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政府委員(山内
公猷君)
交通事故の
防止につきましては、内閣に
交通事故防止対策本部というものができておりまして、
自動車に関係のあります各省が集まりまして、その対策をいろいろ協議をしているわけであります。それで対策本部が非常に長期にわたっていろいろ検討をいたしたわけでありますが、まず
法律的にどういう
方法をとったらいいか、企業の監督面からどういう
方法をとったらいいか、
労働省の労務の監督の面からどういう
方法をとったらいいかというような、いろいろな検討をいたしてきつつありますし、また現在でも密接な関連をもちまして、
交通事故の
防止につきまして研究をいたしているわけであります。今回御提出いたしておりまするところの
道路運送法の一部改正も、この本部の会議におきまして十分検討をした上、こういうものはやはり必要であるということで出しましたわけでございます。
ただいま
委員長から御指摘がありましたように、
運輸省といたしましては、企業の監督の面からも、
交通事故がなくなるように
努力いたしておるわけでございますが、今回の改正案の中におきましても、第三十条の中に、「
事業用
自動車の運行の
管理」というものを、非常に簡単でありますが、加えたことと、それから「掲示すべき
事項その他」の下に、「輸送の安全及び」を加えたということは、非常に簡単な改正になっておるわけでございますが、この面からいたしまして、
運輸省で現在すでにとりつつあるわけでありますが、どういうふうに
考えているかと申しますと、まず
運輸省といたしましては、従業員が安全上順守すべき
事項を定めまして、
経営者に陸運局長に届けさせるということでございます。これによりまして、従業員の安全準則というものを各企
業者に十分に
考えた上で作らせるということをまず
考えておるわけでございます。
その次には、
自動車の運行
管理及び乗務員の指揮監督に関する
事項を処理させますために、それぞれの営業所ごとに運行
管理者という責任者を選任指名いたしまして、陸運局長に届けさせるということでございまして、ただ単に
会社の名儀的な責任者でなくて、持っておるそれぞれの営業所につきまして、その運行の
管理者というものをきめて、運行の安全を期したいということを
考えておるわけでございます。この運行の安全を期しますために、陸運局長は、重大
事故等を起しましたときには、運行
管理者がその責任を果し得ないわけでございますので、必要と
認めましたときには、その指名の取り消しをするということも
考えておるわけでございます。
それから
経営者の責任といたしましては、
運転勤務図というものを責任を持って作成させまして、当然のことでございますが、停留所の名称でありますとか位置、区間、その距離、路線の
状況、
運転時間、制限速度、平均速度、追い越し、行き違いの禁止区間、
交通制限
事項というようなものをはっきり定めまして、常々からそういう自分の
運転する路線の
状態というものをしっかりと把握させるように指導していきたいというふうに
考えておるわけでございます。
また先ほどからいろいろ
過労の
お話が出ましたが、勤務時間及び
運転時間を定めるということに当りましては、
過労防止というものを特に
注意してきめるように、要望をいたしております。
また予備
運転者というものにつきましては、これをできるだけ配置するという
方針をとらせますとともに、特に非常に現在長距離を走っておるバスがあるのでございまして、はなはだしきに至りましては、一日に百五十キロくらい観光バスは走る場合があるわけでございますが、その場合には必ず予備
運転者を置かなければならないというような
規定もいたしておるわけでございます。
それからこれも先般いろいろ御質問があった点でございますが、
運転者につきましては、その
運転者が運行いたしますところの路線及び
事業上区域の
状態、そういうものに適当な
運転技術というものについて、
経営者に常々教育するようにというような
規定も設けてございます。
その他いろいろこまかいこともやってしおりまして、これは
経営者そのものにつきまして、われわれの方が要望をしておるわけでございます。昨今は非常に重大
事故が多くて、われわれも憂慮いたしておるわけでございますが、特に昨今われわれが気をつけておりますのは、バスの転落によります大きな
事故が多いわけでございまして、その場合に、その高さが一メーターあるいは三メーターという低い所でありましても、非常にその下に水がありますときには重大
事故を起しやすいという事例が、非常に多いわけでございまして、
道路管理当局に対しましては、物的施設の面から、そういうふうな所に特に
危険防止のさくあるいは標柱を立てるというようなことにつきましてお願いをするように、陸運局長に指令をいたしておりますとともに、またそれぞれの運行区間につきましては、運行者自身がよく知っているのでございまして、危険と思われる個所につきましては、われわれの方にも連絡いたしまして、われわれの方から
管理庁から
管理庁へというふうな、そういう要請もするように現在進めておるわけでございます。さらに監査をいたします場合におきましても、一応労務関係につきましては、われわれの方は直接の担当官庁ではありませんでございますが、先ほどからいろいろ御
意見のありましたように、
労務管理という面にまで立ち入らなければ、
事故の絶滅は期せられないという点も、十分われわれ
考えておるわけでございまして、今後におきましては
労務管理の面につきましても、
事業監査の場合にあわせて十分
調査いたしまして、企業の経営の面と労務の面と、両面にわたりまして、できるだけ少い人数で、あるいは十全とは申しかねるかもしれませんでございますが、その面におきまして実態を把握して、それに必要な指導
行政を達成するように
努力をいたしたい、かように
考えておる次第でございます。