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1956-04-17 第24回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十七日(火曜日)    午後二時三分開会     —————————————   委員の移動 四月十四日委員青木一男君及び石坂豊 一君辞任につき、その補欠として仁田 竹一君及び三浦義男君を議長において 指名した。 本日委員川村松助君及び竹中勝男君辞 任につき、その補欠として山本米治君 及び大和与一君を議長において指名し た。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            岡田 信次君            木島 虎藏君            早川 愼一君    委員            仁田 竹一君            平林 太一君            三木與吉郎君            内村 清次君            大倉 精一君            小酒井義男君   政府委員    運輸政務次官  伊能繁次郎君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選道路運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○倉庫業法案内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 運輸委員会を開きます。  まず、委員の変更を御報告申し上げます。四月十四日青木一男辞任仁田竹一君が補欠石坂豊一君が辞任三浦義男君が補欠、四月十七日竹中勝男辞任大和与一君が補欠川村松助君が辞任山本米治君が補欠選任せられました。  理事補欠互選に関してお諮りいたします。木島委員運輸委員辞任されまして、再び委員に復帰されましたが、理事が一名欠員となっております。この互選成規の手続を省略して、便宜その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認めます。それでは私より木島君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 道路運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  引き続き、質疑のお方は御発言を願います。
  5. 平林太一

    平林太一君 数をちょっと伺っておきたいのです。対象になっておりますトラック自家用というのは、どのくらいの数になっておりますか。
  6. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) トラックのうちで自家用数字につきましては、私の手元に現在ございますのは三十年十三十日の記録でございますが、普通車につきましては、自家用車は十一万一千両でございます。小型の四輪につきましては八万三千両、小型の三輪車につきましては三十七万五千両、牽引車につきましては三百九十六両、非牽引車につきましては九百五十両でございまして、総計いたしまして三十年十月三十日現在で五十七万両でございます。
  7. 平林太一

    平林太一君 事業用トラックと称するものですね、これはどのくらいありますか。
  8. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 事業用トラックにつきましては、ただいまのような数字を省略さしていただきまして、総数を申し上げますと、十月三十日現在におきまして八万九千両でございます。
  9. 平林太一

    平林太一君 そこでこの自家用トラック事業用トラック貨物輸送に対する限界、こういうものはどういうふうに御解釈になられておるのですか。
  10. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 意味がちょっと聞きとれないのでございますが。
  11. 平林太一

    平林太一君 事業用トラックとそれから自家用トラック、これの輸送貨物ですが、輸送に対する限界ですね、これは自家用と常に言っておるし、一方は事業用と言っておりますが、輸送に対して一体どの程度か。つまり自家用車事業用に今度認証制を設ける。逸脱ということになりますけれども、結局その自家用トラックが逸脱する行為を、事業用トラック範囲を侵害する、犯す、こういうことがこの焦点になっているようですが、その限界はどういうふうに解釈をなされるか。
  12. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その限界はすでに現在の道路運送法できまっておるところでございまして、自家用車と申しますのは、いわゆる自家需要自分荷物を運ぶものが目次川でございまして、営業用といいますのは、他人のために貨物輸送することを業務としておる事業事業用といっておりまして、おのずから現在でも明らかになっておるところでございます。
  13. 平林太一

    平林太一君 これは自家用トラックはただいま八万台、こういうふうに伺っております。それから自家用が五十万台、こういうわけですが、この事業用トラックの八万台というもので、この現在の日本全体の輸送使命というもの、そういうものをこれで十分達成しておる、こういうふうにお考えになっておるかどうか、それを伺いたい。
  14. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 現在トラック輸送力が少くて、輸送に困難を来たしておるという事実はございませんし、貨物というものは年々、経済の伸びるに従いまして、ふえて参ります。その意味におきましては、自家用営業用ともに将来日本経済の伸びに従ってふえるべきものとわれわれ考えておりますが、現在のところ、この営業用トラックにおきまして、輸送が非常に困難になっておるという現状ではないように私ども考えております。
  15. 平林太一

    平林太一君 これは僕の考えでは、八万台という程度のものでは、これは円滑な輸送が行われていない、こういうふうに想像するわけなんです。そうしたことがこの自家用車便宜、つまり交通輸送の臨機の処置をみずから認めることでなくして、いわゆる荷物輸送しようとする目的荷主、そういうものの要請によってこれが若干、つまり自家用車から事業用トラック輸送に延長されている、こういうふうに思いますが、この点どういうものか。
  16. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その場合に、現在の法律におきましても、有償においてそういう輸送をすることは禁止されておるところでございまして、そこがやはり免許事業であるということの本質でございますが、もしもそういう輸送要請があるならば、やはり何と申しますか、そういう仕事をするためには、現在の法規によりましても、免許を受けて仕事をしなければならないわけでございます。その道は開かれておるのでございますので、われわれといたしましては、そういう必要がある地区があれば、免許をやはりとってやるのが正当であるというふうに考えておるわけでございます。
  17. 平林太一

    平林太一君 そうすると、この事業用トラックに対して八万台、これは数を聞いてみますと、非常に常識上の判断からいってきわめて少い。これに対して、この法律自家用車を今度はきびしく、事業用とみなされる行為を禁止する、こういうことになるわけですが、この場合、事業用トラックのさらに十万台ないし十一万台を事業会社政府が強制して、そうしてそれを措置するところの御用意があるかどうか、その点伺っておきます。
  18. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 先ほどから申し上げておりますように、自家用営業用という使命が分れておるわけでございまして、現在やっておるということも違法行為でございます。認められてないわけでありまして、認証制というお話がありますが、私どもの御提案申し上げておるところではまだ入っておらないので、その内容につきましてはまだ十分御説明する段階ではないと思うのでございますが、その場合でも、現在もそういう自家用有償他人の物を輸送するということは禁止されておるわけでございまして、もしもそういう必要がある場合には、現行法によりまして免許を受けて事業をするという建前になっておるわけでございます。先般も当委員会におきまして御説明申し上げたと思うのでございますが、その場合にはしゃくし定木免許をいたすことは現行法でも考えていないわけでございまして、実態に即して、あるいは大都市における貨物輸送、非常にへんぴな地方における貨物輸送というものは、事業の規模におきましても実情に適するように考え免許をいたしておりまして、相当数の一両、二両、あるいは三両というふうな事業免許もいたしてきておるわけでございます。
  19. 平林太一

    平林太一君 後段の一両、二両を免許させる、こういうことを今お話しになるが、これは実質上においてはその事業用——事業関係会社がこういうものに、いつも免許に対して、いわゆるこれをさせないようにする。そういういわゆる一台、二台というような個人企業ですね、個人企業トラック輸送業者というものは、地方実情からいうと、非常にそれが、事実はそうなっておっても、実際には非常に行われていない。第二には、あるいは免許を受けたとしても、一台、二台ぐらいのトラックを持っておる個人企業者は、事業用会社の傘下に入らなければ仕事ができない。これは実例をあげますれば、たとえば奥地山林木材輸送する、その場合トラックに積載する木材というものは、いずれにしても重量のものを多人数でいわゆるトラックに積載する。それで積載して半ばぐらい積載したときに、そこへ事業用トラックが入ってくる。そうすると、それは事業用トラックの方が優先だというので、通運会社の場合には特にはなはだしい。そうして御時間かかったものを交代さして、そうしてやる。こういう事態が非常に多い。  このことは自動車局長は現地の実情を御存じないから、そういうことなんですが、この問題は今度陳情トラック協会の方から殺到しております、僕らの所へ。これを読んでみますと「もぐり自家用トラックは増加の一途を辿っておる。われわれ事業用トラックは崩壊の寸前にある。道路運送秩序、ひいては社会秩序を乱すもぐり自家用車の一掃、予防措置として、自家用トラック認証制を設けることは絶対に必要です。これに反対するのはもぐり自家用トラック擁護からである。正常な事業国民経済に役立ち縛るよう、今回の道路運送法改正に特段の御配慮を賜わりますようお願い申し上げます。」これは全国のいわゆる事業用トラック。その反面に、いわゆる自家用トラック所有主というものは一枚の陳情もしてこない。われわれから見ますれば、いわゆる自家用トラック事業用トラックも、みな平等なるいわゆる国民です。これは非常に考えなくちゃならない。同じ善良なやはり一つ事業家であります。自家用トラックと称するが、決してこれは狭義のいわゆる自家用と限定すればそれまでなんですが、一つ事業なんです。いやしくもトラックを所持するということは、そこに自家のものを運搬するという一つ事業というものを構成して、トラックの必要を生ずるわけです。事業意図とか目的とかいうものがなければトラックを持つ必要がないわけですから、その点は非常にこれは、こういうものを改正するということ、あるいは新しく法律を作るということは、もう改正は改悪ですね。それからこれを新しく作ろうということに至っては、ことさらに何か政府としては功をあせる。いわゆる交通秩序を完備し完璧を期そうという意思はよくわかるわけです。しかしながら非常に功をあせる。そういうことを一日一時を争ってやる必要は、今日の輸送の状況において、僕はないと思うのです。そうして世の中のことはそうしゃくし定木に、いわゆるすみからすみまで、昔の人が言う通り、重箱のすみまで物を探し出して、そうしてそれを処罰していくというようなことは、非常に今日日本全体の政治の上において私は慎しまなければならないと思う。戦争以来十年にして、かような法律がなくも、今日これだけのめざましい復興を再現しておるわけです。  これを新しく設けたからといってこの陳情から見ると、いかにも何か社会秩序の混乱だとか称している。それでしかももぐりと言っているが、われわれからいえば、無礼千万である。自家用車もぐりだなんて、人格権のいわゆる侵害なんです。一つ企業の自由というものであります。これがわずかに八万台のトラック業者が五十万台の自家用車の、それもいわゆる事業に専念しておるのではない、自家用の片手間にそれぞれの荷主から頼まれて、そうしてそういう輸送の円滑をはかっておる。そういうことは大目に見のがすところに政治の全体の円滑ないわゆる善政というものが成り立つわけなんです、ぼくから言いますると。いかにもはっきりして、自家用というものと事業用というものをそう区別する必要はないわけなんです。それならこれらのトラックが、いわゆるトラック業者が、鉄道はそれならどうするのかと、本来いえば、これらのトラック業者鉄道貨物輸送はやめてくれ、そうしてわれわれがひとり繁昌しょうと、こういうような意図にさえ逆に考えてくればできるわけです。しかし、鉄道輸送に対してはその力及ばないから、一つの権力の上からも、あるいは実質上において鉄道輸送に対して耐えられるような準備を持っておらないから、そういうことを言うわけです。  この点、自動車局長は、これは内閣自動車局というものの性格というものは、単なる一つ事務的な技術的なものではない。ぼくは高く評価したい、自動車局及び自動車局長の持っておるところのいわゆる使命というものをですね。非常にそういうような自動車局というものは自動車の全体の何か元締めであるとか、その令部の総大将であるとかというようにぼくは考えない。りっぱな政治事務を並行してやるのがいわゆる自動車行政であるので、そういう点についてちょっと承わっておきたいと思います。
  20. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 法の運用についてのお話だろうと思います。私どもも、法律がありまして、自家用というものは自家用分野営業用におきましては営業用分野というものが画然と区別されておるわけでありまして、そういうふうに整々と行われるということが、輸送秩序を確立し、ひいてはそれが自動車運送の総合的な発達になると、こういうふうに考えており、また法律の規定もそうなっておるわけでございます。ただいまのお話は、その場合に自家用が違反しても規矩準縄にとらわれて処罰することだけが法の運用ではないというお話でございまして、私どもといたしましても、まずそれがなからぬことを望んでおりまして、そういうものが発生をいたしましても、ただ処罰をするということでなくて、そういうことのないように努力をするということはもちろんでございまして、できるならばそういうことを注意して済めばそれにこしたことはないわけでございますが、なかなか悪質な場合にはやはり法規を発動するということもあるわけでございまして、その点につきましては、法の運用を十分円滑に、また厳正に行うように心がけたいと思っております。
  21. 平林太一

    平林太一君 それなら、大前提に、なぜ今日までこういう問題を放置しておったか。いわゆる法律々々とおっしゃるが、なぜこの処置法律制定の際にいたしておかなかったか。
  22. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 二十六年にその有償制を付加いたしましたときには、事業としてそういうふうにいわゆるもぐり運送をやるということは許されないことであるからということで、有償制を付加したわけでございますが、その後の実績によりますと、法の盲点に籍口して、初めから自家用荷物を送るというのではなくて、他人荷物を送るということを偽装いたしまして、料金以外の方法で金をとるというような事例も相当多く現われて参りましたために、今回の有償制を取る法の改正を御審議を賜わっておるわけでございます。
  23. 平林太一

    平林太一君 そうすると、二十六年というと、七年、八年、九年、三十年、三十一年と五年ある。今初めて発見なさったのですか。二十六年にそういうことをなされて、そういう処置が行われて、そうして一年たち二年たつと、少くとも二十八年ごろにはそういう事態はもうはっきりしておるはずです。それをなぜそのときにしなかったか。今日五年も六年もたって、そうしてこれは一つ社会習慣というか、ならわしと、こういうような状態になって、なじんできたのです。われわれの所へ事業用トラックがあまりにも陳情などが枚挙にいとまない。それだから、この法律意図は、これはあなた方がやるのではなくて、事業用トラック業者がこういうものを、いわゆる法律を、利益擁護のために、利益を独占しようとして、国家秩序とか何だとかいうことは、私どもからいいますれば、はなはだ越権しごくなんです。そういうことを何して、そうして一方には五十万台の自家用車輸送力をいわゆる減退さしてしまう。そうしてその反面にトラック業者のみ栄えようと、こういうふうにこれは考えられるのです。自家用車の中から五十万台が一斉に陳情に来たらどうなさいますか。これは自家用車の方は知らないからです。それから若干、今お話し通り、それは事業用との差別があるから、幾らかじくじたるものがあることは言うまでもないことであるが、そのじくじたるものがある。そういうものをそこにすきを与えておくのが、円滑なるところの全体の日本政治の発展ということになるわけです。法律によって一々そういうことをやるならば、法律を作ることごとに、日本つまり国力というものは全体的にこれは弱体化していくわけです。どういうふうにそれをお考えになられるか。これは別にあれだから、僕も賛否のことは、おのずからそういう問題について固執するわけではないが、大へんな問題だと思う。僕はこれは、こういうようなことは、順次日本のこういう企業というものが、大きな資本企業というものにそれを放置しておっても、中小弱小企業というものが大企業のために資本力によって圧倒される。しかもそれにとどまらずして、今度の法律によってつまり萎縮せしめていくことは、日本全体の、これは国の全体の問題として考えなければならないから、こう言っておるわけです。自動車局長、それを何かいかにもこれは法律違反をしておるのだ、それだから取り締るのだ。これじゃ、裁判所でこれはもし自家用トラックがその限界がどうだということで、行政訴訟を起すことにもなる。そういうことは、いわゆるこういうものを作る場合に、自動車局長としての広い視野の上からお考えにならなくちゃならぬ、こう思うのですが、これは陳情書自動車局長の所へも行っておりますか、トラック事業者から陳情は。
  24. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 最近陳情書も参っております。反対のものも参っておりますが、ただ申し上げたいことは、自家用自家用として荷物輸送をフルに行うことにつきましては、運輸省としまして全然それがいけないということではないのであります。逆に、自家用自家用として十分に活用するようにわれわれは望んでいるわけであります。その自分荷物があいておりますときに、他人荷物有償で送るという行為が、現在それも法規で禁止されておるところでございますが、その理由といたしましては、これまた営業中は営業としてそういう仕事をし、国家税金を払って、正当な料金でやっておるわけであります。ところが、そういう自家用車がいわゆる内職的にやりますと、非常に運賃もダンピングをいたしますし、そういうことでは税金もそれにはかからない、営業用税金がそれにはかからないわけでありますので、営業用自動車の運行に相当の影響を及ぼすという趣旨のもとに、この法規でも禁止されておるところでございまして、その辺、自家用自動職というものにつきましても、運輸省が十分その自家用として活用されるように、われわれといたしましてはその面における配慮は十分今後ともいたすつもりでありますし、従来もそういうつもりでやってきたわけであります。
  25. 平林太一

    平林太一君 今あなた、局長お話で、自家用自家用としての荷物を運ぶことに配属するということは、そんなことはしてもらわなくてもいいのです。何も自家用自家用として自分でやっておるわけですから……。ただ、恵図するところは、自家用に、事業会社がこのように陳情してくる事業行為に類似したところの行為がある。しかしこれは自家用はどこまでも自家用である。だから、その限界が、ある程度事業用にひとしい行為をしても、そういうことは取り締ってはいけないのです。税金とおっしゃるけれども自家用の人だってみな、事業をしていれば税金を納めますよ。それじゃ事業用トラック税金総額はどのくらいになりますか。税とおっしゃるなら、金額を一つお示し願いたい。今の八万台の。
  26. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 今手元に持っておりませんので、調べましてお答えをいたします。
  27. 平林太一

    平林太一君 それははなはだ何ですね、私の考え方からいえば、不用意千万である。税の問題をおっしゃるならば、そういうものはやはりお持ちにならなければならない。それからこの事業法人税を出しておる。あるいは個人所得税を出しておる。会社でいえば法人税です。ところが、この八万台から上っておる国の法人税総額なんてものはりょうりょうたるものです、僕から推定したところによりますれば。その税を対象として、いわゆる事業用車を、擁護するということは、これは、われわれからいえば、そのずれが、これは非常にもってのほかのことなんです。どうです、これは。一体これは僕は、何といいますか、日本民主政治のためにこういうことは非常に不安で、それはこれだけの問題でない。しかしこれだけの問題を、それを生かすか殺すかの問題です。それを一つ承わっておきたい。
  28. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 自家用を、われわれの方の政府提案によりましては、そう圧迫するということは考えておらないわけでありまして、この有償制を取る問題につきましては、十分自家用組合等了解があっての上に提案もいたしておるわけであります。その辺、何かこの有償制を取ることによりまして、自家用を非常に圧迫するというふうにお考えでございましたならば、自家用組合にはわれわれの法律につきましては十分の了解を得ていたしたわけであります。
  29. 平林太一

    平林太一君 もう最後です。これはこの限界ということを僕はそう言っておきましたが、これはやはりそういうふうにやらぬ方がいいのじゃないか。やはり今まで通りで、今まで通りに生かしておいて、そして新らしく今何か目次用の方を——だんだん今のお話では、順次御答弁が柔らかになってきた。そしてある程度自家用のことも擁護する、こういうお話のように聞かれますが、それはそういうふうにしなくちゃいかぬのです。事業用自家用問題は、輸送という問題をあれして、事業用というものに独占せしめる。トラックは、自家用というものは、当然、トラックですから物を運ぶものですから、それを遊ばしておくということは、いわゆるそれが自家用以外に輸送をするところの時間があるならば、大いにこれは勤勉努力させるということが国策としてはきわめて大切なことなんです。それを押えればですよ、いわゆるそれだけ日本輸送というものはそれで減退するわけです。これだけの施設を持っていながら。そういう日本の今日の現状ではないのを僕は憂えるから、そういうことを……。もう賠償問題も払わなくちゃならぬでしょう。国のこの乏しい中から、あらゆる出費をあれして、この国の国力というものを充実していかなくちゃならない。だから、自家用というものが、働ける範囲最高度に働かせるということで、事業用自家用という区別はしてあっても、それをいわゆる働かせるという意味において、これ以上の現行自家用車及びその事業用トラックに定められている取り締りなり、法律なりを、現状のままでおけばいいのだ。それをあらためて事新しく、何かこの陳情から見ると、もぐりと言っておるのです。もうもぐりというものが、もぐりならもぐりでもいい。そればもぐりをさせることが国家的に有益である場合は、それをとるべきなんだ。そういうふうにさせることは全体のためになる。それが政治なんだ。こういうことをもぐりだからといって言うことによって、これを厳重なる取り締りをしていかなきゃならぬということは、国家全体の上からいって、非常なつまり国損であり、一大損失なわけなんです。それだけのことを申し上げ、これに対してあなたの最終的の一つの御答弁を伺っておきたいと思います、良心的な……。
  30. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 先ほどからたびたび申し上げておりますように、そういうことで違法行為を是認するということは、もちろんわれわれ法律によりまして行政をやって、おります君には許されないわけでありまして、その点は十分御了解を願いたいと思うわけでございます。またこの有償制の法の運用によりまして、これでは十分、善良な者よりも悪い、法をくぐろうという方方だけをそれは言い過ぎかも知れませんが、かえって法律に穴を作って悪いことをさせるというふうにするという悪弊が相当出て参りましたので、その点につきましては、十分各自家用組合その他とも連絡をいたしまして、もちろんそういう方々におきましても、そういう法律をくぐって悪いことをする人主擁護することは適当でないという御了解のもとに、私ども出しました今回の道路運送法の一部を改正する法律策に御賛成をいただき、もしもこの法律が実施になりましたならば、法律に御協力をいただくようにお話をつけているわけでございまして、いろいろお話の点につきまして行政運営を十分適切にやるということにつきましては、十分留意して行うつもりでございます。
  31. 平林太一

    平林太一君 そうすると、これですね、もぐり自家用トラックというのは、これは免許を持って、許可を受けて、そうして税金を払って、そうしてしないものをもぐりトラックというのか、そうして伺っておる僕の考えでは、もぐり自家用というのはそういうものではない。ちゃんと国の法律の手続をして、そうして一台のトラックを持ったことによって、自動車の税を、あなたがさつきお話しになるように納めておるところの業者である。しかし、たまたま中業用の、大企業、大商業のトラック事業用トラックというものは、これをいわゆる自称もぐりと称しておる。僕からいえば、もぐりなんというものではない、法律を犯すというようなことは、そういうようなことは、当然こういうことは世の中にあり得ることです。こういうことをやり始めたら、世の中の、全国の、幾ら法律を何千何万作っても、際限がないですよ。かえっていわゆる秩序というものが悪くなるということになりますね。これはどうですか。
  32. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) もぐりトラックと申しますのは、いろいろな態様がございまして、たとえば自分の訳業でトラックを持っておりまして、それが半分しか月に荷物を送る必要がない場合に、あとの半分をほかの人の荷物を有料で輸送するというような場合もありましょうし、あるいは全然自分事業にはトラックの必要がないのに、初めからトラック自分で所有いたしまして、免許を受けずに人の荷物営業車と同様に送る。いろいろな態様があるわけでございまして、そういう行為につきましては、このトラック事業というものが免許企業になっておりまして、これは公益を保護するために免許企業になっておるわけでございます。免許企業になっておるものにつきましては、免許を受けなくてはやってはいけないということは当然のことでございますので、われわれはまあそういう当然のことを行政官として、交通秩序を保つように運用していくというために、もぐりをしてはいけないということを言っておるわけなんであります。
  33. 早川愼一

    ○早川愼一君 ちょっと自動車局長にお尋ねしますが、「第六条の第三項に次の一号を加える。」つまり「適確に遂行するに足る能力を有するものであること。」こういう一号を加えられましたのですが、これについての御説明をちょっとお願いしたいと思います。
  34. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 第六条につきましては、特定免許事業につきましての免許基津の中に、現行法におきましては「当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力を有するものであること。」という条文がございません。一般自動車運送事業につきましてはこれが入っておるわけでございますが、なぜこれを入れたかと申しますと、特定という場合を考えますと、貨物でございますと、限定した貨物のみを対象とするもの、あるいは旅客でも限定した旅客を対象とするものでざいまして、その場合に、この「当該事業を自ら適確に遂行するに足る能力」と申しますのは、輸送の安全でありますとか、あるいは公衆に対するサービスという点におきまして、十分その事業を遂行するに足る能力を必要とすることは、ほかの事業と比べて変りないのではないか。特に今回の法令におきまして、輸送の賞金というような点につきまして、今後行政的に十分事故防止に邁進しようといいまするときには、そういう対旅客あるいは貨物輸送におきましても、十分やはり一般の事業と区別して考える必要はなかろうという趣旨のもとに、第三号をつけ加えるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  35. 早川愼一

    ○早川愼一君 この特定事業というものの性質から、従来はそういうものが要らなかったのじゃないですか。今度加えらたものですね。特定事業というものである。従って、利用者はその事業自体を信用して、一種の契約でそれを利用するという形になるのじゃないか。つまり一般のバス事業とかそういうのは不特定多数の人が利用するのだが、この特定事業に限っては特別な特定の人がそ会社を利用するのだから、しいてこの能力を入れる必要がないのじゃないかというような、一応矛盾した考えがここに現われてくるのじゃないかと思いますから、特にこれを加える必要があったことを一つ力説していただきたい。
  36. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) ただいまお話をいたしましたのが、われわれがこの特定事業につきまして改正をしようとしたわけでございまして、特にその必要と申しますと、事故防止の関係あるいは第三者に対する便益の供与につきまして、十分その経営者がそれをやることがいいかどうかというものも、やはり一応免許の基準として考える方が、第三者の公益あるいは国家的な事故を防止するという目的考え意味におきましても、免許基準というものが必要じゃないかということでございまして、その他におきましても、一般事業との間に従来差をつけておりました理由は薄いのではないかという結論に達しましたので、改定を依頼しておるわけでございます。
  37. 早川愼一

    ○早川愼一君 それではまあ特定事業というものの実態が、われわれとちょっと、自動車局なり運輸省で見られる考え方が若干違っているように思われるのですが、時勢の進歩で特定事業といえども非常に一般多数の人を相手にする事業になりつつあるという現状から、こういうものは必要だとお考えになったと理解してよろしいですか。
  38. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) ただいまお話しになりましたように、特定というものも相当多くなっておることは事実でございますが、本質的にいいまして、われわれ免許を取り扱っております場合に、事業遂行脂力というものは非常にま抽象的なものであるかもしれないのでございますが、やはりそういう点にまで十分注意をして事業免許考えるのが特定においても必要ではなかろうか。と申しますのは、特定におきましても、荷物なりお客さんなりが特定しているだけでございまして、輸送行為自体は同一でございますので、そういう法域につきましても、十分われわれとして慎重に考慮する必要があるという判断のもとに、第三号の修正をお願いしておるわけでございます。
  39. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の問題に関連しまして、交通事故防止対策要綱についてちょっとお伺いしておきたいのですが、この対策本部というのはどういう構成になっておるのですか。
  40. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 対策本部の構成は、大体におきまして各官庁の事務の連絡機関というような意味のものでございまして、関係官庁の、運輸省、警察庁、建設省、通産省という、われわれが集まりまして、いろいろ協議しておるわけでございます。
  41. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういう連絡事務機関だということなんですが、そこで策定された交通事故防止対策要綱の内容についての実効力といいますか、そういうような問題については何か特に措置をされておるのですか。ただこれが単なる作文、あるいは理想、目標に終ることなく、これを実際現実に励行するということに対して特段の配慮がおありになると思うのですが、その内容についてちょっとお伺いしたいのですが。
  42. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 内容は非常に広範にわたりますが、たとえば今回われわれが提出しております法案も、この会議の議題になりまして、いろいろ審議をした結果、各省も必要であるということでできましたものでございまして、そのほか実際上におきましては、従来路線中業におきまして免許申請をいたします際に公安委員会の意見を徴するというようなことも行われておらなかったために、事後に工合の悪いこともあったというようなことで、そういうところの意見も徴するようにいたしました次第でございます。あるいは今般も御説明申し上げましたように、自動車運送事業に対する監査規則というものも不備でございましたが、ここで各省いろいろ相談をいたしまして、私の方でも三十年十二月二十四日に作りまして、そういうものにつきましても、事故防止の見地から、事業監査というものをそういう点でやっていこうというふうないろいろな仕事につきまして、逐次実施に移りつつあるところでございます。
  43. 大倉精一

    ○大倉精一君 この連絡事務関係の中に大蔵省は入っておりますか。
  44. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) これは内閣の副長官が主催でいつもやっておるわけでございまして、大蔵省は私の記憶では入っていなかったのではないかと思っておりますが、はっきりいたしません。
  45. 大倉精一

    ○大倉精一君 この内容をちょっと私今見たのですが、内容において相当予算措置の必要な部面がたくさんあると思うのですが、そういうような点におけるところの問題はどういう工合に解決されるのか、たとえば取締りの強化をする、あるいはまた街頭の検査を強化する、あるいは検査官を増加する、こういうような人員増加の面もたくさん出ておるのですが、そういう問題についてはやはり予算措置が伴わなければできないと思うのですが、そういう問題に対する推進方法としてどういう工合になっておりますか。
  46. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) こういう仕事をすることについて必要な予算の点のお尋ねでございますが、それにつきましては、今国会に成立いたしました予算にも含まれている点も相当あるわけでございまして、一例を申し上げますと、ただいま申し上げました監査に対する費用はたしか五十万円入っておったと思います。そのほか全体的にこういうことにつきまして見たこまごましたものは相当入っておるわけであります。
  47. 大倉精一

    ○大倉精一君 内容についてちょっと参考のためにお伺いしておくのですが、二ページの「交通事犯の取締の強化」という所に、その(イ)の所に「交通事故の主要な原因となっている交通違反の取締を強化する。」、こうなっているのですが、この取締りを強化する内容はどういうような方法になっておるのですか。
  48. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) これは主として警察庁でやられるわけでございますが、結局これは交通違反というものに対して取締りの、何と申しますか、ルーズに流れると、先ほど警察庁の部長も説明いたしましたように、交通違反が絶えないので、その点におきまして交通違反というものについてさらに重点を置いて取締りをやって、交通事故のおもな原因であるそういう違反のないようにしようという趣旨であろうと思っております。私の方で直接やっておりませんので、警察庁が主管でこれはやっておるわけであります。
  49. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はそういうところをお尋ねしたかったのですが、ここで総合的な対策本部というものを設けられて、関係各省と事務的にいろいろ連絡されて内容を検討されていると言われるからして、この対策本部に関係しておられる方は、かりにそれが労働条件の問題にしても、あるいは警察の問題にしても、その他の問題にしても、みな御承知になっておると私は思うのですが、やはり依然としてそれは労働省の問題だ、それは警察の問題だというふうになっておりますか。
  50. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 御承知の通り、私昨今参りましたので、事務的に調べれば十分わかることでございますが、今手元にこの具体的な内容について資料がありませんので、自分でお答えできないわけでございますが、こういうことにつきましては専門家がおりまして、各省ともいろいろ相談してきめた案でございますので、その点につきましては十分連絡しておると思っております。私非常に不勉強でございまして、まだ十分勉強しておらない点もございますので、お調べいたしました上で、具体的にどういうことになるかということにつきましては後刻お答えさしていただきたいと思います。
  51. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はそういうことが非常にこの対策本部の仕事として大事な仕事だと考えるわけなんです。つまり警察の方では法規に従って何でもかんでも取締りをやればいいという観点に立つであろうし、あるいは労働者の方は労働問題については労働基準法がどうのこうのという主管問題もあろうし、また運輸省の方では交通安全その他の方からいろいろな展開があるだろうと思う。そういうような意見を互いに戦わし合って、そしてある特定の見解なり措置なりに流れることなく、いろいろ御相談なすって交通安全というものの強化をはかる、こういう工合になってこなければならぬと私は思うのですが、やはり依然として、今のお答えでいくというと、それは労働省の問題だからわからぬ、建設省の問題だから向うでやるのだということになれば、これは内容をずっと並べてあるのですが、それは結局各省が勝手に持ってきて、おれのところはこうやるのだ、おれのところはこうやるのだというようなことを羅列したにすぎないという感じを受けるのですが、そういう点はどうですか。
  52. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) この委員会を置きました趣旨が、各省の連絡を緊密にし、ただいま御質問のありました趣旨を貫くために置かれたわけでございまして、この委員会におきましては十分それらを検討した上できめたものでございまして、各省ともともに協力して事故の絶滅を期そうという、趣旨で、内閣においてこういう会議の指導をしておるわけでございますので、各省が、私答弁が悪かったのでございますが、ちょっと今具体的な内容につきましてお答えできませんので、その点はお許し願いたいと思いますが、十分それは連絡の上、分掌をきめて逐次実施に移そうということの趣旨でこの委員会はできたわけでございます。
  53. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはくどくお尋ねしませんが、ずっと見てみますというと、こういうことは処罰する、取締りを強化する、こういうものはこういう工合に規制する、これはこうやる、というのが非常に多いと思うのです。その原因となっておるものを探求する部面がちょっと薄弱なような気がするのですが、その中で、四ページの(ハ)の項、この項目を私は全体を通じて非常に大事な問題である、この問題をほんと、うに解決しなければこの対策は取締りに偏重した対策になってしまって、結局その原因を別決するということにはならない、こう思うのですが、この「適正な労働条件を考慮する」というようなこと、あるいは「屡々労働条件について重大な違反を犯す業者については」というようなこと、これは具体的にどういうようなことが想定されますか。「適正な労働条件を考慮する」ということは、具体的にどういうことになるのですか、参考のために伺っておきたいと思います。
  54. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 適正な労働条件で、われわれが免許の際に提出を要求いたします書類といたしましては、就業規則というようなものを十分調べますとともに、その労働時間、賃金制度というようなものも審査の対象とするように考えております。また施設面におきましては、十分な睡眠施設があるかどうかという点も審査の対象考えておるわけであります。
  55. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、この労働条件あるいは賃金等を審査の基本条件にするとなると、その次の「屡々労働条件について重大な違反を犯す業者」ということは、これはどういうことになるわけですか。初め届け出たもの、あるいは申請した条件と違った労働条件をやっておる業者と、こういうことになるのですか、あるいは労働基準法に違反しておる業者、こういうことになるのですか、それはどっちですか。
  56. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) もちろん審査をいたします際に、そういう条件でたとえば免許ということになりますと、これは免許を受けたあとでそれを実施しないということになりますので、一応われわれの方といたしましても、その事業については適正に行われていないということも考えられますし、法の違反を行なっておるという場合にはもちろん、労働基準法における違反が道路運送法の違反にもなるという場合には、処分の対象になることは当然でございます。
  57. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは重大なことですから、ちょっとお伺いしておくのですが、初め届出あるいはまた申告をした労働条件、そういうものと違った労働条件を免許後においてやっておる、そういうような業者については、いわゆる事業の改善命令、免許の停止等適正な行政処分を行うことになるわけですか。
  58. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) もちろん形式的にはお話通りでございまして、まあしかし行政でございますので、その場合に内容の審査は十分いたさなければならないと思っております。なぜそういう違反を、免許条件と違わなければならなくなったかという事実も十分審査した上で、悪意があってそういうものを変えたという場合には、この規定通り処分の対象になるわけでございます。
  59. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、従来とあまり変らないことになるのじゃないですか。あとから調べてみて、労働条件が非常に違っておる、調べてみたら企業の経営状態が悪い、やむを得ぬ、こうなってくると、結局同じ格好になるのじゃないか。そういうようないわゆる申告をした労働条件でやれないという業者、それを適格なる業者として、免許をしたということについては、問題がさかのぼって出てくるわけですが、結局今の御答弁ですと、免許してからあとで労働条条件が違っておったのだが、しかし調べてみたら企業内容によって仕方がない、赤字だからやむを得ないということになってくれば、これは死文になるのじゃない。
  60. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その場合に、たとえば形式的には、それは違っているじゃないかという改善命令も出せます。またそれは違っておるから事業を停止してはどうかということも考えられるわけでございますが、企業の停止というような重大な問題になりますと、これは経営者だけの問題でないわけでありまして、そこに働いておられる従業員の失業という問題もわれわれは十分に考えなければならないわけでございます。行政の措置といたしましては、その場合われわれといたしましては、まず善意をもった勧告、企業経済情勢において非常に悪くなったという場合には、企業者はもっと努力して労働条件を満たし得るような努力をするように勧告をしなければならないものと思います。しかし、それでもだめな場合には、あるいは改善命令を出すということもありますが、本質的にだめであれば、それはまあ停止の問題じゃないわけでございまして、企業そのものがつぶれてしまうということになりまするので、われわれといたしましては一番重要であることは、この停止というようなことにつきましては、経営者の利益のみならず、働いておる労働者の利益をともども考え処置すべきものでございまして、形式的には労働条件に違反しておるということで免許の停止ということをやれば、かえって労働者の条件を悪くすることを行政がやるということは、これは行政官として適当でないというふうに考えておりまして、御答弁をいたしております趣旨は、一応そういうふうに本質的には考えておる、具体的な場合におきましては具体的事実を十分考えて、労働条件を十分満たし得るような適切な行政措置をやるということが、私たちに課せられた責務で、はないかというふうに考えておるわけであります。
  61. 大倉精一

    ○大倉精一君 まことにごもっともな御意見と思うのですが、ただ、非常に具体例を引いて恐縮と思うのですが、免許申請をして免許が下りた、それによって営業を開始した、その直後に労働条件もはなはだしく変っておる、そうして申告の内容も変った状態でもって営業を開始した、これは明らかに虚偽の申告をしたということになるのですが、そういう場合にはどうなるのですか。
  62. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その場合には、直後でございますので、もちろん改善命令を出すべきものであると考えます。と申しますのは、直後といいますと、事情が変っておらないわけでございます。そういう場合には、免許をとるために役所に対するいわば虚偽の申告をしたということもお説のように考えられますので、正しくそれを実施させるのがわれわれの責任じゃないかと思います。
  63. 大倉精一

    ○大倉精一君 改善命令を出して、改善しなかった場合にはどうなりますか。
  64. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 改善命令を聞かないでしなかった場合には、事情によりましては免許の停止という、そういうさらに進んだ行政処分も与えられるわけであります。
  65. 大倉精一

    ○大倉精一君 それと関連しまして、たとえば運賃、取扱い料金等が認可料金になっておるという場合、さらに定額料金というものもあるという場合ですね、認可料金、定額料金というものをほんとうに実施されておらないというようなものに対する行政指導は、どういう工合にやっておられますか。
  66. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その点は非常にむずかしい問題でございまして、御質問の趣旨は確定運賃でございませんので、トラックの運賃のようなものではないかと思われるわけでございますが、そういう場合におきましては、われわれといたしましては、トラックの運賃につきましては一割の幅がございますが、それをやはり守らせるというのがわれわれの責任でございまして、やはり守らない者につきましてはそれぞれ勧告をするということが必要外あろうと思います。しかしトラックの運賃につきましては、実情いろいろむずかしい問題がございまして、これは全部のトラック業者が守るという意思を持たなければならないものでありまして、この点につきましては十分今後法律を守るように、行政指導の面におきましても強力にそういう措置を考えなければならないものであろうと考えております。
  67. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはさきの質問と非常に密接な関連があると私は思うんですが、今不当競争をやって、認可料金があってもなきがごとし、あるいは定額があってもなきがごとし、こういうような非常にタンピング競争によって経営内容というものが悪くなり、従って申告したところの適正の労働条件というものもやれないというような弊害が起っておると思うんですが、従って、この二つを密着した行政指導によってやらないというと、こういうものが解決しないんじゃないか。従って、トラック業者にしても、あるいは通運業者にしても何にしても、認可料金、定額料金というものをきちんととれば、私は改善されていくと思うんです。これはやはり自由競争の実態からいって困難だろうと思うんですが、これはやはり監督官庁としての運輸省の強い行政指導に待つよりほかに方法はないんじゃないか。従って、この定額料金なり認可料金なりにつきましても、はなはだしくこれを割っておるとか、そういう面に対しては、さきの質問の通り、あれと同じようにやはり改善命令というものをお出しになる、そうしてその内容を改善するような指導をする、こういうように考えてもいいわけですか。
  68. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) お話のように、トラック現状につきましては、行政の全般について適正に行われるということを考える必要があるわけでございまして、その点につきましては、私も業界の有力な方々あるいは協会の方々にそういう順守方を現在強く申し入れをいたしておるわけでございますので、業界自体におきまして、現在の一応不当競争というようなダンピングにつきましても、その弊の存するところを反省しておられまして、業界の自分の力でそういう定額制あるいは料金の適正を守ろうという機運も高まっておりますので、われわれといたしましては、ただいたずらに法をもって臨む、先ほどいろいろ御質問を受けましたが、それが正しいことではなくて、まず業界が自主的にそういうふうにやられることが一番望ましいことであるという意味におきまして、そういうことにつきましては運輸省も、当然のことでありますが、助力を惜しまないという態度で反省を求めておりますし、業界自体もそういう機運が非常に強くなってきておることは、われわれとしても喜ばしいことであり、またこれを十分実現させなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
  69. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はその問題につきましては、かねがねからいろいろ論議をしておることでありますので、今さらどうのこうの言う必要はないと思うんですが、ただ、やはりこの際そういう点について特に行政指導の強化をしてもらいたいことを要望するわけです。たとえばハイヤー・タクシーの場合でも、御承知の通り、あれは定額賃金というものはあまりないわけです。一日大てい大体責任額が八千円なら八千円ということになりますというと、大体一キロ二十円くらいとしまして、四百キロくらいやっぱり走らなければならない。四百キロ走るということになると、スピード違反、交通違反になるわけです。交通違反になれば、従って、この要綱によってぴしぴし取り締られる。しかも運転手は、自分交通違反をやるわけではなくて、やらされるわけですね。こういう面からも十分に考慮してもらわなければならぬし、さらにまた会社によっては、事故を起すと全部これが運転手の負担になる。たとえば一ぺん衝突をしますというと、その自動車の損害というようなものは全部何十万円かが運転手にしょわされる。一たん事故を起したならば、その会社をやめるわけにはいかぬ。ちょうど昔のお女郎さんみたいな、身請金を出さなければその会社はやめられぬというひどい条件が課せ、られている。従って、これを取り返すために無理な運転をする、事故が起る、こういう悪順環になってきますので、従って、私は交通要綱の内容はけっこうだと思うんですが、いわゆる取締りとか、あるいは規制をする、こういう面にばかり重点を置いて、処罰を重くすれば運転手が気をつけるだろうというような考え方でなくて、そういうような問題についてほんとうに責任を持った一つ行政指導をやってもらわないというと、やはりほんとうにこの問題は解決しない。特にこの際要望しておくわけなんです。  それから、これは最近起っていることなんですが、車検を持たずに運行をするということはできないはずなんですが、できないですね。車検を備えつけずに運行するということはできないはずですね。
  70. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 車検証を持たずに運転することはできないわけでございます。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 最近ある労働争議が起って、そこでいわゆる暴力団が車だけを持ち出して、それをずっと稼動している実例があるのですが、そういうようなものは取締り関係はどうなっているんですか。
  72. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) いかなる理由がありましても、われわれの観念では、車検証を持たずに運行するということはこれは許されていないわけでございまして、具体的に私実例を知りませんので、こういうことがよくわからないわけでございますが、車検を持たずに自動車を運転することはできないわけでございます。
  73. 大倉精一

    ○大倉精一君 今ここで具体的に名前をあげて申し上げることは差し控えますけれども、もしそういうような事例があり、現に行われているということがわかった場合に、これはさかのぼって、処罰されるわけなんですか、これはどういうふうになるんですか。
  74. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 罰則の規定は、事前にやることが御承知の通りないわけでございまして、その事態が起りましたあとで審査してやるわけでございますが、過去にありましても、それはやはり処罰の対象になる事案だと思います。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題はこの委員会では具体的に申し上げることは避けますけれども、これは十分一つ取締りをして、こういう問題に対して放任をしないようにお願いをしたいと思うんです。
  76. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  77. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。  次に倉庫業法案を議題といたします。  質疑のおありの方は御発言を願います。
  78. 小酒井義男

    小酒井義男君 二点ほどお尋ねしたいと思うんですが、営業を許可制とすることになって、そうして経過規定としては、二カ年間は現状のままやれる、こういうことになるのですが、この二カ年間に許可基準に合わないというものがどのくらいあるか、そういう点についてお調べになっておったら一つ
  79. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 許可基準といたしております点は、第五条の規定でございまして、その一、二、三号はこれは欠格条項、でございます。それから四号が「倉庫の位置、構造又は設備が保管する物品の種類に応じて運輸省令で定める基準に適合しないとき。」というふうにしてありまして、一、二、三号に該当いたしますとちょっと救済の道がないのでございますが、四号の場合でございますと、保管する物品に応じましてそれに適合したものにすれば足りるという点でございます。それからさらに構造または設備が現在不備なものと申しますのは、防火構造になっていないというような点で、一般雑貨には不適当だというように考えられるものがあるのでございますが、これを改造をいたしますのにそんなにむずかしいことではないのでございまして、防火構造にしますのに厚さ二センチくらいのラス張りのモルタルにいたしますれば、大体充足される。その単価は坪当り千円くらいで改造ができるという見込みでございますので、ほとんど二年間のうちには現在倉庫業を営んでおるものが欠格をすることはない見込みで進んでおるのでございます。
  80. 小酒井義男

    小酒井義男君 今説明のありましたように、欠格するものがない見込みだとおっしゃいますが、もし資力の点においてどうしてもそれが欠けるというような場合は、何かこれに対する資金の裏づけでもお考えになっておるのか。
  81. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) その点につきましては、従来も中小といいますか、倉庫業に対しまして、開発銀行だとかあるいは中小企業金融公庫だとかという所から、資金のあっせんをしておりましたのです。特に今回そういうことになりました場合に、中小企業金融公庫から改造資金の融資をいたしまして、そうして条項を充足するように努めたいというように考えております。
  82. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから次に、この第十条ですが、特定の利用者に対する不当な差別的取扱いを禁止しておるようですが、そういう例はどういうものがあるか、一つ御説明を願いたい。
  83. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 不当な差別的取扱いと申しますのは、倉庫業者が立地的なことを、独占を利用いたしまして、特定の荷主に対して正当な理由がないのにかかわらず寄託の引き受けを断わるというような行為でございまして、このようなことをしてはならないというふうに禁止して、一般に正当な理由がなければ引き受けの義務があるというふうにしておるのでございます。
  84. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は倉庫業についてはしろうとなんですが、それでお尋ねするのですが、そういう例があるのでしょうか、具体的に。
  85. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 私は具体的にそういう例がどこであったかということをつまびらかにいたしませんけれども、倉庫によりましては、品物を、これは値段とそれから料金、両方から保管料をきめておりますが、その割合に安いものでございますね、こういうものについてはいやがるという傾向はあるのでございます。そういうようなことのないようにという規定でございます。
  86. 早川愼一

    ○早川愼一君 従来の倉庫業法と違うところを、私の了解するところでは、今度はすべて許可事業になっており、許可を受けなければできない。従来は何ですか、倉庫証券を発行することだけが許可事業であり、あとは届出でやれたという、この点が違ったわけですね。まあそれに伴ういろいろの約款とか料金の規制があることは了承できるのですが、この附則のところに行って、既存業者は二カ年間は許可を受けないでも引き続き倉庫業を営むことができると、こうなっております。二年間にたとえば新しい許可標準によって、基準によってもう一ぺん申請し直さなければ、倉庫業を継続してはやれないということですか、この点。
  87. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) お説の通りでございまして、二年間にもう一度全部許可の申請をいたしまして、その審査の結果営業の許可を得た者が倉庫営業ができるということでございます。
  88. 早川愼一

    ○早川愼一君 これはまあ従来の何ですと、みなすのとは違うのですな。もう一ぺん審査をし直すというのですな。
  89. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) はい、お話通りでございまして、二カ年間は継続することは認めますが、その間に許可を受けなければ、営業はできない、こういうことでございます。
  90. 早川愼一

    ○早川愼一君 これはまあ現状をお伺いするのですが、これに該当する、二年間そのまま継続、できる、これは法律でなっておりますが、大体現状において従来届出であったものを、二年間にいろいろ設備を変えさせるとかいうことで、業者の振り落されるという数字はお見込みがあるのですか。
  91. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 今のお話の点で、先ほどの第五条の許可基準でございますが、これで三号から三号までに該当するものは、これはアウトになるのですけれども、しかし二カ年間、法律施行から二カ年半ございますので、その間には二年間という基準も大体なくなりますし、第四号の構造の方では、大体今の改造をして構造の点、でよくしなければならぬというのが、大体の見込みでございますが、坪数にして約十二万坪ほどある見込みでございます。そのものは、もし保管の品物を変えなければ、改造をしなければ困るという点でございまするが、もし塩だとかそういうものに限定いたしますれば、そのままでもいいんじゃないかというふうに考えております。
  92. 早川愼一

    ○早川愼一君 業者数にしてはどのくらいですか。
  93. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 今、業者数にしてちょっとつまびらかでございませんですが、至急調べまして、お答えいたします。
  94. 早川愼一

    ○早川愼一君 従来許可されておる発券業者ですなあ、これは新たな法律によって今後資格がなくなるとか、資格に欠けているとか、そういうことは全然ないと了解できるのですか。
  95. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 今の点は営業の許可を受けなければならないということになっておりまして、発券につきましては、附則第四条の「この法律の施行前に旧法の規定によりした許可、届出その他の行為で、」という条項によりまして、発券は、あらためて許可を受けなくても、発券の資格があるというふうになっております。
  96. 早川愼一

    ○早川愼一君 この次までに、この二カ年間に大よそ業者数、坪数、まあ新しいこの標準に照らして改造を要するもの、あるいは改造をしなくてもそのままこの法律に基いた一新規の免許の資格がある、そういうものの実態を一つ何か表で、資料として御提出するように願いたいと思います。
  97. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) この次までに急いで大よそのことを調べまして、お答えいたします。
  98. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 私から……、この法案をお出しになるまでに、業界その他各方面とどういうような折衝をせられたか、これに対して反対等の意見がなかったか、役所としてはどういうふうの準備をこの法案にせられたか。聞くところによると、第一次案、第二次案等の若干のいろいろ推移があったようですが、もしそういうことについても、私どもの審議の参考に伺うべきことがあったら、一つ伺っておきたい。
  99. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) この法案については、最初は倉庫業というのはやはり発券をして、倉庫証券の流通をして、経済界に貢献するのが本来の筋だというような意見も非常に多数ございまして、そうして倉庫業の営業の許可、即、発券の許可というような点で進みたいというふうに私ども考え、また業界にもそういう声が非常にあったようでございました。しかしまた業界の一部には、それほどまでに一時に行かなくてもいいのじゃないかというような意見もないではありませんでした。それで本来の理想の営業許可、即、発券、いやしくも倉廃業そのものは発券できる程度のものでなければ、他人の物を預かっておって十分でないじゃないかという意見もございますし、また商法にも倉庫業者は寄託者から要求されれば倉庫証券を発行しなければならないのだというような規定もございますので、そこまで到達したいというふうに考えたのでございますが、しかし一挙にそこまで行きますには、現在倉庫業を届出によって営んでおりますたくさんの倉庫業者が失格をするというようなことがあっては、これまた行政上おもしろくない。それで第一段階として許可制に直して、相当構造も引き上げてりっぱなものにして、やがては倉庫証券を発券できるように進めてゆきたいというような順序で参ってきております。
  100. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十六分散会      —————・—————