○国務大臣(
小林英三君) これは
黄変米の問題が起りまして、たしかもうことしで足かけ四年、満三年以上たつと思っております。今のような御質問の出ますことは、これは当然だと思います。私は昨日発表いたしましたこの
調査会の発表というものにつきましては、非常にあれだけの騒ぎをした問題について、単なるこれだけの発表で果して
処理できるかどうかということを、
決算委員会として、また
委員の諸君としてお考えになることも私は当然だと思います。ただ私は昨年のたしか十二月の初めかと思っておりますが、現在農林省の倉庫、その他にありました十四万五、六千トンのこの
処理の問題につきましても、衆議院、参議院を通じまして
決算委員会におかれまして、いろいろ御心配を願ったこともよく承知しているのであります。しかしあのときにおきましても、私は
タイ国黄変米の
処理の問題につきましては、
調査会の
結論も出ておりまするから、一割
搗精して皮をむけば、主食にもその他の食料にも供せられるということははっきりいたしております。私といたしましても就任早々でございましたけれ
ども、とにかくあれだけの莫大な国家の財産というものが、しかも毎月毎月莫大な倉敷料をとられるならば、あのまま放置されているというこの姿が非常にまずい。何とかこの問題を解決して
国民も安心して、そうしてしかも不良
食糧の問題も解決いたしたいと思いまして、実は私みずからその当時
調査会の
学者、あるいは学識経験者諸君、
委員の方に全部集っていただきまして、そうして長時間にわたりましてこの問題を検討いたし、
学者の
意見も聞いてみたのであります。私は場合によりましては、ほとんど大部分の
調査会の
委員会の諸君が、これはみそにしてもよろしいのだ、あるいはしょうゆにしてもよろしいのだというようなことでありますならば、私は厚生大臣としてこれは差しつかえないという発表をいたしたいとも考えておったのであります。しかしいろいろこの
調査会の各人各個の
意見も質しましたところが、この問題についてなかなか
意見の一致を二、三みなかったのであります。それは私自身が厚生大臣でなく、個人の
小林といたしまして考えましたときに、これは食ってもちっとも毒にならんというような考えを持ったと仮定いたしましても、しかし一方においてはそれが長年の間騒いだ
国民感情の上におきましても、いろいろ問題があった問題でございます。そこでたとえば十六人のうちで一人、二人の
学者が多少の疑問を持ったといたしましても、これを決行するということは、私は
国民感情の上におきまして、また人間の生命というものをモルモットやウサギ等に比べて見ちゃいかん、これはよほど慎重を期さなくちゃいかん、こういう観点からいたしまして、
タイ国黄変米はかくかくによって
食糧に供してよろしい。
イスランジア黄変米は数量が多いのであります。しかし人間の人命というものに対しては慎重を期さなくちゃいかん、こういう立場に立ちまして、あの際はああいう発表をいたしました。しかしながらできるだけ早くこの
イスランジア黄変米についても、一つ
学者の
結論を出してもらいたい。しかも
学者の
結論というものが一人でも二人でも反対するということは、長い間
国民感情の上にもたらされておりましただけに私はいかぬ、こういう
考え方をもちまして、今日まで非常な慎重な態度でもってあれ以来長らくの間
研究をしていただいたのであります。
調査会の
学者並びにこの実際家の諸君、お医者さんの諸君、いろいろの階級の人が
調査会におられましたけれ
ども、非常に熱心に一週間に必ず一つずつ会合を開かれまして、そうしてようやくおとといに
結論を出されたのであります。この
結論というものは、私
どもが考えましても、また今御質問なされましたように、あっけないといいますか、どうももの足らないような気がするところもあると思うのであります。しかし私はかくのごとく
調査会の諸君が熱心に
研究されまして、しかも満場一致をもって、これに適当な
搗精をして、そうしてこれで大体番が取れる、しかしそれだけじゃいかぬ。これはサンプリングを適当に取る方法を講じて、そうして、これによって菌がないというところに対しては、主食はもちろんのこと、みそにもしょうゆにも使ってよろしいという
結論が出された。しかも満場一致でございました。私も厚生大臣といたしまして安心をして、農林大臣にも通告をし、また発表いたしたような次第でございまして、ただ問題はいかにしてこのサンプルを取って、そうしてこれの
検査をするかという問題であります。これにはやはり
専門家がおりますから、
専門家の
意見を徴しまして、そうしてこれを十分に
検査をして、
検査に菌がないということでありますならば、これはどんどん
食糧にしてよろしい、こういう
結論に向って進みたいと思っております。