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横井委員 まだこれから
調査をいたしていただかなければなりませんので、一応私は私の言いたいことを申し上げますから、
一つ御
調査をお願い申し上げたいと思います。
この間
林委員から論功行賞の問題が出ておりました。そこで、私もこれにつきまして実際を申し上げて御
調査を願いたいと思います。昨年の二月の
取調べに関しましては、まことに丁寧に
調べられた
刑事さん、
検事さんももちろんございます。しかしながら、私の聞くところでは、きわめて過酷なる
検事さん、
刑事さん、もしくは署長さんは御栄転になって、そうでない方は一向うだつが上らぬという、実際のなまの話を聞いておるのでありますが、この際申し上げておきますから、実際にお
調べ願いたいと思います。
その第一は、先ほど
辰巳検事のお話がございましたが、きのう私が会いました三十何名の婦人の話も、それからほかの話も、異口同音に、
辰巳検事さんが一番おそろしい
検事であったこういう話でございます。聞くところによれば、何か個人的に偉い人の
関係があるからという話まで出ておりました。それで、その実例を申し上げます。婦人の安田よねという人が
辰巳検事さんに
調べられた。この人は三月十二日かに中署に引っぱられた。そして十七、八日ころに
検事局へ行った。その場合に
辰巳検事に
取調べを受けた。それで、まず
部屋に入ると、いきなり、なぜ手錠をかけてこぬ、こういうように大きな声でどなられた。そこで、安田よねは、一ぺんにびっくりしてしまって、
検事さんの顔が鬼のように見えて参りました、こう言うのであります。これは
本人の話でございます。鬼
検事とはこういう人でしょうか、こう言うのであります。そこで、もう何も口がきけなくなりましたので、黙っておると、大きな声を上げて、机を二、三回たたいておどかしつける、それで私はもう何も言えなくなってしまった、そうしますと、お前は
警察で
調べられたほかに、まだこれこれこれの三つの問題がある、これについて白状をせよ、こう言うのだそうです。ところが、全然身に覚えのないことでございますので、黙って最後まで通したと言うのです。それから二、三回呼び出されたが、もちろん身に覚えのないことでありますから、何も
警察で言った以外は言ってこなかった、こう言うのであります。こういうように、だれに聞きましても、この
検事さんが一番過酷でおそろしいと言う。おどかしたり、手を振り上げたり、卓をたたくくらいのことはへっちゃらだ。こういう人が一体栄転せられるのか。これは片方の言うことではわかりませんけれども、こういう話を私は聞いて参りましたので、一応お
取調べを願いたいと思います。個人的のことを申しますと、一体
横井のようなやつが法律を作ることはおかしいので、こんな者が法律を作ったら未亡人の諸君は救われぬぞと言って、私もさんざん毒づかれたそうでありますが、これは岡村さんという婦人がそう言っていた。だから、相変らず昔のような
検事さんがおいでになるのかと思います。
それから、もう一人の加藤
検事さんでございます。これは
自分の
関係のあることでございまして恐縮な話なんだが、私の運転手に栗木薄一という運転手がございます。これが三月の二十日に呼ばれまして、四月の十五日まで拘置されておったのでございます。そこで、栗木薄一なる者が、出納
責任者の村瀬伊三郎、それから私の方の
選挙参謀の小杉留蔵、これから九万円もらったというのでございます。もちろん
警察の
取調べもそういうことでございまして、その結果
検事局へ送られて、加藤
検事から
取調べを受けたのでございます。加藤
検事から拘置所で十日間にわたって、
横井太郎から九万円の金をもらったのだろう、こういうふうに責められて、最後は
横井太郎からもらった、こういうことになったそうでございます。そこで、もちろん私も連なった。その場合に、この加藤
検事は栗木運転手に向って、おれはお前から泥をはかしたのでこの通り特別賞与をもらったと言って辞令を見せた。これは事実でございます。私の名前を引き出して、そして特別賞与をもらったというのです。そして、そのときの言葉に、だいぶ君をやったからな、こう言っておったそうです。ところが、その結果は、私はもちろん起訴されて、この点に関しては第一審は無罪でございます。もちろん私はこの栗木には九万円なんて
——しかも、私の方に
東京では銀座のような広小路というところがありますが、その広小路のまん中で九万円を栗木に渡したというのでございます。そんなにはずはございませんし、実際にやっていない。もちろん無罪になった。ところが、とにかく私の名前を八方から責めて言わした。しかも、この誘導の仕方は、村瀬と小杉のほかにもう一人えらい人がいるだろう、もう一人えらい人といえば候補者の
横井さんでしょう、その
横井だ、こういうふうに十日間にわたって責めた。そして私の名前を引き出したがために論功行賞を受けた。私は無罪でございます。しかも、最近、おもしろいことには、これはごく最近でございますが、
名古屋の市警の富野という
刑事がございますが、この
刑事が栗木君を最初
調べて、そうして今の村瀬と小杉から九万円もらったということをこの
刑事は調書を取って
検事局に送った、その富野
刑事に向って、ちょうど栗木が
横井からということを白状したときに、この加藤
検事は、どうだおれの腕は、こうやって腕をたたいて、おまえはよう白状させなんだが、
横井の名前をおれは聞き出したぞ、こう言って自慢したそうです。そうして、富野
刑事はごく最近栗木に会って、どうだ判決の結果は、おれの方が正しいだろうと言って、今度はこの富野
刑事がいばっております。これは実態でございます。おかげでこの栗木という男は富野
刑事からコーヒーをごちそうになったという。こうやってでっち上げておいて、そうして論功行賞をもらう。これはもちろん二審があるし、三審があるかわかりませんけれども少くとも、そういうことが現実の状態でございます。
それから、なお申し上げます。この加藤
検事というのが野々垣春
太郎、三浦福松という人を取り
調べたときの
状況を申し上げますと、この加藤
検事は、
取調べに際しては、前に容疑者を置いて、必ず机の上に足を上げて
調べる、こういうのが実態でございます。それから、その中の野々垣さんは八十一でございます。この人は夜の六時から大てい九時ぐらいまで
調べられた。数日間にわたって
調べられた。八十一でございます。よぼよぼでございます。もう電灯はついております。看守の人が二階の
調べ室からおろしてくるときに両方をかかえてよぼよぼのじいさんをおろしてきた、こういうのでございます。こういうことが一体あり得るかと思うのでございますが、これは
本人の話でございます。
要するに、論功行賞もよろしいのでございますが、もちろん、全部で七、八名の
検事さんがおいでになりますので、非常に懇切に
調べられた人もあるし、懇切に
調べられましても、その罪は罪で着ている人もございます。人によって違うのでございましょうが、こういうような人が出世をして、そうでない人が出世をしない。こういう場合に特賞がいただけるこの現在のあり方がどうか。これは実際でございますので、一応御所見を承わりたいと思います。