○井堀
委員 それでは今のあなたの
答弁はちょっと説明書をお読みになった程度であります。それじゃ私はもう少し突っ込んで企画庁長官にお伺いいたしましょう。
まず第一に問題になりますのは、住宅の不足をどう把握するかというところに問題があります。これは過去の事実をさかのぼっていくわけですから、見通しと違いまして、偽わりが言えないわけであります。今六ヵ年
計画を拝見いたしますと、約二百八十四万戸の不足をここに出しております。このデータについては、私はいろいろ疑問を持っております。もっと私は多くなると思うのでありますけれども、それは数の違いといたしまして、ここで二百八十四万戸を六年間で解決していくにはどうすればいいかということを一応目やすにして政府の作業をやった人が
計画したことはわかるのです。算術的には答えが出てくるのです。そこで四十二万戸という
数字が出てきたのです。その四十二万戸につじつまを合せるために、苦しい政策の盛り方をしたものと見るのが妥当な見方だろうと思うのであります。私はあなたの立場になってこの問題を取り扱う場合にも、そうする以外にないと思うのです。しかしそれはそれとして、冒頭に申し上げたように、住宅のようなものについては、あまり
国民に期待を持たして、そしてできもせぬようなことをやりますことは、鳩山内閣の不信を買うだけではありません。要するに
国民が政治に対する不信を抱くのです。もう二年か三年の後には事実になって必ず現われてくるのであります。まっかな偽わりを暴露されてどう
答弁するかということは、これは政治を志す者に同様の――与党、野党の立場ではありません。こういう意味でお尋ねをしておるのでありますから、いいかげんなそのときのがれた
答弁は後に災いを残すからお尋ねしておるのであります。事務当川の
数字の遊戯の中において
考えられる答えを求めておるのじゃありません。住宅の問題はもっと深刻たんです。そういう意味で私はお尋ねしておるのでありますから、このデータにこだわらないでけっこうであります。もしデータのことで申し上げるなら、私は言いましょう。こういう種あかしをするのは適当でないと思いますが、この
計画をお作りにたったのは何といっても一番出発のものは二百八十四万戸という、この絶対的な不足の
数字の上に何とか調子を合せようとしたところにあるのでありまして、それをやりくりしても五ヵ年
計画に入ってこない。六ヵ年
計画の中では半分も満たすことはできない。そこで責任のがれをするために
国民の住宅建設能力というものが増大してくるであろうということで、これは
根拠がないから逃げられるだろうというところに逃げ込んでおるわけです。これだってほかの政策からいえば逃げられなくなってくるのですよ。でありますからずるずる延ばして十年間のうちの五年間をとったとか、六年間をとっていくとかいうようなことをやっておるのです。でありますから、この意味からいって、この五ヵ年
計画というものは住宅政策に関する限りはその一部を引き受けたというにすぎぬのである。このこと自体が
経済五ヵ年
計画、六ヵ年
計画の中に大きな足を出しておるのであります。しっぽを出しておるのであります。でありますからもう少しこういうものに対しては時間をとらさないで御
答弁をいただきたい、こういう説明を私は加えたくたいのであります。さいぜんから正直に言っておるじゃありませんか。住宅
計画というものはそう易々たるものじゃない、非常に困難なものであるということを承知して私は言っておるのであります。でありますから、可能なものを可能な状態において
国民の前に政策をもって明らかにしていかなければいけません。民間のことを政府がとやかく言うことは失礼千万たんです。こうしてほしいというスローガンを掲げるのならけっこうです。いかにも四十二万戸政府が作って上げるような言い方は、慎しむべきだと思うのであります。こういう意味でお尋ねをしておるのでありますから、それでは時間がかかりますけれども、もう少しそこの点に入ってみましょう。
たとえば戦争によって失った二百十万戸という住宅は、これは動かすことのできない現実なんであります。さらに疎開によって五十五万戸か五十六万戸、これもまあかなり統計の上にも怪しいものがありますが、大体こう押えることができるでありましょう。そこで次に出てくるものは、人口の自然増を押えて、その自然増に比率をかけて、そうして不足額というものを年々見込んできておる。あるいは腐朽あるいは不良住宅と申しますか、そういうようなものの減耗率というものを一応過去の実績に基いて
数字を出しておるのであります。こういう
数字の中にもきっと私は
大臣もしくは政府から作業をやっておる人々に対して無理な注文をなさったのじゃないかと思うのでありますが、一番甘い、一番ぶっかけられやすい高い率を引っかけてきて計算をしてみても一体四十二万戸という
数字を出すためには非常な苦心をしておると思うのであります。四十二万戸をかけてくれば大体人口の
増加率というものを過去の実績の中から低い目に押えて、人口が大体横ばいから下にいくだろうという見込みを立てて
数字を組んでいきましても、過去の十年間の実績から見ましても、少くとも私は一世帯を五と見るか四・七と見るかということによって違いが出ますが、五と見ましても三旧四十五万世帯の
増加を見てくるわけであります。これはいやでも応でも世帯を持つのでありますから、間借りをするか、あるいは自分で建てるか、どちらかの住宅を必要とする人口が決定的な
数字として出てくるのであります。こういう
数字をずっと追及をしていきますと、どうしても四十二万戸建てなければならぬということはわかるのです。四十二万戸でもこれは解決しません。だからその
数字の出たこと、その理由については私は認めるというのです。そのしりをほかへ持っていかたいように――政府はさっき言ったように、正直に公庫と公団方式と、さらに
金融公庫の資
金融通の形において政府の責任の限界を明らかにして、その範囲内においてなし得るものは
幾らであるかといえば、せいぜい十四万戸か十五万戸ぐらいにしかすぎぬと思う。三十年度の
予算の中で十四万八千戸と、こう言っておりますが、私が今問わないうちに――今一番くせ者なのは、公庫住宅資金の運転の中でありますが、これは追及をしますとすぐ明らかになってきます。私も試みに事実に当って調べてみましたけれども、ここに多少弾力性を持たしてわれわれに対する
答弁をごまかしていこうとすればできぬことのない
数字がある。これはなかなか実際に取り組んでみて正確な
数字をつかむということとは、多少の幅が出て参りますが、その幅も大したことはありません。今あなたが言われましたように、住宅
金融公庫の貸し出しの内容を見ていきますとわかりますように、まだこの予定のうちの半分もいっておらぬじゃありませんか、半分どころじゃありません。これは私はきっとそのほかの方法で調べれば出てくると思います。でありますから、政府が一番責任を持つ、直接的に扱えるところの
数字は、そのまま政府の
数字を認めたとしても十四万八千戸しかできないのです。これをふやせという要求を
国民はしておるわけであります。私どもも希望しておるのでありますけれども、その要求がここで満たされるかどうかということについては、実は三十一年度においてわずかの
数字をずらしておりますけれども、そのずらし方は、私は事実の上に出てきた
数字だと思います。でありますから、公営住宅の中では前回の五万二千戸を、五万戸を割る四万八千戸という
数字をここに報告しておりますが、減らしてきておる。これがほんとうです。
予算をもっとふやせば別であります。さらにまた日本住宅公団式のやり方についても、これは私
あとでいろいろお尋ねいたしますけれども、ここではわずかに三千戸ばかりふやしてきている、というのは、三十年度の
計画に非常な水割りがあり、困難があるものですから、住宅の要求は強くなり、あなたが今言われた比率をかけていきますと、三十一年度は高いものになりますよ。私この
数字を出してみましょうか。でありますから、こういうところに、住宅政策に対する政府の人気取りというものがしわ寄せされてきているわけであります。しかしそれを
あとあととやっていきますと――もっともこれでやめられるのかもしれませんけれども、
あとを引き受ける方が迷惑する。でありますから、ここで明確にいたしておきたいことは、それができたいとすれば、せめて住宅というものは、御案内のように、これは公営住宅法の中にも明文化されております。あるいは住宅公団法にもそれぞれ明らかにされておりますように、ただ家を建てさえすればいいわけではありません。たとえば日本住宅公団です。これはこの間審議されたばかりでありますから、記憶に新しいところでありますが、「住宅に困窮する勤労者のために耐火性能を有する構造の集団住宅及び宅地の大規模な供給を行う」と書いてある。さらにまた公営住宅法の第一条でも「この法律は、国及び地方公共団体が協力して、健康で文化的な
生活を営むに足りる住宅を建設し、これを住宅に困窮する低額
所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、
国民生活の安定と
社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」というように、法律は政府にきびしい命令をいたしておるわけであります。またこの責任を遂行しなければならぬわけでありますから、数でごまかしますと、質の点において健康にして文化的どころではありません。
そこでこの問題について私はきょうお尋ねするつもりでおるわけでありまして、前段で時間をとりまして残念に思いますが、私の伺いたいことは、今日の住宅政策というものは、もちろん
一般的には住宅不足に悩んでおります
現状というものはあまりに惨たんたるものであります。これを満たすためには、まず数をふやさなければいかぬということも要請の
一つでありますけれども、同時にこの三つの法律の中に規定されておるように、
国民生活の本拠であると同時に、あなた方が大きく期待しておりますところの民間住宅の増設について、
国民の
経済力を育成していくためにはどうすればいいかということが、総合的に出てくるものなんです。それは住宅政策から切り離すことができないわけで、他の
経済政策と相まって出てくるものなんであります。そこで今私が読み上げましたように、低額
所得者、勤労者の問題を特に取り上げておるわけでありますが、これは私が説明するまでもなく、法律を審議した皆さんも御存じの
通りに、勤労者によい住宅を与えるということは、休養の機会と労働の再生産のよき結果を期待する、そのための住宅政策であることはあまりにも明確なんです。ところが量の上において、先ほども申し上げるように、大きな水割りをし、人気取り政策にこれを使ってにっちもさっちもいかなくなっておるところにもってきて、そのしわ寄せはどこにくるかといえば、産労住宅に見るように、住宅公団の中に見るように、あるいは
金融公庫の間に見られますように、その資金の回収に営利事業と異なることのない、むしろ営利事業の場合でありますならば、一時採算は合わなくても、長い
計画の中で取り返すという商業ケ
ースで取り扱いますから、まだゆとりはある。片方はお役人式に取り立てたり、貸し付けたりする規則をやかましくいうのであります。その結果はどうなっているかといえば、大口の
資本もしくは大手筋の
経営者にこの住宅が利用されておるのです。低額
所得者を抱えております中小企業、零細企業のもとにおける住宅の供給はどういう状態になっておるのか。その点について
建設大臣は
調査をなさってその御報告をする義務があると思うのでありますが、御用意がございますか、その結果を正直に報告して下さい。一体公庫なり、住宅公団のあれはまだ短かいのでありますけれども、公営住宅の実情を見ればわかる。建っておるところを見てくればわかる。
〔稻葉
委員長代理退席、
委員長着席〕
中小企業の稠密地帯や、あるいは零細企業の労働者が入っておるところ――たとえば一種、二種の分け方を見ても、家賃で区分しておるのじゃないか。これを統計の上から見ていけば、一万六千円という月収の者をめどにして二種を貸すとか、あるいは一万六千円以上の者に対して一種を貸し付けるとかいうように、ちゃんと低額
所得者入るべからずと線が入っているじゃないか、現実にそうなっているのです。要するに量の上でまかなえなければ、住宅はただ格好だけつけてごまかせばいいのではないのであります。拡大生産になるように、その住宅の提供が再生産のために働きをしてくるようた貸付をしていかなければいけない、あるいは住宅の供給はそういうところに優先されなければたらない。それが現実はあべこべに流れているではありませんか。これをどうごらんになっておられますか。正直に
建設大臣は、
一つその結果に対するあなたの勘でけっこうですから、
数字はちょっと困難だろうと思いますので、率直に答えて下さい。その返事によりまして次のお尋ねをいたしたい。