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1956-02-21 第24回国会 参議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十一日(火曜日)    午後二時八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            木島 虎藏君            片岡 文重君    委員            有馬 英二君            岡田 信次君            川村 松助君            一松 政二君            三浦 義男君            三木與吉郎君            大倉 精一君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道経    理局長     石井 昭正君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (昭和三十一年度日本国有鉄道の予  算に関する件)     —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 運輸委員会を開会いたします。  運輸事情等に関する調査中、昭和三十一年度日本国有鉄道予算に関する件を議題といたします。  政府委員から説明を願うべきでありますが、直接担当の石井国鉄経理局長から予算について説明を聞きたいと思います。
  3. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいま本国会におきまして御審議願っております昭和三十一年度日本国有鉄道予算の概要につきまして御説明申し上げます。  今回の予算編成基本につきましては、収入については、今年度経済情勢が相当好転して参りまして、運輸数量もふえて参っております。この好況な状態が引き続き来年度も相当程度持続するものと想定いたしまして、特に貨物収入におきましてはこれをできるだけ十分に見積りました。また一方支出におきましては、いろいろ避けられない経費増加も一方にはございます。他面極力合理化に努めまして、収支の均衡をはかったわけでございます。  収入支出予算について、損益資本及び工事の各勘定別に簡単に御説明申し上げます。  三十一年度損益勘定予算は前年度予算基礎として編成いたしました。  まず収入について申し上げますと、旅客につきましては、旅客輸送人員は大体対前年度三・三%増を見込みまして三十八億七千万人。これは前年度予算に対してでございます。人キロは九百十二億八千万人キロと算定いたしまして、それに基きまして、旅客収入は一千三百二十一億円と見込んだ次第でございます。また貨物輸送トン数は前年度予算に対しまして六・四%増を見込みまして、発送トン数にいたしますと一億六千七百万トン、トンキロでは四百四十三億八千万トンキロといたし、収入は一千二百八億円でございます。これらの旅客及び貨物輸送に要します列車キロは三億七千五百万キロで、これは前年度予算に比較いたしまして八・七%の増加を見込んでおります。そこでただいま御説明申し上げました貨物収入旅客収入のほかに雑収入等を合せまして、総計二千七百三十二億円、これが損益勘定収入を見込んでおる数字でございます。  次に、経営費について見ますると、人件費につきましては、昭和三十一年度の昇給を見込んでおりまするが、このほかに期末手当といたしまして一・五カ月分、奨励手当として半カ月分、合計いたしますと二カ月分に相なります。そのほかに休職者給与等を見込みまして、給与の額は一千五十一億円と相なっておる次第でございます。物件費関係につきましては、動力費の一番大きな額を占めております石炭費といたしましては二百八十八億円、それから修繕費は五百四十八億円、そのほかに業務費等を合せまして、経営費総額は二千二百八十八億円と相なっております。損益勘定といたしましては、このただいま申し上げました経営費のほかに、資本勘定への繰入額とし二二百二億円、それから利子及び債務取扱いに関します諸費用が百二十二億円、これに予備費の二十億を合せまして、全部で損益勘定支出合計は二千七百三十二億円となって、損益勘定収支が見合っておるわけでございます。  次に、資本勘定を御説明申し上げますと、資本勘定といたしましては、この収入源といたしまして、先ほど申し上げました損益勘定から受け入れますところの三百二億円のほかに、資金運用部よりの借入金が五十五億円、それから鉄道債券の発行によりますものが二百五十億円、このうち十億円は利用債でございまして、一般公募債は二百四十億円でございます。それから不用施設売却等によりまする収入が三億円、合計六百十億円が資本勘定収入でございます。この資本勘定収入の中から、借入金返還、これは明年度返済期限が参りますところの借入金、これが二十五億円でございます。そのほかに帝都高速度交通営団の増資に伴う出資額が二億円、この二十七億円を除きました残りの五百八十三億円を工事勘定財源といたすことにいたしているわけであります。  そこで工事勘定について申し上げますると、財源は先ほど申し上げました資本勘定より参りました自己資金並び外部資金を合せました五百八十三億円でございますが、この支出内容は、新線建設につきましては、前年度三十億でございましたが、明年度は二十五億円増加いたしまして五十五億円を計上いたしております。電化設備費につきましては、現在米原大阪間の電化を急いでおりまするが、なお本年度、三十一年度の秋に米原大阪間の開通予定のために必要な工事費並び車両費というもののほかに、東北線あるいは北陸線電化工事費及び大阪以西電化費も合せまして、それと車両費電気機関車費用を合せまして、八十億円を計上している次第でございます。  通勤輸送力緩和対策といたしましては、継続工事でやっております京浜山手線分離が、これも明年の秋に完成いたします。この分離工事に九億円、その他中央線大阪付近等通勤輸送力緩和のために二十二億円を支出いたしまして、なおこれに伴う電車増備といたしまして二十六億円、合計五十七億円を計上いたしております。以上のほかにいわゆる取替でございまするが、取替関係費用といたしましては、施設の方に百五十億、車両の方に百三十億、合計二百八十億程度を計上いたしまして、総係費が約四十九億でございまするが、これを含めまして、支出合計は五百八十三億となっているのでございます。  以上でもって三勘定あらましを御説明申し上げたわけでございますが、これらの計画の実施に要しまする職員数は四十四万七千七百二十五人というワクで給与総額を計上いたしておりまして、休職者給与を含めまして、全部で千二百六十六億円をもって明年度給与総額といたしているわけでございます。  かようなわけでございまして、来年度予算は、今後の経済界の動向にもよりまするが、これに盛られました予定収入は相当高いものでございまして、この予定収入実績を上げますためには、格段の努力も必要であろうと思います。また工事計画の方は、一そうのサービス改善輸送近代化等のためには、決して十分とは申し上げがたいのでございまするが、しかしながら、日本経済の安定に資するため、一そう能率の向上をはかって、サービス改善に努め、さらに経営合理化をいたしたい、かように考えている次第でございます。  以上で予算の大綱について御説明申し上げたのでございまするが、御参考に差し上げてありまする資料につきまして、表の上で御説明を申し上げて補足さしていただきたいと思います。で、この第一ページの説明書が、ただいま申し上げましたことのあらましでございまするので、省略さしていただきまして、第一表を御覧願いたいと思います。  第一表は、これは予算総括表でございまするが、運輸収入が、前年度と申しますか、三十年度予算におきましては運輸収入が二千四百九十一億、その他の雑収入を合せまして二千五百六十九億というのが、損益勘定収入総額でございます。これに対しまして、三十一年度収入予定は二千七百三十二億となっております。運輸収入だけを比較いたしますと、百五十二億の増、収入全体で百六十三億程度増加になっております。  それから支出の方でございまするが、経営費の方は、昨年度は二千百五十四億でございますが、三十一年度は二千二百八十八億、約百三十四億ふえております。それから利子及び債務取扱諸費は十六億ふえております。資本勘定への繰り入れが十三億ふえております。予備費といたしましては、これは増減ございません。昨年同様でございます。  収入の方は資本勘定及び工事勘定を一本にいたしました。資本の方は、運用部資金が三十年度百十五億円、これは六十億減じておりますが、公募債券が百二十五億から百十五億ふえております。利用債は三億予定額増加いたしております。損益勘定よりの受け入れば、ただいま申し上げます通り、約十三億ふえております。資産充当では、これは不用物件の売り払いでございますが、一億三千万円減っております。そういうわけで、収入は、三十年度は五百四十一億でございましたが、本年は六百十億となって、約六十九億増加いたしております。この主たる原因は、公募債が百十五億ふえているということでございます。  支出の方は、建設費が二十五億増加し、改良費が三十二億の増となって、両方で五十七億の増であります。そのほかに出資金の一億並び借入金返還が十一億ふえております。全部で六十九億の増加となっております。  第二表は、収入支出予算内訳を書いたのでございまするが、損益勘定支出におきましては、給与その他の諸費が五十九億の増であります。輸送諸費が約二十五億ふえております。動力費が約九億増加いたしております。修繕費は二十五億減じております。共通費と申しますのが六十億六千万円増加になっております。業務委託費が五億の増加でございます。  この共通費と申しますのは、今までの御説明ではよく業務費ということを申し上げておったのでございますが、輸送業務費の中から輸送関係諸費を除いた費用でございまして、これがこんなにふえておりまするのは、主たる原因は、固定資産税に見合う納付金制度が実施されますために増加いたします三十六億、それから前国会でございまするか、今国会の初めでございまするか、問題となりました行政管理庁のお話のときに、修繕費業務費とが振りかえて使われておる、予算上これも明白にすべしという御趣旨にのっとって、本年度は振りかえを行なった結果、修繕費を減じて、その他の方がふえておるわけでございます。  大体二ページの表につきましてはそんな程度で御了承願いたいと思います。  第三表は、これは給与総額内訳並び動力費内訳でございます。ただいま申し上げましたものをさらにこまかく記載いたしてあります。  それから第四表は、これは先ほど御説明いたしました資本勘定よりの収入支出の項目を、前年度と比較して出しただけでございます。  第五表で工事経費内容をやや詳しく御説明申し上げておるわけでございます。このうちに新線建設の五十五億につきましては、この工事計画その他につきましては、ただいま建設審議会等でいろいろ御審議になる予定でございますので、具体的な内容は私どもはっきり存じ上げないのでございます。  通勤輸送の五十七億は、これはそこに書いてございまするように、中央線関係で二億四千五百万円、京浜山手分離関係で約十一億、大阪付近で三億二千六百万円、川崎火力発電所関係で十三億、電車増備百五十両、二十六億、その他が一億六千万円ということになっております。  幹線輸送強化の二十六億は、昨年度からの継続としての線路増設あるいは有効長延伸等工事費でございます。東北線関係が七億五千二百万円、北陸線関係約十億六千四百万円、北海道関係が三億八千万円、東海道線関係三億一千万円、その他が約九千万円ということになっております。  電化費用は八十億四千二百万円でございますが、浜松−姫路間と申しますのは、結局実質的な工事工程米原大阪並び大阪以西の若干でございますが、これが三十一億、それから米原−敦賀間の関係で四億、上野−仙台間の東北線関係で六億。車両といたしましては電気機関車五十六両、これは大阪までの電化に必要な分でございますが、これが三十七億、その他が二億ということになっております。  目下仙山線において試験中の交流電化を、ただいま試験列車しか引いておりませんが、一般営業用列車を牽引するため交流電気機関車二両を増備いたしまして、仙山線で本格的の試験を続けたいと、かように考えておる次第であります。  次に、ディーゼル動車関係でございますが、ディーゼル動車百両分、十三億五千万円、その他の付帯設備として一億二千五百万円、合せまして十四億七千五百万円であります。  車両増備は八億でございますが、昨年度民有車両の形式によりまして、昨年度と申しますか、本年度末約四十億の民有車両を発注いたしたわけでございますが、これは五カ年間に均等に割賦買い上げという大体の予定でございます。第一年度分として八億を計上いたした次第でございます。  それから関連工事の十億は、これは利用債の十億と見合うところの、利用債で負担しておきました資金に見合う工事をいたすわけでございます。  取替及び諸改良、これは施設並び車両充当に充てるもので、施設百五十億、車両直三十億程度見込んでおります。  その他工事に従事いたします従事員の諸給与、あるいは事務費、あるいは必要な総係費といたしまして、四十九億計上いたしております。  合計五百八十三億七千万円が工事経費内容でございます。  以上、はなはだ簡単で、また粗末な御説明で、申しわけございません。大へんに来年度国鉄予算はいろいろの難問題を控えております。私どもも懸命の努力をいたして予算の執行に当りたいと考えておりますので、皆様におかれましても格別の御配慮と御指導を賜わりますよう、お願いいたす次第でございます。  なお、御質問によりまして、お誓え申し上げたいと存じます。
  4. 木島虎藏

    木島虎藏君 ちょっとお尋ねしますけれども、最初に収入見積りですが、これは二十九年対三十年の増加比率をそのまま適用なさったわけですか。
  5. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 二十九年の実績と三十年の実績との増加割合をとりまして、旅客収入をやっております。貨物収入につきましては、さらに二十九年度下半期と三十年度下半期との実績増加割合基礎といたしまして、計算しております。
  6. 木島虎藏

    木島虎藏君 それで貨物旅客とこうお変えになったのは、どういうわけですか。もうちょっと質問しますと、旅客収入の方でも同じようなとり方をしたら、どういうことになるのですか。
  7. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいまの御質問に具体的にお答えする数字を直ちに申し上げることはできませんが、結局旅客収入は、年間を通じた旅客収入の伸びが、年間を通じてあまり大差ないということでございます。貨物の方が最近の好況が非常に活発で、いわゆるアップ・カーブが非常に上向いてきたという点に基きまして、さようなことになったわけでございます。
  8. 木島虎藏

    木島虎藏君 旅客の方も、去年の豊作の影響で、年末年始なんかは非常に大阪、東京はこみ合ったようですし、その後団体なんかも多いようで、同じような考え方でいいんじゃないかと思うのですが、どうですか、その点は。
  9. 石井昭正

    説明員石井昭正君) あるいは若干天候などの関係でよいところもあるかとも思いますが、大体の傾向といたしましては、実は旅客は私どもちょっと予想外に思っておるのですが、意外に思うほど、伸びてはおらないのでございます。
  10. 木島虎藏

    木島虎藏君 それから次に雑収入でありますが、どこでも駅の近所というのは、町が発達しまして、地価が高くなっておるわけです。その地価の高いところに、くずれかけたような駅の官舎がありまして、そこの町の人たちは、会費を出して官舎を作って上げるから、それを町に売らないかということが方々にあるようですが、それに対する御方針なんか多少盛ってあるのですか、この予算に。
  11. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ただいまのようなお話は、実は交換という形になりますから、予算の面に現われないで、そういう処理になるわけでございます。予算上は盛っておりませんが、御趣旨のようなことは、かなり各所で行われておるようでありまして、私どもその効果が適切であるものについてはこれを認めて参りたいと、こう考えておる次第でございます。
  12. 木島虎藏

    木島虎藏君 次に支出の方でありますけれども工事経費のこまかいことはまあ別にしまして、大体の考え方をちょっとお尋ねしたいと思うのですが、電化が相当入っておりますが、将来電化考え方は、交流直流との切れ目を大よそどの辺にしようかということを考えておられますか。
  13. 十河信二

    説明員十河信二君) 今お話しの点は、先刻石井局長から御説明申し上げましたように、ただいま仙山線でその連絡の実地の試験をやっております。それで大体そうむずかしくなくできるのじゃないかという見通しでおりますけれども、まだ今のところははっきり計画に、こういう計画でやるというところまで行っておりません。さしあたり、今のところは、電化直流で進めるという計画にいたしております。将来そういう見通し試験の結果はっきりわかりますと、できるだけ交流にかえていきたい、こう思っておるわけであります。
  14. 木島虎藏

    木島虎藏君 私はその交流直流は、機関車のつけかえをやれば、これは必ずできると思っております。ですから、直流——東北線で例を申しますならば、直流をどの辺まで持っていって、あとは交流にするとか、あるいは東海、山陽ならどの辺で乗り移りをやるという、基本計画がおありになるだろうかということだったのです。
  15. 十河信二

    説明員十河信二君) 今のところは、まだそのはっきりした基本計画はきまっておりません。
  16. 木島虎藏

    木島虎藏君 それからこれは問題がこまかくなりますが、いろいろな近代化で、ディーゼルカーとかなんとかの電車付帯関連工事というものがありましたね、あれでいなかの方にどんどんディーゼルカーが入りますと、ホーム高上というのが行われておるのですが、あれを何とかホーム高上しないで、経費をかけないで、車の方を改良してやるというお考えはないのですか。
  17. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 御説の通りでございまして、この付帯工事費の主たるものは油——給油装置並び貯油装置でございまして、ホーム高上というのは、私どもとしてなるべくむだな投資は避けたいと思っております。また気動車につきましては、ホーム高上をしないでやるような車両構造研究を進めてもらっておりますが、現在でもある程度できておると思うのでありますが、ただ普通のホーム標準の高さよりも、地盤の沈下その他等で非常に低くなっておる所があります。これは車両の設計を標準ホームの高さに合わせてやりましても、なお御乗降に御不便をかけるという点も間々ありますので、そういうところは、やむを得ずホーム高上を行なっておる次第であります。
  18. 木島虎藏

    木島虎藏君 それから近ごろ三等客車の軽いやつとか、あるいは三等寝台の進歩したやつをお作りになって、大へんけっこうだと思いますが、貨車の方は、荷物がたくさんあるときはあまり問題はないのですが、ちょっと閑散期になると、小型車の引っぱり合いになるのが昔から問題なんですが、十トン車を作るようなお考えはないのですか。
  19. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 小型貨車の逼迫につきましては、御指摘通りでございますが、これは昨年、三十年度におきまして改造でもって約五百両増備いたしました。その使用成績も勘案いたしまして、また来年度におきましての具体的な車両の取替計画の中で考えて参りたいと思っております。まだ結論まで出ておりません。
  20. 木島虎藏

    木島虎藏君 それからそれと同時に、コンテイナーのことをお考えになっておりますか。
  21. 石井昭正

    説明員石井昭正君) コンテイナーにつきましても、本年度施策を行いまして、使用をやっておるのでございますが、これにつきましてはまだ研究段階でございまして、むしろコンテイナー輸送がいいか、あるいはもっと最近各国で見られるパレット輸送をやった方がいいか、こういう点でいろいろ研究をいたしております。なお、そういう意味では、今後の施策についても若干の増備等考えて参りたいと思っておる次第でございます。
  22. 木島虎藏

    木島虎藏君 貨物輸送では、荷作りを簡易化するということと、それから小運送費が少くなるという面で、なお御研究を願いたいと思いますが、希望だけ……。そんなことです。
  23. 十河信二

    説明員十河信二君) 今お話しのようなことは、こちらでも御希望通り考えております。
  24. 片岡文重

    片岡文重君 さっきの御説明の中でちょっと聞き漏らしたのですが、この共通費というものの内零をもう一度……。
  25. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 今まで予算の御説明を申し上げましたときに、業務費という言葉を使っております。その業務費を今回は輸送諸費共通費とにわけまして、いわゆる現場で輸送のために必要な費用輸送諸費の方へ上げまして、一般管理関係その他の費用共通費という名前で書いたわけでございます。
  26. 片岡文重

    片岡文重君 この予算を編成されるに当っての事業計画を拝見いたしますると、輸送人員輸送トン数、それから列車キロで大体立てておられるようですけれども車両キロをお使いにならない理由はどういうところにあるのですか。
  27. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 御指摘通りで、車両キロを使うべきでございまして、実は予算の積弊には車両キロを使っておりまするが、御説明の際に、列車キロだけを代表して御説明申し上げた次第でございます。実際の予算積算では車両キロ基礎としてやっておる次第でございます。
  28. 片岡文重

    片岡文重君 積算の際に車両キロを用いられておって、発表の際には列車キロということになると、車両キロをそのまま発表することには何か都合の悪いところでもおありになるんですか。
  29. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 最近の実例で申しますと、ほとんど車両キロ増加割合も、列車キロ増加割合も、大差ございませんで、車両キロはあまりに数字が大きくなり過ぎて、かえって御理解がいただきにくいかと思って、列車キロを使ったわけでございまして、別段他意あるわけではございません。
  30. 片岡文重

    片岡文重君 そうですか。職員計画等を私ども考えまする場合には、特に場所的な経費とそれから場所的な職員等考えたときには、むしろ車両キロの方が理解しやすいのではなかろうかというふうに考えまするので、少しこまかくなり過ぎるかもしれませんが、職員とか経費の適切な検討をするためには、むしろそういう部分についての積算には車両キロを用いた方が、そうしてまたそれを表面に出していただいた方が、いいのではなかろうか。距離的な経費とか距離的な人員等については、列車キロによられるというふうに思うのですが……。そういうようにはお考えにならぬですか。
  31. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 格別車両キロ列車キロとの質的な相違がそれほどあるようにも考えられないのでございまするが、ただいまちょっと数字を持っておりませんが、御必要でございましたら、いつにても御要求によりまして資料として差し上げたいと思います。
  32. 片岡文重

    片岡文重君 それでは、この点はこまかなことは言いませんが、一応人員計画等について質問資料といたしたいと思いますので、できましたら、この次でけっこうですから、資料をお願いいたします。  それから総裁に一つお伺いします。この幹線計画といいますか、幹線に対する改善については、相当力を入れておられるようでありまするし、この第五表を拝見しても、そういう点が強く考えられますが、やはりローカル線についても相当考慮をしておられるとは思いますけれども、三十一年度予算においてその数字を上げて、どの程度割合ということは言えぬかもしれませんけれどもローカル線についてどういうような考慮を払われておられるのか、また国鉄方針として、ローカル線についてどういうような方針をもって改善を進めておられるのか、御説明いただきたいと思います。
  33. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄幹線改良につきましては、いろいろ研究はいたしておりますけれども、さしあたって一番効果の多い、比較的早く効果の現われるものは、電化ではないかということで、緯線は電化するということにいたしております。  それから支線、今の閑散線の方では、一番手っ取り早く効果を現わすものは、私は、列車の回数を増して、地方の国民に便宜を与えるということではないかと思います。それには、大きな機関市を動かして、長い列車を一日に五回動かすというよりか、むしろディーゼル車を多く配置して、回数を増して、皆さんの出入りに御便利のようにはかることが一番いいんじゃないか。  そこで私は、大ざっぱに申しまして、緯線は電化、支線はディーゼル化するということを、大体の基本方針といたしております。
  34. 片岡文重

    片岡文重君 大へんけっこうな御方針だと思うのですが、回数をふやして頻繁に輸送していただくのはけっこうですけれども、たとえば今支線に使われておるディーゼルカーのごときは、電化区間の車両に比べて、非常に窮屈ですね。たとえば、私程度のものですと、二人掛けはほとんどできない。で、車をふやし、回数をふやしていただくのはけっこうですけれども、形式的な改善だけがなされて、実際に利用する者の立場になりますと、はなはだ不満な場合が多いようです。ですから、この車両の形式とか内容等についてもさらに御考慮いただきたいと思うのですが、今ディーゼルカーというお話がありましたので、私申し上げているんですが、このディーゼルカーについては、現在の形式でさらにふやしていくおつもりなのか、あの車の形式、特に座席等についてはもっと考慮される、改善をされるお考えを持っておられるのか、ないしは、そういう点についてまであまりお考えになっておらぬのか、どういうことですか。
  35. 石井昭正

    説明員石井昭正君) ディーゼルカーの現在の座席が狭いというおしかりでございますが、これはディーゼルカーを使っております区間の輸送状態によりまして、通勤輸送、通勤時に非常に多い旅客の場合においては、これはまた距離が短かくて、乗り降りが頻繁であるという場合には、現在のものは適当じゃないかという設計に基いておると思うのでございますが、まあその他、もちろんディーゼルカーの形式と申しますか、機械部分その他につきましては現在すでに良好な成績をあげておりますが、いわゆる上回りの点については、これは幾らでも改善する余地があるので、そういう点については今後とも研究を進めて参りたいと思っておる次第でございます。
  36. 片岡文重

    片岡文重君 ぜひ一つ、地方民の立場になってお考えいただいて、幹線同様、ローカル線についての実質的な改善に御尽力いただきたいと思います。  それからこの三十一年度予算を編成されるに当って、経営調査会の答申が時期的には少しおそかったのじゃないかと思うのですが、先ほどの経理局長の御説明で、たとえば共通費を分割されたのはこの経営調査会の答申を参考にされたかのようなお話であったのですけれども、その他先般のこの経営調査会の答申なり意向というものが、この三十一年度予算には全面的に受け入れられておるのかどうか、その点を一つお伺いしておきます。
  37. 石井昭正

    説明員石井昭正君) お言葉のように、経営調査会の答申と予算編成と、時期的にギャップがございます。ただ私どもの方といたしましては、経営調査会の御答申は運輸大臣になされたものでございますが、運輸省あるいは政府において御措置なりあるいは御配慮願わなければならない点も多々あるわけであります。私どもといたしましては、経常合理化努力いたしまして、冗費を省き収入増加努力するということが、一番経営調査会の御答申の中で私どもとして即刻実施に移さなければならない問題でございます。この点につきましては、今の覚悟をもちまして、そういう御答申の案が正式に出る前にもいろいろ御意向も拝聴いたしておりますので、その趣旨にのっとってやるような考え方で、予算を編成いたしたのであります。ただ政府あるいは運輸省等におきまして御措置願わなければならない問題につきましては、はなはだ遺憾でありますが、必ずしも経営調査会の答申が全面的にお取り上げになって実現されておると言いかねる点が間々あるかと存じております。
  38. 木島虎藏

    木島虎藏君 関連して。今の片岡君の御質問の中にありました答弁で、総裁の御方針、大へんけっこうだと思います。トンネル区間にはディーゼル機関車考えていただくようにしていただきたいと思いますが、どうですか。
  39. 十河信二

    説明員十河信二君) お話のように、トンネル区間、それからトラフィックの大体多い所は、機関車を用いなければならないというふうに考えております。
  40. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちょっと関連して、私からも……。先ほど経営調査会の趣旨にのっとって努力したというお話ですが、たとえばこの予算のしにどういうところに最も御努力の中心を置かれたか、それがどういうふうに具体的に現われているかですね。
  41. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 収入の、まあ現行運賃収入収入を上げることに努力せよという点で、収入につきましてはできる限りの努力をいたしております。なお運輸収入のみならず、雑収入につきましても、相当過去においてやっているが、まだ努力が足らぬというような御指示もありますので、その点も御趣旨に沿うようにいたすように、雑収入増加考えて参りたいと思っております。それから人員の点につきましては、今後業務量の増加があっても現在人員でまかなうように、まあ合理化なりあるいは配置転換等でまかなっていくということでございまして、その点の御趣旨も入れまして、人員の増加ということを計上いたしておりません。なお一般的な経費の節減につきましては、これは経営費は非常にふえておるようでございますが、その内容をごらん願うとわかりますが、主として人件費の昇給部分と、並び期末手当増加という、まあ何と申しますか、確定的にふえるものだけを中心にいたしております。その他の物件費につきましては、業務量の増加にもかかわらず、ほとんどふえておりません。これは三十年度予算をそのまま引き延ばしたといたしますと、あと六十億ぐらいはどうしても必要になるわけでございます。三十年度予算の姿を引き延ばして六十億ぐらいふえるところを、節減いたしましてやっておりますので、言いかえれば、その程度物件費についても節約を予算上当初から見込んでおる、こういうような格好でやっておる次第でございます。
  42. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ただいま非常な御努力のことを伺ったのでありますが、たとえば雑収入ですね、これはまあ国会でも鉄道会館等も非常な問題がございましたし、行政管理庁からもなかなか手きびしい、これは当を得ているか得ていないかは別にしても、いろいろ批判もあったのでございますが、それに対して国鉄としては、団体の整理とか、非常なまあ決意を十河総裁もお示しになったと。中には国鉄推選旅館というのが、私はあつものにこりてなますを吹くように、費用のかからないもので民衆の便利を得ているものまで、非常に神経過敏にいろいろ考えていらっしゃると。そういう御努力にもかかわらず、雑収入がわずか十億にも足りない増にすぎないのですがね。あれくらい非常な国鉄が悲壮な決意を示されたのですから、もう少し数字の上に出そうに思うのですが……。
  43. 石井昭正

    説明員石井昭正君) これはまあ、はなはだ申しわけございませんが、この数字は、委員長、昨年度と本年度と御比較になった場合にはそういうお感じを抱くのではないかと思うのでございますが、実は雑収入につきましては、これはもうすでに昭和二十七、八年、ころからいろいろ国会でも御審議、御批判をいただいておりますので、私どもできるだけの努力をすでにいたして参ったわけでございまして、その趨勢をちょっと御理解願いたいと思うのでございますが……。大へんどうも、ちょっと数字が見当らないで失礼いたしますが、大体当初二十五、六年、ころは二十億程度でございましたのを、十分逐次努力して参りまして、昨年度におきましては全体で八十四億というような数字になっておるわけでございます。  この雑収入の中にも、しかしながら、実はその数字が上げようとしても上らないものもあるのでございます。結局たとえて申しますと、車両使用料というようなものは、これは連絡運輸会社とのやりとりでございまして、連絡運輸機関に車両が入りますと、その経過時間に応じて使用料をとるわけでございますが、これはむしろ使用料の減る方が、貨車が早く返って参って非常に輸送に貢献するわけでございますので、使用料が上らない方が望ましいというようなものもございます。また電報手数料というような公衆電報の取扱手数料のごときは、最近郵便局が非常にふえまして、もちろん車内のお客さん等は鉄道を御利用なさるのでありますが、駅の近くの方は近くの郵便局、電報局というものができましたので、そういう方の利用度が増したために、上っておらぬというようなのもございます。  結局、私ども努力いたしますことができますのは、土地物件貸付料、広告料、構内営業料、こういうようなものが一番大きな大物でございます。これらのものにつきましては、二十九年度におきまして、実はいろいろ御指摘があって、飛躍的な増加をはかったわけでございます。その結果、三十年度におきましては、土地物件などの貸付料につきましては、あまり高く上げ過ぎて、不払い同盟が起ったりなんかいたしまして、事務処理上非常に因っておるようなところもございます。広告料のごときも、結局高きに失したために、需要が減るというような現象も起っておるわけでございます。従いまして、今後はそういう点も調整いたしまして、広告料のごときも、ただ上げるだけで需要がついてこないというようなことでは困るというような点等も勘案いたしまして、なお努力をして、十億程度上げることにいたしたのでありますが、私どもといたしましては、ただいまのお言葉でございますが、十分精一ぱいの努力をいたしておるつもりでございまして、まあなかなか、これで運輸収入が大きな数字でございますので、その割合から見ますときわめてわずかでございますが、一口に十億と申しますが、十億という数字はなかなか大へんな金額でございまして、これだけ上げるのに相当な努力を要するということでございます。
  44. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 数年非常に努力してこられて、だいぶ絞ってあるのだから、もう絞ってもそうは出ないというような意味のお話でございますが、行管の報告などは、これはいろいろ御批判もございます、私どももあの通りは受け取りませんが、他山の石として大いに私は国鉄としても味わわれるべきだと思うのですが、これなどは、昭和三十年度雑収入だけでなしに、運輸収入その他について、前からでなしに、三十年度基礎にして、まだまだ努力の余地があるということを指摘されておるのでありまして、そういう点で、この間総裁が就任せられて非常な意気を示しておられて、もう少し私は、運輸収入ももちろんでございますが、雑収入等のはっきりしたもので、十億は大へんだと申しますが、大きな国鉄の世帯から申しますならば、画期的な努力が私はもう少し数字の上に現われるだろうと実は期待しておったので拠りまして、今まで努力してこられたのですが、こういうこともございますから、私は角度を変えてみれば、まだまだいけるということが私は行管等の報告でないかと思うのです。その点、総裁としての一つ御意見を伺っておきたい。
  45. 十河信二

    説明員十河信二君) お話通り、私もこれ以上いかぬというわけでないのでありまして、今後もでき得る限りの努力を傾けたい。そうして皆さんの御趣旨に沿うようにいたしたいという覚悟をいたしておるわけでございます。さよう御了承を願います。
  46. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 質疑はございませんか。
  47. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は総裁に運賃問題でちょっとお伺いしたいと思っておったのですが、今日三十一年度予算資料をいただいたばかりでありますので、これをさらに検討して、次回に運賃に関する質問を保留したいと思います。
  48. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 利用債の十億ですが、内容を一つ御説明願いたい。
  49. 石井昭正

    説明員石井昭正君) 実は利用債につきましては、これは予定額でございまして、具体的に今日幸まっておるものもございますが、なおどういうものが出てくるかわからぬ、と申してははなはだ恐縮でございますが、これはまあ受益者の方でいろいろ希望がございまして、その話し合いで成立いたしまするので、今日はただ見込みでもって計上いたしたわけでございます。  現在その中で確定いたしておりますものは、大阪の環状線が利用債で本年度から着手することになっておりまして、本年度は約二億の利用債が発行されるわけでございます。来年度は五億程度かと思っております。これが一番大きなものじゃないかと思っております。
  50. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 民衆駅の問題について、特に新宿駅では、私どもの所へも百貨店の進出等に対する地元のいろいろな反対等も来ておるのですが、民衆駅に対してはどういうような御方針をお持ちになっておりますか。
  51. 十河信二

    説明員十河信二君) 民衆駅につきましては、民衆駅の委員会というものを作りまして、国鉄部内だけでなく、部外のあるいは官公庁の方々、または実業家、言論界の人々をもお願いいたしまして、どういうふうにしたらいいかということを御検討願っております。その結果が、大体の方針として結論を出していただいた。その方針によりますと、大体戦争のために鉄道が非常に破壊された。破壊された結果、鉄道はまずもって安全であるとか、あるいは輸送の増強であるとかというふうな方面に主として力を注がなければならぬ。駅舎の建設という方面にあまり金を回すことができないので、駅舎の建設は非常におくれておる。そのために、かえって旅客、公衆に非常な御不便をおかけしておる。また都市計画等の面でも、国鉄だけがおくれておるために、非常に支障を来たしておられる。そういうふうなところでは、民間の資本を入れまして、そうしていわゆる民衆駅というものを作って、国鉄はその一部分を利用させてもらう、こういうことにしたらよかろうということで、そういうふうにいたしておるのであります。それも都会の地価の非常に高い所、鉄道で利用する一階あるいは二階だけのために、この高い土地を利用することは非常にもったいない。できるだけ土地を立体的に利用しなければならぬというような、土地の経済的利用というふうなものを考えまして、従来もやって参ったのでありますが、今後もそういう方針でやっていきたい。その場合におきましても、民衆駅というものは、旅客公衆の便益、鉄道の輸送の都合のいいようにということを主として考えまして、なるべくお客様に御便利なように、公共の利用に都合のいいようにというものを作ることにいたしておるのであります。  新宿駅の点につきましては、新宿駅は、御承知の通り、非常に窮屈で、七十万人も旅客が乗りかえたり乗降したりいたしますので、あれでは困るから、早く駅舎を新築してもらいたいという国民の要望が非常に強いのでありますが、これを新築いたしますについては、非常に大きな資金を必要とするので、国鉄の財政の現状では、容易にそれができない。そこへ民衆駅を設置さしてもらいたいという民間からのお申し出もありまして、今検討いたしておりますが、あすこは都市計画関係もありまして、東京都の方の意向も十分に聞かなけりゃならぬ。またその方で、都市計画の方も一度きまったんでありますが、また少し設計を変更したいというようなことで、まだ確定いたしておりません。従って、東京都の方の意向がまだ判明しておりません。それで、今日の現状では、まだどういうふうにするかということがきまっておりません状態にあるような次第であります。
  52. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 総裁、いろいろ各方面でお忙しいようでございますので、この機会に、ただいま予算の御方針を伺ったのでありますが、この予算で少くとも来年の三月三十一日までは十分まかなえるかどうか、運賃等の問題について非常に国民が心配をいたしておりますので、この機会にこの予算に対する御所信と申しますか、お見通しを一つ伺っておきたいと思います。
  53. 十河信二

    説明員十河信二君) 私は国鉄を国民の国鉄にしたい、われわれは国民のために国民の国鉄をお預かりして経営しておる、そういう考えで仕事をいたしておるのであります。  今日国民の要望は、何が一番強い要望であるかと申しますると、第一は、まず輸送の安全確実であります。いろいろな大きな事故を起しまして国民にそういう御心配をかけたということは、まことに申しわけがないのでありますが、そういう熾烈な要望が出るということもまことに当然でありまして、私どもとしてはどうしても輸送の安全確実ということを第一に考えなけりゃならぬ。それからまた輸送力が不足いたしておりまして、お客は非常に混雑をする、貨物はせっかく増産をしても急速に輸送ができないということで、方々からおこごとをちょうだいしているような次第でありまして、これも本来鉄道は経済の動脈であり、文化の推進力であるという、その本来の使命にかんがみますると、まことに当然な要望であって、われわれとしては何をおいてもこの要望にこたえなければならぬと、こう考えておるのであります。  また、近ごろ科学技術の急速な進歩によりまして、社会生活各方面で非常な近代化が行われておるのであります。しかるに、遺憾ながらわが国の国鉄はその点において非常におくれておる。むしろ取り残されておるような状態にあるのではないか。これも急速に近代化をしろという御要望が非常に強いのであります。私のところへ毎日何十通という、電化してほしいとか、ディーゼル化してほしいとか、もっと列車の回数を増してほしいというような御要望が参っておるのであります。そういうふうな御要望にこたえるためには、あるいは電化をする、ディーゼル化をする、また複線化する、線路を増強する、車輌を増備するというようなことをいたさなければならぬ。それから、国鉄は今日まで約千四、五百億の借金をしょっております。この借金に対しては、もちろん利息を払い、期限が来れば元金を返さなければならぬ。それらのためにも、非常に金が要るのであります。それから職員給与、あるいは退職金というようなものにも、これも相当な金を用意しなければならぬ。  こういうふうな資金の需要、国民の要望にこたえるために、必要な資金の需要というものは、非常な巨額に上るのであります。その中には、収益を上げ得る、すなわち借金で施設をいたしましても利息を払い元金を返すことのできるようなものもありますが、そうでなく、収益を上げる性質のものでないと、しかしながら公共的に見てどうしてもこれはやらなければならぬ、というようなものがたくさんあるのであります。その一番根本的な大きいものは、設備、資産の維持、修理、取替であります。そういうふうな金が、遺憾ながら今日の国鉄収入ではどうしても十分まかないかねるのであります。それには、われわれといたしましてもでき得る限り節約をし、合理化をして、そうしてできるだけ経費をつめて、それらの施設に必要な資金に充てるということに努力をすることはもちろんでありまして、先刻来経理局長からも説明をいたしましたように、相当この点において努力を続けて参っておるのであります。今後も懸命の努力を続けていくつもりでありますが、しかしながら、それにしても、どうしても収入がこれらの支出をまかなうに足りないということは、これはどうしても避くべからざる事実ではないかと、こう考えまして、私どもは何とかして運賃も上げていただきたいということを、もう前任者の時代からお願いいたしているのであります。  何さま、運賃の値上げということは、その影響するところすこぶる広く大きいものでありますから、いろいろな、社会上、経済上、政治上の御考慮を払われての上でなければお許しがないということで、まあやむを得ない、それまで待つのほかはない。しかしながら、今運賃の値上げができないからといって、直ちに危険があるというふうなことはない。私どもはこの与えられたる予算の範囲内で、責任を持って輸送の任務を果したいと覚悟いたしております。しかしながら、今申し上げましたように、しなければならぬ絶対必要な仕事が山積いたしております。国民の要望もまた熾烈なものがあるのであります。これに対しては、われわれ輸送の責務を預かっておる者としては、できるだけ早くその要望にこたえ、その責任を完遂することのできるような状態にしたいということを念願いたしております。今後も機会あるごとに、皆さんにも、政府にも、国民にも、お願いいたしたいと、かように考えております。
  54. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  55. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それでは速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十一分散会      —————・—————