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1956-05-28 第24回国会 衆議院 法務委員会 第36号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年五月二十八日(月曜日)    午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 高橋 禎一君    理事 池田 清志君 理事 椎名  隆君    理事 高瀬  傳君 理事 福井 盛太君    理事 猪俣 浩三君       小島 徹三君    小林かなえ君       林   博君    松永  東君       宮澤 胤勇君    横井 太郎君       横川 重次君    佐竹 晴記君       古屋 貞雄君  出席政府委員         法務政務次官  松原 一彦君         検     事         (大臣官房経理         部長)     竹内 壽平君         検     事         (刑事局長事務         代理)     長戸 寛美君         検     事         (矯正局長)  渡部 善信君         法務事務官         (人権擁護局         長)      戸田 正直君  委員外出席者         総理府事務官         (調達庁総務部         補償課長)   中藤 浪男君         総理府事務官         (調達庁不動産         部企画課長)  分田 宗明君         検     事         (民事局参事         官)      平賀 健太君         判     事         (最高裁判所事         務総局経理局主         計課長)    上野  宏君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 五月二十五日  戸籍事務費全額国庫負担に関する請願纐纈彌  三君紹介)(第二四二〇号)  同(神田博紹介)(第二四二一号)  同(江崎真澄紹介)(第二四二二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政に関する件 請願   一 人権擁護に関する予算増額の     請願徳田與吉郎紹介)(第一六号)   二 同(佐伯宗義紹介)(第一七号)   三 同(川村継義紹介)(第三八号)   四 同(吉田重延紹介)(第三九号)   五 同(關谷勝利紹介)(第四〇号)   六 同(石坂繁紹介)(第四七号)   七 同(藤本捨助君紹介)(第四八号)   八 同(木村文男紹介)(第四九号)   九 同(植村武一紹介)(第五〇号)  一〇 同(古井喜實紹介)(第六九号)  一一 同(臼井莊一君紹介)(第七〇号)  一二 同(植木庚子郎君紹介)(第七一号)  一三 同(西村彰一紹介)(第七二号)  一四 同(大平正芳紹介)(第七三号)  一五 同(薄田美朝君紹介)(第一〇三号)  一六 同(野田卯一紹介)(第一〇四号)  一七 同(山本正一紹介)(第一二六号)  一八 徳島法務局川島支局舎改築請願(小笠     公韶君紹介)(第一〇五号)  一九 宇部市に山口地方家庭裁判所宇部支部     設置請願田中龍夫紹介)(第一〇     六号)  二〇 人権擁護に関する予算増額請願(楯兼     次郎君紹介)(第一五八号)  二一 同(小川半次紹介)(第一八二号)  二二 同(滝井義高紹介)(第一八三号)  二三 同(菊地養輔君紹介)(第一八四     号)  二四 同(加賀田進紹介)(第一八五号)  二五 日本調停協会連合会に対する国庫補助の     請願池田清志紹介)(第一八六号)  二六 鹿児島地方裁判所川内支部庁舎等改築の     請願池田清志紹介)(第一八七号)  二七 人権擁護に関する予算増額請願(坂田     道太紹介)(第二二四号)  二八 同(楢橋渡紹介)(第二二五号)  二九 不法行為に基く不動産損害に関する     臨時措置法制定請願池田清志君紹     介)(第二二六号)  三〇 進駐軍による被害者遺家族補償に関す     る法律制定請願宇都宮徳馬紹介)     (第三六八号)  三一 鹿児島地方裁判所川内支部庁舎等改築の     請願小牧次生紹介)(第三九〇号)  三二 鹿児島地方裁判所加治木支部庁舎建設の     請願小牧次生紹介)(第三九一号)  三三 人権擁護に関する予算増額請願(加藤     鐐五郎君紹介)(第四五八号)  三四 同(櫻内義雄紹介)(第四八四号)  三五 同(相川勝六紹介)(第四八五号)  三六 同(中山マサ紹介)(第五一五号)  三七 同(伊藤郷一君紹介)(第五一六号)  三八 都島区に大阪拘置所設置反対請願(西     尾末廣君外十名紹介)(第六五一号)  三九 同(野原覺紹介)(第六五二号)  四〇 人権擁護に関する予算増額請願(松本     七郎君紹介)(第七三七号)  四一 鹿児島地方裁判所川内支部庁舎等改築の     請願池田清志紹介)(第七八一号)  四二 刑余者更生施設確立に関する請願(宇     都宮徳馬紹介)(第八三五号)  四三 人権擁護に関する予算増額請願(高村     坂彦君紹介)(第九三二号)  四四 旧戸籍改製延期に関する請願野田卯     一君紹介)(第九五二号)  四五 築館簡易裁判所家庭裁判所併置請願     (大石武一紹介)(第九五三号)  四六 検察庁不正審査及び再審理に関する請     願(中川俊思君紹介)(第一〇二七号)  四七 進駐軍による被害者遺家族補償に関す     る法律制定請願林博紹介)(第一     〇二八号)  四八 進駐軍による被害者遺家族補償に関す     る法律制定請願千葉三郎紹介)(     第一一八一号)  四九 家事審判法の一部を改正する法律案の一     部修正等に関する請願長谷川保君外一     名紹介)(第一八二八号)  五〇 大阪拘置所用地不当処分取消に関する     請願菅太郎君外四名紹介)(第一八三     四号)  五一 徳島刑務所移転促進に関する請願(三     木武夫君外三名紹介)(第二〇三二号)  五二 売春等処罰法制定促進に関する請願(中     村高一君紹介)(第二〇八四号)  五三 横堤町に大阪拘置所移転促進に関する請     願(菅野和太郎紹介)(第二一七六     号)  五四 豊多摩刑務所移転促進に関する請願(     松永東紹介)(第     二二三〇号)  五五 売春防止法制定促進に関する請願戸叶     里子君紹介)(第二二八四号)  五六 戸籍事務費全額国庫負担に関する請願(     八木一郎君外三名紹介)(第二二八五     号)  五七 浦和地方法務局皆野出張所設置請願(     荒舩清十郎紹介)(第二二八六号)  五八 戸籍事務費全額国庫負担に関する請願(     纐纈彌三君紹介)(第二四二〇号)  五九 同(神田博紹介)(第二四二一号)  六〇 同(江崎真澄紹介)(第二四二二号)     —————————————
  2. 高橋禎一

    高橋委員長 これより法務委員会を開会いたします。  本日は、まず、日程に掲載されております請願六十件を議題といたします。  なお、請願審査に関しまして最高裁判所当局より出席して説明をいたしたいとの要求がありますので、国会法第七十二条第二項の規定によりこれを許可いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。  それでは請願審査を行いますが、紹介議員の御出席になっておりますものにつきましては、その紹介説明を聴取し、紹介議員の御出席になっておらないものにつきましては、その内容はすでに文書表によって御承知のことと存じますから、直ちに関係当局意見を聴取いたしたいと存じます。  それではこれより請願審査に入ります。日程第一ないし第一七、第二〇ないし第二四、第二七及び第二八、第三三ないし第三七、第四〇及び第四三は、いずれも人権擁護関係予算増額に関するものでありますので、一括議題とし、政府当局説明を求めます。松原法務政務次官
  4. 松原一彦

    松原政府委員 人権擁護委員制度はわが国独特のものでございまして、その使命の重大性は十分痛感いたしておりますので、従来から委員が活動するに足りる十分な予算増額に努めて参ったのでございます。幸いに昭和三十一年度は少額ではございますが予算増額を見ましたのの、この程度では十分にその効果をあげ得るほどの活動ができるとは考えておりませんので、さらに予算増額に努力いたす所存でございますが、委員各位におかれましても御協力下さいまするように、この際お願い申し上げておきます。
  5. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  6. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第一八及び第五七は、地方法務局改築及び出張所設置請願でありますので、一括議題とし、政府当局説明を求めます。松原法務政務次官
  7. 松原一彦

    松原政府委員 法務局施設のうち、支局庁舎の窮状は最もはなはだしく、予算措置としましては、本請願趣旨と同様これらの整備に重点を置き、努力中であります。支局のうちには、いまだ独立庁舎を有しないで裁判所施設の一隅に同居し、著しく狭隘のため執務に支障を来たしているものが相当ありますので、狭隘程度その他困窮の実態を総合的に検討し、その緩急に応じ、国家財政の許す限りにおきまして早急に実現するよう努力いたしたいと考えております。
  8. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  9. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第二九は不法行為に基く不動産損害に関する臨時措置法制定請願であります。政府当局説明を求めます。松原法務政務次官
  10. 松原一彦

    松原政府委員 本請願に述べられておりますような事例につきましては、それぞれ具体的事案に応じ、真に不当にその権利を侵害されたと認められる者のためには、現行法上でも救済が可能であると考えられますので、請願趣旨のような特別の立法措置を講ずる必要はないものと考えております。
  11. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  12. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第三〇、第四七及び第四八は、いずれも進駐軍による被害者遺家族補償に関する法律制定請願でありますので、一括議題とし、政府当局説明を求めます。松原法務政務次官
  13. 松原一彦

    松原政府委員 平和条約発効前、占領軍関係者のために生命を害された人人があること、及び、平和条約第十九条が、同条約効力発生前に日本国内における連合国軍隊存在、その職務遂行、または行動から生じたすべての請求権日本国放棄する旨を定めていることは、請願趣旨の通りであります。請願にありますように、平和条約によるこの請求権放棄が憲法に違反するとか、あるいはこの請求権放棄によって国が被害者遺族に対する損失補償義務を負うに至ったと解することは困難であると考えられますが、被害者遺族人々が真に同情に値することは申すまでもありません。従いまして、政府といたしましても、従来これらの人々に対しては見舞金支給措置を講じ、その額も数次にわたって増額されておる次第でございます。しかしながら、この上さらに何らかの立法措置を講じて被害者遺族人々がこうむった全損失補償することとするかどうかは、直接間接に戦争に基因して生じました多種多様の他の被害に対する対策とともに、国家財政全般の見地から慎重に検討しなければならないものと考えております。
  14. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  15. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第三八及び第三九は、拘置所設置反対請願でありますので、一括議題とし、政府当局意見を求めます。松原法務政務次官
  16. 松原一彦

    松原政府委員 大阪都島延原製作所工場用地は民家からかなり隔たった場所にあり、一般民衆との接触面が比較的少く、地元への悪影響はほとんど考えられないほか、拘置所建設敷地としての立地条件がきわめて好適であります。請願趣旨は、付近文教施設が既存するから同所に拘置所設置すべきではないというにあるのでありますが、左記理由によりまして、拘置所存在文教施設悪影響を及ぼすことはないものと考えております。  第一、予定敷地から約四百メートル隔たった地域に都島工業高等学校があることは事実でありますが、それは直線距離であって、その間に十条製紙工場があり、これを迂回する距離は約八百メートルとなるのでありますから、直接の心理的影響があるものとは考えられません。他の文教施設右高等学校よりもさらに隔たっておるのであります。  第二、現在の拘置所付近にもわずか百四十メートルの距離に近接して西天満小学校、同幼稚園があり、また天満敷地付近にも約二百四十メートル隔たって管北小学校存在することに比べますと、都島敷地についてはこの事情は前者にまさっておると言われますし、しかも現在の拘置所に近接する西天満小学校のごときは市内でも有数の名門学校と聞いておるのでございます。  第三、全国矯正施設においても、近隣に文教施設のあるところはきわめて多いが、ことさらに悪影響が問題として取り上げられたことはございません。  第四、現在矯正施設は旧時代の牢獄のごときものから脱却しつつあって、特に本施設は従前のものと全く面目を一新した明るい新様式のものを計画しておるのでありまして、学校教育悪影響を及ぼすような陰惨な施設にはしない方針でございます。  以上のごとく、都島敷地拘置所建設しても付近文教施設にことさら悪影響を及ぼすとは考えられないのでありまするが、法務省において過去五カ年余敷地獲得に努力した経過にかんがみますると、この敷地をおいては他に大阪拘置所建設に適する敷地を得ることは不可能でありまするから、この点を了とせられまして、建設に御協力をいただきたいのでございます。
  17. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——佐竹晴記君。
  18. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 ただいまの御説明は納得いたしかねるのであります。過日来私どもは極力意のあるところをお訴えいたしております。ところが、ただいまの御説明によりますと、全く否定されたかのごとき、結論を得られたかのごとき御説明であります。地元のいかなる反対があろうとも、断固決行なさる決意がもうすでになされているのでありますか、この際承わっておきたいと思います。
  19. 松原一彦

    松原政府委員 一応決定いたしております。現に敷地のごときもすでに交換の契約を一応内定いたしております。いろいろな御陳情もございまするが、最近におきましては、現地をそのまま拡大しようということよりも、第三の新たな敷地を提供する、あるいはあっせんするというような、いろいろ御意見も出て参っておりますので、今の敷地をそのまま、今の施設をそのまま拡充して新構想を取りやめる計画はございません。
  20. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 敷地に関連して何か紛争が起っておるようであります。すなわち、仮処分等が行われて問題になっておるようでありましたが、その問題は解決いたしておりますか。
  21. 竹内壽平

    竹内政府委員 経理部長からお答え申し上げます。御指摘のように、この敷地につきましては、去る三月仮処分申請がございまして、裁判所の決定を見たのでございます。その後本訴の提起を見たのでございますが、延原則と和解ができたと見えまして、一月も足らずして、三月の下旬には仮処分解放申請が出まして、次いで四月十二日に本訴の取り下げがございまして、ただいまでは紛争は全部解決済みになっております。
  22. 高橋禎一

    高橋委員長 他に御質疑はないようでありますから、次に移ります。     —————————————
  23. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第四四、第五六及び第五八ないし第六〇は、いずれも戸籍法または戸籍事務に関する請願でありますので、一括議題とし、政府当局説明を求めます。松原法務政務次官
  24. 松原一彦

    松原政府委員 本請願につきましては、改製事務が円滑に進むよう十分に研究したいと考えております。
  25. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありまんせか。——なければ次に移ります。     —————————————
  26. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第四二は刑余者更生施設確立に関する請願であります。政府当局説明を求めます。
  27. 松原一彦

    松原政府委員 請願の御趣旨は、保護司就職あっせんした対象者が直接間接保護司に与えた損害を国において補償する制度法制化されたい、前述法制化が不可能な場合は国家全額国庫負担または国家民間との合併職業補導施設設置されたい、以上二項目の択一的実現を要請するものでございまして、御趣旨はまことに適切であると考えられます。  昭和三十年七月末日現在、保護観察対象者四万三千九百六十二人につきまして調査いたしました結果、無職と見られる者が全体の二一・六六%を示しておりまして、更生のための先決問題でありますところの就職の困難さを如実に現わしております。このことは、保護司更生保護会人々対象者就職にいかに苦しんでいるかをうかがい知ることができます。対象者就職問題を解決することなくしては、とうていその更生は望み得ないのでありますから、直接に対象者補導、援護に当る保護司はあらゆる手段を講じてその解決に当る結果が、往々にして保護司に対して直接間接損害を与えることになっているわけであります。事案によりましては、就職をさせる際、保護司みずから身元引受人身元保証人になる等の方法をとらざるを得ないことも多く、ために思わざる苦情を雇い主から持ち込まれ、みずから損害を弁償することに立ち至った事例も相当にあるのであります。昭和二十八年中に保護司が直接間接被害を受けた件数は一千九百六十件、金額にして七百六十三万三千百十二円で、このうち保護司みずからが弁償した件数は三百六十八件で、金額にいたしまして六十四万七千二百五十九円であります。このような実情は、保護司がいかに篤志家でありましても、保護司職務執行上当然のこととして放任しておくわけにはいかない問題であります。  そこで、その対策を樹立しなければならないのでありますが、まず現行法制下で可能かどうかの点であります。国の賠償責任規定する法律として国家賠償法がありますが、この法律で定められていることは、公務員がその職務を行うについて違法に他人損害を与えた場合、国や地方公共団体賠償責任を有するということでありまして、保護対象者がその雇い主等損害を与えた場合には適用されないのであります。いま一つの考え方として、このような場合、保護司がその職務を行うために要した費用として、保護司がその職務を行うために要した費用として、保護司法第十一条の規定によって実費を支払うことが可能ではないかどうかの点でありますが、保護司法第十一条にいう費用は、保護観察官で十分でない点を補う意味における保護司職務執行に要した費用のことであって、対象者他人に与えた損害は、ここにいう費用とは言えないのであります。従って、新たに法律を制定するほかないのでありますが、理論的に申しまして、国が国民就職をあっせんした場合に身元保証をすることができるかどうか、さらに、その者が雇い主等に対して損害を与えた場合に国がその賠償責任を持ち得るかどうか等の点につきまして研究を要するとともに、この点において法制化困難性があって、結論を得るに至っておりません。昭和三十一年度予算編成の際にも賠償金として要求しましたが、理論的な裏づけが十分でなく、実現を見なかったのでございます。しかしながら、いたずらに放任しておくことは許されませんので、実際には更生保護事業指導連絡を行なっている財団法人日本更生保護協会保護司自主的組織である全国保護連盟と共同して年額六十万円を支出し、各地の実情に応じて配付しておるのでございます。この金額前述保護司が弁償した金額に見合っておりますが、もちろんこの金額では十分であるとは申せませんので、何らかの方法を講じてこれを充実させるようにするとともに、法制化の問題につきましてもさらに研究を進めたいと考えております。  第二の請願事項の国立または官民合併職業補導施設を設ける問題でありますが、理論的には一般国民を何ら差別するごとなく補導する施設労働省所管に設けられておりますので、特殊な対象者である犯罪前歴者だけを対象とする職業補導施設を設けることが妥当であるかどうか、ことに、国で作るということになりますと、一般国民対象とする職業補導施設との関係はいかようになるか等につきましても研究を要するのであります。すなわち、建前としましては、犯罪前歴のある者も一般国民と差別しないのにもかかわらず、国として差別するような方策を立てることがいいか悪いかが一応解決しなければならない問題であろうかと思うのであります。しかしながら、この種の施設民間の方々の篤志によって生まれることは、方法によってはけっこうなことでありまして、これに対して反対するものではございません。国の財政ともにらみ合せまして、なお将来研究したいと存じておる次第でございます。
  28. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  29. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第四六は検察行政に関する請願であります。政府当局説明を求めます。
  30. 松原一彦

    松原政府委員 本件請願者昭和二十二年東京地方検察庁に対し石川暁平背任横領、私文書偽造、同行使等をもって告訴しました事件につきましては、当時同地方検察庁において捜査の結果不起訴処分に付しているのでありまして、同事件処理に当り、同地方検察庁検察官請願者不法に取り調べた事実、同事件の不起訴処分書に虚偽の記載をなした事実等はいずれも全然ございません。また、同事件を不起訴処分に付した際には、請願者に対して刑事訴訟法第二百六十一条による不起訴理由通知を書面をもって行なっております。なお、同事件の右不起訴処分につきまして、請願者東京高等検察庁または最高検察庁に対し抗告及び再抗告をなしておりますが、これらの抗告、再抗告も当時それぞれこれを棄却し、右棄却につきましては特にその理由請願者に告知すべき法律上の義務はないのでありますが、請願者請求に応じ、事実上その理由を告知している次第であります。従いまして、この事件処理に関しましては、関係検察官に何らの過誤もございません。また、請願者は同事件関係検察官検察官としての適格を欠くものとして検察官適格審査会審査の申し立てをしておりますが、これにつきましては目下同審査会におきまして慎重に審議中でございます。  二、刑事訴訟法第二百六十一条による告訴人等に対する不起訴理由の告知につきましては、法律上その方法に別段の定めはございません。現在、検察庁におきましては、同法第二百六十条により告訴人等に対し処分結果の通知をいたしました後、告訴人等から請求がありました場合には、適宜口頭その他の方法によりまして不起訴理由を告知しているのでありまして、その処理方法に欠点があるものとは認められません。従いまして、政府といたしましては、同法第二百六十一条を改正する必要はないものと考えております。
  31. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  32. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第四九は家事審判法に関する請願であります。政府当局説明を求めます。
  33. 松原一彦

    松原政府委員 法務省所管に属しまする第一項についてお答えをいたします。  生活保護法第七十七条の規定により都道府県または市町村の長が扶養義務者から保護費を徴収する手続は、地方自治法第二百二十五条に定めるところによりますものでありまして、生活保護法第七十七条第二項の家庭裁判所審判は、単に地方公共団体が右の手続によって扶養義務者から徴収すべき負担額を確定するにすぎないものであります。従って、この審判は、家事審判法の一部を改正する法律案中第十五条の三に規定する「金銭の支払その他の財産上の給付を目的とする義務」を定めた審判には該当しないのでございますから、同条の規定請願趣旨のただし書を設けることは適当でないと考えます。
  34. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  35. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第五〇、第五一、第五三及び第五四は、いずれも拘置所関係請願でありますので、一括議題とし、政府当局説明を求めます。
  36. 松原一彦

    松原政府委員 大阪拘置所の移転改築のための敷地として、国有地たる大阪市北区北錦町の敷地一万一千九十二坪二一と、延原観太郎氏所有の同市都島区友渕町、善源寺町所在の旧延原製作所跡の敷地一万九千百七十六坪七二及び建物延べ二千三百八十六坪四九を交換しましたが、これは次の評価額に基いて行われたものでございます。この評価価格については文書を持って御報告申し上げたいと思います。  この評価は近畿財務局に依頼して行なったものでありまして、近畿財務局におきましては、(一)相続税課税標準価格、(二)土地評価関係精通者として、大阪商事店主、住友銀行本店不動産部副長、北税務署直税課資産税係、安田銀行大阪支店不動産課長、三菱信託銀行大阪支店長代理等からの意見を聴取し、(三)安田信託銀行の鑑定等を参酌し、慎重に各方面の事情を考慮して厳正に評価したものでございまして、右の評価価格は極めて適正のものと認められるのでございます。かような厳正な評価に基いて本件交換手続を進めたものでございまして、国有財産を不当に廉価に処分した事実はないのでございますから、御賢察を賜わりたいのでございます。
  37. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。
  38. 松原一彦

    松原政府委員 拘置所の問題につきましてはもう二件残っておりますから、陳述させていただきたい。
  39. 高橋禎一

    高橋委員長 どうぞ。
  40. 松原一彦

    松原政府委員 大阪市城東区茨田横堤町に大阪拘置所移転促進に関する請願について意見を申し上げます。  茨田地区につきましては、以前この方面の敷地について調査したことがございますが、さらに、今回移転促進請願もございましたので、再度この敷地について調査検討いたしましたところ、(イ)地質が軟弱で地盤が沈下するおそれがあること、(ロ)工事施行に当って盛土整地のため莫大な経費と日子とを要すること、(ハ)排水関係において水面との高さの差が僅少で排水勾配がとれないため排水工事がきわめて困難であり、また衛生上の見地から支障があるものと思われること等の理由から、適当な敷地とは考えられないのでございます。  一方、法務省では、拘置所移転候補地として、大阪都島区所在の旧延原製作所跡の敷地の入手、その手続も進めております。この敷地は、あらゆる方面から検討しましても、拘置所設置敷地としては茨田地区の敷地よりはるかにまさっていると認められますので、都島地区に拘置所設置の工事を進めたいと考えている次第でありますから、御了承をお願い申し上げます。  なお、豊多摩刑務所及び徳島刑務所移転促進に関する請願について意見を申し述べます。  一、一般に、刑務所施設は、その建設に当っては郊外その他人口稠密ならざる地域を選択して建設するのでありますが、建設後周辺地が市街地として発展し、いつの間にか都市の中心部に位してしまう結果になるものが多い。法務省といたしましては、刑務所施設が都市の中心部に位してその発展を阻害することは決して望ましいこととは考えていないのでございまして、いずれそれらの施設を郊外に移転すべきことにつきましては原則的に賛成を惜しむものではございません。  二、しかし、現在の脆弱な国家財政に徴するに、かくのごとき刑務所施設の移転を早急に実現しますることはとうてい困難でございます。およそ一つの刑務所を建設するには建築費のみで五億円内外の巨費を必要とするものでございますが、現在法務省で新営または移転を実施しまたは実施を計画している刑務所、拘置所は、須坂、福島、大分、大阪、京都、小倉等でありまして、しかも本年度計上されております予算額はそのすべてを合せてわずかに約二億円に過ぎず、今後なお数年間はこの工事を維持しなければならない実情でございます。一方、将来新営を取り上げなければならないものとしましては、庁舎の老朽等によるものとして、札幌、宮城、前橋、松江その他数刑務所があり、また、都市の中心部に存在すること等によるものとして、本件の豊多摩、徳島のほか、さらに新潟、名古屋、山形、高知、静岡、岡山その他数刑務所がございます。以上各刑務所の新営を実現いたしますには数十億円の予算を必要といたしますので、国家財政の現状におきましては、これを早急に実現することは不可能に近いものと考えております。
  41. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  42. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第五二及び第五五は売春関係法制定促進の請願でありますが、売春防止法案は去る八日当委員会において可決せられましたので、本請願趣旨は達せられました。よって、議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。     —————————————
  44. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第一九、第二六、第三一、第三二及び第四一は、いずれも地方裁判所改築請願でありますので、一括議題とし、政府当局及び最高裁判所当局説明を求めます。
  45. 上野宏

    ○上野最高裁判所説明員 宇部市に山口地方裁判所及び家庭裁制所支部を設置する件でございますが、当該裁判所に支部を設置いたしました場合の予想件数及び地理的条件から見まして、本件は相当考慮すべきものがありと認められます。他にも支部設置を要求しておりますところが約四十ほどあります。その程度は、宇部市と同程度またはそれ以上の条件を具備しておるところもございます。これらとの権衡上いまだ最終的な結論に到達していないのであります。  それから、次に、鹿児島地方裁判所川内支部の庁舎改築の件でございます。この件につきましては、本昭和三十一年度予算要求につきまして種々努力いたしましたが、結局予算が認められません。従って、本年度においても努力いたしたいと存じます。  鹿児島地方裁判所加治木支部庁舎建設の件でございますが、この件につきましては、本年度予算において基礎工事に着手いたす予算が入りました。三十二年度も引き続き完成を見るように努力いたしたいと考えます。
  46. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ次に移ります。     —————————————
  47. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第二五は日本調停協会連合会に対する国庫補助請願でございます。本請願趣旨は達せられておりますので、議決を要しないと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  49. 高橋禎一

    高橋委員長 日程第四五は、築館簡易裁判所に家庭裁制所併置の請願であります。最高裁判所当局説明を求めます。
  50. 上野宏

    ○上野最高裁判所説明員 宮城県築館簡易裁判所家庭裁判所出張所を設置する件につきましては、現在検討中でございまするが、そのために必要な裁判官及び書記その他の職員の増員について、現在の状況におきまして、それを実現することはなかなか困難でございます。
  51. 高橋禎一

    高橋委員長 御質疑はありませんか。——なければ、以上で請願審査は終りました。     —————————————
  52. 高橋禎一

    高橋委員長 次にお諮りいたします。本日の請願日程中、第一ないし第二四、第二六ないし第四八、第五〇及び第五一、第五三及び第五四、第五六ないし第六〇の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決定いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願います。     —————————————
  54. 高橋禎一

    高橋委員長 次に法務行政に関し調査を進めます。  発言の通告がありますので、順次これを許します。猪俣浩三君。
  55. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 最高裁判所の経理の関係の方がおいでになっておりますので、ちょっとお尋ねいたしますが、きょう突然の質問でありますから、即答できなければ、当委員会に御報告願いたいと思います。  それは、ただいま、元国鉄総裁の加賀山氏の公邸のことが問題となるとともに、最高裁判所の裁判官の公邸についていろいろのうわさを実は耳にいたします。そこで、現在最高裁判所の長官初め各判事の公邸はどういう実情になっておりますか。あなたがここでお答えできるならしていただきたい。というのは、自宅を公邸として使っていられるような方、あるいは、自宅を公邸に使っておって、裁判官をやめられるときに、それを高く売ったというようなうわさもある。さようなことが単なるうわさであればよろしいのであるが、最高裁判所の判事という立場から考えまして、さようなことが明白になりませんと、世の疑惑を受けることに相なります。もしまた、自宅を公邸にしていいという何か合法的の規則があるやにも聞いておるのでありますが、さような規則があるならば、それはいかなる名前の規定であるか。もしここでお答えできましたらばお答えいただきたいし、詳細なお答えができなければ、後刻当法務委員会に御報告願いたいと思います。
  56. 上野宏

    ○上野最高裁判所説明員 ただいまの御質問につきましては、正確を期するために、あとで御報告させていただきたいと思います。
  57. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 次に、これは法務当局にお尋ねしたいと思います。  衆議院の決算委員会におきまして、例の防衛庁の決算の審査に際しまして、いわゆる中古エンジン問題が発生したことは御存じの通りであります。これにつきまして国民は多大の疑惑を持っておる。ことに、血税を払っておりまする一般人といたしましては痛切なショックを受けておることは、これまた政府当局も御存じのことだと思うのであります。そこで、このことを国民の前に明らかにする責任が、国会におきましても、政府当局においてもあると存じます。  事案の大要は、アメリカの放出物資として、昭和二十六年ころ、一台七万二千円という価格で払い下げを受けた政府、それが、数年ならずして、同じ政府予算において、一台千二百五十万円で置い取ったということ、これは単純なる国民に対しましては何としても払い切れない疑惑であります。しかも、かような行動をしておっても何人も責任を負う者がない。決算委員会におきまする防衛庁関係者の態度及びその説明を見ますならば、何にも不法はないし責任もないんだということで、それを聞くたびに、国民はますます不可解、いかに国家の金といえども、かようなことが出来して、しかも何人も責任を負う者がないということに対して割り切れない感情があるのであります。私どもは、決算委員会におきまする速記に残っております各証人の証言、政府委員の答弁等を総合いたしますと、はなはだここに疑惑がある。一台七万二千円で払い下げを受けた事情及び一台十万五千円で松庫商店が買い取った事情、それが一台四十八万ないし五十万円で間組の手に入った事情、それに加工費、補給備品費、運搬費、一切の費用を込めて一台四百万円程度のものが相当であるということを、買い入れました防衛庁の役人自体が承知しておる。これが決算委員会の答弁に明らかに出ておるのであります。政府は、七万二千円の払い下げの事情から、間組が入手いたした事情、一切承知の上で、千二百五十万円で買っておる。しかも、このエンジンは絶対に他に需要のない品物であることも各証人一致しての証言であります。需要供給の関係において価格が形成せられることは経済学の第一歩である。物自体がどうであっても、客観的需要のない品物というならば、価格はあってなきがごときものであります。間組が他に売り渡す場所がないことは、間組も認めておる。政府も認めておる。しかるに、かような高価なものを買い入れたということについて、その買い入れの衝に当りました防衛庁の調査本部の役人自体に何らの責任がないのであろうか。私はこれは刑法の背任罪が成立するものだと考えております。  そこで、かような疑惑を国民に投げかけている以上、そうしてそれが犯罪の疑惑が全くないのじゃなくて一応背任的な疑いがある事実が出ている以上——私は今までの決算委員会の調べだけでも出ていると思う。これに対して法務省は一体どういう態度をおとりになるのか。なお、刑法の背任罪のほかに、物価統制令に違反しているのじゃないかと私は思う。物価統制令は昭和二十一年に勅令でもろてできておりますが、これは昭和二十七年法律八八号によって昭和二十七年四月二十八日以後も法律としての効力を存続されて今日まできておるはずである。この物価統制令の第十条を見ますならば、暴利行為等の禁止として、「何人ト強モ暴利ト為ルベキ価格等ヲ得ベキ契約ヲ為シ又ハ暴利ト為ルベキ価格等ヲ受領スルコトヲ得ズ」と書いてある。少くともこの物価統制令の第十条の違反じゃなかろうか。少くともこの疑惑があるのじゃなかろうか。犯罪の疑惑ありとするならば、法務省検察庁を指揮いたしましてこの捜査に当らなければ、国民の負託にこたえるということにならないと考えます。そこで、法務省はかようなことに対して捜査をお進めなさっておるかどうか、あるいは背任関係、あるいは物価統制令第十条違反の事実があるかないかを御研究なさって、その方向に捜査の歩を進める意思があるのであるか、ないのであるか。私がこの質問をするゆえんのものは、次の質問とも関連いたしておりまして、今日防衛庁を中心といたしましたる国費の乱費は目に余るものがあり、役人どもの綱紀の弛緩も目に余るものがある。今参議院において問題になっておりまする元国鉄総裁加賀山氏の公邸の問題、それに引き続きまして私が今質問いたしました最高裁の判事に関してもいろいろのうわさが出ておる。かような点につきまして、一体何らかこれを処断する法律がないものであろうか。これはあとで質問いたしますけれども、国家予算を乱費し、綱紀の弛緩せる公務員に対しまして、一体検察庁の諸君はどういう意思のもとに進まれるのであるか。とにかく、一国の綱紀の弛緩を単に法務省だけでささえ切れるものではもちろんありません。国会においても、政府においても、それぞれその部署において責任がありますけれども、とにかく、第一線に立って、この社会正義の実現のためにも、国民の信頼を博するためにも、第一に活動すべきものは検察庁であり、法務省であると私は確信しております。かような意味において、当法務委員会責任はきわめて重大であると思います。この国民の非常なる疑惑を至るところでわれわれ質問を受けます。自分の家族の者からさえ質問を受けます。一体あれでよいのであろうか、防衛庁の言うように何にも責任を負わないでよいものであろうか、役人というものはえらいものだ、民間人があのようなことをやったらそれぞれ責任を負わされる、こういう声もごうごうとしてあるのであります。この町の声を無視してはいけないと存じます。これに対して、きょう法務大臣はおいでにならぬのでありますが、法務大臣の満幅の信頼を受けておる政務次官がおいでになりますし、また法律問題についてのエキスパートである刑事局長代理がおられますので、これに対する法務省の所見をお伺いするのであります。
  58. 松原一彦

    松原政府委員 猪俣委員の御質問は重大でございます。法務大臣がお答え申すべきでありますが、本日はなお入院中でございまして、直接にお答えができませんので、一応私からお答えを申し上げておきます。お許しを願います。  お尋ねの第一点につきましては、国民としても重大な問題でありますので、法務省といたしましてはもちろん関心を持っております。これが刑事事件として犯罪の容疑ありと認められるに至りますならば、徹底的に糾明したいと存じております。しかし、まだ具体的な事項につきまして公表いたします段階に至っておりません。以上お答え申しておきます。  なお、詳細のことにつきましては長戸刑事局長代理からお答え申し上げます。
  59. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 ただいま松原政務次官からお答え申し上げましたように、事は重大でございまして、法務省当局といたしましても、これに重大なる関心を寄せて検討をいたしております。ただいま申し上げましたように、その間に犯罪ありと思量されますならば、徹底的に糾明いたしたい、そういうふうに考えております。  以上お答えいたします。
  60. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 この問題に対して防衛庁の諸君が何ら責任感なく、紙くずだと思ったものが有名な画家の書いたものであることがわかったならば、それは高くなるここは当然だということを言い放っておる。私は、不謹慎きわまるものだと考える。そこで、わが党といたしましては、これは背任罪並びに物価統制令違反で告発する手続を今進めております。さような意図を持っておりますが、一体、法務省といたしましては、これに対して十二分なる捜査を進められるかどうか、その決意を承わりたい。
  61. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 その間に犯罪があると思量されますならば、告発のいかんを問わず徹底的に糾明いたす所存でございますが、告発がございますれば、もとよりお話しの罪名その他について十分に糾明いたす所存でございます。
  62. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 なお、これは法務当局にお尋ねいたしますが、本年、会計検査院調査課から予算は正しく使われたかということで詳細なる報告が出ております。これは政府の一機関の報告でありますから、法務当局も御研究中だとは存じます。これを読んでみますると、実にあぜんたるものが多々ある。一々ここで申し上げられませんが、防衛庁に関することだけでも、まことに話にならない。たとえば、ここにたくさん上っておりますうちで一つ拾いましても、使うあてもない冷凍機用修理工具、これなども、冷凍機というものは全然買うということをしていない。そうして、そういうことを論議されても、それは否認されておる。陸上自衛隊は冷凍部隊というものは作らぬということが決定しておるにかかわらず、冷凍機を修理する工具だけ大量に買い込んだ。これはどういうわけだ。全く話にならぬと思うのであります。これは予算は正しく使われたかという会計検査院の報告の六十二ページに書いてあります。使う当てもない冷凍機用の修理工具だけ買っておる。こういうことはこの業者との間に私は何らかのあれがあるのだと思う。それでなければ、冷凍機そのものを全然買わぬことにしておるのに、修理工具だけ買って何を修理するか。それで、こういうことに対して検察庁がもう少し目をとがらしてもらいたい。なおまた、これは一応国会の問題になったかと思いますが、アメリカから冬服の生地が七十万着分も来ることが二、三カ月前に明白にアメリカから意思表示されてわかっておるにかかわらず、ここに七万着分の既製品並びに生地を買い込んだ。そこで、約束通りアメリカから七十万着分が届いたために、七十七万着分はそのまま需品補給処という倉庫に今も眼っておる。一体こういう国費の乱費に対していかなる刑事的制裁があるのだろう。補助金の問題については法律ができたようであります。会計検査院というような機関からこういう正確なる報告が出ておることについて、検察庁は一体これを研究なさったかどうか。研究したとするならば、これは何らかの犯罪になるかならぬか、嫌疑を持たれなかったかどうか。これはこのまま使い得でほったらかしにしていいものであるかどうか。私はもっと法務省なり検察庁の厳たる態度を望みたいのです。私どもは、彼らを捜査し逮捕する権限がない。これはやはり国家機関にお願いするより仕方がない。膨大な国家予算を食っておりますこの防衛庁、ここに実におびただしいむだをやっておる。なおまた、ただいま問題になっております前国鉄総裁の加賀山氏の公邸のような問題、はなはだ不当だと思います。ああいう問題が一体何らの犯罪に触れないものであろうか。こういうことに対して一体法務当局は研究なさったことがあるだろうか。綱紀の弛緩をとにかく粛正するという熱意が法務省にないのじゃなかろうか。あるならあるではっきりそれを表明していただきたい。そうして、それは、表明だけにとどまらずして、いかなる行動を法務省としてはなさる御意思であるか、それを国民の前に明らかにしていただきたい。
  63. 松原一彦

    松原政府委員 国費の乱費につきましては、私ども深い関心を持っております。綱紀の粛正はもちろんのことでございますが、何と申しましても、まず第一には会計検査院の徹底的な調査を待たなければなりませんので、会計検査院と緊密なる連絡をとりまして、単なる会計法規上の違反にすぎないか、背任等の刑事犯罪を構成するものか、慎重に検討を加えまして、いやしくも刑事事件を構成するものにつきましては、ちゅうちょなく検察権を発動いたす所存でございます。
  64. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 御存じのように、昨年補助金等の適正化法が施行になりまして、法務省といたしましては全国検察庁に特別刑事係検事を設置いたしたわけでございます。この係検事は、単に補助金等の不正使用のみならず、一般のそれに関連する背任その他の犯罪の摘発を任務といたしておるわけでございまして、われわれといたしまして、会計検査院から不当あるいは不正行為として指摘されたもの、その他を資料といたしまして、その摘発に乗り出しておるわけでございます。今後におきまして、お話しの防衛庁問題につきましても、法務省当局といたしましても重大な関心を持ち、それの検討をいたしておりますし、また、検察庁におきましても、これらの資料を参考とし、会計検査院と緊密な連絡をとってやっておる次第でございます。御了承願います。
  65. 猪俣浩三

    ○猪俣委員 どうも政務次官の御答弁はおざなりだと考える。不正があればやる、そんなことは当然のことです。どろぼうがあれば縛るというのは当り前のことです。そんな答弁だけではわけがわからないのです。すでに昭和三十一年二月四日にこの刷物ができ上っておる。もう三、四カ月を経過しております。その間、私どもは、何かなさるだろうと思っていたから、何も質問を申し上げなかった。今になって、不正があれば会計検査院と緊密な連絡をとると言う。どろぼうがあれば縛る、こういうような論法、そういう論法を聞いておるのじゃありません。とにかく、不当支出があることは国家機関が明白に認定しておるじゃありませんか。それに対して、皆さんはこれを研究しなかったのかどうか。研究してもなお放任されておったのかどうか。そうじゃないんだというなら、一体いかなる捜査をなさっておるか。それについて明確なる意見を聞きたいのです。やっておらなかったらやっておらないで仕方がありません。今後やるならやるという決意を表明していただきたい。やっておったならば、いかなる捜査をなさっておるのであるか。ただ、不正があれば断固やる、そういう説明だけをお聞きしておるのじゃありません。だから、この昭和三十一年二月四日に発行せられておりまする「予算は正しく使われたか」という印刷物は、これは政府機関の正式な発表でありますがゆえに、同じ政府部内の法務省といたしましては、会計検査院が天下に向ってかような印刷物を発行せられる以前に、すでに報告もあったろうし、聞いておったはずだと思う。しかも、二月四日天下に公表せられて以来、もう四カ月も経過しておる。  そこで、お尋ねいたしますが、ここに書いてあるようなことは、どれ一つ国民に話しても憤激にたえないことばかりなんです。そして、どう考えてもくさいと思うのです。これに対して一体法務省検察庁を指揮していかなる捜査を命ぜられたか、それを明らかにして下さい。
  66. 長戸寛美

    ○長戸政府委員 先ほども申し上げましたように、特別刑事係検事を設置いたしまして、会計検査院の報告書その他の資料を整理させ、それによって、各庁におきましてかかる官庁の不正不当行為が犯罪に触れるかいなか十分の内偵を遂げさせ、ある程度各地においてその検挙を見たものもあるわけでございますが、御指摘の問題についてなお検討を続けておる次第でございます。
  67. 高橋禎一

    高橋委員長 他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十三分散会      ————◇—————