成を見きわめて——完成と申しますのは米側が使い得るという状態でありますが、それを見きわめた上で移転をするという建前をとっておるらしいのであります。われわれはその間におきましても、建設省とも再三連絡をとりまして、手直し等に不必要な時間を取ることなく、すみやかに手直しを完了していただいて、米側の移転促進させるように国内的にも調整をいたしておる次第であります。しかし米側がいざ移るという段になりますると、これは内部の技術的ないろいろな問題もありまするし、あるいは一応完成いたしました建物に米側自体が多少の手を加えるというような面もできてくるのでありまして、そういう余裕を一応見ました上で三カ月ないし四カ月というようなことを言っておるのでありますが、これは必ずしもそれだけいずれの場合におきましても、その期間を要しておるというのではございません。時といたしましては、一カ月ないし一カ月半ぐらいに移転を完了しておる場合もあるのであります。しかし施設の複雑な場合におきましては、特に大規模な移転計画の場合におきましては、あるいは三カ月ないし四カ月、大規模でありませんでも、複雑な施設の場合にはそれ相応の時日を要する、こういうふうに了解いたしております。
  84. 近藤信一

    ○近藤信一君 これは検査院の方にお伺いいたしたいのですが、もし一カ月なり二カ月なりの開差が出てきますと、金額にしてどれくらいの額になりますか。
  85. 保岡豊

    説明員保岡豊君) 平均二カ月として計算いたしましたものは、一億二千七百万円であります。
  86. 近藤信一

    ○近藤信一君 調達庁の方からの御答弁では、まあなるべく早く引っ越す、移転をする、しかし今ここで検査院の方から金額にして、二カ月もしこれがおくれるならば一億二千万円、こういう大きな数字が出てくるわけであります。そこで、やはりこれはいろいろと内部の工事の問題等々もあると思うのでありますが、やはり二カ月おくれることによって一億円以上の国損を生ずるということになれば、これはできるだけ早くやるということが、調達庁としても私は好ましいのではなかろうか、こういうふうに考えるのですが、この点調達庁では、完成してしまったで、のんびりとかまえておるのでなくして、やはり完成まじかにはそれぞれ移転の準備を進めて、そうして一日も早く移転をするということが本来の責任ではないか、こういうふうに私思うのですが、その点、調達庁はどのように考えられるか。
  87. 眞子傳次

    政府委員眞子傳次君) われわれとしては、お説のように、連絡調整に十分日常努めておるつもりではございますが。将来におきましても一そうその点の努力を尽すつもりでございますから、御了承願います。
  88. 近藤信一

    ○近藤信一君 よろしゅうございます。
  89. 田中一

    委員長田中一君) ほかに御質疑はございませんか。——なければ御質疑はないものと認めます。  では昭和二十九年度決算調達庁の分、検査報告批難事項第二号から第四号までの質疑は、一応終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めまして、調達庁の分の質疑は一応終了したことにいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  91. 田中一

    委員長田中一君) 速記を始めて。  次は、調査事件として、国費の不当使用に関する件を調査いたします。公務員の選挙の事前運動についてであります。  ただいま御出席の方は、村上郵政大臣田中内閣官房副長官でございます。入江人事官は間もなく出席することになっておりますので、御質疑のある方は順次御発言願います。
  92. 久保等

    ○久保等君 今、当委員会でも二十九年度の決算報告審査をいたしておるわけですが、二十九年度の決算にも関連があると思いますので私お伺いをしたいと思うのですが、特に参議院の選挙も当面控えておるわけですが、またまた選挙を前にいたしましていろいろと選挙の事前運動が、しかも公務員ないしはこれに準ずる政府機関の職員がその地位を利用して、非常に目にあまるような動きをいたしておるわけですが、その点については参議院でも問題を取り上げまして、議運等でこれに対する決議等を行なって厳重に反省を求めようという動きも出て参っておるわけですが、そういう情勢等を考え合せまして、私は官房副長官に最初にお尋ねをいたしたいと思うのですが、政府当局としても、公務員が特にその地位を利用して選挙の事前運動と目される動きをしておりますることについては、政府としても厳重に取り締る必要を痛感しておられと思うのですが、ただいまも私申し上げたような国会の、特に参議院における最近の実情等も御存じだと思うのですが、このことについて官房副長官は内閣としてどういう考え方を持っておられますか。
  93. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ただいまの御質問につきましてお答えいたしまするが、内閣といたしましては、従来も国家公務員がその職にありまして、その地位、その職務を利用いたしまして選挙の事前運動をやったことがあるということをしばしば聞いておりまするので、国家公務員法の規定の趣旨から申しましても、かかることは厳に戒めなければならぬことでありますし、また選挙法の建前から申しまして、選挙の公平を期する建前から申しまして、厳にこれは禁止さるべき問題でございますので、政府といたしましては万が一国家公務員の中で立候補するような意図を持っている者につきましては、あらかじめその者の意思を聞きまして、すみやかに国家公務員としての地位を去らしめまして、そうして民間人として適法なる選挙運動をせしめるような方針を立てまして、現在そうした趣旨で、いやしくも政府職員の中で在職中に事前運動をするような者は絶対に一人もないように十分に措置をいたしておる次第でございます。
  94. 久保等

    ○久保等君 まあそれは当然そうなければならぬと思うのですが、私は当面参議院選挙を控えまして政府として特別にこの今日の時期においてやはり具体的な何らかの措置をとられる必要があると思うのですが、今言われるのは、平生においても当然そういう態度であろうことは推測されるし、当然そう考えるべきだと思うのですが、当面いろいろ具体的な動きが全国的に出て参っておりますることは、私どもよく耳にすることであるし、また事実そういった疑わしい行動を見聞いたすわけです。そういう点から内閣としてのこの際何らかの具体的な私は措置をとられるお考えがあるかどうか、その点を伺いたいと思うのです。
  95. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ただいま申し上げましたごとくに、政府としては書面による通達とか、そういうことを避けまして、まず閣議におきましても立候補する政府職員はすみやかにその職から離れさせる。それからまた、これはひとり政府のみならず、関係機関におきましても、いやしくもその地位、職務を利用いたしまして選挙の事前運動をするようなことは絶対になからしめる意味におきまして、それぞれ主管大臣、それからまたその省の幹部が大体の立候補をする者の意図等を十分に事前に調査いたしまして、その上で本人をとくと呼びまして、もし本人が立候補するということならば、すみやかにその職を去るようにということで、大体各省はさような方針で、それぞれ適切な措置をとっておるものと、私は考えております。
  96. 久保等

    ○久保等君 今の官房副長官の御答弁だと、まあ立候補をする意思のある者が公務員としてとどまることは適切でないという意味での指導をしておられるということなんですが、こういう例があるのです。なるほど選挙を目前にして、みずからは、公務員あるいは政府機関の職を一応やめられた。がしかし、やめても前職がやはり局長だとか、あるいは非常に有力なポイントにいたことを利用して、現在はなるほど形式的な公務員という立場は離れているにしましても、各職場の方に回って参りまして、現地の、国鉄等の場合においても、地方の管理局長等を帯同して、各職場回りをやっておるというようなことは、これはなるほど本人そのものは職を離れておるにいたしましても、しかし政府機関というものは、明らかに事前運動と疑われる行為に協力をさしておるという事実もあるわけなんです。私は従いまして、単にその本人だけの職を離れるという問題だけでは解決しない。いわば政府機関なりあるいはまた他の公務員をその事前運動に協力をさせるといったような事態が現実にあるわけなんです。従って単にそれだけの問題では問題が解決しないと思うのです。しかも私どもの特に問題にしたいのは、やはり決算委員会として、金額の高は別としても、少くとも国費を何かの形において事前運動にこれを利用しておるというようなことについては、私ども絶対に看過するわけには参らないと思う。従って、政府としても、私はそういう事実のあることも考え合せた場合に、単にただいま答弁せられるだけでは問題は解決しないし、当面参議院選挙というものを控えておるこの際に、従来の態度を何らかの形において再確認し、さらに政府として、厳重に警告を発するといったような措置を私はとられる必要があるのじゃないかというふうに考えるのですが、その点いかがでしょう。
  97. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 今御指摘の具体的な件につきましては、私了承いたしておりませんが、それに類似したような事件を聞きましたので、その点につきましては、もしそういうことがあった場合においては、具体的にその省の当該の責任者に、こういう事実があるからして、関係政府職員が、こうしたことに巻き込まれて事前運動を協力した、幇助したというような格好に、形の上においてなりますので、そういうことは絶対にしてはならないということを、具体的な事件として聞きました際に、それをやったこともございます。ただいまお話のような件につきましては当然これは政府職員としてやってはならないことでございまして、これはもう国家公務員の規定の上から申しまして、また国家公務員法の百二条、それから人事院規則の点から申しましても、すべての政府職員はかかる行為を絶対にやってはならぬことでございますので、この点はさらに厳粛に一つ注意をいたしまして、再びかかることのないように十分に注意をいたしたいと思います。
  98. 久保等

    ○久保等君 郵政大臣がお見えですから、私一、二お伺いしたいのです。ずっと前になりますですが、昨年の夏ごろであったと思います。決算委員会において一度問題になった件があったのです。前の松田大臣の当時ですから、村上大臣、その経過をどの程度まで御了承か知らぬと存じますが、当委員会で問題になりましたのは、大阪郵政局長の問題で、実は決算委員会でも問題になりまして、当時松田大臣の御答弁ですと、昨年の二月の衆議院選挙があった当時の話なんですが、一昨年の暮あたりから引き続き非常に目に余る事前運動と目される行為があったということで指摘をしたわけです。内容は、和歌山で、特にいろいろ浪曲大会だとかあるいは婦人会等の会合を持ち、しかもその際に大々的に浪曲会のポスターだとか、あるいはまた集って参った婦人の人たちに、名前入りのコップだとか壁かけだとか、あるいはまた鏡だとかいったようなものを配布して、その地方においても非常に問題になっておったようでありますが、そういったようなことが何か衆議院選挙に関連しての事前運動ではないかというようなことで指摘をされたわけです。当時何か閣議でも問題になったようでありまして、御本人の意向を確かめましたところが、衆議院選挙には立候補しないのだという意思だったという結果が、当委員会でも報告されました。従って衆議院選挙に立候補しないということであれば、事前運動ということにはならないではないかという話で、一応問題は見送りになった形であったのですが、なるほど本人が立候補の意思がないという点が明確になり、また事実立候補しなかったということであれば、これはその個々の具体的な行動が妥当であったかないかは別として、少くとも事前運動ということにはならないと思います。ところが昨年のおそらく夏か秋ごろすでにやめられておると思うのですが、しかし御本人は継続して少くとも何らかの形で選挙に出られるという状態が継続して、さらにまた今度参議院選挙に出られるというお話でありますが、私はもし参議院選挙に今回立候補するということになるとするならば、こういった以前の問題がやはり問題になって参るのじゃないか。御本人がやめられて引き続きいろいろ選挙の事前運動を目される行動をするというようなそのことは、私はここで指摘しようとは思わない。少くともそうなりますると、昨年保留になった形で御本人が立候補する意思がないのだということで問題が見送りになったものの、今回の参議院の選挙に立候補するということになると、当然継続して当時の問題がやはり問題になるのじゃないかというふうに考えるのですが、郵政大臣、この問題についてどうお考えですか。
  99. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) お答えいたします。お尋ねの前田前大阪郵政局長につきましては、当時調査いたしました結果によりますと、選挙の事前運動と認められる事実はないということであったのであります。しかし他から疑問を持たれ、また問題とされるような行為は、これは厳に慎しまなければならないので、当時の所管大臣から厳重に訓戒して、将来をかたく戒めておいたということでございます。  本人は御指摘通り、昨年八月九日付をもちまして自己の発意によって退職いたしております。また公務員が関係法令に違反して政治行動をするようなことは、ただいま官房副長官の御答弁の通りでありまして、これは厳に戒め、これに違反することのないように十分注意をいたして参りたいと思っております。
  100. 田中一

    委員長田中一君) 関連して私から申し上げますが、昨年の二十二国会におきまして七月三十日に当委員会説明員板野学君がこういう答弁をしております。「大阪郵政局におきましては、昭和二十九年度の貯蓄奨励並びに保険関係の奨励に関しまして、大体貯金関係におきましては千九百四十九万円、保険関係におきましては暦年で二千七百八十九万六千円の経費が配算になっておりまするが、そのうち物品関係に費されましたものは、大体その中から、今ちょっとこまかい数字はございませんが、大体百五、六十万円見当のものが物品関係に費されて配られておるのでございます」、この次が大事なんです。「問題になりましたものは、貯金関係におきましては署名入りの湯呑み茶わん、壁掛用の鏡でございまして、保険関係におきましては洋陶の壁掛、洋陶のコップ、それから柱掛け鏡」こうはっきり言っているのです。もしも六月にございますところの参議院選挙に出馬するというならば、これらの前田何がしという名前入りの鏡というものははっきりと事前運動なんです。貯蓄奨励のために郵政局長の名前を使う必要ないのです。それならば当時の松田郵政大臣の名前を使った方がいいかわかりません。なぜ前田某局長の名前を使ってやったか、そしてまた今参議院に出るというならば、全部回収するような決意がなくては、この事前運動の事実というものは消えぬわけです。そういう答弁を説明員板野学君がしておるのです。この点については回収するような意思はございますか。
  101. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) その点に関しましては、貯蓄の奨励とかあるいは簡易保険の奨励、こういうような見地から、ときの郵政局長としての何の何がしがそういう物品に名前を書くとか、またある場合にはこれに対して非常に功労のあった人に対して賞状を出すとかいうようなことについては、それがたとえ郵政局長何の何がしという名前がありましても、それは私は差しつかえないことと思っております。
  102. 田中一

    委員長田中一君) 差しつかえあるなしということよりも、もしも中央の政府からお前は名前を書いて出せというような指令でも出ているのならいざ知らず、貯蓄奨励なら貯蓄奨励のモットーだけでけっこうです。なぜ名前を書いたかという点でございます。これは閣議決定でもされて、全部そういうものは次の機会に選挙に出る者は名前を書けという指令でも出したのですか、差しつかえないということが事実ならば。
  103. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 昨年の閣議におきましては、そういう案件を取り扱ったことは絶対ございません。そういうような名前を書いてはいかぬとか、そういうようなことはやったことはございません。ただ今郵政大臣から説明いたしました通りに、たとえば表彰の場合でありますとか、そういう場合におきましては、あるいは表彰状とかそういうものは、一応その表彰者の官職氏名を明記いたしまして、それを与えるということが、これが従来の慣例になっておりますので、たまたまそういうときにぶつかったので、そういうような一応の疑いが起ったんじゃないかと私は考えておりまするが、おそらく私は従来の慣例をそのまま用いてやったんじゃないかと、こう考えております。
  104. 田中一

    委員長田中一君) 私は今賞状とか何かに、だれがやるかわからぬものじゃ困るから、たとえば前田郵政局長の名前を出すのは、これは至当だと思います。しかし貯金の奨励のために、所管の区域局長が自分の名前を書いて配っている、湯呑み茶わんに名前を書くということ、これはありようがないと思うのです。これはおそらく自分の名前を宣伝するためにやるので、貯蓄奨励よりも自分の名前の宣伝のためにやったとみなす以外にない。もしかりにそういうものを閣議決定しても、必ず所管の局長は自分の名前を大きく入れろ、こういう指令が、これは閣議決定でされるなんていうことは想像もつかないのですが、従ってこれはやはりこういった意味の伏線として事前運動とみなされるおそれが多分にある。これは板野学君が確認しております。問題となりました湯呑み茶わん、壁かけ用の鏡、それから洋陶の壁かけ、洋陶のコップ、こういうコップにまで名前を書くなんていうことは、人に物をやるにも、コップに名前を書いたり茶わんに名前を書いたりなんていうことは、これは常識外の問題だと思うのです。その点はどうお考えになりますか。
  105. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 御指摘の点はこれは私は常識で判断すべき問題だろうと思います。前田前郵政局長がこれから参議院選挙が始まるその直前までその職にあって、しかもその際にそういうことをするということは、たとえそれが法規上の問題はないといたしましても、徳義の上からいいましても、これは私は避くべきものだと思います。しかしながらすでに一年以上も経過いたしており——なにか一昨年の暮ということでありますが、時間的に非常に距離がありますし、一昨年の暮にそういう行為をして、ただちに昨年の券の衆議院選挙に臨んだとしますと、そういうならばいささか私は道義的に疑いがもてると思います。しかしすでにもう今日になりますと、それはその当時そういうことをしたことは、本人の考え方のその如何を批判することはありましても、それは選挙の事前運動にそれを使おうとしたということはないのじゃないか、かように私考えております。
  106. 田中一

    委員長田中一君) 常識で考えて、人にさしあげるコップに自分の名前をでかでかと書いてやるということがふり得るかの問題ですね。問題はここにあるのです。常識としてですよ。
  107. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) それは全く一般常識では人に贈り物をするのに、しかもそういうコップとか茶器等に名前を書いてさしあげるということは異例だと思います。しかしながら、ことが郵便貯蓄とか簡易保険等の奨励のために使われたといたしますならば、その局長として局長名を入れて、そうしてそのいただいた人が非常に協力をしたというようなことを他の人に示す意味におきまして、そういうようなこともあり得ると思います。考え得られるとも思っております。
  108. 田中一

    委員長田中一君) 贈与品です、コップでも何でも、人にくれるものは国費をもってやってるんです。もしそうならば国の象徴である天皇の名前を書いてもいいかもしれない。あるいは郵政大臣の名前を書いてもいいと思う。少くとも国が国民になんらかの形でもってやる記念品に、どうしてもそれが必要だというような賞状その他には当然あってもいいと思いますけれども、鏡や茶わんに名前を書き込むということは、これはもうだれがみても非常識に尽きる。その非常識というのは、昨年決算委員会指摘されて、そうして選挙には出ないということがはっきりと、だれか——ここに書いてありますが、調査に行った。調査に行ったが、本人は出ないと言った、こうなっております。聞くところによりますと、こんどは立候補なさる意思かどうか、県内中をいろいろ活動なさっていらっしゃるということになりますと、やはりそこに非常識をあえてして、国の財産であるところのものに自分の名前を大きく明記して、そうして国民に配るということは、少くとも非常識のそしりを免れない。またこれがどこかから言われたなら、少くとも常識としては事前運動をしているのじゃないということは言い切れないと、こう考えるのであります。そういう点についてどうお考えになりますか。官房副長官も大臣もどうお考えになりますか。
  109. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 私は全く委員長のお話の通りに、ただちに選挙に出る直前に、そういうような非常識なことをしたということになりますと、これは非常識だということが言えると思いますが、まあ相当時間的に距離があるということ、それからもう一つは郵政大臣の名前よりも非常に手近かにほんとうの窓口で実際に活動をしておる責任者である局長の名前の方が親近感を感じまして、かえってそういう募金の際に有効なこともあると、これは私は言い得ると思います。そういうようなところがこの局長並びにその局における考え方が、そういう点をわれわれの方がだれの名前を使うよりもわれわれの名前で差し上げ、そうして募金をした方が都合がいいというように考えたのじゃないかと、かように思って判断いたしております。
  110. 田中一

    委員長田中一君) これは村上さん、あなたは非常に古い党歴を持った方でありまして、国家公務員が選挙に出る際に、そういうあれやこれやの手を使うことは御存じでしょう。かつてあなたはずいぶんそれを攻撃したでしょう。今立場をかえてそういうことをおっしゃるけれども、少くとも人にやる茶わんに自分の名前を焼き付けて、そうして贈るということは、少くとも奨励すべきでないということは当然のことです。結局またもしも村上郵大政臣が良心のある方ならば、これはただちに係官を現地に派遣して、そうしてかかるまぎらわしきものは回収する、かわりにきれいな貯蓄奨励の標語でも入ったものだけと交換するというようなことも一つ方法だと思う。これはただ時間がたったからもういいじゃないかと言って、ある一つの判例とは申しませんが、ある一つの事例を、時間がたったからいいじゃないかというような、時効にかかる性質のものじゃない。その点良識をもってどうするかということをお答弁願いたいと思います。
  111. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) 私もやはり常識的には、もしもその本人がすぐ選挙に出ようという気持があるならば、それはやるべきことじゃない。しかし本人は当時選挙に出ようという気持がなかったということでありますならば、これは私としてはやはり募金の方法のよろしきを得るという気持でやったのじゃないかと思います。ただちに暮にそういうことをして、春早々に選挙に立候補したということになりますと、これは法的な解釈は別といたしましても、常識的にこれは私はまあ不都合だと、かように思います。従いまして当時の主管大臣は本人に対してそういうような事前運動として疑がわれるようなことはやってはいかぬということを厳に戒めておるのも、そのためだろうと思います。しかしそういう今日から判断いたしますと、相当時間的に距離のあることでありますので、またこれは道義的な問題で、どちらにお考えになりましても、これは私どもの考えとしては、本人のかりにこれから立候補するかしないか、私は前田なる人に会ったこともないのですが、かりにもうそれはあまり問題にすべき問題じゃないと、そう思っております。そのことよりも、現在立候補しようという官公庁のいわゆる職員がどういうことをしているかということの方が問題ではないか、こう思っております。
  112. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) ただいまの問題は、私も今お聞きしたばかりでございまして、詳しい事実を知らないので十分な知識はないのでございますが、それに関連しまして、やはり公務員としまして、そういう疑いを受ける行為をすること自体がおもしろくないことでありますので、今後万一そうしたようなことがありました場合においては、政府としましては十分に一つそういうことが絶対にないように厳に法に照しまして、もしかりに不幸にしてそういう事実がありましたならば、十分に調査いたしました上で厳重なる措置をとりたいと、こう考えております。
  113. 田中一

    委員長田中一君) そうしますと、内閣としては、そういうものが何千万枚か何万枚か茶わんあるいは鏡等を持っている人があって、そういう事実を確認すれば、それに対してどうするとおっしゃるのです。
  114. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) 私の今申し上げましたのは、今のここで問題になっているその問題でなくして、今後の問題を申し上げた次第であります。
  115. 田中一

    委員長田中一君) 副官房長官に伺いますが、林野庁長官の柴田さんという方がおられます。この方は自分は立候補したいと思う。従って実際自分がどうしてもやむを得す行かなければならぬ出張以外には、下手な誤解を受けるから出張はしないという態度を明らかにして全然出張しない。やむを得ない場合には行くけれども、出張しないということをやはり同じ農林関係の諸君から聞いたことがございます。私はこれこそ立派な態度だと思う。便乗して、国が贈与すべき、国が国民に与えるものに対して、何らの許可なくして、それがもしかりに害意があるものなら、このコップに自分の名前を書くことは一つの犯罪になります。国の財産なんです。そういうものに勝手に自分の名前を書いて渡すということは、これは少くとも不当なものと言わざるを得ない。こういう点については事実そういうものがあったかどうかということについて、政府は現地に行って調査をするというような意向はございませんか。
  116. 田中榮一

    政府委員田中榮一君) この前田郵政局長の点につきましては、現地に参りまして十分に調査をいたしました結果、事前の選挙運動には該当しない、こういう調査の結果でございます。それによって大体御了承願いたいと思うのでありますが、なお、現在政府としまして、大体立候補するような国家公務員は、局長以上と申しますか、次官、局長級の方が非常に多いわけであります。そこで従来この幹部の者は大体において自発的に政府に御迷惑をかけては申しわけないからというので——政府としては是非その者におってもらいたいと、非常に有能な高級官吏であって、是非おってもらいたい、こういうようなことを言っておりまするが、本人からして現職にとどまることは、立候補する意志もあるからして非常にどうも政府に迷惑をかけては困るから、自分としてはあっさり辞職したいというので、従来辞職した次官級の方もあるわけでございまして、政府としては高級官吏に対しましては、その本人の理性と申しますか、そういう点に待って措置をいたしている次第でございまして、従来としましては、今までそういうように現職にとどまって事前運動をやるとか、そういうことはなかったわけでございます、それから先ほど御質問のような点で、なお現職におる者がやめた者の選挙運動に協力するという態勢のごときは厳に戒むべきでございますので、今後十分注意いたしたいと考えております。
  117. 田中一

    委員長田中一君) 先ほどの衆議院選挙に立候補しなかったからといって、その事実は消えるものじゃないのです。もう一つ別の観点から伺いますけれども、与党がこの人を今度の参議院選挙の場合に公認した場合には、あの方は好ましいと思いますか、好ましくないと思いますか。もう時間がたったからいいんだというお考えですか、公認ということは、すべてのそうしたあらゆる問題を調査の上で公認する場合には何らかの責任をとりますか。
  118. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) これはなかなか面倒な御質疑ですが、非常に日にちもたっておって、それは何ら事前運動でないということに判断ができた以上は、その人の、今度は個人の人権問題になりますので、与党であろうが、野党でありましょうとも、それを公認するとかしないとかいうようなことについては、私はここで私どもがどうしなければならないという言明はちょっとできないと思います。
  119. 久保等

    ○久保等君 今郵政大臣よほど前の問題だからというお話をしておられるのですが、ここでの質疑のやりとりは、多少時間的に言うならば、一年前後を経た問題ですから、相当期間がたっておると思います。大臣の言われるように、あくまで常識的に私も質疑を申し上げたいと思っておるんですが、まあここでこういう論議のやりとりでいけば、期間的な問題が問題になると思うのですが、現地等での受ける印象をもう少し考えてみた場合には、私はこれは率直にあの地元の人たちの受けている印象は、これは事前運動じゃないか、しかも昨年の衆議院選挙との関連においては事前運動じゃないことは明らかだと思う。しかし衆議院選挙が終ったといたしましても、その後のまた衆議院選挙ということも当然予想されないでもなかったでしょうし、それからまた本年の参議院選挙というものは、これは一昨年、昨年あたり明確にわかっておるわけですから、そういう何らかの、とにかく選挙に出るんだということを一般の選挙民に意識させるような行動は、ずっと継続して今日に及んでおるとするならば、なるほど国家公務員はすでに昨年の八月ごろにやめて、その地位を離れたといたしましても、少くとも事前運動とおぼしき行動が継続しておるということに及ぶとするならば、   〔委員長退席、理事白井勇君着席〕  私は期間の長短にかかわらず、常識的に判断して、間断なく選挙の事前運動と目される行為がずっと継続しておるとするならば、ここに指摘したのは、単に事前運動であるとかないとかいう問題を指摘しているのではなくして、いわば国家公務員としての立場を利用する行為がはなはば不都合であったということを申し上げておるのですが、ただいまの事案も少くとも選挙の事前運動ということに、これは十分に常識的に考えた場合に、やはり受け取れるんじゃないか、また地元の一般選挙民の受ける印象もそういうことで、今日なお不明朗な、誤解であれば幸いなんですが、いろいろな意味での批判を受けておるようですから、大臣の今答弁されたように、相当期間が経過したからということで御破算に私はならないんじゃないか、しかもその当時のことは非常に今日強く一般の選挙民に印象づけられたまま今日に及び、しかもその間郵政局長という立場での指摘されたような事項に、仮りに昨年の春以降はなかったとしても、形をかえた別の意味での事前運動と目されるような行動が継続しておるとするならば、やはり私は選挙の事前運動、その地位を利用しての選挙事前運動という問題として指摘されるんじゃないかと、かように考えるのです。時効にかかってしまったという解釈はちょっと私は成り立たないと思うのですが、どうでしょう。
  120. 村上勇

    国務大臣(村上勇君) それは私はその地元の人たちがそういうふうに考えられること自体が私はおかしいと思う。なぜならば、少くとも国の予算ではっきり明示してきたその金を、それを奨励のために、その金によって物を贈っている。その贈られた人が有権者であっても、それが保険あるいは貯金の奨励に対して何の関係もない人たちに贈られているという場合には、私はちょっと、たとえ事前運動でないといっても、何かの目的ではないかと考えるのであります。しかしそれが貯蓄、保険の奨励のしかもそれに功労のあった人に贈られているというこの事実は——郵政局長としては決してそういう考えでやったものではないと、もしもそういうお考えを持つ地元の方があるとしたならば、その人方自体のお気持が私はおかしいのじゃなかろうかと思います。しかも先ほど申し上げましたように、今日そういうものを出して、直ちに二、三週間後に立候補しておるということになりますと、これはいくらそれが法的な根拠によってあれにならなくても、私は道義的な一つの罪にはなると思いますけれども、時間的にも一年以上も経っておりますし、しかも前田なるものがどこから立候補するやら、どこから出るやらわからないのに、それを事前運動なりときめつけてゆくところに、少し無理があるのではないか、こう思っております。
  121. 久保等

    ○久保等君 別に事前運動ときめつけるという意味で申し上げるのではなくて大臣はたしかに郵政局長として貯金保険の奨励等の関係の品物を配るということは、別にこれは何でもない、むしろ当然の公務の執行と私は思うと——あまりこまかいことをよく御存じないから郵政大臣はそういった割切った御答弁ができるのかと思うが、あの当時の事実そのものを取り上げてみましても、これは普通の郵政局長といったようなやり方ではなかった。たとえば浪曲大会をやるという場合に、これが郵政局というお役所が浪曲大会をやるということであれば、大阪郵政局長の名前をかりに入れたとしても、隅の方に小さく書くというのが常識だろうと思う。ポスターの前面に大々的に、大阪郵政局長というのは小さく書いて、名前は非常に大きな、常識以上の大きな字で表現しているという、あるいは壁かけの鏡等にも名前だけ書いて、前田某と大きな字を書いた鏡を配るといったような事実があった。ですからこれはただ単に物を配った、どうした、こうしたという程度の問題ではなくて、事実認定の問題になると思う。その事実認定も、そうあまり誤解しなくても、そう考えるのはおかしいというよりも、そう受取る方が普通だと、私は思う。そういう事実が実はあった。ですから、当時の状況が、何ら天地に恥じるところは決してないとは言えないと私は思う。当時の事情は、これはよく郵政大臣お聞きになっていけばわかりますが、とにかく浪花節のポスターに、大きな名前を書いて、これを村ごと、部落ごとに大々的に、このビラを配った。それから鏡等も名前はきわめて大きく書いてある鏡である。そういう状況等を考えた場合には、これは、もう、とにかく何かあるぞという判断をするのが、普通の常識だと思う。そういう事実関係があったのですが、法律的に私はむしろやかましいことを申すのではなくて、常識的に考えて、しかもそれがどうも一年なり二年なり全然本人もやめてしまったという状態になった、静止状態に置かれておるなら別であるのが、そういう行為はやめたとしても、その後も引き続いて何らかの選挙に出るということを御本人も個人的には言明もされておるし、公的におれは出ると言ってみたって、これは選挙という事実がない限り、また告示という事実がない限り、これは法律的にはどうにもならないと思う。従って私は法律的にとやかく申すよりも、むしろ常識的に考えて、目にあまる行為であったと思う。しかもその後に、そういう形ではないにしても、選挙に出られるという意思が客観的に判断せられるような働きがあることは事実です。これはたとえば、郵政局長をやめたというお話が先ほどありましたが、やめた当時も、自分の職場関係だけでなくて、各職場に退官のあいさつを非常にこまかくやっておられることも、私は現地へたまたま別の用事で参ったことがあるのでありますが、各関係方面には非常にこまかく退官のあいさつに回っておられた、これは九月ごろの話ですけれども、そういう状況等を判断しますと、間断なく事前運動と目されるような行為をやっておられることは事実なんです。そういう経過状態があるものですから、私は単に昨年の衆議院選挙で、すべてのピリオドが打たれた問題ではなくて、やはり事前運動と疑われるおそれのある行為じゃなかったかということを申し上げているわけなんです。
  122. 白井勇

    理事(白井勇君) もうよろしゅうございますが。——ほかに御質問もありませんでしたら、本件に関する質問は、この程度にとどめたいと思います。  本日はこれで散会いたします。    午後四時五十一分散会      —————・—————