○村山
説明員 課税の経過を申し上げますと、実は、この
宗教法人は資本金という概念がありませんので、従って、現在、資本金一千万円以上のものは局の
調査課で
調べ、それから資本金一千万円未満のものは税務署で
調べる所轄構成になっております。
宗教法人は資本金がありませんので、原則として税務署所管になっております。ところが、
宗教法人は一般には収益事業をやっていないのが普通でありまして、税務署の方も二十五年以来うっかりして見過しておったような状況であったのでありますが、相当世間の評判が立ちまして、これは一ぺん
調査しなければいかぬというので、
昭和二十八年におきまして、これを
調査課所管に局長の指定で移しまして、自後二十五年にさかのぼって
調査をいたしたわけでございます。その
調査の結果に基きまして、ちょうど二十九年に、そのときまでの事績に従って収益事業の所得を決定し、それに対応する税額をきめて、それぞれ納付を見ておるわけです。ごく代表的な事業年度で申しますと、こちらの決定しておりますのは、二十八年四月から二十九年三月までの一事業年度分につきましては、全体で課税所得が約二千万であって、これに対しまして三五%の税額をかけておるのでございます。いずれも現在まで完納してございます。
ただ、
宗教法人の立正
交成会の方からは、課税に対して
異議があるというので、国税局長に対して審査の請求が出ております。その審査の請求をする
理由は、
ただいま
猪俣委員の仰せられたようなもの、たすきであるとか教典であるとかいったふうなものは物品販売業として見るべきでないではないかということで、今審査の請求中であります。そういう
理由をあげるにつきましては、実は、物品販売業というものの具体的範囲につき、国税庁の法人税法の
取扱い通達が出ております。その
取扱い通達との関連において疑義があるから、もう一ぺん
調べてくれ、こういうことで、現在税金は納めておるが審査を請求しているわけです。ついでに、その物品販売業に関連する通達を申し上げますと、こういうことを言っておるわけでございます。
宗教法人がお守り、お札、おみくじ、暦等、当該
宗教法人に
関係のある絵はがき、絵図等を販売するときは、物品販売業として取り扱わないものとする。それで、これがかりに販売という形をとっておっても、こういうものは販売業と言うのは無理ではなかろうか。おそらく、この通達を出した意味は、一般の物品販売業は一定の代価を得るわけですが、その反対給付というようなものが考えられるものはやはり普通の販売ではなかろうか、これに関しまして、おみくじのようなものをかりに幾らかでもらいましても、その原価はほとんどゼロにひとしいから、むしろある意味で言えば、おさい銭とか、あるいは喜捨金に相当するものである、こういうところに意味を考えまして、この通達はあるものと思っております。
ただ、国税
当局といたしましては、先ほどあげました物品をほとんど全部——お守りとかここにあげてありますもの以外は、たすきであるとか教典であるとか、あるいは線香、ろうそく、その他全部物品販売業として所得を計算しておるわけです。これに対しまして審査の請求が出ております。最近
東京国税局の方から国税庁に対しまして、自分の方はこういうふうに課税をして、
宗教法人からはこういう
異議の申し立てがあるが、この通達の意義をいかに解釈すべきであるかということを正式に伺ってきておりますの で、国税庁におきましては、目下、その現品等を取り寄せまして、経理の内容も分析しましてまた通達のきめら れている意味をとくと再検討いたしまして、近くこの
東京国税局の課税措置が正しいかどうかを決定する段階に なっておりますことを御報告申し上げます。