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1956-03-13 第24回国会 衆議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十三日(火曜日)、     —————————————  議事日程 第十九号   昭和三十一年三月十三日     午後一時開議  一 地方教育行政組織及び運営に関する法律案内閣提出)及び地方教育行政組織及び運営に  関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案内閣提出)の趣旨説明     —————————————  第一 臨時教育制度審議会設置法案内閣提出)  第二 外務公務員法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  地方教育行政組織及び運営に関する法律案内閣提出)及び地方教育行政組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案内閣提出)の趣旨説明及びこれに対する質疑  日程第一 臨時教育制度審議会設置法案内閣提出)  日程第二 外務公務員法の一部を改正する法律案内閣提出)  労働保険審査官及び労働保険審査会法案内閣提出)     午後二時五十四分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  地方教育行政組織及び運営に関する法律案内閣提出)及び地方教育行政組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案内閣提出)の趣旨説明
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 地方教育行政組織及び運営に関する法律案及び地方教育行政組織及び運営に関する法律施行に伴う関係法律整理に関する法律案趣旨説明を求めます。文部大臣清瀬一郎君。     〔国務大臣清瀬一郎登壇
  4. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 今回政府から提出いたしました地方教育行政組織及び運営に関する法律案について、提案趣旨を御説明申し上げます。  この法案は、現在の教育委員会制度改正いたしますと同時に、地方公共団体における教育行政組織運営諸種改善を加えようとするものであります。御承知のごとく、地方公共団体における教育事務は、その一部を除きまして、教育委員会が担当しているのでございます。この教育委員会は、まず昭和二十三年の秋、都道府県五大市及び若干の市町村に設置され、昭和二十五年の秋、若干の市に設置された後、昭和二十七年秋に至って、全国すべての市町村に置かれることになったのであります。いわゆる六・三制の実施教科内容改善社会教育振興等に漸次その成果をあけて参りました。しかしながら、教育委員制度は、占領下、早急の間に、他の諸施策とともに採用、実施せられた制度でありまして、さらに検討を加えなければならない問題を多数包蔵いたしておるものであります。昭和二十七年、全国市町村教育委員会が設置せられた後も、教育委員会制度に対する改正意見が、公けの機関やその他の機関または団体からいろいろと述べられて参りました。政府は、かねてより、これら諸種の見解を慎重に研究いたし、教育委員会実情をもいろいろと検討をいたして参りましたが、この際現行制度を再検討すべきであると考えまして、現行制度のとるべきものはやはりこれをとり、改むべき点は改め、さらに加えるべき事項を付加いたしまして、新たな立法を行うことにいたしました。  この法律案を提出いたしますについて特に考慮を払った重点が二つございます。  第一は、地方公共団体における教育行政一般行政との調和を進めること、教育政治的中立教育行政の安定を確保すること、これを目標といたしたのであります。わが国教育は、地方公共団体努力に負うことがきわめて多いのであります。すなわち、国立及び私立の学校を除いて、小中学校義務教育はもとより、高等学校、幼稚園、さらに大学に至るまで、市町村都道府県の手によって維持、経営されておるのであります。また、青少年教育婦人教育を初め、各般の社会教育も、それらの地方公共団体の手によって推進されているのであります。従って、わが国教育振興をはかりますためには、これらの地方団体における教育行政運営が中正かつ円滑に行われることが必要でございます。知事市町村長は、申すまでもなく、民主的な公選による機関でありますが、本来独任制でありますから、教育のごとく中立を要求せられる事務につきましては、別に合議機関をもって事務を担当せしめる必要がございます。しかして、すでに述べましたごとく、教育振興のため、わけても義務教育の普及をはかりますために、教育に関する事務の相当の部分を市町村が担当しているのでありまして、学校その他の教育施設整備だけではなく、学校運営管理、助成し、教職員指導に努め、社会教育振興をはかる上には、この市町村に期待するところ大いなるものがございます。その上、町村合併の進展の結果、市町村行政能力は強化されようとしているのでありますから、この法律案は、都道府県のみならず、すべての市町村合議体執行機関として教育委員会を存置することといたしました。  なお、従来の運営の実際にかんがみて、その組織及び権限に必要な改正を加えたのであります。すなわち、委員選任方法は、直接公選制度を改め、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命すること等の措置を講ずるとともに、教育委員会知事市町村長との間の権限調整を加えることといたしたのであります。すなわち、いわゆる予算案条例案の二本立制度を廃止しますとともに、教育財産取得及び処分権限教育事務にかかる契約の締結の権限、収入または支出の命令の権限知事市町村長に移すことといたして、両者の関係調整し、地方公共団体における教育行政の円滑な運営と、その振興をはかりたい所存であります。  第二に、この法案重点といたします点は、国、都道府県市町村一体としての教育行政制度を樹立しようということであります。わが国教育は、厳にも述べました通り都道府県市町村個々地方団体努力に負うているのでありますが、それらは決して個々独自のものではなく、全体として国の教育を構成すべきものでありますから、まずもって国の教育としての必要な水準を保持するものであることの必要であることは言うまでもありません。さらに、また、各都道府県ごと府県内の教育運営調整がはかられなければならないことも、もちろんであります。この点を考慮いたしまして現行教育委員会法が、個々地方団体ごと教育事務処理を強調しているにとどまるのに対し、この法案では次のごとく是正いたしておるのであります。すなわち、小中学校教職員等人事権都道府県教育委員会が行使することとしたのであります。これは、一つには、これらの教職員の適正な配置人事の交流を促進するということを考慮したものであります。さらに、給与負担団体任命権者の属する団体とを一致させることとしたものであります。  御承知通り教育委員会市町村に設置されてから、都道府県内の教職員適正配置に支障が生じたことは、広く各方面から指摘されたところであります。このことは、市町村の設置する学校でありましても、個々市町村ごと人事管理することが無理であることの証左でありまするし、また、現在都道府県小中学校教職員給与を負担いたしておりますことも、市町村の担当する義務教育等振興をはかる上に都道府県の協力が必要であることを物語つているものであります。今回、小中学校等教職員任命権都道府県委員会に担当させようとしますことは、これらの学校運営を円滑に行う趣旨にほかなりません。しかしながら、都道府県教育委員会が単独でこの任命権を行使いたすことは事実上困難でございますので、市町村教育委員会の内申を待って行うことといたすとともに、市町村立学校における教育当該市町村の事業であること、これらの教職員当該市町村に属する職員であるとすることからして、市町村教育委員会は、これらの教職員の服務の監督を行い、その職務の遂行の適正を期すべきものといたしておるのであります。  このほか、文部大臣及び教育委員会相互の間の関係を次のように考えておるのでございます。現行制度のもとにおきましては、文部大臣都道府県委員会は、都道府県または市町村に対して技術的な指導、助言または勧告の範囲を越えることはできないこととされているのであります。このような現状を改めるため、文部大臣都道府県教育委員会の積極的な指導的地位を明らかにいたしますとともに、文部大臣は、教育委員会地方公共団体の長の事務処理法令違反等の事由がある場合には、必要な是正措置を要求して教育行政の適正な運営を確保いたしたい所存であります。また、教育長任命につきまして、文部大臣なり都道府県教育委員会承認を要することといたしたゆえんのものは、教育委員会における教育長地位に照らし、これにより教育行政の国、都道府県市町村一体としての運営を期したいと考えたからにほかなりません。  以上が、この法案基本的な考え方となっているものであります。  なお、最後に、五大市に対する特例と、この法律施行期日について簡単に付言をいたします。  五大市に対しましては、この法律教職員人事権を大幅に法定委任いたしましたが、それは、五大市の規模と能力にかんがみ、実情に即させようとする意図に出たものであります。また、現行制度からの移行を円滑ならしめるため、本法の施行期日を本年十月一日といたしました。  ただいま地方教育行政組織及び運営に関する法律案提案理由とその趣旨を御説明いたしたのでありますが、同法案によって、教育委員会委員選任方法公選制によらず、任命制に改められ、市町村立学校教職員任命権都道府県教育委員会に属せしめられることとなり、さらに、教育長選任方法に変更が加えられるほか、教育財産取得及び処分地方公共団体の長が行うものとすること、文部大臣及び教育委員会相互関係を明らかにし、指導機能を強化するとともに、文部大臣教育に対する責任を明確にすること等の措置がとられることになりますので、これに関連して、多数の関係法律との調整をはかる必要が生ずるのでございます。ここにそれら所要の規定を取りまとめて、この法律案を提出した次第であります。  以上、簡単でございますが、この法案提案理由を御説明申し上げました。  何とぞ、地方教育行政組織及び運営に関する法律案とあわせて、慎重御審議の上、すみやかに御賛同賜わらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑報告があります。これを許します。山崎始男君。     〔山崎始男登壇
  6. 山崎始男

    山崎始男君 私は、日本社会党を代表し、本日提案になりました地方教育行政組織及び運営に関する法律案につき、内閣総理大臣その他関係閣僚に対し質問を行いたいと存じます。(拍手)     〔議長退席、副議長着席〕  質問要点を六つにわけ、第一点は総理大臣にお尋ねいたします。このたびの法律案に対し何人もが奇異に感ずる点は、昭和二十三年七月、現行教育委員会制度が制定されました、その制定当時の精神がほとんど削除されておりますが、一体何の目的かくのごとく現行教育委員会法基本的精神を取りのけたのか、その目的がはなはだ不明確であるという点でございます。すなわち、現行教育委員会法は、教育が不当な支配に服しないこと、国民全体に対し直接に責任を負うこと及び各地方実情に即した教育を行うこと、すなわち地方分権、この三大目的を実に明確に打ち出しておったのであります。しかるに、このたびの法律案は、この根本目的が全く影をひそめ、適切な教育とか、教育の安定とか、まことに抽象的な表現に変っており、その裏面には、中正とか安定とかいう名のもとにおいて教育行政中央集権化を意図していることは、見のがすことができません。すなわち、自由なる教育委員会制度の名前だけは残しておりますが、中身をげっそりと取り去り、単なる自由教育制度無形文化財化をはかっておるのでございます。(拍手)いわば、地方分権の着物を着て、中央集権の帯を締め、自由の化粧をして、統制のコルセットをはめている。かかる矛盾を内蔵した教育制度は、教育半身不随ともいうべく、(拍手総理は、この法律案目的を明確にされると同時に、かかる半身不随的教育制度を採用し、果して円滑なる教育遂行ができると思われますか、お尋ねいたします。  第二点も、総理大臣にお尋ねします。教育委員公選制を廃しておるのであります。この点は憲法第九十三条第二項に抵触すると思いますが、いかがですか。すなわち、憲法第九十三条に対しては、従来、学説的には、固定説移動説の二つの解釈がありました。おそらく、政府移動説によって憲法違反ではないと答弁されるかも知りませんが、私がお尋ねいたしたい点は、移動説でも固定説でもございません。すなわち、住民の直接選挙規定いたしましたこの憲法の第九十二条第二項には、「法律の定めるその他の吏員」という言葉が使つてあります。今日わが国でこの字句に該当する公選吏員教育委員だけであって、他に該当する吏員は一人もおりません。すなわち、このたび任命制に切りかえたならば、憲法規定されながら実体がないという奇妙な現実が起って参ります。憲法に示されながら、直接公選吏員が一人もいなくなるということは、憲法を空文にすることであり、明らかに憲法違反だと断定せなければなりません。(拍手)もし憲法違反でないと言うならば、憲法第九十二条第二項から「法律の定めるその他の吏員」という字句を取り去らなければならないと思いまするが、いかがですか。  第三点は、原案送付権について文部大臣並びに自治庁長官にお尋ねいたします。このたびの法律では、教育委員会から原案送付権を剥奪しておるのでありますが、そもそも一般行政教育行政とを分離独立いたしましたことは、教育が不当の支配に屈することなく、教育中立性を保つための最も大切なる要点であることは申し上げるまでもございません。(拍手教育委員会原案送付権を持っておったそのことこそが自主性根幹であったといわねばなりません。しかるに、今回この原案送付権を剥奪して、単に具申をする権限だけにとどめておることは、教育中立自主精神を侵害するものといわねばなりません。(拍手)この原案送付権を剥奪したことは、昔は地方公共団体の長が教育行政権をも掌握しておったその権限をいま一度握りたいという単なる感情と、時あたかも地方財政窮乏折柄教育委員会制度は金かかかって困るという世論を巻き起し、地方財政再建整備美名に隠れ、この原案送付権を剥奪したといわれておりますが、その真相はいかがですか。(拍手)  そもそも、教育委員会地方公共団体の長が、同じ地方分権の共同の利害の中で目先の権限争いをしているうちに、いずれ近い将来、今度は、地方公共団体の長の権限が、知事の官選その他の法律によって、また剥奪される日がこないと、だれが断言できますか。(拍手)鷸蚌の争いは漁夫の利となるという愚かさは、お互いにやめた方がよろしい。いずれにしても、この重要なる権限を失った教育委員会は、単なる事務局にすぎません。こんな教育委員会に、政府は一体何をやらそうと考えておるのですか。俗に申す、抱いて寝もせず、いとまもくれず、ヘビのなま殺しにするようなことをせずに、こんな教育委員会ならば、いっそのこと、やめてしまわれたらいかがでございますか。(拍手)  第四点は、文部大臣にお尋ねいたします。このたびの法律案は、文部大臣権限を集中して、官僚支配教育制度を打ち立てる内容があらゆる条文に示されておりますことは、まことに驚くべきものといわねばなりません。特に、文部大臣都道府県教育委員会措置要求をすることができるように改正されたことは、その最たる点と思います。すなわち、地方公共団体の長または教育委員会事務管理及び執行のあらゆる面に対し、文部大臣総理大臣と相談さえすれば、いかなる措置もすることができるように改められておりますが、この点は明らかに地方自治法第二百四千六条の規定に抵触するものと思いますが、いかがですか。また、教育に対する国の責任を明確にするという美名に隠れて、かくのごとく中央政府権限強化を新たに設定し、しかも、都道府県教育長文部大臣承認を必要とし、地方教育委員会教育長地方公共団体の長が任命したところの教育委員の中より選任するがごとき、果して厳粛なる教育中立性を確保することができるでありましょうか。  第五点、文部大臣にお尋ねいたします。今回の法律案教育制度の革命ともいうべき重大なる内容を持っているにかかわらず、教育根幹に関する諮問機関として臨時教育制度審議会を設置する法律案を出しながら、何ゆえその審議会の成立まで待てないのですか。何がゆえに急がねばならないのですか。(拍手)また、全国教育委員が、この法案通過の暁は総辞職する機運が濃化されておるが、もし、かかる事態が惹起されたならば、わが国教育行政一大混乱を来たすことは論を待ちません。この責任は当然文部大臣が負うべきものと思いますが、その際文部大臣は辞職する決意があるかどうか、あわせて明確なる答弁を願います。(拍手)  最後に、総理大臣にお尋ねいたします。かくのごとき悪法提案された動機には、他に何らかの国際的あるいは国内的な政治背景があるのではないかという点でございます。顧みますれば、最近のわが国教育行政ぐらい、時の政府の御都合によって、あるときは右、あるときは左に、あたかも、あめ玉をねじるがごとく、ゆがめられたことはないのでございます。現行教育委員会制度にしても、発足後わずか数年ならずして、またまた昔の教育に返さんとするがごとき、果して良識ある政治家のとるべき態度でありましょうか。鳩山内閣は再軍備のための憲法改正一大政治目標としておられまするが、今回の法律も、近々提出されんとする小選挙制度法律案とともに、再軍備憲法改正に関連するところの七つ道具の一つではないかと断定せざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、再軍備をするためには、自由なる教育制度はじゃまになる、月給や退職金目当にするような兵隊では役に立たない、今のうちに教育制度を切りかえて、国家に対する忠誠を教育内容とせなければならない。すなわち、再軍備憲法改正への陰の形に従うところの法律案ではないかと、国民は強い疑問を抱いておるのであります。(拍手)  私は、この際、声を大にして、鳩山首相決意を伺いたい。かつては文部大臣として、かつ、日本における教育一家代表的鳩山家が、あなたの代になって、教育百年の大計を誤まり、後世史家のもの笑いの種になることを、何ゆえ強行されるのでありますか。(拍手)戦いに敗れた最大の原因は、過去の教育が、政治権力の前にひれ伏して、あしたに平家を迎え、ゆうべに源氏を送り出したためであることを、いま一度思い出していただきたい。政治には保守の原理は認められても、教育においては進歩の原理しか認められません。平和と自由、自由と平和、これこそ、今後の日本の新しい愛国心であり、新しい道徳でなければなりません。おのれの身を殺してまで教育の自由を守った森有礼のごとき閣僚は、今の鳩山内閣にはだれ一人おらないのですか、今からでもおそくない。日本を救うために、かかる悪法を撤回される御意思はありやなしや、御答弁をお願いいたします。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎登壇
  7. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 山崎君の御質問にお答えをいたします。  第一の御質問は、目的があいまいであるという御質問でありました。この法律案を提出いたしました目的は、先刻文部大臣が申しました通りに、地方公共団体における教育行政一般行政との調和を進めるとともに、教育政治的中立教育行政に厳に確保いたしまして、国と道府県市町村が有機的に連携いたしまして教育行政を行おうとするためでございます。このことは、わが国現状にかんがみまして緊要な問題と考えております。  第二に、九十三条に違反するかどうか、違反するのではないかという御質問でございました。憲法九十三条は、地方公共団体の長及びその議会の議員は住民の直接選挙による旨を明記しておりますが、その他につきましては法律に譲つているのでありまして、教育委員選任方法任命制に切りかえましても、決して九十三条に違反するものではないと思います。  最後に、この法律案が再軍備関係があるやのような御質問でありましたが、そういうようなことは絶対にあり得ません。教育及び教育行政の立場に立って検討いたしまして、地方公共団体における教育行政組織及び運営基本を確立しようとするものでありまして、決してそんなものではないと思います。撤回の意思は毛頭ございません。(拍手)     〔国務大臣清瀬一郎登壇
  8. 清瀬一郎

    国務大臣清瀬一郎君) 山崎君の私に対する問題の第一は、今回の法律で、何ゆえ教育委員会が持っておった原案送付権、世間でいう予算の二本立制をやめたかということでございます。一つ公共団体予算でございまするから、やはり一本立がいいと考えました。また、教育委員会法実施の成績にかんがみましても、やはり一本がよろしい。ただ、しかしながら、公共団体の長が予算を提出し、条例を提出するまでに、教育に関することについては委員会に十分に意見を述べる機会を持たせるようにいたしております。二本立予算が権威がなければ何をするのかとおっしゃいますが、委員会義務教育振興をはかり、社会教育を推進し、地方公共団体と熱意をもって一致して教育努力するという重大な使命がございます。(拍手)  第二のお尋ねは、文部大臣措置要求なり、あるいはまた教育長の任免について、いかにも中央集権的圧迫教育でもするのではないかとおっしゃいますが、しかし、国、府県市町村と分れておりましても、日本教育は本来一つでございます。それを有機的に運用する必要がございますることは、最近ひんぴんとして起る学校不祥事件をごらんになっても直ちにわかります。これらにかんがみまして、実際的に教育有機的一致をはかろうとしたのでございます。  第三には、何ゆえ臨教審に諮らなかったかということでございます。それは、実際的には、本年の十月に、日本全国を通じて教育委員会選挙がございます。そこで新たに日本中に一つ選挙をやつて、組織を立ててから後に変更することは、国民においても御迷惑でございます。それゆえに、われわれは、党内においても慎重に検討の上、この案を作りました。しかしながら、中央教育審議会には、昭和二十八年度に、すでに一ぺん諮問いたして答申は得ております。御了承をお願いいたします。(拍手)     〔国務大臣太田正孝登壇
  9. 太田正孝

    国務大臣太田正孝君) 山崎始男君の御質問に対してお答えいたします。  地方行政財政についての教育委員会関係でございました。原案送付権、二重予算権を廃止いたしましたのは、地方行政財政全体の総合統一と、行政委員会独自性との関係調整するにあるのでございます。従いまして、教育本来の権限には、地方自治団体の長は何ら関与いたしません。また、教育関係予算作成につきましては、ただいま文部大臣から申されましたる通り地方自治団体の長は教育委員会意見を聞き、十分協議することになっております。他の行政委員会と同様、円満なる協調を期待している次第であります。地方財政につきましては私の最も憂えるところでございますが、御質問のごとく、地方財政再建の問題とは、本問題は直接の関係がございません。お答えいたします。(拍手
  10. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  11. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 日程第一、臨時教育制度審議会設置法案議題といたします。委員長報告を求めます。内閣委員長山本粂吉君。     〔山本粂吉登壇
  12. 山本粂吉

    山本粂吉君 ただいま議題となりました臨時教育制度審議会設置法案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  戦後における教育制度の改革は、教育の発展に少からぬ役割を果したのでありますが、占領下の特殊な状態のもとに急速に行われたものであるため、実情に即さない点も少くなく、その改善すべき点については緊急に根本的な再検討を加える必要があるとして、本案の提出となった次第であります。  その内容を簡単に御説明申し上げますと、内閣の諮問機関として教育制度及びこれに関連する制度を国政全般の立場から総合的に調査審議するため、内閣に臨時教育制度審議会を設けようとするものでありまして、審議会は、国会議員十名及び学識経験者三十名、合計四十名以内の委員をもって組織することとし、委員は内閣が任命することといたしております。また、調査会の調査審議を完全にするため、関係各行政機関の長に対し、資料の提出、意見の開陳等、必要な協力を求めることができることといたしております。なお、この審議会は二年以内でその任務を終了する予定でありますので、昭和三十三年三月末日までの間に、政令で定める日に廃止することといたしております。  本案は、二月二日当委員会に付託され、同八日政府説明を聴取し、同十日質疑に入り、二十二、二十五の二日間にわたって文教委員会と連合審査会を開く等、慎重に審議を行なったのでありますが、その詳細は会議録によって御承知を願うことといたし、特に論議の中心となりました点を申し上げますと、現行教育制度審議する機関として、すでに文部省に中央教育審議会が設置されておるのにかかわらず、新たにかかる制度を設けざるを得なくなった理由いかん、ということであります。これに対しましては、政府側より、わが国独立後の今日から顧みると、当時占領下教育制度には根本的に反省をしなければならぬ点があるのではないかという世論が出てきたので、教育の根本問題及びこれに関連した諸問題について、ひとり文部省のみにとどまらず、広く国政全般から検討するため、内閣にこれを置くこととしたのである旨の答弁がなされたのであります。  かくて、三月九日質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して細田委員より、本案に対し反対の意見が述べられ、採決の結果、多数をもって原案の通り可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  13. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 討論の通告があります。これを許します。西村力弥君。     〔西村力弥君登壇
  14. 西村力弥

    ○西村力弥君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました臨時教育制度審議会設置法案に対し、反対の討論を行おうとするものであります。  政府は、口を開けば押しつけられた占領政策の行き過ぎを是正するのだと、民族的感情のごく低俗な部分をくすぐって、憲法改悪のための憲法調査会法案の通過をはかり、教育制度及びその内容を極端に逆行させて時の権力の統制のもとに置こうとする臨時教育制度審議会設置法案を、今衆議院を通過させようとしているのであります。かくのごとく、押しつけられた占領政策の是正を、おのれの名分として立てるならば、なぜ法律の制定の余裕も全く与えられずに押しつけられた自衛隊の廃止をこそ、まっ先に打ち出さないのであろうか。(拍手)しかも、日本現状がMSAによってかんじがらめに縛られているのだということを、なぜ国民に十分に知らせようとしないのか、私は、このような政府の欺瞞的態度を強く糾弾しなければならないのであります。  すべて法規範の改正、特に憲法あるいは教育基本法等の改正は、日本国のよって立つ意思を今新しく創成しなければならないという環境条件が完全に成熟しているか、またはこれらの法律の存在が日本国の民主的発展に重大な桎梏となり、一刻もこれをゆるがせにすることは許されないという積極的理由に支えられなければならないのであります。しかしながら、政府説明によって、この点の証明は何一つ見出し得なかったばかりか、逆に、われわれの感得し得たものは、くずれ行く支配勢力の自己保存のための焦燥であり、権威主義、事大主義を骨髄とする古い世代の郷愁の押し売りであり、新しい世代に対する反逆と挑戦であるという印象のみであります。  わが国教育の理念も、その制度も、日本憲法の全体から導き出されていることは、論を待たないところであります。よって、すでに憲法の性格を一変しようと乗り出した政府は、その意図が国民承認を得るかいなかの帰結を待って後、初めて教育制度の根本に改革の手を伸ばすべきが事の順序として当然のことであります。しかるに、この当然の主張は、委員会において、多数の力で、審議不足のまま押しつぶされてしまったのでありまするが、かくのごとく憲法改正教育制度改正を同時並行的に審議しようとする政府の不法知る無定見さには、全くあきもざるを得ないのであります。  しこうして、一方において、政府は、当然この審議会に付せらるべき重要性を持っておる教育基本に触れる教育委員会に関する法律改正及び教科書法案を、今国会において成立せしめようとたくらんでおるのでありすます。国民全体に対して直接に責任を負う建前になっておる教育委員会を政党政府の文政に従属せしめようとする法の改正及び教育内容を国家統制しようとする第一着手である教科書法案を臨教審の諮問に付しようともせずして、一体何をこの臨教審に諮問しようとするのであるかわれわれはこの真意をそんたくするのに苦しんだのでありまするが、審議を進めるに従って、おそろしいねらいがそこにあることを知り得たのであります。(拍手)それは自民党の緊急文教政策である。第一には、天皇絶対主義を基底とする愛国心の涵養、第二には、教育に対する中央政府の監督権限の強化、第三には、大学自治を破壊する大学制度改正等の三項目を、形式的にこの審議会を通過させて、その露骨な反動性を正当のヴェールによって包もうとする意図であることを知り得たのであります。  政府は、教育に関連する全般にわたって総合的に検討を行い、誤まりのない結論を求めるのだと称しているが、この設置法の内容をつぶさに検討すれば、あまりにもそのずさんさに驚かざるを得ないのであります。ずさんと申すよりは、意識して審議会の形骸化をはかったものと申さざるを得ないのであります。審議会委員は、国会議員十人、学識経験のある者三十人となっているのでありまするが、学識経験者の選任は内閣の一存にまかせられており、しかも、その任期は二年以内となっているのであるから、政府の好まぬ異質分子の更迭も、これまた政府の意のままとなっているのであります。しかも、専門事項の調査に当る専門委員も、事務担当幹事も非常勤であり、また、予算上、会議の開催は年六回しか見込み得ないのであるから、審議は全く形式的にならざるを得ないのであります。結局するところ、政府の手によって作成された原案が、民主的手続を経た結論であるという擬装を施して、そのまま審議会の答申として出されてしまうことは必定であります。  私は、ここで、審議会の結論となるであろう自民党の緊急文教政策について、若干の批判を行わなければならないと思うのであります。  第一に、天皇絶対主義を根基とする愛国心の涵養、徳目の押しつけによる道義の高揚等は、全く時代錯誤もはなはだしいものであります。それは、人類普遍の原理たる主権在民の否定に通ずるものであり、人間の尊厳をますます高めようとする近代精神の後退を意味するものであります。また、徳目の羅列、押しつけの教育では、社会秩序に合致し、これを発展させ得る全人的な育成は絶対に望み得ないものなのであります。真実の愛国心と高い道義を求めようとするならば、まずこの議場から卑俗な野次を一掃すべきであります。(拍手)ひな壇に居並ぶ大臣諸公及び議席にある保守党の多くは、戦争と敗戦に対する自己反省を——この際、謙虚に、しかも強く反省すべきであると思うのであります。(拍手)また、目下各学校の受験期に当つておるのでありますが、いたいけな青少年がなめさせられておる試験地獄の苦汁が、他を押しのけて自己一身の保全をはかるためのものであるという悲しむべき現状を改めて、この苦労が完全に国家目的に一致するという苦労に切りかえられる措置が緊急に必要なのであります。また、誤まった社会悪の暗い谷間にうごめいておる青少年に対しては、いたずらにその非を責め、観念的な徳目の押しつけをやったり、大声で叱咤を加えるよりも、いち早くその谷間を埋めてやって、これらの青少年を人並みの高さにまで引き上げてやる政治こそ望まれるのであります。社会秩序の行われる経済政策なり雇用拡大なりこそ先決であり、人間の教育が合理性を根幹として貫かれなければならないのであります。  次に、教育に対する政府の監督権の強化についてでありますが、この道はいつか来た道であって、いやというほど、われわれが痛めつけられた、おそろしい道であります。文部大臣教育に対する熱情は、学問の自由を阻害するものを除去するために、義務教育無償の原則の充実のために、教育の機会均等の実現のためにこそ、惜しみなくささげらるべきものなのであります。大学制度の改革にしましても、自由という基盤にこそ学問の限りなき進歩が約束されることを知るべきであり、これを侵すことは断じて許されないと思うのであります。(拍手)卒業生の就職困難を理由とする大学の整理などは、政府自体の無策をみずから物語るものであり、本末転倒の議論と申すべきであります。(拍手)  政府は、かくのごとく時代錯誤もはなはだしい自党の政策を固執し、しかも、形式的に臨教審のトンネルを通すことによってこれに民主的扮装を施そうとする欺瞞策を直ちに中止し、幸いに現に存置されている中央教育審議会に必要な諮問を行い、時日をかして、教育の百年の大計を誤まることのないよう、りっぱな結論を期待すべきなのであります。中教審は、文部大臣諮問機関とは申しながら、教育に関する基本的な制度について研究、審議する目的をもって設置されたものでありますから、ここに教育上の重要案件を諮問することは、いささかも不都合なことではなく、この結論に対する期待も十分に見出されると思うのであります。  政府は、総合的に調査審議することの必要を理由に、中教審の存在を無視し、屋上屋の臨教審を内閣に置こうとしておるのであるが、これら教育に関する諮問機関を内閣に置いた先例が、いかなる変革を教育の上にもたらしたかを知るときに、われわれは全くりつ然とせざるを得ないのであります。大正六年、寺内内閣のもとに置かれた臨時教育会議は、学校教育の中に軍事教練を持ち込んだのであります。昭和十二年、林内閣のもとに置かれた教育審議会は、国体観念の徹底と国民精神の作興の方途を答申し、その結果、国民学校、青年学校の誕生となり、学校はあげて皇国臣民の練成道場となり、よりよい消耗品である人間弾丸の製造工場と化したのであります。(拍手)われわれは、このような教育史上の事実から、今また内閣に置かれようとしている臨教審がやがてもたらすのであろう教育上の重大なる変革に対して、強い恐怖の疑惑をぬぐい得ないのであります。  古いものに対する新しい批判と行動を危険きわまれりと感ずるような狭量を捨てて、それは新しいものへの転換に伴う必要な陣痛として、あたたかく見守つて、介添えの手を差し伸べてやることこそ必要であります。われわれは、古い世代の既成観念を無理無体に押しつけることによって、合理主義に希望を託して、人間の尊厳を最高にこの社会の上に築き上げようとしている若い世代のたくましい意欲をむざんにも切断して、これを圧殺しようとする、陰謀に包まれている悪質きわまる臨時教育制度審議会設置法案に対し、絶対に反対をいたすものであります。(拍手
  15. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  16. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告通り可決いたしました。      ————◇—————
  17. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 日程第二、外務公務員法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。外務委員会理事山本利壽君。     〔山本利壽君登壇
  18. 山本利壽

    ○山本利壽君 ただいま議題となりました外務公務員法の一部を改正する法律案につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  外国における重要な儀式への参列その他臨時の重要な任務処理に当り、当該国に常駐大公使あるにかかわらず、別に本国から特派使節を派遣することは、世界各国においてしばしば行われることであり、また、当該国との親交関係増進のため非常に有効な方法であります。よってわが国においても、かような使節に特派大使の資格を与え、天皇の認証ある信任状を携行させることといたしたいというのであります。さような目的のために外務公務員法改正し、かつ、これに伴う国家公務員法及び特別職の職員の給与に関する法律改正を行わんとするものであります。  この特派大使は、法律上、従来の政府代表及び全権委員と類似の臨時の特別職でありまして、外国における重要な儀式に参列する場合、天皇の認証ある信任状を携行することとなっており、この点においで政府代表等と異なっているのであります。  本法案は、二月十三日外務委員会に付託されましたので、政府側の提案理由説明を聞き、質疑に入りましたが、質疑中において、三月六日、北澤直吉君外四名の委員から、本法案に対する修正案が提出されました。その趣旨は、原案においては、特派大使、政府代表及び全権委員等は、特別職として、国会法第三十九条ただし書きにより、両院一致の議決によって、内閣行政各部における各種の委員、顧問、参与その他これに準ずる職として、国会議員もこれに任ずることができることになっております。しかし、特派大使とか全権委員等は国の公務員であり、これらの委員、顧問よりも重大な権限を持つた職務であります。一方、国会議員は、国会法第三十九条本文の規定で、国務大臣、政務次官等及び別に法律で定めた場合を除いては、国の公務員を兼ねることはできないことなっております。ゆえに、そのただし書きで議決しても妥当であるかどうかにつき疑義を生じて参りますので、むしろ、外務公務員法中に一項を設けて、特派大使、全権委員等の臨時の特別職については、両院一致の議決に基き、国会議員のうちから任命することができる旨を明定して、第三十九条の本文の、別に法律で定めた場合の適用を受けることにしたいというのであります。なお、これらの詳細につきましては会議録に譲ることといたします。  かくて、三月十日、本法案並びに修正案を一括しで討論が行われ、社会賞を代表して穗積七郎君より、本特派大使制度の運用については十分慎重にせられたい旨の希望を付して賛成の意を表明せられ、続いて採決に入り、本修正案並びに修正部分を除いた原案は、いずれも全会一致をもって可決すべきものと議決せられました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  19. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 採決いたします。本案の委員長報告は修正であります。本案は委員長報告通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告通り決しました。      ————◇—————
  21. 長谷川四郎

    ○長谷川四郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出労働保険審査官及び労働保険審査会法案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  22. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  労働保険審査官及び労働保険審査会法案議題といたします。委員長報告を求めます。社会労働委員長佐々木秀世君。     〔佐々木秀世君登壇
  24. 佐々木秀世

    ○佐々木秀世君 ただいま議題となりました労働保険審査官及び労働保険審査会法案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。労働者災害補償保険及び失業保険等、いわゆる労働保険制度における審査機関の従来における運用の実績にかんがみ、審査の統一ある運用をはかるとともに、その迅速適正化を期そうとするのが、政府の本法案提出の理由であります。次に、そのおもなる点について申し上げますれば、第一は、第一審の審査官の段階については、現行制度をほぼそのまま取り入れ、審査官が審査を行うに当り、労使の代表が当該事案につき意見を述べる機会を保障する制度を採用いたしたことであります。第二は、第二審として労働省に労働保険審査会を置き、審査官の決定に不服ある場合、再審査を行うこととしたのでありますが、その機構については、従来の三者構成を改め、内閣総理大臣が国会の同意を得て任命する委員三名をもってこれに充てることとしたのであります。この場合も、各保険ごとに労使の代表者が意見を述べ、あるいは意見書を提出できることを保障いたしたのであります。  第三は、審査または再審査の手続について、労働者及び事業主の権利救済の万全を期し、現在政令で定められてある事項を法律規定するとともに、その整備充実をはかることといたしたことであります。  本案は、二月十五日本委員会に付託せられ、同二十一日倉石労働大臣より提案理由説明を聴取、慎重審議の後、三月七日質疑を終了し、本十三日の委員会において討論に入りましたところ、自由民主党を代表して大坪保雄君より原案に賛成する旨の意見が述べられ、日本社会党を代表して岡本隆一君及び小会派クラブを代表して中原健次君より、それぞれ原案に反対する旨の意見が述べられたのであります。  次いで採決に入りましたところ、多数をもって原案の通り可決すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  25. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 採決いたします。本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  26. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————
  27. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 本日はこれにて散会いたします。     午後四時三分散会