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政府委員(權田良彦君) それでは、以下重要な点だけを申し上げます。
第三章の首都圏整備計画、すなわち二十条でございます。これがこの整備
委員会の計画実体でございまして、重要な
規定でございますが、これも今までは首都建設
委員会に
おいては首都の整備に対する、重要施設の計画となっておりますのを、基本計画、整備計画、
事業計画、こういうふうに三つに割っておるわけでございます。これは新しい観念でございまして、基本計画というのは、人口規模でありますとか、土地利用でありますとか、経済構造、産業構造でありますとか、そういうふうないわば整備計画の前提
条件となるような
事項でございます。その基本の前提
条件を受けまして、整備計画というものは、この第三項に書いてありますように、行
事項ごとに、――この各
事項というのはイ、ロ、ハとずっと上げてありますが、これごとにそれぞれの根幹となるべきものでございます。従いまして、宅地なら宅地についてその根幹となる計画、これは非常に法文上まだこれだけでは解釈は不十分でございますので、「政令の定めるところにより」ということで、政令でこの内容をもう少し検討してみる、こういうことになっております。私
どもはこれから、この
法律案が
通りますれば、各省がその政令の打ち合せに入るわけでございますが、現在までの私
どもの方の研究では、この整備計画というものには日本国有
鉄道は含まれないと解釈をいたしております。すなわち幹線といたしまして日本全土にわたって行われております計画でございまするので、首都圏部分だけを区切りましてこの根幹計画を立てるということは事実上できませんし、無意味でございますので、入らないと思うのであります。それから地方
鉄道、軌道につきましては、この基本計画の
条件に合い、その主要
鉄道のそれに対する
輸送需要に見合う設定計画でありまして、物的な施設計画であると存じておるのであります。従いまして、
バス路線というようなものは
免許でございまして、しかもその内容は通行権の固定確保でございますので、そういう
事業の特許的なる
免許でございまするから、物的施設計画ではない。これは道路計画が物的施設計画でできればおのずから
自動車交通網計画は立つのでありまするから、いわゆる路線権というようなものはこれの対象に入らぬと解釈をしておるのであります。なお港湾、飛行場につきましては、国際飛行場並びに重要港湾の国際的港湾に関しましては、これは首都圏地域における計画ではございませんので、あるいは世界の航空条約、あるいは世界の航空情勢、あるいは港湾の海遡行政、あるいは国際的なるいろいろな
関係から、おのずからきまって参る面もございまするので、こういうものは整備計画からは文理上当然に除いてこられるのだというふうに大体解釈をいたしております。
次に、この四項の
事業計画というものが今後新たにつけ加わって参りますものでありまして、これは今申し上げました整備計画を
実施するために必要な毎年度の
事業、いわゆる
事業の
実施年度計画でございます。従いまして、これもこれでは解釈が不明確でございまするので、政令で定めると、こういうことに相なっております。この政令についても、ただいま申し上げました政令と同様でありますが、今申し上げました整備計画に伴う今度の
実施計画でございまするので、住宅でございますとか、道路でございますとか、公園でございますると、
実施者が国または地方公共団体でございまするので、おのずから
実施主体がきまって参りますので、この整備計画に基く毎年度の
事業計画も計画が立ち縛るわけでございます。ところが、
交通事業のごときは、御案内のように、国あり、地方自治体あり、私
企業ありということで、しかもこれの
実施事業計画というものは
経営主体に
おいてまず設定をいたしまして、この
経営主体の
申請を待ちましてこれを認可するということにかかっておるわけであります。従って、これを
委員会あるいは国に
おいてみずから
事業の
実施年度計画を相立てますることは、これも事実上あり僻ませんし、また法理上あり得ないのでありまして、何ら統制力、強制力を持っておりませんですから、
事業者が国もしくは地方自治団体である場合の道路等には適切でございまするが、
交通事業には毎年度の必要な
事業計画というものはこういった形式に
おいては考えられない、一方的に決定することは不可能でございまするので、その意味に
おいて政令でもって当然これが除かれて参るというように、今
運輸省は解釈をしております。すなわち、この毎年度の
事業計画は国または地方公共団体の
事業であってその予算にかかるもの、と解するより
方法がないと思うのでございます。
で、整備計画は、
先ほど申しました
委員会のほかに、諮問機関の審議会というものができるのでありまして、これは在来の首都建設法にはなかったもので、これは第十七条、十八条で、四十五人以内の相当大きな諮問機関ができますが、この諮問機関に諮問し、さらに
関係都県、また
関係行政機関の長、それぞれ例個に
意見を聞いて決定するという二十一条の
建前になっております。
ずっとこれを省略させていただきまして、二十四条で「必要な小学校又は中学校の施設の建設を行う地方公共団体」に対する国の補助ということと、それから三十一条で、十八ページでございますが、資金の融通に対するあっせん、三十二条で
企業債に対するところの特別許可という、この三つが補助
法規でございます。二十四条と三十一条と三十二条でございます。この三条は在来の首都建設法にはございませんので、新たなる補助
法規として、ここに予算の許す範囲内に
おいてこういうことを行うということになっておるわけでございます。
で、次に二十八条と二十九条を御説明いたしまして説明を終りたいと思いますが、この二十八条は、
関係行政機関の長、
関係地方公共団体及び
関係事業者は、この整備計画等の
実施にできる限り協力すると同時に、
委員会がこれに対して
勧告あるいは報告を求め得る。これは現在の首都建設法にもこれに似た条文がございますが、この場合にいろいろ、この
勧告の内容の範囲につきましては解釈が一定をいたしておりません点もございますし、まあ在来の首都建設
委員会から出ました
勧告に
おいてもこの点不明確でございますが、条文としては在来法に近いので、私
どもも賛意を表しておりますが、この運用については各省の施策に属し、各省大臣の単独固有の責任のもとに
おいて行わるべき
事項というものにつきましては、総理府の外局である行政
委員会が
勧告権を有することは穏当ではないと私
どもは解釈をいたしておりますので、そういったような問題でない、
先ほど来御説明申し上げております首都圏整備計画に関連しての
勧告権と当然解釈し縛ると、
運輸省は解釈しておるわけであります。
二十九条はこれは全く新たなる
規定でございまして、「整備計画に関する施策の立案及び
勧告」、これは
委員会がこの首都圏の建設とその秩序ある発展をはかるため特に必要があると認めるときは、審議会の
意見を聞いてこの整備計画に関する総合的な施策を立案し、
勧告または報告を求める。すなわち
先ほど申しました基本計画、整備計画、
事業計画と三つあります中の、整備計画についての総合的な施策でございます。何がゆえにこの二十九条を起したかということは、
先ほどごらん願いましたように、ああいうふうにイ、ロ、ハ、ニ、ホというように、たくさんの
事項が相互に関連をして参るわけでございます。宅地と道路の間、道路と
鉄道の間、あるいはそれら全部を通ずる間、公園と住宅との
関係、学校と水道、下水道との
関係というように、すなわち整備計画の根幹計画をなす場合にイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リとございますし、また一、二とございますが、これらの整備計画相互間の総合的な施策、すなわちこれらを横に
連絡する施策、たとえば今申し上げましたように、住宅や宅地の整備計画と道路、
鉄道の整備計画との総合的施策、これをどうするかということがこれまた首都圏整備計画の根本なんであります。この点を補ったものでありまして、この点についての総合的な施策を
委員会がこういう場合に立案して、必要があればこういう所に
勧告をする、こういうことに解釈ができるのであります。従いまして、たとえば厚生省でありますとか、農林省でありますとか、
運輸省でありますとか、それぞれの省の単独固有の権限に属する
事項、すなわち地方
鉄道なら地方
鉄道、港湾なら港湾そのものだけの実行施策、たとえば地区別調整をどうするか、
経営主体をどうするかというような問題は、二十九条に含まれておらぬということに私
どもは解釈をいたしておるわけであります。
以上がこの
法案のおもな点でありまするが、もう
一つ重要な
一つの点は附則の中にございまして、二十ページでございますが、附則の四項で「首都建設法は、廃止する。」こういうことに相なっております。ところが、御承知の
通りに、首都建設法は住民投票によって成立した
法律でございます。従いまして、この廃止にも当然住民投票を必要とするという
意見も実は部内に一部あったのでございますが、大体法制局等の現在の解釈に
おいては、この新しい首都圏整備法はもちろん住民投票は要らない。この廃止すべき首都建設法は、これを総理府に移管する程度のごときことはもちろん住民投票は要らない。しかしその性格を根本的に変更してしまうような重大な変更を伴う場合には、住民投票が要る場合もある。しかし今回の首都圏整備法程度の修正ならば、住民投票はこれを用いずとも廃止ができる、こういう一応の解釈を政府はいたしておるわけでございます。
なお、終りに、この
法案と国土総合開発法の
関係が附則の12に出ておりまして、国土総合開発法との総合調整はできるように相なっておるのであります。しかしながら、この
法案で一部今後なお検討を要すると私
どもが思っております点は、都市計画法との関連でございます。都市計画法におきまするところの計画内容、対象区域、その区域の決定、都市計画及び都市計画
事業の決定、それの
実施、それに伴ういろいろな区域、たとえば建築
基準法による地区だの、風致地区だの、臨港地区だのの指定の問題、それと設置者が費用の負担をする問題、それから補助の問題、その他土地収用の特例の問題というようなものが、この点大体重複法に相なっているのであります。従いまして、現行都市計画法と重復する部面が非常に多うございまして、この点に
おいて、都市計画法の主務大臣が建設大臣であり、また都市計画審議会が諮問機関としてついておりますが、今回の首都圏整備
委員会と首都圏整備審議会との
関係並びに今申し上げました
事項重複
関係をどういうふうに運用するかが、今後の運用に
おいては私
ども政府部内に
おいても調整を要する点があると考えているのであります。大体対象区域等、今申し上げました計画、
事業の内容が二重計画に相なる点は、本法に
おいてなお今後大いに政府に
おいても研究を要しなければならぬ点でございます。
以上が大体この
法案の概要でございまして、ただいま、
先ほど申し上げました
通りに、建設
委員会で審議申でありますが、私が申し上げておりまする点は、法文はここででき上っておりますが、これの解釈及び今後の運用には、なおかかる問題点があるということを御報告いたした次第であります。