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1956-02-22 第24回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十二日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席分科員    主査 河野 金昇君       赤城 宗徳君    稻葉  修君       竹山祐太郎君    井手 以誠君       井堀 繁雄君    小松  幹君       田中 武夫君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君         建 設 大 臣 馬場 元治君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 朝田 靜夫君         建設政務次官  堀川 恭平君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     齋藤 常勝君         建設事務官         (計画局長)  町田  稔君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建 設 枝 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建 設 技 官         (住宅局長)  鎌田 隆男君         建 設 技 官         (営繕局長)  小島 新吾君  分科員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 二月二十二日  分科員田中武夫君辞任につき、その補欠として  井堀繁雄君が委員長の指名で分科員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計予算運輸省及び建設  省所管  昭和三十一年度特別会計予算運輸省及び建設  省所管  昭和三十一年度政府関係機関予算運輸省所管     —————————————
  2. 河野金昇

    河野主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  本日は昭和三十一年度一般会計及び特別会計予算中、建設省所官について質疑を行います。質疑通告順にこれを許します。井手以誠君
  3. 井手以誠

    井手分科員 建設省関係では、すでに本委員会においておもなる問題は一応質問が済んでおりますので、私は災害のことについてお尋ねしたいと思います。河川局長でけっこうですから、まず数字をお尋ねいたしたいと存じますが、三十年度災害復旧額は幾らでございましょうか。
  4. 米田正文

    米田政府委員 三十年度災害建設省河川局所管の分を申し上げます。これがまあ建設省の大部分でございます。三十年災に関しましては、直轄災害補助災害について申し上げます。査定いたしましたのが百十二億六千九百八十万円でございます。その内訳直轄補助に分けて申し上げますと、直轄が二十三億一千八百六十七万六千円、補助の方が八十九億五千百十二万三千円でございます。これは査定をいたしました国費額でございます。
  5. 井手以誠

    井手分科員 建設省関係の三十一年度予算に計上された災害復旧費の総額と、その内訳である三十年災金額を教えて下さい。
  6. 米田正文

    米田政府委員 今申し上げましたものに関しまして、三十一年度に計上を予定しております金額内訳を申しますと、三十年災については直轄で九億四千四百万円、補助事業に関しましては三十六億五千九百三十一万一千円、合計四十六億三百三十一万一千円ということになっております。それに過年度災害の分を加えますと、二百五十二億七千九十五万四千円になります。
  7. 井手以誠

    井手分科員 さらにお尋ねしますが、二十五年度以降の過年度災害年災別直轄補助合せた復旧金額をお示し願いたいと思います。
  8. 米田正文

    米田政府委員 実はまだ各年災につきましては小分けを決定いたしておりませんので、今から二十五年、二十六年、二十七年というように各年災分をきめるという段階でございまして、きまっておりませんので、総括的にだけしか申し上げられない段階であります。二十五年から二十九年までの災害につきましては、三十一年度予算をつけますと大体七三%程度、それから三十年災については七一%程度進捗する予定に私ども計算ではなっております。その内訳についてはただいま操作をいたしております。
  9. 井手以誠

    井手分科員 それはうそでしょう。大臣一つ今から聞いて下さい。その前にもう一つ承わっておきますが、二十九年度までの過年度災害については七三%、こういうことになろうというお答えでありますが、二十五年災は三十年度末までに八六・八%の竣工予定であります。二十五年災からずいぶん長くかかりますが、二十五、二十六、二十七、二十八、二十九、この各年度について、何年災までは三十一年度に完了なさるおつもりであるか。何年度災はいつ済ますということが非常に大事なことだろうと思いますので、その点の金額はかまいませんから、御方針を承わりたい。
  10. 米田正文

    米田政府委員 二十五年から二十九年に至ります五ヵ年間の過年災につきましては、三十一年度から三年間で完成をいたしたい予定であります。今、実は二十五年災についてはぜひ三十年度竣工完了するようにいたしたいというので検討いたしておるところでございます。
  11. 井手以誠

    井手分科員 二十五年災は今年で七年目ですが、そうすると、あと二ヵ年、残ったものを今後三ヵ年と申しますと、昭和三十三年度までかかるわけですから、三十五年のものは九ヵ年かかる。私はここでお願いしたいことは、やはり古いものから、早く災害があったものから片づけていくことが、原則的には必要であると考えております。従って、もう二十五、二十六、あるいは二十七くらいまでは、予定通り予算がとれなくとも完成すべきであると思うのです。まだ年度割はおきめにならなくとも、二十七年災害くらいまでは完了なさる御意思はございませんか。
  12. 米田正文

    米田政府委員 今九年かかるというお話は、二十五年から二十九年に至ります五ヵ年分を三十三年度までかかって完成するということになれば、お話通りですけれども、二十五年災は三十一年度で完了いたしたいというつもりでおりますから、いれは七年の勘定になるわけであります。二十六年、二十七年の分については、三十一年度では完成いたしませんが、二十六年災は三十二年で完成いたすという順序にしたいと考えております。
  13. 井手以誠

    井手分科員 そうなりますと、七年ないし八年は大体どれにもふかることになりますな。どの災害も、これは重点的ということではなくて、どれも緊要なものでございますが、二十七年度くらいまでは、この際一掃なさる決意はございませんか。
  14. 米田正文

    米田政府委員 私どもとしては、かねてから申し上げておりますように、災害早期完成をはかる、三年程度でぜひ片づけたいという考え方で進んでおりますけれども予算を組むときになりますと、国の全体の財政のために思うようにならぬというのが現状でございまして、これは御趣旨の点に私ども賛成でございます。そうならぬことはまことに残念ですけれども、われわれの考え方としては早期完成をはかりたいという点については全く同感でございますが、今二十七年災、二十八年災等を早急に三十一年度で片づけるということは、今提案をいたしております予算の中の金額では、残念ながらできかねる次第でございます。
  15. 井手以誠

    井手分科員 大臣もお聞き願いたいと存じますが、鳩山内閣になってから国土復旧なんか非常に宣伝されておりますが、毎年百億前後ずつの災害復旧費が減っているのであります。そこで大臣にはあとでお尋ねしますが、河川局長の先刻の数字ではどうも納得しかねるのであります。三十年災害について、直轄補助工事あわせて百十二億に対して、本年度は四十六億計上している。しかもその竣工率は七一%とおっしゃいましたが、どういう計算になりますか。百十二億に対して四十六億の工事、それが七一%に当る、どうも私はそういう数字はわからぬのであります。さらにいま一つ予算委員会における御説明によりますと、過年度災害は、七五形の竣工であると説明をされた。ところが建設省内部でも、なお地方都道府県との間に調整がつかない復旧費が相当あると思う。かりに建設省で押えた金額でございましても、三十年度末には五五%、それが一挙に七五%に引き上っている。先般あなたの方から提出されました一番大きな金額である二十八年災については、大蔵省に出されたあなたの方の予算要求についても六六%。どうして、査定で減らされた金額で七五%に引き上るのか。昨年の予算委員会でございましたか、大蔵省昭和二十九年度予算をもって六〇%の竣工である、しかしそれが誤りであったので、三十年度予算実施すれば六五%になるという説明があった。これは記録もありますからはっきりいたしております。それが今度七五%に引き上っている。果して過年度災害について七五%に引き上っているかどうか。私はこの点についてもう少し聞いてみたいと思う。先刻河川局長がお示しになった数字、三十年度が七一形に果してなるのかどうか。あるいは二百五十億から三十年災の四十六億を引いた百九十何億で果してあなたの説明のように七三%になるのかどうか。その点もう少し納得のいくように数字をお示し願いたいと思います。
  16. 米田正文

    米田政府委員 今申し上げましたのはちょっと訂正いたします。三十一年度で実は七三%と申し上げたのは間違いでございまして、六五%でございますから訂正をお願いいたします。どうして六五%になるかと申しますと、三十年度に支出いたします分が二五%の予定でございますので、三十一年度に約四〇%として、六五%になるという計算でございます。
  17. 井手以誠

    井手分科員 過年度災害についての数字一つ具体的にお示し願いたい。
  18. 米田正文

    米田政府委員 過年災に関しましては、三十年度末におきましては六三%の程度でございます。それを三十一年度実施をいたしまして、七三%四程度進捗をさせたいと思います。
  19. 井手以誠

    井手分科員 今の数字はでたらめですよ。昨年五五%出ているじゃないですか。二十八年災などいつの間に六三%に引き上ったのか。
  20. 米田正文

    米田政府委員 今申し上げましたのは二十五年から二十九年になります五ヵ年間の分を全部総計で申し上げておるので、各年災とは非常に違ってきております。
  21. 井手以誠

    井手分科員 それでは念のためにお伺いしておきますが、三十年度末における進捗率は各年度別にいってどうなりますか。
  22. 米田正文

    米田政府委員 私ども実績計算では、二十五年災が八五・八、二十六年災が七一・九、二十七年災が六九・六、二十八年災が二五・六、二十九年災が四四・二というようになっております。
  23. 井手以誠

    井手分科員 あなたの方からいただいた資料によりますと、三十年度末における建設省過年度災害残工事は、国庫負担分について七百二十二億円に上っております。しかもただいま聞いた進捗率は私がいただいた資料よりも低いのであります。これは予定通り進行されていないという証拠でございますが、そういたしますと七百二十二億円よりも大きい、その金額の中に二十八年災などは四百数十億円に上っている。私は災害復旧だけに関しては大蔵省数字は信用いたさないのでありまして、やはりあなたの方の数字を問いたいと存じます。現地における進行状況遅々として進んでおりません。若干は進んでおりますけれども、なおおそらく今半ばそこそこではないかと思う。直轄工事を先にされるということでありますし、現地金額と本省の金額と違うという点などの諸事情から、大分食い違いがあるのであります。過年度災害について昭和二十五年から二十九年まで七三%ということは間違いないですが、それだけあなたに対して念を押しておきたいと思います。
  24. 米田正文

    米田政府委員 五ヵ年間の総計におきましては七三・四と申し上げましたが、その通りでございます。
  25. 井手以誠

    井手分科員 大臣も大体今までの応答でお聞き及びと存じます。九州でも御地の長崎の方はあまり災害はありませんので、そう痛切にお感じになっておられないかもしれませんが、北の方の常習災害地帯は非常に困っておるのであります。二十五年度災害についても、やっと三十一年度に終ろうという状況でありまして、二十六年、二十七年、二十八年とまだ相当残っておるのであります。しかもそれだけ残っておる災害に対して、本年度予算額は昨年度よりも七十一億円も少い。国土を復興してこそ私は初めて五ヵ年計画の推進もできるのだと思うので、まず災害についての大臣の所信を承わりたいと存じます。
  26. 馬場元治

    馬場国務大臣 災害復旧につきましては、なるべくすみやかに全体の災害復旧をはかりたい、さような熱望におきましてはあえて人後に落ちないつもりであります。お言葉にもありましたが、九州は特に災害がはなはだしい、私も現地において災害の実情をよく承知いたしておるつもりであります。特に過年度災については一日も早くこれが復旧をはかりたいのはやまやまでございますが、何分にも財政全体の考えからいたしまして思うように参らないことを、実は遺憾に考えております。この予算範囲におきまして災害復旧には全力をあげて、できるだけ効率的に、来たることあるべき災害に備えまして十分の措置をとるように努力いたしたいと、かように考えておる次第であります。
  27. 井手以誠

    井手分科員 大臣は当時おいでにならぬので、あるいは御記憶がないかもしれませんが、特に二十八年度災害におきましては特別立法もいたしますし、三・五・二の比率によって三ヵ年で復旧するということはしばしば総理その他から言明せられたところであります。ところが現実には二十八年度災害が、建設省のいわれる通りにいたしましても三十年度末で、五五%である。これではいつ完了するのかわからない。私は国土の荒廃を防ぐためには、何をおいても災害のすみやかなる復旧が緊要であると存じております。やろうと思えばやれるのです。ジェット機を何機か少くすればいいはずで、それは考え方の違いもありましょうけれども、今好況に恵まれておる造船、海運に対してでもなお三十一億の利子補給が行われておる。財政都合財政都合とおっしゃいますけれども、真に災害の実態を御存じであるならば、そういうものは削っても災害に向けるべきだと思うのです。  そこで大臣にお尋ねいたしますが、二十五年災は幸い三十一年度で済みそうでありますが、二十六年災以降は三十一年度でも済まない、この際一つ、今まではやむを得なかったけれども今後何年災はいつ完了する、何年災はいつ終了するという計画をはっきり立てて、あくまでもこれを大蔵省に押していくという御決意なり御計画が私はほしいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  28. 馬場元治

    馬場国務大臣 先ほども申し上げました通りに、災害復旧を急がなければならぬ、かように考えておりますので、将来に対する計画を立てまして、関係省と折衝の上にこれが実現をはかりたいと考え、ただいま至急検討をいたしておるところであります。
  29. 井手以誠

    井手分科員 重ねて大臣にお尋ねいたしておきますが、昨年の七月でございましたか、公共土木施設災害復旧に関する法律の改正によって、三十年災からは緊要なものについては三ヵ年でやるという原則が立てられまして、幸いそれによって三十年災については従来よりも進行が早いようです。しかし過年度災害遅々として進まない、災害にそういうむらがあるべきものではないのでありまして、やはり同様な行政措置が私は必要であると思う。二十八年災についてもまだ大きな穴があいたままになっておるのがたくさんある。同じような災害で、あとからできたものを先にやるというのはおかしいのです。三十年災同様に実施なさることが行政措置でできるはずですから。先般の改正大蔵省を抑えるための措置であると私どもは解釈しておりますが、予算範囲であるならばできるはずですけれども、そういう御方針をお立てになるお考えはありませんか。
  30. 馬場元治

    馬場国務大臣 三十年災につきましては、今お話のありました通り緊要なものについては三ヵ年でこれを完了したい、こういう議会の御意思によってこれを実行して参りたい、同時に二十五年災以下のいわゆる過年災についてもできるだけ急いでやりたいと考えまして、先ほど申し上げましたように、その方法についてただいま検討をいたしておる次第であります。
  31. 井手以誠

    井手分科員 大臣、また次官や局長は、復旧の必要なこと、またそれに努力されていることは私も承知しておりますからこれ以上申し上げませんが、問題は力である。努力、熱意でありますから、今後一そう災害復旧がすみやかに完了するように努力を願いたいと存じております。私は七三%という過年度災進行率についてはなお疑問を持っておりますが、後日に譲ることにいたしまして、災害復旧に関する私の質問を終ることにいたしたいと存じます。
  32. 河野金昇

  33. 田中武夫

    田中(武)分科員 私は住宅の問題について若干の質問をいたしたいと思います。まず最初にお伺いいたしたいのは、鳩山内閣は四十二万戸の住宅建設ということを大きく打ち出しまして、住宅政策を進めたわけでございますが、われわれは当時からこれは無理ではないかというようにも考えておったのであります。そのときに政府の方のお考えでは、政府施策によるものが十七万五千戸で、民間自力建設によるものが二十四万五千戸、合せて四十二万戸、こういうように習われたのでありますが、過去一ヵ年の実績はどうであったか、予定通り行われたか、もし行われていないとするならば、その行えなかった理由がどの辺にあるのか、そのような点を御説明願いたいと思います。
  34. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 三十年度住宅建設状況でございますが、政府施策にかかります分の、ただいまお話の十七万五千戸を大きく分けますと四つになるのであります。その一つ公営住宅計画、それから住宅金融公庫融資によるもの、それから公団住宅建設、それから政府建設省関係以外の施策、それから民間建設、こういうふうになるわけでございます。まず建設省が直接資金その他のいろいろな取扱いをいたしております分、つまり公営住宅につきましては、今日現在におきまして各地方庁も予算を組みまして大体九九%、わずか残っている程度で、ほとんど着工を見ておるわけでございます。住宅金融公庫融資の分につきましては、ことし初めてやりました増築融資関係が三五尺この分は実は三十年度に初めてやりました関係もありまして、まだ全部消化には至っておりませんが、そのほかの分につきましてはほとんど融資の対象を決定いたしておりまして、これは貸付も決定いたし、建築着工をいたしておる段階であります。ただこの増築融資の方につきましては、今申し上げましたように初年度でありました関係、それからわずかの金に対しまして、今までやりました分がかなり手続が煩瑣であったという点、これも二、三回目の受付には逐次緩和をいたしてやっております。ただいま第三回目の受付実施中でございます。それから公団住宅でございますが、公団は二万戸の鉄筋コンクリートのアパートだけを建設する、こういうことで、去年の七月末か八月から発足いたしたのであります。その後たびたび努力を重ねまして、ようやく今年度中には全部着工をいたす段取りにこぎつけまして、今日現在では大体六〇%難度着工率でございますが、なお一ヵ月の間に土地手当その他も目鼻がつきましたので、三月の中旬くらいまでには二万戸全部着工する予定でございます。  それからもう一つ民間自力建設の問題でございますが、ただいまお話のありましたように、二十四万五千戸の見込みを立てたわけであります。これに対してどういうふうな状態になっておるかということでありますが、これは建築動態統計でずっとはかっておるわけでございます。この資料は大体二ヵ月おきに各地方から集まって参る資料なのですが、今日集計いたしております一番的確なのは十月までのものであります。四月から始まって十月までの分でありますから、七ヵ月間の統計で、大体五六%の着工を見ておるわけでございます。七ヵ月間を十二ヵ月に対比して考えてみますと五八%になりますから、五六形というのはわずかに二%くらいおくれておるという感じがいたしますが、これはあと十一月、十二月、一月、二月、三月、この間にどういうふうになりますか、民間自力建設もかなり上ってきておりますから、その統計から類推をいたしますと、大体三月末くらいまでにはどうやらその見込みは達成できるのではないかというような感じを、今持っておるわけであります。三十年度住宅建設状況はそんなような状況でございます。
  35. 田中武夫

    田中(武)分科員 ただいまの局長お話ですと、政府施策によるものも民間自力建設によるものも大体予定通りいっている、こういうような御説明であるのですが、実際を見ました場合に、今言われておるような状態建設が進んでおるかということは、私は疑問ではないかと思うのです。たとえば住宅公団一つをとりましても、家賃の低い庶民住宅を建てるのだということで八月末ですか、九月に発足いたしましてから何もやっていない、こういうのが定評ではないかと思う。昨年末の状況で見ました場合に、予定一万戸のうちで土地手当の済んだものが二千九百七十戸それから着工したものは千葉県の稲毛の二百四十戸だけで、東京地区等についてはずっとおくれておる。こういうようなことが新聞その他でも報じられておったのですが、今局長の言われた点と新聞その他の報道とは、相当食い違っておるのですが、その点はどういうことになっておりますか。
  36. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 住宅公団住宅建設状況でありますが、住宅公団は御承知のように八月から発足はいたしましたものの、その後人員の手当その他機構の整備にかなり手間をとりましたことは事実でございます。しかしながら九月の初めごろから本来の業務を発足いたしまして、逐次土地手当あるいは設計の準備その他を進めて参ったわけでありますが、実際の着工に至りましたのは、一番最初が九月の末ごろで、第一回のものに入札いたしましたが、その後どんどん土地手当設計が進みまして、昨年の暮れからことしの正月、この辺にかけましてほとんど毎日のように入札をいたしております。今日もほとんど毎日のように何件かの入札が行われております。むしろこれは土建業界から聞いていただきたいと思うのですが、公団の仕事が今案によく出ておるというふうに土建業界の人も言っておりますが、ほとんど毎日のように入札が行われております。でありますから、私が今申し上げまする五六%といいますものも、これは二月の初旬現在で公団のお調べで申し上げたのでありますが、これが逐次進んで参ります。そういうような状態であります。
  37. 田中武夫

    田中(武)分科員 ことに土地の入手というか、これが大へん困難だ、こういうようなことも聞いておるのですが、宅地につきましては予定通りに入るのでございますか。
  38. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 宅地につきましては、実は公団の方は二つ考え方で進んでおりまして、一つ宅地造成事業といたしまして、区画整理その他でもって宅地を造成しまして公団敷地にすると同時に、また各国民の要望にこたえて分譲もしていくという事業一つあります。そのほかに、公団自分みずからの住宅建設するために土地を取得する、この二つを持っておるわけです。ことし公団が発足したばかりでありますから、その宅地造成事業というものをやって、それができてくるまで待っていて家を建てるというわけにはいきませんので、三十年度の分は、その宅地造成事業を一方においてやると同時に、自分がみずから建てるアパート敷地を求めたわけでございます。そのみずから建てるアパート敷地の取得につきましては、今申し上げましたように、大体三月の中旬ごろまでに全部発注する段階に今こぎつけております。  それから宅地造成事業の方は、三ヵ年間に三百万坪の、区画整理による宅地造成事業をやるということで、各方面に調査を進めまして、大体今日現在調査を完了しましたのが三百万坪のうち三分の二——もう少しいっておるかもしれません。二百万坪以上のものが今調査を進められております。それを今年度中に大体百万坪、来年度百万坪、再来年度さらに百万坪、こういうふうな長期的に約三百万坪の宅地を造成する、こういう事業をまた並行的に今日進めておるわけでございます。
  39. 田中武夫

    田中(武)分科員 今の局長の話では、土地の方も大体支障のないように進んでおるようですが、これは事実と相当違うんじゃないかと思うのです。と申すのは、おくれておるのは土地に大きな原因がある、こういうようによくいわれておりますし、またたとえば交通とか環境等で住宅地に最も適しておる、こう思って目をつけた土地が入らない、そういうことから、やむを得ず、環境あるいは交通その他であまり住宅地区には適しないところへ建てなくちゃならないというようなことも行われているのではないか、こういうように思うのですが、事実はどうなんですか。その一例といたしまして、たとえば東京地方におきましては砧ですが、撮影所のありましたあの辺あたり広い土地が最近ゴルフ場になった、こういうようなことも聞いていますが、ああいったような土地公営住宅とか、あるいは住宅公団建設土地にするというようなわけにはいかないですか。  もう一つ進んでお伺いいたしたいのですが、これはむしろ大尉にお答え願いたいと思うのです。ただいま申しましたように、生活環境あるいは交通等の関係から最も住宅地としてふさわしい、こう思うところが、なかなか所有者との間に折衝がつかない、こういうような場合は、住宅建設の政策の大きな建前から、土地収用法を適用するということは可能か、あるいはそういうことを考えておられないか。と申しますのは、アメリカの基地拡張等でいろいろ問題を起しておりますが、あの砂川町のようなところでも、政府は二言目には、土地収用法適用とか強制力とか言っておられるわけです。このような住宅難のときに、ことにあらゆる環境から見まして最もふさわしいと思う土地に思うように建物が建てられない、こういうことがあるならば、一般の福祉のために土地収用法を適用してもいいんじゃないか、こういうようにも考えるのですが、いかがでしょう。
  40. 馬場元治

    馬場国務大臣 土地の問題につきまして、土地所有者との間に話し合いがうまくつかないような場合はしばしばあるのであります。お話のように、住宅建設のために必要欠くべからざるところであるということになりますれば、場合によっては土地収用法を適用してもよろしい、かように考えております。
  41. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 住宅を非常にすみやかに建設するために隘路となる一つの事項としては、確かにお話のように土地問題がございます。どういう建設の仕方をしていくかということにも関連するわけでございますが、今公団住宅建設方針として私ども考えておりますのは、できるだけ市内の土地を活用して、市内に既存宅地を再開発するといいますか、そういう既存宅地を高度に利用していくという考え方一つと、それから東京のような場合に、その周辺の環状緑地を離れた先へ行きました一つの衛星都市といいますか、そういう都市を育てていって、そこに東京の周辺の衛星都市的なものを造成していく、こういう考え方二つあるわけでございます。そういう考え方に塞ぎまして、一番むずかしいのは、市内の既存の宅地を活用していく方策でございますが、これは場合によりましては、かなり私権の制限にまで及ばないと十分なことはできないのかもしれません。しかし現在の法制的に許す範囲におきまして、私どもは地主あるいは権利者と話し合いによって進めて参りたい、今日の態勢のままでもそういう方針で進めて参りたい、こういうような考えで進んでおるわけでございます。従いまして市内の土地もかなり方方話がつきまして、逐次買い入れているところもございます。  それから三十一年度のやり方としましては、むしろ下に商店その他とかみ合せて建設をするということも、予算的に若干認められておりますので、そういう土地の借入について地主あるいは権利者との話し合いを進めて、そこにまた商店と住宅とのかみ合せのビルディングを建てていく、こういうようなことも考えておる次第でございます。そういうふうにしまして宅地問題を解決していきたい、こういうふうに考えております。
  42. 田中武夫

    田中(武)分科員 ただいま大臣は、必要があれば土地収用法も適用する、こういうふうなお答えでありました。局長は、そこまでいかなくても、今までの状態であるならば、大体所有者との間にうまく話し合いをつけていくんだ、こういうふうにも聞えるのですが、そうなんですか。今までにそういうような土地の買い入れ等の交渉で、どうも無理を言われて必要以上の金を払ったとか、あるいはそのために予定がものすごくおくれたというような事実はありませんか。また土地収用法を適用したというような事実はございませんか。
  43. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 住宅敷地につきまして、まだ土地収用法を適用したことはございません。簡単に土地を買い取るというわけではございませんけれども、何とか話し合いを進めた上で、公団の方に買収その他ができております。ただ将来の問題としまして、土地収用法を発動するということも、必要があればしなくちゃいかぬと思いますが、それだけでは、いろいろな意味におきまして、今申し上げましたような既存市街地の高度の利用ということに欠けるところがあるかもしれません。そういう点について検討を進めたいとは思っておりますが、今日の現行法のもとにおきましても、ある程度話し合いで進めることができる部分につきましては、できるだけそういう方法でやって参りたい、こういうことを申し上げたのであります。
  44. 田中武夫

    田中(武)分科員 私が申し上げたいのは、もちろんそういう強制力を使わずにうまく行けば一番いいのですが、そのために必要以上の予算を使う、あるいは必要以上に交渉が長引いて、ために予定が遅れる、こういうような場合は土地収用法を使ってもいいのじゃないか、ことにあのように地元民が反対している飛行場の拡張、たとえば砂川町の場合なんか、土地収用法でびしびしやっておるのだから、庶民に必要なものは、もっと土地収用法をお使いになってもいいのじゃないかと思うわけです。  それからただいまの市街地の高度の活用というお話に関連してでありますが、これはとっぴな構想といいますか、言い方になるかもわかりませんが、実はきょうの新聞を見ましたらビラが入っておりましたが、新宿駅に高島屋が進出するということについての地元の反対のビラです。こういう問題は近く百貨店法等で論じられると思うのですが、駅の庁舎の上を利用してアパートにでもするというようなことは、どんなものでしょうか。
  45. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 駅の庁舎と住宅の組み合せはどうかというお尋ねでございますが、駅の庁舎とホテルくらいの組み合せは、外国の例にもかなりございますが、普通の庶民住宅と駅との関連というのは、これは今まであまり例もないようでございます。そこまで行きませんでも、私が先ほど申し上げましたように、店舗あるいは事務所との組み合せというようなことは十分意義があると考えております。
  46. 田中武夫

    田中(武)分科員 私もそういうことはちょっととっぴだとは思うのですが、かりに政府考えておられる住宅対策がスムーズに行ったとしても、まだ住宅難は解消しないわけなんです。そうして今百貨店の進出等ですったもんだやっておる。それならば、そういうところを住宅難緩和に使うということも一つ考え方ではないか、このように考えたので申し上げたわけなんですが、そういう点についても御検討していただけばどうかと思うわけです。  それからアパートではないが、ホテルというようなお話も出ましたので関連してお伺いいたしますが、私よく知り決せんが、何か週刊雑誌で見ましたときに、東京都内だけでもいわゆる簡易ホテルといいますか、簡易旅館の許可をとっているのが四千幾らあるということであります。はっきり申しまして、これはいわゆる温泉マークなんです。ああいうものがどんどん建っておるのに、ほんとうに住宅に困っている人の家が建たない。そうして上野あるいは繁華街に行けば、この寒空にやはり地下鉄などの入口に寝ている人がまだおる。こういうような状態についてどのように政府考えておられるか、これはむしろ大臣から御所見を承わりたいと思います。
  47. 馬場元治

    馬場国務大臣 大きなビルなんかがどんどん建っておるのをどう見るか、こういう御意向であったと考えますが、一時ビルがどんどん建って世の批判を受けたことがあります。その当時は、一つこれは制限しなければなるまいという議論もあったようでありますが、徐々に下火になって参りまして、一面オフィスその他の不定も非常に多いところから、ただいまの状況でありますならば、これを直ちに制限をするということはどうであろうか、かように考えております。
  48. 田中武夫

    田中(武)分科員 私は大きいビルのことも申し上げましたが、もう一つは、都内に簡易旅館というか、旅館業というか、私はよくわかりませんが、そういう許可をとっているのが四千幾らあるという。いわゆるさかさクラゲの温泉マークです。これがまた一面今国会でも問題になると思いますが、売春法案とも関連して、厚生省ではそういうものについていろいろ検討しておられるようですが、そういうさかさクラゲ、いわゆる連れ込み旅館がどんどん建っておる。都内だけで四千四百あるとか聞いておりますが、そういうものを制限しても一般の住宅難解決の方へ向けていくということについてどう考えておるか、これをお伺いしておるわけです。
  49. 馬場元治

    馬場国務大臣 この問題につきましては、実は昨年以来例の売春禁止法などに関連して、しばしば論議せられたところであります。近く売春に関する審議会も設けられる運びになるだろうと存じますが、それらの方面もよくにらみ合せまして、御説の通りにそういったいわゆる売春に使われるようなところを、住宅に使えるようにという方向に持っていきたいという考えは十分持っておるのでありますが、売春禁止その他の関連もありますので、これらともよく協調を保って考えていきたいと思います。
  50. 田中武夫

    田中(武)分科員 民間の自力建設等とも関連して、そういった不用と申しますか、むしろ害悪を残すような建築は制限をして、住宅緩和の方法をとっていただきたい、このように希望を申し上げておきます。  ちょっと方面が変るのですが、火事とけんかは江戸のはなと言われて、日本は火事が名物でございますが、一年間に火災で焼失するところの損害は三百億円と言われております。政府はけちけちしたところの予算で、何とか住宅の緩和をやりたいと言っておるが、その一方から焼けていっておるということも言えると思います。これは建設省とは直接関係はないと思いますが、そういうような火災予防というような点についても十分考慮してもらいたいと思いますし、また建設行政の上から、こういう火災についてどのようにお考えになっておりますか。
  51. 馬場元治

    馬場国務大臣 火災の予防につきましては、御説の通りにきわめて重大でありまして、いかに住宅建設をいたしましても、それが烏有に帰したのでは何の役にも立たないことになることは申し上げるまでもありません。従いまして、火災の予防につきましては特に意を用いたいと考えておりまして、消防庁当局ともよく連絡をとりまして、火災の予防には力を入れておるつもりでございます。  なお住宅建設なんかにつきまして、火災を予防するためにいろいろな方法をとっておることは御承知の通りであります。たとえば防火帯の問題、一定の地区を指定いたしまして、その地帯には防火建築以外には建築を許可しない。その防火建築をするにつきましてはそこばくの補助を与える、こういう方法によりまして、火災の発生を予防することに寄与いたしておるつもりであります。  なお政府建設をいたしております住宅につきましても、国会の御要望もありますし、当然の要望であると考えますので、なるべく不燃率を高めて参りたい、かような意味合いで予算も組んでおりますことは御承知の通りでありまして、なお今後ともその方面に努力をいたしたいと考えております。
  52. 田中武夫

    田中(武)分科員 今度は公営住宅の問題につきまして若干お伺いいたします。先ほどの局長の話では、公営住宅の方も大体予定通りいっている、こういうようなお話であったんですが、私の聞いておるところでは、今では、計画だけはそうなっておるのかもしれませんが、相当着工がおくれておる、こういうふうに、去年の年末ですか、聞いたんです。その理由としては、予算の出し方がおくれた、あるいは市町村のいわゆる起債の決定がおくれた、あるいは地方財政が苦しいというようなことが言われておるわけなんですが、政府といたしましては、こういう公営住宅等についての起債の決定をできるだけ早くする方がいいと思うのですが、どのような御方針を持っておるか。あるいはまた、地方財政が苦しいことはこれは大きな問題でありますが、この中にあって公営住宅予定通り推進さすために、より以上これに重点を置いていくとするならば、補助、起債等のワクを広げる必要があると思うのですが、かような点についてはどのようにお考えですか。
  53. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 三十年度公営住宅につきまして、確かに例年より着工がおくれまして、申しわけないと考えます。その理由としましては、ただいまお述べになりましたように、国の予算の成立のおくれましたこと、それから地方の起債の決定がおくれましたこと、その他いろいろございますが、そういうような点が大きな点であろうかと存じます。起債につきましては、私ども昨年の七月の末に予算が成立いたしまして、直ちに各地方建設計画を取りまとめまして、八月の末に関係方面、自治庁その他とも連絡しまして、地方の所要資金はこのくらいだということを連絡して、ずっと進めて参ったわけであります。ただ起債の決定ということになりますと、住宅事業なら住宅事業、あるいは河川なら河川、そういうふうに小分けに分けてございませんで、起債の大ワクが補助事業なら補助事業というふうに一本になっているわけでございます。従いましていろいろな各方面のものが全部出そろいませんと、なかなかつけられないというような自治庁の事務的な事情もございます。そんなようないろいろな関係から、実は起債がほんとうに最終的にきまりましたのが十二月というふうに、おくれてはなはだ申しわけないと思っておるわけであります。従いまして十二月ごろ起債がきまりましたものですから、その後大いに馬力をかけまして、二月の初めまでにほとんど着工の運びに至っておるわけであります。ただ着工がそういうふうに非常におくれたということは事実でありまして、はなはだ申しわけないと思いますが、三十一年度につきましては、関係方面ともよく連絡をいたしまして、地方の起債その他を早期に決定できますように努力をいたしておるわけでございます。
  54. 田中武夫

    田中(武)分科員 公営住宅に関しまして、これは局長等にも御迷惑をかけたこともあると思うのですが、私の方の地方にも公営住宅法の違反という事件があったわけであります。そういうような問題に関連をしていろいろと実情を聞いてみますと、やはり地方に資金がない、財源がないというところに基因していると思うのです。そこで大臣にお伺いしたいのですが、私は住宅難解消のために一番政府として重点を置いていただきたい点は、この公営住宅ではなかろうかと思うのです。そうするならば、これは地方財政の赤字の問題につきましては他の方面からいろいろと検討も進められておりまするが、この公営住宅補助金の額をもう少しふやすとか、あるい率はをふやす、こういうような点についてはお考えにならないでしょうか。
  55. 馬場元治

    馬場国務大臣 公営住宅をふやしたいというのは私ども多年の熱望でございます。できるだけ安い家賃で、しかも多くの人に住宅を提供しよう、庶民性を持たしめて住宅難を解決しようというのが多年の希望なのでございます。従いまして、一番安くはいれる公営住宅に力を注ぎたいのは申すまでもないところであります。  なお公営住宅に対する国家の負担を、もっと大きくしたらどうかという御意見でありますが、それらの点についてはなお検討を加えたいと考えております。
  56. 田中武夫

    田中(武)分科員 この公営住宅の問題についてもう一つお伺いしたいのです。これはきのうわれわれ配付を受けたのですが、会計検査院から出している、予算は正しく使われたか、こういう。パンフレットの中に、粗雑な公営住宅工事という項がありまして、これは久留米市の例をあげておるわけなんです。これによりますと、公営住宅には建築上、手を抜くといいますか、あるいは最初予定した材料よりか悪い材料を使っておる、こういうようなことが指摘せられておるわけです。そうして、こういうことであるならば、耐用年数なんかも予定通り持たないだろうし、あるいは一朝地震でもあれば大へんだというようなことがこれに書いてあるわけなんです。そこでお伺いしたいのですけれども、この公営住宅建設地方に一任しておられるわけなんですか。
  57. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 地方に一任といいますか、公営住宅法によりまして建設基準を定めてございます。その基準にのっとって設計の基準その他を与えております。それに違反しているかどうかは、これは建設大臣が監督いたしておりますし、また公営住宅法の二十何条でございましたかで、監督権の一部を都道府県知事に委任してございますが、実はその辺の委任がどこまで委任してあるかという限界は、今まであまり明瞭でなかったという点がございますので、今後明瞭にさして参りたい、こういうふうに考えておりますが、今の体制としましては、各事業主体に対する直接の監督は都道府県知事が行なっておりまして、それを総括的に建設大臣が監督をする、こういう立場でございます。  それから今久留米市の話が出ましたが、これは私どもすぐそれから係官を派遣しまして調べましたが、確かに多少粗悪工事であったことは事実でございます。そこでさっそく手直しを命じまして、その手直し工順は完了しておるように聞いております。
  58. 田中武夫

    田中(武)分科員 そうしますと、いわゆるどこで何戸建てるという場所の選定、それからだれにやらすということ、またでき上ったものの検査といったものは、これは全部地方自治体が行うようになっておるわけですか。
  59. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 建設の全体の計画につきましては、第八条でありましたか、長期計画、三ヵ年計画を立てろ、こういうふうになっております。三ヵ年計画の立て方は、全体の数を建設大臣が各地方別に配分をいたしまして、今度は地方の公共団体の長、つまり都道府県知事が各市町村長と協議をして、各市町村の建設計画を定めまして、建設大臣にその意見を提出してきまして、それで決定をする、こういうふうになっております。そういうことで三ヵ年計画の各地方別の建設計画が定められまして、その計画に基いて建設する、こういうふうになっております。それから、竣工検査その他の検収の問題ですが、これはまず第一次の検査を各都道府県知事の任命した係官がやりまして、それを建設省が抽出的に全国の竣工検査を実施いたしております。
  60. 稻葉修

    ○稻葉分科員 私は東京に来ておる郷里の学生のために学生寮を立てたいと思って、いろいろやってみますと、新築の場合でないと、大学学術局を通じ建設省からお金を出してもらえない。非常に不便である。それから、住宅金融公庫からも借り入れもできるのですけれども、これも全部新築でないといかぬということになっているのですが、私の方ではちょうどある電源開発工事が終りまして、そこに工員の住宅が、山奥ですから、資材も相当りっぱなものができているのです。そういうものがむだにならないようにと思って、かたがた住宅建設の一助にもなればと思ってやってみたのですが、改築はいけないということになっておりますが、その辺のところはお許し願えないものか。今の法律が悪ければ直していただけないものであるか。国家資材のむだにもなることであります。また住宅難緩和の一助にもなることでありますから……。
  61. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 学生寮の建設につきましては、実は三十年度から試みに実施をいたしたのでございますが、大体学生寮の建設を援助するという考え方から、先ほどもお話が出ましたが、耐火性ということに実はかなり力を入れたわけでございます。学生寮は大ぜいの人が雑居的に住みまして、耐火ということも非常に大事なことでございますので、実はこの学生寮建設はほとんど耐火構造——簡易耐火構造まで入れてありますが、耐火構造にしぼってある。こういう点から、今の古材使用といいますか、そういう点までは実は及んでいないわけであります。
  62. 稻葉修

    ○稻葉分科員 その耐火構造に直しつつ、向うの資材を利用して、坪数等はそのままやろう、こういうのですが、なかなか許してくれない。規格に合ったように、中にコンクリートの仕切りを入れるとか、ぐるりをブロックにするとか、そういうこともやろうと考えているのですが、どうしても新築でなければいかぬということなんですが……。
  63. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 私が今申しました耐火構造は、実は建築基準法にいう耐火構造でございまして、今、稲葉委員の言われましたのは、たしか建築基準法では防火構造に類する構造じゃないかと思うのでございます。それで木造でも、建築基準法からいいますと、ある一定の坪数を限って防火壁を設ければいいことになっておるわけであります。しかし、各部屋ごとの防火壁ということは、建築工法上困難なことでもございますので、今学生寮というのは案は鉄筋コンクリート造またはブロック造のみをやっているわけであります。
  64. 稻葉修

    ○稻葉分科員 次は地方道と国道との名目変更についてお伺いしたい。積雪寒冷地帯では、昔トンネル技術がまずかった時代は、海洋が絶壁なものですから国道が全部山の中を通っている。年の四分の一ないし三分の一は雪にとざされてしまう。産業道路としての価値は全くない。今日掘さく技術の機械化の非常な進歩によって十分に海岸の絶壁等でもトンネルができるのであります。県道あるいは地方道になっているような、そういう所を切り開いて、そうして無雪道路として産業開発に大いに役立てた方がいいのじゃないかと思いますが、国道と地方道との名目変更ということはむずかしいことなんでしょうか。
  65. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 お話のように無雪道路が県道である、雪の降る道路は国道であるというような場合もございます。国道をきめますときには道路網形成ということから考えて参ります。従って最短距離を選ぶようになるわけであります。しかしどちらを通りましても距離に大した差がないという場合には、気象条件のいい方を取って利用の効率の上る方を取って参るわけであります。ただその現状において海洋道路が非常になお改修工事の必要がある、それから現在の国道の方は比較的よくて通りやすいという場合には、やはり通りやすい方を国道に使おうという例がございます。しかしそういった場合に、海岸の道路を改修しましてこれを国道にし、元あった国道を県道にするということは、これは当然やり得ることでございます。
  66. 稻葉修

    ○稻葉分科員 距離も海岸の方が近いわけですね。山をずっと回って、こう行っているような所です。なるべくそういうふうにお願いしたい。  次は新潟地方の問題ですが、新潟の海岸が波で年々決壊をいたしまして、運輸省からも建設省からもかねがね御視察をいただいている。竹山前建設大臣が実際見ているのです。ところがこれの復旧事業費というか、防波堤というのか、そういう海岸決壊を防ぐ工事費は建設省予算ではなくして、運輸省のこの資料の二の八ページのところにいろいろ出ているようですが、これは港湾災害関連事業費になるわけでございますか。
  67. 米田正文

    米田政府委員 海岸の災害復旧あるいはまだ災害は受けていないが予防的な施設としての補助施設につきましては、今日まだ基本法がございませんので、実は予算措置としては事実上やっておりまして、各省でそれぞれやっておる実情であります。お話のように運輸省でやっておるところ、それから建設省でやっておるところ、それから干拓の堤防等に関しましては、農林省でやっておるというように、まちまちになっております。具体的に個所のお示しがあれば申し上げます。
  68. 稻葉修

    ○稻葉分科員 新潟市の浜で年々二メートルぐらい欠けるわけです。もう五年もたちますとその山が一つくずれてしまって、くずれてしまえば新潟市全部が波に洗われてしまうというような状態にあるものですから、やかましく心配しまして今までいろいろお願いしておったのでありますが、今後こういう問題については何か海岸法とか、海岸線防衛法とかいう単行法ができるということで、また地方住民もそれを非常に希望しているわけですが、前々から準備が進んでおるようでありますけれども、どの程度に進んでいるのか、今国会にての海岸法が出る段階ですか、政府提案で出していただけるのかどうか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  69. 馬場元治

    馬場国務大臣 海岸の崩壊その他につきまして、新潟県その他太平洋岸にもさようなところがたくさんありまして、国土の保全上実は非常に心配をいたしておるのであります。これを何とか防止しなければならぬ、かように考えまして、ただいま海岸法の準備を急いでおります。御承知の通りに海岸の問題につきましては、先ほど局長からも申し上げましたように、農林省関係さらに運輸省との関係いろいろありますので、これらの関係各省との間の話し合いをただいま進めておるところでありますが、その話し合いがつきましたならば直ちに成案を得まして、政府提案の形において御審議を願いたい、かように考えております。
  70. 稻葉修

    ○稻葉分科員 それで今国会に提案できるお見込みでしょうか。
  71. 馬場元治

    馬場国務大臣 もちろん今国会に提案をして、すみやかに実現をはかりたいと考えております。
  72. 河野金昇

    河野主査 田中君。
  73. 田中武夫

    田中(武)分科員 では先ほどに引き続きまして質問をさせていただきます。次に民間自力建設の問題について聞きたいのでありますが、三十年度のいわゆる四十二万戸建設の政策の中におきましても、民間自力建設が二十四万五千戸というように大きく出ておるのでありますが、昨年一ヵ年間の民間住宅建設状況について、先ほどもちょっと話があったかと思いますが、どういうように進んでおるかということを、もう少し具体的に言って下さい。
  74. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 民間の自力建設につきましては、建築動態統計という指定統計が実はございます。そこでその統計によって把握をいたしておるのでございますが、これは毎月の各地方で起りました建築行為を各都道府県でキャッチいたしまして、それを統計として本省に持ってくる、そうして中央でこれをまとめておる、こういった統計でございます。その統計によりますと——この統計が全部まとまってきまして集計できますのは、三ヵ月ぐらい実は遅れるのでございます。そこで今日まで大体はっきりいたしておりますのは十月末までの統計でありますが、四月から十月までの七ヵ月間の推移をずっと見てみますと、これによって今までに住宅建設着工になりましたのが実は十五万一千戸ばかりであります。それを民間自力建設見込みと比べてみますと、十月末までで大体五六%くらい進んでおるわけでございます。そこで十月末日を四月から勘定してみますと七ヵ月でございますから、七ヵ月の一年に対する割合が五八%になります。そこで五八%対にして五六%というので、若干はおくれておりますが、大体予定見込み戸数ぐらいは建てられておる、こういうふうに考えております。
  75. 田中武夫

    田中(武)分科員 昨年の四十二万戸政策が出されたときにも、われわれは、政府施策を小さくして、民間の自力建設に重点を置かれておる、しかも民間自分の力で建て得る者はいわゆる持てる階級の者でありまして、持てる階級の人たちが建てる家というものを、政府住宅建設の重点に置かれるということはどうか、こういう批判をしておるわけです。本年度はまた四十三万戸とか言われておりますが、その中においても政府施策によるものより民間自力建設の方に重点を置いておられるようですけれども政府住宅対策の重点はやはりそういうようなところに置いて今後も進まれる予定なんですか、大臣に伺います。
  76. 馬場元治

    馬場国務大臣 建設計画につきましては、現在二百七十二万戸の住宅不足である、かように推定をいたしておりまして、この住宅難の解消を十年間をもって完了いたしたい、かように考えております。その基本的な考え方からいたしまして、三十年度四十二万戸、三十一年度は約四十三万戸、かような計画になっております。御承知の通りにその数字の中には政府の資金によって建てます住宅以外にいわゆる自力建設というものが含まれておる、そこで自力建設なるものは民間が自力によって建設するのであって、政府計画ではないではないか、こういう御議論であると思います。しかしながらこれは別に政府が建てるという意味合いの数字ではないのでありまして、列国のどこの例を見ましても、住宅政策を立てます場合には自力の建設も含めまして、本年度はどれだけの建設が必要である、およそ政府でこれだけやるから、民間の自力による建設を合してこれだけの建設が可能である、こういうふうな計画の立て方をいたしておるのが通例でございます。そこでその例によりましてかような数字を表わしておるのでありまして、政府施策による建設は公営において何万戸、公団が何万戸、並びに公庫の関係において何万戸といったような工合に明確に数字を示してあるのでありまして、その政府施策による住宅の数と自力の建設によるものとを合算して、本年度住宅建設はおよそどのくらいに通する、こういう計画になっておるのであります。建設計画自体の中に民間の自力建設を織り込んだという見方よりは、政府施策民間の自力建設によって本年度はこれだけの住宅が建つのである、かような計画であるというふうに御理解を願えれば、よく御了解を賜わることができるかとかように考えます。
  77. 田中武夫

    田中(武)分科員 なるほど政府施策で建てるものであっても、自力で建てるものであっても、日本の国のどこかに家がそれだけの数ふえるということには変りないと思うのです。しかしながら往々にして、四十二万戸とか四十三万戸とかいう数字にやはり国定は眩惑せられると思う。だからそういう点は僕はもっと明確に国民にわかるようにしていただくのがいいのじゃないかと思うのです。  なおこの件に関連いたしまして参考までに私の調べたところを申し上げますと、終戦から三十年三月までの間に、日本に建ちました家の数は三百八十八万八千七百戸で、そのうち自力建設は七〇%、政府施策によるものは三〇%で百八万九千戸であります。そして公営のものは四十四万五千戸で、月収一万六千円から三万二千円のものを対象とする、いわゆる公営第一種、これが二十六万一千七百戸で五九%、月収一万六千円未満の者を対象とするところの公営第二種、これはわずかに三万戸で六・七%ということであります。われわれがこうして国会において住宅対策を論議するのは、自分の力で建てる実力を持つ者の建設の問題ではございません。自分の力で建てたくとも建てられない、ここに日本の大きな住宅難がある、これをどう解消するかということであります。しかも今申し上げました数字によりましても、一万六千円未満、すなわち低額所得者に対する住宅は十年間にわずか三万戸、六・七%であります。われわれが希望いたしたいのは、そのような低額所御者あるいはそれにもまして収入も持たないような失業者、これらの人が橋の下に寝たり地下鉄の入口に寝たりしている問題を、どう解消していくかという問題である。こういうような建設状態を過去の統計から見まして、今後建設大臣は、このような低額所得者あるいはそれ以下の者の住宅難解消のために、どうしようと考えておられるかお伺いいたします。
  78. 馬場元治

    馬場国務大臣 先ほども申しましたように、なるべく住宅に庶民性を持たしめて、安い住宅を多量に供給をいたそうというのが私ども考え方なのであります。従ってこの公営住宅なんかにつきましても、第二極の方になりますれば無制限に入れるわけでありますし、そういった方面に力を入れて参りたい、かように考えておるのであります。総じてこの公営住宅というものに力を入れますことが、今お話のような趣旨にも沿うかと考えますので、公営住宅をふやして参りたいのでありますが、何分にも一面におきましては地方財政状態考えなければなりません。公営住宅は申すまでもなくただ単に国庫の負担だけでは建ちませんので、地方団体の負担もまた相当の額に上ることは、これはもう御承知の通りであります。現在の地方財政状態から申しまして、公営住宅をうんとふやすということがなかなか困難な状態にあることも、これまた釈迦に説法であろうと存じます。いずれにいたしましても低い家賃の家をたくさん作るということは特に考えなければならぬ問題であると存じます。現に昨年の議会あたりでは、家賃は少々高くても質のいいものを作ればよかろう、こういう議論が圧倒的に行われたやに承わっております。従いましてそれらの御意見も尊重しなければならない。しかるに一面におきましては家賃の安いものをなるべくたくさんほしい、質は多少落ちても、小さいものでもかまわないから数をたくさん作ってもらいたいという希望も非常に強いのであります。そこで一面議会の要望を尊重しながら、他面ただいま申し上げましたような、質は少々落ちても家賃を安くして数多くほしいという御希望もありまするので、この相対立した、しかもともに熾烈な要求を双方ともある程度入れて参りたい、かような考えからいたしまして六坪の住宅を、昨年は四千幾らでありましたのを、ことしは多少減らしまして千六百六十戸ということにいたしておるのであります。いろいろ苦心をいたしながら低家賃の住宅をなるべく多く作って参りたい、かように考えておる次第でございます。
  79. 田中武夫

    田中(武)分科員 ただいま大臣公営住宅に重点を置かなければならないと考える。こういうことを言われた。私はそうしていただきたいと思います。ところが今年度計画を見ましたら、昨年の五万戸が四万八千戸になって二千戸減っているわけです。これには地方の財源の問題もある、大臣はこうおっしゃるわけです。だから私先ほど公営住宅のことでお伺いしたときに、起債の問題と補助金のワクをふやすということについて御所見を承わったわけです。大臣そんなに考えておられるなら、なるほど予算上いろいろな問題もあろうとは思うのですが、もっと公営住宅補助率といいますか、これを上げるように努力を願いたいと思います。
  80. 馬場元治

    馬場国務大臣 お説の通りに、地方の負担を軽減いたしまするために国家の負担をふやすということになりますれば、勢い限られた予算におきましては戸数を減らしていくということに相なりますので、そこが非常にいわば矛盾した要求になるように考えられるのであります。公営住宅をふやしたいという気持はたびたび申し上げた通りでありますが、昨年五万戸であったのがことしは多少減ったということはいかにも遺憾なことでありまするけれども、ただいま申し上げまする通りに、地方財政の実情からいたしましてこの程度が一番適当であろう、かように考えましてかような予算を提出いたしておるのであります。国家の負担をもっとふやしたらどうかという御意見しごくごもっともでありますが、国家の負担を増すということになりますれば、勢い数を減らしていかなければならぬということになるかと考えまするので、それらの点につきましてはなお十分に検討をいたして参らねばならぬと考えております。
  81. 田中武夫

    田中(武)分科員 国家の補助のワクをふやすということについては、ぜひ一つ考慮していただくようにお願いいたします。  それから先ほど大臣は国会においても二つの意見が出た、こういうようなことでありましたが、私は家賃月額四千五百円も出さなければならぬような高級アパートよりか、やはりもっと低額所得者のための住宅難緩和の方へ重点的な施策をしていただく方がいいのではないか、このように考えますので、御考慮をお願いいたします。
  82. 馬場元治

    馬場国務大臣 議会におきましてはほとんど圧倒的にチャチなものはよして、少し質のいいものを作れ、こういう御意見であったように私承わっております。ところが住宅に困っておる人たちに直接接してみますと、今の御意見のような意見がしばしば聞かれまするので、その意見も尊重しなければならぬと考えまして、実は先ほど申し上げたような措置をとった次第でございます。
  83. 田中武夫

    田中(武)分科員 一ヵ月の家賃四千五百円、こういうのを払える所得者というものはそう多くないと思います。そこで家賃のことについて一つお伺いしたいのですが、東京都では都営住宅の家賃を四月から上げる、こういうようなことをいわれておりまするが、こういうことと関連いたしまして、約一割くらい家賃が上るんじゃないか、こういうふうに一般にいわれておるのです。これは住宅局長にお尋ねするのがいいかと思いまするが、本年度の家賃の傾向についてはどのようにお考えになっておりますか。と申しますのは、何か地方税法の改正によって固定資産税が転嫁せられるので、それが家賃の中に織り込まれるのじゃないか、こういうような論議を聞いておるのですが、そういうこともあわせて、本年度の家賃はどうなるか、それに対して住宅局としては、家賃政策といいますか、家賃が上らないような措置としてはどういうことを考えておられますか。
  84. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 住宅問題のうちで家賃の大事なことは、これはお話通りであろうと思います。家賃を無視して住宅問題を論議することはできないと思います。そこで私どもは当然家賃問題を非常に重視しまして、ほかの税制その他の場合でも、かなり関心を持ってそういう点を考えておるわけでございますが、まだ本国会にははっきりした法案の提出にはなっておりませんが、一応研究せられておりまする問題としまして、国等の固定資産があります所在市町村にその分の交付金をやる、こういう法案が準備せられておるように聞いております。その中で公営住宅も当然そういう問題が入って参りますので、国並びに地方公共団体の所有の固定資産に該当する交付金でございますから、当然入って参りますので、いろいろな案が審議せられましたが、最終的には、大体におきまして今その評価を公営住宅のようなものについては軽減しよう、こういうことになりまして、今の案としましては、大体第一種公営住宅については普通の評価の五分の二、それから第二種につきましては五分の一というふうに、非常に軽減した評価になる、こういうふうな措置をとっておるように聞いております。ただ今までは実は公営住宅には固定資産税はゼロだったわけでございますから、その面から見ますと、確かに評価が五分の二になろうが、五分の一になろうが、若干ふえる、こういうことになるわけでございますが、一面地方財政も非常に苦しい。それから普通の一般国民は、自分の家を持っている人は、みなそれでその評価額に相当するだけの固定資産税を払っておる。そういう点から考えまして、若干これにおつき合いするのもやむを得ないのではないかというような考え方で、非常に軽減した額でありますし、そういうようなことから、五分の一、五分の二の評価によって、多少その固定資産に相当するものを出していただくというのは、やむを得ないのではないかという感じを持っておるわけでございます。これによって上ります額は、これは古い家から新しい家、いろいろありますので、平均的にはどのくらいになりますかわかりませんが、一番安いので一ヵ月五十円にならないと思います。それから一番高いので三百円程度かと思います。その間に新しい家、古い家、あるいは木造の家、鉄筋コンクリートの家、いろいろございますので、その評価が違って参りますから、固定資産税が月何ぼくらいになるかということは、はっきりここで申し上げられませんが、大体それくらいの見当のものになりはしないかと思うのです。平均しまして百円程度の額になりはしないか、こんなふうに考えられます。一文も上げないのが一番けっこうでございますが、税の均衡といいますか、その秘皮はやむを得ないのじゃないかというような考え方でございます。
  85. 田中武夫

    田中(武)分科員 まだまだお伺いもし、希望も申し上げたい点があるのでありますが、時間の関係もございますので、ただ家賃につきましては、公営住宅の家賃が若干でも上ると、必ず一般の家賃水準というものが上るんじゃないか、こういうようにも考えられまするし、もうすでに巷間では、一割くらい上るだろうというようなうわさも出ているようなわけでございますので、十分な対策と配慮をお願いいたしまして、また後の機会に譲りたいと思います。  次に道路のことについて若干の質問をしたいと思います。実はきょうの新聞なんですが、「カチ合う自動車道路建設案」こういうような見出しで出ておるのです。が、日本国有自動車道公社法案は、御承知のように二十二国会で衆議院を通過して、参議院で審議未了になったのですが、これと今度は別に日本道路公団というのができるような動きがあって、それの路線がかち合っており、また公団と公社が何だか争いをしているというような印衆の記事が出ておるのですが、そういうようなことについて道路局としては何か聞いておられるのか、またそういう事実があるならば、どういうふうに考えておられるのか、承わりたいと思います。
  86. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 道路公団法につきましては、ただいま国会で審議されておるところでございます。この道路公団のやります道路というのは、道路法にいう道路を有料道路として実施するわけであります。これに対しまして、国土開発縦貫自動車道建設法案というのが前の国会で衆議院を通りまして、ただいま参議院の継続審議中と聞いておるのでございますが、その法案によります自動車道というのは、道路運送法にいう自動車道でございまして、これは道路を作り、自動車を通して、それから料金で事業を経営していこうという趣旨のものでございます。道路公団のやります有料道路と違いますところは、道路公団の有料道路は、償還ができたらこれを無料公開にするということでありまして、この点が自動車道とは違うわけであります。そういった法案が今参議院で継続審議になっておりますが、この法案だけでは国有自動車道公社というものができることにはならないわけでございまして、最近この国有自動車道公社というものが提案されるやに聞いておりますけれども、まだ内容については承知いたしておりません。もしそれができたということになりますと、公社は縦貫自動里道をやることになるのであろうと考えますが、この自動車道法案によります路線と、それからこれは道路公団で直ちに実施することには考えておらないのでございますが、その自動車道法案にいわれるような路線を、建設省におきましては、東京、神戸間の高速自動車道ということで、これを数年来調査いたしておりますけれども、その路線と重なる部分があるわけでありますが、それがきょうの新聞に出ていることと思います。これはその道路がどういう性格のものになるかで、実施するところがかわってくるわけでございますが、道路公団といたしましても、将来高速自動車道というものは実施いたなければならぬ道路交通の情勢であると考えておるわけであります。ただ、道路公団実施いたします場合は、それが道路法の道路であり、有料道路になるということが一つの条件であります。そういたしますと、これは償還可能の地点を選ぶことになりますし、償還が済んだら無料公開にする。ドイツのライヒス・オートバーンのようなことに考えておるわけであります。
  87. 田中武夫

    田中(武)分科員 まだ聞きたいのですが、時間がございませんので、この問題はまた具体的に問題が起きたときにお聞きいたします。  次に小さな問題なんですが、これは堀川次官がおられたら、一番実情を知っておられるし、先日堀川さんは何か視察をせられたと聞いておるので、お伺いしたいと思ったのですが、中座されましたので、道路局長でけっこうです。実は、国道の改修というのですか、直しておるのですが、それをわれわれが見ていると遅々として進まないように思うのですが、それは予定通り進んでおるわけなんですか。
  88. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 国道の改修は直轄で行う場合と県の事業補助して行う場合と二つございます。三十年度事業につきましては、直轄補助もほぼ予定通り進捗いたしておりますが、あるいはどこかの路線で進みの悪いものがあるかもしれませんが、それは具体的にお教え願えばお答え申しあげたいと思います。
  89. 田中武夫

    田中(武)分科員 それでは具体的に申し上げます。直轄事業でございますが、兵庫県の明石から姫路の間の国道修理ですが、われわれは、あれは三ヵ年計画で直すのだということを聞いておったのです。ところが、もう三年になるのですが、まだその半分も慮っていないように思う。あれは、お通りになったらわかると思うのですが、陸の玄海灘と言われて、とてもひどいところです。あれの今後の工事の見通しといいますか、こんなものについてどういうふうに考えておられるか、またどういう計画を持っておられるか、お伺いいたします。
  90. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 お話の明石・姫路間の国道につきましては、先年来補修を進めておりますが、お話のように進み方が悪いので、大へん申しわけないと思いますが、これは、一つには県の財政関係もございまして、こちらの思うようにいかなかった点がございます。しかし、ああいうような状態で放置しておけませんので、これはすみやかに補修を完成いたしたいと考えておりますが、本年度におきましては、少くとも二車線の幅だけでも明石・姫路間は完成いたしたい考えでおります。
  91. 田中武夫

    田中(武)分科員 それに関連をして、なお小さくなって恐縮ですが、道路を舗装する場合に、片面通行にして、片面を直していく、こういうやり方でやっておる。そこで、その路面に面した商店その他がその開店を休まなければならぬという状態が起きておる。そのために、他に店舗を借りて営業を三月なり半年やるとか、そのほかトラックがたくさん通るためによごされるとか、いろいろな問題があるわけですが、そういう損害に対しての補償の方法は考えておられるのでしょうか。
  92. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 具体的に損害が計算される場合におきましては、補償する道を開いております。
  93. 田中武夫

    田中(武)分科員 今申しましたように、その間半年なり店を休まなければならない、あるいは他に店舗を借りて営業を続けるという事実があるのですが、そういう問題をどうお考えですか。
  94. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 ただいまお話しの姫路、明石間は補修でございまして、新たな舗装をやるのではなくて、従来のこわれた舗装をとって、また新しい舗装にかえるという仕事をやっておるわけであります。その場合に、今おっしゃるような問題が起きておるのでございますから、これも普通の改良——改良の場合にはもちろんそういう補償の方法はありますし、それと同じようなものでございますから、補償の道があるものと考えております。
  95. 田中武夫

    田中(武)分科員 明石・姫路間の国道の改修の問題に関連して、加古川の橋ですが、これが。予算を見ますと、橋梁整備費として十四億五千六百万円を掲げてございますが、これはそういうふうなものにもとっておるわけですか。
  96. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 むろんこれは国道の補助の費用でございますが、あれは国道でございますので、この中には入っておるわけでございます。ただ、具体的に加古川を来年度入れるかどうかというその個所まではきまってはおりません。
  97. 田中武夫

    田中(武)分科員 地元のことになって恐縮ですが、加古川の橋が大へん危ない状態にあることは御承知の通りであります。ぜひ一つ考えていただきたいと思います。
  98. 河野金昇

    河野主査 午前中はこれまでにとどめ、午後は二時から再開することにしまして、休憩をいたします。    午後零時五十七分休憩      —————・—————    午後二時十六分開議
  99. 河野金昇

    河野主査 それでは再開いたします。  お諮りいたします。昭和三十一年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算運輸省所管については去る二十日一応終了しておりましたが、新たに質疑の申し出がありますので、これを議題にいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 河野金昇

    河野主査 御異議なしと認めます。よって、運輸省所管質疑を許します。赤城宗徳君。
  101. 赤城宗徳

    ○赤城分科員 簡単に運輸大臣にお尋ねしたいのですが、国鉄の電化設備の問題です。予算書を見ますと、幹線の電化設備費、交流電化設備費などの諸設備費が九十億とあがっておりますが、その内容を内訳表によって見ますと、浜松・姫路間が三十一億、米原・敦賀間が四億、上野・仙台間が六億、あとは車両三十七億四千二百万円、その他二億、こういうことになっておりますが、実は常磐線の電化問題も、大臣あるいは国鉄当局がかねがね御承知の通り、急いで予算化してほしいという希望を強く持っていたわけであります。これについては、御承知の通り柿岡の地磁気観測所がありまして、電化をするについては非常に支障を来たし、柿岡の観測所を移すか移さないかという問題で数年来懸案になっていたのですが、最近におきましては、それは移さぬでもよい、そのかわり直流方式でなく交流方式でやるならば常磐線の電化も柿岡の地磁気観測所を移すということなしにやれるという結論に達したように聞いておるのであります。新聞等にも常磐線の電化という問題が大きく取り上げられておりましたし、私的にも大臣などから今年はそれにかかるのだという話も聞いておったのでありますが、予算面を見ますと、東北線の上野・仙台間の分は六億の予算が載っておりますが、常磐線関係については載っておりません。これにつきましてはどういうような事情であるか、電化その他について大臣から御答弁を願います。
  102. 吉野信次

    ○吉野国務大臣 ただいまの常磐線の電化につきましては、東北本線と同じような重要さを持つものでありますから、できれば同時にこれをやりたいというつもりでおったのであります。ただいま御指摘になりました通り、地磁気の観測所の問題がございまして、どうしてもあれをあのままにしておってはなかなか障害がありまして電化がむずかしいというので、数年前壁に突き当ったような格好になったわけであります。そこで、技術的に何か方法がないかといって、多分二年かもっと前だろうと思いますが、いろいろ技術者が集まりまして研究をしておりました。これと同時に、一方仙山線で交流の電化を実施しておりますものですから、そこらで交流の通信に及ぼす障害などについての研究もいろいろやっておりまして、つい最近、柿岡のあの地磁気観測所は交流をもってやればどうやらやれるんじゃないかという非常に明るい見通しがつきました。しかし、なお精密な科学的の調査の方から言えば若干調査が残っておりますが、それと同時に、大体常磐線というものは実質的には青森までで、東京からの交通から申せば幹線に近いような重要な線でございますから、われわれとしても一日も早く電化したいということで、かたがたそういった技術的の調査もございますが、かりにまずその問題が解決した場合に、実際工事をやるために必要な調査をもあわせてやるつもりでおるのでございます。ただ、予算面では、片一方の東北本線や何かの方は現実には工事費の方から出すのですけれども、御承知のように国鉄の予算は損益勘定、工事費勘定、資本勘定の三つになっておりまして、工事費の方に今御指摘のあったものが計上されておりますが、今中しますものは工事費じゃないのでございますし、工事の前提としての調査でございますから、それで損益勘定の方から出すことになっております。一般会計の方ですと、私もよく存じませんが、多分調査費という項目が考課表にはっきりしていると思います。国鉄の方は、予算の組み方が従来それほど細密になっておりません。要するに、ある損益勘定というものの金額のうちからそれだけの若干の経費を計上する、また金額の方はこれからきめるわけですけれども、そういうわけで、なるべく早く常磐線をやりたい、こういう意味においての調査費でございますから、それに必要なる経費だけは三十一等度に損益勘定の方の費用にこれから盛るという方針でございます。
  103. 赤城宗徳

    ○赤城分科員 そうすると、ことしは工事費の方には入れない、しかし工事にかかる前提として調査費を置いて早急にかかりたい、こういうことと拝承しますが、その調査というものは、大体地磁気観測に支障がないということは結論に達したのでしょうから、電化するための調査ということになりますと、今後どういう面の調査を取り上げられるものか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  104. 吉野信次

    ○吉野国務大臣 地磁気の方も、さっきも申し上げました通り、学問的に言えば八、九分通りはできましたけれども、まだ若干研究しなければならぬ点もございます。それから、あとの方の工事のことはよく存じませんので、具体的に必要があれば国鉄部長の方から申し上げますが、たとえばトンネルなども、電化する場合にはこのままではできないから、トンネルはどういうふうにやるか、橋はどういうふうにするかという、工事を施行する前提としての調査をも含めて今度の調査はやるつもりであります。
  105. 赤城宗徳

    ○赤城分科員 損益勘定などの調査費の額ははっきりきまっておらぬということですが、大体の予定はありますか。ありましたらお聞かせ願いたい。
  106. 吉野信次

    ○吉野国務大臣 そこ京での具体的の数字についてはまだ打ち合せておりません。しかし、ともかくやる前提としてですから、差しつかえないだけの費用は組みますからということを申し上げておいても差しつかえないと思います。
  107. 赤城宗徳

    ○赤城分科員 この調査は大体期間にしてどれくらいかかる予定でございますか。
  108. 細田吉蔵

    ○細田説明員 私、運輸省の国有鉄通部長の細田でございます。かわりましてお答え申し上げます。  ただいま大臣からお答え申し上げた通りでございまして、調査の内容につきましては、私、技術の者ではございませんが、大体こういうことになるのじゃなかろうかと考えております。まず第一は、ただいま大臣からお話のございましたように、交流でやれば大体よさそうだということでありますが、これを最終的に確認いたしたいということが一つ。御承知のように、現在は取手まで千五百ボルトの直流電化ですでに電化を完了いたしておるわけでございまして、これと、交流を柿岡の先についてやりました場合に、交流、直流をどうやってやっていくかということ、これは技術的にも専門的な問題になるわけでありますが、こちらを直流のままで、交直相互に乗り入れをすることができるかという問題、また、そうする方がいいのか、あるいは、向うの柿岡の近くになって直流がいかぬということであれば全部直流というわけに参りませんから、こちらも交流に直すことがいいかどうかということ、こういうことも研究を要するわけであります。そのほかに、交流電化をいたしますと、地磁気観測所の影響とは別に通信線に対する障害という問題が交流電化の方では非常に大きな問題になって参ります。この通信線の状況が具体的にどういう形になってくるかということですが、実は仙山線におきましては、通信線の障害に対する実験はいろいろやっているわけでありますが、常磐線では通信線が具体的にどの程度の距離のところにどうあるかということもさらに調査を要するのでございます。そのほかにもいろいろ技術的の問題はございますが、それと電化一般に関する問題、たとえばどういうところに電気機関車を置くというような問題もあろうかと思います。  それで、どれくらいかかったらできるかということでございますが、突け仙山線における交流電化の成績自体が、ただいまでの実験では非常に明るい見通しでございまして、車両も突けフランスから輸入するというようなことを言っておりましたのですが、これも日本でできまして、ただいまのところでは非常に成績はよろしいわけでございます。この仙山線の交流電化の実験がどういうふうな形になるかという進行状況とにらみ合せないと、常盤の問題は解決できないわけでございまして、交流が一方で完成いたしておりますならば、これを常盤線にアプライしてどうなるかということは見通しが立つと思うのでございます。一方で仙山線で交流をやっておりますが、これは完成というわけにいかない、非常に明るい見通しでほぼ大丈夫じゃないかという程度のことでございまして、これとの関連におきまして何か制約を受けるということでございますので、一年で済むとかあるいは幾らで済むということは今直ちに申し上げられません。しかし、いずれにいたしましても、われわれといたしましても、国有鉄道といたしましても、先ほど大臣が申しましたように、常盤線の電化をなるべく早く実施したいという気持においては変りがございませんので、仙山線の試験とこちらのいろいろのローカリティに基く問題と並行してなるべく早く調査段階を終りたい、かように考えておるわけでございまして、技術的に非常に不手ぎわな問題がございますので、どれくらいの期間があったらどうということは今直ちにはちょっと申し上げかねるのでございます。  なお、それらの見通しを立てる問題につきましても、今後さらに技術の方とも十分話し合いまして、なるべく短かくするようなことでやって参りたい、かように考えております。
  109. 赤城宗徳

    ○赤城分科員 技術的にいろいろ問題があると思いますが、とにかく東北線と常盤線は同時にやっていただきたい。やるについては、両方とも少し延ばしておくというような事情等もあったのでありますから、東北線の方がことし電化になるということは私は喜んでおります。喜んでおりますが、同時に常盤線の方も、これは私から詳しく申し述べる必要もないことでありますが、できるだけ早く、少くとも三十二年度にはかかれるように進めていっていただきたいという希望を申し述べて、私の質問を終ります。
  110. 河野金昇

    河野主査 竹山君。
  111. 竹山祐太郎

    ○竹山分科員 ごく小さい問題ですが、ちょうど両大臣がおいでになったから、一つだけ。それは、道路と鉄道の立体交差の場合に、大臣はあるいはこまかい問題で御承知ないかもしれませんけれども、私、地方でときどき当面するのは、運輸省建設省との間に一貫した基準がないために、いろいろ理論的にむずかしくなって、結局地元の諸君が仕事が進まないために非常に迷惑しているという事実があるわけです。これは私もできるだけ事務的に解決するように進めて参ったのでありますが、まだ実は解決していない。来年度予算でちょうどいい切りでありますから、どうか両大臣お話を願って、この問題が簡単に一定の率で立体交差の予算が両方で協力していきますように希望を申すわけでありますが、どうかよろしくお願いいたします。
  112. 馬場元治

    馬場国務大臣 御意見、まことに、従来しばしば悩んだ問題でございます。お説のような状況でありますので、ただいま運輸省との間に協議を進めまして、すみやかに御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。近く話し合いがつくと考えます。
  113. 吉野信次

    ○吉野国務大臣 私も同様に考えておりまして、なるべく早く御趣旨に沿うようにやりたいと思います。
  114. 河野金昇

    河野主査 運輸省の方はこれで終りました。     —————————————
  115. 河野金昇

    河野主査 建設省関係に戻りまして、小松君。
  116. 小松幹

    ○小松分科員 大臣にお尋ねしますが、きょうは大臣お忙しくて時間がないそうでありますから、簡単に質問いたします。  昨年は高速度自動車道路調査費というのを組んでいるのですが、本年は組んでいないのですが、調査がもう完了したという意味ですか。
  117. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 昨年は行政部費の中に高速度自動車調査費というものを組みました。本年度はそれはございません。事業費の中に調査費というのがございますが、この中で高速自動車の残りの調査実施いたしたい考えであります。
  118. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、道路公団を作るわけなんですが、これは大臣にお尋ねした方がいいのであろうと思うのでありますが、先般、二十二国会ですか二十一国会ですか、高速度自動車道路の議員提案が衆議院を通過しましたが、その具体化です。まだ参議院にかかって法案としては完璧に成立したわけではありませんけれども建設省としてはどういう形でこれをこなしていこうとお考えになっておるか、それとこのできる道路公団なるものとの関係をどういうように考えておるか。
  119. 馬場元治

    馬場国務大臣 今度提案をいたしました道路公団法は、御承知のように、従来特別会計でやっておりました有料道路、これを引き続き維持経営をいたしますと同時に、将来にわたりまして有料道路を建設いたしたい、かように考えて立案をいたしたのであります。現在参議院に継続審議に相なっておりますのは、これはいわゆる自動車道法によりまする自動車道でありまして、自動車専用の道路になります。現在道路公団法等で考えておりますものは、ひとり自動車ばかりを考えておるわけではないのであります。いわゆる自動車道と普通の道路法による道路との差があります。この問題に対しましては、大体、有料道路を作りますに当っては、道路公団の場合は、御承知の通りに有料の道路を設定をいたして、これを有料として償還せしめ、償還したあとは無料公開の原則に立ち返る、こういう立場で進めるつもりであります。例の参議院に継続審議に相なっておりまする現在の法案、これは結論がどういうことに相なりまするか、まだ審議中でありまするので何とも申し上げかねます。法案がいずれかに決定いたした上で、とくと両者の関係その他については考慮を払いたいと考えております。
  120. 小松幹

    ○小松分科員 それでは、建設省考えておる道路公団で作る道路は、道路法に基いた一級あるいは二級のうちに入る道路で、普通道路としての考え方、そうして有料の点においては特別立法に沿う趣旨の道路を作っていきたい、そういうお考えなのでございますか。
  121. 馬場元治

    馬場国務大臣 お説の通り、一級道路二級道路、これをやる場合もございます。あるいは主要府県道をやる場合もあるかと思います。とにかく道路法上の道路でありまして、ただ、これを建設いたしました暁において、そこを通過いたしまする自動車その他の車両から料金を徴収いたしまして、これでもって償還をする。償還の暁には無料に返る、こういう建前で経営をいたすつもりであります。
  122. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、おおむねこの資本関係の導入から考えて有料になる可能性が多いと私は思っておる。ほとんどが有料であろうと思うが、有料でない道路ができる可能性があるのかないのか。
  123. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 日本道路公団のやります道路はすべて有料であります。で、その有料道路の定義でございますが、その道路は道路法にいう道路であって、法律にきめる条件にかなった有料道路にするわけでございます。
  124. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、そういう有料で考えた道路の輸送量と、一つはスピードの問題、これをどういう形で考えておるのか。ただ単に有料で道路を作ればいいという理想を持っておるのか、ある区間におけるところのスピード・アップなりあるいは輸送量の拡大ということを考えておるのか、その目的はどこに置いているのか。その道路公団をして作らせる道路の有料であることはわかったが、その目的です。主たる目的をどこに置くのか。
  125. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 現在までは特定道路整備の特別会計で実施しておったわけであります。それを今度は公団実施いたすことになりますが、取り上げる有料道路は従来のものがほとんど入ってくるわけであります。そういったものをこれからも取り上げていきたいと考えております。もう一つの問題は高速道路の問題があろうと思います。それは、従来建設省で東京・神戸間に高速道路の計画を持っておるわけでありますが、これが道路に設定され、それが有料道路の条件にかなえば、これは有料道路として取り上げて公団実施するということになるわけであります。ただ、今参議院で継続審議になっております自動車道建設法案でありますが、この自動車道というのは道路運送法にいう自動車道であります。自動車のもっぱら通る道路をこしらえまして、これから料金を取って経営していくということでございますから、これはその道路によって事業を営もうということで、永久に料金を取る道路になる。また、今自動車道を実施する公社というようなことも考えられておるのでありますが、この公社は、その道路を作って特定の自動車によって運送事業もやろうという考えのように聞いておりますけれども、これはまだ法案を見ておるわけでございませんので、はっきりは申し上げられませんが、自動車道と有料道路との間にはそのような差があります。
  126. 小松幹

    ○小松分科員 差のあることは私も承知しているのですけれども、いわゆる民間資本を導入し、特に先般、ここに竹山元大臣もおられるが、竹山大臣のころ、外資を導入して名古屋神戸間の、いわゆる高速道路という名をその当時つけてあったと思いますが、そういう資本を導入してやるという道路には、スピード・アップをおおむね目的としてやるのか、あるいは輸送量というものをはかすためにやるのか、そこにはっきりした目標を持たなければ、単に有料道路で、ある年限償還すればそれでいいんだ、あとは開放するのだというような簡単なことでは、私は外資は入ってこないと思う。そういう安受け合いな、簡単な、子供をだますようなことではだめです。しっかりした、ちゃんとしたそろばん勘定を合わした採算がなければならぬと思う。その場合に、いわゆるスピード・アップなり輸送量なりというものを那辺に置いて計画を立てようとしているのか、そこのところを伺いたい。
  127. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 お話のように、高速道路は、これは一つはスピード・アップであります。スピード・アップすれば、従って輸送能率も増すわけでございますが、東海道に沿う高速道路を考えました場合は、現在の東海道の輸送状況並びに将来の輸送状況の増加を推定いたしますと、とうてい今の東海道を単に広げるというようなことでは解決できない。と申しますのは、今の東海道はいろいろの違ったスピードの車が一緒に走っておるということがありますので、これが輸送効率を落しておるわけでございます。こういうことを解決するためには、別に道路を設けまして、この道路には速度によって車線をきめてやるというような方法にし、また他のすべての道路、鉄道と立体交差しまして、クロスのない道路を作るということでスピード・アップし、それに伴って輸送量も増していこう、こういう考え方であったわけであります。
  128. 小松幹

    ○小松分科員 それでは、参議院にかかっているものが、今度また高速自動車公社という形でおそらく平行線になるのじゃないかと思うのです。少くとも、距離をとってみても、名古屋・神戸間なり、あるいは東京・大阪間なりというものは、建設省が道路公団考えておるところのいわゆる有料道路と、他のいわゆる高速自動車公社あるいは先般通過したあの趣旨からする同じ路線とは平行線をとっておると思う。この点についてはどういうお考えなんですか。東海道と中央線とはあなた方建設省案とは少しずれております。しかし、名古屋・神戸間というものは重なっておる面があると思う。この点についてどういうお考えを持っておるか。
  129. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 お話のように、名古屋と神戸の間は、自動車道法案にいう路線と、それからわれわれの計画しておる路線と重なっております。でありますから、この路線は、われわれの考えでいきますと、これを道路にし、有料道路にして実施できると考えておるわけでございますが、そうなりますと、実態においては、自動車道法案が通りまして、それを実施する公社ができて、その公社がその線をやるということになりますと、これは同じものを異なったものがやるということになってくるわけであります。しかし、同じ道路を作るのでありますから、道路公団が有料道路にしてあの区間を実施するということでその問題は片づくのではなかろうかというふうに考えております。
  130. 小松幹

    ○小松分科員 それで、両方できて、両方競合して、うまくスピード・アップでき、輸送能力が発揮できれば、これまた仕合せだと思っておるのです。しかし、日本の経済力から考えた場合に、二本は不可能だろうと思う。そのときにどちらをお考えになるかということを聞きたいのです。建設大臣あるいは先ほど見えました運輸大臣は、先般の予算委員会において、いわゆる高遠自動車道の中央道路案というものに一応御賛成になっておる。今のあなたたちのお考えから言えば、そこのところがはっきりしないのです。道路局長の意見を伺えば、道路公団でやるところの有料道路に力が入り、それでいけばいいのだというお考えのように聞える。どちらをおとりになるか、どちらでもいいとお考えになっておるのかどうか。道路公団なるものは一応はっきりしたと思うのです。いわゆる道路法に基く道路を作ると考えておる。しかし、だんだん平行線ができていく、重なる線が出てくると、ぼやけてくる。その辺のところはどういうふうにお考えか。
  131. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 先ほど申し上げましたのは名古屋と大阪、神戸間について申し上げたわけでございますが、この間につきましては路線が重なりますので、それは有料道路がいいか自動車道がいいかということになってくるわけでございます。有料道路と自動車道に差のあることは御承知の通りでございますが、そういうことから、どちらをとるべきかをきめるべきではないかと考えますが、私の考えでは、道路にし、有料道路にして高速道路を設定した方がよかろうと考えております。
  132. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、二者択一で、どちらかとらなければならぬというときに、さっき尋ねた通り、どちらかとるんだといって選ぶ場合において、あなたは今理由をはっきりしなかった。結局、有料道路にしてもいいと思う、こういうお答えをしておられるのです。いいと思うというその主観的な問題ではなくして、なぜいいのか、あなたが考えておられるところの道路公団で作る有料道路の方がなぜいいのか、そのなぜをお伺いしたい。
  133. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 有料道路の方は、建設費を償還すれば無料公開されるわけでございます。自動車道の方は、それをもって事業といたすわけでございますから、永久に有料であろうと考えます。ということになりますと、道路は無料公開であるべしという原則を持っておるわけでありますから、建設費が足らないためにやむを得ず有料の道路をこしらえますが、これを償還したら無料の道路にするという建前の方がいいと私は考えます。
  134. 小松幹

    ○小松分科員 抽象論的に、何年かたって無料公開をする、こういう形を想像しておられるが、そこで、いわゆる道路の目的が那辺にあるかということになるわけです。スピード・アップをやって、ノン・ストップで、いわゆる立体交差でいくという形になれば、ほとんど高速自動車で専用化さなければスピード・アップはできないと思う。輸送能力を上げることはできないと思う。普通の道路だったらそういう形の運送というものは私はできないと思う。そこで、高速自動車道の目的はもうはっきりしているわけです。ちょうど国鉄路線が普通の列車を通す以外には何人もいかなる場合にも通行ができないように、そういう場合にそれ一本でスピード・アップが考えていかれるわけです。ところが、あなたのおっしゃるようないわゆるフリーな道路をお考えになっておれば、それができないでしょう。そうなったときには普通の道路になる。そうなればスピード、アップとか輸送量とかいう問題はどう考えるか。将来においてどちらが輸送量なりスピード・アップができる可能性が多いかということをお考えになれば、私は、高速自動車の専用道路の方がその力なりスピードなりというものが大きくなるのじゃないか、そういうことを考える。その点について、あなたの言われる目的と高速自動車道が描いておるところの目的とは少しずれておるのじゃないかと考えるのです。だから、あなたのいわゆる目的とされたところは、将来財政的に償還できれば自由な道路になるということで、道路は天下公開のものだから、だれが通っても、何が通っても、どういう速さで通ろうが、スピード八十キロで飛ばそうが四十キロで飛ばそうが、それほどの制限なしというフリーな自動車道路あるいは道路を考えておるとすれば、高速度自動車道の目的において違いが出ておるわけです。この点はどうお考えになりますか。
  135. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 償還したら無料にはいたしますけれども、道路の通り方は変えないつもりでおります。高速道路として作ったものでありますので、無料になりましても同じような交通を許すということになるように考えております。
  136. 小松幹

    ○小松分科員 それは、あなたがさっき言った、道路のいわゆる公開性というものとちょっとずれるのじゃないですか。有料道路で、それは有料道路という特別立法をいたしましたから、料金においては有料でありましょうけれども、これは料金さえ払えば何人がどの速さで通ろうが、あなたの言う公開の原理によれば、道路法を根本的に改める以外には私はそれを制限することができない、こう思うのです。その点はどうなのですか。
  137. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 この高速道路は従来の道路と多少観念が変っております。それで、道路の今後の趨勢からいきまして、当然こういった高速道路が設定されなければならぬと考えるわけでございますが、お話のように、そうすれば今の道路法ではいかぬじゃないかということもあるわけでございます。ただいまの道路公団では直接にはこの高速道路をやるようになっておりませんが、将来やるようにするためには道路法の所要の改正が必要となります。
  138. 小松幹

    ○小松分科員 今の道路法によれば、一級、二級のああいう国道と、有料道路という料金だけを設定した道路です。高速道路という名前は道路法ではないように思っております。だから、高速道路というような道路名目を作るかどうかして、道路法を別個な角度から改正することを前提にしておるのですね、この道路公団なるものの発足は。
  139. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 道路公団は直接に高速道路を目的としておりません。ただ有料道路をやるということになっておるわけでございます。ただ、将来高速道路のようなものをやらなければならなくなるから、そのときには道路法に改正を加えて、道路公団実施し得るようにいたしたいという考えを申し上げたわけであります。
  140. 小松幹

    ○小松分科員 それでは、先ほども言いましたが、名古屋・神戸間ですか、外資導入の有料道路の建設計画はどういうように調査が進み、どこまでいって、具体的にどうなっておるのか、また本年どうするのか、それをまずお伺いしておきたい。
  141. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 名古屋神戸間につきましては、すでに一応の実測を終っております。ただ、部分的に比較線をとる必要があり、また橋梁の地質調査、またトンネルの地質調査等を実施いたさなければならぬので、本年度それを実施いたす考えであります。また、先年来話のありました外資導入の問題でございますが、近くアメリカからこの高速道路の調査団が来ることになっておるわけでございます。この調査団は日本の高速道路に対する経済的な調査を主たる目的としております。アメリカは高速道路、この有料道路に対する先輩国でありますし、また日本の計画するこのような高速道路が経済的にはどのような意味を持つか、それらの点について調査をしてもらう考えでございます。これはしかし外資導入とは直接結びつく調査ではありません。
  142. 小松幹

    ○小松分科員 私の知るところでは、外資導入も非常に危ない。これは前の建設大臣の方から詳細に受け継いであるかもしれませんけれども、私の知る限りにおいては外資導入は望みが薄いとも聞くし、その点はいかにという御質問と、さらに、建設省はある程度それに乗り気になっておる、しかし運輸省はさっぱりで、その足を引っぱっておる、これは官庁のセクショナリズム以外に、運輸省の方は乗り気になっていない、国内態勢が省によってばらばらであるから外資導入もはかばかしくない、こういうふうに承わっておりますが、その点はどうなっておりますか。
  143. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 外資導入につきましては、外資の見込みは前と変っておらぬように私は承知いたしております。  それから、この高速道路に対して運輸省が反対であるかのような御意見でございましたが、正式にはそのようなことは聞いておりません。
  144. 小松幹

    ○小松分科員 正式には聞いていない、それはまあそうでしょう。しかし、運輸省としては、少くとも外資を導入して高速道路としてまあ名目は道路法にはないでしょうが、高速自動車の専用とする道路としてやるならば、別個な角度から高速自動車道としてはっきり銘打って建設した方がいい、こういうような意見も聞いているわけです。この点、やや建設省のお考え運輸省のお考えが、私の知る限りにおいては違うのです。この点についてどうお考えになっているか。
  145. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 前に申しましたように、道路の今後のあり方というものは、高速道路というものができてこなければならぬと考えているわけなんです。この高速道路が道路網の根幹になると考えておるわけでございまして、われわれといたしましても、高速道路と申しますか、高速国道と申しますか、それをはっきり道路法に打ち出すべきであると考えております。
  146. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、私は、だんだん質問していくうちに、道路というものの観念が相当変ってきつつあるということをあなた自身も言われたが、このたびのいわゆる道路公団で作る道路というものの目的というものがはっきりしない。あなたは、口では今道路の目的というものがだんだん変ってきておるということを言われておる。しかし、最初の方では、依然として昔さながらの道路観念と道路法規をもって説明しておる。道路というものは公開のもので、自由に通れるようにしたいんだからと、こういう普通のありふれた道路観を最初には言われておる。しかし、今承わると、将来少くとも道路というもの観念を変えてこなければならぬというように今おっしゃった。この点どうなんですか。頭と今やろうとすることとずれておるような感じがするのです。その辺どうなんですか。
  147. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 別に矛盾しているとは私は考えないのでございまして、道路の幅がそれだけ広がってくるのであるというふうに考えているわけです。道路の中には、開発のために必要な道路も依然として必要でありましょうし、また高速に自動車を通すような道路も必然的に必要になって参る、こういうように考えているわけであります。
  148. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、突っ込んだところに参りますと、私の考え方とすれば、いわゆるあなたが最初に言われた普通の道路という観念の道路をお作りになる意味と、新しくいわゆる高速自動車専用道路というものを別個な形で作るという態勢に、機構的にもやり得ないかどうか、その点をお伺いします。
  149. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 御質問の意味がよくのみ込めませんのですが、別個の機構でやると申しますることは、たとえば日本道路公団のほかに自動車道公社をこしらえてやる方法がないかという意味でございましょうか。
  150. 小松幹

    ○小松分科員 そういう意味もあります。
  151. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 そういう意味であるといたしますと、自動車道につきましては、これは日本道路公団実施いたさないのでございますから、そういう機構も考え得るわけと思います。
  152. 小松幹

    ○小松分科員 そうすると、あなたは、高速自動車道路は別個に何かこしらえてやってもよろしい、私の考えている有料道路は別個だから、二本建でもけっこうだ、こういうようにお伺いしたのですが、そういうふうに聞いてもいいですか。
  153. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 先ほど申し上げましたように、日本の道路網の姿というものは、将来高速道路を含んだものにならなければならぬということは申し上げたわけでございます。そこで、今申し上げましたのは、自動車道というものを日本道路公団ではやることになっていないから、自動車道はやれないのだということを申し上げたわけでありますが、その自動車道を有料道路として実施いたすことにすれば、それならば日本道路公団で一元的にやれることになるわけであります。
  154. 小松幹

    ○小松分科員 あなたは、高速自動車道路は考えていない、こうおっしゃつたように聞いたのですが、そうですが。
  155. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 自動車道というと、今法案が審議されておりますが、あれにいう自動車道。これは道路運送法にいう自動車道でございます。そのことをさしたのでございます。
  156. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、高速自動車を抜きにして別個に高速道路というものが考えられるかどうか。自動車以外の高速なものは何があるかということは、ちょっとわからないのですが、そこはあなたどう考えておりますか。高速自動車を抜きにして、何かほかの速いものが通る道路というものがあるのですか。
  157. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 高速道路という意味は、自動車が高速で走るということでございます。
  158. 小松幹

    ○小松分科員 そうなると、私の聞き方が悪いのかもしれないけれども、いわゆる二本建で行くのか一本建でやるのか、はっきりしない。あなたの一本建でやるという考え方は、一本建でやっても高速自動車の通る道路は作り得る、こういうようにも言っているのでしょう。しかし、今の参議院で審議せられているあれは別個だから、別個で二本建でもかまわぬ、こうおっしゃつているのです。そこははっきりまだ私にはわからない。一本なら一本で、思い切って一本でやるのだとおっしゃるなら、これはわかる。だけれども、あれは別、高速自動車が通るのだから、私の所管外で別個だ、それじゃあなた何をやるのかと言ったら、高速自動車一本でやるのだということを言うから、わからなくなる。どちらを考えているのか。
  159. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 先ほど申し上げました自動車道、これは道路運送法に規定するものでございますから、これは所管外であります。それについて触れるわけには参らないわけでございます。ただ、道路網の将来のあり方としては、高速道路というものは当然含まれなければならぬから、そういうものは一元的にやりたいという希望を申し上げたわけでございます。
  160. 小松幹

    ○小松分科員 現在は道路法と道路運送法とあって、それぞれ道路の形が違っているから、将来はあなたは一本にしたいという考え方である。それならば、今は一本でなくてもいいという考え方を持っておられるか。今日の問題です。
  161. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 今日の問題としますと、二本建に同じような道路があるということは、これは道路行政の一元化から言ってまずいと考えているわけであります。で、将来そういう改正をいたしまして、道路法で高速道路も含めて実施できるようにいたしたいと考えるわけでございますが、それは、自動車道と有料道路とは、償還したら無料にするか、あるいは償還しても有料にするかの差があるわけでございますから、それらの点から申しましても、道路法に所要の改正を加えて、道路として高速の自動車が通行し得る道路を作りたいと考えております。
  162. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、あなたの道路の観念が相当披瀝されたと思う。道路法というものを改正して、ただ料金だけでなくして、道路運送法に基くものと同じ性格の道路というものをお考えになっているんだ、こういうように承わってようございますか。
  163. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 償還したら無料にするか有料にするかということでございますが、これはだいぶ性格が違うのではないかと私は考えております。
  164. 小松幹

    ○小松分科員 無料になるということと有料でおるということの違い、いわゆるだれがどういう格好で通ってもいいという道路の開放性と制限性とは関連がございませんか。
  165. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 道路は無料公開が原則であることは申し上げましたが、道路は一般交通の用に供するということの概念は変りがないわけであります。しかし、一般交通の用に供するといって、何でもかでも通っていいということではない。たとえば、歩道は車は通ってはいかぬわけでありますから、そういった交通が円滑に行くように制限をすることは、これは当然なことだと思うわけであります。
  166. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、現在参議院にかけられておるああいう趣旨の性格を持った道路は反対の御意思なんですか、あるいはやってもいいという御意思なのか、それとも吸収していこうというお考えなんですか、その辺はどうです。
  167. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 その点に関しましては、大臣と同意見でございます。
  168. 小松幹

    ○小松分科員 大臣と同意見とおっしゃると、まことに政治的答弁なんですが、どうも、今までお伺いしておると、あなたの方は認めるようでもあるし、あなたの個人的な、道路行政から来る理想を言えば、それは間違っているのだ、おれのする方が一本筋が入ってますつぐ行くのだ、こういうようにも聞えるのです。そうかと思えば、片一方は有料だから、それはそれでいい、おれの方は将来無料になるのだと言う。それでは二本建かと聞くと、そうでもなさそうです。その辺のところがはっきりしない。ですから、もう少し鮮明に、参議院にかかっている案に対して建設省は反対なのか、反対なら反対の意思表示をどういうふうに理由つけているかということをもう一回聞きたい。
  169. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 今審議されておりまする法案につきましての意見は差し控えたいと存ずるのでありますが、先般大臣の縦貫する道路としては中央道が適当であると申された、その大臣の意見の通りであります。
  170. 小松幹

    ○小松分科員 それでは、今度の道路公団で東海道線でなくて中央道をやるというように承わっていいのですか。
  171. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 中央道を道路にし、有料道路の条件にはまれば、むろん公団実施し得るわけであります。
  172. 小松幹

    ○小松分科員 はまればという仮定的なことを言っておるのですが、いわゆる高速自動車道というこの前衆議院で通過したのは、中央道路としてもう設計計画がはっきりできているのです。だから、それを認めるということになれば、あなたたちの観点というものも一本にそこにしぼられる。今あなたは、それがよいとすればということを育ったので、少し語尾がごまかしてある。その点をはっきり聞きたい。
  173. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 やはりごまかさざるを得ないわけでありまして、あの道路についてはこれから調査するということになっておるわけであります。調査を待たなければ、はっきりしたお答えはできないのであります。
  174. 小松幹

    ○小松分科員 そこで、大臣の答弁の通りだと言えば、大臣予算委員会で中央道路がいいと言っているのですが、そうなると、大臣調査も何もせぬで、やまかんでそれはいいでしょうと言ったことになりますが、どうですか。
  175. 馬場元治

    馬場国務大臣 縦貫道路を作る場合に、東海道を通るのか、あるいは中央を通るのか、こういうあの際の御質問であった。そこで、私といたしましては、東海道も整備したしい、中央もやりたい、やれるものならどこもやりたいのでありますが、二者択一、どっちを急ぐかという御質問であれば中央道をとりたい、かようにお答えしたのであります。そこで、しからば今度の道路公団で具体的に中央道路にすぐ着手するか、こういう御質問でありますが、それに対しましては、これがペイできるかどうか、その他も十分調査の上でなければ、直ちにやれるかやれないかということは、もとより御返事いたしかねます。少くとも縦貫道路の一部には着工をいたしたいと考えておるのでございますが、いわゆる中央道路に直ちに着工できるということはただいまのところ見通しがつきかねております。
  176. 小松幹

    ○小松分科員 この前衆議院を通過して今参議院に回っているあの縦貫自動車道路の路線については異議があると言うのですか。つまり、あの路線については、今はっきりしていないのは九州の一部だけです。あとはほとんどコースはきまっておる。ところが、それに対して承服ができない、調査の上でやらなければならない、こういうことをはっきりおっしゃるわけですか。
  177. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 あの法案の別表に上っております路線について調査をするわけでございます。
  178. 小松幹

    ○小松分科員 それでは、あなた方が前々から考えておる東海道路線についての御調査はやらない、こういうことですか。
  179. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 それは、両方やっていいかと考えるわけでございますが、東海道線の方はおおむね調査は終了いたしまして、ごく一部を残しておるだけでございます。
  180. 小松幹

    ○小松分科員 先ほど、高速自動車道の調査費は削って、事業費の中に入れてあるということを申されましたが、どのくらい入れてあるのですか。そし七どこを調査するようにしておるのですか。
  181. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 ここの予算書の中に道路事業調査費というものが三千九百万円ございます。このうち八百万円程度を高速道路の調査に回す予定でございますが、これは滋賀県の一部の路線変更の調査、それから木曾川、揖斐川等の橋梁の調査実施することにいたしております。
  182. 小松幹

    ○小松分科員 木曾川、揖斐川の調査というものは中央道に関係があるという意味ですか。
  183. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 あの別表に載せられておる線のうちでございます。いわゆる中央道というのは、多分甲府から中津川付近のことを言ったのではないかと思いますが、縦貫自動車道路の名古屋から大阪の間はほとんど線が一致しておるわけでございます。
  184. 小松幹

    ○小松分科員 本日の日本経済新聞に「カチ合う自動車道路建設案」という見出しで、有料道路を建設せんとする日本道路公団の案と、今参議院に回っている縦貫自動車の公社の案とが同じ路線について競合しており、これをどう調整するかが問題だという記事が出ております。そして、それにはそれぞれ両者の言い分が出ておるのですが、これに対して建設大臣はどういう判定を下し、どういう考え方でこれをやっていくか。道路局長からは二本建でいいのだというふうにも承わったのですが、どうですか。
  185. 馬場元治

    馬場国務大臣 新聞の記事は実は私まだ読んでおりません。いろゆる公社案なるものがどういうものであるかも実は承知をいたしておりません。もしお説のようなことがあるといたしまするならば、これは関係大臣とも忌憚なくよく協議をいたさなければならぬと思います。私といたしましては、いわゆる公団を設立いたしまして、従来のいわゆる五ヵ年計画に加うるに有料道路をもっと整備をはかって参りたい、かように考えておりますので、その考えをもって関係大臣ともよく協議いたしていきたい、かように思っております。今のところまだ内容一切を承知いたしませんので、何とも申し上げられません。
  186. 小松幹

    ○小松分科員 これは新聞のことだから責任はないでしょうけれども、道路公団側として——公団は発足してないですけれども公団側として、専用道路はなお早いといろいろ理由をあげております。これはあなたたちの意見が率直に出ておるものなんですかどうなんですか。
  187. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 まだ早いとは考えておらないわけでございますので、それは私の意見ではございません。
  188. 小松幹

    ○小松分科員 新聞に出た問題をとやかく言うわけではございませんが、建設省考え運輸省考えが、正直なところやはり少しずれておると思うのです。あなたは、道路行政一本に道路公団でおやりになって、そうして有料道路として発足して、高速自動車が通行する専用道路を作っていこうという考え方だろうと思う。しかし、運輸省のあたりでは、建設省がやる道路は普通道路をやればいいじゃないか、われわれは道路運送法に基くいわゆる運送のための高速度スピード・アップと輸送量を重点的に考えて、それ一本に打ち込んで、ノー・ストップで立体交差でいく、こういう格好に考えて、如実にそれを強く打ち出しているわけです。いわゆる目的は最終的には同じかもしれませんが、取り上げ方が少し違っておると思う。そういう考え方がやはりこうしたいわゆるかち合う自動車道路建設業になってくるのではない。あなたたちが考えておる自動車道路の目的と、運輸省あるいは議員立法で考えられておるところの高速度自動車道路というものとは、幾分性格が違うのだというような意識も持っておるわけです。この点、提案者もはっきり、普通の建設省がやる道路とは違うのだ、そういう意味の道路ではないのだ、こう口をきわめて言っておるのですが、あなたたちの方としては、それはやはり同じじゃないか、おれもそう考えておるのだ、建設省もそのように考えておる、こうおっしゃるのか、やはり性格が違うと考えておるか、その辺を伺いたい。
  189. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 何度も申し上げますが、道路の将来の姿としては、そういった高速度道路を根幹として計画が細まれなければならぬと考えておるわけであります。自車道事業を国が営もうとする考え方もありましょうが、それよりも、日本の道路を整備して、そうして無料公開の原則に立って道路を整備していくべきではないか、しかし、ただその間に、道路の整備が非常におくれておりますから、有料道路の工作もやむを得ないという考え方であります。しかし、有料道路はできるだけ早く無料にしたいという考えで進みたいと考えております。
  190. 小松幹

    ○小松分科員 道路公団ですが、道路公団は資本がいろいろな形で入ってきておりますから引き合うベースというものが当然考えられると思います。そうなった場合に選択が非常にむずかしくなるのじゃないか。いわゆるコマーシャル・ベースに乗らなければならぬ。赤字ばかりの道路公団じゃしようがない。少くともとんとんになるだけの経営をしていかなければないないとすれば、選択もむずかしいと思います。それについて、どいう選択の基準を持っておるのか、すでに何か計画がおありですか。
  191. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 まだ発表する段階になっておりませんが、計画は持っております。たとえて申し上げますと、関門の国道の開通によりまして、あの周辺の交通が相当増してくると思います。あれに引き続き道路の改良などは早急にやらなければならないと考えておりますし、また、有料道路としての条件にもはまるのじゃないかと考えておるわけであります。ああいうものをだんだん集めて参りますと、工事費にして相当の額に上る有料道路が今あるわけでありまして、これは各県からの熱望もございますし、また地元からの要求も相当参っておるような状態でございます。
  192. 小松幹

    ○小松分科員 そこが問題なんですが、地元からの要求ということと、あなたが最初に言われた一つの大きな目的を持って日本の将来の輸送計画、スピード・アップをどういう形でやっていくかという、いわゆる理想プランですが、その理想プランと地元の要求とが完全に合えばよいわけです。そこで、あなたたちが考えておるその理想。フランというものがはっきり出てこないと、道路公団なるものが引っぱり回されるのじゃないかという心配もあるわけです。その辺はどうですか。地方の要求を大きくいれる考えか、それともあなたたちの計画をはっきり出して、それ一本で打ち抜いていくという考えなのか。
  193. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 有料道路も道路整備の一環でございますので、全体の道路整備計画を立てて、そのうちの有料道路をその計画に従って実施するということにいたさなければならないと考えております。将来の計画につきましては、道路審議会にもかけ、その方針をきめていただきたいと考えております。
  194. 小松幹

    ○小松分科員 道路の問題はこれで打ち切りたいと思います。  最後に、大臣にはっきりしておいてもらいたいのは、本日の道路公団を中心とした道路の問題を伺いますと、今議員立法として出されておるところのあの計画と、道路公団考えておる高速自動車道路というものの考え方とは、目的においても路線においてもずれておるのじゃないか。これは確信を持った意見統一を建設省運輸省で早くやっていただきたい。それでなくては、二本建になるかもしれないし、またいろいろな誤差が出ると考えております。大臣予算委員会の答弁あたりでは実に適当な答弁をなさっておりますが、それじゃ済まされないことになると思いますので、この点最後に申し上げておきたいと思います。大臣の御所見を承わりたい。
  195. 馬場元治

    馬場国務大臣 先ほど来の新聞記事に基いての御意見、またただいまの御意見、よく了承いたしました。関係方面とよく折衝いたしたいと思います。
  196. 河野金昇

    河野主査 井堀君。
  197. 井堀繁雄

    井堀分科員 建設省予算の中に二十三億五千万円の特別失対に関する費目がございますが、これは申すまでもなく失業対策のために予定された予算であることは明らかでありますが、この運営につきましては、私どもは非常に強い関心を持っておるわけであります。そこで、お尋ねをいたしたいと思いますのは、この運営で、昭和三十年度ないしは二十九年度におきまして、いろいろと問題があるところであります。元来、失対事業の目的は、今から説明するまでもないのでありまして、非常に困難な失業時代に、公共事業の中で国の大きな施策として失業救済を行おうという目的で組まれた予算でありますから、かりそめにもその目的を誤まるような使い方をされることは許されません。ところが、これが労働省の所管でありますならば問題は比較的容易に解決つくのであります。建設省所管になりますと、そういう目的で予算が組まれても、その金が使用される場合になりますと、必ずしもそうは参らないというジレンマは、われわれもよくわかるわけです。この点に対して建設大臣は十分御留意していただいたと思いますが、今の特別失対におきまして一番大きな欠陥は、事業をおおむね業者の請負関係で遂行しておる場合が多いのであります。もっとも、直轄の場合もありますが、直轄の場合でも、労務者を一応業者と安定所の間にかみ合せて使うという形で、その指導性は、あくまで工事の上に予定された編成でありますから、付随的な形になることもまたやむを得ないと思う。こういう点で、実質的にはその目的がそこなわれておるのが従来の実例であります。これがどういう工合に是正されていくかということについて、私どもは強い関心を持っておるわけであります。この点について大臣はお気づきであるか。お気づきでないとするならば、私どもも見解を述べてお尋ねをいたします。お気づきであれば、まずそ点に対する改善の道をこの際伺っておきたい。
  198. 馬場元治

    馬場国務大臣 特別失対事業につきましては、お説の通りに、非常に困難な面がございまして、特に本年までの過程では、御承知のようにいろいろな条件にむずかしい点がございます。そこで、その衝に当りまする者は実は一通りの苦労ではないのであります。同一の予算を、事業の目的に使いますと同時に、失業対策という大きな国家目的に使う、こういうことでありますので、この間むずかしい条件等もありますために、非常な苦労をいたしております。予算が御承知のように労働省の予算になっておって、それがこの分は建設省に移しかえになって使っておるのでありますが、ケースごとにいろいろな交渉もしなければならぬというような点もありまして、実は非常に苦労をいたしておるのであります。幸いにことしは、この程度のものが労働省予算ということになって、臨時就労対策でしたか、名前はあるいは違っておるかもしれませんが、六十数億というものが建設省予算で失業対策に振り向けられることになっておることは御承知の通りであります。この点は、移しかえ予算でありませんので、ケースごとの協議等の必要もありませんし、建設省自分の裁量によって施行ができますので、よほど楽に仕事ができる、かように考えております。これは予算の性格上の問題でありますが、実施の面において、先ほど御指摘のようにいろいろな不備な点があるであろうと思います。私案は詳しい実情を個々について存じませんけれども、いろいろ不備の点もあるであろうことを想像いたしておりますが、第一線を初めといたしまして、省内一緒になって改善の道を講じていかなければならぬと、かように考えておる次第であります。
  199. 井堀繁雄

    井堀分科員 実施の現場における状態は、大臣御存じないのは無理からぬと思うのでありますが、しかし異質のものを一つの場所で行使することのむずかしさは御承知のようでありますから、この点は特段の御注意をいただいて、その実施目的に反するような点は、それぞれの監督指導を十分厳重にされまして、遺憾のないように、本年は目的遂行が失業対策にあることを御留意されまして改善されんことを希望いたして、この点はあとで事務当局にただしておきたい。  順序が逆になりますけれども、もう一つ住宅のことについてお尋ねいたしておきたい。それは、ことしの予算か拝見いたしますと、公営住宅建設公団住宅建設との内訳の中で、これは数字の上では大したことはございませんが、公営関係住宅で千七百戸外すか、約二千戸の減を見ております。反対に公団住宅で三千戸をよけい見込んでおるようでありますが、この点について大臣はどういうふうにお考えになっておるのかを一つお尋ねしておきたい。この数字の上に現われた問題は性別に問題ではないかもしれませんが、もちろん公営方式と公団方式の相違になるわけであります。従来の公営方式に何か欠点がおありになって、それを公団方式の中で改めようという意図でこういう工合になってきたのであるか、あるいは、他にこういうふうにした方が特によいというような御見解がおありになるのかどうか。まずこの点をお尋ねして、次に伺いたいと思います。
  200. 馬場元治

    馬場国務大臣 公営住宅は、昨年御承知のように五万戸の計画をいたしております。三十一年度は多少減っておりますこと、ただいま御指摘の通りであります。なるべく安い家賃で多くの住宅を建てて、住宅難を解消したいというのが念願なのであります。私は、でき得べくんば多くの公営住宅を建てたい、かように考えておるのであります。今回多少減らすことになりましたのは、地方財政関係で、御承知の通りに、地方財政が非常な困窮な立場にありまして、公営住宅を建てますにつきまして地方がその負担に耐えない面もありますので、やむを得ずこの程度公営住宅をとどめることになったのであります。
  201. 井堀繁雄

    井堀分科員 公営住宅補助金で、公団住宅政府直轄管理であるという点のこの違いは、ただいま御答弁がありましたように地方村政の窮迫によるもので、それがこういう予算遂行の上にいろいろな障害があることは私もよくわかるのです。そこでこういう傾向をとったものと想像をいたしておりましたが、そういう意味の御答弁だと拝聴いたしました。そこで、その特長と欠点とが考えられなければいけないと思います。私は、公団方式のよさというものは、計画が画一的にしかも能率的に行われるという点はいいかもしれません、あるいは財源の点についても煩わしい交渉やその間における手続などが簡略化されているというような点もあると思いますが、その反面に住宅政策というものが地方行政と遊離してくるということが考えられてくる、この弱点はおおいがたいと思う。これが今年はどうなっていくか、私どもとしてはその点を非常に重視しておるわけであります。  そこで、お尋ねをするのでありますが、当面の住宅政策については、さきにあなたにお尋ねをして、その御回答をいただいておりますが、今私どもがこの住宅政策の中で一番強い関心を持っていますのは、非常に乏しい、しかもつらい財政の中から住宅政策のために投ずる国費でありますから、その国費が最も有効適切に使用されるということは、これはいずれの場合でも同じでありますけれども、特に住宅政策の場合にはこれが重点的、効率的に使用されなければならぬと思うのです。残念ながら、今までのその政策の実態を見ますると、どうも国民生活とは遊離した、いわば一方的な計画でぐんぐん推し進められているという感じがして仕方がない。この点に対して大臣はどうお考えになっておられるか、お尋ねをしたいと思います。  前回もちょっと指摘いたしましたように、今日の住宅を量的に数をふやすということ、これを急ぐことも当然でありますが、同時に、量においてはまかない切れない実情が一方において存在することもまたやむを得ぬのであります。そうだとすると、この住宅は、その場所の選定、あるいはどういう居住者を対象とするかにつきまして、相当な考慮を払わなければなりません。法律では、低額所得者のために、あるいは平べったい言葉で言えば安くてよい住宅をたくさん建てるとか言っておりますが、この法律の精神に基いて行おうとすれば、今一番切実な問題は、住宅というものは、もちろん、戦災者、引揚者といったような戦争のために直接被害を受けた人々、あるいは災害にあったお気の輝な人々、こういう人のためには緊急に行わなければならぬのでありますから、これは特別なケースだと思うのであります。しかし、一般的には日本経済に直ちにはね返ってくる、すなわち再生産を意味する住宅政策というものが相当強く叫ばれなければならぬと思うのです。もっと端的に言えば、生産の第一線に活動しておる人々のためにまず十分なる労働力を発揮させる、またその労働にプラスするような住宅政策でなければならない。これは、ごらんのように省線電車などのラッシュ・アワーにおける交通機関において皆さんもよく体験されておられると思う。このことは日本の生産の上に非常な悪影響を与えておる。貿易の面で絶えず言われますのはコスト・ダウンの問題でありますが、どうしてコスト高になるかというと、労働のむだがあるのです。その中で一番大きなむだがそこに露骨に見えておる。八時間制を法律で保護しながら、実際においては十四時間、少くとも十二時間くらいの拘束時間になっておる。こういうところに着目して、これは至急住宅に問題の改善をはかるべきだと思うのです。こういうものに対して、今度の予算遂行に当りまして、大臣としてはこれを企画の中に取り入れる工夫でも何かなさっておいでになるか、それとも従来通りずるずるといこうとしておられるのか、この点、住宅政策の一番大事なところだと思いますので、大臣から明瞭にお答えを願いたいと思います。
  202. 馬場元治

    馬場国務大臣 安い住宅をたくさん作れ、これはもう至るところにおいて聞き及びます声でありまして、その熱意を持って事に当っておるのでありますが、何分にも限られたる財政力の範囲での仕事でありますので、私どもの思うにまかせない点があることを遺憾に考えております。そこで、御指摘のように今日の交通地獄、特にラッシュ・アワーの状況、これと関連いたします住宅の場所の問題、これらは真剣に考慮を払わなければならぬ問題であると存じます。つきましては、それらの点も十分考慮いたしまして、たとえば店舗と住宅とを一緒に建設するとか、あるいは宅地をなるべく都心に近い方面に持っていくとか、あらゆる努力を払って参ったのでありますが、たお今後も、御趣旨をよく体しまして、できるだけ、従来の不備な点があるとすればその不備を足正しながら、御期待に沿うべく努力いたして参る所存でございます。
  203. 井堀繁雄

    井堀分科員 さっきも申し上げましたように、公営の場合は地方自治体上費用の点で切半すると同時に、仕事“おもやいであるわけであります。でありますから、地方意思はよく入ってくると思う。そこで、責任の点においては分担されるわけであります。そういう点が今度はいろいろな関係で減っておりますが、今後はやはり直接建設省の企画にかかるものが多くなるのです。その一方にはそうでない新しい方向をとるわけでありますが、この新しい方向としては、さっき申し上げるように弱点があるわけであります。ですから、多くの国民の意思をどうして把握するかということについては、公営方式のように地方自治体と切半してやる場合には比較的その点は緩和できるが、今後はその点が私は非常に欠けると思うのです。決して建設省のその方のエキスパートをどうこう申し上げるのじゃありません。おおむね、私どもの知る範囲内によりますと、住宅建設技術その他に対する非常に卓越した専門家ではあるかもしれませんけれども、やはりこれには政治がついて回る。国民の生活と広い結びつきがあるこの点に対しては、よほど新しい方法を取り入れて住宅計画を進めなければいくまい、こういうふうに私は考えるわけであります。大臣がそういうお考えでありましたら、何かそういうことについて一般の声をよく聞く方法をお考えになるかどうか。これは私が具体的に申し上げるとすぐお答えが願えるのでありますが、時間も制約がありますし、あとで事務当局の方にそれぞれお尋ね申し上げたいと思っております。一例をあげれば、住宅を建てるにいたしましても、希望者はそれぞれありますけれども、それは窓口ではばらばらであります。この場合は思い思いに、いわば自分住宅のことを自分たちの範疇で考えるという関係で申し込んでいるわけであります。金融公庫の方にいたしましてもそうだと思います。でありますから、そこに総合性が欠けてくるわけです。これを軽く見てはいかぬと思うのでありまして、こういう点に対して、広く労働者や組織化された各種の団体の声を聞かれるような方策をお考えになっておるか、ないとするならば、今後おやりになるか、この点について伺いたい。
  204. 馬場元治

    馬場国務大臣 各方面の意見も徴します目的で、住宅審議会の中にあらゆる方面の方を実はお願いして、それらの意見をよく承わっておりますと同時に、私ども、できるだけ住宅に関して意見のある都民あるいは府県市民諸君の意見を知りたいと考えまして、実は機会を得ては面接市民諸君の意見を聞くということで、努めて町に出てみております。いろいろ参考になること、教えられることも多いわけでありまして、それらの点を取り入れると同時に、この審議会の意見を尊重しながら善処するよりほかないと考えております。
  205. 井堀繁雄

    井堀分科員 次に、今建設大臣からお答えをいただきました二十三億五千万円の特別失対事業費等の関係でありますが、従来どうも一般失対と特別失対との関係で日雇い労働者がはなはだしく差別を受けておる。これは私はそれぞれのケースによって異なると思いますけれども、一般的な点についてお尋ねをいたしますので、一つ率直にお答えいただいて、どうすればよいかということをお互いに協力して考えていきたいと考えております。  そこで、まず第一にお尋ねしたいのは、安定所から送り込まれる日雇い労務者と、それから常時雇用されている人との給与の開きについてどうお考えになっておるか。あまりはなはだしく開き過ぎておるのではないか、そしてその原因は何か、同一労働に対する同一賃金という立場から言えば、法律それ自身が差別しておることをわれわれは承知しておりますけれども、それがあまり開き過ぎては大きな弊害が起りはせぬか。また、日雇い労務者は、日ごろから常雇いに比べまして生活態度が荒れておりますから、作業に対する準備が不足である。具体的に言いますれば、河川工事なんかでずぶぬれになると着がえがない、あるいは長靴が用意できぬ、そういったようなこまかい問題があるわけであります。そういう点の改善を一方でやらせなければならぬという問題もありますが、そういうこまかい問題はとにかくといたしまして、常雇いと日雇い労働者とのはなはだしき労働条件の違いをこのままにしておいたのではいかぬのじゃないか、それを接近させるためにはどうしたらいいかということ、これは、労働行政の方ではなしに、こういう事業を遂行する上において労務供給を受ける立場の建設省の見解でけっこうでありますから、率直に聞かしていただきたい。
  206. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 ただいま日雇い労覇者の今後の待遇の問題についてお尋ねがあったのでありますが、従前はお話通りの不公平が確かにあったかと存じます。一般の職種別の賃金を基準といたしましても、一〇〇%の賃金額になっておりませんで、百分の九十五というのが支給の実態であったわけであります。明年度特別失対の実施に当りましては、やや改善をいたすことになっておりまして、普通の一般職種の標準賃金通り金額にいたしますと従前三百二十円でありましたものを三百三十七円の予算単価に変更するということで、三十一年度におきましては、やや一般の標準賃金並みに支給されるという点においては改善せられるということに相なっておる次第でございます。
  207. 井堀繁雄

    井堀分科員 三十一年度では三百三十七円でどのくらいの予定になっておりますか。それから、これは仕事の計画との関係もありましょうが、一般失対と違って比較的就労成績がいいところに特徴を見ておるのですが、この点に対して三十一年度においては就労人員をどれだけと抑えておるか。それから、労働省の一般失対との関係で年末とお盆のお手当を差し上げておるわけですが、これをその中でどういう工合に考慮されておるか。この点についてお答えをいただきたい。
  208. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 失業者の吸収人員のお話でございますが、三十年度実施いたしました特別失業対策事業におきましては、これも約三十五億の労働省所管事業に対して実人員で一日当り三万人というのが吸収目標の人員であったわけであります。三十一年度計画に対しましては、この一日三万人の実人員というのが実際問題として非常な困難があったということから、条件を緩和いたしまして、建設省分だけでなしに、特別失対として、同じく三十五億でございますが、三十五億で三十一年度は一日当り実人員で二万人。三十年度三万人でありましたものが、金額は同じで二万人でありますから、三対二の割合でその点では緩和されるわけであります。そのかわり、それでは吸収人員が減るではないかという点につきましては、別に臨時就労対策事業建設省の方で実施いたしまして、同じように二万人の吸収目標で参る。従いまして、特別失業対策といたしましては、合せて四万人になりますから、昨年は特別失対だけでございますから三万人ですが、これが四万人になる点において、非常に失業対策としては前進いたすわけでございます。従って、その緩和いたしただけ、これに対して国費が多額に上るわけでございます。この事業をやる範囲において、失業者の人員においても今までの三万人は四万人にする。しかし、特別失対においては、今まで三万人であったのが二万人ということに緩和されているわけであります。  それから、年末の越年的な、いわゆるもち代と称するようなものについての取扱いのお話かと思いますが、これは一般失業対策の面においては私ども所管ではございませんけれども、実際支給されておるようでございます。それで、公共事業の面で実施いたします特別失業対策事業については、これは同様に各府県が実施をいたしておると思いますけれども、その越年の支給自体の方針につきましては労働省がやっておりまして、私どもはつまびらかでございません。しかし、全体として条件が三十一年度においては非常に緩和しておるのでございます。先ほど申したように賃金もいささか改善いたしましたし、それから失対に対する国の補助率も今度は公共事業費並みの補助率になっておる等、いろいろの点において改善されておりますので、そういう方針を労働省でおきめになって、同一におやりになっておる限りにおいては、三十年度よりは余裕を生ずるということは申すことができると思います。
  209. 井堀繁雄

    井堀分科員 この予算の中に相当考慮されているというふうにとってよろしゅうございますか。労働省でははっきり、ことしはちゃんと予算の中でとっておくと言いました。それは一般失対事業ですが、一般失対事業と従来同じように扱ってきておりますから、こちらの方ではその分を予算の中に考慮されておるかどうかということをお伺いいたします。
  210. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 労働省で予算に入っておると申されましたのは、今お話のございましたように、一般失業対策事業費に入っておるという意味であろうと思います。特別失業対策事業費の中に入っているという意味ではなくて、一般失業対策事業費の中で特別失対の労務者に対しても同様に措置するということを申されたのではないかと思うのであります。特別失業対策の予算の中に当然にそういう越年の分が入っているということは、私どもははっきり承知いたしておりません。
  211. 井堀繁雄

    井堀分科員 そういたしますと、特別失対の方では、年末と盆の手当予算化されていないわけですか。そうすると、一般失対の方からもらうつもりだ、こういうふうにおっしゃるのですか。それとも、出さないつもりで予算を組んでおられますか。そこをはっきり伺いたい。
  212. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 実は、労働省の扱いの関係で、一般失業対策事業と特別失業対策事業との予算の分量が、どちらが多くてどちらが余裕があるかというような点につきまして、つまびらかにいたしておりませんので、はなはだ答弁が不確かで申しわけないわけですが、特別失業対策事業費においても、そういうものについてある程度考え得る。入っておらないと先ほど申しましたけれども、入っていると御理解いただいてよろしゅうございます。ただ、一般失業対策とどちらが十分にあるかという点だけ、ちょっと私どもの方はつまびらかにしておりません。
  213. 井堀繁雄

    井堀分科員 これは、具体的なことについては、一般失対と特別失対の関係で、安定所の窓口でかなり調整に苦しんでおるようであります。そこで、建設省の立場でお答えをいただきたい。これは率直に言っていただきたい。私の質問に合わしていただかなくてけっこうです。どうも日雇い労働者を使うことは経済効率の上で好ましくないけれども、国の失業対策事業だから、仕方がないから、これを雇用していくんだという考え方が現場にあるようです。これは私の観察です。これが事実だとすれば、この事実をどうして解消するかということの、われわれ政治を扱う者としては対策を持たなければ、その被害が弱いところにいくことは必定です。そういう意味でお尋ねいたしますから、その点について率直な見方と、対策があるなら対策を聞かしていただきたい。
  214. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 率直に申せというお話でございますので、率直に申しまして、今お話がありましたような考えになりやすいかと思います。それは、事業実施しておりますところでは、とかく事業効果を上げるということを考えることに専念しやすい。それから、失業対策ということをこちらで目標を示して実施させるわけでございますが、県でいいますならば、事業実施いたします土木部あるいは労働部というものが十分協議してやります。中央におきましても建設省というような事業省と労働省が協議をいたしてやるわけでございますが、末端におきまして、今率直なお話でどうだというお話がございましたような傾向が生ずることを、われわれとしては考えて参らなければならないと思います。そこで私どもといたしましては、そういうことではいけないので、事業実施すると同時に、失業者の吸収ということも大事なことなんだから、この両方の目的を達するようにしていかなければならないし、それから、日雇い労務者に対しましても、これらをできるだけ健全な労働者として育成していくように、事業を通じて育てていくという気持でやって参るように、事業実施いたします方面の機構を通じましても、建設省といたしましては極力頭の切りかえをいたしまして、事業効果だけでなく、特別失対事業につきましては十分失業者吸収の目的を達し、またそれらの失業者が将来健全な労務者として雇用されるように育成するように指導いたして参りたい。またそういうふうにいたしておる次第でございます。
  215. 井堀繁雄

    井堀分科員 御答弁で私はある程度満足をいたします。ただ、申し上げておきたいことは、事業遂行の立場に立つ者と、それから失業対策を実施する官庁との考え方は、これは当然矛盾する。矛盾しても仕方がないと思う。これを緩和していくためには、並々ならぬ努力でなければ解消できない。その点に対して、大臣も十分努力してその弊害を解くようにはっきりした態度が表明されましたし、また直接こういう問題の指揮監督の地位にある官房長もはっきり言い切っておりますので、その決意を私は期待いたしまして三十一年度における特別失対が一般失対という意味において、また仕事の面の相違はありますが、十分その目的が達成されますように希望いたしておきたいと思います。  それから、次に住宅のことについてお尋ねしたい。先ほど私がお尋ねをいたしましたことでおわかりと思いますが、やや具体的にお尋ねしたします。公営住宅建設の問題について、地方公共団体との関係が今日の場合一番困難な時期だと思うのです。そこで、三十一年度においては前年度より戸数について一般住宅で千七百戸を減らしておるようでありますが、残余の計画ですが、地方公共団体の要求というものが公営住宅一本で建設省との間の話し合いが進められるということになれば非常にけっこうなんですが、先ほど来言っておりますように、とかく地方財政の窮迫はこういうものにも影響を大きくすることは言うまでもない。そういう点で、比較的余裕のあるところへ流れていく。非常に重要度の高いところであっても、財政的な関係で手が出ない。こういう関係は私どもよく聞いておる。この関係で、公営住宅建設の際における特別の工夫が必要だろうと思うし、いろいろ苦慮されておると思うのであります。こういうものに対して本年度は何かうまい手をお打ちになる考えがありますか、それとも前年並みにおやりになるのか、その点ちょっと承わりたいと思います。
  216. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 公営住宅建設計画に対する御質問でございますが、公営住宅は、公営住宅法の第八条によりまして三ヵ年間の長期計画を立てることになっております。この計画は全体の計画でありますと同時に、また各立地と申しますか、各地方公共団体別の建設計画にもなるわけでございます。この計画を立てるに当りましては、各地方公共団体の長から、三ヵ年間の公営住宅をどういうふうに建てたいという意見をいただきまして、この全国から集まりました資料に基きまして、それともう一つは、各地方別の住宅不足数あるいは需要者の別というようなものを勘案いたしまして、建設大臣が各地方別の、各都道府県別の大体の建設戸数を決定いたしまして、地方公共団体の長に通達を出すことになっております。その地方公共団体の、各都道府県の長がまたその管下の市町村長と協議をいしたまして、こまかに立地を定めて、また建設大臣に提出する、こういうような段取りで実は三ヵ年計画建設計画を決定いたしております。その計画に基きまして実際の建設を進めるわけであります。それと別に、三ヵ年の総量で決定はいたしてありますが、それに勘案いたしまして、今後この予算につきまして各年度ごとの建設計画を具体的に決定するわけでございます。その建設計画の、三ヵ年の長期計画のないところに建設することはできないようになっておりますので、その計画に基きまして、また、その年度における地方財政の現況等をにらみ合せまして、その年度の費用を決定する、こういうような段取りで建設省予定をいたしております。
  217. 井堀繁雄

    井堀分科員 その三ヵ年計画計画書はこちらにいただけますか。
  218. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 各地万別の三ヵ年計画ができておりますので、いつでも差し上げられると思います。
  219. 井堀繁雄

    井堀分科員 それでは、それをいただくことにいたします。  次に、その計画を拝見してからお尋ねするのが順当だったのでありますが、勉強が足りないで恐縮ですが、私どもの見るところでは、最近どうも大都市への過剰な住宅の密集というか、そういう傾向がますます激しくなり、人口の増加率、その他産業、企業の流れ、経済の動きなどを総合してみますと、五ヵ年計画とどういうように組み合せていくかという問題になると、非常にむずかしい問題になると思うのでございます。そういう問題は別にいたしまして、都市周辺の開拓というものはよほど積極的な計画を持たないと、大きな都市へ大きな都市へとますます流入してくる傾向が強くなるので、こういうものとその三ヵ年計画というものがどういう工合に組み合されているかということが私にはのみ込めぬのですから、質問が的はずれかもしれませんが、しかし、一般の傾向から見ますと、どうも大きな都市へ過剰な集中がひたむきに強くなるのではないかと懸念されるのでありますが、三ヵ年計画の中でそれを解決するような内容のものがありますか、この点を一つお答え願いたい。
  220. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 この三ヵ年計画公営住宅法によりましてできております三ヵ年計画で、実は今日の時勢になりますと一これは私見を申しましてはなはだ恐縮でございますが、政府が供給する住宅全体の三ヵ年計画というものの必要性を最近私どもは痛感いたしておるのでありますけれども、はなはだ遺憾なことには、今のところ法制的には、その政府が供給いたします三つの方策のうちのわずかに一つ公営住宅法につきまして三ヵ年計画という線が定められておるのでございます。そこで、この公営住宅の三ヵ年計画だけでは、今御質問のようなことまで全部包含して計画を立てるというわけには参りかねるのでございます。と言いますのは、今お尋ねのものは、多分行政区画を越えたところの、もう少し広地域の住宅のあり方というようなことに関連があると思うのでございますが、そういうような意味におきまして、住宅公団というものが生まれました一つの原因は実はそこにあったと思うのでございます。公営住宅法だけではカバーし切れない、広地域といいますか、広域圏の行政というような意味におきまして、各都道府県という単位では解決できない面、そういう面を公団をして取り扱わせたいという考え方が、住宅公団が生まれた一つ考え方でもあったわけでございます。かりにイギリスあたりの例で考えますというと、大ロンドン市でかなり大きな地域を考えておりますが、それだけではロンドンの住宅問題は解決しないということで、あの新都市開発公社ができまして、ロンドンの周辺に八つばかりの新都市を作っておりますけれども、そういうような同じ考え方をやはり必要とするような場面に東京都は立ち至っているのではないかということの御質問のようにも承わったのでございますが、確かに御意見の通りだと思います。東京都は、東京都の環状緑地の中を高度に利用すると同時に、またこれを飛び越えた適当なる距離にある衛星都市を育てていかなければならないだろう、こういうような基本的な考え方を持って今後住宅建設をやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  221. 井堀繁雄

    井堀分科員 いずれその三ヵ年計画を拝見いたしまして、また勉強いたしましてお尋ねするかもしれません。  次に、公営住宅法でしたか、あるいは公団法でしたか、どちらかわからないが、いずれもそうではないかと思うが、低額所得者のための住宅政策ということをかなり強く法律は表明している。そこで、この低額所得者ですが、一体建設省ではどのくらいの金額を——月収でけっこうでありますが、低額と言い、あるいは高額と言い、どのくらいの人の所得を目安にされているか。ここでは一種、二種とありまして、私の今まで知った範囲内では一万六千円くらいの月収を中心にして一種、二種に振り分けたように聞いていますけれども、そういう目安もあるようであります。この三つの法律の中で低額所得者と言っておりますが、一体それはどの程度の額をさすわけでありますか。
  222. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 政府が行なっている三つの住宅政策は、いずれも住宅に困窮している勤労者を対象にしていることは事実でございますが、その中で低額と特にうたっておりますのは公営住宅法の関係でございます。公営住宅法ではお話のように第一種と第二種とありまして、第二種の入居し得る資格の限界を収入で定めておりますが、第二種の方は月収一万六千円以下でございます。それから、第一種の方は、これの倍額の三万二千円以下。これは月収税込みでございますが、そういう所得以下の人でなければ公営住宅には入居資格がない、こういうことになっております。そこで、公営住宅法で定めております低額所得者はどの辺のことを言うのか、こういうことに対しましては、やはり低額所得者のうちでも最も低額所得者と考えられるのは一万六千円以下である、普通一般に言う低額所得者とは税込み三万二千円以下である、こういうふうにお答えせざるを得ないと思います。
  223. 井堀繁雄

    井堀分科員 一万六千円以下というのですが、いずれもこれは政府の非常に貴重な財源をつぎ込んで建設されるのでありますから、もちろん回収していかなければならぬ。あるいは資金には利息も見込んでおるようであります。そういうあれからいきますと、低額所得者の上は一万六千円でけっこうでありますが、下は一体どういうふうに考えておりますか。上だけをきめて、下の方は幾らでもいいというのか、この辺はどうなのか。
  224. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 公営住宅法に定めてあります第二種公営住宅につきましては、だれを入居させるかというときには厚生大臣と協議をすることになっております。従いまして、地方公共団体に行きますと、これの入居者を決定するのは主として民生関係の方でやることになっておるのであります。この一万六千円以下はゼロまでを考えております。従いまして、この第二種公営住宅というのは、かなり社会政策的な色合いの強い、むしろ要保護階級までも含んだも一の、こういうふうに私ども考えておる次第であります。
  225. 井堀繁雄

    井堀分科員 そういうように承わりますと、この建設計画の中でその関係が千七百戸減っておるようですが、これはどうなんですか。今のは二種ですか。
  226. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 今申し上げましたのは二種でございまして、二種を今回ふやしたわけでございます。三十年度は一万七千戸程度でありましたのを、今度二万戸に増加をいたしたつもりでございます。
  227. 井堀繁雄

    井堀分科員 よくわかりました。それで二種の分はわかりましたが、一種並びに一番問題になりますのは次にお尋ねしようと思います住宅金融公庫関係です。これは一般金融機関の貸付の困難なものをここで貸す、こう言っておりますけれども、貸付の実際の姿を見ると、これは投資と同じ扱いで、一般の金融機関と同じ常識で貸し出しが行われているということは間違いない。もっと悪く言えば、手続がうるさくて、存外掛りがかかって、窓口が官僚的であるという非難がかなりあるが、実際金融公庫の運営の問題についてお気づきの点はございませんか。
  228. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 住宅金融公庫は普通の金融機関、普通の市中銀行と性格的に違うという点は、私ども十分に承知しておるところでございます。従いまして、かなり普通の金融機関よりは住宅金融公庫は庶民性を持ち、また庶母に対して親切でなければならないとも考えておる次第でございます。しかし、現実はどういうふうに動いているか、そういう点につきましては、まだ十分行っているとも考えられませんし、今後注意をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。ただ、この金融制度でどれだけの庶民性を期待し得るかという問題でございますが、やはりお金を借りてでも何でも自分でうちを一軒都会の中に持つということは、かなりの事業でございます。で、そういう事業を対象としてどの程度までの所得の人に対してこの金融によって住宅の数をふやしていくかという問題にはおのずから限界があるのではないかというような根本的な疑問も一つ持っておるわけでございます。しかしながら、住宅金融ということは普通一般の金融とは違う。従いまして、普通の金融市場が年七分ないし八分というような高金利であります場合でも、住宅金融につきましては現在五分五厘の利回りの金でやっておるわけでございます。そういう意味合いにおきましても、これは普通の金融とは違う庶民性を持たせなければならない、こういうことはお話しの通りだと思うのであります。また、その窓口、あるいは住宅金融公庫の職員にしましても、金融の状態その他につきましても、将来御注意に従いまして改善していかなければならぬ、こういうふうに考えている次第であります。
  229. 井堀繁雄

    井堀分科員 住宅金融公庫は私は問題があると思うのですが、政府住宅四十二万戸の中で面接政府の責任において建設されるものの中で、この金融公庫に依存するところが一番高い。戸数で七万七千戸、三十一年度予算に組んである。そうすると、この七万七千戸の中で最もあやしげな、と言っては何ですが、増築分三万戸が入ったりしておるようであります。しかし、この問題はともかくとして、これは住宅政策の中では量的に見て相当重視しなければならぬ。これは間違いない。そこで、私は、この点については、運営の仕方について工夫すればそう非難したものではないと思う。法律の精神を文章の通りに理解しますならば、住宅政策のために特別に設置された金融機関ですから、これがその目的に沿うように運営されれば、もっと味の出るものだと思うのです。そういう意味で、これはどこが監督し、公庫に対する非難を一体建設省としてはどういうふうに解決をしていくか。不平を訴えて行く窓口がないんですね。それから借り入れをする場合には、一般の金融と異なりません。地位は強者と弱者の地位になる。求める者を相手に与えるということについては、与える側が条件をきめるのです。それの不平があっても、断われば契約が成り立たぬということについては、一般の金融機関と何も違わないという事実があります。こういうことはもちろんいけません。これを改善するとすれば、具体的にどういうふうに考えておるか。このことは政府住宅政策の上では非常に大きなウエートを占めておりますから、これも一つ率直にあなたのお感じになることを言っていただいて、改善の要があればどんどん改善をしていきたいと思いますから、聞かしていただきたい。
  230. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 住宅金融公庫の三十一年度の貸付戸数は、ただいまお話しのように増築を含みますが、七万七千戸でございます。従いまして、ほかの公営、公団に比べてかなり大きなものでございます。ただ、その内訓になりますと、その中で個人に融資をいたします分が、実はその増築は別としまして、二万二千戸でございます。あとの残りは、産業労働者資金融通法によって各会社に貸し付けて住宅建設し、そこの会社の勤労者が社宅として入る、こういうのが七千五百戸ございます。それから、各地方公共団体が出資をいたしました特殊法人に公庫が金を貸しまして、貸家を各都市に建設させるというのがございます。また分譲住宅、今日現在都会の中に宅地を個人が求めるいうことはなかなか至難なことでございますので、計画的に造成しました宅地の中にあらかじめ家を作りまして、それを土地ぐるみ分譲するという事業もございます。そういうようなことをやっておりますので、そういういろいろなやり方によりましては、この住宅金融公庫の運用によってうまくいくじゃないかという、お話のようにはなり得ると思います。ただ、もう一つの問題としては、そういう実際の住宅造成面のほかに、勤務上の問題、住宅金融公庫に働きます人々の態度の問題、そういうような問題についてもただいま御注意があったのでございますが、そういう点につきましては、私どももいろいろなことを耳にいたしております。これの監督官庁は実は私の方と大蔵大臣、こういうふうになっておりますので、そこで今後十分注意して参りたい、こういうように考える次第でございます。
  231. 井堀繁雄

    井堀分科員 これと日本住宅公団との関係が出てくると思いますが、分譲と賃貸の住宅があって、公団の方では、三十一年度においては賃貸住宅を一万二千戸、分譲住宅を一万一千戸と予定しておるようであります。賃貸住宅の場合、家賃はどういう目安でおいでになるか。もちろん、建設費から割り出されてくるコストはあると思うのです。しかし、法律の中では低額所得者とあるのですから、そこで、先ほどお尋ねした低額所得者との関連の問題が出てくるわけです。あなたの方でお建てになる公営住宅ならば、生活保護法とのにらみ合せである程度そういう制度があるとしても、この場合には、一応建設費と、それから当然支払い能力というものが見合ってくると思うのです。これは非常に大事なことだと思います。これは所によって多少違いますけれども、基準がおありになるだろう。その基準について、大まかでいいから伺いたい。
  232. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 公営住宅の家賃につきましては、公営住宅法に定めてありまして、家賃のはじき出し方まで実は定めてあります。そこで、その法律に定められました限度におきまして、地方公共団体が適宜決定をいたしておるわけでございますが、公団の家賃につきましては、今お話しのように資金構成その他から出て参るわけでございます。そこでどのくらいにきめておるかというお尋ねでございますが、三十年度は全国平均で公団の家賃は月額四千円と大体定めてございます。三十一年度でござますが、三十一年度は三十年度とほぼ同じ水準に持っていきたい、こういうふうに考えております。まだ、多少土地購入費が高くなります。つまり、今までよりはちょっといいところに建てたいとか、あるいは坪数の大きくなります面がある。つまり、予算上一戸当りの金額が三十一年度の方が歌碑されておりますので、その分については若干上るかと思います。その辺は、どのくらい上るかということでございますが、大体全国平均で月額四千二百円くらい見当のように現益考えております。
  233. 井堀繁雄

    井堀分科員 四千二百円ということになりますと、低額所得者ははいれません。ここに問題があると思うのです。国税庁の民間給与実態調査数字で見ていきますと、年額十万円以下の所得者が、給与所得者が全部で約八百万ばかりのうち、二六・七%、それから年額十万円以上二十万円以下の所得者が三五%、これの両方で大体六二%になる。そうすると、この所得者というものは、今言う四千二百円だということになりますと、収入の半分以上が家賃になる、あるいは四割をそこに見込まなければならないというわけでかなり大きな負担になるわけです。こういうところで大まかな議論は何ですが、実際的に言いますと、官公庁その他の公営住宅といたしまして、今言う勤労者のうちで全体の半分、四割程度の者しかはいれないような結果にる。こういうことは、あなたの方にお尋ねすることは無理かと思いますが、さりとて、建設費の計算から出てくると思う。こういう矛盾を解決する何らかの処置をお考えになっておるかどうか。
  234. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 住宅行政上家賃の問題の大事でありますことは、私ども家賃を抜きにして住宅行政はあり得ないくらいに考えておる次第であります。そこで、今日勤労者の所得水準というものも生計費指数その他によりまして始終調べておる次第でありますが、大体都市の勤労者の平均が月額二万四千円程度に出ております。それから、大都会近辺ではかなり高くなっておりまして、三万円くらいのところに平均が出ております。これはもちろん、ゼロから八千円までの所得の人が何%、八千円から一万何千円玄でが何形という区分がありますが、全体の平均ではそのようになっておるように承知いたしております。そこで、公営住宅はむろん第二種の方は一番低額所得者でありますし、その次に位するのが公営住宅の第一種でありますが、第一種の方の三万円から三万五千円程度の所得の人、こういう人は公営住宅に一部はいれるわけでありますけれども、そういう方の中には、あるいは公団住宅、賃貸住宅にもはいり得る方がある。それから、実はこの前も数回大臣のお供をして青空会議とかいろいろな会議に出まして、一般の方々の声を伺ったのでありますが、その中には、自分は所得は二万円である、しかし今日自分が間借りをして払っておるのは五千円である、わしは五千円を出せる自信を持っておるのに、どういうわけで最低基準を切って四千円のあの公団住宅に入れてくれないのか、こういう質問を二回ばかり受けました。そんなようなこともありますので、下の方をあまり切るということはどうかというような感じを最近持っておるのでありますが、四千円程度の家賃ですと、都市の勤労者としては、まあそうゆったりと払えるというわけではないかもしれませんが、支払い能力のある方がかなりあると、こういうふうに考えるわけであります。
  235. 井堀繁雄

    井堀分科員 どうも、あなたとこういう問答をすることは益のないことかもしれませんが、御案内のように、今公務員の給与の問題で政府と公務員の団体との間の交渉が持たれようとしておるときです。このときに政府が公けにしております民間給与との均衡などに使っております数字、あるいはいろいろな政府統計などを見ていますと、あなたが今あげられました二万四千円ということは夢の話です。たとえば、一番新しい資料ですけれども、製造業における比較的賃金均衡のとれた年間所得を並べているものを見ますと、三十年十一月現在の労働省の統計によると、これは失業保険関係だけでこの間はじいてみたのですが、一万四千五百六十三円、年間平均で一万六千何百円という数字を出してくることができるのです。こういったような今の全体の給与水準からいまきすと、この四千円の月額の家賃の負担は非常に不本意ですが、さりとて、あまりちゃちな家を建てられますと困るものですから、少くとも憲法に、すべての国民に健康で文化的な生活を営ましめるという理想を掲げている以上、住宅と名のつく限りは多少格好の条件を備えなければならぬということになりますと、今公団計画しているスペースは、私はむしろあまりに貧弱だと育っていいくらい遠慮ぎみなものだと思う。それにしても、それだけの建築費がかかる、あるいはそれを償却するための負担を消費者にかけなければならぬというこの事実は、私どもは認めなければならぬと思います。こういう矛盾をよく御存じの上で住宅計画を進められないと、この間予算委員会での私の質問に対して大臣は答弁しておられましたけれども、何かスムーズにいくように大臣は思っておりますが、実際的に言いますと、産労住宅のことでお尋ねすればわかるのですけれども、今日産労住宅建設のできるものは大体大手筋で、経営者自身が債務の負担について補償していくわけです。そのできるものは、相当の企業でなければやれぬという実情がありまして、今一番住宅の必要な勤労者にはまわりかねるというこの矛盾を緩和するためには、私はよほど努力されなければいかぬと思うのです。これは大臣にお尋ねすることにいたしますけれども、あなた方が計画を立てて大臣を督励されるのでありますから、あなた方のお考え大臣の政策に対する判定の基礎になるだろうと思いますから、一つこの点について……。
  236. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 収入と家賃との関係について、私先ほど申し上げましたことは実は間違いがないと信じておるのでございますが、先生のと多少資料的に食い違いを生じましたのは、私が申し上げましたのは、総理府統計局の家計調査によってやっているわけであります。でありますから、一家族の収入を基準として家賃を考えている。個人の収入ではございません。大体、それによりますと、全都市平均しまして、三十年の五月には、実収入二万五千四百三十四円、——これは総理府統計局が発表しておる数字であります。それが東京の場合には三万円以上になる。こういう実態を申し上げましたので、その一家族の収入と支払い得る家賃との関係について申し上げたのであります。それから、これはともかくとして、その家賃の少ししか支払われない人にしわ寄せされているという事実は確かなものだろうと思います。そこで、公営住宅のような低家賃のものに今後力を入れていきたいというふうに大臣も御答弁になりましたが、私どもは、やはり、家賃はなるべくみんなの支払えるような低家賃の住宅をよけいにしていきたい、こういう基本的な考え方は変りなく持っておるつもりでございます。
  237. 井堀繁雄

    井堀委員 これは大臣にお等ねしようと思って言えなかったのですが、不燃焼住宅で三十年償還のものですが、これは外国の話ですけれども、五十年、六十年くらいの長期でやっているわけです。日本のように低額所得者の多いところでは、三十年では知か過ぎるのじゃないか。だから、もっとあれを長期にしたら負担がずっと軽くなってきて、今の三十年を五十年くらいにすれば、こういう点が緩和できる。そういうことについて何かお考えになったことがありますか。
  238. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 三十年というお話は、住宅金融公庫の貸付償還の年限のお話だろうと思いますが、耐火構造で三十五年でございます。ただ、今やっております公営住宅公団住宅、それからその他の貸家、鉄筋コンクリートで建てました耐火構造の住宅、これは全部七十年の償還ということでやっております。ただ、ここで、それではどうして住宅金融公庫が三十五年かということなんでありますが、これは、一つは、自分の家になるので、七十年かかってお金を返していってやっと自分の家になるというところを、その半分ぐらいのところで自分の家にしてしまうのがほんとうではないか、こういうような考え方が入っておりまして、自分の個人の家のためにお金を借りるわけでございますから、三十五年というように決定したわけでございます。  そこで、家賃との関係なんですが、実は、利回りが非常に安く考えられる場合には、年限が七十年というように長くなればなるほど家賃が安くなることは確かなんですが、今日の民間ベースの利回りですと、これは七十年になろうが五十年になろうが同じように出て参ります。そこで、利回りを何分にすべきかということが家賃政策の非常に大きな問題点なのでございますが、私どもの今の第一種公営住宅では、半額補助で六分の利回りであるから、平均しますと大体三分の利回りになっているだけです。利回りだけで考えますと三分ということになります。それから、公団住宅の場合には、大体四分一、二厘ぐらいの利回りになるように考えてあの家賃が設定されているわけでございます。その利回りによりまして、七分とか六分とかいうことになりますと、七十年にしょうが五十年にしょうが、家賃が同じに出て参ります。そういう関係で、実は私ども住宅政策をやりますのに非常に困ります問題は、一にかかって今日の高金利にあると言っても過言ではない次第でございます。
  239. 井堀繁雄

    井堀分科員 お尋ねしようと思っていて先にお答えいただいたわけですが、この利回りの問題については、これはいろいろな例があるのですが、ヨーロッパの先進国で行なっているものを見ますと、長期逓減の形をとって利率を見ていっている。この計画を見ますと、一本でいく。でありますから、政府の言う、たとえば長期計画で五ヵ年なり六ヵ年の計画の中においては、当然金利が、あれからいきますとぐっと下っていくべきなんです。ところが一本で見ていっている。こういう点は、今あなたが説明して下さいましたが、一番よくわかるように、金利というものは元来これは全体の経済ベースと合せていくべきものです。ここだけが一本調子で、ほかをはねのけて進んでいるという計画なんです。これは今あなたが矛盾を指摘されてもどうにもならぬのですが、これをあなたにお尋ねするのは適当かどうか知りませんが、こういう点に対して何か献策でもされておりますか。
  240. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 家賃の問題と金利とは実は切り離せない問題だと思います。そこで、政府住宅政策をやるに当りまして、資金の回転というようなことを考える必要もむろんございますが、何と言いましても、住宅政策上利回りをどの程度にするか、普通の市中の利回りは八分でありますから、八分の商業ベースで七十年間をはじいた家賃を当然出すべきであるという理論もナシセンスではなかろうかと思うのであります。しかし、現実に民間から借りる金は八分なら八分、あるいは九分なら九分の金でなければ借りられないわけであります。そこのギャップを埋めるのがやはり住宅政策ではなかろうか、こういうように考えております。そこで、さて今実際に政府がやっております政策に立ち返って考えてみますと、住宅金融公庫は五分五厘にしておりますし、公団住宅の家賃のごときは四分一厘か四分二厘でございます。公営住宅の方は三分以内の利回りの家賃になっております。こういうことでかなりいろいろ段階はございますけれども、そういう意味合いの政策は加味せられておる、こういうふうに考えております。ただこれが外国のものと比べたらどうかというお尋ねがあるかもしれませんが、外国では鉄筋コンクリートのような高級住宅ばかりでございますけれども、大体イギリスあたりでは三分、六十年償還ぐらいの住宅建設をやっておるようであります。それからドイツは多少上っておりまして、民間資金はやはり七分ぐらいの利回りが多いようでございます。これと政府の金とを合せまして、四%ぐらいの利回りの家を提供しております。国によっていろいろ違いますが、私は住宅政策上の利回りとしては四%以内ぐらいにぜひしたいものだというふうな、これは私の個人的な考え方でございますが、そういう点が一つの大事な点ではないかというふうに考えております。
  241. 井堀繁雄

    井堀分科員 あと一、二問で終りたいと思いますが、今金利の問題等が出てきたのでありますけれども、この矛盾をどうしても解決しなければ住宅政策は行き詰まる、現に行き詰まっておると思います。そこで外国の話が出ましたけれども、スイス、スエーデン、イギリスもそうだと思いますが、コーペルが住宅の問題をかなり大きくこなしていって、今言うような矛盾を解決していると思います。だからこういうことを政府がやることになりますと、結局住宅の場合には、国民の税金によって集められた多くの資金を、全部の国民に均等に還元するということはにわかにできないので、そういう点で非常な不公平が過渡的に起ってくるわけであります。その不公平の一部を金利で埋めて調整するのだという議論だと思いますが、これをやっているときりがないので、何べん言っても同じだと思いますから、これでやめておきます。  そこでお尋ねしたいのでありますがこの産労住宅の法律の中にも、貸付の範囲におきまして、「会社その他の法人」ということが書いてありますが、他にもところどころにこういう「会社その他の法人」ということが書いてあるのです。そこで今の日本の生活協同組合法というものはかなり寸足らずだと思いますが、この住宅のようなものを、そういう国民の自主的な協同組織の中で、今の経済の矛盾を縫っていくような道が開けていると思うのでありますが、法律の中で言う「会社その他の法人」と申しますのは、こういう協同組合のような団体もさしておるのかどうか。またそういうのが格好の条件を備えて、政府住宅政策に協力を求めてきた場合には、それに取り組む用意があるのかどうか、この点についての御意見を伺いたいと思います。
  242. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 住宅金融公庫の場合、法律的には生活協同組合も対象には入ると思います。ただ今日の段階として住宅金融公庫から七割五分の金を借りましても、あとの頭金に相当する金がやはり相当の過重になります。そこでそれだけの財政的な力を持っているかどうか、また将来どういうふうに進んでいきますか、そういう点もよく勘案いたしまして考えて参りたい、こういうふうに考えております。
  243. 小松幹

    ○小松分科員 今の点に関連して、公団住宅は四千二百円ですか、それをはっきり伺いたい。
  244. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 公団住宅の貸家の方につきましては、月額平均四千二百円にいたしております。
  245. 小松幹

    ○小松分科員 固定資産税は幾らですか。
  246. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 両足資産税の方は、これは家賃といえば家賃のようなものでございますが、別でございます。
  247. 小松幹

    ○小松分科員 もし固定資産税がかかれば、それはどういう格好でどう徴収しますか。
  248. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 この固定資産税につきましては、公団住宅の性格にかんがみまして多少軽減をしてもらうように、私ども今後も努力いたしたいと考えておりますが、どうしても全額かかるということになりますれば、これはやはり固定資産税に相当する分として、使用料の一部に入ってくると思います。
  249. 小松幹

    ○小松分科員 昨年の四千円は、四千円でいいのですか。本年からのは四千二百円ですね、どうですか。
  250. 鎌田隆男

    鎌田政府委員 昨年までのが四千円、今年から四千二百円でございます。
  251. 小松幹

    ○小松分科員 それでは国土総合開発について端的に質問いたしますが、千五百万円程度組んでありますね、その調査計画をちょっと承わりたいのです。
  252. 町田稔

    ○町田政府委員 御承知のように国土総合開発計画の一環として十九の調査地域が指定されております。それと特定地域が十九地域ございます。これらの地域におきまして総合開発計画策定上必要な調査実施する補助金になっております。
  253. 小松幹

    ○小松分科員 そこで産業開発的な国土総合開発の計画を持っておるか持っていないか伺いたい。
  254. 町田稔

    ○町田政府委員 この国土総合開発計画は、御承知のように各地方の自然的条件を考慮いたしまして、その地方の利用開発を十分にはかろうという意味におきまして計画をいたしておりますので、その中にはもちろん産業開発を特に重視いたしておるわけでございます。
  255. 小松幹

    ○小松分科員 そうするとその調査の結果、一つのプランが地方でできた、そこで取り上げられたのが産業開発道路というものであった場合には、それを具体化していくにはどういうようにやっているのですか。
  256. 町田稔

    ○町田政府委員 まず特定地域の総合開発計画について申しますならば、特定地域の総合開発計画関係各府県におきまして立案をいたしまして、それを建設省に報告があるわけでございますが、その報告をもとといたしまして国土総合開発審議会にかけ、審議会の決定を見ました上で、閣議決定になります。閣議決定になりました事業につきましては、それに沿いまして逐次各省において予算化しつつこれが実施をして参るという順序をとっておるわけでございます。
  257. 小松幹

    ○小松分科員 それで今具体的に出したのですが、産業開発道路というのを地方で打ち出してあなたの方に持っていったならば、取り上げる用意があるというのです。
  258. 町田稔

    ○町田政府委員 産業開発的な道路が特定地域の計画の中に入っておりますれば、漸次それを実施して参るということになるわけでございます。
  259. 小松幹

    ○小松分科員 それじゃあなたの方で、総合開発の主たるポイント、どこにこの主点を置いて総合開発をやっていこうとするか。たとえば水力なら水力を中心に河川総合開発をやるんだ、あるいは道路開発をやるんだという、ここに書いてある資源開発は、どこを中心にやるという一つの目的、それをお聞きしたい。
  260. 町田稔

    ○町田政府委員 今のお尋ねの目的でございますが、これは地域ごとに開発目標を定めまして、地域の自然条件によりましてその開発目標は違っておりますが、その目標に従って計画を立てていくということになります。
  261. 小松幹

    ○小松分科員 地域ごとの目標という——それはそうでしょう。私の聞いておるのは、そういうことよりも、あなたが一あなたといっても個人をさすわけじゃないが、建設省として日本の国土総合開発を進めていく大きな綱、ポイントをどこに置いておるか、こういうことです。
  262. 町田稔

    ○町田政府委員 今の御質問でございますが、実は御承知のように、国土総合開発につきましては、国土総合開発法があるわけであります。この開発法の中に、たとえば全国計画、都道府県計画地方計画、特定地域計画を立てることになっておりまして、たとえば特定地域計画につきましては、全国的にどういう目標で立てるべきかということが、抽象的ではございますが、一応うたってあります。それに従って今度は地方ごとには、今申しましたように、特殊の地方目的を定めて計画を立てていくということになるわけでございまして、省としまして一般的な目標は、あの法律以外に特に申し上げるものはないのでございます。
  263. 小松幹

    ○小松分科員 これはいわゆる高速自動車道路にも関係があるのですけれども、あるいは地方的にも総合開発の一つの方向として、地下資源あるいは農業資源の開発、そうしていわゆる産業資源の開発を中心にした総合開発というものを考えておる。最近はそういう一つの傾向も特に見えている。これをあなたの方でどういう程度に取り上げていって、どういうような考えで進めていこうとお考えになっておるか。
  264. 町田稔

    ○町田政府委員 特に産業道路についての御質問でございますが、これにつきましても、特定地域計画の中に入っております分を漸次実施していくということになるのでございまして、それ以外に総合開発計画と関連した点で特別に変った点はないのであります。
  265. 小松幹

    ○小松分科員 それで具体的にどういう格好で——昨年そういう調査を千七百万円かけてやったですね。本年はその調査の結果がどういう建設行政のプランとして現われておるか、承わりたい。
  266. 町田稔

    ○町田政府委員 調査地域等につきまして調査をいたしておりますが、この調査は実は閣議決定をいたした特定地域につきましても、閣議決定の際になお事業計画等についてまだ十分実情を調査した上で、一そう詳細な計画を立てる必要な部分が、残ったままの部分があるわけであります。それで調査におきましては、そういう点につきまして調査をいたしますとともに、調査地域につきましては、今後その地域を特定地域として指定する必要があるかどうか、あるいは特定地域として指定いたしました場合に、いかなる計画を立てるべきかということについて調査をいたしておるのでございまして、昨年度三十年度におきまして調査いたしましたものにつきましても、その結果に基きまして閣議決定されました分につきましての補完的な計画をその中に織り込む資料にいたしたい、あるいは今後の特定地域決定の資料に使って参りたいと思っておるわけでございます。
  267. 小松幹

    ○小松分科員 私はそれを言っているのではない。調査した結果が建設行政面にどういう形で予算的、あるいは具体的事業計画として現われていますか、当面少くとも三十一年にはどういう格好で現われたかとかいうのです。まだ現われていなければ現われていないでいいです。
  268. 町田稔

    ○町田政府委員 調査した結果が直接事業には現われていないのでございまして、調査した結果は、特定地域総合開発計画として計画の中へ取り入れられるということになるわけでございます。
  269. 小松幹

    ○小松分科員 その計画が、どことどこの地域が具体的してきたか。
  270. 町田稔

    ○町田政府委員 特定地域につきまして建設省分だけに限りまして申し上げますと、三十一年度につきましては約三十二億円の事業費が、各種の事業に分散して計上されておるのでございます。
  271. 小松幹

    ○小松分科員 その各種の事業費に分散されておるその主点は、おおむねどこに配置されておるか。
  272. 町田稔

    ○町田政府委員 これは持に主点ということは申し上げかねるのでございます。ただ計画実施するに際しましては、各種の計画の間にタイミングを合せる、総合的に調和を保って事業進行していくということを特に考慮いたしましてこの予算は計上されておるわけでございまして、特別にこの事業だけを総合開発計画のうち今年度は重点的にやるという意味における主点はないのでございます。
  273. 小松幹

    ○小松分科員 総合開発で調査して、その結果が建設行政面に総合開発という面で、どう現われておるかということを聞いておるのです。各面にそれぞれ予算面で現われておる、それじゃ何も総合開発などをやってわいわい言わなくてもいい。私は具体的に聞いているのです。調査した結果、こういう調査をしてこういう計画ができた。その計画は本年度こういう格好で、具体的にこの地域が打ち出された、これを聞いているのです。
  274. 町田稔

    ○町田政府委員 御質問に対して御満足のいくようなお返事がちょっとできなくて大へん恐縮なんでございますが、先刻も申しましたように、調査自体は来年度事業を具体化する調査ではないのでございまして、調査によりまして特定地域の総合開発計画を立てるのでございます。それでその総合開発計画が立ちますと、その計画を毎年度特に各事業間の調和を保ちつつ実施するために事業費を計上いたしております。ただたとえば三十一年度事業につきましては、総合計画関係の主務官庁であります経済企画庁におきまして、来年度は特にこの部分について各省間で仕事をするようにということを考えて、大蔵省と交渉いたしまして、その結果が各省間における国土総合開発計画事業として予算に載るわけであります。そういう形で参っておりますので、特別にことし調査したことが来年そのまま事業に出るという仕組みになっておらないわけでございます。
  275. 小松幹

    ○小松分科員 それはわかっておるのです。あなたはどういう係か知らぬが、私は調査費という項について聞いておるのですよ。ただ調査費ならば調査費でいい。しかしそれ以上のことを私は聞いている。調査して調査のしつぱなしで、おれは調査すればいいのだ、それで調査したものを出せばいいのだ——あとに対しての責任、国土総合開発の責任、一つのプランというものはあなたにはないのか、こう聞いている。そこで具体的にこの項について言えば、国土総合開発法に基く特定地域総合開発事業計画に定められた砂防事業を行うための経費というのを三億八千六百万円計上しておるわけですが、これはあなたの計画から出たものかどうか、あるいはこれはどういうところからどういうふうに出たのですか。
  276. 町田稔

    ○町田政府委員 国土総合開発計画として砂防に幾らの予算を割り当てるというのは、経済企画庁の方においてあんばいをいたしておるのであります。
  277. 小松幹

    ○小松分科員 それではあなたの方では国土総合開発に対するイニシアは全然ない、下請機関だけだこうおっしゃるわけですね。
  278. 町田稔

    ○町田政府委員 国土総合開発法に基いて建設省が担当させられております所管は、都府県において各種の計画を立案するのを指導しそれを取りまとめる。それを経済企画庁に経由機関として申達するという形になっておるわけであります。ただし調査費につきましてはこちらが調査予算をとりまして、調査実施いたしておるということになっております。
  279. 小松幹

    ○小松分科員 どうもあなたにお尋ねすればいいのかどうかわからぬ。大臣がおるといいのですけれども、砂防事業を行うに必要な経費として建設省に三億八千六百万円組んだのですね。その三億八千六百万円のイニシアは建設省にない、経済企画庁にある、こうおっしゃるわけですね。これはそう了解していいですか。
  280. 米田正文

    米田政府委員 今砂防の例をあげられましたが、他の、河川につきましてもあるいは道路につきましても港湾につきましても、特定地域に計画されておりますものは、総合的に事業を進めるために、毎年度予算を計上するときに、全体のバランスがどの程度になっておるかということを見る必要がありますので、三十一年度予算につきましても、それぞれの事業予算を総合計画の中に計上しております。ただしそれを予算に組みますときには総合計画費として組まないで、一応事業計画は立てますが、その予算に組むときには砂防は砂防、河川は河川、港湾は港湾、道路は道路というふうに各費目ごとにばらしまして計上をいたしておるわけであります。
  281. 小松幹

    ○小松分科員 私の聞いておるのは総合開発の建設面です。たとえば砂防とか道路とか、こういう総合開発の大きな要素になっておる面について、建設省としては調査だけでイニシアはとり得ないのかどうかということです。
  282. 米田正文

    米田政府委員 各事業別にはそれぞれの事業所管のところがイニシアチブをとりまして計画を立てて、その調整は企画庁でやります。最後の総合的な取りまとめは企画庁でやりますけれども、その企画立案のもとは各省がやっておりますから、むしろ逆に言いますと、あなたの言われるイニシアチブは各省、事業担当者がとっておる、あとのでこぼこ調整を企画庁がしておる、こういうふうにお考えいただくといいと思います。
  283. 小松幹

    ○小松分科員 そうなると、今度は逆に各省が総合開発に便乗して予算のぶんどりをしておるというふうにもとれるわけです。そこで総合開発のポイントというものがはっきり出てこない、こういうふうに考えるわけです。そこで道路局長かあるいはどちらになりますか、産業道路の構想はあるのかないのか、あるいは総合開発でそういうものを全然考えていないのか、またそういうものは実際審議の対象になっていない、上っていないからわざわざこっちから押しかけていってそんなことをやる必要はない、こういうお考えであるのか、その点どちらですか。
  284. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 産業道路の構想は持っております。ただ予算面には産業道路という項目では上っておりません。それぞれ道路の改良なり補修なりという面で入っておるわけであります。産業道路の面をもう少し強化する必要があろうかと考えておりますが、御存じのように道路計画は道路整備五ヵ年計画に基いて実施しております。その中にはむろん産業道路の構想はあるわけでございますけれども、最近のように総合開発の計画が逐次立って参りますと、それを予算面でもはっきりさせた方がいいのではないかという考えを持っております。
  285. 小松幹

    ○小松分科員 このたび道路公団を作って道路を作る。これはいわゆる商業ベースの有料道路だ。それから道路整備五ヵ年計画がある。これは主として既成道路の整備を中心にしておるのですね。総合開発の面における産業開発道路というのは商業ベースに乗らない。だから公共事業的な性格を帯びなければならない。そこでこの所管がはっきりしないわけです。産業道路というのは道路局がイニシアをとる考えなのか、総合開発としてはっきり打ち出していくのか、ここの問題なんです。そこで今道路局長は道路整備計画の中にそういうものを考えていこうということを言われましたが、現実としてそういう問題が起ってきたら、あなたはどういう格好でこれを行政面なり予算面なりに表わしていこうというお考えですか。
  286. 富樫凱一

    ○富樫(凱)政府委員 三十一年度の道路予算につきましては、すでに企画庁の方で調整いたしました道路計画というものを予算に盛っておるわけであります。その計画におきましては総合開発地域が示されますし、総合開発計画が示されますから、その中の道路の分については、道路整備の観点から個所を選んで参るということだけであります。そういうことで、三十一年度予算についてはすでにきまっておるわけでありますが、来年度以降につきましては、産業道路計画というものを打ち出す必要があるであろうと考えております。
  287. 小松幹

    ○小松分科員 総合開発は企画局長というのがあるのですか。
  288. 町田稔

    ○町田政府委員 計画局です。
  289. 小松幹

    ○小松分科員 山を開けば奥地林道があり、道をつけて山林資源を開発する。地下資源でもやはり林道あたりでやっていきますけれども、今や総合開発の面からすれば、ただ林道をつけるということではもう事足りないと思う。だから総合開発の面からすれば、ただ、林道をつけるということではもう事足りないと思う。だから総合開発の面で、産業道路の構想というものを計画に強く打ち出していかなければならない段階じゃないか。これなくして、毎年々々ただ調査費ばかり一千五百万円もとって、結果としては砂防が出てきた。砂防だったら、何も総合開発でとる必要はない。治山治水の砂防計画でりっぱにやれるわけです。あなたたの方で計画せぬでも、こっちにちゃんとベテランがおる。治山治水五ヵ年計画の中に砂防工事というものを織り込んでいけばできます。そういう意味で、産業開発道路というものを構想に描かなければ——総合開発というものは、電気を中心とした河川の総合開発というものが、過去において具体面に出てきて着々と進んでおる。今後の計画としては、産業道路開発計画というものを構想に描かなければならぬ。そしてこれが現実に予算面に出てこなければならぬと思うのですが、この点についての御所見を一つ伺いたい。
  290. 町田稔

    ○町田政府委員 総合開発計画を立てる目標というか、心がまえ等につきまして、今いろいろと御意見があったわけでございますが、私もそのように思っております。それで総合開発計画を立てます際には、その地方の実情によりまして立てます内容は違います。産業道路を計画の中に入れることもありますし、治水関係の各種の計画もその中に入るわけでございます。特にその計画を具体化する際には、各省に事業がまたがっておりますから、各省でその計画に従って専業化していくのでございます。その場合、もし所管を異にした事業を、各所管ごとにばらばらで考えておりますと、その地方の開発が非常に不合理あるいは非能率的に行われるということがあるのでございますが、総合開発計画ができておって、その開発計画の中から特に実施すべき道路をきめ、あるいは改修すべき河川の個所をきめ、あるいは砂防をきめて参りますれば、その特定の地域の開発がいろいろな意味におきまして調和がとれ、能率が上ってくるということなのでございます。それで事業自体は、分析いたしますれば、結局砂防事業になり、道路事業になり、あるいは河川の改修事業になるわけでございますが、それを選ぶ選び方が、特定地域の開発計画の中から選んで参りますれば、その地方の開発に最も役立つ事業ができていくという点におきまして、総合開発計画の意味が非常にあるというように考えておるのでございます。
  291. 小松幹

    ○小松分科員 私の希望することは申し上げましたが、特に難業開発道路というものが本年度予算に何もないのですが、これを考えてもらいたい。さらに今度は河川総合開発の面にいきますと、すでに何年間かやっておられるのですが、河川開発の頭打ちということが、ある程度考えられるか、考えられないか。
  292. 米田正文

    米田政府委員 御承知のように河川総合開発事業は、主として洪水調節を中心とするダムを建設しまして その利水面も可能な範囲では極力最局限に開発するという趣旨でできております。そこで頭打ちの限度といわれる御趣旨は、日本全国各地においてそういう計画が逐次ある程度進められてくると、開発地点が少くなってくるのではないかという御意見ではないかと思いますので、その点について申し上げますが、今申し上げましたように、河川総合開発はダム開発を中心にいたしております関係上、ダムの適地というものは結局限られております。従いましてダム適地がだんだん開発されてきておりますから、ある程度進みますと、おっしゃられる通り頭打ちの状態になる時期が来ると思います。しかしこれは相当の期間かからないと、その頭打ちまではなかなか参りませんけれども、そういう時期が、あるときにはくるということは想定をされます。ただその以外に、河川総合開発といたしましては、ダムを作るだけが唯一の方法ではなくて、ダムがなくても、河川の利用、保全の両面から適切な開発計画ができますところは、そういうものも進めて参る予定でおりますので、ダムだけと限定はいたしておりませんから、その点ではさらに範囲が広がっておると思います。
  293. 小松幹

    ○小松分科員 あなたに尋ねれば、常に河川総合開発を洪水調節にポイントを合せられる。それは河川局長だからポイントをそこに合せても無理はないと思う。そういう趣旨で総合開発というものを、川をせきとめて洪水調節をやる、そうしてそれを水路にして海潮用水にする、余った水で電気を発電すると考えておるけれども直轄でおやりになっているところは、あなたの趣旨がある程度までいっているかもしれぬが、直轄でない面では一あなたは洪水調節を考えているけれども、末端は電気を考えている、そこに幾分ズレがあるのじゃないか、これはお感じになりませんか、どうですか。
  294. 米田正文

    米田政府委員 私が申し上げました洪水調節を主とする、いわゆる治水を主とするダムは、他の利水の面も織り込んで計画をされておるのであります。実際の問題といたしましては、とかく利水の面が強調されまして、やはり平たくいえば、もうかる仕事の方に興味を持つというような傾向はなきにしもあらずと私も思います。しかしそれはどこまでも本筋をはずれておる考え方であります。少くとも建設省実施をいたしておりますのは、国土保全の立場から治水をするのが第一目的でございます。電気だけをやるものであるなら、これは電力会社なりあるいは電源開発会社なりがやるべき性質のものであり、灌漑だけをやるものであれば、これは農林省の所管実施すべきものでありまして、少くとも建設省実施をいたしておりますものは、徹底的に治水が中心でなければならぬのでございます。今おっしゃられるような点は、私ども計画を立てるときは治水を主とする計画になっておりますので、完成いたしました暁においては、その当初の計画を完全に実施させるというつもりでやっております。途中いろいろとやっておる担当者がもうかる仕事の方に興味を持って、それをどうも途中においては強調し過ぎるのではないか。あるいはでき上ってからも、そういう面の方にむしろ主点を置いて、洪水調節の方を軽視するんではないかというおそれについては、私どもとしてそういうことのないようにやる覚悟でございます。
  295. 小松幹

    ○小松分科員 それで洪水調節は、建設省だから無理もない、洪水調節を一番先に言わなければしょうがありません。ところがそういうものの予算は、ここに盛ってありますけれども、総合開発についても河川関係ではほんとに予算を盛ってあるのはここだけだと思います。あとはもちろん農林省に灌漑水利のものは載っておりますが、あとはおもに電力資金で財政融資をやっておる。そうなると、やはり一般会計から公共事業費として出るもののイニシアは、建設省が持たなければならぬ。ところがどうも補助事業に至ってはおんぶされておる。実際に洪水調節でもなんでも、仕事を計画されて、おんぶしてきて、幾らか総合開発、洪水調節という名を借りて予算をとるというようなことに対しては、実際その辺はどうなんですか。今後あり得べきことかどうか。同時にこれに対する規制ですか、これはどういうお考えを持っていますか。
  296. 米田正文

    米田政府委員 これは計画が府県から提出されましたときに、建設省におきましては、十分な内容の検討をいたしまして、私が先ほど申しましたような趣旨に従って徹底しておるかどうかを調べております。今やっておるものは、そういう規格にみな合っておるものでございまして、それを内容的に側々について申し上げますと、よくおわかりいただけると思いますが、みなそういうふうになっております。問題はでき上ってからの管理運営の問題になろうと思います。規則でそういうふうにきめておりましても、どうも電気と一緒にやりますと、洪水が出ましても、すぐ水を出してからにしておけばいいものを、水を捨てることは電気を捨てると同じで金を捨てるようなものでありますから、なるべく捨てないでおく。そうすると、せっかくの治水目的である洪水をそこにためるという能力がなくなってくるというようなことが実際問題としては起る危険がございます。今までにそういう実例もなかったとは申し上げられません。そこで私どもとしてはそういう竣工後の運営管理について十分監督し、遺憾のないようにいたしたいと考えます。
  297. 小松幹

    ○小松分科員 これはあなたの方にお尋ねするのはちょっと無理かもしれぬが、公共事業費として佐久間ダムみたいに、上に投下しておくと、下流発電ですか、これに対する一つのバック・ペイですか、もとを差し引くという考えについてはどうなんですか。
  298. 米田正文

    米田政府委員 これは上にダムを作っているときに、その下で発電をするものは別のものがするというような場合には、上流のダムの恩恵を下のものが受けるということがありまして、これは実はたくさん事例がございます。最近の愛知用水の問題についても、その問題が起きております。これは実は私の方の所管でございません。今経済企画庁が中心になりまして、通産省及びわれわれのところと相談をいたしまして、電源開発促進法の改正を今国会に出したいという準備を実はいたしております。それによりますと、今三者の相談の過程ですが、大体の意見は、下流の利益を受けるものからは負担を取るという建前にしようという考え方になっております。
  299. 小松幹

    ○小松分科員 これより入れば電気問題になりますから、触れないことにいたします。一応開発問題を終りまして、あとはございません。私の質問を打ち切ります。
  300. 河野金昇

    河野主査 他に質問もないようでありますから、建設省所管についての質疑は、一応終了いたしました。  本日はこの程度にとどめ、明三十三日は午後一時より開会することといたします。本日は散会いたします。    午後五時三十七分散会