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1956-02-11 第24回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年二月十一日(土曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 三浦 一雄君    理事 稻葉  修君 理事 川崎 秀二君    理事 重政 誠之君 理事 西村 直己君    理事 小平  忠君 理事 柳田 秀一君       赤城 宗徳君    井出一太郎君       植木庚子郎君    北澤 直吉君       纐纈 彌三君    河野 金昇君       河本 敏夫君    周東 英雄君       須磨彌吉郎君    竹山祐太郎君       橋本 龍伍岩    藤本 捨助君       古非 喜實君    眞崎 勝次君       松浦周太郎君    山本 勝市君       井手 以誠君    井堀 繁雄君       今澄  勇君    川俣 清音君       久保田鶴松君    小松  幹君       滝井 義高君    辻原 弘市君       成田 知巳君    西村 榮一君       古屋 貞雄君    八百板 正君       川上 貫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         文 部 大 臣 清瀬 一郎君         厚 生 大 臣 小林 英三君         通商産業大臣  石橋 湛山君         郵 政 大 臣 村上  勇君         建 設 大 臣 馬場 元治君         国 務 大 臣 太田 正孝君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君         経済企画庁審議         官       金子 美雄君         総理府事務官         (経済企画庁計         画部長)    大來佐武郎君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         厚 生 技 官         (医務局長)  曾田 長宗君  委員外出席者         厚生事務官         (保険局健康保         険課長)    小沢 辰男君         会計検査院長  東谷博次郎君         専  門  員 岡林 清英君     ――――――――――――― 二月十一日  委員足鹿覺君及び山花秀雄君辞任につき、その  補欠として滝井義高君及び竹谷源太郎君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計予算  昭和三十一年度特別会計予算  昭和三十一年度政府関係機関予算     ―――――――――――――
  2. 三浦一雄

    三浦委員長 これより会議を開きます。  この際御報告を申し上げます。公聴会公述人の選定につきましては委員長に御一任を願っておりましたが、理事諸君と協議の上次通り決定いたしましたから御報告いたします。  東京銀行常務取締役伊原隆君、法政大学講師吉田秀夫君、静岡大学教授鈴木安蔵君、慶応大学教授千種義人君、東京大学教授川野重任君、立教大学教授藤田武夫君、一橋大学教授都留重人君、早稲田大学教授大西邦敏君、京都大学教授渡辺庸一郎君、以上九名であります。  なお公聴会は、かねて御報告申し上げております通り、十五日、十六日、午前十時より開会いたしますから、さよう御了承下さい。     ―――――――――――――
  3. 三浦一雄

    三浦委員長 それでは昭和三十一年度一般会計予算外二案を一括して議題といたします。質疑を継続いたします。小松幹君。
  4. 小松幹

    小松委員 私は大蔵大臣並びに文部大臣通産大臣建設大臣多岐にわたって質問をいたす予定にしておりますが、私の質問は、問題は多岐でありますけれども、せんじ詰めれば一つであります。その一つというのは、予算を編成し、財政あるいは金融政策を打ち出していく場合に、常にそのしわ寄せを食って難儀をするか、あるいは税金をとられるか、最終的に目に見えない苦労を忍んでおるところの小さな、いわゆる勤労者大衆一般大衆というものの窓口から個々の例をあげて質問をしていきたい、かように考えておるものでありますが、私の所論の根拠は――国民所得論を今度の国会ほど言う国会はないのであります。経企長官国民所得一点張り資料を出しており、同時に経済五カ年計画あるいは六カ年計画論拠国民所得である。大蔵大臣答弁の内容もまたそういうことを含まれて、一般会計を作る場合もそういう論拠でもって作られた。はなはだしきに至っては、文部大臣授業料値上げまでも国民所得を論じてきておるわけです。そこで国民所得というものについての私の観点をまず申し上げて、一応の基本というものを申し上げておきたいと思いますが、国民所得というものは、時とともに、年とともに上ってくるのは私は当然だろうと思う。社会が進歩し、経済発展がなされる。最近では発展経済学というまでになっておる。発展することは当りまえなんです。社会発展する。そこに国民生活のボリュームというものも上ることが当然だと私は思っておる。しかしながら、上ったから国民が楽をしておるのかというと、決してそうではない。何となれば、生活自体がスピード化してくる。機械化してくる。教育の速度も上るし、その広さも向上してくる。これをたとえたならば、封建時代の山村においては、学校に行かぬでもいい。電車にも乗る必要がなし、汽車にも乗る必要がないとすれば、食うて寝て働いていけばいいという生活だったと思う。今日の文明社会はそれでは間に合わない。だから戦前物価水準を持ってきたり、明治時代国民所得を論じて、そのパーセンテージで近代文化というものを論じ、あるいは今日の予算というものを論じようとする論拠そのものが、私はずれておるのじゃないかということを、まず一つ申し上げておきたい。もう一つは戦後国民の階層が非常に変ってきた。所得分布図生活実態も変ってきたということです。ということは敗戦によって引揚者もずいぶん多くあります。また所得を失った人もある。新円切りかえでゼロから出発したのです。ほとんどのものが新円切りかえにおいて過去の財貨を失って切りかえ以後の出発であります。しかも農地の解放によっていわゆる所得というものが広く分散された。そういうことで今日の国民生活分布図考えたときに、大きく一口に言えば勤労大衆が多くなって勤労者一点張り一つ生活水準にたってきた。その後戦後十年間にそのスタートから追い越していったものは工業資本家であり、いわゆる金融資本家以外にはない。だから一口に言えば現在をイギリスのように二つの断層に分けることはまだできないと思いますけれども、大体金融独占資本家かあるいは工業資本家、それと勤労大衆というように考えておる場合に、国民所得が上ったからという論拠も薄弱になるのではないか、私はかような考え方を持っております。  そこで質問大蔵大臣にいたしたいと思いますが、今度の四月から国立学校授業料を三千円引き上げ、そのほか受験料等も引き上げておるようになっておりますが、国庫財源においては一体どれだけの財源を見込んでこういう御措置をなさったのかお伺いいたします。
  5. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。これは特に大きな財源を見込んだというわけではありませんので、高等学校の今日の月謝が月五百円であります。大学も五百円、ほかの私立学校等は二千円あるいは三千円、こういうふうな現状でありまして、五百円ではやはり安過ぎるという考え方で、同時にこの月謝を若干上げて、今度は五割上ったのですが、上げて、そうして学校の施設あるいは研究費等にも回すようにしたら一そういいのではないか、こういうような考え方から今回五割の値上げをすることにいたしたわけであります。
  6. 小松幹

    小松委員 私は大臣にそれを聞いたのではなくて、財源から出てくるところの収入額を聞いたわけなんです。幾ら収入額があるのですか。
  7. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 十三億。
  8. 小松幹

    小松委員 十三億に間違いはございませんか。大蔵省の方はっきりして下さい。
  9. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今私記憶するところでは十三億と思っておりますが、もし間違いがありますればあとで訂正いたします。
  10. 小松幹

    小松委員 そこで質問を進めますが、一般会計予算だけを見ましても一兆三百幾十億という膨大な予算の中から編成されるのに、わずかにそれほどの財源を何がゆえ学生授業料に目をつけなければならなかったかということに思いをいたしたときに、私はあまりにもチャチな財源に目をつけたものだ、かように考える。そして今大蔵大臣が言われたような理由では、これは国民に対してどういう説明をするか、きわめて根拠が薄弱なんです。この一兆三百四十九億円の一般会計予算の中における授業料の位置というものをさらに考えて、大蔵大臣はどのようなお考えであるかをお伺いいたします。
  11. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の考えでは、授業料というようなものについて、特に義務教育等については、国の財政が許されるならばできるだけの財政的な援助をすることが望ましいと考えておるのであります。しかし今日の情勢では、全体として授業料が特に安いということではなくして、やはり均衡を得た態勢に置くということが、私社会秩序全体から見ても適当であろう、かように考えておるわけであります。
  12. 小松幹

    小松委員 昨日も古屋委員からこの席で、会計検査院の監査に基く不正使途は私の調査では七十三億円の一般会計不正支出がある、と言われておるのです。この七十三億の不正支出があるという前提から考えてみたときに、私はいま少し予算というものが公正に配分されると同時に、まじめに考えられなくてはならない。しかもこの七十三億は、おおむねそれに携わっておるもの、予算を使っておるところのものが、問題のある支出をしておる。このことから考えて、いまだ社会人とたらない学生のわずかな授業料値上げをして、そこに財源を求めるよりも、こういうところにもう少しはっきりした建前と目を配るならば、十億か二十億でなくして何十億という財源が生まれてくるのではないかと思うが、この点について大蔵大臣並びに文部大臣の御所見を承わります。
  13. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 財政支出使途でありますが、これは申すまでもありません、国民の苦しい中からの税金であります。一文たりといえども、これが不適当に使われる、まして不当に使われるということは、許されることではありません。これは厳に適当な処置をとらなくてはたりませんが、しかしそれとこの授業料値上げということはまた別個の事柄である。そういうことがあるから、ほかの方のことはやらぬでもいいとは言えない。この授業料は小学校から大学に至る、あるいは公立と私立大学との関係等から見て、どういうふうな秩序に置くかということは、当然私は別個に考えるべきである、こういう考えであります。
  14. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 すでに大蔵大臣より大体お答えの通りでありますが、国立大学は言うまでもなく義務教育と違って、国民全体が利用するものではございませんで、一部入学者が利用するものでございます。今日授業料の非常な倍数の金額が国家負担になっておるのであります。言葉はちょっと不適当でありますが、まず受益者負担といったような性質を多分に持っております。一方国民負担の軽減もまた、政治の条理として重要なことなのであります。それで私が計算してみましたのに、戦前すなわち昭利十五、六年のときの授業料は百二十円でありましたが、国家負担は七千七百万円でございます。そうすると国家負担の一一・二%を大学生にかけておりました。ところが昭和三十年には六千円でございますから、五・一%の負担学生がしているのです。一一・二が五・一でありますから、半分より少い負担大学生は行っているのであります。それでこれを少し上げまして今度九千円にいたしますと、六・五%の負担をいたします。あとの九十何%はやはり国民負担に相なっているのでございます。それからさきの物価指数のあなたのお考えもごもっともな一般論でございますが、戦前と戦後の物価指数考える場合には、貨幣価値の変動ということが大きな問題なのです。貨幣価値が非常に変動いたしまして、今は日本銀行戦前の百九十倍と申しておりますし、国民生活は百九十二倍の金を要するようになっております。そのことから考えると、戦前の百二十円で大学へ行っておったのが、今度は六千円で大学へ行くということになりますと、簡単な数字で五十倍なのです。物価指数生活が百九十倍になっているのに、授業料は五十倍にしかならぬ。今度の値上げでは五十倍を六十倍にするわけでございます。私もあなたと同じように、大学生生活の苦しいこともよく知っておりますし、父兄もまた非常な負担をしているので、今日地方で農業なり工業をしている人が子供に一万円以上の学資を送ることは非常に苦しいことであることは知っておりますけれども、国家全体の負担との均衡もまた考えなければなりませんので、本来は私は値上げは反対なのですけれども、しかしこの程度のことは国のためには尽さなければなるまいと思って、今入っている人には迷惑をかけぬ、元の通りでよろしい。これから入る者についてだけ同意をいたしたわけでございます。御了承をお願いいたします。
  15. 小松幹

    小松委員 ただいま文部大臣は計数をあげて言われましたが、先般のこの委員会辻原委員から質問されたときの指数と違っているのです。先般の速記録によりますと、「今の授業料のきまったときと今日と物価指数を比べてみますと、百九十倍になっておるのです。国民所得も百九十二倍になっておる。」と言われている。どちらが正しいのか、わかったらこれかどっちかを取り消していただきたい。しかももう一つあります。その次にしかもその費用学生費学生実験用に使うのだ、こう言われているのです。これまことに、一般のおかみさんが何かをごまかすのならばそれでいいと思いますが、国会においていいかげんなうそや子供だましのことを言ってもらっては困る。何となればこの収入は、文部省所管雑収入、諸雑費の一般会計収入として国庫に収納されるということは予算上はっきりしたことなんだ。少くともここは予算委員会でございます。予算委員会で、そこらのおかみさんをごまかすようなその費用研究費を出すのでありますというような答弁はまかりならぬと思います。この二つについて、取り消しをお願いします。
  16. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 元の通りです。よく速記録をごらん下さいませ。あのときの物価指数は百九十倍、それから生活費の増も百九十二倍、同じことを言っております。それから授業料増加と同時に、その増加はやはり学生研究費の方に充てるつもりでございます。日本の予算の組織としてはそれをすぐ持っていくという書き方はいたしませんが、その収入がふえるのとにらみ合せまして、学生研究費はふやしてもらったのであります。
  17. 小松幹

    小松委員 数字が間違っていないということを言いましたが、今の授業料がきまったときというのは昭和二十七年です。昭和二十七年に三千六百円から六千円になったのです。その昭和二十七年の物価指数は、昭和二十六年を一〇〇とすれば一〇四・二なのです。そうして現在の特価指数は一一五・五になっておるのです。そうたれば昭和二十七年から特価指数が百九十倍にはね上るということはあり得ないことなのです。これははっきり問違いであります。それと今言った予算は、予算を取る、いわゆる査定とか予算を折衝する間の一つの操作あるいは作業においては、文部官僚とあるいは大蔵官僚がこれはこういうふうにやるからここからこれを取れという財源的なものはいわゆる話し合いをしたでしょうけれども、はっきり予算委員会に出て、予算資料として提案になったものは、先ほど言ったような雑収入、諸収入一般国庫財源となっておるわけなのです。そのいわゆる予算査定の間あるいは予算取引の間のマジックをこの委員会で申されても承服はいたさない。その点はっきりしていただきたい。
  18. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 一々言葉について論ずることもいかがかと思いますが、速記録をよくごらん下さると、昭和十五年の物価指数と今と比べまして、それから昭和十五年の入学料と今年の入学料と比べてこの前は言っておるので、その中途の指数のことは言っておりません。
  19. 小松幹

    小松委員 あなたは速記録を持たれて言われておるのですか。私はここに持っておるんですよ。いいですか、読みましょう。「○清瀬国務大臣 この問題については、理想として、私は辻原君と同様大学授業料は安くいたしたい。これはあなたと同じ考えであります。しかしながら物事には限度がございまして……。」いいですか、これからです。「今の授業料がきまったときと今日と物価指数を比べてみますと、百九十倍になっておるのです。」こう書いてある。これは問違っておれば、仕方がない。今の授業料がきまったのは昭和二十七年。昭和二十七年から百九十倍にはね上っておることはないはずです。そこをはっきりしてもらいたい。あくまでもあなたが取り消さぬと言うなら、私はきよう一日中でも追及します。
  20. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 速記にそう出ておりますれば少し言葉が足りないと思います。あのときは百二十円の戦前のことと今のこの話をして――ずっと全部をお読み下さればおのずからわかると思うのでありますが、あるいは「今の」というのは、さき言うた、今言うたもの、こう読んで下されば、これは問違いないのです。
  21. 小松幹

    小松委員 あなたの速記録幾ら読んでもそういうことは出てこたいのです。(「並行線だよ」と呼ぶ者あり)並行じゃない、あなたが間違っているのだ、あまり年寄りのがんこさで意地っぱりを言いなさんな、間違ったら間違ったと言いなさい。幾ら速記録を読んでもそこから先出てこないのですから、引っ込むのは当りまえですよ。そういうことに意地をはる必要はないのです。  そこで私は清瀬国務大臣にさらに問いただしますが、文部省大学学術局学生課から出した――あなたの所管の部課から出している調査書類の中から私は言うのですが、ずいぶん現在の学生経済的に困難して、六割くらいはアルバイトをして生活をしている。自費でやっている者はごくわずかである。こういうデータが出ているわけなんです。私はまことに涙ぐましい現状だと感心しているわけです。私は子供のとき二宮金次郎がたきぎを背負うて勉学をしたということを聞いておりますが、これに対して私は非常に感激しているわけでず。清瀬国務大臣はどんな心持であなたの管轄から出した学生調査実態というものをごらんになったか、アルバイトをしながら国立学校に通っている学生に対してのお気持、御所見を承わりたいのです。
  22. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 実に同情にたえないと思っております。それゆえにかくのごとき学生負担はできるだけ軽減化したいという考えはあなたと全く同じであります。
  23. 小松幹

    小松委員 あまり時間がないので次に進みますけれども、ここで申し上げておきたいのは、先ほども言いましたように、国立学校には一般中流家庭子供が多く通っている。国立は何も東大だけではない。やはり各地に大学が置いてある。しかもその父兄所得というものは二万円から三万円が平均ースである。その二万円、三万円の平均ースで、この調査では七千円から八千円の仕送りをしている。子供を三人かかえた三万円なり、二万円の月給、あるいは所得のある者が八千円の支出をさせられている現状から考えまして、こういう中でさらに授業料値上げをするというのは、国民に対する一つの挑戦ではないかと考えますが、大臣の御所見を承わりたい。
  24. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 わずかなことでありますけれども、国民のためとおっしゃると、国民全体の負担を軽減することにたるのであります。幾らかでも受益者負担を上げますが、学生及び父兄のためにはなるべく経費を少くしたいというのが私の念願でございます。それゆえに現在の学生負担は一銭一厘もふやさないようにする。これから入って下さる方の授業料はこの通り幾らかでも上げて、均衡をとろうかという考えでございます。
  25. 三浦一雄

    三浦委員長 ちょっと質疑なさる方並びに政府側に申し上げます。本日は質疑者もたくさんございまして、時間の余裕もよけいございません。つきましては質疑答弁も簡素にして要領よくお進めを願いたいと存じます。
  26. 小松幹

    小松委員 それでは最後に大臣一つだけお伺いいたします。かって池田大臣貧乏人は麦飯を食えと言いましたが、あなたは貧乏人学校に行くなという前提での授業料徴収のようにうかがえますが、その点いかがですか。
  27. 清瀬一郎

    清瀬国務大臣 決してそんなことは考えているのではございません。それゆえに一方育英資金の方も幾らかでもふやすように工夫いたしているのでございます。   〔委員長退席重政委員長代理着席
  28. 小松幹

    小松委員 そこで私は総括的に授業料問題について結論をつけたいと思いますが、育英資金幾ら上ろうが、その数と授業料徴収のバランスとは合っておりません。少くとも今日文化国家を念願して、そうして新しい社会を作っていくのには、次代の国民を作るという責任がわれわれにあると思う。少くとも文部大臣は一昨日かその前だかに忠孝とか、孝行の問題も言っておりましたが、国がぴんぴん税金のように徴収するような月謝の取り方をすれば、国のありがたさというものは知らない。親が二万円かそこらの給料をとって、一万円近い金をくれて子供にせめてもの希望を託しているところに、親のありがたさがわかる。孝行というものはこうした親の苦悩を知ることによって出てくると私は思う。同時に、国家への忠誠、愛国心というものも、あなたはただ単に過去の愛国心を強調されるけれども、こうした面においてやさしい、あたたかい同情ある措置を講ずればこそ、国に対して庇護されたという恩恵をまた感ずる。愛国心もまたそこから生ずる。だからあなたの愛国心というものはきわめて古い意味の憂国心ではないか、私はかような考え方を持っておるわけであります。以上申し上げまして、御反省をお願いし、また今後の予算措置においても、大蔵大臣にこういう点についての御注意をお願いしておきたいのでございます。
  29. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほど私数字のことを申し上げましたが、十三億と申し上げた。これは授業料の総額であります。今度の授業料値上げ分は一億六千二百万円であります。それからほかに入学金受験料等の値上りが二億四千万円、合計四億二百万という数字であります。
  30. 小松幹

    小松委員 そこで大蔵大臣にさらに答弁を求めます。これは授業料問題ではありません。日銀のいわゆる割引率公定歩合が下りましたから当然これは――おそらくこういうことはないと思いますが、不安に思うことは、定期預金の利率を引き下げるのかどうか、さらに定期預金に対する税金をかけるのかかけないのか、この点をお伺いします。
  31. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 問題の一つは、定期預金利子を下げるかどうか、こういう問題ですが、これは今後の資本の蓄積の状況なり、貸出金利低下等から、全体の金融あり方から考えまして、要すれば、あるいは妥当だと考えられれば、定期預金金利も考慮を加えなくちゃならぬと思いますが、私の考えでは、それよりも先に銀行経営ができるだけ合理化されて、だれが考えてもやはり貸出金利も、従って銀行経営の上において預金金利もある程度下げなくちゃならぬだろう。銀行経営合理化を行たった上で金利を下げるのが妥当だ、こういうふうなことが十分考えられる。言いかえれば、預金金利を早く下げて、銀行経営あり方たんかどうだという非難などがないようなことにおいて、考えていきたい、かように考えておるわけであります。  定期預金利子に対する税金につきましては、租税特別措置法によって臨時措置になっておりますが、これは二年の時限立法で三十二年度に期限が来ますので、もう少し様子を見た上で考えたいと思っております。
  32. 小松幹

    小松委員 頭打ちになって、いわゆる日銀割引歩合が下りますと、下の方を下ぐれば私は同じことだと思います。それはいわゆる大衆の預金吸い上げというものがきわめて低くなってくる。そうなれば、日銀のいわゆる割引歩合公定歩合を下げますと、結局起ってくるのは、今まで高い利潤の中に、金融関係、あるいは金融資本といいますか、そうしたものがたくさん割り込んでおったのが、整理される段階になってくると思う。いわゆる金融界の再整理というものが当然考えられなければ、やがては私ども一般市民へそのしわ寄せがくると思いますが、ここで金融整理の段階をお考えになっておるかどうか伺いたいと思います。
  33. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 金融制度等の改善、これは日本銀行公定歩合が下ったからというよりも、これはむしろ民間に資本の蓄積が非常に大きくなった。言いかえれば日本銀行に金を借りる必要はない。この意味において、日本銀行公定歩合はそれほどの影響力を持たぬといってもよろしいので、従いまして今後日本銀行に金を借りに行かせないためには、日本銀行公定歩合は市中銀行より高い方がいいというのが常道になるわけであります。問題は資本の蓄積が非常に増加してきたことで、けっこうなことでありますが、そうなりますと、資金の需要もありますが、需給関係から金利が下ってくる。そうすると高い金利で従来営業しておった銀行はなかなか経営がむずかしくなる。それも大銀行等の、預金等が数千億にも及ぶような、運用資金量が非常に多い向き、あるいはそれが非常に増加していく向きにおいては、金利が下ってきても、全体としての収益に影響がおりませんからやっていける。それほどでなく数百億あるいは何十億という向きは、貸出金利が下ってくると、これは経営に非常に困難をする。そういうような金融機関も非常に多いという状況も今日あるのでありますから、そういう状況を今後十分考えまして、いよいよ金融機関等の内容がよくなり健全にたるような措置を今後考えていかなければなるまい、かように考えて、そういう意味から、従来の金融制度に欠陥あるいは不備な点が戦時以来あったと思いますが、それに足して、そういうふうな客観的な金融情勢の変化に応じてもまた金融制度を考えていかなくてはなるまい、かように考えております。
  34. 小松幹

    小松委員 日銀公定歩合が下ったというのは――下げた、あるいは下った、どっちでもいいですが、それはあなたの御意見の通りだと思うのですけれども、いわゆる日本の金利体系というものが変ってくれば、自然圧縮されると思う。そのために一番困るのは、いわゆる金融公庫とか商工中金とか農林中金というようなものではないか。それはなぜかと言えば、政府資金をえらいたくさん量でこなせば私は利子率が下ってもいいと思うが、量がそれほど膨脹してこなければ、どうしてもそこに整理の段階がこなければならぬ、くるという情勢を見ておるわけです。そこで先ほどの農協系統のいわゆる農信連ですか、農林中金を頂点とした農業協同組合、信用組合の県信連の廃止というような問題も出てきたのだろうと思うのです。こういう観点について大臣の御所見を承わりたい。
  35. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 農林系統の金融制度あるいは金融機関がどういうふうにあるべきかというようなことについては、いろいろな情勢からやはり検討を加える必要もありますので、ただいまいろいろと検討を加えておりますが、何も今のところ成案を得ておりません。
  36. 小松幹

    小松委員 あなたはこの前の委員会でも、腕一本、すね一本でやれと言った。そういう金融方針ならばそれはそれでいいと思います。そこでそれならば、腕一本、すね一本でやれというならば、中小企業金融等は担保力が少いのでございますから、これは腕一本、すね一本でやり得ないと考えるのです。そこで生まれたのが商工中金等系統金融であり、あるいは庶民金融公庫である。そういう国庫支出を受けて低利で出そうという庶民金庫というような類のものが生まれてきたのだと思いますが、利子率が下るによって経営困難となれば、どうしてもここでそういうものの再編成なり、あるいは整理なりというものを考えなければならぬという段階にくるのではないかと思いますが、その辺はどういうようにお考えですか。
  37. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今私は御指摘に答えておきますが、私が先般腕一本、すね一本、それで大いにやるべきだと申しました。これは非常にウルトラ的な資本主義の方におるかにとられることは、私は非常に迷惑でありまして、私は、そういうところがあまりにも今希薄になっているから、そういうふうな考え方をもう少し取り戻してもいいじゃないかという意味で申したのでありまして、私はこちこちした資本主義じゃないのでありまして、よほど社会性を持った資本主義ということでありますので、その点は誤解のないように、これは私の信念でもありますので、一応お答えしておきます。  ただいま申しましたように金利等が下った場合に、そういうふうな見地からも金融制度について検討を加える必要があるだろうというお説については私も同感でありまして、今そういうふうな見通しから金融全般について考えたい、従いまして金融制度調査会というようなものを設置いたしたい、かように考えておるわけであります。
  38. 小松幹

    小松委員 そこで私は、国民の最低のバリケードを張っておる建前から、どうしてもそういう整理統合というものが考えられると抜け穴をこしらえるものがある。いわゆる金利という体系が引き下げられて狭められてくると、まず自分の身を整理統合するという前に税金を負けろとかあるいは最近出たいわゆる清算市場、株の定期取引ですか、こういう形に現われてくると思うのです。つまり資本が小さいから、そういう証券等の金利の稀薄な中に生きていくには、陳情をして、政党を動かして、そこから割り込んで何とかして自分の今までの生活ボリュームというものをこわさないように、どこかに、税金を負けるかあるいは取引を競輪の予想屋みたいな取引にしてみようとしたり、こういう形が現われてくると思いますが、こういう点についてのあなたのお考えですね。一つの例をとってみれば証券取引税の引き下げ、清算取引を新設しろ――あなたは反対しておるからその点では筋が通っておるのじゃないかと思いますけれども、その辺のところを、いわゆる圧縮された金利体系におけるはみ出しが、自己を整理しないでどこかにぶち当ってはけ口を見出そうという動きに対して、あなたはどういうお考えを持っておるか。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。ただいま御指摘のように変なところにはけ口を求むることのないように、前もっていろいろと制度的にも改善を加えていきたい、かように考えておるわけであります。特にまた二言申し上げますが、この金利の問題ですが、金利が底なしに下るようにもお考えになる必要はないのでありまして、できるだけ日本の場合金利が下ることが望ましいのですが、日本の生産力あるいは生産に関するいろいろなコストの条件等を考えてみると、そう資本の蓄積が増大して、非常な金利の低下を見るというようなことはよほど将来のことで、ただいま金利も相当下っておりますが、これはあるところ、言いかえれば短期市場なら短期市楊にどっと金が出ておるのでそこで金利が下っておる。御承知のように長期の市場は下っておらぬのでありまして、依然として九分五厘程度の金利、一割に近い金利ということになっておるので、それを短期から長期の方にずっと回していく、そうして平均地ならしをしていくと、金利の下り方も緩慢にたり、資金量もそれほど大きなものでないということに気づいてくると思います。今そういうように動きを変えておるときです。やはり一部をとると非常に同につきやすいのですが、これを秩序づけてそういうような安定した見通しを持って制度も考えていきたい、かように考えておるわけであります。
  40. 小松幹

    小松委員 安定した見通しを持ってやるとおっしゃるから、その限りにおいてはいいのですが、政治勢力なりあるいはあなたの腰のふらつきようによっては、これがはみ出されてとんでもないこぶをこしらえたり、あるいはその端がいわゆる税金を負けろという意見になったりしてくると思うのです。この点についてよほど格段の注意をしていただきたいのであります。同時にあなたの財政支出というものが――担保力の少い、また開発等の今おっしゃられたように長期のものになると、なかなか資金が集まらない。そこで政府支出あるいは財政支出によってまかなっておるのですが、今度のあなたのとられた措置は、民間資本に依存する率が非常に多くなっておる。民間資本に依存することが悪いとは必ずしも申しませんが、そこで考えなくてはならないのは、長期のものに対してどんな措置をとるべきかということが問題になると思うのです。長期に対する資本をどうした形で集めるのか。いわゆる長期を扱っておる銀行、すなわち日本興業銀行とか、長期信用銀行等の活動は、過去において鈍いのであります。それをどういう形であなたは長期のものに――開発あるいは非常に利回りの悪いものに回すかということをお聞きしたいのです。
  41. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 まず第一着手として金融債の発行条件を発行者に有利に、言いかえれば金融債の発行条件に改善を加え、金利等を下げる。さらに同様な措置を社債について――社債も一回は改善したのですが、さらに今後社債の発行条件の改善をはかりたい。さらにこういうような社債が市場で販売される、言いかえれば社債を持っておる人が必要な場合に現金化するということがやはり必要になってくる、そこで社債市場というものを大改革しよう。さらに長期資金の調達には株式というものが非常な役割を演じておる。これはやはり今日大衆というものが株式に投資するということでないと、なかなか調達が困難である。従って株価の安定ということも考えて、株式取引が行われるようにしたいと考えております。こういうことを着々実現していきたいと、かように考えております。
  42. 小松幹

    小松委員 先ほどの清算取引についてのお答えがなかったのでずが、清算取引は開くのか開かないのかということ。それからついでですから申しますが、電力関係の資金は今度民間に依存する率が多くたりましたが、いわゆる資金のコストなり、あるいは電力開発の原価の高くたるということに対するあなたの御所見を伺いたいと思います。
  43. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今ここに正確な数字を持っておりませんが、しかし、電力会社の所要する資金を民間資金によらしめるということによって、電力会社が、資金面全一体の所要資金からくる金利負担がどうなるかといえば、私の考えではおそらく十二、三億くらい従来よりも低くたる、むろん従来政府の金を使っておるものは上るということは申すまでもたいのですが、それに数倍する民間資金を使っておりまして、その金利がずっと下っておりますので、電力会社全体としては私はおそらく十数億の金利負担の軽減になると考えております。  それから清算市場については、これはまだ直接に取引をどうするかという意見は十分聞いておりません。新聞等で聞いておるところですが、要するに一体何を目的にして考えるかということが一番大事なのでありまして、そこをはっきりさせていかなければならない。その目的に従って、それなら現行の取引方法が果して悪いのか、かりに不備があっても、その不備が補正ができてやっていけないか等々を考えなければならないと私は考えております。特に今日注意すべきことは、終戦後の日本の資本市場、特に長期資金の調達が非常に困難であるために大衆にお願いをして長期の金を借りる、いわゆる株式の民衆化ということを当時の政府としても過去の時代やってきておることでありまして、たとえば投資信託ということをとってみても数百億に上るようになっております。従いましてこういうように大衆に株を持っていただくという関係においては、やはり株価の安定、株が大きな変動をして、そうして大衆に不測の損害を与えるということのないようにすることが、私は大切であろうというように考えております。なお将来においても、やはり大衆から長期資金を調達することを必要とするというような見地に立っておりますから、そういうことに十分考慮を加えて、慎重な態度で臨んでいきたいと思います。
  44. 小松幹

    小松委員 今言われた意見は新聞にも出ておるわけです。私が今まであなたに質問をした中で、おおむね目立つ目標は、わかっておると思うので、はっきりしていただきたい。あなたとしては今の段階において、いわゆる競輪の予想屋みたような株屋さんのばっこというものを認めるのか認めないのかはっきりしていただきたい。慎重に慎重にと言っても、今言ったことは新聞に出ておることなんです。ここで言うことは、その先をお伺いしたい。
  45. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 従いまして、いろいろと申されておる意見も今後聞いていきたい。それで最近特にそういうふうな議論があることを承知いたしましたので、業者の意見もただいま十分聴取しております。その他の方々の意見も聞くつもりです。要は、一体何を目的とするかという点にあるのでありまして、長期資金調達の上に、現在の取引のやり方はこういうふうにあるべきだということであれば、私は虚心たんかいによく聞きまして、悪いところを十分直していくのにやぶさかではない、こういうわけであります。
  46. 小松幹

    小松委員 何かまだはっきりしないのですが、要は何をするかということはもうあなたはわかっておるはずなんです。だからそれを設けるのか、設けた方が悪いのか、はっきりしていただきたいと、こう言っておるのです。
  47. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の今考えておる態度を率直に申しますれば、先ほど申しましたように、今日株の取引並びに株価というものは、大衆と非常な利害関係を持っておるという見地からいたしましても、この変更については、たとえば調査会というようなものを作りまして、十分慎重な審議をして、だれも納得するような形で、なるほどそういうふうに改正するのがいいんだというような形にすることがよかろう、こういうことが今私が考えておる段階であります。
  48. 小松幹

    小松委員 あまり深追いをしても悪いと思いますが、これはあなたとしては判断はできておると思うのですけれども、はっきりおっしゃらないから、これ以上はお尋ねしませんが、要はそういうことによって、せっかく大衆化しつつあるものを中間的なものによって――これはよその、進んだ英国とか米国とかいうようなところで、もう少しスムーズな証券取引というものが理解され、徹底しておる社会においてはいいかもしれません。しかし今の日本の現状におけるところの証券取引を、そうしたいわゆる定期的な精算取引でやるということは、再びそうしたものを国民大衆と切り離して、株は株屋のものだという結論になってしまうと思うのです。そのために長期ものと短期ものでも、資金等の運用というものは、中間で搾取なりろうらくされるという危険が非常にある。このことを申し上げて、それほど深くイエスかノーかのあなたの御答弁は聞きたくないと考えております。  そこで電気料金の問題に触れていかねばならぬ。先ほど大蔵大臣は、民間資金に依存する率が多くなったけれども、利子が安くなったからそんなに問題はたい、こういうふうにおっしゃいました。そこで通産大臣にお聞きしたいのですが、冒頭から申し上げますが、電力料金を引き下げてもらいたい。いわゆる民間の電燈料金あるいは電力料金を下げていただきたい、この意思をあなたにお尋ねいたします。
  49. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 電力料金に一番大きな影響を及ぼしておるのはむろん建設費でありますが、この建設費は金利であります。そこで今回民間資金をだいぶ使うことになって、今大蔵大臣が言われたように、私も全体の民間の金利が下れば、今までよりは電力会社の金利も漸次減るものと思います。そうすれば電力料金を下げるということも可能でありましょうが、現況においてはすぐ電力料金を下げるという段階ではございません。まず現在のままで上げないということが第一段の仕事であります。その上にさらに火力発電あるいはその他の竣工を待って、電力料金を下げる時期が来ることを希望しますが、今のところは下げるということはで、きないと思います。
  50. 重政誠之

    重政委員長代理 小松君に申し上げます。お約束の時間があと五分でありますから、なるべく要領よく簡潔に御質問を願いたいと思います。
  51. 小松幹

    小松委員 下げるわけにいかないと簡単におっしゃいましたけれども、今度の三十年度の電力事情というものを計算的に見ますと――これは私の計算ではありませんよ。十一月十五日の三十年度上半期におけるところの九電力会社の電力料金の実際のバランスを見てみると、黒字百三十五億、差引しても五十三億二千万円というものは残るわけです。これは九電力会社もはっきり残ると言っておる。しかも下半期においては六十億残る。合わすれば百二十億に近いところのいわゆる一般需要家の電力料金の吸上げができて、余っておる。余ってやり場に困っておる。これが実態なんです。そういう実態をつかみたがら、あなたはその責任者であって、なぜ下げないとおっしゃいますか。しかもこの電力料金は原価計算になっているわけです。原価計算ならば、原価もはっきりしておるんですから、持って行き場がないのです。これはどこへも持って行き場がない。しかも利益配当は一割二分の配当をしておる。税金もとっておる。しかもなおかつ百二十億余っておる。そして電力会社自身も、これはもう需用家に還元せねばならぬと言っておるのに、なぜあなたは電気料金を下げないのか、その論拠をはっきりしていただきたい。
  52. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 最近の過去一年ほどの電気の事情は、御承知のように天候の関係等がありまして、幸いに黒字になっております。しかしそれではその黒字を全部料金に還元して食ってしまっていいかというと、そうではないのでありまして、これはまだ需給関係から見まして、年々強力に開発を進めていかなければならぬ。その将来の開発のコストを下げるためにも、そういう金利のかからない自己資本がぜひ必要なのでありますから、ここ数年はどうしても開発の方に資金を回してもらいたい。その上でならば電力料金を下げるということができると思うのでありますが、今すぐに、ある年にもうかったからといって、これを電力料金に還元したら、開発がおくれますし、また今後上げねばならぬような時期が起る、つまり波乱を生ずる懸念もありますから、もう少し様子を見なければわからぬのであります。
  53. 小松幹

    小松委員 電気料金というものは年年上ってきて、昨年も問題になった。通産委員会でずいぶん問題にたって、夏料金、冬料金というて、ついにわけのわからぬ一本冬料金にして、三割頭打ちというところでとどめてきたのですが、少くとも鳩山内閣は、電気料金を下げますという公約をはっきり出して選挙を戦ってきて、勝っておるわけであります。しかもそれが去年の三月、四月において、電気料金の引き下げをさえぎられて、吉田内閣のまま一本料金に引き抜いてきておる。そのときは未来性があった、将来においてあるいはそういうことがあるかもしれぬという一つの不安定性もあった。ところが今日三十年度の決算を迎えて、百二十億の需用家に還元する料金が余って出た。あなたはこれを何だか資本の蓄積に充てるというが、減価償却もして配当もしておる。要るときだけは国民にやあやあ言うて、冬料金、夏料金電力値上げだといって、まるで電力に追い回されるような格好で値上げをして、金が余って下げねばならぬという段階、電気会社も下げた方がいいといっているときに、なぜ下げないとおっしゃるか、その辺の理由をはっきり国民の前に鮮明していただきたい。
  54. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 むろん電気会社が下げ得るものたらば、下げることに何も反対いたしませんが、私はそういうことは言っておられぬと思う。私の希望することは、ある年にもうかったからといってすぐにそれを料金に反映させれば、今度はたまたま渇水が非常にひどくて、石炭もたくさん使ったというときにはすぐ上げなければならぬ。電気料金のごときものは安い必要もありますが、安定をする必要もありますから、ある年に多少黒字が出たからといってすぐ電気料金へ反映させることは、全体の政策としては必ずしもとるべきではない、かように考えております。
  55. 小松幹

    小松委員 あなたはそういう俗論的なことを申されておりますけれども、先ほど大蔵大臣も資金のコストが下るのだとはっきり言っているでしょう。それがまず一つ。もう一つは、何も松永さんのいわゆる新鋭火力発電の火主水従を言うわけではないけれども、いわゆるロスのパーセソテージが下っておるのです。今まで二十何%のロスが出たのが、本年の需給計画によると一八・二%になっておるのです。ロスも下る、資金のコストも下る、しかも新鋭火力発電を入れて、石炭をたく火力発電のコストを下げておる。こういう状るならば、先は私はそんなに上ることはないと思うのです。あなたは昨年、将来二倍になるのだと言っておりますけれども、私はならないと考えておるのです。その点についてさらにもう少しつっ込んだ意見を聞かせていただきたい。
  56. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 ただいままで申し上げたのが率直なつっ込んだ意見であります。お説のように金利もこれからどんどん下げなければいけません。下るようにしたい。そうすれば、電気料金に限らずすべての日本の物価は、金利が非常に影響しているのですから下る、そういう見込みは立てておりますが、現在たまたま黒字であるからといって、すぐそれを電気料金に反映さしてしまうということは少し軽率だと思う。ですから、もう少し業子を見たいのです。ほんとうにこれならば安心だということになって初めて料金というものは動かすべきものだと思うのです。
  57. 小松幹

    小松委員 あなたは去年からそれを言っているのです。昨年の通産委員会でももう少し待ってくれと言って、それから一年たったけれども何ら結論が出ていない。そしてのらりくらり。今日国民大衆の窓口で金を吸い上げるその中で電気料金ほど不明瞭なものはない。しかもわからないものはない。そしてその頂点に立っているあなたがもう少し待ってくれと言うが、もう少しというのは一体いつまでですか、それをはっきりしてもらいたい。去年の三月の末の通産委員会でも、電力料金はもう少し待ってくれと言ったが、もう少しというのは一年ですか半年ですか。
  58. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 事業というものは、半年や一年でそう勝負がつくものではありません。これはあわてなくてもよいと思います。
  59. 小松幹

    小松委員 冗談じゃないですよ。
  60. 重政誠之

    重政委員長代理 小松君に申し上げます。お約束の時間が経過いたしましたから、できるだけ簡単にお願いいたします。
  61. 小松幹

    小松委員 電気料金が原価計算だということは電気事業ではっきりしておるのです。それを、黒字が百二十億も出ておるのに、もう少し待ってくれ、電気事業というものは気が長いのだ。それでは税金も気を長くなさるか、一切のものをそんなに気を長くやるか。学生授業料もすぐに引き上げて、もうあすからでもぴんぴん取られるのに、電気料金の値下げだけは、事業というものはそんなにすぐに行くものではない、そういう言い方は承知できないのです。一体いつになったら下げるのかはっきり言っていただきたい。実際原価計算がくずれてしまいますよ。原価を割るということになってくれば変ってきますが、原価計算をとっている以上は受益者に還元しなければたらない。益金というものが出たら還元して電気料金を引き下げるというのは当りまえです。その点についてもう少しはっきりさしていただきたい。
  62. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 下げられるという計算がはっきり出てくれば下げます。しかしながら、さっきから繰り返して申し上げますように、とにかく安定させるということが必要なんです。今、御承知のように水力建設費はどんどん高くなるということで、うっかりすれば電気料金は上るではないかという心配が多く抱かれておる。たまたま最近の年度においては天候に恵まれて黒字が出た、こういうことなんでありますから、これからの建設ということを考えると、なかなかそう簡単にはいかないと思います。ですから、その点をもう少しよく検討しまして――これならば安定をして下げてもその料金をまたさらに上げたければならぬようた事態が起らないということをもう少し研究してからやってもらいたい、こう思っております。
  63. 小松幹

    小松委員 都合のよいときには安定を言います。そうして、少し都合が悪くなると夏料金、冬料金をこしらえて引き上げている。そういう実績の上からするならば、夏料金、冬料金の時代から、電気料金の歴史から考えたならば、当然百二十億の受益者に返るべき金が浮いているのですから電気料金を下げるべきである。あなは将来の不安があると言う。先ほども大蔵大臣は言っている。資金のコストは下る。会社も、いわゆる電力のコストは、火力においては下ってくると言っている。何回も言いますが、不安はそこだろうと思うのです。そこで、下げるべき一つの情勢が出たならば下げるという態勢で、いつそういう計算が出ますか。きょうの新聞を見ると三十一年度の需給計画が出ております。今日まで出ないので待っておりましたが、きょう初めて需給のバンラスが出ております。これによって計算しても私は出ると思うのです。いつはっきり結論が出るかそれを言ってもらいたい。のんべんだらりだったら三年も五年も待たなければならぬ。もう一年待ったのですから、どうかはっきりしていただきたい。
  64. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 ただいまはっきりその時期を申し上げることはできません。しかしたがら、これは先ほどから繰り返すように、私ども政府が電力料金を下げて困るということは一つもないのですから、下げたい。下げたいことはやまやまでありますが、しかしながら、先ほどから申し上げますように、下げたらこれが安定していくという見込みがつかないと困りますから、その見込みをつけたい。コストも金利も下りますが、今の電力料金というものは相当無理がおった。古い戦争前の安い貨幣価値時代の安いコストの設備をたくさん持っておりますから、それで今の電力料金を保っておられた。これからだんだん新しい設備を拡張するに従って、火力発電といえども電力料金は古い設備より高いのであります。それをまぜて行ってどれだけの計算ができるかということは実はめんどうで前途の見込みその他がありますが、政府としては決して下げないと申すのではない。けれども、今あなたがおっしゃるように、いつ下げるかと言われて、ここでいつ下げます。こういうお約束はできかねる、こう申しておるのであります。
  65. 小松幹

    小松委員 私先へ進まなければならぬけれども、ひっかかりがあるのです。あなたは選挙のときに電気料金を引き下げますと公約をした。それから一年以上待ったのです。そして三十年の三月の委員会においても、今税金の問題、金利の問題を考えているから、結論が出るまでもうしばらく待ってくれと言うので今日まで待ったけれども、まだ結論が出ない。待ってくれということだ。日取りをいつ幾日までとは言わないけれども、いつまでぐらいには電力料金の一つの結論が出るからとはっきり言明していただきたい。
  66. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 私はどうも記憶が悪いからどういうことを申したか忘れましたが、おっしゃるように電力料金を下げますと言ったことがあるかどうか記憶しません。実際今の日本の電力事情は、御承知と思うけれども、料金を下げるような事態にはないのです。だんだん需用がふえるに従ってどうしてもコストが高くなるというのが大体の趨勢なんです。幸いにして最近金利が下ってくる傾向がありますから、そのコスト高が幾らかそこで緩和されるのじゃないかという程度でありまして、下げられるような事態にはなかなかないのです。ですから今も下げることは希望いたしますが、いつからこれが下げられるか、まず現在の料金を安定させるというところが今のところでは精一ぱいな感じがしておるようなわけであります。
  67. 小松幹

    小松委員 あなたはまだやはり原価計算主義をおとりになりますか、原価計算主義というものを捨てないのですか、それをちょっと伺いたい。
  68. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 大体ただいままで原価計算主義で参っておりますから、これを今変えるというつもりはございません。
  69. 小松幹

    小松委員 原価計算の論拠に立つならば、やはり電気料金な引き下げるという線に落ちついてくるわけです。これは当然の結論だと私は思うのであります。この点あなたがはっきりしませんから、これ以上下げろ、下げないと言ってもしかたがないが、事業界の方でも、大口電力を使っておるところでも、ことしの需給のバランスなどから見ても電力料金を下げろと言っておる。しかも先般名古屋であった電力会社の会合でも、やはり電力が余って仕方がないと言っているのです。そういう事情から考えましたときに、ほんとうたらば原価計算主義というものは開発が進んでいけば上っていく、こういう見込みもあるわけなんです。しかしながら資本の投下利潤の場合から考えて、あるいは最近のそうした技術的な問題から、下げられるという見込みを持ったから下げなさい、こう言っておる。だから私は下げていただきたいと思うのです。  さらにもう一つだけ最後に開いておきたいのは、いわゆる電力再々編成の問題です。このままでいけば私は再々編成が来なければならぬと思う。現在電力会社と開発会社があり、しかも今度はまた原子力開発の公社か公団かその間のものができるということで、電力を供給するものと開発するものとの混線が来ておるのです。その例をとれば、今度富山県の黒部川の開発で開発会社と電力会社が経営案をもって対立しておる。開発会社はおれが開発するという意気込みで手を出す、電力会社も手を出すということで両方から手を出しておる。そしてにらみっこをしておるのがあの黒部川の発電です。これが佐久問ダムを作ったあとの開発のにらみっこたんです。今開発は二手でやらしておりますが、元の日発のように一本でやらせるか、あるいは今のままでいくか、あるいは送電、いわゆる需給のバランスを合せるために地域的に集めるか、何か再々編成をしなければ、今後は出たとこで突き当ってくると思う。これは佐久間ダムの完成に伴うた電力の配分を見てもわかる。東京電力と中部の電力会社が互いに佐久間ダムの電力を取り合いっこして、その割合をきめるのにずいぶん難儀しておることは、あなた自身知っておると思う。そこで電力再々編成の問題についてあなたの所論を聞きたい。
  70. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 いわゆる再々編成ということについてはいろいろ議論がありますが、今私としてはきめておりません。  今黒部川のお話がありましたが、開発会社はあれをやるという考えを持っておらぬようであります。あれはただ技術上二つの開発を連絡する方がもっと有効であるからという案を、開発会社が参考として出しておるにすぎないのであります。  それから佐久間の電力の配分について、東京と名古屋の方面といろいろ折衝があったことは事実であります。これも話が片づきました。それで別段差しつかえはないと考えております。
  71. 重政誠之

    重政委員長代理 小松君に申し上げます。お約東の時間をよほど経過いたしましたから、もうその辺で一つ質問をおやめ願いたいと思います。
  72. 小松幹

    小松委員 それではもう一つでやめましょう。
  73. 重政誠之

    重政委員長代理 それではもう一問だけ……。
  74. 小松幹

    小松委員 最後に、いわゆる原子力開発と、大型ダムの建設、開発、今までのいわゆる九電力会社に所属しておるところとが、重なり合うところが出てくるわけですね。そうした面で将来必ず行き詰まると私は思うのです。なぜかというと仕事がなくなるのです。ダムを作るのでももう場所がなくたる。そうすると電力会社もウの目タカの目で何とかしようとするし、開発会社も消えてなくなるかどうかしなければしようがなくなるときがくる。そこに開発会社を融通会社にしていくかどうかという問題が起ってくると思うのです。そこで今後の電源開発会社の運営、仕事というものに対する見通しと、それから原子力発電の見通し、どう組織的にやるかということについて、御所見を承わりたい。
  75. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 原子力発電の問題は、せっかく今研究をされて、これからの問題であります。しかしたがらこれはすぐ当面の問題ではございませんので、もう少しゆっくり研究をする必要がある。むろん原子力発電が経済的に発電されるようになれば、漸次今までの電気の姿が変るでしょう。しかしそうかといって今のダム式の水力電源の開発をすぐにやめるべきものではない。これはこれとして、やはり現在計画しておるような発電計画はやるべきものと考えております。これはただ電力を発生するというだけでなく、治山治水の上にも大いに関係のあることでありますから、ぜひやっていきたい。それで電源開発会社の方は、お話のように、もし電源開発会社の手をわずらわす必要がなくなれば、そのときにあの会社は処理すべきものであります。やることがないのに永久に置くということは考えられてないものと思います。
  76. 重政誠之

    重政委員長代理 井手以誠君。   〔小松委員「最後に、あなたはこういうことをおっしゃられた、再々編成はしないで現状のままでいく、開発会社は……。」と呼ぶ〕
  77. 重政誠之

    重政委員長代理 発言を許しておりません。井手以誠君。
  78. 井手以誠

    ○井手委員 私は経済自立五ヵ年計画、地方財政財政投融資の三点について、関係大臣並びに長官にお尋ねをいたしたいと思います。  まず本年度予算編成の土台になりました経済自立五カ年計画、すなわち鳩山内閣の一枚看板である五カ年計画について、経済企画庁の長官にお尋ねをいたします。五ヵ年計画の達成に必要な一般会計の規模及び内容を先般発表されたようでございますが、三十一年度から三十五年度まで計画達成に要する社会構成、公共事業、地方財政などの項目別の金額とその歳入規模の総額を承わりたいのであります。
  79. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 二十九年を起点といたしまして、昭和三十五年を目標といたしまして、第一次産業と第二次産業それと第三次、こういうふうに分けまして、この生産の目標をきめておるわけでありますが、それに要しまする第一年度の費用といたしまして、三十一年度といたしまして、まずお尋ねの公共事業について申しますと、これは三十年度よりも十六億円ふやしておるのでありまして、三十年度は千二百五十五億、こうたっておりますから、三十一年度は千二百七十一億、こういう工合に十六億ふやしておるわけであります。これは六ヵ年計画、つまり今度の五ヵ年計画から申しますと、三六%ふやしておる、こういう規模から申しますと、いかにも小さそうでございますけれども、これは初め発表いたしました通りに、初めの三年間は、つまり今度の二年間は、地固めの時期でありますから、予算の関係上、できるだけ固めるという方針でありますから、これはあとの三年において増加していきたい、こう考えております。それからお尋ねの災害復旧の方で申しますと、これは割合減っております。これは三十一年度は三十年度に比べて減っておりますけれども、これは御承知のように、三十年度は災害がなかったわけでありますから、そういうふうに相なっております。
  80. 井手以誠

    ○井手委員 長官は、時間の関係もありますので、よく質問の要旨をお聞き取り願って、簡単に金額だけお答え願いたいと存じます。私が承わりましたのは、三十一年度から五カ年間に一般会計における経済自立の費用一般会計の規模及び内容について私は承わったのであります。五ヵ年間における歳入規模の総額これをお答え願いたい。
  81. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 五ヵ年間の総額の御質問でございますが、これはまだはっきり立てておりません。
  82. 井手以誠

    ○井手委員 長官これはどこでお出しになったのですか。――長官これはどこでお出しになったのです。
  83. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 内容の数字につきましては、政府委員からお答えいたさせます。
  84. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 お答え申し上げます。三十一年から三十五年までの歳入規模の総額は経済自立五ヵ年計画という資料の付表に出ておりますが、五兆六千六百億円という数字になっております。
  85. 井手以誠

    ○井手委員 五兆六千六百億円の年度割がわかっておりますれば年度割をお聞かせ願いたい。長官に御注意申し上げますが、この予算編成の土台になっておる経済自立五ヵ年計画、この総額くらいは一つ御記憶願いたいと思います。
  86. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま御質問の要旨が私はよくのみ込めなくてはなはだ申訳ありません。内容につきましては政府委員から御説明申し上げます。
  87. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 お答え申し上げます。五カ年計画につきましては、毎年の年度割は作成しておりません。三十一年度だけは先般発表いたしました三十一年度計画ができておりますのですが、その他の年については年度割を作成してございません。
  88. 井手以誠

    ○井手委員 長官に重ねてお尋ねをいたしますが、五兆六千六百億円という総額はわかっておりながら、年度割がわからぬはずはたいと思う。あなたはよく特価の横ばいを強調されておりますが、それを信用するといたしましても、五ヵ年計画を一ヵ年に当てますならば、歳入規模は一兆一千三百二十億円になるはずであります。一兆一千三百二十億円の予算を今後五ヵ年間組またくては、ここに掲げられてある経済五ヵ年計画は達成できないのであります。これは御承知でしょう、その点はどうです。
  89. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 詳細のことは政府委員からお答えいたします。
  90. 井手以誠

    ○井手委員 私は政府委員に聞いておりません。私は長官に聞いております。わからぬならわからぬでよろしい。(「数字を聞いているのじゃない、政策を聞いているのだ」と呼ぶ者あり)
  91. 重政誠之

    重政委員長代理 一応政府委員数字を聞かれたらどうかと思いますがね。
  92. 井手以誠

    ○井手委員 私は政府委員から聞きません。そこで五ヵ年計画に盛られておる「その他」の項についてお尋ねをいたします。「その他」の項には、五ヵ年間に要する費用二兆二千三百三十五億円の中には防衛費が入っておるはずであります。その防衛費は幾らになっておるかお示しを願いたい。
  93. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 大体の防衛費というものは国民所得に応じましてこれをきめていきたい考えでありまして、国民所得の二・三%限度ということで思っておるわけです。
  94. 井手以誠

    ○井手委員 あなたのパーセンテージはもう聞きあいております。私は所得を聞いておるのではなくして、この五ヵ年計画に発表されておる「その他」の項目にあるはずの防衛費は幾らになっておるかということをお尋ねしておるのであります。金額がなくては合計は出ないはずであります。これをお示し願いたい。
  95. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 今お答え申し上げました通りに、国民所得というものを基礎に置いてすべての計画は立てておるわけたのでありますが、大体二・二%ということを限度に置いております。
  96. 井手以誠

    ○井手委員 私は二・二%を聞いておるのではありません。これは先般来よくあなたから承わっております。その二・二%に当る数字の積算は幾らでございますか。
  97. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 数字にわたりますから、事務当局からお答え申し上げます。
  98. 大來佐武郎

    ○大來政府委員 お答え申し上げます。五年計画におきましては、五年間の財政総額を出しておりまして、防衛関係費は賠償その他の対外の債務と一緒にして出しております。それを防衛費を別にいたしますと、対外的な関係もございますので、数字を分けて出しておりません。
  99. 井手以誠

    ○井手委員 どうしても二兆二千三百三十五億の基礎になっておる防衛の数字をお示しになりませんね。それならよろしゅうございます。そこで政府が非常に強調されておる五カ年計画の達成、経済の自立と雇用の拡大というこの二大目標に向って編成された三十一年度の予算、普通の常識で参りますならば、当然本年度の一兆一千三百二十億でなければならぬはずであります。もし良心的に誠実に五カ年計画を達成なさろうとする熱意があるならば、当然一兆一千三百二十億にならなければならないのです。それでは五カ年計画に基いてこの三十一年度の予算案にはどのくらい盛られておりますか。その点を長官にお尋ねいたします。
  100. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。三十一年度は五ヵ年計画達成に対する初めての年であります。六カ年計画から申し上げますと二年目であります。従いましてこの予算はできるだけ緊縮方式をとっていきたいという立場から今回の三十一年度の予算は組まれておるわけであります。
  101. 井手以誠

    ○井手委員 経済六ヵ年計画を作って、初年でやれなかったからあらためて五カ年計画を作られた。その五カ年計画の初年度に当ってもほとんどあなたの計画は盛られていない。いつまで地固めすればいいのですか。これはあなたの方で出された資料でございますが、それによりますと、五ヵ年計画達成に要する三十一年度の費用として、しいてこれを求めますならば、原子力や試験研究などの科学技術の振興に三十億円、これが最高、あと工業用水道一億八千万円、輸出振興に一億円、生産性向上に七千五百万円、このくらいではございませんか。このくらいの三十億か四十億の金でどうして地固めができますか。三十一年度の予算が前年度よりも四百三十四億円増加しておる。しかしそのほとんどは防衛費と地方財政の赤字対策に向けられておる事実によってもこれが明らかであります。  そこで大蔵大臣にお尋ねいたします。経済の自立と拡大のために、一般会計で最も多くの費用を要する公共事業費が、前年よりも減っておる事実は、これをお認めでございますか、事実かどうか、それだけでよろしゅうございます。
  102. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 若干災害関係等から減っておるかと思っております。
  103. 井手以誠

    ○井手委員 経済企画庁の長官にお尋ねいたします。五ヵ年計画によります食糧増産の目標、増産量に幾らでありますか。
  104. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 食糧増産の方は現在の輸入を増加したいということの目標を立てまして、石換算千五百万石を増産の目標といたしております。
  105. 井手以誠

    ○井手委員 その千五百万石の増産目標に対して、今年は一体幾ら組んだのですか。二百四十億円の増産対策費では八十数万石しか増産できないのであります。御承知のように、農地の改廃だけで毎年百万石近くが減収になっておる。人口増によって百万石増産しなければならぬ、そういう減収分を考えますと、この二百数十億円くらいの費用で、どうして千五百万石も増産できますか。むしろマイナスではありませんか。その点いかがでございますか。
  106. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 増産計画におきましても、これは三十年度よりも幾らかふえておるわけであります。それでできるだけ、これを有効に使いまして、それで耕種の改善とか、耕地を作るということになれば、非常にたくさんな金が要りますから、その方につきましては幾らか節約をいたしておりますが、できるだけ有効適切に使うようにいたしまして、当初の目的を達成するようにいきたいと考えております。
  107. 井手以誠

    ○井手委員 いかにおっしゃっても、友愛精神やあるいは努力だけでは増産できるものではございません。農村のことはおわかりにならぬかもしれませんが、二百数十億の増産対策費では決して増産はできないのであります。長官は本会議における経済演説において、五ヵ年計画は着実に達成いたす所存でございますと述べられておる。今のような御答弁で着実ですか。ただいままでの私の質問、また大臣や長官の答弁で鳩山内閣の一枚看板である経済六ヵ年計画そのものの経費が、初年度予算にほとんど組まれていないことがはっきりいたしたのであります。あなたの方では計画の達成には総合的施策が必要であるとお考えになっておられるかもしれませんが、何といっても施策の中心は国の一般会計であります。いかにあなたが、政府が経済の自立と雇用の拡大をおっしゃっても、これはから念仏であります。  そこで私は続いて今後の見通しをお尋ねいたしたいのであります。かりに長官の今言われたように五年後に達成したいというこの期待、これを期待するといたしましても、五ヵ年計画の初年度三十一年度予算にはほとんど無視されておる。そういたしますと、社会、厚生、文教あるいは公共事業という、五カ年計画達成の基盤となる、こういった費用が、後年度にしわ寄せにたることはもう事実であります。明後年度以降においてはこの点に重点が置かれなければならぬはずであります。ところが防衛費は漸増計画――先般共同声明が発せられた防衛支出金の一般方式と申しますか、それによって毎年莫大な金額がふえて参るでありましょう。また政府が急いでおられる賠償問題についても、交渉の妥結に伴って、毎年数百億円に上るようにたって参るでありましょう。このように義務的な支出――私どもはまた違うけれども、あなた方の義務的支出というものを考えて参りますと、かりに一兆一千三百二十億円の予算を組むといたしまして、経済自立に必要な経費を組むことは困難にたるであろうと私は考えております。本年度と同様一兆四、五百億円の予算でありますならば、あなたが考えておられる経済自立に要する費用というものは、むしろ減ってくるではございませんか。その点についての長官の将来に対する見通し、確信をこの際お聞かせ願いたいと存じます。
  108. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済自立ないたしますにつきましては、三十年度の予算に比して三十一年度は、今のお話によれば、ほとんど盛り込まれていないという御意見でありますが、そうではございませんで、昨年六ヵ年計画を立てましたときに申し上げました通り、本年の五ヵ年計画も同様、日本の経済を自立させるためには、どうしても輸出を振興しなければならぬ。そうしたければ自立はできないというのが根幹でございまして、その意味から、一年問の成績によって――輸出は増進しておっても、なお外貨の状態が悪いから輸出の振興にやはり重点を地いていかなければならないというので、輸出の振興につきましても、相当な予算組んでおります。  また失業対策につきましては、相当の失業者が出るから、これに対しては臨時失業対策というもののほかに、建設方面にもできるだけ予算を組みまして、その方面に失業者を吸収するという政策も講じておるというようなことで、三十一年度は輸出の振興、産業基盤の拡大、失業者の吸収ということに重点な置いて予算を組んでおるわけであります。  将来の五ヵ年間における計画も、その基準におきまして、年々一年間の成績かを見まして、最近における情勢を判断いたしまして、それに積み上げ式でもって翌年度の予算を組んでいきたい。その目的はどこにおるかといえば、三十五年度の予算におきましては、輸出を二十六億六千万ドルというものにおいておるわけであります。国民所得も、数字に書いてあります通りに、その程度で進んでいこう、こうやっておりまして、これに配するに、総合的に見まして国防といいましょうか防衛といいますか、これにつきましては大体過去の実績から見て、二・二%くらいで押えていきたい、こういう趣旨は貫徹していきたいという所存でございます。
  109. 井手以誠

    ○井手委員 輸出の振興については、これは別途のことでございます。それは承知いたしております。私がずっとお尋ねしておりますのは、一般会計の問題であります。いろいろな総合施策が必要でございましよう。しかし何といっても先刻申しますように、施策の中心になるのは一般会計であります。その一般会計に五ヵ年計画を達成するに必要な経費が組んでないと私は思う。必要であるからあなたの方では五兆六千六百億円の金額を載せておるのじゃありませんか。必要でないならば載せる必要はありません。輸出の振興とおっしゃいますが、ふえたのは一億円にすぎない。食糧増産だって同額ではございませんか。公共事業費は減っておる。そういたしますと、どうもただいまの御答弁によれば、三十二年度もやはり輸出をうんと増進して国民所得を拡大していきたい、こういうようなことに尽きておるようであります。そうすれば昭和三十二年度以降においても、一般会計予算は組まんでも輸出その他の努力によって、五ヵ年計画を達成しようというお考えのようでございますが、いかがでございます
  110. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。もちろんことしにおける経済の情勢等を勘案いたしまして、国力の増進について予算は当然あるいは伸び、あるいは縮まなければならぬということは考えていかなければならぬと思いますが、国力がふえて輸出も振興でき、すべての経済が安定するということになれば――インフレーションを起すということが一番おそろしいわけでありますから、インフレーションを防いでそれだけのことができるという見込みが立ちますれば、当然一般会計予算増加していくものと思います。
  111. 井手以誠

    ○井手委員 それではあなたの方でたくさんの人を動員して作った経済自立五ヵ年計画というものは、どうでもいいようなものですね。もし真に五カ年計画を達成しようという心がまえがおありならば、これに要する費用は当然一般会計に組まなければならぬと思うのです。一体五兆六千六百億という経費はいつお組みになるおつもりですか。三十五年度に組むつもりですか、三十六年度に組むつもりですか。
  112. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 それは年々しり上りをしてくるのでありまして、昨年に比較いたしまして本年もふえておると同様に、その成績のいかんによって増加していくわけであります。
  113. 井手以誠

    ○井手委員 長官、国民所得の増大というものもやはり国の予算の組み方いかんによってきまるのであります。先刻も申しましたが、三十一年度の予算案でふえておるのはおもなものは防衛費と地方財政費用だけではございませんか。しかも、先刻も申しますように、三十二年度以降も防衛費はますますふえていくでありましょう。三百億になるか五百億になるか知りませんが、毎年ふえていくでありましょう。これは本会議でもこの委員会でもしばしば外務大臣その他から申された通りであります。一方賠償関係の費用も今後ふえていくことは必至であります。かように考えて参りますと、五年後に一体五ヵ年計画達成に必要な経費が組まれますか。今年も組めない。来年も組めない。三十五年度までとうとう組めなくなるのではございませんか。
  114. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 大体予算というものは、戦争前におきましては国民所得の一五・一%というふうなことになっておると存じます。それで今年度は種々の惰勢からいたしまして――一番おそれておりますのは、この経費がふえるに従ってインフレーションが起るというようなことから、昨年と同様にできるだけ緊縮方針をとったわけでありますから、大体一四%強になっておると存じますが、これはこのままで押えるというものではない。経済の安定、通貨の安定、インフレーションが出ないという見込みがつきましたときに――初めこの計画におきましては、三年間は地固めであって、あとの三年に力を注ぎたいと思っておったわけでありますから、当然全体の予算もふえて参ります。従いまして、一方におきましては、国防の方にばかり使うじゃないかという御心配でありますけれども、これもできるだけ押えて参りまして二・二%というふうにいたしたいと考えております。
  115. 井手以誠

    ○井手委員 長官、この程度にしておきましょう。もうわかりました。今年も組めなかった、今後も見込みがないことがはっきりいたしました。大事な五ヵ年計画に対して法律案の裏づけもたい、経費も組まれていない。全くこれは作文です。私はあえてここで経済自立五ヵ年計画という大きな看板に対して、あなたの政治的責任を問おうとは思いません。しかし国民に対して、鳩山内閣は経済自立五ヵ年計画を達成し、雇用を拡大すると言ったことに対して、これができないということになれば、国民を欺瞞するものであります。長官はこの際五ヵ年計画の看板をおろす良心がおありになるかお尋ねいたします。
  116. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ますます君を掲げまして、国民に対してわれわれの考えが正しいかいなかということを訴えたいと考えております。
  117. 井手以誠

    ○井手委員 そういう御答弁に対して、私はさらに追及をしたいようでもありますが、もうお苦しいでしょうから、この辺でやめておきます。  次に三十一年度予算編成の中心課題ともなりました地方財政について、一萬田大蔵大臣と自治庁長官にお尋ねいたします。質問する前に長官にお願いいたしたいのですが、長官の御答弁はいつも親切過ぎるようでございますので、簡潔にお願いしたいと思います。鳩山総理は去る一月三十日の施政演説に当って、公債費の合理化、自主財源の充実などによって、地方財政の健全化をはかり、赤字の発生をみないための根本的対策を書いたと述べられておるのであります。大蔵大臣財政演説において、あとうる限りの改善のための施策を講ずることにいたしたい、かように言明をたさるし、去る本委員会においても根本的立て直しを行なったと力説されました。そこでお尋ねいたしますが、一昨日発表された地方財政計画によりますと、交付税の三%引き上げ、自主財源では三公社などに対する固定資産課税、都市計画税の創設など、行政機構の合理化では教育委員会の公選制の廃止、公債費の合理化では八十億円の借りかえ、その他若干の補助率の引き上げなどが行われておるのであります。そこで政府は公約通り、この地方財政計画によって、赤字に悩む地方財政の根本的立て直しが、この対策によって一応解決したとお考えになっておりますか。念のために大蔵大臣にお伺いいたします。
  118. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 地方財政につきましては、今日において私といたしましては、なし得る限りの措置を講じたのでありますが、しかしやはり行政機構というところまでの改革、さらにまた税制について国及び地方を通じての根本的な改革、この二つを根本的にやらないとほんとうに根本的には――根本的という意味はいろいろありますが、非常にむずかしいというふうに感じておるのであります。従いまして、今回の措置をもって、率直に申し上げまして、もうこれでよろしいのだというのではありません。ただ公約いたしましたように、三十一年度以降においては、赤字が出ない、それについては十分な措置を講ずる、そういう考えなのであります。従いましてこれについて、具体的にはすでにこの前にも御答弁申しましたように、歳出ではいろいろな行政機構その他の簡素化、合理化、それから地方に財源をいろいろと与える。従来なかなかできなかったことも今回実施しまして、財源も充実をいたし、さらにまたこれも従来やるべきことであったかもしれませんが、なかなかやれなかった。たとえば市町村の補助率の引き上げ、適正合理化あるいは単価の引き上げ、こういうこともやりました。そして地方の財政負担の軽減をはかる。さらにそういうふうにしてもなおかつ――その他税については私が思うようにもいかなかったことを率直に申し述べますが、税の偏在の是正、これもわずかではありますが、しかしできるだけのことをしたい、これでなお足らぬというので交付税を二五%に引き上げた。さらに従来の基本的な考え方としては、私が満足しなかった点は、富裕県の方は財源が多いが、貧乏な地方公共団体には起債でもっていくというような方法があった。これはすでに間違っておるのであります。貧乏県にはなるべく財源を与えて、富裕県の方は起債でやっても収支償うことが争いから、地方債については、先般自治庁長官からもお話がありましたが、たとえば三十一年度は三十年度に比べて、普通事業債を三十年度七百六十億から五百七十五億にし、そのかわり公営企業において三十年度二百七十四億が三百六十五億になっておる。こういうふうにしまして、地方債のあり方について、考え方としては基本的な方向をかえたというふうにも考いておるのであります。こういう面からできるだけの措置考えております。
  119. 井手以誠

    ○井手委員 大臣に重ねてお尋ねいたしますが、ただいまこの措置によって赤字だけは出ないようにしたとおっしゃったようでありますが、今後今の措置で大丈夫赤字は出ませんね。その点お尋ねいたします。
  120. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 運営の適切を得ますれば出ません。
  121. 井手以誠

    ○井手委員 運営のいかんにかかわらず足りないものは足りないのであります。さらにお尋ね申し上げますが、財政懇談会に提出されました予算資料によりますれば、大蔵省みずから三十一年度は既定財政規模の不適正は一切考えないで、百八十九億円の不足、それに給与費の是正三百二十億円、その他経済六カ年計画の遂行による社会保障、公共事業費の増加額、地方税収入の自然増減等を考慮に入れない場合において経常財源は約七百億円前後の不足を生ずる。年を追ってその差額はさらに拡大すると述べております。さらに公債費の増高などによって昭和三十五年度には約千二百億円の赤字が出ることをこの資料に認められておるのであります。今回措置された五百三十億の歳入増加計画、これとはどちらが正しいのでございますか。五百三十億円の歳入増加で大丈夫赤字が出ないのでございますか。その点なお尋ねいたします。
  122. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 ただいまお示しがございました計数は、新年度の予算の編成に着手する前に、当時わかっておりました現状を基礎にして三十一年度以降を推測すればどうなるかということを検討いたしました結果の資料でございまして、その後三十一年度の予算の内容も固まって参りますに伴いまして、それによって事業量その他がわかって、その他税の面につきましても、国の税と同じような傾向の徴税等につきましても、自然増収の増高が判明していったわけでございまして、そういった、主としては税の自然増収の見方の問題でございますが、当初七百億くらいと考えておりましたことが、予算編成時におきましては五百数十億の幅に縮小されて参ったわけでございまして、それに対して今回の対策が講ぜられた、さように御了承いただきたいと思うのでございます。
  123. 井手以誠

    ○井手委員 せっかくの御答弁でございますが、赤字の地方公共団体が二、三ヵ月の間にそう金もうけしたとは私は考えないのであります。そこで私は問題は公債費にあろうかと存ずるのであります。大蔵省自身の指摘されておるように、公債費の問題、これを抜本的に解決せずしては赤字対策はあり得ないと私は考えます。政府はわずか八十億円の借りかえで解決するようになさっておりますが、同じく大蔵省の資料によりますれば、公債費が三十年度は五百十一億円、三十一年度は六百三十二億円、三十二年度からは元金の償還が利子額を越えまして七百五十二億円、すなわち来年度からは地方債の発行額とほぼ同額となるのであります。公債償還がほぼ同額となるのであります。借金を返すために借金するのと同じであります。先日自治庁長官は今後地方債はたるべく抑えて六百億程度にとどめたいという御答弁がございましたが、今後も依然としてそういう公債政策を続けて参りますたらば、現在の公債の未償還額四千七百億円、これが昭和四十年度には九千億近くと相なるでありましょう。そして毎年その元利償還には交付税額に近い千五百億円にも達するでありましょう、私はこの公債の問題を解決しなくてはならぬと思うのです。どうしてこの問題について解決のメスな振わなかったか。自治庁長官は、昨日ですか、地方行政委員会においてその計画の説明に当ってこういうことを申された。従来問題とされていたいわゆる既定財政規模是正の問題はほぼ解決を見たものと考え、最近の地方財政は一段と健全化への努力を重ねて再建の実は日に月に上りつつあると、楽観論を述べられた。これほどの公債費の圧迫、これについてどういう御所見を持っておられるか、これは大臣と長官にお尋ねをいたしたいと思います。
  124. 太田正孝

    ○太田国務大臣 お答え申し上げます。簡単にということでございましたが、先ほど大蔵大臣の言われたことを、私は地方自治を預り、関係いたします立場から、私としてもうちょっと申し上げたいことがございます。お言葉通り、本年度の予算が、中心課題として地方財政をとった、赤字を出さたい、この二つの往ですが、それにつながっておるもっと基本的な問題は、国の財政とのつながりでございます。私は確信いたしますが、地方財政に関する限り、根本的な問題はこの大きな三つの線、健全財政、地方の赤字を出さぬ立場、中心課題として地方財政を取り扱うのだという三つの問題の立場からいたしまして、でき得る根本的対策はほとんど取り上げたと思うのでございます。一々は申し上げませんが、簡単にということでございますから、先ほどお言葉にありました税の問題、自主財源の問題、あるいは補助費の減額の問題、あるいは停年制の問題等がそれでございます。長年の間問題とされて、実行されざるものに手を加えたという意味において、私は自信を持って根本的策と思います。しかしながら国の健全財政と地方財政とのかかり合いということを考えなければ、国家財政の建前からも地方財政の立場からもいけないのでございます。その意味におきまして、交付税の問題が取り上げられることは御指摘の通りでございます。国の財政の限界におきまして、地方財政に出し得る額としては、やはり根本的な立場においての支出であると私は信じます。もちろん私といたしましては、すぐあとで述べる公債関係からいたしまして、もうちょっと欲しいのでございますが、健全財政の線と地方の要求とどこにおいて折り合うかというところにおいて、今回の五%というところに落ちついたのでございます。もちろん地方財政としては不満でございます。もちろん不十分でございますが、国家財政が健全財政をとる限りにおいては、この限界であると私は思います。なぜ不十分であるかといえば、今申しました公債の問題が、御指摘の通り起って参ります。公債の総額が争いということ、おっしゃる通りでございます。その数字通りでございます。しかしてこの公債を処理するのには、この健全財政のもとにおいてどれだけに地方公債の限界を定めていくか。今大蔵大臣の言われた通り、本年七百十五億になっております。七十五億減らしたのでございます。しかして今御指摘になりました通り、三十二年以降六百億円を限界としていくというところに、将来の現在ある四千七百億円にあたる公債を減らしていく漸減方式をとっておるのでございます。今までの財政のやり方あるいは地方財政のやり方についての問題は、私の批評する限りでございませんが、今出ておる四千七百億円の公債を消化するということには、何としても第一にふえないようにしたければならぬ。その第一歩を今回開いたのでございます。さらに負担の問題になりますと、お言葉のように、元金と利子と今のところ大体半々でございますが、それがふえる場合、片寄る場合もあると思います。しかしながらこの点につきましては、国家財政金融方面とのからみ合いにおきまして、利子逓減の方策をとっておりますのと、地方公募債につきまして、利子を減額する、あるいは償還期限を延ばす等の策を続けておることは、御案内の通りでございます。  しからばかようにして公債政策をやっていく場合に一番大きな問題は何であるかというと、御指摘の八十億円を借りかえにするということは、ただ将来に延ばすだけのことでございまして、一番大きい問題は、利子の補給の問題でございます。利子の補給について、私の立場からしてはもっと国家財政から出してもらいたい、こういう考えをもって要求したのでございます。国家財政が健全財政をとり、これ以上いかれないという限界に達しましたので、今回この目的が達せられなかったのでございます。問題が残っていると大蔵大臣も言い、私の申しますのは、税につきましても、一般的な大きな問題は手を触れぬものがあります。公債についても残った問題であります。全部片づいたとは申しませんが、大体におきまして、根本的改革を幾多加えた上に、国の健全財政と地方財政とのからみ合において最大限のところまでいっている、かように申し上げる考えでございます。
  125. 井手以誠

    ○井手委員 自治庁長官が最大の努力を払われたことについては、私もこれを認めます。敬意を表します。しかし今も御答弁にありましたように、公債費の問題は依然として残っている。今赤字は出ないと大臣はおっしゃいましたけれども、公債費の関係だけで今後百五十億円は必ず赤字が出てくるはずであります。それでもなお大臣は赤字が出ないとおっしゃいますか、この点は大蔵大臣からお伺いいたします。
  126. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この公債費の問題は、何としても新規の起債が累増していくという点を、私は基本的に防ぐ以外にはたいと思います。それで三十一年度もできるだけ努力いたしまして、ほんとうを言うと、もう少し大幅に起債を減らす予定をしておったのですが、税の方がうまくいかぬ。これははなはだ微力でいたし方なかったのですが、思うようにいかなかったけれども、しかし去年に比べて起債はやはり減した。しかもその中で普通事業債は大幅に減しまして、公営事業の方に回して、なるべく償還ができる起債の方に持っていく。この努力は一つお認めを願いまして、三十二年度以降においてもそういう方針でいく。私が先ほどそういう点において、根本的ということにちゅうちょいたしますのは、その点にあるのであります。これはやはり行政機構というものの基本的な改革と、税というものについての国と地方とについて根本的に考えてみないと、どうも起債ということの根本的解消という対策にはならぬだろうという懸念を持ちましたから、私先ほど一応率直なところを申し上げたわけであります。
  127. 井手以誠

    ○井手委員 だいぶ努力はされておりますが、いくら弁解されましても、根本的な赤字対策ではないようであります。依然として赤字は出るのであります。そこで大蔵大臣や自治庁長官にお伺いいたしますが、この公債問題を根本的に解決するために、借りかえなどという姑息な手段ではなくして、公債を少くとも元金だけはこれをたた上げする、このくらいの勇気がなくては、解決策にはたらない。そしてまた地方自治が完全に運営されるためには、どうしても自主財源として一千百億に上るたばこの専売益金、これは地方に回すことが一番必要ではないかと私は思う。先般自治庁における座談会の記事を読んで参りましたが、もうこれ以上地方で取る税金はないとおっしゃっておる。こういうことを考えますと、思い切ってたばこの専売益金を地方に回すという措置をしなければならぬのではないかと思います。大蔵大臣は、非常に悩んでおられる。そんなに悩んでおられるなら、この際思い切って、公債費の元金をたな上げするか、あるいはたばこの専売益金を地方に回すか、それについての御勇気があるかどうか、この際お伺いしたいと存じます。
  128. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 地方財政を整えることの必要であり、また急を要することは、全く同感でありますが、またそれだからといって国の財政が乱れては、これはまたどうにもならないことであります。それで国と地方を通じてのそういう税の問題について、根本的に三十二年度の税制改革の場合に考える。今のところ、御質問のようたことをすぐ実行するという意思はありません。
  129. 井手以誠

    ○井手委員 御参考までに申し上げておきますが、今までの赤字整理、これは地方財政再建促進特別措置法一本にたよっておられるようであります。増税を首切りなどで強く地方に迫っておられることも事実であります。ところが赤字再建の実態はどうかと申しますと、佐賀や徳島など赤字のひどい府県は、にっちもさっちもいかないのであります。それらの再建計画によりますと、二十九年度に比べて事業を半分に減らす。県職員や学校教職員千名の首を切る。そうして行政機構を大幅に圧縮し、一方地方税を強化しても、なお公債費だけは残る。赤字になるのであります。四億になるか五億になるか、地方によって異たりましょうけれども、公債費だけは残っていくのであります。いかに無理算段しても、あの再建促進法では再建計画は立ちません。これは長官も御存じでございましょう。   〔重政委員長代理退席、委員長着席〕 この際政府は再建計画についても、この公債費に手をつけるために再検討をなさる御用意はございませんか。
  130. 太田正孝

    ○太田国務大臣 再建債の問題でございますが、二十九年度までの借金の赤字をたな上げする、こういう意味でできた法案であり、昨年の暮れに法令全体の公布を終りまして、本年になりまして、手続も済まし、また地方にこれをよく説いておるわけでございますが、ただいまこれは緒についただけでございまして、私の記憶では、二、三件しかまだお申し出がございません。おそらく今、井手委員の申されたことは、私も地方の苦しみもよく承知しております。ずいぶん世間で言うよりも強い整理をされておることも承知しております。しかし自治体というものの考え方が、よほどお互い国家の政治を考える場合に考えなければならぬ問題で、自治とは申すまでもたくみずから治めるので、金の上から言えば、独立性ということに近づかなければならぬのでございます。国家財政としてもうっちゃっておくわけではない。今まで国は不親切であったからこういう赤字が出たという議論も、世の中にはあるのでございますが、それも一面の真理と思います。しかしただいませっかく二十九年度までの赤字を整理するために、再建方式が出ておるのでございまして、この方式を推し進めていって、二十九年度までの赤字財政を処理していきたい、今これを進めておるまぎわでございますので、この際においてその大計画を変えていくという考えは、私は持っておりません。もちろん地方の自治体が苦しんでおるということは、重々承知いたしております。
  131. 井手以誠

    ○井手委員 二百九十何名の絶対多数をもってもなかなか根本的な解決はむずかしいようでございます。  私は地方財政についていろいろお尋ねしたいことはございますが、時間の都合もございますので、最後に御注意を申し上げておきたいと思いますことは、よくこの席で福祉国家を作るとか、あるいは地方自治は民主政治の基盤であるとか、いろいろ申されておる。公共事業にいたしましても、社会保障制度にいたしましても、国の施策を実際やっておるのは、府県や市町村でございます。国、地方を通ずる一兆六千億の金の中の一兆円は地方で使っておる。地方が固まらなくては、いかに政府が五ヵ年計画を強調されても、あるいは経済再建を強調されても、これは根元から土台がくずれていくのであります。地方は金使いが荒いなどとよく中央では言われておりますけれども、中央と地方は一体でなければならぬ。親子の関係でなければならぬ。もっとあたたかい気持で、自分の子のような気持で、今から財政政策にさらに御努力下されんことを御要望申し上げる次第であります。  最後に、財政の投融資について、主として大蔵大臣にお尋ねをいたします。大蔵省が財政懇談会に出された資料によりますと、戦後民間産業に対する政府資金は二十九年度に六千三百二十三億円、今日の貨幣価値に換算して七千八百六十四億円、これに三十年度の分を加えますと、おそらく九千億近くに達するでございましょう。すなわち零細な国民の金を政府にまとめて、莫大な金額を安い金利で大企業に回されておるのであります。もちろん戦後に経済復興にはその必要な私は否定するものではございません。しかし民間産業の一部には、自由放任によって設備がどんどん拡張され、それが過剰設備にたり、過剰生産にたる。今度はその整理のために合理化資金を貸し出されるという実態でございます。ばかげた話であります。私はこの財政投融資の問題についていろいろ意見もあります。聞きたいこともありますが、本日は時間もございません。また民間の資金の活用についてもいろいろお尋ねしたいけれども、後日に譲りまして、私は次の二、三点について大臣所見を承りたいのであります。  政府の力説されております通り、わが国の経済は復興の段階から拡大の段階に移っておるのであります。従っていつまでも大企業について今までの政策を続けていくわけには参りません。政府はどこまで財政資金を大企業に対してお世話たさるつもりであるか。民間資金においても同様であります。経済五カ年計画が達成せられるまで大企業の設備資金をお世話なさろうという御計画であるか、その点を伺いたいのであります。
  132. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。従来ともすると財政資金が主になりまして、いろいろに経済活動をやらしております。経済の正常化、金融の正常化というふうに経済一般が正常化するにつれて、財政資金の役割は、除々に、むしろ民問の経済活動を、資金供給の面において補完するようにすることが一つである。もう一つは、どうしても財政でやらなくてはならぬ面がある。これは特に仕事の性質から、あるいはまたコストの関係から、どうしてもこれによらなければならぬ。この二つの面を考えてやっていく。特に新しい、たとえば原子力とかいうような問題もありますが、従来財政資金で出しておるものを新しい面に振りかえていく、こういうことも考えていかねばならない。従いまして私は財政資金の投資する量が今後減るとは考えられませんが、そういうふうな考え方をもって、原資の許す範囲内において考えていきたい。大体において経済の正常化が拡大していくに間違いありませんから、財政投融資の役割は補完的にだんだんと移っていく、こういうふうに考えているわけであります。
  133. 井手以誠

    ○井手委員 ただいまの御答弁によれば、資金の許す限り、続く限りということでございましたが、私はこれまでが経済の再建には必要だという目安が必要であると思うのです。いつまででも資金があるから、原資があるからといって、補完的役割であっても、いつまでもお世話するわけにいかぬと思います。その点いかがですか。
  134. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 さようであります。いわゆる経済計画性を与えなくてはならぬという根本が、そこにあるのでございまして、政府においては五カ年計画、しかし付言しますれば、計画経済ではもちろんないのでございますから、一つ計画を立てた場合に、その計画達成を目標として努力をしなくてはならぬが、その計画をすぐ、たとえば五で割って、これが一ヵ年分だというふうには考えなくても、特に日本経済は国際経済に大きく依存して、国際情勢の変化に応じて、経済の要素が非常に変化する日本のような国においては、特にこういう点を弾力的に考えていかなければならぬと思います。
  135. 井手以誠

    ○井手委員 私はやはり目標を立てて、どこまでお世話すべきものか、いつまで続けるのかという見通しが必要であると考えておりますが、これ以上は追究いたしません。そこで政府の、莫大な国の犠牲において行なった財政投融資、それによる電力、造船などの設備資金というものは、大体大蔵省の資料によっても、自己資金と財政資金は半々になっているようです。いわば半官半民のような実態たんです。先刻も小松委員から指摘されたのでありますが、この手厚い国の保護によって再建された産業のうちの電力や造船、鉄鋼などが莫大な利益を上げている。安い金利で国からお世話を受けている会社が、一割二分の配当をしている。私はこれはあえて不法とは申しませんが、財政投融資の牲格から考えますと、国民の金である、国の金であるということを考えますならば、また最近の金利の低下から考えますならば、私は配当について抑制すべきではないかと思うのです。法には合うかもしれませんが、六分五厘かで借りて一割二分の配当をしている。これはやはり考うべきことであると思う。あるいはまたその措置がやりにくいということであるならば、バナナやパイナップルのカン詰みたいに、特別利益の徴収吸い上げということもあるでありましょう。私はそういう面についても再検討の段階にあると思うのですが、いかがでございますか。
  136. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 従来今御指摘のような産業に国家資金等を出しましたのも、これは国の産業の基幹になるもので、これらのものの生産コストの低下が大体においてすべての産業のコスト低下に役立つというような見地もあったのであります。しかしお説の通りでありまして、今日のような金利で、今後さらに金利の低下の予想される、今お話の造船、電力あるいは製鉄というような方面の資金は、徐々に民間に移っていくということは、当然そうあるべきだと思っております。
  137. 井手以誠

    ○井手委員 そうあるべきだというお答えでございますが、少くとも配当を預金利子程度まで押えるとか、あるいは特別に徴収するとか、そういった具体的な案について御研究なさる御用意がございますか。
  138. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 国家の特別の庇護を受けているとか、財政資金を使っているとかいうような会社の配当について、国としてこれの規制をいたすことは当然であると思います。しかし配当一般について民間に徐々にいくというような場合において、民間にいった場合においては、全体の一っの産業政策として配当というものについてどういうふうになるか、自然にきまってくると思います。
  139. 井手以誠

    ○井手委員 あと一、二問で終ります。財政資金の中の見返り資金を借りた基幹産業は、非常に好況で利益を得ておる。借入金もどんどん返済しているということが、新聞にも報道されております。この見返り資金などの回収金ですか、これを自己資金として全額運用されておりますが、これを一部留保されるお考えはないかということを承わりたいのであります。なぜならば、私どもは、伝えられておりますアメリカの援助物資、対米債務については多くの意見を持っております。しかしこれを債務といわれている政府においては、近い将来に備えなければならぬであろうと考えるのであります。一般会計から対日援助物資の支払いをするわけには参りません。当然国民に売り渡された代金を貸している重要産業の回収金をもって対米債務に充つべきだと考えるのであります。そのためには見返り資金などの回収金の一部を、今日から留保して積み立てていくというお考えはありませんか。
  140. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 具体的な点については政府委員から答弁させますが、私の承知した限りでは、これはそれぞれ償還計画がありまして年次別にして償還をされている、かように考えております。
  141. 井手以誠

    ○井手委員 償還計画は、私は承知しております。償還されたものを近い将来の対米債務のために蓄積していくという必要がありはせぬかと申し上げておるのであります。私どもは、これについてはいろいろな意見を持っておりますが、少くとも保守党の政府にとっては、今日からそれに対して用意が必要であると考えております。アメリカの援助物資ですよ。これを国民に売り渡したその代金をもって見返り資金は重要産業に運用されている。その回収金なのでございます。
  142. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまのところ私の承知している限りでは、これは償還計画に基いて返金させて、新しく必要な方面、産業に使っている、こういうことにたっておりますが、要するに問題は、アメリカに返す場合のその金は、ためておいた方がいいじゃないかということであります。これはガリオアのことも具体的にたっておりませんが、今後この返済というようなこともはっきりきめまして十分御意見として考えます。
  143. 井手以誠

    ○井手委員 ただいまの点は保守党政府のために好意的に申し上げたのであります。  最後に簡単にお尋ねいたしますが、財政投融資の大きな原資である郵便貯金、三十年度は予算編成に当って無理に引き上げて千百億になっておる。しかし実際は八百億程度しかないはずであります。ところが三十一年度の計画によりますと重要な原資として九百九十億円見込まれておる。資金の確保のために、また大衆の貯金というようなことを考えますと、この際郵便貯金の利子を引き上げる必要はないかと思いますが、郵政大臣所見を承わりたいと存じます。
  144. 村上勇

    ○村上国務大臣 お答えいたします。この郵便貯金の金利問題は非常に重大なことでありまして、特に最近の金利情勢は低下の傾向をたどっておるように考えられますので、これらを慎重に検討いたしましてお答えをいたしたいと思います。
  145. 井手以誠

    ○井手委員 慎重はけっこうでありますが、あまり慎重で長引きますと財政投融資にことしのように穴があきますよ。この点は御注意を申し上げておきます。  私はこれをもって終ります。
  146. 三浦一雄

    三浦委員長 午後は二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十一分開議
  147. 三浦一雄

    三浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。滝井義高君。
  148. 滝井義高

    滝井委員 まず高碕さんにお尋ねしたいのですが、さいぜん井手委員から経済五ヵ年計画についていろいろ御質問がございました。きわめて大臣答弁は明確を欠いております。実はもうやってもしょうがないと思いますが、話を続ける上からまずやりたいと思いますが、現在経済五ヵ年計画の柱は、完全雇用と経済自立でございます。現在日本の完全雇用を達成していくということのためには、当然第二次産業に多くの雇用が出てこなければならないのでございますが、現実の日本においては、輸出を振興するという名目のもとに、第二次産業は合理化が行われて、必ずしも人口の吸収が十分でたいということは、客観的な経済資料その他で明白に出しております。そうだとするたらば、われわれは当然ここに雇用を喚起する政策というものな、どこかほかの面で打ち出していかなければなりません。すでに倉石労政が示しておるように、失業対策から雇用対策へと労働政策を切りかえておりまするけれども、現実においては、なかなか雇用政策というものも、第二次産業の合理化のために、多くの吸収力がたいためにうまくいっていない。そうしますと、現実においては日本の農業というもの、第一次産業というものが吸収力がございません。あの朝鮮事変のブームのときの状態を見ても、農業からは四十万の人口が出て行った。あの朝鮮事変のブームのときにおいても農業は吸収をしませんでした。そうしますと現在人口がふえて、そうして労働力が吸収をされておるというのは、これは第三次産業なんです。第三次産業に形式的には吸収をされておるけれども、その吸収をされておる人たちというのは、いわば半就業状態なんです。その第三次産業で仕事をしただけでは食っていけないという姿が出てきておる。そうなりますと、ここに新しく送出されておる日本の労働力人口というものをどこかへ吸収していく対策を講じなければならぬと思う。これは結論だげ申し上げておきますが、私は、今までのニコヨン的な、場当り的な失業対策ではなくて、長期的な、建設的な失業対策なもう積極的に打ち出さなければならぬ時期がきておると思いますが、大臣はまずそれを、そうだ、そうでないという答弁だけでけっこうだと思いますが、そうだと思いますかどうですか。
  149. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 御説のごとく、非常に増加する労働力人口に対しましては、いろいろございますが、何としてもやはり国の生産をふやすということでなければならぬ。それには輸出を増進しなければならないというわけですから、輸出を増進して生産がふえれば、これによって、終局的にはこの労働力を吸収するということになるのでありますが、御説のごとく、第二次産業におきまして合理化をすれば、一時的にはあるいは失業者が出ることはありましょうが、しかしたがらその場合においては、第三次産業にある程度一時吸収いたしまして、それからまた終局におきましては、第二次産業が合理化した結果大きくなるわけであります。大きくなればそれだけの吸収力がふえるわけでありますから、やはり根本は合理化によって、多数の人間を第二次産業へ持っていくということにいたしたいと思っております。
  150. 滝井義高

    滝井委員 どうも答弁にならぬのですが、恒久的な失業対策をやらなければならぬと思うがどうだと言っておるりです。あなたのお話のようなことは、私はその通りだと言っておるわけなんで、恒久的な失業対策をやらなければならぬと思うがどうだ、こう言っておるわけです。現在のような、チャチなと言っては語弊がありますが、どうも予算面で二十五万と数はふえております。しかしながら緊急就労対策なんかのいわゆる二万の失業者が、果してそこでうまく道路事業に吸収されていくかということは、これははなはだ疑問なんです。すでに建設省と労働省との間には、社会保障的な労働対策でやっていくのか、それとも効率的に労働力を使うのかということについて、まだ意見の一致を見ていたい。そういう点で、私は長期的な建設的な失業対策を当面強く打ち出していかなければ、日本のあり余っておる労働力の吸収はできないと思うがどうだということなのであります。そういうことが必要だということであれば、考えを伺いたい。
  151. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 現在五ヵ年計画でとっておりますこの方針が、長期的の計画と存じております。
  152. 滝井義高

    滝井委員 次には、今第三次産業が非常に多くの労働力を吸収しておることは、大臣もお認めになったようでございます。そうしますと、第三次産業が吸収するということは、よく見てみますと、これはサービス業なんかもやっておりますが、夜店あるいは露店、こういうところが多いのです。いわば三十人以上の事業場で吸収されておる数より、総体的に見て三十人以下の事業易の雇用の吸収がはるかに多いのです。しかもその吸収されておる労働力は、女子労働が多いということ、これは七日に発表した総理府の統計局の資料においてもはっきりしておる。政府自身も確認をされておるのです。そうしますと、私たちは失業対策を、まず雇用の吸収のためには積極的にやらなければならぬが、同時に政策として出てくるものは、中小企業の対策というものを積極的にやる以外にはたいと思うのです。その点お認めにたりますか。
  153. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お説のごとく、中小企業対策は、労働力の吸収対策からいきましても最も重大なものだと存じます。ただ今お話しのごとく、第三次産業と称せば、ただ露店商人がふえるという見方は私どもはいたしておりません。第三次産業は、社会の厚生施設等ができれば、当然それはふえるわけであります。
  154. 滝井義高

    滝井委員 その通りでございます。ただ私は、きわめてわかりやすく一つの例をあげて、何と申しますか、いわば浮き彫りをしたわけなんです。そこでそういうように失業対策をやっていく、中小企業の対策をやる、これでまず雇用はある程度吸収されていくと思います。ところが現在の日本の状態においては、生産力人口がぐっとふえて参りまして、同時にその生産力人口の中の労働力人口の状態を見てみますと、昭和三十年には四千百八十万という数になりまして、今まで昭和二十七年から二十九年までの労働力人口の増加は、平均で百三十万そこそこであった。ところが二十九年から三十年においては百六十万以上増加してきておる、こういう状態たんです。いわばそういうことは労働力率と申しますか、労働力率というものが欧米諸国に比べて非常に高いということなんです。六八・六という数字になった。これはへまをしておると、六八・六は七〇くらいになるかもしれないという客観情勢があるわけです。そこでこの労働力率を下げる政策というものは、大臣はどうすればいいと思いますか。
  155. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 国の個人当りの所得が大きくなって参りますれば、自然この労働力率というものが減って参りまして、アメリカのごときは五〇何%になっております。私どもも初めの計画ではこれを六五%ぐらいに引き下げたい、こういう方針で進んだわけですが、実際景気がよくなってくると、今日はかえって労働力率がふえている。ということは何を物語っているかといえば、やはり日本の人たちはもっとよけい働きたいという希望の人が多い、こういうことになります。しかしできるだけ個人の所得を大きくして、この率を引き下げたいというのが根本の方針でございます。
  156. 滝井義高

    滝井委員 全く御名答です。個人の所得を多くして労働力率を下げたければならない、その通りなんです。その個人の所得を多くするためには、いわゆる第三次産業がどんどん振興されて、いんしんをきわめて、さらにその影響が第二次産業に及び、第一次産業に及んで、初めて雇用が拡大されてくるわけです。そこに一つの時間的なズレがあるのです。その時間的なズレをどうするかということが、私は現在の政治の一番の問題だと思う。イギリスあたり、アメリカあたり、今大臣が言われたように労働力率は五五%です。もし日本の労働力率が昭和二十六年当時の六五に――昭和二十六年は六五ですが、この程度に下っても、これは二、三百万の生産人口というものから労働力人口に転化するものを吸収できる。もし六五ぐらいに下ってくると、日本の雇用問題は一時安定します。私は安定すると見ておる。ところが現在それまでにいくには、今言われる時間的なズレの問題が出てくる。その時間的なズレを一体どうして解決するかということが、私は政策の問題だと思います。私はその時間的なズレを解決するには、社会保障以外にないと思う。社会保障を強化していく、中小企業の対策を強化していく、長期的な失業対策事業を行なっていくというのが、少くとも経済五ヵ年計画の柱になっていかたければならぬ。そういうところから、初めて完全雇用なり経済自立の政策が出てくると思うのです。現在労働力率が上っておるというけれども、男子の労働力率はあまり上っておりません。女子なんです。女子が上っておる。男子は依然として昭和二十六年当時と同じ八三%ぐらいです。女子が上ってきておるということです。女子労働が多いということは、一家の主たる労働力である主人の力だけでは、日本の家計は飯が食えないからこそ、娘を働かせ、おじいさんを働かせて、一家の家計を保っておる、ということは、あなたのさいぜんの答弁から、所得が多くなれば労働力率が減るということです。そうすると、社会保障が日本にうんと出てくる、女子が働かないような姿が出てくる、あるいは老年者が働かなくともよいという姿が出てくればよいと思うのですが、これは社会保障を強化する以外にないと思いますが、それをお認めにたりますか。
  157. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お説のごとく社会保障は強化していかなければならないと存じます。
  158. 滝井義高

    滝井委員 これで大体経済企画庁長官と私の意見は合ったようでございます。この前の辻原君と文部大臣の意見のように平行線ではないようでございますから、次の質問を続けます。  そうすると、当然この社会保障を強化していかなければならぬということになりますと、さいぜん井手君からもいろいろ御意見がありましたが、あなたは経済五ヵ年計画中において、日本の社会保障のあるべき姿というものを当然描いておらなければたりません。まあまあ防衛庁の経費は幾らだということは、これは対米関係もあってなかなか言いにくいと思いますが、社会保障はこれは国内の問題ですから、あなたの描いておられる五兆六千六百億の中における社会保障の構想を一つ御説明願いたい。
  159. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 数字のことになりますとわかりかねますので、これはまた比率を言うとしかられるかもしれませんが、比率でわれわれの計画を作ることが楽なものでありますから、比率で申しますと、大体社会保障費は国民所得に対して三十年度は一・五になっておりますが、三十一年度は一・六に見ております。大体それくらいの程度で持っていきたい。これは国民所得がふえるに従って社会保障もふえてくるわけでありますから、そういうふうに持っていきたい。
  160. 滝井義高

    滝井委員 私がかって見たところの資料では――あなたの方の今度の五ヵ年計画資料でなくて、もとの六ヵ年計画のときの資料で見ますと、総予算がその当時は六兆二千億にたっておったようであります。そうしてその中に社会保障費が六千四百五十億くらいです。これは試算だと思いますが、計上しておったと思うのです。そういうことをやられたことがあると思うのですが、どうですか。そうことは全然身に覚えがございませんか。
  161. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 数字の問題につきましては私また間違うと困りますから、政府委員からお答えいたさせます。
  162. 金子美雄

    ○金子政府委員 六ヵ年計画財政計画を大体六ヵ年全体としての一応の見積りとして事務局で算定した場合に、社会保障関係の費用も事務的に一応の見積りをやったことはございます。しかしこれは六ヵ年計画自体としては正式にその数字そのものはきめてはないわけであります。その試算によりますと、狭義の厚生省関係と申しますかの社会保障経費では、三十年度に比べまして大体平均一六%くらいの増加になります。これは御承知のように歳入規模は一四・二%くらいですから、歳入規模の……。
  163. 滝井義高

    滝井委員 一六%増を金額で言って下さい。
  164. 金子美雄

    ○金子政府委員 六ヵ年間で八千……。
  165. 滝井義高

    滝井委員 六千というのをおっしゃって下さい。
  166. 金子美雄

    ○金子政府委員 ちょっと私の手元の資料には六千という数字は出ておりません。広義の社会保障関係で八千数百億の数字になっておりますが、その中で厚生省関係のものを選びますと、四千九百億程度になっております。三十年度予算はもうきまっておりますから、三十年度を除きました年間平均で見ますと八百三十九億、これが三十年度予算の厚生省予算の七百二十三億に比べて一六%増、こういう数字であります。
  167. 滝井義高

    滝井委員 高碕さんにお尋ねしますが、今あなたの事務当局から、厚生省関係もひっくるめたいわゆる社会保障の六ヵ年計画における一応の事務的な額をお示しいただきました。そういうものはお隣りの厚生大臣等と十分お話の上でやっておることなのでしょうか、それを一つやっておるならやっておると……。
  168. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 もちろん六ヵ年計画にいたしましても、今度の五ヵ年計画にいたしましても全部厚生省の連中も入りまして立てた数字でございます。
  169. 滝井義高

    滝井委員 では厚生大臣にお尋ねいたします。厚生省で社会保障五ヵ年計画というものな試算されました、まだこれは固まっていないと思います。少くともその社会保障五ヵ年計画の中においては三つの柱を立てておられる。まずあなたがよく言われる医療保障を五ヵ年間にやるのだ、全国民国民保険を五年の後には完成をしていく、これが第一の柱、第二番目には社会福祉、特に無醵出の年金制度を確立するということ、第三番目には人口対策を中心とするところの公衆衛生を確立していく、こういうことなんです。その試算では七千八百六十七億にたっていて、今企画庁の事務当局から御説明になった案とは非常に違うことになる。私はある座談会に出たのですが、昔は日本の官庁というものは――企画院当時でございますが、少くとも内閣から出る数字は間違っていなかったのです。最近の日本の数字を見ると各省でばらばらです。内閣から出る数字、統計局から出る数字、労働省から出る数字、厚生省から出る数字、あるいは企画庁から出る数字、全部脈絡がなくばらばらです。今の社会保障の問題でも同じです。私は厚生省から出ておる試算をもらってきたのですが、まったく違っております。こういうことは厚生大臣、どういうことなんですか。連絡があってやられておることなんですかそれとも全くばらばらにあなたの方はあなたの方で勝手にやられておるのですか。これが大蔵省の方から出ておる考え方はまた違うのです。一つ厚生大臣に御説明を願いたい。
  170. 小林英三

    ○小林国務大臣 ただいま経済企画庁長官が申しましたように、もちろん五ヵ年計画を立てて、たとえば三十一年度の問題にいたしましても各省で連絡協調いたしまして、そうして来年度のものを最後に決定するわけであります。もちろん実際の予算の問題でありますから、多少出入りはございますけれども、一応そういう問題についてやっていくのでありまして、五ヵ年計画の最終年度までの問におきましても年次計画を立てまして、それに基いて数字を出しております。
  171. 滝井義高

    滝井委員 どうも答弁が明確を欠いておるようですが、私はあなた方のやったものと企画庁のやったものと非常に数字が違うということを申しておるのです。違うことは確実でございます。  時間がございませんから次に入りますが、厚生大臣はよく医療保障五ヵ年計画の完成を口にされ、先般三千万の未組織国民国民健康保険を普及していくのだということを、本会議においてもこの委員会においても御答弁になりました。そこでお尋ねしたいのですが、医療給付費というものは、医学が進歩をし、国民の保険に対する思想が普及をするにつれて年々増加をしていくのであります。ところが保険料の収入というものは――現在所得の水準が横ばいです。これはすでにあなた方が官公労の経済闘争についてもなかなか上げないということ、これは横ばいということを意味すると思うのです。具体的に現実に横ばいです。保険料の収入というものは、今申しますように横ばいだから増加しません。従って大きな期待を持つことができない。ところが一方医療給付というものが増加をしていくとするならば、その増加をしていって保険料でまかなえない経費というものは、これは当然国が負担をしなければならないと思うが、小林大臣並びに高碕さんの御所見を承わりたいと思います。
  172. 小林英三

    ○小林国務大臣 お尋ねのように、医療給付費というものはある程度まで年々増加して参ると思います。それがずっと引き続いて増加するかしたいかは別として、ある程度までは当分の間増加するものと考えられるのであります。ただ問題といたしましては、保険財政の赤字の問題につきまして、出ただけの赤字は全部国庫負担することがよろしいか、あるいはどうするかという問題でございますけれども、私はこの前の委員会でも申し上げましたように、いわゆる社会保険の中核でありまする健保の赤字補償の問題というものは、これは御承知のように二十九年度において四十億円、本年度におきましても六十億円も赤字が出ておるのです。来年度は六十五億という数字が出ておりますが、この問題をいかに解決するかということにつきましては、私は今日の健保の内容を向上して、つまり全額を国庫負担にするということにつきましては、一方においてはお話のように三千万入もの恩典に浴しない人があるのでありますから、一部は被保険者が負担をしてこれに見合う程度の国庫負担をし、また一方におきましては標準報酬引き上げ等によりまして事業主に一部負担な願うということにおいて、健康保険の赤字を軌道に乗せるということでがきるのだと考えております。
  173. 滝井義高

    滝井委員 大臣よく質問を聞いておって下さい。具体論はあとでお聞きしますので、原則論をお尋ねしている、医療費はだんだん上ってくる、保険料ではまかなえぬ段階が来つつある。そういう場合に一般論として国庫負担というものをやるのか、やらないのかということを聞いております。やりますかやらぬかでけっこうであります。やるかやらないか言って下さい。
  174. 小林英三

    ○小林国務大臣 私は現実の問題についてお答え申し上げますると、ただいま申し上げた通りでございます。
  175. 滝井義高

    滝井委員 それならばお尋ねいたします。大臣は間違いなく三千万の国民を五ヵ年間で国民健康保険に組織してしまいますね。
  176. 小林英三

    ○小林国務大臣 ただいま申し上げましたように、経済五ヵ年計画の最終の年度までにおきましては、全国民社会保険の恩典に浴すようにいたしたいものだと考えております。
  177. 滝井義高

    滝井委員 それならばお尋ねいたします。厚生省が出しました社会保障五ヵ年計画においては、今私が述べましたように医療が普及をし、衛生思想が発達してくる。給与所得というものが横ばいであるので、保険料はもはやまかない切れない段階まできている。従って大臣のおっしゃるように、少くとも国民健康保険というものを三千万の未組織の国民に普及していくためには、健康保険に関する国庫負担を少くとも五ヵ年に政府管掌の分については四百五十四億、組合については二百九十四億、国民健康保険は九百七十六億、計千七百二十四億程度必要とするであろうということを言っている。大臣、五ヵ年間で三千万の未組織の国民に健康保険を組織するためには、少くとも九百七十六億の国民健康保険に対する国庫負担が必要です。これを五カ年で割りますと、百九十五億円です。現在国民健康保険には、御存じの通り昭和三十年には七十二億の助成金を出しました。昭和三十一年には八十八億の助成金を出しております。倍の助成金を出さなければ、国民健康保険の普及はできませんが、それを今断行するとおっしゃったが、大蔵大臣出せますか。
  178. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ほんとうに福祉国家を念願するものとして、財政の許す限り、社会保障、特に健康保険等を国家がやっていくことが望ましいことには間違いないのであります。しかしこれはやはり財政の許す限界というものがあります。どうしてもそれによらなければならない。来年はどれほどのことをやるか、これは今申し上げかねます。
  179. 滝井義高

    滝井委員 大蔵大臣、それならばあなたの政策は場当りじゃありませんか、何のために五ヵ年計画を立てておるのですか。五ヵ年間に三千万の国民のすべてを健康保険の中に入れてしまうのだとおっしゃっている、断固としてやるとおっしゃっている。そうすると、財政当局は財政の許す範囲でしかやれませんとおっしゃるならば、行き当りばったりだ、閣内不統一じゃないか。片一方はやるというが片一方はできませんということじゃありませんか。
  180. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 それはおそらく厚生省としては、そういうふうに五ヵ年間でやるならばこういうふうになるだろう、こういう考え、あるいはまたそういう希望であると私は承知しております。
  181. 滝井義高

    滝井委員 今のは仮定の問題ですか。仮定の問題なら私は質問しません。少くとも鳩山内閣のあの選挙以来掲げた政策というものは、社会保障を充実していく、減税をやる、住宅を建てる、日ソ交渉をやるという、これが四大柱であった。しかも社会保障の中で一番大事なものは少くとも医療保障なんです。それを今言ったように、やるとしたならばというような仮定ならば、公約を撤回しなさい。厚生大臣はやるとおっしゃっている。どうですか、やらぬならば、今言ったように厚生省が撤回するか、あなたが修正させるか、どっちかやって下さい。
  182. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ……。
  183. 滝井義高

    滝井委員 高碕さんではだめですよ。あなたに聞いてない。
  184. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 社会保障費というものは、これは医療だけの問題ではありませんで、生活保護、児童保護、そのほかにもあるのでありますから、それを……。
  185. 滝井義高

    滝井委員 大臣いいです。時間がありませんから、次に進みます。抽象的なことでは、あなた方答弁が不統一です。少し具体的に入ります。  そこで、厚生大臣にお尋ねしますが、現在各地において非常に問題にたっているのは、いわゆる社会保険の赤字の問題です。健康保険の赤字の原因については、これはいろいろありました。二十八年以来取り来たった政府の結核対策、あるいは往診料、入院料を引き上げたためだ、あるいは慢性的なデフレのために保険料が集まらなかった、医療が不適正であったというような原因を、政府は川崎君の当時にあげた。そして、あなたの方はこの対策として行政措置をもって、おもた行政措置の対策として保険料の引き上げをやりました。さらに立法措置として、健康保険法の改正や、船員保険法の改正を出したが、審議未了で通りませんでした。また財政措置とし借入金や、あるいは十億円を一般会計から厚生保険特別会計に注ぎ込む政策をとって、赤字の乗り切りをやった。その結果どういうことになったか。その赤字の実態というものを、昭和二十九年、三十年の政府管掌の健康保険でけっこうでございますから、一つ御説明願いたい。
  186. 小林英三

    ○小林国務大臣 赤字の実態というものの内容をお示し願います。
  187. 滝井義高

    滝井委員 あなたの方は二十九年の赤字は五十七億あった、こうおっしゃっておる。保険局長はそういう説明をしております。それから、昭和三十年の赤字は七十三億であった。こうおっしゃっている。その五十七億と七十三億というものをどういう工合に処理をしたか、これを一つ伺いたい。これまで言えばよくわかるでしょう。
  188. 小林英三

    ○小林国務大臣 二十九年度におきましては、四十億の赤字を出し、また三十年度におきましては、六十億の赤字を出しまして、百億の両年度の赤字の処理につきましては、今の料率を千分の五上げまして二十億を解決し、また残りの中から七十億を資金運用部から借り入れまして、そうして一時的の処理をしたわけでございます。
  189. 滝井義高

    滝井委員 どうも厚生大臣、私はしろうとではないのだから、そういうただ二十九年に四十億の赤字があって、三十年に六十億で百億の赤字がありましたということでなくして、もう少し詳しく御説明が願いたいのです。もう少し事務当局は大臣に教えておかねばいかぬですよ。そうしますと、それでいいでしょう。時間がありませんから。それならば大臣、三十一年度の赤字はいろいろ変ってきました。初めわれわれに厚生委員会で保険局長が説明をされたときは、赤字が八十億、三十一年には出るだろうとおっしゃいました。それから今度は当初社会保険審議会等にあなた方が御説明になったときに、末高さんたちの聞いたところには九十五億の赤字が出るだろうとおっしゃいました。ところがいよいよ予算編成で予算の面になってみると七十一億三千万円ぐらいの赤字になるだろうといっておったのが、だんだん減って六十七億五千六百万円になっちゃった。政府管掌の健康保険に対する赤字の見解は四十億ないし六十億だろうという見込みを大蔵省はしているようであります。こういうように大蔵省の見方はとにかくとして、厚生省自体の三十一年に対する健康保険の赤字の見方というものは、絶えず走馬燈のごとく変っている。一体幾らがほんとうの三十一年度に予想される赤字であるか、明白に御答弁願います。
  190. 小林英三

    ○小林国務大臣 三十一年度におきましては六十五億数千万円の予定でございます。
  191. 滝井義高

    滝井委員 今公けの場所で六十五億と、こう御答弁になりましたから、これは間違いないものだと確信をいたします。そこで会計検査院長に今度入りますが、今厚生省から大臣みずから御説明になったことは、二十九年に四十億、三十年に六十億の赤字、計百億の赤字が出た、こういうのでございます。そこでお尋ねしますが、三十年の保険料の収入は四百六十億になっております。この四百六十億の中には保険料の収納未収額である三十五億九千九百万円は入っておりましょうか。会計検査院長御説明願いたい。
  192. 東谷博次郎

    ○東谷会計検査院長 三十年度でありますが、三十年度分は目下検査中に属しまして的確に申し上げることができません。
  193. 滝井義高

    滝井委員 三十年度の保険料の徴収額は四百六十億と予算の面にぴたっと出ているわけです。ところが四百六十億という保険料の徴収というものは、これはその年に決定された保険料の額だけではなくして、前年度から繰り越された未納額も一緒に入って保険料の徴収額に入っているはずだと思う。それは毎年入っているのです。たとえば――どうも会計検査院はだらしがないですな。そういうことだからだめなんですよ。
  194. 東谷博次郎

    ○東谷会計検査院長 先ほど申しましたように、三十年度に対してはまだ検査中でありまして、今のは予算の問題で御賛問だと思うのでありますが、ただいまの問題は二十九年度が検査が終りまして、ただいま三十年度を御承知のように検査中でありまして、三十年度はこの三月三十一日までででございますので……。
  195. 滝井義高

    滝井委員 それでは主計局長でよろしい。
  196. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 予算の編成に当りまして、収入幾らに見るか。それには過去の滞納を含めまして、その年度に調定すべき金額とあわせて調定率をどのくらいに考えたらいいかという問題があるわけでございます。私ども当年度の収入並びに過年度滞納額両方を通じました徴収率はたしか九三くらいに見ておったと思います。と申しますことは、過去の滞納額の中でその年度に収入になりますものも若干ありますし、その分とその年度の調定額に対する収入の割合、両方通じて九三、四%ということでございまして、過去の三十何億がそっくりそのまま入っているということじゃなくて、そのうちから極力努力して入ってくるであろうところのものが予算として計上されてくる、そういうことになろうかと存ずるのであります。国税の徴収につきましてもそういうような見方をいたしておるわけでおります。
  197. 滝井義高

    滝井委員 これは厚生大臣よく知っておるはずなんです。昭和三十年度の保険料収入予算に四百六十億となっている、その中には二十九年度の保険料未収額である三十五億は入っておるか入っておらぬか。こういうことがわからぬでどうしますか。
  198. 小林英三

    ○小林国務大臣 先ほどお答えいたしました三十一年度の赤字につきまして、私たしか六十五億幾らと言ったと思いますが、これは六十六億六千五百万円のあやまちでありますから御了承願います。  なおただいま御質問の三十年度の収入の四百六十億の問題でございますが、大体三十六億は入る見込みでございます。
  199. 滝井義高

    滝井委員 会計検査院長にお尋ねします。今お聞きのように三十六億は入っておるということでございます。そうしますと、あなたの方から出ておるこの決算報告書の百二十九べージを見て下さい。そこを見ますと、あなたの方の検査官が保険の会計を検査いたしております。その結果三十五億九千九百万円という未納の保険料の中には、不納欠損で取れないものが十一億千七百万円あると、こう書いてある。会計検査院がこれは取れないのだといったものを、どうして保険料の収入の中に入れておるのですか。
  200. 東谷博次郎

    ○東谷会計検査院長 これは不納欠損に必ずなるというのではありません。おそれになるというのでありまして、そういうふうに記載してあります。これは比率の点を申し上げるのでありますが、十一億よりも場合によっては多くなるかと思っております。今検査報告に十一億の不納欠損が生ずるおそれがある、ゆえに三十五億の収入未済だとおっしゃるけれども、二十四億ぐらいが収入未済の実体であろうということでございます。
  201. 滝井義高

    滝井委員 今のように収入未済というのは三十五億じゃなくて二十四億ぐらいだろう、こういっている。そうしますとすでに保険会計で、六億というものは入らぬものを入ることに見込んでおる。あなたは三十年の赤字というものは六十億だといったが、六十六億になって六億ふえてくる。これは一体どうしたことですか。
  202. 小林英三

    ○小林国務大臣 実はこういう数字の問題につきましては、保険局長から答弁さすことがよろしいのですが、ちょうど審議会に行っておりますものですから、数字の問題につきまして的確な御答弁ができたいことはまことに遺憾に存じますが、ただいまのご質問のうちで三十年度の徴収見込みが四百六十億でございまして、そのうちで過年度のものが三十六億ございまして、極力これを努力をいたしまして、うち三十億ぐらいはぜひ取りたい、こういうことで今やっておるのでございます。
  203. 三浦一雄

    三浦委員長 滝井さん、こまかい数字は当該の政府委員が来ておりませんそうですから、分科会等にお譲りを願って、基本的な質疑をお進めになるよう希望いたします。
  204. 滝井義高

    滝井委員 ところが赤字対策はそれがわからぬとわからぬのですが、保険局長がおいででないので、大事なところを一、二省きまして、関連して今度は大蔵大臣ですが、大蔵大臣は現在の社会保険を社会保障と見ますか。現在の社会保険が昭和二年にできたときには労務管理としてできたが、大臣は現在の社会保険を社会保障の一還として見るか、それとも依然として労務管理として見るか、どちらですか。
  205. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は考え方としては、これはやはり行く行くは社会保障として見たいと思っているのでありますが、(「現在は」と呼ぶ者あり)現在ではこれはやはり社会保障というところまではいっていないと思います。
  206. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、あなたは労務管理を主として見る、こういうことですか。これは昭和二年にできたときは労務管理の一環としてできたのですが、社会保障ではないということになれば労務管理ですか。どうですか大臣、明白に御答弁願います――どちらですか。――答弁々々。
  207. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ただいまお話がありましたように、労務管理から出発していろいろと進化をしておりまして、(笑声)私はほんとうの社会保障の実態までいっていないと思うのですが、考え方としては社会保障とお考えになってもいいと思います。
  208. 滝井義高

    滝井委員 大臣社会保障とお考えになっている。小林厚生大臣は、社会保障が主か労務管理が主かと言うたら、労務管理が主だとおっしゃった。あなたの前の厚生大臣川崎君がおれば証人に一番いいのですが、川崎君は日本の社会保険は社会保障の中核であるとおっしゃった。日本の社会保障の進展をはかり、社会福祉国家を建設するためには、この社会保険の拡充強化なくしてはたいのだとおっしゃった。同じ鳩山内閣の大臣でみな違う。大蔵大臣は労務管理からだんだん進化して社会保障にもなっているとおっしゃる。厚生大臣は労務管理が主じゃ、こうおっしゃった。川崎君は社会保障の中核だとおっしゃった。一体どれがほんとうですか。
  209. 小林英三

    ○小林国務大臣 今の御質問の中にありましたが、私も実はただいまの委員会におきまして、建保は社会保障の中核であると確かにこの席上で申し上げておきましたが、先般のたしか衆議院の社会労働委員会におきまして、あなたのこれと同じような御質問に対しまして、私は労務管理の色彩を濃厚に帯びておるということを確かに御答弁申し上げたのであります。私はまだ就任間がない時代でありまして、今日いろいろ研究いたしまして、確かに進化をいたしております。
  210. 滝井義高

    滝井委員 どちらも閣内の意見を統一していただきたいが、だんだん社会保障に進化をしておる、こういうことでよろしいと思います。そうしますと、今御説明がありましたが、ことしの予算書を見ると、私はどうも六十七億ではなかったかと思うが、六十六億六千万円の赤字が出るそうで、それはそれでいいでしょう。その赤字の対策として――これは現在与党の中でも大問題だから、大蔵大臣も知っていると思うのですが、二十三億六千万円の一部負担というものを患者にさせることに赤字対策の一面としてなっておる。そうしますと、社会保障とおっしゃるからには、社会保障というものは、これは病気と貧乏と失業と老齢ー-よく聞いておって下さいよ、大蔵大臣。この四つのものに対して少くとも国民を守るためにできておる制度、作る制度、憲法の二十五条の精神を貫く制度、これが社会保障なんです。そうしますと、政府管掌の健康保険中二十三億六千万円を患者に一部負担をさせるということは、これは私は非常な問題だと思う。なぜかと申しますと、大臣も御存じのように、政府管掌の健康保険の事業場の平均従業員は二一・五人なんです。こういう零細企業が集まって、政府管掌の健康保険を作っておる。しかも保険料というものを昨年千分の六十から千分の六十五に引き上げられました。それらの労働者の諸君は、健康保険の保険料のほかに、失業保険の保険料を払っております。厚生年金も払っております。それらの保険料の総利というものは千分の百十一になり、この半額を一事業主が持ってくれますが、しかし保険料の負担というものは限界点にきている。しかもこれらの層というものの平均標準報酬は幾らかというと、昨年は二万一千円でございました。今年は二万二千二百二十五円に多分なっておると思います。そうしますと、これらの層の諸君は減税の恩典にも浴しません。昨年あなたの方は、当初予算において三百二十七億の減税としておりました。それを自由、民主両党の修正によって六十七億増して三百九十四億の減税をやったんです。ところがこれらの二十人そこそこの事業場に働いておる労働者諸君の俸給というものは、平均が一万一、二千円です。そうすると、減税の恩典も浴さたいが、、険料は上っちゃった。しかもその上に、お医者にいくたびに三十円の一部負担を課して、二十三億六千万円を取ろうとしておる。こういうことが温情ある政治と言えましょうか。社会保障を前進せしめる政策と言えますか。大蔵大臣、どうですか。
  211. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私も社会保障については、似たような考えを持っておりまして、実はお説のようにしたいんです。したいんだが、国家財政から見て、財源がそれに応じ得ない。そこに非常な苦しみと悩みを持っておることを率直に申し上げます。そこで、それならどうするか。単に患者だけの負担ということは、むろん考えるべきではない。患者が今回健康保険において二十三億を負担することにたったので、国としても三十億を負担しなければならないというので、実は非常に乏しい財源の中から出したわけであります。しかし先ほども厚生大臣からお話がありましたように、まだ健康保険に浴せない人もたくさんある。単に保険に入っている人たちだけ国家が優遇するということは、いろいろ問題があります。しかしお考え方は私もよくわかりますので、今後十分尊重していきたいと思っております。
  212. 滝井義高

    滝井委員 大臣財源がないといってもわずかに二十三億ですよ。あなたは今度のこの予算においても減税をやって、夫婦とそれから子供三人、五人の家族というものは二万五百五十六円までは無税になりますよ。これはあなたもここで言明された。ところがこういう層は、去年の減税の恩典も浴さぬ。ことしの減税の恩典にも浴さぬ。しかも保険料は上り、一部負担もする。そういう減税の財源があるならば、これらの減税に浴さない層のためにその財源を持ってきて、この一部負担をさせないようにしたらどうです。できたいことはたいはずです。たとえば、どういうことになるかというと、保険料の千分の五だけ上げたために、それはわずかな保険料の値上りでございますが、三千円の人は月八円上りました。四千円の人は十円上りました。五千円の人は十二円上りました。一万円の人は二十五円上りました。二万三千円の人は三十五円上ったのです。そうしますと、これらの層というものは、あなたが幾ら減税をやってくれても、その減税の恩典に浴さない層です。これは減税の恩典に浴さないばかりでなくて、これらの層というものは、今度は一部負担というものがかかってきて、保険料は上げられたわ、一部負担は上げられたわです。ところが去年の例でいくと、二万五千円以上の俸給にたると、去年の案でいけば百十二円の減税になり、保険料は四十円の増加になるから、差引七十二円の減になる。ところが一万三千円以下の、いわば政府管掌の健康保険の事業場に働いているような層というものは、減税の恩典に浴さないで、しかも保険料の引き上げの影響を受け、あるいは今回の一部負担の影響を受ける。そうなりますと、どういう結果が出るかというと、それらの零細な勤労所得層とその家族というものは医者に行けない。現在国民健康保険が農村に普及しておりますが、農村に行ってごらんなさい、中農層以下は医者にかかれない。医者にかかれない結果がどういうことになるかというと、売薬をみた買っている。そうして、貧農層が納めた保険料で、かかる人はだれがかかっているかというと、保険を利用する者は中農層以上が利用している。いわば貧農層の犠牲において、中農層以上が医療を受けているというのが現在の状態である。その結果が厚生省の統計にも現われているが、現在百人病気になると、百人の病人の中で医者に行って治療を受ける人は何人かというと、三十五人です。ことしで多くて三十八人なんです。あとの四十五人というものは、あの毒消しゃ要らぬかねえという歌が今ありますが、その毒消しを飲んでいる。(笑声)わたしゃ雪国薬売りという毒消しゃ要らぬかねえという歌がありますが、あの毒消し、売薬を飲んで四十五人から五十人の人がやっている。あとの残りの人ははり、あんま、きゅう、迷信、こういうものでやっている。医者や歯科医師にかかるのは、百人の中でたった三十八人しかいない。しかもその三十八人の貧しい階級に一部負担をやり、しかも減税の恩典にも浴さない。こういう政策というものは私はないと思うが、大蔵大臣どうですか。わずかに二十三億です。撤回すべきじゃないですか。あなたがほんとうに血があり涙ある政治家で、将来民主自由党の総裁になろうとするならば、(笑声)これくらいの政策をここで引っ込めますということを言えるはずだと思いますが、どうですか。
  213. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 確かにお説は一つの見識であると思いますが、しかし今お話のような階層よりも、なお苦しい人もあるのであります。そうすると、次々にこれは議論が非常に発展してくると思いますので、自分たちが恩恵を受けているこの保険制度が、そういう赤字を出すとすれば、むろん国もできるだけの手を差し伸ぶべきことは言うまでもございませんが、同時にその恩恵を受ける者も、できる範囲においてやはり負担々して、そしてその制度の健全なる発展をはかる。そうしたいと、赤字でもってこの制度自体が崩壊するということになると思います。そういうふうな意味で、今後財政が許すようになれば、これはまた十分社会保障全体として考えていく余地があろうと思います。
  214. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、将来保守党の総裁になろうとするようた一萬田大蔵大臣が、わずか二十三億の金が現在では出せない、こう了解いたしました。  次に小林厚生大臣にお尋ねいたしますが、今私がるる述べたように、それらの一部負担の階層というものは、きわめて零細な所得層であることは、これははっきりしております。その零細な所得層は、現在ですら医者に払えない。たとえば、現在の家族の半額負担も未納です。特にわれわれのような筑豊炭田の炭鉱地帯では払えません。一体今度被保険者に一部負担を二十三億も課すということになれば、取れなかった場合の最終的な責任はだれが負いますか。保険者が負ってくれますか。
  215. 小林英三

    ○小林国務大臣 お尋ねの一部負担でございますが、一部負担のやり方については、できるだけ受診率を低めないように、早期受診を低めないようにすることはもちろんでありますが、今日の赤字のためには、やはり健康保険そのものが非常に進歩して参っておるのでありますから、被保険者にも一部負担をしていただき、また国もそれに見合うだけのことをするということであろうと思うのであります。今の払えない場合におきましては、もちろん最後にはそれらの人には責任はないことだと思います。
  216. 滝井義高

    滝井委員 これは重大な発言でございました。払えないときには患者には責任がない。そうすると保険者の責任と確認して差しつかえありませんか。これは大小なところですから、一つぴしっと答えて下さい。
  217. 小林英三

    ○小林国務大臣 ただいまの私の発言のうちに多少食い違いがあったと思いますから訂正いたします。私の御答弁申し上げたいと思いましたことは、お尋ねのような場合におきましては、保険者には責任がないということを言おうといたしたのでありますから、訂正をいたしたいと思います。
  218. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、そのとれないものは医者が全部かぶる、こういうことなんですか。結論だけはっきり言って下さい。
  219. 小林英三

    ○小林国務大臣 そういう場合には、医療担当者が責任をかぶるということになると存じます。
  220. 滝井義高

    滝井委員 わかりました。患者が払わなかった場合には医療担当者の一切責任である。大体はっきりしてきましたから次に移ります。  次に大蔵大臣にお尋ねしますが、今回三十億の金を一般会計から厚生保険特別会計につぎ込んでくれました。この三十億の性格は何ですか。国庫負担金ですか、何ですか。
  221. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 健康保険の財政の再建といいますか、赤字補てん金であります。
  222. 滝井義高

    滝井委員 厚生大臣、この三十億はあなたは国庫負担としてもらいましたか。今言ったように国庫補てん金としてもらったんですか、どっちなんです。
  223. 小林英三

    ○小林国務大臣 赤字補てん金と申しますか、とにかく私ども厚生当局といたしましては、現実に国家が出したものでございますから、赤字を埋めるための国庫負担金と、こういうように存じておるのであります。
  224. 滝井義高

    滝井委員 国庫負担金と赤字補給金ということになってくると、これは非常に違ってくる。私がさいぜん社会保障の問題を論議したのはここなんです。大蔵大臣、これは今年度限りのものですか。国庫負担ということになりますと、社会保障の精神から来年度も再来年度もやらなければならぬものだと思いますが、今年限りか、それとも来年もやるのか。
  225. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これはいわゆる計画でありませんが、来年においても状況によって国庫からそういう補給なするということは、私やむな得ないと思っております。
  226. 滝井義高

    滝井委員 来年も状態によってはやると言ったが、この前の予算委員会で川崎君とあなたとそこに並んで、一割の国庫負担をやるということを御言明になった。速記録を持ってきてもいいですが……。ところがどうも今度は三十億になっておるのです。私はその点は時間がありませんから追及はしません。三十億はよろしい、とにかく来年も情勢によっては出すということだけ御言明をいただいたらそれでよろしいのですが、そうしますと、昨年厚生保険特別会計法の一部を改正する法律を出したときに、少くとも昭和三十年から七ヵ年間は毎年十億円ずつ出すのだということを言い、法律でも書いた。ところがことしはあなたの方は勝手に十億出すのを繰り延べた。これは約束が違う。これは大蔵委員会でもわが党の横路君をして、あの厚生保険特別会計法の条文の書き方が悪い、すなわち毎年一般会計から十億円を限り厚生保険特別会計に繰り入れることを得と書いてあるから、繰り入れることを得では繰り入れることもあるしないこともある、これではいけないから繰り入れなければならぬというふうに書かたければならないと言った。これは保険局長にも申しました。ところがそれは厚生省当局と大蔵当局との了解の上で毎年入れるのだから、その通りにしてくれ、こういう了解のもとにあの法案は通っておるはずなんです。それを勝手に十億繰り延べたということは、約束を履行していたいではないか。これは厚生省の保険局長がおれば一番よくわかるのですが・…。
  227. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 今回三十億を繰り入れることにいたしましたのは、健保財政再建のための交付金ということでありまして、必ずしも本年度限りと考えていたいことは、先ほど大臣の御答弁通りですが、ことし三十億入れるにつきまして、なかなか国家財政も苦しいわけでありまして、いろいろ関係各方面と御相談いたしました結果、健保会計に対する六十億の貸付金、この貸付金は毎年十億ずつ返していただくということで、三十一年度から償還が始まる、そういう条件の貸付金でございますが、この貸付金の条件を緩和いたしまして、三十一年度は償還に及ばない、三十二年度以降これを返していただくということにいたしまして、従って一般会計から入れる約束にたっていました十億円も、今年度は繰り入れなくてもよいということにしていただく意味で、改正法律案を今国会にお出しする予定で、目下準備をいたしておるところでございます。法律の改正によって今年度はこの十億円を入れなくてもよい、そのかわり貸付金の方も償還を一年延ばしていただく、さような趣旨に相なっておりますので、御了承いただきたいと思います。
  228. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと三十億というのは、予算の説明書に書いてある通り国庫負担ではなく臨時補給金である、しかも来年はこの保険会計の情勢によって二十億になるのか、五十億になるのか、十億になるのかわからないが考慮する、こういうような結論のようでございますから次に移ります。  厚生大臣にお尋ねしますが、昭和三十一年度に六十億の借入金をしておるようでございますが、どこからこれは借り入れたのですか。
  229. 小林英三

    ○小林国務大臣 資金運用部からでございます。
  230. 滝井義高

    滝井委員 大蔵大臣問違いなく資金運用部から六十億貸しましたか。
  231. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 実は資金運用部から貸す予定でございますが、目下のところは国庫余裕金で泳いでおりまして、年度末に資金運用部からお貸しする、さようなことに相なっております。
  232. 滝井義高

    滝井委員 厚生大臣、昨年の昭和三十年度の六十億はどこから借りましたか。
  233. 小林英三

    ○小林国務大臣 昨年は――三十年度からでございますから、二十九年度は関係はありません。
  234. 滝井義高

    滝井委員 三十年度はどこから借りたかということです。
  235. 小林英三

    ○小林国務大臣 三十年度は資金運用部から借りております。
  236. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、三十年度が六十億、三十一年度が六十億で合計百二十億借りたことは問違いありませんね。
  237. 小林英三

    ○小林国務大臣 ただいまの問題につきましては、数字の問題でございますから、政府委員から説明いたさせます。
  238. 小沢辰男

    ○小沢説明員 尋ねの六十億は二十九年度でなく、三十年度から借りるような予算になっておるわけでございまして、今年度末において六十億を借り入れる予定であります。同時にこれは来年度に入りましたらすぐお返しするわけでございまして、その返すためにまた借りる、これで六十億はふえていないのでございます。
  239. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、それは長期の借入金ではなくて、短期借入金になりますね。
  240. 小沢辰男

    ○小沢説明員 さようでございます。
  241. 滝井義高

    滝井委員 大蔵大臣、短期の借入金が予算に出るはずはない。ところが出ている。国庫余裕金と一時借入金は予算には出ない。これはどうですか。
  242. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。
  243. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 健保の赤字を埋めます歳入として計上しておるわけでございまして、期限そのものが長期であるか短期であるかということにつきましては、別途事実上の問題がございますが、会計法上のいわゆる一時借入金ではございません。長期借入金ということにならざるを得ないわけでございます。従って年度末にこれを長期借入金として資金運用部から借ります。今厚生省の政府委員がおっしやいましたのは、金繰りの問題として、あるいはこれを利子負担を軽減するために国庫余裕金に切りかえることがあるかもしれないという意味でお話があったかと思いますが、私どもの会計法上からの取扱いといたしますれば、これは一時借入金ではないのでありまして、年度を越す長い借入金、従ってそれでたければ歳入に計上できないわけでございます。
  244. 滝井義高

    滝井委員 資金運用部から貸したといたしますと、資金運用部の運用計画のどこに出ておりますか。
  245. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 予算の説明に掲げてございますのは、本年度の当初計画の資金運用部の計画、それから三十一年度の資金運用計画でございます。資金運用部といたしましては、年度末にそれだけの原資を蓄積いたしまして、資金運用委員会の議を経てこの貸金を実行するつもりでおりまして、その当初計画には入っておりませんことは、この前の国会におきましても御指摘がございました通りであります。実行上資金運用委員会の議を経て運用を実行するつもりでおります。
  246. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと昭和三十年度にも出ていない、昭和三十一年度にも出ていたい。この六十億は宙から入ってきております。どこから入ってきておるのですか。資金運用部の昭和三十年度の六十億というものは、年度末にもしこれを長期資金としてこの厚生保険特別会計に入れるとするならば、三十年度の資金運用部の計画として出ていなければならぬ。三十年度にも出てきていたいじゃないですか。
  247. 森永貞一郎

    ○森永政府委員 三十年度末の資金運用部の運用の現在高、この中には確かに入ってくるわけでございます。
  248. 滝井義高

    滝井委員 それはあなたは入ってくると言われるかもしれないが、われわれの国会に出した予算書の中には入っていない。三十年度もあと一ヵ月で終ってしまうのですよ。入っていないじゃないですか。こういうでたらめな会計のやりくりというものを会計検査院長は許されますか。
  249. 東谷博次郎

    ○東谷会計検査院長 三十年度の資金運用部資金の運用計画、三十年度の予算には確かに載っておりませんけれども、それは委員会におきまして、運用の決議をそのときの金繰りによっていたしますから、六十億というものは入り得るだろうと私は考えております。それは許されております。今まででもそういう例はございます。
  250. 滝井義高

    滝井委員 許されておるかもしれませんけれども、健康保険の会計というものは赤字で苦しんでおる。しかもその六十億というものは去年もこの委員会でわれわれが指摘した。それは資金課長の福田さんがおるとわかるのですが、十二月までには必ず資金運用部の計画に載せますという言明をとっている。ところがやっていない。きょう福田さんがおられるといいのですが、資金課長はかわったのですね。やっていないのです。こういうことで国民をごまかしてはいけないのです。運用計画に六十億をきちっと載せなければたらない。特別会計で六十億の金を借りるところなんかどこにもありませんよ。特別会計で借りられるのはせいぜい十億くらいです。それを六十億という莫大な金を勝手にやるということはけしからぬ。しかもそれを黙って厚生省の保険局長や厚生大臣が許しておるということがそもそも間違いなんです。これでは赤字対策の責任が持てないじゃありませんか。しからば長期資金の利子はどこに計上しておりますか。少くとも運用部から一般会計に金を借りるならば、六分か五分五厘ですよ。一年間の利子は六分ならば三億六千万円、月にして三千万円、一ヵ月三千万円の利子をどこに計上しておりますか。
  251. 小沢辰男

    ○小沢説明員 六十億の金利につきましては、今年度借りまして来年支払いをいたしますので、その際に金利を来年度予算で一ヵ月分三千万円を計上してございます。
  252. 滝井義高

    滝井委員 今年度借りたものを来年の予算に計上するということがおかしいですよ。三十年度も借りておる。これはまた委員会でゆっくり聞きますから、しっかり大蔵省と折衝して腹を固めておいてもらわなければ、こういうでたらめではいけません。  時間がありませんから一、二問だけ重要な点をお尋ねして終りますが、その次には問題の新体系と健康保険法の改正の問題でございます。現在の客観的な情勢というものはすでに与党内部においても、歯科医師の大会、医師の大会等においても、新体系というものは再検討を要する、反対だという意見が強い。その意見とともに健康保険の一部負担についても大きく修正しなければならないという意見が強いのでございますが、一応そういうことは別といたしまして、現在厚生省が出しておる新医療費体系に基く新点数というものは四月から実施をされるということでございます。そうしますと、今度政府が国会に提出するであろうこの赤字対策の一環として、法律上の処置として出てくる健康保険法の改正案は五月から実施されます。これは衆参両院を通過したければならないので、とうてい四月からはできたく、五月からということに時日的に見てもたります。そうするとそこに新点数の実施と健康保険法の施行との間に一ヵ月のズレが出てきますが、その一ヵ月の間において患者の一部負担は一体どういうような処置をされる所存であるか。
  253. 小林英三

    ○小林国務大臣 新医療費体系によります新点数表と、それから健保の赤字対策の問題とは直接関係はないのであります。しいて調整する必要がありますたらば、これは調整しなければなりませんけれども、赤字の対策と新医療費体系によります新点数表は関係はたいのでございます。
  254. 滝井義高

    滝井委員 どうもさっぱりわからぬ。四月に新点数を実施することになります。健康保険法は五月からなんですよ。そうしますと、現在の健康保険法の四十三条ですか、これで患者の初診料は患者が持つのですよ。ところが今度は一部負担というものが出てきておる。そういう点になると一ヵ月のズレが出てくるんだが、一体それをどうするかというのです。四点の初診料が十二点になるでしょう。どうもこういう大事なところを厚生大臣が責任持てぬではしょうがない。
  255. 小林英三

    ○小林国務大臣 その点については調整をいたすのであります。なお詳しい問題につきましては医務局長がやっておりますから、医務局長から答弁いたさせます。
  256. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 初診料は四点と定まっておりますが、今度の新点数におきましては一応十二点となっておりますので、この分が全部被保険者に負担されるかということの御質問と思うのでありますが、ただいま御指摘のございましたような事情が生じますれば、その十二点のうち四点を従前通り初診料といたし、八点はこれを初診料といたさずに、受付料という名前で定めまして、本人の負担とはいたさないつもりであります。
  257. 滝井義高

    滝井委員 大臣にお尋ねしますが、受付料というものが療養の給付の範疇に入るかどうか、健康保険法の四十三条には「被保険者ノ疾病又ハ負傷二関シテハ左二掲グル療養ノ給付ヲ為ス」と書いてある。受付料というのは療養給付ではありませんぞ。
  258. 小林英三

    ○小林国務大臣 医務局長をして答弁いたせさます。
  259. 曾田長宗

    ○曾田政府委員 これは保険局の所管でございますが、受付料と申しましたのは、私どもたとえば受付料というものを想定いたしておるのであります。この名称については、私どもさらに検討はいたしたい。しかし私どもの考えとしましては、受付料も給付と考え得るという考え方は持っております。
  260. 滝井義高

    滝井委員 あなたの方が勝手に受付料というものを療養の給付と言うことは筋が通りません。法制局に行って尋ねてごらんなさい。私も尋ねましたが、療養の給付の中にこれを入れることは疑問があるということが一致した意見でした。まあそれはそれでいいでしょう。時間がありませんからこれで終ります。  そうしますと、大臣、現在の客観的准情勢というものは、新医療費体系というもので健康保険の改正ができたために、医師団体あるいは労働組合等は、上を下への大騒ぎです。参議院選挙を控えて、政府与党の内部にも大きな波紋を起しておる。これについては大臣身をもって体験の通りであります。へまをしておると参議院選挙は、医師も歯科医師も労働者も、全部反自民党の線を打ち出すのではないかということを心配しております。そういう情勢の中で問題なのは、新医療費体系と医薬分業の関係です。すでにわれわれは昨年以来医薬分業を法律的には解決したと心得ておりますが、新医療費体系が出ることによって、医薬分業の問題が再び政治の舞台に登場しようとしておる。大臣は参議院で、医薬分業と新体系は不可分なりという断定を下した。不可分だとするならば、新体系は現在政府与党内部の情勢から見て、必ずしも通らないかもしれません。そのとき大臣は医薬分業を延期される所存なのか、この点をまず第一にお尋ねしてみたい。
  261. 小林英三

    ○小林国務大臣 いろいろ事を想定されたお尋ねでございまするが、ただいまの問題といたしましては、医薬分業に伴いまして、新医療費体系というものは、現実の問題として不可分の問題でございまするから、ただいま新医療輩体系によりまして各方面の了解を得て進んで参りたいと思っております。
  262. 滝井義高

    滝井委員 そうしますと、大臣は新医療費体系というものと分業とは不可分だ、こういうことですか。これをまず先に答えてみて下さい。
  263. 小林英三

    ○小林国務大臣 四月一日から医薬分業を行うことに決定しておられまするから、従いまして、現実の問題といたしましては不可分なものだと考えております。
  264. 滝井義高

    滝井委員 現実の問題としては医薬分業と不可分だ、こういうことでわかりました。そうしますと、私は現在の客観情勢から五つの場合が考えられます。  まず第一は、現在国会の情勢で、衆議院はまだ医療費体系を全然審議をいたしておりません。衆議院の審議はおそらく昨年の関係から考えて一ヵ月はかります。そうしますと、新体系を告示するのは、これは全国の医師や歯科医師の諸君に徹底せしめなければならぬので、現在の衆議院の一ヵ月の審議を見ますと、とうてい三月一日の告示は無理です。三月一日の告示はできません。これはできないことははっきりしております。そうしますと、あなたの方のとり得る手は、不可分だとするたらば、新点数を強行告示して分業に入る。私たちは主体的に医療費体系を審議する権限を持っておりますから、絶対一ヵ月ではできぬことは確実です。そうしますと、新点数を強行して、まず第には医薬分業に入る。これが一つ。  第二番目は、新点数というものは、現在与党内部においても不満である。先日の歯科医師の大会において、与党の幹部諸君も、これは再検討するということを堂々と公約いたしました。従って新点数を修正して、告示をして医薬分業に入る。これが第二。  第三の場合は、修正や何かを加えると、あなた方の金科玉条とせられておる総医療費に変化を来たしますから、これは必ずしもできないかもしれない。その場合には現行の点数のまま医薬分業に入る。これが第三。  第四番目には、現行点数では、医薬分業を順当に行うためには一、二のやりにくい点があるので、その点は修正して分業に入る。これが第四。  第五番目は、もはや分業をさいぜん言ったように実施するということがあるのですが、これは実施しない。こういうことはわれわれもそうだと思います。大臣も確認されました。  そうしますと、五つある。現在客観情勢はきまっております。一ヵ月では、とうてい三月告示ができないことは明らかである。そうしますと、一体大臣は五つのうちのどれをおとりですか。
  265. 小林英三

    ○小林国務大臣 ただいま厚生省で医療協議会に諮問しておりまするところの、いわゆる新医療費体系というものにつきましては、私はあらゆる機会に私の所見として申し上げておりまするように、これは厚生省といたしましては、最上のものとして作業して作ったものでございまするけれども、人間が作ったものでございまするから、各方面の意見を聴取いたしまして、そうして修正すべきところは修正して出すということが私の考え方でございまするから、現在の考えといたしましては、できるだけ各方面の御了解を得て、修正すべきところは修正し、そしてりっぱなものとして新医療費体系を出して参りたいと思っております。
  266. 滝井義高

    滝井委員 修正すべきところは修正をして、そして医薬分業に入るという、きわめて今までの厚生当局の態度とは変った態度が出てきました。問題は新医療費体系の点数だけではない。さいぜん私がるる申し述べましたように、一部負担というものがある限りにおいては、日本の大衆は医療を受けられないということなんです。この現実を厚生大臣がもし見落して、単に医者だけに関係のある新医療費体系などに目をくれておると、大臣は厚生行政落第です。従ってこれは健康保険の改正とこの点数の改正と車の両輪であるということを十分お考えにたって、むしろまだおそくはありませんから、大蔵大臣と折衝して、二十三億の患者の一部負担一つ切り落してもらう努力をするならば、おそらく小林厚生大臣の名前は、日本の社会保障を確立したということで後世に残るだろうと思います。一つそれを期待し、また大蔵大臣もそれに協力することな念願して私の質問を終ります。(拍手)
  267. 三浦一雄

    三浦委員長 井堀繁雄君。   〔委員長退席、稻葉委員長代理着席〕
  268. 井堀繁雄

    ○井堀委員 本日は労働、通産の両責任者が御都合が悪いそうで、私のお尋ねいたそうとする関係事項が大へん不都合になりましたが、また月曜日に残りをお尋ねいたすことにいたしまして、大蔵、厚生、建設、高碕国務それぞれの責任者にお尋ねいたそうと思います。それは住宅対策についてお尋ねいたそうと思うのであります。  住宅政策につきましては、鳩山内閣におきましては十大政策として、ことに去る選挙の際には、この政策ではかなり国民の関心を集めたと思うのであります。従いましてこれを実行いたしますことはきわめて重大な責任であると同時に、二大政党実現の現状にありましては、われわれもまた一半の責任を負うべき事柄とも思うのであります。住宅政策はかなり継続的に行われる性格を持つ政策であるだけに、よほどこの政策については慎重かつ正直でたけれねばならぬと思うのであります。申すまでもなく住宅が国民生活の本拠でありますとともに、今日住宅を量的に満たすという喫緊な要請もありまするが、しかし住宅のごとき長期的な性格を持つものについては、あまり功をあせって将来をあやまつようなことをしてはたらぬことは申すまでもないわけであります。こういう点で少しく内容について私は言及をいたしてお尋ねをしようと思うのでありますが、御案内のように日本の住宅の不足しておりますこの現状は――今まで世界の民族はいろいろな苦難の道をたどっておりますけれども、日本ほど住宅問題に苦しんでおる国民はそう数ありません。この状態を解決する能力が政治にないとするならば、それは国民から無政府状態のそしりを受けても余儀ないと思うくらい深刻な問題となっておるのであります。ことに戦争によって失いました約二百十万戸の被害あるいは疎開等によりまして、すなわち戦争によって受けた大きな被害というものを即刻解決しなければならぬ政治上の責任があるにもかかわらず、今日こういう当面の問題の解決もついていないということは、戦後それぞれの政治を担当した者の共同の責任ではあると思いますが、こういう問題を取り上げられて選挙のスローガンにいたしたことは確かに賢いことだったと思うのであります。それだけにこの結果に対して国民はきびしい監視を続けておると思うのであります。そこで私は昭和三十年度の予算の中で、私ども審議を続ける際にかなりわが党からもこの点について政府の責任をただし、かつその実行について国民の前に忠実なることを説いてきたのであります。ところが政府は、四十二万戸の住宅という大きなスローガンを掲げまして、その四十二万戸が、まだ三十年度の予算を終っておらぬのでありますけれども、今日の段階において私どもの見ますところにおいては、これは理想を掲げて現実を糊塗する最も露骨な自民党の政策の一つになりはせぬかと懸念をいたしておるのであります。それにもこりず、さらに三十一年度の予算にはかなり大きな数字を大胆に出しておるとすら思われるのであります。もちろん見方によりましては、今日この住宅不足を解決するための数字といたしましては、低きに失すること言うまでもありません。実現の可能性との間に問題があるわけでありますから、まず私は三十年度においてどのように実績を上げておられるか、もちろん三・四半期は終ったばかりでありますから、この間においてでけっこうであります。さらにあと残すところ一ヵ月でありますが、この問にどれだけの見込みをお立てになっておるか、この点についてできるならば具体的に数字をお示しになり、また政府の所信を明らかにしておいてもらいたいと思うのであります。
  269. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 住宅問題の重大性につきましては御説の通りでありまして、すみやかにこの解決をはからなければならぬのは申し上げるまでもないのであります。昭和三十年度の住宅計画の進捗状態はどういう状況であるか、かようなお尋ねであったと考えます。昭和三十年度の公営、公庫、公団の住宅の建設計画の状況を申し上げますと、すでにお手元に資料を差し上げておりますので御承知のことと存じますが、公営住宅につきましては、近くこの全部の着工を終る予定であります。公庫の融資住宅の中の新築のものは、ほぼ貸付の承認を終りまして、建築も着々進捗しておりますが、増築に対する貸付の承認は多少おくれております。ただいま第三回の申し込みを受付中でありまして、年度内には消化いたすよう努力をいたすつもりであります。また公団住宅につきましては、現在約六割程度着工いたしておりますが、三月上旬までには計画戸数の全部につきまして着工できるものと考えておる次第であります。
  270. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私の手元にいただいておりますものは三十年度の予算と三十一年度の計画と並べておりますが、今伺いますと公営住宅あるいは公団住宅と公庫の関係の、三つの政府の直接責任に次ります数についてでありますが、この内容については私は少し疑問を持つのであります。それはまああとにいたしまして、この四十二万戸のうちに民間の自力による建設計画をかたり過大に見ておるのではないかと思うのでありますが、まずこの点について三十年度の実績はどのように上っておるか、簡単でけっこうでありますから……。
  271. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 民間の自力建設住宅は、これは十月の統計でありますが、約六〇%の着工を見ておりますから、年度内にはこの情勢で参りますとほぼこの目標を達成するものと考えておるわけであります。
  272. 井堀繁雄

    ○井堀委員 そこで政府の計画と民間の両方の御説明がありましたが、私どものいただいております資料で拝見をいたしますと、三十年度で民間の自力によるものを二十四万五千戸、さらに三十一年度において二十五万二千戸を見込んでおるようであります。これは、私は四十二万戸を国民に約束された政府といたしましては、かなり無責任だと思うのであります。それよりもこの二十四万五千戸が果して自力によって完成されたかどうかということについては非常な疑いを持つのであります。また完成を六〇%と言っておりますが、その六〇%はおそらく私の調査いたしましたところによると、建築の手続上届出をいたすものの統計を取り上げて、その報告をいたしておるように事務当局に説明を伺いましたが、それによりますと五六%になります。まあ六〇%でもけっこうでありますが、その中にはかなり無理な、すなわち増築、改築の中で、こういうものを住宅の増加と認めてよいかと思われるものがかなりたくさんあるのです。しかしそのことをここで論議する必要はないと思いますが、この住宅の問題については全体にも影響いたしますから、簡単に私が説明してお尋ねをします。すでに二十七年から三ヵ年の住宅計画を実施されて、その実績がもう報告されております。その状態を見ましても、民間の自力建設は、あれほど政府が力を入れたにもかかわらず、二十七年にはわずかに十六万一千戸、二十八年において十六万六千戸、二十九年においても十六万六千戸をわずかに上回っただけであります。その計画前、二十六年の民間の自力によるものを見ますと、わずかに十四万九千戸であります。これを十年間さかのぼってずっと見てみましても、かなり低い状態にしかならぬのでおりまして、これが二十四万五千戸あるいは二十五万二千戸に躍進するということですが、一体何を根拠にして政府としてはかようなものをこういう責任のある場所に御提供なさいましたか。これは今後住宅政策と重大な関係を持ちますから、根拠のあるべき資料に基いて出されたのではないかと思うのでおります。私の今調査いたしましたところによると、この数字ははなはだ危険な数字であると思うのでありますが、所管大臣として明確な御答弁をいただきたい。
  273. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 昭和三十年度の自力建設住宅の数は、お説の通りに二十四万五千戸にたっております。それから三十一年度はさらに増加をいたしておりますが、これは経済規模の拡大、国民所得増加などを勘案いたしまして、この程度の民間自力による建設は可能である、かように考えた次第であります。
  274. 井堀繁雄

    ○井堀委員 あなたがそうお考えになるというだけで、実現のできることではありません。政府が責任を持って予算を組み、政府がみずから実施に当る公庫や公営あるいは公団住宅のようなものでありますたらば、私はあなたの御答弁によってある程度責任を果せるものと認めるのでありますが、民間の自力によるものについては、さように簡単に片づけられないということは、先ほども私が列挙いたしましたように、三年間政府の計画的な住宅政策が試みられたその間においてすら、わずかに十六万戸を上下しておるのにすぎぬことでもわかるじゃありませんか。それがどうして二十五万戸に躍進できるか。これは私を納得させることはできても、国民を納得させることはできない。事実としてすぐ馬脚を表わしてくるわけであります。もちろん今壕舎生活をしております者、あるいは汽車長屋のようなものに入っております者もそのまま存続せしめて、それをまたふやしてというようなことが行われるのであるならあるいはできるかもしれない。そういうことが行われっこないことは申すまでもないわけであります。そういう無責任な答弁国民はきっと責めるだろう。二十五万戸を建てるというなら、この二十四万五千戸をあと一ヵ月のうちに建ててみせる、現にこれだけ建てておるという証拠をあなたがお示しになって、三十一年度の民間自力の計画がこうなってくるということを述べられるたらこれはわかると思いますが、そういうお見通しについて的確な資料をもって答弁ができますか。
  275. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 二十四万五千戸の進捗の状況につきましては先ほどお答えいたした通りであります。そこで、これらの計画、見通し、どういうことが根拠であるかというお話でありますが、建築の動態の統計などを基礎にいたしましてこの程度は行けるものである、かように考えておる次第でおります。従来とても相当の成績を上げた年もありますので、統計を基礎にいたしましてこの計画を立てた次第であります。従いまして、三十年度の二十四万五千戸につきましては、先ほど申し上げました通り、大体年度内に着工ができる。ただ増築分が多少おくれておりますが、これも先ほど申し上げました通りに申し込みの受付をさらに始めておりまして、これも年度内にやっていける、かように考えておる次第であります。
  276. 井堀繁雄

    ○井堀委員 あなたの私へのお答えは同じことを何回も繰り返すことにたりますので、私率直にお尋ねしますから率直に答弁をしていただきたい。民間の今言う二十四万五千戸は、今言われたようにもうあと一月そこそこしかありません。大体五六%と事務当局が報告しております数字を割引きして五〇%と見てもよいのであります。あと一ヵ月か二ヵ月残す状態の中でどうして四五%なり五〇%を満たすことができますか。民間の住宅の建設状況なんというものは常識で判断ができるのです。できっこありやしませんよ。その上にさらに二ヵ月、三ヵ月で、半ばに近いものを残して、いよいよ四月から三十一年度を始めるのに、またぞろこんな多額のものを見込んで、そうしていかにも政府が住宅の不足にこたえているようなそういう偽わりの政治は、おそるべき結果を他に招来するのでありますから、こういうようなことについては、もっと真摯な態度で臨むべきだと考えたのでお尋ねをしているのであります。あなたが責任の持てる事柄と持てない事柄がある。政府が民間のあと残っている四五%に対しまして住宅を建てます金を貸すわけではありません。それをどうしてなさいますか。そういうむちゃな答弁をなさるのでなくて、正面にその見積りが甘かったら甘かった、そうであるというならば三十一年度に対する対策をまた新しく考えればよい。これは非常に大事なことであります。私は何もあなたの責任を責めているのでも何でもたいのであります。事実を正確につかむことが、政治を志す者として国民に対する責任ある態度だから申し上げるので、そういう意味で正確な御答弁をいただきたい。
  277. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 これは、お手元に差し上げてあります資料にも書いてありまする通りに十月までの数字であります。従いまして、一、二ヵ月というのでありませんで、これを基礎としてさらに三月までの数字を推計いたしますと大体百パーセント近く行けるものである、かように考えておるのでありまして、決してでたらめの数字を申し上げておるつもりではございません。十月以降の期間にさらに着工ができる、かように考えておる次第であります。
  278. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私は誠意をもってあなたの責任ある立場をかばう意味でお尋ねをいたしました。あなたの立場を考慮してお尋ねしたつもりであります。できもしないことを言われても困る。これは水かけ論になりますが……。そこで、これはすぐここでほかの閣僚からしてお答えがしていただけると思うのであります。それは、経済六ヵ年計画、この中に住宅の不足を見込み、その住宅の建設計画を明らかにされております。これと比較して論議をすればきわめて明確にたると思いますから、企画庁長官にお答えをいただこうと思いますが、あなたの方から提供された資料を拝見いたしますと、住宅はさすがに六ヵ年計画では国民の要望にこたえられないというので、十ヵ年ないし二十ヵ年を見込むべきことを暗に説明の裏に知ることができるわけです。一応十ヵ年計画を出しております。その中における六ヵ年計画を拝見いたしましたが、一体この中で、一番大事な、今言う、民間の自力による建設がどのように見込まれているかを、あなたからならもっと正確な御答弁をいただけると思う。そのあと建設大臣からお答え願うとして、この点に対するあなたのお答えを、簡単でけっこうですから、要点だけお答え願いたい。
  279. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 大体二十六、七年のころは、民間の住宅計画に対して比率は六一%ぐらいだったのでありますが、現在は五八%ぐらいに置いていきたい、こう思っております。五ヵ年計画におきましては、民間の比率を五八・九%でやっていきたい、こう思っております。
  280. 井堀繁雄

    ○井堀委員 それでは今のあなたの答弁はちょっと説明書をお読みになった程度であります。それじゃ私はもう少し突っ込んで企画庁長官にお伺いいたしましょう。  まず第一に問題になりますのは、住宅の不足をどう把握するかというところに問題があります。これは過去の事実をさかのぼっていくわけですから、見通しと違いまして、偽わりが言えないわけであります。今六ヵ年計画を拝見いたしますと、約二百八十四万戸の不足をここに出しております。このデータについては、私はいろいろ疑問を持っております。もっと私は多くなると思うのでありますけれども、それは数の違いといたしまして、ここで二百八十四万戸を六年間で解決していくにはどうすればいいかということを一応目やすにして政府の作業をやった人が計画したことはわかるのです。算術的には答えが出てくるのです。そこで四十二万戸という数字が出てきたのです。その四十二万戸につじつまを合せるために、苦しい政策の盛り方をしたものと見るのが妥当な見方だろうと思うのであります。私はあなたの立場になってこの問題を取り扱う場合にも、そうする以外にないと思うのです。しかしそれはそれとして、冒頭に申し上げたように、住宅のようなものについては、あまり国民に期待を持たして、そしてできもせぬようなことをやりますことは、鳩山内閣の不信を買うだけではありません。要するに国民が政治に対する不信を抱くのです。もう二年か三年の後には事実になって必ず現われてくるのであります。まっかな偽わりを暴露されてどう答弁するかということは、これは政治を志す者に同様の――与党、野党の立場ではありません。こういう意味でお尋ねをしておるのでありますから、いいかげんなそのときのがれた答弁は後に災いを残すからお尋ねしておるのであります。事務当川の数字の遊戯の中において考えられる答えを求めておるのじゃありません。住宅の問題はもっと深刻たんです。そういう意味で私はお尋ねしておるのでありますから、このデータにこだわらないでけっこうであります。もしデータのことで申し上げるなら、私は言いましょう。こういう種あかしをするのは適当でないと思いますが、この計画をお作りにたったのは何といっても一番出発のものは二百八十四万戸という、この絶対的な不足の数字の上に何とか調子を合せようとしたところにあるのでありまして、それをやりくりしても五ヵ年計画に入ってこない。六ヵ年計画の中では半分も満たすことはできない。そこで責任のがれをするために国民の住宅建設能力というものが増大してくるであろうということで、これは根拠がないから逃げられるだろうというところに逃げ込んでおるわけです。これだってほかの政策からいえば逃げられなくなってくるのですよ。でありますからずるずる延ばして十年間のうちの五年間をとったとか、六年間をとっていくとかいうようなことをやっておるのです。でありますから、この意味からいって、この五ヵ年計画というものは住宅政策に関する限りはその一部を引き受けたというにすぎぬのである。このこと自体が経済五ヵ年計画、六ヵ年計画の中に大きな足を出しておるのであります。しっぽを出しておるのであります。でありますからもう少しこういうものに対しては時間をとらさないで御答弁をいただきたい、こういう説明を私は加えたくたいのであります。さいぜんから正直に言っておるじゃありませんか。住宅計画というものはそう易々たるものじゃない、非常に困難なものであるということを承知して私は言っておるのであります。でありますから、可能なものを可能な状態において国民の前に政策をもって明らかにしていかなければいけません。民間のことを政府がとやかく言うことは失礼千万たんです。こうしてほしいというスローガンを掲げるのならけっこうです。いかにも四十二万戸政府が作って上げるような言い方は、慎しむべきだと思うのであります。こういう意味でお尋ねをしておるのでありますから、それでは時間がかかりますけれども、もう少しそこの点に入ってみましょう。  たとえば戦争によって失った二百十万戸という住宅は、これは動かすことのできない現実なんであります。さらに疎開によって五十五万戸か五十六万戸、これもまあかなり統計の上にも怪しいものがありますが、大体こう押えることができるでありましょう。そこで次に出てくるものは、人口の自然増を押えて、その自然増に比率をかけて、そうして不足額というものを年々見込んできておる。あるいは腐朽あるいは不良住宅と申しますか、そういうようなものの減耗率というものを一応過去の実績に基いて数字を出しておるのであります。こういう数字の中にもきっと私は大臣もしくは政府から作業をやっておる人々に対して無理な注文をなさったのじゃないかと思うのでありますが、一番甘い、一番ぶっかけられやすい高い率を引っかけてきて計算をしてみても一体四十二万戸という数字を出すためには非常な苦心をしておると思うのであります。四十二万戸をかけてくれば大体人口の増加率というものを過去の実績の中から低い目に押えて、人口が大体横ばいから下にいくだろうという見込みを立てて数字を組んでいきましても、過去の十年間の実績から見ましても、少くとも私は一世帯を五と見るか四・七と見るかということによって違いが出ますが、五と見ましても三旧四十五万世帯の増加を見てくるわけであります。これはいやでも応でも世帯を持つのでありますから、間借りをするか、あるいは自分で建てるか、どちらかの住宅を必要とする人口が決定的な数字として出てくるのであります。こういう数字をずっと追及をしていきますと、どうしても四十二万戸建てなければならぬということはわかるのです。四十二万戸でもこれは解決しません。だからその数字の出たこと、その理由については私は認めるというのです。そのしりをほかへ持っていかたいように――政府はさっき言ったように、正直に公庫と公団方式と、さらに金融公庫の資金融通の形において政府の責任の限界を明らかにして、その範囲内においてなし得るものは幾らであるかといえば、せいぜい十四万戸か十五万戸ぐらいにしかすぎぬと思う。三十年度の予算の中で十四万八千戸と、こう言っておりますが、私が今問わないうちに――今一番くせ者なのは、公庫住宅資金の運転の中でありますが、これは追及をしますとすぐ明らかになってきます。私も試みに事実に当って調べてみましたけれども、ここに多少弾力性を持たしてわれわれに対する答弁をごまかしていこうとすればできぬことのない数字がある。これはなかなか実際に取り組んでみて正確な数字をつかむということとは、多少の幅が出て参りますが、その幅も大したことはありません。今あなたが言われましたように、住宅金融公庫の貸し出しの内容を見ていきますとわかりますように、まだこの予定のうちの半分もいっておらぬじゃありませんか、半分どころじゃありません。これは私はきっとそのほかの方法で調べれば出てくると思います。でありますから、政府が一番責任を持つ、直接的に扱えるところの数字は、そのまま政府の数字を認めたとしても十四万八千戸しかできないのです。これをふやせという要求を国民はしておるわけであります。私どもも希望しておるのでありますけれども、その要求がここで満たされるかどうかということについては、実は三十一年度においてわずかの数字をずらしておりますけれども、そのずらし方は、私は事実の上に出てきた数字だと思います。でありますから、公営住宅の中では前回の五万二千戸を、五万戸を割る四万八千戸という数字をここに報告しておりますが、減らしてきておる。これがほんとうです。予算をもっとふやせば別であります。さらにまた日本住宅公団式のやり方についても、これは私あとでいろいろお尋ねいたしますけれども、ここではわずかに三千戸ばかりふやしてきている、というのは、三十年度の計画に非常な水割りがあり、困難があるものですから、住宅の要求は強くなり、あなたが今言われた比率をかけていきますと、三十一年度は高いものになりますよ。私この数字を出してみましょうか。でありますから、こういうところに、住宅政策に対する政府の人気取りというものがしわ寄せされてきているわけであります。しかしそれをあとあととやっていきますと――もっともこれでやめられるのかもしれませんけれども、あとを引き受ける方が迷惑する。でありますから、ここで明確にいたしておきたいことは、それができたいとすれば、せめて住宅というものは、御案内のように、これは公営住宅法の中にも明文化されております。あるいは住宅公団法にもそれぞれ明らかにされておりますように、ただ家を建てさえすればいいわけではありません。たとえば日本住宅公団です。これはこの間審議されたばかりでありますから、記憶に新しいところでありますが、「住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行う」と書いてある。さらにまた公営住宅法の第一条でも「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」というように、法律は政府にきびしい命令をいたしておるわけであります。またこの責任を遂行しなければならぬわけでありますから、数でごまかしますと、質の点において健康にして文化的どころではありません。  そこでこの問題について私はきょうお尋ねするつもりでおるわけでありまして、前段で時間をとりまして残念に思いますが、私の伺いたいことは、今日の住宅政策というものは、もちろん一般的には住宅不足に悩んでおります現状というものはあまりに惨たんたるものであります。これを満たすためには、まず数をふやさなければいかぬということも要請の一つでありますけれども、同時にこの三つの法律の中に規定されておるように、国民生活の本拠であると同時に、あなた方が大きく期待しておりますところの民間住宅の増設について、国民経済力を育成していくためにはどうすればいいかということが、総合的に出てくるものなんです。それは住宅政策から切り離すことができないわけで、他の経済政策と相まって出てくるものなんであります。そこで今私が読み上げましたように、低額所得者、勤労者の問題を特に取り上げておるわけでありますが、これは私が説明するまでもなく、法律を審議した皆さんも御存じの通りに、勤労者によい住宅を与えるということは、休養の機会と労働の再生産のよき結果を期待する、そのための住宅政策であることはあまりにも明確なんです。ところが量の上において、先ほども申し上げるように、大きな水割りをし、人気取り政策にこれを使ってにっちもさっちもいかなくなっておるところにもってきて、そのしわ寄せはどこにくるかといえば、産労住宅に見るように、住宅公団の中に見るように、あるいは金融公庫の間に見られますように、その資金の回収に営利事業と異なることのない、むしろ営利事業の場合でありますならば、一時採算は合わなくても、長い計画の中で取り返すという商業ケースで取り扱いますから、まだゆとりはある。片方はお役人式に取り立てたり、貸し付けたりする規則をやかましくいうのであります。その結果はどうなっているかといえば、大口の資本もしくは大手筋の経営者にこの住宅が利用されておるのです。低額所得者を抱えております中小企業、零細企業のもとにおける住宅の供給はどういう状態になっておるのか。その点について建設大臣調査をなさってその御報告をする義務があると思うのでありますが、御用意がございますか、その結果を正直に報告して下さい。一体公庫なり、住宅公団のあれはまだ短かいのでありますけれども、公営住宅の実情を見ればわかる。建っておるところを見てくればわかる。   〔稻葉委員長代理退席、委員長着席〕 中小企業の稠密地帯や、あるいは零細企業の労働者が入っておるところ――たとえば一種、二種の分け方を見ても、家賃で区分しておるのじゃないか。これを統計の上から見ていけば、一万六千円という月収の者をめどにして二種を貸すとか、あるいは一万六千円以上の者に対して一種を貸し付けるとかいうように、ちゃんと低額所得者入るべからずと線が入っているじゃないか、現実にそうなっているのです。要するに量の上でまかなえなければ、住宅はただ格好だけつけてごまかせばいいのではないのであります。拡大生産になるように、その住宅の提供が再生産のために働きをしてくるようた貸付をしていかなければいけない、あるいは住宅の供給はそういうところに優先されなければたらない。それが現実はあべこべに流れているではありませんか。これをどうごらんになっておられますか。正直に建設大臣は、一つその結果に対するあなたの勘でけっこうですから、数字はちょっと困難だろうと思いますので、率直に答えて下さい。その返事によりまして次のお尋ねをいたしたい。
  281. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 低額所得者に対する住宅の供給を特に考えなければならぬという御趣旨は、まことにその通りであると思います。そこで昨年の議会でありましたか、あまり坪数の小さな住宅は建てないようにというような御希望もありましたので、三十一年度においては坪数を引き上げることにいたしたのであります。その引き上げますにつきまして、昨年は六坪の住宅を四千戸余り作ったのでありますが、本年はその六坪程度のものを減らしまして、千六百六十戸ということにいたしました。一面議会の御要望に沿いつつ、その反面におきまして六坪といったような小さな、従って低家賃の住宅を全廃することはよくない、かように考えましたところから、両者の意見を勘案いたしまして、千六百六十戸だけはこれを残すという方策に出たのであります。これは低額所得者について特に考慮を払わなければならぬという御意見に沿うものであると、かように考えます。なお産業労働者に対する住宅につきましては、国家が六割の補助をいたし、会社でその残余を持ちまして、産業労働者諸君のために住宅を提供する、こういう方法をとっておりますことは御承知の通りであります。ただ大きな会社だけが受益者になるではないかというような御意見でありますが、この点は十分に注意をいたしまして、法規にいわゆる五人以上の使用人というような規定もありますので、その規定の趣旨に沿っていかなければならぬと、かように考えておる次第であります。ただいま数字を持ち合せませんので、それだけを申し上げておきます。
  282. 井堀繁雄

    ○井堀委員 これは私の手元で調べておる数字がここにございます。これによりますと今まで流れております住宅の傾向を見ますと、七〇%までは大手筋に流れておる。それは流れざるを得たいような制度に欠陥があるわけです。この点について、私は建設大臣としては適当な処置をおとりになるよう警告いたしたい。それは、一つには、この住宅法をよく検討いたしますとわかりますように、貸し付けを行なったり、あるいは分譲の場合の最後の負担を一番安全なところに求めるという行き方をすることは、事務屋として当然なことだと思う。一番安全一率の高いところとなると、これは大手筋です。それは金融と同じことなんです。ちょうど商業金融のように、住宅も同じ足並みをとっていったら、この住宅政策はゼロなんです。住宅政策に関する限りは社会政策的な強い政策が入ってこなければ――特に企画庁長官にも申し上げておきたいのですが、五ヵ年計画などというものはくずれてしまいます。きょう労働大臣もお立ち会いの上で、あるいは厚生大臣もお立ち会いの上で、いろいろお答えをいただきたいと思っていたわけです。今日の住宅政策は、もう強い生きた現実の労働政策になって出てきておる。たとえば、労働時間を八時間ということで、労働のいたずらな摩滅を保護して、優秀な労働力を期待するという大きな政策からいう労働時間のようなものが――これでは八時間制度は役に立たぬじゃないですか。通勤時間に二時間、三時間を費しておるのはまれじゃありません。これは完全に拘束されておる時間であります。途中の時間はおくれれば作業に差しつかえる。しかも今日のラッシュ・アワーにおけるところの――あなた方は自動車ばかりでお歩きになっておるから御存じないでしょうが、なかなかの苦労です。でありますから八時間労働制は日本の場合においては麻痺しておる。それを即刻解決する義務は住宅政策にあるのです。でありますからすべての住宅に間に合わなければ、どこに優先的に供給をすべきかという、こういうところに私は総合計画の意味があると思う。建設省だけにまかしおけば建設省はそれぞれの建設の技術に対するエキスパートが集まり、その方の方針は確立されるかもしれません。労務政策として住宅政策が考慮されていたいことはあまりにも顕著な事実です。きょうは通産大臣がおいでになりませんから、日本の中小企業の危機を打開するための対策はいろいろありますけれども、こういう住宅対策の中に一つの片りんが現われてこなければそれはお念仏だけのことです。こういう点で私は住宅政策の問題についてもう少し力の入れ方を工夫されれば――大蔵大臣にも言っておきますけれども、まるで銀行局が金融機関を監督すると同じような流れが、住宅金融公庫の中にもあるわけであります。同じ金融をするにも、住宅金融公庫の性格はどうなければならぬか、商業金融と足並みを同じくしていいとあなたはお考えにたっておるかどうか、まず大蔵大臣にその点をお尋ねいたしまして、もし同列でないとするならば適切な手を打つ必要を私は痛感するのでありますが、これに対する大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
  283. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 住宅金融公庫が普通の金融機関とその性格を異にしているとは申すまでもありません。これは住宅を作ることを専門といたしております。従いまして住宅のために最も適する施策、言いかえれば長期でかつ比較的金利の安いものを回す、そういうことは考えなければならぬものと思っております。
  284. 井堀繁雄

    ○井堀委員 大蔵大臣にもう一度お伺いしますが、その御趣旨は私の主張に対しては同感の意を表されるのでありますが、これはあなたの職権ですぐやれることなんです。試みに私の経験したことを申し上げると一番いいのでありますが、いろいろな相談を受けますが、実際今日の公庫の貸付は官僚的です。そうしてそのシステムというものは一般の市中銀行と異なりません。でありますからそういう考え方でいきますならば、これはもちろん貸付でありますから、確実に回収され、それに利息をつけさせなければならぬということは、これは法律の命ずるところでありますから、これを否定するものではありません。しかしそこには自由裁量というものがあるはずである。その裁量を十分指導されないで、一片の通牒や一片の規定だけでやらせたのでは、私はこの住宅公庫の――さっき私は問わないのに建設大臣答弁をされましたように、事実は、今昭和三十年度のわれわれが一生懸命審議した住宅の貸付は、まだ三分の二も終っておらぬじゃないですか。実際それを借りる小口のものほどえらい苦労をしております。十万そこそこの金を借りるのに見積り方によって違いますけれども、最低五千円かかります。最高二万五千円くらいかかります。いろいろな付帯書類をつけていかたければなりません。そうしてそれをきめるまでの間に何日通ったらいいと思います。しかも今日の窓口たるや横柄千万です。今日住宅を建てるために休んでやっておればいいです、相手は勤労者じゃないですか。勤めを欠いてはいけない。日曜は休みです。こういう点に対する適切な配慮としうものがなければ、絵に描したもちになるのです。四十二万戸いかにもくれそうな感じを与えて、実は人のふんどしをあてにして、そのふんどしもあてにたらぬときているという。肝心な責任のもてるようなところにおいても、下へいけばから回りをしている現状です。こういう現状を即刻あらためられる立場にあるのはあなた大蔵大臣です。こういう点に対して適切な処置をとる決意がありますか。決意があるなら即刻命令なさることが妥当だと思いますが、どういう方法でやられるか、一つお伺いしたいと思います。
  285. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 金庫の職員も金庫の性格にかんがみまして適切たる努力を払っておることを疑いませんが、しかし御指摘のような点がありますれば、十分調査をいたしまして、これを是正するにやぶさかでありません。
  286. 井堀繁雄

    ○井堀委員 是正されるためにも調査は必要でありますから、私の言ったことに疑いがあるならお調べになって、お気づきになったら是正されることがいいと思います。そしてその結果をまた伺いますから。  ここでついでに申し上げておきまするが、次に問題になりますのは法律の運用上の問題でありますが、もう一歩突っ込んで聞かなければならぬ。それはどういうことかといいますと、この法律の盲点といいますか、弱点といいますか、この法律自身が看板に偽わりがあるということになる。低額所得者のためにと大上段に振りかぶっている。低額所得者の場合においては、分譲の場合においても直接いくのではありません。産労住宅の場合におきましては、雇い主の責任になる。それから貸付の場合においても家賃でもうけるわけです。所得調査というのですが、その所得調査の基準が一体どこにあるかということを、これは建設大臣所管ですけれども、御存じでしょう。そこで実態一つ申し上げましょう。今日あなたの方の規定しております所得の限界というものは、今日全産業にわたる労働者のうちのわずかに三〇%の人が合格するだけです。それ以下の人は合格しません。特に今住宅の必要を痛感しております中小企業、零細企業のもとに雇用されております六〇%の人々は、それ以下たんです。専門的に見ていきますと、所得の限界、また家賃にいたしましても、分譲の価格にいたしましても、今収入実態調査をやっていろいろな統計を調査してみますと、非常に低いものになっている。住宅に支払われるところの生計費の中のウエイトというものは、この住宅の金額はかなり低いものであります。時間の関係がありますからそれは言いません。あなた方もお調べいただきたい。その実態と合わないものを、どう調整されるかということに対して、建設大臣は何か適当なる処置をお考えになっておりますか。この点伺っておきましょう。
  287. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 ただいまのお話でありますが、私今ここに統計的な数字を持ち合わしておりません。よく調査をいたしました上で御答弁を申し上げたいと思います。
  288. 井堀繁雄

    ○井堀委員 今まぐ御答弁いただくことは困難かと思いますが、私の指摘いたしました点に対して、即刻それぞれのデータをお調べいただきまして――今法律にいっている低額所得者、しかもそれが日本の産業をになっております中堅です。そういう人に住宅が与えられないという事実を、即刻解決されるための措置を、今の法律の命ずるところによってもできますが、その案件を出して、ぜひ委員長を通じて御回答を、文書なり、適当な処置で一つお願いをいたしておきたい。大蔵大臣にも同様の意味でお願いをいたしておきたい。  それから企画庁長官に希望いたしておきたいと思いますが、この五ヵ年計画、六ヵ年ですか、今後六年の間鳩山内閣が続く、あなたが企画庁の長官をお続けになるということは、よもや予想していないと思います。どうせこれはそれぞれバトンを渡していくわけです。でありますから、この計画はひとり鳩山内閣の責任だけではないと思う。特に住宅のようなものは次から次に受け継いでいくわけです。そういう意味で、もう一度この五ヵ年計画に対して検討されまして、きょうここで御答弁をいただくということはあまり性急な仕方だと私は思う。私はこの委員会に出られるかどうかわかりませんが、他の同僚の方に答えていただいてけっこうだと思う。あるいは文書で提出していただけばなおけっこうだと思いますが、少くともこの五ヵ年計画の中における住宅政策だけについては、特に一応数字を御検討いただいて、この建設省のいう四十二万戸がさらに増大する、この計画というものが継続性があるかどうか、その点に対して、特に民間の関係については、もう一度数字の検討をして訂正をしていただいて、そして確実な数字をお示しいただきたい。大まかな数字の表わし方では私どもはとうてい納得できません。こういう点に対して、他の政策とも非常に関連が深いと思いますので、もう一度検討されまして、文書による資料の形でもけっこうです。回答の形でもけっこうでありますから、本委員会を通じて一つ答弁をいただきたいと思います。
  289. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 六ヵ年計画、今度これを五ヵ年計画に変えましたが、この住宅問題は私は今井堀さんのおっしゃることに全く同感でありまして、これは短期間にやるべきものではない、長期をかけなければならない。それにつきましては、第一年度である三十年度の実績に顧みまして、逐次これをまた間違いがあれば、次の実行に移る際に変えていきたいと存じます。ただいまのところ三十年度は大体実行できるという目安で三十一年度を組んだわけであります。それができないということになればまた考える、こう思っております。
  290. 井堀繁雄

    ○井堀委員 今御答弁をいただきましたので、その御答弁に従って一つ計画をお進めいただきたいと思いますが、そこでもう一つ建設大臣に具体的なものを一、二お約束していただけるものならしていただきたいと思います。現在の法規をいろいろ調べていきますと、できないことはないと思うのでありますが、分譲住宅の場合に集団をなしておる中小企業地帯とかあるいは零細企業地帯があるわけです。あるいはまた労働者の住宅地とそれから就業しております地域との間がかなり雑多な形で、序列も統計も何もないわけです。この間その統計をつかむためにかたり苦心をいたしましたが、わずかに運輸省の交通統計があるだけなのです。それも通勤の状態をどう見たらいいかということは問題だと思う。それからまた首都建設委員会か何かが都市人ロの分散に対する問題を扱っておりますが、そこでも少し資料が扱われておるわけです。そういう計画は一応できるのでありますが、実際上の悩みは――大手筋は私は今受け入れ態勢はあると思う。現に一例ですけれども、これは名前をはばかりますけれども、大きな工場が従来工員住宅を持っておる。しかしこれが低利で借りられますから、そろばんを置いてみますと、今までの金融の逼迫した時代においては、かたり割のいいこれは融資なんです。それに便乗して、その規定通りに住宅を新しく建てるのです。それで古い住宅を倉庫や、あるいは自転車の置場や、あるいは厚生施設に振りかえておりますから、そこだけを見れば、悪いことはない。しかし住宅政策としてはあまり適当なやり方でない。一方にはさっき言うように、まだ壕舎生活をしたり、むね割長屋に入ったり、風紀、衛生その他からいいますと、法律が言っている文化だの健康だのはしにも棒にもかからない。全くこんなところに住まっていて、どうして休息だの安定だのという言葉が使えるか、そう思われるようなひどいところがたくさんある。そういうところはおおむね低額所得者です。そういうところには今の機能は働かないのです。これを要するに回転させるための措置は、私は建設省が労働省あるいは厚生省などと話し合いをつけられて、そういう実態に対する解決を即時つけられる道が私はあると思う。こういう点に対して建設大臣は何か具体的に検討されてやろうとする御意思があるかどうか、あるならそのことを一つお聞かせ願いたい。
  291. 馬場元治

    ○馬場国務大臣 今お話のような点も一、二私も承知しております。それでこれは何とか解決をしなければならぬという考えで、省内において検討をいたしておりまするが、さらにお話のように関係各省とも連絡をいたしまして、何らかの適当な方法を講じて参りたい、かように考えております。
  292. 井堀繁雄

    ○井堀委員 厚生大臣にちょっとお尋ねいたします。この住宅政策とはこの点ははずれますけれども、厚生年金の還元融資が従来住宅の一部に使われておりますが、今後三十一年度では一体これにどのくらい計画されておりますか。またその運営に対して従来のやり方は、今私がそれぞれの大臣にお尋ねいたしましたように、まだ非常な欠点や盲点があるわけであります。そういうものを抜本的にこの際改めて、適所適切に住宅が供給されるような還元融資の道をお考えになったらどうかと思うのであります。その場合に、もっと具体的にいいますと、あなたの方の所管生活協同組合の指導育成をなさっております。この中に住宅を扱うことの規定があるわけであります。これは、私はそういうものを利用する人々の自主的な組織として伸ばすべきものだと思う。今日の生協が直ちにこんな事業をやれる実力を有するかどうかは問題があると思います。しかしそれを行うところの資格は十分あると思う。そういう資格に対して要するに適当な措置をお講じになる御意思があるかどうかを一つお答えいただきたい。この三つの点について事務当局でもけっこうでありますからお答え願いたい。
  293. 小林英三

    ○小林国務大臣 はなはだ恐縮でございますが、今の御質問を聞いておりませんでしたから、もう一度ひとつ……。
  294. 井堀繁雄

    ○井堀委員 簡単に申し上げます。そうむずかしいことじゃありません。現在の厚生年金の積立金はかなり大きな金額になっている。これはもう還元融資をやるということについては大蔵大臣も額は言いませんでしたけれども、できるだけ大幅に還元融資をするということを前回もお答えになっております。それから、本質的に言えば、これは労働者と雇い主が積んだ金です。あなたもお積みになっておる。私も積んでおる。その金を労働者のために還元融資をしなさいということは、社会保険審議会の一致した答申にもなっておる。世論となっておるはずだ。それを大蔵大臣が一手に引き受けております資金運用部資金として、握っていて放さないのです。ああいうことをしちゃいけない。だから早く還元融資をしたさい、こういう世論だ。これはあなたのところの所管です。この傘を今まで、さっき申し上げるように住宅に出しているのです。国の計画もか細いものです。だからそういうものでも広げていくということは急がなければなりません。一番できやすいところです。その還元融資のワクを広げてはどうか。ちょうど大蔵大臣もおられますが、この前大蔵大臣は広げましょうと言っておる。あなたが広げる気になれば大蔵大臣も相談に乗るだろう。だからそれを広げたらどうですか。  それからもう一つある。それは広げるだけではだめなのです。予算を取ったって借り手がなければなりません。その借り手は、あなたも御存じのように中小企業、零細企業というものはなかたか取りつきにくい。それを取りつかせるためには、今生活協同組合法がある、この法律の中にはその他法人とある、このその他法人の中に入るわけですから、そういうものを生かして、もっと住宅政策を実際に近いものに進めようとすればできるわけなのです。あなたがここでやろうということを御答弁になれば、事務当局はさっさと行動に移すと思う。この二つの点について、簡単でけっこうですからお答え願いたいと思います。
  295. 小林英三

    ○小林国務大臣 厚生年金の還元融資の問題につきましては、大体この二、三年剛毎年十億くらいずつ元金をふやしておるのでありますが、なおこの問題につきましては厚生省の希望といたしまして、三十一年度は五十五億と決定いたしておりますが、今後なおこれらの資金を増額いたしていきたいと思うのでございます。ただいまの還元融資の問題につきましては、大体大企業がそのワクの中に入っておるのでございまして、井堀さんのお尋ねのような中小企業の問題につきましては、私どもといたしましては都道府県知事に住宅を建てさせて、これを中小企業に利用さすというような方向で考えておるのでおりますが、ただいまの御質問の趣旨につきましても今後なおお考慮をいたしたいと存じております。
  296. 井堀繁雄

    ○井堀委員 還元融資の問題については、そこに大蔵大臣もおいででありますが、今五十億ばかりと言っておりますが、これはもっと出せると思うのです。あなたは出したくない方だろうと思うのですけれども、今の厚生大臣の要求に対してはお答えになりましたかどうですか。
  297. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今厚生大臣がお答えになった五十五億、昨年は四十五億でして、十億今ふえておる。戸数にしまして勤労者の厚生住宅、昨年六千戸でしたが、ことし七千戸くらいできようかと思っております。
  298. 井堀繁雄

    ○井堀委員 これは千戸くらいなんてけちなことを言わたいで、さっきお聞きの通りに、全体的には、これは絶対的に壁にくっついているわけです。だけれどもここだけははけ口がある。あなたと厚生大臣の方と話が合えば、これは五千戸どころではなくて二万戸くらい建ちますよ。どうです。これを二つお出しになる決心をここで発表できませんか。もう一ぺん厚生大臣に先に伺いましょう。今言うように、金は一千億あるのです。それを全部出すというわけにはもちろんいきませんけれども、その二割や三割は平気ですよ。だから、そんな五十五億なんということを言わないで、もう少し住宅の数でここ二、三万戸ふやすような計画をお立てになることはどうですか。これは今の全体の予算とは直接関係はありません。あなた方お二人が決心すればできる。この点につきましてもう一ペん小林さんの決心をお聞かせ願いたい。
  299. 小林英三

    ○小林国務大臣 お聞きのような問題につきましては、大蔵大臣とも相談いたしまして、今後できるだけ考えたいと思っております。
  300. 井堀繁雄

    ○井堀委員 それでは住宅の問題につきましてはいろいろまた資料も御提供願いまして、それぞれの機会に追及いたしたいと思いますが、最後にお願いをいたしておきたいと思いますことは、今日労働大臣通産大臣においでいただきまして、そこではっきりいたしたいと思いましたのは、住宅の問題が一つと、それからいま一つはこれも厚生、大蔵、労働の関係におきまして日雇い労働者の問題があります。この日雇い労働者の問題は各委員会でやりましたのではまとまらない。三人の大臣おそろいのところで、はっきりきめてもらわなければならぬ問題が二、三あるわけであります。その中で一つ大蔵大臣と厚生大臣の間だけで解決つくものがありますからお伺いいたします。それは年未に皆さんのお骨折りで気の毒な日雇い労働者に対して、わずかの金額でありますが、年末の越年資金を差し上げた。それは府県によって多少異なりまするが、大体二千円から三千五百円くらいの間です。その金が、実は右から渡されて左で取り上げられてしまったという実に哀れな事実がたくさん出てきております。それは年末手当を差し上げたのはいいのです。ニコヨンの中には御婦人、特に未亡人が多い。私のところに訴えてきておるのだけでも十件ばかりあります。その十件はほとんど九人までは御婦人であります。未亡人で子供を二人ないし三人、四人くらいかかえて、ニコヨンで、安い人は百九十一円なんという日給で働いている。二十一日しか働きませんから四千円足らずです。でありますから、いろいろな生活扶肋を受けておる。ところがその生活扶助の規定の上からいきますと、年末にまとまって二千円たり三千円の金をいただきましても、それがたまたま総額超過によつて差し引かれるということになっておる。その三千円もらったのはいいけれども、毎月三百五十円から四百円ずつ向う六ヵ月間ないしは十ヵ月間差し引かれるというのです。ですから、もらったのはいいけれども、実は一ぺんでもらってもう使ってしまっている。そうすると、その次から当然予定しておりまする生活保護法による資金が三百円なり四百円たり六ヵ月ないし十ヵ月減ぜられるという悲惨な事実に当面しているわけです。これは懸の当局、市町村の当局などに相談をいたしましても、ここではどうにもならない。これは厚生大臣大蔵大臣の話し合いで解決をする小柄だと思うのです。こういうことになっていることをお聞きになったことはございますか。あるいはそういう事実について御調査なさってもけっこうですが、そういう事実は随所にあります。こういう問題はここで御答弁願えればすぐ翌日から実行できることと思いますから、御答弁願いたい。
  301. 小林英三

    ○小林国務大臣 生活保護法によりまして、最低生活を確保するために保護しております問題として、勤労ををなさっておる方に対しましては、もちろんそれに必要な経費でありまするとか、あるいは飲食物費等を補助いたしまして、ただいま特別勤労控除として一ヵ月六百円の控除ないたしておるわけであります。なお御承知のように厩は昼で働いて、夜は夜なべまでもやるというような特別に勤労をなさっておるような方に対しましては、勤勉控除として三百円を引いておるわけであります。ただいま御質問のような日雇い労働者の年末手当をどうするかという問題でございますが、大体生活保護法によるものは、国民の最低生活というものを基準として保護いたすのでありますから、そういうような場合におきましてもやはりそれらのものを勘案して、ほんとに生活に困るというようなものにつきましては、やはり生活保護の対象として取り扱うべきものだと考えております。
  302. 井堀繁雄

    ○井堀委員 あなたにはなはだ相済まぬけれども、どうも不得要領の御答弁でつかみどころがないような気がいたしますが、そうむずかしいことじゃない。あなたは心配せぬでいい。ただ大蔵省が少しやかましく言うものですから、そういう点で事務当局は萎縮しておるわけなのです。そういうのは大蔵大臣これは差し上げたらいいと思う。われわれ滞在費を無税でもらっているのですが、そういうところには手心を加えておるのだから、上げたらいい。月に四千円足らずでしょう。そうして働いているのです。それから生活保護とそういうもののマッチがうまくいっていないわけですから、そこを行政上の手心でやっていかないと――大臣考えでどうにでもなる。そういうものに対してやってあげましょうというようなことは、ここでははっきり御答弁なさることはあなたに御迷惑はかからぬと思う。あなたがはっきり言わないと実行できませんから、先に大蔵大臣から御答弁いただきましょう。そうすると小林さんが安心するから……。
  303. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 具体的なことをよく研究してみますが、私の考えの本旨は、それはいいか悪いか一応わかりませんし、また悪ければ改定をしたければなりませんが、出さなくちゃならぬということになったものは出すようにしている。そのかわり一方また保護を受ける分は保護を受ける、こういうふうにきまったことはそれぞれきまったようにせざるを得ないと、今のところ思っておるのですが、その間一方でせっかく助けておるのに、一方でただで取るというようなことはいかぬのじゃないか。その辺の調整をどうするかということはよく研究してみたいと思います。
  304. 井堀繁雄

    ○井堀委員 研究する問題じゃないでしょう。そんな問題は研究せぬとわかりませんか。だから私が適切な例をあげたじゃありませんか。あなたの方の所管では、勤労所得その他については、余さず税金を取ってきているのです。ところが代議士の滞在費については取ってはおらぬでしょう。そういうことは法律をたてにとってぐずぐず言えば言えると思うんですよ。それと同じケースですよ。生活保護法でもらうけれども、その生活保護法が今いろいろめんどうですからね。それがよけい出ているたら別ですよ。それはなるほど最近生活保護法による乱給の問題はあります。しかし乱給の問題を取り締ればいい。しかし片方は年末手当をもらった、それも大した金じゃないじゃないですか。三千円ばかりです。それをもらったときだけ金額がふえるわけです。その中からぴいっと引いていくということになって、それで長期にわたって引かれていくということになれば、年末のためにやった金だから、年末にくれた金だけは使っちゃうでしょう。あとは食えなくなるじゃないですか。そういうことは何も法律を改正しなくたってできることですよ。そういうこともよく考えなければいかぬという御答弁では情なさ過ぎます。御答弁できたければいいですよ。あなたの熱意を疑うだけです。そういう簡単なことについては即答されたらどうですか。
  305. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは一方にまた特に日雇い労働についていろいろと保護といいますか、特別な措置はやはりあると思います。ですから、そういうものとよく勘案して、全体として一体どうなるのか。その辺の矛盾があれば矛盾はどうする、そういうふうに考えてみたいと思います。
  306. 三浦一雄

    三浦委員長 明後日は午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会