○松前重義君 ただいま
議題となりました
電話設備費負担臨時措置法の一部を
改正する
法律案に関し、逓信
委員会における
審議の
経過並びに結果の概要を御
報告申し上げます。
本
法律案は
政府提出にかかるものでありまして、その
内容は大別して二つの事項に分けられるのでございまして、その
一つは、現在、加入電話の設置、戦災電話の復旧等に際しましては、
電話設備費負担臨時措置法の
規定により、
設備費の一部を加入申込者等に
負担させることになっておるのでありまするが、この
法律の期限は本年三月三十一日までとなっているのを、さらに五ヵ年間延長しようとすることであります。その二は、加入電話の種類
変更の際における
負担の調整に関する
規定を追加しようとするものであります。
政府が
提案理由といたしまするところは、わが国の電話
事業は、戦後十ヵ年の経営、なかんずく、
昭和二十八年度以降においては、拡充五ヵ年計画の
実施により、戦前を凌駕する復興の成果を上げ得たのであるが、現状をもってしては、なお国民の要望し期待するところと相隔たること遠いのであってたとえば、電話の普及率をもって見ても、人口百人当りわずか三・五で、国際水準をはるかに下回っており、局舎、機械、線路等の基礎
設備も著しい不足を告げておるのみならず、有無線長距離回線の増設、町村合併に伴う
施設の統合、無電話部落の解消等、
施設面においても、サービス面においても、改善
整備の必要に迫られている事項が山積している、これを電話の需給
状況について見ても、加入申し込みをしながら架設に至らない、いわゆる積滞申し込みの数は、三十年度末において約四十二万に達し、しかも、新規需要が旺盛であるため、毎年十九万程度の増設を行なっても、需給の不
均衡は当分解消の見込みがないという状態である、従って、少くとも現在
実施中の五ヵ年計画程度の規模の電話
施設の拡充は、ここ数年間継続
実施の必要が存するのであるが、これに要する建設
資金年額約六百億円のうち約百億円は、従来、
電話設備費負担臨時措置法に基いて、加入申込者等が
負担する
負担金及び電信電話債券によってまかなわれているのであるから、もしこの
法律が効力を失うときには、電話拡充計画は有力なる
資金源を失うこととなり、現在までおおむね順調な進捗を見た第一次五ヵ年計画は中途において蹉趺する結果を来たし、国民要望の的たる電話
事業の拡充に重大なる支障を及ぼすこととなるから、この臨時
措置法の効力を
昭和二十六年三月末まで五ヵ年間延長することとしたいというのであります。なお、
負担の調整に関する
規定の
趣旨は、
現行法には加入電話の種類
変更の場合の
規定がないため、二重
負担等の不合理を生ずる事態も生ずるので、新たに必要な
規定を設け、合理化をはかろうとするものであります。
以上が本
法律案の
内容及び
理由でございますが、逓信
委員会におきましては、去る二月十日
本案の
付託を受けまして以来、数回にわたって
会議を開き、まず
政府の
提出理由の
説明を聴取し、さらに
政府及び
日本電信電話公社当局に対しあらゆる角度から
質疑を行い、慎重
審議を行な
つたのであります。
これらの
質疑応答のうち重要なる二、三の問題について簡単に申し上げますれば、まず、電話
施設の拡充
資金の調達源ね、財政
資金の借り入れ、債券の公募等による外部
資金及び電電
公社の自己
資金に求かべきではないか、これを電話加入申込者に
負担せしめることは、電話を一部富裕階級だけの利便に供する結果となるのではないかという問いに対し、
政府は、これらの外部
資金及び自己
資金にはおのずから限度があるので、必要とする建設
資金を
確保するために、受益者にその一部を
負担してもらうことはやむを得ない
措置である、また、現在においては、かかる
負担のもとにおいても、なおかつ電話架設を要望する声が熾烈であるから、電話普及政策に反するものとは考えられないと
答弁しております。次に、この臨時
措置法は、立法当時は、五ヵ年後には廃止し得る見通しのもとに、これを時限法としたのではないか、また、現状においてやむを得ない
措置であるとしても、将来はなるべくすみやかに打ち切るべきであ
つて、これをさらに五ヵ年開延長するのは長きに過ぎるのではないかという
質疑に対し、
政府は、目下の情勢では、今後五ヵ年の延長を必要と認める、ただし、
法律は
負担額の最高限を定めているのであ
つて、電話の種類別、緑地別の
負担額は制限額の範囲内で政令で定めることになっているから、将来、事情が許せば、延長期限内においても、できるだけ
負担を軽減するよう
措置する旨答てております。また、このように建設
資金の不足に悩んでいる電電
公社に対し別途
市町村納付金を課することは、国の施策として矛盾ではないかとの
質疑に対して、
政府は
公社に対する
関係のみについていえばその通りであるが、他面地方財政再建のためやむを得ず納付金制度をと
つたのであると答え、さらに、戦災電話の復旧の場合にも
設備費の
負担を課することは酷ではないかという問いには、
政府は、この場合も新規増設と同様の建設費を要するので、
負担を全免することはできないが、新しい加入申し込みの場合に比し、若干
負担を低減している旨
答弁いたしております。
かくして、
委員会は、三月七日
本案に対し
質疑を終了し、引き続き
討論を行なったのでありますが、その際、自由民主党を代表して秋田大助君、日本社会党を代表して八木昇君は、いずれも
本案に賛成の
意見を述べられ、次いで
採決の結果、
全会一致をもって
本案を可決いたした次第であります。
なお、
本案の
議決後、日本社会党森本靖君より次の
附帯決議案の提出があり、これまた
全会一致をもって
議決を見たのであります。
附帯決議
およそ電話
施設の建設に要する
資金は、企業体の自己
資金をもって賄い得ないところは、国家
資金、財政
資金の借入或は
公社債の公募等の方途によってこれを調達すべきであって、電話加入申込者等受益者の
負担にまつことは、
事業の公共的性格からいって、努めて避けなければならない。この見地からすれば、
電話設備費負担臨時措置法による受益者
負担は、急速な拡充を必要とする電話
事業の現状と、これに要する
資金を十分に
供給し得ない国原財政並びに
公社収支刻下の状態よりする已むを得ざるに出た
措置というべきである。よって
政府及び
公社当局においては、将来事情が許す限りなるべく速かに、かかる臨時
措置を打切る方針の下に、できうれば
負担法の延長期間内においても加入申込者等の
負担を軽減すべき適当の方策を講ずべきである。
右決議する。
以上でございます。
これをもって御
報告を終ります。(
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