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1956-03-01 第24回国会 衆議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月一日(木曜日)     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十四号   昭和三十一年三月一日     午後一時開議  一 健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑(前会の続)     —————————————  第一 外国人登録法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(第二十三回国会参議院提出)  第三 空港整備法案内閣提出)  第四 道路整備特別措置法案内閣提出)  第五 日本道路公団法案内閣提出)  第六 科学技術庁設置法案内閣提出)     ━━━━━━━━━━━━━ ●本日の会議に付した案件  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑(前会の続)  日程第一 外国人登録法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 公職選挙法の一部を改正する法律案(第二十三回国会参議院提出)  日程第三 空港整備法案内閣提出)  日程第四 道路整備特別措置法案内閣提出)  日程第五 日本道路公団法案内閣提出)  日程第六 科学技術庁設置法案内閣提出)     午後二時四十三分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  健康保険法等の一部を改正する法   律案内閣提出)の趣旨説明に対   する質疑            (前会の続)
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 内閣提出健康保険法等の一部を改正する法律案趣旨説明に対する質疑について、前会の議事を継続いたします。  岡本隆一君。     〔岡本隆一登壇
  4. 岡本隆一

    岡本隆一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昨日提案されました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、鳩山総理以下関係閣僚に若干の質問をいたしたいと存じます。  まず第一に、社会保障制度拡充強化の問題について鳩山総理にお伺いいたしたい。社会保障制度拡充強化は、第二次鳩山内閣成立の際の最大の公約でありました。積年にわたる吉田内閣の圧政に苦しんだ国民は、この魅力ある公約にそこはかとない希望を抱き、苦しみあえぐ自分たち生活にほのかなあかりがさすのではないか、こういう期待を持って、鳩山内閣成立を許したのであります。ところで、私は近ごろ霞ケ関を通っていつも思うのでありますが、防衛庁の実にりっぱな庁舎新築ができ上っていく。その向いで、今度は大蔵省の庁舎修築が始められました。ちょうど高利貸しのおやじと道楽むすことが仲よく差し向いといった格好であります。(拍手)その防衛庁の新庁舎の裏には、相変らず薄ぎたない厚生省建物がくすぶり返っております。社会保障を預かる厚生省の、このうらぶれた姿、はなやかに堂々と新築されていく豪奢な防衛庁、ここに現代日本の姿がある。(拍手)この三つの建物が、実によく日本政治の実態を象徴しております。自衛の名のもとに推し進められる再軍備、しかも、昨日の鳩山発言によれば、侵略のための再軍備、その犠牲となって、なえしぼんでいく社会保障、これが鳩山内閣政治であります。鳩山総理は、今もなお社会保障拡充強化への熱情を持っておられるのか。社会保障を力強く、りっぱに育て上げようという精神が、今度の健保改正案の一体どこに織り込まれておるのか。そういうところはみじんも見当らないのであるが、総理の御意見をお伺いいたしたい。(拍手)  次に、私は、本改正案の底に強く流れているところの、きわめて非人道的な考え方について、小林厚生大臣にお尋ねいたしたいと存じます。今次の健康保険制度改正のねらいは赤字対策にあるわけでありますが、それだけに、改正の要点は、どうしたら保険経済の支出を切り詰めることができるかということに終始いたしております。そのために打ち出して参りましたのが、患者の一部負担制強化であり、診療報酬請求書官給制であります。政府は、本年度予想の六十七億の赤字を三者協力で埋めることにしたい、政府も三十億出そう、そのかわり、被保険者も一部負担強化して二十三億出してもらいたい、事業主にも手伝ってもらって、標準報酬引き上げもやろう、こういう虫のいいことを申しております。しかし、被保険者の方は、すでに去年出すべきものはちゃんと出させられておる。昨日、厚生大臣の御説明によりますと、昨日保険料率が千分の六十から六十五に引き上げられておる。保険料事業主と半々の負担というが、これは終局的には被保険者労働者負担になるものであります。これで、被保険者の方は、ことしは年間三十五億を文句なしに吸い上げられていっておる。その上にもう一つこぶがついて、一部負担増加二十五億出せというのであります。踏んだりけったりというのは、まさにこのことであります。(拍手)以上のように、本年度健康保険財政赤字に対する被保険者側負担は、保険料の値上げ、一部負担強化標準報酬引き上げ等を合せますと、実に六十五億をこえるのであります。それに対して、政府はしぶしぶ三十億を出すにすぎない。エビでタイつるというのは、まさにこれです。(拍手)  達者なときには一生懸命働いて保険料を払い、そのかわりに、一たん病気になったときには、あたたかい、行き届いた医療の手が差し伸べられて、安心して養生することができる。そこに医療保障精神があるのであります。(拍手)それを、今度は、病人医者のところへ持って行く金を心配しなければならないということになる。これが今度の一部負担制強化であります。毎日働いてさえ食うに苦しい勤労者が、病気をして、収入のとだえた生活の中から、どうして金を持って医者のところへ行くことができましょう。社会保険をこのようなものにしてしまって、どこに社会保障制度前進があるというのか。厚生大臣の御所見を承わりたい。(拍手)  それでは、保健財政赤字はだれが作ったのか。どこにその責任の所在があるのか。さきに、前川崎厚生大臣は、累増する健康保険赤字に対処するために七人委員会なるものを作り、それに赤字原因及び対策検討を委嘱されました。七人委員会は、その答申書の中に、赤字原因の最も大きいものとして、被保険者受診率増大結核治療費増高とをあげております。受診率増大したことは、健康保険精神国民によく理解され、その制度が軌道に乗ったことを示すものとして、それ自体喜ぶべき現象であります。ところが、七人委員会は、赤字対策として、この受診率引き下げるためのいろいろの方法を教えております。たとえば、診療報酬請求書官給制がそれであります。私は、本改正案を通じて政府は何を一番大きなねらいとしているかと考えますときに、受診率をどうして引き下げるか、受診率引き下げによって何とか医療費節減をはかりたい、この精神が一貫して流れていると思うのであります。(拍手)  今度の政府の方針によりますと、患者は被保険者証だけでは医者にかかることができません。被保険者証と一緒に、会社工場に備えられている政府発行診療報酬請求用紙を持っていかねばなりません。たとえば、主人が突然病気になったとします。そうすると、主婦は、病気主人を置いて不安な、しかもせわしい中を、三十分、一時間電車にゆられて、会社まで請求用紙をもらいに行かなければなりません。この負担は大へんである。また、患者請求用紙を持たずに医者のところへ行くようになると、請求用紙がなかなか集まらぬものだから、医療機関は未収入増大のために経営が成り立たない。だから、医者の方では、請求書を持って行かないと、いい顔をしないようになる。こうなると、病気になっても、すぐに医者にかかりにくくなって、受診率は著しく低下して参ります。そうなって参りますと、これから後は、また昔のように、ジフテリアとか疫痢とかの子供が、わずかな時間の手おくれのために次々と死ぬようなことが出るでしょう。盲腸炎の手術がおくれて、助かる命を落す人もふえてくるでありましょう。これが請求用紙官給制の非人道的な正体であります。(拍手赤字克服の前には貧乏人の百人や千人死んでもよいというのか、これを社会保障後退といわずして何と呼ぶのか、厚生大臣の御所見を承わりたい。(拍手)  次に、結核医療費について大蔵大臣にお尋ねしたい。七人委員会は、結核医療費健康保険医療費の三分の一を占め、これが大きな赤字原因となっていることを指摘しています。七人委員会も、国が結核撲滅を国策として大きく取り上げ、結核予防法を施行している以上、それに基く結核患者治療費は当然国が負担すべきであるといたしております。政府は、結核予防法という非常にりっぱな子供を生みながら、それを生みつぱなしにして、十分そのめんどうを見ておりません。だから、その子は、おなかをすかして、よそのものを盗んで食っている。結核対策健康保険財政を大きく食っておるのであります。(拍手健康保険財政赤字は、政府が、結核予防法に基く医療費を正当に負担し、これを保険財政に転嫁しなければ、片づく問題なのであります。御用機関である七人委員会も、さすがに、この明らかな矛盾には目をおおうことができないで、結核治療費国庫負担を強調しています。ところで、政府は、七人委員会答申の中で、自分に都合の悪いところは、みんな聞えぬふりをしておる。一萬田さんの最も得意とする、勝手つんぼであります。(拍手)この結核治療費健保財政への肩がわりをどこまでほうっておくのか、いつになったらとるべき責任をとるというのか、一つ大蔵大臣のお考えを承わりたい。  さらに、今次の改正案における重要な問題は、医療機関を二年ごとに更新する指定制にしようとする問題であります。最近、会社工場では、悪い風潮として従業員臨時工として採用し、三カ月ごとに契約を更新して、何年でも臨時工のままにしておく、そうして、いつ首を切られるかわからないという不安の中に置きまして、低賃金でこき使っておる。今度は保険医をそういう臨時工的なものにしようというのであります。これは、診療報酬に関する審査事務官僚化と相待って、日本医療厚生官僚の完全な統制のもとに置くものである。  元来、厚生省のお役人には、血も涙もない人がそろっておる。近くは、わずかな医療費節減をはるために、重症結核患者からつき添い制度を奪って、手術後の重症患者に非常な不安と苦痛を与えたり、今度は、病人から、あるいは困窮者から医療費を巻き上げようとする一部負担制強化診療標準報酬引き上げ考え出してみたり、弱い者いじめにかけてはよくもこう頭の回るものだと感心させられます。(拍手)こういう人たち統制下に置かれる今後の医療は、完全に自主性独創性が奪われて、画一的な、事務的な治療に堕してしまうのであります。医療というものは、診療に従事する者の人道主義に徹した誠意と熱情がなくして、それを真に効果あらしめることはできません。私は、少くとも、医療担当者がその制度に満足し、心から協力することがなければ、健康保険も魂なき健保となると思うのであります。(拍手)それを、今度は、医療機関臨時工扱いにし、厚生官僚の頤使のままに、屈辱的診療に甘んじなければ、いつ首を切られるかわからない、こういう不安の中にたたき込んで、低単価をもってこき使おうとする、そういう悪らつな資本家根性が本改正案の中に露骨に出ておる。このような医療担当者の人格を無視した制度の中で、果して全国七万の医療担当者が甘んじて働くとお思いになりますか。このような侮辱に甘んずるものではありません。厚生大臣の反省を促すとともに、何ゆえこのようなばかげたものを持ち出したか、そのお考えを承わりたいと思うのであります。(拍手)  要するに、本改正案は、被保険者負担増大受診率引き下げ医療機関奴隷化等の一連の制度改悪によりまして、保険財政赤字を糊塗せんとするものであります。まさに世紀の改悪といわなければなりません。(拍手)さればこそ、今、健保改悪反対の声が全国にみなぎっております。患者も、去る二十日、大挙して国会に陳情に参りました。しかも、その日、国会の周辺でこの痛々しい患者の集団を待っていた者は、白衣の天使にあらずして、乱闘用服装に身を固めた警官の群れでありました。(拍手)私は、病者に対する政府のこの処遇を、ほんとうに残念に存じました。政府の石のように冷たい心を知りました。療養担当者である医師会歯科医師会も猛烈に反対しております。この悪法が衆議院を通過すれば、保険医の総辞退をすると決議しております。そのあとは、悪法反対大会全国的に何回か繰り返されるでありましょう。先日も、大阪で、また滋賀で、大会出席のために医者がおらないで、とうとう医者にかかれないで死んだ人も出ております。もしも、政府にして、かかる愚策を強行せんか、この動きは全国に燎原の火のごとく燃え広がるでありましょう。これは大きい社会不安であります。この非常の事態政府はどう対処するつもりか、医師の総辞退を予想しても、なおかつ強行するつもりで本法案をお出しになったのか、鳩山総理のお考えを承わりたい。(拍手)  日本社会党は、本改正案政府提案に先だちまして、政府の怠慢と愚策により、まさに崩壊寸前にある健保制度を立て直すために、独自の健保改正案を提出いたしました。わが党改正案要旨は、健康保険法の第七十条を改正いたしまして、医療給付費の二割国庫負担を義務づけんとするものである。(拍手)これに要する費用は、わずかに八十億であります。一昨日、昭和三十一年度一般会計及び特別会計予算が本院を通過いたしました。その中には、削れば削り得るものが数多くある。たとえば、造船利子補給ごとき、吉田内閣の命取りとなった未曽有汚職事件落し子が、今もなお大手を振ってまかり通っております。(拍手防衛庁は、毎年予算の消化に四苦八苦し、目を白黒しておる。莫大な血税をでたらめに消費し、会計検査たびごとに、続々とボロを出しておる。しかも、なお、毎年二百億以上の繰り越しがある。これらの中から、どうして八十億、百億の金がひねり出せないというのか、大蔵大臣のお考えを承わりたい。  政府にして社会保障拡充強化への一片の誠意あれば、勤労者を苦しめ、療養担当者を憤激せしめ、中小企業者を苦境に追い込むような健保改悪案を出す必要はないはずであります。聞くところによりますと、療養費国庫負担を最も頑強に拒否しているのは大蔵大臣であるというが、そういう根性であるから……。
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 岡本君、申し合せの時間が参りました。
  6. 岡本隆一

    岡本隆一君(続) 一萬田さんの顔は、いつ見ても、えんまさんのように見えるのであります。(拍手)  政府及び与党の諸君は、五百万の被保険者、二千万の家族から医療費をしぼり上げ、多数の療養担当者を絶望せしめ、健康保険を魂なきものとする前に、みずからの非人道的行為を深く反省し、今からでもおそくはない、政府案を撤回し、社会党提案健保改正案に御賛同あらんことを切望いたしまして、私の質問を終ります。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎登壇
  7. 鳩山一郎

    国務大臣鳩山一郎君) 岡本君の御質問お答えをいたします。  今回の改正案は、この制度が高い医療水準を維持しつつ恒久的に発展していくために必要な改正でありまして、伏して後退ではございません。(拍手政府は、近い将来全国民医療保障を普及さすべく検討中であります。祉会保障の強化発展には大いに努力をいたしたいと考えております。(拍手)  岡本君は、次に、医師が各地で総辞退をする、それに対して御質問がございましたから、それに対して一言申し上げておきます。政府は、社会保障、特に医療保障発展強化につきましては毎年大いに努力をしてきておりますが、国民健康保険はもちろん、健康保険船員保険についても大幅な国庫負担を実現したのであります。今後は、全国民対象にした医療保障を実現するよう、一そう努力をいたしたいと考えております。(拍手)この政府医療保障に対する熱意を十分医師諸君に理解をお願いし、また、政府の行う諸施策については医師諸君と十分話し合っていくように努めたいと考えております。保険医辞退といったような破壊的な行動は、良識ある医師諸君は決してとらないものと確信をしております。(拍手)     〔国務大臣小林英三登壇
  8. 小林英三

    国務大臣小林英三君) 岡本さんの御質問お答えいたします。  まず、今回の健康保険法改正というものは、これは後退であるというようなお説でありますが、健康保険財政的な危機に直面いたしておりますることは御承知の通りでございまして、これをこのままに放置いたしますならば、私は、健保崩壊となり、ひいては勤労者生活に大きな打撃を与えると存ずるのでありまして、この健保制度を維持いたしまして、その立て直しをはかり、将来にその健全な発展を期するためには、今回の改正案におきましても、政府国庫負担をいたし、また同時に各種の対策を行うことといたしまして、一部被保険者負担に対しましても、将来高度の医療水準を少しも落すことなく健康保険発展さしていくために、この処置が必要なりと思うのでありまして現に、欧州の先進国等におきましても、一部負担制度としてやっているのであります。私は、今回のこの処置は決して健康保険後退でなく、これによって健全なる健康保険立て直しができると考えておるのであります。(拍手)  次に、医療報酬診療報酬請求書明細書の件に対する御質問がございましたが、これは、官給方式の採用につきましては、今後の実施についても、その時期、方法等につきまして慎重に検討しておるのでありまして、これがもし正しい受診の抑制になったり、あるいは事務が非常に複雑になったりすることは、かたく戒めたいと存じております。  それから、機関指定の問題について御質問があったのでありますが、岡本さんの御質問によりますと、そこに相当の誤解があるように思います。私どもが考えておりますところの医療機関指定というものは、日本の現在行われておりますところの医療制度の姿をそのまま持っていきたいのでありまして、つまり、従来の個人の指定というものは、登録によりまして永久に健康医としての資格を保持さすのであります。同時に、今日患者病院または診療所等におきまして医療を受けるのでございますから、これらの医療機関病院診療所等指定し、あるいは指定を取り消すこともございますけれども、とにかく指定をいたしまして、日本医療制度の本然の姿にいたしたいというのであります。もちろん、今岡本さんの御心配になりましたような問題はないのでありまして、これらの指定あるいは取り消し等につきましても、十分に民主的に地方の医療協議会意見を聞いて行うことにいたしておるのでございますから、行政庁が任意に専断で行う制度ではないのであります。  それから、鳩山内閣社会保障制度に対する質問があったのでございますが、ただいま岡本さんの御意見では、防衛庁建物云々というような話もございましたが、私は、今日世界各国において行われております社会制度の問題について、たとえば、世界各国における防衛費を一〇〇といたしました場合において、その国々の社会保障費がどれくらいのパーセンテージになっているかということを、比較の年次は若干まちまちでございますが、ILOの国際比較によりまして例示してみたいと思うのであります。たとえば、米国におきましては、防衛費一〇〇に対しまして一二であります。英国におきましては、防衛費全体の費用に対しまして、社会保障費は六〇であります。フランスの場合においては、防衛費用の一〇〇に対しまして一八であります。イタリアの場合におきましては四二であります。西ドイツの場合におきましては九八でございますが、岡本さんがおあげになりましたわが国におきましては、防衛費一〇〇に対しまして一三三の社会保障をいたしておるのであります。(拍手)     〔国務大臣萬田尚登登壇
  9. 一萬田尚登

    国務大臣(一萬田尚登君) 第一に、結核対策についてお答えをいたします。政府は、国民の福祉を増進いたしますために、結核対策については格段の配慮を加えておるのでありまして、これが強化を常に念願しております。従いまして、結核予防法によります結核予防対策強化、すなわち、さらに詳しく申し上げますれば、公費によります医療範囲の拡大あるいは対象人員増加等の改善をはかりまして、健康保険国庫給付費節減をはかっております。しかしながら、今日、この結核医療費健康保険赤字の因となっておることもいなみがたいのであります。従いまして、政府といたしましては、今回特に財政から補助金制度を創設いたしまして、社会保障の確立に一歩前進をいたしております。なお、今後におきましては、結核予防法並び健康保険運用の適正を期しまして、一そうこの結核対策に善処いたしたいと考えておるわけであります。  なお、防衛庁費並び造船利子補給、こういう点と社会保障費関係についての質問でありますが、これはいずれも政府としては重要な施策であります。これらの施策が重要だからといって、これに予算を盛っているからといって、社会保障を怠っているわけではないのであります。これらはすべて総合的に考えて国政を運用していかなければならないと考えている次第であります。(拍手
  10. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  11. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一、外国人登録法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。法務委員長高橋禎一君。     —————————————     〔高橋禎一登壇
  12. 高橋禎一

    高橋禎一君 ただいま議題となりました外国人登録法の一部を改正する法律案につきまして、提案要旨及び委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  御承知のように、本年十月末ごろから来年一月ごろまでの間に、五十数万人に上る大量の外国人登録証明書の一斉切りかえが行われ、しかも、この切りかえに際しましては、十四才未満の者を除いた三十数万人については指紋の押捺をさせなければならないことになっております。しかるに、従来とかく好ましからざる事態を引き起して参りましたこれらの切りかえ事務を、市町村において計画的に円滑にかつ能率的に処理できるようにするため、登録証明書有効期間を限定しないことに改め、また、登録証明書の再交付の場合に都道府県知事の承認を要しないことに改め、さらに、外国人が再入国した場合の取扱いについて新たな規定を設け、また、登録証明書受領義務に関する規定を新設する等、事務簡素化現行規定整備合理化をはかろうとするのが、本案提出趣旨であります。  さて、法務委員会におきましては、本案出入国管理令と密接なつながりを持つ関係上、種々活発なる質疑が行われましたが、これらの詳細は会議録に譲りたいと存じます。  かくて、二月二十四日質疑を終了し、討論に入りました。日本共産党より反対意見、自由民主党より賛成意見が述べられ、次いで、日本社会党より、この法運用に当っては慎重にして誤りなきを期すべき趣旨希望意見を付して賛成討論がなされたのであります。よって、本案を採決いたしましたところ、多数をもって政府原案通り可決いたした次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  14. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって本案委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————   日程第二 公職選挙法の一部を改    正する法律案(第二十三回国会    参議院提出
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第二、公職選挙法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長加藤鐐五郎君。     —————————————     〔加藤鐐五郎君登壇
  16. 加藤鐐五郎

    ○加藤鐐五郎君 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につき、特別委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案公職選挙法施行の実情にかんがみ、また、来たる参議院議員の通常選挙に備え、選挙の、より公明、より適正を期せんとするものでありまして、     〔議長退席、副議長着席〕 その主たる内容を簡単に申し上げますと、一、参議院全国選出議員の候補者の供託金を倍額に増したこと、一、衆議院議員の選挙を除き、その他の選挙の選挙運動期間を短かくしたこと、一、公職につくべき者を予想する人気投票の公裏を禁止したこと、一、選挙に関し報道及び評論を掲載する自由を有する新聞紙または雑誌の要件たる継続発行期間を延ばしたこと、一、知事及び市長の任期中自発的に退職を申し出た者の立候補を制限したこと、一、政党その他の政治団体の選挙における政治活動の規制の適正化をはかったこと等の諸点関であります。  本案は第二十三回国会に参議院が提出した議案でありましたが、同会期中には審査を終了するに至らず、閉会中審査に付して、今国会に継続したものであります。  特別委員会におきましては、数回にわたり委員会を開いて本案の審査を進め、また、言論界、法曹界より参考人を選定して意見を聞く等、審査の万全を期したのであります。  かくして、去る十六日に一応の質疑を終了し、その後修正点について協議を重ねました結果、自由民主党の青木正君外十五名より修正案が提出せられたのであります。その内容は、政党その他の政治団体の所属候補者の数の算定につきまして、参議院原案においては一の候補者は三以上の政党その他の政治団体の所属候補者として計算されることはできないとなっておるのを、一の候補者は二以上の政党その他の政治団体の所属候補者として計算されることはできないこと、すなわち、三以上を二以上と改め、また、公務員として在職中候補に立ち得る者の中に、新たに内閣官房副長官を加えることとし、なお、原案の施行期日一月一日はすでに経過いたしましたので、これを三月十五日施行と改めるものであります。  去る二十七日修正案に対する質疑を終了し、引き続き原案及び修正案を一括して討論に付しましたところ、まず自由民主党を代表し青木正君より、修正案中二以上とした修正の理由は、決して労働組合等の政治団体の政治活動を押えるというがごと考えは毛頭なく、現在の二大政党の実情に照らし、ただただ選挙取締り上の公正を保ち、この混乱を防がんとする趣旨である旨を高調し、修正案及び修正部分を除く原案に賛成意見を開陳されました。次に、日本社会党を代表して井堀繁雄君は、修正案中の候補者の数の算定に関する修正点については、参議院における各派共同提案としての立案の経緯に照らし、また、この修正は労働組合の政治活動を抑圧するものとして反対され、修正部分を除く原案には賛成の旨の意見が述べられたのであります。  引き続き採決いたしました結果、本案は多数をもって青木正君外十五名提出の修正案の通り修正議決いたした次第でございます。  詳細は委員会議録及び委員会報告書によって御承知を願うことにいたしまして、以上、簡単でありますが、御報告をいたす次第でございます。(拍手
  17. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 討論の通告があります。これを許します。井堀繁雄君。     〔井堀繁雄君登壇
  18. 井堀繁雄

    ○井堀繁雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について、次の三つの理由を明らかにいたしまして、自由民主党の修正案に対する反対の意思表示をいたしたいと思うのでございます。  その一つは、ただいま委員長報告にありましたように、手続の上に重大なる無理があるのであります。第二の問題は、修正の内容がきわめて悪質なものである点、第三は、選挙法の取扱いが非民主的である点を指摘しなければならぬのであります。(拍手)  まず手続の点でありますが、委員長報告にもありますように、本案は参議院の各派の共同提案になるものであります。参議院の院議を経て本院に提出されたものでありまして、かかる経過からいたしますと、当然、自民党といたしましては、本案成立に共同の責任と義務を負うことは申すまでもないのであります。(拍手)しかるにもかかわらず、突如として修正案を提出いたしました。しかも、その内容についてであります。この点はあとで述べますが、この修正の内容は案件の本質を全く左右するがごとき重大なる修正であるのであります。  かかる態度は、申すまでもなく、国会の運営を正常なルールの上において行うという立場を乱すところの、すなわち、公的な協定をみずからじゅうりんして、ただに眼前の党利党略にのみ終始するという、きわめて非民主的な行為でありまして、かかる態度は公党として断じて許すべからざる不信行為である。(拍手)もし、このような態度が許されますならば、政党政治責任政治であるという建前は、ここからくずれて参るのであります。わが国の政党政治が二大政党の中に健全な発展希望しておる現状におきまして、かかる政党の態度というものは、断じて許さるべきものでないと思うのであります。自由民主党のため、まことに惜しむ次第でありまして、議会政治担当の責任を、深く、もっと真剣にお考えになりまして、日本の政党政治確立のために御精進あることを御忠告申し上げたいと思うのであります。(拍手)  さらに、内容について申し述べなければならぬのでありまするが、先ほどの委員長報告にありまするように、この改正原案は参議院の共同提案でありますので、わが党といたしましては、その責任の一端を分つ意味におきまして、改正原案に対しましては賛成の意を表しております。しかるに、自民党の修正案でありまするが、その修正案は四つの点からなっております。その中の一つは、法第三百一条の五第四項の改正規定の中の「三以上」を「二以上」にするという、文字の上からいえば三を二にするだけのことでありまするが、その持つ内容はきわめて重大であります。すなわち、政党その他の政治団体の選挙における選挙活動につきましては、参議院の改正案は数の上において制限を加えようというのでありまするから、一種の制限法であります。自民党の修正案の、三を二にするということは、政党以外の政治団体について従来許されておるところの公正な選挙活動を、この法律によって禁止するという結果になるのであります。このことは非常に大きな相違を来たすのであります。  これを申すならば、従前の実例で皆さん御案内のように、全国的な組織を持ちまする労働組合が、毎回行われておりました選挙に、成規の手続と、一定の候補者を規定いたしまする法の精神に基いて運動を行いましたことは申すまでもありません。こういう、きわめて合理的な、しかも日本の重要な政治的勢力を推進する行為が、この法律改正によって全く禁止されることになるのでありまするが、その結果は、申すまでもなく、労働組合の健全なる成長、ことに、憲法で規定されておりまするところの労働者政治的基本権が、ここに全く奪われてしまうのであります。(拍手)このことは、近代社会におけるところの労働者の組織的人格というものが、今さら申し上げるまでもなく、すでに国際的な地位において、あるいは、わが国の民主化、平和の勢力確立のために一般に強く要請せられておりまするところの重大な意義を持っておるということは、皆さんの周知の事実であります。  私の強調いたしたいことは、民主主義を推進するために、また、平和主義の確立を念願するために、また、民族の繁栄と経済の興隆をはかろうといたしまするためには、近代社会の原理に基きまして、労働者の個々の人格を尊重するとともに、その組織的人格が尊重されなければ、民主主義の実は貫かれないのであります。(拍手)この組織的な人格をさらに政治に反映せしめることによって、そこに日本の民主主義政治の基礎が確立され、世界が願望するところの平和勢力の確立が発展してくることは申し上げるまでもないのであります。これは無理解か、あるいは故意か、ここに、かかる萌芽をつみとらんとするところの修正案であることは申し上げるまでもないのであります。こういう態度がここに許されるといたしますならば、口に民主主義を唱え、口に平和を説きましても、断じてこれを容認することはできないのであります。申すまでもなく、この原則を打ちこわすようなことをいたすところに、今日の政治の反動化が非難されてくるのであります。  私が次に申し上げなければなりませんことは、選挙法の改正についてであります。これに限るわけではありませんが、選挙法の改正につきましては、先ほど委員長からも述べられましたように、選挙を公正に、しかも適正に行うためのものであることは申すまでもございません。しかし、選挙を公正に、公明に行うということは、たとえばスポーツの例にもありますように、そのルールというものが、その選挙に携わるものにすべて公平でなければならぬことは言うまでもない。さらに、国民の総意が選挙を通じて議会に反映してくるということは当然の措置でありまするから、こういう法律を党利党略に利用するということは断じて許されないところであります。(拍手)しかるに、ただいま委員長報告にありまするように、自民党は数の力を頼んで委員会を押し切ってしまつたという、この取扱い方であります。  選挙法の公正を保ちまするためには、政党政治の建前を貫く現状にありましては、十分政党間において話し合いをし、また、民意を十分反映せしめまして、お互いに納得の上で、かかる基礎的な法案が作らるべきものであることは、民主主義政治を理解するものでありまするならば、直ちに同意されるはずであると思います。しかるに、今回とりました自民党の態度は、全くこの事実をゆがめ、委員会におきまして、しゃにむに、多数を頼んでこれを押し切った。今日、この自民党の正体は、この法律案審議の中に、民主主義を理解することのできない、すなわち、議会政治の公正なルールをみずから破砕するところの、あわれむべき行為と私は申さねばならないのであります。(拍手)かかる手段がもし今後続けられまするならば、それは力による政治と何ら異なりません。  私どもの強調いたさなければなりませんことは、かかる力をもってなす政治方式というものは、かつてナチス・ドイツの歩んだ道を行くのじゃないかと気づかわれることであります。御案内のように、ナチスの行き方は、表面、民主的な手続をとって参りました。すなわち、民主的な手続というヴェールに隠れまして、漸次その力をたくわえて、最後に独裁の段階、暴力政治を確立したことは、今さら申すまでもないのであります。こういうフアッショ的な傾向——選挙法のごとき、公正に、かつ、各党が十分納得の上で成立せしむべき法案を、数の力によってこれを押し切るようなことをいたしますことは、いかに民主主義を唱えましても、議会のルールを重んずることを主張いたしましても、みずからそのルールを破り、民主主義の行為をじゅうりんするこの事実は、どうしてもいなめないと思うのでございます。(拍手)かような立場からいたしまして、今回とりました選挙法の改正は、一部の改正ではありまするけれども、その行為は断じて許すことのできない、無謀なフアッショを押し通すものの露骨な傾向であると断ぜざるを得ないのであります。  以上、簡単に、三つの理由をあげまして、自民党の猛省を促し、修正案の撤回をなされんことを希望いたしまして、私の反対討論を終る次第であります。(拍手
  19. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。本案委員長報告は修正であります。本案委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます、     〔賛成者起立
  20. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告の通り決しました。(拍手)      ————◇—————
  21. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 日程第三、空港整備法案議題といたします。委員長報告を求めます。運輸委員長松山義雄君。     —————————————     〔松山義雄君登壇
  22. 松山義雄

    ○松山義雄君 ただいま議題となりました空港整備法案について、運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず本法案趣旨を簡単に御説明いたしますと、航空が政治経済活動を能率化し、機敏迅速をとうとぶ現代の傾向に即応した最もすぐれた交通手段であることは異論のないところであります。しかるに、わが国の航空交通は、その拠点である空港が現在ようやく一部の幹線のみが整備されているにすぎず、主要各国に比し著しく立ち遅れている状態でありまして、早急に各地の空港を整備拡充するよう強く要望されているのであります。よって、この要望にこたえまして、空港の整備をはかるために必要な規定を設け、もって航空の発達を促進しようとするのが、本法案の目的であります。  次にその内容のおもなる点をあげますと、まず第一点は空港の種類をその性格に従いまして三種類に分け、第一種空港は国際航空路線に必要な飛行場、第二種空港は主要な国内航空路線に必要な飛行場、第三種空港は地方的な航空運送を確保するため必要な飛行場でありまして、それぞれ政令で指定しようとするのであります。  次に、第二点は、空港の設置、管理でありますが、第一種空港及び第二種空港は運輸大臣が、第三種空港は地方公共団体がそれぞれ設置、管理を行うことにして、管理主体の明確を期しております。なお、第二種空港につきましては、地方公共団体が管理を希望する場合には、管理権を地方公共団体へ移譲できるようにいたしております。第三点は、空港の建設、整備に要する費用の分担等でありますが、第一種空港は、その全額を国庫負担し、第二種空港と第三種空港については、国と地方公共団体とが費用を分担することといたしております。  本法案は、去る二月二十一日本委員会に付託され、翌二十二日政府より提案理由の説明を聴取し、同月二十四日質疑が行われましたが、その内容は会議録に譲ることといたします。  同月二十八日、討論を省略いたしまして、直ちに採決の結果、全会一致をもって政府原案通り可決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。
  23. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  25. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 日程第四、道路整備特別措置法案日程第五、日本道路公団法案、右両案を一指して議題といたします。委員長報告を求めます。建設委員長徳安實藏君。     〔徳安實藏君登壇
  26. 徳安實藏

    ○徳安實藏君 ただいま議題となりました道路整備特別措置法案及び日本道路公団法案の二法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  右二法案は、二月九日本委員会に付託せられ、参考人の意見を聴取する等、数回にわたって慎重審査の結果、二月二十八日質疑を終了、自由民主党の荻野豊平君より、日本道路公団法案第八条中、理由五人以内とあるを六人以内に改めたいとの修正案が提出されました。よって、右二法案及び修正案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して瀬戸山三男君より賛成の旨が述べられ、日本社会党を代表して三鍋義三君より、有料道路の制度は道路の無料公開の原則に反する、また、同公団に対する揮発油税の流用は納得しかねる等の理由によりまして、反対の旨が述べられたのであります。  かくて、採決の結果、修正案及び修正部分を除く日本道路公団法案及び道路整備特別措置法案、いずれも多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、詳細は会議録によって御了承願いたいと思います6  右、御報告申し上げます。(拍手
  27. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 両案を一括して採決いたします。日程第四の委員長報告は可決、日程第五の委員長報告は修正であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  28. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  29. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 日程第六、科学技術庁設置法案議題といたします。委員長報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長有田喜一君。     —————————————     〔有田喜一君登壇
  30. 有田喜一

    ○有田喜一君 ただいま議題となりました科学技術庁設置法案について、委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  科学技術を振興し、国民経済の自立発展生活水準の向上に役立たせることは、国内資源の乏しく、脆弱な経済基盤の上に膨大な人口を擁するわが国にとって、きわめて緊要な問題であります。しかるに、わが国における科学技術に関する行政組織は、それぞれの所管行政に応じて関係各省に分割されておりますので、科学技術全般に関する総合的な行政機関を急速に設ける必要があるのであります。これがため、政府は、原子力関係をも含めた総合的推進機関として、科学技術庁を新たに総理府の外局として設けることにしたのであります。科学技術庁の長官は国務大臣をもって充て、所管行政に関する重要事項について、関係行政機関の長に対し資料を求め、勧告を行い、勧告の結果について報告を徴することができることになっております。  次に科学技術庁の組織でありますが、内局として長官官房のほか四局を置き、また、長官、次長のほか、科学審議官、科学調査官、科学研究官を置いて専門的分野の調査、研究を行うとともに、顧問、参与を置いて重要施策に参画せしめることかできることになっております。  科学技術庁の付属機関といたしましては、研究機関として航空技術研究所及び金属材料技術研究所を、審議機関として科学技術審議会、航空技術審議会、資源調査会及び発明奨励審議会を設けることといたしております。  本案は、二月十六日提出され、十八日正力国務大臣より提案理由の説明を聴取した後、数回にわたって熱心、活発なる質疑を行なったのでありますが、その詳細は速記録に譲ることといたします。かくて、昨二月二十九日質疑を終了いたし、自由民主党及び日本社会党の共同提案として、科学審議官三人を五人とし、その他字句を明確化する修正案が提出され、自由民主党より小平久雄君が、日本社会党より岡良一君がそれぞれ賛成討論を行なった後、採決の結果、全会一致をもって修正議決いたしました。  なお、科学技術庁は発足早々としてはこの程度でやむを得ないものがあるが、総合科学技術官庁としては不徹底でありまするので、自由民主党及び日本社会党の共同提案にかかる附帯決議として志村委員より   政府は、科学技術振興の重要性と緊急性に鑑み、中央地方を通じて科学技術に関する試験研究機関、特許行政機構等に再検討を加え、昭和三十二年度において科学技術庁を更に整備拡充し、科学技術の振興を強力に推進すべきである。という提案かなされ、これまた全会一致をもって可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  31. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案委員長報告は修正であります。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  33. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十一分散会