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1956-03-12 第24回国会 衆議院 法務委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十一年三月十二日(月曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 高橋 禎一君    理事 池田 清志君 理事 椎名  隆君    理事 高瀬  傳君 理事 福井 盛太君    理事 三田村武夫君 理事 佐竹 晴記君       世耕 弘一君    林   博君       古島 義英君    横井 太郎君       横川 重次君    菊池養輔君       武藤運十郎君    吉田 賢一君  出席政府委員         警  視  長         (警察庁刑事部         長)      中川 董治君         検     事         (刑事局長事務         代理)     長戸 寛美君         法務事務官         (人権擁護局         長)      戸田 正直君  委員外出席者         専  門  員 小木 貞一君     ――――――――――――― 三月十日  委員池田清志辞任につき、その補欠として池  田正之輔君議長指名委員に選任された。 同日  委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として  池田清志君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員田村元辞任につき、その補欠として横井  太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  理事池田清志君同月十日委員辞任につき、その  補欠として同君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月八日  裁判所法の一部を改正する法律案鈴木茂三郎君  外十二名提出衆法第一四号) 同月九日  違憲裁判手続法案鈴木茂三郎君外十二名提出、  衆法第一三号) 同月八日  進駐軍による被害者遺家族の補償に関する法律制  定の請願(千葉三郎君紹介)(第一一八一号) の審査を本委員会に付託された。 同月十日  戦争受刑者の釈放に関する陳情書  (第三五九号)  福島地方法務局若松支局舎新築に関する陳情書  (第三八九号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  人権擁護に関する件     ―――――――――――――
  2. 高橋禎一

    高橋委員長 これより法務委員会を開会いたします。  本日の日程に入る前に、理事補欠選任についてお諮りいたします。すなわち、委員異動に伴い理事が一名欠員となっておりますので、理事池田清志君を御指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高橋禎一

    高橋委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 高橋禎一

    高橋委員長 これより人権擁護に関し調査を進めます。  本日は、先般調査を行いました氏家町の人権問題について政府当局より説明を聴取し、しかる後質疑を行います。  それでは戸田人権擁護局長の御説明を求めます。戸田人権擁護局長
  5. 戸田正直

    戸田政府委員 本件につきましては、久保井銀太ほか一名から申告がありましたし、さらに佐竹委員からも調査の御要求がございました。さっそく調査をいたしたのでありますが、主として地元であります宇都宮地方法務局調査させまして、さらに東京法務局に協力させまして、その上人権擁護局からも課長事務官を出張させまして、大体の調査を終了いたしました。   〔委員長退席椎名(隆)委員長代理着席〕  本件は、「氏家町の様相」と称する。パンフレットをいただきまして、その内容に従って調査いたしたものですが、本件は非常に複雑な、しかもたくさんの事件を含んでおりまして、私の方で大体十七項目に要約いたしまして、これらの十七の事実について調査をいたしたのであります。  その結果、原局報告によりますと、申告事実の九の加害者氏家町長矢沢高佳被害者高藤信吉に対し申告のごとき暴行を加えた事実はございます。ただ、これは、政治的関係動機とするものでなくして、個人的紛争によるものと認められたのであります。  その次に、申告事実の十一、加害者本間工土について本事実のような事実が認められておるのであります。これにつきましては、公職選挙法違反の罪によってすでに処罰されております。しかしながら、氏家町の町長右加害者の行為に関係があるということは、調査の上ではっきり認め得られなかったのであります。  その他の事実につきましては、行き過ぎ等の点も考えられるのでございますが、これらを認むる証拠はなかなかつかみ得なかったのであります。ただし、一部町会議員等町長の意を迎えて選挙等に際し多少行き過ぎのあった行動に出た形跡が看取せられたのであります。  なお、本件申告動機は、矢沢町長がその積極的性格からしていわゆる矢沢町政を強力に推進したため、利害相反する一部町民感情を刺激されて、加えて二、三の町会議員等町長の威勢をかりんとするごとき軽率な言動があったため、政治的立場を異にする町民町長町政を壟断として圧政を行なっているというごとき印象を与えたことにあると考えられるのであります。  本件につきましては、前記のような人権侵犯事実がないわけではございませんが、原局といたしましての意見としましては、むしろ今後の町民一般に対する啓蒙活動に待つべきものが多いのじゃないかと思われるし、かたがた現地においてこれらの問題について和解の機運が相当に動いておるというような事情もありますので、本件はこれを処分猶予として処理したいがというような意見がついて参りました。かなりたくさんの事件が含まれておりますので、ただいま本省におきまして記録に基きまして各項目と対照いたして精査いたしておる次第でございます。
  6. 椎名隆

    椎名(隆)委員長代理 政府当局者説明が終りました。  次に質疑を許します。佐竹晴記君。
  7. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 そうすると、結局、事実を認めたのは、十七項目のうち、矢沢町長高藤信吉暴行を加えた点、それから本間工士公職選挙法違反の事実があった点、これだけなんでございますか。
  8. 戸田正直

    戸田政府委員 実は、はっきりつかみ得たのは今申し上げた大体二点のように報告されております。
  9. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 この間資料として写真を差し上げておいたのでありますが、町民のうちの一人が、ショーウインドーや店のガラス戸なんかをぶち破られたような事実があるのでありますが、この点についてはどうなったんでございましょうか。
  10. 戸田正直

    戸田政府委員 この写真もいただきましたが、だれがこのガラス戸をこわしたかということについて、実は立証をすることができませんので、これを確かめることはできませんでした。
  11. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 この問題は、これだけの暴行をやっておるとすれば警察も動いているはずなんでございますが、警察についてのお調べは御照会でもなさったのでございましょうか。
  12. 戸田正直

    戸田政府委員 警察の方へは特に照会いたして連絡はとりませんでした。ただ、法務局として独自の立場調査いたしたい、かように考えて、警察側には連絡はいたしませんでした。
  13. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 こういったガラス窓をふち破られたことをほうりっぱなしにしてある。それで、法務委員会を通じてそういう事実の取調べ方を要望して、当局といたしましてもそれを調べておるのに、警察が黙っておるといったようなことでは、これはどうも安からぬと思うのでありますが、こういったときに、人権擁護局というものは警察検事局なんかと何か協力し合ってやるという方法はないものでございましょうか。
  14. 戸田正直

    戸田政府委員 従来も、事件によりまして、警察、それから検察庁とも連絡をとって調査している場合も多々ございます。ただ、本件の場合に、いろいろ警察問題というより人権問題として私の方で独自の立場調べたい、かように考えておりましたので、警察の方には特に調査等の依頼をいたしたようなことはございませんでした。
  15. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 私の見るところによれば、今御説明のように、相当行き過ぎもあったと認められると御説明なさいましたが、これは許しがたい幾多の圧制があって、これは証拠としてつかみがたいとは言わせない関係の事実がたくさんにあると私は考えます。これは、おそらく、人権擁護局におきましても、予算も少いし、その活動能力も十分でないために、徹底した調べができなかったためにそういう結果になっておるのではないかと思うのでありますが、いま少しく徹底的にこれをお調べになったならば、相当証拠はつかみ得ると思うのでありますが、何の遺憾もなく徹底的なお調べができておると言明できましょうか。
  16. 戸田正直

    戸田政府委員 遺憾なく徹底的な調査ができたかどうかという御質問でありますが、本件が深刻な選挙を中心としまして、とかく選挙というものの争いが、相反する立場上、非常にいやがらせをやったり、いろいろな面が多うございまして、これを証拠としてつかむということに実は当初から非常に困難を感じておったのであります。加えて、私の方の職員等の数から言いましても、また権限等から言いましても、十分な遺憾ない調査をした、かようにまで実は考えておりません。ただ、私の方で、あまりたくさんな事実を含んでおりますので、とにかく、パンフレット内容により、またその中でこれこれの被害者証人等調べてもらいたいというようなことだけを主として調査をいたしたのであります。従って、必ずしもこれが万全であったというふうにも私ども考えておりませんので、ただいま、送って参りました記録に基いて詳細に精査をいたしております。なお、精査の結果、不十分であるならば、調査をさらにいたしたい、かように考えております。
  17. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 ただいまのお話によると、和解の気分も動いておるので、処分猶予にしたらという意見がついて報告されておるということでありますが、和解の話はどういったような話が進められているという御報告でございましょうか。
  18. 戸田正直

    戸田政府委員 現地からの報告でありまして、具体的にだれからどうというような報告はございませんが、矢沢と反矢沢派との関係にある人たちから、氏家町がこういうような問題を起し、一般からもとかくの非難をされているし、またこうしたような状況ではどうも好ましくないから、何とかこうした感情を融和するようなことをしなければならぬじゃないかというようよ空気がある、そういう空気が動いておるというような報告でございます。
  19. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 この問題については、なお非常に不満を感じております人も多々あるのみならず、いま少しく徹底的のお調べを要望いたしております向きがございます。和解の話については一向私の方へは話がないのであります。従いまして、ただいまの御報告程度では実は十分納得いたしかねるのでありますが、なお地元と私どもよく相談をいたしました上、さらに突き進んでお調べを願うことになるかもわかりません。  本日はこの程度にいたします。
  20. 戸田正直

    戸田政府委員 佐竹先生、今のさらに調査を望まれるこの点あの点というような事実たりともお示し願えると、調査する上に非常に都合がよろしいのでございます。たとえば、申告のこの第一にございます県会議員立候補者への干渉、被害者久保井鬼一という方で、加害者佐藤好市、田島繁雄粕谷仙吉証言関係者として久保井章朔、事件の概要は、昭和三十年の二月十三日の午後加害者らは被害者宅を訪れ、このたび行われる県会議員選挙に重圧を加え、立候補を断念させた、こういう事実が一例でございますが一つございます。この第一の例を一つとりまして、私の方でいろいろ調査しましたのを一つだけ申し上げますと、加害者佐藤好一外二町議が県議選挙に際し氏家統一候補として小林義雄を推すことに協力されたい旨被害者久保井鬼一申し入れた事実があることは申告の通りであります。これについて、加害者らは、候補者乱立共倒れは好ましくない、有力候補を一致して支持し、氏家町からも一人くらいは県議を出したいという町の世論を伝え、かつわれわれとしては小林を推したいというような意見を述べて考慮を求めたので、久保井はこれに対して考えておこうという旨を述べたと言っております。ところで、被害者久保井鬼一はこういうふうに言っております。氏家町から小林県議として出したいから協力されたいとの申し入れ加害者等から受けたことがありますが、自分には自分としての意見があるが、考えておくと答え、聞き流しにしてしまった、後日自分立候補しないことに決定したのは、職務も多忙であるし、諸般の情勢が自分に有利でないと察知したからで、加害者等からの申し入れなどは問題にしていなかったのでありますと述べております。両者の供述を総合して考えますと、加害者等が当時県議立候補のうわさに上っていた被害者の意向を打診し、立候補を牽制しようとしたことはうかがわれるのでありますが、立候補辞退を強要したとまでは言えないじゃないか。これは一例でありますが、こういうようなわけで、調査が非常に困難で、これを強圧して押えつけたというようにはっきりつかむことが容易にできないということで、中には全然事実無根である、また中にはある程度これはどうも行き過ぎているのじゃないかというようないろいろな面がありまして、先ほど申し上げたような結果に大体なったのであります。そこで、もし具体的にこれこれというような点がございましたら一つお示しを願いまして、さらに検討して調査を進めていきたいと考えております。
  21. 佐竹晴記

    佐竹(晴)委員 ただいまのように具体的に御説明を逐一いただきましたならば、実は私はよく納得するのであります。先ほど概括的な御説明でありましたので、実は十分まだ納得いたしかねますが、この点は何しろ地元の人々が相当になお対立しておるようでありますので、ただいま御説明のようなことを、地元代表者等が参りましたときは、納得のいくように御説明をいただきますと、あるいは了解をするではないかとも思われます。もし代表等が参りました節は、御多忙でもありましょうが御説明いただきたいと存じます。本日はこれで終ります。
  22. 高瀬傳

    高瀬委員 関連して。ただいま佐竹議員から氏家町の問題について御質問がありましたが、実はこれは私の選挙区の問題であります。この問題の詳細についていろいろ問題があるということは私も承知しておりましたが、具体的にいろいろなケースについて私が知ったのは、はなはだ不注意でありますが本日初めてであります。これらの氏家町の町政振興会という名で出された「暴政街氏家町の様相」というのを本日初めていただきました。人権擁護局の方ではこんなものをお持ちでございすか。
  23. 戸田正直

    戸田政府委員 久保井鬼一さん外一名から申告がございましたときにこのパンフレットを持って参りまして、これに基いて申告を受けた次第でございます。
  24. 高瀬傳

    高瀬委員 ただいま伺いますると、いろいろ御調査に相なったようでありますが、それは人権擁護局相当責任者が直接行ってお調べになったのか、それとも、たとえば地方警察とか栃木県庁のお役人とか、そういうものを動員してお調べになったのか。それから、もう一つ、ここにいろいろな項目が出ておるようでありますが、これらについて逐一詳細にこの「暴政街氏家町の様相」についてどういうふうに御調査になったか、それを伺っておきたい。
  25. 戸田正直

    戸田政府委員 先ほど申し上げましたように、この事件については地元宇都宮地方法務局に主として調査させました。宇都宮地方法務局職員がわずか三名か四名くらいのわずかなもので手が足りませんので、東京法務局から協力いたすことにいたしまして、さらに人権擁護局から課長事務官宇都宮に出張させて調査をさせたのであります。  それから、このパンフレット内容は非常にたくさん盛られておりますので、私の方で整理いたしまして大体十七項目くらいに分けております。そこで、この氏家町の様相と称するパンフレットの中から、被害者加害者証言関係者等を区別して抜き出しまして、主としてこれらの人たちについて調査をいたしております。従って、このパンフレットの中に現われてきております被害者加害者証言関係者だけでありますので、先ほど佐竹委員にお答えいたしましたように、万全であるというわけには参りませんし、ことに非常に事件がたくさんございまして非常につかみにくいような問題が多うございますために、私の方で非常に調査に困難を来たしまして、調査の結果等についても十分御満足のいくようなものに相なっておらない点もあるかと考えておりますけれども、今申し上げたように、問題の性質と、非常に事件の数が多うございますために、、ごく限られた範囲で調査をいたしたような次第であります。
  26. 椎名隆

    椎名(隆)委員長代理 林君。
  27. 林博

    ○林(博)委員 前回質問いたしましたことにつきまして御報告をお聞かせ願います。
  28. 長戸寛美

    長戸政府委員 前回の御質問に対して私の方で調査いたしましたことを御報告申し上げます。  北野田鶴子という方は、昨年三月十五日に名古屋千種警察署において逮捕いたしまして同月三十一日に釈放いたしております。事件選挙買収容疑でありますが、この事件に関与いたしました検事名古屋地検辰巳検事であります。辰巳検事警察署員取調べ中に同室したのは昨年三月二十日の日曜日かあるいは翌二十一日の祭日で、当時名古屋市警本部警部補が、刑事一名立ち会いのもとに、千種署員休憩室——これは畳敷きのようでありますが、その署員休憩室で机を中にして北野田鶴子と相対して取調べをしておった、辰巳検事は、関係被疑者等取調べのため同署に出張しておったのでありますが、午後、北野田鶴子取調べ状況を見るためにと思われるのでありますが、その休憩室に入りまして、かたわらで三十分間くらい取調べの模様を見ていてそのまま退出したということであります。この点についての検察庁調査によりますと、検察官の取調べ状況は、警部補取調べに当っておりまして、刑事一名が立ち会っておった、被疑者は洋装でありましたので、オーバーを着せて、座ぶとんのかわりに毛布を敷かせて火ばちも置いて取調べをしたというふうになっております。  なお、身体検査の問題でありますが、この方は警察の方がお詳しいかと思いますが、われわれの調査いたしましたことだけを申し上げますと、昨年三月の十五日に、野々山という捜査主件が北野を取り調べるために、午前七時ごろ刑事北野方にやりまして任意出頭を求め、午前八時十分ごろに本人警察署に出頭いたしましたので、部屋都合小使室——これも畳敷きのようでありますけれども、小使室取調べをしたところが、午前十一時ごろになって北野が、肝臓が痛い、あるいは心臓が痛いというようなことを言い出したので、一応医師診断を受けさせるのが妥当と考えて、本人承諾の上、藤井という警察医電話来診を求めたようであります。ところが、藤井医師不在のために看護婦警察に参りまして様子を見て帰った。この際には看護婦が注射を一本打ったようであります。野々山主任は、その後取調べを中止して、毛布を与え小使室で横臥休息させておいたのでありますが、午後四時ごろ電話藤井医師を招きまして、刑事室で同医師診断を受けさした、その際には警察署員部屋から出ておった、医師北野さんだけが在室しておった、こういうふうに調査ではなっております。藤井医師診断の結果は、特に悪いところがない、留置にも耐えられるというふうなことから、同日午後八時二十分に逮捕状を執行した、こういうふうな次第になっております。
  29. 中川董治

    中川(董)政府委員 先般の当委員会林委員から御質問がございまして、私の方でもこれを重視いたしまして、現地について千種署調べさしたのでありますが、林さん御案内のように、当時の事件は、私ども警察制度におきましては名古屋警察という警察がございましたときの状況でございまして、当時の名古屋警察がその後警察法施行の結果愛知警察と合同いたしまして、現在では愛知警察になっておりますので、その全体の仕事を引き継いだ愛知警察本部首脳部をして本件事情調べさしたのでございますが、その後警察統合の際に閣係職員異動等が行われておりますので、若干調査も困難をいたしたのでございますが、現在まで判明いたしております状況を申し上げてみたいと思います。  第一点は、北野田鶴子さんにおいで願った当初の状況でございますが、ただいま長戸政府委員からも話しましたように、三月十五日午前七時ごろに任意千種警察署に来てもらった。最初は小使室でございます。小使室は四畳の間でございますが、四畳の間におきまして警察官二人で供述を聞いておったのでございますが、同日午前十一時ごろになりましたときに、北野被疑者が、心臓が痛い、肝臓が痛いと、こういうふうに申されましたので、取調べを中止いたしまして、ちょうどそこにありました毛布二枚を敷きまして、その上にオーバーをかぶせて休ませたのであります。それで、毛布二枚を敷いて、オーバーをかぶせて休ませたのでありますが、これは医者診断と申しますか、お医者さんの治療を求めなくちゃいけないと思いまして、名古屋千種区の医師藤井弘さん、こういう方の来診を求めたのでございますが、ただいま長戸政府委員が答弁いたしましたように、藤井さんがそのときまた不在でありましたので、看護婦河井まきさんが来まして、必要な看護婦としての処置をして帰ったのでありますが、午後四時ごろになりまして藤井医師がやって参りまして、ここで藤井医師診察が行われたのであります。そのときは小使室から二階の八畳の部屋の方へ北野さんに移っていただきまして、ここでも毛布を敷いてオーバーをかぶせて休んでいただいたのであります。それで藤井医師診断が行われるときには——藤井医師の入ってくるまでは二人の警察官がおったのでありますが、医師が来ましたので、二人の警察官は、医師診察その他婦人の治療でございますので、退場しております。退場のまぎわに、そこにおりました警部補が、先生このままでよろしゅうございますかと藤井医師に聞きましたところ、起きていただきたい、こういうふうに藤井医師が話しましたので、その言葉に基きまして北野さんは起き上られたということでございます。その後警部補等は退出いたしまして、——以下医師について調べたのでございますが、医師は、診察目的のために胸を開いていただきまして、胸のところをよく診察して、ただいま長戸政府委員が答弁いたしましたごとく、留置に耐え得る、こういう趣旨の診断があったわけでございます。  ただいま申しました八畳の間で藤井医師診察をした問題でございますが、そもそも藤井医師を呼びましたのは、北野さんが違和感を感ぜられたことに基きまして応急治療をしていただく、診察していただく、こういう目的で呼んで参りましたので、強制処分としての手続はやっておりません。それで、藤井医師が午後四時になりまして八畳の部屋診察することの法律問題でございますが、藤井医師を呼ぶことについて、いろいろ藤井医師を呼ぶということを話しておるのでございますが、北野さんから診断を受ける承諾書をとるとかいう、書面上承諾を得た、こういう証拠はございません。これは、胸が痛い、肝蔵が痛いということから始まって、医師を呼ぶということに話が進んで、そうして医師を呼んで、そこで診察が行われるという状況になって、北野さんが横臥していらっしゃったのを起きられたのでございますので、これが強制的に事が処理された、こういうふうにも認められないのであります。従いまして、過般も申し上げましたように、いろいろ応急手当目的から始まりまして、だんだん診察していただいた、その結果、そうひどい病気ではない、こういうことがわかった状態で、それぞれの応急手当が構ぜられている、私は現地で工夫して調査せしめたのでございますが、こういうふうに理解されるのであります。  その後午後八時になりまして正規の身体検査を実施しておるのでありますが、そのときには、傍島七三枝という警察官の妻でございますが、たまたま警察官の妻を立ち会わせて、身体検査は正規に実施しておるのでありますが、この身体検査を過般林さん御問題になさったのでなくして、それ以前の診察のことについての御疑念かと思いますので、われわれは愛知警察本部の幹部をして調査せしめましたところ、今のところはそういう状況でございます。  それから、その次に、大勢の者で調べたという問題でございますが、過般の委員会で、私も一般的にはそうたくさんの人間で調べるということは不適当であろう、大体調べというのは一人が調べておると、補助者がない場合においては能率を害しますし、二人くらいで聞く方が適当であろうと一般的に申ておったのでございますが、本件につきましても、大体警部補調べておりまして、その補助として巡査がそのそばにおる、こういうのが大体調べの状態であったようでございます。ところが、八畳の部屋で他の被疑者調べておる場合がございますので、被疑者の方から見れば、たくさんの警察官がそこにおった、こういうふうにこらんになったという点もあるいはあるのではなかろうかと私も推定しているのでございますが、いろいろ現地警察について調べましたところ、本件被疑事件について調べましたのは、警部補が大体中心に主として面接に当り、そばに巡査がおりましてその補助をしておった、こういう状態でございます。そうして、その検事さんがやってきて、検事警察官と寄ってたかって大勢で調べたということの疑いでございますが、これも、長戸政府委員から申されましたごとく、検察官は辰巳検事でございますが、辰巳検事千種警察署と常に往復していただきまして、いろいろ事件について緊密にやっていただいておったのでございますが、二十日ごろでございましたか、これも勾留中の北野被疑者警察官警部補が巡査を立ち会わせて調べておりましたときに、取調べ状況視察の目的のためであると現地警察は推知しておったのでございますが、おいでになりまして、警部補及び巡査が調べておる状況を見ておられたのでございますが、辰巳検事はその際は何ら発言することなく様子をごらんになって帰られた、こういう状況でございます。  先ほど申しましたごとく、本件事件名古屋警察本部のもとにおける千種警察署の捜査でございまして、当時の関係者等が警察合同の結果あちこち転任等が行われておりますので、捜査に若干時間をとりまして何でございますが、大体その事務を引き継ぎました愛知警察本部をして調査せしめましたところの大要は以上の通りでございます。
  30. 林博

    ○林(博)委員 人権擁護局長から聞きたいと思います。
  31. 戸田正直

    戸田政府委員 本日は、大へん申しわけないのですが、名古屋法務局からの電報を実は持って参りませんで、お答えが少し正確ではないかと思います。名古屋法務局調査を命じまして、国会があるというので急遽報告を電報でよこしましたので、詳細の点ははっきりいたさないのでありますが、電報の内容を見ますと、大体今長戸政府委員中川刑事部長と同じような意味の電報が参っておったように記憶しております。ただ、私どもとしては、この種選挙違反事件らしきものに際しては、普通の破廉恥罪と違って、やはり相当捜査等に当って考慮されていいんじゃないか、特に婦人であるとか老齢な者に対しては特段の御注意が必要でなかろうか、かように考えておりまして、さらに、果して、たとえば北野田鶴子の問題にしましても、ほんとうに治療のためにやった、あるいはそうでなく身体検査のためにやった、そうだとするとこれはまた婦人の立ち会い等について非常に考え方が違ってくる、かように考えますので、それらの点についてさらに調査するように指示いたしております。まだそれに対する報告が参っておりません。
  32. 林博

    ○林(博)委員 長戸政府委員にお尋ねいたしたい。ただいまの御調査によりますと、三月二十日あるいは三月二十一日に数人で取り調べたという問題に関しまして、名古屋の市警の警部補一名が刑事立ち合いの上で調べておったところをたまたま辰巳検事が三十分ぐらいそれを視察しておったというような報告でございましたけれども、私の調査いたしましたところでは、これは北野の申しますのには、七人の検事並びに警察職員によって、しかもその方々が前に並んでこもごもに尋問したことは間違いのない事実であるということを申しているのであります。かりに警部補一人、刑事一人で取調べを受けておって、そこにたまたま検事さんが入ってこられた程度であったならば、そのように強く北野が訴えることは私はあり得ないというふうに考えるのでございます。あるいはたまたまその部屋刑事その他の方々が何らかの事由で在室しておったということも言い得るかとも考えるのでありますが、それらの点に対する御釈明はなかったのであります。そのほかにも何らかの用件で他の方々が在室しておったのか、その点は御調査なさったかどうか、それを伺いたい。
  33. 長戸寛美

    長戸政府委員 実は、名古屋地検の方に電信によって照会する一方、辰巳検事が在京いたしておりましたので、辰巳検事にも刑事局の者に直接聞かしたのでございます。その結果は、ただいま申し上げましたように、北野田鶴子氏を調べたときには、電信でございますからちょっとはっきりしませんが、「イエダキヨシ」という警部補取調べに当り、そのほかに刑事一名が立ち会っておった、その間三十分ばかり検事は同室してその取調べの模様を黙って聞いておった、こういうふうになっております。これは辰巳検事本人もそのように申しております。
  34. 林博

    ○林(博)委員 本件は、この取調べ状況につきましては、北野氏は単にばく然と七人が取調べに当っておったということを申しているのではないのであります。その大部分につきまして名ざしをいたしまして、これこれの人が前に並んで交亙に尋問を受けたということを強調しているのであります。どうもそのお調べがかなり不徹底のように私ども考えられるのであります。名前が出ているのでありますから、単に辰巳検事のみではなく、その点関係者に対してもっと詳細なる御調査を願いたい、このように考える次第でございます。  それから、なお、北野田鶴子さんの身体検査の問題で、この点に関しまして中川刑事部長にお伺いしたいのであります。ただいまの御報告によりますと、十一時ごろに北野さんが心臓肝臓の苦痛を訴えたので、医者を呼んで注射をしてもらった、それで小使室において取調べを中止して毛布と外套をかけて寝かしておった、休憩しておった、こういう御報告なのでありますが、現実には、北野氏は、寝かしておったままで、寝かされたことは事実かもしれませんけれども、取調べを中止することなく継続されておった、夜の九時ごころまで取調べを継続されておったということを申しておるのでございます。かりにその取調べを中止されたといたしまするならば、一体何分くらい、あるいは時間的にどの程度取調べを中止されたのか、伺いたい。
  35. 中川董治

    中川(董)政府委員 まず前段から申しますが、警部補と巡査が調べていたときに、ほかの取調べ官がおったかどうかということは、私も疑問を持ちまして、今さらに調べさせておるのであります。それで、林さん、名前等がおわかりでございましたら、後ほどでけっこうですから教えていただけましたら、調査に便利だと思いますから、お願いいたします。  それから、取調べを中止したという点でございますが、十一時ごろ違和感を訴えられましたので、注射したという結果でありますが、その後四時ごろになってお医者が来まして、それが診察の結果は、そう著しい大した病気ではないという医師診断でございました。その後強制執行をしておりますから、その後は取調べをしたであろうことは推知できるのであります。そのお医者が来るまで寝かしておったという点につきましては、現在私が報告いたした通りでありますが、その間の時間の詳細その他の点は、今調査を実行させておる途中でございまして、先ほども申したのでありますが、関係者があっちこっちにおりますので、正確な取調べについて若干時間がたっておって恐縮でございますが、時間の正確な点も、今実行しておる調査によって判明しようと思いますが、ただいま判明したところによりますと、十一時ごろ違和感を訴えられてから取調べを中止し、その後二階の八畳の間に移して、そして四時ごろ診察が行われ、その結果だんだん調べていきまして、夕方婦人の立会いのもとに身体検査を実行して、強制処分を行なった、大筋の報告は以上になっておりますが、時間の詳細等につきまして目下現地調べさせておりますので、その結果また正確に申し上げたいと思います。
  36. 林博

    ○林(博)委員 診察を受けた際の問題でありますが、これも時間的に本人の言うことと食い違っておるようであります。ただいまの報告では、四時ごろという話であった、しかも毛布を敷いて外套もかけておった、またその上半身を裸にしたという問題も、単に胸を開いて診察をしたというような御報告になっております。しかもこれは本人が違和感を訴えたから診断してもらったのだ、こういうことでありますが、本人の申すところによりますと、診察を受けました当時、くやしくてくやしくて涙にむせんでおったということを言っておりますし、本人が出所後も婦人会等でこれを非常に問題にしまして、もしそういうことがあったならば、藤井医師の家に押しかけていって藤井医師を糾弾するのだというところまで婦人の方々が憤激しておるというところから見ましても、私は、ただいまの報告程度の、単なる診断ではなかったというふうに考えます。また北野田鶴子さんもただいまの報告とは全く違ったことを申しておるのであります。先日私が申し上げましたように、仮病だから医者に見せてやる、そして裸になれと言ってシュミーズも何も脱がされてしまって、ふとんも何も——毛布もなかったのでありましょうが、何もなしに畳の上で診察されたということでございます。また、警察官がその場におったということは、間違いなくおったということを断言しておるのでございます。ただいまの御報告とはかなりの相違がございますが、警察当局におきましても、いろいろ機構が変られた等の事情もございまして、御調査も十分にいかないことであると考えますが、一つ、一方的な調査でなくて、関係者全般にわたりました徹底的な調査をいたした結果の御報告を待ちたいと考えます。ただいま人権擁護局長のお話によりましても、人権擁護局としてはいまだ調査が徹底しておらないということでございますので、人権擁護局といたしましても、その点に関しまして全面的に徹底的な調査をお願いいたしまして、御報告を願いたいと思います。
  37. 椎名隆

    椎名(隆)委員長代理 次に、横井太郎君。
  38. 横井太郎

    横井委員 実は、これは私の陣営に起った問題でございまするし、あまり自分自身がこういうことをやるのはどうかと思って差し控えておったわけでございます。従って、一年以上もたっているのですが、この問題が表面へ出て参りましたので、あえて私は御質問申し上げたいと思うわけであります。  実は、昨年二月行われました総選挙において、婦人の労務者に対して、何と申しますか、取調べが非常に過酷でございまして、人権擁護に訴える問題が起っているのでございます。名古屋では加藤愛子という、これは私の同僚候補者でございますが、この人が落選をしまして、やはり婦人の労務者を使ったのですが、その婦人労務者を非常に過酷に取り調べたというので、名古屋で昨年すでに問題が起っております。それから、私の方も、たまたま婦人の労務者を使ったがゆえに、非常に過酷な取調べを受けた。そこで、今ごろになってその問題がだんだ明るみに出てきたということでございます。現在名古屋市では、婦人の連中に聞きますと、もう選挙権なんかもらわぬ方がいい、選挙権があるためにこういう過酷な目にあうというような気風がみなぎっているのであります。それは特に北区、千種区、北のは加藤愛子君、千種は私の方ですが、これはお調べになればわかります。そこで、ただいま私の方の政党で婦人会員を募集しようと思っておっても、さわらぬ神にたたりなし、またそういう会に入るとこういう目にあうからというので入らないのでございます。それが実態でございます。それほど婦人労務者というものを過酷にお取調べになったために、そういう空気が現在ございますが、これは実態を調べていただけばわかるのでございます。  そういうことを前置きにいたしまして伺うのでございますが、今中川部長と刑事局長代理の方からお話がございましたが、これは警察検事局側のお話でございまして、実は擁護局のお取調べをお願いしたいのでございます。一方的の考え方ならば、婦人は婦人として一方的に言うでありましょうし、また刑事局の関係の人々は自分らに都合のいいことを言うでございましょう。従って、私は擁護局の側から御調査を願いたいと思っております。  そこで、申し上げておきたいことは、実はきょうああいうような簡単なお話でございましたが、私数日前に国へ帰りますと、北野田鶴子、加藤という女の人が私のところにやって参りまして、実は擁護部の方でもおいでになったのだが、またしても刑事さん、検事さんに調べられるかと思って驚いてしまったと言う。これははき違えているわけでございますが、しかもその聞き方がちょうど刑事さんや警部さんが聞かれるような状態であったというのです。そこで、ほんとうのことも言えず、またほんとうのことを言うと、そんなことを聞かぬでもいいとすぱっと頭からやられるので困ったという。どういう調べかと聞きますと、実は擁護部の方の取調べだから、あなた方を擁護するために調べるので、はき違えてはいかぬぞと言ったそうですが、実態はそういうことだそうでございます。来られた人は名古屋法務局の前田という部長ほか二名だそうでございます。この人たちは、まず千種警察署へ行って警察の言い分だけを聞いて、そうして今問題の渦中にある北野田鶴子さんや、山田たまさんの死んだことについて聞きにおいでになったのだが、実は来られた人が刑事さんのように見えてしまったというのです。どういうはき違えだか、それでおびえてしまって、そういう状態で、とにかく刑事さんか検事さんにまたしても調べられるようだ、こんな状態で、ほんとうのことを言えなかったというのでございます。その人たちが言われるのは、一年もほったらかしておいてこんなことを言われては困る、のっけからこういうことでありまして、別にほったらかしておいたわけではないけれども、とにかく今までおとなしく控えておったのだが、中央の方からぴしゃりとやられるのでは僕らの面目が立たないというような聞き方だったらしいのです。そこで、私は、これはいけないというので、実は法務局長に会いました。法務局長にもよくそう言ったら、それはごもっともでございますというので、取り調べた何とかいう課長さんらを呼んで参りまして聞いたところが、あまり唐突の間で、本省の方から言ってこられるのが急だったから、実は取調べも途中でございますが、もう一ぺん再調査をいたしますというお話でございました。だから、いずれ再調査をされまして詳し報告もあるかとも思いますが、部長さんも、突然誤まって行ったのか、警察に先に行かれたので、警察側の味方になられたのかもしれませんが、そういうふうにとられてしまったということですから、これは参考に申し上げておきます。  そこで、ちょっとお尋ねしたいのですが、ただ簡単な今の程度の電報でございますが、それとも、今言ったことが内々あなたの方に話があって、もう一ぺん調査しますというのでございますか、その点お答え願いたい。
  39. 戸田正直

    戸田政府委員 人権擁護局職員が、また警察等に調べられるというような誤解をされるような調べ方をしたということは申しわけないと思います。言うまでもなく擁護局は被害者の人権を守るところでございますので、これが真実ならえらいことでありますから、そういうようなことがないように十分注意いたしたいと思います。ただ、今のお言葉の中で、一年もたって今ごろ言われては困るというような意味のことが出ましたけれども、これは、こういう侵害事実が起きたならば早く申告をしてもらわないと、あとになると困るというような意味のことがおそらく漏れたのではなかろうかというふうに考えられるのであります。得てして被害者がなかなか申告をしてこない、ここに人権擁護の問題があるのですから、泣き寝入りをしてしまうというようなことは封建的なよろしくない考え方と思っております。そういうことで、事実があるならば早く申告するようにという啓蒙活動をいろいろいたしておるのですが、なかなかこれが徹底いたしませんので、そういうような考え方がありましたから、ついさようなことが口に出たのではないか、かように考えております。それから、警察の方に先に行ってあとから調べたというお話でありますが、私ども、国会で取り上げられることを承知したものですから、横井太郎派の選挙違反事件について侵害事実が起きておるから至急調べるようにということを電報で指示をいたしましたが、何らの申告がありませんので、事実がはっきりいたしません。そこで、法務局としては、この事実をつかむのにどこでだれに聞いていいかということがはっきりしないものですから、勢い警察に行って事件の概略をつかむというようなことになったのだろう、かように考えるのであります。私の方から電報で調査指示をいたしたものですから、それに対して被害者北野田鶴子から聞きまして、取り急ぎ私の方に報告を回答いたしたので、電報で参りました。その後私の方から、さらに調査をするように指示をいたしたのであります。従ってその結果の報告が実はまだ参っておりません。ただいま調査をいたしておるものと存じます。また、きょうのお話等も聞きましたので、それらの点についても具体的に指示して調査をさせたいと思っております。
  40. 横井太郎

    横井委員 再調査をしていただけばまことにけっこうでございますが、なお参考に申し上げます。とにかく、北野田鶴子は、私のところに参りましたときも、チャックをはずしてシュミーズをとった、そしてふとんも敷かずにぶるぶるふるえて調べられた、こういうことをはっきり言っております。この点を申し上げておきます。  それから、山田たまという八十一のばあさんが死んだことに関しましては、そのうちでは知らないのであります。むすこも嫁も実態は知らないのでありまして、その隣の加藤という人が知っておるだけであります。山田たまという人がうちでそういうことを警察調べられたことを一度話してむすこにしかられたので、死んだ日のことは何にもうちでは言っておらないのであります。隣の加藤という人が知っておるだけでありますので、この点も特に申し上げておきたいと思います。実は、あなたの方へ報告を出すという大体の文案を聞いたのでございます。ところが、今長戸局長代理がおっしゃったような簡単なものでございまして、実態にはだいぶ違う点がございますので、その点も、隣の人が知っておるだけだから、その点を一つお含みおきを願いたいと思います。  それから、この機会にお尋ねをいたしておきたいのでございますが、この千種筆というのは婦人警官が五人か六人おるのでございますが、こういうような婦人の容疑者を調べるような場合の身体検査を婦人警官にやらせずに、これはあの場合にひっぱられた連中の全部の言葉でございますが、近所の出前持ちのおばさんが全部身体検査をやっております。これは全部そうでございます。こういうことはあるものでございますか。婦人警官があるのでございますけれども、出前持ちのおばさんがやっておる、こういうことがあり得るかどうか。これは全部そう言っておりますので、これを一つ取調べを願いたいと思います。  それから、これは長戸刑事局長代理にお尋ねいたしたいのでございますが、実は、私の方で婦人労務者が五十何名ひっぱられて取調べを受けた。こういうことが一体あるのかどうかということを、これは将来婦人の労務者との関係がありますので、ただしておきたいと思います。ほとんどの婦人労務者をひっぱっていきまして、お前らそういう婦人は労務者になれぬじゃないか、婦人は一体労務者になれるか、そんないい格好の人が婦人労務者とはおかしいじゃないか、労務者とはしるしばんてんを着たようなおっさんがやることである、のっけからそう言うのであります。仕事は何をやったか、仕事はビラを張りました、あるいは演説会場に行っておりました、そんなことは婦人がやる仕事ではない、何にもやらなかっただろう、こう言うのであります。そこで、やりましたと言っても、やらぬだろうというので勝手に書いてぽんと判を押せと言われた。ほとんどことごとくの婦人がそう言っておる。私が帰ったのでこれが問題になった。法務局へ参りまして話したら、もう一ぺん再調査をやるというので、それでは全部の婦人から聞いて下さい、こういう話が出たのです。そこで、擁護部の方から来てその連中と話をされるはずでしたが、きのう、おとといですか、名古屋に婦人の大会があったそうですが、その方の関係で忙しくて出られないという話です。せっかく集まっておるというので私は出たわけであります。そうしたら異口同音にこういうことを言うのであります。一体こういうことがあり得るのかと思うのでございますが、全部そう言うのであります。婦人の人が三十何名言っておりました。こういうような状態であります。  それから、一人の婦人を調べるのに必ず三人以上で調べ、そのうちの一人が手錠を持ってきて、そばでガチャつかせておる、全部そう言うのであります。これは調べて下さればわかることですが、私は昨日そう聞いて参りました。  それから、これは千種署の石塚工という刑事であります。この刑事は、そういう婦人に向って、お前はこういう金をもらって買収された、御主人にしかられただろうと言うのであります。そうして、しかられませんと言うと、いやしかられただろう、しかられたと言わぬと御主人も共犯になるがよろしいか、こうしてことさらにでっち上げてしかられたことにするのであります。こういうことをやられた婦人——山田という婦人ですが、それが自分の町内に帰って、他の婦人に向って、あなた方が警察に呼ばれて調べられたときは、そういう金をもらって御主人にしかられたと言わぬと共犯になりますから、みんなしかられたと言いなさいよと言って回ったそうであります。そういうようにして、石塚という刑事は、しかられたことにせよ、いやしかられたと言えといって、最後にはそう言わしてしまうのであります。こういうことがあり得るかどうか、私は知りませんが、婦人がそう言うのでありますから、申し上げておきます。  それから、婦人の取調べの時間でありますが、逮捕状も何もなしに朝の九時から呼ばれて夜の十一時まで調べるのでございます。これは長谷川ふみ子という婦人が千種署調べられたのでありますが、夜間の調べはそれでよろしいのかどうか。それから、山下ぎん、滝本某という二人は、やはり逮捕状もなしに、ただ朝の九時に来いといって呼ばれて、夜の十二時までほったらかしておいて何も調べない。これも一つ取調べ願いたいと思います。こういうように夜間までお調べになることはどうかと思いますが、その点も一つ十分にお調べを願いたいと思います。  それから、中学校の女の子を四人の刑事調べた事実がございます。これは、今申しました長谷川ふみ子という婦人が事務所で電車の切符をもらった、それをどこにやったと言われたから、中学二年になる自分の娘に渡したと警察で申しましたら、刑事が四人長谷川ふみ子という人の家に行って、その女の子をぎゅうぎゅう調べた。そこで、女の子は泣いてしまって、ものもよう言わなかった、こういう事実がございます。これは長谷川ふみ子その人が、自分の娘はこれこれで四人の刑事からいじめられて、わたしが警察から帰ったらわあわあ泣いておる、こういうことがありましょうかと言っておるのであります。  いずれにいたしましても、こういうことで婦人は非常におびえてしまって、先ほど言ったように、選挙それ自体に懐疑の念を持っておる。一体婦人労務者というものをどういうふうにお考えになっておられるか、一応見解を承わりたいと思います。
  41. 長戸寛美

    長戸政府委員 御存じのように、労務者と申しますのは、選挙に関しまして機械的な労務に従事する者でございます。普通ビラ、ポスター張りなどでございますが、それよりさらに進んで自己の判断を入れまして選挙運動に携わるというふうなことでありますれば、選挙運動に従事する者、こういうふうになるわけであります。婦人の場合におきましても、そのような機械的労務に携わるということでありますれば、労務者ということは当然でございます。  それから、お話の件につきましては、われわれは、選挙に限らず、捜査に関しましても、人権を尊重すべきである、かりそめにも人権侵害のそしりを招かないようにということを常に注意いたしておるわけでございますが、ことに選挙につきましては、選挙のつど口やかましくこの点を申しておるのであります。お話のような件につきましては、私どもといたしましても重大な関心を寄せることでございますので、調査いたしましてお答えいたしたい、かように考えております。
  42. 横井太郎

    横井委員 まだこれから調査をいたしていただかなければなりませんので、一応私は私の言いたいことを申し上げますから、一つ調査をお願い申し上げたいと思います。  この間林委員から論功行賞の問題が出ておりました。そこで、私もこれにつきまして実際を申し上げて御調査を願いたいと思います。昨年の二月の取調べに関しましては、まことに丁寧に調べられた刑事さん、検事さんももちろんございます。しかしながら、私の聞くところでは、きわめて過酷なる検事さん、刑事さん、もしくは署長さんは御栄転になって、そうでない方は一向うだつが上らぬという、実際のなまの話を聞いておるのでありますが、この際申し上げておきますから、実際にお調べ願いたいと思います。  その第一は、先ほど辰巳検事のお話がございましたが、きのう私が会いました三十何名の婦人の話も、それからほかの話も、異口同音に、辰巳検事さんが一番おそろしい検事であったこういう話でございます。聞くところによれば、何か個人的に偉い人の関係があるからという話まで出ておりました。それで、その実例を申し上げます。婦人の安田よねという人が辰巳検事さんに調べられた。この人は三月十二日かに中署に引っぱられた。そして十七、八日ころに検事局へ行った。その場合に辰巳検事取調べを受けた。それで、まず部屋に入ると、いきなり、なぜ手錠をかけてこぬ、こういうように大きな声でどなられた。そこで、安田よねは、一ぺんにびっくりしてしまって、検事さんの顔が鬼のように見えて参りました、こう言うのであります。これは本人の話でございます。鬼検事とはこういう人でしょうか、こう言うのであります。そこで、もう何も口がきけなくなりましたので、黙っておると、大きな声を上げて、机を二、三回たたいておどかしつける、それで私はもう何も言えなくなってしまった、そうしますと、お前は警察調べられたほかに、まだこれこれこれの三つの問題がある、これについて白状をせよ、こう言うのだそうです。ところが、全然身に覚えのないことでございますので、黙って最後まで通したと言うのです。それから二、三回呼び出されたが、もちろん身に覚えのないことでありますから、何も警察で言った以外は言ってこなかった、こう言うのであります。こういうように、だれに聞きましても、この検事さんが一番過酷でおそろしいと言う。おどかしたり、手を振り上げたり、卓をたたくくらいのことはへっちゃらだ。こういう人が一体栄転せられるのか。これは片方の言うことではわかりませんけれども、こういう話を私は聞いて参りましたので、一応お取調べを願いたいと思います。個人的のことを申しますと、一体横井のようなやつが法律を作ることはおかしいので、こんな者が法律を作ったら未亡人の諸君は救われぬぞと言って、私もさんざん毒づかれたそうでありますが、これは岡村さんという婦人がそう言っていた。だから、相変らず昔のような検事さんがおいでになるのかと思います。  それから、もう一人の加藤検事さんでございます。これは自分関係のあることでございまして恐縮な話なんだが、私の運転手に栗木薄一という運転手がございます。これが三月の二十日に呼ばれまして、四月の十五日まで拘置されておったのでございます。そこで、栗木薄一なる者が、出納責任者の村瀬伊三郎、それから私の方の選挙参謀の小杉留蔵、これから九万円もらったというのでございます。もちろん警察取調べもそういうことでございまして、その結果検事局へ送られて、加藤検事から取調べを受けたのでございます。加藤検事から拘置所で十日間にわたって、横井太郎から九万円の金をもらったのだろう、こういうふうに責められて、最後は横井太郎からもらった、こういうことになったそうでございます。そこで、もちろん私も連なった。その場合に、この加藤検事は栗木運転手に向って、おれはお前から泥をはかしたのでこの通り特別賞与をもらったと言って辞令を見せた。これは事実でございます。私の名前を引き出して、そして特別賞与をもらったというのです。そして、そのときの言葉に、だいぶ君をやったからな、こう言っておったそうです。ところが、その結果は、私はもちろん起訴されて、この点に関しては第一審は無罪でございます。もちろん私はこの栗木には九万円なんて——しかも、私の方に東京では銀座のような広小路というところがありますが、その広小路のまん中で九万円を栗木に渡したというのでございます。そんなにはずはございませんし、実際にやっていない。もちろん無罪になった。ところが、とにかく私の名前を八方から責めて言わした。しかも、この誘導の仕方は、村瀬と小杉のほかにもう一人えらい人がいるだろう、もう一人えらい人といえば候補者の横井さんでしょう、その横井だ、こういうふうに十日間にわたって責めた。そして私の名前を引き出したがために論功行賞を受けた。私は無罪でございます。しかも、最近、おもしろいことには、これはごく最近でございますが、名古屋の市警の富野という刑事がございますが、この刑事が栗木君を最初調べて、そうして今の村瀬と小杉から九万円もらったということをこの刑事は調書を取って検事局に送った、その富野刑事に向って、ちょうど栗木が横井からということを白状したときに、この加藤検事は、どうだおれの腕は、こうやって腕をたたいて、おまえはよう白状させなんだが、横井の名前をおれは聞き出したぞ、こう言って自慢したそうです。そうして、富野刑事はごく最近栗木に会って、どうだ判決の結果は、おれの方が正しいだろうと言って、今度はこの富野刑事がいばっております。これは実態でございます。おかげでこの栗木という男は富野刑事からコーヒーをごちそうになったという。こうやってでっち上げておいて、そうして論功行賞をもらう。これはもちろん二審があるし、三審があるかわかりませんけれども少くとも、そういうことが現実の状態でございます。  それから、なお申し上げます。この加藤検事というのが野々垣春太郎、三浦福松という人を取り調べたときの状況を申し上げますと、この加藤検事は、取調べに際しては、前に容疑者を置いて、必ず机の上に足を上げて調べる、こういうのが実態でございます。それから、その中の野々垣さんは八十一でございます。この人は夜の六時から大てい九時ぐらいまで調べられた。数日間にわたって調べられた。八十一でございます。よぼよぼでございます。もう電灯はついております。看守の人が二階の調べ室からおろしてくるときに両方をかかえてよぼよぼのじいさんをおろしてきた、こういうのでございます。こういうことが一体あり得るかと思うのでございますが、これは本人の話でございます。  要するに、論功行賞もよろしいのでございますが、もちろん、全部で七、八名の検事さんがおいでになりますので、非常に懇切に調べられた人もあるし、懇切に調べられましても、その罪は罪で着ている人もございます。人によって違うのでございましょうが、こういうような人が出世をして、そうでない人が出世をしない。こういう場合に特賞がいただけるこの現在のあり方がどうか。これは実際でございますので、一応御所見を承わりたいと思います。
  43. 長戸寛美

    長戸政府委員 加藤検事が特別賞与の辞令を受けたというのですが、われわれはそういうふうなやり方をいまだかつて聞いておらないわけであります。今お話のようなことにつきましては、すべて徹底的に調査いたしまして御返答申し上げます。
  44. 横井太郎

    横井委員 それから、今度は中川刑事部長さんに一つお伺い申し上げます。  警察の方の関係におきまして、先ほど来いろいろ申し上げましたが、ああいうような取調べにつきましても、取り調べる者の口からも、実はこれは上の命令だ、こういうことがしばしば出ておったそうでございます。政党的なことを申し上げましてはどうかとも思いますけれども、実は、この総選挙の直後には市会議員の選挙がございました。そこで、市会議員にはもちろん保守派も革新派も立つのでございまして、私の関係の保守派の市会議員というものを目標として、それは今市会副議長をやっておる西野という人ですが、最初はむしろ私の陣営というよりもその人を目標として、その人の名前ばかりを出して、西野君に何ぞあれば言え、西野君に何ぞないか言え、そういうことばかりお調べになったそうでございます。しかも署長は政党的にいろいろと言われておる署長でございますが、こういう署長が栄転をいたしておるのでございます。名古屋市内十何ヵ署の署長の間において、論功行賞において栄転したのは二人しかございませんが、そうやった、私の方だけあげた人が論功行賞にあずかっておるのでございますが、そういうものでございましょうか。これを一ぺん中川部長さんから御答弁を願いたいと思います。
  45. 中川董治

    中川(董)政府委員 選挙以外もそうですけれども、とりわけ公職選挙法違反の捜査に当りまして、特定の政党とか特定の候補者とか特定の人物を目当てにして犯罪捜査をするということは根本的に間違っております。公職選挙法違反の捜査を一生懸命やりまして、その公職選挙法の取締りの面につきましては責任をもって確保して参る、こういう意味におきまして大いに各警察官は責任を持ちまして努力する、これは当然でございますけれども、特定の人とか特定の候補者とか特定の政党というものを念頭に置くということは根本的に間違いである。このことにつきましては、警察の根本に属しますので、本質的な問題でございますので、責任を持ってこういうことのないように、強い確信を持ちましてあらゆる機会に各警察にその趣旨を徹底をいたしておるのでございます。お取り上げになりました事案は、名古屋警察時代におきまして千種警察署長が特定の候補者を目標にした、こういう容疑の点についてお話があったのでございますが、私は、ざっくばらんに言って、こういうことがなかったろうと思うのですけれども、さらに、せっかくの御発言でございますので、いろいろあらゆる角度から調べまして、こういうことがあれば大へんなことでございますので、そういうことにつきましては厳重に調べて参りたい、こう思うのであります。
  46. 横井太郎

    横井委員 もう一つだけお尋ねをしたいのでございます。それは、今だいぶ逮捕状の乱発ということが問題になっておるようでございます。選挙違反事件について容疑があると、ただちょっと来てくれと言って連れていかれる。もちろん逮捕状があるとかないとかいうことは言わないのでございまして、普通からいうと黙ってついて行く。そうしますと、だいぶおそうまでお調べになって、九時か十時ごろになると逮捕状をおつけになる。これは普通の状態だそうでございます。ところが、その逮捕状をおつけになるのだが、実際において、容疑というだけで、いいころに逮捕状をつけておかれて、そしてその事件がなくなるとその次の事件に回していかれる、こういうことをおやりになるのだが、こういうことはどうか。これは実例を申し上げますと、先ほど申しました栗木薄一という人でございますが。この人が三月二十一日に引っぱられて、そして最初に、小杉留蔵という人から二万円もらったろう、こういう容疑で逮捕状をつけられた。それから今藤直一、この人も三月二十五日に南署からちょっと来てくれと言われて、そして最初は何でもなくてやはり小杉さんから一万円もらったろうというので逮捕状をつけられた。しかし調べられた結果は何もない。そうしますと、入っている間にまたほかの分を探してきて、それでやっていかれる。こういうのが常態でございましょうか。一応お答えを願いたい。   〔椎名(隆)委員長代理退席、高橋   委員長着席〕
  47. 中川董治

    中川(董)政府委員 これも私ども常に厳重に処置いたしておるのでございますが、まず、公職選挙法に限りませんが、犯罪を調べる方法には、要するに目的は真相を明らかにする、これが根本的な目的でございますが、真相を明らかにするためには任意関係者事情その他そこに見聞した人たちの経験に基く供述を得る、及び物的証拠を収集する、こういうことを根本的にやって参る。ただ、被疑者につきましては、逃走のおそれがある、または証拠隠滅のおそれがある——公職選挙法違反の場合は、逃走するおそれがある場合もございますけれども、比較的金円の授受等に関連する犯罪が多いものでございますから、関係者の通謀を抑止する目的で逮捕して真実を発見するという場合が多いのでございます。そういう場合に限り逮捕状を請求いたしまして、被疑者を隔離いたしまして真実発見に努める。この場合には、犯罪事実を疎明いたしまして——疎明いたしますには、疎明するに足る資料を得た場合に限りまして犯罪事実を疎明いたしまして、その犯罪事実の疎明に基いて、しかもただいま申しました必要性がある、証拠隠滅のおそれがある、こういう場合に初めて逮捕によりまして真実発見に努めるのでございます。そういう根本的な観念で逮捕状を運用しているのでありまして、それをあやふやな資料に基いて逮捕状をもらうとか、必要もないのにどしどし逮捕状をもらう、こういうことがないように厳重な規制をいたしておるのでございます。そういうふうにして、特定の犯罪事実に基きまして、真実発見のために特定の被疑者を逮捕いたしまして調べて参るのでございます。その場合に、逮捕状記載の被疑事実ももちろんそれに基き聞きますけれども、それに関連して、そうでない事柄について、余罪と申しますか、そういうことについて事情を聞く、こういうことも確かにあるのでございます。逮捕状記載の犯罪事実を中心にし、それに基いて、それに関連して余罪があれば余罪についても事情をお聞きするということは確かにあるのでございますが、それを、根本を誤まって、あやふやな証拠に基いて余罪をついていく、こういうような格好は本旨に反しますので、余罪の追及を否定はいたしませんけれども、何か特定の犯罪事実を手段にして他の犯罪を追うという形は抑止したい、こういうふうにやっているのでございます。公職選挙法違反事件につきましてはよく起る問題でございますが、だんだん関係者によって事情を明らかにいたしますと、ある被疑者につきましては特定の犯罪事実が浮んで参る、その犯罪事実は公職選挙法に触れる犯罪事実である、そのために被疑者を隔離して証拠隠滅のできない状態に置いて真実発見をするということが一番必要である、こういう場合に確かに逮捕状によりまして逮捕いたします。その結果、金円の授受というような事柄は、ある一万円なら一万円に関連し、さらに二万円もらうとか、その二万円もらったやつをだれかに交付するとか、そういうことに関連して余罪が浮ぶ場合が多いのでございますけれども、架空な事実に基いて、またあやふやな事実に基いて逮捕状を請求し、逮捕を執行するということは厳に戒めなければならぬことでございますので、こういう点につきましては、公職選挙法違反事件に限らないのでございますけれども、とりわけ公職選挙法違反事件につきましては十分徹底いたしたい、こう思っているのであります。
  48. 横井太郎

    横井委員 これから御調査を願うのでありますから、これ以上申し上げませんが、どうか一つ今度からは、ことに擁護局関係におきましては、お聞き下さるときには丁寧にお願いをしたいと思います。ことに御婦人は非常におびえてしまうのでありまして、どなたか刑事さんか警察の方が見えますと、それがどういう人であろうと、とにかくびっくりしてしまいます。それほど御婦人というものはおびえておりますので、その点も十分お含みの上お調べを願いたいと思います。  以上をもちまして質問を打ち切ります。
  49. 高橋禎一

    高橋委員長 他に御質疑がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十分散会