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1956-02-16 第24回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十六日(木曜日)    午後二時十三分開会   —————————————   委員の異動 二月六日委員近藤信一辞任につき、 その補欠として森崎隆君を議長におい て指名した。 二月十三日委員村尾重雄辞任につ き、その補欠として小林亦治君を議長 において指名した。 二月十五日委員安部キミ子辞任につ き、その補欠として村尾重雄君を議長 において指名した。 本日委員森崎隆辞任につき、その補 欠として近藤信一君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     田中  一君    理事            青柳 秀夫君            白井  勇君            大倉 精一君            岸  良一君    委員            岡田 信次君            小沢久太郎君            西川彌平治君            白川 一雄君            瀧井治三郎君            最上 英子君            久保  等君            小林 亦治君            近藤 信一君            村尾 重雄君            山田 節男君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            市川 房枝君   国務大臣    内閣総理大臣  鳩山 一郎君    法 務 大 臣 牧野 良三君    大 蔵 大 臣 一萬田尚登君    厚 生 大 臣 小林 英三君   政府委員    内閣官房長官  根本龍太郎君    法制局長官   林  修三君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    食糧庁長官   清井  正君    郵政政務次官  上林山榮吉君   —————————————    会計検査院長  東谷傳次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    法務省訟務局次    長       青木 義人君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君   —————————————   本日の会議に付した案件国家財政経理及び国有財産管理  に関する調査の件  (国有財産虎門公園地原形復旧  に関する件)  (黄変米に関する件) ○昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)   —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから第四回決算委員会を開会いたします。  議事に入る前にお諮りしたいことがございます。昨日の理事会で申し合せました本日の日程について御報告申し上げます。本日の日程は、お手元に配付してある通りでありますが、決算総括質疑を続行する件、国家財務経理及び国費の不当使用に関する件、国有財産虎門公園地原形復旧に関する件とを追加し、決算のうち、調達庁の分並びに派遣委員報告は延期いたします。  以上のように理事会で申し合せましたが、なお総理に対する質疑は、委員長において総括的に行い、時間の余裕があれば各派の質疑に移ることと申し合せいたしました。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないものと認めてさよう決定いたします。  また、昭和三十年度一般会計国庫債務負担行為調書昭和三十年度一般会計予備費使用調書(その1)、昭和三十年度特別会計予備費使用調書(その1)につきましては、次回の日程に追加して、二十三日に提案の説明を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
  5. 田中一

    委員長田中一君) では、本日の議題に入ります。  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  同特別会計歳入歳出決算  同国税収納金整理資金受払計算書  同政府関係機関決算書  国家財政経理及び国有財産管理に関する調査  を議題に供します。  まず、昭和二十九年度決算については、総括質疑を行いますが、ただいま日程によりますところの鳩山総理、一萬田大蔵大臣等は衆議院における本会議出席中でございますので、順序を繰り延べまして、法務省訟務局次長青木君が出席しておりますので、国有財産虎門公園地原形復旧に関する件を議題といたします。  まず青木次長から説明を願います。
  6. 青木義人

    説明員青木義人君) いわゆる虎の門敷地につきましてのニューエンパイアモーター株式会社を相手とする訴訟につきまして、最近の状況を御報告申し上げます。  この会社に対する虎の門公園敷地の建物の収去と、土地明け渡し訴訟昭和二十九年四月二日に訴えを提起いたしました。翌日現状変更禁止の仮処分の決定を得まして、執行いたしました。その後、昭和二十九年五月十七日以降昨年の十月二十二日までの間に準備手続期日が十回開かれました。十月二十二日の準備手続期日準備手続終結になります。さらに第一回の口頭弁論期日が昨年の十一月二十日に行われました。次回期日が今月の二十七日になっております。  大体訴訟の内容につきましては前回御説明申し上げたところでありまするが、要するに国側の立場といたしましては、都の方で公園敷地被告会社使用許可いたしましたのが、すでにもう許可期限も満了いたしておりますし、また都の方で許可いたしたことが、国に対して直ちに法律的効果を及ぼさないのじゃないか、こういうところから本訴を提起いたしているのであります。  被告側の方の主張は、使用許可でなしに借地法上の借地権が設定されて、まだ期間満了になっておらない。また都は国の代理人としてやったのであるから国に効力を及ぼす。かりに代理権がなくても代理権があったと信ずるに足る十分な理由があったと、こういうような主張をされております。またさらに進んで、この土地明け渡しを要求するのは条理に反するし、また被告にとって非常な犠牲をしいることになるから、権利の濫用である、かような主張をされているのであります。  証拠関係につきましては、国側原告の方から、第一号証から第十六号証まで、被告側から、第一号証から第四十六号証まで提出されております。証人としては、原告側が五名申請しております。被告側が二十三名申請いたしております。そうして先ほど申し上げました次回の今月の二十七日には現場検証裁判所でやる。一応検証して、現場を明らかにした上で証人調べの方に入ると、こういう裁判所の予定でおられるようであります。被告側の方の証人申請も相当多いのであります。  さような関係で、今後の見通しといたしましては、まだ弁論終結までには若干の日時を要するのではないかと思われます。原告の方といたしましては、極力訴訟促進を今まででも裁判所並びに相手方の方に求めておるのであります。今後とも一そう訴訟促進をはかりまして、なるべく早く判決の段階まで持っていきたいと、かように思っております。
  7. 山田節男

    山田節男君 今五名の証人申請をしておられるというが、その五名はだれだれですか。
  8. 青木義人

    説明員青木義人君) 原告国側証人申請は、細川四郎田阪美徳、苗川岩雄、石橋昌直松本国之助、この九三でありまして、細川田阪はいずれも都の職員です。それから苗川は関東財務局職員、それから石橋松本は元通産省の職員であります。
  9. 山田節男

    山田節男君 この虎の門の借地権については、これは足かけ四年前に当委員会で当時のニューエンパイアモーター会社責任者、それから都の建築局長、その他大蔵省の当時の阪田管財局長、かなり広範な参考人を呼んで本決算委員会詳細調べが出ているわけです。それであなたも御承知だと思うのですが、大体国有財産の今日非常にあいまいな……、また一方から土地を使用する者からいえば、一応合法的な措置をとられておるわけなんです。そこに本決算委員会として、当時の大蔵大臣、それから管財局長、それから都の関係職員、こういう人を呼んだのです。今の五人の証人申請原告からやっておる。それでは私は十分でないと思うのです。片一方は二十三名もやっておるのにこっちでわずか五名の証人申請、少くとも参議院の決算委員会参考人として呼んだ人は全部証人になり得る人物である。しかも重要な証人である。わずか五名の証人しか申請しないということはどうも腑に落ちないのだが、なぜ五名の証人だけに限定したかという理由があれば知らせていただきたい。
  10. 青木義人

    説明員青木義人君) 本件につきましては、私どもといたしましては書類上、都の知事の許可書に明確に期限が二十八年三月三十一日限り、しかも更新はしない、こういうことで文書上で明らかであることと、従って国側の方の請求原因を立証する資料といたしましては、それに対する若干の裏づけ十分裁判所の認定を受け得るのじゃないか、かように考えておると同時に、また一応訴訟促進をはかるという意味からいたしまして、当初は証人を比較的限定いたしました。相手方の方の証人に対する裁判所審理状況を見まして、こちらの方からまた必要であれば逐次証人を広げて申請して参りたい、かようにまあ考えておる次第であります。
  11. 山田節男

    山田節男君 これは法務省原告ですからお手のものであり、そそうはないと思いますが、われわれ本案件審議調査した場合に、これは最初期限が切れたということを言われたが、その前にもう大蔵省の認可がちゃんとあって、一応合法的に土地を獲得したかのごとく伺っておった。それを本委員会としていろいろ追及したところが、急にまたこれがとにかく国としてこの会社訴訟を提起するということになってきたのですから、大体こっちから原告としてやるからには、そのときのいろいろな証拠もあるし、ことに国会の決算委員会におけるものは、ほとんど証拠と申し上げて私はいいと思う。そうすれば途中で必要に応じて証人申請をするということよりも、向うが二十三名申請するのならばこっちはもっと豊富な証拠があるわけです。証拠といいますか、実証もあれば傍証もあるわけです。ですからこの点は私、訟務局がその間の事情をよく調べておられるだろうと思うが、前にあなただったか、だれだったか知りませんけれども、勝つ見込みがありますということを本委員会でも言明しておられるのです。この点は一つあなたの方で責任を持って、本委員会として継続調査になっているんですから、もう一度その通知をあなたがここへ出られるかあるいは文書の形においてその経過をここで各委員に連絡してもらいたい。そうしないといつまでも継続調査で、これに対する結論というものをつけ得ないで非常に困っておるわけです。この点をあわせて一つお願いしておきます。
  12. 青木義人

    説明員青木義人君) 今の御趣旨よくわかりました。私ども今後の訴訟の遂行につきまして万全を期していくつもりでおります。相手方の方の証人が二十三名にわたり、非常に数としては多いのでありますが、証人の名前を見ますと、さして本件関係のないと思われる証人の人も多いようにも思われます。もちろん、その被告側の方の申請証人裁判所の方でたくさん採用されていくようになれば、こちらとしても当然対抗上さらに審理を求めていきたいと思っております。今のお話を体しまして、万全を期して参ろうと思います。  それから今後のこの訴訟経過の御報告につきましては、今後とも気をつけて参りまして、書面なりその他で御報告いたしたいと思っております。
  13. 田中一

    委員長田中一君) ほかに御質疑ございませんか。なければ本件質疑はこの程度をもって終了いたします。   —————————————
  14. 田中一

    委員長田中一君) では次に黄変米に関する件を議題に供します。  ただいま小林厚生大臣予算委員会で答弁中だそうでありますが、とりあえず楠本公衆衛生局環境衛生部長出席しておりますので、現在までの御報告をお願いしたいと思います。
  15. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 黄変米処理に関しましては、昨年五月黄変米のうちのごく一部でありますタイ国黄変米につきましては、一応の結論が得られたわけであります。すなわちタイ国黄変米、総量約二万六千トンにつきましては一〇%程度つき直しをいたしまして、食糧として配給することについては支障がないという一応の結論を得ました。その大部分を占めます約十三万トンのイスランジア黄変米につきましては、学界の一致した意見もございません。その間いろいろ事情もございましたが、たびたび食品衛生調査会等におきまして審議を重ねて参りました。ようやく今日の十四日になりましてその処理方針について結論を得たわけでございます。すなわちある程度つき直しをいたしまして、表面を削り取り、しかもその上さらに厳密な菌検査を行なって、無菌状態のものであればこれを食糧として差しつかえないという意見でございます。私ども学界の一致した意見に基きましてさような答申がなされましたので、さっそく農林省にもその旨を報告いたしまして、また一方、厚生省の態度といたしましても、答申趣旨を尊重いたしまして、さような行政措置をとったわけでございます。従って従来の研究成績等から見ましても、菌は表在的であるということはほぼ確実でありますので、表面を削り取り、さらに念のために菌検査をしてないものを出すということにいたしますれば、これによりましておおむね現在在庫の十三万トンは処理し得られるものと考えている次第でございます。
  16. 白井勇

    白井勇君 私、今事務当局からのお話でありますから、事務的なことをお伺いするわけでありますが、一体十四日に結論が出ますまでに、前からどういう科学的な裏づけによってそういう結論が出たものか、そこをもう少し具体的にお話し願えませんというと、これは何のことか、さっぱりわからないのですがね。
  17. 楠本正康

    説明員楠本正康君) お答え申し上げます。研究の結果、菌はおおむね表在的である、表面にだけついているものであるということがほぼ確定をいたしました次第であります。従いまして、黄変米のうちの一種、タイ国黄変米につきましては一〇%程度つき直しをいたしますれば、つまりつき減り一〇%程度いたしますれば、大体表面の菌は除かれる。つまり無菌状態になる。従って食糧として配給してよろしい、かような結論でございます。ところがイスランジア黄変米という種類の菌におきましては、学界の一部で必ずしも表在的とは限らないというような強い意見も一部にございました。しかも一方その毒性があるとするならば、後者のイスランジアは前者のタイ国黄変米に比してかなり強い毒性を持っている、こういうことを一部に唱える者もございます。さような関係でその後毒性試験あるいは菌の所在場所等をいろいろ研究をして参っておりました。何分にもかなり学界には、一部ではありますが、有毒を唱える者も多かったために、長い間たびたび会を重ねましたけれども、一定の結論が得られなかったわけでございます。ところが本年になりましてから特にたびたび委員会も開催をいたしまして、審議を重ねて参りました。結局菌はきわめて表在的であると、かりにするならばとにかくつき直しをしてからもう一度検査し直したらどうだろうか、こういう意見が出て参りました。これならば私どもの方でも表在的であるということを確信いたしております一方、今まで必ずしも表在的でないという学者意見にも従うことになりますので、従ってさような措置によって解決を一応見たわけでございます。
  18. 白井勇

    白井勇君 その菌が表在的であるというようなことは、これは何も厚生省の役人とか学者意見を借りなくても、しろうとにも大体そういうものであろうぐらいはわかっているはずであります。そこで今お話しのように、それに対しましては一部で必ずしもそれは表在的でないという御意見があるため、今日まで結論を得なかったということにお話によりますとなると思いますが、それならば菌が表在的であるか、あるいはそうでないかということにつきまして、いつからどういう試験をやってそうしてそういう結論に達したものか、委員会を開いたからといって、これは何度開いても決定すべき筋合いのものじゃない。やはりこれはどこまでも試験研究というものに基いてそういうものを判定されるものだと私は思うのですが、その辺のことをもう少し具体的にお話し願いたいと思います。
  19. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 一昨年黄変米問題が持ち上りましてから、それ以前も私どもといたしましては、一部厚生科学研究費等を用いまして研究を進めてやっておりました。早急にこの研究を完成し、実態を明らかにして国民の納得する資料を得たいということから、時に予備金を約一千万円余りお願いをいたしまして、これによりまして現在専門家のおります東大、伝研その他各研究機関十一カ所に研究をお願いしたわけでございます。その結果、先ほども申し上げましたように、菌はおおむね表在的であるというようなことも明らかになって参りました。また一方毒性試験等についても、その毒性程度というようなこともだんだん明らかになって参りました。また一方動物実験研究等から見ましてもいろいろ問題点が明らかになって参りました。ただ何分にも無害であるということを証明することは、有害であるということを証明する以上に困難なことであります。従いまして、研究は今日までなお続けておりますが、それにもかかわらず、なかなか学界の一致した意見が得られなかったわけであります。もちろん学界の一致した意見ということはきわめて困難なことも承知いたしておりますが、何分にも黄変米問題は国民の食生活にも関係があり、しかも社会問題として発展いたしました以上、やはり国民感情というようなものを考えますれば、やはり一致した学界意見が出そろいませんと、実際問題としてなかなかこれを処理するに困難な事情であったわけであります。その証拠には、昨年五月、タイ国黄変米については一応搗精すればよろしいと、つき直しをすればよろしいという結論が出ましたが、さらに一部の学者の反対がありましたために、さような措置をとろうといたしましたが、農林当局においても、世論の反駁等がありまして、きめてはみたものの実行ができないというような段階に進んでおったわけでございます。従いましてこれらの点につきましては十分慎重に考えまして、きめたことが実行できるためには、やはり学界の一致した意見というものが、時間はかかろうが、そこまで持っていかなければならない、さような考え方で、私どもはまことにおそくなって相済みませんが、ようやくここに到達したわけでございます。
  20. 白井勇

    白井勇君 どうもお話を聞いていますと、なかなか初めから結論を出すなんということは、試験研究というものはちょっとやそっとでできるものではないということは初めから私はわかっておると思う。そういう科学的な試験研究によりまする最後の断定というものはし得ない。しかしこれは国民のいろいろな感情もあるだろうから、できるだけ学界関係者意見を取りまとめる。その取りまとめるために再三会議を開いたのであって、その方面に厚生省は努力は払われたかもしらぬけれども、科学的な裏づけを、これが有毒であるとかないとかいうその裏づけをする科学的の試験研究のためにこういう結果になったというふうにはちよっと私たちは受け取れない。ただ要するに今申しましたようにいろいろ意見があるものを、まあこの辺でこういうことにしようじゃないかというふうな委員会の取りきめがあってそういうふうにきまったというふうに私は感ずるのですが、実態はそういうことなんですか。
  21. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 私どもといたしましては、今日の結論ももちろん科学的な研究成果に基くものと考えております。たとえば再搗精効果、あるいは菌の増殖の部位あるいは菌の増殖する条件、さらに進んではそれらの菌と毒素との関係、つまり菌がいても菌がいなくてもからだの外に毒を出すというような問題はどうかというような点を総合的に研究をいたした次第でございまして、もちろん、しからばこれらの研究成績を総合的にすべて解決したかというと、まだ全部解決したところに至っておりませんが、少くとも現在までの研究成績を総合的にいたしますれば、今日申し上げているような結論はきわめて妥当なところと私ども考えておる次第でございます。
  22. 白井勇

    白井勇君 まあその点はそのくらいにしまして、私言葉じりをつかまえるわけじゃありませんけれどもね、タイ国黄変米につきましては一〇%搗精をすれば食糧に供しても差しつかえないと、こういうのですな。今年の場合は何%でもいいが、とにかくついて、もう一ぺん菌がいるかいないかということを検査をして、いなければ食糧に供してもいいと、こういうことなんですな。検査をして菌がいなければ食糧に供してもいいということは、搗精をすれば白いのは当り前のことですけれども、ところで黄変米については一〇%搗精をすればこれが菌がおっても差しつかえないと、こういうことなのか、まことに前のやっとのつり合いがとれないように思うのですが、一体どういうことなんですか、こういうのは。
  23. 楠本正康

    説明員楠本正康君) タイ国黄変米につきましては、いろいろな試験研究の結果、菌は表在的でありますので、一〇%搗精することによって菌を除去できるという考え方でございます。従ってその結果特にあらためて検査をする必要はないという考え方で進んでおります。ところがイスランジア黄変米につきましては、もちろん表在的ではあるので、この表面を削りとれば菌はなくなるとおおむね考えられます。しかしながら、なお一部の学者にはそれに対して反対する者もございます。従って君どもはどのくらいの除菌効果があったか——菌を除く効果があっなかということを念のために見る意味で菌の検索を行うわけでございます。しかも一方菌の検索を行なって、果してあるかないかということを調べるということになりますれば、特に何も一〇%と一律に搗精度をきめる必要がなくなりますので、たとえば五%だけついて菌のなくなるものもありましょうし、あるいは一〇%つかなければならぬものもありましょうが、これらの点はそれぞれの状況に応じて除菌効果を発揮するようにすれば足るじゃなないか、かような今回は考え方でございます。
  24. 白井勇

    白井勇君 それはね、全く何といいますか、タイ国黄変米にしても同じことでしょう、それは。一〇%つかなくてもいいものもあるし、極端なことを言えば、ほとんど二、三%くらいぬかを削ったくらいでいいものもありましょうしね。そういうのもはイスランジア黄変米についても同じことだと私は思うのですね。今後の発表のときに、特にもう一ぺん検査をして、菌のないものだけ国民食糧に供するんだというのは、まことに国民しろうとをだましたような表現だと私は思うのですがね。
  25. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これは学界におきまして、菌は必ずしも表在的でないという一部の意見があります以上は、やはりこれは国民の皆様々納得をしていただく意味でも、念のために菌の検査をするということが必要ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  26. 白井勇

    白井勇君 まあもう一ぺん確かめておくのですが、それならばタイ国黄変米というものは一〇%つき直せば、これは絶対に菌がないということが保証できるのですか。
  27. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点に関しましても、もちろん一部学者の間に異論はございました。しかし私どもはいろいろな実験成績から見まして、一〇%で菌は除かれるものと考えております。しかしながら、今後は特にイスランジア黄変米と規定せずに、黄変米処理ということで今回答申がなされておりますが、その趣旨は、今後はもし菌の検索を行うならば、タイ国黄変米についても必ずしも一〇%ときめたことではないという意味でございます。従って今回はこの黄変米種類別に書かずに、黄変米というふうに両方を含ました意味で書いたわけでございます。
  28. 白井勇

    白井勇君 そういう厚生省で配慮があるのですか、初めからその黄変米についてのそれを、どこまでもタイ国黄変米イスランジア黄変米も含めてつき直しをして、そうして菌のあるなしを確かめた上で食糧に供する、こういう表現をなぜとらないか。あなたの先の、当初の御説明では、二つに分けて、タイ国黄変米はただ一〇%つき直せばいい、片一方の方はある程度つき直して、さらに菌の有無を確かめなければいかないとあなたが御説明になるので、私はそういうことをお尋ねしているのです……。
  29. 岸良一

    ○岸良一君 私もただいま御質問になったのと同じような感じがするのですが、この調査の御答申は、まことにりっぱな形にできていると私は思いますが、実際において仕事をしていこうという場合において、これをどの程度に動かしていくことになるか、非常にむずかしい問題になると思う。これは実際の点をお考えになってやったか、ただ実験室の結果だけについておやりになったか、実験室の結果だけだとすると、これとこれはぴったりとする……。たとえばここで検査をする、それが有毒であるかないかを検査をする、検査は一体どこでおやりになるか、またどの程度検査をおやりになるか、実際今予算を取ってその御準備はなさっておられるか、これらの点をお聞かせ願いたいと思います。
  30. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点に関しましては、農林省ともいろいろ打ち合せをいたしまして、私どもは現在この程度のことは実施をできると考えております。と申しますのは、一応小型搗精機を用いまして、各サンプルを選びまして、そこで何パーセントかついてみて、菌がいるかいないかを調べて、もしいなかった場合には、その搗精度を全部の母集団につき行いまして、それによって操作をしていく、つまり試験搗精を小型搗精機によって行なっていく、こういう考え方でございます。  なお、これらの搗精試験、菌検索というものは、これも農林省と相談をいたしておりますが、大量のものでもありますので、できるだけ専門的な機関にお願いをいたしまして実施をするほか、もちろん農林省及び厚生省試験機関でもこれを実施をいたします。なお農林省あるいは他にお願いいたしました試験機関で行います場合には、厚生省といたしましてはそれが忠実に行われているかどうか、厳重に監督をいたす所存でいるわけでございます。
  31. 岸良一

    ○岸良一君 そうすると検査厚生省責任をもっておやりになる、こう考えていいのですか。
  32. 楠本正康

    説明員楠本正康君) その通りでございます。
  33. 岸良一

    ○岸良一君 前のタイ国黄変米の場合は一〇%取ればそれでよろしい、非常に簡単なんです。今度のもののきめ方になると、必要の程度搗精して適当なる検査をするという、非常にやかましくなってくる。そういうところの責任をこまかく持つということになると、それはよほどしっかりしなければできないと思う。今のお考えの程度で完全にできるかどうか、商品になるようにすぐ持っていけるかどうかということは、これはよほど実行上に御注意いただかないとこれはできないと思う、その点はどうお考えになりますか。
  34. 楠本正康

    説明員楠本正康君) ただいまもお答え申し上げましたように、農林省とも事務的にやってできるかできないか、そのやり方等につきましてよく打ち合せしております。その結果試験搗精ということは小型搗精機をもって行い得るということに相なっておるわけでございます。
  35. 岸良一

    ○岸良一君 そうするとこれは予算は取ってあるわけですか、それに。予算があり、人員の整備ができておるのですか。
  36. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 再搗精あるいは再検索に要します経費は、これはもちろん食糧関係の予算で実施をされるわけでございます。従いまして、当初農林当局と十分に打ち合せての結果でございますので、農林省でもこれらの予算措置は十分お考えのことと思っております。
  37. 岸良一

    ○岸良一君 それは農林省へ私また聞きますけれども、私は食品の検査、特に輸入食品の問題については一度陳情を受けたことがあるのです。厚生省の方は入ってきた——これはバターですけれども、バターを検査するのに非常な長い時間がかかる。取引をしている者は非常な損失をこうむっておる。そういうようなことがこれについても行われるならば、これは影響するものが非常に大きいのです。そういう点の欠陥を除去するだけの御用意があるかどうかということでお伺いしたいのです。
  38. 楠本正康

    説明員楠本正康君) ただいま御指摘のございました黄変米につきましては、すでに港を離れまして、それぞれ農林省所管の倉庫に入っております。もちろんこれとても、倉庫料の関係もありますので、できるだけすみやかに適当な措置をとらなければならぬと思っておりますが、ただこれは、ただいま御指摘のございましたように、輸入検査とは違いますので、この点はもちろん急ぎますけれども、急いで行いまして、間違いのないようにいたしたいと存じております。  なおせっかくの御指摘でございますので、輸入検査につきましては、私どももまことにお話のような点があろうかと存じまして、まことに遺憾と思っておりますので、できるだけこれを急ぎまして、最近は、場合によりましては検査の結果が出ないまでも、おおむねの見通しで配給先まで、輸送先まで持っていくということも最近は実施々いたしておるわけでございます。それらの点もできるだけその点を簡素にいたしたい趣旨にほかならぬわけでございます。
  39. 田中一

    委員長田中一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  40. 田中一

    委員長田中一君) 速記を起して。  まず、昭和二十九年度決算について総括質疑を行います。御出席の方々は鳩山内閣総理大臣、一萬田大蔵大臣、根本官房長官、東谷会計検査院長であります。  昨日の理事会の申し合せに従いまして、委員長から総括質問をいたします。  第一に伺いたいのは、総理予算委員会には常に御出席なすっておる。しかしながら、今まで決算委員会には一度も出席がない。思い起せば吉田内閣時代、当時の衆議院の決算委員長は吉田首相の出席を要求したが、吉田首相はとうとう出席しなかったという前例もございます。従いまして、予算委員会と同様に本決算委員会のウエートをどのようにお考えになっているか、第一に伺います。
  41. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 決算委員会も予算の実行でありまするから、必要な委員会と考えております。
  42. 田中一

    委員長田中一君) 次に、鳩山総理は第一次鳩山内閣組閣の当初において、強く綱紀粛正の決意を表明しておりました。二十八年度に引き続き二十九年度決算においても批難事項が二千二百余件にも達しております。金額にいたしましては約七十三億、まことに綱紀粛正をうたっておりながら実効が上っておらない。また一方、政府は新生活運動を提唱しておりますが、政府みずからが綱紀の粛正を実行していくべきではないか。ことに最近の新聞を見ますと、連日のように大蔵大臣所管の役所において汚職問題が新聞に出ております。この実情に対してはどうお考えになっておるか。そうしてまた不当経理の原因がどこにあるか。人的要素か、制度の欠陥か、あるいは責任体制の不明確なところにあるのか等の御意見を伺いたい。同時にまた将来におけるこれらの問題の防止対策を伺いたいと存じます。
  43. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 綱紀の粛正の必要なことは、もとより政府として念願しておるところでありますが、委員長もおっしゃる通りに、その案が上らないで、決算委員会に恥かしい事件が年々に累増しつつあることは、まことに遺憾に思っております。どうしてこれを少くするかということには閣僚もみんな熱心なんでありまするけれども、どうしても、何といいますか、権力のあるところに水がたまって腐っていきます実情でありまして、どうにかして吏道の粛正をしなければこの問題はなかなか解決できないと、吏道の粛正を熱心に考えておる次第でございます。
  44. 田中一

    委員長田中一君) 将来どのようにしてこの是正策を立てるかということに対しては、御意見はありませんか。
  45. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) まず権力のあるところに水がたまって腐っていくのでありますから、吏道の振粛ということは、やはり行政機構の改革というものをときどきやらないといけないというふうに考えております。
  46. 田中一

    委員長田中一君) では本国会にその行政機構の改革というものを提案する用意がございますか。
  47. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 今研究中でありますが、これは出したいという希望のもとに研究中であります。
  48. 田中一

    委員長田中一君) 昨年の七月に大蔵大臣に対して、三十一年度の総予算編成に当っては厳密に合理的な基礎に立って予算の編成を行うようというような警告を当委員会は出しております。予算編所においては、総理は東京におらなかった。そうして総理意見というものは、この三十一年度予算の編成に当っては何らかの形で通じておりましたかどうか、伺いたいと思います。
  49. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私はちょうどその当時、どういうわけか、腸、胃を害しまして、二週間ばかり寝てしまいました。けれども予算の編成時期に遭遇いたしまして、民自党の政務調査会とも日々の交渉もあり、官房長官とも日々の交渉をしなければならないような状態にありましたので、官房長官と電話の連絡をとりまして意思の疎通をはかって、大蔵大臣の希望するような程度で予算を組みたいということの努力をした次第であります。
  50. 田中一

    委員長田中一君) 新聞で伝えられるところによりますると、一萬田大蔵大臣が面会を求められた際に総理は会わなかったというようなことを伝えられておりますがそれは間違いでありますか。
  51. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) それはいつごろのことでしょうかしら。
  52. 田中一

    委員長田中一君) 三十一年度予算の編成当時です。
  53. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 予算の編成中にはむろんお目にかかりましたが、ちょうど帰ってきた日でしたか、帰ってきた日にそういう面会の申し込みがあって、あしたにしてくれというようなことを言ったというような記憶があります。
  54. 田中一

    委員長田中一君) 三十一年度予算につきましては、むろん今御答弁のあったように、綱紀の粛正ということが主眼となって予算の編成をなされておると考えまするけれども総理責任を持ちまして、少くとも機構の問題あるいは運営の問題につきましては、いわゆる綱紀粛正予算だということがはっきり言明できますか。
  55. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) その方針をもって予算の編成に努力したことは事実であります。
  56. 田中一

    委員長田中一君) むろん国民にしいておりまするところの新生活運動というものが、当然総理の周囲におるところの国家公務員の中にも徹底的に行われなければならぬと考えておりますが、具体的な方策はどのように行なっておりますか。
  57. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) これは新生活運動は民間でもって自主的にやって、文部省はただこれに関与しておるわけでありますが、ほんとうの新生活運動の基本というものは、日に一回自分の行動を省みるというような風習ができるということが一番有効的だと思います。
  58. 田中一

    委員長田中一君) 総理は本日衆議院において憲法調査会の政府案……法案を提案されたそうでございますが、憲法改正の用意があるとするならば、国会と財政経理関係について何らかの改正といいますか、方策を考えられておられるのか、そういう構想があるかどうか。
  59. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 議会に本日憲法調査会法案の上程せられましたのは、これは民主自由党から、党からの提案でありまして、政府からの提案ではございません。
  60. 田中一

    委員長田中一君) しかしむろんわれわれは常識として、政府が提案すべきか、あるいは与党であるところの自民党が提案すべきかということは、これは不可分です。従って総理の意思というものが、今日は代行機関ということになっておるのでしょうが、少くとも鳩山内閣の意思というものがそこに織り込んであることは間違いない。これは国民の常識です。従ってその際、今申し上げたような国家財政経理の問題、それから国会の問題等については改正する用意があるかどうかという問題です。
  61. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 綱紀粛正の点を考えておるかという御質問ですか。
  62. 田中一

    委員長田中一君) 憲法改正になりますと、必然的に国会なり、あるいは国家財政経理の問題も変革される用意といいますか、構想があるかどうか。
  63. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) わかりました。内容はむろん調査会において決定することでありますけれども、その内容の事項のうちに、予算についての審議もむろんあります。議院の予算の審議について、綱紀粛正の実を上げる点について、もとより調査の中心となるものと考えております。
  64. 田中一

    委員長田中一君) 昨年の第二十三国会におきまして、政府は行政管理庁の設置法の一部改正の法律案を提案された。これは御承知の通りです。ところが衆議院においてはこの法案は満場一致をもって可決されて参議院に回って参りました。しかしながら、参議院においては委員会はこれを修正議決、いわゆる政府の提案であるところの法案が、そういう自民党によって修正された。野党でありますところの社会党は、むろん政府原案に賛成、このような事実が三十三国会の末期においてあったことは御存じでございましょうね。
  65. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) よく承知しております。
  66. 田中一

    委員長田中一君) もしもこのようにして、自民党の政調会なりあるいは閣議において責任をもって決定され、国会に提案されたもの、そうして参議院においてはこれが、政府提案が修正され、私はこれが衆議院に回付された場合には、おそらく最初の決定と同じように、三分の二以上の多数をもってやはり政府原案というものが通るものである。かような見方をしておったのでございますが、なぜまた衆議院において政府原案というものが修正、いわゆる原案が否決され、野党である社会党がこれを賛成したという事実につきましては、総理はいかなる政治的な責任を感じておられるか、伺いたいと思います。
  67. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私としては国会の議決を尊重するほかに道はないと思っております。
  68. 田中一

    委員長田中一君) 私がなぜこういうことを御質問するかと申しますと、二十九年度の会計検査院の決算報告によりますと、あの行政管理庁が行おうとしたところの日本開発銀行、または日本輸出入銀行の監査というものを、二十三国会のこの設置法の一部改正を否決されたために監査権がなくなった、監査権が持ち得ない。しかしながら、この会計検査院の報告を見ますと、はっきりと日本開発銀行に対する不当事項として批難されております。この事実と照し合わせまして、総理は今日の心境においても、行政管理庁が日本開発銀行等の監査を行う権限がなくてもよろしいとお考えになりますか。
  69. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 私から御答弁申し上げます。行政管理庁の設置法の一部改正法案は政府提案をいたしました。これが先に参議院において修正されて参っておるようなわけでございます。従って政府としては、原案を出した以上、それを通過していただきたいと思っておりましたが、当時院において修正されたのでありまするから、それに従うより政府としてはいたし方ないものと存じます。
  70. 田中一

    委員長田中一君) 衆議院においてはまず第一に先議されている。これが通っております。しかしながら、現在野党である社会党もこれに対しては賛成をしておる。従ってもし政府の原案というものが正しいものと信ずるならば、衆議院においてまたこれが修正されて原案が通るべきだと思うんです。これが衆議院においても参議院の修正案というものが通ったと、この事実の責任というものをどうお考えになるか伺っておるのです。
  71. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) これは立法府と行政府との関係でございまして、立法府において修正せられた場合には、政府はこれに従うのが当然でございます。
  72. 田中一

    委員長田中一君) もしも本国会におきまして行政管理庁設置法の一部改正というものが、修正された部分というものを再び提案するというような御意思はございませんか、これは総理に伺います。
  73. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) ただいまのところ、政府としては考えておりません。
  74. 田中一

    委員長田中一君) それではもう一点伺いますが、二十九年度決算におきまして、日本開発銀行に関する批難事項というものは、自民党の、名前を言ってははなはだ失礼ですが、はっきりしておりますから申し上げますが、自民党の議員のむすこさんの経営する会社に対して融資された。それが一銭の返金もないという場合にまた追加融資されたという事実を会計検査院から批難されているのであります。私は少くとも、鳩山総理の綱紀の粛正に対する熱意というものが、かかる事実にかんがみまして、行政管理庁設置法の一部改正として提案されたものではなかろうかと、好意的に解釈をしておったのでございます。これは今後当委員会におきましてこの問題に究明したいと存じておりますけれども、少くとも自民党の、あなたの政府の与党であるところの自民党の議員の、まあまあ経営しているものと通念では見ていいでございましょう。これに貸し出しをし、十万円程度の金利が一度も払い込まれない。元金一銭もない場合に、また三千万円という膨大な金の融資を行なっている。こういう事実は、行政管理庁長官今おりませんが、こういう事実に照らして改正案を出したのじゃなかろうかと思うのですが、この真意はどうでございましょう。
  75. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 政府といたしましては、そういう個々の事例のためにそれを防止するというばかりでなく、これは国家資金を使っておりまするので、その点までも監査するのが適当であるというので改正法案を出したのでございまするが、国会において修正いたされましたので、これは政府は、立法府において法律をきめられたものを実施するという立場にありますので、それに従っている次第でございます。
  76. 田中一

    委員長田中一君) 重ねて申し上げますが、ただいまの設置法の一部改正の法案というものは、衆議院先議と私記憶しております。しかも衆議院において全会一致で通ったものが、参議院において修正されても、二百九十九名の過半数を持っておるところの自民党が、これを再び衆議院で再確認する意味において政府原案を賛成して議決することができるのであります。これをあえてしなかったということにつきましては、先ほどの議院の立法権を尊重するというようなことではなくして、こういうケースはたくさんございます、今でも。参議院で修正したものがまた衆議院に行ってひっくり返って、あるいは政府原案あるいは衆議院提案の法案が通った場合がたくさんございます。しかしながらなぜ輸出入銀行並びに日本開発銀行に監理権の及ばないというような修正を、衆議院においてのんだかという点であります。これは国民はひとしく疑問を持っております。疑惑を感じております。それではなぜ他の国家財政の融資あるいは投資が行われているところの各法人に対して、同じような除外例を設けなかったか、こういう点については非常なる疑惑を感じております。これを総理から御説明願いたいと思います、見解を。
  77. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は官房長官の答弁の通りに考えております。
  78. 田中一

    委員長田中一君) 官房長官の答弁は答弁になっておらない。その事実に触れておらないのです。あなたがもしまことに両院の議決というものを尊重するならば、衆議院において満場一致決定した法案が参議院において修正された場合に、政府の原案、政府の意思というものを通そうとするならば、これは当然ここでもって、衆議院でまた参議院の修正案というものが再修正されて原案通り通過するのは明らかであります。なぜここに参議院の修正した修正案というものを、前回先議として賛成したものを反対したか。これは確かに政治的な責任があると思うのです。これを伺っておるわけでありまして、官房長官はその点に触れておりません。もう一ぺん御答弁願います。
  79. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 先ほども申し上げた通りでございまするが、衆議院においてそれを修正するかいなかは院の意思でございまして、政府がこれに対してどうこう申すことはやはり三権分立の形においては適当とは思いません。
  80. 田中一

    委員長田中一君) 少くとも綱紀粛正をうたっておるところの鳩山内閣の組閣方針というもの、あるいは財政編成方針というものが、少しでもきれいな形でもって綱紀粛正の実をあげようとして設置法の改正を計画した。これが一度は賛成しておきながら、これが参議院において修正されるや、また修正案を賛成するなんということは、私ははなはだ言い過ぎかも存じませんが、政治的な節操を疑わなきゃならぬのじゃないかと、かように考えるのであります。これはむろん政府として申し上げるよりも、総理が政治的にどうお考えになるかという点を伺いたかったのです。好ましいことと考えておられるか、好ましくないと考えておられるか。
  81. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 政府は政府の考え方を通したいとは思いますが、今のようないきさつの場合において、立法府の意思を尊重するということもやむを得ないことと思います。
  82. 田中一

    委員長田中一君) ほかに総理に御質問ございませんか。
  83. 山田節男

    山田節男君 関連して根本官房長官にお尋ねしますが、田中決算委員長の質問は、結局政府原案に対して参議院で修正した、その修正したものを衆議院でのんだ、通過した。で、根本官房長官は、これは立法、行政、司法三権分立であって、政府は立法の府で通過したその法律に対しては何とも言えない、こういう御答弁である。これは一応の答弁であるが、委員長の言われるのは、衆議院においては二百九十九名という与党の絶対多数を持っておるわけである、もし政府の原案の目的を、すなわち鳩山内閣がどうしてもその目的を貫徹しょうと思えば、これは衆議院において三分の二をもって参議院の修正された法律案をひっくりかえせるのですよ。法律化し得るのじゃないか。その熱意を、これだけ真剣ならばなぜその手段をとらなかったかというところに対する御意見を聞いておるのだ。今あなたのおっしゃることは、それは行政、立法、司法は三権分立で、これは当りまえのことなんだ。そうではないんです。大体今委員長の質問の趣旨はわかっておると思うのですが、それならば、政府としてなぜ最後までがんばって政府の原案を通すことに努力しなかったか。その御答弁として、立法と行政とは別なんですから、立法府に従いますじゃ、それじゃわれわれの要求しておる答弁にはならぬ。どうですか、政府は所信を貫徹しょうと思いますか。立法の手続からいえば、政府は参議院で修正しても衆議院においてまたこれをひっくり返すことはできるのです。それをなぜやらなかったかということが委員長の質問の要点なのです。それに対する鳩山総理なりあるいはあなたの所信を承わっておるわけです。その点一つはっきりしておきたい。
  84. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 政府といたしましては、先ほど総理も申されたように、政府提案の法律案が通ることを期待しておりましたが、実際上参議院において修正せられまして、時期的その他の問題、いろいろあったでございましょう。党としてはこの際参議院の修正をのむことがいいという政治判断によってなされたことでありましょう。従いまして政府といたしましては、それに従うというのは当然だというお話しをしたのでございます。
  85. 山田節男

    山田節男君 どうもそこはちょっと論理が、今委員長の質問の趣旨を私敷衍したつもりですが、それはわれわれの要求しておる答弁ではない。そうしますと、たしか第一次鳩山内閣ができたのは昭和二十九年の十二月だったと思いますが、この昭和二十九年度の決算報告に対しては、これは鳩山内閣の責任の部面が二十九年度に及ぶはずです。そうしてこの鳩山内閣の責任のある二十九年度の決算報告において、会計検査院の報告書において、その開発銀行に関するただいま委員長の言われたような批難事項が会計検査院で報告されておるわけです。そうすると、政府が今の開発銀行も行政管理庁においてこれを監査するという政府の意図は非常に正しかった。ですからその必要を——われわれとしてはこれはいずれ審議した後でなくちゃわからないにしても、私はこの報告書を見ただけで、これはほんとうに鳩山内閣の当初の政府原案は正しかったと思うのです。しかるに今おっしゃったように、参議院において修正して衆議院を通ってしまったのでしょうがないとおっしゃるが、今の政府の意図がまさしくこの二十九年度の開発銀行の批難事項を見ても正しかったということがわかっておるのですから、本通常国会でも、この参議院が修正したものをまたさらに政府が、さきに原案として出した趣旨の修正案を出されるのか、これは初志を貫徹させる方法だと思う。これは根本官房長官でなくて、ことに鳩山総理がその内閣の首班として、この通常国会にその鳩山内閣の正しかった法案を今度改正案としてお出しになるだけのお気持をお持ちになっておるかどうか、この点を伺いたい。
  86. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) ただいままだその点について決定をしておりません。
  87. 山田節男

    山田節男君 私が今申し上げたように、この問題につきましては、鳩山内閣の、いや政府の意図は非常に正しかったということを表明されておるのですから、この通常国会において本委員会で、この今の政府の初めの原案を、これを持ってない部分を入れるべく改正案として私はお出しになるべきだと思う。というのは、昨年の七月に総理もここへ、決算委員会においでになって、いわゆる綱紀粛正、それから予算の合理的また経済的使用ということを誓ってやりますということを、ここではっきりと言明されておるのです。そういう鳩山総理の御方針からしても、こういう一つ具体的のものが表われてきている以上は、これは当然責任において政府原案通りの法律を通すというだけのこれは責任があると思う。どうでしょう、そういう責任をお感じになって、本通常国会において、修正されたこの法案を政府原案通りとするという御決意があるかどうかたしかめたい。
  88. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) ただいま総理から御答弁がありましたように、政府は今国会においてさらにこれを改正する法律案は準備いたしておりません。しかし十分に研究いたすべきだと思っております。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 ただいまの委員長の質問は、この法案が参議院で修正になったのですが、政府は現在においてもやはり開発銀行並びに輸出入銀行に対しては行政管理庁が監察をしなければならぬというふうに考えておられるのか、あるいはその部面に対しては監察権が及ばなくても差しつかえないとお考えになっておられるのか、こういうことを委員長がお尋ねになったと思うのですが、その点はどうなのですか。
  90. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 本院において修正された場合におきましても、現在総括的には輸出入銀行に対しては監督権が政府にございまするが、それを直接行政管理庁においてやることが行政能率上果していいかどうかというような問題も審議されたようでございます。政府としては輸出入銀行並びに開発銀行等が適正に、そうして不当な融資等がないような十分の監督はいたしておるつもりでございます。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の質問と少し答弁が違うと思うのですが、政府の原案では行政管理庁において輸出入銀行あるいは開発銀行の監察もしなければならぬ、こういう考えの下にああいう法律をお出しになったと思うのです。それが修正をされた今日において、この修正のままの法律でも差しつかえないのか、あるいはやはり依然として行政管理庁の監察権を開発銀行並びに輸出入銀行にも及ぼすべきである、こうお考えになっておるのか、その点をお聞きしておるわけです。
  92. 根本龍太郎

    政府委員根本龍太郎君) 現在政府は行政全般の機構につきまして、行政審議会に答申を求めておるでございます。この問題は行政管理庁の問題の実は本質的な議論も出ておるようでございます。本来監査がわが国の官庁においてやられておる場合に、こういうような制度が果してどうかというような議論さえ実は審議会の中にもあるようであります。そういうような状況でございまするので、現在のところは議決されましたところの現行法律で十分に監督をして、そういう事態がないようにし、そうして今御質問になったような点については、行政審議会の答申も経て、そうして十分な検討をしたいと、かように考えておる次第であります。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はこれは鳩山総理にお伺いをしておるわけなんですが、行政審議会等の答申もあったようでありますけれども鳩山総理大臣としては、この問題をどう考えておられるかということをお聞きしておるわけなのです。たとえば、これは国会できまったことであるから、それは私の方では云々できませぬというような御答弁があるかもしれませぬが、これは私はちょっと受け取れないと思うのです。先般憲法問題にしましても、ちゃんと国会できまった憲法に対しまして、本会議において、あの憲法には反対でございますという意見を堂々と述べられた、従ってこういう問題につきましても、鳩山総理として、やはり行政管理庁の監察権能は、開発銀行あるいは輸出入銀行にも及ぶべきである、私はそう考えます。こういう御答弁があってしかるべきだ、こう考えて、総理に対して御質問申し上げておるわけです。総理いかがでございましょう。
  94. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 私は綱紀粛正の必要があるということが、年々決算において明らかになっておりますので、どうにかしてこれを改正しなくちゃならないと思っておりますので、ただいまあなたのおっしゃるようなことは十分に慎重に審議いたしまして、こういうような事件の起きないように一生懸命いたしたいと思っております。
  95. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは非常に御答弁が最近慎重におなりになっておるようなんですが、私のお尋ねしておるのは総理としての所信をお伺いしておるのであって、綱紀粛正の全般の問題については、このあとで私はお尋ねしたいと思います。この問題に対して重ねて総理としての御所信をお伺いしたいと思います。
  96. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) よく研究をいたしたいと思っております。
  97. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあそれ以上の答弁は総理からは出ないというふうに思いますが、それではこれに関連しまして鳩山総理が綱紀粛正ということをたびたび申されておりまするが、この前の国会におきまして、私が速記録を読んでみますと、こういうようなことでございますす。すなわち各省の監察を十分に強化をして粛正あるいは適正化を図りたいという答弁に対して、各省の監察を十分に強化するということは、これは内容的に相当困難が伴うと考えております。従ってほんとうに言葉通りにやるとすれば現在の人員では不可能である、あるいは現在の予算では私は不可能であると思っております、従って総理は先ほどのお答えは、これまで人員の面においてもまた予算の面においても、その他効果的な裏づけを持って、そのいうお答えをなされたと思います。こういう私の発言に対しまして、総理大臣は、大蔵省もそういうようなふうに考えておると思います、各省の監察の強化を欲しておるのは大蔵省でありますから、大蔵当局において監察の費用は考えておるものと存じます。こういうような御答弁があったと思います。ところがその後において総理大臣がおっしゃったような各省の監察を強化する、綱紀を粛正する、そういうことに対する裏づけと申しますか、具体的にどういうような措置をされたか、私はその措置に対しましてあまり具体的なことを聞いておりません。ことに先般の補助金等適正化に関する法律、これの実施に関する法務省の予算要求に対しましても、三十一年度においてこれを削減されておるということを伺っておる。こういうことで、私は今お伺いしたいことは、鳩山総理は去年決算委員会で言明されたように、各省の監察の強化、さらに綱紀粛正をする裏づけとなるものは、どういうような措置をなされたか、一つ具体的の例をお示し願いたいと思います。
  98. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 具体的の事例は大蔵大臣からお答えいたします。
  99. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) 具体的なことですから私から申し上げることにいたします。まことに国費の使い方が不適正であるということにつきまして、会計検査院の御指摘を受けまして恐縮に存じておるのであります。恐縮ということではむろん相済みません。そこでまず会計検査院について研修をさせまして、今日約年間三百名に対してそういう講習を施して、間違いがないように順法精神を養成し、かつきちっと経理をするようにということをいたしておりますが、なお、この制度から来る不備もありまして、財政法、会計法等を整備して、予算執行職員等の責任に関する法律も、なお先ほどお話がありましたように、補助金等に対する予算の執行適正化、あるいは補助金の予算執行に対する適正化、そこへ力を入れまして、なお、会計検査院の職員も増員をいたし、さらに今後におきましては、国の持っております物品の管理に関する法律案及び債権の管理に関する法律案も今用意してある、御審議を仰ごうとしております。できるだけ予算的にもまた法制的にも、こういう不正の起らないようにいたして行きます。
  100. 田中一

    委員長田中一君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  101. 田中一

    委員長田中一君) 速記を始めて。  それでは総理に伺いますが、今あなたは予算委員会と同様に決算委員会の重要性というものを尊重しているという御答弁でありましたので、まだあとにも伺いたいことがたくさんございます。従ってあなたの御都合もあると思いますから、こちらから要請した場合には出席するということをお約束して、渉外関係のお仕事があるならばお帰りになってけっこうでございますが、その点についての御答弁を願いたいと思います。
  102. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) できるだけ出席をするということはむろん言えますけれども、何月何日に必ず出るということはちょっとお約束ができないと思いますから、前もって御交渉を願えれば今日のように出て参ります。
  103. 田中一

    委員長田中一君) 少くとも一週間乃至二週間くらいの余裕をみて、来ていただきますから、よろしうございますね。
  104. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) それならばけっこうです。
  105. 田中一

    委員長田中一君) それではどうぞ御退席下さい。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  106. 田中一

    委員長田中一君) 速記を始めて。  なお、大蔵大臣並びに官房長官がおられますので、総括質問を継続いたします。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは大蔵大臣おいでになりますから関連して御質問申し上げますが、先般大蔵省に対しまして警告をしておるはずです。その内容はもうすでに御承知の通りで、速記録によりますというと、「三十一年度総予算の編成に当っては厳密合理的な基礎に立ち必要な調整を行うべきである」という警告に対しまして、大蔵大臣は、「御指摘の点はまことにごもっともでございまして、昭和三十一年度の予算編成に当りましては、御趣旨に沿いますよう万全の努力をいたしたいと存じております」、こういう答弁をしておられるわけであります。しかしながらこれは私は真偽のほどはよく存じませんが、新聞紙上で見ますというと、今度の予算編成に当っては、政府、与党間において非常に複雑な要求が繰り返されておったように聞いております。それで大蔵大臣としましては、たとえばたくさんの繰越金の問題あるいは不当経理の問題、そういうものを勘案されて、この警告の趣旨に沿って予算編成の努力をされたと思うのですが、その努力を具体的にどういうふうな点でどういうことをどういう工合にしたというような具体例がありましたならば、御説明を願いたいと思います。
  108. 一萬田尚登

    ○国務大臣(一萬田尚登君) まず今お話のように第一に考えましたことは、今日財政需要は非常に大きなものであります。そこで財政規模をできるだけと申しますか、最も適正な規模に持っていくということにまず努力をいたしました。御承知のように一兆三百四十九億というところに持っていきまして、そうして財政の健全性といいますか、やはりきびしい財政の線を出して、私はこの予算の今後における執行について、しっかりした心がまえを持っていただくように望んだわけでございます。これは決算との関係において考えた一つの点であります。  なお、当委員会趣旨もありましたので、特に繰り越し、不用の多かった経費につきましては、極力その効率的な使用を確保するように努力いたして編成いたしたのでございます。特に繰り越しの多かったのは防衛庁関係の経費でありまして、この経費で人件費、機材費等が二十九年から三十年にわたって非常に繰り越しが多かった。従いまして今回は極力圧縮に努めまして、不用額の発生を見ないように配慮をいたしました。  なお、輸入品、試作品等購入、製作が長期にわたるものがありますので、そういう長期にわたるおそれのあるものにつきましては、年度内に支出可能と考えられるものを除きましては、出予算から国庫債務負担行為に振りかえまする等の措置をとりまして、できるだけ繰り越しを生じないように配慮いたしました。  なおまた、公共事業の不用につきましては、予算の効率的使用と、総花的という批判がありますので、これを排除することを基本方針といたしまして、従いまして単年度に完成の工事及び災害その他の事業との関連でやむを得ない工事等に、特に新規工事等に限って採択をするというような措置もとったわけでございます。  なお、できるだけ予算の細分化——小さく細分されて、とかく経済的効果が乏しいことのないようにいたすことにも配慮を加えたわけであります。  なお、この予算の執行に当りましては、各省各丘の協力を得まして、支出負担行為実施計画及びこの繰り越しの適正な実効を確保いたしますよう留意をいたしますとともに、補助金適正化の公正な運営をも期待しておるのであります。特に補助金の適正な運用につきましては、地方に財務局長を中心といたしまして協議会を作らせて、特にこの積極的な指導にも当らせておるような次第であります。  大体以上のような点が今私が申し上げた具体的なことでありますが、なお足らぬところがありますれば、主計局長から補足説明をいたさせます。
  109. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも私の求めておる答弁と少し違うと思うのですが、何か大蔵大臣予算委員会に御用があるそうで、すぐお出かけになるということであります。そこで以下はやはり総理大臣に私は御質問を申し上げたいと思いますので、次回に総理大臣に相当の時間の余裕を持って御出席を願いたいということを要望しまして以下の質問を保留いたします。
  110. 田中一

    委員長田中一君) 承知しました。   —————————————
  111. 田中一

    委員長田中一君) では前回に引き続き黄変米の件を継続いたます。小林厚生大臣出席されておりますので、御発言の方は逐次お願いいたします。
  112. 久保等

    ○久保等君 黄変米処理の問題について、先ほど楠本環境衛生部長のかから若干御説明を伺ったのですが、厚生省として出したこの黄変米処理問題については、その内容をお伺いしてみますと、どうも従来あれだけ問題になっておりました問題の処理としては非常に納得いきかねる実は結論が出たように見受けられたのであります。そこで実は大臣にお伺いしたいと思うのですが、この厚生省として最近出された結論というものが少くとも長い間の私はやはり研究調査結論でなければならぬと思う。ところが先ほどの御説明を承わっておりますと、必要に応じて必要程度の再搗精を行なって、そうして配給するのだというような考え方結論が落ちついたようなんですが、これはやはりあくまでもこれだけ問題になった、しかも莫大な十三万トンに及ぶ黄変米処理の問題については、これはまあ非常に国民全体の立場からすれば重大な関心を持つ、かつまたこれがどう処理されるかということについては、むしろ必要以上に私は神経過敏になっておると思うのですが、そういう事情にありまするだけに、これがただ単にその関係調査会の総会で満場一致きまったという程度のことでは、やはりなかなか納得をさせるわけには参らないと思うのです。こういう経過が出たことについて厚生大臣としては——私この前いつだったか河野農林大臣も本委員会出席して、あくまでも国民の要するに納得する形でこの問題を処理したいというお話であったのであります。従ってやはり厚生省そのものが出された結論は、なおさら私は純科学的というか、衛生的な立場から、この問題についての結論を出されたと思う。そうであればあるほど、この最近出た結論というものが厚生大臣としてはほんとうにそういう科学的に国民に十分納得せられる経過を辿って結論が出たというようにお考えになっておられるかどうか、お伺いしたいと思う。
  113. 小林英三

    ○国務大臣(小林英三君) 私といたしましては、今御意見のありました通りに考えております。
  114. 久保等

    ○久保等君 十分に納得してもらえるという確信を持っておるということだと私は思うのです。ところが果してそれならば、ここでプリントで拝見をしたのですが、また先ほど楠本部長の御説明なり経過お話を伺って感ずることは、それならばどの程度の病変菌のある黄変米に対してはどの程度の再搗精を加える必要があるのかというようなことを、私はやはり数字的に幾段階かに設けて、やはりある具体的な方針等がきまって、そういう結論になったということであるのであれば、これまたある程度納得できると思うのですが、ただ単に必要に応じてついて検査してみるのだ。それで検査して菌がなかったら、それはそれでいいのだということなんですが、事は十三万トンという莫大な食糧を抱えてそれに対する処理が、検査してみて、なかったらこれを配給し処分するのだということは、これはもう当然だと私は思うのですが、その前に少くとも現在抱えておる十三万トンの内容がどういう程度の病変菌を持ったものであるかということを私は当然具体的に実情を把握しておると思う。そうだとするならば、それに対してはそれぞれ具体的に幾段階なり幾種類かの分類を分けて、それに対する具体的な対策を立て、そういう対策を立てるならば、万々とにかく危惧されるような病変菌というものはないであろう。しかしなお慎重を期する意味において、もう一ぺん検査をやってみるというようなことならば、一応筋道としては話がわかるのですが、ここに具体的に個条書きにしてあげられておるけれども、内容を見ますと、何かまあタイ国黄変米であれば一〇%程度搗精すれば大丈夫だということであったが、しかしものによってはそう再搗精しなくてもいいのだ、実情に応じてやるのだという程度のきわめてあいまいとした結論しか出ておらないのですが、それで再搗精してさらに検査をしてだめだったら、またつき直すのだというようなことだと、実際の扱いにおかれても非常に困難であるし、それからまた非常に私はむだなそれこそ手数と予算、経費というものを使わなければならぬということになれば、扱い上から言っても非常に不経済な私はやり方じゃないかと思うのですが、その点について少くとも今まで長期をかけて研究せられたのであるならば、私はもう少しはっきりした結論が出てしかるべきじゃないかと思うのですが、一体それに対して厚生大臣どんなふうにお考えになりますか。
  115. 小林英三

    ○国務大臣(小林英三君) これは黄変米の問題が起りまして、たしかもうことしで足かけ四年、満三年以上たつと思っております。今のような御質問の出ますことは、これは当然だと思います。私は昨日発表いたしましたこの調査会の発表というものにつきましては、非常にあれだけの騒ぎをした問題について、単なるこれだけの発表で果して処理できるかどうかということを、決算委員会として、また委員の諸君としてお考えになることも私は当然だと思います。ただ私は昨年のたしか十二月の初めかと思っておりますが、現在農林省の倉庫、その他にありました十四万五、六千トンのこの処理の問題につきましても、衆議院、参議院を通じまして決算委員会におかれまして、いろいろ御心配を願ったこともよく承知しているのであります。しかしあのときにおきましても、私はタイ国黄変米処理の問題につきましては、調査会の結論も出ておりまするから、一割搗精して皮をむけば、主食にもその他の食料にも供せられるということははっきりいたしております。私といたしましても就任早々でございましたけれども、とにかくあれだけの莫大な国家の財産というものが、しかも毎月毎月莫大な倉敷料をとられるならば、あのまま放置されているというこの姿が非常にまずい。何とかこの問題を解決して国民も安心して、そうしてしかも不良食糧の問題も解決いたしたいと思いまして、実は私みずからその当時調査会の学者、あるいは学識経験者諸君、委員の方に全部集っていただきまして、そうして長時間にわたりましてこの問題を検討いたし、学者意見も聞いてみたのであります。私は場合によりましては、ほとんど大部分の調査会の委員会の諸君が、これはみそにしてもよろしいのだ、あるいはしょうゆにしてもよろしいのだというようなことでありますならば、私は厚生大臣としてこれは差しつかえないという発表をいたしたいとも考えておったのであります。しかしいろいろこの調査会の各人各個の意見も質しましたところが、この問題についてなかなか意見の一致を二、三みなかったのであります。それは私自身が厚生大臣でなく、個人の小林といたしまして考えましたときに、これは食ってもちっとも毒にならんというような考えを持ったと仮定いたしましても、しかし一方においてはそれが長年の間騒いだ国民感情の上におきましても、いろいろ問題があった問題でございます。そこでたとえば十六人のうちで一人、二人の学者が多少の疑問を持ったといたしましても、これを決行するということは、私は国民感情の上におきまして、また人間の生命というものをモルモットやウサギ等に比べて見ちゃいかん、これはよほど慎重を期さなくちゃいかん、こういう観点からいたしまして、タイ国黄変米はかくかくによって食糧に供してよろしい。イスランジア黄変米は数量が多いのであります。しかし人間の人命というものに対しては慎重を期さなくちゃいかん、こういう立場に立ちまして、あの際はああいう発表をいたしました。しかしながらできるだけ早くこのイスランジア黄変米についても、一つ学者結論を出してもらいたい。しかも学者結論というものが一人でも二人でも反対するということは、長い間国民感情の上にもたらされておりましただけに私はいかぬ、こういう考え方をもちまして、今日まで非常な慎重な態度でもってあれ以来長らくの間研究をしていただいたのであります。調査会の学者並びにこの実際家の諸君、お医者さんの諸君、いろいろの階級の人が調査会におられましたけれども、非常に熱心に一週間に必ず一つずつ会合を開かれまして、そうしてようやくおとといに結論を出されたのであります。この結論というものは、私どもが考えましても、また今御質問なされましたように、あっけないといいますか、どうももの足らないような気がするところもあると思うのであります。しかし私はかくのごとく調査会の諸君が熱心に研究されまして、しかも満場一致をもって、これに適当な搗精をして、そうしてこれで大体番が取れる、しかしそれだけじゃいかぬ。これはサンプリングを適当に取る方法を講じて、そうして、これによって菌がないというところに対しては、主食はもちろんのこと、みそにもしょうゆにも使ってよろしいという結論が出された。しかも満場一致でございました。私も厚生大臣といたしまして安心をして、農林大臣にも通告をし、また発表いたしたような次第でございまして、ただ問題はいかにしてこのサンプルを取って、そうしてこれの検査をするかという問題であります。これにはやはり専門家がおりますから、専門家意見を徴しまして、そうしてこれを十分に検査をして、検査に菌がないということでありますならば、これはどんどん食糧にしてよろしい、こういう結論に向って進みたいと思っております。
  116. 久保等

    ○久保等君 楠本部長にお伺いしたいのですが、イスランジア病変菌の場合は、少くとも従来タイ国病変菌よりも悪質というか毒素が非常に強いと言われておったのですが、今度のこの措置を見ると、最高一〇%程度の再搗精を行う、必要に応じて五%でもいいし、あるいはそれ以下の再搗精でもいいといったような結論が出ているようですが、一〇%以上の再搗精をする必要はあらゆる今までの研究なり調査の結果、必要でないという大ワクのところの結論だけは明確に出たのでしょうか。
  117. 楠本正康

    説明員楠本正康君) お答え申し上げます。私どもかねていろいろ各研究機関にお願いをいたしまして研究をいたしておりますが、御指摘のように一〇%つけば確実になくなるものもあります。中には数%でもなくなるものもあります。要するに菌のつき工合によって違っておりますので、一概にこの一〇%という必要はない。と申しますのは、菌がないということを一々培養によって証明をいたすわけでございますから、五%でいいものは五%、一〇%つかなければならぬものは一〇%こういうことになるわけであります。ただそれなら先ほどお話のように、どうしてそういうことをやるかということでございますが、これは先ほどもお答えを申し上げましたように、一応間違いなくサンプルを選びまして、それを小型搗精機にかけて実験をいたしてみます。そうしてその結果何%ということをきめまして、初めて全体のそのグループの米にその搗精率を及ぼしていく、こういう考え方をいたしておるわけでございます。
  118. 久保等

    ○久保等君 私はそういうことよりも、今の十三万トンという貯蔵米は一〇%以上搗精しなければならないといったようなものはもう全然ないのだというお考え方なのか、それとも実ははやってみて、二〇%あるいはそれ以上、ひどいのになると、やはりやらなければならぬものも現実にあるのだというふうに現実の状態を把握しておられるのか。いろいろ研究の結果もう一〇というものは最高限の搗精度であって、それ以下なんだというふうな結論になっておるのかどうか、そこをお聞きしているのです。だからこれが一〇%というものもあるし、九%もあるし、八%もあるし、あるいは二、三〇%もあるのだということなら、この大体一〇%ということ自体も単に一つの例をあげたという程度にすぎないと思うのです。だから例示した程度のものなのか。これはやはりいろいろ調査をされた結果が一〇%以上といったものは考えられないのだというところまで、調査の結果が出たのかどうなのか、お答え願いたいと思います。
  119. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 従来の研究成績でございますと、一〇%を搗精いたしますと、少くとも私どもが調べました範囲におきましては、すべて菌は取り除かれているわけでございます。しかし一部の学者によりましては、イスランジアの場合には一〇%ではだめだという意見も一部にはございますが、私どもが少くとも実験をした範囲におきましては、一〇%で全部取り除かれているわけでございます。
  120. 久保等

    ○久保等君 それからさらに、搗精してなるほど表面を削って菌を取ったということになりましても、表面にどうしても粉が付着していると思うのですが、特別に何かそういうものが完全に搗精して皮を削ったとしましても、今度扱い方の技術的な問題の場合に、どうしても粉が表面に付着している。しかもこれは全然きれいに取ってしまうということは、洗って一々全部そういう処理までして、特別な措置をしてこれを配給に回すということにでもなれば、これは理想的にいくと思うのですが、理屈は一応搗精したことによって表面が削り落されてしまってなくなったといっても、今度は粉を完全にどうして除去するかという技術的な問題もあろうかと思うのですが、そういうことについては、何か特別のこの問題に対しての扱いを考えておられるのかどうか。ただ削り取ってみたものの、これが相変らず粉末というような状態で幾らかでも付着しているということになると、これは現実にやはり問題は解決しないと思うのです。そういうところについての何か御答弁を願えればと思います。
  121. 楠本正康

    説明員楠本正康君) まことにごもっともでございまして、この点も私どもは十分研究をしてございます。つまりふるいにかけまして、どのくらいの程度にふるいにかけたら、ぬかの方に移行した菌が証明できなくなるかということも調べてございます。それで当初はこれは洗わなければだめだろうという感じを受けましたが、幸いにも実験の結果は、これはいろいろな程度のふるいがございますが、これで精密にふるいにかけますことによって、菌は除去されているわけでございます。
  122. 白井勇

    白井勇君 先に岸先生や久保先生からお話があった、これから実施の場合、サンプルを取って搗精試験をやり、菌を出していくという操作、これは従来あなたの方でやっていらっしゃるように、これは倉ごとでやっているわけですね。それを今度こまかにやるということなんですか、どういうことですか。従来あれは倉所ごとにやって、倉ごとというか、それでサンプリングをやって、ごくわずかなものを取って、それで菌があれば、その倉全体を封印をしてタイ黄変米なり、あるいはイスランジア黄変米なりと判定を下しておった。今度非常に精密なことをやるということですが、それはどういうことになるのですか。やはり従来通り倉所ごとというような非常に大ざっぱなもので、これも本当にやろうと思ったら膨大な経費と金がかかってどういうことになるか、私も想像がつきませんが、一袋ごとに全部やり直すというのか、その辺のところはどういうお考えですか。
  123. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は先ほどもお答えを申し上げましたように、当初そのやり方につきましては農林省と十分相談もし、またそのサンプルの取り方につきましては、まことに御指摘の通りでございまして、この取り方を誤りますと、せっかく厳格に検査をいたしましても、だいぶん価値が落ちますので、このサンプルの取り方につきましては、たまたま農林省の方にサンプリング委員会という専門家の会合がございますので、そこに今私どもお願いをいたしまして、どういう程度にサンプルを取ったら一番安全が期せられるかということを伺いを立てております。いずれ近くこの通りに取ればよろしいというような御返事をいただけることになっておるわけでございます。
  124. 白井勇

    白井勇君 それは今から搗精して当然これはやることでしょうけれども、まだ日本じゃこういう格好にすれば一番合理的だというような実績の出ている筋合もないと思いますね。これは非常にむずかしい問題だと私は思います。  私ちょっと大臣に伺っておきたいのであります。先ほど私は部長さんにいろいろ今度の発表のいきさつにつきまして詳しくお話を承わったんですが、いろいろ試験研究というような結果の点もあるようでありますけれども、十四日の結論というものはむしろ何といいますか、厚生大臣の政治的手腕によって結末がついたというような感じが強いようですね。私はどうせこの問題はそういう筋合のものじゃないかと初めから思っておったんです。ただ私は非常に遺憾に思いますことは、これは申し上げるまでもなしに、従来から外米も入っておる。そういう時代におきましても、全然今の菌がなかったかという問題になりますと、これはまた当時から食っておったと言えるわけですね。国内におきましてもそういうものはないのかといえば、必ずしもそれは無菌のものばかりわが国民が食べておったものでもない。現に東京におきましても、これは厚生省の管轄のおひざもとにおいて、食品関係というものはたとえてみますれば、あん類にしましても有毒のさらし粉を使っているとか、あるいは色素を使っている、これはもう調べてみるとざらにあるわけですね。最近はまた支那そばについても害のあるものを国民に食わされておる。東京の最も繁華街と言われております新宿の駅前へあなた方行ってごらんになってもそうです。ほこりの中にお菓子が並んでおって、それを国民は買わされておるわけです。これは厚生省のおひざもとにおいてなおさらそういう実態がある。ああいうものが菌がないとかあるとかいってみたって、これはもう想像外のものだと私は思う。ところがこと黄変米につきましては、もういかにも、何といいますか、大変なことであるかのごとく厚生省は音頭をとりまして、ああいう騒ぎ方をして、いたずらに国民に必要以上の不安を与えたというその実態、それに引き続きまして、さらに国損というものは非常なものでありましょう。これはこれからどのように処分されますか、これはなかなか容易な問題じゃない。倉敷の問題からいたしまして非常な損をしておる。そういう点等を考えまして、私はまことに、今の大臣は御存じないのですけれども厚生省当局のこの問題の処理の仕方というものは非常に軽率じゃないかと思うのです。その辺につきまして大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  125. 小林英三

    ○国務大臣(小林英三君) 白井さんの御質問でございますが、私は大臣に就任いたしましたときに考えましたのですけれども、これだけ国民が非常に恐怖心を持っておる黄変米の問題ですから、慎重に扱わなくちゃならぬことはもちろんよく考えました。しかし先ほどちょっと申し上げましたように、私も実は直接それらの食品衛生調査会の学者専門家の諸君にもぶつかってみたのであります。中には非常にわれわれが考えられないような御意見も拝聴いたしたのであります。たとえばモルモット十匹なら十匹飼いまして、これに十カ月間の間一方を白米を食わしてみた。一方は麦を食わしてみた。一方は同じ匹数に対して黄変米を食わしてみた。ところが黄変米を食った方のモルモットは全部十匹は十匹とも死んでしまった。白米を食ったものは九匹死んでしまった。麦を食わしたものは全部生存している。従ってこの白米というもの自身にも——今日玄米とか、白米とかありますが、そういう意味から言えば、白米自身にも毒があると言えば言えるんだというような学者も私直接その会で聞いたんですから、そういうことも非常に主張しておられて、従って黄変米というものは国民感情があるからこわがっておるが、毒はないんだ、大したことはないんだと、こういう御意見も相当あったのであります。しかし先ほど申し上げましたように、その十六人の委員諸君の中で、一人か二人大事をとらなくてはいかんという御意見がありましたものですから、私は国の財産を非常にむだに消費しておるということはよく承知いたしております。しかし、とにかくそういうふうに意見の一致もなくて、一部そういうような学者もいるということでありまして、かりに私が厚生大臣として多数決によって多くの学者がこう言うんだから無害だと、こういうことで発表したということになりましても、これはやはり人命というものは大きな問題でございまするし、人命を場合によっては試験台にするということになっては相済まぬ、たとえ十四万トン、百万トンあるとしても、私は大事をとって解決する、一方には国民感情というものがあるから、これは解決しなければならぬと、こう考えましたものですから、あの当時ああいう発表をいたしまして、そこでイスランジア黄変米については待てと、そのかわり一つ学者諸君によって、専門家諸君によって十分な検討をして、国民全部が安心して食えるように、これがもし不安心ということになれば、これは幾ら厚生大臣が発表いたしましても、これは飯を食いません。そういう意味からいたしまして、私は慎重を期したのであります。白井委員は先ほど小林大臣の政治的というお話——政治的ではないのです。これは学者諸君の研究にまかしておったのであります。幸いにいたしまして、一昨日満場一致でそういう解決を得られましたものですから、これならば安心をして国民に発表ができるということで発表いたしておるのでございます。
  126. 白井勇

    白井勇君 食糧庁にちょっと伺いますが、まあ結論が出たばかりで、これからの処置というものはまだおきまりになっていないかもしれませんが、厚生省の判断によりますと、食糧そのものの、つまり御飯に充当するだけの配給に一向差しつかえないものである、こういうことのようでありますが、これはああいう結論が出ますと、これからやはり希望配給なり、あるいは一般の配給なりのワクに乗せまして、配給をやっていらっしゃるというような見通しでありまするか、あるいはああいう結論が出ましても配給には回せない、あるいは希望配給もしないというような考え方でいらっしゃいまするか、その辺いかがでございますか。
  127. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまの御質問の点でございますが、ただいまお話のように、実は昨日結論をいただきましたのであります。この問題、非常に厚生省関係に御厄介をかけまして、こういうことになりましたことは、非常に私どもといたしましても、画期的な結論であるというふうに存じておるのであります。この御通知等によりますると、主食に回すことを含めて食糧に回して差しつかえないという結論のようであります。果してこれを実際の立場といたしましていかなる用途に供すべきかということにつきましては、いましばらく検討さしていただきたいと私は考えておるものであります。と申しますのは、かってこれはタイ黄変米についても同じような問題があったのでございます。一〇%搗精すれば主食に入れてもいいという衛生的見地からの御結論を得たのでありますけれども、別途食糧配給という観点から、消費者のその病源菌を持った米に対する不安感と申しますか、そういうような観点も、十分配給の実態に即してやる立場にあるわれわれといたしましては考慮していたさなければならんという観点から、ただいまはこれをみそ、しょうゆ等に販売いたしておるような状況であるのであります。そういうような観点も、今回結論を得ましたことに基きまして、また食品衛生の立場等別個の立場からの検討も必要ではないかと私は考えておるのであります。昨日御結論をいただきましたばかりでございますので、今直ちに私といたしましてはこれを全部主食に回すとか、あるいはこれを主食に回さないで加工用に回すとかいうようなことにつきましては、ちょっとただいま申し上げかねるのであります。厚生省の御努力と、その御結論をいただきました衛生関係御当局の御努力は十分感謝いたしております。これに対するわれわれ業務に携わるものとしての意見につきましては、いま暫くお待ちを願いたいと考える次第であります。
  128. 白井勇

    白井勇君 わかりましたが、きょう楠木部長のお話しを聞きますと、タイ黄変米にいたしましても、従来でありますと一〇%以上搗精をいたしますれば、それで差しつかえないというようなことなっておったと思うのですが、今度はイスランジア黄変米も含めまして、タイ黄変米は一〇%搗精いたしました上に、さらに無菌であるかどうかという検定を、菌のあるなしを一応何らかの格好で検査して、そして無菌であれば差しつかえないということで、無菌であるかどうかということが両方にひっかかるという解決のように先ほど私は開いたわけであります。そういうことになりますと、かりに食糧に充当するという方針をきめましても、やり方によって、これはどうにでもなることでしょうが、これだけ騒がれましたものを厚生省がお考えになるような、何と申しますか、菌のあるなしを、これを数理統計的のうまい計算によって出してみたところが、そうそう簡単に、菌のあるなしということを決定して配給操作に回すという、そういう操作というものは、そう簡単にいくものでありますか。どうも私はその辺はむずかしいものじゃないかと思います。
  129. 清井正

    政府委員(清井正君) 先ほど御質問がありました検査あるいはサンプリングの方法等につきまして、ただいま厚生省の方からお答えがありましたように、私ども現実のやり方につきまして十分密接に連絡をとって、ただいま検討いたしておるのであります。何しろ十三万トン余のものを持っておるのでありまして、このものにつきまして、ただいまの厚生省の御結論に基きまして検査等を実施し、その検査の結果に基きまして一定の用途にこれを販売することにつきましても、現業の観点から申しまして、いろいろ問題がまだわれわれの立場から申しましてあると思うのであります。そういうような観点をも合せまして、私どもといたしましては、食品衛生上の見地からも結論を得たのでありますが、現業の立場からも十分考えまして、この御結論の結果に基く完全な観点からの調査の結果、無菌であるという証明の出たものの処置につきましては、いましばらく現実に即した取扱いをしなければならない、こういうふうに考えております。厚生省の御結論に対しましては非常に感謝いたしておるのであります。なお、実行上の点につきましては、いましばらく研究させていただきたいと思います。
  130. 白井勇

    白井勇君 もう一点伺っておきますが、三月末までに食管の赤字、百六十七億ですか、出るように聞いておりますが、あの中には、これがこれからどう処分されるかわからんわけでありますから、倉敷の損はもちろんありましょうが、これがどう処分されるかによりまする、処分による赤字というものは計算になっていないわけですか。
  131. 清井正

    政府委員(清井正君) 百六十七億の赤字は、二十九年度と三十年度と合計いたしまして百六十七億の赤字になるわけでございますが、すでにこれは昭和二十九年度の決算におきまして十五億円実は落しておるのであります。これは安くしか販売できないだろうということを予想を立てまして、十五億円の損失を二十九年度決算において見込んでおるのであります。三十年度におきましても約二億の赤字を見込んでおるのでありまして、そのときにはかかる結論は得られないという観点から実は見込んでおったのであります。この御結論に基きまして、私どもはサンプリングの結果、無菌であるという証明を得たるものにつきまして、これがきわめて食管特別会計法上有利に、すなわち高価に販売できるといたしますれば、その面においては当初の予定よりも損失が減ることになるわけであります。私どもといたしましては、ただいまのところはかかる御結論はないものということで実は計算をいたしておるような次第であります。
  132. 岸良一

    ○岸良一君 食糧庁長官にお伺いするのですが、昨年もタイ、ビルマから米が入ったが、どのくらい入ったんですか。
  133. 清井正

    政府委員(清井正君) ただいまちょっと確実な数字は持っておりませんが、毎年ビルマから十四万トン、タイからは三十二、三万トン入れておるのでございまして、昨年もおそらくその程度入ったものと推定いたしております。
  134. 岸良一

    ○岸良一君 その米については問題は起きておらないのですか。
  135. 清井正

    政府委員(清井正君) 先般、実は御承知の通り委員会等の御決議に基きまして、米の買い方等につきまして改善をいたしましたし、その後現地でも燻蒸いたしますとか、船内の管理をいたしますとか、あるいは現地におきます玄米から搗精いたします過程を非常に短くいたしますとか、いろいろの工夫を実はいたしたのであります。これは御承知の通り委員会等の御注意によりまして非常に努力をいたしたのでありますが、その結果、その後入って参りましたものにつきましては、幸いにして菌の存在が発見されなかったのでございまするけれども、一部先般一件だけ起りました。これは精密検正をその後いたして参りました結果、無害であるということになったので、そのまま処置をいたした実例があるのであります。
  136. 岸良一

    ○岸良一君 なお、この前タイ米の処理について方法がきまりましたね。それでタいの黄変米が一万何千トンありましたね。その処分はすんでいるのですか。
  137. 清井正

    政府委員(清井正君) 黄変米が全体で十三万トンあるうち、約一万五千トン、タイ国黄変米があったのであります。この分につきましては、先般からの厚生省当局よりの御連絡に基きまして処分をいたしつつあるのでありまして、ただいまのところまだ若干残っておりますが、毎月四、五千トンずつみそ屋に販売をいたしております。
  138. 岸良一

    ○岸良一君 その後の模様では、みそ屋に払い下げたものについては食糧に回って故障が出ているということはないのですか。
  139. 清井正

    政府委員(清井正君) この点につきましては、みその技術者団体と相談をいたしてやって参りまして、価格もトン当り五万六千五百円くらいで、相当割高に実は販売をいたしておるのであります。県知事の推薦に基く技術者団体にずっと販売いたしておりますが、その後円滑に進行いたしております。
  140. 岸良一

    ○岸良一君 私、今度の決定については、先ほど来いろいろ御質問があったように、今までは同じ菌を持っておっても、実行上実際において毎年タイ米ならば大体一割搗精をすればいい。事実上の処理はきわめて簡単だ。今度のは搗精をして検査をしてそれからやる。これは実際において実行の官庁というものは非常にむずかしい。責任を生ずるので、非常にやかましい問題だと思いますが、そういう点、私はせっかくの御結論だけれども、簡単に実行できるような方法を御研究になって、そして効果が上るようにしていただきたいということを申し述べておきます。
  141. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  142. 田中一

    委員長田中一君) 速記を始めて。  本日の日程のうち国家財政経理の是正に関する件と二十九年度決算最高裁判所の件は次回に譲ります。  本日はこれをもって散会いたします。   午後四時五十一分散会   ——————・—————