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1956-02-20 第24回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和三十一年二月十七日(金曜日)委 員長指名で次の通り選任された。    主査 河野 金昇君       赤城 宗徳君    稻葉  修君       河本 敏夫君    周東 英雄君       竹山祐太郎君    西村 直己君      山口喜久一郎君    井手 以誠君       小松  幹君    田原 春次君       成田 知巳君     ―――――――――――――     会 議 昭和三十一年二月二十日(月曜日)     午前十時四十七分開議  出席分科員    主査 河野 金昇君       赤城 宗徳君    周東 英雄君       竹山祐太郎君    井手 以誠君       小松  幹君    田中 武夫君       田原 春次君    成田 知巳君       森本  靖君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 吉野 信次君         郵 政 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         運輸政務次官  伊能繁次郎君         運輸事務官         (海運局長)  粟澤 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  山下 正雄君         運輸事務官         (船員局長)  安西 正道君         運 輸 技 官         (港湾局長)  天埜 良吉君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (自動車局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (航空局長)  林   坦君         運輸事務官         (観光局長)  間島大治郎君         海上保安庁長官 島居辰次郎君         郵政政務次官  上林山榮吉君         建設政務次官  堀川 恭平君  分科員以外の出席者         大蔵事務官         (主計官)   岩尾  一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         中央気象台長  和達 清夫君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 二月二十日  分科員田原春次君及び成田知巳君辞任につき、  その補欠として森本靖君及び田中武夫君が委員  長の指名分科員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和三十一年度特別会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和三十一年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管     ―――――――――――――
  2. 河野金昇

    河野主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会主査の職務を行うことになりましたので、よろしくお願いします。  本分科会は御承知通り昭和三十一年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算中、運輸省郵政省及び建設省所管審査を行うことになっておりますが、予算委員会理事会の申し合せによりまして、分科会審査日程は本日より四日間となっております。よって本日はまず本分科会所管全部について、それぞれ政府説明を聴取し、午後運輸省所管についての質疑を行い、明二十一日は郵政省所管、明後二十二日は建設省所管のそれぞれ質疑を予定いたしましたので、さよう御了承いただきたいと思います。なお二十四日の日程については、会議の進行を見ての上御協議して決定することといたします。  ではただいまから昭和三十一年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算中、運輸省郵政省及び建設省所管一括議題とし、審査を行います。順次政府から説明を求めることにいたします。まず運輸省所管について説明を求めます。運輸大臣吉野信次君。
  3. 吉野信次

    吉野国務大臣 それでは私から昭和三十一年度運輸省所管予算につきまして御説明申し上げます。  詳細な点につきましては、お手元に差し上げました資料をごらん願いたいと存じます。  まず歳入予算でありますが、昭和三十一年度歳入予算総額は、六億三千七百八十六万二千円でありまして、前年度予算額九億九千百九十三万五千円に比較いたしますと、三億五千四百七万三千円の減少となっておりますが、このおもな理由は、公共事業費負担金地方公共団体負担金の納付の特例に関する法律の改正により、地方債の証券により納付されることになった等のためであります。  次に歳出予算について御説明いたします。  当省の昭和三十一年度予定経費要求総額は、二百四十四億六千三百八十万円でありまして、これを前年度予算額二百四十四億三千八百二十九万六千円に比較いたしますと、二千五百五十万四千円の増加となっております。  以下そのうち、おもな経費について御説明申し上げます。  まず第一は外航船舶建造融資利子補給に要する経費として、三十一億三千二百八十万円を計上しましたが、これは三十年度以前の計画造船に対する既定の利子補給及び三十一年度の第十二次計画造船に対する利子補給を行うための経費であります。  第十二次計画造船につきましては、日本開発銀行と市中金融機関との融資比率を五対五の割合とし、開銀資金百二十七億円をもって貨物船十六万五千総トン、タンカー五万五千総トン、計二十二万総トン建造する計画でありますが、開銀の回収金増加等により貸付原資に余裕を生ずる場合には、昭和三十一年度内に三十万総トンに達するまで建造をはかりたいと考えております。  なお三十一年度建造分に対する利子補給契約限度額十三億四千六十二万六千円及び損失補償契約限度額三十五億五千六百七十万五千円を国庫債務負担行為として計上いたしました。  第二は、国際航空事業補助に必要な経費として三億二千五百九十三万円を計上しましたが、御承知のように、日本航空株式会社は創業以来まだ日浅く、その経営内容を見ますと、国際線については操縦士外国人をもって満たしている関係上、人件費が相当膨脹し、また航空機の購入資金を初め多大の借入金を背負い、その利子負担相当額に上る等きわめて苦しい経理状態でございまして、国が何等かの助成策を講じない限り、各国との競争に立ちおくれ、これによる外貨収入も望めず、ひいては日本航空界の将来に暗影を投ずる結果となるものと考えられるのでございます。ここにおいて政府といたしましては、本年度も引き続き前述の補助金を交付いたしまして、本事業の健全なる発展をはかろうと意図している次第でございます。  なお以上のほか、日本航空株式会社に対する政府出資として、前年と同額の十億円を大蔵省所管産業投資特別会計中に計上しております。  第三は、国際観光事業振興に必要な経費として、八千万円を計上しましたが、海外からの観光客は年々増加の傾向にある現状より見まして、さらにこの誘致を推進し、これによる外貨の増収をはかることがきわめて必要と考えられますので、財団法人国際観光協会に対し、その海外観光宣伝事務所関係の費用に充てるため補助金を交付して、わが国国際観光事業飛躍的進展をはかろうとするものであります。  以上申し上げました第一から第三までの経費は、いずれも外貨獲得ないし国際収支改善を目的とした施策に要する経費でございますが、  第四にこれと同種類の経費といたしまして、船舶車両等輸出振興に必要な経費通産省所管貿易振興費中に含まれて計上されております。これは輸出船舶等海外サービス機関及び鉄道信号保安装置モデルプラントの設置に対し補助しようとするものでございます。  次に国内輸送力整備に関する経費について申し上げます。  第五といたしまして、地方鉄道軌道整備補助に必要な経費として、一千七百十万円を計上しました。これは地方鉄道軌道整備法によりまして、天然資源開発等のため特に重要な地方鉄道の新設、及びその運輸が継続されなければ、国民生活に署しい障害を生ずるおそれのある老朽地方鉄道の維持に対し、補助するため必要な経費であります。  第六は、鉄道鉱害復旧事業に必要な経費として、九千三百八十一万四千円を計上しましたが、これは三十年度に引き続き特別鉱害復旧臨時措置法に基き、戦時中の石炭乱掘による鉄道被害復旧を促進するため、日本国有鉄道の北九州における鉱害復旧経費補助するとともに、三十一年度より新たに臨時石炭鉱害復旧措置法に基き、特別鉱害以外の一般鉱害復旧につき、同様の補助を行うためのものであります。  なお本事業は、炭鉱地帯失業対策事業としての性格を有するものであります。  第七は、戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車船費国庫負担に必要な経費として三千六百五十二万七千円を新たに計上しましたが、これは戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律に基き、日本国有鉄道鉄道及び連絡船に乗車船する戦傷病者等の運賃についての国が負担する経費と、その事務地方公共団体に委託するため必要な経費等であります。  第八は、離島航路整備補助に必要な経費として三千七百十一万九千円を計上しましたが、これは離島航路整備法に基きまして、離島航路船舶建造または改造資金融資に対し、利子補給を行うための経費航路の性質上経営が困難な離島航路事業であって国が特に維持を必要と認めるものに、航路補助金を交付するために必要な経費であります。  第九は空港整備事業に必要な経費として、一億五千八百四十三万三千円を計上しましたが、その内訳東京国際空港エプロン新設に必要な経費として、五千万円、小型機刑飛行場整備に必要な経費として、九百四十三万三千円、国内航空用空港整備に必要な経費として九千九百万円となっております。これらの経費空港整備事業の性格にかんがみまして、三十一年度より公共事業費中に計上することといたしましたが、このうち特に国内航空用空港整備は、文化の発展とともに緊急の必要事となって参りましたので、今国会に空港整備法を提案し、あわせて御審議をお願いしたいと考えている次第でございます。  第十は、航空交通管制官の養成に必要な経費として百十三万六千円を計上しましたが、これは現在在日米軍が行なっている航空交通管制業務を早急に日本側で自主的に運営し得るよう、前年度に引き続き航空交通管制官六十名を養成するため必要な経費であります。  第十一は、港湾関係でありますが、本年度要求額は、港湾事業に要する経費として三十六億五千百五十万円、港湾災害関連事業に要する経費として五億四千九百四十一万五千円、港湾災害復旧野業に要する経費として二十億五千百九十九万五千円、港湾事業附帯事務費として八千四十七万円、合計六十三億三千三百三十八万円を計上しましたが、これ等はいずも、貿易の振興輸送力の増強を裏づける港湾施設整備拡充するためのものであります。また災害関係予算は、昭和三十年以前の災害による港湾施設復旧を行おうとするものであります。  なお、このほかに北海道港湾事業費七億八千九百万円を総理府所管に、特別失業対策事業費四億五千万円を労働省所管に計上しておりますが、これらの経費を加えますと、港湾整備のための経費総額は七十五億七千二百三十八万円となります。  次に災害防止交通安全確保の施策に関連する経費について申し上げますと、第十二に、海上保安庁関係経費として六十億九千七百十一万九千円を計上いたしております。このうちおもな経費を申し上げますと、警備救難態勢整備に要する経費として二億二千四百八万八千円、水路業務強化に要する経費として二百三十六万八千円、航路標識整備に要する経費として二億九百六十七万三千円等であります。これらの経費海上保安業務重要性にかんがみ、その強化をはかるため、老朽巡視船の代替として三百五十トン型巡視船建造するとともに、巡視船基地施設およびロラン局を初めとする航路標識整備を行う等のものであります。  第十三は自動車損害賠償責任保険特別会計への繰り入れに必要な経費とて、四千十八万三千円を計上いたしました。これは「自動車損害賠償保障法」に基き、年々累増する自動塩事故による損害賠償を保障する制度を確立するため、自動車所有者及び使用者責任保険を強制し、政府はその六制を再保険するとともに、ひき逃げ事故による加害者不明の事故の場合も、救済の道を確保しようとするものでありまして、その事務費及び加害者不明の事故の場合に支払われる保障金の部を、国が負担しようとするものであります。  なお、自動車損害賠償責任保険特別会計予算としては、歳入歳出とも二十四億五千七百五十八万四千円を計上しております。  第十四は気象業務整備でありますが、本年度気象官署としての要求額は、二十六億二千五百八十万九千円でありまして、このうちおもなものは、上高層気象観測業務整備に要する経費として、三億三千六十万四千円、予報通信業務整備に要する経費として、一千百四十七万二千円、海洋気象観測業務整備に要する経費として四百二十万円、水理水害対策気象業務整備に要する経費として、二億四千四十一万六千円、航空気象業務整備に要する経費として、一千五百七万六千円等であります。これらは台風等により年々こうむっております莫大な災害を、観測の的確と予報業務敏速化とにより最小限にとどめ、また水資源利用高度化をはかる等の目的をもって、気象観測施設通信施設等整備を実施するために必要なものであります。  第十五に船員教育関係経費といたしまして、航海訓練所における練習船整備遠洋航海の拡充に必要な経費一億二千四百四十一万三千円を計上しましたが、これは進徳丸の改修に要する経費商船大学及び商船高等学校実習生に対し、年一回遠洋航海を、実施するための経費であります。  以上が当省所管関係昭和三十一年度予算の概要でございますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  次に昭和三十一年度日本国有鉄道予算の概要について御説明申し上げます。  最初に予算編成の基本についてでありますが、収入におきましては今年度の経済情勢の好転が引き続き来年もある程度持続するものと想定いたし、特に貨物収入を最大限に見積り、一方支出におきましては避けられない経費増加もありますので極力合理化に努めまして、一応収支の均衡をはかったわけであります。  次に収入支出予算について、損益資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。昭和三十一年度損益勘定予算は前年度予算を基礎としまして編成いたしました。  先づ収入について申し上げますと、鉄道旅客輸送人員は対前年度増三・三%で三十八億七千万人、人キロでは、九百十二億八千万人キロといたし、旅客収入一千三百二十一億円を見込み、また鉄道貨物輸送トン数は対前年度増六・四%で一億六千七百万トントンキロでは四百四十三億八千万トンキロといたし、貨物収入一千二百八億円を見込んでおります。  これら旅客貨物輸送に要する列車キロは三億七千五百万キロで対前年度八・七%の増加となっております。以上の旅客貨物収入のほか、雑収入等を合せまして二千七百三十二億円の収入を見込んでおります。  次に経営費について見ますと、人件費につきましては、昭和三十一年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、このほかに期末手当丁五カ月分、奨励手当半カ月分、休職者給与等を見込んでおりまして給与の額は一千五十一億円となっております。  また物件費関係につきましては、動力費の大宗であります石炭費として、二百八十八億円、修繕費として五百四十八億円、その他、業務費等合せまして経営費総額二千二百八十八億円であります。  以上の諸経費のほかに資本勘定への繰り入れ三百二億円、利子百二十二億円、予備費二十億円を合せまして損益勘定支出合計は二千七百三十二億円となっております。  次に、資本勘定について申し上げます。先ほど申し上げました損益勘定より受け入れます三百二億円、資金運用部よりの借入金五十五億円、鉄道債券の発行による二百五十億円、不用施設等売却による三億円、合計六百十億円を収入として計上いたし、このうち五百八十三億円を工事勘定繰り入れることにいたしております。このほか、借入金等償還としての二十五億円は、前年度同様資金運用部よりの借入金年賦償還額並びに既発行鉄道債券の一部の償還に充てられるものであり、出資としての二億円は、帝都高速度交通営団の増資に伴うものであります。  次に工事勘定について申し上げます。  その内容について申し上げますと、まず新線建設費についてでありますが、前年比二十五億円増の五十五億円を計上いたしております。電化設備につきましては、現在施行中の浜松-姫路間電化工事を引き続いて行うため三十一億円を計上いたしております。なお米原-大阪間は三十一年十月開通予定でございます。また新たに、東北線、北陸線の電化工事費として、十億円、これに伴う電気機関車五十六両、三十七億円その他工事費として二億円、合計八十億円を計上しております。  通勤輸送力緩和対策として、京浜山手線分離工事に九億円、その他中央線大阪付近等に二十二億円、電車増備百五十両、二十六億円、合計五十七億円を計上しております。以上のほか諸施設の取りかえに百五十億円、車両の取りかえ百三十億円、総係費等を含めまして支出合計は五百八十三億円となっております。これらに要します財源としましては、さきに資本勘定の御説明の際申し上げました通り、資本勘定より五百八十三億円を受け入れてこれに充てることにいたしております。  なお以上の諸計画の実施に要します職員数は四十四万七千七百二十五人でありまして給与総額といたしましては、休職者給与をも含めまして合計一千二百六十六億円を計上いたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済界の動向にもよりますが、これに盛られました予定収入をあげますには、格段の努力が必要であろうと考えられますし、また工事計画もより一そうのサービス改善輸送近代化のためには、決して十分とは申しがたいのでありますが、日本経済の安定に資するため、公共企業体としてより一そう能率向上をはかりサービス改善に努めますとともに、さらに経営合理化を行いまして経費の節減に努力いたすよう、指導監督をいたしたい所存でございます。  以上昭和三十一年度日本国有鉄道予算の大綱につきまして御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことをお願いいたします。
  4. 河野金昇

    河野主査 次に郵政省所管について説明を求めます。郵政大臣村上房君。
  5. 村上勇

    村上国務大臣 それでは、私から郵政省所管の三十一年度予算案と、これに附随する若干の問題につきまして御説明申し上げたいと存じます。  まず、郵政事業特別会計予算について申し上げますと、この会計予算総額は、一千二百六十二億四千万円でありまして、その歳出予算内訳を申し上げますと、郵政省において取り扱う郵便郵便貯金簡易保険及び電気通信等業務に要する業務費が九百八十三億八千万円、収入印紙失業保険印紙等収入をそれぞれの会計繰り入れ業務外支出経費が二百二十九億二千万円、公債及び借入金償還金が一億三千万円、予測しがたい経費支出に充てるため予備費として五億円、郵便局舎等建設費といたしまして四十三億円を計上いたしております。  次に定員関係について申し上げますと、郵政事業特別会計における三十一年度予算定員は二十五万六千百一人でありまして、前年度に比べ三千五百五十人の増員となりますが、この増員は、郵便業務並びに電気通信業務特定局における勤務時間に関する仲裁裁定実施に伴う人員千六百二十二人、郵便業務量増加及び特定局における電話施設増加に伴う人員千六百八十一人、保険業務量増加等に伴う人員二百四十七人となっている次第であります。  次に、歳入予算について申し上げますと、歳入予算総額歳出予算同額の一千二百六十三億四千万円でありまして、その内容といたしましては、郵政川石業務収入及び雑収入が四百五十六億四千万円、為林貯金保険年金電気通信の各業務運営経費に充てるため他の会計から繰入れられる他会計からの受け入れ収入が五百四十九億五千万円、郵便局舎建設財源に充てるため郵便貯金特別会計簡易生命保険及び郵便年金特別会計の両会計から受け入れる設備負担金が九億一千万円、郵便局舎等建設財源に充てるための借入金が十八億円、以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務外収入が二百二十九億二千万円となっております。  次に郵便貯金特別会計予算は、歳入歳出ともに四百六億八千万円を計上いたしております。  次に簡易生命保険及び郵便年金特別会計予算は、歳入が一千八十三億五千万円で、歳出は三百八十五億九千万円を計上いたしており、歳入超過額六百九十七億六千万円は法律の定めるところによりまして積立金として処理することとなっております。  次に、当省所管一般会計予算について説明申し上げますと、歳出予算総額は十五億七百万円でありまして、これを前年度予算額十四億四千六百万円に比べますと六千百万円の増加しとなっております。この増加のおもな事項といたしましては、無線局検査並びに電波監視業務において、機械器具整備及びその他の経費として二千八百万円、海外放送交付金において一千四百万円、その他一千九百万円であります。  次に、これらの業務運営に必要な定員について申し上げますと、本年度予算定員は二千九百四十七人で、前年度予算定員二千九百十一人に比べ、三十六人の増加となっております。この増加は、電気通信監理並びに無線局検査業務拡充強化等に伴うものであります。  次に、日本電信電話公社予算について申し上げますと、同公社予算は、損益建設および資本の三勘定に分れており、その総計におきまして、収入支出とも二千四百三十億二百万円でありますが、このうち勘定間の振替によって重複する金額九百十七億三千七百万円を控除いたしますと、収入支出予算の純計額は、いずれも一千五百二一億六千五百万円でありまして、これを三十年度と比較しますと、百二十五億八千五百万円の増加となっております。  次に、主要勘定たる損益建設勘定収入支出内訳について申し上げますと、損益勘定において、収入電信収入及び電話収入が一千二百四十四億百万円、受託業務収入が十九億七千四百万円、雑収入が二十九億七千五百万円、計一千二百九十三億五千万円となっており、支出は、給与その他諸費が四百四十九億七千三百万円、営業費が三百一億九千三百万円、保守費が百四十六億五千八百万円、共通費が三十七億九千八百万円、利子および債務取扱費が七十二億四千五百万円、減価償却費が二百二十九億円、受託業務費が七億五千五百万円、予備費が十五億円、計一千百六十億二千二百万円となり、収支差額百三十三億二千八百万円は建設改良及び債務償還に充てるため、資本勘定繰り入れることになっております。  次に、建設勘定において、建設改良のための財源として、電信電話債券の公募による分が八十五億円、加入者及び受益者引き受けによるものが五十五億三千万円、電話設備負担金等が六十八億八千四百万円、損益勘定からの繰入金が減価償却引当金二百二十九億円を含めて三百四十五億九千五百万円、会計五百五十五億九百万円を計上しております。同じく支出といたしましては、総係費が五十五億三千七百万円、建設改良工事費が四百九十九億七千二百万円、計五百五十五億九百万円となっております。  この建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました五百五十五億九百万円をもちまして、加入者開通十八万五千名、六大都市と、その近郊都市との即時通話サービスを含めまして公衆線が四十三万九千キロメートル、電話局の建設では、年度内にサービスを開始するもの二十一局、継続工事にして次年度以降サービスを開始するもの十七局、新規着工のもの三十八局等の主要工程のほかに、来年度は特に、町村合併に伴う区域合併局六十九局、市外線増設八千八百九十キロメートル及び無電話部落対策として二百十六件の公衆電話工事計画いたしております。  次に、建設財源の調達について一言申し上げますと、政府の財政投融資計画に関連いたしまして、外部資金といたしましては、公募による電信電話債券発行によって八十五億円を調達し、残りは全部電話設備負担臨時措置法に基く加入者等の引受債券および電話設備負担金による資金、減価償却引当金損益勘定よりこの繰入金等、いわゆる内部資金にたよることになったのであります。  なお、建設勘定支出面におきましても、工事能率の向上、新技術の導入等による設計面の合理化、経済化等により極力経費の効率を高め、拡充五カ年計画に対しましては、若干基礎設備の繰り延べを余儀なくされましたが、サービス工程の面におきましては何ら支障を及ぼさないように配意されている次第であります。  以上公社予算について申し述べましたが、今後とも事業経営合理化に努めますとともに、建設資金の調達に努力し、健全な財政的基礎の上に、電信電話事業拡充発展せしめ、熾烈な現在の需要にこたえるとともに、今後ますます国民経済活動の進展に寄与していきたいと存じます。  これをもちまして、私の説明を終りたいと思いますが、なお詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。よろしく御審議の上、すみやかに御承認下さいますようお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  6. 河野金昇

    河野主査 続いて建設省所管について説明を求めます。建設政務次官堀川恭平君。
  7. 堀川恭平

    ○堀川政府委員 建設関係昭和三十一年度歳入歳出予算案について、概略を御説明申し上げます。  まず総額について申し上げますと、建設省の所管一般会計予算といたしましては、歳入四億九千五百余万円、歳出九百七十四億七千三百余万円でありますが、この歳出に、予算計上の所管は異っておりますが、予算執行の際建設省に移しかえまして、建設省所管事業として実施されます予定の経費が、別途総理府に北海道開発関係のものとして、九十八億四千四百余万円、労働省に特別失業対策事業として二十三億五千万円が計上されておりますので、これらを合算して前年度に比較いたしますと、三十年度一千五十一億一千八百余万円に対しまして、三十一年度一千九十六億六千七百余万円でありまして、差し引四十五億四千九百余万円の増加となっております。  次に個々の事業予算について御説明申し上げます。まず治山治水事業については、総額といたしましては二百八十四億一千二百余万円でありまして、前年度二百八十九億六千二百余万円に比較して、五億五千万円の減額となっておりますが、労働省所管に計上の上移しかえて使用いたします特別失業対策事業費のうち、七億円を治山治水事業に充当いたすこととしておりますので、実質上の治山治水予算は二百九十一億一千二百余万円となり、前年度二百九十四億六千二百余万円に比して三億五千万円の減額ということになっております。  なお、治水事業の重要なるにかんがみ、国の負担率及び補助率の引き上げを行なって地方負担の軽減をはかっております。次にその内訳といたしましては、河川改修及び海岸修築に百四十五億五千二百余万円、河川総合開発に七十九億三百余万円、砂防に五十三億二千万円、機械整備費に六億三千七百万円でありまして、このほか特別失業対策事業費として、河川改修に六億円、砂防に一億円を予定いたしております。  治山治水事業実施にきまつしては、経費の重点的効率的使用をはかることはもちろんでありますが、本年度においては特に多目的ダム建設工事の促進をはかるとともに、昨年の北海道地方における水害の状況にかんがみまして、同地方の河川改修並びに砂防工事の促進をはかることといたしております。  次におもなる事業内容を申し上げますと、河川改修につきましては、特に工事の重点化、集中化をはかりまして、経済効果の早期具体化をはかりたいと考えておりますが、事業内容といたしましては、直轄河川として、前年度より継続の利根川外八十六河川のほか、本年度より白川外四河川を新たに直轄施行することにいたしております。  また北海道における開拓事業に関連する特殊河川改修につきましては、十河川を施行する計画でありまして、直轄事業といたしましては計百二河川の改修を実施することといたしております。  補助事業として都道府県が施行する中小河川改修といたしましては、前年度より継続の二百七十四河川の事業の促進に重点を置きまして、特に災害防除及び土地改良等の関連事業との調整をはかりつつ、実施いたしたいと考えております。  砂防事業につきましては、直轄事業として施行いたしております利根川外二十四水系を継続実施いたしますほか、補助事業としては、重要水系地域における工事を促進するとともに、災害防除に重点をおいていきたいと考えております。  河川総合開発事業につきましては、特に継続事業の促進に重点を置くことといたしまして、直轄事業については、前年度より継続の鬼怒川外十三ダムを実施することとし、このうち補償問題の解決いたしました雄物川のほか、天龍、荒川、肱川の三河川につきましては、本年度より新たに継続費を設定し、工事計画的効率的施行をはかることといたしております。  補助事業につきましては、宮川外九ダムを実施することといたしております。  なお本年度におきましては、直轄事業については鬼怒川の五十里、物部川の永瀬、幾春別川の梓沢の三ダム、補助事業については宮川外三ダムが完成する予定であります。  次に災害復旧事業でありますが、災害復旧関係予算といたしましては、総額二百九十億六千五百余万円で、うち災害復旧事業費二百五十三億四千二百余万円、災害関連事業費三十七億二千三百余万円を計上いたしておりますが、なおほかに特別失業対策帝業として河川助成費一億円が計上されております。その内容を申し上げますと、災害復旧事業につきましては、過年度については三分の一程度を復旧することを目途といたしますが、特に三十年災については、さきに行われた国庫負担法改正の趣旨にのっとり、緊要な災害復旧事業については三カ年で復旧することを目途として、直轄事業は全体のほぼ七〇%、補助事業は全体のほぼ六五%程度を復旧することを目途といたしております。  災害関連事業は、災害復旧事業と合併して必要な改良工事を行い、または災害復旧工事に準ずる緊急改良工事を行うわけでありますが、本年度においては、特に地盤変動対策及び河川、海岸の助成工事の促進に重点を置いて実施いたしたいと考えております。  次に、道路事業費について御説明申し上げます。道路事業関係経費は、三十一年度二百八十九億四千六百余万円でありまして、三十年度の二百三億七千五百余万円に対しまして八十五億七千百余万円の増加となっておりますが、このほかに労働省所管に計上されております特別失業対策事業費のうち、十一億四千三百万円を道路事業に充当することになっておりますので、これを加えますと三百億八千九百余万円となり、前年度二百二十億五百余万円に対しまして八十億八千四百余万円の増となるわけであります。右のうち、建設機械に十二億八千万円、災害関連事業として一億五千六百万円及び今回新設されます予定の日本道路公団に対する交付金として二十億円を充てることといたしておりますほか、特に臨時就労対策事業として五十六億三千万円を計上いたしまして、失業者救済に寄与することとたいしております。  本年度は道路整備五カ年計画第三年度に当っておりますが、右の予算措置により、同計画に基きまして、主要道路の整備を促進し、産業振興の基盤を固めたいと考えております。  なお道路事業費の国庫予算増加に伴いまして、地方公共団体の負担が増加することとなるわけでありますが、これに対しましては、国の負担率及び補助率を引き上げることによりまして、その負担を軽減する措置をとることといたしております。  なおガソリン税と道路整備費との関係について一言申し上げますと、三十一年度のガソリン税収入見込み額は、一キロリットル一万一千円として三百七億二千万円及び昭和二十九年度のガソリン税収入の決算加算額三十六億百万円計三百四十三億二千百万円でありまして、道路整備費はこれに一般財源四億九百万円を見込み三百四十七億三千万円となっております。その内訳は、以上御説明申し上げました道路事業関係費として三百億八千九百余万円、別に都市計画関係街路事業費として四十六億四千百万円ということになっております。  次に一般公共事業のほか、有料道路関係につきましては、御承知通り昭和二十七年度特定道路整備特別会計が設置され、この制度が発足いたしまして以来着々とその成果を上げて参ったのでありますが、わが国道路の現状にかんがみさらに民間資金を導入活用することにより、有料道路整備の一段の促進をはかるため、現制度を改めまして日本道路公団を新設することといたした次第であります。  日本道路公団の資金といたしましては、一般会計よりの交付金二十億円に加えまして、資金運用部資金より十億円の融資を受けるほか、一般民間資金五十億円の導入を予定いたしまして、総計八十億円の資金によりまして、関門国道等既定継続事業の促進をはかるほか、新規事業をも取り上げまして、わが国道路網の一段の整備を促進して参りたい考えであります。  次に都市計画事業費について御説明申し上げます。都市計画事業費は、総額五十億二千余万円を計上いたしておりますが、労働省所管特別失業対策事業費のうち四億七百万円を都心計画事業費に充当いたしますので、これをあわせますと五十四億二千七百万円の予算となり、前年度五十一億二千二百万円に比し、三億五百余万円の増となっております。  都市計画事業につきましては、本年度は特に戦災復興事業を継続して実施いたしますとともに、都市施設特に街路の整備を重点的に実施して参りたいと考えております。なおこの内十二億七千万円につきましては、道路事業説明で一言触れましたが臨時就労対策事業としまして、街路事業実施することといたしております。なお都市計画事業関係におきましても、地方財政負担の軽減を考慮し、街路事業について若干の補助率の引き上げを行うことといたしましたほか新たに地方税として都市計画税を復活することといたしまして、地方負担の軽減に資するとともに、これにより地方における都市計画事業の進展を期待しておる次第であります。  次に住宅対策費について御説明申し上げます。住宅につきましては、従来の基本方針にのっとりまして、昭和三十年四月一日現在の住宅不足数二百七十二万戸の解消をはかりますとともに、毎年の住宅需要増約二十五万戸を充足することを目途として、昭和三十一年度におきましては、政府資金等により十七万八千戸の住宅建設計画するとともに、民間自力建設によるものを合せて、約四十三万戸の住宅建設を推進して参ることといたしております。  国の財政資金による十七万八千戸の内訳といたしましては、公営住宅四万八千戸、住宅金融公庫融資住宅四万七千戸、日本住宅公団による建設二万三千戸及び厚生年金融資住宅、入植者住宅、公務員宿舎等三万戸計十四万八千戸の新築のほか、住宅金融公庫の融資による増築等三万戸といたしております。これらに対する予算措置について御説明申上げることといたします。  まず一般会計予算として、さきに述べました公営住宅四万八千戸を建設するに必要な経費として百三億四千七百余万円を計上しております。住宅金融公庫に対しましては、資金運用部資金等より百九十六億円の融資を受けまして、さきにも述べました通り、住宅の新築四万七千戸、増築等三万戸、計七万七千戸の建設及び住宅敷地の取得造成三十九万坪に対しまして、所要の資金の貸付を行うことといたしております。日本住宅公団に対しましては、産業投資特別会計よりの出資十五億円に加えまして、資金運用部資金等より九十四億円の融資を受けるほか、地方公共団体の資金四億円と一般民間資金百億円の導入を予定いたしまして、総計二百十三億円の資金によりまして、賃貸住宅一万二千戸、分譲住宅一万一千戸の住宅建設及び宅地造成百万坪を計画いたしております。  以上建設関係昭和三十一年度予算案の概略を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議下さるようお願いいたします。
  8. 河野金昇

    河野主査 以上で政府説明は終りました。午前はこの程度にとどめ、午後は一時より運輸省所管についての質疑を行いますが、御質疑のある方は主査の元まであらかじめ御通告願います。  なお運輸省関係政府委員説明員は、すべて出席いたしておりますが、運輸省関係以外の政府委員等の出席を求められる向きがございましたら、あわせて御通告いただきたいと思います。  では午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十八分休憩      ――――◇―――――    午後二時一分開議
  9. 河野金昇

    河野主査 ただいまより予算委員会第四分科会を再開いたします。  昭和三十一年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算中、運輸省所管について質疑に入ります。質疑は通告順にこれを許します。井手以誠君
  10. 井手以誠

    井手分科員 大臣に一点お尋ねいたしたいと思います。それは外航船舶建造融資利子補給の点であります。去る委員会において楯君からも質問をいたしましたが、なお明確でなかったようでありますので、この機会に大臣の所信を承わりたいと存じます。  最近海運界が非常な好況に見舞われて、昨年の九月には新聞の報道によりますると、四十何社でございますか、その利益が百四十億、今年の三月期には百八十億に上るであろうといわれておるのであります。そのために、借入金の返還、増資あるいは配当復活の気配も強いようであります。こういう好況の際に、依然として今後も利子補給をお続けになる御意思であるかどうか、その点についてお尋ねいたしますが、まず利子補給は今後も現在の状態でお続けになる御意思とすれば五カ年計画による四百五十万トンに達するまで、この建造融資利子補給をお続けになるつもりであるのか、その点をまず承わりたいのであります。
  11. 吉野信次

    吉野国務大臣 私も実はお話の通り予定の計画までこれを継続するという考え方は持っておりません。なるべく早くそういうことはやめたいと思っております。ただ、ことしの現状におきましては、今御指摘になりました通り、海運界も好況で収入が多いのでありますけれども、まだ何分にも多額の償却未済を生じておりまするし、また欠損金もありますので、三十一年度においてはやはり利子補給をするのが適当だろう、しかし本年度と違いまして、その補給の率も半分にした、こういうわけであります。もしこういう状況がずっと続きまする場合におきましては、なるべく早くそういうことはしないで済むようにいたしたい、こう考えております。
  12. 井手以誠

    井手分科員 御答弁で、明らかになりましたのは、四百五十万トンの百五カ年計画達成まではしない。こういうことのようでありますが、それでは国民の血税をもって大企業に対して融資すること、財政投融資についてはこれはいろいろ私ども意見を持っておりますが、その財政投融資よりもむしろ直接的に血税をもって利子補給をするということになりますれば、そこに一つの目標がなくてはならぬと思うのであります。三百五十万トンまで、あるいは四百万トンまで、しかも償却をしない場合とかあるいはどの程度までとかいう基準がなくてはならぬと思う。ただいままで申しましたように、好況になった今日では、漫然と利子補給をするわけには参りません。なお中間にお尋ねしておきますが、一部の会社には配当を行なったような気配もありますが、それはございましょうか。
  13. 吉野信次

    吉野国務大臣 政府の特別な恩典を受けておる会社については、一つも配当したものはないのでございます。
  14. 井手以誠

    井手分科員 もちろんあの法律によって配当はできないでしょう。しかし相当の莫大な利益をほとんどの会社が償却に向けている。私はこの点についても、やはり当局者としては考えなければならぬじゃないかと思う。将来配当ができる措置を利子補給によって作っておくということが、はたして国民の血税をもってやるところの利子補給の正しいものであるかどうか、私は利益を生じた会社に対しては、さほど利子補給をする必要はないではないか、こういうような考えを持っております。償却するような会社に対しても、なお利子補給の必要があるとお考えになっておりますか。
  15. 吉野信次

    吉野国務大臣 大体私も井手さんと考え方は同じなつもりでございます。ただ現状において、何せ償却未済が何百億という非常にたくさんなのでございますから、来年度においては若干利子補給をすることが必要であろう、それも従来の率よりは半減しておりますから、もしこの状況が続くのでございますなら、そういうことはなるべく早くやめてしまいたい、こう考えております。
  16. 井手以誠

    井手分科員 過去の償却が数百億円たまっているということでございますが、過去の償却分を充当してしまいますれば、ただちに十分な配当ができる段階になってくることだと思います。それほどまで償却に充当するために利子補給の必要があるかどうかという点を私はお尋ねいたしておるのであります。それほどまで国家が見なくてはならないかどうか。配当する基礎をずっと利子補給によって作ってやる、それまで私は大企業に恩恵を与えるべきものではないと思う。これは重要な考え方の点でありますので、明確な御所信をお伺いしたい思います。
  17. 吉野信次

    吉野国務大臣 大体お話の通りに私も考えております。私の言葉が少し足りなかったかもしれませんが、現在においては償却未済も非常に多いわけでありますから、この程度だ、こう申し上げたのです。それならば、第二の御質問の御要旨は、償却というものを全部やってしまうまで一体利子補給するのか、こういうお話のようでございますが、そこまで突き詰めても実は考えておらないのでございます。というのは、普通の民間会社においても、そういう特別な会社でなくても、現実において償却というものを完全にみなしなければ配当しないというものでもないと思う。そこは若干そのときの状況によって、そこまでいかないで配当しておる実例も、もちろんあるわけであります。ただ問題は、これは利子だけでございませんけれども、日本の海軍というものが海外において競争するという場合に、これは金利だけの問題じゃございませんけれども、とにかく金利が外国に比して非常に高いものでございますから、そこで国際競争力というものについて耐えるか耐えないかというような点も、この利子補給をやった一つの立法の動機だろう、こう思いますので、それやこれやを考えておるのでございますけれども、私もなるべくこういうことは早くやめてしまいたい、こう考えておるわけであります。
  18. 井手以誠

    井手分科員 大臣も御承知のように、最近金利もずっと下って参りました。外国との競争力もずいぶん私はできた、こう考えておるのであります。もはや、かりに利子補給が必要であると当初お考えになっても、今日の段階では、私はその必要はないと思う。そこで先刻の質問に逆戻りいたしますが、四百五十万トンまで、そこまではする必要はないというお考えでありましたが、それではいつまで――おやりになるのは三十一年度には目標として三十万総トンを予定されておるようでありますが、その程度で利子補給というものはお打ち切りになるつもりであるか、あるいは四百万トン程度で打ち切りになるつもりであるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  19. 吉野信次

    吉野国務大臣 来年度につきましても、今お話の通り、必要でないじゃないかという井手さんの御意見でありますが、私の方はまだ必要がある、そのかわり従来のようにやる必要はないんだ、こういうことを申し上げたわけですが、将来いつまでやるかということにつきましては、海運界というものの今日のような好況がいつまで続くかという問題になるだろうと思います。それですから、なるべく早く打ち切りたいということは申し上げることができますけれども、これは最終目標の四百何十万トンにいくまでやらなければならぬという考えは持ちませんけれども、ただ、いつになったらそれを打ち切ることができるかどうかということは、ちょっと私としてはまだ申し上げかねるわけであります。
  20. 井手以誠

    井手分科員 私どもも海運界を増強しなくてはならぬという点については十分考えております。しかしもう一応一本立ちになったと考えておりまするし、しかも最近は、先刻も大臣も申しますように、好況に恵まれている。御承知のように、経済界はよかったり悪かったりする。一本立ちになってから、その将来のよかったり、悪かったりする、その悪いときまで予想して、私は政府が恩恵を与える必要はないと考えております。将来悪いかもしれないから、そのときでなければわからぬ、そういう考えで利子補給をすべきものではないと思うのであります。少くとも一般会計から三十数億円の利子補給をするというのであるならば、どうしても日本の海運界は三百五十万トンまでは増強しなくちゃならぬ、そういう目標を明らかにしてこそ初めて国民が納得するものであると私は考えております。将来また悪くなるかもしれぬというようなことでは、私は納得できません。いま少しはっきりした御答弁を願いたいと思います。
  21. 吉野信次

    吉野国務大臣 私は別に将来悪くなるからということを申し上げたつもりではないのであります。ただ好況になったというても、一年そこそこの問題でございまして、これがいつまで続くかということです。それをもう少し見きわめをつけませんと、船会社が多額の償却未済あるいは欠損金を持っておる現状においては、やはりこの利子補給というものを続けるのが至当だ。しかしその必要が去年とはよほど違いますから、それを半減した、こう言うのです。そうしてこれから先は御趣旨のように、なるべく早くそういうことがないように私はしたい、こう考えております。
  22. 井手以誠

    井手分科員 今なお多くの欠損金がある、あるいは償却未済もあるとおっしゃいました。国がこれほどの犠牲を払ってやっておるということは、三百数十万トン、今日では三百五十万トンでございますが、この程度までは早急に無理してでも建造しなくちゃならぬ、海運日本として建造しなくちゃならぬという立場から、私は利子補給法も成立したものと考えております。われわれの反対にもかかわらず、そういう法律が成立したものと考えておるのであります。そうでありますならば、償却未済があるから、あるいは欠損があるからといって、利子補給を続けるべきものではないと私は考えますが、いかがでございますか。いわゆる船を作ることが大事であって、会社経営まで政府が考えてやる必要はないと私は考える。
  23. 吉野信次

    吉野国務大臣 その通りでございます。その通りで、船を作ることが大事なんです。ただ船を作るのに、今までの日本の船会社だけではその力がないものですから、とにかくお話の通り四百万トンだけは少くとも特ちたい、それまでは、利子補給しても政府の手厚い保護をして、それだけのものは作りたい、こういうのでやって参ったのであります。ですから立法をする当初におきましては、おそらくこういう好況の面が去年あたりから回ってくるというようなことは予想しなかったろうと思います。ただ、予想しない事態が生じましたから、それに合うようになるべくこれを早くやめたい、こういうつもりで来年度においては、その利子補給率というものを本年度に比して半減した、こういうのであります。
  24. 井手以誠

    井手分科員 半減したということは、それは開銀と市中銀行との融資の比率を半々にしたという意味でしゅう。
  25. 吉野信次

    吉野国務大臣 そうじゃございません。つまり今まで五分と市中銀行の金利との差額を補給しておった。それを来年度は、その差額の半分しか補給しない、こういうのが三十一年度予算の建前でございます。
  26. 井手以誠

    井手分科員 それはどこでわかりますか。私はよく存じませんから、もう少し詳しく御説明願いたい。
  27. 吉野信次

    吉野国務大臣 数字のことでございますから、政府委員から詳しく説明いたさせます。
  28. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいま大臣から申しましたように、今まで大体平均いたしまして、市中の金利が一割ちょっと越えておりました。これに対して五分との差額を全額補給する、こういう建前になっておりました。大体六分程度補給しておりました。それを来年度からは、その差額の半分を補給する、従いまして三分弱程度の補給を来年度はする、こういう予算にいたしております。
  29. 井手以誠

    井手分科員 その根処は。
  30. 粟澤一男

    粟澤政府委員 その根拠は、利子補給法に基きまして、予算の範囲内で運輸省令で定める率で補給するということになっておりますので、運輸省令を改正いたしまして、その率を運輸省できめる、こういうことであります。予算金額もそれではじいておるわけであります。
  31. 井手以誠

    井手分科員 それは、金利が下ったから自然そうなったのじゃございませんか。
  32. 粟澤一男

    粟澤政府委員 金利の方を申し上げますと、大体一月一日から二厘下っております。それからこの予算では、六月からさらに一厘下げております、こういう予定で予算を組んでおります。結局三厘下りますので、三厘下った分は――三厘はたとえて申しますと、大体三銭一厘あるいは三銭というのが、一般の金利であります、それから三厘下った金利と、それから五分との差額の半分を補給する。三厘下る分は、五分との差額を見る場合にすでに計算いたしまして差し引いておきました。その差額の半分ということにしておりますが、金利の下る分は現在下っております。よりもさらに下るという予定で計算しております。
  33. 井手以誠

    井手分科員 もう少し聞きたいんですが、金利が今下ってきた、下った分だけ少く補給する、そういうことになるのじゃないですか。政策としてあなたの方が半分にしたのではなくて、金利が下った、その実績にかんがみて半分くらいになるということではございませんか。
  34. 吉野信次

    吉野国務大臣 そうじゃないのです。とにかく海運界が好況でございますから、井手さんのおっしゃることと同じ意味で、国民の血税をそういうふうに余分にやってはいけない。そこで従来の五分というものと、市中の金利の開きは、今まで全部補給しておりましたが、ことしからその半分にした。またこういう状況が続けばだんだんそういうことはやめて参りたい。こういう趣旨で、ことしからそれだけのことをやったのであります。
  35. 井手以誠

    井手分科員 その点はわかりました。それでは過去のものについては、新たに法制的措置をする必要はございませんか。
  36. 吉野信次

    吉野国務大臣 まだそこまでは考えておりません。と申すのは、何分にもまだ償却未済のものもございますし、それから欠損のものもございますから……。
  37. 井手以誠

    井手分科員 償却未済であるとか、過去の欠損であるとか、それらを埋めてしまわなくてはという意味は、私ども了解できないのであります。そこまでは恩恵を及ぼす必要はないと考えます。  それでは私はあらためてお尋ねいたしますが、この利子補給について今後は考えるとおっしゃいますが。いつごろまでにどのようにお考えなさるつもりでございますか、また今からというよりも、過去のものについても、法律によって改めるべき段階に来ておると私は思うのですが……。
  38. 吉野信次

    吉野国務大臣 その点は先ほどから申しました通り、こういう海運界の好況がいつまで続くか、この点にかかっておりますので、今ここでいつまでと時期を限って申し上げることはちょっと困難だと思います。
  39. 井手以誠

    井手分科員 大臣は四百五十万トンにならなくても近いうちに利子補給を打ち切りたい。打ち切ってもいい、必ずしも四百五十万トンまでやるという意味ではない、こうおっしゃる。それでありますならば、一本立ちになっておる海運界に対して将来の好、不況というものを考えなくても、これは事業界にはありがちですから、将来の不況まで考えてやる必要はないと先ほど来申し上げておるのですが、なお大臣はお考えになるのですか。
  40. 吉野信次

    吉野国務大臣 目標の四百万トン利子補給というものは関係がない。私の申し上げましたのは、目標が四百万トンであるから、その目標を達するまでは必要がなくても何でもかでも利子補給をするという考えはない。それですから、四百万トンまで達しなくても海運界の状況がこのまま当分続くという見通しがつけば、利子補給の方はやめて差しつかえない、こういう意味のことを申し上げておるのであります。
  41. 井手以誠

    井手分科員 それでは国が利子補給してまで大量の船舶建造するということは、一応一定の水準まで達した、こういうことが言えるのであります。私もさように考えておるし、大臣の答弁からもそういうふうに受け取れるのであります。そうなれば、この機会に利子補給を打ち切ってもいいはずだと思う。過失に若干の償却未済があろうとも、欠損が累積しておってもそこまで国が見る必要はないのでありますから、好況になったこの機会に利子補給はやめる。私はそれが利子補給のほんとうの目的ではないかと思う。将来好況が続けばこうするとかなんとかいうことではなくて、やはり国民の血税をもってやりますならば、国民が納得する政策でなくてはならぬはずであります。重ねてお尋ねいたします。
  42. 吉野信次

    吉野国務大臣 その点が井手さんと私どもの認識が違うのだろうと思います。つまりまだそういうふうにするには早いという見方をしております。ただ先ほど申し上げました通り海運界が好況であると申しましても、ここ一年くらいのことでございますから、もう少しこの状況を見きわめないと、まだ日本の海運会社というものの基礎が外国の船と世界中において競争するに十分だとは考えていないのであります。
  43. 井手以誠

    井手分科員 十分に競争ができるようになるまで国が手助けをする必要はないと私は考えます。経済企画庁長官なり、あるいは大蔵大臣の再三にわたる言明からいたしましても、三十年度一ぱいは好況であるということでございました。これは大臣もお聞きでございましょう。そうなれば、大体今後も海運界が今年より以上に好況に恵まれるということは争えないことでございます。そうなりますと、一応政府としては一カ年間だけは大丈夫だということが言われておりますので、一つその大丈夫なところで、経済五カ年計画を前提としてお尋ねいたしましょう。三十一年度一ぱいで打ち切られる御意思があるかどうか。
  44. 吉野信次

    吉野国務大臣 それは私がたびたび申し上げました通り、私にはその予想をここで責任ある立場から申し上げにくいわけです。しかし利子補給法自体が、御心配の点につきましてはある程度に回答を与えるわけです。すなわち利子補給法には、いわゆる決算面で利益が一割というものを出した場合にはこれをしないということになっております。またもし一割五分を越ゆる利益がある場合には、先ほどから御心配になりました過去の分についても返させる、こういう建前になっておって、御心配の点は一応現行の法律の面において答案が与えられておるわけです。それですから、それらのことをみな勘案いたしまして、ただいまこの際やるがいいかということについては、私はもう少し様子を見たいというだけのことを申し上げておるのでありまして、大体井手さんのお考えと私も同じことであって不必要な補助というものはなるべく早くやめたい、こういう考えであります。
  45. 井手以誠

    井手分科員 あの法律によりますと、一割とか一割五分とかいうことになっているが、それはあまり優遇し過ぎます。それは、過去の膨大な償却未済も全部完済する、そうして一割五分の配当のときには過去の利子補給についても戻させる、それはあまりに優遇し過ぎます。しかしこれは大臣と私どもの考え方は違いますので、そうくどくどしく申し上げませんけれども、一つ国民が納得するようにこの際思い切って三十一年度一ぱいで打ち切るくらいの腹で進んでいただきたい。  そこでお尋ねいたしますが、この利子補給について根本的に対策を立てられるお考えがあるかどうか。それに関連してお尋ねいたしますが、大蔵省で財政懇談会に出しました資料によりますと、運輸省は海事公社というようなもので、船舶建造について引き続いてやっていくという構想もあるようでありますが、いわゆる国が財政投融資を行なった上に、利子補給までするような外航船舶の問題に対して、今後どういうふうにお考えになるか、その点をこの際承わっておきたいと存じます。
  46. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の海事公社ですか、そういうことは、私は承知しておりません。私就任まだ日が浅いのですが、少くともそういうことは、私は考えておりません。
  47. 井手以誠

    井手分科員 それでは、その点についてお尋ねいたしますが、海運造船合理化審議会というものの審議に付しておると大蔵省で申しておりますが、うそでございましょうか。
  48. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいま大臣のおっしゃいましたように、大臣が御就任になられましてからは海運造船合理化審議会でも御審議をいただいておりません。これは大臣御就任以前に合理化審議会でいろいろな案を検討いたしましたが、そのうちの一つとして海事公社という案が取り上げられて検討されたという事実はございます。
  49. 井手以誠

    井手委員 今は海事公社などについては議題外になっておりますか。消滅したわけでございますか。
  50. 粟澤一男

    粟澤政府委員 消滅したというわけではございませんで、私どもでもそれだけではなくて、ほかの案についてもいろいろ検討しておりますし、審議会でも今後あるいはその他の案と一緒に取り上げて検討される機会はあろうかと思います。
  51. 井手以誠

    井手分科員 ほかにも質問者があるようでございますから打ち切りますが、先刻来申し上げますように、利子補給は国民環視のものであります。あの法律案が通ったときの模様からいたしまして、国民の非常な注目を集めておる問題のものであります。私はこの予算案には、こういう利子補給などというものは打ち切られるんじゃないかという期待を持っておりましたが、相変らず三十一億円が組まれておる。私どもはこれに対しては反対でございますが、大臣もこの際一つ根本的に対策を立てられるよう――大企業に対しましては金は幾らでも貸す、利子は補給するというような政治はやめるように御努力を願いたい、これを注文いたしまして打ち切ります。
  52. 河野金昇

  53. 田中武夫

    田中(武)分科員 私は大臣と国鉄関係者の方に、小さな問題でありますが一、二お伺いしたいと思います。  まず最初にお伺いいたしたいのですが、国鉄では幹線電化十ヵ年計画というものを昨年末に考えておられたようでありますが、またこの計画の上に立ってたとえばこの間に三千二百八十五キロメートル――第一期間に千六百六十キロメートル、第二期間に千六百十キロメートル電化するのだ、こういうようなことを考えておられ、今年度予算も要求されたようにも聞いておったのであります。そうすると予算折衝で予算が相当削られたというか、この結果幹線電化に関しましてどのような変更があるか、あるいは影響があったのかなかったのか、そのような点を伺いたい。
  54. 石井昭正

    ○石井説明員 ただいまお話もございました幹線電化の十カ年計画、あるいはその第一期といたしましての五カ年計画、これは昨年私どもの方の電化調査委員会でもって報告をしていただいた案でございます。これは今までの東海道線の現在行われております大阪までの電化が完成したあとに引き続く計画として取り上げられたわけでございます。それでできればこれを三十年度から着手いたしまして、予定年度に従って完成いたしたいと思っておったのでございますが、来年度三十一年度におきましては御承知のように大阪までの電化を完成いたしますのに約六十七億円の予算を要するわけであります。そこでこれとラップいたしまして新しい計画を織り込んでいくために私どもとしては予算の折衝の際にいろいろ要求いたしたわけでございますが、遺憾ながら資金的に都合がつきかねたのでございます。ただその後折衝の結果公募債のワクを若干ふやすことによりまして資金を捻出いたしまして、現在では既定計画でございます大阪までの電化以外に東北線電化あるいは北陸線の敦賀――米原あるいは東海道線の伊勢、こういう計画に対しまして若干の予算を計上し得る状態になったわけでございます。そこで私どもといたしましてはこの予算をスタートといたしまして、できるだけ早く電化計画の所期通りのピッチを上げて参りたい、かように考えておりまして、引き続いて今後も資金の手当等について努力して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  55. 田中武夫

    田中(武)分科員 それでは予算は削られたが、その後のいろいろな折衝だとか計画によって基本的な十カ年計画には支障は来さない、こういうようなお考えなんですか。
  56. 石井昭正

    ○石井説明員 この十カ年計画通りに確実に進み得るかという点につきましては、これは何分にも金との相談の問題でありますので、はっきりしたことを申し上げかねるのでございます。大ワクといたしましてはただいまお話のございましたように、こういう大きな計画の大ワクの線に沿って進み得るように努力いたしたい、またそのスタートを切るだけの予算は一応計上いたしたい、こういうことでございます。
  57. 田中武夫

    田中(武)分科員 それではもう一つお尋ねいたしたいのですが、巷間鉄道運賃の値上げが大分心配せられておるようですが、鉄道運賃の値上げと電化の問題とは関係があるとも言われているしないようにも言われているのでありますが、この点はどうなんですか伺いたいと思います。
  58. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 御指摘の点につきましては御承知のように来年度予算についてすでに計画をいたしておりまするし、来年度予算につきましては一応運賃値上げを前提としない予算の計上でありまして、ことに電化等の問題につきましては、御承知でもございましょうが利息を払いましても十分に収支が償うという観点で、特に主要幹線から電化をやって参りたいという趣旨で運賃値上げと関連があるかどうかという御質問につきましては、一応関連がないと御承知をいただきたいと思います。
  59. 田中武夫

    田中(武)分科員 新聞で見たのですが、予算委員会か何かで質問があって、大臣だったのですかどなたか運賃値上げは本年は行わない、このようなことを言われたように思われるのですが、その点は間違いがありませんか。
  60. 吉野信次

    吉野国務大臣 多分それは私の答弁だろうと思いますが、お尋ねになりましたのは運賃値上げがどうかということでしたから、運賃値上げは三十一年度予算では考えていない。そこでさらにそれでは三十一年度の四月一日から三十二年度の三月三十一日まで、この間に運賃値上げは考慮しないのか。これは予算年度でありまして、そういう予算年度にわたっての運賃値上げは考慮しない建前で予算は計上してある、そういう意味ではその通りであるという答弁をいたしたのであります。
  61. 田中武夫

    田中(武)分科員 それでは本年中は運賃の値上げはないと理解してよろしいのですね。
  62. 吉野信次

    吉野国務大臣 つまり三十一年度予算ですから、本年中と申しますか、四月一日から来年の三月三十一日までの三十一年度予算には運賃値上げは考慮してない、こういう意味でございます。
  63. 田中武夫

    田中(武)分科員 それでは本年度予算の中の幹線電化の問題についてお伺いいたしたいと思います。  これによりますと、八十億四千二百万円が電化費として計上せられておりまして、そのうち浜松-姫路間三十一億円、こういうふうになっておって、米原-大阪間が本年十月に完成の見込みであるということになっておりますが、そういたしますと、大阪以西といいますか、具体的に申しまして、現存電化が行われていないところは西明石以西でありますが、それから姫路までの間につきましては、どのような計画になっており、またいつごろから着手できる予定になっておりますか、お伺いいたしたいと思います。
  64. 石井昭正

    ○石井説明員 浜松-姫路間、これは一応東海道線電化ということで、浜松を始めましたときに項目をきめましたので、そのまま残っておるのでありますが、実際問題といたしましては米原までは開通いたしております。若干の残工事はございますにしてもほとんど取るに足らないものでございます。結局工事費は、これは大阪までの電化完成と大阪以西の分につきまして、若干の工事費を計上しておるわけでございます。工事はいろいろ工事工程で、たとえば架線の改築、トンネルなどは早くから手をつけておりませんと間に合いかねますので、そういう相当長期にわたるものを先にいたします。あるいは変電所の用地を買収いたしますとかいうような、工事的に長期にかかるものから先にいたします。従いまして着手いたしますのは、当然年度当初から着手いたします。区間的にどこからどこまで完成するという工事には、まだ本年度のうちには相ならぬと考えます。
  65. 田中武夫

    田中(武)分科員 それではトンネルとか変電所とかいうものは先にやるが、具体的にどこからどこまでということについては、まだ言われない、こういうような御答弁ですが、私のお伺いいたしておりますのは、姫路-浜松間とあって、実際は米原-大阪間が十月に完成する。しかしながらもう電車は京都から西明石まで通っているのだから、浜松-姫路間の電化ということになりますと、西明石から西姫路でまの区間が問題だと思うのですが、この間についてどのように考えておられるか。また本年度に着手するならば、大体いつごろを見通しておられるか、その点をお聞きいたしておるのです。
  66. 石井昭正

    ○石井説明員 私どもの希望いたしておりますように今後予算の点で御配慮いただきますれば、三十二年度中には、おそらく今お話のございました区間の電気運転ができる状態になるのではないかと思っております。ただこの工事の実態につきましては、私担当いたしておりませんので、詳しい御説明ができかねて大へん恐縮に存じております。
  67. 田中武夫

    田中(武)分科員 そういうように、かりに電車化あるいは電化せられた場合に、現在の汽車の場合だったら、駅と駅との間に相当区間がありますが、その間に駅を作ってくれ、こういうような地元からの要望などを聞いておられると思うのですが、そういうものについては予算的な措置は考えておられるのかどうか。またそういうような場合に駅を置く用意があるかどうかというような点をお尋ねいたしたい。
  68. 石井昭正

    ○石井説明員 実はまだ、いわゆる電気機関車とただいま動いております列車とを置きかえるという構想で進むのか、あるいは御指摘のような電車化という計画で進むのか、もちろんあの地帯は御承知のように現在電車が明石まで走っておりますので、当然これの延長ということも問題になりますが、これをどこまで延長するかにつきましては、まだ具体的な列車運転計画というものはできておらないわけでございます。従いましてそれに伴う駅の問題等も具体的な計画にはまだ入っておりません。ただ電車が動きますれば、いもゆるスピードも上りまして、フリーディング・サービスができる。従って相当駅間距離の長い区間では、新駅設置の御希望があることは当然のことでございまして、また私どももそういう点について地元の御便宜、あるいは私どもの方の営業的な立場からも考えまして、いろいろ検討いたさなければならぬことは当然だと考えております。しかしながらただいまのところ、あるいは予算的に、あるいは人員的に、そういう用意がしてあるかと申しますと、まだ将来の問題として、現在具体的な問題としてはいたしておりません。当然研究いたさなければならぬと考えております。
  69. 河野金昇

    河野主査 小松幹君。
  70. 小松幹

    小松分科員 運輸大臣に先ほど井手君からしつこく質問がありましたけれども、私ももう一度お伺いいたしておきたい。造船利子補給ですが、三十一年度は昨年の利子の半分だけを計上したというような話ですね。もう少しはっきり言っていただきたいのです。あなたたちの方としては将来当然補給をすべしという感じを持っているのですか。これは補給をやむを得ないでしておるという感じなんですか、どうなえですか。
  71. 吉野信次

    吉野国務大臣 補給しなければならぬとは考えてないのでございます。それですから、なるべく早くそういうことがないようにしたいというので、三十一年度も、本年度と違って、補給する率の割合を半減したわけでございますから、もしこういう海運界の好況が長く続きますれば、私はその必要がない時代が来るだろう、こう考えております。
  72. 小松幹

    小松分科員 これの利子補給をするということは、同時に国家財政をその分だけ入れるということなんですが、そうした関係について、補給された会社の経理とか、そういう問題にはどういう形で干渉なりタッチなりするのか、それを詳細に伺いたい。
  73. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいま本省の方に海運監査官というものを置きまして、それが二十数名で構成いたしました海運監査室というものを作っております。これが大体毎年各船会社に参りまして、経理の監査を実際行なっております。その上で、会社の経理内容に不当な点がある、あるいは事業合理化経営改善等に落度があった場合には、一々指摘いたしまして、注意をいたしております。それから会計検査院でも、大体毎年一回もしくは少くとも二年に一回、利子補給を受けました各会社に参りまして、一週間ないし十日の期間をかけて厳重にその監査をいたしております。その上で、内容にいろいろ誤謬があったりあるいは不正の点がありましら、それの改憲あるいは訂正を求めております。ただいままでそういう監査をいたしまして、たとえば船価が契約船価よりも実際に値引きがあった、従ってよけいな借金をいたしたというようなものは、そういう金も返させますし、利子補給金も政府に返納いたさせております。大体そういうような監査を今後もなお励行いたしたいと考えております。
  74. 小松幹

    小松分科員 その監査機構というのはいつごろできたのですか。
  75. 粟澤一男

    粟澤政府委員 一昨年からたしか始めたと思います。
  76. 小松幹

    小松分科員 それまでの監査は運輸省がどこかに託してやったのですか。
  77. 粟澤一男

    粟澤政府委員 利子補給法ができましたのが昭和二十八年でございまして、一昨年と申しましたのは誤りで、たしか二十八年にその監査制度を設けたというふうに考えております。
  78. 小松幹

    小松分科員 先ほどの質問にちょっと出たと思いますが、造船界の好況あるいは鉄鋼の価格の変動等によって、会社そのものの経理にも相当変化がきておると思います。やはりそういう変化は見ておるのか、それとも、最初の予算なりあるいはそういった経理の一応のプランが立てば、そのプランに合わして、ただ改収のバランスが合っていけばいいのか、そういうことだけの、いわゆる会計規則に基くような規定監査だけやっておるのか、それとも運営全体というものをにらんでの監査をやっておるのか、その辺はどうなのか。
  79. 粟澤一男

    粟澤政府委員 利子補給法に基いておりますので、主としてねらいは経理監査ということにいたしております。しかし実際問題といたしましては、経理の内容は会社の業務運営のいかんによって非常に左右されますので、会社の経営状況については相当厳重な監督をいたしております。なおその監査の内容を申し上げますと、大体事前に当方に報告をし、あるいは承認を求めなければならぬというふうな事項を相当作っております。それから書類監査の上で、重要な事項につきましては大臣から勧告をするというふうなこともいたしております。それからなお、先ほどもちょっと申し上げましたが、実際の経理の状況を見まして、利子補給金を返納させるというふうな制度もとっております。
  80. 小松幹

    小松分科員 私の聞いたところでは、いろいろ監査するけれども、経理監査が主体的であって、世界景気なりあるいは国内景気の変動に伴うコストという面に対する業態そのものの監査、そうした意見というものはあまりないから、ただ収支のバランスだけ合えば、経理監査だけでよいのだ、そういうことから、帳面づらを合せればまかり通るというふうに聞いておるわけです。この点について、あなたたちどういうような監査をしておるか知りませんけれども、おおむね収支のバランスだけ合った会計の監査だけで終るのではないか、そういう疑念を持っておるわけであります。私実際それをどうだと指摘する材料はありませんけれども、そういわれておる。国鉄のまくら木とか――最近はまくら木は少くなりましたが、線路の払い下げですね、最近鉄くずの値がずっと上ってきておるのですが、こういうものに対する物価の変動に伴う監査というものは非常にずさんである。私は鉄くず業界の者から聞いたのですが、国鉄の軌道の払い下げなんか、実にでたらめだ。まだ使えるようなものを平気でぽんぽんぶち込んで払い下げておる。だから、チャンポンにして受けると、案外もうかる、最近特に鉄くずブームになっておるからもうかるというふうに聞いておるのです。それは派生的にあとで聞きますけれども、それと同じように、造船界の監査というものがどういう機構で、どういうように具体的にやられておるかということに対して、ただ単に会計監査だけ、経理の監査だけやるのが、物価の変動とか、そのときの景況に合った一つの見通しに立って、業態そのものを詳細に検討した上での利子補給を考えたのか、私はその経路を承わりたい。
  81. 粟澤一男

    粟澤政府委員 ただいまのお話で、物価というお話がございましたが、船会社にいたしますと、これは結局運賃になるわけです。私どもの方では、刻刻の運賃を国際的な機関からもとっておりますし、各会社からも聴取いたしております。従って、現在の運賃がどういう状況になっておるかという点は、大体把握したしております。各会社につきましても、全部ではございませんが、船の航海によります実際の一航海の収支というものを現実に徴しまして、これによって抜き検査的にその船の航路計算までいたてしおります。結局そういうものを積み上げて監査をしておりますので――お話のまくら木の点は私よく存じませんが、相当突っ込んだ監査をいたしております。
  82. 小松幹

    小松分科員 それでは三十一億というのは、大臣が言われるように、昨年の半額を計上した、いわゆる実績の半額という意味の予算編成というように承わってよいですか。
  83. 吉野信次

    吉野国務大臣 つまり去年は五分と見まして、五分と市中の金利との差を全部やりました。今度はその半分でございますから、いわゆる実績でございますね、どれだけで市中銀行から借りるかということです。
  84. 小松幹

    小松分科員 その実績というものも、去年これだけ組んだからことしはこれだけという、いわゆる経費の上の半額実績とおっしゃるわけです。だから、私が疑問に思うのは、昨年の半分だけ既定経費として組んだのでしょう、そうなれば、先ほど業態の監査等をやったと言われておるけれども、昭和三十年度と三十一年度とのそうした業界の経済的な動きというものは何ら考慮せずして、これは予算編成したのだということに言われるわけですね。そこはどうなんですか。監査は監査でやったけれども、その監査から受ける業態というものの変化があったはずです。その変化は何ら考慮せずして組んだということになっておるのですが、どうですか。
  85. 吉野信次

    吉野国務大臣 そうではないのです。やはりそういうこともいろいろ考慮した上で組んだのです。
  86. 小松幹

    小松分科員 あなたの言い方は違う、先ほど井手君から何回も開いておる。昭和三十年の利子補給のほぼ半額をここに計上したと言われた。だから私が先ほどだめを押した。半額ならが、今までの実績の半額を組んだかと言ったら、そうだと言われる。だから私はそれで聞いておるのです。どっちなんですか。
  87. 吉野信次

    吉野国務大臣 その通りなんです。
  88. 小松幹

    小松分科員 私の言うのは、昭和三十年と三十一年とでは造船界等すべて経済的諸条件というものが変化してきておる。これが同じ状態であるならば、これはあなたのおっしゃった通りだが、変化してきておるならば、変化したようなものを実績監査しておれば、そこにおのずからその観点に立った予算編成がなされてしかるべきである、私はそう考える。ところが何らそういうことを考慮せずして、昨年の半額だけ利子を補給したという論拠をもう少し説明していただきたい。
  89. 吉野信次

    吉野国務大臣 お話の点はごもっともだと思います。つまり一々の会社について今お話に言われるようなことを当るのがほんとうでしょう。ですけれども、役所のことでございますから、一々の会社についてそういうことは当らないのですけれども、今全体として海運界が好況に向ったというその変化の事実、そういうものを大観して考慮して、先ほど申し上げましたように、利率を半減した、こういうことです。それ以上に一々の会社の実績についてもっと掘り下げてやるべきではないかというお話についてはごもっともだと思いますが、そこまでの手順は踏んでおりません。
  90. 小松幹

    小松分科員 そういうふうにおっしゃられればそうだろうと思いますが、結局そういう情勢から半額を補給したということは、言いかえたら、まあまあこの辺でよかろうという予算と見る見方が強いわけですね。いろいろな計算があろうけれども、情勢も変ったのだから、去年これだけ組んだから、ことしはこれだけ組もうという、言葉は悪いですけれども、山勘的な裁量がそこにあるわけです。そういう予算、少くとも利子補給をやるという場合には説明はそれでいいだろう、しかし説明以前にこれを打ち出していくまでの過程には、もう少し詳細に何十億――それも一千万円とか二千万円とかいう金でなくて、何十億という利子を少くとも民間会社につぎ込んでるならば、相当こまかに計数というものを資料として出して納得させていただきたい。そうでなければ今後いろいろ問題が起っても――今まで造船の問題についてはずいぶん問題があったのです。だから私は特にそういうことをお願いして、おわかりになるならば、この予算委員会にもう少し造船界のそうしたものの計数というものをお出しになっていただけないだろうか。これは間に合わぬとかあるいはややっこしいとかいうことは抜きにしまして、私は率直にこれだけではどうも利子補給というのがあやふやだというふうな感じがしてならないのです。その点、大臣のお考え、御所見もあると思いますが、どうなんでしょうか。
  91. 吉野信次

    吉野国務大臣 つまり、予算を組むときには、先ほど申し上げました通り、大観をして半分にした、こう申し上げたのです。けれども、これを実施する場合はそれじゃいけないので、これはやはり、一々の会社に現実に利子補給契約をいたしますときには、先ほど来御指摘になりました通り、ただ帳面づらというだけでなしに、できるだけ私どもの力の及ぶ限り実態に入りまして一々の問題はやりますから、御心配のような弊害は私は避けられるだろうと考えております。それから、材料の点につきましては、後刻また政府委員とお打ち合せ下さいまして、必要なものはできる限りお目にかけたいと思っております。
  92. 小松幹

    小松分科員 これ以上説いてもしようがないと思いますけれども、予算が通れば、実施について考慮してやるのだということです。そこで言わぬでもいいようなことかもしれませんが、しかし過去が過去なんです。特に運輸省関係では、予算を握って、しかもそれは民間会社との接触において多くの問題を起している。だから、はっきりとここに、どこそこにどれだけ、どこそこにどれだけというものが出てきたものならば、私たちも一応目を通してやる。ところが、突っ込み予算で三十億、三十一億と来たものを、予算を握って、あとは取りに来い、取りに来た者にわけてやるのだ、くれてやるのだ式の配分になるならば、また再び運輸省の御役人の方と造船会社との取引が成立するわけです。これは単に運輸省のみならず、各般にわたってそういうことがあり得るわけです。そこで、大臣の責任においてこれは十分御監督願いたい。同時に、おわかりになるならば、資料として、どういう会社にどういうような利子補給をどういう形でやったのだという実績をお示し願いたい。同時に、将来昭和三十一年度の配分計画についてでも、まだ決定したものはないでしょうけれども、腹案でもありますならば出していただきたい。これをお願いして、その問題は終りたいと思います。いかがでしょう。
  93. 吉野信次

    吉野国務大臣 承知いたしました。ただ三十一年度の分はこれから募集するわけでして、まだ出てこないものですから、三十一年度分について、今までの過去の実績について、御期待に沿うような詳しいことは申し上げて差しつかえないと考えております。
  94. 小松幹

    小松分科員 それから、国内航空用空港整備に必要な経費が一億三千万円組んであります。この国内航空の空港のいわゆる何年計画というか、よくどの委員会でも五年計画というものをみな出しておりますが、五年計画というものがおありになるかどうか。五年計画か、あるいは国内計画か知りませんけれども……。
  95. 林坦

    ○林(坦)政府委員 一応作ってはおりますが、まだ予算面等の裏づけ等はできておりませんので、部内におきまして大体考えている程度でございます。
  96. 小松幹

    小松分科員 これは新しくどういう経費か私は知りませんけれども、少くとも今度は空港を公共事業にしたのでしょう。空港費は今まではそうでなかったのを、公共事業としてとるならば、はやり言葉ではないけれども、五カ年計画という五カ年はのけても、少くとも空港計画というものをお出しにならない限りは、ただ単に空港整備費としてこれを積むということは、あまりにもずさんじゃないか。空港でも、あるいは漁港でもいわゆる漁港整備三ヵ年計画を持っている。道路にしても道路整備五カ年計画を持っている。少くとも空港関係予算を組むならば、一応三年ないし五年の見通しをもって要求され、同時にこういう計画をお示し願うことが当然ではなかろうかということが一つと、それから、これは特に国内航空でしょう。陸上を走って、ただ単に道をつけるというのも一つのプランというものがあるはずです。それが一つの空の航路なんですから、よほど精密な、気象学的にもあるいは国際路線との問題のかね合いからも、国内空港の所在地というものが計画的に配置されないければならない。こういう意味から、空港の地域配分かあるいは年次計画か、どちらかお示しを願いたい。
  97. 林坦

    ○林(坦)政府委員 ただいま申し上げましたように、長期計画につきましては一応計画としては持ってはおりますが、予算的な点等につきまして相当まだ検討を要する面があると思います。しかしながら、大よその計画と申しますか、ただいま考えております計画でございますならば、ある程度はお話しできるだろうと思っております。  それから、所在地等につきまして、ここに出ております空港整備につきましては、本年度予算の他の公共事業費等との関係上、原局において要求いたしましたものが十分に見ていただけないような情勢でございましたので、一応ここに出しております予算につきましては、私どもの考えておりますのは、まず羽田の整備、それから北九州の曾根の整備、並びにローカル線といたしまして稚内、高松、大村、熊本、鹿児島等の諸港につきまして、本年度これを配分いたしたいと考えている次第でございます。
  98. 小松幹

    小松分科員 大体私も、今聞いたように、ほぼそう見ているのですけれども、ここに問題があるのは、やはり整備に必要な経費として一億ぐらいですから、本格的な予算ではないと私は見ているのです。本格的予算ではないけれども、今後いろいろな形でローカル線というものを各地で計画されると思う。そのローカル線の航路のはっきりした一つの国標というものを持たないと、ただ稚内とどこどこ、どこどこという散発的にぽつんぽつんと起るのは、地方をより以上刺激して、不必要なる取引運動を激化させるのじゃないか。現にそういう動きをしているところもたくさんある。同時に、占領軍等が使っておったいわゆる小さな飛行場等を漸次払い下げてもらって、そこを民間経営にしたいというような形も現われてくると思う。そこで、私は、今度空港整備法という法案を出すようですが、やはり年次計画なり、あるいは年次計画に伴う地域計画でもよい、科学的な気象学的な一つの国内航路線というものを研究していただいて、それをはっきり出していただくようにお願いしたい。地域的な問題なんですけれども、これはきょうかきのうごろからの地方的問題を申し上げてまことに申しわけないのですけれども、大分県の知事か市長かが来て、あなたの方に運動していると思う。大分のいわゆる落下傘部隊の引き揚げとともに、大分のいわゆるローカル空港の問題が起っているわけです。こういうようなものをはっきり見通しを持ってやるか、あるいは極東航空なりあるいはそうしたローカル航空の一つの指定線というものが計画的に打ち出されなければ、先に来たものが先に許可になる、早く運動して走り回った方のところが許可になるというようなことでは、計画としてあまりおもしろくないのじゃないか、こういう意味で、国内空港の整備に関してははっきりした目標を持って、その目標が必ずしも絶対値じゃないから、あるいは変更せんならぬかもしれない、民意をもってあるいは追加もせんならぬ、補足もせんならぬかもしれないけれども、それをはっきりお出しになることがまず先決だろう。そして、この予算要求というものをまずやっていただくようにお願いしたいのであります。この点、今国会にそういう整備法を出すのですが、一応の年次計画なりあるいはそうした地域計画なりというものをお出しになれますか、どうですか。
  99. 林坦

    ○林(坦)政府委員 まことに適切なる御注意をいただきまして、ありがとうございます。ただいまのお示しになりました件につきましては、予算政府部内において組みますときにも、もちろん今おっしゃいましたような線について、さしあたり国内に地方の航空路といたしまして線を、たとえば北の方は千歳から稚内に行く線、また千歳から釧路に行く線、南の方になりますと、伊丹の飛行場から高松に行き、大分に行く線、またそれが一つは高知に行く線もございます。それから、九州方面におきまして板付の飛行場から熊本、鹿児島に至る線、それから、板付の飛行場から大村に至る線、そういったような線を考えました。またさらに、今年は取り上げることができなかったのでありますが、将来の問題といたしまして、裏日本方面に新潟、小松等を結びます線を考えたいというふうに計画をいたしたのでございます。何せ予算として組むことのできますものがここに計上してある程度にとどまりましたために、今言った線がそこまで行かなかったというわけでございます。しかしながら、本年度のいろいろのほかの費用等も差し繰りまして、できるだけそれだけの線に近いように一刻も早く整備いたしたい、さように考えておる次第でございます。
  100. 小松幹

    小松分科員 それじゃそういうことを期待いたしまして、これは一億円程度でございますから、いいと思います。この問題は将来の日本の発展上大きな問題になると思います。予算もまたぐっとふえてくると思いますから、早く御計画をお示し願いたい。  次に、港湾関係予算でございますが、一つの問題点があるわけなんです。戦前の港湾は相当船舶トン数が低かったのじゃないか。今後の外国航路船舶というものは相当大きなトン数になってくるのじゃないか。とすれば、港湾規模が変ってこなければならないのです。その点どういうお考えを持っておられますか。
  101. 天埜良吉

    天埜政府委員 お話の通りでございまして、世界的な傾向といたしまして、船舶の型が大きくなっております。戦前にに三千トン級が航洋船の大部分を占めておりましたものが、ただいまでは一万トンというふうになって参りました。それから、油のタンカーに至っては四万トンが作られておるというようなわけでありまして、その点で、わが国の港湾におきましても、岸壁の水深、長さも足りませんし、第一泊地の浚渫をいたさなければ中へ入れなくなるというような状態に至っておりますので、大きな船に対処するように計画を立て直してやっている次第であります。
  102. 小松幹

    小松分科員 建設関係では特に計画変更というのが昨年から非常に行われておるわけであります。ダム工事にしても河川改修にしても行われておる。もちろん、その資金的なコストの問題で計画変更もありますけれども、技術的に、規模の上で計画変更というものがずいぶんあるわけなんです。あなたの方の所管港湾関係については、計画変更というものを昨年ごろからことしどういう形でやられておるか。それもやっていないで今まで通りのしきたりで行っておるのか。その点を一つ伺いたい。
  103. 天埜良吉

    天埜政府委員 これは、同じ岸壁でございましても、従来三千トンの岸壁であった、こういうようなところが、だんだん船が大きくなりまして、三千トンの船よりもむしろ六千トンの船、一万トン級の船が多くなってきたというようなところに対しましては、水深を深くつけられるような構造に直す工事をいたしております。それから、泊地にいたし、ましても、三千トンでございますと七メートル五十で間に合っておったのでありますが、これでは間に合いませんので、九メートルに掘るとかいうふうに、計画全体を変えております。
  104. 小松幹

    小松分科員 一つ具体的にお尋ねをしますが、別府のところに国際観光港というものを作っておりますね。あれは一体どのくらいな船を入れて、しかも海流とか、また波とか、そういうものの関係上、あの観光港というものはお役に立つ予定なんですか、どうなんですか。
  105. 天埜良吉

    天埜政府委員 別府につきましては、とりあえず内地のといいますか、国内の観光船が着くようにということで、二千トンないし三千トンの船が着けられるバースを作っております。将来は、これは国際観光港としていかなければならぬので、一万トン以上の船が着くバースを作りたい、こう考えておりますが、とりあえずは七メート、三千トン級のものを作っていく。それから、あの場所はやや風波が当ります。ので、非常な荒天時には着けることがむずかしい点があるのでありますけれども、これは前の水深が非常に深い関係でありまして、あそこに防波堤をつけるということは非常にむずかしいので、突堤の陰が防波堤の役をするようにということで、突堤の陰になる方に大きな船を着けるというような計画で進んでおります。
  106. 小松幹

    小松分科員 あなたたちのような技術屋が、しろうとが見てもまるで役に立たぬような観光港を、しかも国際観光港と銘打って、作ってはこわし、作ってはこわし、さいの河原の石ころみたいなことをやっておる。ことし災害復旧としてどのくらい組んだかということはあとでお聞きしますが、少くとも国際観光港ならば、それは一万トン級ぐらいな船が着くような国際観光港でなくしてはならぬ。千トンか二千トンぐらいの船が着いて、これが国際観光港でございますと言って、しかもあの直接豊後水道が吹き込んでくる一番風当りのいい真正面へ持ってきまして、防波堤もなくて観光港を作っておる。地方の者は、お役人様のすることはこんなものかなと言って不審の声を出しておるわけです。これは一つ計画変更をする意思がなければ、重大な責任問題ではないかと私は思うのです。これは私は一つのケースをとってみたのですが、全国的にそういうケースが多いのです。前の規模だったから小さいかもしれません、まあこれは昔やったのだから仕方がないだろうと言うけれども、仕方がないで私は済まされぬと思う。少くとも昭和三十年から三十一年にかけて世界の情勢も造船の規模も変ってきたのだから、計画変更をしてやり直すという意気込みがなければ、私はできないと思う。この点具体的に一つ別府の例をとってもようございます。同時に、大きく問題をめぐらしても、もう少しはっきりした意見を承わりたい。
  107. 天埜良吉

    天埜政府委員 別府の港につきましては、現在のところあの三千トンの岸壁の裏側であれば、風があっても着けるという見込みを持っております。従って、あれについては大きな計画変更する意思はございません。その他の港についても、工事の施工中において非常な支障を発見すれば計画変更をしていくつもりでございます。
  108. 小松幹

    小松分科員 これはあとになって言っても仕方がないのですけれども、やはり港湾計画の規模の問題というのはもう一度考え直す点があるのじゃないかと思うんです。空港にしても、すでに以前の空港とはずいぶん規模が変ってきております。同時に、港湾関係も私は規模が変るのじゃなないかと思うのです。だから、将来何年先を見通してというわけではないですけれども、すでにもう行き詰まった港湾計画の上にあなたたちはレールを敷いているのじゃないかという気がしてならぬ。そこで、今すぐどうというわけでもないですけれども、港湾規模というものは、私は将来の船舶トン数の太りに従って計画的な変更を余儀なくされると見ているのです。そういう意味で、早く計画変更をされて、それを打ち出して港湾事業を進められたいと思うのですが、この点はどうなんです。
  109. 天埜良吉

    天埜政府委員 お説の通りでございまして、実は、運輸省港湾審議会というのがございますが、重要港湾以上につきましては、港湾の規模、計画について審議をすることになっておりまして、それもまだ今までに審議されたものは数港しかありませんが、すでに審議を終ったものでありましても、いろいろな情勢が変って参りました場合には、再びかけて、それによって審議をすることにいたしております。
  110. 小松幹

    小松分科員 今やりかけておるのは何年計画くらいでやり上げる予定ですか。あの特別都市の観光港というのを特別立法で各地域的に八つか七つか作りましたね。あれはどのくらいな年数でやる予定なんですか。
  111. 天埜良吉

    天埜政府委員 港湾の方におきましては、経済総合開発六カ年計画、あれは五カ年計画になりましたが、あれとあわせまして、昭和三十一年から三十五年までの五カ年で大体やることをきめまして、その五カ年計画に従ってやっております。ただし、ただいまの別府の観光港につきましては、これは三千トンの方は三十一年度にはもう完成いたしますが、あとの大きな一万トン級の方はなかなか完成がむずかしいのではなしかというふうに思っております。ただ、完成したいということで努力しております。
  112. 小松幹

    小松分科員 運輸省関係はそれで一応終りまして、国鉄関係に入ります。  電化の問題が出ておりますが、電化といっても、電化できないところはディーゼル機関車が効果的な面もあると思うのですが。それは国鉄としてはどういう関係で、どういう観点でこれを取り上げようとするか。あるいは関心があるかないか、この点についてお伺いいたします。
  113. 石井昭正

    ○石井説明員 鉄道近代化と申しまして、最近におきまして特に動力関係の新しい形態を入れるということにつきましては、私どもも前々研究いたしております。お話のように、ただいまでは幹線につきましては日本の資源の現状から見まして電化が非常に適切であり、また経済的でもあると思うのであります。やや輸送量が落ちます線区につきましては、幹線に次ぐ準幹線のようなところにおきましては、ディーゼル機関車を使いまして、そうして、これは牽引力も増すこともできまするし、同時にまた煤煙ということから旅客に対するサービス、あるいは従事員の労働条件を改善できるというような点、同時にまた石炭との燃料費の比較におきまして経済的になるという点から、ディーゼル機関車を採用いたしたい。さらに、もっと支線区になりますと、今度は客車にディーゼル機関をつけましたディーゼル・カーを動かしたいということで、電化計画と並行しましてディゼル・カー計画を持っております。また同時に、電化計画にも相当年数を要しまするため、電化の先行としてのディーゼル・カーということも考えておるわけでございます。ただいまのところ、ディーゼル・カーの方につきましては、相当数の導入をいたしておりますし、また来年度におきましても増備といたしまして、百両の予算を計上いたしておるわけでございます。ディーゼル機関車の方につきましては、現在使用中でございまして、その成果を待ちましてこれを広く進めて参りたい、来年度車両の新造におきましても若干の数量は作りたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  114. 小松幹

    小松分科員 地方軌道、いわゆる本線めぐりでないところにはディーゼル・カーを持っていくという計画を承わりましたが、本年はその計画はないということなんですか。
  115. 石井昭正

    ○石井説明員 ディーゼル・カーの方ですか、機関単の方でございすか。――ディゼル機関車の方は、先ほど申し上げましたように、現在六両ばかり北陸線で使用をいたしております。試験的に使っておりまして、大体成績も良好でございまするので、来年度におきましては若干の数量を計画して発注いたしたいと考えております。どの線区に何両というような具体的な計画はまだただいま検討中でございます。
  116. 小松幹

    小松分科員 そこで、スピードの問題になりますが、スピードを上げるというのは、電化とかディーゼル・カーもありましょうが、複線という構想も出てくると思う。最近は鉄道の方としては地方支線等の複線計画というものはお持ちになっておらぬかどうか、伺いたいと思います。
  117. 石井昭正

    ○石井説明員 お尋ねのように、輸送量が非常に増して参りまして、現在の線路ではとても列車が入り切れないということになりますと、どうしても線路を増設いたさなければならないわけですが、ただいまのところ計画いたしておりますのは、東北線の方で一番隘路となっておりまして最も列車の回数が密集しておりますところを逐次複線化して参りたい、部分的に複線化して参る、それだけでも大きな効果がございます。その点は昨年度に引き続いて継続工事として若干の区間を見込んでおります。それから、そのほか、複線と申しますよりも、今度は複線を複々線にしなければならぬものもあります。たとえて申しますれば、東海道線の平塚以西は貨物列車と旅客列車が同じ線路を走っている。これも沼津あたりまで非常に列車が入りにくくなっております。そういう点も複々線にいたさなければならぬ。あるいは関西地方の鷹取から西、明石あたりまでもそういう状況が出て参っております。それから九州の方の日豊引線につきましてもその必要性を痛感いたしておるわけでございます。私どもの方といたしましてはぜひそういう険路区間の線路増設はやりたいと思っておりますが、何分にも、現在の国鉄の財政状態をもっていたしましては、一時にそういうところに取りかかることができないという遺憾な状態でございますので、できるだけ早い機会に私どもの方でもり少し資金の調達ができるということにしていただいて、早くそういう点を解決いたしたいと考えております。
  118. 小松幹

    小松分科員 スピードの問題になってきますけれども、最近貨物輸送自動車輸送に切りかえられておると私は見ているのです。日通あたりの経営から見ても、相当長距離の逓送をやっている。日通自体国鉄に依存しないでもいいわけなんです。そういう形で貨物輸送をもう少し合理化して、スピードを上げて短時間にやるようにしなければ、今のように貨物輸送の上に国鉄自身があぐらをかいておるならば、ここ数年を出でずして貨物輸送というものはぐっと力が落ちるんじゃないかという予測を持っているわけなんです。この点について、今の貨物輸送の実態から考えてどのようなお考えを持っているか。
  119. 石井昭正

    ○石井説明員 御指摘のように、トラック輸送発展に伴って国鉄の貨物輸送が俗に申せば相当食われておるという現象は確かであります。しかし、トラックと鉄道貨物輸送が競合いたす部面は、距離的には、例外的なものは相当長いのがございますが、大勢的に見ますと、まず二百キロ内外という程度かと存じます。また、品種別に見ますと、高級な雑貨、鉄道で扱っております小口扱い貨物の方が主でございまして、私どもの方の輸送の根幹でございます車扱い、バルキー・カーゴーあるいは相当長距離を運んでおりますものにつきましては、まだまだ鉄道の方が経済的でもありますし、また能率的でもあるということではなかろうかと思っております。しかしながら、御指摘のように、その上にあぐらをかいて漫然としているということは許されません。私どもの方も極力貨物列車のスピード・アップを考えたい。同時に、都会におきます小運送との関係、通運の関係鉄道輸送関係を合理的に連絡いたしまして、できるだけその間ターミナルでいろいろ時間を空費したり費用がかかったりすることをはぶくように研究しておる次第でございます。そういうやり方を、共同輸送という名前のもとに、ただいま私どもの方でも特に専門的に研究させておる次第でございます。また、電化ができますれば、これに伴って貨物列車の牽引力並びに速度も向上させることができまするので、貨物輸送の速達という点で、需要家の皆さん方の御期待に沿えるように努力できることを期縛しております。電化は、旅客輸送のみならず貨物輸送につきましても需要者の方々にとってサービスの向上になると信じておる次第でございます。
  120. 小松幹

    小松分科員 その次は、鉄道の器材の払い下げ、特に線路の払い下げはどういう形でやって、その品目はどういうように分けてやっているか、それがまず第一。これは、最近相当値上りを示して、市場取引も活発なんですが、予算面ではどういうふうにやっておりますか。
  121. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 さいぜんお尋ねも出ましたから、私から少し詳細に申し上げた方がいいと存じますが、さいぜんいろいろ御指摘のあったような事例が過去においては若干あったかと存じます。従いまして、現在においては、国鉄のスクラップの払い下げにつきましては、国鉄が普通鋼鋼材あるいは特殊鋼鋼材等を購入いたしておるところへだけ払い下げる。現在では富士、八幡、日本鋼管、川鉄、住友、三菱その他全部で十三社であります。一応スクラップとして落したレールは払い下げますが、さいぜん御指摘のありましたようなレールとして使えるもの、現在鉄道で使っております新品レールのほかに、乙種、丙種と称しまして、なお使用にたえる、また国鉄では使用にたえなくても民間の鉄道もしくは専用線等において使用にたえるものについては、レールとして払い下げておるわけでございます。これは市場価格とにらみ合せまして、常に適正な価格――御承知のように、レールのごときは市場価格の変動がかなり大きいものでございますから、スクラップといわず、いわゆるレールとして使える古レール、スクラップでない古レール、これらのものにつきましても、大体一・四半期ごとに価格を設定いたしております。スクラップにつきましては、御承知のように、例の八幡、富士その他で作っておりますスクラップ・カルテル、あそこの値段と常に歩調をとりまして、ただし四半期ごとでありますから、その間に異動の生じましたものは後に精算をするというようなところまで最近ではやっております。いわゆる古レールとして払い下げますものにつきましては、現在の時価が三万円程度でありますれば、それと見合って払い下げをする。値段が上った際には、そのときどきで契約中のものを変更するというわけにも参りませんので、大体一・四半期ごとにやっておるというような状態で、最近においては、御指摘のように、古レールとして使えるものがむやみにスクラップにほうり込まれたり何かするということは極力避けておると同時に、かりにレールがスクラップとして落された際には、それは富士とか八幡とかいうようなレールを作るところへできるだけ払い下げる。また、車輪のタイヤ等のごときは、現在住友が日本でただ一つ作っておりますので、タイヤの材質等の関係から、タイヤのスクラップは住友へ払い下げるというような形で、最近では非常に組織的にやっておりますので、御指摘のような点は、過去においては若干なかったとは申し上げかねるのでありますが、最近非常にこまかく事務をきちっとやっておりますので、御心配のような形でなく、きわめて円滑に行われておる、かように存ずる次第でございます。
  122. 小松幹

    小松分科員 最近業者が競争しておると思います。カルテルを形成しておるから一つ統制値段でスクラップをやっておりますけれども、その間隙を縫ってやはり競争しておるので、そのカルテルも食われそうになったりならなかったりしておるわけです。そこで、問題は、やはり鉄鋼、造船、そういうもののブームに従って鉄くずが上っておるのです。あなたたちの方としては、そのスクラップ・カルテルの上に乗っかって、そのベースでこの予算をお組みになっているのか、物価変動に伴った考え方の上に立っておるのか。特に最後の四半期も、三月に入りますと払い下げの時期が来るわけで、業者は鉄道の払い下げの時期を待っているわけです。着々と待っている態勢にいっているんですが、あなた方の方としては一体どういう態勢でこれに処置しようと考えているのですか。
  123. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 その点につきましては、お話が最近のお話ではないような感じがいたします。さいぜんも申し上げましたように、鉄道のスクラップは普通鋼材もしくは特殊鋼材を購入しておるところ以外には払い下げておりません。従って、その十三社のうちには三菱鋼材のごとくカルテルに入っておらぬころもございまするが、払い下げ僻段はカルテル価格ということで、この四半期の払い下げ価格は二万三千円というカルテル価格によって払い下げるというような形にいたしております。ただ、小松先生の御指摘の中でいわゆるスクラップでありましても、橋げたのごときものは、これは橋げたとして使える、地方へ持っていって地方の橋を作るとか、あるいは私設鉄道の橋の取りかえとかいうように、国鉄ではこれはもう相当腐朽して二十数年たっておるから使えないが、地方鉄道では若干補強すれば使えるというようなものについては、これはケース・バイ・ケースでもって、幾らで払い下げるかという入札をやっておりますので、こういう特殊な例はございますが、それはけたとして使えるという場合、あるいは古レールとして使えるという場合には、古レールの価格でこれも最低値段をきめて入札に付する。ただし、地方公共団体とかその他特殊な地方鉄道とかいうものについては、その時の時価で、随意契約で払い下げる場合もございまするが、いわゆるスクラップについては十三社以外には払い下げないし、十三社に対しては必ずカルテル価格で払い下げるという形にいたしております。
  124. 小松幹

    小松分科員 耐用年数というのが私の方で問題になっているわけです。一応国鉄の耐用年数というのがあると思うのです。それが画一的に行われれば、きわめて更新される意味にも都合がいいと思いますが、しかし、それが現実に非常に痛んだものとか、同じ四十年、同じ二十五年でも、度合いが現物としては相当違ってきておると思うのです。これについてはどう処置しているか。やはり二十五年たてば二十五年、たとえば橋げたあたりで、四十年なら四十年たったら、もうよかろうが悪かろうがさつと払い下げて、その価格でやっているのか。どういうような形でやっていますか。
  125. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 大へん話がこまかくなりましたが、現在、来年度予算書でもごらんいただくとわかると思いまするが、あるいは経営調査会の答申等によりまする耐用年数、これは耐用年数がよったら直ちに取りかえるというような国鉄の財政状況ではないものでありますから、ほとんど耐用年数をこえておるのが橋げたその他では普通だろうと思う。ただ、レールのごときは、御承知のように、渋谷でありますとか、あるいは新橋等、あるいは御徒町というようなところでは、半年もしくはそれ未満でも交換をしなければならぬというように、列車の密度が高いわけです。そういうところのものは、それを取りかえて、比較的閑散な線区へ持っていくというようなことで、国有鉄道としては、レールが耐用年数二十五年ときめておりますが、二十五年たったら全部取りかえるということでは、とても現在のレールは取りかえ切れませんものですから、三十年くらいたっておりますものも、この程度なら側線へ行けば使えるというものは側線に使いまするし、どうしてももうこれ以上国鉄としては無理だというものを払い下げているような次第でございまして、ケース・バイ・ケースで全部やっております。一般的には所定の耐用年数よりも相当にさらに上回って使用をしておるというのが現状でございます。
  126. 小松幹

    小松分科員 それで私の質問は一応終りますが、今政務次官はこまかに説明されましたけれども、やはり国鉄の払い下げ物資というものは相当ずさんだというのが一般の見る見方なんです。お説を伺えばこまかに計算しているようでありますけれども、われわれの見る見方は、こまかな計算をしていないで、突っ込み計算で大まかにやつているのだ、だから、そこに食いついておれば相当甘いしるがすえるというような考え方をみな持っております。しかも、われわれにそれをじかにいろいろな形で言っておりますから、御注意願いたいと思っております。  それで思い出したのですが、個人的なことを聞いてまことに申しわけないのですけれども、伊能政務次官は何か鉄道関係の外郭団体に関係がありませんか。
  127. 伊能繁次郎

    ○伊能政府委員 私は運輸政務次官に就任いたしますまでは関係いたしておりました。運輸政務次官に就任と同時に鉄道関係運輸省関係の会社もしくは団体は全部辞任をいたしました。
  128. 小松幹

    小松分科員 外郭団体の問題なんですが、これは国鉄総裁がおれば都合がいいと思いますけれども、外郭団体と国鉄との関係は相当前から問題がありましたが、今度相当外郭団体を整理しあるいは統制を加えるということを幾たびか承わっておりますが、具体的にどういう処置をとられようとしているのか、あるいは計画されているのか、ちょっと承わりたい。
  129. 石井昭正

    ○石井説明員 外郭団体の整理方針につきましては、昨年暮にいろいろ国鉄経営調査会等でも御指示がありまして、私どもの方といたしましては、もちろんそれぞれの理由のあることでございますが、一応いろいろ世上の疑惑その他に関しましては、そういうことのないようにいたしたい、こういうふうに考えて、整理を行なっております。外郭団体と申しましてもいろいろの内容がございまして、これを大別いたしますと、一つは国鉄のやる業務の代行機関でございまして、これは、国鉄自体でそういう業務を行なっておりますよりは、民間の団体にやらした方がより能率的であり経済的であるということでやらせております。これらの中で特に鉄道弘済会あるいは日本交通公社、日本食堂というようなものにつきましては、できるだけ特権というようなもののないようにいたしたい。たとえて申しますれば、弘済会におきますしては、構内営業料金を、これは鉄道の厚生社会福祉事業にいろいろ使っております関係上今までは常業料金を一般の構内営業者と若干の差等があったわけでございますが、こういうこともなくして、一般と同じレベルにいたしたというようなこともございます。それから、第二のグループにつきましては、これは各種協会あるいは研究団体等でございますが、これにつきましては、いろいろのものがございますが、その中で特に必要なものだけ残しまして、同業者の親睦団体については日本交通協会、国鉄の営業活動上必要なものについては鉄道貨物協会、観光事業上必要なものとして国際観光協会、全日本観光連盟、それから、技術研究上必要なもの、経営研究上必要なものとして鉄道技術協会、運輸調査局というようにいたしまして、それ以外のものにつきましては経済的な関係を一切切り離してしまう建前にいたしたわけであります。一番外郭団体として最近に御議論の多かったのは、こういう種類のもの以外の第三のグループの、工事の請負会社でございます。この工事の請負会社につきましては、いわゆる鉄道工事だけ主としてやっておりますものは、非常に鉄道工事の落札回数も多いし、ボリュームも多い、何かそこに特別の利権関係があるのではないかというようなこと、あるいはそういう工事については積算が甘いというような御指摘が非常に多かったわけです。従いまして、これらにつきましては、あくまでコマーシャル・ベースに立ってやって参る、そして一般の業者との間に差別をつけないという建前をとりますために、指名及び資格検定については、中央に主として部外の有識者の方々でできまする請負業者資格及び指名審議会を作りまして、これは中央と同時に地方に置きます。そして、この請負業者の資格並びに指名方針について十分な御審議を願って、公正な御意見を伺わせていただく。それから、個々の指名の機関につきましては、部内に指名委員会を設置いたしまして、個々の工事につきましてどういう請負業者を指名するかという点にわたって、へんぱにならないように公正な運用をいたす。それからまた、積算につきましては、部外の権威者を加えました請負工事予定価格積算基準委員会を作りまして、工事単価についていろいろ御検討を願って、その御検討の上に立って工事単価の厳正化と引き下げをはかりたい。そういうふうにいたしまして、さらにその上、部外関係団体全般につきましていろいろと公正な御意見を伺うために、部外有識者を主といたしました部外団体公正委員会を作りまして、たとえば、いろいろの部外団体と国鉄との契約その他については、こういうところでよく御検討を願って公正な結論を出すようにしていただくということにいたしております。とともに、内部監査機構を整備いたしまして、地方にも監査機構を整備して、実施状況についての監査を強化して参りたい、かように考えておる次第であります。
  130. 小松幹

    小松分科員 建設関係で問題があるのは、国鉄指名というのが、国鉄だけで指名して部外業者というものを締め出しておる。これははっきり何かそういう形でやっておるのですか。偶然そういう形になっておるのですか。
  131. 石井昭正

    ○石井説明員 ただいまのお話のようなことはございませんで、指名をいたします際には、いわゆる国鉄の外郭団体といわれておりまする何々鉄道工業とかいうもの以外にも、必ず数社を選んで指名をしておるわけでございまして、指名の結果、落札する回数が鉄道関係のものに多いというようなことは、間々結果としてあるかと思うのでありまするが、その点につきましては、別に私どもといたしましては作意的にそういうことを行なっているわけではございません。ただ、その間そういう結果になったことについていろいろ世上の御疑惑もありますので、ただいま申し上げましたように、そういう結果になる筋道の過程におきましても、いろいろの目をくぐりくぐり公正な御判断をいただいてやって参りたい。その結果といたしまして、ある特殊の業者が非常にたくさん落札するということになれば、これはその業者の企業努力あるいは経営努力ということに相なるのかと思うのであります。
  132. 小松幹

    小松分科員 鉄道工事はより以上厳密で、でき上った工事も、私たちの目で見ても相当堅牢なもので、手抜きというものが割合少くできております。その点はさすがに鉄道工専だと私は感心しておるのです。それが相当高度な積算の根拠に立っておるということはさておいても、あまりにも鉄道自身で身内――国鉄一家とよく言われるのですが、国鉄一家だけのいわゆる建設関係指名をなさっているように見受けるわけなんです。今話を聞いておれば、そうじゃない、一般にも公開指名をやっているのだ、あるいは競争入札をやっているのだけれども、偶然落ちるのが鉄道関係の専属業者に落ちるというように聞きましたから、今後はそれを気をつけておきたいと思いますが、どういう形で具体的におやりになっておるか、その指名なり、あるいは競争入札の受け渡しの経路をちょっとお聞かせ願いたい。
  133. 石井昭正

    ○石井説明員 私担当の者でないので、御満足のいくような御答弁ができるかどうか、お許し願いたいと思いますが、鉄道の場合におきましては、輸送上の保安を確保するに必要な場合の工事と、そういうことに関係のない、たとえば庁舎とか宿舎とかいう工事がございます。そういう二つにわけております。そうして、鉄道の運転保安上非常に重大なものは、これはある程度の経験と高度の技術を必要とするという観点から、こういう種類の工事に対します資格の検定確認書の交付と、一般工事の確認書の交付と二種類にわけておりまして、一般工事の確認書の交付は一般の建設工事でやっていると同じ建前でやっているかと思うのであります。ただ、鉄道直接の輸送、運転の保安に関係のあるものにつきましては、そういう一般の標準のほかに、鉄道の立場から見ました過去の経験、実績並びに技術力の保有、こういうものを加えました点数をつけて、そうして確認書を出している。その確認書は結局ABCというようなランクになっておりまして、大きな工事ができるもの、中くらいなもの、あるいはもう少し小さな工事というもので資格をわけておりまし、ある工事が出ますときには、その工事に対しまして、その地方地方で資格を持っておりますものの表がございまして、その表の中からどれを選ぶかということで、指名の場合は必ず五人以上と思っておりますが、五人以上の業者を選び、これに指名しようということを決定いたすわけであります。それも、順番を作りまして、機械的に順次回っていくというような方法をとっているのが大部分だと思うのであります。しかしながら、間々その際に鉄道関係工事会社が常に選ばれるというような御不満あるいは御批判も出ているのではないかと思うわけです。  それから、申し落しましたが、金額の少い五十万円以下の工事につきましては、今まで随意契約でやっております。そういう工事の件数がまた非常に多いわけです。その件数の多い少額の工事につきましては、今まで随意契約でやっておりましたので、鉄道関係の深い業者が随意契約の対象に選ばれるということはございました。この点は、実申しますと、そういう少額の工事まで指名でやりますと、非常に手数もかかり、また事務も複雑になります。しかし、随意契約と申しましても、二、三の業者から必ず見積書をとってやっているわけでありますが、何と申しましても、こういう点が御疑惑の対象になりはせぬかというので、これは本年から全部これを指名にしろ、ただし指名の人数五人というのは少額の工事については多過ぎる、場合によっては三人でよろしいということにいたしまして、全部これを指名でやらせることにいたしました。競争者があって、その入札の結果によってやるということになるかと思います。先ほど申しましたいろいろの委員会は、そういう過程におきまする運用の仕方、たとえばどういうふうに順番をつけて指名のチャンスを与えるかというようなことについて、公正な方法はどうしたらいいだろうかというようなことを御審議いただいて、決定して参りたいと考えておる次第でございます。
  134. 小松幹

    小松分科員 最後に、鉄道のバラス、あれは砕石バラスと丸石バラスを使っておるが、今砕石がおもになっている。あるいは買い入れなり、特に鉄道自身おやりになっているのと、二通りあると思うのですが、これの単価はどういうようになっておりますか。
  135. 石井昭正

    ○石井説明員 私、工事の方の担当の者でございませんので、大へん申しわけないわけでございますが、どういう単価になっておるかはお答えできません。ただ、こういうものは、主として採取費と運搬費できまるものであります。地域々々によってずいぶん単価が違うものじゃなかろうかと思います。採取費が安いところは相当安いが、非常に長い距離を運んだり、相当機械力を使って砕石しなければならぬというようなものは、ある程度上るかと思っております。しかし、今どのくらいになっているかということは存じませんので、申しわけございませんが、お許しを願います。
  136. 小松幹

    小松分科員 わからないのでは聞けませんが、今あなたのおっしゃいました砕石、鉄道自身の手でやっておるところもありますし、業者から買い入れておるところもありますが、その地域地域で単価が違うから、所によってということは、まことに抽象的にはいいんですけれども、それがまたおかしな話になっておる点もあるわけなんです。だから、これは一つ、もう少し聞きたい点もありますから、バラス、普通の丸石を川から引き上げるのと、山を崩して砕石してやるのと、これは、業費のもう少し詳細な資料を出していただきたいと思っておるのです。それだけでいいのですから、港湾関係計画と、さらに積算の基礎というものを、次までになるべく出していただきたい。それを資料要求としてお願いしたい。  もう一つは、国鉄従業員の昇給昇格財源というものは、どういう形で入れておりますか。それをちょっとお伺いしたい。
  137. 石井昭正

    ○石井説明員 昇給資金でございますか。
  138. 小松幹

    小松分科員 はい。
  139. 石井昭正

    ○石井説明員 昇級資金は、昨年度までは基本給の五%でございましたが、三十年度は四・五%、明年は四%計上いたしました。これは一般の公務員並びに他の公社と同じ振り合いで大蔵省から御査定を受けに金額でございます。
  140. 小松幹

    小松分科員 そうすると、四%というのはどういう形の四%でありますか。ちょっともう少し説明して下さい。
  141. 石井昭正

    ○石井説明員 基本給与の額に対して四%であります。従いまして、具体的にだれが昇給するかという問題とは別になります。昇給資金は四%であります。
  142. 小松幹

    小松分科員 だから、国鉄の従業員のいわゆる給与総額に対して四%というのですか。
  143. 石井昭正

    ○石井説明員 いや、給与総額は基本給以外に附帯手当あるいはそのほかの割増し賃金等すべて入っております。従いまして、それを全部含めまして、ただいま申しました昇給資金も加えたもの全部が給与総額となっております。具体的に申し上げますと、基本給が三十一年度の全勘定では一人当り一万四千四百八十円となっております。これは三十年度予算に比較いたしますと五百五十七円ふえております。これが大体昇給資金という格好になるわけでございます。これを含めまして、結果として積算いたしました総額給与総額であります。
  144. 小松幹

    小松分科員 それでは、ランクの調整はどういう格好でおやりになる計画があるか、それをちょっとお伺いしておきたい。
  145. 石井昭正

    ○石井説明員 職階の調整は、すでに昨年調停案を私ども受諾いたしまして、組合側と協議いたしまして、私どもの方の人件費財源で許す限り職階の調整をいたしました。交渉が妥結いたしましたので、たしか七月にさかのぼって実施いたしたわけでございますが、これは予算の上では私の方としては来年度予算にそういう調整資金というものは見込んで参っておりません。ただ、いろいろ組合から要望があります場合に、ある程度の幅の金額で総体の人件費でやりくりがつく場合は、組合と交渉の結果調整をいたした次第でございます。
  146. 小松幹

    小松分科員 そこで、四%の昇給資金が見込まれておる。しかし、昨年国鉄労組との職給の交渉があったと思う。いわゆるランクの調整問題が大きな問題だと思っておるのです。それの財源が組んでないとおっしゃったように聞いたんですかが、組んでないんですか。
  147. 石井昭正

    ○石井説明員 お尋ねの趣旨は、昨年調停案を実施いたしましたが、それに必要な金額、その資金が予算で盛られておるかというお尋ねになるかと思うのであります。これは、私どもといたしましては、その分だけ人件費増加を大蔵省に要求いたしましたが、大蔵省の御方針として、各公社ともそういうものは自分たちのまかないでやるべきものだということで、要求は査定されて削除されたわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、現在の予算の中でその原資をやりくりして出すということに相なるわけでございますが、昨年度実施いたしましたために生じました必要な資金も同様でございます。これを引き延ばして考えて参りますと、若干いろいろやりにくい点はございまするが、何とかやっていけるのではないかと思っております。
  148. 小松幹

    小松分科員 そこで、財源が入れてないとおっしゃるんですが、政府は今、国鉄あたりの問題で昇給は見る、こう大上段に構えて言ってるんですが、私は四%で完全昇給は見れないと思うのです。さらにランクの調整まで考えていけば、これは相当足りないと見ておるのです。そこで、それをどの程度までおやりになるお考えがあるか、それをもう少し聞かないと、どうもはっきりしないですが、どうなんですか。
  149. 石井昭正

    ○石井説明員 昇給につきましては、大体私どもの方は有資格者の七五%程度毎期の昇給をやっております。大体その程度は来年もやれるのじゃないか、これもはっきりここでお答え申し上けることはちょっとできかねるのでございますが、大体今までは七五%を目標としてやっております。一〇〇%昇給はできませんでございます。
  150. 小松幹

    小松分科員 やはり七五%というのが問題のパーセンテージだろうと思うんです。同時に、ランクの調整費というものの財源をどこで見てるかというと、単にやりくり操作で見てる、こうおっしゃるんですけれども、そのやりくり操作というのがどういう形でやられるかに、一つの不安もあるわけです。疑問も持ってる。水増しして予算をとってあるという意味なんですか。どういう意味なんですか。
  151. 石井昭正

    ○石井説明員 私どもの方の人件費の操作といたしましてはいろいろございますが、なるべく超過勤務というようなことを少くして、できるだけ勤務時間内で仕事が済むようにいたすことも一つの方法でございますし、また毎期自然減粍も若干生じます。その自然減耗が生じましたあと、すぐに新規採用ができるかと申しますと、なかなかいろいろの事情でできなくて、若干時期がずれる場合もございます。そういう点、その他からいたしまして、ある程度の幅の運用はできるわけでございます。人件費に水増しをしているというような意味合いではございません。
  152. 小松幹

    小松分科員 それでは私の質問を終ります。  主査に、先ほどの港湾関係事業費のごく詳細な資料をお願いいたしておきます。
  153. 河野金昇

    河野主査 御趣旨に沿うようにいたします。  森本君。
  154. 森本靖

    森本分科員 今のに関連をして国鉄当局にお聞きをしておきたいのですが、本年度の運賃についてはかなりの収入の増を見込んでおるわけでございます。貨物と、それから人間の輸送で約百五十三億ですか、これだけ見込んでおるようですが、これに対応するところのいわゆる人件費というものを見込んでおるわけですか。
  155. 石井昭正

    ○石井説明員 私どもの方といたしましては、収入増加を相当期待はいたしておりまするが、しかしながら、人件費につきましては、それはあくまで現在の人員の中でやりくりをして輸送増加をまかないたい、こういうつもりでございまして、特にそのための人件費増加は考えておりません。
  156. 河野金昇

    河野主査 森本さん、大臣への質問を先にお願いいたします。
  157. 森本靖

    森本分科員 それでは先に大臣に伺います。今年度の国鉄の資金運用部資金からの借り入れの問題ですが、これは昨年度から見たらかなり減っておるわけであります。この点について、これはどういう工合で鉄道債券がこれだけ多くなって、運用部資金からの借り入れが少くなっているのか伺いたい。
  158. 吉野信次

    吉野国務大臣 資金運用部資金の方は減っておりますけれども、鉄道債券の方はふえております。なお詳しいことは、必要があれば政府委員から説明いたさせます。
  159. 森本靖

    森本分科員 これは国鉄の経営に関する根本的な問題でありまして、要するに、国鉄みたいな公共企業体が、国民の大衆にあまねくサービスを提供するというような点については、少くとも利子の少い国家資金というものを相当充当して施設拡充していくのが当然であります。ところが、今年度のこの予算を私どもしろうとが大ざっぱに見ても、運用部資金からの繰り入れが減っておるにもかかわらず、今回国鉄に対して固定資産税というようなものを課税してやっていこうというような、この基本的な経営について私は疑問があるので、大臣にお聞きをしたのです。要するに、これは国鉄の今後の運営に関する基本的な問題であろうと思うから、こういうふうな格好になぜなったかということを聞いておるわけです。
  160. 吉野信次

    吉野国務大臣 その格好になりましたことは、先ほど申し上げました点でございますが、基本的なお尋ねというのは、国有国営の国鉄の運営をはかるについて、政府資金というものを出したらいいか、あるいは独立採算の基礎で、借り入れをなしていっていいか、こういう点のお尋ねだと思います。それは一応は問題があるだろうと思います。思いますが、国有鉄道というものは、公社の形はとにかく一応商業的企業としての形でございますから、私は、できるなら、なるべく国の一般の血税から見る支出は控えて、支出収入をもってまかなうという方針にいくのが一番いいんじゃないかと思います。しかし、国鉄の現状は必ずしもそういうふうには参っておりませんので、あるいは資金運用部資金のような利子の少いものを借りる場合もあります。また一般の鉄道債券による場合もございますし、理論は必ずしも徹底はしておらないのであります。
  161. 森本靖

    森本分科員 だから、私の聞いておるのは、こういうふうに国有国営ということで大衆にあまねくサービスを提供しなければならぬという国鉄運営が、今日の運営の段階においては、公社という性格そのものがこういう資金的な振り合いにおいては困難な実情になってきておる、これは大臣も認めざるを得ないだろうと思います。そこで、国鉄の運営については、要するに、これが企業であるということも事実であるが、一般の民間企業と国有国営というあり方の、国の事業として経営するというところの中途半端な格好になっておるのが今の公社の現況だろうと思うのです。だから、こういうような現況の中において、国鉄当局が非常に苦しい予算を組んだ格好でやっておる。さらに、この間の予算委員会では、大臣は、三十一年度には値上げをしないということを言明したそうでありますけれども、私が個人的に、きわめてプライベートの形で国鉄当局のそれぞれの方々に聞いてみると、これはだれがこう言った、かれがこう言ったというのではありませんが、ほとんど全員口をそろえて、参議院の選挙が済んだら国鉄は運賃の値上げをせぬければ今年度予算はまかないかねるということは、末端の者までそういうことを言っておるわけです。そいうような形における国鉄の基本的な経営の問題については、大臣としては将来どう考えるのか。このままで行ったら非常に困難な経営になってくることは当然なんです。今年度資金運用部資金がこれだけ減らされてきたということから見て、これが毎年々々こういうような格好で繰り返されていくとすると、今後の国鉄の基本的な性格といいますか運営方法というものをどういうふうにお考えになるか。さらに、私たち疑問に思うのは、固定資産税を――固定資産税じゃない。あの法律で見ると納付金という形になっておるわけですが、少くとも一般の企業と同じように固定資産税と同じようなものをかける。そうしておいて、一方の資金の振り合いにおいてはこういうような格好になっておるという点は、今後、来年度もまたその固定資産税がさらにふえてくる格好になった場合に、大臣は将来の運営をどういうように考えるかということをお示し願いたい。
  162. 吉野信次

    吉野国務大臣 もっともなお尋ねでございまして、それですから私も予算委員会においても申し上げたのですが、採算経済の問題から言えば、経営調査会の報告にもあります通りに、やはり若干の運賃値上げをするのが正当だ。そうして、運賃法の建前から申しましても、支出収入をもってまかなうんだという建前で一応公社ができております。ただ、今その形になっておりませんから、そう思いますが、運賃問題は、ここで繰り返しませんが、いろいろな経済だけの問題でなしに、世間では、理屈以外に、理屈は何とあろうとも、運賃は上げちゃ困るのだという論もありますし、またこの内閣においては低物価政策という線を堅持しております建前上、三十一年度予算を組む場合には運賃値上げは考慮しないわけですから、それならこの際どうするかということが、これは御指摘の通り非常に問題だろうと思うのです。私は、自主独立のこの採算制というものから言えば、これはやはり運賃の若干の値上げは将来はなすのがほんとうだと思います。ただし、それにはいろいろの条件がございます。国鉄自身の収入をいかにして増すか、いかにして経費を節約するか、国鉄側にもいろいろそういう面でやるべきところがあろうと思いますし、また政府側としても、今経営というものが非常に困難になっておるところの国鉄に対して、財政ははなはだ不如意でありますけれども、どの程度にこれを助けるか、こういう問題もあろうと思います。百要するに、公社という形で出発いたしましてからまだ六年しかたっておりませんので、公社のほんとうのあり方というものが、まだ発達の過程にあって、はっきりしないと思います。それですから、将来の問題としてどう考えるかというならば、私はやはり公社の形にして自主独立の採算制に合うような形で行きたいと思います。言葉をかえて言えば、なるべく国民の血税というものでこれを助けないで、やはり商業的企業として自分でもってできるだけ合理化をしてやっていくという方向に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  163. 森本靖

    森本分科員 そうすると、今年度はいろいろ政治情勢もあって上げるわけにはいかぬけれども、来年度はこの公社の方式でいくと当然運賃を値上げしなければ実際問題としてはやれないというように大臣の答弁としては考えられるわけです。それで、その問題は相当重要な問題ですけれども、それはそれとしてさておいても、私が言っておるのは、税金において云々ということを言っておるわけじゃない。資金運用部の金は税金じゃない。資金運用部資金は零細な国民大衆諸君が貯金をした郵便貯金が六割を占めておる。その他保険関係資金運用部資金とか、こういう低利な資金をこういう国家事業である国鉄あるいは電電公社に貸付を行なって、安い利子によって運営されていくということが今日最も望ましいことである。そういうことが今年度の国鉄の予算から見ると非常に削減を見ているわけです。そういう点について、当面の問題として大臣はどう考えているか。われわれが資金運用部資金の財政投融資というものの行方を見てみると、こういう国鉄とか電電公社とか、そういうところには案外少い。ところが、その半面、電源開発とか、そういう一般の純然たる民間会社になっておるところにたくさんの財政投融資が行われておる。それで国鉄が安い金を借りることができるのに、やはり運賃値上げをしなければならぬということについては、私たちは非常に疑問に思っておるわけです。そういう点について大臣の回答を願いたい。つまり、今の運賃の値上げの点については、国鉄がこのままで行くとするならば、本年度は政治情勢上やむを得ないけれども、来年度は当然運賃の値上げを予想しなければならぬ、こういうことになるわけですか。
  164. 吉野信次

    吉野国務大臣 運賃の問題についてはいろいろ複雑な何がございますけれども、採算の問題から言えばそういうふうに御了承願っていいと思います。それから、資金運用部資金ですか、その方の関係は、国鉄の立場から言えば、多々ますます弁ずで、なるべく安い金をほしいという点については、あなたと同じ意見であります。しかし、これは政府全体で割り振りをやるものですから、私だけの考えでたくさんの金を貸してもらいたいと言っても、全体として私の希望通りいかなかった、こういうことであります。
  165. 森本靖

    森本分科員 その投融資計画を、日本の経済全般から見て、さらに時の政府の経済政策全般から見てこれを割り振りするということは当然であります。当然でありますけれども、国鉄あるいは電電公社というような公共企業体、少くともこれは固有とほぼ同一である。そういうところに対して、一方では地方財政の負担を軽くするという意味において固定資産税と同じような地方交付税を課しておきながら、肝心の安い金利による国家資金というものを借りるのはますます少くなってくるということについては、私たちは常識的に考えてもどうしてもおかしいように感ずるわけです。だから、閣議なら閣議でこういう問題を論ずるときに、運輸大臣としてはどういうふうに論ぜられたかということをお聞きしておるわけです。
  166. 吉野信次

    吉野国務大臣 私の承知しておる限りでは、電電公社の方は資金運用部資金は一文も回っていないと思います。  それから、固定資産税に相当する納付金の問題でございますが、これも、お尋ねがございましたから、少し内輪の話になるわけでございますけれども、差しつかえない程度に申し上げますれば、私も、国鉄の現状から言えば、これだけの負担をすることはどうも無理だ、無理というよりも、負担しにくい、こういう考えでおったわけであります。しかし、地方財政の一般の情勢というものも、御承知通りどうしてもこれを放任することができない。それで、どうしてもできなければどうするかといえば、やはり国民の血税によるものでこれを補わなければならぬ、こういったことでございますから、そういった政治情勢というものを判断いたしまして、国鉄側として、一般の国民の血税によるもので補うならば、交通機関に関する限りは交通機関というものを利用する人々に負担してもらうということもやむを得ないだろう、ほかの地方鉄道ですか、あるいはほかの方でもやはり民間企業として鉄道事業というものを行なっておる面もございまして、その方もやはりそういう税を負担をしておる、それで、これは公社ですから、民間企業と違う国家的性格を持っておるということは十分承知しておりますが、それやこれやを勘案いたしまして、かけることにはしたけれども、しかし、税率の点は民間企業の半分ということにして、折れ合うと申しますか、そういうふうにして問題を片づけた、こういうのが真相でございます。
  167. 森本靖

    森本分科員 真相を聞いても、その真相がやはり私としては納得がいきかねるわけです。たとい半分にしても、やはり何のために国有鉄道といわゆる私企業の鉄道というものが区分せられておるかということを私たちはよく考えてみなければならぬと思うのです。国有鉄道というものは、あまねく国民にサービスを提供する、国民のものであるという考え方に立っていかなければならぬわけです。そういう場合に、それはなるほど名前は納付金というこうに変りましたけれども、これは実質的には固定資産税と何ら変りがない。そういうものを一般の民間企業と同じように課して、片一方においてはある程度民間企業に似かよったような取扱いをする。ところが、実際に予算を組む場合には、あるいは給与総額にしても、すべて法律において縛られておる。国会において縛られておる。一般の民間企業の鉄道経営ならば、どこかに行って安い金利で借りてきて、別に採算のとれる企業というものを自由にやることができる。ところが、国鉄の場合にはそうではない。一切のものが縛られておる形になっておる。そういう矛盾を今日の政治情勢でやむを得ないということだけで片づけられるということは、私は非常に不審があり、また疑惑があるわけです。その点を言っておるわけです。ですから、きっぱりするならきっぱりしてもらいたい。やはり独立採算で国有経営でそのままやっていくのならば、その基本線というものを貫いてほしい。そして、そういうことであれば国鉄に固定資産税を課するということはあり得ない。ところが、われわれが聞くところによると、固定資産税を課するときに、運輸大臣あるいはまたそれぞれの担当の大臣が集まったときに、これはしようことなしに承認するけれども、将来は運賃の値上げについても考えなければならぬというような話合いによってなされたということも聞いておるわけです。そこでわが党の柳田氏が予算委員会でこの運賃問題について大臣に聞いたと思いますが、その辺の矛盾がどうしてもわれわれとして割り切れない。そこを大臣は一つ明確に割り切ってもらいたい。
  168. 吉野信次

    吉野国務大臣 これは、御承知通り明確に割り切ってお答えしにくいのです。と申すのは、公社性格が今の建前がそうなっておるのです。これは、御承知通り予算運輸大臣が大蔵省と協議してみなきめるということになっております。また、自主独立の採算制だ、こう言いながら、その経常の一番の根本の運賃は国会がきめるようになっておる。そういうふうになっておって、自主独立の採算制というものの性格がはっきりしない。ですから、私はこの公社のあり方についてはよほど考えなければならぬと思う。これをどういうふうにするか。今おっしゃった通り、この公社のままでいくならば、今言うた自主採算という方向にこれを改正しなければならぬと思います。それがいかぬというなら、背のようにこれを官僚経営という形に直すか、そういういろいろの問題があるわけです。ただ現在の法制のもとにおきましては、そういうむずかしい――むずかしいというよりも複雑な問題を一挙に割り切って解決するだけの自信はございませんから、私の考えとしては、その方向はやはり公社の形として、自主独立の採算制で、運賃などにつきましても運賃法に書いてある通り、運賃の原則通り支出はすべて収入をもってこれをまかなうのだという原則を徹底することができるような方向に持っていきたい、そういう目標で私はただいませっかく努力しておるわけなんでして、事柄自体があいまいなものですから、お話のことはごもっともと思います。少しも御無理がないお尋ねだと思いますけれども、事柄の性質上私はそこをはっきり割り切ってお答えをすることができない、こういうことだけを御了承願いたいと思います。
  169. 森本靖

    森本分科員 私は時間があればこの問題について徹底的にやりたいと思いますけれども、時間もあまりないようでありますし、大臣も御用件があるようでありますから、この問題についての大臣に対する質問は終りたいと思います。ただ大臣もはっきりと認められておりますように、今日の段階においては公社のあり方、その経営の基本的な問題、そういう問題については、公社ができたときから振り返ってみると、ここらあたりで検討しなければならぬ、それから運営等についても検討しなければならぬという考え方に立っておるということもほぼ察せられるわけです。そこで今年度予算についても、できればそういう基本的な画期的な方針というものを立てた上において、国鉄なら国鉄の予算を明確にその何カ年計画に従って立てていくというのが順当なんです。もっとも今の政府当局にそういうことを望んでも、私はそれだけの力がないと思います。実際のところ今急にこれを根本的に解決するだけの実力はないように考えるわけですが、そういうところから、今年度の国鉄の予算はいわゆるつぎはぎだらけの予算の格好になっているわけです。だからこれは将来の問題として大臣も十分にその点をお考えの上、よりよい経営の方法について十分に慎重に考慮してもらいたい。わが党もわが党なりに今後の運営については十分考えてみたい、こう思っておるわけですが、一応大臣に対する質問はこれで終ります。  それでは元へ戻りまして、これは事務当局とやっても張り合いのないような気がしますが、とにかく一応速記録に残ると思いますのでやっておきたいと思います。  今それだけの増加を見越しておって、それで実際にはその従業員に対する超勤なりその他の増強ということについては、今年度の国鉄当局の予算では考えておらぬ、こういうことになるわけですね。
  170. 石井昭正

    ○石井説明員 私どもの方の人員配置につきましては、いろいろ御批判もあるようでありますが、私どもとしても、最も合理的に要員の配置を行いまして能率を上げたいと考えておるわけでございます。先般運輸省に設置されました経営調査会におきましても、人員増加を来たさないようにやれというような御答申も出ておりまして、結局合理的な配置転換あるいは機械化等を促進いたまして、人件費の面で増加することのないように経営を進めて参るという根本的な考え方に立っておるわけでございます。
  171. 森本靖

    森本分科員 しかし人を使うには、それだけの仕事の量がふえれば、その仕事の量のふえたものをそれだけカバーしてやるのが当然であって、それでは今日の国鉄の従業員というものは、それだけ楽をしているかという理屈に実際問題としてなるわけです。ところが、この百五十三億の増収というものを予算において見込んでおきながら、それを全然考えておらぬということは、私はどうしても納得がいかぬわけですが、この百五十三億円という増収は、今後今日以上の従業員の労働過重によって行うということですか。それとも、今日の従業員の労働というものが、一般の労働に比してそれだけ軽いという意味ですか。
  172. 石井昭正

    ○石井説明員 全体的に抽象的に御議論になれば御意見のようなことになるかと思いまするが、具体的に個々の場合に当って考えますると、人員の配置転換をいたしまして、合理的な運用をいたす余地もまだ相当残っているかと思います。従来はいろいろと住居の関係や食糧の関係その他で、そういう点も思うようにまかせなかったのでありますが、最近は、わずかではございまするが、そういう方もだんだんと改善されて参っておるわけでございます。またお言葉がございましたが、機械の導入無いろいろの機械化によりまして労力を省くということで、決して従業員の労働を強化することをなくして、仕事量を上げていくという方法も講じて参るわけでございます。
  173. 森本靖

    森本分科員 そういう答弁では、はなはだ納得のしかねるけれども、これ以上やってもコンニャク問答になると思うのでありますが、あなたの方は、予算の要求のときには、この運賃の増収に対して、当初一応それだけのものを見計らって要求したことはありますか。それを聞いているのです。
  174. 石井昭正

    ○石井説明員 当初要求におきましては、約六千人ばかりの増員の要求をいたしたことはございます。
  175. 森本靖

    森本分科員 その場合に、この運賃の増収の要求というものも、今のこの予算と一緒ですか。
  176. 石井昭正

    ○石井説明員 当初予算要求を作成いたしましたときは、時期的に前でございますが、現在の運輸収入増加と比較いたしまして若干下回っておりまして、大体昨年度に比して八十億程度の増収を見込んでおったのであります。
  177. 森本靖

    森本分科員 そうすると、国鉄当局が考えておったことと、この査定された予算というものは全く逆になってきた。今回の内閣の、いわゆる国鉄の予算の取り方において、それだけ従業員と国民にしわ寄せがきているということが、ここにも明らかになったわけであります。その点については明らかにしておくだけでいいと思うので、事務当局を責めたところで仕方がないと思いますから、次に移りたいと思います。  七五%の昇給という問題が先ほどちょっと出ましたので、ちょっと関連してお聞きしたいと思いますが、七五形という昇給の率は、国家公務員、地方公務員、公共企業体等全部をこういう一律の予算で組んでいるわけですか。
  178. 石井昭正

    ○石井説明員 これは大蔵御当局に御答弁願った方がいいかと思いますが、私どもの承知しておりますところでは、全部同じパーセントだと承知しております。
  179. 森本靖

    森本分科員 だれか大蔵当局の方から御答弁願いたい。
  180. 岩尾一

    ○岩尾説明員 昇給原資の問題でございますが、ただいま経理局長のお話しになりましたところの、公共企業体一般会計特別会計を通じて同じであるというのは、昇給原資として基本給の四%を乗っけておるという率が同じなのでございます。従いまして、その俸給の中でどういうふうに昇給しておられるかということは、各職階におきます昇給の原資がみな違うわけでございまして、非常に高給な方と低い給の方によってそれぞれみな違うわけでございますから、従って、その中で実際に全員が今の規定通りやらしていくというふうにしたらどれくらいの差が出てくるかということは、各会計公社によって違います。それから現実には欠員の問題がございますが、予算は全部定員で組んでおりますので、その辺も各会計公社によって違ってきていると思います。
  181. 森本靖

    森本分科員 内容は大体わかりましたが、そこで国鉄当局に事務当局としてこれをお聞きしたいのですが、こういうふうに国鉄の方は給与総額においてちゃんと縛られておる。それから予算その他についてもかっちりこういうことで縛られておる。ところが先ほどもちょっと私が問題にしましたように、固定資産税というものがぽっこり飛び出てくる。こういうことになると、国鉄の企業の経営方式からいって、いま少しこういう給与総額予算のワクとかいうものについては弾力性を持たすというような格好にしないと、頭が詰まってしまって、たとえば今言ったように新規採用のズレとか超勤のやり繰りとか、そういうことではどうにもならぬという段階にくるのではないですか。
  182. 石井昭正

    ○石井説明員 給与総額は一応額が決定しているのでございますが、これにつきましては必ずしも絶対に変えられないということではございませんので、いわゆる弾力条項がございまして、これ以上の収入があった場合については、またその収入を上げるために必要な経費といたしまして、人件費増加も御認可を得てやれることになっております。また節約その他により、して、予算上節約をいたし、あるいは予算上増収があったというような場合は、いわゆる特別な業績賞与というような形でこの額を越えて支出することも法律上可能になっておるわけでございます。
  183. 森本靖

    森本分科員 だからそういう場合は、最初から総予算給与総額なら給与総額の何%まではいいということになっておるのじゃないですか。
  184. 石井昭正

    ○石井説明員 そういうふうな%でもって幅がきまっているわけではございません。
  185. 森本靖

    森本分科員 それでは、そのときの増収あるいはその節約によってできるということは、その場合大蔵当局との交渉によってできる、こういう見込みですか。
  186. 石井昭正

    ○石井説明員 運輸大臣の御認可を得てわれわれがやります。運輸大臣は大蔵省と当然御協議になっていることと思います。
  187. 森本靖

    森本分科員 そこで私はもう一ぺん元に戻りたいと思いますが、今年度の増収目標ですね。この増収目標をあなたの方の説明で見ても、はなはだ困難であるけれども、最大の努力をして行わなければならぬという表現を使っておるわけです。これは私は非常に困難な問題を初めから見込んで、そうして当初要求したものよりも人員は削減をせられるわ、予想額は上回っておられるわ、こう言っておるわけです。そうすると今あなたが答弁したような弾力条項というようなものは、もう今年度のこの予算の中では絶対に考えられない、こういうふうに考えられるのですが、どうでしょう。
  188. 石井昭正

    ○石井説明員 絶対に考えられないということはないと思いますが、しかし相当困難であることは事実かと思います。ただ私どもといたしましては、弾力条項につきましては、予定以上の収入を上げなければなりませんが、業績賞与等につきましては、必ずしも増収ばかりじゃなく、経費の節減の面からもこれを行い得る余地があるように思いまして、経費の節減には大いに努力いたしたいと考えております。
  189. 森本靖

    森本分科員 この点はこの程度でおいておきます。  次にちょっと聞きたいのですが、傷痍軍人の無料パスというのが、この予算に組んであるということがここに明確になっておるわけですが、今国鉄で、たとえば地方の行政官とかあるいはその他地方々々によって、相当の無料パスを発行しておると思うのですが、これはどういう基準において、どのくらい全国に発行するわけですか。
  190. 石井昭正

    ○石井説明員 単に地方の行政官であるというだけでもって、パスを差し上げておる事例はないと存じております。
  191. 森本靖

    森本分科員 今日国鉄当局で出しておられる無料パスはどのくらいありますか。――わからなければ、これは一つ無料パスの全国的な配布状況と、三等の無料のパスもあると思う、二等以上というようなパスもたしかあるというように記憶しておるのですが、その内容を全部資料として御提出を願いたい。  次に、この昭和三十一年度工事経費内訳表の中で、まず新線建設の五十五億という予算ですが、これはむろん建設審議会に諮らなければその内容はわからないと思いますが、この新線建設における国鉄の基本的な方針というものを一応御説明願いたい。
  192. 石井昭正

    ○石井説明員 新線建設の問題につきましては、むしろ運輸省御当局からお答えを願った方が適切ではないかと思います。
  193. 細田吉蔵

    ○細田説明員 新線建設につきましては、運輸省の方針と申しますか、鉄道建設審議会に方針についてお尋ねいたしまして、ただいまのところ昭和三十一年度について考えますならば、昭和三十一年度につきましては、ただいま着手いたしております二十三線、これを継続実施する、新しいものは一応つけ加えないという考え方でございます。それで先般実は建設審議会の小委員会がありまして、本年度の開業予定になっておるものがございますが、これの開業を一つ促進をしよう。それから昭和二十七年にきまったものでございますが、昭和二十七年にきまって以来着手していないというものにつきまして、これが七線ございますが、これについては本年度から着工するようにしたらよかろう、その他のものについては継続をするという基本方針で、ただいまここに具体的に額を調整いたしておるわけでございまして、最終的にはまだきまっておりません。  それからなお今後の根本的な問題といたしまして、私どもとしましての考え方は、新線建設自動車との関係を十分考えた上で選ぶべきだというふうに考えておるのでございます。自動車がだんだん発達して参りまして、現在の鉄道でも自動車に、相当競争して旅客や荷物を食われておるものもございます。国家的に見ましてもいずれによるべきかというような角度から、鉄道でなければいかぬというようなもの、また鉄道の交通系絡上見て重要であるもの、また資源も国家的に見て非常に重要なものであって、これまた鉄道によらなければならぬといったものを、むしろ選ぶとすれば選ぶべきであると考えております。
  194. 森本靖

    森本分科員 そうすると新しい計画というものは本年度は全然ないということですか。
  195. 細田吉蔵

    ○細田説明員 着工いたす線といたしましては、ただいまのところではないということでございます。
  196. 森本靖

    森本分科員 そうすると本年度着工はしないけれども、この五十五億の中で実際に建設をするところの調査費なら調査費を組んで、そうして建設をするというようなところは全国で出てくるわけですか。
  197. 細田吉蔵

    ○細田説明員 その点につきましては、実は先般来建設審議会の小委員会でいろいろ御議論になっておる点でございまして、先般の審議会でも御議論がございました。二十四日にも実は引き続いて建設審議会がございますが、この審議会で調査をすべき線を選ぶのが適当ではないかという空気が圧倒的でございますが、ただいまのところ確定いたしておるわけではございません。
  198. 森本靖

    森本分科員 そういう調査費用というものも、この新線建設のいわゆる予算の中から出る、こういうことになるわけでございますね。
  199. 細田吉蔵

    ○細田説明員 この五十五億の建設費の中から出すか、それとも別途に損益勘定の中から出すかという点はきまっておりませんが、おそらくはそういうことになれば、新線建設費の中から組まざるを得ないのじゃなかろうかというふうに考えております。まだ確定いたしておりません。
  200. 森本靖

    森本分科員 そこでもう一ぺんはっきりしておきたいと思いますが、新線建設の場合基本的な年度々々の方針というものは、そのときの建設審議会において決定するものであって、運輸省あるいは国鉄当局というものは、それに対して事務的な答申あるいは事務的な方針というものを出す、出さない、こういうことはないわけですか。
  201. 細田吉蔵

    ○細田説明員 鉄道建設審議会は御案内の通り鉄道敷設法できまっております運輸大臣の諮問関機であります。従いまして、運輸大臣が方針をどういうふうに、きめようかということを、建設審議会へ伺っておるという建前になっておるわけであります。従いまして鉄道建設審議会から御答申がありましても、運輸大臣がこれを採用しないという場合はあり得ると思いますが、少くとも十分尊重いたすということになると思います。
  202. 森本靖

    森本委員 しかしながら、そういうことを建設審議会の会の方に運輸大臣が諮問するにいたしましても、審議会の委員なんというものは手足を持っておりませんので、そういう場合には、国鉄なら国鉄あるはい運輸省なら運輸省が全国的に調査いたしまして、その基本的な方針はこういう方針でございますが、どれをとりますかというふうな格好になるのではないですか。
  203. 細田吉蔵

    ○細田説明員 その点は普通そうお考えになると思うのでございますが、新線建設の問題については、必ずしもそういう形になっておりません。建設審議会の方でこのような調査をしろ、かくかくについて調査しろというようなことがございますれば、建設審議会としては手足を持っておられませんので、運輸省なり国有鉄道の方で調査いたすとかいうふうにいたしておるわけでございまして、積極的にわれわれの方で建設審議会に対して、かようにしていただきたいというようなことは申し上げない考えでおります。
  204. 森本靖

    森本分科員 そうすると、鉄道建設というものは、そういう審議委員の政治的な意向によってきまるものですか。少くとも私の考えでは、鉄道建設については、運輸省なり国鉄が全国的に公平に調査して、事務当局としてはこういう案でございますが、これに対して建設審議会としてはどういう御意見でしょうというふうに諮問をするのが当然だろうと私は思う。ところが全国的な視野に立たないところの審議会の委員、交通量あるいはいわゆる住民の数あるいはその利用度数、そういうものも全然具体的に承知しておらないところの者が、あそこを調査しろというような形で言ってきたところを調査して持っていく、こういうことですか。やはり常識的に考えて、私が初めに申し上げた格好が正しいというふうに考えるわけですが、どうですか。
  205. 細田吉蔵

    ○細田説明員 建設審議会がどういうふうにおやりなるかということにつきましては、私ども何とも申し上げることはできないと思います。一つは運輸大臣がかくかくのことをしたいというふうにいたしまして、それをいかがでしょうかと聞く方法もございますと思います。建設審議会御自身がこのようなところをこういうふうに調査して、それがどいう全体との関連にあるかというようなお尋ねがある場合もあると思います。しかし建設審議会がそれをどのように運営されるかということは、建設審議会の問題だと思います。
  206. 森本靖

    森本分科員 この点についても私は意見がありますが、時間があまりありませんから、きょうはこれで終ります。いつかまた運輸委員会に出ていってお尋ねしたいと思います。  次に、先ほどちょっと問題になっておりました外郭団体の問題でありますが、この外郭団体は今全部で幾つあってどのくらいに整理するかということを具体的にちょっと御説明願いたいと思います。
  207. 石井昭正

    ○石井説明員 外郭団体と申しましても、いわゆる通称でございまして、明確な定義はないのでございます。ある場合には、広く申せば私どもの方で取引をいたしております会社で、鉄道の職員の退職者等が役員なりに入っておるものはすべて外郭団体であるというようなお考えの御議論もございますので、ちょっと数字は申し上げられませんが、ただ行政管理庁のあるいは会計検査院等でいろいろ御指摘になっております外郭団体という範疇は、いわゆる法人とそれから業務代行をやっております会社関係で大体三十くらいのところじゃないかと思います。そのほかに先ほど申しました鉄道工事だけを特別に対象としておりますような工事会社は、こまかなものまで入れますと、地方的に私ども名前を知らないものもあるのでございますが、そういうものを別といたしまして、大体十数社だと思っております。
  208. 森本靖

    森本分科員 今鉄道の外郭団体で一番大きな規模で全国的にやっておるのは何ですか。
  209. 石井昭正

    ○石井説明員 鉄道弘済会、日本交通公社というようなところが、一番大規模ではなかろうかと思っております。
  210. 森本靖

    森本分科員 これは要望と意見と質問とをまぜたような格好になりますけれども、今日国鉄の外郭団体がいろいろ批判をされ、うわさをされておるということは、あまりにも複雑な国鉄の外郭団体であり、しかも工事関係にからんでいろいろなことを言われることが多いわけであります。ところが私の考えとしては、国鉄のように四十数万という人員をかかえておって、しかも老後があまり安定しておらないし、実際今日の恩給制度あるいは共済制度を見た場合には、あまり将来というものがすっきり考えられておらない。それからさらにこの国鉄の事業経営から見て非常に傷害が多い。こういうことになってくると、国鉄の従業員としても自衛上その救済措置として、そういう問題については考えるべきが当然だと思います。これを一般に国で保障するならば別として、そういう救済措置が今日講ぜられておらないという段階においては、やはりこういう問題については相当余裕を持った目で見てやるのが当然だと思います。ところが国鉄の方があまりにも多過ぎますし、また工事関係にからんでとやかく言われる面もあるし、また経営方針というものがあまり明確でない、こういうふうなことがありますので、この辺で一つ外郭団体というものをすっきり整理して、そうして世間の疑惑を解いて、しかも従業員の将来老後についても、若干働けるだけの間は働けるというような形にしてやるのが当然だと思います。そういう観点から外郭団体に対する今後の運営については、国鉄当局として十分お考えを願いたいと思いますが、どうですか。
  211. 石井昭正

    ○石井説明員 御趣旨の点はまことに御同感でございまして、十河総裁もそういうお考えでわれわれを指導されております。先ほど申しましたように、外郭団体の今後のあり方等寺についても、部外の有識者を集めて公正な御判断を伺うという組織も作っております。ただいまのお言葉の趣旨を体してできるだけ努力いたします。どうか私の方もあたたかい目で一つごらんを願いたいとお願いいたす次第であります。
  212. 森本靖

    森本分科員 そこで私はちょっとお聞きしたいのですが、たとえば鉄道弘済会なんかの最高の運営方針というものは、一体どういう機関で決定せられるのですか。
  213. 石井昭正

    ○石井説明員 やはり弘済会も財団法人でございますので、その理事者によって決定されると思いますが、なお国鉄当局といたしましては、厚生局というところでいろいろな職員の援護その他の仕事を担当いたしておりますので 国鉄当局の意向も十分反映して、理事者が決定いたしておると考えております。
  214. 森本靖

    森本分科員 その場合私の特に望みたいのは、今日国鉄のこういうものをまねたわけではないが、その他の公社関係、現業庁関係においても、こういう機構を確立しておるわけであります。ところが国鉄だけがこういうふうに風当りが強いわけであります。というのはあまりにも規模が大きいし、また団体も多いわけであります。そこでこういう運営方法についても、たとえば委員が十人おるならそのうち二人か三人くらいまでは少くとも従業員の代表という形で、これにつけ加えてもよいのじゃないか。こういうような運営の方法も将来十分に考えてもらいたいと思うわけであります。今日のこういう運営方法においては、従業員の代表というものは全然入っておりませんでしょう。
  215. 石井昭正

    ○石井説明員 御指摘の通り、いわゆる従業員の団体代表と申しますか、労働組合の方の御意見を直接に反映するような仕組みにはなっておりません。なおこの点につきましても、総裁その他にもお考えがあるようでございますので、よくただいまの御趣旨を報告して、御参考に供したいと思います。
  216. 森本靖

    森本分科員 三十一年度工事の経理の内訳の中で、ディーゼル動車というのは同僚小松委員から御質問がありまして、その御回答でディーゼル動車百両という御説明がありましたが、これはもう事務当局で大体決定しておるわけですか。
  217. 石井昭正

    ○石井説明員 ディーゼル動車百両の増備ということは予算的に決定いたしております。どこの線に何両配置するかという点は、ただいま検討中でございます。
  218. 森本靖

    森本分科員 運輸当局に運輸省説明の中で一つだけ聞いておきたいと思いますが、それは航空関係の問題です。空港整備事業として一億五千八百四十三万三千円の要求ということになっておりますが、今日日本国内の航空事業において、東京、大阪、福岡、札幌のような幹線はいいとしても、ローカル線が非常に勢いを増してきておるわけで、私の選挙区の高知でも、あるいは四国はどこでもそうですが、小型飛行機が飛んでおります。しかし雨が降ったら飛行機が着陸できぬ、あるいはまた天候が悪いとすぐ飛べないというようなことで、ローカル線においては航空設備が全然できてないと言っても過言でないような状態です。こういう状態についてどうお考えでしょうか。
  219. 林坦

    ○林(坦)政府委員 ただいまのお話でございますが、実は私どもといたしましても三年ほど前から、航空綱の整備につきまして予算当局の方と打ち合せをいたしておったわけであります。しをしながら御承知のように空港の整備につきましてはいろいろ滑走路の事情、それから今お話のございました通信施設その他保安施設等については相当な金を要しますので、実は本年度まで、ローカル飛行場につきましての整備費用が取れなかったわけでございます。しかしながら明年度につきましては、今度これだけの金をつけていただくことに今お願いいたしておる次第でございまして、これに伴いまして空港整備法というのを今度の国会に提案いたすことといたしております。それによりまして各地にそうした施設等もだんだん整備していきたいと思っております。今お話のございました保安施設あるいは通信施設といったようなものは、将来大体国費をもちまして整備していく段取りで、今進めておる次第でございます。
  220. 森本靖

    森本分科員 私はこれを非常に疑問に思っておるのでありますが、ああいうローカル航空路の許可をする際には、そういう保安設備、あるいは通信設備、そういうものの完備した上において許可するのが、これは人命に関する問題でありますから、当然であります。今のところまだ事故はないにいたしましても、大体雨が降ると着陸ができないというのが、今のローカル線であります。あるいは雨が降ったとき着陸すると、そこへ自分のところの乗用車が来ておらないと、雨にぬれて行かなければならぬ。全然野っ原で、待合室も何もない空港です。そういう点について逐次整備していかれるということはどこでも言われることでありますけれども、当面の問題としてはすべてそうですが、事故が起ってから騒いだところで何にもならぬわけです。事故が起らぬ前に、事故が起らぬようにわれわれとしては考えて許可していくというのが当然であると思います。今の格好では絶対に事故は起らぬと断言できないと思いますが、どうでしょうか。
  221. 林坦

    ○林(坦)政府委員 たとえば高知等につきましては、今極東航空が定期路線を開いて参っております。このような場合におきまして航空局としましては、保安の責任があります関係上、いついかなるときでもここへ飛んで行ってもよいということは、まだ実は許可しておらないのでありまして、その都度その場所の気象状況その他をチェックいたしまして、十分にいわゆる有視外飛行ができるという見通しがついておるときだけに飛行機が飛ぶことを許しておる、こういう方法で事故のないしとを期して参っておる次第でございます。
  222. 森本靖

    森本分科員 そうすると、もしもこれはそういう気象関係その他において、あの小さな六人乗りの飛行機が事故を起した場合、当然運輸省の最大の責任ということになってくる。きょうは飛んではいかぬ、きょうはやめておいたらよいということを指示するということになりますと……。
  223. 林坦

    ○林(坦)政府委員 そういういわゆる有視界飛行ということを条件として会社に許可しておる、こういうふうに説明いたします。
  224. 森本靖

    森本分科員 そのくらいのことはあえて私が言わなくても、政府委員は十分に内容を知っておると思いますが、これから先――軍事航空とか軍事基地化される航空事業は別でありますけれども、これから先の航空事業というものが幹線、ローカル線を問わず相当の発展をしていかなければならぬ。これはわれわれとしては、民間航空が大いに発達をしていくことは大いに助成したいと考えておるわけです。ところがたまたま今日の段階においては、それぞれの飛行場の付近においては、飛行場ができたことによって、防音その他の問題で、地元民の反対もかなりあるわけです。そこで将来空港についてそういう計画をして、整備をしていくということだけでなくて、将来の民間航空の発展を考えた場合は、その土地の町村長なり地方行政機関と密接な連絡をとって、納得の上において民間航空がほんとうに発達していくような方向を、将来運輸当局はぜひともとってもらいたい。たとえばそういうことで地元に非常に迷惑がかかるとか何とかいうことであれば、農林当局と連絡をとって、そのかわりにその付近の土地改良その他について協力をするというような行き方もあろうと思う。とにかく空港整備については、その土地の人たちが神経過敏になっておる面もあるわけですから、それぞれそういう点については、運輸当局は十分地元の町村当局と話し合いをしていく考え方があるかどうか、この点をお伺いしたいと思うのです。
  225. 林坦

    ○林(坦)政府委員 御注意のございました点につきましては、十分に御趣旨に沿うように注意いたしていくつもりでございます。
  226. 河野金昇

    河野主査 これにて予算三案中運輸省所管に対する当分科会における質疑は、一応終了いたしました。  本日はこれにて散会し、次会は明日午前十時より郵政省所管質疑を行うことといたします。    午後五時九分散会