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1956-03-30 第24回国会 参議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月三十日(金曜日)    午後二時四分開会     ―――――――――――――   委員の異動 三月二十八日委員田畑金光君及び森田 義衞辞任につき、その補欠として内 村清次君及び高木正夫君を議長おい て指名した。 三月二十九日委員平林太一君及び仁田 竹一辞任につき、その補欠として木 内四郎君及び大屋晋三君を議長おい て指名した。 本日委員木内四郎君及び大屋晋三君辞 任につき、その補欠として平林太一君 及び仁田竹一君を議長おいて指名し た。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    委員            有馬 英二君            岡田 信次君            川村 松助君            仁田 竹一君            三浦 義男君            三木與吉郎君            内村 清次君            大倉 精一君            大和 与一君   政府委員    警察庁警備部長 山口 喜雄君    運輸政務次官  伊能繁次郎君    運輸大臣官房長 朝田 靜夫君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省自動車局    長       山内 公猷君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○道路運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○運輸事情等に関する調査の件  (首都圏整備法案に関する件)     ―――――――――――――
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 運輸委員会を開きます。  初めに委員の変更を御報告申し上げます。三月二十八日森田義衞辞任高木正夫補欠田畑金光辞任内村清次補欠、三月二十九日平林太一辞任木内四郎補欠仁田竹一辞任大屋晋三君補欠、三月三十日本内四郎辞任平林太一補欠大屋晋三君辞任仁田竹一補欠選任せられました。     ―――――――――――――
  3. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 道路運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のお方は御発言を願います。
  4. 大倉精一

    大倉精一君 道路運送法の一部を改正する法律案提案理由の中に、自動車運送事業の安全を確保しようという文句が見られるのでありますが、これはこの輸送の安全のための一歩前進だということについては非常にけっこうだと思うのですが、これによって自動車運送の安全を確保するという、そういうきめ手にはならぬ、そういう根本的な要素にはならぬと私は思うのですが、これはやはり自動車運送というものが、特に運転手に対する労働条件なり勤務条件なり、そういうふうな問題を根本的に解決をする、こういう熱意を示さない限りは、私は交通の安全という根本的対策にはならぬと考えておるのですが、こういう点について局長の御意見を伺いたいと思います。
  5. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 今度の法律改正運送の安全が確保されることはできないじゃないかという今のお話はまことにごもっともなのでありますが、運輸省といたしましても、この法律を設定いたしますとともに、実体的な裏づけあるいは行政指導と申しますか、そういう点につきまして、今後この法の運用とともに交通安全というものにつきましては格段の努力をいたしたいと考えております。
  6. 大倉精一

    大倉精一君 この点について、一応交通取締り立場にあられる警察庁の御意見を伺いたい。
  7. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記をとめて。   〔速記中止
  8. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。
  9. 大倉精一

    大倉精一君 いわゆる交通安全のためになる、この法案裏づけになる指導をやるというお話ですが、その裏づけ指導は、主としてどういう方面に対して指導の重点をおかれるのか、こういう点について一つ伺いたい。
  10. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) この法律の中にも一応頭を出しておりますように、まず交通の安全を確保いたしますためには、従業員方々運転の過誤なきことを求めると同時に、経営者におきましてもその交通の安全を確保するような心がまえを持ってもらわなければならぬという趣旨のもとに、経営者に対しまして今回の改正法案の中で盛り込んでおりますことは、特定自動車運送事業におきましても、事業適確遂行能力という点につきまして新たに規定を加えましたことと、そのほか二十七条を改正いたしまして、運転者は年令、運転の経歴その他政令で定める一定の要件を備える者でなければ使ってはいけないということを、経営者義務として負わせました。また経営者につきましては、三十条の関係といたしまして、勤務時間あるいは運転時間を定める場合に過労防止を考慮すること、そのほか乗務員の安全上順守すべき事項を定めるというようなことも考えておりまするし、また現在も大体行われていると思うのでございますが、予備運転者というようなものも配置をいたしまして、特に昨今のように、百五キロ程度にも当りますところの観光バスを走らせるという場合には、予備運転者をどうしても置かなければいけないというような規定を置きまして、そういう労務面からの従事員の人の過労を防止するということを考えますとともに、運転者に対しましては、運転上順守すべき事柄制度上はっきりきめまして、この中にはあるいは条理として守るべきことも含まれていると思うわけでございますが、たとえば踏み切り等では必ず停止して前後を見てから通れというような点、そういう点をまあ大体条理として認められるような点も含めて、そういう運転の準則というようなものも作りたいというように考えております。
  11. 大倉精一

    大倉精一君 この行政指導の中のいろいろな方法について今述べられましたが、各項目に対するいろいろな意見は一応省きまして、主として事業適確遂行能力という問題についてお伺いしたいと思うのですが、事業適確遂行能力というものはどういうような基準でやられますか。
  12. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) これは一般道路運送事業に要求されておる要件でございまして、御承知のように、自動車に関する事業免許事業になっているわけでございまして、免許事業として公益上の保護を受けている半面、義務を持っておるということは法律上当然の建前でございます。どういう義務を持っているかと申しますと、まず安全に人及び物を送る義務を持ちますとともに、第三者に対しまして七分その事業を遂行するに足るところの資格と申しますか、一般の産業と違いましたそういう条件を課せられておるわけでございます。従来この特定自動車運送事業に課せられていなかったのは、比較的にそういう免許事案でも軽いというふうに考えられたのかもしれないのでございますが、そういう見地から立ちまして、特定自動車運送事業の中で、たとえば旅客の面を考えてみますと、大体宿屋組合といいますか、旅館組合自動車を持ちまして、傘下の旅館の客を輸送するというような事例が考えられるわけでございますが、その際に、その経営主体というものはやはり安全に送り届けるところの義務を持たなければいけないのではないか。たとえば現在、先ほど申し上げましたような、二十七条というような要件もやはり具備しなければならないわけでございまして、人命を輸送する上におきまして、一般の人または物を送るという仕事と考えまして、輸送の実態から考えて、その面では甲乙がないのではないかというふうに、われわれ研究の結果、結論を得まして、今回その点に対する改正の御承認を得たいと思いまして、提案した次第でございます。
  13. 大倉精一

    大倉精一君 私はこの交通関係事業資格といいますと、資力信用ということもあると思いますが、特にこれは交通の安全というものに対して業者みずからが確保する、こういう措置が十分できる、こういうことが私は一つの大きな要件になると思う。従って、たとえば資力の面につきましても、輸送安全に対する手当ができない、資金の面でできないというようなそういう業者は、これは私は業者資格については欠格者と認めても差しつかえない、こう思うのですが、御見解を伺いたいと思う。
  14. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) その点につきましては、いわゆる免許基準の問題になると思うのでございますが、自動車運送事業におきましても、いろいろの様態があるわけでございまして、あるいはバストラックから軽自動車というようなものまであるわけでございまして、それぞれにつきまして、その的確なる免許基準の算定をしなければならないわけでございますが、特にわれわれといたしまして、そういう際に重視をいたしておりますのは、第六条の第三項でございますが、ちょっと読み上げますと、「運輸大臣は、免許申請を審査する場合において、前二項に掲げる基準を適用するに当っては、形式的画一的に流れることなく、当該自動車運送事業の種類及び路線又は事業区域に応じ、実情に沿うように努めなければならない。」こうありまして、形式的にものごとを判断するのではなく、できるだけ実際上の問題を彼此総合的に考えてやらなければならないと思うわけでございまして、その点におきまして、御趣旨のように、資力信用というような点につきましては、十分われわれとしては考えていきたい、かように考えております。
  15. 大倉精一

    大倉精一君 私は今申しました交通の安全を確保するということが事業に必要な重要な資格要件になるということについては、これは局長も同感だと思いますが、私はこの事業のいわゆる交通の安全を確保するという場合に、トラックハイヤータクシーというような場合におきましては、これは主として安全の措置をするという財政的な面は人件費だと思います。ほかに別に措置をすることはないと思う。軌道、鉄道におきましては、踏み切りとかなんとかいろいろ設備が要りますが、これはそういう設備は要らない。これは車の設備人件費だけだと思う。従って、業者のいわゆる資格事業適確に遂行する能力資格というものは、人事問題について交通の安全を確保するに足るところの労働条件なり、労働賃金なりというものを保障しつつ、健全なる経営をやっていける、こういうことが私は非常に大きな要件だと思うのですが、そういう点についてはいかがでしょうか。
  16. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) お説の通りでございまして、その点につきましては、企業のいわゆる面とも一面相反する場合もあり得るかと思いますが、できる限りそういった点につきましてはわれわれも配慮いたしたいと思うわけでありまして、特に労働条件の中の、先ほども御説明をいたしましたように、過労になることを防ぐという点につきましては、今後とも十分安全という面から企業者に、たとえば休憩所の施設をするようにとか、あるいは先はど申し上げましたように、予備員配置を十分するように、あるいはダイヤ通りの定員を確保するようにというような点につきましては、十分行政指導の面において考慮をいたしていきたいと思っております。
  17. 大倉精一

    大倉精一君 はなはだ言葉尻をとって何ですが、企業の面と相反する、これは一つ問題だと思うのです。いわゆる十分なる労働条件を備えていけばその企業は成り立たないという企業は、もうすでに交通事業として、いわゆる公益聖業としての企業として資格がないと私は思う。従って、交通の安全ということは、やはり従業員、ことに運転手、助手、こういうものの労働条件というものもが、現在のたくさん事故が発生している原因になっているのじゃないかと思います。たとえばいろいろ運転手の守るべき事項規定しておるということなんですけれどもこれはハイヤータクシー運転手というのは、中には横着者もあるけれども事故を起せば自分が死ぬんだから、これは本能的にこういうことはやると私は思う。やるのですが、そこで注意がゆるむという原因がいろいろあると思う。たとえば家庭の不和、あるいは睡眠不足、あるいは給与不足によって無理な運転をする、こういうのを排除しない限り、私は交通事故というものは防止できないと思う。従って、一にかかって労働条件にあると思います。この点について、辛い警察の方がおりますから、警察の方にもこの事故原因に対しての見解一つ伺っておきたい。
  18. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 交通事故旗門につきましては、いろいろ問題があると思います。御指摘になりましたような労務管理といいますか、運転者に対して激しい労働をさせるということもまた一つ原因になっている面があろうと思うのであります。私どもとしましては、その自動車の、特に円タクの運転手給与の体制の問題等についても大きな関心を持っておるのでありますが、直接これを警察がタッチしましてどうこうということは、これはやはりこういう問題は労働省の方でお取り扱いになっておりますから、労働省の方とよく連絡をとりまして、相談をして進めておるわけなんです。私の方としましては、自動車運転する人の運転技術あるいは運転についてのいろいろな注意というような面から、交通事故防止交通交全という問題にいろいろとまあ努力をいたしておるような次第でございます。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 今私の聞いておるのは、たとえば池田交通課長さんがこの問題について朝日新聞かどこかに論文を載せられたことがありますけれども取締り当局として、技術面からあるいはその他の専門分野の面から、取締りをやっておられる。にもかかわらず、毎日々々多数の交事故があり、死傷者が出ている。これは現実なんです、そうしますると、この面からだけの取締りではいけない、こういうことになる。これは労働省の問題だ、運輸省の問題だ、おれのところはこれだけやっておればいいのだというならば、ほんとうの事故防止の責任というものは果すことはできないと思う。その原因を深く探究してその原因を取り除く、こういうことがいわゆの交通取締り趣旨にも合致するしまた安全確保の面の一番根本的な問題だと思う。従って、警察当局として私はこの労働条件というものが一番重大原因だと思う。今あなたの方ではこれもまた一つ原因だと言われておったのですが、私はそれもまたじゃなくて、これは一番大きな原因と思うのですが、もう一度警備部長にお尋ねしたい。
  20. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) お話の点は、これは交通事故につきましての一つ原因であると私も思いますが、それが全部であるとも申しかねると思います。そのほかいろいろな、交通法規の問題、あるいは運転技術問題等、いろいろな問題がからみ合っておるのであります。ただ御指摘のように、警察のいわゆる取締りだけでこの交通事故をなくしていくということは、これはなかなかもうむずかしいので、ほとんど私は不可能に近い。警察だけの取締りだけをもってしてやっていくということは、これはやはりある限界があると私は考えます。従いまして、運輸省労働省その他関係方面とも、昨年の六月以来何回も御相談をいたしまして、総合的な交通事故防止対策をやろうということで、それぞれ受け持っております面について必要な事柄実施して参りつつある。それが現状でございます。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 時間がないから端的にお伺いしますが、ただいまの技術の面から、あらゆる法規の面からというお話があったのですが、これは法規を犯して事故を起す、あるいは無謀な運転をして事故を起す、その原因を探ってみるどいうと、結局労働条件につき当ってくる。しかもあなたの方では、処分を盛んに、厳格におやりになっておるそうですが、それもまた悪循環になる。いわゆる何千円の罰金をとられる、すぐ就業停止を食わされる、それを今度カバーするために無理な運転をしなければならぬ、生活がやっていけない、こういうような悪循環によってさらに事故がふえる、こういうことになってくると私は思う。従って、こういうような問題につきましても、やはり行き当るところは労働条件である、こういう工合に私は考える。  そこで最近ハイヤータクシーの八時間労働制に対して非常な議論があるわけですが、これはかって警視庁の警ら交通課長の鈴木さんでございましたか、あの方も八時間労働制を主張しておられたと思います、あの論文の中で。そこでこの八時間労働制について労働省の方からきょう伺いたいと思っておりましたが、これはきょうおいでになりませんので、次の機会に保留しまして、特に運輸省並びに警察当局にお伺いするんですが、この八時間労働制について、一部では非常に無理だというような御見解があるんですが、しかしながら私はこの基準法に基く労働時間の厳守ということについては、これはやはり免許申請をするとき、これを許可するときに、先ほどから申しましたところの事業適確遂行能力のうちに大きく加えて免許をやるようにしなければならぬと思う。申請の書類の中にもそういうことは書いてある。しかしながら、それは免許がおりると同時に、そういうものについてはほとんど経営者の方で守られていないというような状態にあるように聞いております。従って、私はこの際八時間労働というものを実施する――むろんそれがすぐに実施するわけに参りませんので、準備期間なり行政指導なりして、そうして八時間労働実施しなければならぬと思うのですが、その点について一つ警察庁並び運輸省の方から御所見を伺いたいと思う。
  22. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 八時間労働制は、労働基準法の三十二条におきまして、実働一日八時間、一週間四十八時間制というものがすべてのそういう企業に一律に適用になるという原則があったわけでございますが、その点に関しまして、旧労働基準法施行規則二十八条におきまして、特殊勤務あるいは一昼夜交代の勤務についての自動車運送事業に従事する労働者につきまして特例が設けられておりましたのが、二十九年の改正によりまして除かれたわけでございますが、その際、基準法施行規則の附則の第二項によりまして、労働大臣が別に定める日までの間は従前の例によるということになっておるのが現状でございます。これに対しまして、本則に戻って八時間の一般原則に従わなければならないということが従来非常に論議されて参ったわけでございますが、最近労働省におきましては、そういったただし書きの第二項の告示を考えておられるやに聞いております。  それで一方、これは企業者からの御意見労働者側からの御意見もいろいろわれわれも伺っておるわけでございますが、私どもといたしましては、この基準的に八時間労働制がしかれるということはもとより必要なことであろうと思っておるわけでございますが、ただいま大倉先生お話もありましたように、急激にやるということもまた企業の基礎をゆるがして、ひいてはまた企業採算割れによりまして労働者方々にも不利益を及ぼすというおそれもなきにしもあらずという点も十分考え合せまして、そういう点につきましては十分漸進的に実情に合せるように、しかし八時間労働制というものをできるだけ早く施行するという建前で、労働者が考えておるように伺っておりますので、この点、主管官庁でございませんが、非常に関心を持っておりますので、十分労働省とも緊密な連絡をとりまして、この運営につきましては相ともに協力いたしまして、ただいまのお話にありますように、交通安全の面をどうしても確保するという点から必要であると思いますので、十分円滑な実施をはかりたいと思っております。
  23. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 私どもとしましては、ざっくばらんに申し上げますと、除外例をなるべく早くやめていただきたいという気持を持っております。労働省の方にいろいろとお話もしたんですが、また事業経営という面からの問題もありましょうし、早急にすぐというわけには参らないと思いますが、しかしわれわれの立場からいたしますと、なるべく早く一つ今のような運転方法は改めていただきたいと思っております。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 労働省では一月二十八日にすでに、ハイヤータクシー業者に対しまして一日八時間の確立の受け入れ態勢を作れ、こういうふうに勧告をしておると思います。が、その後に至って、一日八時間労働制受け入れというものに対しましてほとんど熱意を示しておらぬように聞いております。しかも、これは地方の基準監督署におきましては非常に八時間労働制に対して熱意を示しておるが、中央におきましてはあまり熱意を示しておらない。だから、そういうような勧告を出しておるにもかかわらず、いまだにそれがやられておらない。聞くところによると、四月の一日に実施をする、こういうことを基準局長が約束をしておったそうですが、それもどうやら御破算になりかけておる、こういうような状態を私は聞いております。この点について私は基準局長にお伺いしたいと思っておったんですが、ただ、ここでお伺いすることは、運輸省並びに警察当局おい労働省を鞭撻をされまして、真の意味におけるところの交通の安全のために、当初労働省勧告をしたところの一日八時間制というものをすみやかに実施をする。もうすでに業者勧告してあるのですから、業者がずるくてそいつをやる熱意を示さないだけでありますので、これはもう十分余裕を作ってあると思いますので、これを両方の当局から労働省を督励して、そうして早く八時間労働制にしてやる、こういうふうな督励をしてもらいたいと思うんですが、そういう点についてはいかがですか。
  25. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 私ども労働省とは、その点につきまして十分緊密な連絡をいたしておるわけでございます。ただしかし、あまりにも急激に行いますことは、ただいまお話のありましたように、受け入れ態勢が十分でなかったというような点もありますので、かえってそういう過激な制度の切りかえというものは混乱を起しますし、本来の趣旨でありますところの安全という面もそれによりまして果して達成せられるだろうかという点につきましては、企業の面、労働の面、総合的に十分勘案して、できるだけ早く実施に移すよう労働省とも連絡いたしたいと思っております。
  26. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) お話の点一は、私の方としましては前々からこれは労働省お話をしておるのであります。私どもの方はなるべく厚く実施していただきたいというのが、これは偽わらざる感じでございます。労働省に対して絶えずお話をわれわれの方からしておりますが、いろいろな面で実施がおくれておるのだろうと思います。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 山内局長の御答弁の中では、何かまだ八時間労働制に対して危惧を持っておられるような、むしろ八時間労働制をやって交通安全が確保できるかどうか危惧を持っておられるようですが、私は、これは八時間労働制をして、それに関連するところのいろいろな条件があると思うのです。そういうものをあわせて行政指導をしなければならぬと思います。八時間労働制だけやれといっても、これはなかなかむずかしいと思いますが、これは幸いにして業者あるいは労働組合双方がありますので、そういう方面とも十分に懇談をし奨励もしなければならぬと思うのですが、八時間労働制に対して運輸省当局でもって危惧を持ちておるということになると、これはいつになってできるか私はわからぬと思うのです。むろんこれは、完全にやれるという時期は、座して待っても、これは来ないと思うのです。これがいいのだ、これをやらなければいかぬという信念があれば、これは多少無理をしてでもやってのける。業者の方も八時間労働について、ここをこうこうしなければならぬ、あそこをこうこうしなければならぬといって、自主的にこれは考えていくだろう。また労働省の方でも、そういうことを考え合せながら、やっていくと思います。とにかく疲労をなくするというよなこと、無理をなくするというようなこと、そういうようなことは、これは八時間労働制というものを基準にして解決しなければならぬ、そしてまた給与の安定といいますか、固定化といいますか、そういうものに対しましては、やはり八時間労働制というものをもとにして、そうして安定をさせる。こういう面に持っていかないというと、いつまでたっても私はこういうものはできないと思う。従って、運輸省としまして、八時間労働制に対しまして固い信念を持って、そうして労働省に対して早急に実施をするようにやっていただきたいと思います。もう一回、この八時間労働制に対して……。
  28. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 私の答弁が少し足りなかったかもしれませんが、運輸省におきまして八時間労働制実施するのに危惧を持っているという意味ではないわけでございまして、ただいま先生に申し上げましたような条件が必要でございまして、その条件が百パーセント満たされなければ八時間労働制を施行してはいけないと申し上げておるわけではないのでございますが、たとえば八時間労働制を施行いたしますためには休養施設の点とか、そういう点におきまして、経営者も考えなければならぬ点が相当たくさんあろうと思います。また、それを実施いたしますために、従業員方々とどういうふうにしてやるという相談の時間も必要であろうという、いろいろそういう点もあるようでございますので、ただこれが一〇パーセント条件が達成された、二〇%条件が達成されたというのではなくて、ある程度それはやはり六、七〇%達成されるということも見た上でなければなりません。しかし、またそれがどうしても、あるいは経営者の怠慢によりまして達成する意向がないということになりますと、大倉先生の仰せのように、踏み切ってやらなければならないかもしれないのでございますが、そういう点はできるだけ行政指導におきまして円滑に実施できるように、労働省と緊密な連絡をとってやりたいと、かように申しておるわけでございます。八時間労働制そのものを否定し去るような気持は毛頭ないということを、はっきりと申し上げておきます。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 最後にお伺いしておきたいのですが、免許をする場合に、今申されたところの休養施設なり、あるいは従業員の数なり、その労働時間、あるいはその賃金ですね、あるいは休日等についての内容が申請書に含まれているだろうと思うのですが、それは含まれておりませんか。
  30. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 従前一部にはそういう点について安全でない審査もあったかもしれないのでございますが、最近におきましては通達を出しまして、休養施設あるいは賃金というものも申請書に書かせるようにいたしておりますので、最近こういうハイタクの免許の事案は非常に供給過剰の状態でございますので、最近は十分そういう点も免許の際に考慮いたしまして、免許の適否を決しておる次第でございます。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 今まではそういう労働条件とかあるいは労働者の人員、労働時間というものは、申請書には記載がなかったのですか。あるいは休養施設の問題……。
  32. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 今までのはといいましても、通達もだいぶ前にいたしてあるわけなんでございますが、大体業者方々は終戦後の非常に混乱のときに免許された人が相当多いものでございますから、そういう点におきまして不備な点がありますが、最近におきましてはそういう点は十分審査をいたしておるわけであります。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 それは最近においてはそういうことをやっておられるということですが、もし申請書に記載してある条件内容、あるいは休養施設とかなんとかという内容、それが免許になったあとで著しく変更になった、あるいは守られていない、こういった場合には、どうしますか。
  34. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) それは、今回改正案にも含まれておりますように、そういう面におきます監査というものを、この法律を御承任願いますならば、計画的にやる予定にいたしております。従来は職員がやっておりましたのを、官庁がやるということにいたしまして、本省でいえば私がその主管者になると思いますが、地方におきましては陸運局長がそういった面の監査の計画を立てまして、十分に実施をするように考えております。その際にはそういう点につきましても監査をいたしますので、違反事項があれば改善命令を出す予定にいたすということになると思います。
  35. 大倉精一

    大倉精一君 これは私は非常に重要な問題だと思うのですが、免許する場合に、今までそういうような問題についてあまり触れなかったという、そこに今日のこういうような混乱な状態が起っておるのではないかと思うのです。ただいたずらに資力信用だけで免許をするというところに、私は大きな欠陥がある。すなわちこの安全性ということに対して免許基準をしていなかったということは、労働法としては大きな欠陥じゃないか。その安全性につきましては、さっき申しましたように、やはり運転手労働条件、あるい休養施設、あるいは休憩時間、あるいは休日というような規定が、この交通上の面に非常に重要な問題である。しかもそれをやり得る業者であってこそ、初めて免許資格があると私は思うのです。それを非常に等閑視されておったというところに、大きな私は運輸省の責任があると思う。従って、今二十四時間制を、あれを八時間制にすると言われますけれども、それをもって当然、運輸省免許をされる場合に、いわゆる免許要件として具備されていく、こういうことを確認されなければならぬと思う。従って、今のこういう八時間労働制をめぐって、こういう労働時間なり、あるいは休養施設なりというものがまあ問題になってくるということは、従来の運輸省行政指導といいますか、免許方針というか、そういうところに大きな欠陥があると思うのですが、これはどうなんですか。あるとすれば、やはり運輸省は大きな責任を持たなければならぬと思うのですが。
  36. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 御承知の通り運輸省の行政で一番大切なことは、人命、財産を輸送をしております企業を監督しております関係上、安全度という面におきましては、従来ともできる限りわれわれとしましては努力をいたして参ったわけでございます。まあその点におきまして欠けている点がないとは言い切れないわけでございますが、まあこれはいろいろ終戦の直後の悪条件から、日本の経済の発展が各企業ともいろいろなジグザグ・コースをとっておりますので、いわゆる自動車運送事業というものもその範疇を外れるわけにはいかなかったわけだろうと思います。それで今回御提案をいたしておりますこの道路運送法の一部を改正する法律案といたしましては、さらにその安全の面を貫くために、ことごとくがこの安全を確保するための新しい観念に基きましてなさんとするところでございまして、御指摘の点は十分われわれも至らなかった点を反省をいたすわけでございますが、今後につきましては、この交通安全というものを至上命令といたしまして、行政の実施及び指導に当りたい覚悟でございます。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 大体いろいろ御意見を伺ったのですが、要するに、そういう交通安全のために必要なる労働条件労働時間というものを実施できないという業者は、これは不適格業者であるという御意見だと思うのですが、そういうふうに私は解釈しても差しつかえございませんか。
  38. 山内公猷

    政府委員山内公猷君) 今後免許いたす際には十分その点を考慮いたしまして、十分審査の上、免許の適否を決するつもりでございます。また現在のそういう企業者につきましては、そういう面におきまして、十分行政指導におきまして達成させるように努力をいたしたいと思っております。
  39. 大倉精一

    大倉精一君 これはもう時間がありませんので多く申しませんが、これからの免許は当然今の御答弁で、そういうことができない業者免許をしないということで、では今現在現存しておる業者に、そういうような措置をすることができないという業者があるとすれば、これは不適格業者が町の中を横行ずるということになります、不適格業者が。従って、これは非常な強い行政指導をしなければいけない。この不適格業者が横行するということはなくしなければならぬことになると私は思うのです。従って、今後のことは当然そうしなければならぬが、この現在町の中を横行するところの不適格業者に対して、特に一つ運輸省としても強力なる行政指導をして、そして適格業者になるように、あるいは適格業者ばかりがこの運輸事業を行なっておるという状態を早く一つ作ってもらいたいと思います。  さらに、最後に一つ要望をしておきますが、労働基準局におきまして、この労働時間の問題に対しまして、四月一日、あるいは四月の早々、何か告示を出されるという話を聞いておりましたが、これに対しまして、まだ労働組合等とも十分な協議が行われておらぬようでありますが、十分一つ組合意見も聞いてから、そして告示を出す、こういう工合に措置をするように、運輸省としても特に労働基準局長の方に連絡をしてもらいたいと思うのです。そういうように一つ取り計らってもらうように努力してもらいたいと思うのですが、そういうことを一つ要望いたしまして、一応の質問を終ります。  なお本問題につきましては、きょうは時間がありませんので、この次に基準局長を呼んでいただいて、そして質問を保留しようと思います。
  40. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 他に御質疑ございませんか。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  41. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。  運輸事情等に関する調査を議題といたします。  首都圏整備法案について、運輸省当局の所見を聴取したいと思います。
  42. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) 御説明を申し上げます。首都圏整備法案はただいま衆議院の建設委員会に上程せられておりまして、目下質疑を重ねておられるのでありますが、この法案は建設省の方の提出法案になっておりますが、その内容において運輸交通に至大な関係がございますので、運輸省といたしましてもかねてこれに関心を持ちまして、関係方面と鋭意折衝を続けまして、その意見の結果でき上りましたものが、現在上程されておる法案でございます。  この法案を逐条、簡単に重要な点の存するところを、御説明申し上げたいと存じます。  第一条において目的をうたっておりまするが、これは現在、御承知の通りに、首都建設法という法律がございまして、東京都に関しまするところの重要ないろいろな整備計画について、これを作策し、その実施の推進をはかるということになっておりまするのを、この本法におきましては、東京都だけではございませんので、首都圏というふうに地域を拡大いたしまして、東京都を中心とするおおむね五十キロぐらいの見当の模様でございますが、その地域を広めての広域なのでございます。すなわち第二条で「「首都圏」とは、東京都の区域及び政令で定めるその周辺の地域を一体とした広域をいう。」こう相なっておるのであります。この点が現在の法律と重大に異なりまする点でありまして、これはもうすでに説明を申し上げるまでもなく、この東京都を中心とする首都圏のいろいろな事業と申しますか、の整備計画は、やはり広域にわたって行わなければなりませんものでありまするから、今回地域を広げているわけでございます。  で、その考えの中に、大体この第二条で既成市街地、近郊地帯、市街地開発区域と、こう書き分けておりまする思想は、既成市街地と申しまするは、ちょうど前の東京市というようないわゆる中心地帯、もうごちゃごちゃ混み合いまして、通勤事情なりで、事業場がそこにあって通って来、そこにあらゆる社会生活を営むものが存在するところのいわゆる中心地域でございます。近郊地帯と申しまするのは、大体それを囲みまして、いわゆる郊外という、そこに一つの緑地があり、またそこには住宅生活があり、それを取り巻きまするところの郊外というような観念、これを今申しました中心市街地の外側にずっと想定しておるわけであります。さらにその外側を市街地開発区域と申しまして、これが五十キロ辺まで及ぶのでありますが、これは今後ここに衛生都市を設けるなり、あるいはそこにいろいろ学校を設けるなり、工場等をそこに作るなりいたしまして、そこへ人口を分散せしめ、この既成市街地と、近郊地帯と、市街地開発区域という考えで、この首都圏を整備をしようという思想でございます。これは現在の首都建設委員会が今日まで仕事をして参りました大体の思想を取り入れまして、法律で明確化しておるのでありまして、まあ地域別に概念的にはかようなことが成り立ち、またこれを土台にして整備計画が成り立っていく、こういう格好に相なっております。  これらの首都圏に属するいわゆる首都圏の整備計画を、この第二章の首都圏整備委員会というものでこれを実施して参る、計画して参る、こういう格好に相なっております。これは現在首都建設委員会というのが、御承知のように、首都建設法でございまするが、これも現在建設省の外局として、一つの行政委員会的なもので外局になっておりますが、これを大きくいたしますことと、これを総理府に移しまして、総理府の外局とするということが今回のおもな改正点でございます。  首都建設委員会は、かつては、発足当時は総理府にあったんでございまして、それを後の行政機構改革で建設省に移したのでありますが、御案内のように、この首都圏整備計画は宅地、道路、鉄軌道、飛行場、港湾、公園、緑地、空地、農地、水道、下水道、用水、河川、水路、海岸堤防、住宅その他建築物、学校、図書館、博物館というような、あらゆる首都の社会生活に必要なものについての総合計画でございます、これら施設の。従いまして、こういうものをやりまするには、まずその設置すべき役所といたしましては、単独の省ではこういう各省にわたる施策及び事務を総合調整できませんので、この任務に当っておりますのが、国家行政組織法の定むるところにより、総理府でございますので、総理府がこの仕事をする委員会の設置個所としてはまことに適切妥当であると考えるのでありまして、これが今回総理府の外局とするということに相なっておるわけであります。従いまして、運輸省といたしましては、かりに内政省が新たに設置せられるといたしましても、今申し上げた趣旨から、今回できるであろう首都圏整備委員会はあくまでも総理府の外局として設置せられるのでなくしてはその趣旨が合わないと、かように解釈をしておるわけであります。もしこれを内政省に再び移しかえるならば、首都圏整備委員会が内政省の単独固有の所掌に属する権限事項についてのみの計画を策定推進することと、国家行政組織法の定めるところから相なるのでありまして、こうなっては、首都圏整備法自体が総合計画をする立法でございますので、いささかその存在意義を無にいたしまするので、総理府外局という点には運輸省といたしましては賛意を表するとともに、関心を有しておる次第でございます。  委員会の所掌事務は、従いまして、この首都圏整備計画を作る。これを作るために調査を行い、でき上りました整備計画がそれぞれのところにおい実施に――これは各省で実施される場台があり、また地方自治団体で実施される場合がありいたしまするが、それの調整を行い推進を行う、こういうことでございます。従いまして、この法案で申しますと、第四条の一、二がそれでありまして、第三号は「その他法律の定めるところにより委員会の権限に属させられた事項というこれは、その他の法律というのは現在のところないわけでございまして、この委員会の任務は、この法律により委員会の権限に属させられた事項というように私どもは解釈をしておるわけでございます。  しかも、この委員会は今回は、先ほど申しました通りに、そういった総理府の外局の行政委員会として拡大せられまして、現在は非常勤の委員でございまするが、今回は委員長及び委員四人で、そのうち委員長委員二人は常勤でございます。委員長は第六条で国務大臣となっておりまして、第七条で常勤の委員の仕事が出ておりまして、こういった委員資格は、兼業ができないというような、第十二条で常勤委員として専門にこれに当られる、在来ない規定があるわけでございます。たとえば政治運動ができないとか、営利事業ができないとか、こういうことに相なっておるわけであります。委員の任命は「両議院の同点を得て、内閣総理天塩が任命する。」というように、この任命形式も、その職務の重大性に比例いたしまして、現在よりは強化されているわけであります。  次に、十六条に飛ばしていただきますが、この委員会に事務局を置くのでございまして、これは現在も建設省の外局である首都建設委員会に事務局がございますが、今回の委員会の事務局は新たなる首都圏整備委員会の事務局として、在来と違っておりますのは、これが強化拡充せられる点でございます。現在の首都建設委員会事務局は十三名でございます。これを二十二名にいたすということに相なりまして、これは一番終りの附則の第十事、この二十二頁の10でございますが、10に首都圏整備委員会を二十二人と書いてございます。これはその次に書いてございますように、運輸省の本省定員から二名、建設省の本省定員から七名を予算の移しかえを行い、この十項によって定員の移しかえを法律をもって行いますので、これで従って二十二名に相なるわけでございます。なお現在の建設委員会の方で、本日もその質疑が行われました成り行きでは、これに対してさらにこの委員会の事務局を増員するという修正案が、まだ質疑の格好で、決定はいたしておりませんが、提案者である政府以外におきまして計画をされておるのであります。現在これはまだ決定をいたしておらないのでありまして、政策審議会その他でもまだ未決でありますが、議員の修正案というものの内容は、今私どもが伺いました範囲では、この委員会の事務局にさらに法律でもって計画第一部と計画第二部というものを設ける、部制をしくことを法律ではっきりせしめる、それから先ほど申した附則第十項の二十二人を五十二人にする、三十人増員をいたす、こういう修正案でございますが、これにつきましては、政府といたしましては、予算もすでにでき上っておりまするし、予備費というものはこういうものに充当するのに適切を欠きますので、予算及び定員については関係省はこれの実施には苦慮いたしておるわけでございまして、これを実行するめどがまだついておらないのでございます。従いまして、そういう一部修正案もまだ内部審議及び質疑の格好において、今建設委員会の方でいろいろ検討をされておる段階でございますが、そういったここにさらに事務局を増員しよう、部制をしこうという今質疑が行われておりますことをつけ加えて、ここで御説明をいたしておきます。
  43. 左藤義詮

    委員員(左藤義詮君) なるべく簡単にして、特に運輸の関係だけを一つ……。
  44. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) それでは、以下重要な点だけを申し上げます。  第三章の首都圏整備計画、すなわち二十条でございます。これがこの整備委員会の計画実体でございまして、重要な規定でございますが、これも今までは首都建設委員会においては首都の整備に対する、重要施設の計画となっておりますのを、基本計画、整備計画、事業計画、こういうふうに三つに割っておるわけでございます。これは新しい観念でございまして、基本計画というのは、人口規模でありますとか、土地利用でありますとか、経済構造、産業構造でありますとか、そういうふうないわば整備計画の前提条件となるような事項でございます。その基本の前提条件を受けまして、整備計画というものは、この第三項に書いてありますように、行事項ごとに、――この各事項というのはイ、ロ、ハとずっと上げてありますが、これごとにそれぞれの根幹となるべきものでございます。従いまして、宅地なら宅地についてその根幹となる計画、これは非常に法文上まだこれだけでは解釈は不十分でございますので、「政令の定めるところにより」ということで、政令でこの内容をもう少し検討してみる、こういうことになっております。私どもはこれから、この法律案通りますれば、各省がその政令の打ち合せに入るわけでございますが、現在までの私どもの方の研究では、この整備計画というものには日本国有鉄道は含まれないと解釈をいたしております。すなわち幹線といたしまして日本全土にわたって行われております計画でございまするので、首都圏部分だけを区切りましてこの根幹計画を立てるということは事実上できませんし、無意味でございますので、入らないと思うのであります。それから地方鉄道、軌道につきましては、この基本計画の条件に合い、その主要鉄道のそれに対する輸送需要に見合う設定計画でありまして、物的な施設計画であると存じておるのであります。従いまして、バス路線というようなものは免許でございまして、しかもその内容は通行権の固定確保でございますので、そういう事業の特許的なる免許でございまするから、物的施設計画ではない。これは道路計画が物的施設計画でできればおのずから自動車交通網計画は立つのでありまするから、いわゆる路線権というようなものはこれの対象に入らぬと解釈をしておるのであります。なお港湾、飛行場につきましては、国際飛行場並びに重要港湾の国際的港湾に関しましては、これは首都圏地域における計画ではございませんので、あるいは世界の航空条約、あるいは世界の航空情勢、あるいは港湾の海遡行政、あるいは国際的なるいろいろな関係から、おのずからきまって参る面もございまするので、こういうものは整備計画からは文理上当然に除いてこられるのだというふうに大体解釈をいたしております。  次に、この四項の事業計画というものが今後新たにつけ加わって参りますものでありまして、これは今申し上げました整備計画を実施するために必要な毎年度の事業、いわゆる事業実施年度計画でございます。従いまして、これもこれでは解釈が不明確でございまするので、政令で定めると、こういうことに相なっております。この政令についても、ただいま申し上げました政令と同様でありますが、今申し上げました整備計画に伴う今度の実施計画でございまするので、住宅でございますとか、道路でございますとか、公園でございますると、実施者が国または地方公共団体でございまするので、おのずから実施主体がきまって参りますので、この整備計画に基く毎年度の事業計画も計画が立ち縛るわけでございます。ところが、交通事業のごときは、御案内のように、国あり、地方自治体あり、私企業ありということで、しかもこれの実施事業計画というものは経営主体おいてまず設定をいたしまして、この経営主体申請を待ちましてこれを認可するということにかかっておるわけであります。従って、これを委員会あるいは国においてみずから事業実施年度計画を相立てますることは、これも事実上あり僻ませんし、また法理上あり得ないのでありまして、何ら統制力、強制力を持っておりませんですから、事業者が国もしくは地方自治団体である場合の道路等には適切でございまするが、交通事業には毎年度の必要な事業計画というものはこういった形式においては考えられない、一方的に決定することは不可能でございまするので、その意味において政令でもって当然これが除かれて参るというように、今運輸省は解釈をしております。すなわち、この毎年度の事業計画は国または地方公共団体の事業であってその予算にかかるもの、と解するより方法がないと思うのでございます。  で、整備計画は、先ほど申しました委員会のほかに、諮問機関の審議会というものができるのでありまして、これは在来の首都建設法にはなかったもので、これは第十七条、十八条で、四十五人以内の相当大きな諮問機関ができますが、この諮問機関に諮問し、さらに関係都県、また関係行政機関の長、それぞれ例個に意見を聞いて決定するという二十一条の建前になっております。  ずっとこれを省略させていただきまして、二十四条で「必要な小学校又は中学校の施設の建設を行う地方公共団体」に対する国の補助ということと、それから三十一条で、十八ページでございますが、資金の融通に対するあっせん、三十二条で企業債に対するところの特別許可という、この三つが補助法規でございます。二十四条と三十一条と三十二条でございます。この三条は在来の首都建設法にはございませんので、新たなる補助法規として、ここに予算の許す範囲内においてこういうことを行うということになっておるわけでございます。  で、次に二十八条と二十九条を御説明いたしまして説明を終りたいと思いますが、この二十八条は、関係行政機関の長、関係地方公共団体及び関係事業者は、この整備計画等の実施にできる限り協力すると同時に、委員会がこれに対して勧告あるいは報告を求め得る。これは現在の首都建設法にもこれに似た条文がございますが、この場合にいろいろ、この勧告の内容の範囲につきましては解釈が一定をいたしておりません点もございますし、まあ在来の首都建設委員会から出ました勧告おいてもこの点不明確でございますが、条文としては在来法に近いので、私どもも賛意を表しておりますが、この運用については各省の施策に属し、各省大臣の単独固有の責任のもとにおいて行わるべき事項というものにつきましては、総理府の外局である行政委員会が勧告権を有することは穏当ではないと私どもは解釈をいたしておりますので、そういったような問題でない、先ほど来御説明申し上げております首都圏整備計画に関連しての勧告権と当然解釈し縛ると、運輸省は解釈しておるわけであります。  二十九条はこれは全く新たなる規定でございまして、「整備計画に関する施策の立案及び勧告」、これは委員会がこの首都圏の建設とその秩序ある発展をはかるため特に必要があると認めるときは、審議会の意見を聞いてこの整備計画に関する総合的な施策を立案し、勧告または報告を求める。すなわち先ほど申しました基本計画、整備計画、事業計画と三つあります中の、整備計画についての総合的な施策でございます。何がゆえにこの二十九条を起したかということは、先ほどごらん願いましたように、ああいうふうにイ、ロ、ハ、ニ、ホというように、たくさんの事項が相互に関連をして参るわけでございます。宅地と道路の間、道路と鉄道の間、あるいはそれら全部を通ずる間、公園と住宅との関係、学校と水道、下水道との関係というように、すなわち整備計画の根幹計画をなす場合にイ、ロ、ハ、ニ、ホ、ヘ、ト、チ、リとございますし、また一、二とございますが、これらの整備計画相互間の総合的な施策、すなわちこれらを横に連絡する施策、たとえば今申し上げましたように、住宅や宅地の整備計画と道路、鉄道の整備計画との総合的施策、これをどうするかということがこれまた首都圏整備計画の根本なんであります。この点を補ったものでありまして、この点についての総合的な施策を委員会がこういう場合に立案して、必要があればこういう所に勧告をする、こういうことに解釈ができるのであります。従いまして、たとえば厚生省でありますとか、農林省でありますとか、運輸省でありますとか、それぞれの省の単独固有の権限に属する事項、すなわち地方鉄道なら地方鉄道、港湾なら港湾そのものだけの実行施策、たとえば地区別調整をどうするか、経営主体をどうするかというような問題は、二十九条に含まれておらぬということに私どもは解釈をいたしておるわけであります。  以上がこの法案のおもな点でありまするが、もう一つ重要な一つの点は附則の中にございまして、二十ページでございますが、附則の四項で「首都建設法は、廃止する。」こういうことに相なっております。ところが、御承知の通りに、首都建設法は住民投票によって成立した法律でございます。従いまして、この廃止にも当然住民投票を必要とするという意見も実は部内に一部あったのでございますが、大体法制局等の現在の解釈においては、この新しい首都圏整備法はもちろん住民投票は要らない。この廃止すべき首都建設法は、これを総理府に移管する程度のごときことはもちろん住民投票は要らない。しかしその性格を根本的に変更してしまうような重大な変更を伴う場合には、住民投票が要る場合もある。しかし今回の首都圏整備法程度の修正ならば、住民投票はこれを用いずとも廃止ができる、こういう一応の解釈を政府はいたしておるわけでございます。  なお、終りに、この法案と国土総合開発法の関係が附則の12に出ておりまして、国土総合開発法との総合調整はできるように相なっておるのであります。しかしながら、この法案で一部今後なお検討を要すると私どもが思っております点は、都市計画法との関連でございます。都市計画法におきまするところの計画内容、対象区域、その区域の決定、都市計画及び都市計画事業の決定、それの実施、それに伴ういろいろな区域、たとえば建築基準法による地区だの、風致地区だの、臨港地区だのの指定の問題、それと設置者が費用の負担をする問題、それから補助の問題、その他土地収用の特例の問題というようなものが、この点大体重複法に相なっているのであります。従いまして、現行都市計画法と重復する部面が非常に多うございまして、この点において、都市計画法の主務大臣が建設大臣であり、また都市計画審議会が諮問機関としてついておりますが、今回の首都圏整備委員会と首都圏整備審議会との関係並びに今申し上げました事項重複関係をどういうふうに運用するかが、今後の運用においては私ども政府部内においても調整を要する点があると考えているのであります。大体対象区域等、今申し上げました計画、事業の内容が二重計画に相なる点は、本法においてなお今後大いに政府においても研究を要しなければならぬ点でございます。  以上が大体この法案の概要でございまして、ただいま、先ほど申し上げました通りに、建設委員会で審議申でありますが、私が申し上げておりまする点は、法文はここででき上っておりますが、これの解釈及び今後の運用には、なおかかる問題点があるということを御報告いたした次第であります。
  45. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちょっと伺っておきますが、先ほどの説明の中で、いろいろ政府部内で各省の間の連絡を緊密にしなければならぬところがあるのですが、こういう点においては、政府部内においては立案の過程において十分話し合いがついていると解釈して差しつかえございませんね。
  46. 權田良彦

    政府委員(權田良彦君) はあ。
  47. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) この法案は建設委員会でございますが、当委員会としていろいろ問題があり、また御質疑もあると思いますが、次回に譲りまして、本日はこれにて散会をいたします。    午後三時二十五分散会      ―――――・―――――