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1956-02-28 第24回国会 参議院 外務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十八日(火曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————   委員異動 二月二十三日委員岡田宗司辞任につ き、その補欠として吉田法晴君を議長 において指名した。 二月二十四日委員吉田法清辞任につ き、その補欠として岡田宗司君を議長 において指名した。 本日委員石黒忠篤辞任につき、その 補欠として後藤文夫君を議長において 指名した。  出席者は左の通り。    委員長     山川 良一君    理事            鶴見 祐輔君            宮澤 喜一君            羽生 三七君            須藤 五郎君    委員            大谷 瑩潤君            黒川 武雄君            野村吉三郎君            加藤シヅエ君            曾祢  益君            後藤 文夫君   政府委員    外務政務次官  森下 國雄君    外務参事官   法眼 晋作君    外務大臣官房長 島津 久大君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省欧米局長 千葉  皓君    外務省経済局長 湯川 盛夫君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員       渡辺 信雄君   説明員    運輸省航空局監    理部国際課長  沢  雄次君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選航空業務に関する日本国フランス  との間の協定批准について承認を  求めるの件(内閣提出、衆議院送  付) ○航空業務に関する日本国インドと  の間の協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○航空業務に関する日本国とオースト  ラリア連邦との間の協定締結につ  いて承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○国際民間航空条約改正に関する議  定書(第四十五条に関するもの)の  批准について承認を求めるの件(内  閣提出衆議院送付) ○国際民間航空条約改正に関する議  定書(第四十八条等に関するもの)  の批准について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○外務公務員法の一部を改正する法律  案(内閣送付予備審査) ○日本国カンボディアとの間の友好  条約批准について承認を求めるの  件(内閣送付予備審査) ○千九百五十五年五月三十一日に東京  で署名された農産物に関する日本国  とアメリカ合衆国との聞の協定第三  条を改正する議定書締結について  承認を求めるの件(内閣送付予備  審査) ○農産物に関する日本国アメリカ合  衆国との間の協定締結について承  認を求めるの件(内閣送付予備審  査) ○在外公館名称及び位置を定める法  律等の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査の件  (日比賠償に関する件)   —————————————
  2. 山川良一

    委員長山川良一君) それではただいまから外務委員会を開会いたします。  今度まず委員異動を皆さまに御報告申し上げることになりましたので、まず先に委員異動について御報告いたします。張る二十三日岡田委員辞任せられ、補欠として吉田法晴君が委員になられましたが、翌二十四日吉田君が辞任せられ岡田君が再び委員に戻られました。また本日石黒委員辞任され、その補欠として後藤文夫君が委員になられました。以上御報告申し上げます。   —————————————
  3. 山川良一

    委員長山川良一君) この際委員の方にお諮りいたします。理事小滝彬君が都合により理事辞任いたしたい旨申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山川良一

    委員長山川良一君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしました。つきましては、直ちにその補欠互選を行いたいと思います。その互選方法成規の手続きを省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山川良一

    委員長山川良一君) 御異議ないと認めます。よって私より宮澤喜一君を理事に指名いたします。   —————————————
  6. 山川良一

    委員長山川良一君) 次に、航空業務に関する日本国フランスとの間の協定批准について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件  航空業務に関する日本国オーストラリア連邦との間の協定締結について承認を求めるの件  以上三件一括。  国際民間航空条約改正に関する議定書(第四十五条に関するもの)の批准について承認を求めるの件  国際民間航空条約改正に関する議定書(第四十八条等に関するもの)の批准について承認を求めるの件  以上二件一括。  外務公務員法の一部を改正する法律案  日本国カンボディアとの間の友好条約批准について承認を求めるの件  千九百五十五年五月三十一日に東京署名された農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定第三条を改正する議定書締結について承認を求めるの件  農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件  以上、三件一括議題にいたします。  まず各件につきまして、それぞれ政府から提案理由説明を聴取いたします。
  7. 森下國雄

    政府委員森下國雄君) ただいま議題となりました「航空業務に関する日本国インドとの間の協定締結について承認を求めるの件」「航空業務に関する日本国フランスとの間の協定批准について承認を求めるの件」及び「航空業務に関する日本国オーストラリア連邦との間の協定締結について承認を求めるの件」につきまして、提案理由一括説明いたします。  政府は、サンフランシスコ平和条約第十三条及びインドとの平和条約第二条の規定に基き、フランスオーストラリア、及びインドとの間に航空業務に関する協定締結のための交渉を行なって参りましたが、幸い意見一致をみましたので、昨年の十一月二十六日にインドとの航空協定、本年一月十七日にフランスとの航空協定、同じく一月十九日にオーストラリアとの航空協定にそれぞれ署名をいたしました。  これらの協定は、さきに国会の御承認を得て締結いたしました日米日英日加等航空協定同一目的及び意義を有しておりまして、その内容にも大差はございません。インドフランスオーストラリアは、いずれも、サンフランシスコ平和条約及びインドとの平和条約の定めるところによりまして、これらの条約の発効後四年間、すなわち本年四月二十七日までわが国への乗り入れの権利を認められているのでありますが、これらの協定締結されますとその後はこれらの協定に基く権利に切りかえられ、また、わが国航空企業も双務的にかつ平等の条件でこれらの諸国へ乗り入れる権利を有することとなるわけであります。  よって、これらの協定の御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御承認あらんことをお願いいたす次第であります。  次に、国際民間航空条約改正に関する議定書二件について提案理由を御説明いたします。  この二つの議定書は、一九五四年に国際民間航空機関、すなわち、いわゆるICAOの第八回総会で採択されたものでありまして、その目的とするところは、ICAOの所在地を総会の決定によって一時的でなく他の場所に移すことができるようにすることと、ICAO総会開催回数を現在の毎年一回から少くとも三年に一回に改めようとすることであります。  これらの改正は、いずれも趣旨として望ましいものでありますから、わが国がこれに加入することは時宜に適したものと認められます。  以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。  次に、外務公務員法の一部を改正する法律案提案理由及び内容説明いたします。  まず提案理由説明いたします。現在国際慣行といたしまして、特派大使制度世界各国においてとられておるのであります。この特派大使は、外国における重要な儀式への参列その他臨時の重要な任務処理にあたり、たとえ当該国常駐の大公使がある場合においても、別に本国から派遣されるのでありまして、当該国との親交関係増進等のため非常に有効な方法であります。しかして、この派遣の場合、特派大使称号を与え、信任状を携行させることは、この使節の使命と地位を重からしめかつ人ならしめ、また、相手国に対する儀礼上も必須の場合が多く、これまた、国際慣行上普通に行われている状況であります。  わが国におきましても、右のごとき外交上の目的に資するため、国際慣行に準拠して特派大使制度法律上明白に規定した方がよいと考えられますので、今般この外務公務員法改正法律案提出する次第であります。  ここに規定される特派大使は、政府代表及び全権委員と類似の臨時特別職であり、従いまして、国会法第三十九条ただし書きの規定に基き、両院一致の議決により国会議員も任命されることができるのであります。また、この特派大使は、外国における重要な儀式参列する場合、天皇の認証ある信任状を携行し、もって、その地位尊重相手国に対する儀礼の点につき間然するところがないよう考慮を加えた次第であります。以上が提案理由説明であります。  次に本法律案内容につき説明いたします。まず、外務公務員法第二条におきまして、特派大使称号及び定義を規定し、あわせて、特派大使顧問及び随員を随伴できる旨を規定しました。  次に第四条におきまして、特派大使並びにその顧問及び随員は、在任中国家公務員として、職務に專念する義務、上司に忠実なる義務名誉信用保持義務及び秘密を守る義務等を負う旨を規定しました。  次に、第八条におきまして、特派大使並びにその顧問及び随員の任免は、外務大臣申し出により内閣が行う旨を規定し、あわせて、任務を終了したときは、解任される旨を明文で規定することとしました。  次に第九条におきまして、特派大使外国における重要な儀式への参列に際して、携行する信任状天皇が認証する旨を規定しました。  最後に、付則におきまして、国家公務員法第二条に、特派大使並びにその顧問及び随員称号を追加する措置をとったほか、あわせて、特別職の給与に関する法律第一条第十六号を改正して、同法律中の大使及び公使は、特派大使を含まず、特命全権大使及び特命全権公使を指す旨を明定しました。  以上をもちまして、本法律案提案理由及び内容説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あられんことをお願いいたします。  次に、日本国カンボジアとの間の友好条約批准について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  カンボジアは、一九四九年十一月八日のフランスカンボジア条約によって独立国地位を獲得して以来、終始一貫してわが国に対する友好的態度を示してきましたが、なかんずく、昭和二十九年十一月には対日賠償請求権を放棄することを声明し、また、昭和三十年十一月にはサンフランシスコ条約第十六条に基く連合国捕虜に対する戦争損害補償金同国取得分日本赤十字社に寄附する旨を申し入れ、その外交の基調が不変の親日政策にあることを内外に表明しました。わが国といたしましても、かかるカンボジアの好意に対しできるだけ同国との協力関係を密接にし、ひいては東南アジア諸国との善隣外交に資すべく努力しておりましたが、たまたま、昨年十二月上旬シハヌーク総理大臣外務大臣を長とする同国親善使節団の来日の機会に、両国間の友好条約締結について、両国政府間で話し合いが行われました結果、十二月九日東京において両国外務大臣の間で本条約署名が取り運ばれた次第であります。  本条約は、すでにわが国がアフガニスタンやイランとの間で締結しております修好条約と同様、両国間の友好関係強化することを目的とし、平和の維持、主権、独立及び領土の尊重外交官及び領事官待遇等両国間の基本的関係に関する数箇条を設けておりますが、そのほか、特にカンボジアとの協力関係を密接にするため経済技術及び文化協力関係強化移住者に対する便宜供与等についての規定が挿入されております。  本条約は、両国間にすでに存在している協力関係を今後とも維持強化すべき根本原則を明らかにしたものであり、本条約に定められている趣旨に従って、今後経済技術文化移住等の諸問題について両国の間で交渉が行われ、その結果合意に達したところに基いて両国協力関係が具体化されていくならば、わが国にとって大なる利益をもたらされることが期待されます。  よって、ここに本条約批准について、御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。  ただいま議題となりました、農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件、及び「千九百五十五年五月三十一日に署名された農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定第三条を改正する議定書締結について承認を求めるの件」につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、昨年五月三十一日に東京署名されました農産物に関する日米間の協定に基いて、米国余剰農産物購入を取り計らいましたが、その後さらに昨年度のわが国の食糧の生産、消費、輸入等の諸状況について慎重な検討を加えました結果、購入条件について満足な合意に達するならば第二次の協定締結して、引き続き米国より農産物購入することが適当であるとの結論に達しましたので、昨年七月より東京において米側との間で非公式な折衝を開始いたしました。その折衝により、日本側購入する農産物品目金額等についてわが方の希望がほぼ入れられる見通しが得られましたので、たまたま九月に河野農林大臣が渡米いたしました際に、ワシントンにおいて正式に品目金額積立円使用区分等に関する交渉を行なったところ、話し合いの妥結をみるに至り、九月三十一日井口在米大使米側代表との間で協定文の仮調印を行いました。しかるに、同協定正式署名は、昨年五月の第一次協定第三条に基く第一年度の農産物贈与に関する細目、及び第二次協定に伴う第二年度以降の農産物贈与についての両国政府間の話し合いが妥結した後に行うこととなっておりましたので、その後東京において贈与に関する取りきめの交渉を鋭意進めて参りましたところ、両政府間で意見一致をみるに至りましたので、去る二月十日重光外務大臣アリソン米国大使との間で本件協定及び議定書署名を行なった次第であります。  本協定については、(イ)農産物買付総額が六千五百八十万ドルであること、(ロ)買付品目小麦大麦トウモロコシその他の飼料、綿花及び葉タバコであること、(ハ)積立円使用率日本側七五%、米側二五%であり、日本側使用分が、農地開発、森林、畜産等開発電源開発生産性向上等のための借款使用されること、及び(ニ)贈与について附属交換公文で定めたことの諸点を除いては、第一次協定とほとんど同一であります。  また、議定書につきましては、第一次協定第三条によれば、わが国贈与を受ける農産物は、千二百万ドルをこえない小麦及び脱脂粉乳並びに三百万ドルをこえない綿花となっておりましたが、その後両国政府間の話し合いの結果、綿花分小麦及び粉乳に振り当てることに合意が成立いたしましたので、第一次協定第三条を改正することといたした次第であります。  この協定によりまして、わが国輸入を必要とする小麦大麦トウモロコシ綿花葉タバコ等を六千五百八十万ドルまで円をもって購入することができるほか、その購入によって積み立てられる円資金のうちドルに交換された七割五分、約四千九百万ドルをわが国経済開発のための借款として受けることができ、また、第一次協定によって予定されております第一年度の千五百万ドルの贈与に引き続いて第二年度以降数年間にわたって贈与を受けることにより、わが国児童福祉計画を一段と拡大することができることになるのでありまして、本件協定及び議定書の実施によりわが国が受ける利益は多大のものがあると期待されるのであります。  よって、ここにこの協定締結及び議定書締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、両件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  8. 山川良一

    委員長山川良一君) 以上の各件に対する質疑はあとに譲ります。   —————————————
  9. 山川良一

    委員長山川良一君) まず、在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案議題にいたします。本案について御質疑のおありの方は順次発言を願います。
  10. 曾禰益

    曾祢益君 ちょっとこの案そのものではないのですけれども、これに関連して外務省に伺いたいことがあるのですが、それはイスラエルとの外交関係といいますか、イスラエルにおける在外公館の問題なんですが、これはもう公館ができたわけでありまするが、その公館の規模が非常にまあ貧弱に過ぎるというので、イスラエル政府の方ではかなりその点について不満を持ち、しばしば日本政府の方に、もう少し実質的にスタッフを充実してほしいという要請をしているようにわれわれ聞いているんですが、これはまあ言うまでもなくイスラエルだけに力を入れるという意味で申しているのではなくて、イスラエルに対しても近隣のアラブ諸国に対しても、日本側在外公館としてはいわば同じように重要性を認めていかなければならんと思いますが、特にまあ今日イスラエル付近はまあ国際的に緊張の焦点になっているところでもあって、やはりイスラエルにおける公館充実ということは非常に重要なことだと思います。どうして今までそういうようなイスラエル公館充実しておらないのか、どういう理由でなっているのか、また今後どういうふうに充実していくお考えがあるかをこの際伺っておきたいと思います。
  11. 島津久大

    政府委員島津久大君) イスラエルに関しましてはただいまトルコ大使館が兼任をいたしております。必要の際にトルコの館員が随時出張をいたして仕事を処理しているような状況でございます。トルコ現実公館を置いて充実をする必要はないかという御意見でございますが、中近東方面は特に重要でございまして、公館充実いたしたいのでございますが、予算関係もございまして、今回はイスラエルのために特別に新たに予算を獲得することができなかったわけであります。
  12. 曾禰益

    曾祢益君 今行っているのは、あれは代理公使ですか。
  13. 島津久大

    政府委員島津久大君) ただいま駐在はいたしておりません。
  14. 曾禰益

    曾祢益君 全然駐在していいな……。
  15. 島津久大

    政府委員島津久大君) トルコ兼任をいたしております。
  16. 曾禰益

    曾祢益君 これは予算重点的な使用についてはいろいろお考えもあろうと思いますが、どうもトルコ兼任常駐もしていない、一人もいないというのは幾ら何でもこれは適当でないと思います。これは御承知のようにイスラエル日本に相当すみやかに公使を送っているわけです。しかも公使一人ではございません。だから全然兼任で、一人も常駐者がいないということは、これは幾ら何でも少し怠り過ぎているのではないか。これはぜひイスラエルにも常駐者を送っていただきたい。これは予算の範囲内でもできるのじゃないのですか、それくらいのことは。予算が足りなければ全然やらないというのはちょっと受け取れないのですが、もう少しはっきりした御意見を伺いたい。
  17. 島津久大

    政府委員島津久大君) ただいまも申しますように常駐人員を送り出すだけの予算がございませんので、トルコから成るべくひんぴんと出張させまして事務を処理させるようにいたしたいと思います。ただいまのところ常駐をさせる準備がないのは、遺憾でございまして、将来御意見の点は十分研究をいたしまして、早急に充実をいたしたいと思います。
  18. 曾禰益

    曾祢益君 将来善処ということを伺っておるのですから、あまりそれ以上申し上げませんが、これはぜひ政務次官において、一つ政府として取り上げていただきたい。大臣によくお話になって下さい。今国際緊張点であるイスラエル常駐者を出していない、それじゃ日本外交はできないと思う。だから至急便法を講じて事実上の常駐者ができるようにもう一ぺんお考えを願いたいという希望を申し上げておきます。
  19. 森下國雄

    政府委員森下國雄君) 仰せの通りでございまして、できるだけ在外公館拡充強化は、御承知通り三十一年度予算の中に極力努力をいたしまして、その線に沿うて進んでおるわけでございます。御意見通り極力大臣とも相談をいたしまして、御期待に沿うようにしたいと考えております。
  20. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 在外公館を必要な場合におふやしになることは、まことに適切なことだと考えますけれども、中近東諸国外交問題は、今非常にいろいろの大きな問題を起しております際に、こういうような在外公館の使います費用ですね、その中で経済的な諸問題を調査するというような費用は、どういうふうになっておりますですか。
  21. 島津久大

    政府委員島津久大君) 在外公館活動費用の中で経済問題にどのくらい重点を置いておるか、というような御質問でございますが、この点は経済問題についてどのくらいというような予算面ではっきり出てこないわけでございます。しかもある一つの館の全体の個別的なまとまった予算というものはないわけでございます。従いまして、一般の各在外公館活動をする費用の中からまかなっていく、その中にはもちろん調査費用もございます。また在外公館の何と申しますか、工作費、そういったようなものも入っております。これはしかし東京本省の方でも全体を見まして、そのときに応じて重要な方面工作費をつぎ込んでおります。中近東に関しましては、その点は十分考慮しております。重点を置いて運営しております。
  22. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今御説明はございましたけれども、私昨年中近東諸国を旅行いたしまして、現実にいろいろ見ましたところでは、実際に日本との貿易をもつともっと進めていかなければならないことにつきまして、十分な調査をしなければならない。あるいはそういうことにつきましての宣伝活動というようなことに関して、非常に必要に迫られておるにもかかわらず、本省の方からは少しも費用が出ていないというようなことを実際に見て参りました。こういうようなことに関しては、ただ在外公館を置くことだけで何も事実上活動はできていない。西ドイツそのほかの国との競争にみすみす負けているというような状態に対して、何か今年度の予算では、もう少しそういうようなところに対する必要と認められる活動費というようなものを、もっとふやしてあげることがあるのでございましょうか。それとも今まで通りの御計画で大体そういうようなワクの中でやっていらっしゃるというようなことなんでしょうか。
  23. 島津久大

    政府委員島津久大君) 中近東方面在外公館活動が不十分であるというような御意見でございます。もちろん十分な経費もございませんし、人員から申しましてももっともっと充実をいたしたいのは当然考えられることでございます。本年度の予算におきましては、人員の点はそれほど増員ができなかったのでございます。一般庁費、つまり各館の運営の費用は昨年度に比べましてかなり増額をされております。それから交渉費と申しまして、特別の工作に充てる費用が前年度は二億二千八百万ほどでございました。ことしは一億五千万円ほど増額になっております。従いましてその面で前年度に比べましてはかなり進歩したと思いますが、もちろんそれらの点をその程度で満足はいたしておらない。公館充実経費増額においても努力いたしたいと思っております。
  24. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 新しく在外公館を設置なさる場合に、その公館に使います家具、調度品というようなものを購入する問題でございますけれども、これは日本でどういうような美術工芸品ができるかというようなことに対して十分な考慮を払って、家具調度を購入なさるということが日本品のひいて一つの見本をも兼ねることになりますので、非常に大切なことだと思うのでございますけれども、どうも私方々を回ってみた、われわれ話を聞いたところでは、家具調度の購入方法があまり適切でないように感じるのでございますけれども、現在どういうような方がそこの家具調度を選ぶというような、選ぶときはどういう方がお選びになるのでありますか。
  25. 島津久大

    政府委員島津久大君) 在外公館調度品日本の美術工芸その他の点から見まして日本文化の紹介にもなるというような見地から、できるだけ日本のものを在外公館に送りたいわけであります。ただいまのところでは家具まではなかなか手が及ばないのでございます。絵でございますとかあるいはつぼの類、そういうようなものは外務省にその道の専門家の委員会を作りまして、選定をしていただいて送っております。また食器類、こういうものは大部分東京でととのえまして在外公館に入っております。だんだんそれらの点は力を入れてやっていきたいと思っております。ごらんになりましたところ家具類まではなかなか手が伸びないことはごらんになっておると思いますが、そういう点も一つ研究いたしてみたいと思っております。
  26. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 今おっしゃるように家具類にはちょっと手が届かないかもしれませんけれども、たとえば食器とかそのほかの装飾品などの選定は、必ずしも今あまりうまくやっていらっしゃるように思えないのです。同じ国費を使っていなさる場合に、もっともっと日本のよい面の文化を紹介するようにお金を有効に使っていただきたいと思うのでございますが、どうもその選定なさるときは美術品の場合はいいものをお選びになるのでありますけれども、実際に日本でそういうようなところへ喜んで輸出できるようなもの、あるいは欧米諸国外交官たちに見せてもそこで紹介になるわけでございますが、その選定をなさるときには必ずしも一々委員会にお諮りになるわけじゃないので、はなはだおもしろくない選定がなされていて、国費を非常に有効に使っていることではないというふうに私は見たのでございますが、これは一案なんでございますけれども、そういうようなことにはむしろかつて在外公館におられたところの大公使の夫人というような、そういうような方でそういうような選定には非常に目の肥えているというような方もたくさんおありになるのじゃないかと思うので、そういうような方で、買うときに、また美術品ではなくむしろ工芸品みたいなものの選定のときの委員会みたいなものを非公式にでもお作りになって、購入する場合にはそういう方の御意見をお聞きになるというようなことの方が、ただ用度課というようなところで買ってしまうというようなことではなく、そういうようなところにこまかいお金を有効に使っていただきたいと思うのでございますが、そういうような案はいかがでございましょうか。
  27. 島津久大

    政府委員島津久大君) 御意見の次第まことにごもっともと思いますので、具体的にまた御意見も伺いましてそういうような方法考えたいと思います。
  28. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 もう一度申し上げますけれども、経済活動に便になるような調査費というようなものは、ぜひこの中近東、アフリカに十分に回していただきたいということを重ねて希望意見として述べておきます。
  29. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 ここに出ております領事館ですが、ウィニペッグとメルボルンだけしか出ていないのですが、前にはだいぶたくさんお出しになったものが削られてここに残っておるものと承知しておりますが、ちょっとこの前概括として申し上げて希望意見として出しておいたいのですが、この領事館及び総領事館をおきめになるときにテキサスのヒューストンは選考に残らなかったようですが、どういうわけですか。
  30. 島津久大

    政府委員島津久大君) ヒューストンは外交を再開いたします前に、在外事務所を設置いたしますときにも候補に上った所でございます。現地の方からも相当強い希望がございまして当時研究いたしたのでございますが、結局落ちつきましたのがニューオルリーンズの方に落ちついてしまいました。もちろんヒューストンも大事でございます。できれば両方置きたいのでございますが、同じ地区に近い所に両方置くことも全体のバランスから見ましてバランスがとれないところでございますので、今日のところ差し控えておるわけでございますが、テキサスを軽視いたしておるわけでは決してございません。
  31. 鶴見祐輔

    ○鶴見祐輔君 私ども考えておりますウィニペッグ、メルボルンとヒューストンは特段の相違だと思うのでございますね。テキサス州は政治的にはニューヨーク、カリフォルニアに次ぐ勢力を有し、経済的には現金を持っている点では、あるいはウォール・ストリートを凌駕するような勢いがあり、現に一昨年度米国一の鉄道ニューヨーク・セントラルの多数株を一日で買い取ってしまったというように現金を持っております。経済日本の必要とする綿の問題のみならず、いろいろな油とか鉄鋼とか石炭がどんどん出ておるというような経済上の諸条件があるのみならず、ことに私大事だと思うのは、アメリカの国政あるいは外交方針を決定する大きな要素であります国内の政治情勢からいいましても、ニューヨーク、カリフォルニアは非常に、イリノイとテキサスを比べれば、イリノイよりもテキサスの方が政治的な意味が多いと思う。下院も上院の議員もテキサスのヒューストンの方が多い。将来テキサスの意見というものが日本外交及び経済情勢に非常に大きな影響を持つという際に、ニューオルリーンズは経済上、文化上問題にならないと思う。ことに親日感が非常にいいところで、テキサスの親日感をわれわれがこれと提携してよく利用するということが、日米外交に非常に重要だと思う。昨年も私テキサスに行きましたら非常にみんなが熱心でありまして、これだけ日本関係の深い所に領事館を置かないのは不便で困るというのです。私はメルボルンやニューオルリーンズは大事だと思うのですけれども、テキサスとは問題にならないので、来年度はぜひテキサスに領事館を置くことをもう一度御考慮願いたい。テキサスの親日感情を十分お感じになって、そうして将来の友好の助けにしていただきたい。ことしは間に合わなかったのでありますが、来年はぜひこれは一つ特別に御研究を願いたいということを希望意見として述べます。
  32. 森下國雄

    政府委員森下國雄君) ただいまのヒューストンの問題は御希望に沿うように、よく一つ大臣とも相談をいたしまして、実行に移したいと、かように考えております。
  33. 羽生三七

    ○羽生三七君 外務省関係予算の問題ですが、まあお話を先ほど来承わっていると、予算がなくてということですが、私どもは外交の基本方針については見解を相当今の政府とは異にしておる。それは別として必要な予算というものがとれないというのは、予算査定のときみな落されるのですか。一体それで重光外務大臣はどういう努力をされておるのか。それほど国際的に重要な問題というなら、与党が一兆円予算の中でちっとばかりの金を削るということも私はどうかと思う、それほど重要なものなら。少しそういうことの認識が政府与党はあってしかるべきだと思うのです。どうも予算がない、予算がないと、いつも泣きごとをし過ぎる気がするのだけれども、どういう政治折衝をおやりになったか、予算編成の際に。
  34. 森下國雄

    政府委員森下國雄君) 御承知のように一兆円のワク内で割り振りをそれぞれ各省真剣にやっておりまして、私も実は外務省へ参りましていろいろ伺いまして、外務省予算というものがまことに前から比べますと非常に少くなっておるのには驚きました。いろいろあげて参りますれば経済活動に、外交に必要な経費だけ取り上げましても、これはゆゆしき大事だ。そのほか御承知通り外務省の報償費などというものも二億二千万円くらいしかないということを聞きまして、意外の感を深くしたのでございます。極力私ども大臣以下幹部が集りまして、大蔵省と折衝あるいは党と折衝いたしておるのでございますが、今年はそれでもただいま報償費の方で一億五千万円ほどふえまして、海外移住費の方も相当ふえまして、全体としては昨年よりはわずかな限られたる予算の中では少しふえたわけでございまして、各省予算と比べますれば、その率におきましては必ずしもふえてないことはないのでございます。ただ何しろ少い予算のワクの中から取り入れるのでございまして、すこぶる苦労はいたしました。大臣以下私ども、各局長、課長に至るまでみな真剣に説いたのですけれども、これはちょっと変なことですが、御承知のように、最初はそうだ、外務省はこういうことがなければだめなんだ、今の日本は平和外交一本でいかなければならないのだから、これは金は必要だと、初めはそう申しますが、だんだんしぼって参りますと、堤防が出てきたり、学校が出てきたり、道路が出てきたりいたしまして、みんな予算がそっちの方にいってしまいまして、外務省には選挙がないというような結論になって、投げた網の中に魚はもっとかかっているはずなのに、あげてみたら小さな魚しかかかっていなかったので、政務次官はなはだ大きな口をきいて面目を失したような次第でございます。しかしながらこれは平生において常に外務省が努力が足りないと思います。それで平生は、党内はもちろん議会の皆様の前にもやはりわれわれ外交問題、国際問題の実情をあらゆる機会に述べて、また国民にもそういうことを述べて、来年度の予算は必ずこれは少しふやしていただいて、国の活動に必要なことだけはどうしてももらおうという決心で考えておる次第でございます。
  35. 山川良一

    委員長山川良一君) ほかに御発言ございませんか。
  36. 加藤シヅエ

    加藤シヅエ君 ここに今問題になっております特派大使派遣のときの費用というのは、予算はどういうことになっていますか。
  37. 森下國雄

    政府委員森下國雄君) 外務省の旅費の中からひねり出しております。
  38. 山川良一

    委員長山川良一君) ほかに御発言ございませんか。御発言がなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 山川良一

    委員長山川良一君) ちょっと速記とめて下さい。   〔速記中止〕
  40. 山川良一

    委員長山川良一君) それじゃ速記つけて。  次に国際情勢の調査をいたしたいと思いますが、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  41. 羽生三七

    ○羽生三七君 今朝の新聞に日比賠償のことが相当伝えられておるのですが、新聞報道によると字句の点で日本側が渋っておるだけで、原則的にはほとんど了解の線に達した、最後的には鳩山総理の書簡が出ればそれでいいのだというふうに、そこまで進んでおるように伝えられておるのですが、もう少し詳細に進行状況をお聞かせ願いたい。
  42. 森下國雄

    政府委員森下國雄君) この問題はきわめて秘密裏の間に進められて参っておりまして、詳細はアジア局長がその担当をいたしておりますので、アジア局長から詳細に説明いたさせます。
  43. 中川融

    政府委員(中川融君) 日比賠償の経過でございますが、御承知のように八月十二日に先方の大統領から日本の鳩山総理あてに正式提案がございました。その提案はすでに新聞にも出ておりますように、きわめて簡単なものでございます——従いまして、その簡単なものがどういう意味であるかということにつきまして、マニラにおきまして日本の在外事務所長と先方のネリ大使との間に、それから約半年近くになりますが、その間その解釈問題につきまして話し合いが行われてきておるわけでございます。解釈問題でございますので、その根本的な問題についての話し合いが行われておるわけじゃございませぬが、いろいろやはりこういう段階になりますと、一見小さなような問題でありましても、解釈上やはりいろいろ双方の間の意見の調整ということが必要になって参りますので、そういうことが六カ月間行われて来ておるのであります。この間に相当いろいろの問題につきましての意見の調整等も行われておりますが、まだしかし全体的に話がすっかり妥結したというところまでにはきていないのであります。従いまして、今朝の新聞あたりの、先方のたとえばガルシア副大統領の発言としてほとんど大綱がきまった、実質がきまった、表現の問題が残されておるというような発言がありましたが、これは私はどういう意味で言っておるのか、われわれただ新聞を見ておるだけでありますので、必ずしもフィリピンが全面的に日本側の見解に同調したというような意味合にとるのはまだ早いのじゃないか、交渉は依然としてまだその解釈問題について引き続いておる、まだ最終的結末はついていないというふうに御了承願いたいと思います。なお、そういう問題につきましての解釈の問題には、大体話がつけば日本側としてもこれについて鳩山総理から返事を出すか、あるいはさらに協定文について協議をするとか、そういうまた新しい段階に入ることになると思うのであります。その段階がいつくるかということは、先ほど申しましたように、まだ話が最終的にきまっておりませんので、予測はいたしかねますが、政府としては、できるだけ早くそういう段階に持ち来たらしたいというふうに考え、努力をいたしておるのであります。
  44. 羽生三七

    ○羽生三七君 まあ、今内容的にいろいろこまかいことを聞くのは無理であると思いますが、おおまかな点で、前内閣と対比されて、鳩山内閣になってからきまった数字がこうであるといって昨年来問題になったようですね。大体おおまかになっておるあの線です。内容的なことはかまいませんが、おおまかにいって昨年来報道されておる線そのままに近いものをのもうとしておるのか、その辺のところはどうですか。
  45. 中川融

    政府委員(中川融君) ただいまの御説明の一番最初に申しましたように、八月十二日に先方の大統領からきました提案、これは賠償五億五千万ドル、さらにそのほかに民間ベースの借款のワクとして二億五千万ドルということになっておる。その五億五千万ドルの支払い方法として、二億五千万ドルを十年間、残りの三億ドルをそのあとの十年もしくは両国政府間できめらるべきそれより短い期間という大綱がきておるのでありますが、要するにあの大綱についての解釈問題を今マニラでやっております。それから御想像いただけるかと思いますが、大綱が根本問題でなくて、これについての解釈問題をやっておるというふうに御了承願いたいと思います。
  46. 宮澤喜一

    宮澤喜一君 ちょっとそれに関連いたしまして、これは日本国内の意思が必ずしも統一したものはございませんし、フィリピンの考え方は、さらにまたそれとも本来離れておったものでございましょうから、非常に外交交渉がおやりにくいだろうし、それなりに苦心がおありになるということは十分お察しいたしますから、私も羽生委員と同じように、今内容についてもちろん承わるつもりはないし、これは行政権の明らかに範囲内でありますが、ただ私どもとして考えておく必要がございますのは、最後に協定がどうにかの形でできまして、それが国会承認を求めるという形になりましたときに、行政府の意思と立法府の意思とが非常にかけ離れる結果になるということは、本来ならば避けた方が望ましいわけでありますから、そこで、そういう観点からだけお伺いをいたしますが、おそらく今の民間ベースの借款というような問題について、その性質その他それをフィリピン側の考え方と日本側希望というものをどういう形ででも一致させなければならぬ。本来ならば非常に一致しにくいものでありますから、それをネリ大使日本側の卜部事務所長代理でありますか、いろいろな文書の形を通じて一致させるように御苦心をなすっていらっしゃるだろうと思うのです。そこで今やっておいでになることは、ただいまの局長のお話から伺いますと、これがかたまっていけば、協定文に入る云々ということでありますから、協定文以前のことをやっておいでになる。両方の考え方を一つにしよう。でありますから、おそらくこれは口頭だけでなくて、何かの形の文書、少くとも書きもので両方の考え方をまとめようとしておられるのだろうと想像いたしまするが、これはお答えは必要でございませんが、想像いたしますから、そこでどうしても何か上手な表現を考えなければならぬということに帰着をしてくるだろう。私はしろうとでございますから、専門のことはわかりませんけれども、そういうふうに考えざるを得ませんので、そういたしますと、どちら側かに無理が出てくる可能性がある。それが向う側がその無理を最後までかぶってくれれば、わが国としてはそれでよろしいわけでありますけれども、場合によって無理な点を表現で適当に通してしまうということに帰着しやすいのではないか。こういうことを申し上げるのは、あまり適切な例ではございませんけれども、先般タイとの間に一つ係争が起っておるわけで、これは表現に日本側の落度があったというふうには思いませんけれども、しかし疑いやすいような表現をできるだけ避けなければならぬということのまあ一つの例に近いものになりはしないか。昨年外務大臣がアメリカに行かれましたときの最後の共同声明の日米両文をめぐっていささかの問題が世上にあったわけでありますが、そういう過去の例にもかんがみまして、及び現在外務省のやっていらっしゃる交渉というものが本質的に非常にむずかしい無理を含んだものでありますだけに、どうか将来に問題を残さないような形で両者の意思というものをまとめることに御努力を願いたい。そう言ってはなんですが、昔でありますと、東南アジアの国に対しては、多少勢力関係から日本として若干の無理をして通したということがあったわけでございますけれども、そういう立場にございませんし、あとに問題を残しますと、せっかく友好的にまとめたはずの話が、先般のタイの問題のような結果になってきやすい。私も抽象的にしか申し上げる方法がありませんし、何でありますけれども、そういうことを、特にこれは言葉づかいの問題でありますけれども、今の卜部さんとネリ氏がやっておられることが、今後協定文を書かれ、そしてそれを将来解釈する上でのおそらくガイディング・プリンシプルになりますので、日本側として疑いを生ずるような表現はできるだけ厳密に避けていっていただきたい。それじゃ話がまとまらなくなるぞとおっしゃるのでありますか、どうでありますか、そういうことでありますと、まとまった話というのは、そもそもはなはだまとまりが怪しいということにならざるを得ませんので、これは御質問を申し上げるよりは希望でございますが、もし御感想があればお述べをいただきたいと思いますし、おありにならなければそれでけっこうです。
  47. 中川融

    政府委員(中川融君) ただいま宮澤委員の御指摘になられました点、これはこの日比交渉に当っておりますわれわれとしてもっとも適切な御注意であると感謝いたす次第であります。われわれとしても日比賠償ということが非常に重大な問題でありますので、将来双方の考えが文書の解釈をめぐって食い違うというようなことがないようにやりたいと思っております。タイの場合の例を御指摘になられましたが、タイの場合につきましても、われわれは解釈上そのような考えの相違が出るということは全然予想していなかったのであります。非常に意外の感を持っておるのでありますが、フィリピンの今度の交渉に当りましては、すでに約八カ月ぐらいにもなる。この段階に入りましてからも六カ月ないし八カ月ぐらいになる交渉でありまして、その間この問題ばかりを要するに卜部、ネリ両氏がやっておるのでありまして、従って単に字句上の妥協によって問題を解決するというようなやり方ではなくて、むしろその根拠になる実態についての考え方を調整しておる、解釈を一定していくというふうなことで過ぎておりますので、文字はもちろん、それを表わすための文字はどれくらいかというようなことになってきております。従って御心配になられましたような点はないものと確信いたしておりますけれども、なおこの上ともそういう点につきましては十分注意して慎重に進んでいきたいと思います。
  48. 山川良一

    委員長山川良一君) 他に御発言ございませんか。
  49. 曾禰益

    曾祢益君 これは質問じゃないのですけれども、資料として出してもらいたいのですけれども、これはほかのソースでも手に入らないことはないと思うが、ソ連の共産党の第二十回の大会の、これは完全な報告書でない、プラウダに出ている程度でけっこうですが、日本文で、全部でなくてもフルシチョフの一般報告とか、そのほかミコヤンのやつとか、重要なやつがあると思うのです。プラウダに出ている程度のものを一つ資料として出してもらいたい。それから第二には、これはちょっと新聞で読んだので、実際真相は知らないのですけれども、外務省の方で最近いわゆる中共に関する評価というようなものが出た。非常にいいものだと新聞に書いてあるのです。そういうものがおありでしたら、これも一つ資料としてわれわれ委員にお配りいただきたい。その点いかがでございましょうか。
  50. 法眼晋作

    政府委員(法眼晋作君) 第一の点についてお答えします。お話の共産党大会における資料は、今私どもの方で実は詳しいやつを作っておりますので、実はプラウダに載っているものは六時間に及ぶフルシチョフ氏の演説でございました。これは全部訳すのは相当時間がかかると思います。しかし御希望の点につきましては、できるだけ早く提出いたしたいと思います。
  51. 中川融

    政府委員(中川融君) 第二の中共に関する資料の点でございますが、先般新聞に、外務省が中共分析と称する調書を作ったということで、その内容なるものが、梗概書きのように出ておりました。これは当時外務大臣からも、衆議院の席上であったかと思いますが、明らかにされたのでありますが、外務事務当局の一部課において、常時中共の情勢等について調査しておることは事実でございます。しかしながら、そういう調査の結果というものは非常にデリケートな問題になりますので、外務省の執務参考だけにしておるのでありまして、外務省外にお配りする趣旨のものではないのでありますので、新聞に出ましたものと、それとの関係その他につきましては、その当時外務大臣からも説明がありましたが、決してこれを出したとか、何とかいう趣旨のものではないのであります。新聞記事は新聞記事、外務省調査外務省調査と全然別ものとお考え願いたい。従ってこの調査の結果を資料として御配付することは差し控えさしていただきたいと思います。   —————————————
  52. 山川良一

    委員長山川良一君) ほかに御発言ございませんか……。それでは在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を重ねて議題に供します。  本案は質疑は終っておりますので、これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようですが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 山川良一

    委員長山川良一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決にはいります。在外公館名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  54. 山川良一

    委員長山川良一君) 全会一致でございます、よって本案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条によりまして、本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長提出すべき報告書の作成、その他自余の手続につきましては、慣例によりまして、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 山川良一

    委員長山川良一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見署名     宮澤 喜一  後藤 文夫     羽生 三七  須藤 五郎     大谷 瑩潤  鶴見 祐輔     黒川 武雄  曽根  益     野村吉三郎  加藤シヅエ   —————————————
  56. 山川良一

    委員長山川良一君) それでは次に、先ほど提案理由を聴取いたしました航空業務に関する三件、国際民間航空条約に関する二件の質疑に入りたいと思います。  以上五件について御意見のおありの方は順次御発言願います。
  57. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この法案と関係ないことですが、私たち一昨年ですか、SASと言っておる航空会社のあれですが、モスコー、北京を通過して日本に乗り入れる話があって、北京まで来ることは何とか両国承認されたらしいのですが、日本へ北京から来ることが、日本側によって拒否されたというお話を伺っておるのですが、もしそういう事実があったとすれば、そのSASが北京を通過して日本に来ることを拒否した理由はどういう理由なんですか。
  58. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 航空局の国際課長であります。SASは御承知のようにスカンジナヴィア三国が作っておる航空会社でありますが、私たちのところに参りました情報では、SASはまだソ連とも中共とも航空協定締結いたしておりません。従いまして、SASが北京まで来る権利を中共との間にとったということはまだないのではないかと思っております。
  59. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、将来そういうことが起った場合はどういうふうに出られますか。
  60. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 将来スカンジナヴィア三国がソ連及び中共との間に航空協定ができて北京までもし来た場合に、それを日本への延長を許すかと、そういうことでありますか、それは外務省の方から……。
  61. 中川融

    政府委員(中川融君) ただいま航空局の方から第一問について、第一のお答えで申し上げました通り、まだ現実の問題として起きていないということでありますので、その際におけるいろいろな情勢を勘案いたしまして、何かと政府の態度を決定いたしたいと思います。
  62. 山川良一

    委員長山川良一君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ありませんか。
  63. 曾禰益

    曾祢益君 さっき遅れて恐縮なんですが、日航の国際線に関する現在の大体三件に関する御説明があったかと思いますが、もう少し一般的な日航の今後の路線拡張に関する計画について説明を聞きたいと思います。
  64. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 日本航空の路線拡張に関します計画は、昭和三十一年度、次会計年度におきまして、現在太平洋線を週三便やっておりますのを週四便にふやします。それから現在香港まで、東京——香港間をやっておりますのをバンコックまで延長いたします。これは週二便でございます。それから現在東京——沖縄間の直通をやっておりますのを、できましたら廃止いたしまして、これを福岡——沖縄間に切りかえる計画でございます。  以上が昭和三十一年度の計画でございます。
  65. 曾禰益

    曾祢益君 もう少し基本的な計画というか、長期計画というふうなものは何か考えておられるだろう思いますが、これはまあ予算関係でないのですが。
  66. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 長期計画といたしましては、これは航空当局としては計画はございますが、政府としてはまだ御説明できる段階に至っておりません。これはまあ予算関係でございます。ただいまのところDC4が七機、これは全部国内線に使っております。DC6Bが五機、これは全部国際線に使っておりますが、予算的に成立いたしました新規購入計画といたしましては、6Bクラスをさらに四機、DC8、これはジェットでございます。DC8を一九六〇年に四機手に入るように発注いたしております。
  67. 曾禰益

    曾祢益君 従ってまあそういうわけで、これは航空局のあれとしても路線をこの次は大体どこを延ばしたいという、これは政府の意思決定はできていないと思うけれども、次の計画はどういうふうになっておりますか。
  68. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) これは航空局としての計画でございますか。
  69. 曾禰益

    曾祢益君 ええ。
  70. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 航空局としては、第一次的にはロンドンへの定期をすみやかに開きたい。それでバンコックまで昭和三十一年度まで延ばしますのもその第一歩でありますが、できましたら来年度あたり、再来年度には確実にインドまで延ばしたいと思っております。
  71. 曾禰益

    曾祢益君 外国人の航空士というのは一体いつごろまでに全部帰せるような計画になっておりますか。
  72. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 外国人はまだ三十名ばかり日航で雇っておりますが、これは全部国際線の機長その他に使用いたしております。国内線は全部日本人に切りかえて、この国際線の機長も二年以内に順次日本人に交代いたしまして、二年たちましたら全部日本人になる予定でございます。
  73. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私が聞いているところによりますと、ある日本の航空会社が、将来中国本土に行くために準備をしておるということを聞いておるのでありますが、そういう事実はありましょうか。
  74. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 中国本土に行くという意味が、定期を中国本土に開きたいというもし御質疑でございましたら、ただいまのところ会社のごくラフな計画として計画している会社があるかもしれませんが、まだ表立った計画はございません。ただ引揚問題が起りましたり、それから中共との間にいろんな民間使節が行き来しますときに、中共に飛行機を飛ばしたいということで相談に来られたことはたびたびございます。
  75. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういうことが将来起った場合は、あなたの方の見解はどうなんですか。中国本土に定期を出そうというような考え日本の飛行機会社から要請された場合、どういう態度をとられるか。
  76. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 定期の問題は御説明申し上げましたように、現実の問題として起っておりませんし、定期を開きますには御審議願っておりますような航空協定が必要でございますが、航空協定を結びますには、その前提としまして、一般外交関係ができていないと航空協定はできませんので、今のところ定期は実現が不可能じゃないかと考えております。
  77. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今度の日仏協定日本フランスとの協定の中には、すでに中国本土ということが書き込まれているわけなんですね。これはどういうことですか、この付表の方にちゃんと出ております。「東京−大阪−福岡−沖縄−中国本土内の地点」と……。
  78. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) これは将来この中国との間に航空協定ができまして、この間の実際の定期が開けるときに、フランスがこの中国本土内の地点を取得するという意味であります。
  79. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは何ですか、日本と中国との間にそういう協定ができた暁ということなんですか。これは日本フランスとの協定なんじゃないですか。
  80. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) 申し上げました趣旨は、着離権の実現がございますね、日本と中共との間に航空協定ができましたときに、フランスはこの中国内の地点を経由して日本に来ることができるわけであります。
  81. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、この日仏協定というものは、日本と中国とがそういう協定ができないから、これは実現できないものだということなんですか。
  82. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) それまでの間は、路線にあります中国内の地点というものは実現しないわけであります。その他の路線はもちろん直ちに発効いたします。
  83. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、現在中国との協定ということも仮定においてまあ考えられておるということですね。
  84. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) その通りでございます。
  85. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、それができるまでは中国本土は通らないでの協定ということなんですか。ここにある注(2)に「今後の合意により定めるものとする。」と書いてありますが、これはフランス日本との合意によって定められ、中国と日本との関連などは関係があるごとく、ないようにも書いてあると思うのですが、この文章を見ますと、フランス日本との合意の結果やられるというふうに書いてあるのです。
  86. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) これは地点を具体的にどこにきめるかをフランス日本との間の合意できめるという意味でございます。
  87. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 でははっきり聞きますが、この中国と日本との間の関係が起った後において、それからフランスとの合意によって相談の上できめると、こういうことなんですね。
  88. 沢雄次

    説明員(沢雄次君) その通りでございます。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一つ聞きますが、これは完全に日本フランスとの間をしようと思えば、中国と日本との協定を結ばなかったらば、完全にできないと思うのですが、日本外務省にはそういう意向があるわけですか、中国との間に……。
  90. 下田武三

    政府委員(下田武三君) 日本フランスでも、ほかの国の協定でもそうでございますが、その目的は両当事国間の発着する航空協定の路線を開くということが目的でございまして、その発着地点間のいろいろな国を通りますし、その国とは実は別の航空協定、また少くも乗り入れる場合は、行政的な許可を必要とするわけでございます。フランスは、東京フランスとの間の各国との間に航空協定締結いたしておりますから問題はございません。日本から見ますと、バンコック、インドとの協定ができております。しかしその先のカラチでございますとか、あるいは中近東の国、スイス等の国とはまだ協定ができていないのでございます。でございますから、中共のように、まだ承認していない国も、あるいは日本承認し、その国交関係のできている国でも、実は日航が具体的に乗り入れをする際には、事前に協定締結し、または行政的の許可を取りつける必要があるわけでございます。その点は、中共であるために別に特別の相違はないわけでございます。
  91. 山川良一

    委員長山川良一君) 他に御質疑はございませんか……。それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会    ————・————