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1956-04-13 第24回国会 参議院 運輸委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年四月十三日(金曜日)    午後一時五十二分開会     —————————————   委員の異動 四月十二日委員木島虎藏君、川村松助 君、大和与一君及び森田義衞辞任に つき、その補欠として遠藤柳作君、長 島銀藏君、竹中勝男君及び高良とみ君 を議長において指名した。 本日委員仁田竹一君、三浦義男君、長 島銀藏君及び遠藤柳作辞任につき、 その補欠として青木一男君、石坂豊一 君、川村松助君及び大島虎藏君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            岡田 信次君            早川 愼一君    委員            有馬 英二君            石坂 豊一君            川村 松助君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君            小酒井義男君   国務大臣    運 輸 大 臣 吉野 信次君   政府委員    警察庁警備部長 山口 喜雄君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (地方税法の一部を改正する法律案  に関する件) ○道路運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○倉庫業法案内閣送付予備審査)     —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 運輸委員会を開会いたします。  まず、委員の変更を御報告申し上げます。四月十二日付大和与一辞任竹中勝男補欠木島虎藏辞任遠藤柳作補欠川村松助辞任長島銀藏補欠森田義衞辞任高良とみ君補欠、四月十三日付仁田竹一辞任青木一男補欠三浦義雄辞任石坂豊一補欠長島銀藏辞任川村松助補欠遠藤柳作辞任大島虎藏補欠選任せられました。     —————————————
  3. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) まず、運輸事情等に関する調査議題といたします。  過日、地方税法の一部を改正する法律案について、当委員会と重要な関係があり、地方行政委員会連合審査会を開いたのでありますが、本件の取扱いについていかが取り計らいましょうか。
  4. 早川愼一

    早川愼一君 過日の連合審査会におきまして、当委員会からいろいろ意見を、質疑応答を繰り返したのでありますが、この際運輸委員会として、本案の木付託になっている地方行政委員会の方に申し入れをしたらどうかと存じます。そのことをお諮りを願います。
  5. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) だたいま早川君より、当委員会の決議として、地方税法の一部を改正する法律案に対する意見地方行政委員会申し入れるとのことでありますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認めます。
  7. 早川愼一

    早川愼一君 そこで一応私から申し入れの案文につきまして朗読いたしまして、御賛成を願いたいと思います。  以上の通りであります。
  8. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ただいま早川委員御提案の通り地方行政委員会申し入れることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ただいまの申し入れ地方行政委員会にいたすことに決定いたします。     —————————————
  10. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、道路運送法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のお方は御発言を願います。  速記とめて。   〔速記中止
  11. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記始めて。
  12. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) 前回早川さんから、道路運送法の一部を改正する法律案につきまして、もぐり営業ですか、それの取締りの徹底を期する上において、従来自家用の方は届出主義になっておったやつを認証制度にしたらどうかという御意見が出まして、私も初めてなものでございますから、認証制度という意味がどういうことであろうか了解が得にくかったものですから、よく取り調べた上でということを申し上げました。  この認証制度というものは終戦後にちょいちょい行政法上にもあるようでございますけれども、この観念が単純な届出に近い場合と、それから免許に近いような場合と、両方の用例がありまして、幅が広いように思うのです。そこで今自家用というものがそのもぐり云々弊害はございますけれども、一般には届出だけで使っていいということになっておるわけです。それをもし認証制度というものをしきますと、届出だけじゃ使っちゃいけないので、やはり幾ら形式的とはいえ、認証という制度を経ませんというと、自家用は使えない。これは立法の仕方にもよりますけれども、そういうようなところまで行きますというと、まあ少し大きい会社などがとにかく自由にトラックや何か持っておるのを、一々すぐにやるとはいいながら、そういう形式にひっかかって、お墨付をいただかなければ使えないというようなところまで行っちゃどうかというような点について、多少の踏み切りがつきにくい点が、率直に申し上げましてございます。しかしこれは立法のやり方にもよります。それからまた、何といってもそういう制度をしきますことが、もぐりというものを取り締る上には一番有効的確な方法だろうということは、早川さんの指示された通り、私も同感でございますから、それでこの際はこの方法にしていただきまして、近き将来の立法の場合に一ぺんそういったような制度考えてみたい。今度はとにかく有償ということをはずしまして、とにかくそのもぐりの方の取締りはある程度まではできるわけでございますから、これをやってみても、やはり早川さんの御心配のように、それでも非常に弊害の多いというときには、やはりお話のような制度のところまで行くのが、番的確じゃないか、こう考えまして、とくとその点については考慮をいたしたいと思いますけれども、ただこの際、この改正のときにそこまで踏み切るかどうかということには若干、正直に申し上げますけれども、私には踏み切りがつかないという点があるということだけ申しあげておきます。
  13. 早川愼一

    早川愼一君 大臣の御答弁によってよく意味は了解できたのでありますが、立法方法いかんによっては必ずしも認証制度というものが非常にむずかしいものではないということをおっしゃったように、了解したのです。そこでこのわれわれの考えている認証というのは、現に届出制というものがあって、とにかく届け出てやる事柄を認証に変えますけれども、これは同時に、現在すでに届け出て自家用として使用している人を規制しようとしないで、これはもう当然新しい認証を受けたものと見なす、こういうふうな立法措置にしたら、現実に現在の人には迷惑がかからぬのじゃないか。それからまた今後認証を受ける場合には、これは申し出があった場合は必ず認証をするということにしたらどうか。つまり認証しなかったり、自由裁量というものがない、つまり法律申し出があったならば必ず認証をするという規定を置いたらば、いわゆる大臣の善良なる自家用を使おうという人に迷惑をかけるということはあまりないんじゃないかという私どもは見解を持つのであります。  それからいわゆるもぐり営業行為というものが現実自家用市の中に相当あるという点については、これは大臣も今お認めになっておるようでありますが、もし現在の行政官庁の方が十分なる手があれば、おそらくもぐり自動行為——もぐりのいわゆる営業類似行為をしておるものが非常にたくさんあるのじゃないか。私どもの方で知りましたいわゆる運輸省の発表されたこれは、街頭検査とか臨検検査とか、ごくわずかな調査によってもその件数は驚くべき数字になっておるようであります。そういうような検査であげられてきている調査の結果を見ましても、相当のいわゆるもぐり営業行為というものが善良なる営業者輸送秩序を乱しているという現実の姿は、十分お認めになっておるだろうと思います。そこでそういうような現実から、私どもはこの認証ということをしきまして初めて営業類似行為がチェックされて、いわゆるもう少し取締りが、善良なる営業者を保護することができるのじゃないか、こういうただいまの御答弁によって結論を得るおけでありますが、認証方式等についての御意見は、ただいま私の申し上げたことについてのお考えはいかがなものでしょうか。
  14. 吉野信次

    国務大臣吉野信次君) その経過規定の点は、お話通りで一向差しつかえないわけでございます。それから新しい場合にも認証ということは、これもお話通りでありまして、何と申しますか、形式的審査であって、もう必ず来たものは許さなければならぬのですから、これも問題ないと思います。ただ、私の若干踏み切れないと申し上げましたのは、たとい形式的にせよ、認証という新しい制度をしきますというと、会社等自家用トラックを置くというときに、その形式的にも手続を踏むまでに使っていいかどうかという問題がございますので、その点が、その手続を踏むまでは、使うというと、これがいわゆる法律違反になるのだということになりますと、実質的におい免許に近いものになる。いわゆる免許のごとき自由裁量余地はございませんけれども、そこにどうかという点が若干私の踏み切りにくい点でございまして、少くとも今度は「有償」という字をとっただけでも、取締りについては私は相当の効果があるものだろうと思いますから、私の率直な感じを申せば、とにかくあれでもって若干法律を施行して取締りをいたしてみまして、なおそれで弊害があるのだということになりますと、善意の業者には多少不便がございますけれどもやはり認証というふうな制度にひっかけまして、それに違反した場合には結果においてどうなりますかと申しますと、今の現行法の罰則以外に、今度は有償をはずしますから現実にできなくなってしまう、こうなれば一番徹底した方法になるのです。ただそこまでのところがどうか、こういうところに多少若干考慮余地がありはせぬか、こういうのが私の率直な感じでございます。
  15. 早川愼一

    早川愼一君 もう一つお尋ねしたいと思いますが、これは過日も当局から御答弁があった問題でありますが、現在トラックを使用するのは、従来やかましい何か免許基準というようなのがありましたのを、免許制度を大幅に緩和せられまして、二十七年の四月から昭和三十年の九月までに二千四百八十業者が八千五百一に、つまり六千十余業者、約三倍増加しておる。そういうようなことで、現在も一両ないし五両お持ちの業者が全事業者の五六%に当っておるというような数字が出ていることを承知いたしたのでありますが、こういうふうにいわゆる自家用車事業車へ転換する道が現実にあるのにかかわらず、なお依然としてもぐり営業行為が絶えないということは、結局事業車になるというと行政官庁の監督を受ける、あるいは所得税事業税の徴税の対象になる、こういうような点からこういう安易なもぐり営業を営むようになっておるのではないかと想像できるのであります。こういう点からごらんになりましても、おそらく私どもとしては、何らかの手段を置かないと、せっかく自家用車を正当な免許業者と区別しましても、なおかつ非常に営業類似行為が絶えないという事実を、一つ認め願いたいと思います。
  16. 有馬英二

    有馬英二君 私は最近の交通事故について少し政府に御質問を申し上げたいのだが、政府の提出された資料を見ましても、事故発生統計が主であって、事故防止に対してどういう方法がとられたかということが明らかでないように思うのですが、どういう方法をおとりになったかということをまず第一に伺いたい。
  17. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 事故防止につきましては、私どもといたしまして一番力を注いでやって参っておるのでありまして、事故原因をよく究明しまして、それに対して対策を講じていくということでやっておるので、何と申しましても、事故で一番多いのはやはりスピード違反とか、追い越しの際の不手ぎわと申しますか、そういう問題が一番多い。それから歩行者その他の側に責任があると思われるような場合もございましょうし、踏み切りにおける事故というような場合もございますし、それぞれ事故の種類、態様に応じまして、事故防止については非常に力を尽しておる。事故が起りましてからこれを取り締る、検挙するというよりも、むしろ事故防止という点に力を注いでやるというような次第でございます。
  18. 有馬英二

    有馬英二君 ただいまお話し通りに、事故防止にはやはり、どういうために事故が起ったかということを一つ一つケースについて原因をよく分析して研究しなければ、防止の実をあげることがむずかしいと私も思います。そこで今お話しのように、いろいろのケースがあるわけですが、交通違反をやったとか、スピードを出し過ぎたとかいうようなことはもちろんでありますが、車体そのもの、あるいは道路に関するものというようなもののほかに、私は運転という、ことに最近ふえた自動車について、あるいはバスであるとかトラックであるとかいうようなものに非常に事故が多いのですが、そういうような時分運転手はどういうようなことをしたかということを一つ一つケースについてよくそれを突きとめて、それからいろいろ原因統計上突きとめるというようなことがされているかどうか、そういうことについての統計がありましたら、お話を願いたい。
  19. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 個々の事故の場合につきまして、私どもといたしましてもその原因を究明するのに努力をいたしております。ただいまお話し自動車運転手事故を起したときの状況等についてでございますが、一番件数から申しまして多いのは、やはり酒を飲んでいる場合、これが相当多い。それから居眠りをしているというような、まあ事故を起したときの運転者身体あるいは精神上の状況という点からいいますと、この二つが一番多いということは統計上申し上げることができるのであります。かように思っております。
  20. 有馬英二

    有馬英二君 そこで、おそらくそういうことをわれわれも話を聞いてもおりますが、統計数字に上っておりますか。
  21. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 上っております。
  22. 有馬英二

    有馬英二君 今すぐでなくてもよろしいのですが、そういう統計を、数字について科学的によく分析できるようなものを一つ御提出願いたいと思います。実際、運転上のいろいろの過失があって、そして運転をあやまって墜落するとか、あるいは転覆する、衝突するという場合がかなり多いと思います。しかもこれは労務管理という方面になるかと思いますが、そうすると労働省の所管になるかと思いますが、そういう方面について何か運転者に対して特別な注意事項とか、あるいはさらに運転士に関する教育といいますか、いろいろなことが行われておるかどうかということを伺いたい。
  23. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) これは自動車運転する運転手につきましては、警察といたしましては絶えずそういう面の御注意を申し上げておるのであります。また事故が、ただいまお話しのように、労務管理に基因すると思われるような場合につきましては、これはやはり労働省の方が主管としておやりになるのでありますが、警察といたしましても大きな関心を持っておりますので、事業経営者に対しましていろいろと御注意申し上げることもございますような状況でございます。
  24. 有馬英二

    有馬英二君 そこでいろいろ車体検査というようなことが定期的に行われておるようですが、人間のからだについて、あるいは精神状態というようなものについて、定期的な検査というようなことが行われておるかどうかということを伺いたい。
  25. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) これは自動車運転免許をとります際、あるいは免許の切りかえの際に主として行い、常時は、これはときどき一斉の取締り等におきまして目に触れたときに従いまして、取り締っておるという程度でございます。
  26. 有馬英二

    有馬英二君 私どももときどき、警察官自動車疾走状態であるとか、あるいは取締り上、酒を飲んでおるかどうかということについて、たとえば運転手の息がどんなにおいがするか、酒のにおいがするかどうかというようなことを調べられておるということを聞いておるのですが、ただ酒のにおいがするかどうかというようなことだけでなしに、この運転手は果して正常な運転ができるかどうか、つまりこの運転手にたよれば危険がないというような状態であるかどうかということを、特に注意をされておるというようなことを私は聞かないが、そういう必要はありませんでしょうか。
  27. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) ただいまお話し申し上げましたように、運転免許の際にそういう問題は一応よく調べる。それから一たん運転免許を受けました者については、ときどき一斉の取締りその他によりまして、状況を調べております。その場合には、お話のように、おもに酒に酔って運転していないかどうかという点に現在重点が置かれております。それ以外に、総合的にからだの状況等を調べるということは、ちょっとなかなか実行がしにくいので、免許の切りかえその他の場合にこれは主として調べております。そういう状況でございます。
  28. 有馬英二

    有馬英二君 そこで、よく工場で工員疲労、すなわち過労状態であるということから、あやまって機械の操作を行なって非常な大けがをするというようなことが、大きい機械を操作するようなパブリックではしょっちゅうあるわけです。従って、そういう工員に深く注意を要するというような所では非常な注意が払われているはずなんですが、こういうふうに自動車が、あるいは車が非常にたくさんになって、われわれは日常道路を疾走しておっても、絶えず危険状態にあるということを感ぜざるを得ないわけですが、というのは、一日に何百という故障が起り、事故が起り、また何十人という人が日本じゅうで死んでいるわけですから、その点において、ただどうも交通がひんぱんであり、道路がどうであるというようなことばかり言っても、運転手そのもの身体状態、ことに精神状態、特に神経の非常なこまかい煩悶というようなことをちっとも考えないで、うっちゃらかしておくというようなことは、これからは許されないのじゃないかというようなことを私は感ずるわけです。そういう点において少しも取締りが行われていないということで、非常なこれはこの面から考えると、ただ車両の検査をするというだけで、果してそれでいいかどうか。車というものはその運転手運転によってどうでもなることで、車そのもの故障があればもう初めから車を出さぬわけでしょうから、そういうようなことから考えますと、だんだん交通がひんぱんになって、自動車の数がふえるに従って、道路が拡張されていく、あるいは整備されていくということは、これは道路法によってだんだんいくと思いますが、運転手状態について少しも取り締らぬというようなことは、これは私は片手落ちじゃないかと思うのです。その点についてどうお考えになりますか。
  29. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 運転者状況について取締りを少しもしていないというわけではないのでございますが、先ほど申しましたように、私どもとして主として現在考え、また実行いたしておりますのは、酔っぱらって運転をするという問題と、もう一つは、やはり何といいましても、これはもう直接警察側からあまり立ち入って申し上げるのもどうかと思いますが、やはりこの労務管理上から来る、疲労という問題から来る事故のことでございます。この二点が、主として現在私どもとしまして、いろいろとまあ問題として取り扱っておるおもな事例でございます。
  30. 有馬英二

    有馬英二君 私自身が、私の非常に信頼しておったところのりっぱな医者でしたけれども、これをまあやはり事故のために殺した非常な残念な例を持っておるので、特にその時分にそう感じたことですが、これは睡眠不足のために、運転手が何でもない所で車をきりあやまって、そうしてトラックががけへおっこって、そうしてトラックの下敷になって亡くなった例があるのです。こういうことは決して少くないと私思うのです、実際において。それは睡眠不足のために、運転手が逆転中に、何でもない所で気を許して、はっと瞬間的に眠るのですね。仮眠状態と申しましょうか、モーメント、ほんとうの瞬間に眠って、そうしてそのとき夢みているかどうかということはわかりませんけれども、とにかくあやまって落ちるというようなことがしばしばあるもんではなかろうか。そういうことが、これは一つ一つの例についてよく、死んでしまえばわかりませんけれども、けがしたような場合は原因が突きとめられるわけですから、そういうようなことは、これはまあ取締りといってもなかなか取締りがつかぬかもしれませんけれども、しかし過労というようなことについては特に注意を与える、またときどきそういう精神状態あるいは神経状態について適当な検査を行うというようなことが、だんだん必要になってきはしないかというようなことを私は特に感じておる。でありまするから、これはまあ労務管理のことになりましょうけれども、特に危険防止あるいは事故防止というような観点から、そういう点までも管理者が深く注意をいたすよう、そうしてまた管理上そういうような方面を特に注意をされるというようなことについて、私は特に要望を申し上げておきたいと、こう思うのです。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 関連して、この際お伺いしておきたいのですが、例の運転手違法行為に対する措置なんですが、御承知のように、二重処分をやられる、行政処分司法処分。これによって運転手諸君が非常に困っている状態なんですが、警察当局においてこの二重一処分に対する指導方針といいますか、どういう方針を持ってされているか、伺っておきたいと思います。
  32. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) これは御承知のように、事故等が起りましたときに、行政処分をいたしますのは、将来そういう事故が再び起らないようにするという見地から主として行い、処罰の方は別な意味から行われております。私どもとしましては、これは二重に処分を受けられる運転手の立場もよくわかりますが、しかし一方におきまして今日の交通状況から見まして、事故防止するために必要な行政上の処置というものをどうしてもとらざるを得ない。従って、私どもとしましては、ただ運転免許を取り消すとか、あるいは免許の一時停止をするということでなしに、むしろ、なぜ事故を起したかという見地から、事故を起す運転手の人に講習を受けてもらう。法規上のいろいろな守らなければならない事項、たとえば大きな道筋に出るときに一時ストップするという点についてもルーズになっている点もありましょうし、その他いろいろな技術の点もありましょうし、そういうの行政処分の中にも、そういう講習を受けて事故を起さないようにしてもらうという方向にも努力をいたしておるのであります。二重処分、これも受ける側からお考えになれば、まことにお困りの点もあろうかと思います。しかしこうした事故防止するという見地から見ますと、さればといいまして、これを直ちに取りやめますということは、私は申し上げかねると思うのでございます。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 御趣旨はよくわかるのですが、私はこの実情をいろいろ仄聞するところによりますと、たとえばスピート違反で金をとられるという場合でも、その警察官心境によって千円になったり千五百円になったりという、まちまちに金をとられるというように聞いておりますが、それは一定の基準があるのでございますか。
  34. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) これは御承知のように、警察官がそういうことをいたす権限はない。これはやはり裁判の手続を経て行う、従って、警察官心境によってということは、私はないと思います。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 これはやはり警察官からのその違反の事実の申告といいますか、何といいますか、そういうことをやって、そうして罰金をとられると思いますが、事実二千円とられたり、千五百円とられたりする連中が多いのですが、それはどういうわけですか。たとえば交通スピード違反で重い怪いということはないと思うのですが、そういうまちまちの罰金のとり方というものは事実あると私は思うのですが、それは……。
  36. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) それはやはり交通違反をしましたときの状況ですね、そこの場所の状況スピード制限のこの趣旨からいいまして、非常に情状の悪い場合もありましょうし、そうでない場合もある。またその本人の過去における交通違反の経歴というのも変ですが、いろいろな事例を調べてみまして、これはやはり同じ違反でも私は処分の違う場合はあり得る。これはやはり御承知のように、現在では都市では簡易手続によりましてやっております。必ず裁判官が直接尋問いたしまして、そうしてやっておる。書類によるあの手続よりも、直接尋問によって、即日問題を片づけるというような方法を、大きな都市では現在やっております。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 同じ交通違反でも、情状によってはいろいろな段階なり差があり得るという、こういう御答弁なんですが、私はその点は非常に重大だと思うのです。これはやはり取り締る方が取り締る方として、先ほども有馬さんがおっしゃったように、交通違反を起した原因、理由、あるいは交通事故を起すところの原因、理由というものを、やはり個々の事犯についてお調べになる必要があるのではないか。これはたとえばハイヤー、タクシーの場合におきましても、二重処分をやられる。それがまた一つ原因になって、スピード違反をやる、無理な運転をするという悪循環が出てきております。つまり具体的に申しますというと、いわゆる期末手当をもらっても、あるいは年末手当をもらっても、交通違反の罰金のためにそれが全部充当されて、ほとんど全部これはなくなってしまう。それを取り返すために、また無理な運転をしなければならない。あるいは会社によっては、一日三百キロ走ってこい、四百キロ走ってこいというノルマがある。そうすると、それを走らなければ、そうして責任額を水揚げしなければ、自分の収入は非常に少いということになる。従って、一日三百キロ、四百キロということになると、当然スピード違反になる。会社ではそういう場合、規則を守ってやっておる運転手はこれは優良運転手ですが、警視庁の方からいえば不良運転手になる。そういうようなことをお調べになって、そうしてこの二重処分の適用を適正におやりにならぬというと、かえってそれが私は無理な運転をし、事故を起す、こういう悪循環になってくると思うのですが、そういう点についての御見解はどうでしょう。
  38. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 確かに御見解のような点もあると思いますが、私どもといたしましては、むしろそういう労務管理について非常に無理があればそれを改善していく方に努力していただく方が、まず第一にやっていただきたいことだと私は思います。
  39. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、それが非常に必要なことだと思うのですが、こういう問題を運輸省に聞けば、労働省の問題だ、警察に聞けば、それは警察の問題だ、こういうことになっておるのですが、あなたが交通取締りをされるということは、やはり事故防止する、交通の安全という見地からおやりになる。そうなれば、これはやはり労務管理に欠陥があるということになれば、運輸省とも協力をして、労働省にも働きかけて、積極的にそれを直すような努力をされなければならぬと思う。経営者に対しても所要の警告を与え、あるいは改善させるべきは改善させるところの努力をされなければ、これはおれの方は、自動車を取り締っておればいいのだということでは、私は交通の安全あるいは事故の予防という目的は達成できないと思うのですが、こういうような点についてはどうでしょう。
  40. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) お話の御指摘のように、われわれとしましては、労働省あるいは運輸省の方に絶えず御連絡を申し上げまして、そういうもし労務管理上の欠陥から来る事故というものが非常に多く発生しておるならば、一つ改善していただきたい。まあ労働省が労働基準法その他の見地から所管しておられると思いますが、また運輸省事業の監督という面から所管をしてもらう。われわれの方では、これは自動車運転の方から、事故防止という見地から取締りをする。事業経営者自体に対して私どもがいろいろなことをする法律上の権限はない。これは運輸省が持っております。従って、それぞれの所管に応じまして交通事故防止のために力を合せて努力をしてやっていきたい、こういう見地から、われわれは絶えずまあお話を申し上げております。
  41. 大倉精一

    大倉精一君 それはまあ今度十分やってもらうとしまして、さらにいわゆる警視庁の力で交通取締りをやるというそのやり方ですな、やり方について私はちょっと疑問なきを得ないふしがあるのです。最近の例を見ているというと、いわゆる白バイといいますか、あれが隠れるように沿って、そうしてスピード違反をすると、それ見つけたというような格好で、つっ走って、こらッと言ってやってしまう。そういうことで、また一件あげた、これでまた一件あげた、合計何件になったということで、いろいろそういうまあ点数稼ぎと言っちゃ語弊があるかもしれませんけれども、そういうようなことが間々見受けられる。  これはいつかのどこかの委員会で宮城タマヨさんでありましたか、発言をしておられますところの議事録を私読んでみたことがあるのですが、昔、日比谷公園の交差点で非常にきびしいおまわりさんがおった。もちろん、おいこら当時ですから、おいこらで非常にきびしい取締りをやっておった。ところが、このおまわりさんは一ぺんも処罰をしたこともない、罰金をとったこともないが、運転手さんはここに来るというと、そのおまわりさんがおられるので、自然に交通秩序を守り法規を守って、そこでは何ら事故が起っていない、違反も起っていないという事実を述べられたことがあります。  従って、私はこの初め御質問申し上げた二重処分のこの運用ですね、運用がいわゆる処罰をすればいいのだ、点数をあげればいいのだ、違反をひっつかまえて処罰すればいいのだということでは、それだけでは私はそういう交通事故防止、あるいは違反防止にはならないと思うのです。もう少しやはり何といいますか、指導をし導くという、そういう気持でもって運転手諸君に接してもらう。いわゆるここに警官がおるぞと、ちゃんと立っていればいいと思うのです。これで追ってひっつかまえなくっても、ちゃんと立っていること自体によって、しかも運転が誤まっていれば、そこでつかまえて、これはいかぬじゃないかということで、注意で済むと私は思うのです。それを厳重にこいつを取り締って民事処分を適用するのだということは、私はこの交通事故防止なりあるいは法規違反防止する、ほんとうのその目的を達成する手段ではないと思う。  で、私がお伺いしているのは、そういう点について警視庁でどういうような方針でもって御指導をなすっているかということをお伺いしたわけです。
  42. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) これはお話のように、処罰するということが目的じゃないのでありまして、事故防止するためによく指導をしていく、私はやはりこれを基本にしてやっていきたいと、かように考えます。まあときどき物陰から出てきて、白バイなんかが取り締るというお話もございましたが、われわれとしましてもこういう方法が一番いいとは考えておりません。しかしながら、まあややともしますと、まあ郊外の大きな道に出たりしますと、スピード違反が非常に起り勝ちなんです。それはまあ非常にそこに危険があるわけでありまして、そういうスピード違反状況から見まして、あまり好ましいことではありませんが、やむを得ず絶えずスピード違反については注意をしていただくという意味で、そういう取締り方法も若干とっております。しかし私はこれが一番いい方法であり、またこれを非常に奨励していきたいというふうには必ずしも考えておりません。
  43. 大倉精一

    大倉精一君 これはやはりそういう事実のあることをお認めになり、そういう指導をとっておられるように思うのですが、これは一つぜひやめてもらいたいと思う。これはかえって運転手諸君が反感を持って、これは百害あって一利なしだと思う。隠れておって、そうしてひっつかますというようなやり方はですね。この運転手スピード違反なり、あるいは自動車事故というものは、ほかの事故と違いまして、これは運転手諸君に言わせれば、自分が衝突し自分が転覆すれば、自分が死ぬのだ。運転手は自分も死ぬのですから、これはもう精神訓話をやるよりも、運転手は自分自身がこわいのです。それをあえてスピード違反をやらなければならぬ、あえてそういう事故を起すということは、そこにやはり何といいますか、根本的な原因がそこにひそんでおると思う。ですから、運転手精神訓話をやってみても、これは精神訓話を受ける以前のものであって、運転手は自分が衝突すれば自分が死ぬんだ。お客だけ死ぬんだというわけではないのです。そういう精神訓話以前のものであり、取締り以前のものであると私は思うのです。従って、そういう物陰に隠れて、そうして違反をつかまえるというような方針は、あれは私は納得しかねる。他にもう少し、隠れておらずに、ちゃんと立っておってそうして見ておる、いけなければ注意をする、そういう方法をおとりになった方がいいのではないか。私はこれを再び質問するんですけれども、今後ともこれはびしびしそういうような方法でおやりになっていくのか、あるいはそうではなくして、ほんとうに一つ指導をし導いていくという方針でおやりになるのか、その辺の根本的な方針をもう一ぺんお伺いしたい。
  44. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 根本的には、先ほど申しましたように、指導といいますか、処罰をすることによってというよりも、指導によって交通事故をなくしていこうという方向へ参りたいと思います。  それからただいまの白バイの取締りのやり方につきましては、これはやはりスピード違反というものは、人が見ておろうがおるまいが、やってはいけないんだというやはり考えになっていかなければならない。そこに至るにはいろいろ方法もあろうと思います。私は、今言いました物陰から出てきて白バイで取り締る方法が最上のものであるとは考えません。さればといって、現状におきましてこれを今直ちにやめるというわけには、やはり事故防止の点から、ここで申し上げ切れない点が残っておると私は考えます。やむを得ずそういう方法をとっておるのであります。人——人といいますか、取締りの者がおろうがおるまいが、やはりきめられたスピードは守るという考えのところに着々と達し得ますように、これはやはり指導というような面を主としてやっていきたい、かように考えます。
  45. 大倉精一

    大倉精一君 それじゃ、一歩譲って、白バイが物陰に隠れてつかまえることもやむを得ないとしまして、その場合に、スピード違反を物陰から出てきてつかまえた、罰金と、こうくるのか、今後気をつけなさいと言って、名前を手帳に控える程度で帰すのか、その点はどうなんです。
  46. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 一がいには申し上げかねると思います。必ずしもそういう場合には全部罰金をとっておるものとも考えておりません。交通事故交通違反取締り状況について大まかなことを申し上げますと、その結果について説諭といいますか、でいろいろと注意をして、行政処分あるいは処罰ということでなしに済ましておる事例の方が、圧倒的にこれは多い、それが実情でございます。
  47. 大倉精一

    大倉精一君 参考のためにお伺いしますが、警察官はいわゆる事故といいますか、事故というのもどうかと思いますが、事件の取扱い件数の多少というものは、その警察官の勤務成績に関係するんですか、しないんですか。
  48. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 別に件数が多いから成績がいいというふうには、私は考えておりません。その警察官の全般の行動を見て判断すべきものと思います。件数が非常に多いから非常に優秀であるとは、言い切れないと思います。少いから優秀でないと一がいに言い切れないと思います。いわゆる処罰や行政処分をした件数が少く、交通事故防止という見地から非常に努力している警察官も非常にあるということなのでございます。
  49. 大倉精一

    大倉精一君 最後に一言要望しておきたいんですが、大体今まで申し上げたことで尽きるんですが、要は、運転手スピード違反あるいは交通事故というものが、内面的な非常な根本的な原因が災いをして、そういう問題が起ると私は思う。ですから、精神状態を調べろというさっきのお話もあったのですが、これは家族というか、出てくるときに夫婦げんかをしたり、あるいは借金を苦にしたり、こういうことがあれば、これは精神状態が悪いということが出てくるわけでございますから、そういう問題が、あなた方のおやりになる二重処分というそういう処罰をおやりになるそのことが、かえって運転手の生活面に悪循環を及ぼしている。かような、みな運転者スピード違反をしなければ水揚げが上らない、だから、従って無理にそういうことをやらなければならぬという悪循環が来ておると思いますが、特に交通取締りに対しましては、いわゆる今御答弁になったように、指導をして導いていく、あるいは補導をするというようなそういう面に重点を置いて、そうしてそういう処罰というこれに重点を置いたような格好の取締りは改めてもらいたいと思うのであります。これをまあ要望しておきます。
  50. 岡田信次

    ○岡田信次君 この前の国会で自動車損害賠償保障法ができたんですが、施行後まだ日が浅くて、その結果はわかりませんけれども、あれも、この前の法案の御説明のときには、事故防止の一助になるのだというお話があったのですが、あれが施行されてから事故との関係はどうなっておるか。そういう方面をお調べになっておるかどうか。
  51. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 御承知のように、二月一ぱいで登録しておりまして、三月からはっきり何します。従って、どうも統計上この保険制度の実施によって事故が減ったとかふえたとかということは、どうもまだはっきり申し上げかねます。ただ、今年は昨年に比べて事故が若干ふえておる。これはどういう原因か、ほかにもう少し調べてみなければわかりません。そういう状況でございます。
  52. 岡田信次

    ○岡田信次君 まあ施行されてから非常に日が短かいので、統計的な数字は無理だと思いますけれども、せっかくああいう法律ができたんですから、一つ事故との関係を今後も十分御注意なさっていただきたいと、これだけ要望しておきます。
  53. 小酒井義男

    小酒井義男君 先ほどからの質疑で大体はわかったんですが、もう少し具体的に二、三の点でお尋ねしておきたいのですが、有馬さんもおっしゃっておったように、事故の起った結果を調査せられ、その結果、非常に労働条件が過酷であって本人が疲れておったというようなことが、調べられた結果として出たことがあったかどうか。そこまではお調べに今まではなっておらなかったのかどうか。
  54. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) ちょっと統計上、労務管理云々ということははっきり申し上げかねます、統計上の数字をもっては……。しかし、運転者精神上あるいは身体上の状況から見ますと、やはり酔っぱらっておって事故を起したというのと、居眠りをしておって事故を起したというのが、圧倒的に多いのです。問題は居眠りだと思うのですが、これは統計上私はただいまここに資料を持っておりませんが、しかし過疲のために居眠りをして事故を起したという事例は、これは事例を拾えばあります。最近でもあったと思います。統計上どうということはちょっと申し上げかねます。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうした場合ですね、取締りをせらるる立場からですが、そういう事例があったらそのままにしておられるのか、経営者に対してそうした点の是正をするようなことを直接おやりになるか、あるいはその他の運輸省なりどこかを通じてそういうことを指導するような手続をおやりになっておるのかどうか、そういう点はどうですか。
  56. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) これは警察が直接経営者に対して、そういう労務管理上の問題についていろいろと申すことは、やはりこれは控えた方がいいのじゃないかと私は思っております。それはそれでやはり労働省、あるいは事業全般の監督をしておる運輸省というようなところからお話になるのが筋だと思う。しかし、それは正面からのお話で、実際問題としては、警察の方でも事業経営者と、そういうことについて懇談的にお話する事例は、これはあると思います。ありますが、しかし事業経営自体については、私どもは何らの権限を持っておらないわけであります。従って、事業全般の監督をしておられます方面、あるいは労働条件等について監督をしておられます方面に、私の方では意見を申し上げ、そういう労務管理上の過労等から事故の起らないようにしていただきたいということは、これは絶えず申し上げております。
  57. 小酒井義男

    小酒井義男君 それと、もう一つお聞きしますが、自治警でなく国警になった現在ですが、二重処分で就業停止をするのに、全国的な何か基準というものがあって、統一してやられておるのかどうかということなんです。
  58. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 大体の基準につきましては、総理府令できめてございます。しかしこれも具体的な場合場合につきましては、そういうこまかいものまではきめてございません。それからもう一つは、受り消しとか、あるいは長期の運転免許の停止につきましては、公聴会を開かなければならないというようなことは、一応全国的基準は示しております。必ずしも全部そろっているとは言い切れませんが、大体の基準で、たとえば六十日以上とか九十日以上の処分については公聴会を開く、そういう基準は出しております。
  59. 小酒井義男

    小酒井義男君 地方に行くと、事故が起る、人身事故なら人身事故ですね、負傷が一週間とか二週間とか、その負傷の日数によって、就業停止が画一的にきめられるために、発生した原因ですね、どちらに責任があるのかというようなことが割合参酌されないで、就業停止をされておるというような傾向があるのではないかということを聞くことがあるのです。現在の状態でそういうことはあり得ぬということか、そういう場合もやはりお認めになりますか。
  60. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) これはやはり被害者の方にある程度過失が認められれば、そういう処分等についてこれはやはりしんしゃくするのが当然だと私は考えております。
  61. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちょっと関連して。先ほどから疲労、さかのぼって労務管理からの事故について、非常に有益な御質問があったのですが、これに対して、いろいろの注意はするけれども警察としては直接は監督はできない、事業全体を扱う運輸省、あるいは労務管理労働省としばしば連絡をとっているのだと。そういう連絡を受けた運輸省としては、今までどういう措置をとっているのか。
  62. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 交通事故防止につきましては、内閣に交通事故防止対策本部というものができておりまして、自動車に関係のあります各省が集まりまして、その対策をいろいろ協議をしているわけであります。それで対策本部が非常に長期にわたっていろいろ検討をいたしたわけでありますが、まず法律的にどういう方法をとったらいいか、企業の監督面からどういう方法をとったらいいか、労働省の労務の監督の面からどういう方法をとったらいいかというような、いろいろな検討をいたしてきつつありますし、また現在でも密接な関連をもちまして、交通事故防止につきまして研究をいたしているわけであります。今回御提出いたしておりまするところの道路運送法の一部改正も、この本部の会議におきまして十分検討をした上、こういうものはやはり必要であるということで出しましたわけでございます。  ただいま委員長から御指摘がありましたように、運輸省といたしましては、企業の監督の面からも、交通事故がなくなるように努力いたしておるわけでございますが、今回の改正案の中におきましても、第三十条の中に、「事業自動車の運行の管理」というものを、非常に簡単でありますが、加えたことと、それから「掲示すべき事項その他」の下に、「輸送の安全及び」を加えたということは、非常に簡単な改正になっておるわけでございますが、この面からいたしまして、運輸省で現在すでにとりつつあるわけでありますが、どういうふうに考えているかと申しますと、まず運輸省といたしましては、従業員が安全上順守すべき事項を定めまして、経営者に陸運局長に届けさせるということでございます。これによりまして、従業員の安全準則というものを各企業者に十分に考えた上で作らせるということをまず考えておるわけでございます。  その次には、自動車の運行管理及び乗務員の指揮監督に関する事項を処理させますために、それぞれの営業所ごとに運行管理者という責任者を選任指名いたしまして、陸運局長に届けさせるということでございまして、ただ単に会社の名儀的な責任者でなくて、持っておるそれぞれの営業所につきまして、その運行の管理者というものをきめて、運行の安全を期したいということを考えておるわけでございます。この運行の安全を期しますために、陸運局長は、重大事故等を起しましたときには、運行管理者がその責任を果し得ないわけでございますので、必要と認めましたときには、その指名の取り消しをするということも考えておるわけでございます。  それから経営者の責任といたしましては、運転勤務図というものを責任を持って作成させまして、当然のことでございますが、停留所の名称でありますとか位置、区間、その距離、路線の状況運転時間、制限速度、平均速度、追い越し、行き違いの禁止区間、交通制限事項というようなものをはっきり定めまして、常々からそういう自分の運転する路線の状態というものをしっかりと把握させるように指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。  また先ほどからいろいろ過労お話が出ましたが、勤務時間及び運転時間を定めるということに当りましては、過労防止というものを特に注意してきめるように、要望をいたしております。  また予備運転者というものにつきましては、これをできるだけ配置するという方針をとらせますとともに、特に非常に現在長距離を走っておるバスがあるのでございまして、はなはだしきに至りましては、一日に百五十キロくらい観光バスは走る場合があるわけでございますが、その場合には必ず予備運転者を置かなければならないというような規定もいたしておるわけでございます。  それからこれも先般いろいろ御質問があった点でございますが、運転者につきましては、その運転者が運行いたしますところの路線及び事業上区域の状態、そういうものに適当な運転技術というものについて、経営者に常々教育するようにというような規定も設けてございます。  その他いろいろこまかいこともやってしおりまして、これは経営者そのものにつきまして、われわれの方が要望をしておるわけでございます。昨今は非常に重大事故が多くて、われわれも憂慮いたしておるわけでございますが、特に昨今われわれが気をつけておりますのは、バスの転落によります大きな事故が多いわけでございまして、その場合に、その高さが一メーターあるいは三メーターという低い所でありましても、非常にその下に水がありますときには重大事故を起しやすいという事例が、非常に多いわけでございまして、道路管理当局に対しましては、物的施設の面から、そういうふうな所に特に危険防止のさくあるいは標柱を立てるというようなことにつきましてお願いをするように、陸運局長に指令をいたしておりますとともに、またそれぞれの運行区間につきましては、運行者自身がよく知っているのでございまして、危険と思われる個所につきましては、われわれの方にも連絡いたしまして、われわれの方から管理庁から管理庁へというふうな、そういう要請もするように現在進めておるわけでございます。さらに監査をいたします場合におきましても、一応労務関係につきましては、われわれの方は直接の担当官庁ではありませんでございますが、先ほどからいろいろ御意見のありましたように、労務管理という面にまで立ち入らなければ、事故の絶滅は期せられないという点も、十分われわれ考えておるわけでございまして、今後におきましては労務管理の面につきましても、事業監査の場合にあわせて十分調査いたしまして、企業の経営の面と労務の面と、両面にわたりまして、できるだけ少い人数で、あるいは十全とは申しかねるかもしれませんでございますが、その面におきまして実態を把握して、それに必要な指導行政を達成するように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  63. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 先ほど街頭で酒の、酔っぱらいの問題がありましたが、酔っぱらっているか酔っぱらっていないかということは、何か科学的に判断をする方法があるのかどうか、あるいはそういうことに対する、何か現場の警官に十分な知識あるいは訓練を与えておられるかどうか。
  64. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) これは最近やっております。そういうアルコールを、吐く息の中に含むアルコールの量を検定する簡単な器具も警察で持っております。ときどき検査をいたしております。
  65. 早川愼一

    早川愼一君 ちょっと今のに関連して。その事故防止対策本部というのができまして、関係各省がいろいろ法規面について、あるいは実施面についての御相談があって、要綱がきまったということを聞いておりますが、まあおもに都市のハイヤー・タクシーの問題であろうと思いますが、その場合に、従来から非常にたとえば労働が過労であるとか、基準法が守られていないとかいうようなことがありましたが、今回の運輸省でやられることについては大体わかっておりますが、その他の方面防止対策については何か特別な施設があったのですかないのですか。たとえば労務関係の問題について、労働省が何か積極的に方針をきめたとかいうことばないのですか。
  66. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) この問題につきましては全面的に検討いたしたわけでございまして、まず最初は交通道徳の高揚といいますような、交通全般に対する精神訓練、ただいまやっております安全運動というようなものから取り上げて、一般人の交通道徳の高揚をはからなければならないというようなこと、それに非常に大部でございますので、簡単に御説明できかねるわけでございますが、その中に特に取り上げられておりますのは、まず設備の整備改善を努めていこうじゃないかというようなことも取り扱っておりますし、あるいはもう少し問題を広げまして、住宅政策あるいは都市計画というような問題においても、交通問題というものを十分に取り上げるように各方面に連絡をしようじゃないかというような点まで取り上げておるわけであります。  具体的な陸上交通につきましては、ただいま警察の方からお話がありましたような点につきましても、十分検討をいたしたわけでございまして、そのほか交通関係の道路構造、通行、車両というようなものの面につきましても、従来どういう方向にいくかというような点についても取り上げておるわけでございます。通産省関係といたしましては、車両があまり大型化になると、現在の日本の道路では小さい点があるというような点も取り上げられて検討いたしたわけでございまして、非常に大部でございますので、ちょっと簡単にこの席上で全貌をお話しするわけにいきませんが、実施に至った面と将来やろうという面がございますが、いわゆる道路交通における事故原因ということにつきましては一応網羅いたしまして、各省におきまして逐次それを実施に移していくという一応の成案は得たわけであります。
  67. 早川愼一

    早川愼一君 その対策本部というのはもう解散してなくなっているのですか、今後まだ継続して……。
  68. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) これはこれだけで終るものでないわけでございまして、継続はしておるわけでございますが、最近一応一段落いたしましたので、常時開いているという状態ではありません。
  69. 早川愼一

    早川愼一君 なお最近、まあ大都市について、特に東京とか大阪とかいう所で、ハイヤー、タクシーの面に対して、車両の、使用車両の制限、つまり増車を一応ストップさせるというような行政措置がとられているように拝承しているのですが、その事実はどうですか。
  70. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 大体現役大都市におきますタクシーの数におきましては、もちろん道路運送法によりましてその免許の適否が決せられるわけでございます。その場合に一番重要なことは、需要と供給の関係でございます。それでいろいろ問題が起りましたように、運転手過労というものもやはり収入という面に原因がある点も相当多いわけであります。その点におきましては、ある程度現在車両が過剰の状態ではないかというようなのが一般の考えでございまして、そういう需要供給の面から、あまり昨今においてはそういった免許というものは行われておらない、こういう状態でございます。この点につきましては、運輸省のみが判断をいたしておるわけではないのでありまして、御承知通り自動車運送協議会というように、使用者あるいは第三者の方々の、中立の方々の御意見も十分拝聴いたしまして、各陸運局におきましてその許否の根本の問題につきましては考慮しつつ、行政をやっておる次第であります。
  71. 早川愼一

    早川愼一君 流し円タクが非常に不秩序な運行をやるために、通行人その他の車両が非常に迷惑をする。これはどうしても、一面において駐車の位置を指定して、流し円タクを禁止したらいいじゃないか、もう少し広範囲にやったらどうかという意見があるようですが、その点についての警察方面の御方針はどういうふうになっておりますか。
  72. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) これは施設との関係とにらみ合せ、できるだけそういうようにいたしたいと思っておりますが、これはやはり今の施設との関係がございますから、一挙にそこまでもっていくというわけには参らない、そういう状況であります。
  73. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 先ほどの事故防止対策本部でいろいろ御研究になった要綱を昨年お出しになっているようですが、まだ私どもいただいていないように思うのですが、一つ資料として御提出を願いたいと思います。
  74. 小酒井義男

    小酒井義男君 もう一点、自動車局長にお尋ね申したいのですが、交通事故防止対策本部というものは、関係の役所で連絡機関としてそういうものをお作りになったんですが、最近の傾向としては、政府はだんだんいろいろな委員会、審議会というようなものに対して民間代表というようなものを入れていくということはどうも避けていきたいという気持があるかわからぬのですが、これを交通事故に対する関係官庁と、それにあるいは医学的な立場からいえば医師の代表の人が入るとか、あるいは自動車運転手あるいは業者というようなものを加えたところの審議会というようなものを作って、そういうところで各層の意見を十分取り入れたところの防止策というものを答申をして、それを行政面に取り入れてい、というような、そういうことを運輸省で今までに考えられたことがなかったかどうか、そういうことは考えられぬかどうか、局長、どうですか。
  75. 山内公猷

    政府委員(山内公猷君) 御承知通り運輸省の一番大きな行政のバック・ボーンといたしましては、安全という面が常に取り上げられているわけであります。機構改正のような場合には安全局というものを作ったらどうかというような案すらあるような状態でございまして、われわれといたしましては、この面におきましても何かさらに、昨今の情勢におきましては、一歩進んだ措置考えなければいけないのではないかというふうにも考えておるわけであります。ただいまの先生の御意見、非常に有益な御意見でございまして、将来ともそういう点につきまして研究させていただきたいと思います。
  76. 小酒井義男

    小酒井義男君 御答弁があったので私非常にありがたいと思っておるのですが、やはり実際の効果を上げていくという意味においては、当事者も加えてそうして意見の結論を出していくということが非常にいいと思うのです。そういう点一つ、今お話があったように、運輸省として十分御研究が願いたい。できれば、こういうものを一つ作られる方がいいのじゃないかと思います。     —————————————
  77. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、倉庫業法案議題といたします。  政府委員より概要の説明を願います。
  78. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 今回提案されましたところの倉庫業法楽につきまして、一応逐条的にその概要を御説明申し上げます。  第一条は、この法律の目的を定めたものでございまして、倉庫業の適正な運営と倉庫証券の円滑な流通を確保することを、この法律の目的といたしたのであります。  第三条は、この法律の用語の意味を明らかにいたしますために、倉庫、倉庫業及び倉庫証券につきまして定義をいたしたものでございます。  第三条は、倉庫業の公益性にかんがみまして、その営業につきましては運輸大臣の許可を受けることを要することといたしたものであります。  第四条は、営業の許可の申請手続を定めたものでありまして、また第五条は、運輸大臣がこの許可をいたします場合の基準を定めたものであります。  第六条から第九条までの規定は、倉庫業者の営業に関する料金及び倉庫寄託約款についての運輸大臣に対する届出義務、大臣の変更命令権等、所要の規定を設けたものであります。  第十条は、倉庫業者が特定の利用者に対しまして不当な差別的取扱いをいたしますことを禁止したものであります。  第十一条及び第十二条は、営業に使用する倉庫につきまして規定をいたしたものでありまして、倉庫業者がその位置や構造、設備または保管物品の種類を変更しようとするときは運輸大臣の認可を要するものといたしますとともに、その倉庫の構造及び設備を一定の基準に適合するよう維持する義務を課して、その基準に適合していない場合には運輸大臣においてその修理、改造等の命令をすることができることといたしたものであります。  第十二条は、倉庫証券の流通性にかんがみまして、倉庫証券の発行に当っては、従来通り、運輸大臣の許可を要するものといたしますとともに、その許可を行う場合の基準を定めたものであります。  第十四条は、倉庫業者が倉庫証券を発行する場合は、従来通り、その受寄物を火災保険に付する義務を課したものであります。  第十五条及び第十六条は、倉庫業者間の集荷に関する協定につきまして、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用を除外いたしまための規定であります。  第十七条かし第十九条までの規定は、倉庫業者について営業の譲渡、法人の合併及び相続が行われました場合における営業及び発券の許可に基く合法上の地位の承継につきまして、所定の規定をいたしたものであります。  第二十条は、倉庫業者の営業の廃止につきまして届出義務を課したものであります。  第二十一条及び第二十二条は、倉庫業者に対する監督処分規定でありまして、運輸大臣は一定の場合には、営業の停止もしくはその許可の取り消し、または倉庫証券の発行の停止もしくはその許可の取り消しをすることができることといたしたものであります。  第二十三条か心第二十七条までの規定は、この法律の罰則とも申すべき規定でありまして、許可または認可に付する条件、被処分者に対する聴聞、被処分者の訴願、運輸大臣の権限の委任、運輸大臣の報告、聴取権及び立入検査権につきまして、必要な規定を設けたものであります。  第二十八条から三十二条までの規定は、この法律の実施を確保いたしますために必要な罰則を設けたものであります。  次に附則でありますが、附則第一条は、この法律の施行期日を定めたものでありまして、この法律は公布の日から六カ月を経過した日から施行することといたしております。  附則第二条は、この法律の施行に伴い、現行倉庫業法を廃止するための規定であります。  附則第三条から第五条までの規定は、現行倉庫業法の廃止に伴う経過措置でありまして、第三条は、既存業者について三カ年間はこの法難による許可を受けないでも引き続き倉庫業を営むことができることといたしますとともに、倉kの構造、設備につきましても、その基準を若干緩和したものであり、第四条は、現行法によっていたしました処分手続に関する経過措置、第五条は、罰則に関する経過措置を定めたものであります。  附則第六条は、冷蔵倉庫業のように特殊の保管方法を用いて営む倉庫業につきましては、その業態の特殊事情にかんがみまして、当分の間営業の許可を要しないものとするほか、所要の特例を設けた次第であります。  附則第七条から第十一条までの規定は、倉庫証券を発行する場合に現行倉庫業法の一部を準用することといたしております水産業協同組合法、中小企業等協同組合法及び森林法の一部を改正するための所要の規定であります。  以上がこの法律案の概要の説明でございます。
  79. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記をとめて。   〔速記中止
  80. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。本日は、これにて散会いたします。   午後三時二十一分散会