○中川(董)政府
委員 ただいま
猪俣委員の御指摘になりました
本件事件の
傷害致死を与えたことを一番最初自供された相手方は、当時
京都市
警察の広瀬という警部でありますので、この広瀬警部その他
警察関係官の
暴行脅迫によってこういううその自供をしたのでなかろうか、こういう
疑いを私たちも持ちまして、そういうことがありますれば、御指摘の
通り重大な問題でございますし、こういうことを絶無にするという覚悟でいかなければ、
ほんとうの
真実発見はできませんし、人権の保障というものは全うできませんので、重大な関心を持ちまして、これを徹底的に究明する、こういう
態度をとりまして、私
どもの
警察関係といたしましては、話が少し長くなりますけれ
ども、当時
関係警察のおりましたのは
京都市
警察の組織であったのでございますが、その後、御案内の
通り、昨年の六月三十日をもって
京都市
警察は廃止され、
京都府一円の
警察に統合されたのでございますが、そうした
機会等によって待命その他の職員になっているございますが、ただし、こういう
事件の
真実を発見するのには、
関係職員の言い分だけを聞くということは、
真実発見の一つの
資料には違いございませんが、全貌を把握できませんので、あらゆる角度から
関係者の言い分を聞くということはもちろん、そのほかにそれを知るに足るのであろう人間の一切につきまして
真実発見に努める、こういう立場をとり、しかも、この
警察の監察組織を中心といたしましたけれ
ども、私
どもの
警察部局では大阪に事務所を有する近畿管区
警察局という組織がございますので、近畿管区
警察局の組織と、
京都府の監察組織とをもちまして、徹底的に究明いたしたのであります。事柄が、ある刑事がなぐった、なぐらぬということでございますので、今後ともいろいろさらに究明いたしたいと思うのでございますが、現在あらゆる角度から取り
調べました中間的結論と申しますか、あらゆる知恵を出しまして考え出しました結論を申し上げてみたいと思います。
最初に自供いたしましたのは四月十八日でございます。当時宋という
少年がほかの刑事の
調べを受けておったのでありますが、昼飯のときに、
本件の
調べの一番上役に属します広瀬という警部に会いたい、こういうことを申しましたので、広瀬が会い、このときに自供が行われたのでございます。その場合にいろいろな
拷問があったかどうかということが問題でございますが、あらゆる角度から
警察官について
調べましたところが、
警察官はもちろんこれを強力に否認いたします。それから、
関係の
少年について
調べましたところが、それぞれ、
暴行を受けた、こういう事実を申し述べております。それで、両当事者の申し分が違う、こういうことに相なりますので、その間の証拠にいろいろなことを
調べなければ、問題は解決いたしませんので、当時入っておりました留置所の同居者、それから、その
事件を
警察関係が
取調べに従事しておりましたけれ
ども、その後送致を受けて
取調べに従事されました
検察官の方々、それから、
本件事件は
少年でございますので、家庭裁判所の
調査官の手にもお世話になっておりますので、家庭裁判所
調査官の方にその当時
少年が申しておった事柄、それなんかを総合勘案いたしますのに、ことに留置人の言い分等についてこれを聞きますと、ある留置人に対しましてこの
少年はこういうふうに言っっております。けんかをして、その相手が死んでしまい、仲間四人でやったので、そのうちだれがやったのかわからぬが、なぐったことは間違いないので、仲間がかわいそうだったので、僕が殺したと言ったが、どのようになるのだろう、こういうことをその後留置人の仲間に言いまして、留置人の仲間は、自分がやらぬのなら、そんなことを言わずに正直に言った方がよいぞ、こういうふうに教えられた等の
関係もありまして、二十六日には、自供を翻すと申しますか、広瀬警部に面会を申し入れました。御案内のように
京都には山科
警察署というのがありまして、広瀬警部は山科署で他の
捜査用務に従事中、広瀬警部に会いたい、こう申し述べまして、広瀬警部に会いまして、実は自分がやったのではない、こういうふうに言い出したのであります。それで、
少年は、四人の中でだれかが刺したに間違いないと思っていたので、勇気を出して、私がやったように言ったのだ、こういうふうに二十六日に広瀬警部に陳述いたしておるのでございます。それから、事案の様相等につきましては、過般当
法務委員会で
法務省の方からも御
説明がありましたように、四月十日の
事件の内容は、宋外四名の
少年の方と被害者とのけんかが行われたことも事実でございますし、それに直近した時間に別のけんかが行われておった。タブったけんかが行われておりまして、他のけんかの分の
捜査が不徹底でありまして、その点は大へん反省しておるのでございますが、不徹底な結果そういう欠陥を生んだということは重要な原因でございますけれ
ども、
本件はそういうふうにずっとけんかが続いておるうちに被害者が死んでおるという事実がございますので、宋外四
少年の仲間におきましては、当時は
自分たちがけんかに従事しておったので、
自分たちの仲間のうちだれかが被害者を傷つけるに至ったために死ぬに至った、こういう認識があったことが想像にかたくないのであります。そういうことからいたしまして、ことに留置人にこういうことを申しておる点、それから、もちろんよくないことでございますけれ
ども、仲間のだれかがやったことであろう、そいつに対して自分がまあ勇気を出して、自分がやった、こういう心境になったということが、比較的経験法則で合理性等もございますので、そういうことが動機でなかろうかと推知いたしておるのであります。
本件事実に
暴行等がありますれば、徹底的に究明する考えでございますので、現在あらゆる角度でそういう
暴行等があったかどうかということについて究明を続けておりますけれ
ども、留置人の
関係人の供述、その後広瀬警部に対する供述ないしはその後に
検察官及び家庭裁判所
調査官等に
少年は会っておるのでございますが、当時は、そういう
暴行等によって供述した、そういう供述がなかった、そういう
実情等にもかんがみまして、今のところ、
本件事件につきましては、
暴行脅迫の結果自供が行われた、こういうことを認めることができないのでごいますが、われわれといたしましては、あらゆる角度から、そういうことがありはしないかということにつきまして十分なる検討を続けたいと思うのであります。現在までの
調査状況はそういう状況でございますので、御了承願いたいと思います。