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1956-02-21 第24回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月二十一日(火曜日)     午前十時五十五分開議  出席分科員    主査 河野 金昇君       赤城 宗徳君    稻葉  修君       竹山祐太郎君   山口喜久一郎君       井手 以誠君    小松  幹君       田中 武夫君    森本  靖君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         郵政政務次官  上林山榮吉君         郵政事務官         (電気通信監理         官)      松田 英一君         郵 政 技 官         (電気通信管理         官)      平山  温君         郵政事務官君         (監察局長)  久保 威夫君         郵政事務官         (貯金局長)  成松  馨君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      小野 吉郎君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君         郵政事務官         (経理局長)  八藤 東禧君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         郵 政 技 官         (大臣官房建築         部長)     小坂 秀雄君         郵政事務官         (郵務局次長) 渡辺 秀一君         郵政事務官         (電波監理局経         理課長)    館野  繁君         郵政事務官         (経理局主計課         長)      長田 裕二君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  秋草 篤二君         専  門  員 岡林 清英君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計予算郵政省所管  昭和三十一年度特別会計予算郵政省所管  昭和三十一年度政府関係機関予算郵政省所管     —————————————
  2. 河野金昇

    河野主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  本日は昭和三十一年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算郵政省所管について質疑を行います。質疑通告順にこれを許します。森本君。
  3. 森本靖

    森本分科員 それではまず郵政省関係一般会計の方から始めたいと思いますが、一般会計電波監理関係で本年度の増員は三十六名という形になっておるようであります。この三十六名についての具体的な数字を御説明願いたい。
  4. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 後ほどすぐに電波監理局長が参りますので、具体的な配置等についてはその際に一つ申し上げることに御了承願いたいと思います。
  5. 森本靖

    森本分科員 郵政省一般会計については、大体この電波監理がほとんど主でありますが、それではこのNHK予算関係がありますが、国際放送それから放送研究所、そういうものに対する郵政省交付金というものがあると思いますが、それについてはどのくらいになっていますか。
  6. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 一千四百万円ほど放送局関係において前年度より増額しております。
  7. 森本靖

    森本分科員 千四百万円昨年度より増加ということでございますか。
  8. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようでございます。
  9. 森本靖

    森本分科員 それでは総額で幾らになりますか。
  10. 濱田成徳

    濱田政府委員 九千六百七十五が五千円であります。
  11. 森本靖

    森本分科員 それはNHKに対して交付する金額が、全部でそうですが。
  12. 濱田成徳

    濱田政府委員 さようであります。
  13. 森本靖

    森本分科員 その中に国際放送に関する費用と、それから放送研究に関する費用とは、どういうふうに分れておりますか。
  14. 濱田成徳

    濱田政府委員 九千六百七十五万五千円というのが海外放送に対する交付金全部であります。ちょっと聞き漏らしましたが……。
  15. 森本靖

    森本分科員 放送法の第三十四条には、放送進歩発達をはかるために必要と認めるときは、協会に対して研究を命ずることができるというようなことがありますが、今日NHK放送技術研究所というようなものについては、こういう項に当てはまることではないわけですか。
  16. 濱田成徳

    濱田政府委員 今の金額にはその研究費用は入っておりません。
  17. 森本靖

    森本分科員 そうすると、NHKに関して放送進歩発達をはかるために研究を行う経費は、今日郵政省からNHKに対して交付されておるものはないんですか。
  18. 濱田成徳

    濱田政府委員 それは毎年要求はしておりますけれども、本年は計上されておりません。
  19. 森本靖

    森本分科員 私も詳しくはわかりませんが、放送法の第三十四条との関係はどうなるんですか。
  20. 濱田成徳

    濱田政府委員 放送研究のために必要があるときには研究費を支出してやってもらいたいということになっておると思うのでありますけれども放送協会みずからの手によってこの研究はなるたけやってもらいたい、そういう見解のもとに、なかなか政府から研究費を出すというところまでいかないんだろうと考えております。
  21. 森本靖

    森本分科員 その点は私もまだ詳しくは知りませんけれども放送協会はこの三十四条に照らしたところの放送に関する研究を日常行うために、そういう研究所設備があるんじゃないんですか。
  22. 濱田成徳

    濱田政府委員 それは放送協会放送技術研究所がありまして、放送協会自体研究の推進あるいは日本における放送技術進歩改善に資するというようなことで、放送協会ができているはずであります。
  23. 森本靖

    森本分科員 大体三十四条、三十五条の趣旨からいくと、今国際放送については回答がありまりましたけれどもNHKがそういうように放送技術その他に関して研究所を持っておるということについては、一々こういうことを研究せよというように郵政大臣が命令しなくても、常時放送協会研究しておって、研究所を持っておるということについては、この三十四条の一項に当てはまるのじゃないですか。
  24. 濱田成徳

    濱田政府委員 まさに仰せの通りでございまして、研究所を持っておりますから、郵政大臣研究費を交付して、こうこうこういう問題をやったらどうかと言わなくても、大体において放送に関する技術研究は推進し得るものと考えられます。けれども場合によりましては、こういう世界の情勢から推して、この技術研究はやってしかるべしということを強く郵政大臣考えられた場合には、その研究費用を交付して、特に力を入れてやった方がよかろうという場合もあろうかと思います。たとえば天然色テレビジョン等の問題につきましては、日本の現状ははなはだ不満足であります。放送協会における研究状態もまだまだ十分ではないと思います。また一般の民間諸会社等における研究も満足できない。そうしたときに特に力を入れてこの方面をやってもらいたいということを郵政省では考えまして、そういう希望をこの二、三年来述べて、研究費を交付しようという計画を立てておったわけであります。そういう場合もあるわけでございまして、放送協会にまかしておいてそれで何もしないでもいいとは考えておらないわけであります。
  25. 森本靖

    森本分科員 そういう答弁がありましたけれども、今年度の予算では国際放送に関するものが九千六百七十五万五千円しか交付されてないということですが、元に戻りまして、国際放送の九千六百七十五万五千円という交付金でありますが、NHKの三十一年度の予算額の中における国際放送の占める費用というものは、どういうふうになっておりますか。
  26. 濱田成徳

    濱田政府委員 NHKが三十一年度において国際放送のために使おうとしておる総額は一億九千万円の予算であります。そのうち九千六百七十五万五千円を政府から交付するわけであります。
  27. 森本靖

    森本分科員 そうするとNHK国際放送に対する経費は一億九千万円、その中で郵政省が交付しておるのが九千六百七十五万五千円ということになるわけですね。
  28. 濱田成徳

    濱田政府委員 さようであります。
  29. 森本靖

    森本分科員 そこで私はお聞きしたいのですが、放送法の第三十五条というものと第三十三条というものとの関連を、大臣はいかにお考えでありますか。要するに三十三条では「郵政大臣は、放送区域放送事項その他必要な事項を指定して、協会国際放送を行うべきことを命ずることができる。」それから第三十五条では、「前二条の規定により協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする。」第三十四条というのは放送に関する研究の問題ですが、そういうことがはっきり載っておるわけであります。この条項予算との関連をどうお考えですか。
  30. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。国の負担という点については、国の財政の許す限り負担していくというように考えております。放送協会自体がその収支バランスをとっていく上におきまして、そういう方面に使用する金が幾ら出るかというようなところもにらみ合せて、それをいささかでも国が負担してやるというふうに考えて、この場合私はさしつかえないのではないかと思っております。
  31. 森本靖

    森本分科員 大臣はそれを常識的に御回答ですけれども、この条項は一部負担するとか、補助するとかいうような条項ではない、字の通り読んでみると、協会の行う業務に要する費用を国が負担するとはっきり載っておる。そうするとこれはやはり国が全部負担して行うというのが正当じゃありませんか。
  32. 村上勇

    村上国務大臣 それは先ほど申しましたように、国の財政から見て負担するのでありまして、もしも国が負担することのできない場合には、放送協会海外放送というものは全然やらないかということにもなりますが、国の負担放送協会のみずからの力、これが相待って私はそういうような研究あるいは国際放送等に力を入れていくということが、放送協会趣旨からいってもそういうふうにあるべきものではないかと思っております。国としては国の財政の許す限り放送協会負担の軽重を考えながらこれに助成していくことが、常識というよりもやむを得ないのじゃなかろうかとも思っておりますから、放送協会負担が重いというように考えた場合には、国としては少しでも多くの負担をしていこうというように、常識的にもそういうふうに取り計らっておる次第であります。
  33. 森本靖

    森本分科員 法律を扱う者は常識でといっても、やはり法の命じておる通りやるのがほんとうだろうと思うのですが、それはそれとして、そういう趣旨でそれではまあ今年度の財政的な計画から、さらにNHK予算状態から、一億九千万円要る中で九千万円しか補助ができない、そういう答弁大臣からあって、財政上その点はかりにやむを得ないとしても、NHK国際放送を行うということは、国際放送そのものについては今の段階においてはもう全然収入にはならぬわけですね。そうするとこの国際放送がかりに一億九千万円かかるもので、九千万円しか国が補助しないということになると、NHK国内における今後の施設拡充あるいは難聴地域解消、そういう大衆諸君に対するサービスというものが、おのずからそれだけ低下するということになるわけですね。だから放送法建前からすると、NHKというものは公共の福祉のためにあまねく国民に対して放送サービスを提供するという建前になっておるわけです。それをこの国際放送というものは、大体元来が各国ともその国々の特色を出した国際放送というものが行われているのが今日の状況ですね。それをNHKのいわゆる経理負担させるということは、それだけ国内において国民の利益を受けることが少くなるということになるわけですね。事実その通りなんだから……。それがために三十五条にこういうものについては国が負担をしなければならないということが載っておるわけです。そこでもう一ぺんその間のいきさつというものを大臣はどうお考えになるか、一般国民に対する放送サービスという点と国際放送という点とを考えてみると、いま少しこの国際放送については考えなければならぬ点が出てくるのではないかということを私はお聞きしたいのです。
  34. 村上勇

    村上国務大臣 ごもっともな御質問でありますが、NHK公共性から申しましても、国内放送に支障を来たすようなことがあってはならないのであります。これも程度の問題でありますけれども、そういうことがあっては断じてならない。しかし国際放送もまたNHK公共性からいって、どうしてもやらなければならないことであります。ただ九千何百万円という補助金が少いというような点も考えられますが、政府としては最小限度放送は九千五百万円あれば間に合う。それから先はNHKがいわゆるNHK公共性からそれ以上にまずサービスしていくというあり方で、これ一億九千万かかっているということにもなっているとも私は思います。私ども立場からは九千数百万円の助成をすれば、それで一応最小限度の目的を達成することができる、かように思っておるわけなんです。
  35. 森本靖

    森本分科員 なるほど大臣のいわれるように、国際放送の方については、それだけのことでどうにか間に合わすことができるわけです。ところが今年度の放送協会予算というものは、まだ上程されておりませんから、私たちはその内容というものを知りませんけれども、聞くところによると、この前の第二十二国会において、私たちが三十年度のNHK予算について、いろいろ質問をいたしましたときに、今後のNHKのいわゆる施設拡充計画というものが示された。ところがその拡充計画というものがかなり今年度の予算から全幅的に落されておるということを聞いておるのです。もっともこれは三十一年度のNHK予算が出てこなければ私たちはわからぬけれども、しかしやはりそういう点が出てきておるということは、この間の事情を説明しているのではないか。国際放送はそういう理屈によって間に合いますよ、間に合いますけれども、肝心の国内においてNHKがさらにサービスを増強していこう、難聴地域解消していこうというところに大きなしわ寄せが来ていることになるのです。だからNHKあり方その他から見ると、これは確かに国際放送というものは、実際問題として一文収入にもならぬわけです。そういうことがあるためにこの三十三条と三十五条をもって、国が大体そのことを補ってやるということを言っておる。おっしゃるように、なるほど国際放送そのものについてはつじつまは合っておるが、今度は国内の方にしわ寄せが来て、それだけNHKサービスを受けるのが減ってくることになる。そのことを私は言っておる。それでは国内における聴取者犠牲において国際放送を行なっておる、こういうことに理屈がなるのではないですか。
  36. 村上勇

    村上国務大臣 ただいまの国内犠牲においてということでありますが、私どもとしてはNHKに別に一億も三億も国際放送に金をかけろとか、あるいはかけるなとかいうことは、これを命令することもできませんし、また国内難聴区域についても、これを解消せよというような要請はいたしましても、われわれがNHK収支その他について、郵政省としてそれに立ち入って、どうこうするだけの権限は許されていないのでありますから、NHK自体でこの程度の金を国際放送にかけても、国内聴取者に対するサービスの点は、大した影響はないというようなことを自主内に考えられての、国際放送予算の組み方だろうと私は思っております。その点NHKほんとう内容について、またよってもってこれがどうなったかというようなことについては、郵政省としてそこまで立ち入ることのできない現行法であるのじゃないかと思っております。
  37. 森本靖

    森本分科員 これは事務当局監理局長に聞いたらいいと思いますが、NHK予算は一応NHKのいわゆる理事会経営委員会等を通って、それから郵政省を通して国会に承認を求めるという段階になるのですが、郵政省としてはそのときに一体何をするのですか、これを見るだけですか、見てそのまま国会に送るのですか。
  38. 濱田成徳

    濱田政府委員 郵政大臣は、NHK予算について意見を付して国会に提出することになっておりますけれども協会当事者は、前もっていろいろな資料を郵政省に持参しまして、郵政省電波監理局当事者といろいろ相談をいたします。郵政省としては、ある程度意見NHKに対して述べる、そして今お話がございましたように、難聴区域解消だとか、難聴もいろいろございますが、それにつきまして今年はこうしなければいけないだろうというふうな意見をあらかじめ述べる機会は持っているわけであります。それから、ただいまお話国際放送につきましても、政府としましては、できるならば国際放送の方向は、もっともっと時間等を増すようにしたいのだという強い希望を持っているわけであります。そういう希望につきましても、いろいろ私ども意見を述べ、それで先方の賛成も得て、三十一年度の予算原案的なものを作るように取り運ぶということをやっておるわけであります。  それから先ほど大臣からお話がありました国際放送難聴の問題について、私この際補足したいと思います。NHKの使命は放送全国あまねく受信するように行うべきであるという明文がございまして、難聴区域解消全国難聴であれあるいはローカル難聴であれ、これの解消をすることが最も大きな任務でございます。それにつきまして全力をあげてこれに努力することは当然なことであります。従いまして第一の重点をこれに置いて、この放送法に書かれた精神の貫徹に努力するように予算を組んでいるものと考えております。  国際放送につきましては、日本が再建されるときには、ことに日本立場日本のいろいろな情勢について広く国際的に認識を深めるようにいたすこと。それから各地方に散在している日本人に母国の状態、あるいは立場等をなるべくはっきりとわからせるようにやる。その意味を持ってこの国際放送計画されているものと考えております。かような国際放送を行うところは、日本放送協会以外にはないのであります。国民のものであるといってもいいような日本放送協会をして、かような放送を行わしめることは、当然なことであろうと思います。これについて政府日本放送協会もともに力を入れて、日本放送協会はある意味では自主的にもこれをやるべき任務がある。また政府もこれを行わしめるには相当な犠牲を払わなければなりませんので、できるだけ多額の費用日本放送協会に交付するように配慮するのが当然であろうと思います。そういう意味におきまして、国際放送も大事である、それから放送法に書いてあるところの全国あまねく放送を受信するために金を使うことが一番大事である、そういう意味におきまして、そのバランスをとってこのような予算の配分となったものと考える次第であります。
  39. 森本靖

    森本分科員 大臣監理局長の方からそういう説明がありましたけれども、今の電波監理局長の話を聞いても、大臣に一つよく考えてもらいたいのは、放送協会予算については、郵政省が全然手をつけられぬというわけではないのです。よく話し合いをして、その上において郵政省としては電波監理行政の点からいって、NHK予算についてはこうやってもらいたいという希望があるならその話し合いをやって、どうしてもNHKがきかない場合は、郵政省としてはそういう意見を出せばいいのでしょう、そうじゃないのですか。
  40. 村上勇

    村上国務大臣 従来は大体ほとんどNHKから出てきた予算書というものに対して、郵政大臣はこれにおおむね妥当であるという程度意見書をつけて国会に提出しております。従って郵政省がこういう予算ではいかぬというほど中へ立ち入って指図をしてやるということは、従来とってきておりませんが、法の解釈についてはまた事務当局から御答弁いたしますが、私は従来の郵政大臣NHKに対する監督は、単なる監督であって、ただ単に意見書をつけて出すというような程度ではないかと思っております。
  41. 森本靖

    森本分科員 これは一ぺん確かめておきたいのですが、法の建前からすると、NHKとしては三十一年度に大体こういう予算を上程したいといって持ってくる。そうすると、郵政省としては義理合いとしてざっと目を通して、これは最も妥当なものである、こういうことで出すのが慣例ですか。郵政省はそんな全然権威のない目の通し方をするのですか。
  42. 濱田成徳

    濱田政府委員 NHKから出されました予算書につきまして、これは妥当である、何ら文句のつけようがないといって出すということはないわけであります。これにつきまして、大臣の思われることを十分意見を付して、こういうところは感心しない、あるいはこうすべきであるとか、あるいはこういうふうに運用すべきであるというような意見を付して提出いたします。しかしNHKに対してこうこうしなければならないというようなことを郵政大臣から命令する権能はないのであります。そういうこまかい監督権能は付与されておらぬと私どもは解釈いたします。ただ先ほど申しましたように、NHKは、予算原案を作る場合に、その全部を持って来てやるかどうかわかりませんけれども、その内容について、郵政省電波監理局当事者に対して、こうこうこういうようにしたいのだがというような下打ち合せみたいなことは、今までの慣習上やっているということでありまして、正式にNHK予算に対して指揮命令をするというふうな条文は、何も放送法等には書いてない。でありますから、大臣が、意見書を付して出す以上のことはできないんだと言われたのは、正当だと思います。
  43. 森本靖

    森本分科員 そこで大体やっておる慣例内容が明らかになったと思うのです。なるほどこまかい数字をあげて、これはこう直したらいい、これはああ直したらいいというところまではやらぬけれども、一応NHK原案が出て、これを郵政省へ持って行ってあらかじめ話し合いをする。だから普通郵政大臣は、これは最も妥当な予算であるから御審議を願いたいという意見を付して、国会に上程をする、こういう段階にあるわけでしょう。だからその間において、郵政省NHK十分話し合いをする余地がある。そうすると、その間において国内難聴地域をいかにして解消していくか、それから小電力を大電力に持っていくか、あるいは中継所をどこに拡張するか、こういうことについてはNHKから事こまかに一応の報告がある。それに対する経費が何ぼ要る、そうすると国際放送は今度はどのくらい要る それに対しては予算上どれくらいの補助をしてやらないと、こっちの方が埋め合せがつかないということになってくるのでしょう。そこで私が言っておるのは、そういう話し合いをする際に、国際放送に要する金は一億九千万円要る。その場合に、郵政省の方からわずか九千万円の補助しかないということになると、あとの一億円だけの金というものは、国内における放送設備拡充強化というものがそれだけできなくなってくることで、これは事実私が言う通りでしょう。だからそういう話し合いをするときに、国際放送がそれだけかかるなら、国際放送の規模をもうちょっと狭めるとか、あるいは一億九千万円しか金を出せないのだ、そのかわり国内国内で全部計画通り充実しよう、そういう意味での話し合いはできるだろうということです。そういう話し合いをする際に、これだけの開きがつくということは、はなはだもって、あなたは財政NHKに交付する金はこのくらいしかないというけれども、そういう点の開きが私はあまりにもあり過ぎると思う。こういう国際放送に対する交付金というものは、もっと見合うようにしなければ、結局はNHK国内設備が弱化されていくということを私は指摘しておるわけです。それをあなたはいつもの答弁通り財政上、政治上全般からにらみ合せましてという答弁で、お茶を潤しているわけですけれども、そういうことでなしに、国際放送というものは、あなたも御承知の通り一文収入にもならぬわけです。その一文収入にもならぬ国際放送が、国際的な感覚なり外交上からいうと重要な問題である、そういうことによって放送法においては明らかに国がそれだけ負担しなければならぬということを明示されておるわけです。だからそういう観点からいうと、いま少し予算面においても国際放送というものの重要性を認識してもらいたい、こういうことを大臣に私は言っておるわけです。どうですか、大臣はこのくらいの金で予算閣議で満足したのですか。
  44. 村上勇

    村上国務大臣 われわれの方からの要求はもう少し大きいのですが、これはやはり先ほども申しましたように全体の財政から、というと森本委員からまたえらく突っ込まれますが、国の財政の全般から見て、実際それだけぐらいしかNHKに助成する金がない。その九千五百万円という金は最小限度国際放送を維持するに足る金である。しかしそれから上は、NHKがあまり国内難聴区域等の聴取者に対して御迷惑をかけない程度に、NHKのいわゆる公共性からこれにいささかプラスをしてやっていくというようなことは、これはNHK収支の全般を見きわめて、先ほども濱田局長から答弁がありましたように、電波監理局NHKが相当に相談をして、そうしてNHK予算というものができ上ったと私は思っております。
  45. 森本靖

    森本分科員 これ以上この問題についてやっても、またコンニャク問答になると思いますが、とにかくこの放送法第三十三条と三十五条の意義というものを十分考えて、この国際放送の重要性ということのために、三十五条というものを明確に持っておるわけですから、この点もよく御記憶を願っておきたいと思うのです。NHK予算その他については、いずれ逓信委員会で十分にやりたいと思います。  それからもう一つ先ほどの三十四条の項に戻って、これは私たちがいつも言っておるように、将来この着色テレビの問題についても相当重要性を増してくると思うわけです。今日諸外国においてはそういう問題について着々と研究が進められている、ところがそういう技術研究というものについてはNHK放送技術研究所というものがなるほどありますけれども、そういう研究をさすことについては、一応第三十四条の趣旨に基いて郵政大臣が一つ十分に研究をせよ、それについてはどれだけの経費が要るか、それについてはこれだけの経費郵政省負担しようじゃないか、ということをもう今年度の予算でやってしかるべきじゃないのですか、そういうことを全然今年度の予算でやってないのでしょう。もうあなた、今日においては日進月歩の時代ですよ。そういうことであったら、この三十四条の項を適用してNHKにそういうことを命じたらどうですか。
  46. 村上勇

    村上国務大臣 今年度の予算編成の際には相当な額を要求したのでありますが、遺憾ながらこの種の方面に回す財源がないということで、われわれの要求もいれられなかったのであります。この点御了承願いたいと思います。
  47. 森本靖

    森本分科員 これは私がここでいまさら喋々するまでもないけれども、今後の放送関係についてはテレビという問題が一番重要になってくるということは、識者の見るところでも明らかですよ。諸外国のテレビ関係における進歩発達は著しいものがあるのです。着色テレビについてはもう相当の研究が進んでおらなければならぬ段階なんです。そういう段階において、要求したけれども財政全般からにらみ合せてそれは削られましたというようなことでは、こういう文化事業を担当する国務大臣として私はあまりにもいくじがなさ過ぎると思うのです。今日世界のテレビの発達の状況からいったら、これは今年度ぐらいにもう着手しなければならぬ事業なんです。まあそれだけ鳩山内閣というものは、結局こういう日進月歩の科学を伴うものの行政について、あまり熱意がないというふうな格好にとられても仕方がないわけです。これはこの間の逓信委員会でも、この方面の権威である松前氏がるるこれを説明して、それに対して大臣も今後は一つ十分考えますというふうな答弁をしている口の下で、今年度の予算では一つも考えておらぬ、これは来年度まで全然考えが及びつかない、こういうことになるわけですね。その口上は口上でなかなかいい口上を言われるけれども、実際にそれを実行に移す段階になると、財政全体からにらみ合せまして、政治情勢からいたしましてやむを得ぬということでは、何にもならぬと思うのですよ。その辺はどうですか。
  48. 村上勇

    村上国務大臣 NHK自体も自主的にこの研究をできる限りやる、それから郵政省においても、この点に関しましては森本委員の言われるようにこれを軽視しておるものではありません。どこまでもこれを重要視いたしておりまして、いろいろな対策を講じておりますが、事務当局からその具体的なことについてお話申し上げます。
  49. 濱田成徳

    濱田政府委員 天然色テレビにつきましては、ただいまお話がありましたようにきわめて重要な問題だろうと、私ども人後に落ちないつもりをもって考えております。これにつきまして日本の現状は先刻申し上げました通りはなはだ遺憾でありまして、一般製造会社の研究所あるいは大学あたりの研究所でもあまりはなばなしい研究を展開しておりません。ひとりNHKだけがここ数年来、天然色につきましては基礎的研究、特に外国でやっているものについて、その日本における実現の可能性についての研究をやっております。しかし私ども考えでは、今のNHK研究状態ではおぼつかない、もっともっとうんとやらなければいかぬという考えをもちまして絶えず拍車をかけて、研究所に行ってみたり、あるいは研究委員会を作ったりしてやっておるのでありますけれども、同時に自主的に研究費NHKに出して、こういう特定の方面研究に力を入れてもらいたいということを要望する予算も組んだわけでございます。一千万円弱の予算を三十一年度は出して、それでぜひこの方面だけやってもらいたいという要望をいたしたのでありますけれども大臣お話のように先般実に残念ながら削られるようなことになったのであります。これは決して私どもが不熱心であるとか、あるいは郵政省として考えてないとかいうようなことでなくて、一生懸命やっておるわけであります。この天然色テレビの問題は、この予算がかりに削られましても、郵政省としては何とかして世界の進展に立ちおくれをとらないために、いろいろな方策を講じていきたい。たとえばこの三月には国際無線技術委員会の天然色テレビのデモンストーションがニューヨーク、へーグ、ロンドン等で開かれます。これに対して日本からも代表が出席しまして現状を観察して、将来の天然色テレビの技術基準等を討議する材料を得るために、国内のテレビジョンの専門技術者を派遣するように計画を立てております。電波管理局から一名出すように計画を立てて、万遺憾なきを期しておる次第であります。その点は、ともかく予算が足りないけれども、ベストを尽すようにしよう、こういう念願と、実行力を示そうとしておりますので、御了承を願いたいと思います。
  50. 森本靖

    森本分科員 この問題はこれ以上追及しても、いいことはいい、どうしてもやらなければならぬ、しかし財政全般上からやむを得ない、できるだけのことをやってみる。これは昔の「ほしがりません勝つまでは」「無手でも戦え」という理屈と一緒であって、ほんとうのところそんなことを言っても何もならぬ。しかし事務当局の、ないながらもせっかく一生懸命やろうという熱意だけはわかりますので、その点は十分買いたいと私は思いますけれども、この天然色テレビの問題についても、特に国際放送の問題についても非常に重要な問題ですから、郵政大臣としても本日の予算委員会におけるこういう質問討議の内容については十分に御記憶を願って、将来ともこの点については御努力を願いたいと思うのであります。  それではこの国際放送とテレビジョンの問題にかわりまして、次にもう一点郵政省一般会計の問題に移ります。電波監理関係で今年度の予算を見てみると、三十六名の増員になっているわけでありますが、この三十六名の増員というのは、どういうふうに配置されるものであるか。
  51. 濱田成徳

    濱田政府委員 地方の電波監理局に三十名、それから電気通信監理官室に十名、しかし電波監理局から電気通信監理官室の方に四名回すということになっておるのでありまして、結局において電波監理局の方では二十六名ということになっております。
  52. 森本靖

    森本分科員 その地方の電波監理局関係に回す三十六名というものの各電波監理局の配置状況をちょっとお聞きしたいと思います。
  53. 濱田成徳

    濱田政府委員 それは十カ所の監理局があるのでありますけれども、三十名をどうやるかということにつきましては、具体的には決定しておりません。
  54. 森本靖

    森本分科員 そういうことを具体的に計画されずに、三十名というものを地方の電波監理局にばらまくということによってだけで予算を上程するわけですか。各電波監理局において今年度の無線通信その他のいわゆる検定試験についてはこれだけである。それから電波の監視業務についてはこれだけ、検査関係についてはこれだけであると、地方の電波監理局関係からそれぞれ上申があって、それに基いて、検査はこれこれ、検定はこれこれ、電波の監視はこれこれということによって要員というものが予算として要求されておる。それを全国あまねく三十名だ。それを各電波監理局に配置することはまだ考えておらぬということでは、それじゃ予算が通ったあと、自分のところの勝手にやるということになるのは、非常に不合理だと私は思う。この三十名の各地方の電波監理局に対する配置の状況をお聞きしたいと思います。
  55. 濱田成徳

    濱田政府委員 私の説明が悪かったのでありますが、地方監理局には欠員等があったりするのでありますが、ある電波監理局には二名、あるところには三省、あるところには一名、あるいはないところもあるということで、大体の計画はむろん立ててやっております。そういうわけで、三十名を今後欠員等とにらみ合せて正確なる配分をきめよう、そういう段階であると御承知願いたいと思います。
  56. 森本靖

    森本分科員 私が言っているのは、今の電波監理局関係においては、各電波監理局における欠員の状況と、それにおける休職あるいは療養、軽業、要注意というようなものを全部電波監理局において集中されて私はわかっておると思う。その上に立ってどういうふうな配置をしようと考えておるかということを私は聞いておるわけであります。なぜ私がこれをしつこく聞くかというと、私はこの間正式に逓信委員の資格で、中国と四国に同僚の秋田委員と一緒に行ったわけでありますが、電波監理関係における要員の要求というものは非常にすさまじいものがある。しかもその業務内容を見ると、非常に気の毒な点もあるわけであります。だから特に私はそれを聞いておるわけです。
  57. 濱田成徳

    濱田政府委員 それにつきましては詳細な数字を後刻持って参りまして御説明申し上げます。
  58. 森本靖

    森本分科員 それではその詳細な数字が出てからにしたいと思いますが、問題はこの三十名の電波監理関係に出すところの要員によって、今日の地方電波監理局関係業務が完全にでき得ると考えておるかどうか。私は非常に疑問に思う。たとえば、ここに調べてきたグラフもあるわけでありますが、これは四国関係電波監理局の、この間視察に行ったときの調書でありますが、無線通信士の免許の検定関係については、二十六年四月現在において受験者が四百七十六名に対して、職員が六名でこれを処理しておった。ところが三十年四月現在において三千四百十三名と約七倍にになっておって、わずか七名の職員になっておる。わずかに一名しかふえておらぬ。これをどういうことによって処理しておるかということを監理局長を呼んでよく聞いてみますと、その他の官房のようなところにおける共通関係の者を引っぱってきて、そうしてそっちの方がお留守になるというふうなことで、この試験検定をようやくやっておる。あるいはまた電波の監視業務についても、これと同じようなことがいわれる。あるいはまた検査関係においても同じようなことがいわれる。今日小型漁船あるいは中型漁船で無線装置を持たないものがほとんどないというような段階において、こんな電波監理要員で、今後日進月歩で発展していくところの複雑多岐な電波監理行政を完全に行えるとは私はどうしても考えられない。また行政官庁の中において電波監理行政ほど日進月歩で増加していく仕事はないわけであります。そういう状況において、今年度三十六名、しかも電波監理局関係においてわずか三十名というような配置では、電波監理行政がうまくいくとはとうてい考えられない。これが満足にいくということを数学的に明らかにしてもらいたい。郵政大臣は責任を持って電波監理行政が完全に運行できるというふうに考えておるかどうか。これは数字が明らかに示しておるのです。二十六年四月に検定の受験者がわずかに四百七十六名です。これを六名でやっておる。ところが三十年四月になると三千四百十三名と七倍になっても要員はわずか一名の人間しかふえていない、こういうことでこの重要な電波監理行政が行われていくかどうかということについて、はっきりした御回答を願いたいと思う。
  59. 濱田成徳

    濱田政府委員 御指摘の増員がきわめて少いということにつきましては、私どもも全く遺憾に思い、また困っております。今おっしゃいましたような試験の問題につきましては、仰せのごとく非常に困っておりまして、ほかの任務以外の人を動員したり、あるいは臨時に人を雇ってくるというようなことをやっております。そのほか無線局の激増は近年すさまじいものがあるということも仰せの通りでありまして、これにつきましては非常に難儀をいたしております。三十一年度も四百九十何名の増員を要求したのでありますけれども、三十六名となったことはまことに遺憾にたえないところであります。これにつきまして私ども考え方といたしましては、こういう現状をいかにして打開するか、これはまことに困難でありまして、とほうにくれたような気持がするのでありますが、何とかして今年だけは能率向上あるいは配置のやり方等を鋭意研究いたしまして、何とかして困った状態を切り抜けたいと考えているわけであります。しかし現状においていいということじゃございませんで、ぜひ皆さんの御了解を得まして、なるべく早く来年度からでもこの画期的な進歩、変貌、改善を遂げつつある電波管理行政方面に協力していただくように非常に強く念願をしておるわけであります。
  60. 森本靖

    森本分科員 私も今初めて聞いたんですが、四百九十何名要求して三十六名だということは、大臣も一つよく考えてもらいたいと思うのです。これが何十万たとえば二十万とか四十万とかいうところにおいて二千人、三千人ということになると、範囲が非常に広範囲ですから比較的に影響は少いわけです。ところが電波監理関係みたいに非常に定員が少いところにおいてこれだけの削減をするということは、実際問題として非常な困難な業務内容になるのです。もう一つ電波監理行政というものは、今日の行政官庁の中において一番増強していかなければならぬ職場なんです。今日の電波の日進月歩の状態からすると、ここだけはどうしても確保しておかなければ、将来の日本の電波行政というものは麻痺してしまうのです。電波監理関係においてはこれだけ重要な段階になっておるのに、しかも四百九十何名が三十六名に減らされるということは非常に残念なことであり、実際のところ理屈に合わぬことなんですよ。これをどうお考えですか。
  61. 濱田成徳

    濱田政府委員 三十六名しか配当がなかったということはまことに遺憾であります。ただいま森本委員の御説はほんとうにごもっともでありまして、大臣はむろん、私どもも決してこれでいいと思っているわけではございません。先刻も申しました通り、何とかして今後はこれを改善するように、あらゆる努力をいたしたいと念願しております。これは郵政省あるいは電波監理局だけでなしに、国会、各界の御認識が要るのでありまして、皆さん方のこの問題はこういうふうな解決をやらなかったら、日本のためにならないという御認識に立ってのみ解決できると考えるのであります。そういう意味におきまして今後ともぜひ御支援御指導のほどお願いしたいわけでございます。  ついでに申し上げたいのでありますが、先ほどお話の、かように少い人員をもっていかに業務を取り計らうかと由しますれば、たとえばいろんな無線器機の検査、検定というような問題があります。そういうものは一つ一つについてやらないで形式の検定というようなことをやるように改める、あるいはこれもまだまだ遺憾しごくの域を脱しないのでありますけれども、測定機等の改良、大きく言えば近代化をして、オートメーションみたいなものに改良したり、いろんな工夫をこらして、少い人手をもってなるべく正確に仕事をやるようにしたいということで、しょっちゅうわれわれも協議し、また本省の者を地方に出張させましてそういうふうに指導させたり、とにかくできる限りあらゆる範囲のことを今やりつつある段階であります。この点は今はやむを得ない状態である、将来を期そうということで御了解を願いたく、なお御協力御指導を願いたい次第であります。
  62. 森本靖

    森本分科員 この問題だけ言っておっても仕方がないのですが、さっきからの答弁は、私どもからの質問に対して、ごもっともである、だからやらなければならぬ、ただし財政上やむを得ない、こういうことである。しかし実際問題として日本の科学の先端を行かなければならぬ電波関係は、日本の将来の発達ということについて非常に関係の多い問題である。ところがこれが案外に等閑視されておるということが今ここではっきりしたわけです。こういう点はよく所管大臣として考慮されることを、特に私は要望しておきたいと思います。  それからこの点で特に注意しておきたいのは、元来郵政省というのは、今の状態ではたれが見ても大体郵便貯金と保険が主なので、その中に電波監理があるということを知っておる人は数が少いと思います。ところがこの電波監理というものが一番重要な行政なのであります。外から見ておると、ややもするとまま子扱いされるような気がしてならないのですが、そういうことでなくして、これが一番重要な行政機構であるということを十分認識して、その発展に御協力願いたいと思うのであります。もう一点この電波監理関係については、この電波監理関係の従業員の待遇問題ですが、これは一般現業官庁に比べてどうなっておりますか。大体同水準に行っておりますか。
  63. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 森本委員のお尋ねは給与ベースのことでございましょうか、もし給与ベースといたしますれば、一般官庁と同じような方式をもってやっておるのでございます。
  64. 森本靖

    森本分科員 私の考えておるのは給与ベースというよりも——しいてベースといえばこの中に全部含まれるのでありますが、俸給、超勤、その他すべての収入というものを含めて、その勤続年数、いわゆるその人の級、そういうものが同格の現業官庁の者と比較して、大体収入というものが見合っておる格好になっておるか、と申しますのは、ここで私が申し上げますのは、誤解があっては困りますけれども一般の行政官庁と電波監理行政官庁とはおのずから違ってくると思います。一般行政官庁から見ると、現業官庁は労働量においても、その仕事の内容においても、これは常に水準が大きく開いておると思います。ところが電波監理行政というものもなるほど一般会計に属して、一般国家公務員法が適用されますけれども、ただいまの質疑応答の中でも明らかのように、相当過重の労働負担になっておる。そういう点について同じ省内における現業官庁の職員と同等の水準になっておるかどうかということをお聞きするわけです。
  65. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 公企業労働関係法の適用になっておるいわゆる五現業官庁といいますか、いろいろ凹凸はございますが、電波監理職員は、郵政省職員の公労法適用職員よりは、いろいろな意味において給与を改善すべきものはあると思っております。
  66. 森本靖

    森本分科員 大体その程度でよろしゅうございますが、ここで大臣によく言っておきたいのです。今も経理局長から話がありましたように、私たちは公務員は公務員としてすべて同格でなければならぬということはわかります。しかし現業官庁とまた行政官庁とおのずから違ってくるということも当然考えらるべきです。しかし同じ郵政省内において、現業官庁があり、片一方は一般会計に属しておる。ところが、一般会計に属しておるけれども、その仕事の内容はほとんど現業官庁と違わない、こういうような状況における電波監理局の従業員の待遇についても、今後一つ十分にお考え願いたいと思うのですが、どうでしょう。
  67. 村上勇

    村上国務大臣 お答えいたします。その点は私もごもっともな御意見だろうと思います。少くともその仕事の状態によって、仕事の種類によってはそういうところに不均衡のあるべきものではないと、かように思っております。
  68. 森本靖

    森本分科員 あまり長くなりますので、電波監理関係一般会計についての私の質問を終りまして、次に郵政事業の特別会計の方に移りたいと思います。  この郵政事業の特別会計の中で、「郵便業務運営上必要な人件費、事務費、事業用品の購入費および集配運送費等である。」という説明で載っております項があります。この中における郵便の集配運送費のいわゆる航空関係、それから自動車関係、そういうものの細目についての御説明を願いたいと思います。
  69. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。集配運送費でありますが、これは航空関係その他赤自動車という専用自動車、あるいは汽車あるいは船舶等に対する支払いでありまして、その大体の積算は毎年の実績をもとにいたしまして、実量の増減というものを考えて積算してあります。
  70. 森本靖

    森本分科員 私が聞いておるのはそういうことではないのです。たとえば日航なら日航が幾ら、極東航空なら極東航空に幾ら、それから鉄道関係に幾ら、日逓に幾ら、そういう細目についての問題を聞いておるわけです。
  71. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 今、現実にたとえば三十年度に日航に幾ら払ったか、あるいは極東航空に幾ら払ったか、鉄道に幾ら払ったかということは、まことに申しわけないのでありますが、資料を持ち合せておりません。予算の編成といたしましては、鉄道に幾ら、航空関係に幾ら、専用自動車の関係が幾ら、それから鉄道関係につきましても、列車を一車一キロ幾らというふうに計算したのもございますし、また託送と申しまして、ちょうど鉄道の小荷物と同じように郵便の行嚢を積んでいく、その郵便行嚢一個幾らという単価ではじいているのもございまして、結局大きく分けまして、鉄道関係、航空関係、船舶関係それから専用自動車関係、こういうふうに分れております。
  72. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 補足して御説明申し上げます。森本分科員の御要求が、個個の会社名とその金額までとなりますと、今手元に持ち合せがございませんが、大ざっぱに申しまして、今渡辺次長が申しましたように、航空、鉄道、それから専用自動車、人夫請負、こういうふうなものが大体あるわけでございます。そのほかに馬匹等もありますが……。この集配運送費を六十二億円と三十一年度では概算出しております。このうち、大分けで申し上げますれば、国内に払うものといたしましては四十四億円ほどであります。その四十四億円の内訳は、今大ざっぱな分け方で申し上げますと、郵便車使用料、これは私鉄にも払うのがありますが、大体国鉄でありますが十八億、専用自動車、これに対して十六億、航空運送料に対しましては二億七千万円、人夫請負二億一千万、そのほか四億ほどいろいろなものがあるわけでありまして、これらの合計で内国が四十四億、外国に払いますものは、これは飛行機もあれば船もありましょうが、大体十八億、これ以外にいわゆる渡し切り費の中に入ります馬匹でありますとか、いろいろな休息所のお礼、そういうものが大体八千万円ほど入っております。これが集配運送費の概略の数字であります。
  73. 森本靖

    森本分科員 大体概略はわかりました。もう一度お聞きしたいのですが、四十四億の中で郵便車が十八億というのですが、この郵便車というのは国有鉄道ですね。
  74. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようであります。そのほかに私鉄の方も若干入っております。
  75. 森本靖

    森本分科員 それからこの専用自動車というのは、これは日本逓送株式会社だけですか。それともこれ以外にあるのですか。
  76. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 全国全部の額でありまして、日逓だけではございません。
  77. 森本靖

    森本分科員 この専用自動車の十六億円の中で日逓とそれ以外のところはどうなっておりますか。
  78. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 今日逓とそのほかの請負業者に対する支払いの実績を持っておりませんので、はっきりした数字は申し上げかねますが、日逓が八〇%、あるいはもっと行っておるかもしれませんが、大よそそのくらいの見当だと思います。
  79. 森本靖

    森本分科員 きょうは予算分科会でありますので、理論よりも数字の問題を言っておるわけでありまして、こういう際に数字が明確にならないということは非常に残念でありますが、やむを得ません。  そこで八〇%が日本逓送株式会社で、あとの二〇%が一般の会社ということになると、これはそれぞれの所属の郵政局所在地における民間のバスとかいうようなものをさしておるわけですか。
  80. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 そうではございませんで、専用自動車と申しますのは、いわゆる、バスに託送する以外でありまして、日逓のほかにたしか七十ばかりが専用として請け負っております。これは地方々々によりまして、ちょうど日逓と同じように地方の業者に専用で請け負わせておるものがあるわけであります。それがあとのおよそ二〇%くらいの請負ということになっております。
  81. 森本靖

    森本分科員 それで順次聞いていきたいと思いますが、この中の国鉄の分はよいといたしまして、航空の分については、大体私の承知しておるところでは一航路で二つ走っておるというような会社はないと思うのです。だからその航路だけにそのまま郵政省の方から請け負わせるということになるわけですね。
  82. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 さようであります。これは先ほども申しましたように、具体的には日航と日本ヘリコプターと極東航空の三社に今請け負わせておりまして、それぞれの航路を飛んでおる飛行機に積んでおるわけであります。
  83. 森本靖

    森本分科員 この郵便物については、自動車、汽車、航空という場合、行騨一つ当りの単価というものは同一ですか。
  84. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 行嚢一つ当りの単価は、おのおの異なっております。もちろん飛行機は距離と重量で一キロ幾らというふうな計算をいたしております。それから、そのほかの国鉄、汽車等につきましては、これは先ほどちょっと申しましたが、郵便単一車走行キロ、一キロ幾らというのが大体の現行であります。それから、船の方は多くは箇数払いにしているものもありますが、スペース・チャーターになっているものが多いように記憶しております。
  85. 森本靖

    森本分科員 そうすると、飛行機に積む場合は、これは重さによってきめるわけですか。
  86. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 さようです。
  87. 森本靖

    森本分科員 航空関係の分についてはそれといたしまして、一問題になるのは専用自動車の問題ですが、この専用自動車の問題については、これを請け負わす場合は、どういう経路をたどって請け負わしているのですか。
  88. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 これは運輸省の方に、こういった自動車関係の路線をきめる審議会がありまして、その審議会に運輸大臣が諮って決定した線を、われわれの方で実行するというのが基本的な考えであります。
  89. 森本靖

    森本分科員 それではこの専用自動車の請負については、運輸省の方が審議をしてきめたものに対して、郵政省はそのまま請け負わす、こういうことですか。
  90. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 形式はおっしゃる通り、そういうふうな形式になっておりますが、もちろん運輸省の方で郵便関係の運送料をきめる場合には、われわれの方へも相談がございますし、それから、われわれの方でも積極的に意見を申し述べる場合もありますが、最終的には、今申し上げましたように、審議会にかけて運輸省が許可をしてくる、その料金を適用して請け負わす、こういう格好になっております。
  91. 森本靖

    森本分科員 この請負というものは、郵政省は全然関係がないということですね。そういうことですか。
  92. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 先ほども申し上げましたように、関係はないとは言い切れないのでありまして、決定する場合には、われわれといたしましては、いろいろと今までの資料その他に基きまして運輸省の方へ交渉いたします。従って運輸省がどの程度これを参酌してきめてくれるか、これは事実問題はございますが、形式的には運輸省で認可してきたものを受け取る、こういうことであります。
  93. 森本靖

    森本分科員 この日逓との契約なんかは、郵政省は全然やらぬのですか。郵政省は形式的に見ているだけですか。
  94. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 全く形式的に申し上げますと、そういうことになりますが、先ほどから申し上げますように、決して拱手傍観しているわけではないのであります。これは何も郵便を積んで走る自動車だけの問題ではございませんで、運輸省ではバス、トラック、その他の料金を決定いたします権限がございまして、その一つとして、郵便専用自動車についても料金を運輸省で決定いたすのであります。従って形式的には、先ほど申し上げましたように、郵政省としてそれではどうしてもいかぬというわけにはいかない。
  95. 森本靖

    森本分科員 どうもその点、ちょっとおかしいような気がするのですが、それでは、日本逓送株式会社に請け負わすということも、運輸省がきめて郵政省に持ってくるのですか。
  96. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 それはそうではございませんで、運輸省は何も日本郵便逓送会社の請負業あるいはどこどこ会社の請負業をきめるのではないのでございまして、ほかの陸運と同じように、特に郵便関係の逓送について一つの項目といいますか、そういったものがございまして、それによって決定するのでありまして、郵便物運送委託法をごらん下さるとおわかりになると思いますが、これは何も日逓に専属的に請け負わすのではないのでありまして、競争入札ということに相なっております。ただ現在の段階におきましては、その料金を運輸省が認可するといったような関係もございまして、これは前前国会でしたか、今まで大過なく、あるいは業績がよろしい場合には、期限が切れた場合に引き続いてさしてもいいというふうに改正になっております。一番最初には競争入札がございまして、昨年でしたか切りかえがありまして、そのときにおおむねそれまで請け負っておった業者がそのまま継続いたしておりますが、中には二、三成績の悪いのがございまして、取りかえたのもございます。
  97. 森本靖

    森本分科員 その場合、たとえば従来の成績がよければ競争入札しないでそのまま請け負わしてもよろしい、こういうことになったわけですね。
  98. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 さようでございます。
  99. 森本靖

    森本分科員 そうすると、その成績がいい、悪いという問題については郵政省が認定するわけですか。
  100. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 そうです。
  101. 森本靖

    森本分科員 もしこういうことが起った場合はどうなるのですか。これはどこの責任になるのですか。同じ郵便路線のところにおいて、一方が国鉄にもこれを委託している、それからもう一方その同じ線路において赤自動車も走っている、こういうことになった場合には、業者には責任はないわけですね。
  102. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 同じ路線を他の異なる運送機関によってやるというようなことはほとんどいたしておりませんが、中にはそういうものがないとは申し上げられないのでありまして、若干ございます。それはそれぞれ特殊の理由がございまして、並行して走っているところもありますが、そういう場合には、どの便はあるいはどこへ行くものは逓送車で行くとか、ほかの分は専用自動車でというように、おおむね行く先並びに速達ということを考えまして、郵政省の方で計画をいたして出しております。
  103. 森本靖

    森本分科員 この問題でよくこういうことがあるわけですが、大臣もよく聞いてもらっておきたいと思いますが、その郵便物を若干早くするということ、たとえば三十分か一時間というような場合もありますが、そういう理由に基いて、いわゆる汽車の発着時間と関連をして郵便路線が二つ走るという場合があるわけです。ところが予算の上から見ると非常に不都合なやり方なんです。もっともその点スピードが汽車の発着時間によって三十分かそこら違うという場合があるわけです。こういう場合に、金の面と国民サービスをするという面とある。こうやれば金を節約できる、しかしそうやれば三十分遅れる、そういう場合にはいずれを取るのですか、大臣。これは常識でわかることですから、常識で聞いたわけです。専門的な問題ではないから……。いつも、私は予算関連して、こういうことを考えてみるわけです、現実の問題として。
  104. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 森本委員のお尋ねは、スピード・アップすれば高くなる、しかし安くすればスピード・アップできないという状態においては、金の方を助けるのか、スピードを助けるのか、そうおっしゃるわけですね。その場合におきましてはやはり原則的にいうならば、要るべきものは当然事業として出すべきであります。また迅速正確というのが郵便のあれでございまのです、極力そういうふうにスピード・アップするように努力いたします。
  105. 森本靖

    森本分科員 その点は明確になりましたが、それではそういうことでなくして、今度は完全にそれが必要でないにもかかわらず、二路線が走っておったというようなことが判明をして、それが明らかになって、いわゆる会計検査院からも指摘されたというような場合における責任者は、だれなんですか。
  106. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 具体的な例を知りませんのでわかりませんが、大体において路線を設定する、その路線に自動車の会社を請け負わせるというような場合に、それぞれ契約関係の担当官もあれば、路線計画の設定者もありましょう。お話になりました通り会計検査院からも、たとえば路線の問題でなしに、事の大きさについて、この線路の車はここを動いている郵便物に比べれば大き過ぎる、もっと小さい自動車でいいのだという指摘を受けたことももちろんありますし、私どもも自己監査と申しますか、会計検査をする場合におきまして、さような点についても大いに注意をしてやっているのでございますが、何しろたくさんの路線がありまして、それがいろいろな錯覚錯誤からあるいは計算違いをしておったり、あるいは地況、通信状況の変化によりまして、出発当初はよくてもその後に変っておるということもあって、御指摘のようなことがあるわけでありまして、その場合には錯誤は錯誤として、通信状況の変化によって遅れているような場合には、その遅れに合せるようにそれぞれ計画しておるのでありまして、責任と申しますとその場合錯誤の責任もありますれば、あるいは状況の変化をすみやかに把握できなかったという点において、業務上の手落ちになるかもしれません。
  107. 森本靖

    森本分科員 この点は昭和二十九年度決算の会計検査院の報告にはっきり一括して載っておるわけであります。こういう場合、私は一体責任者がだれで、どうなるのかということについて、はなはだ疑問を持っておったわけでありますが、それはそれといたしまして、こういう集配、運送等のことについて、巷間いろいろと言われておる点もあるわけです。そういうことを私がここで言うこともどうかと思いますけれども、今言ったように一点だけ明確に出ておるところもあるわけであります。だからこういう使途については、この運営に当っては十分に御注意を願いたいと思うのです。そういうふうなことであとから会計検査にひっかかって、あるいは一般の方から疑惑を招くということがないように、一つ厳重な予算の実行をやっていただきたいと考えるわけであります。  それで次に移りたいと思いますが、保険、年金、貯金というものの奨励費の予算額とその使途の方法について、一つ御説明願いたいと思います。
  108. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 奨励費と申しますと、われわれ業務上いろいろ通俗的に奨励費と申しますが、御存じのように奨励のために必要なのは保険で申せば募集手当でございます。これは一件幾ら、その初度保険料に対して幾らというふうにきまっておる、この手当がございます。この手当は、予算項目上では職員諸手当の特殊勤務手当の募集手当というところに入っているわけでございます。それから第二番目の費目として考えられますのは、一般的にいいまして周知宣伝というふうなもののために必要な費用があるわけであります。その周知宣伝用の費用といたしましては、契約雑費あるいは周知宣伝費というふうなことで、それに必要なる物件費、紙を買うとか印刷をするとか、あるいは周知用の催しをするとかいう費用が出ているわけでございます。大体奨励関係と申しますとそのようなことでございまして、具体的な数字で申しますと、この職員諸手当の中に特殊勤務手当というものがあります。職員諸手当全体といたしましては本年度の予算として四十八億円ほど計上してございますが、そのうちに特殊勤務手当が三十七億円ほど計上してございます。その特殊勤務手当の一つが募集手当で、これが二十七億五千五百余万円ありまして、貯金及び保険の募集手当または奨励手当に該当するものでございます。この場合におきまして、貯金で申し上げますれば積み立て貯金の目標額が三十億、定額が一千百八十四億、これに対応する貯金奨励手当、保険で申し上げますれば新規募集として保険十七億、年金八億という保険料収入を目標とする計画を持っておる、これに見合う募集手当、その二つでございます。その二十七億円の内訳は省略させていただきます。それから周知宣伝関係の方になりますと、これは需品費の中に一億六千万円ほど周知宣伝費として計上してありまして、郵便、貯金、保険、電通、それぞれの関係の周知宣伝費が入っておるわけでございます。そのほか特定局段階に入りますと、契約雑費というような費目でもってこれらの募集のために約五千万円ほど計上しておる、以上でございます。
  109. 森本靖

    森本分科員 そういう説明の仕方をせられると非常にこっちの方はわかりにくいのであって、私が言っておるのは、貯金の募集手当が幾ら、年金の募集手当が幾ら、保険の募集手当が幾ら、それから奨励手当が幾ら、そういうふうな格好に御説明を願いたいと思います。その方がわれわれ委員としてはぴんとくるわけです。
  110. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 御質問趣旨に沿うような数字でお答えできなくて、はなはだ残念でございますが、たとえば募集手当でははっきりしておるのでございます。それも貯金の種別ごとに積算がしてございます。たとえば先ほど特殊勤務手当中募集手当として二十七億五千五百万円と申し上げましたが、これは貯金関係の奨励手当が九億九百万円ほどでございます。それから保険関係の募集手当といたしまして十八億四千六百余万円、こういうことになっておる次第でございます。募集手当中、年金、保険の内訳あるいは貯金の定額と積み立ての内訳になりますと非常にこまかい数字になっておるので今持っておりませんが、もしも御入用でございますならば、後ほどその積算根拠は差し上げることができると思います。
  111. 森本靖

    森本分科員 それではこれは休憩後にお聞きしたいと思いますので、貯金の募集手当と奨励手当、そういう貯金の奨励に関する経費の内訳、これは定額貯金も何もかも一緒でよろしゅうございます、それから保険の募集手当並びに奨励手当、そういうものの内容を、あとでかまいませんから、ちょっとお願いしたいと思います。  次に移りますが、郵政省所管の丁号の国庫債務負担行為要求書の最後の事項に「土地、建物および外国統計機械の借料」というものがあります。この数字が上っておりますが、このうちの外国統計機械について休憩後に一つ御説明を願いたいと思いますので、その資料を十分持ってきておいてもらいたいと思います。
  112. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 承わりました。
  113. 河野金昇

    河野主査 それでは暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ————◇—————    午後三時八分開議
  114. 河野金昇

    河野主査 それでは再開いたします。  休憩前に引き続き昭和三十一年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算中、郵政省所管を議題として質疑を続行いたします。森本君。
  115. 森本靖

    森本分科員 それでは先ほど休憩前に私の方から要求いたしました三百七十八ページの「土地、建物および外国統計機械の借料」のうちの外国統計機械の借料という問題について御説明願いたい。
  116. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 森本委員の御質問は丁号国庫債務負担行為のうち「土地、建物および外国統計機械の借料」この事項中における外国統計機械の金額等について報告せよということであったと思います。ただいまから御報告いたします。  最初に保険関係で申し上げます。保険関係でこの十号十一億円の中に入っておりますものは一億三千六百四千三万一千円、こういうことになっております。そのほかに、なお御参考のために申し上げますが、この丁号国庫債務負担行為の事項中、事業用品の購入及び調整費、ここに五億円ほどあげておるのがございます。その中の関係といたしまして、負担行為を契約いたしますものは七千万円ほどございます。それから貯金関係に関しましては、十号に所属するものはございません。
  117. 森本靖

    森本分科員 この十号に関するものは、今答弁がありましたように一億三十六百四十二万円と七千万円というここでありますが、郵政省が貯金、保険に関して外国から統計機械類を借りておるというのは、どれとどれとで、どのくらいの金額になりますか。
  118. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 貯金関係だけで申し上げます。毎年借り上げておるものと、三十一年度予算において新規に拡張いたしたいというものと二つに分け御説明申し上げますと、すでに借り入れまして歳出の項目においてその借料を払っておりますものが、機械の種類で十六種類ほどございます。台数で七十四台、その総額が二千二百十二万一千円、これがすでに貯金関係の統計事務の機械化のために借り入れて、すでに継続しておるものでございまして、三十一年度予算におきましては、機械の種類におきまして五種類、台数におきまして十四台、金額といたしまして、それぞれ三カ月分、六カ月分とありますのは、平年全部使う予定はございませんので、年度内所要額といたしまして三百六十万二千円、これが機械に関します直接の借入料でございます。
  119. 森本靖

    森本分科員 これは貯金関係だけですか。保険関係はないのですか。
  120. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 保険関係で申し上げますと、既往の分といたしまして、貯金と同じくすでに借り入れておるものが大体十三種類近くでございます。借料といたしまして三千四百二十四が五千円、そのほかに先ほど申し上げました丁号の国庫債務負担行為以外に、新規に三十一年度内に購入する予定のものは大体七十六台ほどでございますが、その金額は七千四十四万三千円ということになっております。
  121. 森本靖

    森本分科員 借り入れておる相手方はどこですか。
  122. 成松馨

    ○成松政府委員 貯金関係につきましては、借り入れております相手方は、略称でいいますと日本IBM社——インターナショナル・ビジネス・マシン株式会社でございます。
  123. 森本靖

    森本分科員 保険関係も一緒に……。
  124. 小野吉郎

    ○小野政府委員 保険関係につきましては、レミントン会社であります。
  125. 成松馨

    ○成松政府委員 先ほどの説明にちょっと敷衍して申し上げたいのでございますが、日本IBM社は日本法人の商社でございます。
  126. 森本靖

    森本分科員 保険関係の会社組織、これは国籍はどこですか。
  127. 小野吉郎

    ○小野政府委員 アメリカです。
  128. 森本靖

    森本分科員 外国から借り入れの機械について相当の借入料を払っておるようであります。また機械そのものも本年度七十六台購入するということであります。まず貯金の方からお伺いしたいのですが、これは本年度の計画を入れると九十二台、二十一種類ということになりますが、これはどういう種類で、どういうふうなことを行うのですか。なおこれを施行することによってどれだけの人員が浮いて、どれだけの経費が省けるかということを御説明願いたいと思います。
  129. 成松馨

    ○成松政府委員 貯金関係におきましては、すでに二十八年度から東京地方貯金局の一部の仕事につきまして機械化をしておるわけであります。そのねらいといたしますところは、貯金事業か非常に複雑な計算事務を行い、かつ非常に正確な計算をするというところから、その従事員の労苦を省きたいというので機械化をしたのでありますか、この機械の種類につきましては穿孔機であるとか、あるいは会計機、会計機の付属のものであるとか、あるいは照合機、分類機というように非常に数多くの機械がございますが、そのもとになりますのは穿孔機でありまして、数字もしくはいろいろの符号に基いてカードのパンチをして、それを今申し上げたような機械にかけていくここによって、非常に正確な計算ができるという仕組みになっておるのであります。しからばその機械を使うことによって、どれほど能率化あるいは経済化がはかられるかという問題になりますが、この機械化をやったことによりまして、東京地方貯金局においては、当初百名前後の人員が複雑な計算事務から解放されたのではないかと思っております。しからば現在かかっておる人間とこの機械化の関係によってどうであるかという点になりますと、現在まだ機械化の過程におきましてはいろいろ研究をしなければならぬ点、あるいはまた養成をしておる人員等がありまして、機械化によって能率化の点は非常にはかられておりますが、必ずしも経済化というところまでは行っておりません。しかし諸種の難点を克服することによりまして、将来におきましては経済化の面においても相当貢献するところがあるのではなかろうかと考えております。
  130. 森本靖

    森本分科員 貯金の機械化というのは、いつから始めたのですか。
  131. 成松馨

    ○成松政府委員 施行されましたのは二十八年四月からでございます。本格的にやりましたのは二十九年からです。
  132. 森本靖

    森本分科員 貯金関係については本年度も五種類、十四台、三百六十万円ということでございますが、二十八年から始めて今日までのところどれだけの効果があったということが明確にわからぬですか。将来経費を節約するという面において、今年度五種類、十四台、三百六十万円を必要するという。そういうことになりますと、この機械を置くことによってどれだけの国費が節約をせられて、どういう意味合いにおいてこれを借りようということが明確にならなければならぬわけですね。外国からこれだけの機械を買うわけですから、その点をお聞きしたい。
  133. 成松馨

    ○成松政府委員 先ほど申し上げましたように、現在のところでは能率化ははかられております。経済化の点においては大ざっぱのところでは大体とんとんくらいにいくのではないかと思いますが、われわれの計算によりますと、この機械化を順調に進めていきますときには、大体手作業でやる場合の三十数%くらいは人員が省けるのではなかろうかというふうに考えております。
  134. 森本靖

    森本分科員 私は数字に暗いので御質問するわけですが、三十数%省けるということになって、それからこの機械を買う金と比較検討した場合、それだけの利益が相当あるということを、もっとわかりやすく説明願いたいと思うのです。一般国民が聞いてもわかりますように、せっかくこれは相当の金額をかけて外国から機械を買っておるわけですから、だからこの機械を買ったことによってどれだけ実質的な効果が上って、どれだけ国の予算が節約できるからこれを買うということを、明確にしていただきたい。こういうことです。
  135. 成松馨

    ○成松政府委員 金額的に言いますと、現在のところでは、先ほど申し上げましたように、この機械は、従事しております者がいろいろ研究的にやらしておるものがあったりするという点で、必ずしもはっきりした金額的な計算はできないのでありますが、大体機械の、現在まで多少余裕があるというような点を見て考えますと、大体とんとんぐらいではなかろうかと思います。しかしこれはまだ研究過程にありますので、もう少し機械の能率を上げ得る余地があるように考えております。従いまして、金額的にどのくらいかということは、今申し上げることができないのは遺憾でございますが、相当節約になると考えております。
  136. 森本靖

    森本分科員 これ以上私はこの問題をやりませんけれども、大体とんとんで行くだろうと思います、大体そのあたりで損はなかろうと思いますということではいかぬと思う。国の予算を審議する場合には、やはりこれは外国の機械を国の予算をもって買うわけですから、そういう場合には一応これだけのものを買うかわりに、これだけの人員とこれだけの労力が浮いてくる、このことによってこれだけ高い金を外国に払っても、これだけ効果があるということを、明確にできるような資料を整えておく必要があろうと思うのです。特にそんなにとんとんで行くか、あるいはまた多分そのくらいでございましょうということなら、何も外国から私は機械を買わなくても、もう少し国内において研究をすれば、もっと合理化する余地も出てくるのではないかというように考えるわけです。せっかく外国からこれだけの高い金をかけて買うなら、そういう点を一つ明確に将来はしておいてもらいたい、こう考えるわけです。貯金の関係はそれですが、保険関係はどうですか。今この問題について私が言ったように、明確に数字が出てくるわけですか。
  137. 小野吉郎

    ○小野政府委員 保険関係についてお答え申しますが、先ほどの各機械の種別、またそれがどのように働いておるかという問題につきましては、機械の種類が非常に多うございますが、大別いたしまして、大体貯金でただいまお答えしましたと同様に、まず穴を開ける機械、これはパンチであります。これが基本の……。
  138. 森本靖

    森本分科員 それはよくわかっております。どれだけ得をするかということです。
  139. 小野吉郎

    ○小野政府委員 その面につきましては、保険の機械化はちょっと趣きを異にしておりまして、もちろん能率の向上をはかるということにおいては、基本的には間違いないのでありますが、経済化という面からいえば、現在のそれをどの程度経済化するかということよりも、むしろ現在の保険事業といたしまして、いろいろ保険料の収納状況を監査いたしております。簡易保険が非常に円満に動いておりました最盛期におきましては、これは毎月、時々刻々監査をいたしておったのでありますが、戦時中に要員などの関係でこの監査は、非常に今日も理想の域に遠いのであります。現在やっと三月目に一回ずつ監査をいたしておるのでありますが、われわれの理想といたしましては、これを毎月監査をする、こういうことが保険事業運営上必要であろうと思うのであります。そういう見地から見ますと、機械化をしなければ、非常な増員を要するわけであります。その増員をできるだけ少くしていくということが、この機械化の採用によって初めて可能でありまして、大体の見当といたしましては、現在の機械化の採用の過程は、まだ本格的な実施ではなく、一部の地域につきまして試験をいたしておるような段階でありますので、確定的にこれだけは経済化できる、こういう数字は機械の試験の過程において漸次出てくるわけでありますから、現在のところ出ておりますそれは、大体手作業でやれば増員を要するところの三分の一程度の増員で済むというのが、この機械化によって得られる成果であろうと思います。
  140. 森本靖

    森本分科員 これ以上質問をしても、そういう経済的な価値というものははっきり出てくるわけでございませんので、一応この点はやめますけれども、やはりこういうように外国の品物をわざわざ買ってやる場合は、この次から、そういう計算はむずかしいかもしれませんけれども一般が直ちに納得のいくような形の説明ができるような資料は整えてもらいたいということを私は要望して、この問題については終りたいと思います。  次に先ほど休憩前に申し上げました例の保険と貯金の奨励費の内容について、もう一回御説明願いたい。
  141. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 申し上げます。三十一年度の予算上における貯金、保険の奨励関係費用について、まず貯金について申し上げます。貯蓄奨励手当九億九百二十六万円、周知奨励費六千九十八万円、計九億七千三十四万円、これが貯金関係でございます。保険関係で申し上げますと、手当につきましては十八億四千六百六十一万九千円、周知奨励費につきましては二億三千八百六十一万円、合せまして二十億八千五百二十三万九千円。この貯金、保険全部を合計いたしますれば、三十億五千五百五十六万九千円と相なります。
  142. 森本靖

    森本分科員 年金関係はどこに入りますか。
  143. 小野吉郎

    ○小野政府委員 ただいま経理局長の申しました手当の方で申しますと、十八億四千六百万円という中には保険と年金を含んでおり、これを分けて申しますれば保険においては十八億千五百万円、年金におきまして三千百五十万円、こういうことになります。
  144. 森本靖

    森本分科員 これで貯金、保険、年金の一応の予算総額がわかりましたが、この手当については、支出の方法は昨年度と同様ですか。
  145. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 手当の算出につきましては、御承知のように一定の率がありまして、その同様の率を適用してやっております。
  146. 森本靖

    森本分科員 それからこの奨励費の配算の方法については、昨年度と同様ですか。
  147. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 この周知奨励費の配算方法というものは、いろいろそのときどきの募集の見込み、難易、あるいは状況等を考えていろいろやりますので、それらまた周知宣伝のやり方等につきましても、年々改善をはかるということもありますので、必ずしも募集手当のような金額ではないのであります。
  148. 森本靖

    森本分科員 その内容について私もよく知っておりますけれども、ただ大綱は去年と同じような格好でやるのか、あるいは奨励費の支出については全然違ったような考え方に立っていくのかということを聞いておるのです。
  149. 小野吉郎

    ○小野政府委員 周知費の使用につきましては、周知の主体になりますものが本省、地方郵政局、現業局と、こういう三段階に主体別に分れております。事項別には、森本さん十分御承知のごとく、新聞、ラジオ等、いろいろな方法を用いてやっておりますが、大体におきましてそういった周知価値をねらっておりますので、来年度は本年度と客観情勢に非常な激変がない限りは、今年度と大体同様な分配、使用になろうかと思います。
  150. 森本靖

    森本分科員 それは保険関係も貯金関係も同様に昨年度とほぼ似たような配分方法になる、こう解釈をしてもよろしゅうございますか。
  151. 成松馨

    ○成松政府委員 貯金関係につきましても、ただいま小野政府委員から説明がありました通り、大体の線につきましては昨年度と同じような考えでございます。
  152. 森本靖

    森本分科員 奨励関係については昨年度と同様の格好になっておるということが明らかになったわけでありますが、年金関係の本年度の目標についてはどうなっておりますか。昨年度と比べて見た場合……。
  153. 小野吉郎

    ○小野政府委員 来年度の郵便年金の目標は八億円になっております。今年度は六億円であります。
  154. 森本靖

    森本分科員 今年度の年金の目標が八億円ということで、昨年度から二億円増加になっておるわけですが、この二億円の増加のできた理由を説明願いたい。
  155. 小野吉郎

    ○小野政府委員 近来郵便年金事業の成績は、簡易保険と比べまして非常に成績がいいようであります。簡易保険におきましては、会計年度でなく、暦年をもって目標としておりますので、昭和三十年十二月末で三十年の実績が出ておりますが、目標の六億に対しまして一四〇%をこえる実績をあげております。最近の郵便年金の伸びの好調であること、そういう面を考慮いたしまして、三十一年度は八億大丈夫だ、こういうような計算を立てたわけであります。
  156. 森本靖

    森本分科員 それではもとへ戻りまして、保険関係の目標額と、昨年度と今年度の比について説明を願いたい。
  157. 小野吉郎

    ○小野政府委員 簡易保険の目標は、三十年、三十一年度ともに十七億です。
  158. 森本靖

    森本分科員 それで保険の方はたしか暦年度だったと思うのですが、昨年度の十七億は幾らになっておりますか。
  159. 小野吉郎

    ○小野政府委員 ざっと会計年度に直してみますと、予算が会計年度で立っておりますので、三十年度の会計年度の十七億の目標に合うように暦年を会計年度に変えて計算いたしますと、十七億にはちょっと足らないのでありますが、それに近い実績が上る見込みであります。
  160. 森本靖

    森本分科員 それでは次に貯金関係でありますが、この貯金関係は昨年度は一千百億、今年度が九百九十億、これは間違いないでしょうね。
  161. 成松馨

    ○成松政府委員 その通りでございます。
  162. 森本靖

    森本分科員 そうすると、年金は目標額以上にできる、それから保険も大体その率にできる、貯金だけが非常に成績が悪いという原因はどこにあるのですか。総合的な問題ですから、事務当局でない方の方から御答弁を願いたいと思います。
  163. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 非常に大きな問題で、同時にまたきわめて大事な問題であると考えておりまするが、逓信委員会等においてもこの問題については熱心に審議されておりますし、また森本委員等も常に重大な関心を持っておられるようでございまするが、金融全体という立場から考えてみても、あるいはまた貯蓄全体という立場から考えてみても、それぞれの種類によって一方に偏在しますと、一方の方が手薄になるということも考えられるのでありまして、一概に突き詰めた的確な原因というものはなかなか申しにくいのでございますが、そうした制度とか種類とかいうものによって貯蓄全体の変動というものは自由に行われ得るものであるけれども、貯金がふえない原因は、一つには、いつも問題になっております民間金融機関の貯金の利子に対して無課税であるということが、最近国民も利子等に対して非常に敏感になっておりますので、そういう点から非常な影響があるものと考えまして、大蔵当局その他に対してもこの点を折衝したりしてきているのでございます。そういう点が一番大きな原因ではなかろうかと私は考えるのであります。先ほど一言申し上げましたように、的確にその原因は何だ、こういうふうに突き詰めて言われますと、的確な答えはなかなかむずかしいのでありますけれども、概略そうしたような考えを持っております。なお制度の欠陥があれば、私どもはその欠陥を改めて貯蓄の増強をはかるような工面も、別途にもまた講じなければならぬということは考えております。
  164. 森本靖

    森本分科員 そこで核心の方向に質問を持っていきたいと思うのですが、この前の新聞にも載っておりますけれども、今貯金局長、保険局長、経理局長から答弁があった内容を全部総合して明らかなことは、従業員が直接出向いて行って募集に当っているものは、全然成績が下っておらぬわけです。年金にしても、保険にしても、一つも下っておらぬ。ところが従業員が窓口にすわっておって、国民に持ってきてもらわなければならぬ貯金だけが下っているということになってくるわけであって、今政務次官がおっしゃられたように、この問題については経済全般の問題があるけれども、一応貯金の事業そのものについて民間の金融機関との間における差が、ここにしわ寄せされてきているということを明瞭に答弁されているわけです。そうすると、これに対する補強工作といいますか、将来の工作ということを当然考えていかなければならぬ。そこで問題は貯金の利子ということも問題になってくるわけでありますが、さらに問題になるのは、今日の貯金の制限額が二十万円である。これは前の国会で二十万円に上ったわけですが、今まで実際問題として一人の人が通帳を三つくらい持って、四十万円まで預け入れをするという場合もあったわけです。現実にこれはそういうことが行われておったわけでありますが、会計検査院からこういうことはいけないということで、ますます貯金の増強に水をさすというようなことになっているわけであります。こういうことについての根本的な方針というものを、この際数字をいじくる委員会でありますので、数字をいじくる面についてはどういう考えかということを明確にしてもらいたいと思う。
  165. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 数字をいじくる点については、事務当局から答弁をしてもらいたいと思っておりますが、一つの方針についてと申しましょうか、現在の状態について御報告を申し上げるといいますか、そういうふうな観点から少しお答えしておきたいと思います。  まず第一点の貯金の最高額を引き上げたらいいじゃないかという御趣旨かと思いますが、われわれも現段階において貨幣価値が非常に下ってきておるという点から考えて、一般国民大衆ことに庶民大衆の立場をも考慮いたしまして、でき得べくんば最高限度を引き上げたいという考えは持っておるのでございますが、大臣も大体そういう考えのようでございますが、この問題については、非常に影響のある問題でもございますので、慎重に研究いたしまして、できるだけ引き上げることに努力をいたしたい、こういうように考えておるところでございます。先ほども申し上げました通り、定額貯金の利子の引き上げの問題でありますが、これは大臣も閣議において大蔵大臣に対して、郵便貯金のふるわない理由は、民間金融機関の利子が無課税になっておる、課税されていないということに原因があるのだから、われわれとしても貯金の成績を上げるために、利子の引き上げをやりたいと思っておるがどうか、こういう交渉をされたのであります。その後私も大蔵省の局長等に対しまして、この問題について折衝をいたしたのでございまするが、大臣及び事務当局の話を総合してみまするに、現段階においてはそういう状態も見られるのはお説の通りだけれども、民間金融機関の利子もだんだんと低金利になりつつあるし、また低金利にぜひさせたい、こういうように思っているから、それが一段落したときに、あなた方の方の考えもあわせて考えてもらいたいというような要望などもございまして、われわれとしては、一日も早も定額貯金に対する利子の引き上げは何とかしたいと考えておるのでございますが、現段階においてはそういうような状態である。またこれは郵政省だけで考えられない金融金体のバランスもありますので、最後的結論はまだ得ておりませんが、今後大蔵省の出方いかんによっては、私どもこのままには放置しないという考えを持っておるつもりでございます。
  166. 森本靖

    森本分科員 そこでこれは政務次官に御回答願いたいと思うのですが、今年度の貯金の目標額の九百九十億円ということを設定をするのは、どういう経緯で設定をするわけですか。
  167. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 この問題は逓信委員会等でもすでにお答えした機会もあるかと思いますし、また大臣からもお答えしたように記憶しておるのでございますが、非常にむずかしい問題であり、多少の不合理な点も、見ようによってはあろうかとも思いますけれども、今までの実績を勘案して、そうして努力をすれば、それくらいは努力目標として完成できるのじゃないか。もちろんこれに対してはよほどの努力を要するということは、私ども考えてはおりますけれども、一面また財政投融資の面等から考えてみましても、この程度の努力目標はぜひとも達成いたしたいものだ、こういうように考えて策定をいたしたのでございます。
  168. 森本靖

    森本分科員 私が言いたいのは、そういうふうに、財政投融資計画の要求によって貯金の目標額というものを設定する、それと同時に郵政省としては、今までの貯金の募集成績なりそういうものを見て、この目標額というものが決定をせられ、それに応じてこういうような奨励手当その他賃金というものも決定せられる。そうすると、そういうように大蔵省の方と折衝する際に、一応それだけの要求をするなら、それだけのものがしやすいような格好にするのが当然なんだ。それを年間の予算をきめてしまってあとで貯金の利子を引き上げてくれ、最高額を引き上げてくれというようなことを言ったところで、絶対大蔵大臣は首を縦に振りませんよ。その折衝をする際に、大蔵省からそれだけの要求があれば、それをこういうようにやってもらわぬと、こういうようにできないということを、郵政大臣郵政大臣の資格において政治折衝やってもらわぬと、何もかも大蔵大臣の言う通りになっておったら、実際問題として最高額の引き上げはやらない、利子の引き上げはやらない、一般の経済状態は安定してきた。そうすると今まで郵便貯金というものが利子が安くても伸びてきたというのは、これは国家がやっておる、だから安定しておる、こういうことがまず第一番の条件になってこれが発展してきておるわけです。ところが今日の段階において一般の民間金融機関に預金したところで、めったにつぶれる必配はない、かりにつぶれるような段階になっても経済界へ波及する影響が大きいから決してほうってはおかない。そういうことを考えたときに、そういう話し合いのときに言わなければ何にもならぬ。そういう意味政府当局とか、特に政務次官としては、大臣と一緒に努力せられたかどうか、こういうことを聞いておるわけです。けさからの大臣答弁では、政務次官はおられなかったけれども、私ども質問に対して全部、それはごもっともです、よろしい、その通りやりたいと思いましたけれども、経済全般から見まして何もいけません、いけません、いけませんばかりの答弁が朝から続いておるわけです。何か一つくらいは——これはわれわれとしてもこの郵政業務が順調に伸びていくことを考えておるわけですから、この問題くらいでも解決つけなければ何にもならぬ。特にこの予算分科会の審議の際において、将来の郵便貯金の伸びという問題について、ここらあたりで、政務次官は大臣の代理をちょいちょいやるようだから、大臣の代理として郵便貯金の増強についてはこう考えるという明確な方針を一つ示してもらいたい。その示した方針に従ってこれから大蔵大臣と交渉するからということを、一つ明確に言ってもらいたいと思う。全国の者がこの問題については注目しておるわけですから。
  169. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 ここで貯金の最高限度引き上げ、あるいは定額貯金に対する利子の引き上げ、ないしは今までの郵政省の実績にのみ基礎を置いて、財政投融資等に対してもがんばるべきであるという御主張は、私はできるものならば、できるだけ歩調をそろへて一切を解決するということが一番望ましいということは、森本委員と同感でございます。しかし大臣も午前中答弁されたそうでございますが、財政全体の建前ないしは金融全体の建前というようなものから、われわれが考え通りいかないものもあるし、あるいはまた全体の調和という点から、多小の妥協ということも実際の政治の土においては考えなければならぬ点もございまして、時間的にちぐはぐになって、それがお説の通り、結果的にいろいろ現われてくることも確かに私はある、またあり得ることだ、こういうように考えます。それならば過去は過去としてどういう努力をしたか、あるいは今後これに対して努力をする考えか、こういうことになって参りますが、過去において大臣や私どもあるいは事務当局等が折衝したことについては、もう申し上げません。今後のことについて申し上げますならば、私どもは国全体あるいは金融体系全体から考えて、大蔵省の低金利政策がだんだん現われてきているようでございますので、もう少しその底を見てこれに調和をはかり得る程度の貯金高の最高限の引き上げ、もしくは定額金等に対する利子の引き上げについは極力努力をしたいと申し上げる以外に、大臣がそばにおりませんので、はっきり申し上げることはできませんが、その目標に向って最善を尽す決意だけは持っておるということを申し上げておきたいと思います。
  170. 森本靖

    森本分科員 それ以上の答弁ができなければこれはやむを得ぬですが、ただ私が言っておることについてはよくわかると思いますので、この点はこれだけにしておきたいと思います。  次に郵便貯金を資金運用部資金に納入するという場合に、それに納入する利子とそれから郵便貯金を運営して行く単価、これについての利率、差というものを事務的にお答え願いたいと思います。
  171. 成松馨

    ○成松政府委員 資金運用部へ郵便貯金を預託しますときに、それに対して運用資金部でつけてくれます利子は、いろいろ沿革がございまして、昭和二十七年だったと思いますが、そのときには六分五厘ということになりまして、それから毎年一厘ずつ下げるということになりましたので、昭和三十年度におきましては六分二厘の利子をつけたわけでありますし、昭和三十一年度にまた一厘下りまして、六分一厘の預託利子をつける、こういう計算になっておるのであります。事業比率の方につきましては、平均預託残高が多くなるにつれましてコストも下ってきておるのでありますが、三十年度の予算におきましては七分一厘一毛、それから三十一年度におきましては六分九厘七毛というふうに下ってきているわけでございます。
  172. 森本靖

    森本分科員 そうするとこの六分一厘と六分九厘の差は、一応資金運用部資金の方から繰り入れるということになっておるわけですね。
  173. 成松馨

    ○成松政府委員 さようであります。たとえば三十一年度におきましては、その差約五十億近いものを資金運用部の方から補填金として繰り入れられております。
  174. 森本靖

    森本分科員 それで大蔵省の方にお聞きしたいのですが、資金運用部資金の運用については、これは郵便貯金だけではないのですが、入ってくる金と出る金が昭和三十年度はどういう格好になっておるか、御説明願いたい。
  175. 岩尾一

    ○岩尾説明員 お話趣旨は資金運用部といたしまして実際に原資が入ってきまして、その原資を運用いたします関係でありますか、それとも運用部会計といたしましていろいろな運用利益が入りまして、それに対する費用を出す、そして今度はそれに対していろいろ経費もかかるというような関係でありますか、どちららでありますか。
  176. 森本靖

    森本分科員 後者です。
  177. 岩尾一

    ○岩尾説明員 三十一年度の資金運用部の予算は、歳入が六百十九億八千八百六十八万五千円、歳出が同じく六百十九億八千八百六十八万五千円でございますが、そのうち事務費が二億一千万円、預託金の利子が五百六十七億七千六百九十八万九千円、それから先ほどお話のありました他会計への繰り入れ、郵便貯金会計へ繰り入れますものが四十九億八千百八十万円、予備費が二千万円、こういうふうになっております。
  178. 森本靖

    森本分科員 そうすると、実際問題として運用部会計においては、郵便貯金の関係でそれだけの利潤というものは経理上は出てこないのですか。
  179. 岩尾一

    ○岩尾説明員 これは、昔は貯金が運用部と一体になってやっておったわけでございますが、昭和二十六年から貯金は特別の会計を作りまして、運用部から離れて、そのかわりに運用部から預託金の利子をもらうという形に切りかえたわけでございます。そこで、その場合に郵便貯金の利子なり、あるいは支払いの利子を、どういうふうにきめるかということによって変ってくるわけでございますが、現実にはきめられた利子によって運用をいたしましたところが、資金運用部といたしましては、三十一年度の見込みとしては四十九億くらいの剰余が出てくる、こういう形になるわけでございます。そこで現在の特別会計法におきましては、そういう剰余金というものは、その会計の積立金として置いておくという規定になっておりますが、郵便貯金だけに関しましては、従来からのいきさつもございますので、その剰余金の範囲で貯金会計に繰り入れることができる、こういう規定になっております。そういう規定の関係でこれは繰り入れております。
  180. 森本靖

    森本分科員 その場合に、郵便貯金会計へ今年度繰り入れるものはたしか四十何億だったと思いますが、実際問題として、運用部資金にはその他の金もありますので、これは別ですが、郵便貯金だけをとった場合にたとえば郵政省関係はあなたの方に対して六分一厘ということで、実際は六分九厘という一応の単価で仕事をしなければならぬ。それで六分一厘というものはあなたの方に預託する、ところがその方の利子はそれでいいけれども、それ以外に今言ったようないわゆる繰入金というものが出るわけです。そこでその繰入金とそれと合算をしてその間にいわゆるまだもうけの差が出やしないかということを聞いておるわけです。
  181. 岩尾一

    ○岩尾説明員 予算といたしましては、実際に運用部で出てくる剰余金は、これは赤字の幅にもよりますけれども、できるだけ全部持っていくという思想で予算を組んでおります。従って三十一年度の予算といたしましては、運用部で出てくる剰余金は、すべて郵便貯金に入る、こういう形でございます。
  182. 森本靖

    森本分科員 そうすると、三十一年度は今言ったように、それだけ剰余金が出れば全部出すという方針だそうでございますが、今までの年度もずっとそういう形になっておるわけですか。
  183. 岩尾一

    ○岩尾説明員 これは昨年法律を改正いたしまして、資金運用部特別会計において積立金をすることができるという規定に変えた際にできてきたわけでございますが、それまでは運用部資金からの剰余金を充てる、そうして足らないものは一般会計からも補填する、こういう規定がございまして、両者でやっておった、こういう形でございます。
  184. 森本靖

    森本分科員 それで一応わかりましたが、この郵便貯金事業という観点から見た場合には、今のいわゆる運用部資金の運用そのものについても、これを集める側からすると、当然かなりの意見が出てくると思います。今までの質疑応答を見てもわかる通り、運用部資金が、国家の財政投融資計画の大半を占めるということも事実でありますけれども、集める側からすればいま少し効率的に運用してもらって、そうしてこちら側にはね返ってくるという方法をとってもらいたいということは当然のことであって、いつも言われることでありますが、これに関連をして、またさらに集めやすいような格好に郵便貯金というものをやってもらいたいということも、これはもう当然の理屈であります。しかし政務次官もおっしゃいましたように、時の政治情勢財政一般をにらみ合せて研究をする、こういうことでありますので、せいぜい研究を願いたいと思うのですが、しかし郵便貯金の利子を引き上げるということになってくると、当然予算の補正か何かしなければできないということになってくるのじゃないですか。ちょっとその点をお聞きします。
  185. 成松馨

    ○成松政府委員 三十一年度の予算につきまして、歳出に支払い利子を組んでおりますが、それにつきましては、従来の利子を支払った実績等を勘案して組んでありますので、もし利子が引き上げられるということになれば、歳出も考えなければいけないという問題になるわけでございます。
  186. 森本靖

    森本分科員 そうすると当然歳出の補正予算を伴う、こういうことになるわけですね。
  187. 成松馨

    ○成松政府委員 さようでございます。
  188. 森本靖

    森本分科員 そうすると、政務次官が一つ研究をするとかなんとか言うておるけれども、実際問題としてはなかなか困難だということになるわけですね。そこでたとえば、今のところただちに補正予算を組むというような考え方もないのでしょう。
  189. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 三十一年度の予算を、現段階においてはこれが正しいと思って、多少の無理はあっても、これでやっていかなければならぬという考えで出しておるのでございますから、現段階において直ちに補正予算を組む心組みを持っておるかと、こういうふうに開き直って聞かれますと、現段階においては補正予算を組む考えは持っていない。ただしそれとは切り離して、先ほど答弁申し上げたように、全体をながめて、一つの努力目標として極力努力をしてみたい。その結果いかんによっては、あるいはそういうふうになるかもわかりませんが、私はただいまの場合、今すぐそれが実現でき、すぐ補正予算を出すのか、こういうことになりますと、これは先ほど申し上げた通り答弁しかできないと思います。
  190. 森本靖

    森本分科員 だからそこで話の食い違いができてくるような格好になるわけですね。貯金の利子の引き上げについては大いに努力をして、なるべく早いうちに貯金の利子の引き上げができるようにいたします、ところが、補正予算ということについては、三十一年度の予算が出ている以上は、全然考えておりません、こういうことになると、これはもう三十一年度の予算が執行されておる間、その点については、せいぜい努力をしても見込みがないということになるわけですね。
  191. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 見込みがあるかないかという御質問になりますと、これもまたむずかしい答弁だと私は考えます。見込みのあるなしにかかわらず、私どもは見込みがあるように努力をしてみたい、このように考えておるわけでございます。
  192. 森本靖

    森本分科員 年度内において見込みがあるように努力をするということは、補正予算を組むということになるんでしょう。そうじゃなければ、さっきからの御答弁だとつじつまが合わぬでしょう。もっとつじつまの合う答弁なら私は了承しますけれども……。
  193. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 何べんお聞き下さいましても、私の考えは、大体先ほど申し上げた通りでございます。具体的に申し上げますと、大蔵省方面においても、お聞き下さればわかるかと思いますが、大体低金利政策をとりつつあるようでございますし、また銀行の利子の引き上げもだんだんやっておるようでございますので、その底を見て調整をはかった上で出し得べき状態になったならば、私どもは極力それを押して実現をはかってみたい、こういうことでございまして、これはやはり郵政省だけの考えでは、全部実現することはできないのでございまして、金融全体の立場考えてみなければならぬ点も私はあるかと思います。もし私どもが思ったような時期がきましたならば、調整をはかった上で実現を期したい。しかしただいまのところでは、三十一年度の予算を補正をする自信があるかということになると、これははっきりとお答えができない状態だ、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  194. 森本靖

    森本分科員 その底を聞いたら納得がいくんですが、表面上の、形式上だけの言葉を聞くと、さっぱりつじつまが合わぬ答弁であります。これほど表面上の言葉とつじつまの合わぬ答弁はないわけでございますが、ただしかし、政務次官の言わんとする底意ぐらいはやはり私たちもわかるわけです。しかしそういう今の底流を見て、その底を見きわめた上においてやるというようなことをおっしゃっておりますけれども、こういう最高政策をきめる人は、そういうのんきなことを言っておったってかまわぬ。だが、しかし、実際にこの郵便貯金の増強に努力をしておる全国の従業員諸君の労苦というものはなみなみならぬものがあるのですよ。だからこれだけの、今年度は九百九十億ということになれば、それが全国の各郵政局に割り当てられて、さらにそれが各局に割り当てられていって、さらに各局では従業員の一人々々に至るまで割当がつくというような格好になって、今日ただいま一生懸命に努力しておるわけです。その点を政務次官はよく認識をして、そういうことを早く実現するようにせっかく一つ努力を願いたいと思うわけなんです。  それから補正予算ということにこだわっておりますけれども、これは年度末に組んで、今年度の補正予算みたいな格好で出したところで文句はない。七月か八月ごろに貯金利子の引き上げの法律の改正をして、年度末になってやっても技術的にかまわぬでしょうが、事務当局としてはどうでしょうか。
  195. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 補正予算の時期等におきましては、三十年度においても郵便貯金関係においては補正予算を現に提出しております。時期は、年度中にはいずれあるわけでございます。
  196. 森本靖

    森本分科員 だから、そういうことだとすれば、あまりそういう政治的な問題にとらわれずに、これは貯金の利子の引き上げだけの法律の改正をして——どうせ年度の終りになれば全体的の補正というものは毎年々々やるわけですから、そのときに入り込んで補正をすればいいわけであって、そういうことはあまり念頭に置く必要はない。今のところは、この郵便貯金利子の引き上げと最高額の引き上げ一本に頭を使っていただいてけっこうと思うから、そういう方向で政務次官としては御努力を願いたいと思うわけですが、よろしゅうございますか。
  197. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 私も、三十一年度の予算をこのままいつまでも続けていかなければならぬというイデオロギーにとらわれてはおりません。補正を出さなければならぬ時期がきたならば、すなおに補正を出していいと考えております。ただ、今の段階でどうかとこういうふうに言われると、今の段階においては補正をするという見込みは立っていない、こういうことをただ申し上げただけでありまして、なお後段御注意がありました点については、これはもう極力努力をいたしたい。また今までも大蔵省にも大臣あるいは私も折衝しているのでありますが、先ほど申し上げた事情によって、その結論がまだ出ておりませんので、前線で苦労している従業員の立場考えまして、あるいは国民大衆の貯金であるという性質等からも考えまして、私は大臣とともに極力努めてみたいと考えております。
  198. 森本靖

    森本分科員 この項については、まだいろいろありますけれども、これは逓信委員会でやる項ですから、これでおきたいと思います。  次に三百七十五ページの歳出の十七の項に、国有財産所在市町村交付金というものがあるのですが、これをちょっと御説明願いたい。
  199. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 この項目は、郵政省に所属しております財産のうち、直接国の用に供していない不動産所在地の地方公共団体、市町村に対しまして、一定の割合をもって交付金を出す、こういう筋合いの金でございます。
  200. 森本靖

    森本分科員 これは、今度の三公社の納付金を含んだあの法律によって支出するものですか。
  201. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようであります。
  202. 森本靖

    森本分科員 一応、この内容を重要な項目だけ参考までにあげてみてもらいたいと思います。
  203. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 三公社の方は納付金ですが、私たちの方は交付金でございます。納付金じゃございません。重要な項目と申しますのは、職員の宿舎が重要な項目であります。
  204. 森本靖

    森本分科員 そうすると、この一千四百五十万円というのは、ほとんど住宅ですか。
  205. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようでございます。
  206. 森本靖

    森本分科員 内容がわかれば、私の質問はそれでいいのです。  次に、これは郵政省の建設関係の問題でありますが、今年度は、これは逓信委員会でも問題になりましたが、大体予定の十八億という百分の三は、獲得いたしましたけれども、今までの十億円という借入金が減りまして、四十三億円でありますので、去年度から見ますと大体十億円程度ふえて、その点は私たちも一応慶賀にたえないと考えるわけであります。そこで、この局舎その他建設費の問題の内容に入ります前に、これは所務次官にお聞きしたいのですが、私たちが聞いたところによりますと、建設委員会あるいは建設省の間において、官庁の営繕関係は建設省に全部集約をして、そこで全般的な行政官庁のものを一緒にやろう、こういうようなことを計画もし、論議もせられておるということでありますが、その真相を一応お聞きしたいと思います。
  207. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 お答えいたします。郵政省関係については、そのらち外にはずれるものと了解をいたしております。
  208. 森本靖

    森本分科員 それは間違いがないのですか。郵政省関係の営繕関係についてだけ、その他の官庁は一緒にするけれども郵政省関係だけは除かれるということについては、間違いございませんか。
  209. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 ただいま事務当局と連絡してみますと、間違いない、こういうことでございますから、間違いないものと心得ます。
  210. 森本靖

    森本分科員 それではちょっとお聞きしますが、その除いた一つの理由はどういうところから除かれておりますか。
  211. 小坂秀雄

    ○小坂説明員 昔は大蔵省の管財局で官庁営繕をやっておりまして、最近は建設省でやっておりますが、従来とも各省の営繕を建設省に統合したいという建設省側の希望はございますが、ただいままでのところによりますと、郵政特別会計の現業関係の建物につきましては、郵政省でやるように建設省の設法の中にはっきりきめております。今回行政機構の改革あるいは官庁営繕法の改正案等の場合におきまして、多少各省の営繕をこの際統一したいという動きがあるように聞いておりましたので、私の方から建設省側の意向を確かめましたところ、郵政省関係につきましては従来通り郵政省の建築部でやれというように了解しております。
  212. 森本靖

    森本分科員 その問題については、大体私の意向通りでありますので、質問はその程度にしておきますが、この今年度の四十三億円の使い方の基本的な方針を御説明願いたいと思います。
  213. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 申し上げます。大体におきましあて、本年度におきましては、局舎新増築、耐火造が二十一局、それから木造関係が九十二局、合計いたしまして百十三局。これは新増築関係として建築の方に入っております。それから、土地買収でございますが、これは百十九局ほどの所要土地を買収し、その他暖房普及工事を若干行う、こういう目算をもちまして大体郵便局舎の建設に当ることになっております。
  214. 森本靖

    森本分科員 新増築に二十一局の耐火、木造関係九十二局、土地買収の百十九局、この内訳の金額を一つ御説明願いたい。
  215. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 郵便局全体といたしまして一応計画予算として考えておりますのは二十三億であります。これが郵便局舎であります。そのほか債務負担行為といたしまして約十億円ほど予定しておりますので、合計本年度内において着手、着工準備合せまして大体三十八億、これが普通郵便局において考えられております。
  216. 森本靖

    森本分科員 この耐火造二十一局、木造関係の九十二局、土地買収百十九局、この内訓はわかりませんか。
  217. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 大体申し上げますと、これは何せ設計あるいは土地の現実の買収のやり方、妥結の状態によってずいぶん変りますが、見込みとして考えておりますのは、土地買収いたします百十九局は、坪数で大体二万五千坪弱ではなかろうか、金額といたしまして大体五億から六億の間ではなかろうか、こういうふうに積算しております。それから、新増築関係につきまして考えておりますのは、大体において坪数とすると四万坪以上ぐらいにはなるだろう、金額として二十二、三億円かかるのであろうというふうなことでもって、合計いたしまして、今申し上げました債務負担行為を合せて三十八億というふうなことになっております。
  218. 森本靖

    森本分科員 これは予算委員会ですから、私はもっと正確な一応の見込みというものをお聞きをしたかったのですが、大ざっぱに見て五億、六億ということになると、一億違うとかなり違います。まあしかし、資料を今持ち合せがなければ、数字的にはこれはやむを得ません。  そこで、今あなたの方から説明がありました現業局舎以外に建築する建物はございますか。
  219. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 ございます。
  220. 森本靖

    森本分科員 それでは、その局舎と大体の見込みはどのくらいですか。それからその内容
  221. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 大体、鉄道郵便局の分局だとか、あるいは乗務員の事務室であるとか、あるいは地方貯金局、保険局、研修所、郵政局、資材倉庫、逓信病院、診療所、それから職員の宿舎、こういうようなものを考えておる次第であります。
  222. 森本靖

    森本分科員 その総額は。
  223. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 先ほど申し上げました郵便局関係の二十八億のほかに、大体全部合せますと九億から十億前後になるかと思います。こういうふうなつもりでございますが、それ以外に負担行為が約五億前後ある、こういうことでございます。
  224. 森本靖

    森本分科員 それでは、もう一ぺん確かめますが、現業局舎の方が二十八億旧程度、それからその他の鉄郵、郵政局、貯金局あるいは病院、住宅、そういうものが九億ないし十億、こういうことですか。
  225. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようでございます。そのほかに、職員宿舎関係につきまして三億円程度あること、それから諸修繕費といいますか、一般に現在まであるものの修繕等の経費はこれ以外にあるわけであります。
  226. 森本靖

    森本分科員 そうすると、二十八億程度が現業局舎、それから九億ないし十億がその他のもの、それから住宅関係が三億程度、そういうことですか。
  227. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようでございます。
  228. 森本靖

    森本分科員 そうすると、今ちょっと局長が言われた修繕費でありますが、これを小修理費、大修理費というものに分けまして、その総額が大修理費関係が幾らで、小修理費関係が幾らになっておりますか。
  229. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 小新営費が約八千万円ほど、まあ大修理といいますと大体それでもってやるわけでありまして、それ以外に個々の郵便局でたとえばガラスを直すとか屋根がわらを直すとか、そういろ経費は別途に業務勘定の方で出しております。
  230. 森本靖

    森本分科員 それ以外の別途の業務勘定で出しておる小修繕費は幾らですか。
  231. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 約九億円でございます。
  232. 森本靖

    森本分科員 そうすると、大修理費というのが八千万円で、小修理費というのが九億円ということになると、この比率は小修理費の方が九億円でずっと多いわけですね。
  233. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 修繕費九億というのの中には、大きいのも小さいのも全部入っておりまして、今申し上げました小新営費というのはごく小さいもの、たとえば物置をちょっと作るとか、そういうのが八千万円でございましたから、その数字は御削除を願います。
  234. 森本靖

    森本分科員 この八千万円というのは、もう一ぺんちょっと説明願いたいと思うのです。妙に九億円の方と混同する率がありますので。
  235. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 今申し上げましたように、たとえば小さな内部における造作を作るとかあるいはかきねを作るとか、そういう小さな工事を全国的なものを合わしたものが八千万円くらい見込んである、こういうことであります。
  236. 森本靖

    森本分科員 それでは、各局において、たとえば水道のないところが水道をつけるとか、あるいは井戸をつけるとかいうようなことについては、これはどの項目に入りますか。
  237. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 ただいま申し上げました八千万円の中でまかなうつもりでございます。
  238. 森本靖

    森本分科員 もとへ戻りますが、先ほどの全国の新営局舎の中で、普通局と特定局との区分の内容はどうなっておりますか。率は普通局が幾らで特定局が幾らですか。
  239. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 大ざっぱに申しまして約九億前後特定局関係として本年度着手し、あるいは工事を実施し、準備する予定でございます。
  240. 森本靖

    森本分科員 その九億円というのは、先ほど言われた二十八億円の中の九億円ですか。
  241. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようでございます。
  242. 森本靖

    森本分科員 そうすると、この九億円というのは二十八億円の中の九億ということになると、木造関係の九十二局の中にほとんど含まれるということになりますか。
  243. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 大体そういうことになるのです。
  244. 森本靖

    森本分科員 そうすると、特定局で九億に充当する局数は何局になりますか。
  245. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 先ほど申し上げました数字で、耐火造というものが大体二十一局で、木造関係が九十二局新築または増築、この九十二局の中に入っておるわけであります。
  246. 森本靖

    森本分科員 九十二局の中にこの特定局関係の分が何局含まれておるかということをお聞きするわけです。
  247. 小坂秀雄

    ○小坂説明員 その木造局舎の中の大部分がまだ特定局舎であるとお考えいただいていいと思います。
  248. 森本靖

    森本分科員 それでは、この局舎の建築の基本線に立って、もう一回私はお伺いをしたいと思うのですが、局舎の新築の基本線というものは、その局舎の建築年数によって行うものですか。それとも局舎の定員といわゆる坪数、そういうものに対する割合によって行うものですか。その基本方針を一つ御説明を願いたいと思います。
  249. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 大体今度のこの計画を立案するに当りまして私ども考えましたのは、まず第一に局舎の経年、つまり局舎を新築してから現在まで何年たっておるかということをまず基本的に考えまして、そのほかの面につきましては、たとえば町村合併に伴って緊急に局舎を新築しなければならぬとか、あるいは都市計画に伴って局舎の移転をしなければならぬとか、そのほか緊急な事情をもあわせて考慮して計画をいたしております。
  250. 森本靖

    森本分科員 そうすると、そういうときには、その基本方針というものは、借り入れ局舎であろうとも、国営局舎であろうとも、同じ基本方針に立ってやられるわけですか。
  251. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 今の方針はその通りでありまして、借り入れ局舎であるからあとに回す先に回すということは考えていないわけであります。
  252. 森本靖

    森本分科員 そうすると、そういう基本方針に従って、借り入れ局舎であろうと、国営局舎であろうと、特定局であろうと、普通局であろうと行う、こういうことですね。
  253. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 さようでございます。ただ、特定局舎につきましては、森本委員御承知であろうと思いますが、大部分借り入れ局舎でありまして、その多くは現在の特定局長がやっそおるわけでありますので、中には自分で進んで新築をしたい、こういうふうなものもございますので、そういう点を除きましては、特定局とか普通局とか、あるいは借り入れであるとか借り入れでないとかいうことは考慮せずに、経年順あるいは広狭、つまり経年関係一本でやるのではないのでありまして、かりに経年が相当たっておりましても、あるいは建築の丈夫なものがありますし、そうでないものもありますので、そういうものを考える。あるいは局舎の広狭、つまり新築後相当経過いたしまして、地況の変遷等に伴って事務量が非常にふえて狭くなったというようなものは、ある基準年度以上になっておりますと局舎の広狭ということを考えて、必ずしも古いばかりを基準にしておるわけではございません。
  254. 森本靖

    森本分科員 そこで、お聞きしたいのですが、そういうことで、借り入れ局舎の場合は、本人が建てるという場合は国が進んで建ててやる必要はないわけですが、建築年数九十年で、ちょっと見ても台風か何かあったら倒れそうだというふうな局舎も全国的には相当あるわけです。そういう場合に、これは非常に危険だから国で建てようと思うがといった場合に、残念ながら借り入れ局舎であるということによって、これは建ててもらわぬでもけっこうです、補強したら十分です、こう言った場合に郵政省はどういう措置をおとりになりますか。かりにそういう場合には郵政省が、あなたの方の局舎は非常に老朽化して危ないから、一つあなたが建てるなら建てなさい、もし建てなければ国の方で建てて、この郵便局としての面目を一新するが、こういうふうに言われますか。
  255. 渡辺秀一

    ○渡辺説明員 おおむね森本委員のおっしゃる通りでありまして、経年が相当古くて、しかも危険な状態にあるといったような場合には、所有者が建てればもちろんけっこうでありますが、建てない場合には、もちろんほかの予算の全体の事情等ともにらみ合せまして順位は考えますが、だれが見てもこれは危ないといったようなものは国で建てなければならぬと思っております。
  256. 井手以誠

    ○井手分科員 関連してお尋ねいたしますが、今まで特定局の一局平均の建設費は大体どのくらいでございましたか。
  257. 小坂秀雄

    ○小坂説明員 坪数によりましてはっきりいたしませんが、特定局ですとほとんど木造でございますから、大体予算は今年は平均八十坪程度考えておりますが、そういたしますと四百八十万程度考えております。
  258. 井手以誠

    ○井手分科員 そこで、経理局長にお尋ねいたしますけれども、九十二局の木造新改築のほとんどは特定局だとおっしゃいました。九億円で九十局前後では少し数字が合わぬではございませんか。私は当局を信頼しておりますからあまり追及したくないと存じますが、この点は大事ですから、念のためにお尋ねしておきます。
  259. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 新増築と申し上げたのでございますが、その新増築の木造が九十二局、そのほかにもう一つ申し上げましたのに土地買収で百十九局と申し上げました。この土地買収の費用どもこの中に入り、それで大体九億と申しました。
  260. 井手以誠

    ○井手分科員 少しその点をはっきりさしていただきたいと存じますが、九億円、これは大体約束通りでございます。約束の数字をお示しになっておりますけれども、どうも計画の方がそれにマッチしないような気がいたすのであります。今建築部長の話では四十坪か五十坪ということで、木造建築であれば大体値段はわかるわけです。また百十何局の土地買収をしても大体見当はつくはずでございますから、間違いはないでございましょうね。念を押しておきます。従来の例から言っても、九十局そこそこではないはずでございます。
  261. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 こまかい積算等については、初めお断り申し上げましたように、個々の設計または土地の買収の際におけるお互いの取引によって非常に変動がございますので、大ざっぱに数字を申し上げたのでありますが、いま一度念のために繰り返さしていただきたいと思います。先ほど申し上げましたように、郵便局舎としては全体として大体二十八億円になっております。その内訳といたしまして、土地買収が百十九局ぐらいある。そういたしますと坪数といたしまして二万四、五千坪でございます。大体この五億から六億の間の金がこの二十八億の中から落ちるわけであります。それから、建物の新増築の中で、合計いたしますと、これで百局以上になるわけであります。これが坪数にいたしますと大体四万坪前後じゃなかろうかというところで、二十二億円という積算がしてあるわけでございます。そのほかに、三十一年度内に現実の支払いにならない、ただし予算丁号によって許されるところの債務負担行為によって約十億円というものがそれらの計画において使われるだろう、こういうふうな数字を申し上げた次第であります。
  262. 井手以誠

    ○井手分科員 私がお尋ねしておるのは、普通局と特定局を一緒にしたものではなくて、特定局の分だけでございます。特定局に充当するものが大体九億円、その中に新増築が大体九十局、それを先刻の建築部長の話では四十坪あるいははっきりしませんが五十坪以内でございましょうから、単価は大体出てくるはずでございます。これは農村、いなかでございますから、先刻お答えがあったように四百数十万円として、これを九十局全部特定局に当てましても、四億そこそこじゃございませんか。それに土地買収を加えましても幾らになりますか。私は特定局だけのことをお尋ねいたしておりますが、一昨年昨年に続いて、大体九十局はなかったかもしれませんが、それに近い数字は建築されておるはずであります。その特定局の建築については、私もはっきりいたしませんけれども、そう五億、六億という多額の金ではなかったはずであります。それが国会と郵政当局の努力によって九億まで引き上ったならば、もっと新増築の件数はふえなくてはならぬと私は思う。これは常識だろうと私は思う。せっかくここまでこぎつけた問題でございますので、もう少し詳しいところを、後日の参考と申しますか言質と申しますか、いただきたいと存じます。
  263. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 お話のように、たとえば局舎につきましては、本年度内で大体完成するだろうというようなものをあげておるわけでございます。そのほかに、お話にありました土地買収、このものが相当大きな比率を占めておるのであります。そして、今井手委員のおっしゃいました、私が大体九億ぐらいだろうと申しましたその九億と申しますのは、繰り返して申しました通り、国庫債務負担行為、それと土地買収と建築と、三つ合せて大体九億ぐらいだろう、こういうふうに申し上げた次第であります。
  264. 井手以誠

    ○井手分科員 私は簡単に引きさがるつもりでしたけれども、そういうわけには参らなくなりました。債務負担行為、そういうことは本国会ではきめておりません。本年度増築するものだけで、簡易保険郵便年金の積立運用総額の三%の金額の半額を特定局に充てるということが大体約束でございました。そういう点から参りますと大体九億です。その九億に該当する特定局の新増築計画がなくてはならぬと私は思う。それをお示し願いたい。将来のことではなくて、来年のことではなくて、九億に該当する計画をお示し願いたい。
  265. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 重ね重ねのお言葉でございますが、たとえば十八億円借り入れられるならばその半額は特定局に向けよ、これは前に逓信委員会でおっしゃったお言葉でございましてそういうふうな方針で私たちもやっておるのでございますけれども、御存じのように多数の局舎でありますので、現実に九億ぎりぎりになるというところまでは私からまだ申し上げられないのでありまして、現在の見通しといたしますと、負担行為も入れて大体九億程度でございましょうと申し上げたことは間違いございません。今後土地買収の進行、その値いかんによりまして、あるいはその金額等にも変更が出ることかとも思いますが、その御方針については私たち極力実施したい、こう思っておる次第であります。
  266. 井手以誠

    ○井手分科員 国会の御意思であったということですが、ここに私は記録を持ってきております。国会の意思に対して大臣からはっきり答弁なさっておる。当局の方針でもあるわけでございます。これは政務次官もよく聞いていてもらいたい。わずか九十局そこそこの増改築に九億円とは、私はそうは見積られぬと思う。これが百五十局でも見積ってあるならば、私は聞きはしませんけれども、どうも数字が合わないのであります。従来の建築実績から考えても、もっと動かなくてはならぬはずです。それは九億が八億九千九百万円になったからといって私は文句は申しませんよ。端数は申しません。しかし、大体九億円に近い数字が出てこなければならぬはずです。土地買収に対しましても、初めは百何十局とおっしゃいましたが、これは普通局も加えたものです。もしかりに特定局ばかりが百十何局ということになりましても、地方の坪当り五千円にいたしましても二億円で済むはずであります。その二億円と新増築の四億数千万円を加えても六億数千万円にしかなりません。あとはどうです。ごまかしていますか。せっかくの機会ですから、この際はっきりしておきたい。そうくどくど言いたくありません。政務次官、お約束がはっきりしています。大臣からも明言されております。これは大蔵大臣話し合いの上に言明せられたことでございます。しかも、先般の委員会においても、繰り返し大臣から、局長から、半分に該当する九億円は相違なくやりますということをおっしゃっておる。ところが、今お示しになった数字では、それは納得がいきません。一つ政務次官は大臣にかわって、私が安心できる御答弁を願いたい。ごまかしてはいけませんよ。
  267. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 できるだけ御期待に沿うようにしなければならぬということは私も考えておりますが、詳しい数字的な説明はもう少し事務当局から納得がいくように説明してもらいたいと思っております。その上で、善処する余地が見出し得れば、大臣とも相談して善処いたしたい、これだけお答えいたしておきたいと思います。
  268. 井手以誠

    ○井手分科員 重ねてあとで政務次官から言明いただきますが、何も大蔵大臣あるいは総理大臣に相談なさらなくても、これは内輪の問題ですから、できるのです。そのつもりで一つ経理局長、色よい返事を願います。
  269. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 色よい御返事とおっしゃいますけれども、私といたしましては、毎々申し上げます通り、具体的な各局舎等は、本年度の予算の積算根拠としてこういうものを積算しておるのでございますが、今後実際に当りましては、その当初の積算根拠とはいろいろ食い違いが出てくる。これは毎年やむを得ないことでありまして、たとえば、土地を買いたいと思ってもなかなか売ってくれないとか、値段が高くなるとか安くなるとか、こういうことで積算根拠とは大体おおむね実施中にはいろいろ食い違いが出てくるわけでございますが、なおその上に、この積算根拠の立て方自体に、負担行為を含めて九億ではなしに、負担行為を除いて九億にせなければならぬということに相なりますれば、私たちはそのように考え直しまして、いろいろとその趣旨に沿うように努力しなくちゃならぬわけでございますが、正直に申し上げますれば、今日の場合におきましては、負担行為を除けば九億になっていないことは明白でございます。
  270. 井手以誠

    ○井手分科員 もういろいろ申し上げませんが、十八億を運用していただく、その半分を特定局に向ける、これは負担行為とは別なはずであります。それは十八億の運用金のうちには入っていないわけでございます。そこで、政務次官に最後にお尋ねいたしておきます。私はここで何も九十何局をこの場合百五十局、三百局にしろとは申し上げません。とにかく十八億の半額、これは端数は考えませんけれども、半額は必ず特定局の増改築に向けるということだけ一つはっきり御言明願いたいと存じます。その後の実行状況については後日逓信委員会でおもむろに質問いたすことにいたしますので、きょうははっきりしたお答えだけでけっこうです。
  271. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 なかなかきついお話であるかと思うのでございますが、前の大臣が逓信委員会において言明されたことだそうでございますので、実行の面においてそれに近い努力をばして調節をはかってみたいものだ、こういうように考えております。
  272. 井手以誠

    ○井手分科員 かねがね明晰な頭脳をもって敬服されておりまする政務次官の言葉としては、あまりあやふやでございます。さきに前郵政大臣はこのような言明をされておる。この積立金の百分の三の資金中、少くともその半額程度は特定郵便局余の建築に充当していきたいつもりでございますと言われておる。ただいまあなたは、半額に近いものになるように善処しますとかなんとかいう言葉を使われたが、そんなものじゃありませんよ。大臣自身が半額は充当するつもりでありますと言われておる。それをもやもやする必要はないはずでございます。経理局長、実際あなたの方は特定局舎に向ける計画は少いでしょう。私は証拠を持っておるから今聞いておるのです。あなたが心から私の話を聞いて、それでは計画を変えよう、ごまかし切れないということをはっきりお認めになるというのなら、私はそれ以上申し上げません。二億か三億そこそこの金額のように承わっておるから申し上げるのです。この際政務次官も、私はあとでいじめるようなそんな悪い男じゃございませんから、一つはっきりやりましょう、こうおっしゃって下さい。
  273. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 申し上げます。お尋ねの趣旨は、九億の内容にはまやかしがあるんではないかということのようですが、私は決してまやかしとかうそを申し上げる意思はないのでございます。ただここにありますわれわれの積算いたしました数字をそのまま申し上げた次第でございます。大体におきまして現実に年度内に支出済みになるだろうというものが五億五千六百万、それから債務負担行為になるだろうと思うものが約一億九千万、そのほか前年度から繰り越しておりますのが一億三千万、これは本年度内においてやはり金を支払うことになります。それを合せて大体九億、こう申し上げた次第でございます。ただし、お話によりまして、負担行為をその中に見込むのはお前がうそを言ったんだ、これは非常に手きびし過ぎるのでありまして、私ども事務屋といたしまして、あれこれやりくりをやりまして、先ほど申し上げたように土地がうまく買えないものもございますし、それは計画として、負担行為として大体それで御了解願いたいと思います。
  274. 井手以誠

    ○井手分科員 きょうはその辺では了承できません。昨年から繰り越したものは、ここにも書いてあるように、明許繰り越しであって、ことしの分じゃございません。従って、ことし支払う金額である。これは支払うことができなければ来年に繰り越しになるかもしれませんが、少くともことし計画されたものが九億円でなくちゃならぬと思うのでございます。三十年度から繰り越したものは入りません。ことしの計画で九術なくてはならぬはずのものです。私はいろいろは申し上げません。局数のことは申し上げませんが、とにかく九億円、大体九億円ですよ。一千万円減ってもかまいません。それは負けましょう。大体九億円は特定局舎の建築に振り向けるということだけおっしゃって下さい。それだけでいいんです。
  275. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 私から向けますという御返事はちょっとできないのでございますが、そういうふうなことで、簡易生命保険の運用に関する条項におきまして今のような国会におけるお話があったことは承知しております。私どもはその場合において極力それに近づけるというふうなつもりではおりましたが、現実にもしもあれこれ合せてその程度までいき得るとすれば、総額において大体それに近いものになるならば、お許し願えるだろうと思うのです。そのほか特定局以外に困ったところもたくさんございます。先生も国政調査として各地方をお回りになっていらっしゃいましておわかりだと思いますが、特定局以外にも非常に困ったところがあるわけでございまして、そういう方面もやりくりしなくちゃなりませんので、そこら辺は大体私たちのやりくりの勘定として、国会の御趣旨をじゅうりんし無視するわけじゃございませんが、ただ何せいろいろだくさんのボロ局舎をほかにも持っておりますので、あれもこれも兄弟げんかせぬように、全体としてうまくいくように、そして国会で早くやれよというお話を承わっておる御趣旨にも極力沿うようにという事務当局の苦心をお認め願えたら仕合せだと思います。
  276. 井手以誠

    ○井手分科員 当局のやりくり算段、苦心のほどは私もよく了承いたしました。また大蔵省との交渉に努力されたことも私は認めております。しかし、認めましても、やはり約束だけは果していただきたいと思う。これは男と男の話です。昨年から延ばしてきたものを加えて許してくれ、そんなことじゃ世の中は通りませんよ。もうこれだけで済ませますが、まだ先も長いことでございますし、郵政委員会との縁は続いておりますから、それに譲ることにいたしまして、ともかくきょうは、国会の意思に従い、大胆の言明に基いて、半額以上は特定局の建設費に向けましょう、努力しましょうということをおっしゃっていただきたい。それだけでけっこうです。
  277. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 御熱心な御出張でございますし、前の松田大臣ができるだけそういうふうにするという約束もあるということでありますので、御期待に十分沿えるかどうかは、これは実施面を通じて考えていかなければならぬ点もあるかと思いますけれども、できるだけ御趣旨に沿うように、今の大臣とも相談して参りたいと考えております。
  278. 井手以誠

    ○井手分科員 それでは、よく大臣あるいは内輪と御相談なさって、五億そこそこで立ててあるような特定局建設費については練り直していただきたい。練り直していただけば、また後日の機会にお許しを得てお尋ねをいたしたいと思います。そうすればもっとはっきりいたしますが、そう申し上げても、大体政務次官も経理局長もおわかりのことと思いますので、当局を信頼して、私はきょうはこの程度でやめておきたいと思います。
  279. 森本靖

    森本分科員 それでは、もとへ戻りますが、先ほど問題になりました小破修理費の九億の配算の問題でありますが、これを普通局、特定局等に対してどういうふうに配算をせられますか。
  280. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 まだ最後的な数字まできまっておりません。
  281. 森本靖

    森本分科員 予算ですから、最後的な数字はきまっておらぬと思いますが、しかし、これの根拠というものが一応あって、そうしてこういう予算ができたと思いますが、その一応の根拠というものをお示し願いたい。
  282. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 一万数千の局舎その他全部を含んでおります。大体今までの実績を中心としてその金額を積算しております。
  283. 森本靖

    森本分科員 答弁がすべて大体のことの答弁でありますので、私の方の質問も、きわめて核心に触れてみたいと思うけれども、なかなか核心に触れていくわけに参りません。これは答弁が上手なのかもしれませんけれども、非常に残念であります。しかし、その程度しかわからぬということであればやむを得ぬと思いますけれども、ちょっとお聞きしたいと思いますが、全国で水道関係あるいは井戸、そういうことでまだ国の郵便局で水道それから井戸がないというところがたくさんあるわけであります。隣の象に水をもらいに行かなければならぬような局も相当あるわけですが、そういうことについて全国の統計をとったことがございますか。
  284. 小坂秀雄

    ○小坂説明員 郵便局の給水につきまして、水道があるか、あるいは井戸があるかという調査をしたことはまだございませんが、そういう例がありますれば、非常に例としては少いのではないかと思います。もしそういう例がありましたら、できるだけ改善いたしたい、かように思っております。
  285. 森本靖

    森本分科員 それは非常に認識不足でありまして、全国に一万三千特定郵便局がありますが、その中でおそらく二千五百程度はこれがないと思うのです。これは調査をすればそういう数字が明らかに出てくると思う。この小破修繕費なんというものは、こういう方面に重点的に使ってもらいたいと思うのです。実際に郵便局の局員が飲料水がないということによって一般の民家にわざわざもらいに行かなければならぬ、あるいは山の上の郵便局で谷川まで水をくみに行かなければならぬ、こういうような例が全国刈るところにあるわけです。こういう点については一つ調査をして、こういうものの重点配分というようなことについても今後十分行政庁は考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  286. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 おっしゃる通り、さっそくそういうことにつきまして調査をいたしまして実施いたします。
  287. 森本靖

    森本分科員 まだ私はそれ以上にいろいろここで質問をいたしますと、あなたの方の非常に参考になる点が多いと思うのです。今年度のこの予算を執行する面において、単に建築関係でなくしていろいろあると思いますが、もうだいぶ時間がたちましたので、このくらいでやめておきたいと思いますが、ちょっともう一点だけ参考にお聞きしたいのです。旅費というのがそれぞれの関係にあるわけですが、この旅費の中で本年度の異動に伴う旅費はどの程度見込んでおりますか。
  288. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 私どもは大体赴任旅費としてやっておるのでございますが、損益、建設合せまして一億一千万円余り、これを赴任派閥として予定してございます。
  289. 森本靖

    森本分科員 大体この一億一千万円というのは何人の異動を考えておるわけですか。
  290. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 その点は、官吏二十五人につき一人の割合で赴任されるものとして積算しており、これは各省ともこの率で積算しております。現実に異動がどのくらいあるのかということは、たとえば地方の小さな郵便局の課長と課長、主事と主事等の転任等は全然私どもの方でも発令いたしませんし、そういうものが非常に多いので、私どもも見当がつかないのでありまして、大体このくらいはいくのではなかろうかというところで見ておる次第であります。
  291. 森本靖

    森本分科員 これで官庁の予算の組み方というものの一端が知れますので、それでいいわけであります。しかし、こういうものを組む場合には、やはり前年度の例とか、あるいはその管内における人員が何人ある、それによって今年度の異動の目標はどういう異動の目標を行なっていくか、それによって計算をすれば旅費の単価が出てくる、その単価によって予算を組む、こういう予算の組み方が国の予算の組み方として当然であります。しかし、ちょっとお聞きしただけでありますので、この点はこれでおいておきたいと思います。  また、これ以外に私は交際費その他をいろいろお聞きしたいと思いますが、もう一点だけ郵政省関係にお聞きしたいと思うのです。これは非常につまらぬような質問でございますけれども、冗費節約という点からいくと非常に大事な点であります。それは、今日郵政省において乗用車は大型が何台、中型が何台、小型が何台で、どういうふうに使用されておるかということをお聞きしたいと思います。それで、たとえば本省段階においてはどういう方が利用せられ、郵政局、監察局、電波監理局関係においてはどういう方が利用せられ、現業段階においてはどうなっているか、それを御説明願いたいと思います。それがすぐわからなければ、後日の逓信委員会でもけっこうです。ただ、私は、ここでその内容を聞いて、それから次に質問をしたかったわけでありますが、こういう自動車の配置でも、一番大事な現業官庁の統轄局長のところにいくに従ってボロな自動車が配置される、その次にいいのが郵政局、その次にいいのが本省という現実の自動車の配置になっておる。こういうことでなしに、本省の大臣、政務次官あるいは局長というものは一応体面を考えなければならぬから、これはいい自動車を回してもいいけれども、それと同じように、貯金、保険関係の募集目標も持っておる地方統轄局長あたりになると、これは地方の知事とか市長とつき合いをしていかなければならぬ、こういうことになると、一がいに中央だけがいい車というわけにもいかないのであって、本省、郵政局、現業官庁というものを通じまして、今後一つ十分に、この自動車の配置計画あるいはその利用というものも、最大限に利用すると同時に、やはり合理化していかなければならぬところは合理化していく。これは小さな問題でありますけれども、鳩山内閣が掲げておるところの官庁の刷新という点は、単に郵政省だけではない。すべての行政官庁に当てはまる問題です。ついでに申し上げておくわけでありますが、こういう点についても十分一つ将来御留意を願いたいと思うのですが、政務次官の方で一つ御回答を願いたい。
  292. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 郵政省に限ったことではございませんが、御指摘の通り経費を節約しなければならぬという点、同時に第一線の統轄局長あるいは現業関係の局長等は、自分が職務上活躍をしなければならぬと同時に、他官庁との振り合い等もございますので、予算やその他の関係とにらみ合せまして、できるだけ御趣旨に沿うような車等の配置も考えなければならぬということは、私も地方を回ってみてその声も聞いておりますので、できるだけ善処したいと考えております。
  293. 森本靖

    森本分科員 その政務次官の答弁で私もけっこうでございますが、それから、もう一点、これは郵政省だけではございません。郵政省、電信電話公社その他の行政官庁にも関係がありますが、今組合が春季闘争をやっておる。そこで、定時出退庁を行うということになると、これが違法だとかいうことで、この間も倉石労働大臣が本会議で答弁しましたが、こういう内容については私たち非常に異論がありますけれども、この間国鉄が、これは予算関係がありますが、賃金カットしたわけであります。この間の大阪の場合がそうです。そうすると、ああいうことが電電公社あるいは郵政の現業関係においても当然出てくるというふうに考えていいのですか。
  294. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 森本委員よく御承知の通り政府の見解が統一されて出ておりますので、われわれはその線に沿って善処したい、こういうふうに考えております。
  295. 森本靖

    森本分科員 それでは、いかなる人がそういうふうになっても、全部賃金カットをする、こう言われるわけですね。
  296. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 そのときの状態になってみなければ、何を指しておるのかよくわかりませんが、いわゆる政府の統一解釈に違反するものであれば、それは大体御質問の線に沿って処置されるものと解釈をいたしております。
  297. 森本靖

    森本分科員 私が今言っておるのは、それは単に闘争だからどうだこうだとかいうことじゃないのです。賃金カットということは、働かないからそれだけの賃金をカットする、こういう意味でしょう。闘争をやっておるから引くというわけじゃないでしょう。それだけ働かないからそれだけ賃金を引く、こういうことになるのでしょう。どうですか。これは郵政省、電電公社すべて一緒です。
  298. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 働かないから賃金カットをするんだということになるのか、あるいは闘争に関係しているから賃金カットになるのか、こういうような御質問であるかのように思うのでございますが、私は、その個々の場合において具体的に事案を考えなければ、早計な結論は出ませんが、大体働かないから賃金カットをするということが原則であると思います。ただし、政府の解釈は闘争に関連をして出たのでありますから、これを切り離して、全然考えぬということはどうか、はっきりした解釈をここで今申し上げるまでには私も頭が整っておりませんが、切り離すことができるかどうか、これは相当研究してみなければならぬと思います。
  299. 森本靖

    森本分科員 これはあまり予算関係がなくなりましたので、後日日を改めて論ずるところで論じたいと思いますが、ただ、政務次官もおられますので、こういうことを言うと、非常に私がいやなやつだというようにきらう方もたくさんおられるかもしれぬけれども、これは現実の問題として一言御忠告を申し上げておきたいと思うのは、従業員が定時退庁あるいはそういうことをやると、すぐ賃金カットとかどうとか言われるけれども、今各省において、勤務時間は八時半から五時までということに大体なっている。そして休憩、休息時間も明確にきまっている。これを今日その通り厳守をしているところは、私はほとんど皆無だと思う。これは郵政省だけに限りません。郵政省なんかは一番成績がいい方じゃないかと私は思う。私が試みに建設省、農林省あたりに朝用事があって電話をかけても、十時ごろになっても、まだうちの局長はお見えになっておりません、こういう回答が非常に多い。こういうような状態をほったらかしておいて、実際問題として従業員がちょっと半時間なら半時間やると、すぐ賃金カットをやる。今言ったようなことは単に中央だけじゃございません。特に郵政省とか電電公社というものは地方にもそれぞれの下部機構というものを持っておりますけれども、これは下は上に見習うということでありましてそういう情勢が地方の官庁にも多い。これは単にわれわれの所属しておる郵政省、電電公社だけの問題じゃございませんが、こういう点が将来論争の種になるもとと思いますので、政府当局が従業員に官紀粛正ということを言うならば、まず身をもって自分の方から範を示さなければならぬと思うのですが、その点政務次官は今の各官公庁のそういう状況をよく御承知ですか。
  300. 上林山榮吉

    ○上林山政府委員 四角四面に言えば、私は日本の役人はだれを問わず定時に出てきて国民に奉仕すべきものであると考えております。しかし、郵政省に限らずほかの官庁の実例を見ましても、御指摘の通り、これが十分に行われているとは考えません。しかしながら、できるだけ能率を上げるという意味から、あるいは国民に奉仕をしなければならぬという立場から、できるだけ定刻近くに出てくることが望ましい、こういうように考えております。なお、朝出てくるのがおそいからというので、幹部を問わず、あるいは職員を問わず、賃金カットは行われておりません。これがいいか悪いかという法律論等になりますと、これはいろいろ議論も分れるところでありましょうが、現段階においてはそういうような状態であるということも、私も残念ながらほかの省に行ってみましてあなたと同じ体験をいたしておりますので、そういうように考えます。ただし、これがいつまでもこのままでいいか、お前は一体どう考えるのだ、こういうふうに突き詰めてこられますと、私としては、先ほどいうたように、できるだけ定刻に出てくることが望ましい、こういうふうに考えます。
  301. 森本靖

    森本分科員 政務次官の答弁としてはその程度しか出ないと思いますけれども、私は自分が昔からそういう点はほんとうにくそまじめにやってきた方なので、従業員に対してまじめにやらなければならぬということを求めるならば、率直なところが、政府自体がまずその範を示すべきだと思うのです。それを、なるべくならというようなことでは、これは出るところへ出ての論争なら、政務次官の答弁になっておらぬわけですよ。しかし、きょうは予算分科会でもありますので、こういう問題も春季闘争の問題にからんで出てきますよということだけ御忠告を申し上げておく程度でおいておきます。  まだいろいろ聞きたい点もありますが、郵政省関係はこれで終りまして、次に電電公社の方に移りたいと思います。  電電公社の予算でまず最初に聞きたいのは、電信事業の収入、支出の損益勘定においては明らかに出ておりますけれども、電信と電話の収入と支出の比較についての御説明を願いたいと思います。
  302. 平山温

    ○平山政府委員 電信と電話の収入と支出の関係というお尋ねでございますが、三十一年度におきましては、電信収入は八十八億円、電話収入は千百五十六億円でございます。支出につきましては、電信、電話というふうな区分になっておりませんので、営業費、保守費その他共通費とかいうような支出の関係になっておりますので、今ここですぐお答えいたしかねます。
  303. 森本靖

    森本分科員 予算書ではそういうことになっておりますけれども、この経理を行う場合は、電信収入が幾らあってそれに対する一応の支出はどのくらい出るということは計算上出てくるわけで、その点を言っておるわけです。
  304. 平山温

    ○平山政府委員 詳しいことは公社の方で答えてもらいたいと思いますが、私の承知しておりますのは、大体電信関係におきましては収入の約二倍の支出がかかっておる。大体収入と同じ程度の赤字が出ておるというふうに承知しております。
  305. 森本靖

    森本分科員 これはちょっと公社の方からその点はもう一回説明願いたいと思います。
  306. 靱勉

    ○靱説明員 ただいまの御質問でございますが、監理官からお答えいたしましたように、来年度の予算は科目を整理いたしまして、電信の支出と電信の収入、あるいは電話の収入と電話の支出というものを比較できるようになっておりませんが、決算におきましてはそういう経理をいたしております。大体のところ、電信におきましては、収入の倍、ちょうど同額程度赤字になる、すなわち支出が倍だという形になっております。
  307. 森本靖

    森本分科員 この電信関係の赤字というものは、今後も不可抗力的に続いていくものと考えるのが、あるいは電信の赤字というものをどういう方向において埋め合せていこうとするのか、そういう基本的な方針はどういうところにありますか。
  308. 靱勉

    ○靱説明員 この電信の赤字につきましては、どうしても本質的に赤字かというふうにおっしゃられますと、私ども必ずしもそういうふうには考えておりません。しかしながら、わが国におきましては、まだ電話が非常に発達していないので、全国至るところで電信が打てる、こうことができるように、施設サービス拡充して参っております。しかもこれは国定全部の人が年に一通ずつ打つという通数計算になっておりますが、これはできるだけ安く、しかも国民の電気通信利用としては、電話は必ずしも利用できなくとも、電信だけは利用できるようにというような一つの政策的な考えもありまして、在来必ずしも赤字に拘泥しないで経営して参ったという沿革もあるわけでございます。しかし、何分にも概算百億近くの赤字というものは非常に大きいのでございまして、これは要するにある意味においては電話にかぶっておる、こういう形に相なっておるわけでございます。そこで、公社といたしましては、この原因がどこにあるかということになりますと、結局、配達の関係、あるいは電送関係におきましても、人件費の問題が決定的要素である。すなわち、夜間におきましてあまり通数がないにもかかわりませず緊急なる通信は受け付け、配達もしなければならないという電信の特殊性から見まして、料金の点において是正いたしますればともかく、私どもの見込みとしましては、現在のサービスをあまり低下させないで収支償うようにするというにつきましては、絶対的に料金に触れないでこれを克服するということについては、私ども自信がないのであります。しかしながら、中継の自動化、あるいは配達制度の改善というようなことによりまして、なおこの赤字をできるだけ少くしていかなければならぬということを、とりあえず目標にしておるわけであります。なお、電信の技術も非常に進歩発達しておりますが、諸外国の例を見ましても、国内電報におきましては赤字の国がほとんどでございます。しかし、一方におきましては、国際通信と一緒にしましてとんとんというところもありますし、アメリカのごとく株式会社でやっておるところにおきましては、ともかくペイしてやっておる。こういうような状態もありますので、私ども、ただ少しでも赤字を少くすればよいということではなく、終局におきましては収支償うような見込みが立たないかどうか、そういう施策が講ぜられるかどうか、これについては電信の経営合理化というものについて目下真剣にいろいろ検討しております。しかし、現実の事態におきまして、これの諸条件を実施していくということは、他に非常にいろいろな問題があるわけでございますから、絶対的にペイするものではないと申し上げませんが、これにつきましては当分の間ある程度の赤字はやむを得ない、こういう考えに立っております。
  309. 森本靖

    森本分科員 そこで監理官にお聞きしたいのですが、国際電電の電報に関する収入と支出はどうなっておりますか。
  310. 平山温

    ○平山政府委員 実はきょうその資料を手元に持ってきておりませんけれども、大体四十五億ぐらいの収入のうちで四十億近い収入が電報であると思っております。
  311. 森本靖

    森本分科員 私の聞いておるのは、収入だけでなくて、国際電電の電信に関する収支の問題を聞いておるわけです。
  312. 平山温

    ○平山政府委員 お答えいたします。御承知と思いますが、国際電電の場合はちょうど電電公社と逆でございまして、収入支出も大部分は電信が主流でありまして、電話はほんの一部になっております。そこで、電信だけの収支の詳しい点が載っておりませんが、国際の半期の利益が大体一億五千万程度と承知しておりますから、大部分これは電信関係収支の差、こう考えていただいてけっこうだと思います。
  313. 森本靖

    森本分科員 これ以上、この問題は事務当局の問題でないわけであって、これはさっきも靱副総裁の方から説明があって、諸外国の例を見た場合、国際の電信と国内の電信というものを一緒に考えて、その相関性によって経営がうまくいっておるということを言われたわけですが、日本の現状の場合は、国内において八十億円も赤字を出して、これが国民負担にかかってきておる。ところが、一方国際電電の方は電報で非常に黒字を出しておる。それは全然国民に返って来ずに、株式の配当なりその他の方向に回っていく。こういう非常に矛盾した格好において電信を電電公社がやっておる。電信を黒字にせよとか、何とか合理化してやれということははなはだ矛盾したやり方じゃないか、私はこう思うのですが、これは政府の最高責任者がおらぬので、はっきりしたお答えは事務当局ではできぬだろうと思いますが、この問題についてできますか。
  314. 靱勉

    ○靱説明員 今森本委員が諸外国におきましては国際通信と国内通信と合せてみなうまくいっておるというふうにお聞きになりましたが、私の言い方がまずかったのでありまして、大部分におきましては赤字である、しかしながら、国際と一体になってとんとんのところもございますと、こう申し上げたのでございますから、その点誤解のないようにお願いいたしますと同時に、日本におきまする電報の利用数というものは世界で第二位でございまして、人口がアメリカは日本の大体倍でございますが、アメリカの国内電報の通数というものは日本の倍でございます。しかしながら、人件費の節約、機械化の問題あるいは料金制度の問題、こういうのとかみ合いまして、アメリカではペイしておる。それから、欧州諸国におきましては、ああいうふうな面積で、国が多いわけでありますから、大陸の相互通信というものが非常に多い。これは例の加入電信というようなものも国際的にどんどん発展しておる。そういうものを一体として考えて大体ペイしておる国もある。三つあるということを申し上げたわけであります。英国等におきましては非常に赤字に悩んでおりまして、たしか一昨年か料金を倍額値上げをしたというようなことも聞いておる次第でありますが、これらは単に国際通信と国内通信だけの問題ではく、電報におきまする人件費料金の問題あるいは、人件費に関連する機械化の問題、あるいはサービスの点で、辺陬の地におきましては大体電話を利用する、配達なども一々人手をかけないで、いろいろな工夫が重なってとんとんのところもある、こういう趣旨でございますから、その点誤解のないようにお願いいたします。
  315. 森本靖

    森本分科員 副総裁の言われた点はよくわかります。私は別にその点を取り上げてどうこう言ったわけじゃないのです。ただ、日本の電信事業のあり方考えた場合、こういうやり方をやって電電公社のみに電信の赤字というものを嫁して、そうしてこれをうまいことやれやれと何べん言っても、非常に困難な情勢にあるということは事実なのです。将来電信というものを黒字にするということになれば、別使配達なり夜間配達なりというものの料金をすごく上げるか、あるいは山間地帯は敬遠するかしなければ、赤字というものは絶対に解消されない。さらに委託業務そのものについてもさかのぼって検討しなければならぬ問題です。ところが、そういうことをすると国民に対するサービスを低下さすということは歴然たるものです。ところが、一方、同じ事業体でありながら、しかも今まで一緒にやってきた事業でありながら、これを国際電信電話株式会社というような一応民間会社と同じようなかっこうに——法律によってできた会社ではございますけれども、同じような形態にして、そして一方ではこれをやれやれと言ったところで、非常に疑問がある。そのことを、海外的な問題はともかくとしても、私は言っておるわけであって、この問題については、監理官の方としては、はっきり政治的にもう一回もとに戻す方がよろしいというようなお答えはできぬでしょうね。大臣なり政務次官でないと。
  316. 松田英一

    ○松田政府委員 さきに平山監理官から申し上げました数字を訂正しておきますが、半期の大体の収支の差額は四億六千万円であります。この点訂正申し上げます。  あわせて、今のお尋ねの問題でありますが、結局日本の電気通信の発達についてどういうふうに考えていくかということの根本問題になりまして、現在の体制はとにかく、数年前の状況におきましては、海外通信というものが、日本の現状では諸外国との関係上非常に立ちおくれている、従ってとにかく海外通信の点だけを急いで整備しなければならないというわけで、電信も電話も海外通信を切り離して、その方をまず整備させようということで、とにかく一応分けた。従って、大体の日本全体の電気通信の行き方を、電信の方で考え、あるいは電話で考えるというふうな分け方で考えていくか、あるいは国外は国外、国内国内というふうな分け方でそれぞれやっていくか、ここらへんは根本的に考え方の分れるところでございまして、また、それから出てくる利益というものも、一体その利益をどういうふうに考えていくか、もし非常に国際通信の方で現状において端的に言えばもうかっているということであれば、それは海外通信の方としてもっと料金を値下げしてサービスしていくべきじゃないかというふうに考えるか、あるいはまた、根本にさかのぼって、国内通信、国際通信というものを一緒に考えていく方がいいのかということは、実は大問題でございます。現在としましては、法律でとにかく一応国際関係は別という建前になっておりますので、その方面で適当な方法を考えていくよりしょうがなかろうというふうに私ども考えておる次第でございます。
  317. 森本靖

    森本分科員 これ以上このことを私が質問をしても、事務当局としてはお答えができぬだろうと思うのです。やはり大臣か政務次官でないと、あなたの方は事務的に説明するだけであって、その事務的な説明は私の方も十分承知しておることであって、今言ったたとえば利潤の分配の問題についても、これは海外の方を安くするということよりも、今の状態に置いて、そうして国内における電信事業のサービスの方に持っていくのは私は当然だというふうに考えておるわけですけれども、こういう問題についても、これは政治問題でありますから、事務当局にお聞きすることは困難だと思いますので、この点はこの程度でとどめておきたいと思います。  ただ、私は、電電公社の副総裁から一応電電公社の意見をお聞きしたいのですが、それは、国際電電と日本電信電話公社との関係について、電信電話公社としては、こういうように国際電電が別個に利潤をあげるような形態になっておることはあまり好ましくない、できれば従来のように国内国外を問わず日本においては統一してやってもらった方がよろしいというようにお考えになりませんか。もっとも、これも政治問題になるから、そういう問題について電電公社の副総裁なり総裁として答弁することは差し出がましいので遠慮しておきますということなら、あえて回答を求めないのでありますが、もしその発言ができるようでございましたらお願いをしたい。できないようでございましたらけっこうでございます。
  318. 靱勉

    ○靱説明員 これは通信政策の問題でございますから、今森本委員から御親切におっしゃるように、私ども回答はいたしかねるのでございますが、ただ、公社法ないし会社法の制定当時関係しておりました者といたしまして、当時そういう議論はあったのであります。国際電信においては相当収益があるじゃないか、——その当時の速記録をごらんになりますと、約十九億程度の利益を公社に移して、国内電信を興していくというような御意見が相当あったのであります。一方、国際通信から申しますれば、その利用者はある意味において非常に限定されているというような次第でございまして、またこれは国際的な料金でございますので、これを国内に直ちに流すのがいいかどうか、これは一つの議論ではないでしょうか。むしろわが国の貿易の振興あるいは通信の交流、そういうような点から国際電電はもっと通信回路をふやしていかなければならない。私の承知しておりますのでは、現在の国際回路はまだ戦前一番盛んだったころの諸国とやっていないわけですから、従って、これをどんどん今後開設していく、あるいは海底電線を敷かなければならぬということになりますと、必ずしも国際電電の収支というものは楽観を許さないということを当時御説明申し上げたのです。そしてやはり国内国内としての体制でいくということになったのであります。今の御質問に対する御答弁は御遠慮いたしますが、このことは会社ができてから初めてわかったことでなくして、当時において十分検討された問題であるということだけ御参考にお答えさしていただきます。
  319. 森本靖

    森本分科員 主査に対する要望ですが、この問題は日本の通信問題としては非常に基本的な重要な問題で、こういう問題は事務当局や電電公社の事務的な方では答弁がしにくい問題です。しかし、日本の電信電話事業の根本的なあり方については、やはりここまで論及しなければならない。ところが、大臣やそれぞれの政府関係がおらないので、この問題については非常に討議がしにくいわけであります。この点非常に残念であります。もっとも、委員も私一人しかおらぬというような状態でありますので、委員の方にも責任がありますけれども、せっかくこういう国の行政問題について質疑応答をやる際に政府当局がおらぬということは非常に残念でありますので、この点は主査の方から特に政府当局に言ってもらいたいということを要望いたしまして、この問題については残念ながらこの程度で打ち切りたいと思います。
  320. 河野金昇

    河野主査 明日からさよう取り計らいます。
  321. 森本靖

    森本分科員 次に、電電公社の資本勘定における財源の捻出でありますが、これについて、たとえば国鉄では、昨年度百十五億円、今年度五十五億円というように運用部資金の借り入れというものが毎年々々行われておるわけです。ところが、同じような性格を持っておるこの電電公社については、そういうことが全然ないかわりに電信電話債券というものがある。これは鉄道債券も同じように出ておりますが、それ以外に電電公社には電話設備負担臨時措置法一部改正案によって——これは今逓信委員会にかかっている法案でありますが、これによって今年度百億円を国民から一応吸収する、こういう格好になっておるわけですが、この辺の国鉄と公社との違いというものを明確にしてもらいたいと思うのです。これは一つ大蔵省の岩尾説明員から伺いたい。
  322. 岩尾一

    ○岩尾説明員 御質問趣旨は、国鉄の場合に運用部からの借入金が計上されておるけれども、電電の場合には運用部からの借入金が計上されておらない、こういう御趣旨だと考えます。政府財政投融資といたしまして、現存電電並びに国鉄にいろいろな外部資金のめんどうを見ておるわけでありますが、本来企業としまして国鉄なり電電がその仕事をやっていく場合に必要な資金というものはどういう調達をしていったらいいか。この点につきまして、大蔵省として考えておりますのは、やはり企業といたしましては、できるだけ国民大衆の資金を吸収して企業を伸ばしていくという方向にいっていただきたい、本来、私企業におきましても、借入金と社債の関係は、借入金というのは一時の運転資金、あるいは長期のものもありますけれども、本来は、そういった一つの金融機関から金を借りてある制限を受けるという形よりも、社債のような形で吸収していくのが企業としても正しい方向である、いわんや電電、国鉄のような公共企業体におきましては、国民大衆の財産として、できるだけそういった面から資金を吸収していってもらいたい、ただ、現実の問題といたしましては、現在の運用部資金は十五年で六分五厘、公募債の方は七分五厘で七年ということで、逆に公募債の方が条件が悪いというような現況にありますけれども、これはむしろ、将来の方向としては、公募債の償還期限をもっと延長するとか、あるいは公募債の利率を下げるとかいうような方向にいくべきであり、かつまた、いくような考え方で逐次社債市場の育成ということを現在やっておるわけでありますが、そういった本則からいきますと、公共企業体においてはできるだけ公募債によってその資金を吸収してもらいたいということを言っておるわけであります。  そこで、現実の問題といたしまして、国鉄、電電の場合に三十一年度の予算においてどうしてああいう形になったかということでございますが、一応国鉄、電電につきまして所要の経費、所要の工事計画というものを決定いたしますと、そのために必要な資金のうち、自己資金でどれくらいまかなえるか、あとを外部資金でまかなうという場合に、三十一年度におきます公募債の消化状況というものを考えてみまして、全体として約三百二十五億くらいは消化できるのじゃないか、こういう判断がつきますならば、そのうち足らない分は電電の方で公募債のワクとして持ってもらう、残りを国鉄に持ってもらって、なお国鉄の工事計画で足らない分は運用部等にお願いをしよう、こういう考え方をしておるわけでありまして、これは、両公社におきます財政の状況自体が、現在の国鉄は非常に苦しい状況で、減価償却自体も満足にできないような状態でございますので、国鉄についてはそういった面も考えて、本来はやはり公募債でやってもらいたいのだけれども、運用部の金を出そう、電電の方はかなり企業が順調にいっておりますから、その本則に従って公募債でやってもらう、こういう考え方であります。
  323. 森本靖

    森本分科員 今の説明ではちょっと納得のいきかねるのはなぜかというと、電電公社の方は、なるほどあなたが言ったように全体の収支を見た場合にはそういうことが言えるかもわからないけれども、実は三月三十一日でこの電話設備負担金の法律は消えるわけです。これは消える意味において時限立法になっておるわけです。ところで、五カ年間延長しようという法律案を今提案をして、その法律案が通るごとによって今年度百億円というものを見込んでおるのですが、これがなければこの計画は相当困難だ。そういうことになってくると、これがあるから国鉄と比べてやりよいということが言えるのじゃないかと思うのです。そうすると、時限立法でもうここでやめるということを定めておったものを延長させて国鉄云々と言うことは、私は理屈が成り立たぬと思う。これをやった上において初めてその百億円というものが出てくる、こういう理屈になるわけであって、この百億円というものがないということになれば、当然今言った融資の問題についても考えていかなければならぬということになるのじゃないですか。
  324. 岩尾一

    ○岩尾説明員 予算は前年の十二月ごろに編成をいたしますので、すべて予算を出します場合には法律というものを一緒に関連させて考えております。従いまして、来年度におきまして現在の負担法というものが延長される、また延長するという政府の決心を前提として予算を組んでおります。
  325. 森本靖

    森本分科員 ここから先は、これは政治問題になるので、岩尾説明員の説明はその通りである。ただ、なぜそういう方向におけるこの電信電話公社のみに設備負担金を延長してやらなければならぬかということになってくると、まあこの問題はここで論争しても私はつまらぬと思いますので、一応おいておきますが、国鉄と電電公社との違いが、これを延長することによってやられておる。ところが、延長するということは、国民に非常に負担をかけるということは事実なんです。これはこの間の質問でもはっきりしておりますけれども、この百億円の金がなければ、東京で四千三百円で簡単に話がつく。ところが、この法律が延長されると、つけるのに約八万円程度かかる。これだけの相違があって、それだけ国民からとって事業の拡張に回していかなければならない。それよりか、国民の零細な集まってきた貯金の中からこれに投融資をしてやっていくということが正しいわけであって、そういうことをここで論争しても、政府当局がおりませんので、私は非常に残念でありますが、この問題についてはそういうことで一応おいておきたいと思います。いずれ日を改めて委員会でやりたいと思います。  それでは、次にこの昭和三十一年度の日本電信電話公社の事業計画について御質問をしていきたいと思います。  その前に、この予算の中で、年間たとえば電柱あるいはケーブル、外線、それから碍子、機械、そういうものの購入費は全部でどのくらいになっておりますか。
  326. 靱勉

    ○靱説明員 これは、お手元に資金計画として政府関係予算の白表紙の百三ページに貯蔵品購買費というものが載っておりますが、これが大体今御質問の額でございまして、約四百四十五億、こういうことになっております。
  327. 森本靖

    森本分科員 では、この貯蔵品購買費の四百四十五億というものは、これは民間から全部調達するものですか。それとも、何かこの中には国鉄と同じように電電公社自体でやっておるものがありますか。
  328. 秋草篤二

    ○秋草説明員 しいて申しますれば、私どもの工作工場でごくまれにほんの少額のものは作ることはございますが、まずそれは無視してよろしいと思うのでございます。ですから、大体全額民間のもの、こういうふうに御了解願ってよろしいかと思います。
  329. 森本靖

    森本分科員 そこで、たとえば電柱なら電柱一本、四線用の腕木なら四線用の腕木、八線用の腕木なら八線用の腕木、碍子なら碍子というように、これは全部全国的に単価は同一であって、同一のメーカーからこういうものについては入れているのですか。
  330. 秋草篤二

    ○秋草説明員 この電柱、腕木につきましては、私どもの方の購買計画の区分といたしまして地方計画に属して、全国の十一の資材部で購入しております。碍子は中央調達になっております。それで、電柱、腕木につきましては、むろん生産会社、木材会社、防腐会社、そうしたものは決して一本ではございませんで、たとえば、九州では二つとか、四国で一つとかいうことになっておりまして、この特徴といたしましては、普通の材木屋で供給するのではなくて、当然防腐剤を伴うということで特殊な防腐工場を設備しなければならぬという関係から、特定された関係メーカーと申しますか、材木屋と申しますか、そういうものから入れております。全国ではおそらく数十社になるのではないかと思っております。
  331. 森本靖

    森本分科員 そうすると、この同じ電柱でも腕木でもそれぞれの所によって値段が違ってくる、こういうことになってくるわけですか。もしそういうことならば、その最高と最低をちょっと説明してもらいたいと思うのです。
  332. 秋草篤二

    ○秋草説明員 大体私ども全国同じような価格を通知して、お互いに公正な価格で買うように教育しておりますが、北海道、九州に至るまで、木材の産地の非常に多いところとか、あるいは木材の非常に稀少なところでは九州の木材が近畿で使われることもございます。そういう関係で、値段というものが少しずつ相違している。しかしながら、非常に相違しているということはないのでございます。  それから、今の単価でございますが、これは、ただいま一本幾らかと申されましても、ちょっと資料を持ち合せませんので、御必要がありますならば、これも種類が非常に多種多様ございますが、標準的なものをお示しできるかと思います。
  333. 森本靖

    森本分科員 それからほかでもいろいろ聞きたいことがありますが、そういうふうに地方調達と中央調達とに物品が分れるわけですね。それで、地方調達の場合、単価が著しく違ってくるという場合が出てくることはありませんか。
  334. 秋草篤二

    ○秋草説明員 これは、かつて検査院で指摘されたもの、あるいは私どもの内部監査におきましても、金額はわずかでございますが、明らかに地方でも、同じものを買っておりまして——製品会社なり商店は違いますけれども開きが一割程度ならこれは当然あり得ることも想像できますが、五〇%も違ったというものもかつてございました。しかし、地方調達のものにつきましては、本社の方でそういう使用物品につきましては統計をとって、そのプリントを地方に送付しておりますので、あまりばかげたかけ離れた値段で買っておるということはございません。
  335. 森本靖

    森本分科員 この物品の購入問題については、私はまだいろいろお聞きしたいと思いますけれども、本日は時間がありませんので、この程度でおいておきたいと思いますが、今私がその一端を申し上げたような内容については、他日委員会で詳しく御質問をしたいと思いますので、この次にはそういうふうな資料を十分持ってきていただきたいと思います。きょう質問をいたしましてもお答えがむずかしいと思いますので、その点はこの程度にしておきたいと思います。  次に、この具体的な建設計画でありますが、今後自動交換にする、それから磁石式から共電式にするというこの基準はどういうところに置いておりますか。
  336. 靱勉

    ○靱説明員 大体、電話の交換方式におきましては、大きく分けまして磁石式、共電式、自動式のあることは御存じの通りでございますが、磁石式におきましても、あるいは単式、複式ということで、それぞれ限度があるのでございます。加入者の数が二千、三千となれば、もちろん単式の磁石式ではだめでございます。そこで、将来の発達予想等から考えまして、一ぱいになってきたものを改式する場合におきましては、これを共電式にかえるか自動式にかえるかという問題があるわけでございますが、公社の方針といたしましては、今後やはり自動方式に変更することが経営上有利でありますし、また利用者の方もそれを非常に望む、のみならず、市外通話サービスを改善するためには、やはり自動化ということが国民に電話の最もいいサービスを提供するために各国当然の要請であるのでありまして、私ども、磁石式なり共電式を改式する場合には、これを自動式にかえていきたいという考えを持っております。しかしながら、あるいは十年、十五年の発達予想をいたしましても必ずしもそう加入者がふえないというところにおきましては、磁石式の局というものは今後そう減っていくというような形には決してなっておりません。その中間にあります共電方式につきましては、これはほんとうに磁石式を共電式にかえ、必ずまた自動式にかえなければならぬというような技術的な要件もありますので、これを他に転用できていきますれば必ずしも不経済ではないのでありますけれども、まだ消耗しないうちにそれを放棄して自動式にかえるというような事態になりますれば、経営上としてきわめて不経済であるというようないろいろな観点から、ただいま申したように、将来相当の施設を要する、あるいは市外通話のサービスを改善していかなければならぬというようなものにつきましては、できる限り自動式にかえていく。しかしながら、自動式におきましてはどうしても建設投下資本が多くかかりますし、あるいは現在でも共電方式が二〇%程度しかございませんので、それらの転用できるものはできるだけ使っていくというような考えで、なお依然としてこの三つの方式が動いているわけでございますが、そういうような観念から、それぞれの年度におきまして、その局の将来の発展、地況、サービスの状況をにらみ合せまして、それぞれの方式を決定しているような次第であります。
  337. 森本靖

    森本分科員 一応回答がありましたけれども、この共電式に切りかえる、自動式に切りかえるというのは、一応私は公社は公社なりの基準があると思うのです。どれだけの加入者があって、どれだけの範囲であって、どれだけの交換度数があるというふうな一応の基準を置いて、その基準に従ってやっていると私は思う。但し、副総裁が言われたように、今後は共電式に切りかえるというよりも、町村合併等その他のことを考慮して極力自動式に切りかえていこうということはわかります。しかし、一応の基準があろうと考えるので、その基準を聞いたわけでありますが、基準はないのですか。
  338. 靱勉

    ○靱説明員 大体の基準はございます。たとえば、現在共電のものは、かえます場合には自動に必ずかえていく、これが大体の原則であります。要するに磁石を自動にするか共電にするか、磁石のままにしていくか。磁石につきましても複式もありますから、磁石式のうちにも相当加入者を収容できる方式はあるのでございますけれども、新たに磁石式の大きな方式をたくさん生産していくかという問題にもからまりまして、先ほど申したように将来の見通しの上において、必ずしも二千以上あるいは三千以上というような加入者の増高がないというところにつきましては、これは磁石式のままでかえるという方針にいたしております。それから非常に小さな単式の局をかえる場合におきまして、ただ何戸だからということではなくして、その付近の中心になる局が自動方式である、さらにその局との通信の交流関係がきわめて密接であるという場合におきましては、これを自動にかえるのが技術上当然の要請になってくるというような事情もあるわけでありまして、その基準を少しラフに申し上げておりますが、もう少し詳しく数字的に御説明することになりましても、数字的なものよりむしろ今申したような付近の局との関係とか、あるいはその局の将来、こういうものによってかえるならば一挙にかえる、しかしながら資金の都合上なかなかできない、いわば私どもが長期の計画を立てましても、年々たくさんの資本投下をするということもできないのでありますから、大体この程度のフラットの拡張整備をやっていくというふうに、平準化して発達さしていくということも必要だと考えておりますので、たとえば本年五百五十五億円というような建設の幅ができた。これが五百六十億から七十億——これを七百億円台にするということは、近き将来にはとうてい考えられないと思います。それらの幅におきまして長期計画を設定しても、そうするとある磁石式の局において、十年たってもまだ自動が来ないというような場合には、やはり途中において交換台の増設も要しますし、あるいは単式から複式にかえなければならぬ、そういうような見込みをつけてやるのでございまして、基準を抽象的に数字だけで申し上げてもあるいはおわかりにくいかと存じております。
  339. 森本靖

    森本分科員 そうすると、すべて自動の電話にするということが究極の目的になってくるわけですね。
  340. 靱勉

    ○靱説明員 電話の理想としましては、そういうことであるのでございます。
  341. 森本靖

    森本分科員 そこで今年度の建設計画を見ましても、新しい自動式の電話局建設が五十一局、それから大都市においては十九局というふうに相当計画があるわけでありますが、自動を計画する場合には、少々なまはんかな経費を節約して、百年の大計をあやまるということでなしに、自動が究極の目的であるならば、今共電式から自動に移るというようなところについては、かなり先を見通した局舎なり、あるいはその配置の計画というものをやるのが当然だろうと思うのですが、その点についてはどうですか。
  342. 靱勉

    ○靱説明員 全くお説の通りでございまして、もちろんほかの国におきましても電話設備というものは御承知の通りかえることができないというような状況がありますので、やはり新局を設計する場合には、長期の見通しのもとに考えていかなければならぬというのは当然の原理でございます。そこで大体どのくらいを目標にするかと申しますと、どうしても十五年くらいを目標にせねばいかぬという状況でございますが、これは予算の説明のときに各方面に申し上げておるのでございますが、ともかくこれまでに一ぱいになって一つもつかない電話局がうんとふえてきた、こういうふうな時期におきまして五百五十五億円と申しましても、これは資金として巨額な資金でございます。私ども決してこれが小さな金だとは思っていないのでございまして、これを投下していく場合におきまして、地方と都会とのアンバランスが生じてきてもいかぬ。そこで多少の経済性は無視しても——できるだけ経済的に考えて、経済的というのは目前的という批判があるかもしれませんが、二、三年ですぐに詰まっちゃうような局を作ったのではきわめて不経済でございますが、ともかく十五年という理想をもってするにいたしましても五百五十億の金が要る。今非常に立ちおくれておりまするわが国の電話をよくしていくためには、やはり全国全体としてある程度バランスをとっていきたい。そういう場合には多少の経済性を捨てまして公平性を少し出していきたいというようなことで、私ども第一次五カ年計画の初めにおきましては、そういう理想を持ったのでございますが、どうもなかなかその中間におきまして資金が思う通り集まらぬ。やむを得ず余っているところはどんどん電話をつけてしまって、あるいは回線をうんと増して市外通話で収入を得るというようなことで、だんだん設備を増すということで資金計画を立てざるを得なかったために、最近においては私ども理想は持っていきたいのでございますが、そこを少し調整いたしまして十年ぐらいあるいは八年ぐらい、要するに中間期の目標で設定をしていかざるを得ないのではないか、こういうような観点に立ちまして、ただいま大体そういうのを基本的な方針としまして、必ずしも絶対的な理想的な設計ではないが、こういうことでやむを得ない、こういうふうに考えておる次第であります。
  343. 森本靖

    森本分科員 それは百年の将来を考えると、当面の電話の拡充についてどうしていくかということとの一つの摩擦相剋になると思います。しかし自動が究極の目的であるとするならば、やはりこれは十五年なら十五年、二十年なら二十年ぐらいの見通しを持った計画を行うべきである。そうしないとそれを八年なり十年したら、またすぐそれに増築をしなければならぬ、あるいは改築をしなければならぬということでは、私は非常に難点があろうと考えるわけです。だから自動というものが究極の目的であるとするならば、この自動化についてというところでは、この予算の面においてはどのくらい占めるか知りませんけれども、私はやはりこれは少くとも二十年やそこらは大丈夫だというところをやるのが至当ではないか。当面の、目前のことを考えてやるということは非常にいいようだけれども、将来を考えてみると、これはやはり悪平等になると思う。電話事業の百年の将来ということを考えていくならば、そして究極の目的が自動化であるとするならば、私は少くとも十五年や二十年は大丈夫だという方向に持っていくというのが正しいと思うが、この点についてはどうでしょう。
  344. 靱勉

    ○靱説明員 まことにおっしゃる通りでございまして、私どもその理論というか、考え方について反対しているわけでは毛頭ないのでございます。十分将来の見込みを立てまして、それで最も経済的な設計をしていくということが必要でございますが、建物等につきましてもこれは百年ももつのでございますから、そういうようなことを考え計画していくということについては、私どもぜひそういう方針をとりたいのであります。先ほど申し上げました通りの次第でありますので、将来の拡張も考えまして、あるいは敷地をよけいにとっておくとか、そういうようなことでそこに建て増しをしてやっていけば、必ずしもそう不経済ではない一いう面も出てくる、こういうようなことも考えてやっておるのでございまして、ただいま申したように七年、八年という中間期を目がけて設計する方針もとりつつあると申し上げましたが、これはあくまで十年、十五年あるいはそれ以上の目標を持って、その上に立って将来非常に困らないように現在においては最小限度に敷設するというようなところによって、今の考え方というものはある程度達成できるのではないか、こう考えるのです。
  345. 森本靖

    森本分科員 私はそれについてまだ納得がいきませんが、いわゆる細分化されてサービスを提供していく、あっちもこっちもということで、若干のサービスの向上にはなるけれども、案外充実したサービスにはならないのじゃないかと思う。それよりか、これが自動化するということは半永久的な問題である。そういうことになると、そこについたものは八年や九年ということでなくて、少くとも十五年や二十年は大丈夫だという方向において建築するのが、私は商売上もそうだろうと思うし、サービス上からいっても、そういう方向をとるのが当然だというふうに考えるのですが、一つ平等にならぬような格好において、そういう将来の新しい自動化の建築については考えていってもらいたいと思うのですが、どうでしょう。
  346. 靱勉

    ○靱説明員 先ほど申しましたのは設計上の問題を主体としてお話申し上げましたので、あるいは少し窮屈にお考えになったかもしれませんが、土地の問題あるいは建物の問題につきましては、必ずしも七年とか八年とかいうことを考える必要はない。これは十年あるいは十五年を考えるということもできるだけ考えていきたい、こういう考えでございます。
  347. 森本靖

    森本分科員 その点はまだ掘り下げて聞きたい点もありますが、もう時間もありませんので、この点は委員会でもやることにして、やめておきたいと思います。  次にマイクロウェーブの建設の問題でありますが、このマイクロウエーブの建設については電電公社としてはテレビを主体にして考えていくのか、それとも市外回線の増加を考えていわゆる市外回線の回数を多くするというようなことを重点に考えていくか、この点についてはどちらを重点に考えていかれますか。
  348. 靱勉

    ○靱説明員 その点につきましてはもちろん私ども電信電話を主体として考えております。しかしながら公社といたしましては、あらゆる国民の需要に対しましておこたえしていかなければならぬという責任を持っておりますので、ことにテレビの中継につきましては、現在マイクロウェーブ以外に中継方法がないのでございますから、将来の電信電話の発達の状況、これこそただいま森本委員のおっしゃったようにかなり長期の発達状況も考えまして、そこにマイクロウェーブを架設して当面のテレビの中継をやる、あるいは有線無線の併用によりまして、災害等におきましてその通信が途絶しないようにする、実際的にはそういう二つの効果が出てくるわけでありまして、終局におきましては私どもは電話を主体としておりますが、実行上使用される当初におきましてテレビが場合によって相当の比率を占めてくるということも、私は当然なのじゃないかと考えております。
  349. 森本靖

    森本分科員 そこでこの点は将来のマイクロウェーブの架設における基本的な問題になるわけですが、確かに電信電話公社としてはマイクロウェーブを架設する場合は、電話の市外側線のことを考えるのは当然でありまして、一応テレビの問題については直接電信電話公社がやるわけではございません。ただしかし今日のマイクロウェーブの架設ということを考えてみると、やはりこれはテレビに大きな関連が出てくるわけです。そこでやはり何と申しましても、今後のマイクロウェーブの架設ということにつきましては、これはテレビを重点的に考えていかざるを得ない。ただそこで市外回線とテレビとの需要の比重が大体同じであるというようなところ、たとえば場合によっては、一方ではどこかの幹線からそのテレビがどうにか受像できる、ところが一方においてはマイクロウェーブをつけない限りにおいてはテレビが全然見えない。ところが市外回線の増力については、テレビは見えるけれども市外回線の増力についても大いに要求しておるという、こういう段階がある。これは全国に相当出てくると思う。こういう場合にはマイクロウェーブをつけるという場合においては、何と申しましてもテレビを重点的に考えていかざるを得ないではないかということを私はお聞きしておるわけです。
  350. 靱勉

    ○靱説明員 おっしゃる通り、テレビはマイクロでなければ中継ができませんので、テレビの要求がございますれば、これはやはり独占企業としての公社としましては、これの要請にこたえていかなければならぬ。しかしながら全体としまして、これは電信電話全体の国民の需要というものとも、やはり関連して考えなければなりませんので、ただいま申したように、かりに市外回線の充足はどうやらできている、しかしこれは将来当然ふえてくるんだ、ところがテレビは全然見えないという場合に、市外電話の需要についてはまあともかくここ一、二年必ずしも増設しなくても、それはテレビの需要があるということになりますれば、その需要全体を総合いたしまして、やはりテレビの需要にもこたえていくということになりますので、そういう結果テレビについて相当の重点を置いていくということには相なるかと思いますが、これらは全体のわが国におけるテレビ網の関係等も考えまして、私どもできるだけあらゆる需要に応じていくという観点と、将来の長期の見通しをもって、その施設が必ずしもむだではないというようなことを彼此総合して考えていく、できるだけあらゆる方面の需要に応ずる、こういう考えでございます。
  351. 森本靖

    森本分科員 もう相当時間もたちましたので、私はさらに今後の装荷ケーブルあるいは無装荷ケーブル、そういうものの設置の基準あるいは方向、あるいはこの予算の内部における細部にわたる問題等お聞きしたいことがまだ多分にありますし、また私がその質問と同時に意見も申し述べたいことが相当ありますけれども、残念ながら時間も大体予定の時間にきましたので、これで一応私の質問を終りたいと思いますけれども、ただ、私は短かい時間でありましたけれども、電信電話公社の今後の事業の運営の問題についての基本的な問題にも触れたいと思いますので、そういう問題については十分に公社当局としてもあるいは郵政省の監理官自体におかれましても、この電信電話事業の基本的な経営の方法については、将来とも十分に御研究の土に、私たちの意のあるところを十分にくんでいただきたいということを申し添えまして、一応私の質問を終ります。
  352. 河野金昇

    河野主査 これにて昭和三十一年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算郵政省所管についての質疑は、一応終了いたしたことにいたします。  本日はこの程度にとどめ、明二十二日は午前十時より開会し、建設省所管についての質疑を行うこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会