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足鹿委員 愛知用水の技術顧問団の点についてでありますが、
日本の農業技術水準をもってして、愛知用水の設計その他施工のできないはずはない。技術顧問を入れてくるというのは、いわゆる世銀の資金を導入するための一種のひもである。われわれはこれを農林
委員会において審議したときには、いよいよあすで
国会が終るというその前日にようやくこの問題が本格審議になった。そのこと自体はあえて悪いことではないから、運営の面については後日よく検討しようということで、われわれ一応賛成したのでありますが、その後運営の内容を見ますと、必ずしも大臣が今おっしゃるように、うまく、はいっておらないと思います。たとえば最近工事施工のエリック・フロアの会社から技術団が来るということを聞いた。大体その経費が十億円程度であるということを伝えられておる。その真相はよく存じませんが、三十五、六億の金を世銀から入れて、ほとんどその金をそっくり
外国の方へ持っていくほど
日本の土木技術はおくれているとはわれわれは
考えられない。ロックフイール・ダムを作っておるが、これは第一に現地に粘土があるということが条件でございますが、その粘土の掘さくがうまくいかない。外人技術をもってしても、地下資源の問題はすでに行き詰まっておる。
日本のセメント工業をもってすれば、ロックフイール・ダムを作らなくても、十分セメント・ダムで間に合うはずだ。ところが初めてこれを施用してみたところが、事実において粘土が不足しておる。そこでダム工事の施工が手間取っておるという話もわれわれは聞いておる。ともかく技術顧問団を高額で迎えておっても、何らその価値に値するような
——価値がないとは言いませんが、必ずしもわれわれの期待するようなものでないかもしれない、もっとあなた方はお
考えにならなければいけない、そういった点を私は一応指摘し、公団の今後の運営等については十分留意せられるよう警告を与えてこの問題は打ち切ります。
いろいろたくさんありますが、どうも時間が十分ありませんので、あとは簡潔に申し上げます。余剰農産物と国際小麦協定の問題についてであります。大体
河野大臣が昨年
アメリカへ渡られて、第二次協定は事実上調印されたも同様である、近く
国会にこれを協定案としてお出しになる見込みであるように思いますが、その中で注目すべきことは一応われわれが去年指摘した米がなくなった、これはけっこうであります。ところが葉タバコが千五百トンも入ってくる、飼料が六万トン、綿花が十万俵というふうに入ってくる、綿花はメキシコ綿花と品質は変りない、しかもトン当り十ドルくらいも高い、こういうものを事実上において買わなければほらぬ。葉タバコは
日本の内地生産の千百二十トンに匹敵する千五百トンが入ってくる。専売公社は三カ年分の
外国葉タバコのストックを持っておる、従ってその上にまたこれが入ってくるというために、事実上においては国内の農民は野菜の暴落その他によって葉タバコに転換したいという希望を持っておっても、
昭和二十九年に七万四十八町歩に専売公社が作付面積を規定して以来ほとんどこれは増加しておりません、余剰農産物が入るとたんに葉タバコの増産
計画というものはストップしております。事実において余剰農産物が
日本の内地農業を圧迫しておる証拠じゃありませんか。この間も重光
外務大臣は、内地の農業に対しては圧迫はないと言われ、
河野大臣もそうおっしゃったが、この
一つの葉タバコの事実を見ましても、明らかに
日本の農業生産を圧迫しておることは疑うべき余地もございません。こういった点にいろいろ問題を残しておりますが、結局余剰農産物は向うの余った農産物を買うこと自体が目的ではない、目的はその見返り円にいわゆる魅力を感じてのことだろうと思う。しかしわれわれは見解を異にいたします。しからば
日本の農業を
犠牲にしておるところの事実において、来
年度において見返り円の使用は大体百七十億この
予算を見ると予想しておりますが、パキスタンのごときは
アメリカが大体一〇%、パキスタン自体が使用の見返り円は九〇%であります。
日本の場合は二五%を
アメリカが持ち、七五%を辛うじて使わしてもらっておる。あの後進国であるパキスタンには九〇%の見返り円を出し、しかも
日本には七五%しか出さないような劣悪条件である。これは
河野大臣も御存じでありましょう。しかも年間八千五百万ドル分も買うのは、ここにたくさんの資料を持ってきておりますが、十数カ国の余剰農産物の受け入れ国において
日本が最大であります。
日本の八千五百万ドルに次いではイタリアあるいはその他アルゼンチン等の五千万ドル台が大体これに相次いでおりますが、
日本は
アメリカの余剰農産物の一番大きなお得意先である。この大きなお得意先
日本の農業に圧迫を与えながら、パキスタンよりも受け入れ条件が悪い。こういう協定をなぜ
日本はのまなければならなかったか。百歩を譲ってもし入れなければならなかったとしても、なぜもっと条件の緩和等についてあなたは御善処ほさらなかったか。これらも大いにおやりにならなければならぬ責任があろうと私は思うが、現在までの余剰農産物の受け入れの経過、今後の所信、対策ということについて伺いたい。同時に大体土地改良に四十七億、その他に四十一億見返り円の使用を予定しておられるようでありますが、伝え聞くところによると大体二百億くらい、押すな押すなの盛況だそうであります。森林開発の熊野、剣山あるいは漁港、テンサイ糖、紙袋、麻袋、セメント、いろいろなものがうわさに上っております。一月十日の農相の記者会見の談話によると、米の俵をやめて麻袋を協同組合にやらせることを今
考えておるというようなことを漏らしておられますが、そのものはこの対象になっておるのでありますか。一体その他の四十一億の見返り円使用の分類、内訳はどういうものに重点を置いていくのか。
日本農業の
犠牲において得たこの血の結晶のような見返り円を、
日本農業をつぶしていくような方向、あるいは農業と全く無縁の方向へこの金をほとんど使わんとしておる。私はこの点においても余剰農産物の問題については承服できないのでありますが、こういう点について大臣はいかような対策を持っておられますか、この点を伺いたい。