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1956-10-11 第24回国会 衆議院 法務委員会閉会中審査小委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年十月十一日(木曜日)    午後二時三十三分開議  出席小委員    小委員長 高橋 禎一君       小島 徹三君    高村 坂彦君       椎名  隆君    高瀬  傳君       林   博君    花村 四郎君       福井 盛太君    松永  東君       横川 重次君    淺沼稻次郎君       猪俣 浩三君    佐竹 晴記君       古屋 貞雄君    吉田 賢一君  小委員外出席者         議     員 志賀 義雄君         警察庁長官   石井 栄三君         調達庁長官   今井  久君         総理府事務官         (調達庁次長) 丸山  佶君         検     事         (刑事局長)  井本 台吉君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 十月十一日  小委員田村武夫君同日委員辞任につき、その  補欠として高村坂彦君委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員池田清志君、世耕弘一君、横井太郎君、  菊地養輔君及び武藤運十郎君同日小委員辞任  につき、その補欠として小島徹三君、松永東君、  花村四郎君、古屋貞雄君及び淺沼稻次郎君が委  員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政に関する件     —————————————
  2. 高橋禎一

    高橋委員長 これより法務委員会 閉会中審査小委員会を開会いたしま す。  本日は法務行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  砂川基地拡張問題について質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。  なお、委員志賀義雄君より小委員外の発言の要求がありますので、これを許可いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。  それでは質疑に入ります。猪俣浩三君。
  4. 猪俣浩三

    猪俣委員 船田長官並びに今井調達庁長官にお尋ねしたかったのですが、船田長官は何か所用のため御列席がない。そこでこれは明白に留保しておきたい。  そこで今井長官にお尋ねいたします。日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法、以下特別措置法と申し上げたいと思いますが、この第三条の精神について調達庁の御解釈を承わりたい。  第三条は、申すまでもなく、駐留軍の用に供することが適正かつ合理的である、その場合に収用ができるという規定に相なっております。そこで、私がお尋ねしたいことは、この適正かつ合理的なる価値判断、こういう価値判断素材材料はどこまで入れるのであるか。なお具体的に申しますならば、今日世界情勢あるいは国内情勢、これに基いて政治が行われることは申すまでもありません。この特別措置法土地収用法手続を大部分適用いたしておりますけれども、その根本精神は違っているはずでありますので、確かめる必要があるのであります。そこで、アメリカ軍に使用せしめることが適正かつ合理的なる判断を下しまするには、私ども考えからするならば、まず第一に国際情勢、しかる後に国内情勢諸般政治的現象考慮に入れることも、この適正かつ合理的なる価値判断素材にすべきものである。なお具体的に申し上げまするならば、今日鳩山内閣日ソ交渉に乗り出し、これは鳩山総理の異常なる執心から見ましても、ある程度成功すると見ております。この日ソ間が平静状態に復帰し、なおまた、自民党池田君が団長となって今日行っております中国との間にも友好なる貿易関係——貿易関係平和関係であります。かようなことが進展してきておる。これは政府として明白に言うことができないでも、三尺の児童でもわかることは、わが国の安全の仮想敵国ソ連にあらずんば中国共産圏であることは自明の理である。この措置法行政協定そのもの趣旨にのっとってできたものである。行政協定そのものアメリカ日本の安全を守ってやるといろ理由であることも申し上げるまでもない。日本のために日本の安全を守ってやるからという意味において行政協定が締結せられ、七百有余の軍事基地が設定せられ、世界歴史にいまだかって見ざる現象を呈してきておる。しからば日本の安全ということから考えなければならぬと存じまするが、今世界情勢は、世界全体といたしましても、また日本を取り囲みますところのソ連中共の動向からいたしましても、日本侵略に来る安全をアメリカに守ってもらわなければならぬという必要度は、実に朝鮮事変以来激減していると考えるのであります。朝鮮事変当時とは非常に違ってきておる。かような国際情勢というものも、この行政協定から出発しました特別措置法の適正かつ合理的なる判断の中には織り込まれなければならぬと存ずるのであります。そこで、かようなるところの国際勢情、及び国内情勢といたしましては、あの砂川の農民が祖先の墳墓を失いたくないために必死の形相をもって立ち上っており、民主的団体がこれに同調いたしまして、わが民族の独立をかちとるのだと称して戦っておる。事の善悪は第二といたしましても、かような異常な状態における国内情勢、こういうことも合理的かつ適正なる価値判断素材として取り上げるべきものではなかろうか。私どもは、法律解釈といたしまして、この点につきまして、一体調達庁はいかなる御見解を持っておるのであるか、いや、国際情勢だの国内情勢だのどんなことがあろうが、もうあのアメリカ軍事基地拡張しなければならないというふうにお考えになっておるのか、適正かつ合理的なる値価判断材料についての範囲の御説明を願いたい、これが第一点であります。  立ちましたついででありますから、連関した質問を継続いたしまするが、この今申し上げました措置法におけるアメリカ軍の用に供することが適正かつ合理的だということが、申し上げるまでもなく土地収用法の第一条と大いなる違いのあるところであり、これが全般のこの措置法の眼目であります。土地収用法一般大衆の公共の用に供するということで収用せられる。しかるに措置法アメリカ軍に供することが適正かつ合理的だというのが目的であります。そうすれば、土地収用法においては、あるいは国内情勢国際情勢考慮に入れなくてもいいということができるかも存じませんけれどもアメリカとの条約の結果生まれましたるこの国内法である特別措置法におきましては、アメリカ軍の用に供することが適正であるか合理的であるかということの価値判断には、内外の情勢判断すべきことが政府並びに政治家のとるべき態度ではなかろうか、かように私は考えておる者であります。これが第一点であります。  第二点といたしましては、アメリカ軍の用に供することが適正かつ合理的なる判断は何人がするのであるか、アメリカ軍それ自体がするのであるか、日本政府がするのであるか、その適正かつ合理的なる判断の主体は何国の何人にあるのであるかを明らかにしていただきたい。これが第二点であります。  第三点といたしましては、かようにわれわれは考えるのに、——国際情勢及び国内情勢から見ましても、ある砂川基地拡張のごときは実に不必要だと思うのであります。何がゆえに政府はいわゆる同胞血潮を流してまでもあの拡張をしなければならぬのであるか、アメリカの強い要請があるためであるか、日本政府が独自の判断であそこが一等適正かつ合理的だと考え、そうして判断をされたのであるか、この点についても御説明願いたい。  それを承わりましてから次の質問に移りたいのでありますが、私の意見が相当入っておりますために、質問趣旨がつかみにくいかも存じませんが、要約いたしますと、いわゆる特別措置法目的土地収用法目的とは違っておる、特別措置法目的はいわゆる特別である。この目的の適正かつ合理的なる判断には、世界の平和が確立されつつある、あるいはアジアにおける侵略の危険などは何でもないという情勢が、適正であるか合理的であるかということの判断材料に入るべきものではなかろうかということが第一点。第二点は、何人がこの判断をするのであるか。第三点は、政府当局アメリカに対して、これだけの砂川反対があり、民族的な反対がある、これは中止してくれないか、あるいはまた延期してくれないかというようなことを交渉されたことがあるのであるか、ないのであるか、そういう交渉をしたとしても、アメリカ軍が強硬に、いや砂川でなければ絶対いけない、他の換地は認めるわけにはいかないというアメリカ意思であるのかないのか。——なぜ私はこの質問をするかと申しますと、私の聞く情報によりますならば、アメリカ軍はそんなに急いで拡張しなければならぬということを言うておらぬということを聞いておる。もしそうだということになると、政府態度は許すべからざることであります。私は、条約の履行といたしましてアメリカ軍に相当強要せられるならばやむを得ざる場合もあるかも存じませんが、かような民族血潮を流してまでもなおこれを強行しなければならぬということは那辺にその原因があるか、アメリカ軍の強制であるならばある、日本政府意思であるならばあると明白にお答え願いたい。
  5. 今井久

    今井説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  この特別措置法にございます適正かつ合理的という点でございますが、今回の飛行場拡張につきましては、一昨年アメリカから飛行場拡張につきまして要請がございました。日本政府といたしましては、昨年に至りまして、これらの要請を種々考慮検討いたしました結果、六つの飛行場につきまして拡張することはやむを得ないのであるという結論に達したのであります。これは、御承知通りに、その根拠といたしましては、わが国の防衛につきましては、安全保障条約に基いてできました行政協定に基きまして、そうして飛行場とその他基地提供をいたしておる次第でございます。それで政府はそれらの要請を検討いたしまして、昨年の九月と思いますが、閣議決定をいたしまして、そうして砂川につきましての拡張をするという決定をいたしたのでございます。これらの決定につきましては、ただいまお話のございました諸般状況を十分考慮いたしまして、最小やむを得ざる範囲において提供はやむを得ないのであるという意味決定いたしたものであるのでございます。従いまして、この必要かつ合理的であるということにつきましては、ただいま申し上げたような公益上の要請に基きまして、必要最小限度土地提供するということの見解に立っておる次第でございます。  また、ただいま御質問の中で、それらの認定はどこでするのかというお話でございますが、この点は、収用いたしますにつきましては内閣総理大臣がこれを認定するということになっておるのでございまして、ただいまの閣議決定に基きまして内閣総理大臣において必要かつ合理的の範囲と認めてこれを認定するということになっておる次第でございます。  第三の御質問にございました、砂川につきまして非常に反対がございまして、そのために種々問題が起きておりますることは、お話通りに、私といたしましてもまことに残念に思っておる次第でございます。この砂川の問題につきましては、昨年の初めに、ただいま申し上げましたように拡張はやむを得ないということに相なりまして、当時から、実施官庁でありますところの調達庁はむろんのこと、政府としましても担当大臣、また東京都知事も、たびたびこれらの点につきましていろいろ地元の方々にもお話をいたしまして、何とか円満にその点の運びをいたしたいというふうに努力をいたして参りましたが、今日のような状況になっております。この基地張拡につきましては、先ほど申し上げましたように、一昨年にアメリカから要求がございまして、それを昨年の初めに、日本政府は、たくさんありました中で特に必要やむを得ないものの範囲にしぼりまして、これらの基地については拡張やむを得ないものである。その中にこの砂川基地も入っておりまして、そうしてきておるような次第であります。これらの点につきましては、当時の政府はむろんのこと、担当調達庁といたしましても、必要やむを得ない範囲に限定することについて十分努力して参っておるのでございまして、これが今日の範囲になっておるような次第でございます。
  6. 猪俣浩三

    猪俣委員 実は、あなた、調達庁長官は、私は質問に答えるには不適当な方だと思います。ところが、きょう船田長官が出てこないのですが、船田さんには明日同じ質問をしたいと思うから、あなたはよく御相談願いたいと思うのです。今のあなたの御答弁によれば、国際情勢国内情勢全部を適正かつ合理的の判断材料として取り入れてあるのだという。しからばお聞きします。一体今までの飛行場拡張してジェット機発着地原水爆搭載機発着地にしなければならぬような必要が国際情勢のどこに起っておりますか。今まであった飛行場をこれだけの反対を押し切っても強行しなければならぬ必要はどこにあるか、今、日ソ交渉を円満に進めようとしておるこの鳩山内閣のもとにおいて、一体どこにそんな危険があるか。原水爆搭載機発着地点にするというのに対して、原水爆基地たらしめてはならぬというのが地元民の反対一つ理由になっておりますが、一体中共ないしソ連日本が今こういう関係になっておる。これは私は日本民族のために実に喜ばしいと思うのでありますが、非常に友好関係が増進されている今日、それを無視して適正かつ合理的な判断材料とするということはわれわれには不可解なんです。そうすると、今までの飛行場ジェット機発着地点にしなければならぬような不安全状態アジアにおいて、日本の隣国において現出したと認定せられたのであるかどうか、御答弁願いたい。
  7. 今井久

    今井説明員 お答え申し上げます。今回の立川飛行場航空資材廠に付属するものでございまして、現在の滑走路が五千五百フィートありますのを七千フィートに延長するものでございます。現在、大型機はその積荷を減じまして、ジェット機は燃料を少くいたしまして、やっと離着陸をしておるというような状況でありまして、ただいまお詰のございました原水爆基地になるというような点はないのでございまして、今回も、全体の趨勢から申し上げまして、ジェット機が現在使われておる範囲におきまして、現在の五千五百フィートの飛行場では全く短かくてどうしてもできないという状況に基いて、拡張はやむを得ないということになっておるような次第でございます。
  8. 猪俣浩三

    猪俣委員 世界の大勢から見ましても、また行政協定安全保障条約からも、日本国防体制がだんだん増進していくならば彼らの基地は縮小されることが当然だ。しかるに、何もわれわれの安全を脅かされるような中共態度でもないし、ソ連態度でもありません。友好関係を増進せんとして努力している際に、何の必要があって、今までの飛行場では工合が悪いのか、日本全国の何百万の人間がこれに反対しておるにかかわらず、これを一体政府が血を流しても強行しなければならぬのか。私どもは、もし合理的かつ適正なる価値判断の中で諸君国際情勢あるいは国内情勢を織り込んでいるとするならば、それが不可解であります。それなら、だんだん縮小すべきものだ、あるいは廃止すべきものだ。国内情勢国際情勢からは縮小か廃止に向うべきものである。これだけの反対を押し切って拡張しようとして、それが適正かつ合理的だということは、論理の矛盾だと思う。だから、適正かつ合理的なる材料国際情勢を織り込んだとするなら、諸君国際情勢をどう認定されておるのか、御説明願いたい。しかし、あなたにこれ以上言うことは無理だと思います。ですから、それにつきまして、私はそれこそ適正かつ合理的なる御答弁を願いたい。そんなことでは承服できない。法律解釈を誤まっておるのです。  それから、しかもあなたの答弁によれば、日本政府判断するのだという。ますます私どもはおかしい。向うから強制せられて何とも仕方がないといえばまだいいけれども日本政府自身判断で進めておるというのに、そして片方は日ソ交渉を進めておる際に、こういうものを織り込んだことが適正かつ合理的で拡張しなければならぬということは、たとえば日本が今交渉を進めようとするソ連から見るならば、どういう印象を与えるでしょう。実に私は不可解千万なことだと思う。これはしかしあとで船田長官にお尋ねしたいと思います。  それから、今度はもっと具体的な問題についてお尋ねしたいと思いますが、今この砂川町におきましては、町会議員の多数と町長がこの基地拡張には反対してついに土地細目公告その他の土地収用法に予定せられておりまする町長の任務を果さなかったという意味におきまして訴訟が起っております。東京都知事から地方自治法第百四十六条第十二項の規定に基く同条第二項の例による職務執行命令裁判請求事件というものが起っておる。この判決が確定しない以上は、いわゆる東京都の土地収用委員会というものは裁決できないと私は考えるのであるが、もしさような法律解釈であるならば、この裁判は今二回行われただけです。もう何回この先かかるか、最高裁判所まで持って行ったらいつ判決になるかわかりません。そうすると、それはもう数年先のことだ。その判決が確定しなければ、今測量なんかしたって収用委員会裁決ができないはずなんだ。それだのに、何がゆえにこんな反対の熾烈な際に血を流してまでも測量を断行しなければならぬというのであるか。私ども調達局のお考えがわからぬ。この判決が下るまで待つことができない。とにかく行政命令に対しまして今司法裁判が行われておる。この問題につきましては天下の二大政党である自民党社会党見解を異にしておる。国会勢力が二分されておる。しかも行政命令に対しましては裁判が起っておる。いずれの点から見ましても、公平厳正なる裁判所判決を得てから活動すべきだ。それが三権分立の趣旨に沿った民主政治のあり方じゃなかろうか。これは諸君はなめてかかっておるかもしれませんが、この訴訟は相当の法律的根拠があり、裁判所一大決意をもって裁判に臨んでおります。これがもし破れたら諸君はどういうことになるのであるか。第一、私は政府の行動に対して疑問を持つことは、この二十四国会において土地収用法改正法律案政府は提出した。これは建設委員会に出した。私ども法務委員会は知らなかった。ところが、その採決の直前になって私ども気がついて連合審査会を申し込んで、ここに建設委員会法務委員会連合審査会が開かれて私が主として質問いたしましたのは、その改正案にありました現行法の第四十条のいわゆる利害関係人協議、この協議という段階を省略して直ちに収用委員会裁決を申請していいように改正しようとした。私はこれに対して極力反対をいたしました。それに対しまして明確なる答弁政府当局はできなかった。それがために社会党修正案通りまして、土地収用法四十条の協議という段階を省こうとした、たとえば裁判において三審制度を二審制度にしようとした乱暴なやり方は一時阻止されたのである。ところが、今日この東京都の起訴状を見ますと、この協議なるものを省略してしまってやっておる。それが訴訟中心点に展開されておるのであります。協議しもせぬものをしたと称して、かような事実を主張して裁判をやっております。これがわれわれが反対をしておりまする一つの論点である。その点一つ見ましても相当の問題が伏在している。そういう問題をそのままにしておいて、司法的な解決を見ずしてなおこれを人民の血を流しても強行せんとするその意思がわれわれにはわからぬ。  そこで、あなたにお聞きするが、一体この裁判判決が確定しなくとも土地収用委員会裁決できるのであるかどうか、裁決できるのだとするならばその法的根拠いかん。しかして。これが裁判東京都が負けたふいたしますならば、一体調達庁政府はいかなる責任を負うのであるか、その点について御答弁下さい。
  9. 今井久

    今井説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  お話通りに、裁決申請書公告縦覧の点を町長がやらないことに対しまして都知事が現在訴訟を起しておることは事実でございます。それで、それが確定するまで第二次の測量を待ったらどうかということにつきまして御質問があったのでございます。  この砂川拡張計画につきましては、御承知通りに、ただいまお話のございました第一次の点は、飛行場滑走路延長地域でございました。今回測量をいたそうとしておりますところは、これと密接な関係のございます誘導路地域でございます。実は、これらの点につきまして実施計画を行いまして、本来なれば飛行場滑走路誘導路両方一緒にすべての手続を進めて参るはずであったのでございますか、なるべく円滑にこれらの問題を進める方針で昨年来実行しておりまして、ただいま収用裁決に持って参っておる点が第一次としてありました。この誘導路の点はなるべくすみやかな機会にやはり引き続いて実施を進めていく必要があったのでございます。しかし、できる限り地元との話し合いもいたしまして、できることであるならばやはり円満にこれらの問題を進めていきたいという方針のもとに、この第二次の誘導路の点につきましては漸次おくれて参っておりまして、実は私が着任いたします前にすでにそれらのことが順序として進められておるという順序になっておったのでございますが、それがおくれて参っておりましてそして今回やむを得ずそれらの点の測量を開始することになっておるのでございまして、やはりこの二つの滑走路誘導路と相待ってこれを進めていく必要があるという見解で、今回これをいたさなければならない状況に相なった次第でございます。ただいま第二に御質問のございました、現在訴訟になっておるこれらの点についての判決の結果につきましては、私実はそういう点についてまことに法律の知識は十分でございませんか、それらの点については法務省の方等の御意見が正確であると存じます。が、もし職務執行違反についての訴訟か確定いたさなければ、やはり次の段階手続は進めようもないものであると私は考えておる次第でございます。
  10. 猪俣浩三

    猪俣委員 それですから、私どもがそこをあなたに訴えておるわけなんです。政府方針であるとすれば、あなたもやむを得ない点があって、お気の毒だと思いますけれども、あなたも調達庁長官であるとするならば、いわゆる合法的なる進言を政府にしなければならない。あなたも御存じのように、今これを強行いたしますと不測の惨事が起ります。うそだと思ったらやってごらんなさい。アメリカ軍用地のために同胞がお互いに死傷者を出して争うとは、一体何事ですか。アメリカの兵隊は笑っているじゃないか。亡国の民ということがあるが、実際こんな情ないことはないと思う。それを阻止する法的根拠が明らかにあるじゃないか。今測量をやっても、この裁判最高裁判所まで行って確定せざる限り土地収用委員会は活動できないのです。裁決ができないのです。しかもそれが二年先になるか三年先になるかわからぬというのです。この際少し息抜きをして、天下の様子を見てから、それからでもおそくないじゃないか。なぜこれを強行するんだ。そこをあなたにお尋ねしておる。あなた自身も、裁判が確定しなければ収用手続段階に移れない、——収用手続訴訟法と同じように幾つかの段階がある。第一審、第二審、第三審の段階を経てくるのです。これは住民の権利を尊重する意味において用意周到にでき上っておる。その段階一つをはずそうと政府はやったのでするそれはわれわれが食いとめました。食いとめましたが、その段階が進むにはこの裁判が確定しなければ収用委員会裁決する段階に到達しない。裁決がなければ何ともしようがないのじゃないか。それをなぜあなたが政府に進言してこれを延期しないのです。あなたが真に良心ある公吏であるならば、自分の主人である政府に向って進言すべきである。第一には、同胞同士が血を流すような惨事が起るおそれがあるということ。第二は、今急に測量しなくとも——したって土地収用の実効はあがらない、次の段階に移れないんだから。そういう法律構成になっておる。そういうことからも、今急にくいを打ち込まなければならぬ必要はないのじゃなかろうか。そのうちにまた天下情勢が変るかもわかりません。あなたは、それを、この裁判が確定せざる限り収用委員会の次の活動はできないことを御承知の上で、なぜくいを打つことをやっておるのです。なぜそれを政府に進言しないのです。そこをお答え下さい。あなたの良心にかけてなぜ今やらなければならぬか。今やったってむだじゃないか。なぜむだなことをやって国民の多くの血を流そうとするのでもるか。私もその理由解釈するに苦しむ。その点御答弁下さい。
  11. 今井久

    今井説明員 お答え申し上げます。先ほどもちょっと触れてお答え申し上げましたが、結局本来なれば飛行場滑走路誘導路というものを相待って進めるという実は方針で、これは私が参ります前のことでございましたが、諸般手続等があったのであります。第一、滑走路の延長等につきましても昨年測量をいたしたのでございますが、できることであればこれらのことが円満に話し合いでうまくいけるようにしたいということで、だんだん延びて参っておる次第でございます。ただいまお話のありましたように、裁判等につきましては、相当かかるということはその通りであると思いますが、先ほど申し上げましたように、誘導路と相待ってこれを進めていく必要があるということにつきまして、やはり政府方針があります。私もいろいろその点は考慮いたしたのでございますが、その実施計画等が決定されて、その方針で進めて参ることはやむを得ないのじゃなかろうか、こういうふうに実は考えた次第であります。
  12. 猪俣浩三

    猪俣委員 私がお尋ねしているのは、純法律的な意味でお尋ねしておるわけであります。それに対する答弁として明確を欠いている。あなたは、第一次の収用計画、第二次の収用計画、これを同時にやらねばならぬとおっしゃる。同時にやらねばならぬのなら、今訴訟になっているものが判決が確定しなければ実施できないのだから、なぜそれまで待てないか。測量したって収用できなければ何にもならぬじゃないか。それをこの天下騒然たる際になぜ測量を強行するのであるか。その点をあなたに聞いているのです。一緒に実施するとかしないとか、それを聞いているのじゃないのです。今くいを打っても、この判決が二年先になるか三年先になるかわからぬ。そうすると、くいなんて腐ってしまうかもしれませんよ。抜いてしまわれるかもしれない。そんなのを今無理してなぜくいを打たなければならぬか。だから、そういう判決の確定を待って、しかも公平なる司法裁判所の判決を待って、その上に実施することが穏当じゃないか。もし万一政府側が敗訴でもしたならば、収拾つかぬことが起るじゃないか。ですから、今あわ食って騎虎の勢いでくいを打たぬで、多少息を抜いて、もう少し天下の大勢を見てからにしたらどうかということであなたに求めているのです。だから、私の質問は、今くいをお打ちになっても、判決が確定しなければ収用の実績はあげられない。その判決の確定は最高裁判所まで行くなら二年かかるか三年かかるかわかりません。これは一種の行政訴訟です。行政訴訟の中には十年もかかっているものがある。五、六年はざらであります。そういう法律の建前になって、今そこへきている。それを、一体なぜこの一日、二日を争ってやっているか。それもスムーズにいくならば……。あなた方はあなた方のやることをさっさとやってしまいたい。これは役所の考え方としては当然だと思うけれども、今天下の大乱になろうとする際に、収用もできないことを前にしてなぜくいを打ち込まなければならぬのであるか。このくいを今打ち込まなければ困るというあなたの説明は、ただ第一次計画、第二次計画を一緒にするということだけで、それでは私どもは納得がいかぬ。そんなことでこの大問題を押し切る必要がどこにあるのです。それに対してあなたは良心的に考え一体どう思いますか。三年先か四年先かわからぬ。それが判決が確定しないうちは収用できない。それだのに、今くいを打たねばならぬ、そんな必要がどこにあるか。あなたがどうしてもそれを今打たなければならぬという必要が私どもはわからないのです。しかも天下の大乱になるおそれが十分あるものです。それを押し切ってやらなければならぬという必要がどこにあるか。それに対するあなたの答弁がはっきりしません。
  13. 今井久

    今井説明員 いろいろお話がございましたが、この問題につきましては、今の訴訟手続というものがどのくらいかかるかということは、司法権の問題でございまして、私どもにはよくわからないことでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、本来一緒にやるものが非常におくれておりまして、滑走路だけこれが進みましても、誘導路というものが伴わなければこの目的は達成できないので、ちょうど時期的に見まして、もう少し早く測量等をいたしまして、その測量土地の細目、家屋の状況等もよく調べ、またそれに基きまして、その話し合いができることであれば、個々的にもよく話し合いをする。とにかく根拠といたしまして一応測量をする必要があると認めまして、いろいろそれらの点につきましてはよく研究討議をいたした結果、やはり今の時期においてやることはやむを得ないのではないかという政府としての結論に達した次第でございます。
  14. 猪俣浩三

    猪俣委員 答弁になっておらぬと思う。ただ、あなたが答弁に窮しておるという理解のもとに、私はこれ以上は追及しません。そんなことは答弁にならない。それでは、今くいを打ったら妥協がつくとあなたは考えておりますか。それを念のためにお聞きします。くいさえ打ったら、くいを打ち込まれたら反対側の住民もだあっとなって調達庁の言う通りに妥協するとあなたはお考えになって、それだから二つのことが一緒に実施できる、それでどうでもくいを打たなければならぬというのか。あそこに何というスローガンが出ておりますか。土地にくいを打っても心には打てないといって、大スローガンが村のつじつじにかかっておるじゃありませんか。そんなことは去年以来あなた方は実見してきておる。だから、私ども測量隊の隊員に言うのだ、今井長官をここに連れてきて現場を見せてやったらいい——。行かないからそんなことを言うのだ。くいを打ったら直ちに反対派が条件派なり賛成派に変るとあなたは思っていらっしゃるか、それを答弁して下さい。
  15. 今井久

    今井説明員 この測量の点につきましては、強制測量をしなければならないということは、私といたしましてもまことに残念なことであると思いまして、まことに短かい期間ではありますが、実はできるだけの努力をして参りました。それが実は今日のような状況に相なってきておる次第でございます。何とかできるだけ私ども測量も円満に遂行していきたいという念願を持っておる次第でございます。
  16. 猪俣浩三

    猪俣委員 これを促進するには訴訟を取り下げさせる以外に方法はありません。訴訟がある限り促進できないじゃないですか。いかに皆さんがくいを打ったって、訴訟を引っ込めざる限り、できないじゃないですか。その訴訟をだれがやっておる。東京都知事がやっておるじゃないか。それは矛盾しておるのだ。東京都知事訴訟をやっておって、その判決が確定せざる限り土地収用委員会裁決できない。何とか早くやりたいと言ったって、できやせぬじゃありませんか。だから、くいなんか打ったってできない。できないからおやめなさいと言うのです。今あなたは十分承知の上で御答弁になっておる。最後はまことに遺憾のような御答弁がありましたから、私も閣僚でもないあなたをこれ以上追及しても仕方がないと思うのです。(「だめだめ」と呼ぶ者あり)と思のですから、また元気のいい委員諸君にかわってもらいますが、あなたとしても、重要な調達庁長官なんだ。そうしてあなたは元気よく部下を督励しておるらしい。どうも今ここにおいてあなたの答弁する態度とは違うようだ。良心に立ち返ってあなたは事を考えなければ、何もかも承知の上で無理なことをやって、いたずらに国民の血を流させようとしておる。一体そういう役人というものはあり得ないと思う。私はあなたがもう少し良心的に行動願いたい。  なお、合理的かつ適正のことにつきましては同僚議員の質問がありますから、私の次の質問は留保いたしまして、関連質問としてお話し願いたいと思います。
  17. 古屋貞雄

    古屋委員 関連で……。
  18. 高橋禎一

    高橋委員長 関連質問はあとで一つまとめてやっていただきたい。  佐竹晴記君。
  19. 猪俣浩三

    猪俣委員 関連質問でなければ、私はまだあるのだよ。それでは私は質問を続行します。
  20. 高橋禎一

    高橋委員長 ちょっと、猪俣君にはまだ発言を許していませんよ。
  21. 猪俣浩三

    猪俣委員 私はまだ質問が終らないんだ。今度は警察に質問があるんだ。
  22. 高橋禎一

    高橋委員長 猪俣君。
  23. 猪俣浩三

    猪俣委員 それでは今度は警察関係にお尋ねいたします。  石井警察庁長官にお尋ねいたします。わが党の議員が砂川の取締り状況につきまして懇談に参りました際に、社会党の議員団が調達庁測量隊に対して話し合いで事を進めようとしたことに対しまして、石井長官はその線は合法的な活動だと理解されておるやに聞いておる。しかるに、警視庁は、何か道路交通取締法違反だの軽犯罪法違反だの、まことに笑うにたえたことを言っておどかしを言うてきょうは江口さんが見えておらぬようであるが、何が軽犯罪法だか、私はよくお尋ねしたいと思っていたんだ。そこで、今現地におきまして社会党の議員団が一生懸命で測量隊と話をいたしておりますゆえんのものは、これは長官も御存じであると思いますが、数千人の若い者たちが寝泊りして待機しておるのです。それを全部第一線から退けて、私どもが第一線に立って、そうして調停をやっておりますゆえんのものは、もし私どもが手を引いたならば、私は史上空前の不祥事が起るのではないかと思うぐらいなんです。これは何としても政治家たるものは責任を痛感しなければならぬのです。私どもが調停に出ないでどうなるのですか。(発言する者あり)そのために、第一線に出まして、あぶら汗を流して懇談しておるわけです。それは調達庁測量班の人もよく了解しておることだと思う。それですから、これを道路交通妨害だの、いや軽犯罪だのと、おどかすにもほどがある。かような途方もない放送をやっておる。検察庁もまた近ごろ何か妙なことを言い出した。そこで、あなたがわが党の代表にお答えになったことは、私は正しい答弁だと思うのでありますが、その後今日まで私ども社会党が何とかして了解の上で事を円満に解決したいというこの話し合いの活動が、一体公務執行妨害だの道路交通法違反だのというような情勢になったとあなたはお考えになっておるかどうか、それを重ねてお尋ねいたします。
  24. 石井栄三

    ○石井説明員 私は今日まで機会あるごとに基地反対運動に対する警察の態度について申し上げたのでありますが、それをここで再び繰り返すことになると思うのであります。また先般社会党の諸先生が私のところにお話しに見えましたときにも同じことを繰り返したのであります。それを要約して申し上げますと、地元民の方々が先祖伝来の土地を取り上げられようとしておるこの重大な問題について反対をされるお気持は私どもも十分にわかるのであります。そこで、合法的な反対運動であるときには、警察はこれに対して何ら干渉、介入する意思は持っておりません。しかし、いかに切実な問題で反対やむを得ないといいましても、その反対の仕方が、行き過ぎまして、いわゆる合法の線を逸脱いたしますならば、警察としましては職責上これを放任するわけに参らない。こういう態度をもって今日までこの問題には臨んでおるのであるということを申し上げておるのであります。今回の砂川の問題につきまして、現地に社会党の議員の皆様がお出かけになっていろいろいわゆる話し合いをしておられるということにつきましても、私は申し上げたのであります。問題を円満に解決するための話し合いということは、これは私もけっこうなことだと思います。しかし、あの砂川の現地に出向いております測量隊の職員は、話し合いの相手として最終的な権限を持った者でないのであります。どうか中央の責任のある方と話し合いをしていただきたい、あるいは与党の幹部の方々と話し合いをしていただきたい。そうして政治的に円満に問題を解決するということは、これは最も望ましいことで、われわれ警察としましても、不祥の事態の起る、混乱の起ることは決して好むものではないのであります。問題がどこまでも円満に解決することこそ望んでおるのでありますから、どうか、せっかく話し合いによって円満に解決しようという熱意を持っておられるならば、中央の政府各機関の責任者と話し合いをし、また与党の幹部の方々とよく話し合いをしていただきたい。現地の出先の測量隊の諸君は、これは上司の命を受けていわば機械的に労務に服しておる者にすぎないので、こうした人々を相手にしていくら話し合いをされても問題は解決しない、同じむだなことを繰り返すにすぎないんだから、せっかく熱意を持ってこの問題の円満解決をはかられるお気持がありまするならば、どうか中央の最高責任者、与党の幹部の方、そういう方々とぜひ話し合いを願いたいということを申し上げたつもりであります。  現在までの連日繰り返されております現地のいろいろな実情があるいは道路交通取締法に抵触し、あるいは軽犯罪法に抵触するような問題だという見解についてでありますが、しさいに検討いたしますならば、私、確かにそういうきらいのある点はあったと思うのであります。しかし、われわれは、その軽微なものについても、それをきっかけとして警察の実力を行使するということは考えておりません。程度問題であります。そういう意味合いで、今日まで私どもは、特に警視庁には自重を促し、軽率に実力を行使するというようなことのないようにということを、私は厳に戒めて参ったつもりであります。
  25. 猪俣浩三

    猪俣委員 長官の趣意のあるところ、大体了解いたしましたが、多少そこに誤解があるかと思うのです。社会党が現地で測量班に対して交渉いたしますものは、今日前に具体的にして重大なる危険が迫っている、それをまず食いとめておいてそうして今あなたのおっしゃったように上層部と解決をしなければ、——彼ら自身が何の権限もないはずであります。そんなことを自民党諸君は鬼の首を取ったようにけしかけておるが、百も千も承知しております。ですけれども、一たん上司の命令で踏み込んだ以上は、修羅のちまたが起るから、まずそれをとめておいて、上の方と、社会党全部の何十人の代議士が繰り出して、毎日々々防衛庁、警察庁、警視総監、それから法務省を全部回って歩いていることは、日日の新聞を見たらわかるでしょう。新聞もろくに見ない連中がそういうこと−を言うのです。だれとだれがどこへ行ったということは、毎日新聞に報道されておる、あれだけ熱心にやっているではないか。しかし、そうやって回っておっても、踏み込まれてしまったら一巻の終りになるのです。だから、それを踏み込ましてはならぬから、現地において、今話をつけるから待ってくれ、とにかく今日われわれの責任においてここで待たせるのだから、諸君は責任がないのだから待ってくれと言って交渉しているわけです。その間に私どもが一生懸命全力をあげて、各役員が全力をあげて今日まで交渉してきている。ただ、対外的な大きな問題ですから、政府だって一時間や二時間ですぐオーケーとは言えまいと思う。だから、相当の期間がかかると思う。相当の期間がかかるのに、もう測量隊が入ってしまったら、われわれの苦心は水のあわになる。だから、それをとめておいて。片一方でわれわれは一生懸命やっているわけなんです。  いま一つは、現地がどういう実情だか、自民党諸君も見た方がいい。見もしないで文句を言ってはいけない。見ないで机上の空論を言っても何にもならぬ。現地を見れば、測量隊を入れたらどういう場面が起るかということは、われわれは体験しておるから、一生懸命やっておるわけです。  なお、私ども考えることは、国会議員も公務員です。公務員が大きな大局の見地から見て、この測量隊という公務員を入れては国政上いろいろな支障を来たす、相当の人権問題を引き起す、こういう見地のもとに話し合いをする。それが何で道路交通妨害ですか。測量隊も公務員なら、われわれも最高の国家機関の一員であり、公務員であります。虫のせいやかんのせいで現地へ行っているのではない。天下国家を憂えるために、人権擁護のために、現地へ行っている。われわれも公務員として公務員の見解のもとに彼らを説得しているのです。それを道路交通妨害だの軽犯罪法だのと言う。一体何のことだ。これは国会議員の当然の職責である。自民党諸君は、現地を見るのもなまけている。そんなになまけているから、国政がうまくいかない。とにかく、われわれは公務員として公務員の見解に基いて、そうして測量隊に不測の損害を起さぬように交渉をしておる。われわれは毎日々々寝泊りしてその努力を払っておる。その犠牲たるや大なるものだ。諸君はそれをぬくぬくとして料理屋で酒でも飲んでひやかしておるのだろう。そんなことでどうする。とにかく、大口をたたく前に、諸君も現地を視察したらいい。視察してから言いなさい。私どもは公務員としてやっておるのだから、それに対して軽犯罪法だと言うようなことは 国会議員を侮辱するもはなはだしい。  それから、なお、今井長官もおいでになるから言うのであるが、自民党の連中は社会党が扇動してやっておるようなことを言っておるが、これも実情を知らざる者の言うことなのだ。だから、ぜひ現地を見てくれということをわれわれは言うのだ。われわれが扇動してああいう全学連だの総評が出ているのであるかどうか、それは現地を見ればすぐわかる。私どもはそれを押える側に今日まで戦ってきたのです。諸君のようになまけておったら、今にどんな騒動が起るかわかりません。こういうことも警察長官としては十分理解してほしい。公務員たる国会議員の行動を、軽犯罪法だの道路交通取締り法だの、何をふざけたことを言うのだ。今踏み入ったら大へんなことが起るからとにかく待ってくれとわれわれ国会議員が話し合いをするのが軽犯罪法違反になるか、道路交通取締り法違反になるか。そんなことが一体あり得るか。それを一つ刑事局長見解を聞きたい。
  26. 井本台吉

    ○井本説明員 具体的事件を十分に検討いたしませんと的確なお答えはできませんが、ただいま猪俣委員お話通りであるとすれば、それは別に軽犯罪にはならぬと思います。
  27. 猪俣浩三

    猪俣委員 私ばかり質問してはいけないが今あなたがその通りだとおっしゃれば、その通りです。その通りでないと言える人間は一人もいない。現地へ行かないのでね。だから、行った方がいいと言っている。その通りなんです。行かないのだから、それの反証をあげられないのです。とにかく私どもは公務員としてそういう交渉に当っている。だから、そういう国会議員を侮辱したような言辞は吐かんで下さい。政府当局も吐かんでもらいたい。  なお、刑事局長にお尋ねしたついでに申し上げますが、今回砂川の事件に際しまして一つ今までと変ったことが起ったのは、社会党の松井代議士を調達庁の連中が鉄条網の向うの軍事基地へ引きずり込んだという事件がある。そこで私どもはこの法律関係を明らかにしておかなければならぬ。一体われわれ日本人民を向うの治外法権の行われている軍事基地へ引きずり込む行為はどういう犯罪なのか、そこでもし暴行された場合には、一体アメリカのMPが取り締るのか、日本の警察が取り締るのか、その犯罪はだれが検挙するのか、それが第一点。第二点は、調達庁の役人は、この軍事基地をまた基地として、そこから出動をやっている。これも一体どういう法的関係日本の公務員がアメリカ軍事基地なんかを根拠地にするのであるか。恥かしいことなんだ。そこで、これは今井長官及び法律問題は刑事局長が御答弁下さい。
  28. 今井久

    今井説明員 ただいまの、基地内から出て測量をするという問題につきまして、私からお答えを申し上げます。この点につきましては、今回の測量をいたそうという地域が現在の基地を接続しております。昨年の測量の際も、基地の方へ測量機等も置きましてそして測量をしたことがあるのでございまして、測量の便利上これをいたしておる次第であります。なお、その基地ばかりでなく、五日市街道の方から出て測量をしている場合もあるのでありまして、(「アメリカから断わられたからだ、断わられる前はそうじやなかった」と呼ぶ者あり)それらの点につきましてはアメリカの方の承諾を得てやっている次第でございます。
  29. 井本台吉

    ○井本説明員 基地内の強制力の執行につきましては、刑事特別法第十条に規定がある通りであります。現行犯以外の取調べにつきましては、当然日本官憲にもその権限があるのでございますが、それ以外の身柄の基地内での逮捕は米国官憲の同意を必要といたしております。なお、何か基地内に引っぱり込んだというお話でございますが、さような事件はまだ私は聞いておりませんし、さような事件の法律判断はよく事件を検討いたしましてからお答え申し上げたいと思います。
  30. 猪俣浩三

    猪俣委員 私はまだたくさんありますけれども、それでは私ばかりやるようになってしまいますから、これで遠慮いたします。
  31. 高橋禎一

    高橋委員長 佐竹晴記君。
  32. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 それでは調達庁長官にお尋ねいたします。急迫した事態でありながら、何がゆえんに権力によって強制的にくいを打たなければならぬ理由があるのか、こういう点についてはどうも明確にされておりません。この際私は御答弁を楽にいたしますために具体的に承わってみましょう。何かアメリカからこの際実力によってでもこれを遂行せよという命令——命令というと語弊がありますが、そういう強い要求でもアメリカからありましたかどうか、これを承わります。
  33. 今井久

    今井説明員 お答え申し上げます。そのようなことはございません。
  34. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 重ねて承わっておきますが、それならば、全く日本政府あるいは調達庁自身の任意のお考えで強行しようとなさるのでございますか、これをまたさらに一つ確認いたしておきたいと思います。
  35. 今井久

    今井説明員 お答え申し上げます。この基地の問題、測量の問題に限らず基地全体の問題は、ただいま御承知通り調達庁実施をいたしまする立場に立っておりますのでありますが、その及ぼすところの影響、それからすべてのことが政府全体に関係する問題でございまして、また関係各庁にも非常な関係を持っておる仕事であるのでございます。従いまして、政府としましては、先般これらの問題につきまして基地問題の閣僚懇談会というものが特にできまして、基地問題のすべての問題をこの閣僚協議会におきまして協議決定いたしまして、またそのもとにわれわれ関係各庁のものが幹事会を作りまして事務を進めておるような次第でございます。この基地の問題の取扱い方、進め方というようなことにつきましては、政府方針をきめます際に閣僚懇談会等に諮りましてその方針がきめられておる次第でございまして、今回の測量その他のこの砂川基地問題の進め方等につきましては、すべて政府方針がきまりまして、そのもとにおきましてわれわれが実施官庁といたしましてこれを進めておるというような関係になっておる次第でございます。
  36. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 閣僚懇談会のお話が出たのでありますが、昨日の新聞でありましたか、拝見するところによれば、閣僚の中にも異論があったと見えて相当に紛糾いたしました事情が出ておりました。あなた方も幹事会を作って協議をしておるということでございます。それならば、長官も閣僚懇談会の実情をよく御存じでもありましょうし、幹事会から閣僚懇談会へ提供いたしました資料等も明白になっておるであろうと思いますが、閣僚の間にも大へんに異論があるということでございますが、どういう点が論点になり、また何がゆえにこれを強行しなければならぬかという点についていかなる論議が行われ、幹事会の方におきましてもいかなる進言をたしましたか、この間の事情を一つはっきり承わりたいと思います。
  37. 今井久

    今井説明員 今回の砂川基地問題につきましては、私は日は存じておりませんが、閣議におきましてこの問題が議せられまして、そうして全閣僚はこぞって今回の政府の措置を決定したというふうに、私は担当であるところの船田大臣からも聞いておる次第でございまして、それらの点について異議が出たというようなことは、全然私は聞いておらない次第であります。
  38. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 閣議において相当紛糾をいたしておりますることは、これは事実と思います。長官が御存じないわけがない。政府部内においてすらも非常に論議されておりまする問題でありまするので、この際はっきりおっしゃった方がよかろうと思う。何がゆえに長官は、政府部内からさえも論議が行われているようなこの問題を強行しなければならぬのか、私はその根拠を十分つかむことができません。ただいまの答弁ではこれを伺うことができません。  さらに、それでは、もう少しさかのぼって承わりましょう。一昨年アメリカから拡張について要請があったというのでありますが、一体何の必要に基いて、どのような拡張をしたいという要請がありましたか、その内容を承わりたい。
  39. 丸山佶

    ○丸山説明員 一昨年からの事情を私からかわってお答え申し上げます。一昨年の飛行場に関する米軍の要求は、飛行機の発達に応じて漸次急速にジェット機時代になっておる、従って、日本における飛行場の使用に関しましても、これらジェット機の使用を可能ならしめる必要がある、そのためには現在の飛行場は二、三のものを際いていずれも滑走路の延長が短かい、必要の数の飛行場だけはぜひ滑走路を延長いたしましてジェット機が飛べるようなことにしなければ、飛行機自体の使用が不可能のみならず、その周辺の民家その他に非常に危険なる影響を及ぼす、こういうことで考えてほしい、そのような要求に基きまして、調達庁並びに関係各庁は具体的にいろいろ実情を調べました結果、ただいま問題になっております立川、横田、小牧、それに新潟、木更津、伊丹、六つの飛行場において滑走路の延長を今のものに合わせて九千フィート以上にする必要がある、これらの事情をよく検討いたしまして、その六つのものについてはやろう、この政府態度のきまりましたのが昨年の春だと存じます。その政府方針に基きまして、そのおのおのの飛行場につきまして調達庁は具体的にいろいろ施策を進めてきた次第でございます。
  40. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 しからば、先ほども質疑の中に出ておりましたが、原水爆に関しまする何か配慮が行われたではないかという点について、全然関係がない—。原水爆の搭載、これの発着に関しまする考慮が払われたではないかと思われるのでありますが、その点には一切触れておりませんか。
  41. 丸山佶

    ○丸山説明員 その点は、当初から今日に至るまで米側から何もそういう要求、あるいはインフォーメーションというものはございません。のみならず、この問題の話の進行途上においても、この前の国会等でそういう御意見等もありましたので、なお念を入れて委員会等では論議をいたしましたが、そういう意図あるいは計画というものは毛頭ないと承知しております。
  42. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 アメリカからの要求が大体一昨年からあって、昨年春調達庁方針もきまったということでありますが、それ以後今日に至っておるとすれば、今日ここに直接に強制的にくいでも打とうということになったのは、アメリカから何か相当強い要求があっての結果ではございませんか。いま二度承わります。
  43. 丸山佶

    ○丸山説明員 この六つの飛行場滑走路延長の仕事を進捗する問題に関しましては、飛行機の発達のいかにすみやかなること、これらの事情から急速に実現願いたいという要求はもちろん当初からついておりました。これに対しまして、政府が数を限ってその実現を約束し、また実行上予算に組みましたのが昨年の春からでございます。当初昨年度中には何とか実行をいたそうということで努力をいたしておったわけでございます。立川につきましては、御承知のような事情で最も話がむずかしく、ついに、昨年やはり強制測量というようなことで、まず最も必要な部分と考えられる滑走路と、それに密接付属して同一用途に供せられる誘導路ということを考えたのでありますが、昨年の測量事情では滑走路だけしかできなかった、 こういう事情でございます。また、その他の飛行場も、いろいろ話を進めて参りましたが、なかなか話も進捗せず、いずれも中途半端で昨年度を過ぎてしまったわけでございます。もちろん、これにつきましては、日米合同委員会等のある席上、予定は昨年度中にということで考えておったが、その後はどうであろうかということの話はしばしば出ております。従って、それについては、いや予定はそうしておったが、国内的にいろいろ事情かあるのであるから次の年度へ持ち越して努力をするということで本年度にまた引き続いておるわけでございます。もちろん、国内に種々なる影響があり、しかも直接の地元には最も重要な影響がありますので、円満なる進行をするということに対しまして時間をとっておりましたが、砂川の方は、委員会にことしのたしか第一次分が六月、七月にようやくかかるという状況でございます。一方、話し合いで円満に進めるという方も、幸いに横田が話か済み、また小牧も、ある部分について話が進んでおる。なるべく円満な方向で全部の飛行場の仕事を完成したいと努力しておりますが、砂川は、以上のような経緯で、当然第一次的に考えるべき滑走路と、それに付属する誘導路部分が一体となるべきものである。それが延びてきましたのを、今回誘導路部分は同様に測量だけを済まして、話のつかないものはやむを得ず委員会に持っていこう、こういうことで進んでおるわけです。
  44. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 防衛庁の長官がお見えにならなければ御答弁が十分できないではないかと思われるのでありますけれども、きょうお見えになっておりませんので、不十分であればあとでまた長官の御出席を求めてお尋ねすることにいたしまして、いま少しく根本の問題に触れてみたいと思います。  特別措置法の第一条には「日米安全保障条約第三条に基く行政協定実施するため、日本国に駐留する米国軍隊の用に供する土地等の使用または収用に関し規定することを目的とする。」とございます。ところが、その行政協定日本国会の承認を得た形跡はないのに、その日米行政協定をたてに皆様がここに行動をとられるということは、合法的とお考えになっておるのでありますか。政府側自体、そこに違法な点がありはしないかという点を私は承わっておきたい。
  45. 今井久

    今井説明員 お答え申し上げます。行政協定国会の承認を得ました安全保障条約に基きます政府間の取りきめでございまして、そのもとにできましたところの、ただいま御指摘になりました措置法はやはり有効なものであるという見解に立って私どもは仕事を進めておる次第でございます。
  46. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 安保条約第三条に基く行政協定のときは、十二国会で行われたのでありますが、その内容はそのときに一切触れておりません。片鱗だも現わしていないのであります。しかも、その内容たるや、国会の承認を受くべきものであるということは、政府も十二国会においてこれを認めておるのである。政府自身がこの行政協定の内容を明らかにしないで、片鱗だも示さないで、そうしてあとで取りきめができたといたしますならば、そのあ一とで取りきめができたときにさらにこれは国会の承認を受くべきものであることは、十二国会においてすでにこれを認めておるのであります。ところが、その以後何らその手続をとっておらない。だから、まず政府は合法的な手順を経て行政協定を発効せしめて後、あなた方は行政協定に基く云々ということをおっしゃらなければならぬ。ところが、その手続をとっていないではないか。また十二国会において国会の承認を得べきものであるということを明らかに言明しておった政府のその言明は一体どこへ行ったか。あなたで答弁できなければ、これは長官に出ていただくよりほかにはないのでありますが、それがためにこそ長官の出席を私どもは求めておる。答弁ができればこれをいただきたい。
  47. 高橋禎一

    高橋委員長 今答弁がないようでありますから、先へ進んで下さい。
  48. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 それでは、これも根本的問題でありますが、お答えがなければ、さらに長官の出席を求めてその答弁を願うことにいたしましょう。  これは一体憲法第九条に抵触する問題ではないかということは、今日重大なる問題となっております。御承知のごとく、わが憲法第九条におきましては全面的に交戦権を放棄いたしました。日本国が自衛権としての交戦権を行使することについてもこれを否定いたしておりますることは、憲法の解釈として当然である。しかし過般の国会において鳩山さんがいろいろとこの解釈を曲げて参りましたが、これに対してその都度私どもは反駁いたしております。日本国が憲法上みずからの手によって行使し得ない権利を他国の軍隊を通じて行使するの不当であることはもとより論を待ちません。また、日本国の安全のためのみでなく、先ほどのお話を聞いておりますとジェット機の問題が中心となっております。日本国以外の外国の紛争に対して米国軍隊が武力を行使するために日本国内に駐留し、これに基地提供するのは、憲法第九条の存する限りできないではないかという論議の行われることはけだし当然である。そのような憲法に違反するところの基地拡張——今の答弁によって明確にされました、ジェット機を持ってきて、そのジェット機日本の安全を保障するのみではな一い、日本国以外の外国の紛争に対して米国軍隊が武力を行使する場合の基地ともなり得る、そういった基地拡張をなおあなたが認めて、それをやらなければならぬ、しかも強制力を加えて強行しなければならぬというがごときは、日本国としてはできることではないと考える。これについて調達庁から御答弁願えませんならば、これまた大臣の御出席を願うよりほかはないのでありまするが、これは憲法の解釈問題でもありますし、おそらくこの問題については上の方の御解釈、御意見を十分に承わって後でなければあなた方のやれる仕事ではないと思いますので、一体どういう御見解を持たれておやりになっておるのか、これを承わっておきたい。
  49. 今井久

    今井説明員 ただいまの御質問に対しまして、憲法の趣旨その他は私から申し上げますることはあるいは適当でないじゃないかと思いますが、一応私自身考え方を述べさせていただきたいと思います。  憲法第九条の規定わが国自体の戦力の保持を禁ずる規定でありまして、米国軍隊の駐留につきましては、わが国は安保条約に基きます行政協定によりましてこれを分担しておるわけでございます。駐留軍の行動は全く米国政府の責任において行われるものでございますので、憲法第九条の戦力というものには該当しない、こういうふうに実は私ども解釈いたしましてやっておるような次第でございます。
  50. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 あなたも日本の公 中務員であります。日本の公務員が憲法に定めてある条章を無視いたしまして行動することはできないでありましょう。それなら、その憲法に優越するところの法規関係があるかと聞いたところつが、つまりそれは行政協定に今のように持っていくでしょう。それなら、その行政協定日本国会の承認を得ていないじゃないかと言うてみると、それには答えられないでいて、憲法に対するところの解釈について、それよりも行政協定の方が優越するのだと言う。かような答弁一体どこにありましょう。これはあなたをあまり追及いたしましても無理でありましょうから、この程度にいたしておきます。  先ほど猪俣君からるるお尋ねいたしておりました訴訟の問題であります。この点は、単に現在の訴訟だけでなしに、これはまた前提手続と私ども考えます。さらに訴訟の結果は確認判決を求めなければならぬ段階にくると思いますが、その点どのようにお考えでありましょう。
  51. 丸山佶

    ○丸山説明員 訴訟と今回の測量関係は、先ほど長官からお答えもございましたが、もちろん調達庁といたしましては、第一次認定分につきましてただいま訴訟が行われておる、従ってその訴訟の結果によって収用委員会の審査も始まる、その審査が終わらなければ測量だけしても土地の取得ができない、重々その事情を存じております。訴訟関係、それから収用委員会関係、それによって初めて所期の目的土地の取得ということになると存じておりまするので、そこまで行っている第一次認定分は、その訴訟の結果なりあるいはそれに続く委員会の決定なりを待つものでございます。これらにつきまして、訴訟それから委員会の期日等相当に長引く、これらは関係官との打ち合せにおいてもある程度かかるであろうということも承知しておりますが、私どもといたしましては、行政協定に基く特別措置法その他関係手続等一切遺漏なくやっておりまして、それに従いまして、若干日が延びましても必ずある時期においては土地の取得ができるものと信じておる次第でございます。従いまして、先ほども説明がございましたように、ただいま訴訟あるいは収用委員会にかかっております滑走路部分と、それから今回の問題であります誘導路部分は、本来一体となるべきもので、工事を一体にするとともに、でき上ったときの使用においてもそれがともにできなければいけない。従って、この誘導路部分もぜひ滑走路分と同一時期において土地の取得等ができるようにいたしたいという配慮でございます。従って、今回測量いたしましてこれを収用委員会に出しましても、収用委員会関係においては第一次と同様な訴訟も起きましょうし、従ってあるいはほぼ同様な日数等もかかるものと存じます。それはやむを得ないことで当然その司法的な問題、あるいは準司法的な収用委員会決定というようなものによって土地の取得ができる、これは十二分に承知しておりますので、その同一状況まで今回の誘導路部分を合せていきたい。そして、その結果によって初めて土地の取得ということになる。従って、今回は誘導路部分に当る土地測量だけをぜひ済ませておきたい、かように考えておるわけであります。
  52. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 訴訟が相当長びくとすれば、猪俣委員も聞いておりまする通り、今にわかにくいを打たなければならぬという急迫な事態はここには生まれていないと思う。ことに、猪俣君がるる述べておりまする通り、日ソ、日中関係と、好転をしておるときに、ことさらにそれを刺激するがごとき事態をここに引き起すことは政府の重大なる責任だと思う。その日ソ、日中国交の回復に悪影響を及ぼすおそれすらも冒して、これを断固この際やらなければならぬ、ことに訴訟が係属していて、今すぐこれをやってみても、そのくいを打ってみても、そう急ぐことではないと見通しのついておる今日この際、なおかつさように急いで強制的にもやらなければならぬという理由は、どうしても私どもは理解することができない。先ほど、猪俣君よりもいろいろの角度よりお尋ねいたしておりましたけれども、十分の御答弁がありません。私どもは納得いたしません。私もこの点いま少しく一つ掘り下げて、私どもの納得のいくようなお答えを願いたい。
  53. 丸山佶

    ○丸山説明員 先ほども申し上げましたように、今回の誘導路の部分というものに、本来滑走路と同一に進むべきものでございます。それが昨年では測量未済ということになっておりますので、これを追っかけて同一歩調にならしめるということで手続を進めて参りまして、それがただいまの時期に当っておるのでございます。これらに関しまして、お尋ねのありますただいまの国際情勢あるいは外交等にいかなる影響、支障等があるかという問題、これらについて、調達庁限りにおいて、影響あるまいとか、これでいいとか言えるものではありませんので、先ほど長官もるる述べられましたように、この問題というものは基地拡張協議会というものもございますし、またそれに関連する関係各省の打合会というものもございますので、最終的には閣議ということにおいて御決定を願うという筋にもなっておりまして十分にその辺も協議をいただいた結果、それは顧慮、心配する事項ではない、やはり滑走路誘導路というものは同一の時期においてともに土地の使用ということができるようにならなければいけないのである、それは一方が進んでおる、一方が全然それに歩調が合わない、かりに二、三カ月後あるいは数カ月後において、われわれが予定、予期しておりますように、また信じておりますが、滑走路土地収用裁決がありましても、片方誘導路がそこまで進んでおらなければ、直ちに工事にもかかれず、また従って利用もできないという状況であるから、この面における仕事の進め方はすみやかにいたすべし、かような見解でございます。このことに対して、全関係庁それから政府全体といたしましても、最高部において十分に確認されております。その方針計画によって仕事を進めておる次第でございます。
  54. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 さような事務的な御答弁ではとうてい私どもは納得することができない。申し上げるまでもなく、町議会がこれに反対し、町長が都庁の命令に応じないという事態まで生まれておる。自治行政を預かっております機関が、都庁なら都庁の命令に、政府なら政府の命令に反抗しておる。これは単なる個人の抗議ではありません。容易ならざる事態でありますことは、私どもの申し上げるまでもなく、事ここに至るということについては奥深い根拠があるであろうということを想像するにかたくないのであります。正当の理由なしにはとてもやれるごとではありません。アメリカからどのような要求があろうとも、またあなた方がただいま説明するような事務的な事由があろうとも、これだけの反抗、抵抗があるとするならば、その国民に対しても、やはり、何と申しますか、同情の立場に立って、ああ国民もそういう要求があるのかということで、これにやはり同情を加えて、もしその言い分について正当なるものありといたしまするならば、それをアメリカ当局ならアメリカ当局にも訴えて是正せしむるように苦心をいたしてこそ、そこに初めてものの解決というものがあり得ると思います。しかし、あなた方のとる方法は、もうアメリカの方と行政協定を結んだからそれを徹底的に強行しなければならぬ、国民がどれだけのことを訴えようとも、そのことは全部正しくないという見地に立って強行しようというがごときは、国民を全く無視する行動であると言われても、私は弁解の言葉はあるまいと思う。単に個人の反抗にあらずして、町議会が、あるいは町長がその公職の立場に立ってさえも反抗するような事態に対して、政府当局としてはなお一顧だに値しないものとお考えになっておりましょうか。いま一つこれを伺っておきたい。
  55. 今井久

    今井説明員 お答え申し上げます。先ほど御説明申し上げました通りに、砂川基地拡張が初めて話に出ましたのは一昨年でございました。これを昨年の春最小限度にしぼりまして閣議決定いたしまして進めて参ったような次第でございます。昨年あのような事態で測量実施につきましていろいろ問題があったのでございますが、その後これを進めるにつきましても、急速にこれを進めることをできるだけ避けまして、できるだけの話し合いをし、できるだけの手段を尽して今日までやって参りました。そうしてそのために相当手続もおくれてきているような次第でございます。今回の測量の問題も急速にこれが出て参ったことでございません。その前提といたしまして、この誘導路に当りますものも、実は今度の測量地域よりよほど広いところでございますが、それらのうちで相当の面は、私どもと話し合いがよくできまして、そうして提供に応ぜられたのでございます。その残余のところが実は今日に至りまして何ともできないような状況に相なりました。しかも、先ほど来申し上げましたような状況で、滑走路誘導路と相待ってこれを実施していく必要があると認めまして、まことにやむを得ないことでありますが、今回これを測量しなければならぬ、こういうような段階になった次第でございます。
  56. 佐竹晴記

    ○佐竹(晴)小委員 承服いたしかねますけれども、同僚多数よりなお発言を求められておりますので、これに譲ります。
  57. 高橋禎一

  58. 古屋貞雄

    古屋委員 私の質問したいことは、特に具体的に砂川の問題の現実に触れてお尋ねしたいのですから、長官一つお答え願います。  まず第一に、さっき猪俣委員からお尋ねいたしました第三条によるところの収用の問題でございますが、その点に関しまして私はお尋ねしてみたいと思うのです。これは私は砂川の具体的な実情を申し上げて御答弁願いたいと思います。憲法で保障されております国民の所有権の問題と、それから憲法二十五条によって保障されておる国民の生存権の問題と、この二つを調整いたしまして日本土地収用法はできておるわけですが、今回の第三条に基く収用に関する基礎となりました条件の適正かつ合理的だという問題でございますが、この点は、単に公益事業の遂行とその損害の補償をするというような関係ばかりではなくて、それに加えるのに、国土の一部として、これを収用することが適正かつ合理的な利用であるかどうかということの判断に待たなければならないと私は思います。こういうような根本的理念に基いての今回のいわゆる収用認定であったかどうかを、まず最初にお尋ねしたいと思います。
  59. 今井久

    今井説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。駐留軍の駐留ということは、先ほど来申し上げました通りに、わが国条約上の義務となっておりまして、駐留軍は安全保持という国家的、公共的な福祉に寄与するというものでありますので、駐留軍の用地に供しますことは、公共の用に供するということでありまして、憲法の二十九条に違反しない、実はこういう認定をしたわけであります。
  60. 古屋貞雄

    古屋委員 そこで、米軍の都合のいいことと、それが国民に非常に重大な影響を及ぼすということがあると思うのです。この食い違いに対して、一体あなた方政府はどちらに重きを置くかということの結論を御返答願いたい。つけ加えて申しますならば、ただ条約にあるから、アメリカがここを基地にしたいからよこせと言えば、当然提供しなければならないという義務はないと思うのです。たとえば宮城のまん中をアメリカ軍事基地にするからよこせと言えば、あなた方の議論からすれば、それは条約にあるから仕方がないとお出しになりますか。この点を承わりたい。いわゆる米軍の都合と日本国民の都合と食い違った場合に、どちらに重きを置くかという問題です。
  61. 今井久

    今井説明員 具体的に立川飛行場拡張の問題について考えますと、この立川飛行場は、先ほど申し上げました通り、現在五千五百フィート、これが、ジェット機の使用という目的から、現在のところをどうしても延長しなければならないということになっておりまして、この必要性その他につきましては、当時米国側の果す防衛上の要請というものと、それによってこうむりますところの犠牲というものとを比較検討いたしまして、その犠牲はできるだけ必要最小限度のものにとどめるようにするということで考えたことでございます。
  62. 古屋貞雄

    古屋委員 なお、日本の国内には、日米安保条約並びにこれに伴う行政協定は憲法違反であるという議論をする方が相当あるということをわれわれは前提として考えている。ないとは言えないと思う。相当数ある。しかも日米安全保障条約行政協定は国連憲章の趣旨にも反するという議論をしておる国民が現在日本には多数あります。従って、そういう立場からこの砂川の問題を考えて、あなた方の言うように、アメリカがそこに滑走路あるいは誘導路拡張したいと言えば、それは簡単に公益だとおっしゃる。それ自体が取り返しのつかないような大きな事態を引き起こすとがもしありとするならば、私どもはここで考えなければならない。そこにおいて私は承わりますが、総理大臣の収用認定自体が私どもは違法だと思うのです。それは、ただいま申し上げた適正かつ合理的でない。あそこの町の状態一つの例をとって申し上げますならば、砂川の町は今度の拡張によって、町の経済、一万三千の町民の生活というものは、ほとんどめちゃめちゃになってしまうことは、皆さん御承知通りであります。あの町のまん中、五日市街道の中に三角なものを押し込んでしまって、町の学校の所在地と役場の所在地のまん中に飛行場ができてしまう。従って、経済的に、交通的に、あそこの町の経済はめちゃめちゃになることは現実の問題だと思う。そればかりではないのです。実際は、立川飛行場によって受けた今日までの砂川——あなた方御調査になったかどうか知りませんけれども、私どもの調査によりますと、物的、人的被害というものは今日まで非常に大きいのです。たとえて申しまするならば、約二百戸くらいの家が焼けてしまった、それから半焼けの家が百戸くらいある、死んだ人間が二十五人以上ある、負傷者が十三人あるというこの現実が、今までに物的、人的にあるわけです。ただいま申し上げましたように、町そのものの経済がめちゃ、めちゃになるばかりではなく、こういうような驚くべき人権に関する被害があった。従いまして、現在、日本基地問題で、少くとも地方自治体の町長初め町会議員があげてまつ先になって反対しておるところは、おそらくここだけでありましょう。こういう特異性のある問題を考慮に入れて一体収用認定されておるのかどうか。また、こういうような場合を長官としては考慮に入れて収用認定に対する資料の場合にこれを提供しておった事実があるかどうかこの点も承わりたいと思います。
  63. 丸山佶

    ○丸山説明員 先ほど来申し上げました通り砂川町と立川飛行場拡張というものの関係につきましては、単に条約上の義務ばかりでなく、国の防衛という必要から土地飛行場用地になるという関係、並びに砂川町というものがこれによってこうむる犠牲、こういうものを彼此勘案いたしました結果、必要最小限度これだけはやむを得ぬから拡張ということにしようという決定になったわけでございます。拡張しないために起きます飛行機事故等が、その飛行場の周辺等にいろいろ被害を及ぼす、これらの点も飛行場拡張等によって少くなるということも考慮に入れますとともに、一方、町が有形無形——五日市街道が基地によって非常な影響をこうむって、町も縦断される、これらの点に関しましては、個人々々の被害の補償のみならず、町自体に対することもいろいろ勘案して、そんならば道路はあのままではいかぬから地下道にしようとか、その他の案も考え、またその付近にあるいろいろな町の公共施設等がこの拡張によって影響をこうむるものは、できる限り国の力によって移転その他のことに御協力申し上げる、こういうことで被害をできる限り少くするために補償等について十分に考えていくということで、実は当初からこの拡張問題には臨んできた次第でございます。
  64. 古屋貞雄

    古屋委員 なお、私が重要な問題だと思いますのは、地方自治の本旨に反する点において、憲法九十二条に違反して、地方の自治体をめちゃめちゃにしてしまう、こういうことは、日本政治上から考えまして重要な案件だと私は思うのであります。町長がまっ先に反対をしておる。しかも、町の住民、特に農民の土地というものは生活の保障であります。その土地を奪われてしまう。何千年来の長い間の歴史というものが根本からこわれてしまう。これは新しい国の公益のためならばやむを得ないといたしましても、今の住民の諸君の自治体に対する自治権というものを根本からこの内閣総理大臣の認定で破壊してしまうということは、これ自体が私は将来非常におそろしい影響を及ぼすものであろうと思う。国民の思想上に及ぼす影響、ではしからばどういう影響があったか、こういうことを申し上げますと、昨年の測量なさるときの反抗の態度に比べ、本年のこれに反対しておるところのあの姿というものは、おそらく私は非常に強い反抗になっておると思う。たてばたつほど強い反抗になり、全国的な問題になって参ります。ということ自体は、これは簡単に政治家や権力を持った人が、こういうような義務があるからこういうことをやるのだということで押えつけて参りますと、おそろしい結果が私は現われると思う。この点を私は考えたい。この点について調達庁の方におかれましては考慮されておるのかどうか。日がたてばたつだけ、年がたてばたつだけ国民の中に強く反抗心がふえてきておる。昨年は三千人なんという学連から組織的な反対闘争をやる行動は私どもは承わっておりません。ことしは三千何人に及ぶあの純真な青年諸君が、全学連の方々たちがあそこに出向いて反抗しておるということは、将来の日本を背負う青年の姿であると私は思う。将来の日本を背負う青年があれだけ反対をしておるということは、ただ反対だということで見のがしてはいけない。ここに私は生きた政治があると思う。この点について、毎年々々反抗心が高まってくること、組織的に国民の意向が軍事基地に対して強くなってくるということに対する御認識と、これに対する考慮の上に立ってやはり今回もあえて測量を行おうとしておるのであるかどうか、この点も承わりたい。
  65. 今井久

    今井説明員 お答え申し上げます。軍事基地反対の動きが今回の砂川測量反対と一緒になりまして非常な反対となっておるということは私ども承知しておる次第でございます。私どもといたしましては先ほど来申し上げました通りに、昨年の春この問題がきまりまして、自来今日まで及びまして、しかも急速に実施をしなければならないような情勢にあったのでありますけれども、できる限りそれらの点を円滑にやっていきたい、こういうふうにやりたいということで今日まで延びてきておったような状況でありますことは、先ほども申し上げたような次第でございます。政府がこれらのことを決定されるにつきましても、いろいろそれらの情勢は十分判断されておるのでありますけれども、どうしても先ほど申し上げましたように今回の測量というものを実施していかなければならぬという状況にありますために、こういうようなことになった次第でございます。
  66. 古屋貞雄

    古屋委員 先刻の御答弁を承わりますと、アメリカではいつ何日までに提供をするようにという要請はないという御答弁があったように私は承わりました。また、わが党の諸君関係当路に交渉いたしましても、米国はいつ何日までにという期限を切って提供しろということは申しておらない、こういうことを私は承わっておりますが、さようであるとするならば、現在までの状況においてこのまま放任をしておきますならば、取り返しのつかない不祥事が、日本の歴史の一ぺージを汚す問題が起きると私は思うのです。私どもは、現地の状況を拝見いたしまして、もうここ数日にこれを強行されるならば必ず重大な問題を引き起す、かように考えるわけなんです。従いまして、相手方がそれほど急がないならば、これだけの国民の強い反抗の運動が行われておりますから、それを緩和し、あるいは納得のいくような点まで、——かようなことを申し上げますと手前みそになるかもしれませんけれども、わが党の諸君が身をもって数日間話し合いでやろうということを努力いたしておりますけれども、取り返しのつかないような大きな問題を引き起すよりも、十日かかろうが、十六日までにこれが測量ができなかったといたしましても、再びおやりになることができましょうから、そのお延ばしを願って、納得のいくことにして、もっと話し合いを進めたらどうか。本日は船田長官が来ておりませんから、閣議決定のありました内容、それほど急がなければならぬ理由について長官から承わりたいと思いましたけれども、私はこの質問は留保いたします。というのは、この内閣総理大臣の認定自体は違法であるという私は強い信念を持っております。この土地の利用は適正かつ合理的な認定でないと思います。従いまして、総理大臣並びに船田長官からはっきりこの気持や事情を承わらなければ納得がいかないのであります。もしも数千人のあそこにおりますところの反対運動する者、これに二万ほどの警察官が参りまして、おそろしい衝突が行われることになりますならば、おそらく私は取り返しのつかない不祥事が起ると思います。社会党の議員諸君が手を引けば、当事者間では、徹底的な反対をするというあの地元民、しかも町長を先頭にして、どこへくいを打たれても心には打たれない、自分らの問題のみならず、これは日本民族の問題である、日本の完全独立の問題であると戦っておる数百人の人々の命を捧げる闘争というものは、必ず私は血を流さなければ済まないと思います。重大なことなのです。私は政党政派を超越して自民党諸君考えていただきたい。だから私どもは現場を見て判断しなければいけないと思ったのですが、これから御相談申し上げますが、実際あれだけ何千人の人たちがあの町のまん中で衝突をしてごらんなさい。これはもう社会党諸君が手を引けば衝突は必至だと思います。この責任を政府はどうとるか。この責任を国民に対してどうするか。これは長官が、あるいは大臣が、責任を負いますと言うだけでは片づかぬと思うのです。これを、私ども政治家として、わが社会党は心配しておる。必ず不祥事が起きます。必ず負傷人が出ます。これは数人の人たちの血を流します。これは重大問題です。そこに思いをいたされまして、アメリカから期限を切っていつまでとおっしゃらないならば、あなた自身からむしろ内閣なり閣僚に進言して、話のつくまで待ちましょうということをあなたから上司に伝えて下さい。あなたの部下は毎日気の毒なほど、私どもが見ておりまするならば相当焦燥して、あなたの命令によって非常に悩んでおります。日本人の血が流れた人間である。日本人の血が流れたあなたの部下の責任と人間的、国民的感情の悩ましい姿がよく現われております。その部下の悩ましい姿をあなたは上司に伝えて、何とか話し合いで済ませようという御努力をなさる意思があるかどうか、承わりたい。
  67. 今井久

    今井説明員 ただいま御質問のございました、米国から期限を切ってないのじゃないかということでございます。この点は先ほど次長から御説明申し上げましたのでございますが、一昨年米国から基地提供要求がございまして、この点について昨年の春、拡張地域についてはできる限り最小限度にしてこっちのに応ずるのはやむを得ないということに決定いたしまして、立川の基地拡張につきましては三十年九月二十日の日に閣議決定をいたしましてこの点をきめておる次第でございます。そうして昨年中にこれを実行するという目途のもとに当時すでに米軍とも話し合いが進んでおるような次第でございまして、そのもとに今日までやってきておるのでありますが、先ほど申し上げましたように、その点がおくれておるような次第でございます。  また、後段において御質問がございました、非常に急迫したいろいろな事態が起きるということでございますが、この点につきましては、私どもの方の第一線におきましてその測量に当る者の苦心も非常にあります。私どもといたしましても、できる限り円滑にこれを実施するということをさせるために努力をいたして参っておるような次第でございます。先ほどお話のありましたような事情は、そのつどまた上司にもお話しております。政府の閣僚の間にいろいろお話し合いのあるときもむろんこれらの情勢につきましては十分達せられておることであるのでございます。しかしながら、先ほど来申し上げましたような事情でございまして、この際測量だけはどうしても予定の期日までに実施していくことがやむを得ないものであるということを政府閣議で確認せられまして、私ども実施官庁といたしましては、この実施の円滑にいくということについていろいろ実は苦心を払っておるような次第でございます。
  68. 古屋貞雄

    古屋委員 私は、今長官から現地の者にもなるべく問題を起さないような趣旨でやらしておるということを承わりまして、その点をぜひかたく守られるような一つの御鞭撻をしていただきたいと思うのです。ただいま申し上げましたような重大な事態を引き起してからでは取り返しがつきませんので、その点を重ねて私からも要望いたします。現地ではなるべく話し合いでやるようにという、一つの事態を引き起さない態度をとるような御指示を願いたいことを要望いたしまして時間がありませんから、私の質問を終ります。
  69. 高橋禎一

    高橋委員長 高瀬君。
  70. 高瀬傳

    ○高瀬小委員 私は自由民主党の委員として一言政府側にお聞きしたい点がございます。それは、先ほど来基地拡張と言われますけれども、これは厳格に言いますと、滑走路拡張、それが結局基地拡張ということに相なるかもわかりませんけれども基地拡張という名前で呼ばれていることは、今まで日本安全保障条約に基く行政協定提供いたしました基地に伴うところの滑走路の拡大、拡張ということが、正確に言えばそういうことになる。結果的には基地拡張ということになるかもわかりませんが、私はそう思うのであります。現に、この立川には、私の知っている限りにおいては約一万人の労務者がおる。この一万人の労務者というものの一月の給料というものは、たとえば三億五千万円、これは一年かもしれませんが、非常な膨大なる支給額に上っておる。つまり、あそこには在庫の物資というものは七百五十億くらいのものがある。従って、そこには大型ジェット機の修理工場もあればいろいろあるので、基地拡張そのものの問題も、わが国民の日常生活にとり非常に重大でありますが、これらの基地に働いている一万数千の労務者の安寧幸福ということは、われわれとして非常に無視できない点であります。私が一昨年北海道に参りましたときに、あの北海道の飛行場においてアメリカの軍隊が撤去することによって、日本側の労務者が失業して、失業防止の運動を盛んにやっておりました。ですから、ここに非常に日本の悩みがあると思う。社会党諸君の言っておられることは、徹底的に言うと、飛行場拡張基地拡張反対というよりも、軍事基地撤廃ということでありましょうが、これらの点については、いずれその段階に到達するといたしましても、この基地に働いている多くの労務者の対策について、僕は思いをいたすべきではないかと思う。従って、立場の違うこれらの多くの労務者が、一体この問題についてどういうふうに考えておるのか、政府側はこれらの点についてはっきりしたそれらの人の考え方をつかんでおるかどうか、これを一言ちょっと伺いたい。
  71. 丸山佶

    ○丸山説明員 お話通り調達庁の米軍関係でやっておる仕事にいわゆる基地問題とともに基地に働く労務者の問題、これがまた非常な大問題でございます。基地そのものの拡張関係は、実はお話通り既設飛行場滑走路延長ということが最大のものでございまして全般的の数、施設等は逐次減少しつつあります。特に陸軍関係におきましては、昨年の北海道の陸軍の撤退、本年におきましてはまた東北地方の陸軍部隊は関東から関西の間に配置がえになる。また本年の初めごろからは九州地方の陸軍部隊も逐次本国の帰還あるいはまた関東地方への移動ということがありまして北海道、それから東北、それから九州というものには、今度は働く労務者が職を失うという問題で、またいろいろむずかしい問題が起きております。そういうようなことで、労務者の方々にも、それから労務者の仕事を直接取り扱っておられる府県知事、それから渉外方面のその関係の方たちの話で、一面私どもは労務者の職場確保ということでもまた軍とはそのつどそのつど始終折衝いたしております。また都市そのものにおきましても、都市の経済等の関係からそのような問題も提起しておるわけでございます。正直に申し上げまして、基地問題が、一面その直接の土地を失うためにこうむる犠牲に対していかに補償その他の処置でがまんしていただくかということとともに、一面今の労務者の職場確保、これに努力するとともに、また労務者がどうしてもその職場を離れなければならぬというときには、この失業対策をどうするか、これらについても非常な苦労をいたしておるわけで、それらの問題には大へんジレンマに陥るような状況であります。労務者、その関係の方についての基地問題に対するその意向、態度等は、断言的に申し上げることはできませんが、非常に複雑なものがある状況でございます。
  72. 高瀬傳

    ○高瀬小委員 ただいま政府委員説明によって、基地に働く労務者の生活問題ということはその土地収用と関連して非常に重大問題であるということがよくわかりました。この点はおそらく基地撤廃に邁進しておられる社会党諸君といえどもおそらく同感であろうと私は思います。ただ、この際ただいま問題になっているところのいわゆる滑走路拡張につきまして、それは先祖伝来の住居あるいは耕地を失いたくないという砂川の町民各位の気持はよくわかります。しかしながら、日本が文化国家として、あるいはいろいろな産業の発展の立場から、事情は違いましょうけれども、たとえばダムを作る場合に村が一村全部移らなければならない、あるいは湖底に沈んだり、こういうようなこと、(「大違いだよ」と呼ぶ者あり)それは土地収用法によりましょうが、多少事情は違いますけれども、こういうこともあります。従って、問題になるのは、その土地の買収価格が、一体今聞いておるところによりますと、反当り三十五万円というようなお話でありますが、一体これが近接の土地売買価格と比較して高いのか安いのか、妥当を欠いているのか欠いていないのか、この点ちょっと伺いたい。
  73. 丸山佶

    ○丸山説明員 土地を失う方々に対する処置といたしまして、結局その補償等においてできるだけ十分な処置をとらなければいけない。従いまして、土地の価格等の問題も、できる限りの値段をつけることが最も必要だと考えております。従いまして、土地の売買の普通の例によりまする近傍類似の値段等がまず第一の基準になるのでございますが、そういう近傍類似の売買実例等のみからいたしましては、あの土地に三十五万とか六万とかつけておるものの値段はなかなか出て参りません。しかしながら、都市の郊外におけるところの土地は累年上昇しておることも事実でございますので、その上昇率等を考えまして相当な値段でやるというふうに思っておるわけでございます。
  74. 高瀬傳

    ○高瀬小委員 そういたしますと、近隣の土地の売買価格と比較して決して不合理ではないという政府見解であるかどうか、その点はっきり聞いておきたい。
  75. 丸山佶

    ○丸山説明員 ただいまのところそのように考えておるわけでございます。
  76. 高瀬傳

    ○高瀬小委員 そういたしますと、現在の土地所有者が猛烈な基地滑走路拡張反対運動をしておる気持はもちろん私はわかりますが、その際に直接関係のないいろいろな人が行っているように聞いております。これは地元と直接利害関係のある人であるのかないのか、一つ政府のはっきりした見解を伺っておきたい。
  77. 丸山佶

    ○丸山説明員 この問題に関しましては、特に砂川に関しましては、実は直接の関係の方々は百余人と聞いておりますが、半数くらいの方は、当初からのいきさつ等から逐次考え直していただきまして、政府のそれを条件次第によっては考え直そうということでこられましてそれらの方々につきましては、すでに土地の売買も成立し、また、土地の値段のみならず、土地にある作物等の立毛補償あるいはそれに換算する種々な補償等、いずれも話がつきまして、その方面の仕事も進んでおるわけでございます。しかし、まだ半数ぐらいの方には、遺憾ながらそういう売買値段とかあるいは補償額とか、そういう問題には入られずに、もっと根本的に基地拡張そのものの是非、あるいはこれが憲法その他の関係のいかんというような線の方が第一線でございまして、こうむる犠牲に対する補償ということには具体的に入れないというのが実情でございます。なお、条件次第では話に応じようということで話を進められている方面の方からも、その直接の値段、補償額というもの以外にも、いろいろ町のためにこうしてくれああしてくれという要望はたくさん出ております。これらに関しましては、政府も十分に検討を加えて、できるものはいたそうと目下いろいろ検討を進めておる次第でございます。
  78. 高瀬傳

    ○高瀬小委員 私の聞いているところでは、直接土地収用関係ない、社会党の議員団の諸君あるいは総評の諸君、あるいは全学連の諸君、こういうような人がたくさん集まって、いろいろやっておられるようであります。なお、先ほど猪俣君の質問にも、国内的、国際的の関係考慮してやらなければならぬというような御意見もありました。猪俣君のお立場としてごもっともだと思います。しかしながら、私、考えますのに、この滑走路拡張の問題は、今まで安全保障条約に基く行政協定で、多少いろいろな問題はありましたが、各地でやられた。砂川のように混乱して二年も続けて政治色を濃厚にしておるところはないと思う。これは実に政治色の濃厚な闘争であって、かくのごとく政治色が濃厚であると、私の見解では、解決がなかなか困難であろう、こういうふうに思うわけであります。この点私は率直に申し上げて非常に遺憾に考えておるわけでありますが、特に最近の闘争について私が非常に遺憾に思うことは、社会党の議員諸君が直接この闘争に参加してやられる。それはいろいろお立場もありましょうけれども、指導的立場に立って社会党諸君がやっておるということは、結局測量がなかなかできない。政府としても、立場上、何ゆえに今この測量をやらなければならぬかということについて、おそらくはっきり言えないだろうと思うのでありますが、ともかくはっきりした基礎を持っておられると私は思う。社会党は、平和条約を締結したときに、もちろん安全保障条約の締結については半数くらい反対をしましたから、あるいは反対をするということについては理由があるのでありましょうが、少くとも社会党は議会主義の政党ということで綱領にもなっておるのでありまして、もし真に砂川問題を解決しようと思うならば、条約の改訂を堂々と国会において主張してもらったらどうこ現地の闘争をやめて、これを国会闘争に切りかえていただいたらどうか。淺沼さんも書記長としてここにおられますが、社会党の参加議員は百名ぐらいから七十名、七十名から五十名日とだんだんと、——やはりわれわれも年をとり、体力に限界がございますから、そう先頭に立って実践運動をすることはなかなかできないだろうと思う。従って、社会党がこの法務委員会でこの問題を取り上げるといったことはまことに賢明でありまして、私は社会党諸君に敬意を表する。従って、社会党の綱領にあるように、百尺等頭一歩を進めて、必要ならば反対の代表も呼ぶべし、学連の代表も呼ぶべし、総評の代表も呼んで、再びこの国会の闘争を通じてやった方がよい、それが私の考えである。現地視察に何も今あわてふためいて行く必要はない。  それから、結局この闘争によって相当に国際的な不信を招くと思う。鈴木委員長の、日ソ会談が終るまであれを延期しろなどということは、どういうことか私には全然わからぬ。社会党で言っておるように、砂川交渉基地撤廃闘争の天目山である、あるいはアジア・アフリカ会議に出すとか、アジア社会党会議に出すとか言っておられますが、これはいたずらに国内問題を国際的に出して混乱を招くだけで、私の意見としては反対をせざるを得ないわけであります。社会党は実際実力行使によって全国の基地を撤廃させるつもりであるのか、あるいは議会主義の政党としての看板をおろすつもりであるのか。せっかく社会党が次期政権担当だと言っていばっておる今日、これではやはりどうかと思う。社会党はそのワクを逸脱しないように警告したい。特に、国権の最高機関であるところの国会を構成しておる国会議員が、行政機関の最前線に出て、すでに決定しておるところの公務執行に対して、この執行を集団的に妨害するがごとき行動は、国会議員の権威を失墜するおそれがある。(発言する者あり)国会議員の権威を失墜するおそれがある。よって、将来かくのごときことなきように、私は同僚議員として社会党諸君に反省を促したい。
  79. 高橋禎一

  80. 志賀義雄

    志賀義雄君 今井長官に伺いますが、現地において話し合いをしようということで連日社会党諸君も努力しておられるようでありますが、何かその話し合いに応じては悪い理由があるのですか。あればそれを言って下さい。
  81. 今井久

    今井説明員 測量隊が測量をいたしますにつきましては、なるべく現地におきまして円滑に測量をするということが初めからの方針でございます。ただ、その話し合いをいたしますことは、やはり目的測量実施するのが目的でございます。現地の測量隊員は、政府方針がなるべくすみやかに測量実施するということがきめられまして、そうして法の建前によりまして東京調達局がこれに当るということになっておりますので、東京調達局職員がこの職務に当っております。従って、その話し合いはできるだけいたしますけれども測量実施がそのために非常におくれる、妨げられるということのないことを期しておる次第だと思います。
  82. 志賀義雄

    志賀義雄君 別に社会党は妨害してないと思うのですが、あなたは測量隊員に対して、話し合いをせずに強行しろという命令を下しておるか、また、あなたの上の長官の方から、あるいは内閣の方から、話し合いに応ぜずやれという命令が出ておるかどうか、その点はっきり言って下さい。
  83. 今井久

    今井説明員 測量実施につきましては、先ほど申し上げました通りに、東京調達局長が測量実施の権限と責任を持っておるのでございます。政府といたしましては、測量につきましてはできるだけ円滑にやって、またなるだけすみやかにこれを実施するという方針を立てておりますが、どういう場合にどうするこうするというこまかいことは一々指揮を与えないで、東京調達局長にその権限を与えてやらせるという建前でやっております。
  84. 志賀義雄

    志賀義雄君 私の質問の要点にはちっとも答えられないで、うまく逃げておりますが、そうはいきませんよ。私があなたに伺っているのは、単刀直入に、話し合いに応じなくて強行しろという方針を示めされたかどうか。さっき、警察庁長官でしたか、あなたでしたか、測量隊員は機械のようなものだという言葉もありましたね。上司の命令の通りにやるんだ。—それじゃ、東京調達局の責任者が勝手にあれをやっているのですか。あなたの方から何か指示があるんでしょう。話し合いをせずにやれという命令を出されたか、また政府の方からあなたが言われたか、ほかのことは要りませんから、それだけ答弁して下さい。一言で片づくんだから。
  85. 今井久

    今井説明員 測量実施につきましては、ただいま申し上げました通り東京調達局長が権限と責任を持っております。私どもといたしましては、できる限り円滑にやろうということで、しかも測量が延期されるということでは困りますので、その範囲内におきましてできるだけ円滑にやるために話し合いをするということは、これは決して私どもの方で止めるとかなんとかいうことではない。そういう範囲で私どもは話しております。
  86. 志賀義雄

    志賀義雄君 あなたの今おっしゃったことで、できるだけ話し合いをするということになった。  石井警察庁長官は、今日の程度の問題で警察の出動すべき段階ではないと言われましたが、きょうあなたはここに出て、そのあとの事態の発展で警視庁で出動することをきめたというならば別問題ですけれども、夕べの警視総監公告における会同では、いよいよ出動する、ただもうきっかけだけだという方針をきめたようですが、その点をあなたに御相談がありましたか、またあなたに何か御指示がありましたか、その点御答弁願いたい。
  87. 石井栄三

    ○石井説明員 警察は常に事態の推移を冷静にながめまして、その情勢に即応して配慮すべきものでありまして今日までの段階においては、警察は出動する段階でないという判断のもとに出動しておらないのであります。今後につきましては、今後の情勢の推移を見なければ、あらかじめいつ幾日から出動すべきものであるということは言うべきものでもなし、またすべきものでもない、かように考えております。
  88. 志賀義雄

    志賀義雄君 今後のことはさしおきまして、夕べそういう方針を警視総監公舎できめておるのですよ。そうすると、あなたのおっしゃることと、これまでのことと判断が違うのですが、そこをあなたの方から警視総監に対して何か御指示なり御相談なりがありましたか。先ほどは、なるべく衝突しないように自重しろということを言われたという。その点はどうでしょう。
  89. 石井栄三

    ○石井説明員 警視総監公舎でどういう会議をやりましたか、詳細なことを、またそういうことをやったということも聞いておりません。察するに、これだけ事態が緊迫してきたと申しますか、十六日という測量最終日を目前に控えておりますので、警視庁といたしましては、おそらく今までのいろいろの実情を検討いたしまして、今後不法事態が起るような事態になるならば、そのときには出動も覚悟しなければならぬであろう、それに対する用意はかくかくであるというようなことを、万一の場合の備えとして検討したものではないかと、かように想像いたします。
  90. 志賀義雄

    志賀義雄君 それならば、今までの程度で出動されないのですが、それ以上に社会党の方がみずから挑発するとか、地元の人たちとか応援団体とかなんとかいうところで進んで出ることのないことは明らかであります。そうしますと、あなたとしては、その際にもやはり自重すべきことを警視庁の方に申し入れられますね。その点どうですか。
  91. 石井栄三

    ○石井説明員 私は猪俣委員の御質問にもお答えしたのでありますが、われわれとしましては、できるだけ事態が円満に解決されることを心から望んでおります。従いまして、今日までの毎日の事態を検討しましても、すべてが合法的であるとは言いきれない、若干法令に抵触するような行為があったかと思うのでありますが、にもかかわらず、あえてそれをきっかけとして警察力を行使するというような態度に出なかったゆえんのものは、できるだけ時間をかして円満に事態が解決することが最も望ましい、かように考えたからであります。従いまして、今日までのところ、多少トラブルがあり、中にはそのために打撲傷その他を負った者すらあったと聞いております。しかし、にもかかわらずそれを理由にして直ちにその翌日から警察力を行使するということを考えなかったほど、ことほどさようにこの問題については慎重に対処してきたつもりであります。しかし、今後事態がどうなるかということは、これは私は全然わかりません、先ほども申しました通り情勢の推移に応じて考えるべき問題でありますから、今後のことについては、ここで明瞭にどうだということを申し上げることは差し控えます。
  92. 志賀義雄

    志賀義雄君 打撲傷云々ということを言われましたが、もう立川署では活動をそろそろ始めておりますよ。きょうの夕刊をごらんなさい。茜ケ久保議員は立川署に出頭を命じられております。ところが、松井議員が基地の中に引っぱり込まれたようなことは、今まで聞きませんと言う。井本刑事局長は、この方は追って調査をいたしまして答弁をいたしますと言う。一方に対してはこういうふうにきわめて緩慢にやられ、片方は打撲傷があったかと聞いているようなことでも出頭を命ずる。こういうふうにへんぱなことをやる。こういうことをやっていると必ず不測の事態が当局の側から起されます。そういう点を厳重に御注意願います。  今井長官になお一言お尋ねします。十六日という期限が切迫するから早くと思っておるということですが、十六日から一日あるいは二日延ばして、あるいは鳩山君が帰ってくるまで延びたら、何か特別都合の悪いことがあるのですか。十六日でなければならないというのはどういうところから出発しているのですか。その点をお答え下さい。
  93. 今井久

    今井説明員 今のお話は、十六日より先にやったらいいというお話ですか。
  94. 志賀義雄

    志賀義雄君 いや、先にやっちゃ何か悪いことがあるのかということです。あなたは、十六日が期限でありますからそれまでにはぜひとも完了しなければなりません、こう言われるでしょう、しかし、そもそもこれは、六月がアメリカの予算年度の切りかえで、そのとき問題が起ったのでしょう。そのとき日本政府は、鳩山内閣はどうした。参議院に選挙があるから、基地問題が国民の問題になると選挙に不利だといって、政府の都合で延ばしたでしょう。ここへきてなぜ十六日という期限をつけてやらなければならないのか。政府は自分の都合で延ばしたこともあるじゃないですか。首班の鳩山君が今いないが、これは将来国連加入の問題のときになってくると安全保障理事会で基地の問題を検討しなければならなくなってくる。ことしの十一月には国連加入の問題が現実に起ってきますよ。それまでに、十六日までに急いで何か既成事実を作っておかなければいけないのか、十六日という目安は何によってきめられるのか、どうしてもそこに十六日までに完了しなければならないという理由があるなら、それを言ってごらんなさいと言うのです。
  95. 今井久

    今井説明員 今回の時期に測量実施するということをきめたことにつきましては、先ほど御説明申し上げた通りでございます。その期間といたしまして、大体一日から十六日というこの期間が適当であるというふうにきめたわけでございまして、ほかに理由はないのでございます。
  96. 志賀義雄

    志賀義雄君 それならば、十六日に一応きめたら、延ばしたっていいでしょう。延ばして悪いということはないでしょう。延ばしていいわけでしょう。そこのところをよくお考え下さい。  なお、一般的な政治問題について、この次に船田長官なり何なり、政府の責任ある当局者が出たときに伺いますけれども、そういう点を明らかにしないと、——先ほど関係もないような社会党議員とか全学連とかなんとかいうことを言われた議員もある。そんなことは世間に通用しませんよ。朝日新聞の社説だって、これは根本の問題で、あそこを拡張されてジェット機原水爆でも搭載するようなことになれば、これは砂川基地の人間だけの問題で、はないと言っている。そういう問題があるから、みな問題にするのは当りまえで、問題にしない人、現地の視察も必要ないと言う人があるとすれば、これは日本人としてよほどどうかしているのではないかと私は思う。そういうことは明日あらためてお聞きします。  最後に一言、今井長官猪俣議員との質問応答で、どうもあなたの方の答弁がピントに合わない。あなたは法律にないことを法律に書いてあるようにたてにとって言っているのですけれども、いいですか、行政協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法の第三条には、駐留軍土地を供することが適正かつ合理的であると認められる場合というようになっている。あなたは、そのとき、法律には必要かつ合理的……。必要というのは、アメリカ軍とあなた方政府当局が主観的に必要と思うことなんです。適正というのは、国民の側から見ても、政府の側から見ても、あらゆるものから見て客観的に合っているかどうかということです。そういう法律そのものを間違えて、法律に基いてやりますというようなことを言うから、あなた方の考えがどうしても今の国民の感情と一致しないのですよ。速記録にちゃんと出ておりますから、それを訂正なすった方がいい。訂正しますか、言ってごらんなさい。
  97. 今井久

    今井説明員 先ほど申し上げましたのは、あるいはそういう印象を受けられたかと思いますけれども、適正というのは、むろんその拡張の必要性、またそれに伴います諸般状況等を客観的に見まして、それが適正であるといって初めて適正である。そして合理的ということにつきましては、でき得る限りそれらのものも、それが必要であるとするならば犠牲を最小限度の範囲においてこれを認めなければならぬ、こういうことで私は申し上げたつもりでおります。
  98. 志賀義雄

    志賀義雄君 どうもごまかされるのですが、最後に一つ。あなたは法律に基いてと言っておる。必要かつ合理的と言っておる。あっさり訂正したらどうです。間違っていたら直せばよろしい。そうすればあなたの頭もはっきりして、答弁ももっと国民にわかるようになります。その点は訂正なすった方がいいじゃありませんか。
  99. 今井久

    今井説明員 もし私がただいまお答え申し上げましたのと違っておりますれば、ただいま申し上げました通りでございます。
  100. 高橋禎一

  101. 小島徹三

    小島委員 今の志賀君の質問を聞いておりましても、言葉のちょっとした間違いでもすぐそれに取っかかって文句が出るおそれがありますので、私はこの際一言だけ刑事局長にお尋ねしておきます。  これはまた後日問題になると思いますからお尋ねしておくのですが、先ほど猪俣議員の質問に、測量隊に対して社会党の議員団が話し合いをするのだからといって交渉しておる場合は違法にはならぬのではないかということを猪俣君が尋ねたときに、話の通りであるならば違法にはならないと思うというようなことをおっしゃったのであります。ところが、これは非常に重大な問題であって測量隊が測量しようとすると、社会党の議員団ないしは各種の団体がその前に立って、何時間も話し合い話し合いといってがんばっても、何らの妨げにならない、違法にならないのだというように解釈されるおそれもある。また、解釈ははっきりわかっておりながら、しいてそういうふうに刑事局長が言ったと言う人がないとも限らないと思いますので、その点ははっきり刑事局長の御答弁を願っておきます。
  102. 井本台吉

    ○井本説明員 先ほど御答弁申し上げましたのは、猪俣委員の仰せの通りであるとすれば犯罪にはならぬという趣旨で申し上げたのでありまして、私どもに参っておる報告によりますと、測量阻止のために道路上にゆえなく立ちふさがっておると思われる節の事実も報告されております。もしさようなことになりますれば、それは道路交通取締法違犯、あるいはその他もしこれに暴行、脅迫が伴いますれば、公務執行妨害になりますし、必ずしも犯罪にならぬというわけではないのでありまして、先ほど申しました通り、さような事情であるとすればさようなことになるという条件がついておりますので、その点は御了承願いたいと思います。
  103. 小島徹三

    小島委員 条件というものはよく忘られがちでありまして、あとのものだけを取り上げて盛んに主張される方もございますので、念のために申し上げたのでありまして、ただ好意的に、測量しようとする者に対してもう少し待ったらどうかと言ったときに、測量隊の方から、どうしてもきょうするのだという場合に、話し合い話し合いといってこれをしつこく食いとめておくということは、私は先ほど刑事局長の言った条件づきならばということの中に入らないというように解釈するのでありますが、刑事局長答弁をそのように解釈してさしつかえございませんか。
  104. 井本台吉

    ○井本説明員 具体的な事案になりますと、そのときの状況をしさいに検討いたしませんと法律判断ができないのでございまして、結論的に申しますと、ゆえなく道路上に立ちふさがって必要以上に道路の交通を妨害したというようなことに認定ができますれば、道路交通取締法の違反になるということで申し上げたのであります。
  105. 高橋禎一

    高橋委員長 椎名隆君。
  106. 椎名隆

    ○椎名(隆)小委員 幸いに淺沼書記長も見えておりますから、猪俣委員に一、二質問申し上げてから後に政府委員質問申し上げたいと思います。
  107. 高橋禎一

    高橋委員長 椎名君にちょっと申し上げますが、委員委員の間の質問応答というのはちょっとこの際はどうかと思いますから、政府委員一つ……。
  108. 椎名隆

    ○椎名(隆)小委員 それでは政府委員に対して質問を申し上げます。  先ほどの御答弁で聞いたところによりますると、反対している方々は百余名とおっしゃる。砂川町の百余名の反対の方々を中心として、周囲からその他反対に参加している者があるかないか、この点をお伺いしたいと思います。
  109. 丸山佶

    ○丸山説明員 関係者、つまり直接土地の所有者あるいは借家人、農作者等の権利者が百余名と申し上げたのでありまして、ただいま私ども承知しております方々の分野と申しますか割合は、百余名のうちの大体半分々々、六十名、六十名程度になっておりまして、約六十名の方は条件次第で政府に協力しよう、こういうことでございます。あとの六十名ほどの方はいわゆる反対派でございます。この方々はもちろん測量実施等に反対のために戦っておられます。
  110. 椎名隆

    ○椎名(隆)小委員 その反対者を中心に反対をあおっている連中があるかどうかということを聞いているのです。
  111. 丸山佶

    ○丸山説明員 それは、新聞で御承知通り反対派という方々に同調して協力をされて四日以後毎日出ておられる労働組合関係あるいは全学連その他諸種なる団体の方は大体千名から、多いときには二千名というのが実情でございます。
  112. 椎名隆

    ○椎名(隆)小委員 きょうの朝日新聞をごらんになったでありましょうが、砂川社会党の本部かてきまして、そして社会党議員団が砂川基地に三十名結集しておる。それは、労組員と測量隊との間に小ぜり合いを生じたので、社会党は十一日以降は国会議員団約三十名を現地に待機せしめる、また都会議員団の動員もはかる、また十一日午後二時から現地で党中央執行委員会を行うという。社会党はいわゆる砂川基地拡張反対の渦中に投じているんですか投じていないんですか、おわかりになればはっきりした御答弁を願いたいと思います。
  113. 丸山佶

    ○丸山説明員 私どもからその辺について申し上げることはなかなか微妙なことでありますが、ともかく現在までに社会党の幹部がそこで会議もされ、それから前線に出ておられることも事実でございます。今後のことは私どもまだそこまでは存じておりません。
  114. 椎名隆

    ○椎名(隆)小委員 かつて二十四国会におきまして社会党の衆議院議員が陳情という名目のもとに参議院に押しかけたことは御承知だろうと思います。それと同じように、いわゆる話し合いというような名のもとにむしろ測量の妨げをしている、あるいは労組を動員し、あるいは全学連を動員するということは社会党が中心になってやっているんじゃないかということを新聞紙上あるいは週刊誌で見受けられるんですが、そういうような気運があるんでしょうか。
  115. 丸山佶

    ○丸山説明員 社会党の先生方が全部の労働組合あるいは全学連その他の支援団体を使嗾されて何しておられる——その交渉をやっておられるかどうかということは、私ども認定の限りではありませんが、先ほど申し上げたように、私どもの現地報告によりますれば、一体となって、測量の執行ができないのが実情だと思います。
  116. 椎名隆

    ○椎名(隆)小委員 現地の反対の方々と交渉するよりも、むしろ社会党交渉なさった方がいいように考えられるのですが、社会党の方々と交渉する意向がございますか。
  117. 丸山佶

    ○丸山説明員 この問題に関しましては、実は、社会党はもちろん公党といたしまして重大な政治的観点からものをお考えになります。従って、その意味においていろいろ御交渉意思がおありになる。これらに関しましては、実は実施官庁たる調達庁のレベルを越えました点も多々ございますので、政府関係大臣、それから閣僚協議会というものの線に沿うてわれわれは処しているわけでございます。これらの機関あるいは担当大臣等からそれに関しまして私ども指示を承わっているところでは、社会党との話の点については船田大臣が一度あるいは二度会われており、いろいろその話が出たが、あの線では建設的な結論を得られない、従ってこの点の話し合いは続けないつもりである、調達庁もその考えのもとに既定計画通りに仕事を進めるよう、かように承わっております。
  118. 椎名隆

    ○椎名(隆)小委員 最後にお聞きいたしますが、調達庁の方におきましては、かりにごたごたしていて十六日を経過するというようなことはありませんか。十六日までには必ず強行するという強い御意思をお持ちですか。
  119. 丸山佶

    ○丸山説明員 既定計画通り十六日までには仕上げたいものと考えております。
  120. 高橋禎一

    高橋委員長 淺沼稲次郎君。
  121. 淺沼稻次郎

    ○淺沼小委員 私は社会党という名前が出ている間は何も申し上げないつもりでありましたが、たまたま淺沼という声がありましたので、一応一身上の弁明をさせていただきたいと思うのです。またそれを通じて社会党の立場を明らかにしておきたいと思います。  そこで、軍事基地問題に対する私ども態度、これを申し上げて、そうして今度の問題をどう扱っているかということを申し上げておきたいと思うのであります。
  122. 高橋禎一

    高橋委員長 淺沼君、ただ党の態度を明らかにされるだけですか、何か質問があるのですか。
  123. 淺沼稻次郎

    ○淺沼小委員 質問があるのです。しかし、たまたま淺沼という名前をあげられましたから、一身上の弁明もいたしたいと思うのであります。これは高瀬君も言われましたことでありますから、申し上げておきたいと思います。  そこで、この問題は、日本は独立したことになっております。すなわち、昭和二十七年四月二十八日に対日平和条約の効力が発生して独立したことになっているのであります。独立した日本の姿を一日本人として静かに考えてみまするならば、日本の安全はアメリカ軍隊によって保障されているわけであります。さらに加えて、日本にはアメリカ軍事基地が七百三十、最近は少し減ったようでありますが、まだ七百近くのものがあろうと思います。およそ一国が他国の軍隊によって安全を保障される、それが長くなって参りますと、その国の独立というものは非常な危機を感ずるようになりはしないかということを社会党では憂えておるのであります。さらに、第二番目には、軍事基地というが、これはアメリカの飛び地のようなものでありまして、日本裁判権は及ばないのであります。およそ日本裁判権の及ばない場所が七百有余もあって、それで完全なる独立と言えるか。これを考えてみまするならば、日本の独立は、形式的には独立をしておりまするけれども、完全なものではございません。従いまして、日本国民の中に、これら不完全なものを完全な独立にしようとする意欲が生まれてくることは当然だと思うのであります。砂川における農民のこの運動にいたしましても、初めは農民が土地に対する愛着からいたしまして、土地を守ろう、こういうような意欲から立ち上っておることは事実であります。しかし、一年間の闘争の中で彼らが知ったことは、自分の土地を守ろうとする者に対して日本の官憲がこれを弾圧する。この独立は日本人同士が争わなければならない、日本人同士が血を流さなければならぬという矛盾を含んだ独立であり、だからこれを完全な独立にしなければならぬという、日本人的な自覚が現われてきておるということを見失ってはならぬと思うのであります。もちろん、形式的に申しますならば、日米安全保障条約があり、行政協定があり、それに伴いまするところの法律があるのでありまするから、法律の執行者あるいは行政府に政権を握っている人々はどうしなければならぬかということはよくわかります。わかるけれども、その矛盾を一体どうやって克服するかということは、単に法律に忠実であるという形式的のことではなくて、日本国民の中から盛り上ってくる、真の独立の体制になろうとする意欲を、私は総理大臣以下閣僚全部考えてしかるべきではなかろうかと思うのであります。そういう観点に立って私どもはこの問題を扱っておるのでありまして、この点だけはとくと御了承を願いたいと思うのであります。しかも、社会党の現在の立場は、この立ち上っておる民衆と、それから政府との間に、一つのクッション的役割をしておるということを知ってもらいたいのであります。話し合いだといって社会党が先頭に立ってやっていると言いますけれども、これは社会党が話し合いの過程を作っておるから衝突はしない。きのう社会党の議員がおらないところへ調達庁の役人が出てきてどういう事態が起きたかということは、調達庁長官よく知っておるはずだと私は思うのであります。従って、私どもの立場というものは、クッション的役割をやって、なるべく犠牲を少くしていかなければならぬ、問題を穏便に済まそうという意欲からやっておるということだけは、誤解のないように願いたいと思うのであります。さらに、もう一点申し上げたいのでありますが、しかし、これ以上の政治上のことは大臣が参った際に私から申し上げることにして、これ以上申し上げません。でありますから、われわれのやっておりますることは、他党の方も誤解のないように願わなければならぬ、こう思うのであります。  そこで、先ほど猪俣さんも質問をされたそうでありますが、私が一番不思議に思うことは、——アメリカ基地というところは日本裁判権は及ばない。それから外は及ぶのです。その中から調達庁の役人が出てくるのです。これは、この前福島君がやっておったときにも、私は、現実に一ぺんあったやつを、あくる日行って、当時の西田担当大臣に対して、どうも日本の官吏がアメリカ基地から出てくることになっておるじゃないかと言った。日本の官吏はやはり官吏として、日本の正々堂々たる道路があるのでありますから、そこから出てくるのが私は当りまえだと思う。日本人同士で話し合いするなら、何もアメリカ基地日本の本土との間に間隔を置く必要はないと思うのでありまして、何かおやめになったという話でありますが、この間もやっておりました。そのときに、ちっとも日本人的な感覚というものがあなたの部下にはなくなったのではなかろうかと私は思ったのであります。あなたはそういう感じを持ちませんか。それは測量の技術上やるのである、技術上門から出てきて早くやった方がよいと言うならば、それはその通りでありましょう。しかし、日本人としてアメリカ基地から日本裁判権の及ぶところへ出てきて行動するということは、私はその現実を見ていればどうしても血がわくようになってくる。そのこと自体があの集まっておる人たちに対して一つの憤激を感ぜしめることも事実でありまして、間違っておったからやめましたということでは私は済まぬと思う。やめた方がよいと思いますが、しかし、一体今までそうやらしてきたあなたは日本人としての感覚はどう持ちますか、これをお伺いしたい。
  124. 今井久

    今井説明員 お答え申し上げます。その点は、先ほども質問がありましてお答え申し上げたのでございますが、昨年の際にもやむを得ず基地の中にポール等立てまして測量いたしたような次第でございます。御承知通り、ちょうど測量いたしますところが近接しておりますし、少数の人数ですみやかに測量目的を達成するというためにやむを得ずああしておるような次第でございまして、実はあそこだけでなく五日市街道からも出てやっておるような次第でありましてこの点はいろいろ御議論のあるところでございますが、どうも測量の技術上やむを得ないものではないかと私は考えておるような次第であります。
  125. 淺沼稻次郎

    ○淺沼小委員 先ほど次長の話を聞いておりますと、予定通りやるのだと言う。それで、やれると考えておるでしょが、これは私非常に憂えております。私どもも長い間大衆運動を扱ってきておりますが、その場合において、やはり今のような状態において警察力を使って強行したということになると、どんな事態が起きるかというと、私ども身のしまるような気がするのであります。その点は今後よくお考えを願っておかなければならぬことであって、やはり、社会党のやっておりますことを、議会の外でわれわれが何か大衆をあおってやっておるようにお考えになるかもしれませんが、われわれとしてはやっぱり日本人です。日本の国内において騒擾がましいことを起してはならぬという念に燃えております。特に日ソ交渉が行われておる際において、国内において対立なんかは断じてやってはならぬと私は考えております。その信念から出て、私ども一つのクッションの役割をやっておるのでありまして、われわれがクッションの役割ができなくなったときには、この間社会党議員のおらない場所にやってきたときに衝突になったようになる、私はそういうような感じを持つのです。私ども長らくいろいろなことをやっておりますから、事態の進展いかんによって次の段階はどうだということがわかります。そういうような状態にあってもまだおやりになるつもりでありますか。警察官としては事態が起きたらやったらいいと言うでありましょう。しかし、やったらどんな事態が起るかということを考えの中に入れておかなければならぬことであろうと思うので、そういう点もともととお考えを願っておかなければならぬと思うのです。
  126. 高橋禎一

    高橋委員長 他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十九分散会